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  • 特開-履物及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175905
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】履物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/04 20060101AFI20231205BHJP
   A43B 13/14 20060101ALI20231205BHJP
   A43B 13/22 20060101ALI20231205BHJP
   A43B 23/02 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
A43B13/04 Z
A43B13/14 B
A43B13/14 D
A43B13/22 A
A43B23/02 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172052
(22)【出願日】2023-10-03
(62)【分割の表示】P 2022044164の分割
【原出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】390033891
【氏名又は名称】株式会社三宅デザイン事務所
(71)【出願人】
【識別番号】520214824
【氏名又は名称】株式会社MAGARIMONO
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】宮前 義之
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 拓美
(72)【発明者】
【氏名】津曲 文登
(72)【発明者】
【氏名】小野 正晴
(57)【要約】
【課題】 デザイナーにデザインの自由度を与えることができ、ソールの強度及び耐摩耗性を備えた履物及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 上面側にフレームを有するソールと、前記フレームに編み込まれた紐状体から構成されるインソールと、前記ソールに取り付けられたアッパーと、を具備することを特徴とする履物。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面側にフレームを有するソールと、
前記フレームに編み込まれた紐状体と、
前記ソールに取り付けられたアッパーと、
を具備することを特徴とする履物。
【請求項2】
前記フレームが、前記ソールの外縁に沿って設けられた縁部、及び、前記縁部において前記足のつま先及び踵に対応する部分同士を繋ぐ接続部を含むこと、
を特徴とする請求項1に記載の履物。
【請求項3】
前記フレームが前記ソールと一体化されていること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の履物。
【請求項4】
前記ソールが底面側に保護部を有すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の履物。
【請求項5】
上面側にフレームを有するソール、紐状体、及び、アッパーを準備する工程と、
前記フレームに前記紐状体を編み込んでインソールを形成する工程と、
前記ソールに前記アッパーを取り付ける工程と、
を含むことを特徴とする履物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1(実用新案登録第3137035号公報)は、所定間隔ごとに配列された縦部材にそれぞれ表裏交互に紐状部材が編み込まれた草履台を有する草履を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3137035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の草履では、着用者の足裏に接触する部分(インソール部分)も地面に接触する部分(アウトソール部分)も紐状部材で覆われているため、デザイナーによるデザインの余地に乏しい。また、ソール部分の強度及び耐摩耗性にも問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、デザイナーにソールのデザインの自由度を与えることができ、ソールの強度及び耐摩耗性を備えた履物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決すべく、本発明は、
上面側にフレームを有するソールと、
前記フレームに編み込まれた紐状体と、
前記ソールに取り付けられたアッパーと、
を具備することを特徴とする履物、を提供する。
ここで、アッパーは着用者の足の甲を覆うものであってもよいし、鼻緒のように紐状のものでもよい。
【0007】
本発明の履物では、前記フレームが、前記ソールの外縁に沿って設けられた縁部、及び、前記縁部において前記足のつま先及び踵に対応する部分同士を繋ぐ接続部を含むこと、が好ましい。
【0008】
また、本発明の履物では、前記フレームが前記ソールと一体的に成形されていること、が好ましい。
【0009】
また、本発明の履物では、前記ソールが底面側に保護部を有すること、が好ましい。ここで、保護部は、ソールと一体的に(つまりソールの底面側の厚みや強度を強化することで)形成されてもよいし、別パーツをソールの底面側に取り付けることで形成されてもよい。
【0010】
また、本発明は、
上面側にフレームを有するソール、紐状体、及び、アッパーを準備する工程と、
前記フレームに前記紐状体を編み込んでインソールを形成する工程と、
前記ソールに前記アッパーを取り付ける工程と、
を含むことを特徴とする履物の製造方法、をも提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、デザイン性に富むソール及びアッパーを採用することができるので、デザイナーにデザインの自由度を提供することができる。また、ソールに十分な強度及び耐摩耗性を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る履物1の概略を示す斜視図である。
図2】ソール2の上面図、底面図及び左右側面図である。
図3】アッパー4の上面図及び底面図である。
図4】履物1の製作工程を示す概略図である。
図5】ソール2上にインソール3を形成する工程を示す図である。
図6】ソール2にアッパー4を取り付ける方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る履物の代表的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もあり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
本実施形態では、履物の一例としてサンダルを挙げる。ただし、本発明はこれに限られず、例えば、シューズ、スリッパ、草履などでもよい。
【0015】
図1に示すように、履物1は、ソール2、インソール3及びアッパー4を具備する。図1に示す履物1は左足用であり、図示しない右足用と対で使用される。以下、履物1の各構成要素を順に説明する。
【0016】
ソール2は、例えば図2(A)~(D)に示すように、本体21、及び、本体21の上面側にフレーム22を有する。本体21とフレーム22とは一体成形や接合等により一体化されていることが好ましい。また、3Dデータと3Dプリント技術の活用により、既存の金型等での製法ではできない、本体21及びフレーム22の構造を実現している。
【0017】
本体21は、ソール2に所定の強度を与えるとともに、インソール3及びアッパー4をソール2上に保持する役割を果たす。また、本体21は、アッパー4とともに、デザイナーによるデザインの自由度が比較的大きい部位である。
【0018】
本体21は、全体として板状の部材であって、紐状体31を挿通するための縦孔51,52を有する(図2(A)参照)。縦孔51,52はソール2の上面と下面とを貫通している(図2(C)参照)。紐状体31の先端(結び目を含む)を収容するために、縦孔51,52の下面側の径は上面側の径よりも大きい。
【0019】
また、本体21は、紐状体45~47を挿通するための縦孔53及び横孔54,55を有する(図2及び図6参照)。縦孔53は、鼻緒48(図1参照)を形成するためのものであり、ソール2の上面と下面とを貫通している。また、横孔54,55は、ソール2の側面と下面の凹部56,57とを連通している(図2(B)参照)。
【0020】
次いで、フレーム22は、ソール2に紐状体31を編み込むための土台であり(図5参照)、本体21の上面から突出している(図2(D)参照)。フレーム22は、ソール2の外縁に沿って設けられた縁部23、及び、接続部24を含む(図2(A)参照)。ここで、接続部24は、本体21の上面において略縦(長さ)方向に延びており、縁部23において着用者の足のつま先及び踵に対応する部分23A,23B同士を繋いでいる。接続部24は1本でもよいし3本以上でもよく、フレーム22に編み込まれる紐状体31の太さ等に応じて適宜選択されるが、少な過ぎると紐状体31をしっかり編み込んで固定しにくく、また、多過ぎると紐上体31の編込工程が煩雑になるため、図面上に示されているように、接続部24は2本設けられているのが好ましい。
【0021】
図2(D)に示すように、フレーム22を本体21上に支持するために複数の支持部25が設けられている。あるいは、支持部25はフレーム22を本体21と一体化する役割を果たすとも言える。フレーム22と本体21の間には紐状体31を通すための隙間Sがある。
【0022】
ソール2は、ウレタン樹脂(TPUなど)、天然ゴム、合成ゴム、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ナイロンなどの樹脂材料で作製されてもよいし、木材等の他の材料で作製されてもよい。樹脂製のソール2は、3Dプリンタで作製されてもよく、例えば立体的なメッシュ構造などの複雑な構造を持つソール2を作製できる。
【0023】
図1に示すように、ソール2は、底面側に保護部26を有してもよい。本実施形態のようにソール2と保護部26とが別のパーツである場合には、ソール2はミッドソールとして、保護部26はアウトソールとして機能する。かかる保護部26は、本体21内にある紐状体31,45~47の先端部の露出を防ぎ、これらの損傷や解け・緩みを防止する。保護部26としては、耐摩耗性に優れた材料で作製されることが好ましく、例えばウレタン樹脂(TPUなど)、天然ゴム、合成ゴム、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ナイロンなどの樹脂材料で作製されてよい。
なお、例えばソール2の底面側の厚みや強度を強化することで、保護部26をソール2と一体的に形成してもよい。この場合、ソール2はミッドソールとしての役割のほか、アウトソールとしての役割をも有する。
【0024】
次いで、インソール3は、フレーム22に編み込まれた紐状体31から構成される(図5参照)。紐状体31の素材としては、ポリエステル、アクリル、コットン、レーヨン、革など、所定の強度があれば何でもよく、組み方についてもスピンドルコード、ツイストコードなど特に問わない。紐状体31の外径は、適宜選択すればよいが、滑りにくさや履き心地等の観点から、例えば5mm~10mmであるのが好ましい。なお、縦孔51,52の内径は、紐状体31の外径と同じ程度であればよい。インソール3の形成過程については後述する。
【0025】
アッパー4は、着用者の足の甲を覆う部材であって、ソール2に取り付けられる(図1参照)。本実施形態では、アッパー4はソール2とは別部材であるが、アッパー4をソール2と一体的に成形することとしてもよい。アッパー4は、シート状の部材であって、外縁に沿って、紐状体45を挿通するための通路41,42と、紐状体46,47を挿通するための通路43,44を有している(図3(A),(B)及び図6参照)。
【0026】
アッパー4は、例えば天然皮革、合成皮革、天然繊維、合成繊維、樹脂材料(TPUフィルムなど)で作製されてよい。また、紐状体45~47は、紐状体31と同じものでよい。
【0027】
次いで、履物1の製造方法を説明する。
図4に概略を示すように、履物1は、(1)構成要素の準備、(2)インソール3の形成、及び(3)アッパー4の取付といった各工程を経て製造される。以下、各工程を説明する。
【0028】
(1)ソール2、紐状体31及びアッパー4を準備する。ここで、ソール2は、3Dプリンタ等の製造装置により予め製造しておく。また、必要に応じて保護部26を準備しておく。
【0029】
(2) ソール2のフレーム22に紐状体31を編み込んでインソール3を形成する(図4(A),(B)参照)。ここでは、図5に示すように踵側からつま先側に向かって紐状体31を編んでいく方法を挙げるが、つま先側から踵側に向かって紐状体31をフレーム22に編んでいってもよい。
【0030】
具体的には、紐状体31の一端を本体21の縦孔52に挿通し、フレーム(縁部23)のかかと側の部分23Bに巻き付ける(図5(A),(B))。なお、紐状体31の一端を予め結んでおくとよい。
【0031】
次いで、紐状体31を、幅方向に隣り合う縁部23及び接続部24の間に通しながら(つまり幅方向に編みながら)、つま先に向かって編み進めていく(図5(C),(D))。紐状体31をつま先まで編み終わったら、紐状体31を縁部23のつま先側の部分23Aに巻き付け、紐状体31の他端を縦孔51に挿通し(図5(E),(F))、その他端を結ぶ。即ち、本体21の上面において、紐状体31は幅方向に走るとともに縦方向においては凹凸を繰り返すように網目が構成されており、このような構成により、着用者の足裏が滑りにくく優れた履き心地を実現する。このようにして、ソール2上にインソール3を形成する。
【0032】
(3) ソール2にアッパー4を取り付ける。
すなわち、図6に示すように、アッパー4の通路43,44にそれぞれ紐状体46,47を通し、紐状体46,47の両端をソール2の横孔55A,55Bに挿通して、凹部56,57に案内する。
【0033】
併せて、紐状体45の両端45A,45Bをソール2の縦孔53A,53Bに挿通し、環状部材48Aに挿通する。そして、紐状体45の両端45A,45Bをアッパー4の通路41,42に挿通し、ソール2の横孔54A,54Bに挿通して、凹部56に案内する。
【0034】
そして、凹部56,57内で紐状体45~47を結ぶことで、アッパー4がソール2に固定される。その後、必要に応じて、保護部26をソール2の底面側に取り付けてもよい。
【0035】
本実施形態によれば、例えば3Dプリンタにより立体的なメッシュ形状を含むソールを作成できるなど、デザイン性に富むソールを採用することができる。もちろん、デザイン性に富むアッパー4を採用することもできる。したがって、本実施形態はデザイナーに対して広範囲なデザインの自由度を提供することができる。
また、ソール2に立体的なメッシュ形状を適用することで、例えばソール2の強度を保ちつつ軽量化を実現できるなど、構造による機能を持ったソールを採用することが可能である。
【0036】
また、適切な素材の選択により、ソール2に十分な強度及び耐摩耗性を付与することができる。
【0037】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、かかる設計変更した態様も全て本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、アッパー4は、鼻緒のように紐状のものでもよい。この場合、履物1は草履のような形態を取る。
【符号の説明】
【0038】
1 履物
2 ソール
3 インソール
4 アッパー
21 本体
22 フレーム
23 縁部
24 接続部
31,45~47 紐状体

図1
図2
図3
図4
図5
図6