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特開2023-175920車両用クリーナシステム、車両システム、車両用クリーナシステムによる洗浄方法、車両用クリーナ制御装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175920
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】車両用クリーナシステム、車両システム、車両用クリーナシステムによる洗浄方法、車両用クリーナ制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
B60S1/62 110
B60S1/62 120B
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172861
(22)【出願日】2023-10-04
(62)【分割の表示】P 2020505074の分割
【原出願日】2019-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2018041034
(32)【優先日】2018-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018041035
(32)【優先日】2018-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018051329
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018051339
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 和貴
(72)【発明者】
【氏名】久保田 晃宜
(72)【発明者】
【氏名】阪井 健
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠晃
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外部センサを清浄な状態にしておくためのクリーナユニットの消耗や洗浄媒体の消費を抑えること車両用クリーナシステム、車両用クリーナシステムによる洗浄方法、車両用クリーナ制御装置を提供する。
【解決手段】車両用クリーナシステム(100)は、車両(1)に搭載されて車両(1)の外部の情報を取得する外部センサに洗浄液を吐出して外部センサを洗浄するクリーナユニットと、クリーナユニットを制御するクリーナ制御部と、を備えている。クリーナ制御部)は、車両(1)の走行速度に関する車速情報を取得し、車速情報に応じて、洗浄液の吐出量、洗浄液の単位時間当たりの吐出量、洗浄液の吐出回数、洗浄液の単位時間当たりの吐出回数、および洗浄液の吐出時間の少なくとも一つを異ならせるようにクリーナユニットを制御するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて前記車両の外部の情報を取得する外部センサに洗浄液を吐出して前記外部センサを洗浄するクリーナユニットと、
前記クリーナユニットを制御するクリーナ制御部と、
を備え、
前記クリーナ制御部は、
前記車両の走行速度に関する車速情報を取得し、
前記走行速度が所定値以下の場合には前記クリーナユニットの作動を許可する一方で、前記走行速度が前記所定値よりも大きい場合には前記クリーナユニットの作動を禁止するように構成されている、車両用クリーナシステム。
【請求項2】
前記クリーナ制御部は、
前記車両の現在位置に関する位置情報と、渋滞情報とをさらに取得し、
前記位置情報および前記渋滞情報に基づいて前記車両が所定条件を満たした場合に、前記クリーナユニットの作動可否を決定するように構成されている、請求項1に記載の車両用クリーナシステム。
【請求項3】
前記所定条件は、前記車両が渋滞発生箇所から所定範囲内に位置すると判定された場合を含む、請求項2に記載の車両用クリーナシステム。
【請求項4】
前記クリーナ制御部は、前記車両が前記渋滞発生箇所の末尾に到達したと判定された場合には、前記クリーナユニットの作動を許可するように構成されている、請求項3に記載の車両用クリーナシステム。
【請求項5】
車両に搭載されて前記車両の周囲の第1領域の情報を取得する第1センサに洗浄液を吐出して前記第1センサを洗浄する第1クリーナユニットと、
前記車両に搭載されて前記車両の周囲の前記第1領域とは異なる第2領域の情報を取得する第2センサに洗浄液を吐出して前記第2センサを洗浄する第2クリーナユニットと、
前記第1クリーナユニットおよび前記第2クリーナユニットを制御するクリーナ制御部と、を備え、
前記クリーナ制御部は、
前記車両の走行速度に関する車速情報を取得し、
前記走行速度が所定値以上の場合には、前記第1クリーナユニットの作動を許可して前記第2クリーナユニットの作動を禁止するように構成されている、車両用クリーナシステム。
【請求項6】
前記第1領域は、前記車両の前方領域であり、前記第2領域は、前記車両の後方領域である、請求項5に記載の車両用クリーナシステム。
【請求項7】
車両制御部と、
車両に搭載されて前記車両の周囲の第1領域の情報を取得する第1センサに洗浄液を吐出して前記第1センサを洗浄する第1クリーナユニットと、
前記車両に搭載されて前記車両の周囲の前記第1領域とは異なる第2領域の情報を取得する第2センサに洗浄液を吐出して前記第2センサを洗浄する第2クリーナユニットと、
前記第1クリーナユニットおよび前記第2クリーナユニットを制御するクリーナ制御部と、を備え、
前記クリーナ制御部は、
前記車両の走行速度に関する車速情報を取得し、
前記走行速度が所定値以上の場合には、前記第1クリーナユニットの作動を許可して前記第2クリーナユニットの作動を禁止するように構成されている、車両システム。
【請求項8】
車両の外部の情報を取得する外部センサを洗浄するクリーナと、
前記クリーナの作動を制御するクリーナ制御部と、
を備え、
前記クリーナ制御部は、
所定条件に基づいて、前記クリーナを自動的に作動させる自動モードを実行する自動モード実行部と、
前記車両の走行速度に関する車速情報および障害物情報に基づいて、前記クリーナの作動を禁止する作動禁止部を有する、車両用クリーナシステム。
【請求項9】
前記作動禁止部は、前記車両の走行速度および障害物情報に基づいて、前記自動モードを解除する、請求項8に記載の車両用クリーナシステム。
【請求項10】
前記作動禁止部は、前記車両の走行速度および障害物情報に基づいて、作動中の前記クリーナを停止させる、請求項8に記載の車両用クリーナシステム。
【請求項11】
前記作動禁止部は、前記車両の走行速度に対応する制動距離が前記外部センサの最大検出距離以上の場合に、前記クリーナの作動を禁止する、請求項8から10の何れか一項に記載の車両用クリーナシステム。
【請求項12】
車両の外部の情報を取得する外部センサを洗浄するクリーナと、前記クリーナの作動を制御するクリーナ制御部と、を有する車両用クリーナシステムによる洗浄方法であって、
所定条件に基づいて前記クリーナを自動的に作動させる自動モードを実行中に、前記車両の走行速度および障害物情報に基づいて前記クリーナの作動を禁止する、洗浄方法。
【請求項13】
車両の外部の情報を取得する外部センサを洗浄するクリーナの作動を制御する車両用クリーナ制御装置であって、
所定条件に基づいて、前記クリーナを自動的に作動させる自動モードを実行する自動モード実行部と、
前記車両の走行速度および障害物情報に基づいて、前記クリーナの作動を禁止する作動禁止部を有する、車両用クリーナ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用クリーナシステム、車両システム、車両用クリーナシステムによる洗浄方法、車両用クリーナ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1などにより、車両に搭載されたセンサなどに洗浄液を吐出する車両用クリーナが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開2016-187990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高速自動車道などを車両が走行する場合は、一般道を車両が走行する場合に比べて、車両の走行速度は大きい。このため、車両が一般道を走行する場合よりも、車両が自動車専用道路を走行する場合には、センサはより遠くにある物体をより正確に、かつ、素早くセンシングすることが求められる。つまり、車両の走行速度が大きい場合には、センサの感度が高いことが求められる。また、車両が渋滞発生箇所に近づく状況においては、センサの感度が高いことが求められる。
【0005】
また、手動運転モードと自動運転モードを実行可能な自動運転車両においては、自動運転モードを実行する際に車両の外部の情報を取得する外部センサを清浄にしておくことが求められる。一方で、車両に搭載できる洗浄媒体の量には限りがあり、また、クリーナの消耗を抑えることも求められている。
【0006】
また、道路上に障害物がある場合には、障害物との接触を回避すべく、外部の情報を検知するセンサのセンシング感度を高くすることが求められる。
【0007】
本開示は、外部センサを清浄な状態にしておくためのクリーナユニットの消耗や洗浄媒体の消費を抑えることができる車両用クリーナシステムおよび車両システムを提供することを目的の一つとする。
【0008】
また、本開示は、車両の走行状況に応じてクリーナユニットの作動可否を選択することでセンサのセンシング感度を維持可能な車両用クリーナシステムを提供することを目的の一つとする。
【0009】
また、本開示は、障害物がある場合にセンシング感度の低下を抑制できる車両用クリーナシステム、車両用クリーナシステムによる洗浄方法、車両用クリーナ制御装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一側面に係る車両用クリーナシステムは、
車両に搭載されて前記車両の周囲の第1領域の情報を取得する第1センサに洗浄液を吐出して前記第1センサを洗浄する第1クリーナユニットと、
前記車両に搭載されて前記車両の周囲の前記第1領域とは異なる第2領域の情報を取得する第2センサに洗浄液を吐出して前記第2センサを洗浄する第2クリーナユニットと、
前記第1クリーナユニットおよび前記第2クリーナユニットを制御するクリーナ制御部と、を備え、
前記クリーナ制御部は、
前記車両の走行速度に関する車速情報を取得し、
前記走行速度が所定値以上の場合には、前記第1クリーナユニットの作動を許可して前記第2クリーナユニットの作動を禁止するように構成されている。
【0011】
本開示の一側面に係る車両システムは、
車両制御部と、
車両に搭載されて前記車両の周囲の第1領域の情報を取得する第1センサに洗浄液を吐出して前記第1センサを洗浄する第1クリーナユニットと、
前記車両に搭載されて前記車両の周囲の前記第1領域とは異なる第2領域の情報を取得する第2センサに洗浄液を吐出して前記第2センサを洗浄する第2クリーナユニットと、
前記第1クリーナユニットおよび前記第2クリーナユニットを制御するクリーナ制御部と、を備え、
前記クリーナ制御部は、
前記車両の走行速度に関する車速情報を取得し、
前記走行速度が所定値以上の場合には、前記第1クリーナユニットの作動を許可して前記第2クリーナユニットの作動を禁止するように構成されている。
【0012】
本開示の一側面に係る車両用クリーナシステムは、
車両に搭載されて前記車両の外部の情報を取得する外部センサに洗浄液を吐出して前記外部センサを洗浄するクリーナユニットと、
前記クリーナユニットを制御するクリーナ制御部と、
を備え、
前記クリーナ制御部は、
前記車両の走行速度に関する車速情報を取得し、
前記走行速度が所定値以下の場合には前記クリーナユニットの作動を許可する一方で、前記走行速度が前記所定値よりも大きい場合には前記クリーナユニットの作動を禁止するように構成されている。
【0013】
本開示の一側面に係る車両用クリーナシステムは、
車両の外部の情報を取得する外部センサを洗浄するクリーナと、
前記クリーナの作動を制御するクリーナ制御部と、
を備え、
前記クリーナ制御部は、
所定条件に基づいて、前記クリーナを自動的に作動させる自動モードを実行する自動モード実行部と、
前記車両の走行速度に関する車速情報および障害物情報に基づいて、前記クリーナの作動を禁止する作動禁止部を有するように構成されている。
【0014】
本開示の一側面に係る車両用クリーナシステムによる洗浄方法は、
車両の外部の情報を取得する外部センサを洗浄するクリーナと、前記クリーナの作動を制御するクリーナ制御部と、を備える車両用クリーナシステムによる洗浄方法であって、
所定条件に基づいて前記クリーナを自動的に作動させる自動モードを実行中に、前記車両の走行速度および障害物情報に基づいて前記クリーナの作動を禁止するように構成されている。
【0015】
本開示の一側面に係る車両用クリーナ制御装置は、
車両の外部の情報を取得する外部センサを洗浄するクリーナの作動を制御する車両用クリーナ制御装置であって、
所定条件に基づいて、前記クリーナを自動的に作動させる自動モードを実行する自動モード実行部と、
前記車両の走行速度および障害物情報に基づいて、前記クリーナの作動を禁止する作動禁止部を有するように構成されている。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一側面によれば、車両の走行速度に基づいて、車両用クリーナによりセンサを洗浄するための適した洗浄条件を選択可能な車両用クリーナシステムおよび車両システムを提供することができる。
【0017】
本開示の一側面によれば、車両の走行状況に応じてクリーナユニットの作動可否を選択することでセンサのセンシング感度を維持可能な車両用クリーナシステムを提供することができる。
【0018】
本開示の一側面によれば、障害物がある場合にセンシング感度の低下を抑制できる車両用クリーナシステム、車両用クリーナシステムによる洗浄方法、車両用クリーナ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の車両用クリーナシステムを搭載した車両の上面図である。
図2】車両システムのブロック図である。
図3】車両用クリーナシステムの模式図である。
図4】第一実施形態の車両用クリーナシステムの主要部のブロック図である。
図5】第一実施形態の車両用クリーナシステムが実行するフローチャートである。
図6】第一実施形態の車両用クリーナシステムが実行するクリーナユニットの第1作動モードおよび第2作動モードでの洗浄方法を示す図である。
図7】変形例1に係る車両用クリーナシステムが実行するクリーナユニットの第1作動モードおよび第2作動モードでの洗浄方法を示す図である。
図8A】変形例2の車両用クリーナシステムが実行するクリーナユニットの第1作動モードでの洗浄方法を示す図である。
図8B】変形例2に係る車両用クリーナシステムが実行するクリーナユニットの第2作動モードでの洗浄方法を示す図である。
図9】変形例3に係る車両用クリーナシステムが実行するフローチャートである。
図10】第二実施形態の車両用クリーナシステムの主要部のブロック図である。
図11】車両用クリーナシステムが実行するフローチャートである。
図12】車両が渋滞発生箇所に近づいた状態を示す模式図である。
図13】車両が渋滞発生箇所の末尾に到達した状態を示す図である。
図14】第三実施形態の車両用クリーナシステムの主要部のブロック図である。
図15】自車両の位置を示す模式図である。
図16A】作動禁止部の動作を説明するための図である。
図16B】作動禁止部の動作を説明するための図である。
図17】第三実施形態の車両用クリーナシステムのクリーナ制御部が実行するフローチャートである。
図18】第四実施形態の車両用クリーナシステムの主要部のブロック図である。
図19】第四実施形態の車両用クリーナシステムのクリーナ制御部が実行するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0021】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、図1に示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。また、第一実施形態から第四実施形態に共通する部分に関しては単に本実施形態と称して説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る車両用クリーナシステム100(以下、クリーナシステム100と称す)が搭載された車両1の上面図である。車両1は、クリーナシステム100を備えている。本実施形態において、車両1は自動運転モードで走行可能な自動車である。
【0023】
まず、図2を参照して車両1の車両システム2について説明する。図2は、車両システム2のブロック図を示している。図2に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、内部センサ5と、外部センサ6と、ランプ7と、HMI8(Human Machine Interface)と、GPS9(Global Positioning System)と、無線通信部10と、地図情報記憶部11とを備えている。さらに、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備えている。
【0024】
車両制御部3は、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。車両制御部3は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、各種車両制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、各種車両制御データが一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)とにより構成されている。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されている。車両制御部3は、車両1の走行を制御するように構成されている。
【0025】
ランプ7は、車両1の前部に設けられるヘッドランプやポジションランプ、車両1の後部に設けられるリヤコンビネーションランプ、車両の前部または側部に設けられるターンシグナルランプ、歩行者や他車両のドライバーに自車両の状況を知らせる各種ランプなどの少なくとも一つである。
【0026】
HMI8は、ユーザからの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等をユーザに向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイである。
【0027】
内部センサ5は、自車両の情報を取得可能なセンサである。内部センサ5は、例えば、加速度センサ、車速センサ、車輪速センサ及びジャイロセンサ等の少なくとも一つである。内部センサ5は、車両1の走行状態を含む自車両の情報を取得し、該情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
内部センサ5は、HMI8の変位を検出するセンサ、ユーザが座席に座っているかどうかを検出する着座センサ、ユーザの顔の方向を検出する顔向きセンサ、車内に人がいるかどうかを検出する人感センサなどを備えていてもよい。また、内部センサ5は、位置情報センサ(例えば、GPS)を備えてもよい。
【0028】
外部センサ6は、自車両の外部の情報を取得可能なセンサである。外部センサ6は、例えば、カメラ、レーダ、LiDAR、GPS9、無線通信部10、等の少なくとも一つである。外部センサ6は、車両1の周辺環境(他車、歩行者、道路形状、交通標識、障害物等)を含む自車両の外部の情報を取得し、該情報を車両制御部3に出力するように構成されている。あるいは、外部センサ6は、天候状態を検出する天候センサや車両1の周辺環境の照度を検出する照度センサなどを備えていてもよい。
カメラは、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラは、可視光を検出するカメラや、赤外線を検出する赤外線カメラである。
レーダは、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ又はレーザーレーダ等である。
LiDARとは、Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Rangingの略語である。LiDARは、一般にその前方に非可視光を出射し、出射光と戻り光とに基づいて、物体までの距離、物体の形状、物体の材質などの情報を取得するセンサである。
【0029】
外部センサ6の一種であるGPS9は、自車両1に対する複数の人工衛星の距離を測定することにより車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。外部センサ6の一種である無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車の走行情報を他車から受信すると共に、車両1の走行情報を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。また、無線通信部10は、例えば、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)を利用して、道路交通情報(例えば、渋滞や交通規制など)をFM多重放送やビーコンを使用してリアルタイムに受信するように構成されている。地図情報記憶部11は、地図情報が記憶されたハードディスクドライブ等の外部記憶装置であって、地図情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0030】
車両制御部3は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダルといったユーザにより操作される操作子の変位を検出する内部センサ5の出力と、車速センサや車輪速センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサなどの車両の状態を検出する内部センサ5の出力と、車両1の外部の情報を取得する外部センサ6の出力が入力されるように構成されている。車両制御部3は、これらの出力に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を生成し、必要に応じてこれらの信号を制御(加工)するように構成されている。
【0031】
ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。
【0032】
車両1は、自動運転モードと手動運転モードで走行可能である。車両制御部3は、自動運転モードと手動運転モードとを選択的に実行可能である。
【0033】
自動運転モードにおいて、車両制御部3は、車両1の外部の情報を取得する外部センサ6の出力に応じてステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を自動的に生成する。車両制御部3は、ユーザが操作可能な操作子の変位を検出する内部センサ5の出力と無関係に、外部センサ6の出力に応じてステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を自動的に生成する。
例えば自動運転モードにおいて車両制御部3は、前カメラ6cが取得した車両1の前方の周辺環境情報や、GPS9の現在位置情報と地図情報記憶部11に記憶された地図情報等に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を自動的に生成する。自動運転モードにおいて、車両1はユーザによらずに運転される。
【0034】
手動運転モードにおいて、車両制御部3は通常時に、外部センサ6の出力と無関係にステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を生成する。すなわち、手動運転モードにおいて、車両制御部3は通常時に、外部センサ6の出力と無関係に、ユーザのステアリングホイールの操作に基づいてステアリング制御信号を生成する。車両制御部3は通常時に、外部センサ6の出力と無関係に、ユーザのアクセルペダルの操作に基づいてアクセル制御信号を生成する。車両制御部3は、外部センサ6の出力と無関係に、ユーザのブレーキペダルの操作に基づいてブレーキ制御信号を生成する。手動運転モードにおいて、車両1は通常時はユーザにより運転される。
【0035】
なお、手動運転モードにおいて車両制御部3は、例えば内部センサ5である車輪速センサの出力に応じてブレーキ制御信号を制御するアンチロックブレーキ制御を実行してもよい。また、手動運転モードにおいて車両制御部3は、内部センサ5である操舵角センサ、車輪速センサやヨーレートセンサの出力に応じてステアリング制御信号やアクセル制御信号、ブレーキ制御信号の少なくとも一つを制御する横滑り防止制御(Electric Stability Control)、トラクション制御などを実行してもよい。
あるいは手動運転モードにおいて車両制御部3は緊急時に、前カメラ6cなどの外部センサ6の出力に応じてステアリング制御信号とブレーキ制御信号を生成するプリクラッシュ制御や衝突回避制御を実行してもよい。このように手動運転モードにおいて車両制御部3は緊急時には、外部センサ6の出力に応じてステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号の少なくとも一つを生成してもよい。
【0036】
手動運転モードにおいて、通常時にステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号が生成されるトリガーは、ユーザの操作するステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダルといった操作子の変位である。手動運転モードにおいて車両制御部3は通常時に、操作子の変位により生成されたステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号といった信号を内部センサ5や外部センサ6の出力に応じて制御(加工)してもよい。本実施形態において、ユーザの運転を内部センサ5や外部センサ6の出力に応じてアシストするいわゆるアシスト運転モードは、手動運転モードの一形態である。
【0037】
2018年現在で知られている自動運転モードのレベル0~5の定義に従えば、本実施形態の自動運転モードはレベル3~5(緊急時等を除く)に該当し、本実施形態の手動運転モードはレベル0~2に該当する。
【0038】
図1に戻り車両1は、外部センサ6として、前LiDAR6f、後LiDAR6b、右LiDAR6r、左LiDAR6l、前カメラ6c、後カメラ6dを有している。前LiDAR6fは車両1の前方の情報を取得するように構成されている。後LiDAR6bは車両1の後方の情報を取得するように構成されている。右LiDAR6rは車両1の右方の情報を取得するように構成されている。左LiDAR6lは車両1の左方の情報を取得するように構成されている。前カメラ6cは車両1の前方の情報を取得するように構成されている。後カメラ6dは車両1の後方の情報を取得するように構成されている。
【0039】
なお、図1に示した例では、前LiDAR6fは車両1の前部に設けられ、後LiDAR6bは車両1の後部に設けられ、右LiDAR6rは車両1の右部に設けられ、左LiDAR6lは車両1の左部に設けられた例を示しているが、本発明はこの例に限られない。例えば車両1の天井部に前LiDAR、後LiDAR、右LiDAR、左LiDARがまとめて配置されていてもよい。
【0040】
車両1は、ランプ7として、右ヘッドランプ7rと左ヘッドランプ7lを有している。右ヘッドランプ7rは車両1の前部のうちの右部に設けられ、左ヘッドランプ7lは車両1の前部のうちの左部に設けられている。右ヘッドランプ7rは左ヘッドランプ7lよりも右方に設けられている。
【0041】
車両1は、フロントウィンドウ1fと、リヤウィンドウ1bを有している。
【0042】
車両1は、本実施形態に係るクリーナシステム100を有している。クリーナシステム100は、洗浄対象物に付着する水滴や泥や塵埃等の異物を洗浄媒体を用いて除去するシステムである。本実施形態において、クリーナシステム100は、前ウィンドウウォッシャ(以降、前WWと称す)101、後ウィンドウウォッシャ(以降、後WWと称す)102、前LiDARクリーナ(以降、前LCと称す)103、後LiDARクリーナ(以降、後LCと称す)104、右LiDARクリーナ(以降、右LCと称す)105、左LiDARクリーナ(以降、左LCと称す)106、右ヘッドランプクリーナ(以降、右HCと称す)107、左ヘッドランプクリーナ(以降、左HCと称す)108、前カメラクリーナ109a、後カメラクリーナ109bを有する。各々のクリーナ101~109bは一つ以上のノズルを有し、ノズルから洗浄液または空気といった洗浄媒体を洗浄対象物に向けて吐出する。なお、各々のクリーナ101~109bをクリーナユニット110と呼ぶことがある。
【0043】
前WW101は、フロントウィンドウ1fを洗浄可能である。後WW102は、リヤウィンドウ1bを洗浄可能である。前LC103は、前LiDAR6fを洗浄可能である。後LC104は、後LiDAR6bを洗浄可能である。右LC105は、右LiDAR6rを洗浄可能である。左LC106は、左LiDAR6lを洗浄可能である。右HC107は、右ヘッドランプ7rを洗浄可能である。左HC108は、左ヘッドランプ7lを洗浄可能である。前カメラクリーナ109aは、前カメラ6cを洗浄可能である。後カメラクリーナ109bは、後カメラ6dを洗浄可能である。
【0044】
図3は、クリーナシステム100の模式図である。クリーナシステム100は、クリーナ101~109bの他に、前タンク111、前ポンプ112、後タンク113、後ポンプ114、クリーナ制御部116(制御部)を有している。
【0045】
前WW101、前LC103、右LC105、左LC106、右HC107、左HC108、前カメラクリーナ109aは、前ポンプ112を介して前タンク111に接続されている。前ポンプ112は前タンク111に貯留された洗浄液を、前WW101、前LC103、右LC105、左LC106、右HC107、左HC108、前カメラクリーナ109aに送る。
【0046】
後WW102と後LC104と後カメラクリーナ109bは、後ポンプ114を介して後タンク113に接続されている。後ポンプ114は後タンク113に貯留された洗浄液を後WW102と後LC104と後カメラクリーナ109bに送る。
【0047】
各々のクリーナ101~109bには、ノズルを開状態にさせて洗浄液を洗浄対象物に吐出させるアクチュエータが設けられている。各々のクリーナ101~109bに設けられたアクチュエータは、クリーナ制御部116に電気的に接続されている。また、クリーナ制御部116は、前ポンプ112、後ポンプ114、車両制御部3にも電気的に接続されている。
【0048】
(第一実施形態)
以下、第一実施形態の車両用クリーナシステムについて図面を参照しながら説明する。
図4は、第一実施形態に係る車両用クリーナシステム100の主要部のブロック図である。図4に示すように車両用クリーナシステム100は、外部センサ6を洗浄するクリーナユニット110と、このクリーナユニット110の動作を制御するクリーナ制御部116とを有している。なお、図4においては、クリーナユニット110として前LC103と前カメラクリーナ109aのみを示しているが、図3に示したように車両用クリーナシステム100はこの他のクリーナユニット110を有していることはもちろんである。
【0049】
前LC103および前カメラクリーナ109aは、それぞれ、洗浄媒体として空気(例えば高圧空気)を外部センサ6へ吐出するエアノズル131と、洗浄媒体として洗浄液を外部センサ6に吐出する液ノズル132と、外部センサ6の汚れを検出する汚れセンサ133を有している。具体的には、前LC103は、洗浄媒体として空気を前LiDAR6fに吐出するエアノズル131と、洗浄媒体として洗浄液を前LiDAR6fに吐出する液ノズル132と、前LiDAR6fの汚れを検出する汚れセンサ133を有している。前カメラクリーナ109aや他のクリーナユニット110も同様に、エアノズル131、液ノズル132、汚れセンサ133を有している。
【0050】
クリーナ制御部116は、前LC103および前カメラクリーナ109aのそれぞれに接続されている。クリーナ制御部116は、各々のクリーナユニット110を制御するように構成されている。クリーナ制御部116は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含む少なくとも一つのマイクロコントローラと、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子を含むその他電子回路を含んでもよい。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)である。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を含む。ROMには、クリーナユニット110の制御プログラムが記憶されてもよい。
【0051】
プロセッサは、ROMに記憶されたプログラム群から指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、電子制御ユニット(ECU)は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programammable Gate Array)等の集積回路(ハードウェア資源)によって構成されてもよい。さらに、電子制御ユニットは、少なくとも一つのマイクロコントローラと集積回路との組み合わせによって構成されてもよい。
【0052】
クリーナ制御部116は、車速情報取得部121と、洗浄対象センサ判定部122とを備えている。車速情報取得部121は、車両1の走行速度(車速)を取得する。車速情報取得部121は、内部センサとしての車速センサ5に接続されており、車速情報を取得する。洗浄対象センサ判定部122は、車速情報取得部121が取得した車速に応じて、複数の外部センサ6のうち洗浄対象の外部センサ6を特定する。
【0053】
本実施形態においては、クリーナ制御部116は、汚れセンサ133からの検出信号(例えば、汚れ信号)を受信して、外部センサ6が清浄な状態であるか否かを判定し、外部センサ6が清浄状態でない場合にはクリーナユニット110を作動させる。
【0054】
図5は、クリーナ制御部116が実行する処理の例を示すフローチャートである。
図5に示すように、ステップS1において、クリーナ制御部116は、汚れセンサ133の出力に基づいて外部センサ6が清浄状態であるか否かを判定する。例えばクリーナ制御部116は、前LiDAR6fの汚れを検出する汚れセンサ133の出力に応じて、前LiDAR6fが清浄状態であるか否かを判定する。あるいは、汚れセンサ133の出力に応じて前LiDAR6fに洗浄が必要か否かを通知する信号を前LC103がクリーナ制御部116に送信するように構成し、クリーナ制御部116は前LC103の該信号に応じて前LiDAR6fが清浄状態であるか否かを判定するように構成してもよい。クリーナ制御部116は、他のクリーナユニット110についても前LC103と同様に、洗浄対象の外部センサ6が清浄状態であるか否かを判定する。
【0055】
ステップS1において外部センサ6が清浄状態であると判定された場合(ステップS1のYes)、クリーナ制御部116は、外部センサ6が清浄状態ではないと判定されるまでステップS1の処理を繰り返す。
【0056】
一方、ステップS1において外部センサ6が清浄状態ではないと判定された場合(ステップS1のNo)、ステップS2において、クリーナ制御部116は、車速情報取得部121において、車速センサ5から車速情報を取得する。続いて、ステップS3において、クリーナ制御部116は、車速情報取得部121において取得した車速情報に基づき、車両1の車速が所定値V1以下であるか否かを判定する。
【0057】
車速が所定値V1以下であると判定された場合には(ステップS3のYes)、ステップS4において、クリーナ制御部116は、クリーナユニット110を第1作動モードで作動させる。一方、車速が所定値V1よりも大きいと判定された場合には(ステップS3のNo)、ステップS5において、クリーナ制御部116は、クリーナユニット110を第2作動モードで作動させる。
【0058】
図6は、第1作動モードでクリーナユニット110を作動させた場合と、第2作動モードでクリーナユニット110を作動させた場合における、液ノズル132からの洗浄液の吐出タイミングを示す図である。図6に示すように、例えば、車速がV1以下の場合の第1作動モードでは、クリーナ制御部116は、液ノズル132から洗浄液が所定間隔で6回吐出されるようにクリーナユニット110を作動させる。また、車速がV1よりも大きい場合の第2作動モードでは、クリーナ制御部116は、液ノズル132から洗浄液が所定の間隔で3回吐出されるようにクリーナユニット110を作動させる。このように、クリーナ制御部116は、第1作動モードと第2作動モードとにおいて洗浄液の吐出回数を異ならせるようにしてクリーナユニット110を作動させる。例えば、車速がV1より大きい場合には、車両1の前面側に搭載された外部センサ6である前LiDAR6fおよび前カメラ6cは、走行風の影響を受けて清浄状態を保ちやすい状況にあると考えられる。そのため、例えば、クリーナユニット110として前LC103と前カメラクリーナ109aを作動させる場合には、車速がV1よりも大きい場合に選択される第2作動モードにおいて、車速がV1以下の場合に選択される第1作動モードに比べて洗浄液の吐出回数を少なくすることで、洗浄液の消費を抑えることが好ましい。
【0059】
なお、ステップS4およびステップS5において、クリーナ制御部116は、クリーナユニット110の少なくとも一つを駆動させてもよいし、全てのクリーナユニット110を作動させてもよい。もっとも、自動運転モードを実行する際には前方の外部情報を取得する外部センサ6の感度が求められるため、少なくとも車両の前方の情報を取得する前カメラ6cを洗浄する前カメラクリーナ109a、および、前LiDAR6fを洗浄する前LC103を作動させるように構成することが好ましい。
【0060】
以上説明したように、第一実施形態に係る車両用クリーナシステム100によれば、クリーナ制御部116は、車速情報取得部121が取得した車速情報に応じて、洗浄液の吐出回数を異ならせるようにクリーナユニット110を制御する。この構成によれば、車速に基づいて、クリーナユニット110により外部センサ6を洗浄するための適した洗浄条件を選択することができ、外部センサ6を清浄状態に保ちつつも、クリーナユニット110の消耗や洗浄液の消費を抑えることができる。
【0061】
なお、第一実施形態の例では、クリーナ制御部116は、第1作動モードと第2作動モードとで液ノズル132から吐出される洗浄液の吐出回数を異ならせているが、この例に限られない。クリーナ制御部116は、例えば、洗浄液の吐出量、洗浄液の単位時間当たりの吐出量、洗浄液の単位時間当たりの吐出回数、および洗浄液の吐出時間の少なくとも一つを第1作動モードと第2作動モードとで異ならせるようにクリーナユニット110を制御してもよい。
【0062】
図7は、変形例1に係る第1作動モードと第2作動モードとの洗浄液の吐出タイミングを示す図である。図7に示すように、クリーナ制御部116は、第1作動モードでは洗浄液が時間T1の間連続して吐出されるようにクリーナユニット110を作動させる一方で、第2作動モードでは、洗浄液が時間T1よりも短い時間T2の間連続して吐出されるようにクリーナユニット110を作動させるようにしてもよい。例えば、クリーナユニット110として前LC103と前カメラクリーナ109aを作動させる場合には、車速がV1よりも大きい場合に選択される第2作動モードにおいて、車速がV1以下の場合に選択される第1作動モードに比べて洗浄液の吐出時間を短くすることで、洗浄液の消費を抑えることが好ましい。
【0063】
図8Aは、変形例2に係る第1作動モードでの洗浄液および空気の吐出タイミングを示す図であり、図8Bは、変形例2に係る第2作動モードでの洗浄液および空気の吐出タイミングを示す図である。
図8Aに示すように、例えば、クリーナ制御部116は、第1作動モードにおいて、液ノズル132から洗浄液を外部センサ6へ向けて吐出させた後に、エアノズル131から空気を外部センサ6に向けて吐出するようにしてもよい。クリーナ制御部116は、洗浄液による外部センサ6の洗浄が完了した時点から所定の時間T3が経過した後に、エアノズル131から空気(例えば、高圧空気)を吐出する。すなわち、空気の吐出は、洗浄液の吐出による外部センサ6の洗浄が完了した時点から時間T3だけ遅延して実施される。このような方法によれば、外部センサ6の汚れを洗浄液によって洗浄し、さらに外部センサ6に付着した洗浄液を空気により吹き飛ばすことができ、外部センサ6を清浄状態にすることができる。
一方、図8Bに示すように、第2作動モードにおいては、クリーナ制御部116は、液ノズル132から洗浄液を外部センサ6へ向けて吐出させた後に、エアノズル131からの空気の吐出は行わないようにしてもよい。
【0064】
このように、クリーナ制御部116は、車速情報に応じて、エアノズル131から吐出される空気の吐出量、空気の単位時間当たりの吐出量、空気の吐出回数、空気の単位時間当たりの吐出回数、および空気の吐出時間の少なくとも一つを異ならせるようにクリーナユニット110を制御してもよい。上述の通り、車速がV1より大きい場合には、車両1の前面側に搭載された外部センサ6である前LiDAR6fおよび前カメラ6cは、走行風の影響を受けるため、洗浄液を吐出した後に空気を吐出せずとも、外部センサ6に付着した洗浄液を空気により吹き飛ばすことができる。そのため、車速に応じて、空気の吐出態様を変化させることで、クリーナユニット110により外部センサ6を洗浄するための適した洗浄条件を選択することができ、外部センサ6を清浄状態に保ちつつも、クリーナユニット110の消耗を抑えることができる。
【0065】
図9は、変形例3に係るクリーナ制御部116が実行する処理を示すフローチャートである。
図9に示す変形例3において、ステップS1~S3は、図5に示す処理の例と同一であるため、説明は省略する。
【0066】
車速が所定値V1以下であると判定された場合には(ステップS3のYes)、ステップS14において、クリーナ制御部116は、すべてのクリーナユニット110を作動させる。すなわち、クリーナ制御部116は、すべての外部センサ6を洗浄する。
【0067】
一方、車速が所定値V1よりも大きいと判定された場合には(ステップS3のNo)、ステップS15において、クリーナ制御部116は、車両1に搭載された複数の外部センサ6のうち洗浄対象となる外部センサ6を特定する。本例では、クリーナ制御部116は、前LiDAR6f、後LiDAR6b、右LiDAR6r、左LiDAR6l、前カメラ6c、後カメラ6dのうち、車両1の前面側に配置され、車両1の前方領域(第1領域の一例)の情報を取得する前LiDAR6fおよび前カメラ6cを洗浄対象の外部センサ6として特定する。
【0068】
次に、ステップS16において、クリーナ制御部116は、特定された洗浄対象の外部センサ6(前LiDAR6fおよび前カメラ6c)に対応するクリーナユニット110の作動を許可し、洗浄対象ではない外部センサ6(後LiDAR6b、右LiDAR6r、左LiDAR6l、後カメラ6d)に対応するクリーナユニット110の作動を禁止する。これにより、洗浄対象である前LiDAR6fおよび前カメラ6cにそれぞれ対応する前LiDARクリーナ103および前カメラクリーナ109aが作動し、前LiDAR6fおよび前カメラ6cのみに、洗浄液および空気の少なくとも一方が噴射される。
【0069】
このように、変形例3に係る車両用クリーナシステム100によれば、クリーナ制御部116は、車両1の走行速度に関する車速情報を取得し、車速が所定値V1以上の場合には、車両1の前方領域(第1領域の一例)の情報を取得する外部センサ6に対応するクリーナユニット110(第1クリーナユニットの一例)の作動を許可して、車両1の後方および側方領域(第2領域の一例)の情報を取得する外部センサ6に対応するクリーナユニット110(第2クリーナユニットの一例)の作動を禁止するように構成されている。例えば、車両1が高速で走行している場合には、車両1の後方領域の情報は不要であるため、外部センサ6のうち特に車両後方に搭載された外部センサ6(後LiDAR6b、後カメラ6d)の作動を禁止することで、クリーナユニット110の消耗や洗浄液の消費を抑えることができる。
【0070】
(第二実施形態)
以下、第二実施形態の車両用クリーナシステムについて図面を参照しながら説明する。なお、第一実施形態の説明においてすでに説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。
図10は、第二実施形態に係る車両用クリーナシステム1100の主要部のブロック図である。図10に示すように車両用クリーナシステム1100は、外部センサ6を洗浄するクリーナユニット110と、このクリーナユニット110の動作を制御するクリーナ制御部1116と、を有している。なお、図10においては、クリーナユニット110として前LC103と前カメラクリーナ109aのみを示しているが、図3に示したように車両用クリーナシステム1100はこの他のクリーナユニット110を有していることはもちろんである。
【0071】
前LC103および前カメラクリーナ109aは、それぞれ、洗浄媒体として空気(例えば高圧空気)を外部センサ6へ吐出するエアノズル131と、洗浄媒体として洗浄液を外部センサ6に吐出する液ノズル132と、外部センサ6の汚れを検出する汚れセンサ133を有している。具体的には、前LC103は、洗浄媒体として空気を前LiDAR6fに吐出するエアノズル131と、洗浄媒体として洗浄液を前LiDAR6fに吐出する液ノズル132と、前LiDAR6fの汚れを検出する汚れセンサ133を有している。前カメラクリーナ109aや他のクリーナユニット110も同様に、エアノズル131、液ノズル132、汚れセンサ133を有している。
【0072】
クリーナ制御部1116は、前LC103および前カメラクリーナ109aのそれぞれに接続されている。クリーナ制御部1116は、各々のクリーナユニット110を制御するように構成されている。クリーナ制御部1116は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含む少なくとも一つのマイクロコントローラと、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子を含むその他電子回路を含んでもよい。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)である。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を含む。ROMには、クリーナユニット110の制御プログラムが記憶されてもよい。
【0073】
プロセッサは、ROMに記憶されたプログラム群から指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、電子制御ユニット(ECU)は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programammable Gate Array)等の集積回路(ハードウェア資源)によって構成されてもよい。さらに、電子制御ユニットは、少なくとも一つのマイクロコントローラと集積回路との組み合わせによって構成されてもよい。
【0074】
クリーナ制御部1116は、車速情報取得部1117と、位置情報取得部1118と、渋滞情報取得部1119とを備えている。車速情報取得部1117は、車両1の走行速度(車速)を取得する。車速情報取得部1117は、外部センサとしての車速センサ5に接続されており、車速情報を取得する。位置情報取得部1118は、GPS9に接続されており、GPS9から出力された車両1の現在位置情報(車両位置情報)を取得する。渋滞情報取得部1119は、ナビゲーションシステム1122および無線通信部10の少なくとも一方に接続されており、ナビゲーションシステム1122および無線通信部10の少なくとも一方から出力された渋滞情報を取得する。ナビゲーションシステム1122および無線通信部10は、例えば、車両外部からVICS情報を取得し、取得したVICS情報に基づいて、車両1の周辺の渋滞情報を渋滞情報取得部1119に出力する。なお、車速情報取得部1117、位置情報取得部1118、および渋滞情報取得部1119は、車速センサ5、GPS9、ナビゲーションシステム1122(または無線通信部10)から車両制御部3を介して車速情報、現在位置情報、渋滞情報のそれぞれを取得してもよい。
【0075】
図11は、クリーナ制御部1116が実行する処理の例を示すフローチャートである。
図11に示すように、ステップS21において、クリーナ制御部1116は、汚れセンサ133の出力に基づいて外部センサ6が清浄状態であるか否かを判定する。例えばクリーナ制御部1116は、前LiDAR6fの汚れを検出する汚れセンサ133の出力に応じて、前LiDAR6fが清浄状態であるか否かを判定する。あるいは、汚れセンサ133の出力に応じて前LiDAR6fに洗浄が必要か否かを通知する信号を前LC103がクリーナ制御部1116に送信するように構成し、クリーナ制御部1116は前LC103の該信号に応じて前LiDAR6fが清浄状態であるか否かを判定するように構成してもよい。クリーナ制御部1116は、他のクリーナユニット110についても前LC103と同様に、洗浄対象の外部センサ6が清浄状態であるか否かを判定する。
【0076】
外部センサ6が清浄状態であると判定された場合には(ステップS21のYes)、クリーナ制御部1116は、外部センサ6が清浄状態ではないと判定されるまでステップS21の処理を繰り返す。
【0077】
一方、外部センサ6が清浄状態ではないと判定された場合には(ステップS21のNo)、ステップS22において、クリーナ制御部1116は、渋滞情報取得部1119において、渋滞情報を取得する。渋滞情報は、例えば、VICS情報や車車間通信情報、路車間通信情報などから取得可能である。
【0078】
続いて、ステップS23において、クリーナ制御部1116は、位置情報取得部1118において車両1の車両位置情報を取得する。
【0079】
続いて、ステップS24において、クリーナ制御部1116は、取得した渋滞情報と車両位置情報とに基づき、車両1の現在位置が渋滞発生箇所から所定範囲内にあるか否かを判定する。具体的には、図12に示すように、クリーナ制御部1116は、渋滞発生箇所の末尾の車両1Aから自車両1までの距離が所定値L1(例えば、2km)以下であるか否かを判定する。クリーナ制御部1116は、GPS9から取得した車両位置情報と車速センサ5から取得した車速情報とに基づき、車両1の現在位置を正確に特定することができる。また、クリーナ制御部1116は、走行中の道路状況や天候状況に応じて、所定値L1を適宜変更することができる。例えば、車両1が高速道路(自動車専用道路)を走行中である場合には、センサの感度を高い状態で維持することが求められるため、一般道を走行中の場合と比べて、所定値L1を大きくすることが好ましい。また、雨天の場合にも高感度なセンシングが求められるため、晴天の場合と比べて、所定値L1を大きくすることが好ましい。
【0080】
車両1の現在位置が渋滞発生箇所から所定範囲内にないと判定された場合には(ステップS24のNo)、クリーナ制御部1116は、ステップS25において、クリーナユニット110の作動を許可する。これにより、クリーナユニット110が作動し、エアノズル131または液ノズル132の少なくとも一方から空気および洗浄液の少なくとも一方が外部センサ6に噴射される。その後、クリーナ制御部1116は、処理をステップS21へ戻す。
【0081】
一方、車両1の現在位置が渋滞発生箇所から所定範囲内にあると判定された場合には(ステップS24のYes)、ステップS26において、クリーナ制御部1116は、車速情報取得部1117において取得した車速情報に基づき、車両1の走行速度(車速)が所定値V1(例えば、30km/h)以下であるか否かを判定する。
【0082】
車速が所定値V1以下であると判定された場合には(ステップS26のYes)、ステップS27において、クリーナ制御部1116は、クリーナユニット110の作動を許可する。これにより、クリーナユニット110が作動し、エアノズル131または液ノズル132の少なくとも一方から空気および洗浄液の少なくとも一方が外部センサ6に噴射される。
【0083】
続いて、ステップS28において、クリーナ制御部1116は、汚れセンサ133の出力に基づいて外部センサ6が清浄状態であるか否かを判定する。外部センサ6が清浄状態であると判定された場合には(ステップS28のYes)、クリーナ制御部1116は、処理を終了する。一方、外部センサ6が清浄状態ではないと判定された場合には(ステップS28のNo)、クリーナ制御部1116は、処理をステップS26へ戻す。
【0084】
ステップS26で車速が所定値V1よりも大きいと判定された場合には(ステップS26のNo)、ステップS29において、クリーナ制御部1116は、クリーナユニット110の作動を禁止する。すなわち、この状態においては、外部センサ6の洗浄は行われない。
【0085】
続いて、ステップS30において、クリーナ制御部1116は、車両1の現在位置が渋滞発生箇所の末尾に到達したか否かを判定する。車両1が渋滞発生箇所の末尾に到達したか否かは、車両1と渋滞発生箇所の末尾の車両1Aとの距離および/または車両1の車速の変化に基づいて判定することができる。例えば、図13に示すように、渋滞発生箇所の末尾の車両1Aから自車両1までの距離が所定値L2(例えば、5m)以下である場合に、クリーナ制御部1116は、車両1が渋滞発生箇所の末尾に到達したと判定する。クリーナ制御部1116は、例えば、車両1Aと自車両1との距離に関する情報をカメラ画像処理部1123(図10参照)から取得することができる。クリーナ制御部1116は、車両1Aと自車両1との距離に関する情報を外部センサ6としての前LiDAR6fや前カメラ6cから直接取得してもよい。なお、クリーナ制御部1116は、車両1Aから自車両1までの距離が所定値L2以下である場合に加えて、あるいは、車両1Aから自車両1までの距離が所定値L2以下である場合に代えて、車両1の車速が所定値(例えば、5km/h)以下となった場合に、車両1が渋滞発生箇所の末尾に到達したと判断してもよい。
【0086】
車両1が渋滞発生箇所の末尾に到達していないと判定された場合には(ステップS30のNo)、クリーナ制御部1116は、車両1が渋滞発生箇所の末尾に到達したと判定されるまでステップS30の処理を繰り返す。
【0087】
一方、車両1が渋滞発生箇所の末尾に到達したと判定された場合には(ステップS30のYes)、ステップS31において、クリーナ制御部1116は、クリーナユニット110の作動を許可する。これにより、クリーナユニット110が作動し、エアノズル131または液ノズル132の少なくとも一方から空気および洗浄液の少なくとも一方が外部センサ6に噴射される。
【0088】
続いて、ステップS32において、クリーナ制御部1116は、汚れセンサ133の出力に基づいて外部センサ6が清浄状態であるか否かを判定する。外部センサ6が清浄状態であると判定された場合には(ステップS32のYes)、クリーナ制御部1116は、処理を終了する。一方、外部センサ6が清浄状態ではないと判定された場合には(ステップS32のNo)、クリーナ制御部1116は、処理をステップS26へ戻す。
【0089】
なお、ステップS25、ステップS27およびステップS31において、クリーナ制御部1116は、クリーナユニット110の少なくとも一つの作動を許可してもよいし、全てのクリーナユニット110の作動を許可してもよい。もっとも、自動運転モードを実行する際には前方の外部情報を取得する外部センサ6の感度が求められるため、少なくとも車両の前方の情報を取得する前カメラ6cを洗浄する前カメラクリーナ109a、および、前LiDAR6fを洗浄する前LC103を作動させるように構成することが好ましい。
【0090】
ところで、車両1が低速で走行する場合には、車両1が高速で走行する場合と比べてセンシングの感度を維持することが要求されない場合が多い。そのため、車両1が低速で走行する場合には、クリーナユニット110を作動させて洗浄液や空気を外部センサ6に吹き付けたとしても、洗浄液等がセンシングの邪魔にはなりにくい。一方、車両1が高速で走行する場合には、センシングの感度を高い状態で維持することが要求されるが、クリーナユニット110を作動させて洗浄液や空気を外部センサ6に吹き付けている間は、センシングの感度が低下して要求感度を満たさなくなる可能性がある。
【0091】
そこで、第二実施形態に係る車両用クリーナシステム1100によれば、クリーナ制御部1116は、車両1の車速情報を取得し、車速が所定値V1以下の場合にはクリーナユニット110の作動を許可する一方で、車速が所定値V1よりも大きい場合にはクリーナユニット110の作動を禁止するように構成されている。このような構成によれば、外部センサ6のセンシング感度を高い状態で維持することが要求されるタイミングではクリーナユニット110の作動を禁止することで、クリーナユニット110から噴射される洗浄液や空気によって外部センサ6のセンシング感度が低下して要求感度を満たさなくなることを抑制することができる。一方で、センシング感度がそれほど要求されないタイミングではクリーナユニット110の作動を許可することで、外部センサ6を洗浄して外部センサ6の清浄状態を保つことができる。
【0092】
特に、クリーナ制御部1116は、車両1の車両位置情報と、渋滞情報とを取得し、車両1が渋滞発生箇所から所定範囲L1内に位置すると判定された場合に、車両1の車速に基づいてクリーナユニット110の作動可否を決定するように構成されている。車両1が渋滞発生箇所に高速で接近している状況においては、外部センサ6のセンシング感度を高い状態で維持することが要求される。そのため、車両1が渋滞発生箇所から所定範囲L1内に位置しており、かつ、車速が所定値V1よりも大きい場合には、外部センサ6が清浄状態ではないと判断された場合であってもクリーナユニット110の作動を禁止することで、クリーナユニット110から噴射される洗浄液等により外部センサ6のセンシング感度が低下して要求感度を満たさなくなることを確実に抑制することが好ましい。
【0093】
また、第二実施形態の車両用クリーナシステム1100によれば、クリーナ制御部1116は、車両1が渋滞発生箇所の末尾に到達したと判定された場合には、クリーナユニット110の作動を許可するように構成されている。車両1が渋滞発生箇所に到達した場合には、外部センサ6による高感度なセンシングは要求されない場合が多いため、クリーナユニット110の作動を許可して外部センサ6を洗浄することができる。
【0094】
(第三実施形態)
以下、第三実施形態の車両用クリーナシステムについて図面を参照しながら説明する。なお、第一実施形態の説明においてすでに説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。
図14は、第三実施形態に係る車両用クリーナシステム2100の主要部のブロック図である。図14に示すように車両用クリーナシステム2100は、外部センサ6を洗浄するクリーナユニット110と、このクリーナユニット110の動作を制御するクリーナ制御部2116とを有している。なお、図14においては、クリーナユニット110として前LC103と後LC104のみを示しているが、図3に示したように車両用クリーナシステム2100はこの他のクリーナユニット110を有していることはもちろんである。
【0095】
クリーナ制御部2116(車両用クリーナ制御装置の一例)は、各々のクリーナユニット110を制御するように構成されている。クリーナ制御部2116は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含む少なくとも一つのマイクロコントローラと、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子を含むその他電子回路を含んでもよい。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)である。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を含む。ROMには、クリーナユニット110の制御プログラムが記憶されてもよい。
【0096】
プロセッサは、ROMに記憶されたプログラム群から指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、電子制御ユニット(ECU)は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programammable Gate Array)等の集積回路(ハードウェア資源)によって構成されてもよい。さらに、電子制御ユニットは、少なくとも一つのマイクロコントローラと集積回路との組み合わせによって構成されてもよい。
【0097】
クリーナ制御部2116は、車両制御部3に接続されている。車両制御部3は、車速に対応した制動距離および外部センサ6の最大検出距離の情報を予め記憶しており、クリーナ制御部2116からの要求に応じて、これらの情報を出力する。
また、クリーナ制御部2116は、車両制御部3を介して、外部センサ6(カメラ、レーダ、LiDARなど)と、無線通信部10と、車速センサ5と、クリーナ自動ボタン21と、自動運転ボタン22とに接続されている。
【0098】
外部センサ6(カメラ、レーダ、LiDARなど)は、車両1の前方の障害物(例えば、車両1の前方を走行する前走車)までの距離の情報を取得し、この情報を障害物情報として車両制御部3に出力する。無線通信部10は、路車間通信によりインフラ設備からインフラ情報を受信し、自動運転モードで車両が走行することが許された領域(以下、自動運転可能な領域と称す)に自車両1が進入することを通知する自動運転可能信号を車両制御部3に出力する。また、無線通信部10は、路車間通信によりインフラ設備からインフラ情報、車車間通信により前走車の走行情報、VICSから道路交通情報(例えば、渋滞情報や交通規制情報など)を取得し、これらの情報を障害物情報として車両制御部3に出力する。車速センサ5は、自車両1の走行速度(車速)を検出し、車速情報を車両制御部3に出力する。クリーナ自動ボタン21は、ユーザにより操作されると、クリーナ自動信号を車両制御部3に出力する。自動運転ボタン22は、ユーザにより操作されると、自動運転信号を車両制御部3に出力する。車両制御部3に出力されたこれらの情報は、適宜、クリーナ制御部2116に出力される。なお、クリーナ自動ボタン21および自動運転ボタン22は、ボタンの代わりに、スイッチ、レバー、タッチディスプレイなどで構成することができる。
【0099】
図15を用いて、自動運転可能信号を説明する。図15は、自車両1の位置を示す模式図である。第三実施形態において、高速道路Sは自動運転可能な領域であるとする。図15に示すように、高速道路Sの入口には、該道路Sが自動運転モードで車両が走行することが許可されていることを知らせる無線信号を発する発信装置が設置されている。図15において、発信装置から発せられる無線信号の強度が所定値以上となるエリアを符号Aで示している。自車両1がエリアA内に進入すると、無線通信部10は発信装置から発せられた無線信号を取得し、自動運転可能信号を車両制御部3へ出力する。また、自車両がエリアAの外に位置する場合には、車両制御部3には自動運転可能信号が入力されない。
【0100】
また、クリーナ制御部2116は、自動モード実行部2117と、作動禁止部2118とを有している。自動モード実行部2117および作動禁止部2118は、クリーナ制御部2116の電子制御ユニットにより実現される。
自動モード実行部2117は、所定条件に基づいて、クリーナユニット110を自動的に作動させるクリーナ自動モードを実行する。所定条件とは、例えば、自動車専用道路(例えば、高速道路)などの自動運転可能な領域へ進入した場合、自動運転可能な領域の進入後に自動運転モードに切り替わった場合、又は、ユーザによりクリーナ自動ボタン21が押された場合などである。自動運転可能な領域の進入後に自動運転モードに切り替わった場合とは、例えば、自動運転可能な領域の進入後に、所定処理(例えば、汚れ確認処理やプレ洗浄処理など)が行われて自動運転モードに自動的に切り替わった場合や自動運転可能な領域の進入を確認したユーザにより自動運転ボタン22が押された場合が挙げられる。
【0101】
作動禁止部2118は、車速および障害物情報に基づいて、クリーナユニット110の作動を禁止する。クリーナユニット110の作動の禁止とは、クリーナユニットが作動中にクリーナユニットの作動を停止する場合、又は、クリーナ自動モードを解除する場合を含む。障害物とは、例えば、道路上の落下物や堆積物、事故車両、渋滞により低速で走行中または停止中の前走車、交通規制などの、自車両の走行を妨げる可能性のあるものを含む。障害物情報とは、これらの障害物に関する情報であり、上述したように、例えば、外部センサ6(カメラ、レーダ、LiDARなど)や無線通信部10により取得される障害物の位置情報や道路交通情報(例えば、渋滞や交通規制など)である。
【0102】
作動禁止部2118は、自車両の前方の所定距離以内に存在する障害物情報を車両制御部3から取得すると、車速センサ5より取得した車速に対応する制動距離および外部センサ6の最大検出距離の情報を車両制御部3から取得し、制動距離が外部センサ6の最大検出距離以上になる場合に、クリーナユニット110の作動を禁止する。
【0103】
図16では、自車両の前方の10km以内に障害物が存在する例を示している。一般的に、車速と制動距離とは比例関係にある。すなわち、図16Aに示すように、車速が小さい場合には制動距離は小さくなり、自車両の制動距離よりも外部センサの最大検出距離が大きくなる。一方、図16Bに示すように、車速が大きい場合には制動距離は大きくなり、自車両の制動距離よりも外部センサの最大検出距離が小さくなる。すなわち、図16Bの場合、車速が大きいと制動距離も大きくなり、外部センサ6によって障害物を検出してから車両が障害物を回避することが難しくなる。したがって、外部センサ6は、クリーナの作動によってセンシング感度を落とさずに継続してセンシングを続けることが好ましい。このため、第三実施形態では、図16Bの場合に、外部センサ6のクリーナの作動を禁止することにより、外部カメラ6のセンシング感度の低下を抑制し、センシングを継続して行うことが可能となる。
【0104】
なお、自動モード実行部2117は、クリーナユニット110の少なくとも一つを駆動させてもよいし、全てのクリーナユニット110を作動させてもよい。もっとも、自動運転モードを実行する際には前方の外部情報を取得する外部センサ6の感度が求められるため、少なくとも車両の前方の情報を取得する前カメラ6cを洗浄する前カメラクリーナ109a、および、前LiDAR6fを洗浄する前LC103を作動させるように構成することが好ましい。
また、作動禁止部2118は、その最大検出距離が制動距離未満になった外部センサ6に対応するクリーナユニット110のみの作動を禁止してもよいし、全てのクリーナユニット110の作動を禁止させてもよい。
【0105】
次に、第三実施形態に係る車両用クリーナシステム2100の動作について説明する。図17は、クリーナ制御部2116が実行するフローチャートである。
【0106】
図17に示すように、まず、クリーナ制御部2116は、自車両1が高速道路に進入したか否かを判定する(ステップS41)。例えば、クリーナ制御部2116は、外部センサ6の無線通信部10から自動運転可能信号を取得したか否かを判定する。
自車両1が図15のエリアA外に位置し、クリーナ制御部2116が自動運転可能信号を取得していない場合(ステップS41:No)、クリーナ制御部2116は処理を終了する。
【0107】
自車両1がエリアA内に位置し、クリーナ制御部2116が自動運転可能信号を取得している場合(ステップS41:Yes)、クリーナ制御部2116の自動モード実行部2117はクリーナ自動モードを実行する(ステップS42)。例えば、自動モード実行部2117は、定期的にクリーナユニット110を駆動して外部センサ6を洗浄する。自動モード実行部2117は、所定の時間経過毎に、または、所定の距離を走行する毎に、クリーナユニット110を駆動してもよい。なお、ステップS42において、クリーナ制御部2116は、クリーナユニット110の少なくとも一つを駆動させてもよいし、全てのクリーナユニット110を作動させてもよい。
【0108】
次に、クリーナ制御部2116は、無線通信部10等から自車両の前方の所定距離(例えば、10km)以内に存在する障害物情報を取得したか否かを判定する(ステップS43)。
ステップS43でクリーナ制御部2116が障害物情報を取得していないと判定した場合(ステップS43:No)、クリーナ制御部2116はステップS42に戻りクリーナ自動モードを続行する。
ステップS43でクリーナ制御部2116が障害物情報を取得したと判定した場合(ステップS43:Yes)、クリーナ制御部2116は、車速センサ5から自車両1の車速情報を取得し、車両制御部3から自車両1の車速に対応する制動距離情報および外部センサ6の最大検出距離情報を取得する(ステップS44)。
【0109】
次に、クリーナ制御部2116は、制動距離および外部センサ6の最大検出距離を比較し、制動距離が外部センサ6の最大検出距離以上であると判定した場合(ステップS45:Yes)、クリーナ制御部2116は、作動中のクリーナユニット110の作動を停止する(ステップS46)。
ステップS45でクリーナ制御部2116が制動距離が外部センサの最大検出距離未満であると判定した場合(ステップS45:No)、クリーナ制御部2116はステップS42に戻りクリーナ自動モードを続行する。
【0110】
このように、第三実施形態に係る車両用クリーナシステム2100によれば、クリーナ制御部2116は、高速道路などの自動運転可能な領域に進入したときに、クリーナ自動モードを実行する。そして、クリーナ制御部2116は、障害物情報を取得すると、自車両1の制動距離が外部センサ6の最大検出距離以上の場合に、クリーナの作動を停止するように構成されている。このため、道路走行中に障害物情報を受信した場合には外部センサ6のクリーナユニット110を作動させないようにすることができ、外部センサ6の感度の低下を抑制し、障害物との接触を回避しやすくなる。
【0111】
なお、上述した第三実施形態においては、クリーナ自動モードを実行する所定の条件を自車両1が高速道路へ進入する場合とし、クリーナが作動中にクリーナの作動を停止するように構成した例を説明したが、本発明はこれに限られない。
【0112】
(第四実施形態)
以下、第四実施形態の車両用クリーナシステムについて図面を参照しながら説明する。なお、第一および第三実施形態の説明においてすでに説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。
図18は、第四実施形態に係る車両用クリーナシステム3100の主要部のブロック図である。第四実施形態では、第三実施形態と同一要素及び同様な工程については、その詳しい説明を省略する。
図18に示すように車両用クリーナシステム3100は、外部センサ6を洗浄するクリーナユニット110と、このクリーナユニット110の動作を制御するクリーナ制御部2116と、外部センサ6が清浄か否かを検出可能な汚れセンサ3121と、を有している。なお、図18においては、汚れセンサ3121として前LC103と後LC104用の汚れセンサのみを示しているが、図3に示したように車両用クリーナシステム3100はこの他のクリーナユニット110およびそれに対応する汚れセンサを有していることはもちろんである。また、汚れセンサ3121は、クリーナユニット110に含まれていてもよい。
【0113】
クリーナ制御部2116は、車両制御部3を介して、外部センサ6(カメラ、レーダ、LiDARなど)と、無線通信部10と、車速センサ5と、クリーナ自動ボタン21と、自動運転ボタン22と、路面状況検出部23とに接続されている。路面状況検出部23は、たとえば、天候状態を検出する天候センサなどであり、天候状態から路面の状態を判断し、路面状況情報を車両制御部3へ出力する。車両制御部3に出力された路面状況情報は、適宜、クリーナ制御部2116に出力される。
【0114】
図19は、第四実施形態に係る車両用クリーナシステム3100の動作について説明する。図19は、クリーナ制御部2116が実行するフローチャートである。
【0115】
図19に示すように、まず、クリーナ制御部2116は、ユーザによりクリーナ自動ボタン21が押されたか否かを判定する(ステップS51)。例えば、クリーナ制御部2116は、クリーナ自動ボタン21からクリーナ自動信号を取得したか否かを判定する。
クリーナ制御部2116がクリーナ自動信号を取得していない場合(ステップS51:No)、クリーナ制御部2116は処理を終了する。
【0116】
クリーナ制御部2116がクリーナ自動信号を取得している場合(ステップS51:Yes)、クリーナ制御部2116の自動モード実行部2117はクリーナ自動モードを実行する(ステップS52)。例えば、自動モード実行部2117は、汚れセンサ3121の出力に基づいて外部センサ6が清浄ではないと判断した場合にクリーナユニット110を駆動して外部センサ6を洗浄する。
なお、ステップS52の外部センサ6の洗浄が必要か否かの判定は、全ての外部センサ6について行ってもよいし、特定の外部センサ6についてのみ判定してもよい。特定の外部センサ6について洗浄が必要と判定した場合に、全ての外部センサ6を洗浄するように構成してもよい。
【0117】
次に、クリーナ制御部2116は、無線通信部10等から自車両の前方の所定距離(例えば、10km)以内に存在する障害物情報を取得したか否かを判定する(ステップS53)。
ステップS53でクリーナ制御部2116が障害物情報を取得していないと判定した場合(ステップS53:No)、クリーナ制御部2116はステップS52に戻りクリーナ自動モードを続行する。
ステップS53でクリーナ制御部2116が障害物情報を取得したと判定した場合(ステップS53:Yes)、クリーナ制御部2116は、車速センサ5から自車両1の車速情報を取得し、車両制御部3から自車両1の車速に対応する制動距離情報および外部センサ6の最大検出距離情報を取得する(ステップS54)。
【0118】
次に、クリーナ制御部2116は、路面状況検出部23から路面状況情報を受け取り、制動距離に路面の状況に応じた係数をかけて補正制動距離を算出する(ステップS55)。なお、路面の状況に応じた係数は、予め車両制御部3あるいはクリーナ制御部2116に記憶されている。例えば、晴天時には係数は1とし、一方、スリップしやすい状況のときは制動距離を大きくするために係数の値を大きくする。
【0119】
ステップS56でクリーナ制御部2116が、補正制動距離が外部センサの最大検出距離以上であると判定した場合(ステップS56:Yes)、クリーナ制御部2116は、クリーナ自動モードを解除する(ステップS57)。
ステップS56でクリーナ制御部2116が、補正制動距離が外部センサの最大検出距離未満であると判定した場合(ステップS56:No)、クリーナ制御部2116はステップS52に戻りクリーナ自動モードを続行する。
【0120】
このように、第四実施形態に係る車両用クリーナシステム3100によれば、クリーナ制御部2116は、クリーナ自動ボタン21が押されたときに、クリーナ自動モードを実行する。そして、クリーナ制御部2116は、障害物情報を取得すると、自車両1の制動距離に路面状況に応じた係数をかけることによって算出した補正制動距離が外部センサ6の最大検出距離以上の場合に、クリーナ自動モードを解除するように構成されている。このため、道路走行中に障害物情報を受信した場合には外部センサ6のクリーナユニット110を作動させないようにすることができ、外部センサ6の感度の低下を抑制し、障害物との接触を回避しやすくなる。
【0121】
なお、第四実施形態では、クリーナ制御部2116は、汚れセンサ3121の出力に基づいて外部センサ6の洗浄が必要か否かを判定するように構成されているがこれに限られない。天候情報に基づいて外部センサ6の洗浄が必要か否かを判定するようにクリーナ制御部2116を構成してもよい。
【0122】
<種々の変形例>
以上、本実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0123】
本実施形態では、車両の運転モードは、レベル0~5の運転モードを含むものとして説明したが、車両の運転モードは、これらのモードに限定されるべきではない。車両の運転モードは、これらのモードの少なくとも1つを含んでいてもよい。例えば、車両の運転モードは、いずれか一つのみを実行可能であってもよい。
【0124】
車両の運転モードの区分や表示形態は、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って適宜変更されてもよい。同様に、本実施形態の説明で記載された各運転モードの定義はあくまでも一例であって、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って、これらの定義は適宜変更されてもよい。
【0125】
本実施形態では、クリーナシステム100、1100、2100、3100を自動運転可能な車両に搭載した例を説明したが、クリーナシステム100、1100、2100、3100は自動運転不可能な車両に搭載してもよい。
【0126】
本実施形態では、クリーナシステム100、1100、2100、3100は、外部センサ6を含む構成として説明したが、クリーナシステム100、1100、2100、3100は、外部センサ6を含まない構成としてもよい。もっとも、クリーナシステム100、1100、2100、3100が外部センサ6を含んだアセンブリ体として構成されていると、外部センサ6に対するクリーナ103~106,109a,109bの位置決め精度を高めやすいので好ましい。また、クリーナシステム100、1100、2100、3100の車両1への搭載時に、外部センサ6も一緒に組み込むことができるので、車両1への組み付け性も高められる。
【0127】
本実施形態では、外部センサ6を洗浄するクリーナとして、LiDAR6f,6b,6r,6lを洗浄する103~106、および前カメラ6cを洗浄する109a,後カメラ6dを洗浄する109bを説明したが、本発明はこれに限られない。クリーナシステム100、1100、2100、3100は、レーダを洗浄するクリーナなどを、センサクリーナ103~106,109a,109bの代わりに有していてもよいし、センサクリーナ103~106,109a,109bとともに有していてもよい。
【0128】
なお、LiDAR6f,6b,6r,6lなどの外部センサ6は、検出面と、検出面を覆うカバーを有していることがある。外部センサ6を洗浄するクリーナは、検出面を洗浄するように構成されていてもよいし、センサを覆うカバーを洗浄するように構成されていてもよい。
【0129】
クリーナシステム100、1100、2100、3100が吐出する洗浄液は、水、あるいは洗剤を含む。フロント・リヤウィンドウ1f,1b、ヘッドランプ7r,7l、LiDAR6f,6b,6r,6l、カメラ6c,6dのそれぞれに吐出する洗浄媒体は、相異なっていてもよいし、同じでもよい。
【0130】
なお、本実施形態では、クリーナ101,103,105~109aが前タンク111に接続され、クリーナ102,104,109bが後タンク113に接続された例を説明したが、本発明はこれに限られない。
クリーナ101~109bが単一のタンクに接続されていてもよい。クリーナ101~109bがそれぞれ互いに異なるタンクに接続されていてもよい。
あるいは、クリーナ101~109bが、その洗浄対象の種類ごとに共通のタンクに接続されていてもよい。例えば、LC103~106が共通の第一タンクに接続され、HC107,108が、第一タンクと異なる第二タンクに接続されるように構成してもよい。
あるいは、クリーナ101~109bが、その洗浄対象の配置位置ごとに共通のタンクに接続されていてもよい。例えば、前WW101と前LC103と前カメラクリーナ109aが共通の前タンクに接続され、右LC105と右HC107が共通の右タンクに接続され、後WW102と後LC104と後カメラクリーナ109bが共通の後タンクに接続され、左LC106と左HC108が共通の左タンクに接続されるように構成してもよい。
【0131】
また、本実施形態では、クリーナ101~109bに設けられたアクチュエータを作動させることによりクリーナ101~109bから洗浄媒体を吐出させる例を説明したが、本発明はこれに限られない。
クリーナ101~109bのそれぞれに常閉バルブが設けられており、タンクとクリーナ101~109bとの間が常に高圧となるようにポンプが作動されており、クリーナ101~109bに設けられたバルブをクリーナ制御部116、1116、2116が開けることにより、クリーナ101~109bから洗浄媒体を吐出させるように構成してもよい。
あるいは、クリーナ101~109bのそれぞれがそれぞれ個別のポンプに接続されており、それぞれのポンプを個別にクリーナ制御部116、1116、2116が制御することにより、クリーナ101~109bからの洗浄媒体の吐出を制御するように構成してもよい。この場合、クリーナ101~109bのそれぞれが相異なるタンクに接続されていてもよいし、共通のタンクに接続されていてもよい。
【0132】
クリーナ101~109bには、洗浄媒体を吐出する1つ以上の吐出穴が設けられている。クリーナ101~109bは、洗浄液を吐出する1つ以上の吐出穴と、空気を吐出する1つ以上の吐出穴とが設けられていてもよい。
【0133】
各々のクリーナ101~109bは、それぞれ個別に設けてもよいし、複数をユニット化して構成してもよい。例えば、右LC105と右HC107を単一のユニットとして構成してもよい。右ヘッドランプ7rと右LiDAR6rとが一体化された態様に対して、右LC105と右HC107を単一のユニットとして構成するとよい。
【0134】
また、第三および第四実施形態では、クリーナ制御部2116をなす電子制御ユニットに自動モード実行部2117および作動禁止部2118を組み込んだ例を示しているが、自動モード実行部2117および作動禁止部2118は車両制御部3をなす電子制御ユニットに組み込んでもよいし、クリーナ制御部2116や車両制御部3とは別体として構成してもよい。また、単一の電子制御ユニットがクリーナ制御部2116と車両制御部3の両方として機能するように構成してもよい。
【0135】
また、第三および第四実施形態では、無線通信部10が、自動運転可能な領域への進入を示す自動運転可能信号を出力する例を説明したが、本発明はこれに限られない。自車両の予定進路を設定しているナビゲーションシステム(図示なし)に、この予定進路上に自動運転モードで車両が走行することが許可されている領域が含まれている場合、ナビゲーションシステムは、該領域から所定の長さだけ手前の地点(例えば1km手前)に自車両が到達したときに、クリーナ制御部2116へ自動運転可能信号を出力するように構成してもよい。
【0136】
あるいは、前カメラ6cが自動運転モードで車両が走行することが許可されている領域を示す標識などを撮像し画像認識部(図示なし)が該標識を認識したときに、画像認識部がクリーナ制御部2116へ自動運転可能信号を出力するように構成してもよい。
【0137】
また、第三および第四実施形態では、制動距離および外部センサ6の最大検出距離の情報については、予め車両制御部3に記憶されている例を説明したが、本発明はこれに限られない。制動距離および外部センサ6の最大検出距離の情報は、クリーナ制御部2116に記憶されてもよい。
【0138】
また、第三実施形態では、クリーナ実行モードでは、定期的に洗浄を行っているが、第四実施形態のように、汚れた場合にあるいは天候情報に応じて洗浄してもよい。また、第三実施形態では、制動距離とセンサの最大検出距離を比較しているが、第四実施形態のように、補正制動距離とセンサの最大検出距離を比較してもよい。
【0139】
また、第四実施形態では、クリーナ実行モードでは、汚れた場合に洗浄を行っているが、第三実施形態のように、定期的に洗浄してもよい。また、第四実施形態では、補正制動距離とセンサの最大検出距離を比較しているが、第三実施形態のように、制動距離とセンサの最大検出距離を比較してもよい。
【0140】
また、第三および第四実施形態では、制動距離が外部センサ6の最大検出距離と等しい又は長い場合にクリーナの作動を禁止する構成を説明したが、本発明はこれに限られない。外部センサ6の最大検出距離よりも制動距離が短い場合であっても、クリーナの作動を禁止することが好ましい場合がある。例えば、制動距離よりも近い位置に障害物が存在する場合に、クリーナが作動することは好ましくない。すなわち、クリーナ自動モードであっても、制動距離よりも近い位置に障害物が存在する場合に、クリーナの作動を禁止することが好ましい。
【0141】
本出願は、2018年3月19日出願の日本特許出願2018-051329号、2018年3月19日出願の日本特許出願2018-051339号、2018年3月7日出願の日本特許出願2018-041034号、および2018年3月7日出願の日本特許出願2018-041035号に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。


図1
図2
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図8A
図8B
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