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特開2023-175840創傷体積推定を行う創傷療法システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175840
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】創傷体積推定を行う創傷療法システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
A61M27/00
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023151960
(22)【出願日】2023-09-20
(62)【分割の表示】P 2021557062の分割
【原出願日】2019-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】508268713
【氏名又は名称】ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ブレット エル.
(72)【発明者】
【氏名】イングラム,シャノン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ライス,ジャスティン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】創傷の体積を推定するように構成された創傷療法システムを提供する。
【解決手段】創傷療法システムは、陰圧回路、ポンプ、圧力センサ、及びコントローラを含む。陰圧回路は、創傷に陰圧を印加する。ポンプは、陰圧回路に流体連結され、創傷で又は陰圧回路内に陰圧を発生させる。圧力センサは、陰圧回路又は創傷内の陰圧を測定する。コントローラは、第1のドローダウン期間、リークレート判定期間、ベント期間、及び第2のドローダウン期間を含む試験手順を実行する。コントローラは、リークレートパラメータを判定するために、リークレート判定期間にわたって圧力センサの1つ以上の圧力測定値を受信し、ドローダウンパラメータを判定するために、第2のドローダウン期間にわたって経過時間を監視し、リークレートパラメータ及びドローダウンパラメータに基づいて、創傷の体積を推定するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷に陰圧を印加するように構成された陰圧回路と、
前記陰圧回路に流体連結され、前記創傷で又は前記陰圧回路内に陰圧を発生させるように構成されたポンプと、
前記陰圧回路内又は前記創傷での前記陰圧を測定するように構成された圧力センサと、
コントローラであって、
第1のドローダウン期間、リークレート判定期間、ベント期間、及び第2のドローダウン期間を含む試験手順を実行し、
リークレートパラメータを判定するために、前記リークレート判定期間にわたって前記圧力センサの1つ以上の圧力測定値を受信し、
ドローダウンパラメータを判定するために、前記第2のドローダウン期間にわたって経過時間を監視し、
前記リークレートパラメータ及び前記ドローダウンパラメータに基づいて、前記創傷の体積を推定する、ように構成されたコントローラと、
を備える、創傷療法システム。
【請求項2】
前記第1のドローダウン期間は、前記陰圧回路内で所定の陰圧を達成するために前記ポンプを動作させることを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記リークレート判定期間は、所定の持続時間にわたって前記所定の陰圧を維持し、前記所定の持続時間中に前記圧力センサから圧力測定値を受信することを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記リークレートパラメータは、前記リークレート判定期間にわたる前記陰圧回路の圧力の変化である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記リークレートパラメータは、前記リークレート判定期間の少なくとも一部にわたる時間に対する圧力の変化である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ベント期間は、前記陰圧回路の弁を開いて前記陰圧回路を大気圧に戻すことを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2のドローダウン期間は、前記ポンプを動作させて、前記陰圧回路内に所定の速度で陰圧を生成することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ドローダウンパラメータは、前記陰圧回路内で所定の圧力値を達成するために、前記ポンプが前記所定の速度で動作する時間である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記ドローダウンパラメータ及び前記リークレートパラメータを、前記創傷の前記体積を前記ドローダウンパラメータ及び前記リークレートパラメータに関連付けるモデルに入力することによって、前記創傷の前記体積を推定するように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記モデルは、
前記創傷の前記体積の複数の既知の値に対して前記試験手順を実行し、
前記創傷の前記体積の前記複数の既知の値と、前記創傷の前記体積の前記複数の既知の値のそれぞれに関連するリークレートパラメータ及びドローダウンパラメータとに基づいて前記モデルを判定すること、
によって判定される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
創傷に陰圧を印加するように構成された陰圧回路を提供することと、
前記陰圧回路に流体連結され、前記創傷で又は前記陰圧回路内に陰圧を発生させるように構成されたポンプを提供することと、
前記陰圧回路内又は前記創傷での前記陰圧を測定するように構成された圧力センサを提供することと、
前記創傷の体積の既知の値に対して試験手順を実行することであって、前記試験手順は、第1のドローダウン期間にわたって第1のドローダウンを実行し、リークレート判定期間にわたってリークレートを実行し、前記陰圧回路を排気し、第2のドローダウン期間にわたって第2のドローダウンを実行することを含む、実行することと、
リークレートパラメータを判定するために、前記リークレート判定期間にわたって前記圧力センサの1つ以上の圧力測定値を受信することと、
ドローダウンパラメータを判定するために、前記第2のドローダウン期間にわたって経過時間を監視することと、
前記創傷の前記体積の前記既知の値、前記リークレートパラメータ、及び前記ドローダウンパラメータに基づいてモデルを生成することであって、前記モデルは、前記創傷の前記体積を前記リークレートパラメータ及び前記ドローダウンパラメータに関連付ける、生成することと、
前記創傷の前記体積の未知の値についてのリークレートパラメータ及びドローダウンパラメータを判定するために、前記試験手順を実行するステップと、前記1つ以上の圧力測定値を受信するステップと、前記経過時間を監視するステップとを再実行することと、判定
前記創傷の前記体積の前記未知の値に関連する前記リークレートパラメータ及び前記ドローダウンパラメータを前記モデルに入力することによって、前記創傷の前記体積の前記未知の値を推定することと、
を含む、創傷の体積を判定するための方法。
【請求項12】
前記第1のドローダウンは、前記陰圧回路内で所定の陰圧を達成するために前記ポンプを動作させることを含み、前記リークレート判定は、所定の持続時間にわたって前記所定の陰圧を維持し、前記所定の持続時間中に前記圧力センサから圧力測定値を受信することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記リークレートパラメータは、前記リークレート判定期間にわたる前記陰圧回路の圧力の変化である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記リークレートパラメータは、前記リークレート判定期間の少なくとも一部にわたる時間に対する前記陰圧回路の圧力の変化率である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記陰圧回路を排気することは、前記陰圧回路の弁を開いて前記陰圧回路を大気圧に戻すことを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2のドローダウンは、前記ポンプを動作させて、前記陰圧回路内に所定のドローダウンレートで陰圧を発生させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記ドローダウンパラメータは、前記陰圧回路内で所定の圧力値を達成するために、前記ポンプが前記所定のドローダウンレートで動作する時間である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記モデルは、
前記リークレートパラメータ及び前記ドローダウンパラメータの複数の値を判定するために、前記創傷の前記体積の複数の既知の値に対して前記試験手順を実行し、
前記創傷の前記体積の前記複数の値と、前記リークレートパラメータ及び前記ドローダウンパラメータの前記複数の値とに対して回帰を実行すること、
によって判定される、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記モデルは、前記リークレートパラメータ及び前記ドローダウンパラメータを前記創傷の前記体積に関連付けるルックアップテーブルを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
陰圧回路に流体連結され、創傷で又は前記陰圧回路内に陰圧を発生させるように構成されたポンプであって、前記陰圧回路は、前記創傷に陰圧を印加するように構成される、ポンプと、
陰圧回路内又は前記創傷での前記陰圧を測定するように構成された圧力センサと、
コントローラであって、
前記ポンプを動作させて、前記陰圧回路内に陰圧を発生させ、
所定の期間にわたって前記圧力センサの1つ以上の圧力測定値を受信し、
前記所定の期間にわたる前記圧力センサの前記受信された1つ以上の圧力測定値に基づいて漏出レートを判定し、
前記陰圧回路を大気圧まで排気し、
前記ポンプを作動させて、前記陰圧回路内の前記圧力を所定の速度で低下させ、
前記陰圧回路内で所定の圧力に達するまで、前記ポンプが前記所定の速度で動作する経過時間を監視し、
前記漏出レート及び前記経過時間に基づいて、前記創傷の体積を推定するように構成されたコントローラと、
を備える、創傷療法装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、創傷療法システムに関し、より具体的には創傷の体積を推定するように構成された創傷療法システムに関する。
【背景技術】
【0002】
陰圧創傷療法(negative pressure wound therapy、NPWT)は、創傷の治癒を促進するために、創傷部位に陰圧を印加することを含む創傷療法の種類である。いくつかの創傷治療システムは、空気圧ポンプを使用して創傷に陰圧を印加して、必要な陰圧及び流れを発生させる。NPWTによる創傷治癒の最近の進歩は、NPWTと組み合わせて作用するように局所流体を創傷に適用することを伴う。しかしながら、創傷に送出する点滴液の適切な体積を判定することは困難であり得る。加えて、創傷の治癒の進行を経時的に正確に監視し、追跡することは困難であり得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一実装形態は、いくつかの実施形態による創傷療法システムである。いくつかの実施形態では、創傷療法システムは、陰圧回路、ポンプ、圧力センサ、及びコントローラを含む。いくつかの実施形態では、陰圧回路は、創傷に陰圧を印加するように構成される。いくつかの実施形態では、ポンプは、陰圧回路に流体連結され、創傷で又は陰圧回路内に陰圧を発生させるように構成される。いくつかの実施形態では、圧力センサは、陰圧回路内又は創傷での陰圧を測定するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラは、第1のドローダウン期間、リークレート判定期間、ベント期間、及び第2のドローダウン期間を含む試験手順を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラは、リークレートパラメータを判定するために、リークレート判定期間にわたって圧力センサ1つ以上の圧力測定値を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラは、ドローダウンパラメータを判定するために、第2のドローダウン期間の経過時間を監視するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラは、リークレートパラメータ及びドローダウンパラメータに基づいて、創傷の体積を推定するように構成される。
【0004】
いくつかの実施形態では、試験手順の第1のローダウン期間は、陰圧回路内で所定の陰圧を達成するためにポンプを動作させることを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、試験手順のリークレート判定期間は、所定の陰圧を所定の持続時間にわたって維持し、所定の持続時間中に圧力センサから圧力測定値を受信することを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、リークレートパラメータは、リークレート判定期間にわたる陰圧回路の圧力の変化である。
【0007】
いくつかの実施形態では、リークレートパラメータは、リークレート判定期間の少なくとも一部にわたる時間に対する圧力の変化である。
【0008】
いくつかの実施形態では、試験手順のベント期間は、陰圧回路の弁を開いて、陰圧回路を大気圧に戻すことを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、試験手順の第2のドローダウン期間は、ポンプを動作させて、陰圧回路内に所定のレートで陰圧を発生させることを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、ドローダウンパラメータは、陰圧回路内で所定の圧力値を達成するために、ポンプが所定の速度で動作する時間である。
【0011】
いくつかの実施形態では、コントローラは、ドローダウンパラメータ及びリークレートパラメータを、創傷の体積をドローダウンパラメータ及びリークレートパラメータに関連付けるモデルに入力することによって、創傷の体積を推定するように更に構成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、モデルは、創傷の体積の既知の値に対して試験手順を実行し、創傷の体積の既知の値と、創傷の体積の既知の値のそれぞれに関連するリークレートパラメータ及びドローダウンパラメータとに基づいてモデルを判定することによって判定される。
【0013】
本開示の別の実装形態は、いくつかの実施形態による創傷体積を判定するための方法である。いくつかの実施形態では、本方法は、創傷に陰圧を印加するように構成された陰圧回路を提供することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、陰圧回路に流体連結され、創傷で又は陰圧回路内に陰圧を発生させるように構成されたポンプを提供することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、陰圧回路内又は創傷での陰圧を測定するように構成された圧力センサを提供することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、創傷の体積の既知の値に対して試験手順を実行することを含む。いくつかの実施形態では、試験手順は、第1のドローダウン期間にわたって第1のドローダウンを実行し、リークレート判定期間にわたってリークレート判定を実行し、陰圧回路を排気し、第2のドローダウン期間にわたって第2のドローダウンを実行することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、リークレートパラメータを判定するために、リークレート判定期間にわたって圧力センサの1つ以上の圧力測定値を受信することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ドローダウンパラメータを判定するために、第2のドローダウン期間の経過時間を監視することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、創傷の体積の既知の値、リークレートパラメータ、及びドローダウンパラメータに基づいてモデルを生成することを含む。いくつかの実施形態では、モデルは、創傷の体積をリークレートパラメータ及びドローダウンパラメータに関連付ける。いくつかの実施形態では、本方法は、創傷の体積の未知の値に対するリークレートパラメータ及びドローダウンパラメータを判定するために、試験手順を実行するステップと、1つ以上の圧力測定値を受信するステップと、経過時間を監視するステップとを再実行することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、創傷の体積の未知の値に関連するリークレートパラメータ及びドローダウンパラメータをモデルに入力することによって、創傷の体積の未知の値を推定することを更に含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1のドローダウンは、陰圧回路内で所定の陰圧を達成するためにポンプを動作させることを含む。いくつかの実施形態では、リークレート判定は、所定の持続時間にわたって所定の陰圧を維持し、所定の持続時間中に圧力センサから圧力測定値を受信することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、リークレートパラメータは、リークレート判定期間にわたる陰圧回路の圧力の変化である。
【0016】
いくつかの実施形態では、リークレートパラメータは、リークレート判定期間の少なくとも一部の期間にわたる時間に対する陰圧回路の圧力の変化率である。
【0017】
いくつかの実施形態では、陰圧回路を排気することは、陰圧回路の弁を開いて陰圧回路を大気圧に戻すことを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、第2のドローダウンは、ポンプを動作させて、所定のドローダウンレートで陰圧回路内に陰圧を発生させることを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、ドローダウンパラメータは、陰圧回路内の所定の圧力値を達成するために、ポンプが所定のドローダウンレートで動作する時間である。
【0020】
いくつかの実施形態では、モデルは、リークレートパラメータ及びドローダウンパラメータの複数の値を判定するために、創傷の体積の複数の既知の値に対して試験手順を実行することによって判定される。いくつかの実施形態では、モデルは、創傷の体積の値と、リークレートパラメータ及びドローダウンパラメータの値に対して回帰を行うことによって判定される。
【0021】
いくつかの実施形態では、モデルは、リークレートパラメータ及びドローダウンパラメータを創傷の体積に関連付けるルックアップテーブルである。
【0022】
本開示の別の実装形態は、いくつかの実施形態による創傷療法装置である。いくつかの実施形態では、創傷療法装置は、陰圧回路に流体連結されたポンプを含む。いくつかの実施形態では、ポンプは、創傷で又は陰圧回路内に陰圧を発生させるように構成される。いくつかの実施形態では、陰圧回路は、創傷に陰圧を印加するように構成される。いくつかの実施形態では、創傷療法装置は、陰圧回路内又は創傷での陰圧を測定するように構成された圧力センサと、コントローラとを含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、ポンプを動作させて、陰圧回路内に陰圧を発生させ、所定の期間にわたって圧力センサの1つ以上の圧力測定値を受信し、所定の期間にわたる圧力センサの受信された1つ以上の圧力測定値に基づいて漏出レートをし、陰圧回路を大気圧まで排気し、判定ポンプを動作させて、陰圧回路内の圧力を所定の速度で低下させるように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラは、陰圧回路内で所定の圧力に達成するまで、ポンプが所定の速度で動作する経過時間を監視するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラは、漏出レート及び経過時間に基づいて、創傷の体積を推定するように構成される。
【0023】
当業者には、「発明の概要」は単に例示的なものであり、いかなる場合においても限定を意図するものではないことが理解されよう。本明細書に記載される装置及び/又はプロセスの他の態様、発明的特徴、及び利点は、特許請求の範囲によってのみ定義されるものであり、本明細書に記載され、かつ、添付の図面と併せて解釈される詳細な説明において明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】例示的な実施形態による、チューブを介して創傷ドレッシングに連結された療法装置を含む創傷療法システムのブロック図である。
【0025】
図2】例示的な実施形態による、陰圧回路内を真空引きするように療法装置が動作するときの、図1の療法装置をより詳細に示すブロック図である。
【0026】
図3A】例示的な実施形態による、陰圧回路を排気するように療法装置が動作するときの、図1の療法装置をより詳細に示すブロック図である。
【0027】
図3B】例示的な実施形態による、療法装置がオリフィスを使用して陰圧回路を排気するときの、図1の療法装置をより詳細に示すブロック図である。
【0028】
図4】例示的な実施形態による、創傷ドレッシング及び/又は創傷に点滴液を送出するように療法装置が動作するときの、図1の療法装置をより詳細に示すブロック図である。
【0029】
図5】例示的な実施形態による、図1の療法装置のコントローラをより詳細に示すブロック図である。
【0030】
図6】例示的な実施形態による、リークレートパラメータ及びドローダウン時間パラメータを判定するための試験手順を示すグラフである。
図7】例示的な実施形態による、リークレートパラメータ及びドローダウン時間パラメータを判定するための試験手順を示すグラフである。
【0031】
図8】例示的な実施形態による、図1の創傷療法システムの図である。
【0032】
図9】例示的な実施形態による、様々なドローダウン時間パラメータ値のトップヘッダと、様々なリークレートパラメータのサイドヘッダと、ドローダウン時間パラメータとリークレートパラメータの様々な組み合わせに対応する創傷体積の値とを有する表である。
【0033】
図10】例示的な実施形態による、経時的な創傷体積及び点滴液体積を示すグラフである。
【0034】
図11】例示的な実施形態による、推定された創傷体積に基づいて、創傷に送出する点滴液体積を判定するプロセスのフローチャートである。
【0035】
図12A】例示的な実施形態による、ドローダウン時間パラメータ及びリークレートパラメータを創傷体積に関連付けるモデルを生成するプロセスのフローチャートである。
図12B】例示的な実施形態による、ドローダウン時間パラメータ及びリークレートパラメータを創傷体積に関連付けるモデルを生成するプロセスのフローチャートである。
【0036】
図13】例示的な実施形態による、創傷体積及び点滴体積を判定するプロセスのフローチャートである。
【0037】
図14】例示的な実施形態による、図1の療法装置を動作させるプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
概要
図を参照すると、様々な例示的な実施形態に基づき、流体の点滴及び除去を行う創傷療法システム及びその構成要素が示される。創傷療法システムは、療法装置及び創傷ドレッシングを含み得る。療法装置は、点滴液キャニスタと、除去流体キャニスタと、弁と、空気圧ポンプと、点滴ポンプと、コントローラと、を含んでもよい。創傷ドレッシングは、創傷を取り囲む患者の皮膚に適用することができる。療法装置は、点滴液を創傷に送出し、陰圧で創傷を維持することによって陰圧創傷療法(NPWT)を提供するように構成することができる。創傷療法装置、創傷ドレッシング、及び創傷の構成要素は、陰圧回路を形成する。
【0039】
コントローラは、創傷ドレッシングの漏出レート及び空気圧ポンプが所定の陰圧を達成するのにかかる時間に基づいて、創傷の体積を推定することができる。コントローラは、創傷ドレッシングの漏出レート及び空気圧ポンプが所定の陰圧に達成するのにかかる時間をするため判定に、試験手順(例えば、圧力試験手順)を療法装置に実行させることができる。創傷ドレッシングの漏出レート及び空気圧ポンプが創傷で所定の陰圧を達成するのにかかる時間が観察パラメータである。例えば、コントローラは、観察パラメータと、陰圧回路の体積及び/又は創傷の体積との関係を定義するモデルへの入力として、観察パラメータを適用することができる。モデルには、多項式近似モデル、ニューラルネットワークモデル、又は観察パラメータを陰圧回路の体積及び/又は創傷の体積に関連付ける任意の他のモデルが含まれ得る。いくつかの実施形態では、モデルは、療法装置の製造業者によってコントローラに記憶された既存のモデルである。他の実施形態では、コントローラは、トレーニング手順を実行することにより、オンサイトでモデルを生成することができる。
【0040】
トレーニング手順は、療法装置を既知の体積を有するトレーニング回路に接続することを除いて、圧力試験の手順と同じでよい。例えば、創傷ドレッシングは、創傷を取り囲む患者の皮膚ではなく、既知の体積を有する試験装置に適用してもよい。コントローラは、様々な既知の体積を有する様々なトレーニング回路でトレーニング手順を実行し、各トレーニング回路のパラメータ(すなわち、漏出レート及び所定の陰圧を達成するための時間)を観察することができる。それぞれの既知の体積は、異なる観察パラメータをもたらす可能性がある。次いで、コントローラは、各トレーニング回路の既知の体積を、対応するパラメータと関連付けることができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、観察パラメータ及びトレーニング回路の既知の体積を使用して、観察パラメータとトレーニング回路の体積との関係を定義するモデルを生成する。このモデルを療法装置に記憶し、前述のように創傷の体積を推定するために使用することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、コントローラは、創傷治療中の複数の時間に、圧力試験手順を実行し、パラメータを観察し、創傷体積を推定するように構成される。次いで、コントローラは、創傷治療中の創傷体積の変化に基づいて、治癒の進行を判定することができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、推定された創傷体積に基づいて、創傷に送出する点滴液の体積を判定するように構成される。送出する点滴液の体積は、創傷の体積の所定の割合(例えば、20%、50%、80%など)であってもよい。次いで、コントローラは、判定された体積の点滴液を創傷に送出するように点滴ポンプを動作させることができる。創傷療法システムのこれらの及び他の特徴は、以下に詳細に説明される。
【0042】
創傷療法システム
ここで図1図4を参照すると、例示的な実施形態による陰圧創傷療法(NPWT)システム100が示されている。NPWTシステム100は、チューブ108及び110を介して創傷ドレッシング112に流体接続された療法装置102を含むように示されている。創傷ドレッシング112は、創傷114を囲む患者の皮膚116に接着又は密閉されてもよい。NPWTシステム100と組み合わせて使用することができる創傷ドレッシング112のいくつかの例は、2010年1月26日に付与された米国特許第7,651,484号、2013年3月12日に付与された米国特許第8,394,081号、及び2013年11月22日に出願された米国特許出願第14/087,418号に詳細に記載されている。これらの特許及び特許出願のそれぞれの開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
療法装置102は、創傷114における圧力を低減することによって陰圧創傷療法を提供するように構成することができる。療法装置102は、創傷滲出液、空気、及び創傷114からの他の流体を除去することによって、創傷114において(大気圧に対して)真空引きすることができる。創傷滲出液は、患者の循環系で濾過されて病変又は炎症領域へと入る流体を含むことがある。例えば、創傷滲出液は、水、及び、血液、血漿タンパク質、白血球、血小板及び赤血球などの溶解溶質を含むことがある。創傷114から除去される他の流体は、創傷114に以前に送出された点滴液105を含むことがある。点滴液105としては、例えば、洗浄液、所定の流体、薬剤液、抗生物質液、又は創傷の処置中に創傷114に送出され得る任意の他の種類の流体を挙げることができる。点滴液105は、点滴液キャニスタ104内に保持され、点滴液チューブ108を介して創傷114に制御可能に分注され得る。いくつかの実施形態では、点滴液キャニスタ104は、キャニスタ106を必要に応じて再充填して、交換することを可能にするために、療法装置102から取り外し可能である。
【0044】
創傷114から除去される流体107は、除去流体チューブ110を通り、除去流体キャニスタ106に回収される。除去流体キャニスタ106は、創傷滲出液及び創傷114から除去される他の流体107を回収するように構成された療法装置102の構成要素であってもよい。いくつかの実施形態では、除去流体キャニスタ106は、キャニスタ106を必要に応じて空にして、交換することを可能にするために、療法装置102から取り外し可能である。キャニスタ106の下方部分は、創傷滲出液及び創傷114から除去される他の流体107で充填してもよく、キャニスタ106の上方部分は空気で充填してもよい。療法装置102は、キャニスタ106から空気を圧送することによって、キャニスタ106内を真空引きするように構成することができる。キャニスタ106内の低減された圧力は、創傷ドレッシング112及び創傷114がキャニスタ106と同じ圧力に維持されるように、チューブ110を介して創傷ドレッシング112及び創傷114に移動させることができる。
【0045】
特に図2図4を参照すると、例示的な実施形態による療法装置102をより詳細に示すブロック図が示されている。療法装置102は。空気圧ポンプ120、点滴ポンプ122、弁132、フィルタ128、及びコントローラ118を含むように示されている。空気圧ポンプ120は、(例えば、導管136を介して)除去流体キャニスタ106に流体連結することができ、キャニスタ106から空気を圧送することによって、キャニスタ106内を真空引きするように構成することができる。いくつかの実施形態では、空気圧ポンプ120は、順方向及び逆方向の両方で動作するように構成されている。例えば、空気圧ポンプ120は、キャニスタ106から空気を圧送し、キャニスタ106内の圧力を低下させるために、順方向に動作することができる。空気圧ポンプ120は、キャニスタ106へと空気を圧送し、キャニスタ106内の圧力を上昇させるために、逆方向に動作することができる。空気圧ポンプ120は、以下により詳細に記載されるコントローラ118によって制御することができる。
【0046】
同様に、点滴ポンプ122は、チューブ109を介して点滴液キャニスタ104に流体連結され、チューブ108を介して創傷ドレッシング112に流体連結され得る。点滴ポンプ122は、図4に示すように、点滴液105をチューブ109及びチューブ108を介して圧送することにより、点滴液105を創傷ドレッシング112及び創傷114に送出するように動作させることができる。点滴ポンプ122は、以下により詳細に記載されるコントローラ118によって制御することができる。
【0047】
フィルタ128は、キャニスタ106から圧送された空気がフィルタ128を通過するように、除去流体キャニスタ106と空気圧ポンプ120との間に(例えば、導管136に沿って)配置することができる。フィルタ128は、液体又は固体粒子が導管136に入って空気圧ポンプ120に到達することを防止するように構成することができる。フィルタ128は、例えば、水性及び/又は油性の液体がフィルタ128の表面上でビーズ状になるように、疎水性及び/又は親油性の細菌フィルタを含んでもよい。空気圧ポンプ120は、フィルタ128を十分な空気流が通るように構成することができ(例えば、圧力低下が療法装置102から創傷114への陰圧の印加に実質的に干渉しないように)、フィルタ128を通した圧力の低下が実質的ではないようにする。
【0048】
いくつかの実施形態では、療法装置102は、図3Aに示すように、弁132を動作させて陰圧回路を制御可能に排気する。弁132は、導管136を介してポンプ120及びフィルタ128と流体接続することができる。いくつかの実施形態において、弁132は、導管136と療法装置102の周囲の環境との間の空気流を制御するように構成される。例えば、弁132は、通気口134及び導管138を介した導管136への空気流を可能にするために開き、通気口134及び導管138を介した導管136への空気流を防ぐために閉じることができる。弁132は、以下により詳細に記載されるコントローラ118によって制御することができる。弁132が閉じていると、空気圧ポンプ120は、図2に示すように、第1の方向に空気流がフィルタ128を通されることによって、陰圧回路内を真空引きすることができる。陰圧回路は、陰圧創傷療法を実行する際に陰圧に維持できるシステム100の任意の構成要素(例えば、導管136、除去流体キャニスタ106、チューブ110、創傷ドレッシング112、及び/又は創傷114)を含むことができる。例えば、陰圧回路は、導管136、除去流体キャニスタ106、チューブ110、創傷ドレッシング112、及び/又は創傷114を含むことができる。弁132が開いていると、療法装置102の周囲の環境からの空気流が、通気口134及び導管138を介して導管136に入り、陰圧回路内の真空を満たすことができる。導管136からキャニスタ106及び陰圧回路内の他の体積への空気流は、図3Aに示すように、第1の方向とは反対の第2の方向にフィルタ128を通過してもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、療法装置102は、図3Bに示すように、オリフィス158を介して陰圧回路を排気する。オリフィス158は、導管136又は陰圧回路の任意の他の構成要素(例えば、除去流体キャニスタ106、チューブ110、チューブ111、創傷ドレッシング112など)の小さな開口部であってもよく、空気が既知の速度で陰圧回路に漏れるのを許容してもよい。いくつかの実施形態では、療法装置102は、弁132を動作させるのではなく、オリフィス158を介して陰圧回路を排気する。弁132は、オリフィス158が含まれる任意の実施形態について、療法装置102から省略することができる。オリフィス158を介して陰圧回路に空気が漏れる速度は、オリフィス158の形状に応じて、実質的に一定であってもよく、あるいは、陰圧の関数として変動してもよい。オリフィス158を介したリークレートが可変である実施形態では、コントローラ118は、陰圧とリークレートとの記憶された関係を使用して、陰圧の測定値に基づいてオリフィス158を介したリークレートを算出することができる。オリフィス158を介したリークレートが実質的に一定であるか可変であるかにかかわらず、オリフィス158を介した陰圧回路への空気の漏出は、創傷114の体積160(図8参照)を推定する際に使用する圧力減衰曲線を生成するために使用することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、療法装置102は、様々なセンサを含む。例えば、療法装置102は、キャニスタ106内の圧力及び/又は創傷ドレッシング112若しくは創傷114における圧力を測定するように構成された圧力センサ130を含むように示されている。いくつかの実施形態では、療法装置102は、チューブ111内の圧力を測定するように構成された圧力センサ113を含む。チューブ111は、創傷ドレッシング112に接続されてもよく、点滴液105又は創傷滲出液を流すなどの二次機能を持たずに、創傷ドレッシング112又は創傷114での圧力の測定専用であってもよい。様々な実施形態において、チューブ108、110、及び111は、物理的に別のチューブであってもよく、あるいは、療法装置102を創傷ドレッシング112に接続する単一のチューブ内の別のルーメンであってもよい。したがって、チューブ110は、陰圧の創傷ドレッシング112又は創傷114を適用するように機能する陰圧ルーメンとして記述されてもよく、一方、チューブ111は、創傷ドレッシング112又は創傷114における圧力を感知するように構成された感知ルーメンとして記述されてもよい。圧力センサ130及び113は、様々な実施形態において、療法装置102内に位置することができ、チューブ108、110、及び111に沿った任意の場所に配置することができ、又は、創傷ドレッシング112に位置することができる。圧力センサ130及び/又は113によって記録された圧力測定値をコントローラ118に通信することができる。コントローラ118は、圧力測定値を、コントローラ118によって実行される様々な圧力試験動作及び制御動作への入力として使用する(図5図14を参照してより詳細に説明する)。
【0051】
コントローラ118は、空気圧ポンプ120、点滴ポンプ122、弁132、及び/又は療法装置102の他の制御可能な構成要素を動作させるように構成することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ118は、陰圧回路に圧力刺激を加えることにより、圧力試験手順を実行する。例えば、コントローラ118は、陰圧回路内に陰圧を確立するために、弁132を閉じて空気圧ポンプ120を動作させるよう指示することができる。陰圧が確立されると、コントローラ118は、空気圧ポンプ120を非活性化してもよい。コントローラ118は、弁132を所定の時間にわたって開かせ、次いで、所定の時間が経過した後に閉じさせてもよい。コントローラ118は、圧力センサ130及び/又は113によって記録された圧力測定値を使用して、圧力刺激に対する陰圧回路の動的圧力応答を観察してもよい。動的圧力応答は、例えば、ドローダウン時間パラメータαtime及びリークレートパラメータαleakを含む様々なパラメータによって特徴付けられてもよい。
【0052】
コントローラ118は、観察された動的圧力応答に基づいて、創傷114の体積160を推定することができる。例えば、コントローラ118は、観察パラメータと、陰圧回路の体積及び/又は創傷114の体積160との関係を定義するモデルへの入力として、観察パラメータを適用することができる。モデルには、多項式近似モデル、ニューラルネットワークモデル、又は観察パラメータを陰圧回路の体積及び/又は創傷114の体積160に関連付ける任意の他のモデルが含まれ得る。いくつかの実施形態では、モデルは、療法装置102の製造業者によってコントローラ118に記憶された既存のモデルである。他の実施形態では、コントローラ118は、トレーニング手順を実行することにより、オンサイトでモデルを生成することができる。
【0053】
トレーニング手順は、療法装置102を既知の体積を有するトレーニング回路に接続することを除いて、圧力試験の手順と同じでよい。例えば、創傷ドレッシング112は、創傷114を取り囲む患者の皮膚116ではなく、既知の体積を有する試験装置に適用してもよい。コントローラ118は、様々な既知の体積を有する様々なトレーニング回路に圧力刺激を加えることができ、各トレーニング回路の動的圧力応答を観察することができる。それぞれの既知の体積は、圧力刺激に対する異なる動的圧力応答をもたらす可能性がある。次いで、コントローラ118は、各トレーニング回路の既知の体積を、対応する動的圧力応答と関連付けることができる。いくつかの実施形態では、コントローラ118は、トレーニング回路の動的圧力応答を使用して、動的圧力応答の観察パラメータ(例えば、パージの深さ、リバウンド、デルタ、リークレートなど)とトレーニング回路の体積との関係を定義するモデルを生成する。次いで、このモデルをコントローラ118に記憶し、前述のように創傷114の体積を推定するために使用することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ118は、ドローダウン時間パラメータαtime及びリークレートパラメータαleakの値の1つ以上のセットを判定し、ドローダウン時間パラメータαtime及びリークレートパラメータαtimeの各セットは、既知の体積160に対応する。いくつかの実施形態では、コントローラ118は、値の1つ以上のセットを使用して、モデルを生成する。
【0054】
いくつかの実施形態では、コントローラ118は、創傷治療中の複数の時間に、圧力試験手順を実行し、動的圧力応答を観察し、創傷114の体積160を推定するように構成される。次いで、コントローラ118は、創傷治療中の創傷114の体積160の変化に基づいて、治癒の進行を判定することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ118は、推定された創傷体積160に基づいて、創傷114に送出する点滴液105の体積を判定するように構成される。送出する点滴液105の体積は、創傷114の体積160の所定の割合(例えば、20%、50%、80%など)であってもよい。次いで、コントローラ118は、判定された体積の点滴液105を創傷114に送出するように点滴ポンプ122を動作させることができる。コントローラ118のこれらの特徴及び他の特徴は、図5図14を参照してより詳細に説明する。
【0055】
いくつかの実施形態では、療法装置102は、ユーザインターフェース126を含む。ユーザインターフェース126は、ユーザから入力を受け取るように構成された1つ以上のボタン、ダイヤル、スライダ、キー、又は他の入力装置を含んでもよい。ユーザインターフェース126はまた、1つ以上の表示装置(例えば、LED、LCDディスプレイなど)、スピーカ、触覚フィードバック装置、又はユーザに情報を提供するように構成された他の出力装置を含んでもよい。いくつかの実施形態では、圧力センサ130及び/又は113によって記録された圧力測定値は、ユーザインターフェース126を介してユーザに提示される。ユーザインターフェース126はまた、コントローラ118によって発生された警告を表示することができる。例えば、コントローラ118は、キャニスタ106が検出されない場合、「キャニスタなし」警告を発生することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、療法装置102は、データを送受信するように構成されたデータ通信インターフェース124(例えば、USBポート、無線送受信器など)を含む。通信インターフェース124は、データ通信外部システム又は装置を指揮するための有線通信インターフェース又は無線通信インターフェース(例えば、ジャック、アンテナ、送信器、受信器、送受信器、ワイヤ端子など)を含んでもよい。様々な実施形態では、通信は、直接(例えば、ローカル有線通信又はローカル無線通信)であってもよく、又は通信ネットワーク(例えば、WAN、インターネット、セルラーネットワークなど)を介してもよい。例えば、通信インターフェース124は、USBポート又はイーサネットカード、並びにイーサネットベースの通信リンク又はネットワークを介してデータを送受信するためのポートを含むことができる。別の実施例では、通信インターフェース124は、無線通信ネットワーク、あるいはセルラー電話(cellular phone)通信又は携帯電話(mobile phone)通信の送受信機を介して通信するためのWi-Fi送受信機を含むことができる。
【0057】
ここで図8を参照すると、いくつかの実施形態による創傷114がより詳細に示されている。いくつかの実施形態では、空気圧ポンプ120の動作により創傷114内の圧力が低下すると、1つ以上のリークが形成される。例えば、空気は、創傷ドレッシング112の角部の周囲で創傷114の体積160に入る可能性がある。チューブ110、108、111がそれぞれコネクタ162、164、166を介して体積160と流体連結されている場合、コネクタ162、164、166でリークが発生する可能性がある。いくつかの実施形態では、創傷114の内側体積160内の圧力(例えば、p)が大気圧patm(すなわち、創傷ドレッシング112の外側の空気の圧力)よりも小さい場合、その間に圧力差Δpdiff=patm-pが形成される。いくつかの実施形態では、圧力差Δpdiffにより、空気が体積160に入り、創傷ドレッシング112及びコネクタ162~166の任意の漏れを介してチューブ110を移動させる。漏れは、創傷ドレッシング112の界面と患者の皮膚116との間の任意の他の場所に形成され得る。いくつかの実施形態では、創傷114の体積160への空気の漏出は、空気圧ポンプ120が陰圧を達成するために必要な時間の増加と相関している。
【0058】
コントローラ
ここで図5を参照すると、例示的な実施形態によるコントローラ118をより詳細に示すブロック図が示されている。コントローラ118は、プロセッサ142とメモリ144を含む処理回路140を含むように示されている。プロセッサ142は、汎用プロセッサ又は特定用途向けプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、処理構成要素のグループ、あるいは他の好適な処理構成要素であってもよい。プロセッサ142は、メモリ144に記憶された、又は他のコンピュータ可読媒体(例えば、CDROM、ネットワーク記憶装置、リモートサーバなど)から受信される、コンピュータコード又は命令を実行するように構成される。
【0059】
メモリ144は、本開示に記載される様々なプロセスを完了及び/又は促進するためのデータ及び/又はコンピュータコードを記憶するための1つ以上の装置(例えば、メモリユニット、メモリ装置、記憶装置など)を含んでもよい。メモリ144は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードドライブ記憶装置、一時記憶装置、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光学メモリ、あるいはソフトウェアオブジェクト及び/又はコンピュータ命令を記憶するための任意の他の好適なメモリを含んでもよい。メモリ144は、データベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素、又は本開示に記載される様々なアクティビティ及び情報構造をサポートするための任意の他の種類の情報構造を含んでもよい。メモリ144は、処理回路140を介してプロセッサ142に通信可能に接続されてもよく、本明細書に記載される1つ以上のプロセスを(例えば、プロセッサ142によって)実行するためのコンピュータコードを含んでもよい。プロセッサ142がメモリ144内に記憶された命令を実行するとき、プロセッサ142は、一般に、そのようなアクティビティを完了するようにコントローラ118を(より具体的には処理回路140を)構成する。
【0060】
コントローラ118は、ポンプ制御部146と弁制御部150を含むように示されている。ポンプ制御部146は、制御信号を生成してポンプ120~122に提供することにより、ポンプ120及び122を動作させるように構成することができる。ポンプ120~122に提供される制御信号は、ポンプ120~122を活性化させる、非活性化させる、あるいは、可変容量又は可変速度を達成することができる(例えば、半分の速度で動作する、全速で動作するなど)。同様に、弁制御部150は、制御信号を生成して弁132に提供することにより、弁132を動作させるように構成することができる。弁132に提供される制御信号は、弁132を開かせること、閉じさせること、又は指定された中間位置(例えば、3分の1開放、半開放など)を達成させることができる。いくつかの実施形態では、ポンプ制御部146及び弁制御部150は、本明細書に記載されたプロセスを実施する際にポンプ120~122及び弁132を動作させるために、コントローラ118の他の構成要素(例えば、試験手順制御部148、創傷体積推定部156など)によって使用される。
【0061】
いくつかの実施形態では、ポンプ制御部146は、除去流体キャニスタ106が存在するかどうかを検出するように構成されたキャニスタセンサからの入力を使用する。ポンプ制御部146は、除去流体キャニスタ106が存在する場合にのみ、空気圧ポンプ120を活性化するように構成することができる。例えば、ポンプ制御部146は、キャニスタ106が存在するかどうかを確認することができ、キャニスタ106が存在するという判定に応答して空気圧ポンプ120を活性化させることができる。しかし、キャニスタ106が存在しない場合、ポンプ制御部146は、空気圧ポンプ120が活性化するのを防止してもよい。同様に、ポンプ制御部146は、除去流体キャニスタ104が存在する場合にのみ、点滴ポンプ122を活性化するように構成することができる。例えば、ポンプ制御部146は、キャニスタ104が存在するかどうかを確認することができ、キャニスタ104が存在するという判定に応答して点滴ポンプ122を活性化させることができる。しかし、キャニスタ104が存在しない場合、ポンプ制御部146は、点滴ポンプ122が活性化するのを防止してもよい。
【0062】
コントローラ118は、圧力監視部152を含むように示されている。圧力監視部152は、圧力センサ130及び/又は113からのフィードバックを使用して、除去流体キャニスタ106内の圧力、及び/又は、創傷ドレッシング112若しくは創傷114内の圧力を監視するように構成することができる。例えば、圧力センサ130及び/又は113は、圧力監視部152に圧力測定値を提供してもよい。圧力監視部152は、圧力測定値を使用して、キャニスタ106内の圧力、及び/又は、創傷ドレッシング112若しくは創傷114内の圧力をリアルタイムで判定することができる。圧力監視部152は、モデル生成部154、ポンプ制御部146、試験手順制御部148、及び/又は弁制御部150に圧力値を提供して、これらの構成要素によって実行される制御プロセスへの入力として使用することができる。
【0063】
ここで、図5を参照すると、コントローラ118は、試験手順制御部148を含むように示されている。試験手順制御部148は、圧力動的応答又は漏出レートを呼び出して観察するために、圧力試験手順を実行するように構成することができる。療法装置102が創傷114上の患者の皮膚116に適用された創傷ドレッシング112に接続されている場合、試験手順制御部148は、導管136、除去流体キャニスタ106、チューブ110、創傷ドレッシング112、及び/又は創傷114(未知の体積を有していてもよい)を含む陰圧回路の動的圧力応答及び漏出レートを観察することができる。療法装置102が、既知の体積を有するトレーニング装置に適用された創傷ドレッシング112に接続されている場合、試験手順制御部148は、導管136、除去流体キャニスタ106、チューブ110、創傷ドレッシング112、及び/又はトレーニング装置を含むトレーニング回路の動的圧力応答を観察することができる。
【0064】
試験手順
特に図6を参照すると、グラフ600は、いくつかの実施形態による、コントローラ118(例えば、試験手順制御部148)が実行するように構成され得る試験手順を示す。いくつかの実施形態では、コントローラ118は、リークレートパラメータαleak及びドローダウン時間パラメータαtimeを判定するために、グラフ600に示す試験手順を実行するように構成される。
【0065】
グラフ600は、いくつかの実施形態による、試験手順にわたる陰圧(Y軸)と時間(X軸)との関係を示す系列602を含む。いくつかの実施形態では、試験手順は、第1のドローダウン期間604、リークレート判定期間606、ベント期間608、及び第2のドローダウン期間610を含む。いくつかの実施形態では、第1のドローダウン期間604は、時刻tと時刻tの間に発生する。いくつかの実施形態では、リークレート判定期間606は、時刻tと時刻tとの間で発生する。いくつかの実施形態では、ベント期間608は、時刻tと時刻tの間に発生する。いくつかの実施形態では、第2のドローダウン期間610は、時刻tと時刻tの間に発生する。
【0066】
第1のドローダウン期間604の間、コントローラ118は、空気が導管138から通気口134に通過できないように弁132を閉鎖構成に移行させる制御信号を弁132に送信することができる。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、弁制御部150に、第1のドローダウン期間604にわたって弁132を閉鎖構成に移行させるコマンドを送信する。いくつかの実施形態では、弁132が閉鎖構成に移行した後、試験手順制御部148は、創傷114でドローダウンする(例えば、陰圧の生成する)制御信号をポンプ制御部146に送信する。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、ドローダウンレート(すなわち、
)に関する情報をポンプ制御部146に送信する。ポンプ制御部146は、ドローダウンレートに応じて創傷114の圧力をドローダウンする(例えば、陰圧を生成する)制御信号を空気圧ポンプ120に送信するように構成されている。いくつかの実施形態では、ポンプ制御部146は、1つ以上の所定のドローダウンレートに従ってドローダウンするように空気圧ポンプ120を動作させるように構成されている。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、ポンプ制御部146に、空気圧ポンプ120を第1のドローダウン期間604の間、最大レートでドローダウンさせるコマンドを送信するように構成される。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、操作変数uの値をポンプ制御部146に送信し、空気圧ポンプ120を所定のドローダウンレートに従ってドローダウンさせる。例えば、試験手順制御部148は、ポンプ制御部146、操作変数uのバイナリ値(例えば、u=1又はu=0)を送信してもよい。例えば、試験手順制御部148は、ポンプ制御部146、ポンプ制御部146が空気圧ポンプ120を第1の所定のドローダウンレートでドローダウンさせるべきであることを示す操作変数の値u=1を、ポンプ制御部146に送信してもよい。同様に、試験手順制御部148は、ポンプ制御部146、ポンプ制御部146が空気圧ポンプ120を第1の所定のドローダウンレートよりも大きい第2の所定のドローダウンレートでドローダウンさせるべきであることを示すポンプ制御部146の操作変数の値u=1を送信してもよい。試験手順制御部148は、ポンプ制御部146、以下のような操作変数uの値の1xdベクトル、例えば、
を送信してもよい。
ここで、uは、ポンプ制御部146が空気圧ポンプ120を第1のドローダウンレートでドローダウンさせるべきか否かを示す操作変数uのバイナリ値であり、uは、ポンプ制御部146が空気圧ポンプ120を第2のドローダウンレートでドローダウンさせるべきか否かなどを示す操作変数uの別の値であり、uは、ポンプ制御部146が空気圧ポンプ120を第dのドローダウンレートでドローダウンさせるべきか否かを示す操作変数uの第dのバイナリ値である。例えば、d=4であり、ポンプ制御部146が空気圧ポンプ120を4つの所定のドローダウンレートに従ってドローダウンさせることができる場合、ベクトル
は以下の形態を有することができる。
例えば、ポンプ制御部146が空気圧ポンプ120を第4のドローダウンレート(すなわち、u=1)に従ってドローダウンさせるべきであることを示す、u=0、u=0、u=0、かつu=1。いくつかの実施形態では、第dのドローダウンレート(例えば、この場合は第4)は、最も速いドローダウンレートであり、第1のドローダウンレートは、最も遅いドローダウンレートである。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、ポンプ制御部146に、空気圧ポンプ120を第1のドローダウン期間604の最も速いドローダウンレートでドローダウンさせるコマンドを送信する(例えば、u=1)。試験手順制御部148は、第2のドローダウン期間610にわたって、空気圧ポンプの可変ドローダウンレートを使用することもできる。いくつかの実施形態では、ドローダウン時間パラメータαtimeは、第2のドローダウン期間610にわたって判定される。いくつかの実施形態では、第2のドローダウン期間610にわたる空気圧ポンプ120のドローダウンレートが速い場合、創傷114の体積推定は正確性が低いが、より速く推定される。同様に、第2のドローダウン期間610にわたる空気圧ポンプ120のドローダウンレートが遅い場合、創傷114の体積推定はより正確であるが、推定にはより長い時間を要する。いくつかの実施形態では、モデル生成部154は、以下でより詳細に説明するように、第2のドローダウン期間610の様々な所定のドローダウンレートに対するモデルfwoundを判定するように構成される。
【0067】
いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、第1のドローダウン期間604の陰圧の目標値として設定値rを使用する。例えば、図6に示すように、第1のドローダウン期間604ではr=pである。いくつかの実施形態ではpは、低圧(例えば、陰圧の大きさが大きい)の値である。いくつかの実施形態ではp=200mmHgである。いくつかの実施形態では、pは、創傷ドレッシング112及び/又はコネクタ162~166のいかなる漏れも監視できるような陰圧値である。いくつかの実施形態ではpは、第1のドローダウン期間604の終了時に創傷114で達成されるべき陰圧の目標値である。例えば、図6に示すように、p=pとなる時刻tまで、第1のドローダウン期間604を通じて陰圧が増加する。
【0068】
いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、圧力監視部152及び圧力センサ130/113を介して、創傷114における圧力pの測定値を受信する。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、創傷114における圧力pの値を性能変数yの値として受信する。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、操作変数uの値を判定するために、フィードバック制御(例えば、PID制御、PI制御など)を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、性能変数yの値が設定値に実質的に等しくなるまで、性能変数yの値をリアルタイムで監視する(例えば、p)。いくつかの実施形態では、性能変数yの値が設定値rの値と実質的に等しくなると(例えば、p=p)試験手順制御部148は、操作変数uの値をポンプ制御部146に送信し、空気圧ポンプ120にドローダウンを停止させる。例えば、試験手順制御部148は、最初に、ポンプ制御部146に、y=rになるまで、u=1などの操作変数uの値を送信することができる。いくつかの実施形態では、y=rになると、試験手順制御部148は、ポンプ制御部146に、u=0などの操作変数uの値を送信し、その結果、ポンプ制御部146は、空気圧ポンプ120に圧力pのドローダウンを停止させる。いくつかの実施形態では、y=rになると(又はyが許容範囲r±r内に入ると、ここでrがrからのyの許容偏差を示す)、試験手順制御部148は、ポンプ制御部146に、創傷114での陰圧のドローダウンを停止させるコマンドを送信する。
【0069】
第1のドローダウン期間が完了した後(グラフ600に示すようにtで)、いくつかの実施形態によれば、リークレート判定期間606が開始する。リークレート判定期間606は、創傷114のドレッシング適用例(例えば、創傷ドレッシング112、コネクタ162~166)の漏出レートを示す傾き612を判定するために使用される。いくつかの実施形態では、傾き612は、リークレートパラメータαleakである。
【0070】
リークレート判定期間606の間、試験手順制御部148は、いくつかの実施形態によれば、弁制御部150に、所定の期間Δtleakにわたって弁132を閉鎖構成に維持させる。試験手順制御部148は、リークレート判定期間606にわたる圧力変化を監視して、特定の創傷適用例に対するリークレートパラメータαleakを判定する。グラフ600に示すように、陰圧は、時刻t=tから時刻t=tまで、pからpへと減少する。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、リークレート判定期間中の圧力の変化(例えば、減少)を監視する。例えば、試験手順制御部148は、リークレート判定期間606にわたる圧力の低下p-pを、リークレートパラメータαleakとして判定することができる。いくつかの実施形態では、リークレート判定期間606は、所定の持続時間、Δtleak=t-tを有する。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、時刻tにおいて圧力pを測定し、時刻tにおいて圧力pを測定する。いくつかの実施形態では、リークレート判定期間606の所定の時間持続時間Δtleakにわたって、リークレートパラメータαleak=p-pである。
【0071】
リークレート判定期間606は、いくつかの実施形態によれば、試験手順制御部148が、所定の期間Δtleakにわたって性能変数y(例えば、陰圧)の値を受信して記憶することを含む。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、Δtleak=t-tである所定の期間Δtleakにわたって性能変数yの値を受信する。例えば、試験手順制御部148は、Δtleakにわたって、サンプリングレートfsampleでの性能変数yの値を受信してもよい。いくつかの実施形態では、サンプリングレートは、
のように、1秒間に圧力センサ130、113から受信した性能変数yのサンプル数である。例えば、試験手順制御部148が、圧力センサ130、113からの性能変数yの値を10秒間隔(すなわち、Δtleak=t-t=10秒)にわたって監視及び記録するように構成され、fsample=60Hz(すなわち、
)である場合、リークレート判定期間606にわたる性能変数yのサンプル数は、fsample・Δtleak=60Hz・10秒=600サンプルとなる。いくつかの実施形態では、サンプルは、圧力センサ130/113によって測定され、試験手順制御部148は、性能変数yのサンプルを、以下のようなベクトルに記録する。
ここで、Sは、リークレート判定期間606中の性能変数yの最初の記録値であり、Sは、リークレート判定期間606中の性能変数yの第2の記録値である、などである。また、Sは、リークレート判定期間606中の性能変数yの第wの記録値であり、wは、リークレート判定期間606における性能変数yのサンプル数(例えば、w=fsample・(t-t))である。
【0072】
いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、ベクトル
に関連する時間値のベクトルも記憶する。例えば、試験手順制御部148は、時間ベクトル
を記憶してもよい。ここで、
は、Sが記録/サンプリングされる時間であり、
は、Sが記録/サンプリングされる時間などであり、
は、Sが記録/サンプリングされる時間である。いくつかの実施形態では、
となる。いくつかの実施形態では、
となる。いくつかの実施形態では、時間ベクトル
の各値は、
の間隔で配置される。例えば、fsample=60Hzであり、
を0とした場合、
となる。
【0073】
いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、創傷114における陰圧のサンプルのベクトル
と、
に関連する時間ベクトル
とに基づいて、傾き612(すなわち、リークレートパラメータαleak)を判定するように構成される。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、連続するサンプリング値(例えば、SとS、SとS、SとSなど)間の傾き612(すなわち、傾きm)を判定する。例えば、試験手順制御部148が、リークレート判定期間606にわたって5つのサンプリングされた値(すなわちw=5)を記録し、
となる場合、試験手順制御部148は、傾きmのw-1個の値を判定する。例えば、試験手順制御部148は、
であることを判定することができる。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、mのw-1値を判定し、その値を以下のような傾きベクトルに記憶することができる。
ここで、mの各値は、連続して発生するSの値と、サンプルが記録されたときの対応する/関連するtの値との間で判定される。
【0074】
試験手順制御部148は、
に基づいて、リークレートパラメータαleakを判定することができる。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、
の値の平均をαleakとして判定する。例えば、試験手順制御部148は、いくつかの実施形態によれば、以下のように判定することができる。
試験手順制御部148はまた、いくつかの実施形態によれば、リークレートパラメータαleakに関連する標準偏差を以下のように判定する。
ここで、
【0075】
いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、
の最大値又は最小値をαleakとして選択する。例えば、試験手順制御部148は、いくつかの実施形態によれば、αleakを以下のように判定してもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、
の初期値及び最終値を使用して、リークレート判定期間606の全体にわたる全体的な傾きmを、リークレートパラメータαleakとして判定する。試験手順制御部148は、いくつかの実施形態によれば、以下のように判定する。
【0077】
いくつかの実施形態では、リークレート判定期間606のΔtleak(例えば、tとtとの間の時間)は、所定の期間である。例えば、Δtleakは、いくつかの実施形態によれば、10秒、30秒、5分などであってもよい。Δtleakが所定の期間である場合、試験手順制御部148は、所定の期間にわたる圧力の変化(例えば、p-p)としてリークレートパラメータαleakを判定することができる。例えば、Δtleakを所定の値とすると、αleak=p-pとなる。リークレート判定期間606は、創傷114における密閉品質を特徴付け、創傷114におけるリークレートを定量化するαleakを判定するために使用される。いくつかの実施形態では、αleakは、陰圧を保持するための創傷114の能力を特徴付ける。例えば、αleakが非常に低い場合、これは、創傷114が十分に密閉されており、リークレート判定期間にわたる圧力低下が無視できるか、又は傾き612がほぼゼロの値であるため、陰圧を良好に保持できる(例えば、漏れがない)ことを示している。同様に、αleakが非常に高い場合、これは、いくつかの実施形態によれば、創傷114が十分に密閉されておらず、陰圧をうまく保持できない可能性があることを示している(例えば、リークレート判定期間606全体に置ける大きな圧力低下、又は大きな大きさの負の傾き612によって識別される)。
【0078】
いくつかの実施形態では、リークレート判定期間606が完了した後、試験手順制御部148は、リークレート判定期間606にわたって収集/判定された
の値を記憶し、ベント期間608に進む。ベント期間608の間、試験手順制御部148は、いくつかの実施形態によれば、弁制御部150に、弁132を開放構成に移行させて、創傷114が大気圧に戻ることを可能にするコマンドを送信する。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、弁制御部150に、創傷114内の圧力pが大気圧(例えば、0mmHgの陰圧)に戻ることができるように、所定の時間、弁132を開放構成に維持させる。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、圧力監視部152を介して圧力センサ130/113から受信した性能変数yのリアルタイム値を監視し、tに示すように、圧力センサ130/113から受信した圧力測定値が大気圧と実質的に等しくなるまで、弁制御部150に弁132を開放構成に維持させる。
【0079】
創傷114が大気圧に戻った後、いくつかの実施形態によれば、試験手順制御部148は、第2のドローダウン期間610に進む。いくつかの実施形態では、第2のドローダウン期間610は、ドローダウン時間パラメータαtimeを判定するために実行される。ドローダウン時間パラメータαtimeは、所望の陰圧値(例えば、p)を達成するために必要な時間である。いくつかの実施形態では、ドローダウン時間パラメータαtimeは、時間間隔614である。図17に示すような時間間隔614は、いくつかの実施形態によれば、図16に示すような時間間隔614よりも大きい。いくつかの実施形態では、時間間隔614の値は、創傷114の体積が大きくなること、及び/又はリークレートが高くなること(例えば、αleakの値が高くなること)に起因して増加し得る。図7に示すような傾き612は、いくつかの実施形態によれば、図6に示すような傾き612と実質的に等しい。これは、図6に示すような試験方法の創傷適用例(例えば、ドレッシング112)が、図7に示すような試験方法の創傷適用例(例えば、ドレッシング112)と比較して、実質的に等しいリークレートを有することを示すことができる。したがって、図7に示すような時間間隔614の値が、図6に示すような時間間隔614の値と比較して増加しているのは、グラフ700の試験手順が、グラフ600の試験手順の創傷114よりも大きな体積を有する創傷114に対して実行されたことに起因すると考えられる。
【0080】
試験手順制御部148は、空気圧ポンプ120を
のレートでドローダウンさせるコマンド(例えば、操作変数uの値)をポンプ制御部146に送信することによって、ドローダウン時間パラメータαtimeを判定することができる。試験手順制御部148は、圧力監視部152及び/又は圧力センサ130/113から圧力測定値を受信し、空気圧ポンプ120が所望の圧力(例えば、p)を達成するために動作する時間をαtimeとして判定することができる。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、ポンプ制御部146に、空気圧ポンプ120を様々なドローダウンレート
に従ってドローダウンさせるコマンドを送信することができる。いくつかの実施形態では、ドローダウンレートが速いと、αtimeをより速く判定することができるが、αtimeを使用して判定されたモデル(モデル生成部154を参照して以下でより詳細に説明する)は、正確性が低い。いくつかの実施形態では、ドローダウンレートが遅いと、より正確なモデルを生成するためにαtimeを使用することができるが、αtimeを判定するために、より長いドローダウン時間(例えば、時間間隔614)を必要とする。
【0081】
いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、第2のドローダウン期間610を開始するために弁132を閉鎖構成に移行させるコマンドを弁制御部150に送信するように構成される。いくつかの実施形態では、弁132が閉鎖構成に移行した後、試験手順制御部148は、ポンプ制御部146に第2のドローダウンを開始するコマンドを送信する。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、操作変数uの値をポンプ制御部146に送信し、空気圧ポンプ120に創傷114の陰圧を降下させる。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、所定のドローダウン動作に従って空気圧ポンプ120をドローダウンさせるコマンド(例えば、動作された変数uの値)をポンプ制御部146に送信する。いくつかの実施形態では、所定のドローダウン動作は、空気圧ポンプ120が、現在の電圧を仮定して所望の陰圧(例えば、p)を達成できない場合に、空気圧ポンプ120に供給する電圧を増加させることを含む。いくつかの実施形態では、空気圧ポンプ120の電圧上昇は、所定の/既知の時間間隔で実行される。
【0082】
第1のドローダウン期間604と同様に、試験手順制御部148は、操作変数uの値をポンプ制御部146に送信して、第2のドローダウン期間610にわたって空気圧ポンプ120を様々なドローダウンレートでドローダウンさせることができる。いくつかの実施形態では、ドローダウンレートが速いと、ドローダウン時間パラメータαtimeの推定の正確性は低くなるが、有利にはドローダウン時間パラメータαtimeをより速く推定するために使用することができる。同様に、ドローダウンレートが遅いと、有利にもドローダウン時間パラメータαtimeのより正確な推定が可能となるが、いくつかの実施形態によれば、ドローダウン時間パラメータαtimeを推定するのに長い時間が必要となる。
【0083】
第2のドローダウン期間610の間、試験手順制御部148は、圧力監視部152を介して圧力センサ130、113から受信した性能変数yの値を監視し、性能変数yの値を所望の値/設定値rと比較する。いくつかの実施形態では、所望の値/設定値rは、空気圧ポンプ120が達成しようとしている創傷114における陰圧値(例えば、目標圧力値)である。例えば、設定値rはpとすることができる。いくつかの実施形態では、設定値rはpよりも大きいか小さい。このようにして、第2のドローダウン期間610の目標圧力値は、第1のドローダウン期間604の目標圧力値と同じであってもよく、あるいは、それよりも大きくてもよく、あるいは、それよりも小さくてもよい。
【0084】
試験手順制御部148は、いくつかの実施形態によれば、性能変数yの値の監視を継続し、第2のドローダウン期間610の開始(例えば、t)からの経過時間を監視する。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、第2のドローダウン期間610の開始時(例えば、t)にリセットするように、又は第2のドローダウン期間610が開始する時刻を記憶する(例えば、tの値を記憶する)ように構成されたタイマーを含む。いくつかの実施形態では、タイマーは、弁132が閉鎖構成に移行し、空気圧ポンプ120が創傷114の圧力をドローダウンし始めた直後に、時間値をリセット又は記録する。
【0085】
いくつかの実施形態では、性能変数yの値が設定値rと実質的に等しくなると(例えば、等しい、無視できる量以内など)、試験手順制御部148のタイマーは時刻tを記録する。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、所望の陰圧値(例えば、r、p)を達成するために必要な時間(すなわち、t-t)を監視する。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、p又はrにドローダウンするまでに経過した時間を監視する。いくつかの実施形態では、経過時間Δtdrawdown=t-tである。いくつかの実施形態では、経過時間Δtdrawdownの量は、ドローダウン時間パラメータαtimeである。
【0086】
試験手順制御部148は、より詳細に上述したような試験手順を実行して、既知の創傷114の体積及び/又は既知のトレーニング回路体積に対するリークレートパラメータαleak及びドローダウン時間パラメータαtimeの値を判定することができる。例えば、試験手順制御部148は、既知の体積(例えば、50cc、100cc、200cc、300ccなど)を有する様々な複数のトレーニング回路に対して、試験手順を複数回実行することができる。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、既知の体積を有するトレーニング回路のそれぞれについて、試験手順を複数回実行するように構成される。いくつかの実施形態では、リークレートパラメータαleak及びドローダウン時間パラメータαtimeの結果の値は、ランダムエラーの量を軽減するために、トレーニング回路のそれぞれについて平均化される。例えば、試験手順は、50ccの既知の体積を有するトレーニング回路に対して10回実行することができ、リークレートパラメータαleak及びドローダウン時間パラメータαtimeは、ランダムエラーを低減するために平均化することができる。いくつかの実施形態では、試験手順は、異なる空気圧ポンプ120、療法圧力、トレーニング回路体積などを有する様々なNPWTシステムに対して実行される。いくつかの実施形態では、モデル生成部154は、以下でより詳細に説明する方法及び技術のいずれかを使用して、複数のトレーニング回路のそれぞれについてモデルを生成するように構成される。
【0087】
いくつかの実施形態では、トレーニング回路体積は、空気圧ポンプ120がドローダウンするように構成された様々なパイプ、キャニスタ、チューブなどの既知の体積値を含む。いくつかの実施形態では、トレーニング回路体積は、既知の創傷114の体積Vwoundを含む。いくつかの実施形態では、トレーニング回路体積は以下の通りである。
training=Vsystem+Vwound
ここで、Vsystemは、空気圧ポンプ120が内部(例えば、導管136、除去流体キャニスタ106、チューブ110、創傷ドレッシング112、及び/又は創傷114)に陰圧を発生させるように構成されている様々な管、パイプ、キャニスタなどの既知の体積であり、Vwoundは創傷114の既知の体積である。
【0088】
いくつかの実施形態では、試験手順は、様々なVwoundの値に対して複数回実行することができる。例えば、試験手順は、コントローラ118によって、Vwound=50cc、Vwound=100cc、Vwound=125ccなどの値に対して実行することができる。いくつかの実施形態では、試験手順は、Vwoundの各値に対して複数回実行され、Vwoundの特定の値に関連する平均パラメータ値を判定する。いくつかの実施形態では、Vsystemを一定に保ちながら、様々な値のVwoundについて試験手順を繰り返す。このようにして、トレーニング回路全体の体積Vtrainingの変化は、Vwoundの変化に起因する。また、試験手順は、複数のリークレートを持つVwoundの各値に対して複数回実行することができる。いくつかの実施形態では、試験手順制御部148は、試験手順を実行した結果のリークレートとVwoundの各組み合わせについて、リークレートパラメータαleakとドローダウン時間パラメータαtimeとをモデル生成部154に提供するように構成される。
【0089】
いくつかの実施形態では、コントローラ118は、Vsystemの異なる値を有する様々なシステムに対して試験手順を実行する。いくつかの実施形態では、コントローラ118は、様々なシステムのそれぞれについて、Vwoundの様々な値について、試験手順を複数回実行する。いくつかの実施形態では、モデル生成部154は、以下でより詳細に説明する方法及び技術のいずれかを使用して、様々なシステムのそれぞれに対するモデルを生成するように構成される。例えば、モデル生成部154は、NPWT中に使用され得る様々なトレーニング回路のモデルを生成することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、モデル生成部154は、Vwoundの既知の値に対して、記録された/判定されたパラメータ(すなわち、αleak及びαtime)をVwoundに関連付けるモデルを判定するように構成される。このモデルは、NPWT中に未知の創傷114の体積を判定するために使用することができる。モデル生成部154は、パラメータをVwoundの既知の値に関連付けるモデルを作成するために、多変数回帰を実行する(例えば、多変数多項式曲線カーブフィットを実行する、多変数線形回帰を実行する)、ニューラルネットワークの使用する、又はマトリクス/表を作成するように構成することができる。いくつかの実施形態では、モデル生成部154は、様々な値のVsystemに対するモデルを作成する。例えば、モデル生成部154は、NPWT中に使用され得る様々なNPWT回路に対応する、Vsystemの様々な典型的な値のそれぞれについて表を作成することができる。
【0091】
再び図5を参照すると、コントローラ118は、いくつかの実施形態によれば、モデル生成部154を含むように示されている。モデル生成部154は、動的圧力応答のパラメータと創傷114の体積との関係を定義するモデルを生成するように構成することができる。モデルを生成するために、モデル生成部154は、試験手順制御部148に、いくつかの異なる既知の体積(例えば、50cc、100cc、200cc、300ccなど)を有するいくつかの異なるトレーニング回路について上述した圧力試験手順を実行させることができる。既知の体積を持つトレーニング回路で圧力試験を行う場合、その圧力試験は、トレーニング手順と呼ばれることがある。トレーニング手順の各パフォーマンスは、既知の体積を有するトレーニング回路に圧力刺激を加えること、圧力刺激に対するトレーニング回路の動的圧力応答を観察すること(例えば、αleak及びαtimeを判定/測定すること)、及び既知の体積とトレーニング回路の動的圧力応答とを関連付けることを含むことができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、モデル生成部154は、既知の体積ごとに動的圧力応答のパラメータの値(すなわち、リークレートパラメータαleak及びドローダウン時間パラメータαtime)を記録し、それらの値を既知の体積と関連付ける。パラメータの値と既知の体積は、モデルを構築するために使用できるトレーニングデータのセットを形成する。パラメータの値は、モデルの入力トレーニングデータのセットを形成し、既知の体積は、モデルの出力トレーニングデータのセットを形成する。モデル生成部154は、様々なモデル生成技術のいずれかを使用して、パラメータの値をトレーニングデータのセット内の対応する体積に関連付けるモデル(すなわち、数学モデル)を構築することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、モデル生成部154は、Vsystemの各典型的な値(すなわち、典型的な陰圧創傷療法システム)について、n×mのマトリクスA(すなわち、モデル)を作成する。いくつかの実施形態では、マトリクスAは、リークレートパラメータ値αleak及びドローダウン時間パラメータ値αdrawdownを、パラメータに関連する既知の創傷体積値Vwoundに関連付ける。いくつかの実施形態では、マトリクスAは以下の形態を有する。
ここで、各列は、ドローダウン時間パラメータαtimeの異なる値に対応する創傷114の体積を表し、各行は、異なるリークレートパラメータαleakに対応する創傷114の異なる体積を表し、マトリクスの各要素は、αtime及びαleakの特定の組み合わせに対応するVwoundの体積を表す。いくつかの実施形態では、モデル生成部154は、各データセットが、特定の試験が実行されたVwoundの値と、試験の結果得られたαtime及びαleakの値とを含む様々なデータセットを受信するように構成される。いくつかの実施形態では、モデル生成部154は、試験の各反復からデータセットを受信し、データセットに基づいてマトリクスAを作成するように構成される。いくつかの実施形態では、マトリクスAは、αtimeの値(例えば、マトリクスAの列に関連付けられている)が左から右に向かって増加し、αleakの値(例えば、マトリクスAの行に関連付けられている)がマトリクスAの上から下に向かって増加するように作成(例えば、ソート、配列、生成、構築など)される。
【0094】
いくつかの実施形態では、モデル生成部154は、マトリクスAの行と列に対応するベクトルも生成する。いくつかの実施形態では、ベクトルは、関連する体積値の試験を通じて判定されたドローダウン時間パラメータαtime及びリークレートパラメータαleakの行ベクトル及び列ベクトルである。例えば、ドローダウン時間パラメータαtimeのベクトルは、いくつかの実施形態によれば、ベクトルCと呼ばれ、以下のような形態を有することができる。
C=[αtime,1 αtime,2...αtime,m
同様に、リークレートパラメータαleakのベクトルは、いくつかの実施形態によれば、ベクトルBと呼ばれることがあり、以下のような形態を有することができる。
B=[αleak,1 αleak,2...αleak,n
【0095】
いくつかの実施形態では、モデル生成部154は、試験手順制御部148から受信したデータセットに基づいて、図9に示すような表900を作成する。表900は、いくつかの実施形態による、水平/トップヘッダ902及び垂直/サイドヘッダ904を含む。いくつかの実施形態では、トップヘッダ902は、αtimeの様々な値を表し、Vwoundの様々な値に対応する列を表している。サイドヘッダ904は、αleakの様々な値を表し、行は、Vwoundの様々な値に対応する。いくつかの実施形態では、トップヘッダ902及びVwound値の対応する列は、αtimeの昇順でソートされ、αtimeの低い値が左に遠く、αtimeの高い値が右に遠くなる。同様に、サイドヘッダ904は、いくつかの実施形態によれば、αleakの昇順でソートされ、αleakの低い値がサイドヘッダ904の上部にあり、αleakの高い値がサイドヘッダ904の下部にある。
【0096】
いくつかの実施形態では、モデル生成部154は、Vwoundの値と、対応するαtime及びαleakパラメータに基づいて、多変数回帰を実行する。いくつかの実施形態では、モデル生成部154は、多変数線形回帰を実行して、以下の式を求める。
wound=Cαtime+Cαleak+C
ここで、C、C、及びCは、多変数線形回帰を行うことによって、モデル生成部154により判定される定数である。
【0097】
いくつかの実施形態では、モデル生成部154は、多変数非線形回帰を実行して、以下の式を求める。
wound=f(αtime)+f(αleak
ここで、fは、非線形多変数回帰を実行することによって判定されたαtimeの非線形関数であり、fは、非線形多変数回帰を行うことによって判定されたαleakの非線形関数である。いくつかの実施形態では、上記の式のいずれかが、以下の一般的な形態を有する。
wound=fwound(αtime,αleak
ここで、fwoundは、αleak及びαtimeとVwoundを関係付ける関数(線形、非線形など)である。いくつかの実施形態では、fwoundは、Vwoundの様々な値と、Vwoundの各値に対応するαtime及びαleakの関連値に対して多変数回帰を行うことによって判定される。
【0098】
いくつかの実施形態では、モデル生成部154は、多項式近似モデルを使用して、パラメータの値と対応する体積とを関連付けるfwoundを作成する。多項式近似モデルを生成するために、モデル生成部154は、様々な回帰技術のいずれかを使用して多項式回帰などのカーブフィッティング処理を行うことができる。モデル生成部154が使用できる回帰技術の例としては、最小二乗法、通常の最小二乗法、線形最小二乗法、部分最小二乗法、全体最小二乗法、一般化された最小二乗法、重み付き最小二乗法非線形最小二乗法、非負の最小二乗法、反復的に再重み付けされた最小二乗法、リッジ回帰、最小絶対偏差、ベイズ線形回帰、ベイズ多変量線形回帰などが挙げられる。
【0099】
いくつかの実施形態では、fwoundは、ニューラルネットワークを使用してモデル生成部154によって生成される。ニューラルネットワークモデルを生成するために、モデル生成部154は、機械学習プロセスを実行することができる。モデル生成部154が用いることができる機械学習技術の例としては、決定木学習、相関ルール学習、人工ニューラルネットワーク、深層学習、帰納論理プログラミング、サポートベクターマシン、クラスタリング、ベイジアンネットワーク、強化学習、表現学習、類似性・メトリック学習、スパース辞書学習、遺伝的アルゴリズム、ルールベースの機械学習などが挙げられる。
【0100】
更に図5を参照すると、コントローラ118は、いくつかの実施形態による創傷体積推定部156を含むように示されている。いくつかの実施形態では、創傷体積推定部156は、マトリクスA及び関連するベクトルB及びC、表900、及び/又はモデル生成部154によって判定された数学モデル(例えば、fwound)のいずれかを備える。いくつかの実施形態では、創傷体積推定部156は、未知の創傷体積に対して、図6を参照してより詳細に上述したような試験手順を試験手順制御部148に実行させるように構成される。いくつかの実施形態では、創傷体積推定部156は、試験手順を実行するように構成されている。例えば、創傷体積推定部156は、試験手順制御部148の機能のいずれかを実行する(例えば、第1のドローダウン期間604を実行する、弁132を動作させること、空気圧ポンプ120を制御する、など)ように構成され得る。いくつかの実施形態では、創傷体積推定部156は、αtime及びαleakの値を判定するか、又は、αtime及びαleakの判定された値を試験手順制御部148から受信する。いくつかの実施形態では、創傷体積推定部156は、生成され、モデル生成部154から受信した数学的モデル(例えば、fwound)、マトリクスA、表900などのいずれかを使用して、の未知の値の推定値を判定する。いくつかの実施形態では、創傷体積推定部156が表900及び/又はマトリクスAを使用し、αtime及びαleakの値の一方又は両方が、ベクトルB及びC又は表900に記憶されているαtime及びαleakの値に対応しない場合、創傷体積推定部156は、Vwoundを判定するために、補間を実行するように構成される。
【0101】
いくつかの実施形態で創傷体積推定部156は、表900を使用して、未知の体積を有する創傷114に試験手順を実行した結果、判定されたパラメータαtime及びαleakに基づいて、未知の値Vwoundを判定する。いくつかの実施形態では、創傷体積推定部156は、まず、サイドヘッダ904のαleakの値のいずれかが、未知の値のVwoundを有する創傷114に試験手順を実行することにより判定されるαleakの値と実質的に等しいかどうかを判定するために、サイドヘッダ904の値を確認する。例えば、創傷体積推定部156が、αleakがサイドヘッダ904のαleak,2に実質的に等しいと判定した場合、創傷体積推定部156は、Vwoundの値がαleak,2に対応する行のVの値のうちの1つであると判定する。次に、創傷体積推定部156は、トップヘッダ902におけるαtimeの様々な値を、創傷114に試験手順を実行することにより判定されるαtimeの値と比較することができる。例えば、創傷体積推定部156が、αtimeがαtime,5に実質的に等しく、αleakがαleak,2に実質的に等しいと判定した場合、創傷体積推定部156は、創傷114の体積がV2,5に実質的に等しいと判定することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、創傷体積推定部156が、αleak及び/又はαtimeがそれぞれサイドヘッダ904及びトップヘッダ902の値に対応していないと判定した場合、創傷体積推定部156は、創傷114の体積を判定するために、補間又は外挿を実行することができる。いくつかの実施形態では、創傷体積推定部156は、創傷114の体積を判定するために、多変数線形補間(又は外挿)で表900の値のいずれかを使用する。いくつかの実施形態では、創傷体積推定部156は、創傷114の体積を判定するために非線形補間を実行する。
【0103】
創傷体積推定部156は、同様に、マトリクスAとベクトルB及びCを使用して、創傷114の体積を判定するように構成することができる。例えば、創傷体積推定部156は、αtimeの値をベクトルCの要素の値と比較してマトリクスAの列値を判定し、αleakの値をベクトルBの要素の値と比較してマトリクスAの行値を判定することができる。例えば、αtimeがベクトルCの第5の要素に等しく、αleakがベクトルCの第10の要素に等しい場合、創傷体積推定部156は、創傷114のVwoundとしてA(10,5)又はV10,5を選択することができる。同様に、創傷体積推定部156は、ベクトルB及びベクトルCに含まれないαtime及び/又はαleakの値に関連するVwoundの値を判定するために、マトリクスAの値を補間又は外挿するように構成することができる。いくつかの実施形態では、創傷体積推定部156は、線形多変数補間技術又は非線形補間技術を使用するように構成される。
【0104】
いくつかの実施形態では、創傷体積推定部156は、線形回帰式(例えば、Vwound=Cαtime+Cαleak+C)、非線形回帰式(例えば、Vwound=f(αtime)+f(αleak))、又は既知の体積について試験手順制御部148から受信したデータを使用して、より詳細に上述した方法のいずれかを使用して判定される(例えば、機械学習アルゴリズムを使用して生成される、多項式カーブフィットを使用して生成される、線形回帰を使用して生成される数学モデル(例えば、一般に、Vwound=fwound(αtime,αleak)と呼ばれる)のいずれかを使用するように構成される。例えば、創傷体積推定部156は、創傷114の体積Vwoundを判定するために、αleak及びαtimeの判定された値(例えば、未知の体積を有する創傷114に対して試験手順を実行した結果得られたパラメータ)をfwoundに入力することができる。いくつかの実施形態では、創傷体積推定部156は、空気圧ポンプ120がドローダウンするように構成された回路の体積(例えば、Vsystem)に基づいて、適切なモデル(例えば、適切な表900、適切なマトリクスA、適切なfwound)を選択するように構成される。例えば、創傷体積推定部156は、類似の体積を有するシステムの試験手順から生成された適切なfwoundモデルを、様々なfwoundモデルのデータベースから選択することができる。
【0105】
有利なことに、Vwoundを判定するためにαtimeとαleakの両方を使用することで、いくつかの実施形態によれば、創傷114の内側体積160に空気が漏れることによるαtimeの不正確さ又は偏差を低減することができる。例えば、体積Vwoundを有する創傷でリークレートが高い(例えば、αleakの値が高い)創傷適用例は、同じ体積Vwoundを有するがリークレートが低い(例えば、αleakの値が低い)創傷と比較して、αtimeの値が高くなることがある。αtime及びαleakの両方を考慮することにより、モデル生成部154及び創傷体積推定部156は、特定の創傷に対する漏出の程度を考慮し、漏出レートが高いか、又は低いか(例えば、αleakの値が高いか、又は低いか)にかかわらず、Vwoundを正確に判定することができる。
【0106】
フロー図
ここで、図10図11を参照すると、例示的な実施形態による、創傷体積推定値の適用を示すグラフ1000及びプロセス1100が示されている。コントローラ118は、推定創傷体積を使用して、創傷114に送出する点滴液105の体積を算出することができる(ステップ1102)。いくつかの実施形態では、コントローラ118は、推定創傷体積に流体点滴係数を乗じることによって、創傷114に送出する点滴液105の体積を算出する。流体点滴係数は、点滴液105の算出された体積が創傷114の体積よりも小さくなるように、1未満(すなわち、ゼロ~1)であり得る。いくつかの実施形態では、流体点滴係数は、約0.2~約0.8である。しかし、流体点滴係数は、様々な代替の実施形態において任意の値を有し得ることが考えられる。
【0107】
グラフ1000において、線1002は、時間の関数としての創傷114の推定体積を表し、一方、線1004は、創傷114に送出する点滴液105の算出された体積を経時的に表している。時刻tにおいて、創傷114の推定体積はVである。時刻tにおける推定創傷体積Vに流体点滴係数F(例えば、F=0.8)を乗じて、時刻tにおいて創傷114に送出する点滴液105の体積Vを算出することができる(すなわち、V*F=V)。創傷114が治癒するにつれて、創傷114の推定体積は減少し、時刻tにおいてVの値に達する。時刻tにおける推定創傷体積Vに流体点滴係数Fを乗じて、時刻tにおいて創傷114に送出する点滴液105の体積Vを算出することができる(すなわち、V*F=V)。
【0108】
次いで、コントローラ118は、算出された体積の点滴液105を創傷114に送出するようにポンプを動作させることができる(ステップ1104)。ステップ1104は、点滴液キャニスタ104から点滴液105を引き出し、チューブ109及び108を介して点滴液105を創傷114に送出するために、点滴ポンプ122を動作させることを含むことができる。いくつかの実施形態では、点滴液105の算出された体積は、空気圧ポンプ120の動作を制御するためにも使用される。例えば、コントローラ118は、チューブ110を介して創傷114から、ある体積の点滴液105を除去するために、空気圧ポンプ120を動作させることができる。空気圧ポンプ120が動作する時間は、創傷114に送出された点滴液105の体積の関数であってもよい。
【0109】
ここで図12A図12Bを参照すると、いくつかの実施形態に従って、1つ以上のパラメータ(例えば、αleak及びαtime)を創傷体積(例えば、Vwound)に関連付けるモデル(例えば、fwound)を生成するためのプロセス1200が示されている。いくつかの実施形態では、コントローラ118は、プロセス1200を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセス1200は、コントローラ118及び/又はNPWTシステム100の様々な構成要素によって実行される。いくつかの実施形態では、プロセス1200は、コントローラ118がfwoundを判定するために実行することができる様々なステップを示す。いくつかの実施形態では、プロセス1200は、図5図7を参照してより詳細に上述した試験手順である。プロセス1200は、いくつかの実施形態によれば、ステップ1202~1226を含む。
【0110】
プロセス1200は、いくつかの実施形態によれば、既知の創傷体積Vwoundに対して既知の体積Vsystemを有する陰圧回路(negative pressure circuit、NPC)を提供することを含む(ステップ1202)。いくつかの実施形態では、既知の創傷にNPC回路を提供することは、創傷114上の患者の皮膚116に創傷ドレッシング112を提供することにより、NPC回路を設定することを含む。いくつかの実施形態では、Vwoundは、創傷114の既知の体積である。例えば、ステップ1202は、試験創傷(例えば、既知の体積Vwoundを有する創傷114)に対してNPWTを実行するNPWTシステム100(例えば、既知のVsystemを有する)を構成することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ステップ1202は、NPWTシステム100を設定し、療法装置102を開始することを含む。
【0111】
プロセス1200は、いくつかの実施形態によれば、既知の創傷体積Vwoundでpを達成するために、創傷114で陰圧をドローダウンするようにポンプを動作させることを含む(ステップ1204)。いくつかの実施形態では、ステップ1204は、第1のドローダウン期間604である。いくつかの実施形態では、ポンプは、空気圧ポンプ120である。いくつかの実施形態では、ステップ1204は、第1のドローダウン期間604の機能、技術、ステップなどのいずれかを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1204は、試験手順制御部148によって実行される。いくつかの実施形態では、pは200mmHgである。いくつかの実施形態では、ステップ1204は、試験手順制御部148及びポンプ制御部146によって実行される。空気圧ポンプ120は、いくつかの実施形態によれば、創傷114に陰圧を発生させるように構成される。いくつかの実施形態では、ステップ1204は、試験手順制御部148が、圧力センサ130、113を介して創傷114での圧力測定値を監視することと、測定/監視された圧力がpに実質的に等しくなるまで、空気圧ポンプ120に陰圧をドローダウンさせることを継続することとを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1204は、弁制御部によっても実行される。いくつかの実施形態では、ステップ1204は、弁制御部150が、空気圧ポンプ120が創傷114の陰圧をドローダウンすることができるように閉鎖構成に弁132を移行させる制御信号を弁132に送信することを含む。
【0112】
プロセス1200は、いくつかの実施形態によれば、所定の期間Δtleakにわたって、既知の体積Vwoundの圧力値を記録することを含む(ステップ1206)。いくつかの実施形態では、ステップ1206は、リークレート判定期間606である。いくつかの実施形態では、コントローラ118は、ステップ1206を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、ステップ1206は、試験手順制御部148によって実行される。例えば、試験手順制御部148は、ステップ1206を実行するために、期間Δtleakにわたって(例えば、図6に示すようにt-t)、圧力センサ130/113から圧力測定値を受信するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ステップ1206は、創傷114の陰圧(例えば、真空圧)の複数の圧力値を記録することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1206は、期間Δtleakの開始時に創傷114の初期圧力値(例えば、p)を記録することと、期間Δtleakの終了時に最終圧力値(例えば、p)を記録することとを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1206は、試験手順制御部148及び圧力監視部152によって実行される。
【0113】
プロセス1200は、いくつかの実施形態によれば、創傷114を大気圧まで排気することを含む(ステップ1208)。いくつかの実施形態において、ステップ1208は、ステップ1210の後に実行される。いくつかの実施形態では、ステップ1208とステップ1210が同時に実行される。いくつかの実施形態では、ステップ1208は、試験手順制御部148及び弁制御部150によって実行される。例えば、ステップ1208は、試験手順制御部148が、弁制御部150に、創傷114が大気圧に戻ることができるように弁132を開放構成に移行させるコマンドを送信することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ステップ1208は、試験手順制御部、弁制御部150、及び弁132によって実行される。いくつかの実施形態では、ステップ1208は、ベント期間608である。
【0114】
プロセス1200は、いくつかの実施形態によれば、ステップ1206中に記録された創傷114の圧力値に基づいて、Vwoundのリークレートパラメータαleakを判定することを含む(ステップ1210)。いくつかの実施形態では、ステップ1210は、試験手順制御部148によって実行される。いくつかの実施形態では、αleakは、時間間隔Δtleakの初期圧力値と最終圧力値の差である。いくつかの実施形態では、αleakは傾き612である。いくつかの実施形態では、
である。
【0115】
プロセス1200は、いくつかの実施形態によれば、ステップ1202~1210を繰り返す(ステップ1212)ことを含む。いくつかの実施形態では、コントローラ118及び/又はNPWTシステム100は、αleakの平均値を判定し、ランダムエラーを最小化するために、ステップ1202~1210をX回繰り返す。いくつかの実施形態では、ステップ1212は任意である。
【0116】
プロセス1200は、いくつかの実施形態によれば、pを達成するために、創傷114の陰圧をドローダウンするようにポンプ(例えば、空気圧ポンプ120)を動作させることを含む(ステップ1214)。いくつかの実施形態では、ステップ1214は、第2のドローダウン期間610である。いくつかの実施形態では、ステップ1214は、試験手順制御部148、ポンプ制御部146、及び空気圧ポンプ120によって実行される。いくつかの実施形態では、圧力は、圧力pまでドローダウンされる。いくつかの実施形態では、圧力pよりも大きい又は小さい圧力までドローダウンされる。
【0117】
プロセス1200は、いくつかの実施形態によれば、創傷114に対してpを達成するための持続時間Δtdrawdownをαtimeとして記録することを含む(ステップ1216)。いくつかの実施形態では、持続時間Δtdrawdownは時間間隔614である。いくつかの実施形態では、αtimeは、圧力pを達成するために空気圧ポンプ120が動作しなければならない時間である。いくつかの実施形態では、ステップ1216は、試験手順制御部148によって実行される。
【0118】
プロセス1200は、いくつかの実施形態によれば、αtimeの平均値を判定するために、ステップ1214~1216をY回繰り返す(ステップ1218)ことを含む。いくつかの実施形態では、αtimeのランダムエラーの量を低減するために、ステップ1214~1216を繰り返す。いくつかの実施形態では、ステップ1218は任意である。
【0119】
プロセス1200は、いくつかの実施形態によれば、Vwoundの値に関連するリークレートパラメータαleak及びドローダウン時間パラメータVwoundをデータセットに記録することを含む(ステップ1220)。いくつかの実施形態では、ステップ1220は、試験手順制御部148によって実行される。いくつかの実施形態では、ステップ1220は、マトリクスN=[αtime αleakwound]を生成し、マトリクスNをモデル生成部154に提供することを含む。いくつかの実施形態では、マトリクスNが記憶され、ステップ1202~1220を追加して実行することにより、マトリクスNの追加の行が定義される。
【0120】
プロセス1200は、いくつかの実施形態によれば、Vwound、αleak、及びαtimeの様々な値についてステップ1202~1220を繰り返すことを含む(ステップ1222)。いくつかの実施形態では、ステップ1202~1220の各追加の反復は、マトリクスNの追加の行をもたらす。いくつかの実施形態では、ステップ1202~1220は、十分な量の試験データがマトリクスNに記録されるまで実行される。いくつかの実施形態では、ステップ1202~1220は、典型的である様々なVwoundの値、及びNPWTの実施中に遭遇し得る様々な漏出αleakに対して実行される。
【0121】
プロセス1200は、いくつかの実施形態によれば、記録されたデータセット(例えば、マトリクスN)に基づいて、Vsystemの現在の値に対して、Vwoundをαleak及びαtimeに関連付けるモデル(例えば、fwound)を生成することを含む(ステップ1224)。いくつかの実施形態では、ステップ1224は、モデル生成部154によって実行される。いくつかの実施形態では、ステップ1224は、記録されたデータセット(例えば、マトリクスN)をモデル生成部154に提供することを含む。いくつかの実施形態では、生成されたモデルは、マトリクスA、表900、fwoundなどである。いくつかの実施形態では、ステップ1224は、fwoundを判定するために、回帰、カーブフィッティング手法、機械学習アルゴリズムなどのいずれかを実行することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1224は、マトリクスA又は表900を生成するためにマトリクスNを配列すること、ソートすること、などを含む。いくつかの実施形態では、Vsystemの複数の値のそれぞれについてモデルが生成される。いくつかの実施形態では、ステップ1224は、生成されたモデルを創傷体積推定部156に提供することを含む。
【0122】
プロセス1200は、いくつかの実施形態によれば、Vsystemの様々な値のそれぞれについて、αleak及びαtimeをVwoundに関連付けるモデルを判定するために、Vsystemの様々な値についてステップ1202~1224を繰り返す(ステップ1226)ことを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1226は、様々なNPWTシステムに対してステップ1204~1224を実行することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1226は、コントローラ118及び試験技術者によって実行される(例えば、ステップ1202は、現在のNPWTシステムを、異なるVsystemを有する異なるシステムと交換することを含んでもよい)。
【0123】
ここで図13を参照すると、いくつかの実施形態に従って、創傷114の体積Vwoundを判定するためのプロセス1300(すなわち、創傷114の体積が不明である場合)が示されている。プロセス1300は、モデル生成部154によってプロセス1200で生成されたモデル(単数又は複数)に依存してもよい。いくつかの実施形態では、創傷114の体積を判定するために、NPWT中、プロセス1300を断続的に実行することができる。プロセス1300は、コントローラ118によって実行することができる。プロセス1300は、いくつかの実施形態によれば、ステップ1302~1308を含む。
【0124】
プロセス1300は、いくつかの実施形態によれば、Vwoundの未知の値に対するリークレートパラメータαleakを判定するために、プロセス1200のステップ1202~1210を実行することを含む(ステップ1302)。いくつかの実施形態では、ステップ1302は、コントローラ118によって実行される。
【0125】
プロセス1300は、いくつかの実施形態によれば、Vwound(ステップ1304)の未知の値に対するドローダウン時間パラメータαtime(ステップ1304)を判定するために、ステップ1214~1216を実行することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1304は、コントローラ118によって実行される。
【0126】
プロセス1300は、いくつかの実施形態によれば、プロセス1200においてモデル生成部154によって生成されたモデルに、αleak及びαtimeを入力することを含む(ステップ1306)。いくつかの実施形態では、ステップ1306は、Vwoundを判定するために、Vsystemを有する現在のNPWTシステムについて、αleak及びαtimeをfwoundに入力することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1306は、創傷体積推定部156によって実行される。いくつかの実施形態では、ステップ1306は、αleak及びαtimeに基づいて、表900及び/又はマトリクスA内のVwoundの値をルックアップすることを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1306は、αleakがサイドヘッダ904及び/又はベクトルBの値のいずれとも一致しない場合、あるいはαtimeがトップヘッダ902及び/又はベクトルCの値のいずれとも一致しない場合には、Vwoundの値を判定するために補間又は外挿することを含む。
【0127】
プロセス1300は、いくつかの実施形態による、ステップ1306の判定されたVwoundに基づいて、点滴液体積を判定することを含む(ステップ1308)。いくつかの実施形態では、ステップ1308は、コントローラ118によって実行される。いくつかの実施形態では、ステップ1308は、プロセス1100のステップ1101である。
【0128】
ここで図14を参照すると、いくつかの実施形態による、療法装置102を動作させるためのプロセス1400が示されている。プロセス1400は、コントローラ118、通信インターフェース124、及びユーザインターフェース126によって実行することができる。いくつかの実施形態では、プロセス1400は、創傷(例えば、創傷114)の体積を判定するプロセスである。
【0129】
プロセス1400は、いくつかの実施形態によれば、療法装置102の起動で開始される(ステップ1402)。いくつかの実施形態では、療法装置102が起動した後、プロセス1200はステップ1404に進む。ステップ1404において、コントローラ118は、療法装置102を充填アシストモード、手動体積移動、又は自動体積判定モードに移行させるコマンドをユーザから受信することができる。いくつかの実施形態では、コマンドは、ユーザインターフェース126を介して受信される。ユーザが、療法装置102を充填アシストモードに移行させるコマンドを送信した場合、療法装置102は、充填アシストモードに移行し、プロセス1400は、いくつかの実施形態によれば、ステップ1420に進む。ユーザが、療法装置102を手動体積入力モードに移行させるコマンドを送信した場合、いくつかの実施形態によれば、プロセス1400はステップ1426に進む。ユーザが、療法装置102を自動体積検出モードに移行させるコマンドを送信した場合、いくつかの実施形態によれば、プロセス1400はステップ1406に進む。
【0130】
プロセス1400は、いくつかの実施形態によれば、リークレートパラメータαleak及びドローダウン時間パラメータαtimeを判定するために試験手順を実行することを含む(ステップ1406)。いくつかの実施形態では、試験手順は、図6を参照してより詳細に上述した試験手順である。いくつかの実施形態では、試験手順は、プロセス1300である。いくつかの実施形態では、ステップ1406は、コントローラ118及び/又は試験手順制御部148によって実行される。
【0131】
プロセス1400は、いくつかの実施形態によれば、リークレートパラメータαleak及びドローダウン時間パラメータαtimeに基づいてVwoundを推定することを含む(ステップ1408)。いくつかの実施形態では、ステップ1408は、モデル生成部154によって生成されたモデルを使用して創傷体積推定部156によって実行される。いくつかの実施形態では、モデルfwound、又は表900、又はマトリクスA(並びに、ベクトルB及びC)は、様々なVsystemの値についてコントローラ118のメモリ144にプリロードされる。いくつかの実施形態では、ステップ1408は、プロセス1300のステップ1306である。いくつかの実施形態では、ステップ1408は、Vwoundを判定するために、リークレートパラメータαleak及びドローダウン時間パラメータαtimeを(より詳細に上述したモデル生成部154によって生成されるような)モデルに入力することを含む。
【0132】
プロセス1400は、いくつかの実施形態によれば、ユーザインターフェース126を介して、ステップ1408で判定されたVwoundの値を表示することを含む(ステップ1410)。いくつかの実施形態では、ステップ1408を完了したことに応答して、Vwoundの値がユーザインターフェース126を介して表示される。いくつかの実施形態では、Vwoundの値は、Vwoundの値を許容するか又は拒絶するかのユーザからの確認に加えて、ユーザインターフェース126を介して表示される。
【0133】
プロセス1400は、いくつかの実施形態によれば、ユーザがステップ1408で判定されたVwoundの値を許容したかどうかを判定する(例えば、入力を受信する)ことを含む(ステップ1412)。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース126を介して、Vwoundの値の確認を求める要求が表示される。いくつかの実施形態では、コントローラ118は、ユーザがVwoundの値を許容したかどうかを示すコマンド(例えば、YES又はNOのコマンド)をユーザから受信する。コントローラ118が、ユーザがVwoundの値を許容したことを示すコマンドをユーザから受信した場合(YES)、いくつかの実施形態によれば、プロセス1400は、ステップ1414に進む。コントローラ118が、ユーザがVwoundの値を拒絶したことを示すコマンドをユーザから受信した場合(NO)、プロセス1400は、ステップ1416に進む。
【0134】
プロセス1400は、いくつかの実施形態によれば、点滴体積に等しいVwoundの値を設定することを含む(ステップ1414)。いくつかの実施形態では、ステップ1414は、コントローラ118によって実行される。いくつかの実施形態では、ステップ1414は、Vwoundの値に基づいて、点滴体積(例えば、創傷114に提供される点滴液105の体積)を判定することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1414は、プロセス1100を実行することを含む。いくつかの実施形態では、プロセス1400は、ステップ1414を完了したことに応答して終了する(ステップ1428)。
【0135】
コントローラ118が、ユーザがVwoundの値を拒絶したというコマンドをユーザインターフェース126を介して受信した場合(NO、ステップ1412)、いくつかの実施形態によれば、プロセス1400はステップ1416に進む。いくつかの実施形態では、ステップ1416は、自動体積推定(すなわち、ステップ1406~1410)を再度実行すべきかどうかの入力を、ユーザインターフェース126を介してユーザに要求することを含む。いくつかの実施形態では、コントローラ118が、ユーザインターフェース126を介してユーザから自動体積推定を再実行するコマンドを受信した場合、プロセス1400はステップ1406に戻る。コントローラ118が、ユーザインターフェース126を介してユーザから、自動体積推定を再び実行すべきでないことを示すコマンドを受信した場合、いくつかの実施形態によれば、プロセス1400はステップ1418に進む。
【0136】
プロセス1400は、いくつかの実施形態によれば、充填アシストモードに移行するか否かの入力をユーザに要求することを含む(ステップ1418)。いくつかの実施形態では、ステップ1418は、ユーザインターフェース126を介してユーザに要求を提供することを含む。いくつかの実施形態では、コントローラ118が、ユーザインターフェース126を介してユーザから充填アシストを実行するコマンドを受信した場合(YES、ステップ1418)、プロセス1400はステップ1420に進む。いくつかの実施形態では、コントローラ118が、ユーザインターフェース126を介してユーザから、充填アシスト動作を実行すべきではないというコマンドを受信すると(NO、ステップ1418)、プロセス1400はステップ1424に進む。
【0137】
プロセス1400は、いくつかの実施形態によれば、充填アシスト動作を実行することを含む(ステップ1420)。いくつかの実施形態では、充填アシスト動作は、コントローラ118及び点滴ポンプ122によって実行される。いくつかの実施形態では、充填アシスト動作は、ユーザが、手動で点滴ポンプ122を動作させることによって創傷114に提供されるべき点滴液105の量を手動で指示することを含む。コントローラ118は、(ユーザによって制御される)充填アシスト動作中に、点滴ポンプ122によって創傷114に加えられた点滴液105の量を測定するように構成され、充填アシスト動作中に創傷114に加えられた注入液の量に基づいて、Vwoundを判定することができる(ステップ1422)。いくつかの実施形態では、充填アシスト動作を完了したことに応答して、プロセス1400はステップ1428に進む。
【0138】
コントローラ118が、ユーザインターフェース126を介して、充填アシスト動作を実行すべきではないというコマンドを受信した場合(ステップ1418、NO)、いくつかの実施形態によれば、プロセス1400はステップ1424に進む。ステップ1424において、コントローラ118は、いくつかの実施形態によれば、ユーザインターフェース126を介して、手動体積入力を受信する。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース126を介して手動体積入力を受信したことに応答して、プロセス1400はステップ1426に進む。ステップ1426で、コントローラ118は、手動で入力された体積(例えば、手動で入力されたVwound)を、点滴液体積として設定する。いくつかの実施形態では、手動で入力された体積が点滴液体積として設定された後、プロセス1400はステップ1428に進む。
【0139】
例示的な実施形態の構成
様々な例示的な実施形態に示されるシステム及び方法の構造及び構成は、単なる例示である。本開示では、いくつかの実施形態のみを詳細に記載してきたが、多くの修正形態(例えば、様々な要素におけるサイズ、寸法、構造、形状及び比率、パラメータの値、実装構成、材料の使用、色、配向などの変動)が可能である。例えば、要素の位置を反転させること、又は他の場合には変動させることができ、別個の要素の性質又は数あるいは位置を変更又は変動させることができる。したがって、全てのそのような修正形態は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。任意のプロセス又は方法ステップの順序又はシーケンスは、代替実施形態に従って変動させる又は並び変えることができる。例示的な実施形態の設計、動作条件及び構成において、本開示の範囲から逸脱することなく、他の置換、修正、変更及び省略を行うことができる。
【0140】
本開示は、様々な動作を達成するための任意の機械可読媒体上の方法、システム及びプログラム製品を企図している。本開示の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、あるいは、この若しくは別の目的のために組み込まれた適切なシステムのための専用コンピュータプロセッサによって、あるいは、ハードワイヤードシステムによって実装することができる。本開示の範囲に含まれる実施形態は、機械実行可能命令又はその上に記憶されたデータ構造を搬送する又は有する機械可読媒体を含むプログラム製品を含む。このような機械可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータによって、あるいはプロセッサを備える他の機械によってアクセスできる任意の利用可能な媒体であってもよい。例として、このような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置、あるいは、機械実行可能命令又はデータ構造の形態で所望のプログラムコードを搬送又は記憶するために使用でき、かつ、汎用又は専用のコンピュータ又はプロセッサを備える他のマシンによってアクセスできる任意の他の媒体を備えることができる。上記の組み合わせもまた、機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械実行可能命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は専用の処理マシンに、特定の機能又は機能群を実行させる命令及びデータを含む。
【0141】
図面は特定の順序の方法ステップを示しているが、ステップの順序は図示されているものと異なっていてもよい。また、2つ以上のステップを同時に、又は部分的に同時に実行することができる。そのような変形形態は、選択されたソフトウェアシステム及びハードウェアシステムに、かつ、設計者の選択に依存する。全てのこのような変形形態は、本開示の範囲に含まれる。同様に、ソフトウェア実装は、様々な接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ及び判定ステップを達成するために、ルールベース論理及び他の論理を用いた標準的なプログラミング技術で達成され得る。

図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷の体積を判定するためのシステムにおいて、当該システムが、
創傷に陰圧を印加するように構成された陰圧回路と、
前記陰圧回路に流体連結され、前記創傷で又は陰圧回路内に陰圧を発生させるように構成されたポンプと、
前記陰圧回路内又は前記創傷での陰圧を測定するように構成された圧力センサと、
コントローラであって、
前記創傷の体積の既知の値に対する試験手順を実行するステップであって、第1のドローダウン期間にわたって第1のドローダウンを実行すること、リークレート判定期間にわたってリークレート判定を実行すること、前記陰圧回路を排気すること、および第2のドローダウン期間にわたって第2のドローダウンを実行すること、を含む試験手順を実行するステップと、
リークレートパラメータを判定するために、前記リークレート判定期間にわたって前記圧力センサの1つ以上の圧力測定値を受信するステップと、
ドローダウンパラメータを判定するために、前記第2のドローダウン期間にわたって経過時間を監視するステップと、
前記創傷の体積の既知の値、前記リークレートパラメータ、および前記ドローダウンパラメータに基づくモデルを生成するステップであって、前記創傷の体積を前記リークレートパラメータおよび前記ドローダウンパラメータに関連付けるモデルを生成するステップと、
前記試験手順を実行するステップ、前記1つ以上の圧力測定値を受信するステップ、および前記経過時間を監視するステップを再び実行して、前記創傷の体積の未知の値に対するリークレートパラメータおよびドローダウンパラメータを判定するステップと、
前記創傷の体積の未知の値に関連するリークレートパラメータおよびドローダウンパラメータを前記モデルに入力することによって、前記創傷の体積の未知の値を推定するステップと、を実行するように構成されたコントローラと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記第1のドローダウン期間は、前記陰圧回路内で所定の陰圧を達成するために前記ポンプを動作させることを含み、
前記リークレート判定期間は、所定の持続時間にわたって前記所定の陰圧を維持し、前記所定の持続時間中に前記圧力センサから圧力測定値を受信することを含むことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記リークレートパラメータは、前記リークレート判定期間にわたる前記陰圧回路の圧力の変化であることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記リークレートパラメータは、前記リークレート判定期間の少なくとも一部の期間にわたる時間に対する前記陰圧回路の圧力の変化率であることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記前記陰圧回路を排気することが、前記陰圧回路の弁を開いて前記陰圧回路を大気圧に戻すことを含むことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記第2のドローダウンが、前記ポンプを動作させて、前記陰圧回路内に所定のドローダウンレートで陰圧を生成することを含むことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記ドローダウンパラメータは、前記陰圧回路内で所定の圧力値を達成するために、前記ポンプが前記所定のドローダウンレートで動作する時間であることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記モデルは、
前記創傷の体積の複数の既知の値に対して前記試験手順を実行して、前記リークレートパラメータおよび前記ドローダウンパラメータの複数の値を判定すること、および、
前記創傷の体積の複数の値と、前記リークレートパラメータおよび前記ドローダウンパラメータの複数の値とに対して回帰を実行すること、によって生成されることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記モデルが、前記リークレートパラメータおよび前記ドローダウンパラメータを前記創傷の体積に関連付けるルックアップテーブルを有することを特徴とするシステム。
【請求項10】
創傷療法装置において、
陰圧回路に流体連結され、創傷で又は前記陰圧回路内に陰圧を発生させるように構成されたポンプであって、前記陰圧回路が創傷に陰圧を印加するように構成されたものであるポンプと、
前記陰圧回路内又は前記創傷での陰圧を測定するように構成された圧力センサと、
コントローラであって、
前記陰圧回路内に陰圧を発生させるように前記ポンプを動作させ、
所定の期間にわたって前記圧力センサの1つ以上の圧力測定値を受信し、
前記所定の期間にわたって前記圧力センサから受信した1つ以上の前記圧力測定値に基づいて、漏出レートを決定し、
前記陰圧回路を大気圧まで排気し、
前記ポンプを動作させて、前記陰圧回路内の圧力を所定の速度で低下させ、
前記陰圧回路内で所定の圧力に達するまで、前記ポンプが所定の速度で動作した経過時間を監視し、
前記漏出レートおよび前記経過時間に基づいて、前記創傷の体積を推定する、ように構成されたコントローラと、
を備えることを特徴とする創傷療法装置。
【請求項11】
請求項10に記載の創傷療法装置において、前記コントローラが、さらに、前記創傷の体積を前記経過時間および前記漏出レートに関連付けるモデルに、前記経過時間および前記漏出レートを入力することによって、前記創傷の体積を推定するように構成されていることを特徴とする創傷療法装置。
【請求項12】
請求項11に記載の創傷療法装置において、
前記モデルは、
前記創傷の体積の複数の既知の値に対して試験手順を実行し、
前記創傷の体積の前記複数の既知の値と、前記創傷の前記体積の前記複数の既知の値のそれぞれに関連する漏出レートおよび経過時間とに基づいて、前記モデルを判定すること、
によって判定されることを特徴とする創傷療法装置
【請求項13】
請求項12に記載の創傷療法装置において、
前記試験手順が、
前記陰圧回路内に陰圧を発生させるように前記ポンプを動作させることと、
所定の期間にわたって前記圧力センサの1つ以上の圧力測定値を受信することと、
前記所定の期間にわたって前記圧力センサから受信した1つ以上の前記圧力測定値に基づいて、漏出レートを決定することと、
前記陰圧回路を大気圧まで排気することと、
前記ポンプを動作させて、前記陰圧回路内の圧力を所定の速度で低下させることと、
前記陰圧回路内で所定の圧力に達するまで、前記ポンプが所定の速度で動作した経過時間を監視することと、を含むことを特徴とする創傷療法装置。
【外国語明細書】