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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175902
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20231205BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20231205BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20231205BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20231205BHJP
   H01M 50/469 20210101ALI20231205BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/0566
H01M10/0567
H01M10/052
H01M50/469
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171874
(22)【出願日】2023-10-03
(62)【分割の表示】P 2022021834の分割
【原出願日】2015-07-29
(31)【優先権主張番号】P 2014160050
(32)【優先日】2014-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2014218032
(32)【優先日】2014-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】田島 亮太
(72)【発明者】
【氏名】▲ひろ▼木 正明
(72)【発明者】
【氏名】古松 大典
(57)【要約】
【課題】ウェアラブルデバイスは、人間の複雑な表面に合わせたデザインとする必要があ
る。そのため購入後に個々の体の特徴に合わせられ、違和感なく自然に装着できる電子機
器を提供する。
【解決手段】変形が可能な二次電池を搭載した電子機器とする。変形が可能な二次電池を
用いることで、例えば、電子機器中の狭くて細長い空間に効率よく二次電池を設置し、さ
らにその細長い二次電池ごと電子機器を曲げることができるようになる。また電子機器の
重量バランスを調整しやすくなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を有する電子機器であって、
前記二次電池は、外装体と、複数の正極集電体と、複数の負極集電体と、電解液と、セパレータと、を有し、
前記二次電池は、前記外装体と、前記複数の正極集電体と、前記複数の負極集電体と、前記セパレータとが、湾曲した部分を有し、
前記二次電池は、前記セパレータが前記複数の正極集電体と前記複数の負極集電体に挟まれている領域を有し、
前記二次電池は、前記セパレータが前記複数の正極集電体と前記複数の負極集電体を覆うように配置されている領域を有し、
前記複数の正極集電体と、前記複数の負極集電体とは、結束材によって結束され、
前記セパレータは、前記結束が設置される領域に隙間を有する、
電子機器。
【請求項2】
二次電池を有する電子機器であって、
前記二次電池は、外装体と、複数の正極集電体と、複数の負極集電体と、電解液と、セパレータと、を有し、
前記二次電池は、前記外装体と、前記複数の正極集電体と、前記複数の負極集電体と、前記セパレータとが、湾曲した部分を有し、
前記二次電池は、前記セパレータが前記複数の正極集電体と前記複数の負極集電体に挟まれている領域を有し、
前記二次電池は、前記セパレータが前記複数の正極集電体と前記複数の負極集電体を覆うように配置されている領域を有し、
前記複数の正極集電体と、前記複数の負極集電体とは、結束材によって結束され、
前記セパレータは、前記結束が設置される領域に隙間を有し、
前記電解液は、ビニレンカーボネートを有する、
電子機器。
【請求項3】
二次電池を有する電子機器であって、
前記二次電池は、第1の正極集電体と、第2の正極集電体と、第1の負極集電体と、第2の負極集電体と、電解液と、セパレータと、を有し、
前記第1の正極集電体と、前記第2の正極集電体は、前記二次電池の一方の端部において電気的に接続され、
前記第1の負極集電体と、前記第2の負極集電体は、前記二次電池の他方の端部において電気的に接続され、
前記二次電池は、前記第1の正極集電体、前記第2の正極集電体、前記第1の負極集電体および前記第2の負極集電体に、湾曲した部分を有し、
前記第1の負極集電体は、一方の面に負極活物質層を有し、他方の面に負極活物質を有さず、
前記第2の負極集電体は、一方の面に負極活物質層を有し、他方の面に負極活物質を有さず、
前記第1の負極集電体の前記他方の面と、前記第2の負極集電体の前記他方の面が接することを特徴とし、
前記二次電池は、前記セパレータの一部の領域に隙間を有し、
前記電解液は、ビニレンカーボネートを有する、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一様態は、物、方法、又は、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、
マシン、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。
本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、照明装置または電子機
器、またはそれらの製造方法に関する。特に、電子機器およびそのオペレーティングシス
テムに関する。
【0002】
なお、本明細書中において電子機器とは、二次電池を有する装置全般を指し、二次電池
を有する電気光学装置、二次電池を有する情報端末装置などは全て電子機器である。
【背景技術】
【0003】
使用者が携帯する電子機器や、使用者が装着する電子機器が盛んに開発されている。例え
ば、薄型携帯書籍が特許文献1に記載されている。
【0004】
使用者が携帯する電子機器や、使用者が装着する電子機器は、主に二次電池を電源として
動作する。使用者が携帯する電子機器は、長時間使用することが望まれており、そのため
には大容量の二次電池を用いればよい。しかし電子機器に大容量の二次電池を内蔵させる
と、大容量の二次電池は、大きく、重量がかさむため、電子機器が大きく重くなってしま
う問題がある。そこで、携帯する電子機器に内蔵できる、小型または薄型で大容量の二次
電池の開発が進められている。
【0005】
少なくとも一軸方向に湾曲または屈曲することのできるシート状の蓄電装置が特許文献1
に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-211262
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子機器は、製造メーカから様々なデザインを有する形態が提案され、多様化が進んでい
る。複雑な外観形状を有し、且つ、小型の電子機器の場合、二次電池を内蔵、または搭載
するための空間に制限がある。制限された空間に、既存のコイン形リチウムイオン二次電
池を配置しようとすると、設置場所、設置個数などが限られる可能性が高い。また、仮に
いくつもの小型のコイン形二次電池を配置しても、二次電池同士の接続が煩雑になり、そ
のために無駄になる空間も生じるため、効率的とは言えない。
【0008】
このように、製造メーカは予め二次電池を配置するスペースを考慮にいれながら製品のデ
ザインなどを考える必要があるため、二次電池の形状、場所によって製品のデザインが制
限される。
【0009】
しかし、例えばウェアラブルデバイスの場合、人間の複雑な表面に合わせたデザインとす
る必要がある。具体的には、腕に装着するデバイスの場合、腕の曲面に沿うような面を有
するデザインを有するデバイスとし、変形が可能であることが望まれる。また快適に使用
できる重量バランスであることも重要である。
【0010】
特にウェアラブルデバイスの場合は、購入後に個々の体の特徴に合わせられ、違和感なく
自然に装着できるものが好ましい。
【0011】
具体的には、例えば眼鏡型デバイスの場合、人間の目の間隔、即ち瞳孔間間隔は、約50
mmから約80mmと幅がある。また鼻の位置、耳の位置も個人により違いがある。体に
合っていないデバイスを装着すると、見えにくい、使用者が動いた場合にデバイスがずれ
てしまう、鼻にかかる重量によって鼻に跡がつく等の問題が生じうる。
【0012】
そのため、新規な構造の電子機器を提供する。具体的には、さまざまな外観形状にするこ
とができる新規な構造の電子機器を提供する。
【0013】
または、本発明の一態様は、新規な蓄電装置、新規な二次電池などを提供することを課題
とする。なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本
発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はない。なお、これら以
外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明
細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで本発明の一態様では、変形が可能な二次電池を搭載した電子機器とする。変形が可
能な二次電池を用いることで、例えば、電子機器中の狭くて細長い空間に効率よく二次電
池を設置し、さらにその細長い二次電池を電子機器ごと曲げることができるようになる。
また電子機器の重量バランスを調整しやすくなる。
【0015】
そこで装着時に使用者の側頭部に沿って配置される部分(テンプル部ともいう)に細長い
二次電池を設置し、一部が曲げられるようにする。
【発明の効果】
【0016】
変形が可能な二次電池が搭載された、電子機器を提供することができる。また電子機器の
空間に効率よく二次電池を設置することができる。また曲げることのできる電子機器を提
供することができる。また個々の体の特徴に合わせられ、違和感なく自然に装着できるウ
ェアラブルデバイスを提供することができる。また快適に使用できる重量バランスの電子
機器を提供することができる。
【0017】
また、新規な電子機器、または、新規な蓄電装置を提供することができる。なお、これら
の効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ず
しも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図
面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項など
の記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一態様を示す上面図および斜視図である。
図2】本発明の一態様に用いることのできる二次電池を示す断面図、上面図および斜視図である。
図3】本発明の一態様に用いることのできる二次電池およびその作製方法を示す斜視図である。
図4】本発明の一態様に用いることのできる二次電池を示す断面図である。
図5】本発明の一態様に用いることのできる二次電池の作製方法を示す斜視図である。
図6】本発明の一態様に用いることのできる二次電池の作製方法を示す断面図および上面図である。
図7】本発明の一態様に用いることのできる二次電池の作製方法を示す上面図および斜視図である。
図8】本発明の一態様の他の例を示す図である。
図9】本発明の一態様に用いることのできる無線システムを説明するブロック図である。
図10】実施例1で作製した二次電池の設計図である。
図11】実施例1で作製した二次電池および電子機器の写真である。
図12】実施例1で作製した二次電池および電子機器の写真である。
図13】実施例1で作製した二次電池のX線CT画像である。
図14】充放電試験を説明する図である。
図15】充放電試験を説明する図である。
図16】充放電試験を説明する図である。
図17】実施例2で評価した二次電池の充放電特性である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれ
ば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈さ
れるものではない。
【0020】
「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場
合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信
号の授受を可能とするものであれば、特に制限はない。
【0021】
図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解を容易にするため、実際
の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ず
しも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0022】
「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すもの
である。
【0023】
(実施の形態1)
本実施の形態では、図1を用いて、本発明の一態様に係る電子機器の一例について説明す
る。
【0024】
図1(A)は、本発明の一態様に係る眼鏡型デバイス100の上面図であり、図1(B)
は、眼鏡型デバイス100の斜視図である。
【0025】
眼鏡型デバイス100は、装着時に使用者の側頭部に沿って配置される部分(以下テンプ
ル部という)を有し、左右のテンプル部それぞれに二次電池101を有する。
【0026】
二次電池101には、変形が可能な二次電池を用いる。従って、例えばテンプル部を可撓
性を有する部材等で構成した場合には、テンプル部の形状を変化させることができる。そ
のため、眼鏡型デバイス100を購入した使用者は、購入後にテンプル部の形状を変化さ
せることで、眼鏡型デバイス100の形状を個々の使用者の目の間隔、鼻の位置、耳の位
置等の特徴に合わせることができる。これにより、使用者は、眼鏡型デバイス100を違
和感なく自然に装着することができる。
【0027】
また、例えば眼鏡型デバイス100のフロント部に、二次電池を含め多数の部品を配置す
ると、眼鏡型デバイス100の重量バランスが悪くなる恐れがある。そこでテンプル部に
二次電池101を配置することで、快適に使用できる重量バランスの眼鏡型デバイス10
0とすることができる。
【0028】
また眼鏡型デバイス100は、端子部104を有していてもよい。端子部104から二次
電池101に充電をすることができる。また二次電池101同士は電気的に接続されてい
ることが好ましい。二次電池101同士が電気的に接続されていることで、一つの端子部
104から二つの二次電池101に充電をすることができる。
【0029】
また眼鏡型デバイス100は、表示部102を有していてもよい。表示部102は、発光
機能を有していてもよい。発光機能を有する表示部102の例としては、LEDを用いた
表示装置または有機ELを用いた表示装置等が挙げられる。また眼鏡型デバイス100は
、制御部103を有していてもよい。制御部103により、二次電池101の充放電を制
御し、また表示部102に表示する画像データを生成することができる。また制御部10
3に無線通信機能を有するチップを搭載することで、外部とデータの送受信を行うことが
できる。
【0030】
また、図1(C)に示すように、表示部102を有さない眼鏡型デバイス110としても
よい。眼鏡型デバイス110には、外付けの表示部112を取り付けてもよい。眼鏡型デ
バイス110に外付けの表示部112を取り付けることで、使用者の目と表示部112と
の距離を調整することが容易となる。
【0031】
また、眼鏡型デバイス110と、外付けの表示部112との間で無線通信および無線給電
を行ってもよい。
【0032】
(実施の形態2)
本実施の形態では、図2図3図5図6および図7を用いて、本発明の一態様に用い
ることのできる二次電池101の一例について説明する。なお図面はすべて説明を明快に
するため構成の一部を抜粋して示している。
【0033】
まず、図2を用いて二次電池101の構成について説明する。図2(A)は、二次電池1
01の外観の斜視図である。また図2(B)図2(C)および図2(D)は、説明のため
二次電池101の構造を模式的に示したものであり、図2(B)は、二次電池101の上
面図である。図2(C)は、図2(B)中の一点鎖線XYにおける二次電池101の断面
図であり、図2(D)は二次電池101の斜視図である。図2(C)および図2(D)に
おいては、一部の構成を抜粋して示す。
【0034】
図2(A)、図2(B)および図2(C)に示すように、二次電池101は、複数の正極
集電体212と、複数の負極集電体214と、セパレータ213と、外装体211と、外
装体211に囲まれた領域の中に電解液220を有する。また正極集電体212と電気的
に接続されるリード電極216aと、負極集電体214と電気的に接続されるリード電極
216bを有する。またリード電極216aおよびリード電極216bは、一部がシール
材217に覆われている。
【0035】
また図2(A)に示すように、二次電池101は、湾曲した構造の二次電池とすることが
できる。すなわち、二次電池101が有する、複数の正極集電体212と、複数の負極集
電体214と、セパレータ213と、外装体211とが、湾曲した部分を有することがで
きる。このような変形が可能な二次電池101とすることで、これを搭載する電子機器を
、変形可能な電子機器とすることができる。
【0036】
図2(D)は複数の正極集電体212と、複数の負極集電体214と、セパレータ213
とを抜粋して示した図である。図2(D)に示すように、二次電池101では、複数の正
極集電体212と、複数の負極集電体214が、セパレータ213によって覆われ、結束
材221によって結束されている。
【0037】
すなわちセパレータ213は、1枚のセパレータ213の中で、複数の正極集電体212
及び複数の負極集電体214に挟まれている領域と、複数の正極集電体212及び複数の
負極集電体214を覆うように配置されている領域とを有する。
【0038】
さらに換言すれば、二次電池101が有するセパレータ213は、一部が折りたたまれた
1枚のセパレータである。セパレータ213の折りたたまれた領域に、複数の正極集電体
212及び複数の負極集電体214が挟まれている。
【0039】
なお、図2(D)では結束材221を用いて複数の正極集電体212および複数の負極集
電体214を結束する構成を示したが、これに限らない。結束材を用いずにこれらを結束
してもよい。たとえばセパレータ213の材料によっては、セパレータ213同士を熱溶
着することができる。そこで、セパレータ213の集電体を覆うように配置されている領
域において、セパレータ213同士が重畳する部分を熱溶着することによっても、複数の
正極集電体212および複数の負極集電体214を結束することができる。なお熱溶着す
る場合、セパレータの材料としてはポリプロピレンまたはポリエチレン等が好ましい。
【0040】
図3(A)および図3(B)に、セパレータを熱溶着することで複数の正極集電体212
および複数の負極集電体214を結束した二次電池101の例を示す。ただし図3(A)
および図3(B)は、複数の正極集電体212と、複数の負極集電体214と、セパレー
タ213とを抜粋して示した図である。図3(A)に、セパレータの一部の領域213b
においてセパレータ213を熱溶着した二次電池101を示す。
【0041】
図3(B)に、セパレータ213のうち、複数の正極集電体212と、複数の負極集電体
214を覆う領域の一部を除去し、セパレータの一部の領域213bにおいてセパレータ
213を熱溶着した二次電池101を示す。セパレータ213のうち、複数の正極集電体
212および複数の負極集電体214を覆うように配置される領域の一部を除去すること
で、セパレータ213のうち、結束に用いられる領域に隙間をつくることができる。その
ため、充放電によって電解液が分解されて生じたガスが、複数の正極集電体212と、複
数の負極集電体214との間にとどまることを抑制できる。そのため二次電池101の電
池反応の偏りを抑制し、内部抵抗の上昇を抑制し、また二次電池101の容量を向上させ
ることができる。
【0042】
また図2および図3では煩雑となるため図示しないが、正極集電体212の片面または両
面の一部には、正極活物質層が形成されている。正極活物質層は、少なくとも正極活物質
を含む。また負極集電体214の片面または両面の一部には、負極活物質層が形成されて
いる。負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含む。なお正極活物質層および負極活物
質層が形成される領域は、セパレータ213と重畳する。
【0043】
なお図2および図3では、正極集電体212および負極集電体214が交互に積み重ねら
れる構成について説明したが、本発明の一態様はこれに限らない。活物質が集電体の両面
に形成されているか、片面に形成されているかによって、適した構成は異なる。
【0044】
図4を用いて、正極集電体212および負極集電体214を積み重ねる構成の他の例を示
す。
【0045】
図4(A)は、両面に正極活物質層212Aが形成された正極集電体212を5枚、片面
に負極活物質層214Aが形成された負極集電体214を10枚積み重ねた構成である。
一部を拡大して示すように、正極活物質層212Aと負極活物質層214Aが、セパレー
タ213を介して対向するように積層する。また、負極集電体214の負極活物質層が形
成されていない面同士が接するように積層する。
【0046】
負極集電体214の負極活物質層が形成されていない面同士が接する面は、活物質層とセ
パレータが接する面と比較して摩擦の小さい接触面である。そのため、後の工程で二次電
池101を湾曲する際に生じる、湾曲の内径と外径の差に起因する応力を逃がし易くする
ことができる。そのため二次電池101の信頼性を向上させることができる。
【0047】
図4(A)のように、負極集電体214の負極活物質層が形成されていない面同士が接す
る面がある構成は、図4(B)のように、二次電池101のうち、湾曲が強い部分101
aが、負極集電体214と電気的に接続されたリード電極216bに近い場合に、特に効
果が大きい。なお本明細書等において、例えば「湾曲が強い部分が、負極集電体と電気的
に接続されたリード電極に近い」とは、二次電池における最も湾曲の強い箇所が、二次電
池の長辺の中点よりも負極集電体が電気的に接続されているリード電極に近いことをいう
【0048】
なぜならば、図4(B)の構成の場合、正極集電体212の湾曲は、正極集電体212が
電気的に接続されている接続部から離れた部分で生じるため、正極集電体212にかかる
応力などの負荷は比較的少ない。それに対して、負極集電体214の湾曲は、負極集電体
214が電気的に接続されている接続部から近い部分で生じるため、負極集電体214に
かかる応力が大きくなるからである。そのため、負極集電体214の負極活物質層が形成
されていない面同士という、摩擦の小さい接触面を作ることが、応力を逃がしやすくする
ために特に有効となる。
【0049】
なお図4では、湾曲が強い部分101aが、負極集電体214と電気的に接続されたリー
ド電極216bに近い場合について説明したが、本発明の一態様はこれに限らない。湾曲
が強い部分101aが、正極集電体212と電気的に接続されたリード電極216aに近
い場合は、片面に正極活物質層を形成した正極集電体を用い、正極集電体の正極活物質層
が形成されていない面同士の接触面を作ることが好ましい。
【0050】
また、湾曲の強い部分101aが二次電池101の両端近くにある場合、および二次電池
101全体で湾曲が強い場合等は、正極集電体と負極集電体の両方で、片面に活物質が形
成されている集電体を用いることが好ましい。このような構成とすることで、負極集電体
214の負極活物質層が形成されていない面同士、および正極集電体の正極活物質層が形
成されていない面同士という、摩擦の小さい接触面を増やすことができ、湾曲した際の応
力をより逃がしやすくできる。
【0051】
次に、二次電池101が有する正極集電体212、負極集電体214、正極活物質、セパ
レータ213、電解液220、負極活物質、外装体211に用いることができる材料につ
いて説明する。
【0052】
正極集電体212および負極集電体214に用いる材料は、二次電池内で顕著な化学変化
を引き起こさずに高い導電性を示す限り、特別な制限はない。例えば、金、白金、鉄、ニ
ッケル、銅、アルミニウム、チタン、タンタル、マンガン等の金属、及びこれらの合金(
ステンレスなど)を用いることができる。また、炭素、ニッケル、チタン等で被覆しても
よい。また、シリコン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどを添加して耐熱性を向
上させてもよい。また、集電体は、箔状、シート状、板状、網状、円柱状、コイル状、パ
ンチングメタル状、エキスパンドメタル状、多孔質状及び不織布を包括する様々な形態等
の形状を適宜用いることができる。さらに、活物質との密着性を上げるために集電体は表
面に細かい凹凸を有していてもよい。また、集電体は、厚みが5μm以上30μm以下の
ものを用いるとよい。
【0053】
正極活物質および負極活物質は、リチウムイオン等のキャリアイオンとの可逆的な反応が
可能な材料であればよい。適当な手段により粉砕、造粒及び分級する事で、活物質の平均
粒径や粒径分布を制御する事が出来る。
【0054】
正極活物質層に用いる正極活物質としては、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型の結晶構
造、またはスピネル型の結晶構造を有する複合酸化物等がある。正極活物質として、例え
ばLiFeO、LiCoO、LiNiO、LiMn、V、Cr
、MnO等の化合物を用いる。
【0055】
または、複合材料(一般式LiMPO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(I
I)、Ni(II)の一以上))を用いることができる。一般式LiMPOの代表例と
しては、LiFePO、LiNiPO、LiCoPO、LiMnPO、LiFe
NiPO、LiFeCoPO、LiFeMnPO、LiNiCo
PO、LiNiMnPO(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiF
NiCoPO、LiFeNiMnPO、LiNiCoMnPO
(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFeNi
MnPO(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0
<i<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
【0056】
または、一般式Li(2-j)MSiO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(
II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等の複合材料を用いることができる。一般
式Li(2-j)MSiOの代表例としては、Li(2-j)FeSiO、Li(2
-j)NiSiO、Li(2-j)CoSiO、Li(2-j)MnSiO、Li
(2-j)FeNiSiO、Li(2-j)FeCoSiO、Li(2-j
FeMnSiO、Li(2-j)NiCoSiO、Li(2-j)Ni
MnSiO(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2-j)Fe
CoSiO、Li(2-j)FeNiMnSiO、Li(2-j)Ni
CoMnSiO(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)
、Li(2-j)FeNiCoMnSiO(r+s+t+uは1以下、0<r
<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等のリチウム化合物を材料として用いるこ
とができる。
【0057】
また、正極活物質として、A(XO(A=Li、Na、Mg、M=Fe、M
n、Ti、V、Nb、Al、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるナ
シコン型化合物を用いることができる。ナシコン型化合物としては、Fe(MnO
、Fe(SO、LiFe(PO等がある。また、正極活物質として
、LiMPOF、LiMP、LiMO(M=Fe、Mn)の一般式で表
される化合物、NaFeF、FeF等のペロブスカイト型フッ化物、TiS、Mo
等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMVO等の逆
スピネル型の結晶構造を有する酸化物、バナジウム酸化物系(V、V13、L
iV等)、マンガン酸化物、有機硫黄化合物等の材料を用いることができる。
【0058】
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属
イオンの場合、正極活物質として、上記リチウム化合物において、リチウムの代わりに、
アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシ
ウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、マグネシウム等)を用いてもよい。
【0059】
また、正極活物質層には、上述した正極活物質の他、活物質の密着性を高めるための結着
剤(バインダ)、正極活物質層の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
【0060】
セパレータ213としては、セルロース(紙)、ガラス繊維、または空孔が設けられたポ
リプロピレン、ポリエチレン、もしくはポリフェニレンサルファイド等の絶縁体を用いる
ことができる。
【0061】
電解液220は、電解質として、キャリアイオンが移動可能であり、且つキャリアイオン
であるリチウムイオンを有する材料を用いる。電解質の代表例としては、LiPF、L
iClO、LiAsF、LiBF、LiCFSO、Li(CFSO
、Li(CSONまたはLiN(FSO等のリチウム塩がある。これ
らの電解質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用い
てもよい。
【0062】
また、電解液220の溶媒としては、キャリアイオンが移動可能な材料を用いる。電解液
の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒の代表例とし
ては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート
、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、γーブチロ
ラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等があり、これらの
一つまたは複数を用いることができる。また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材
料を用いる、電解液にゲル化のための高分子材料を添加する、などにより、漏液性等に対
する安全性が高まる。また、二次電池の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高
分子材料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポ
リエチレンオキサイド系ゲル、ポリプロピレンオキサイド系ゲル、フッ素系ポリマーのゲ
ル等がある。また、電解液の溶媒として、難燃性及び難揮発性であるイオン液体(常温溶
融塩)を一つまたは複数用いることで、二次電池の内部短絡や、過充電等によって内部温
度が上昇しても、二次電池の破裂や発火などを防ぐことができる。なお、イオン液体は、
流動状態にある塩であり、イオン移動度(伝導度)が高い。また、イオン液体は、カチオ
ンとアニオンとを含む。イオン液体としては、エチルメチルイミダゾリウム(EMI)カ
チオンを含むイオン液体、またはN-メチル-N-プロピルピペリジニウム(PP13
カチオンを含むイオン液体などがある。
【0063】
また、電解液220の代わりに、硫化物系や酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質
や、PEO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いること
ができる。固体電解質を用いる場合には、セパレータやスペーサの設置が不要となる。ま
た、二次電池全体を固体化できるため、漏液のおそれがなくなり安全性が飛躍的に向上す
る。
【0064】
また、負極活物質層に用いる負極活物質としては、リチウムの溶解・析出、又はリチウム
イオンとの可逆的な反応が可能な材料を用いることができ、リチウム金属、炭素系材料、
合金系材料等を用いることができる。
【0065】
リチウム金属は、酸化還元電位が低く(標準水素電極に対して-3.045V)、重量及
び体積当たりの比容量が大きい(それぞれ3860mAh/g、2062mAh/cm
)ため、好ましい。
【0066】
炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハー
ドカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等がある。
【0067】
黒鉛としては、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ
系人造黒鉛等の人造黒鉛や、球状化天然黒鉛等の天然黒鉛がある。
【0068】
黒鉛はリチウムイオンが黒鉛に挿入されたとき(リチウム-黒鉛層間化合物の生成時)に
リチウム金属と同程度に卑な電位を示す(0.1-0.3V vs.Li/Li)。こ
れにより、リチウムイオン二次電池は高い作動電圧を示すことができる。さらに、黒鉛は
、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が小さい、安価である、リチウム金属に
比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。
【0069】
また、負極活物質には上述の炭素材の他、キャリアイオンとの合金化、脱合金化反応によ
り充放電反応を行うことが可能な合金系材料または酸化物を用いることができる。キャリ
アイオンがリチウムイオンである場合、合金系材料としては、例えば、Mg、Ca、Al
、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、及びI
n等のうちの少なくとも一つを含む材料を用いることができる。このような元素は炭素に
対して容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと飛躍的に高い。こ
のため、負極活物質にシリコンを用いることが好ましい。このような元素を用いた合金系
材料としては、例えば、、MgSi、MgGe、MgSn、SnS、VSn
、FeSn、CoSn、NiSn、CuSn、AgSn、AgSb、N
MnSb、CeSb、LaSn、LaCoSn、CoSb、InSb、
SbSn等がある。
【0070】
また、酸化物として、例えばSiO、SnO、SnOを用いることができる。なお、S
iOとは、ケイ素リッチの部分を含むケイ素酸化物の粉末を指しており、SiO(2>
y>0)とも表記できる。例えばSiOは、Si、Si、またはSiOか
ら選ばれた単数または複数を含む材料や、Siの粉末と二酸化ケイ素SiOの混合物も
含む。また、SiOは他の元素(炭素、窒素、鉄、アルミニウム、銅、チタン、カルシウ
ム、マンガンなど)を含む場合もある。即ち、単結晶Si、アモルファスSi、多結晶S
i、Si、Si、SiO、SiOから選ばれる複数を含む材料を指して
おり、SiOは有色材料である。SiOではないSiO(Xは2以上)であれば無色透
明、或いは白色であり、区別することができる。ただし、二次電池の材料としてSiOを
用いて二次電池を作製した後、充放電を繰り返すなどによって、SiOが酸化した場合に
は、SiOに変質する場合もある。
【0071】
また、負極活物質として、二酸化チタン(TiO)、リチウムチタン酸化物(Li
12)、リチウム-黒鉛層間化合物(Li)、五酸化ニオブ(Nb
、酸化タングステン(WO)、酸化モリブデン(MoO)等の酸化物を用いることが
できる。
【0072】
また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、LiN型構造をもつ
Li3-xN(M=Co、Ni、Cu)を用いることができる。例えば、Li2.6
Co0.4は、大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/cm)を
示し、好ましい。
【0073】
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、
正極活物質としてリチウムイオンを含まないV、Cr等の材料と組み合わせ
ることができ好ましい。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも
、あらかじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させておくことで負極活物質と
してリチウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
【0074】
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例えば
、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の、リチウム
と合金化反応を行わない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバージョン反
応が生じる材料としては、さらに、Fe、CuO、CuO、RuO、Cr
等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn、CuN、G
等の窒化物、NiP、FeP、CoP等のリン化物、FeF、BiF
等のフッ化物でも起こる。なお、上記フッ化物の電位は高いため、正極活物質として用い
てもよい。
【0075】
また、負極活物質層には、上述した負極活物質の他、活物質の密着性を高めるための結着
剤(バインダ)、負極活物質層の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
【0076】
本実施の形態において、二次電池の構成は、例えば、セパレータ213の厚さは約15μ
m以上約30μm以下、正極集電体は約10μm以上約40μm以下、正極活物質層は約
50μm以上約100μm以下、負極活物質層は約50μm以上約100μm以下、負極
集電体は約5μm以上約40μm以下とする。
【0077】
外装体211としては、可撓性基材からなるフィルムを用いる。フィルムは、積層体を用
い、金属フィルムの一方の面または両方の面に樹脂層を有し、一方の面の樹脂層が接着層
(ヒートシール層とも呼ぶ)としての機能を有するものが好ましい。接着層としては、ポ
リプロピレンやポリエチレンなどを含む熱融着性樹脂フィルムを用いることができる。本
実施の形態では、フィルムとして、アルミニウム箔の一方の面にナイロン樹脂を有し、ア
ルミニウム箔の他方の面に耐酸性ポリプロピレン膜と、ポリプロピレン膜の積層が設けら
れている金属フィルムを用いる。
【0078】
また、外装体211に用いるフィルムに、エンボス加工を行ってもよい。エンボス加工さ
れた外装体211を用いることで、より曲がりやすい二次電池101とすることができる
【0079】
次に、図3(C)、図5図6および図7を用いて、二次電池101の作製方法について
説明する。
【0080】
まず、セパレータ213、正極集電体212および負極集電体214を用意する。そして
正極集電体212の片面または両面に正極活物質層を形成する。また負極集電体214の
片面または両面に負極活物質層を形成する。
【0081】
正極集電体212および負極集電体214として、それぞれの片面に活物質層が形成され
ているものを用いると、正極集電体212および負極集電体214の配置によっては、正
極集電体212の正極活物質が形成されていない面同士、および負極集電体214の負極
活物質が形成されていない面同士という、摩擦の小さい接触面を作ることができる。その
ため後の工程で二次電池101を湾曲する際に生じる、湾曲の内径と外径の差に起因する
応力を逃がし易くすることができ、好ましい。また正極集電体212および負極集電体2
14として、それぞれの両面に活物質層が形成されているものを用いると、二次電池10
1の単位体積あたりの容量を増大させることができる。
【0082】
また正極集電体212および負極集電体214を、細長い形状に形成することが好ましい
。すなわち図5(B)に示す、正極集電体212の長辺の長さ212aが、短辺の長さ2
12bの10倍以上、より好ましくは20倍以上とするとよい。または、正極集電体21
2の長辺の長さ212aが60mm以上、短辺の長さ212bが6mm以下とするとよい
。同様に図5(A)に示す、負極集電体214の長辺の長さ214aが、短辺の長さ21
4bの10倍以上、より好ましくは20倍以上とするとよい。または負極集電体214の
長辺の長さ214aが、60mm以上、短辺の長さ214bが6mm以下とするとよい。
このように正極集電体212および負極集電体214を細長い形状とすることで、細長い
形状の二次電池101を作製することができる。そのため、電子機器の空間に効率よく二
次電池を設置することができる。
【0083】
なお本明細書等において、正極集電体212および負極集電体214の長辺および短辺は
、正極集電体212および負極集電体214の湾曲に沿って計測することとする。
【0084】
また、金属箔上に活物質層を形成したのち、レーザ加工にて正極集電体212および負極
集電体214の形状に切り出すと、歩留まりよく正確な形状の正極集電体212および負
極集電体214を作製することができる。
【0085】
そして、図5(A)に示すように、セパレータ213の上に、負極集電体214を重ねる
。次に、セパレータ213を折り曲げ、負極集電体214の上にセパレータ213を重ね
る。次に、図5(B)に示すように、セパレータ213の上に、正極集電体212を重ね
る。次に、セパレータ213を折り曲げ、正極集電体212の上にセパレータ213を重
ねる。なお集電体の片面に活物質層が形成されているものを用いる場合は、正極集電体2
12の正極活物質層と、負極集電体214の負極活物質層がセパレータを介して対向する
ように重ねる。
【0086】
セパレータ213にポリプロピレン等の熱溶着が可能な材料を用いている場合は、セパレ
ータ213同士が重畳している領域を熱溶着してから次の集電体を重ねることで、作製工
程中に集電体がずれることを抑制できる。具体的には、負極集電体214または正極集電
体212と重畳しておらず、セパレータ213同士が重畳している領域、たとえば領域2
13aを熱溶着することが好ましい。
【0087】
また、二次電池101を湾曲させたとき、湾曲の外側と内側で曲率が異なるため、二次電
池の内部で集電体がずれることが想定される。しかし、上述のようにセパレータ213同
士が重畳している領域、たとえば領域213aを熱溶着することで、集電体がずれた場合
でも、正極集電体と負極集電体が接触し内部ショートすることを防ぐことができる。
【0088】
この工程を繰り返すことで、図5(C)に示すように、セパレータ213を挟んで正極集
電体212および負極集電体214を積み重ねることができる。
【0089】
なお、あらかじめ繰り返し折り曲げたセパレータ213に、複数の負極集電体214およ
び複数の正極集電体212を交互に挟むように配置してもよい。
【0090】
次に、図5(C)および図5(D)に示すように、複数の正極集電体212と、複数の負
極集電体214を、セパレータ213によって覆い、結束材221によって複数の正極集
電体212および複数の負極集電体214を結束する。
【0091】
結束材221としては、粘着剤が塗布されたポリイミドフィルム、ポリプロピレン、ポリ
エチレン等を用いることができる。
【0092】
なお、図3(A)で説明した二次電池101を作製する場合は、セパレータ213同士が
重畳している領域、たとえば領域213bを熱溶着し、複数の正極集電体212と、複数
の負極集電体214を、セパレータ213によって覆い、結束する。
【0093】
また、図3(B)で説明した二次電池101を作製する場合は、図3(C)に示すように
、あらかじめ複数の正極集電体212と、複数の負極集電体214を覆う領域の一部が除
去されたセパレータ213を挟んで、複数の正極集電体212と、複数の負極集電体21
4を積み重ねる。
【0094】
その後、セパレータ213同士が重畳している領域、たとえば領域213bを熱溶着し、
複数の正極集電体212と、複数の負極集電体214を、一部が除去されたセパレータ2
13によって覆い、結束する。
【0095】
二次電池101の、図5(D)における一点鎖線XYの断面図を図6(A)に示す。
【0096】
次に、図6(B)に示すように、複数の正極集電体212と、リード電極216aとを電
気的に接続する。また複数の負極集電体214と、リード電極216bとを電気的に接続
する。電気的な接続は、超音波溶接により行うことができる。なお、図6(B)に示すよ
うに、細長い形状の複数の正極集電体212の一方の端部、および複数の負極集電体21
4の一方の端部を溶接することが好ましい。換言すれば、二次電池101の一方の端部に
おいて複数の正極集電体212が電気的に接続され、二次電池101の他方の端部におい
て複数の負極集電体214が電気的に接続されることが好ましい。このような構造とする
ことで、後の工程で二次電池101を湾曲する際に生じる、湾曲の内径と外径の差に起因
する応力を逃がし易くすることができる。
【0097】
次に、図6(C)に示すように、複数の正極集電体212、複数の負極集電体214、セ
パレータ213、リード電極216aおよびリード電極216bを、折り曲げた外装体2
11で挟む。
【0098】
次に、図6(D)に示すように、外装体211の2辺、具体的には領域211aおよび領
域211bを熱圧着により封止する。このときリード電極216aおよびリード電極21
6bと、シール材217の一部は外装体211で囲われた領域の外側に引き出される。
【0099】
次に、図7(A)に示すように、外装体211で囲われた領域に、電解液220を注入す
る。電解液220の注入は後述する減圧下でおこなってもよい。
【0100】
次に、減圧下の熱圧着によって、図7(B)で示すように外装体211の残りの1辺、具
体的には領域211cを封止する。これらの操作は、グローブボックスを用いるなどして
酸素を排除した環境にて行う。減圧は、脱気シーラー、脱気注液シーラー等を用いて行う
とよい。またシーラーが有する加熱可能な2本のバーで挟むことにより、領域211cを
熱圧着により封止することができる。減圧および熱圧着の条件は、例えば真空度は60k
Pa、熱圧着の加熱は190℃、加圧は0.1MPaにおいて3秒とすることができる。
【0101】
次に、上記の工程で得られた二次電池101に、エージング処理を行うことが好ましい。
エージング処理により、電極と電解質の界面に生じる被膜を制御し、活物質を活性化する
ことができる。
【0102】
さらに、エージング処理を行った二次電池101を一度開封し、エージングにより生じた
ガスを抜いてから、電解液220を注ぎ足して再封止してもよい。正極と負極の電極の間
にガスが存在すると、電池反応に偏りが生じて二次電池101の劣化要因となるため、ガ
スを抜いて再封止をすることで二次電池101の劣化を抑制することができる。エージン
グ処理後にガス抜きと再封止を行う場合は、外装体211の領域211cを封止する際に
、再封止用の領域を確保しておくとよい。
【0103】
次に、図7(C)に示すように二次電池101を湾曲させる。なお、図7(C)のように
湾曲させた二次電池101を電子機器に用いてもよいし、電子機器に搭載してから電子機
器ごと二次電池101を湾曲させてもよい。
【0104】
以上の工程で、本発明の一態様に用いることができる二次電池101を作製することがで
きる。
【0105】
(実施の形態3)
本実施の形態では、図8を用いて、本発明の一態様に係る電子機器の他の例について説明
する。
【0106】
実施の形態1では、眼鏡型デバイス100について説明したが、本発明の一態様はこれに
限らない。
【0107】
例えば、図8に示すようなヘッドセット型デバイス301とすることができる。ヘッドセ
ット型デバイス301は、少なくともマイク部301aと、フレキシブルパイプ301b
と、イヤフォン部301cを有する。フレキシブルパイプ301b内やイヤフォン部30
1c内には、複数の二次電池101が設けられている。
【0108】
また、身体に直接取り付け可能なデバイス302とすることができる。デバイス302の
薄型の筐体302aの中に、複数の二次電池101が設けられている。
【0109】
また、衣服に取り付け可能なデバイス303とすることができる。デバイス303の薄型
の筐体303aの中に、複数の二次電池101が設けられている。
【0110】
また、腕章型デバイス304とすることができる。腕章型デバイス304は本体304a
上に表示部304bを有し、本体304aの中に、複数の二次電池101が設けられてい
る。
【0111】
また、腕時計型デバイス305とすることができる。腕時計型デバイス305は表示部3
05aを有し、腕時計型デバイス305の本体の中に複数の二次電池101が設けられて
いる。
【0112】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器に用いることのできる無線システムについ
て説明する。
【0113】
無線通信および無線給電は、例えば実施の形態1で説明したように、眼鏡型デバイス11
0と、外付けの表示部112との間で行うことができる。またこれに限られず、外部と無
線通信を行う電子機器に用いることができる。
【0114】
また充電用の端子部を持たず、外部からの無線給電により充電する電子機器にも用いるこ
とができる。このような電子機器は、充電を簡便に行うことができ、さらに充電用の端子
部をもたないため、防水性および防塵性を高めることができる。
【0115】
以下に、眼鏡型デバイス110および外付け表示部112を例に挙げ、無線システムにつ
いて述べる。図9に、眼鏡型デバイス110および外付け表示部112のブロック図を示
す。
【0116】
本実施の形態にかかる眼鏡型デバイス110は、制御モジュール415と、通信モジュー
ル426と、電源管理回路427を有する。外付け表示部112は表示モジュール421
を有する。制御モジュール415は、眼鏡型デバイス110全体の制御と、通信や、表示
部416への情報の表示を制御するコントローラであり、例えば眼鏡型デバイス110の
制御部103に設けることができる。
【0117】
制御モジュール415は、CPU411、バッテリー412、レギュレータ413、無線
受信部414、及び無線送信部428を有する。バッテリー412として、二次電池10
1を用いることができる。
【0118】
また、表示モジュール421は、表示部416、表示駆動回路419、バッテリー417
、レギュレータ418、無線受信部420、及び無線送信部429を有する。また、本実
施の形態では外付け表示部112を有する例を示したが、特に限定されず、表示部に代え
て例えばセンサ部などとすることもできる。
【0119】
また、通信モジュール426は、通信回路422、バッテリー423、レギュレータ42
4、無線受信部425、及び無線送信部430を有する。バッテリー423として、二次
電池101を用いることができる。
【0120】
各モジュールは、それぞれレギュレータとバッテリーを有している。各レギュレータは、
接続されているバッテリーから各機能回路に必要な電力または信号を生成し、供給する。
また、バッテリーへの充電時には、レギュレータは過充電などを防止することもできる。
また、図9では、一つのレギュレータに無線受信部及び無線送信部が接続されている例を
示しているが、無線受信部用のレギュレータと、無線送信部用のレギュレータと別々に接
続してもよい。
【0121】
眼鏡型デバイス110は、電源管理回路427によって、互いのバッテリーの電力を相互
に供給しうる。また、電源管理回路427は、バッテリー412、417、423の電力
量を監視し、ある一つのバッテリーから他のバッテリーに電力を無線で供給して充電する
ことを自動または使用者の操作によって適宜実行することができる。または、電源管理回
路427は、バッテリー412、417、423の電力量を監視し、複数のバッテリーか
ら他のバッテリーに電力を無線で供給して充電することを自動または使用者の操作によっ
て適宜実行することができる。
【0122】
また、眼鏡型デバイス110は、それぞれのモジュールを独立してオン状態、或いはオフ
状態とすることができる。使用するモジュールのみを選択的に駆動させるオペレーティン
グシステムにより、眼鏡型デバイス110の省電力化を図ることができる。
【0123】
例えば、使用者が通信機能を用いることなく、表示部416で情報を見る場合、通信モジ
ュール426においては、通信回路422への電力供給を遮断し、バッテリー423を使
わないオフ状態とし、表示モジュール421及び制御モジュール415をオン状態とする
【0124】
さらに、静止画であれば、表示モジュール421及び制御モジュール415をオン状態と
して表示部416で静止画を表示させた後、静止画を表示させたまま制御モジュール41
5をオフ状態としても、表示モジュール421のみをオン状態として静止画を表示し続け
ることができる。なお、表示部416のトランジスタにオフ電流の低い酸化物半導体層(
例えばIn、Ga、及びZnを含む酸化物材料など)を用いる、または画素ごとにメモリ
を有する構成とすれば、静止画表示後にバッテリー417からの電力供給を遮断しても一
定時間の間であれば、静止画を表示しつづけることもできる。
【0125】
また、本実施の形態では、表示モジュール421、制御モジュール415、及び通信モジ
ュール426がそれぞれバッテリーを有する例を示したが、特に合計3つのバッテリーに
限定されず、さらに機能モジュール及びそのバッテリーを加えて4つ以上のバッテリーを
有する電子機器としてもよい。
【実施例0126】
本実施例では、実際に二次電池1101および眼鏡型デバイス1100を作製した結果を
図10図11図12および図13を用いて説明する。
【0127】
本実施例で作製した二次電池1101には、正極集電体として厚さ20μmのアルミニウ
ムを用い、負極集電体として厚さ18μmの銅を用いた。
【0128】
また正極活物質にはLiCoOを用い、LiCoOと、導電助剤およびバインダとし
てアセチレンブラック(AB)と、PVDFとを混合したものを正極活物質層とした。こ
れらの混合割合は、LiCoOを90重量%、ABを5重量%、PVDFを5重量%と
した。
【0129】
また負極活物質には黒鉛を用い、これに導電助剤およびバインダとして気相法炭素繊維(
VGCF)(登録商標)、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびスチレン・ブタ
ジエンゴム(SBR)を混合して負極活物質層とした。これらの混合割合は、黒鉛を96
重量%、VGCF(登録商標)を1重量%、CMCを1重量%、SBRを2重量%とした
【0130】
なお正極については、両面に活物質を塗工した正極集電体1212を5枚用いた。また負
極については、片面に活物質を塗工した負極集電体1214を10枚用いた。
【0131】
またセパレータ1213にはポリプロピレンを用いた。電解液にはEC:DEC:EMC
=3:6:1(重量比)で混合した有機溶媒中に、1.2mol/LのLiPFを溶解
させ、添加剤としてプロパンスルトン(PS)を0.5重量%、ビニレンカーボネート(
VC)を0.5重量%加えたものを用いた。
【0132】
また外装体1211にはエンボス加工を行ったアルミニウムラミネートフィルムを用いた
。アルミニウムラミネートフィルムは、厚さ35μmのアルミニウムの一方の面に、厚さ
15μmのナイロン樹脂を有し、アルミニウムの他方の面に合計の厚さが35μmの耐酸
性ポリプロピレン膜とポリプロピレン膜の積層が設けられているものを用いた。
【0133】
本実施例で用いた外装体1211、正極集電体1212、負極集電体1214およびセパ
レータ1213の設計図を図10に示した。
【0134】
図10(A)に示す外装体1211の幅1211aは125mmとした。
【0135】
図10(B)に示す正極集電体1212の長辺1212aの長さは100mm、短辺12
12bの長さは5mmとした。また長辺1212aのうち正極活物質が塗工されている部
分の幅1212cは90mmとした。
【0136】
また負極集電体1214の長辺1214aの長さは100mm、短辺1214bの長さは
5mmとした。また長辺1214aのうち負極活物質が塗工されている部分の幅1214
cは93mmとした。また正極集電体1212と負極集電体1214が重畳しない領域の
幅1214dは7mmとした。
【0137】
図10(C)に示すセパレータ1213の、幅1213aは95mmとした。本実施例で
は、図3(B)および図3(C)で説明した、複数の正極集電体1212と、複数の負極
集電体1214を覆う領域の一部を除去したセパレータを用いた。
【0138】
上記の材料を用いて、実施の形態2で説明した作製工程を経て作製した。正極集電体12
12および負極集電体1214の積層の構造としては、図4(A)で説明したように、正
極活物質層212Aと負極活物質層214Aが、セパレータ213を介して対向するよう
に積層した。また、負極集電体214の負極活物質層が形成されていない面同士が接する
ように積層した。
【0139】
上記のようにして作製した二次電池1101の外観を図11(A)に示した。二次電池1
101は外装体1211に覆われ、外装体1211の外側にリード電極1216aおよび
リード電極1216bの一部が引き出された。またリード電極1216aおよびリード電
極1216bと外装体1211の間はシール材1217により結着された。
【0140】
なお、外装体1211の長辺の長さは、湾曲させる前で125mmとなった。また外装体
1211の短辺は6mm、厚さは3.5mmとなった。また、二次電池1101の重量は
、4.5gとなった。
【0141】
そして図11(B)および図11(C)に示すように、眼鏡型デバイス1100のテンプ
ル部に、負極集電体214が電気的に接続されたリード電極1216bに近い部分を湾曲
させた二次電池1101を配置した。図11(B)では、テンプル部に沿って湾曲させて
二次電池1101を配置し、湾曲部の曲率半径は40mmとなった。また図11(C)で
は、湾曲した二次電池1101に樹脂を巻きつけることでテンプル部を形成した。
【0142】
眼鏡型デバイス1100の使用例を図12(A)および図12(B)に示す。図12(A
)に、発光装置を有する眼鏡型デバイス1100を示し、図12(B)に発光装置と表示
装置を有する眼鏡型デバイス1100を示す。
【0143】
図12(A)および図12(B)に示す眼鏡型デバイス1100では、湾曲した二次電池
1101に樹脂を巻きつけることでテンプル部を形成した。
【0144】
また、図11(B)、図11(C)および図12に示した二次電池1101のX線CT画
像を、図13に示す。
【0145】
図13に示すように、二次電池1101は、湾曲させても集電体および活物質層の異常は
観察されなかった。
【実施例0146】
本実施例では、実施例1で作製した二次電池1101の充放電特性を評価した結果につい
て説明する。
【0147】
まず、CC(定電流)充電、CCCV(定電流定電圧)充電およびCC放電について説明
する。
【0148】
<CC充電>
CC充電について説明する。CC充電は、充電期間のすべてで一定の電流を二次電池に流
し、所定の電圧になったときに充電を停止する充電方法である。二次電池を、図14(A
)に示すように内部抵抗Rと二次電池容量Cの等価回路と仮定する。この場合、二次電池
電圧Vは、内部抵抗Rにかかる電圧Vと二次電池容量Cにかかる電圧Vの和である
【0149】
CC充電を行っている間は、図14(A)に示すように、スイッチがオンになり、一定の
電流Iが二次電池に流れる。この間、電流Iが一定であるため、V=R×Iのオームの
法則により、内部抵抗Rにかかる電圧Vも一定である。一方、二次電池容量Cにかかる
電圧Vは、時間の経過とともに上昇する。そのため、二次電池電圧Vは、時間の経過
とともに上昇する。
【0150】
そして二次電池電圧Vが所定の電圧、例えば4.1Vになったときに、充電を停止する
。CC充電を停止すると、図14(B)に示すように、スイッチがオフになり、電流I=
0となる。そのため、内部抵抗Rにかかる電圧Vが0Vとなる。そのため、内部抵抗R
での電圧降下がなくなった分だけ、二次電池電圧Vが下降する。
【0151】
CC充電を行っている間と、CC充電を停止してからの、二次電池電圧Vと充電電流の
例を図14(C)に示す。CC充電を行っている間は上昇していた二次電池電圧Vが、
CC充電を停止してから若干低下する様子が示されている。
【0152】
<CCCV充電>
次に、CCCV充電について説明する。CCCV充電は、まずCC充電にて所定の電圧ま
で充電を行い、その後CV(定電圧)充電にて流れる電流が少なくなるまで、具体的には
終止電流値になるまで充電を行う充電方法である。
【0153】
CC充電を行っている間は、図15(A)に示すように、定電流電源のスイッチがオン、
定電圧電源のスイッチがオフになり、一定の電流Iが二次電池に流れる。この間、電流I
が一定であるため、V=R×Iのオームの法則により、内部抵抗Rにかかる電圧V
一定である。一方、二次電池容量Cにかかる電圧Vは、時間の経過とともに上昇する。
そのため、二次電池電圧Vは、時間の経過とともに上昇する。
【0154】
そして二次電池電圧Vが所定の電圧、例えば4.1Vになったときに、CC充電からC
V充電に切り替える。CV充電を行っている間は、図15(B)に示すように、定電圧電
源のスイッチがオン、定電流電源のスイッチがオフになり、二次電池電圧Vが一定とな
る。一方、二次電池容量Cにかかる電圧Vは、時間の経過とともに上昇する。V=V
+Vであるため、内部抵抗Rにかかる電圧Vは、時間の経過とともに小さくなる。
内部抵抗Rにかかる電圧Vが小さくなるに従い、V=R×Iのオームの法則により、
二次電池に流れる電流Iも小さくなる。
【0155】
そして二次電池に流れる電流Iが所定の電流、例えば0.01C相当の電流となったとき
、充電を停止する。CCCV充電を停止すると、図15(C)に示すように、全てのスイ
ッチがオフになり、電流I=0となる。そのため、内部抵抗Rにかかる電圧Vが0Vと
なる。しかし、CV充電により内部抵抗Rにかかる電圧Vが十分に小さくなっているた
め、内部抵抗Rでの電圧降下がなくなっても、二次電池電圧Vはほとんど降下しない。
【0156】
CCCV充電を行っている間と、CCCV充電を停止してからの、二次電池電圧Vと充
電電流の例を図15(D)に示す。CCCV充電を停止しても、二次電池電圧Vがほと
んど降下しない様子が示されている。
【0157】
<CC放電>
次に、CC放電について説明する。CC放電は、放電期間のすべてで一定の電流を二次電
池から流し、二次電池電圧Vが所定の電圧、例えば2.5Vになったときに放電を停止
する放電方法である。
【0158】
CC放電を行っている間の二次電池電圧Vと充電電流の例を図16に示す。放電が進む
に従い、二次電池電圧Vが降下していく様子が示されている。
【0159】
次に、放電レート及び充電レートについて説明する。放電レートとは、電池容量に対する
放電時の電流の相対的な比率であり、単位Cで表される。定格容量X(Ah)の電池にお
いて、1C相当の電流は、X(A)である。2X(A)の電流で放電させた場合は、2C
で放電させたといい、X/5(A)の電流で放電させた場合は、0.2Cで放電させたと
いう。また、充電レートも同様であり、2X(A)の電流で充電させた場合は、2Cで充
電させたといい、X/5(A)の電流で充電させた場合は、0.2Cで充電させたという
【0160】
図17(A)に、二次電池1101を平坦にした状態で充放電特性を測定した結果を示す
。また図17(B)に、図11(B)および図12で示したように端部を曲率半径40m
mで湾曲させた状態で充放電特性を測定した結果を示す。なお充電は、0.2C相当CC
CV充電、CC充電の終止電圧4.1V、CV充電の終止電流0.01Cにて行った。放
電は、0.2C相当CC放電、終止電圧2.5Vにて行った。
【0161】
図17(A)の平坦状態、および図17(B)湾曲状態の充放電特性はよく一致した。そ
のため、二次電池1101は、湾曲しても良好な充放電特性を得られることが明らかとな
った。また、二次電池1101の容量は110mAhであると示された。
【符号の説明】
【0162】
100 眼鏡型デバイス
101 二次電池
102 表示部
103 制御部
104 端子部
110 眼鏡型デバイス
112 表示部
211 外装体
211a 領域
211b 領域
211c 領域
212 正極集電体
212A 正極活物質層
212a 長さ
212b 長さ
213 セパレータ
213a 領域
213b 領域
214 負極集電体
214A 負極活物質層
214a 長さ
214b 長さ
216a リード電極
216b リード電極
217 シール材
220 電解液
221 結束材
301 ヘッドセット型デバイス
301a マイク部
301b フレキシブルパイプ
301c イヤフォン部
302 デバイス
302a 筐体
303 デバイス
303a 筐体
304 腕章型デバイス
304a 本体
304b 表示部
305 腕時計型デバイス
305a 表示部
411 CPU
412 バッテリー
413 レギュレータ
414 無線受信部
415 制御モジュール
416 表示部
417 バッテリー
418 レギュレータ
419 表示駆動回路
420 無線受信部
421 表示モジュール
422 通信回路
423 バッテリー
424 レギュレータ
425 無線受信部
426 通信モジュール
427 電源管理回路
428 無線送信部
429 無線送信部
430 無線送信部
1100 眼鏡型デバイス
1101 二次電池
1211 外装体
1211a 幅
1212 正極集電体
1212a 長辺
1212b 短辺
1212c 幅
1213 セパレータ
1213a 幅
1214 負極集電体
1214a 長辺
1214b 短辺
1214c 幅
1214d 幅
1216a リード電極
1216b リード電極
1217 シール材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を有する電子機器であって、
前記二次電池は、外装体と、複数の正極集電体と、複数の負極集電体と、電解液と、セパレータと、を有し、
前記二次電池は、前記外装体と、前記複数の正極集電体と、前記複数の負極集電体と、前記セパレータとが、湾曲した部分を有し、
前記二次電池は、前記セパレータが前記複数の正極集電体と前記複数の負極集電体に挟まれている領域を有し、
前記二次電池は、前記セパレータが前記複数の正極集電体と前記複数の負極集電体を覆うように配置されている領域を有し、
前記複数の正極集電体と、前記複数の負極集電体とは、結束材によって結束され、
前記セパレータは、前記結束材によって結束される領域に隙間を有する、電子機器。
【請求項2】
二次電池を有する電子機器であって、
前記二次電池は、外装体と、複数の正極集電体と、複数の負極集電体と、電解液と、セパレータと、を有し、
前記二次電池は、前記外装体と、前記複数の正極集電体と、前記複数の負極集電体と、前記セパレータとが、湾曲した部分を有し、
前記二次電池は、前記セパレータが前記複数の正極集電体と前記複数の負極集電体に挟まれている領域を有し、
前記二次電池は、前記セパレータが前記複数の正極集電体と前記複数の負極集電体を覆うように配置されている領域を有し、
前記複数の正極集電体と、前記複数の負極集電体とは、結束材によって結束され、
前記セパレータは、前記結束材によって結束される領域に隙間を有し、
前記電解液は、ビニレンカーボネートを有する、電子機器。
【請求項3】
二次電池を有する電子機器であって、
前記二次電池は、第1の正極集電体と、第2の正極集電体と、第1の負極集電体と、第2の負極集電体と、電解液と、セパレータと、を有し、
前記第1の正極集電体と、前記第2の正極集電体は、前記二次電池の一方の端部において電気的に接続され、
前記第1の負極集電体と、前記第2の負極集電体は、前記二次電池の他方の端部において電気的に接続され、
前記二次電池は、前記第1の正極集電体、前記第2の正極集電体、前記第1の負極集電体および前記第2の負極集電体に、湾曲した部分を有し、
前記湾曲した部分のうち最も湾曲の強い箇所は、前記二次電池の長辺の中点よりも、前記他方の端部に近く、
前記第1の負極集電体は、一方の面に負極活物質層を有し、他方の面に負極活物質を有さず、
前記第2の負極集電体は、一方の面に負極活物質層を有し、他方の面に負極活物質を有さず、
前記第1の負極集電体の前記他方の面と、前記第2の負極集電体の前記他方の面が接することを特徴とし、
前記二次電池は、前記セパレータの一部の領域に隙間を有し、
前記電解液は、ビニレンカーボネートを有する、電子機器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記セパレータはポリプロピレンを有し、
前記外装体の一方の面はポリプロピレン膜を有する、電子機器。