(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175906
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】絶縁体と金属相変化材料を用いた半導体デバイス、及び半導体デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/66 20060101AFI20231205BHJP
H10N 70/00 20230101ALI20231205BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20231205BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20231205BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231205BHJP
H01L 29/423 20060101ALI20231205BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20231205BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H01L29/66 C
H10N70/00 A
H01L29/06 301F
H01L29/44 Y
H01L29/78 301S
H01L29/78 301X
H01L29/58 G
H01L21/28 301R
H01L29/50 M
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172077
(22)【出願日】2023-10-03
(62)【分割の表示】P 2021541541の分割
【原出願日】2019-11-20
(31)【優先権主張番号】16/254,218
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガンビン、ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】コルトゥン、レイチェル、エー.
(72)【発明者】
【氏名】ハイング、ベンジャミン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大規模半導体製造に容易に組み込むことができる、導電体である金属相と絶縁体相との間の室温制御可能な相変化を有する半導体デバイスを提供する。
【解決手段】半導体デバイス500は、半導体チャネル405であってもよいし、半導体の制御端子/ゲート(ゲート領域425)の一部であってもよい相変化材料Mo
xW
1-xTe
2を組み込んでいる。相変化材料は、所定の相変化場よりも大きい電圧場が相変化材料に存在するか否かに応じて、金属相および絶縁体相のうちの1つにあることを選択可能にする。半導体の性質は、相変化材料の相に依存して変化する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チャネルと、
前記半導体チャネルの表面上に配置された、離間したソース領域およびドレイン領域と、
前記ソース領域および前記ドレイン領域の間の前記半導体チャネルの前記表面上に配置された誘電体層と、
前記半導体チャネルの前記表面とは反対側の前記誘電体層の表面上に配置され、前記ソース領域および前記ドレイン領域の間に配置されたゲート領域と、を含み、
前記ソース領域、前記ゲート領域および前記ドレイン領域はそれぞれ、MoxW1-xTe2の相変化材料を含み、
前記ソース領域、前記ゲート領域および前記ドレイン領域のそれぞれの上に配置され、前記ソース領域、前記ゲート領域および前記ドレイン領域との電気的接続を容易にする金属コンタクトとを含む
電界効果トランジスタ。
【請求項2】
前記材料組成式中のxは1.0以下の正の数であり、前記xの値は前記ソース領域および前記ゲート領域において利用される材料について異なり、前記ソース領域は、前記ゲート領域についてのx値よりも低いx値を有する
請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項3】
前記各領域の材料組成式におけるxの値が、
ソース領域では、0.7<x<0.8、
ゲート領域では、0.9<x<1.0、
ドレイン領域では、0.9<x<1.0
である請求項2に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項4】
前記相変化材料は、所定の相変化電圧よりも大きな電圧差が前記相変化材料にわたって存在するか否かに応じて、室温で、金属相および絶縁体相のうちの1つから前記金属相および前記絶縁体相のうちの他の1つに変化される
請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項5】
半導体チャネルと、
前記半導体チャネルの表面上に配置された、離間されたソース領域およびドレイン領域と、
前記ソース領域および前記ドレイン領域の間の前記半導体チャネルの表面上に配置された誘電体層と、
前記半導体チャネルの前記表面と反対側の前記誘電体層の表面上に配置され、前記ソース領域および前記ドレイン領域の間に配置されたゲート領域と、を含み、
前記ソース領域、前記ゲート領域および前記ドレイン領域はそれぞれ金属領域であり、
前記ゲート領域と前記ドレイン領域との間の前記誘電体層の表面上に配置された制御領域であって、前記制御領域を横切って制御電圧場が存在するか否かに基づいて半導体相および絶縁体相を有するMoxW1-xTe2相変化材料を含む制御領域と、を含む、電界効果トランジスタ(FET)であって、
前記半導体相の前記制御領域は、前記ゲート領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体チャネルの表面におけるトラップを不動態化するために機能し、
前記絶縁体相の前記制御領域は、前記ゲート領域に隣接する物理的に活性な領域を提示しないことによって、前記電界効果トランジスタの高周波応答を向上させる、
電界効果トランジスタ。
【請求項6】
前記材料組成式中のxは1.0以下の正の数であり、xの値は、0.1と0.9との間である
請求項5に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項7】
前記ゲート領域と前記制御領域とが互いに当接せず、離間している
請求項5に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項8】
前記ゲート領域と前記制御領域とが互いに当接し、互いに電気的に接続されている
請求項5に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項9】
前記相変化材料は前記相変化材料にわたって電圧差が存在するか否かに応じて、室温で、金属相および前記絶縁体相のうちの1つから、前記金属相および前記絶縁体相のうちの他の1つに変化する
請求項5に記載の電界効果トランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は概して、半導体デバイスに関する。より具体的には、室温において半導体相と金属相との間の電界制御可能な相変化を有する、絶縁体と半導体相変化材料を使用する半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
実質的な温度又は圧力の変化に応じて半導体相と金属相との間で変化する材料が知られている。これらは、半導体の状態と絶縁体の状態との間の相変化を誘発もしくは促進の少なくともいずれかを行うために、室温とは異なる温度、周囲大気圧とは異なる圧力で動作しなければならないという明らかな制約を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施形態の1つの目的は、現行の大規模半導体製造に容易に組み込むことができる、導電体である金属相と絶縁体相との間の室温制御可能な相変化を有する半導体デバイスを提供することである。
【0004】
本発明の実施形態のさらにもう1つの目的は、半導体デバイスの一般的なシリコン大規模製造に適合する実施形態を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な半導体デバイスは、半導体チャネルであってもよく、制御端子またはゲートの一部であり得る相変化材料であるMoxW1-xTe2を組み込んでいる。相変化材料は、所定の電界よりも大きい電圧場が相変化材料を横切って存在するか否かに応じて、金属相および絶縁体相のうちの1つにおいて制御可能である。相変化材料の物理的特性、特に導電率または導電率の欠如は、相変化材料の相に実質的に依存して変化する。
【0006】
半導体デバイスにおけるスイッチの例示的な一実施形態では、相変化材料は半導体チャネルのために使用され、オン状態では金属相中にある相変化材料に反応し、オフ状態では絶縁体相中にある相変化材料に対応する。半導体チャネルを横切って印加される外部制御可能な電圧差は、相変化材料の相を制御するフィールドを生成する。
【0007】
半導体デバイスにおけるスイッチの別の例示的な実施形態では、電界効果トランジスタ(FET)において、ソース領域およびドレイン領域がその表面上に間隔をあけて配置されている。誘電体層がソース領域とドレイン領域との間の半導体チャネルの表面上に配置され、ゲート領域が誘電体層の対向する表面上に配置され、ゲート領域がソース領域とドレイン領域との間に配置される。ソース領域、ゲート領域、及びドレイン領域はそれぞれMoxW1-xTe2相変化材料を含み、接点となる金属コンタクトが、ソース領域、ゲート領域、及びドレイン領域それぞれの領域の上に配置されることで、電気的接続を容易にする。外部から制御可能な電圧差は、相変化材料の相を制御するために、相変化材料の少なくとも一部に印加されるフィールドを生成する。
【0008】
半導体デバイスにおけるスイッチのさらなる例示的な実施形態では、FETはゲート領域とドレイン領域との間に配置された追加の制御端子を含み、追加の制御端子はMoxW1-xTe2相変化材料で作られる。外部から制御可能な電圧差は、相変化材料に印加されるフィールドを生成して、金属相と絶縁体相との間の相変化物質の相を制御する。半導
体相における追加の制御端子は、ゲート領域とドレイン領域との間の半導体チャネルの表面におけるトラップを不動態化するためのシールドとして機能する。
【発明の効果】
【0009】
絶縁体相において追加された制御端子は、ゲート領域に隣接する物理的な活性領域を提示しないことによって、FETの高周波応答を強化させる。
【0010】
本発明の実施形態の例示的な実施形態の特徴は、以下の説明、特許請求の範囲、および添付の図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明による代表的な半導体デバイスの一実施形態の上面図である。
【
図2】
図2は、本発明による半導体デバイスの別の実施形態の断面図である。
【
図3】
図3は、制御電圧の変化に対する電流の流れの例示的変化を示すグラフである。
【
図4】
図4は、製造プロセスの一点を示す、本発明による実施形態の代表的な断面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示されたものより後の処理ステップにおける代表的な断面図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す実施形態の製造の完了を示す代表的な断面図である。
【
図7】
図7は、本発明による別の実施形態を示す代表的な断面図である
【
図8】
図8は、本発明によるさらなる実施形態を示す代表的な断面図である。
【
図9】
図9は、本発明による実施形態の製造におけるステップを示すフロー図である。
【
図10】
図10は、FET実施形態で使用されるように、相変化材料の相を制御するのに十分な場を生成する電圧差を供給するために使用され得る例示的な回路を示す概略図である。
【
図11】
図11は、オン状態又はオフ状態を有する半導体デバイスにおけるスイッチとして使用される相変化材料の相を制御するのに十分なフィールドを生成することになる電圧差を供給するために使用され得る例示的な回路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、代表的な半導体デバイス100の一実施形態の上面図を示す。従来の基板105、例えば、電界効果トランジスタ(FET)の製造において一般的に使用されるようなシリコン、GaAs、InP、SiC、サファイア基板は、その上に金属領域110および金属領域140が配置される。金属コンタクトとして相互接続部120および相互接続部125は、基板105の上面に配置され、相互接続部120および相互接続部125間の基板105の上面上に縦ストリップとして配置される相変化領域130の左右の端部との導電接続を提供するように機能する。金属領域110および金属領域140は、相互に接触せず、相変化領域130から電気的に絶縁される。金属領域110および金属領域140は、相変化領域130を横切る電圧の選択可能な印加を容易にし、相変化材料が、相互接続部120から相互接続部125への電流の流れに対応する金属相または絶縁体相内にあるかどうかを制御する。
【0013】
金属領域110及び金属領域140は、相変化領域130の横方向の側面と離間したサンドイッチ構造を提供する。金属領域110および金属領域140は、必要な相変化電圧以上の所定の電圧が、例えばDC電圧源またはAC電圧源(図示せず)によってプレート間に印加された場合、半導体デバイス100のオン動作を制御する。または、DC電圧源またはAC電圧源(図示せず)によってプレート間に印加されない場合、半導体デバイス100のオフ動作を制御する。金属領域110および金属領域140は、所定の電圧が等しい場合に、半導体デバイス100のオン動作またはオフ動作を制御することで、半導体デバイス100のオン動作又はオフ動作を制御するコンデンサのそれぞれの正負の電圧板
として効果的に機能する。所定の電圧が印加されたときにプレート間に発達する電界は相変化領域130を絶縁体相および金属相のいずれか一方から他方の相に変化させるために、対応する電界を介して十分なエネルギーを提供する。プレート間に電圧(または必要な相変化電圧未満の電圧)がプレートに印加されない場合には、他の相が存在する。相変化材料は、絶縁体相または金属相のいずれかの安定な静的状態を有するように製造することができる。絶縁体相はオフ状態になっている半導体デバイス100としてのスイッチに対応し、金属相はオン状態になっている半導体デバイス100としてのスイッチに対応する。半導体デバイス100としてのスイッチのこの動作は、半導体デバイス100の温度がほぼ室温でほぼ一定のままであり、半導体デバイス100としてのスイッチ動作を容易にするために圧力変化を必要としない間に生じる。
【0014】
相変化領域130は、数ボルト、例えば約0.5~5ボルトの電圧差によって生成される電界の有無に基づいて、絶縁体相と金属相との間で変化することができるMoxW1-xTe2からなることが好ましい。この動作は、温度の変化または圧力の変化を必要としない。組成式中のxが0.66~1.0の間で変化するMoxW1-xTe2を用いて、半導体デバイス100の効果的な動作が可能である。MoとWの間の比、ならびに制御電極間の距離は、相変化を起こすために必要な電界を決定する。
【0015】
図2は、本発明による半導体デバイス200としてのスイッチの別の例示的な実施形態の断面図である。基板205上には、金属製のスイッチ制御コンタクト210が配置されている。誘電体層215は、基板205の上面を覆う。相変化領域220は誘電体層215の上面に、スイッチ制御コンタクト210と実質的に反対側に配置される。導電性相互接続部225及び導電性相互接続部230は、相変化領域220においてそれぞれの左右を接続している。これらの相互接続は導電性を提供し、外部構成要素である外付け部品(図示せず)を有する回路内における素子として半導体デバイス200としてのスイッチの接続を容易にする。誘電体層235は、相変化領域220の上面を覆って配置され、金属製のスイッチ制御コンタクト240の支持体を提供する。
図1の実施形態について説明した動作と同様に、スイッチ制御コンタクト210およびスイッチ制御コンタクト240の両端に接続された電圧によって誘起された電界を利用して、相変化領域220の相を制御することができる。この相変化領域220は次に、スイッチが金属相にあるか否か、またはスイッチが絶縁体相にある場合にはオフ状態になるか否かを決定する。スイッチ制御コンタクト240は、相変化領域220を間に挟んだサンドイッチ構成を形成する。
【0016】
図3は、Mo
xW
1-xTe
2の相の変化が半導体デバイスのオフ状態またはオン状態を制御するために使用される場合の、半導体デバイス100についての、y軸305上の電流の流れの例示的な変化対x軸310上の制御電位の変化を示すグラフ300を示す。この例では、Mo
xW
1-xTe
2中のxが1~0.66であり得る。
【0017】
0の制御電圧から始まり、315(約0.5~5ボルト)における電圧まで増加すると、それぞれの装置を通る電流の流れは、10倍程度の増加を有し、1E-08アンペアをわずかに超える。しかし、制御電圧が315における電圧から320における電圧へ非常に小さく(約30~50ミリボルトの変化)増加すると、電流の流れは約1E-05アンペアへと1000倍以上増加する。制御電圧のさらなる増加は示されるように、周縁追加電流のみをもたらす。
【0018】
320における電圧を超える制御電圧から開始して、325における電圧まで減少し、それぞれの装置を通る電流の流れは、
図3に示すように、電流の流れの適度な減少を有する。しかしながら、325における電圧から330における電圧への制御電圧の非常に小さな、さらなる電圧の減少(約30~50ミリボルトの変化)は、約1E-08アンペアへの電流の流れの1000分の1の減少を引き起こす。制御電圧のさらなる減少は、
図3
に示されるように、1E-09アンペアのさらなる電流の10分の1の減少をもたらす。オフ状態からオン状態への相転移と、オン状態からオフ状態への相転移との間に、
図3に示すようなヒステリシスループが存在することは明らかである。
【0019】
これらの実施形態に記載されているスイッチ又はトランジスタは、スイッチの両端間のVGS、およびスイッチ内の相変化領域130を流れるIDSの、10倍の電流変化のたびに約30~50ミリボルトの電圧変化が起きるという非常に急峻なスイッチング遷移を提供することを理解することが大切である。これは、電流変化10倍毎に60ミリボルト以上であるスイッチング遷移を有する従来のシリコンFETのスイッチング遷移と比較して、スイッチング状態遷移の高速度の実質的な改善を提供する。当業者には理解されるように、装置のより速いスイッチング時間は、装置がアナログRF増幅器として利用される場合のような、より高い周波数性能を改善するためにアナログ周波数領域にも対応する。
【0020】
図4、
図5、および
図6は、半導体デバイス400、500、および600をそれぞれ製造工程の別のステップで示すMo
xW
1-xTe
2を利用した実施形態の半導体デバイス400、500、および600の断面図を示している。
図4の処理ステップで見られるように、半導体デバイス400は、Si、GaAs、InP、サファイアおよびSiCのような基板408上に配置された、Si、GaAs、InGaAs、またはGaNのような典型的な半導体の半導体チャネル405を含む。ソース領域410および離間したドレイン領域415が、半導体チャネル405の上面に堆積される。誘電体420は、ソース領域410とドレイン領域415との間の半導体チャネル405の上部に配置される。ゲート領域425は誘電体420の上部、ソース領域410とドレイン領域415との間に、かつ、係合しないように堆積される。ソース領域410、ゲート領域425およびドレイン領域415は、Mo
xW
1-xに応じて合金金属MoおよびWを堆積することによってそれぞれ形成される。これらの金属は同時堆積されてもよいし、超格子が形成されてもよい。すなわち、組み合わせの成膜が次々に繰り返されてもよい。組成物中における「x」の選択は、相変化を引き起こすのに必要な電界の大きさを制御する際の1つの要因である。
【0021】
例示的な実施形態では、ソース領域410は、相転移、例えば、0.8~0.7のそれぞれのx値を有する0.2~0.3などのより高いW濃度を引き起こすために、より低い大きさの電界を必要とするように製造される。ゲート領域425は、相転移を生じさせるためにより高い大きさの電場、例えば、1~0.9の対応するX値を有する0~0.1のようなW濃度を必要とするように製造されてもよい。ドレイン領域415はゲート領域425について説明したのと同じ比率を利用して相転移を引き起こすために、より高い大きさの電界を必要とするように製造されてもよい。
【0022】
図5は、ソース領域410、ゲート領域425、およびTeの蒸気濃度にさらされたドレイン領域415を有する半導体デバイス400から生じる半導体デバイス500を示す。Teの蒸気は好ましくは400~1200℃の高温で堆積され、これは電界を印加せずに室温での相を決定する。Teが完全に反応すると、半導体デバイス500は、ソース領域510、ゲート領域525、およびドレイン領域515を有することになる。
【0023】
図6は、従来の金属層であるパッド605、610および615がそれぞれソース領域510、ゲート領域525およびドレイン領域515上に堆積された半導体デバイス600を示す。これらの金属層であるパッド605、610および615は、半導体デバイス600を外部回路に接続するために、半導体デバイス600のそれぞれの端子へのワイヤ、ランナの取り付け、またはボンディングを容易にする。したがって、半導体デバイス600は、完成した、製造されたデバイスを急峻な遷移デジタルスイッチ、または高周波増幅器としてアナログモードで動作させることが可能である。
【0024】
図7は、本発明による半導体デバイスの別の実施形態として半導体デバイス700の断面を示す。半導体デバイス700は後述するように、修正を加えて改良された従来の半導体FETを表す。従来の基板705上には半導体チャネル710が配置されている。従来のソース領域715および離間されたドレイン領域720が、半導体チャネル710の上部に配置される。ソース領域715とドレイン領域720との間にはゲート誘電体725が配置され、その上に、金属ゲート領域730がソース領域715とドレイン領域720との間に堆積されている。典型的にはドレイン領域720よりもソース領域715に近く堆積される。相変化材料735の層は、金属ゲート領域730とドレイン領域720との間に間隔を置いて配置されたゲート誘電体725の上部に堆積される。半導体デバイス700の動作中、金属ゲート領域730とドレイン領域720との間の電界が変化すると、Mo
xW
1-xTe
2からなる相変化材料735の層を金属と絶縁体との間で変換させる。金属相では、この拡張シールドプレートが図中のxxxで指定されるように、金属ゲート領域730とドレイン領域720との間に形成され得るトラップをスクリーニングする。絶縁体相では、遮蔽板として機能する相変化材料735は、もはや導通していないので、金属ゲート領域730とドレイン領域720との間に完全に金属製の遮蔽板層を使用した場合に典型的に見られる寄生的な短チャネル効果を回避する。
【0025】
図8は、本発明による半導体デバイスの別の実施形態である半導体デバイス800の断面図を示す。半導体デバイス800は後述するように、他の変形例で改良された従来のFETを表す。従来の基板805は、基板805の上に半導体チャネル810を配置している。従来のソース領域815および離間されたドレイン領域820が、半導体チャネル810の上部に配置される。ソース領域815とドレイン領域820との間にはゲート誘電体825が配置され、その上に、金属ゲート領域830がソース領域815とドレイン領域820との間に堆積され、典型的にはドレイン領域820よりもソース領域815に近い。相変化材料835の層は、ドレイン領域820に最も近く、ドレイン領域820に向かって横方向に延在するが、係合しない金属ゲート領域830の縁部に接続されたゲート誘電体825の上部に堆積される。金属ゲート領域830とドレイン領域820との間に印加されるフィールドは、相変化材料835によって提供され、オン状態およびオフ状態によって提供される、ゲート延長をターンするために利用され得る。オフ状態では、相変化材料835は、金属ゲート領域830の有効面積を、改良された高周波応答を提供するために物理的に短い金属ゲート領域830によって占有される面積のみとする絶縁体として機能する。オン状態では、相変化材料835は、ゲート領域830と相変化材料835とを組み合わせた効果的なゲートを作る金属として機能する。また、相変化延長がチャネル表面におけるシールドトラップとして機能し、ブレークダウンを改善し、短チャネル効果を緩和し、より長く効果的なゲートを提供する。
【0026】
図9は、本発明によるFET半導体の一実施形態の製造におけるステップを示すフロー図である。ステップ905では従来の半導体FET構造が製造されるが、デバイスの端子との接続を容易にするために堆積される通常の金属コンタクトは存在しない。ステップ910で、Mo
xW
1-xの層が、ソース領域、ドレイン領域およびゲート領域上に堆積される。この相変化材料は、MoおよびWの同時堆積によって堆積されてもよく、またはそれぞれの薄い単層が交互に堆積されてもよい。WとMoの比を制御して、電場を印加しない室温でも静的相を確立することができる。相変化材料への、例えば電圧差による、適切な電界の印加は、金属から絶縁体へ、または絶縁体から金属へ相変化を引き起こす。式中の有用な比率および対応するX値は、上述の通りである。ステップ915において、相変化材料の層は、相変化材料の露出表面を高温のTeの蒸気にさらすことによって、その上にTeを堆積させる。一般に、摂氏400~600度の温度を使用して堆積されたTeは室温動作で絶縁状態を有し、摂氏650~1,100度の温度を使用すると、室温動作で金属状態を有する相変化材料を生じる。最終ステップ920では、ソース領域、ドレイン
領域、およびゲート領域、それぞれの接続コンタクトを提供するために、相変化層上に金属の層が堆積される。
【0027】
図10はFET1005で使用されるように、相変化材料の相を制御するのに十分なフィールドを生成する電圧差を供給するために使用され得る例示的な回路の概略図を示す。FET1005は、ドレイン領域1010、ゲート領域1015、およびソース領域1020を含む。追加の制御ゲート端子1025は本明細書で前述したように、相変化材料735で作られる。追加の制御ゲート端子1025は
図7に示されるような相変化材料735の層の略図であり、FET1005がアクティブ/オン状態にあると仮定すると、DC電圧源1030は、負荷1035を通してドレイン領域1010に電流を供給する。ドレイン電流は、FETの半導体チャネルを通って流れ、回路素子1040を通ってソース領域1020から出て、回路を完成して電圧源1030の接地に流れる。可変DC電圧源1045は、絶縁回路素子1050を通して、動作ゲート電圧をゲート領域1015に供給する。AC信号源1055は、絶縁回路素子1060を介してゲート領域1015に結合される。FET1005の利得に応じて、AC信号源1055からの信号は、ドレイン領域1010において増幅された大きさで現れる。
【0028】
本発明のひとつの実施形態によれば、可変DC電圧源1065は、絶縁回路素子1070を通して、相変化材料からなる追加の制御ゲート端子1025に結合される。電圧源1065によって印加される電圧を変化させる相変化材料の半導体相および絶縁体相を制御する利点を、
図7および
図8に関して説明する。DC電圧源1065は、金属相と絶縁相との間で相変化材料を遷移させるために必要な所定の相変化電圧レベルを提供するのに十分な電圧範囲を有する。
【0029】
図11は、オン/オフ半導体スイッチ1100として使用される相変化材料の相を制御するのに十分なフィールドを生成する電圧差を供給するために使用され得る例示的な回路の概略図を示す。この例示的な実施形態では、チャネル1105が本明細書に記載されるような相変化材料から作製される。チャネル1105のそれぞれの端部には、金属コンタクト1110および1115が配置され、それぞれ、接続ワイヤ1120および1125の取り付けを可能にする。ワイヤは、オン/オフ半導体を、電流の流れがオン/オフ半導体スイッチ1100によって制御されるべき他の外部回路(図示せず)に接続するために利用されてもよい。誘電体層1130および1135は、チャネル1105の対向する横方向側面に配置される。金属パッド1140および1145は、それぞれ、誘電体層1130および1135上に配置され、チャネル1105とサンドイッチ構成を形成する。可変DC電圧源1150は金属パッド1140および1145の両端に接続され、それにより、ソース領域1150によって供給されるDC電圧が、チャネル1105の横方向側面に誘導される対応する内部電場を生成する。先に説明したように、チャネル1105に利用される相変化材料は、ソース領域1150によって印加される電圧を伴わず、金属相および絶縁体相のうちの1つとなる。ソース領域1150によって印加され、所定の相変化電圧レベルに到達するのに十分な電圧を用いて、チャネル1105に利用される相変化材料は、金属相および絶縁相のうちの他方に遷移する。したがって、オン/オフ半導体スイッチ1100は、チャネル1105が金属相である場合にはオン状態、チャネル1105が絶縁体相である場合にはオフ状態として制御可能に切り換えることができる。先に説明したように、オン/オフ状態間の遷移は、シリコン技術に基づく従来のスイッチよりも短い時間枠で達成できる。
【0030】
本発明の例示的な実施態様を本明細書に示し、詳細に説明したが、本発明の精神から逸脱することなく、様々な修正、追加、置換などを行うことができることが当業者には明らかであろう。
以下、本発明の付記項を記載する。
(付記項1)
対向する第1の端部及び第2の端部と、対向する第1の横方向側面及び第2の横方向側面とを有する半導体チャネルを備える半導体であって、
前記半導体チャネルは、前記半導体チャネルが金属相にある間、前記半導体チャネルを介して前記第1の端部から前記第2の端部への電流の流れを支持し、
前記半導体チャネルはMoxW1-xTe2の相変化材料から作られており、
前記相変化材料は、前記第1の横方向側面および前記第2の横方向側面にわたる電圧差が存在しない場合は前記金属相又は絶縁体相のうちの1つにあり、前記第1の横方向側面および前記第2の横方向側面にわたる相変化電圧差よりも大きい電圧差による電界が存在する場合は、前記金属相又は前記絶縁体相のうちの他の1つにあり、前記半導体チャネルが前記絶縁体相にある間、前記第1の端部から前記第2の端部へ実質的な電流が流れない
半導体デバイス。
(付記項2)
オン状態およびオフ状態を有するスイッチとして機能し、前記相変化材料に対応する前記オン状態が前記金属相にあり、前記相変化材料に対応する前記オフ状態が前記絶縁体相にある
付記項1に記載の半導体デバイス。
(付記項3)
前記半導体チャネルを支持する基板と、
第1の金属パッドおよび第2の金属パッドと、
前記基板上に配置され、前記第1の横方向側面に係合する第1の誘電体材料であって、前記第1の金属パッドを前記第1の横方向側面から分離する第1の誘電体材料と、
前記第2の横方向側面上に配置され、前記第2の金属パッドを前記第2の横方向側面から分離する第2の誘電体材料と、をさらに含み、
前記第1の金属パッドおよび前記第2の金属パッドは、前記半導体チャネルとともにサンドイッチ構成を形成し、前記第2の金属パッドに対して前記第1の金属パッドに電圧差が確立されると、前記半導体チャネルを横切るフィールドの印加を容易にする
付記項1に記載の半導体デバイス。
(付記項4)
前記金属相と前記絶縁体相との間の遷移に対応する、前記オン状態と前記オフ状態との間の遷移が、前記半導体チャネルを横切る電圧差60ミリボルトごとに電流が10倍以上となる速度で進行する
付記項2に記載の半導体デバイス。
(付記項5)
前記オン状態と前記オフ状態との間の遷移が、前記相変化材料を使用しないFETと比較して、前記半導体チャネル全体にわたる電圧差の各単位変化に対する電流変化がより大きくなるように進行する
付記項4に記載の半導体デバイス。
(付記項6)
前記相変化材料は前記半導体チャネルが実質的に室温に留まる間に、前記金属相および前記絶縁体相の一方から前記金属相および前記絶縁体相の他方に変化する
付記項1に記載の半導体デバイス。
(付記項7)
半導体チャネルと、
前記半導体チャネルの表面上に配置された、離間したソース領域およびドレイン領域と、
前記ソース領域および前記ドレイン領域の間の前記半導体チャネルの前記表面上に配置された誘電体層と、
前記半導体チャネルの前記表面とは反対側の前記誘電体層の表面上に配置され、前記ソース領域および前記ドレイン領域の間に配置されたゲート領域と、を含み、
前記ソース領域、前記ゲート領域および前記ドレイン領域はそれぞれ、MoxW1-xTe2の相変化材料を含み、
前記ソース領域、前記ゲート領域および前記ドレイン領域のそれぞれの上に配置され、前記ソース領域、前記ゲート領域および前記ドレイン領域との電気的接続を容易にする金属コンタクトとを含む
電界効果トランジスタ。
(付記項8)
前記材料組成式中のxは1.0以下の正の数であり、前記xの値は前記ソース領域および前記ゲート領域において利用される材料について異なり、前記ソース領域は、前記ゲート領域についてのx値よりも低いx値を有する
付記項7に記載の電界効果トランジスタ。
(付記項9)
前記各領域の材料組成式におけるxの値が、
ソース領域では、0.7<x<0.8、
ゲート領域では、0.9<x<1.0、
ドレイン領域では、0.9<x<1.0
である付記項8に記載の電界効果トランジスタ。
(付記項10)
前記相変化材料は、所定の相変化電圧よりも大きな電圧差が前記相変化材料にわたって存在するか否かに応じて、室温で、金属相および絶縁体相のうちの1つから前記金属相および前記絶縁体相のうちの他の1つに変化される
付記項7に記載の電界効果トランジスタ。
(付記項11)
半導体チャネルと、
前記半導体チャネルの表面上に配置された、離間されたソース領域およびドレイン領域と、
前記ソース領域および前記ドレイン領域の間の前記半導体チャネルの表面上に配置された誘電体層と、
前記半導体チャネルの前記表面と反対側の前記誘電体層の表面上に配置され、前記ソース領域および前記ドレイン領域の間に配置されたゲート領域と、を含み、
前記ソース領域、前記ゲート領域および前記ドレイン領域はそれぞれ金属領域であり、
前記ゲート領域と前記ドレイン領域との間の前記誘電体層の表面上に配置された制御領域であって、前記制御領域を横切って制御電圧場が存在するか否かに基づいて半導体相および絶縁体相を有するMoxW1-xTe2相変化材料を含む制御領域と、を含む、電界効果トランジスタ(FET)であって、
前記半導体相の前記制御領域は、前記ゲート領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体チャネルの表面におけるトラップを不動態化するために機能し、
前記絶縁体相の前記制御領域は、前記ゲート領域に隣接する物理的に活性な領域を提示しないことによって、前記電界効果トランジスタの高周波応答を向上させる、
電界効果トランジスタ。
(付記項12)
前記材料組成式中のxは1.0以下の正の数であり、xの値は、0.1と0.9との間である
付記項11に記載の電界効果トランジスタ。
(付記項13)
前記ゲート領域と前記制御領域とが互いに当接せず、離間している
付記項11に記載の電界効果トランジスタ。
(付記項14)
前記ゲート領域と前記制御領域とが互いに当接し、互いに電気的に接続されている
付記項11に記載の電界効果トランジスタ。
(付記項15)
前記相変化材料は前記相変化材料にわたって電圧差が存在するか否かに応じて、室温で、金属相および前記絶縁体相のうちの1つから、前記金属相および前記絶縁体相のうちの他の1つに変化する
付記項11に記載の電界効果トランジスタ。
【0031】
本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲において定義される。