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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175895
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】床材
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20231205BHJP
   E04F 15/10 20060101ALI20231205BHJP
   E04F 15/18 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
E04F15/02 A
E04F15/10 104A
E04F15/18 602F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171471
(22)【出願日】2023-10-02
(62)【分割の表示】P 2023542642の分割
【原出願日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2022007940
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】塚本 貴之
(57)【要約】      (修正有)
【課題】衝撃吸収性と耐荷重性とに優れた床材を提供する。
【解決手段】床材1は、床上材13と、床上材の下方に設けられ、軟質材料で形成された床下地材11と、を備え、床下地材の厚みは、4mm以上15mm以下であり、床下地材のアスカーC硬度は、20以上60以下となっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床上材と、
前記床上材の下方に設けられ、軟質材料で形成された床下地材と、
を備え、
前記床下地材の厚みは、4mm以上15mm以下であり、
前記床下地材のアスカーC硬度は、20以上60以下である床材。
【請求項2】
前記床上材と前記床下地材との間に設けられた中間材を備える
請求項1に記載の床材。
【請求項3】
前記中間材は、無機フィラーを40質量%以上85質量%以下含む熱可塑性樹脂で形成されている
請求項2に記載の床材。
【請求項4】
前記無機フィラーが炭酸カルシウムを含む
請求項3に記載の床材。
【請求項5】
前記中間材の厚みは、3mm以上5mm以下である
請求項2に記載の床材。
【請求項6】
前記中間材の単位幅における曲げ剛性は、15Nm以上90Nm以下である
請求項2に記載の床材。
【請求項7】
使用者が転倒した時の大腿骨転子部に加わる圧力分布に基づく重さ及び形状の衝撃付与体を前記使用者の腰の高さに相当する所定の落下高さから落下させて、人体軟組織を模した材料で形成された緩衝材へ衝撃を付与したときに生じる基準衝撃荷重Fsが5600Nとなるように設定された条件において、前記衝撃付与体を前記落下高さから落下させて、前記緩衝材を介して前記床材へ衝撃を付与した時に生じる衝撃荷重Fが2000N以上4000N以下である
請求項1から6のいずれか1項に記載の床材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、床材に関し、特に転倒等による骨折のリスクを低減可能な床材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者の転倒骨折が社会問題化しており、高齢者が要介護となる要因の10%を転倒骨折が占めている。転倒による骨折箇所は年代によって大きく異なり、60歳代以降になると大腿骨骨折のリスクが急増している。大腿骨骨折は入院治療が必要となり、歩行できない状態が長期間続くため、骨量が減少して症状が深刻化し易く、要介護状態を招き易くなっている。また、転倒骨折は医療事故においても20%から25%を占め、幼稚園、保育園、認定こども園等の幼児保育関連施設においても全体の2割強を占めている。このため、転倒したときの衝撃を吸収することにより、骨折のリスクを低減させる床材が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。このような床材では、床材自体を発泡させたり、床材の裏面側に下地となる衝撃吸収用の発泡樹脂製シートを積層させたりする等、床材に軟質層を設けることで衝撃を吸収する機能を持たせている場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3600726号公報
【特許文献2】特許第5244927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような床材を病院等の施設の床材として用いた場合、床材上にベッド等の重量物が置かれたり、キャスター付きの重量物が床材上を移動する等の負荷がかかった際に床材が変形しやすく、耐荷重性に問題が生じやすい。また、転倒時にも転倒箇所の床材が過度に変形し、十分な衝撃吸収性が得られないこともある。
本開示は、このような問題に鑑みてなされたもので、耐荷重性と衝撃吸収性とに優れた床材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様に係る床材は、床上材と、床上材の下方に設けられ、軟質材料で形成された床下地材と、を備え、床下地材の厚みは、4mm以上15mm以下であり、床下地材のアスカーC硬度は、20以上60以下となっている。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、耐荷重性と衝撃吸収性とに優れた床材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示に係る床材の位置構成例を示す断面図である。
図2】衝撃吸収床材の評価に用いられる衝撃荷重測定装置を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本技術の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものである。また、本技術の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることが可能である。
【0009】
<床材の基本構成>
以下、図1を参照して、本開示に係る床材(以下、床材と称する)1について説明する。
床材1は、床上材11と、床上材11の下方(床材1の貼り付け面)に設けられた床下地材12と、床上材11及び床下地材12との間に設けられた中間材13とを備えている。床材1は、使用者、すなわち床材1上を歩行等する人の転倒による衝撃で生じる大腿骨の骨折を抑制する機能を有している。
【0010】
床上材11は、床材1の耐傷性、耐汚染性を向上させ、床材1に意匠性を付与するなどの表面機能を有する。
床下地材12は、使用者の転倒時の圧力を吸収して床材1の緩衝性を高める機能を有する。
【0011】
中間材13は、支持層として床上材11から床下地材12にかかる荷重を分散し、衝撃吸収性と耐荷重性とを向上させる役割を有している。
床材1は、床上材11と中間材13と床下地材12とがこの順で積層された構成とされることにより、歩行性を向上させつつ、転倒時の大腿骨骨折リスクを低減することができる。
【0012】
床材1の総厚は、7mm超22mm以下であることが好ましい。
床材1の総厚が7mm超であると、歩行者が、衝撃吸収、歩行感、耐久性のバランスをとりやすくなる。また、床材1の総厚が22mm以下である場合、床材1の非施工部との段差が大きくなりすぎるため施工上の問題が発生しやすい。
【0013】
<床材の衝撃吸収性の評価方法>
床材1の衝撃吸収性の評価方法を、図2を参照して説明する。床材の衝撃吸収性は、床材上で転倒時に大腿骨に加わる衝撃荷重を模擬的に測定した「衝撃荷重F」により評価する。衝撃荷重Fは、特開2020-76764号公報に記載の方法で測定される。
【0014】
図2に示すように、衝撃荷重測定装置100は、測定台110、衝撃付与体120、緩衝材130、荷重計測手段140を備える。
衝撃付与体120は、錘121と、打撃部122とを有する。錘121は模擬する転倒により大腿骨の転子部に加わる圧力分布に基づいた質量を有し、打撃部122は大腿骨の転子部に模擬した形状で形成されている。
緩衝材130は、人体軟組織に模擬した材料で形成されている。
【0015】
衝撃荷重Fは、測定台110と緩衝材130との間に評価床材140(評価したい床材と同一構成の床材)を配置させた状態で、模擬する転倒の高さに応じた所定の高さから衝撃付与体120を緩衝材130の上に落下させ、落下時に評価床材140に印加された荷重の最大値を荷重計測手段150で計測する。
床材1の衝撃荷重Fは、上述した測定方法において評価床材を用いず緩衝材のみに衝撃を付与したときに生じる基準衝撃荷重Fsが5600Nとなるように設定した条件(衝撃付与体の落下高さ)において、2000N以上4000N以下である。衝撃荷重Fが2000N未満である場合、床材1上を歩行時に歩行者がバランスを崩し転倒が生じる可能性が大きくなる。衝撃荷重が4000Nを超える場合、転倒による大腿骨骨折リスクが十分に抑制されない。
以下、床上材11、床下地材12及び中間材13について詳細に説明する。
【0016】
<床上材>
床上材11は、床材1の表面を構成する層であり、床下地材12と比較して硬質の材料で形成されている。
床上材11の厚さは5mm以下であることが好ましい。床上材11の厚さが5mm以下であることにより、床材1の重量が重くなりすぎず、施工時の負担を低減することができる。
このような床上材11は、例えば図1に示すように、基材層111と、絵柄層112と、保護層113とを備えていてもよい。なお、床上材11は、少なくとも基材層111を有していることが好ましい。
【0017】
(基材層)
基材層111は、合板等の木質基材、木粉とプラスチックスとを混合した複合基材、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、塩化ビニル(PVC)等の硬質性樹脂材料で形成されている。基材層111は、歩行感や弾力性を調整する機能を有しており、必要に応じて適宜設けられればよい。
【0018】
(絵柄層)
絵柄層112は、基材層111の中間材13と反対側の面に形成されている。
絵柄層112は、基材層111に付した、木目や幾何学模様等の絵柄のインキ層である。絵柄層112は、床材1に意匠性を付与するための層であり、必要に応じて適宜設けられればよい。
【0019】
(保護層)
保護層113は、絵柄層112の基材層111と反対側の面に形成されている。
保護層113は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、塩化ビニル(PVC)、アクリル樹脂等の樹脂材料で形成されている。床上材11が絵柄層112を有している場合、保護層113は、絵柄層112を床材1の表面に透過させる透明な樹脂材料で形成されている。保護層113は、耐薬品性、耐傷付き性、耐へこみ性等の耐久性を向上させるように表面を保護する機能を有しており、必要に応じて適宜設けられればよい。
【0020】
このような床上材11を設ける方法としては、例えば接着剤を用いて中間材13に積層する方法、中間材13の押出成形製造ラインにおいて熱ラミネートする方法などが挙げられる。
【0021】
<床下地材>
床下地材12は、床上材11の下方(床上材11の表面と反対側)に設けられている。床下地材12は、床上材11よりも軟質の材料で形成され、転倒時に適度に変形することにより床材1への衝撃を吸収する機能を有している。床下地材12は、化学発泡もしくは物理発泡、又は超臨界発泡等の方法により独立発泡や連続発泡等の発泡構造を有していてもよい。
【0022】
床下地材12は、例えばポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)等の樹脂等の軟質の熱可塑性樹脂で形成されていることが好ましい。
【0023】
また、床下地材12のアスカーC硬度は、20以上60以下となっている。
ここで、「アスカーC」とは、硬さを測定するための測定器であり、SRIS0101(日本ゴム協会標準規格)に規定されたデュロメータ(スプリング式硬度計)の一つである。すなわち、「アスカーC硬度」とは、上述したアスカーC硬度計で測定した値をいう。
【0024】
床下地材12のアスカーC硬度が20未満の場合、歩行や転倒における床下地材12の変形が過大となり、歩行性の悪化や緩衝効果の低下による転倒や骨折リスクの増大につながる。アスカーC硬度が60を超える場合、床下地材12の変形が不足し十分な緩衝効果が得られない。
【0025】
床下地材12の厚さは、4mm以上15mm以下である。厚さが4mm未満の場合、転倒時に十分な緩衝効果が得られない。厚さが15mmを超える場合、荷重による床材1の変形が大きくなり耐荷重性が低下するだけでなく、歩行時の沈み込みが大きくなり転倒リスクが増大する。
【0026】
<中間材>
中間材13は、支持層として床上材11から床下地材12にかかる荷重を分散することで、床材1の衝撃吸収性と耐荷重性を向上させる機能を有している。
中間材13は、熱可塑性樹脂で形成され、無機フィラーを含んでいる。また、中間材13は、軽量化の為に化学発泡もしくは物理発泡、又は超臨界発泡等の方法により独立発泡や連続発泡等の発泡構造を有していてもよい。
【0027】
中間材13は、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂基材等の硬質材料である熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、成形性と汎用性の観点からポリ塩化ビニル(PVC)を含むことが好ましい。
【0028】
中間材13は、無機フィラーを40質量%以上85質量%以下含んでいる。
中間材13における無機フィラーの含有量が40質量%未満の場合、中間材13の曲げ剛性が不足し床材1の衝撃吸収性が不足する。また、中間材13における無機フィラーの含有量が85質量%超の場合、中間材13が脆くなって、使用時の衝撃により破損する可能性が大きくなる。
【0029】
無機フィラーとしては、例えばタルク、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、炭素繊維、ガラス繊維などを用いることができるが、加工性に優れる汎用材料として炭酸カルシウムが好ましい。
【0030】
中間材13の単位幅における曲げ剛性は、15Nm以上90Nm以下である。
中間材13の単位幅における曲げ剛性が15Nm未満の場合、転倒時の局所的な衝撃に対する撓みが大きく荷重を分散できず、十分な衝撃吸収性が得られない。また、中間材13の単位幅における曲げ剛性が90Nmを上回る場合も、衝撃時の撓みが不足するため衝撃吸収性が不足しやすい。
【0031】
中間材13の厚みは、3mm以上5mm以下である。
中間材13の厚さが3mm未満の場合、転倒時の中間材の撓みが過大となり十分な衝撃分散効果が得られない。また、中間材13の厚さが5mmを超える場合、中間材13の撓みが不足するため衝撃分散効果が十分に得られず、何れの場合も床材1の衝撃吸収効果が不足しやすい。
【0032】
<本開示に係る床材の効果>
以上説明した本開示に係る床材では、以下の効果を有する。
(1)本開示に係る床材は、床上材と、床上材の下方に設けられ、軟質材料で形成された床下地材と、床上材と床下地材との間に設けられた中間材と、を備え、中間材は、無機フィラーを40質量%以上85質量%以下含む熱可塑性樹脂で形成されており、中間材の厚みは、3mm以上5mm以下であり、中間材の単位幅における曲げ剛性は、15Nm以上90Nm以下であり、床下地材の厚みは、4mm以上15mm以下であり、床下地材のアスカーC硬度は、20以上60以下となっている。
これにより、床材は、耐荷重性と衝撃吸収性に優れる。
【0033】
(2)本開示に係る床材では、無機フィラーが炭酸カルシウムを含んでいてもよい。
これにより、汎用性が高く、加工性に優れるため、床材を形成しやすくなる。
【0034】
(3)本開示に係る床材は、使用者が転倒した時の大腿骨転子部に加わる圧力分布に基づく重さ及び形状の衝撃付与体を前記使用者の腰の高さに相当する所定の落下高さから落下させて、人体軟組織を模した材料で形成された緩衝材へ衝撃を付与したときに生じる基準衝撃荷重Fsが5600Nとなるように設定された条件において、前記衝撃付与体を前記落下高さから落下させて、前記緩衝材を介して前記床材へ衝撃を付与した時に生じる衝撃荷重Fが2000N以上4000N以下であることが好ましい。
これにより、歩行時にバランスを崩し転倒が生じる可能性が低くなり、また、歩行者の転倒による大腿骨骨折リスクが十分に抑制される。
【実施例0035】
以下、本開示に係る床材を実施例により説明する。なお、本開示に係る床材は、これら実施例に限定されない。
【0036】
<実施例1>
床下地材(ポリエチレン樹脂発泡体、寸法600mm×600mm×厚さ7mm、アスカーC硬度40)に、接着剤を用い、中間材(ポリ塩化ビニル樹脂板、炭酸カルシウム含有率80質量%、寸法600mm×600mm×厚さ3mm、曲げ剛性20Nm)および床上材(ポリ塩化ビニル樹脂シート、寸法600mm×600mm×厚さ2mm)を積層し実施例1の床材を形成した。
【0037】
<実施例2>
中間材の厚みを4mm、曲げ剛性を40Nmとした以外は実施例1と同様にして実施例2の床材を形成した。
【0038】
<実施例3>
床下地材の厚みを5mmとした以外は実施例2と同様にして実施例3の床材を形成した。
【0039】
<実施例4>
中間材の無機フィラーを炭酸カルシウムから硫酸バリウムに置き換えた以外は実施例2と同様にして実施例4の床材を形成した。
【0040】
<実施例5>
中間材の硫酸バリウムの含有量を85%、中間材の曲げ剛性を50Nmとした以外は実施例4と同様にして実施例5の床材を形成した。
【0041】
<実施例6>
中間材の厚みを5mm、曲げ剛性を85Nmとした以外は実施例1と同様にして実施例6の床材を形成した。
【0042】
<実施例7>
下地材のアスカーC硬度を55をとした以外は実施例2と同様にして実施例7の床材を形成した。
【0043】
<実施例8>
下地材のアスカーC硬度を22をとした以外は実施例2と同様にして実施例8の床材を形成した。
【0044】
<実施例9>
下地材の厚みを15mmとした以外は実施例2と同様にして実施例9の床材を形成した。
【0045】
<実施例10>
中間材の炭酸カルシウム含量を45%、曲げ剛性を15Nmとした以外は実施例2と同様にして実施例10の床材を形成した。
【0046】
<比較例1>
中間材の厚みを2mm、曲げ剛性を5Nmとした以外は実施例2と同様にして比較例1の床材を形成した。
【0047】
<比較例2>
中間材の厚みを6mm、曲げ剛性を140Nmとした以外は実施例2と同様にして比較例2の床材を形成した。
【0048】
<比較例3>
中間材の硫酸バリウム含量を87%、曲げ剛性を55Nmとした以外は実施例4と同様にして比較例3の床材を形成した。
【0049】
<比較例4>
中間材の無機フィラーを炭酸カルシウムから硫酸バリウムに置き換え、炭酸カルシウム含量を35%、曲げ剛性を10Nmとした以外は実施例2と同様にして比較例3の床材を形成した。
【0050】
<比較例5>
下地材のアスカーC硬度を65をとした以外は実施例2と同様にして比較例5の床材を形成した。
【0051】
<比較例6>
下地材のアスカーC硬度を18をとした以外は実施例2と同様にして比較例6の床材を形成した。
【0052】
<比較例7>
床下地材の厚みを3mmとした以外は実施例2と同様にして比較例7の床材を形成した。
【0053】
<比較例8>
床下地材の厚みを20mmとした以外は実施例2と同様にして比較例8の床材を形成した。
【0054】
[評価]
(衝撃吸収性)
各実施例および比較例の床材を100mm角の正方形にカットして試験体とし、特開2020-076764号公報に記載の方法で衝撃荷重Fを測定した。
・測定条件
ロードセル:株式会社東京測器研究所製「TCLU-5A」
打撃部曲率半径R:100mm
衝撃付与体質量:5.85kg
衝撃付与体の落下高さ:50cm
緩衝材:株式会社エクシール「人肌のゲル」20mm厚、アスカーC硬度7
・評価基準
2000N≦Fs≦3400N:○(合格)
3400N<Fs≦4000N:△(合格)
4000N<Fs:×(不合格)
【0055】
(耐荷重性)
実施例および比較例の床材を300mm×600mmの長方形にカットし、カットした床材を2点準備し、これら試験体をケイカル板(600mm×600mm、厚み12mm)上に並べて接着し試験体とした。耐荷重性は、各試験体のキャスター試験後の床材および中間材の外観により評価した。キャスター試験条件は以下の通りとした。
・キャスター試験条件:スチール車輪(直径100mm、巾30mm)、荷重100kgf、2点の床材の境界部に垂直な方向に500往復
・評価基準
床材および中間材の外観変化が軽微~皆無:○(合格)
床材または中間材に中程度の外観変化が認められる:△(合格)
床材または中間材に顕著な外観変化が認められる:×(不合格)
【0056】
以下の表1に、各実施例及び比較例の評価結果を示した。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示すように、床上材、床下地材及び中間材を備え、中間材における無機フィラーの含有量が40質量%以上85質量%以下、中間材の厚みが3mm以上5mm以下、単位幅における曲げ剛性が15Nm以上90Nm以下であり、床下地材の厚みが4mm以上15mm以下かつアスカーC硬度が20以上60未満である各実施例の床材は、衝撃吸収性と耐荷重性の何れもが良好であった。
【0059】
一方、中間材の厚さが3mm未満の比較例1及び中間材の厚さが5mmを超える比較例2の床材は、衝撃吸収性が低くなった。
また、中間材における無機フィラーの含有量が85質量%超の比較例3の床材は、衝撃吸収性は十分であるものの、耐荷重性が不十分となった。また、中間材における無機フィラーの含有量が40質量%未満の比較例3の床材は、耐荷重性は十分であるものの、衝撃吸収性が不十分となった。
【0060】
また、床下地材のアスカーC硬度が60を超える比較例5及びアスカーC硬度が20未満の比較例6の床材は、いずれも衝撃吸収性が不十分となった。
さらに、床下地材の厚さが4mm未満の比較例7の床材は、衝撃吸収性が不十分となった。一方、床下地材の厚さが15mmを超える比較例8の床材は、衝撃吸収性が十分であるものの、耐荷重性が不十分であった。
以上から、本開示の床材は、中間材が炭酸カルシウムを40質量%以上85質量%以下含む熱可塑性樹脂で形成されており、中間材の厚みが3mm以上5mm以下であり、中間材の単位幅における曲げ剛性が15Nm以上90Nm以下であり、床下地材の厚みが4mm以上15mm以下であり、床下地材のアスカーC硬度が20以上60以下となっていることで、耐荷重性と衝撃吸収性とに優れる。
【0061】
以上、本開示の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 床材
11 床下地材
111 基材層
112 絵柄層
113 保護層
12 中間材
13 床上材
100 衝撃荷重測定装置
110 測定台
120 衝撃付与体
121 錘
122 打撃部
130 緩衝材
140 荷重計測手段
図1
図2