(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175926
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】消火栓装置及び消火栓設備
(51)【国際特許分類】
A62C 35/20 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
A62C35/20
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023173338
(22)【出願日】2023-10-05
(62)【分割の表示】P 2022091320の分割
【原出願日】2016-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】安藤 拓史
(57)【要約】 (修正有)
【課題】前扉及び上扉を容易に開放可能し、消火栓装置を容易に取り扱うことを可能とする。
【解決手段】消火栓装置は、前面に開閉自在に設けられた前扉32と、上面に開閉自在に設けられた上扉として第1上扉34及び第2上扉36と、前扉32を開放させると共に、第2上扉36を開放させることが可能な前開きハンドル38と、を備え、前開きハンドル38を操作して前扉32と第2上扉36を開放したときに、前面から上面にかけて一連の開口部となる前面扉開口33と第2上面扉開口37が開放される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に消火用ホースが収納された消火栓装置であって、
前記消火栓装置の前面に開閉自在に設けられた前扉と、
前記消火栓装置の上面に開閉自在に設けられた上扉と、
前記前扉を開放させると共に、前記上扉を開放させることが可能な操作部と、
を備え、
前記操作部を操作して前記前扉と前記上扉を開放したときに、前記消火栓装置の前面から上面にかけて一連の開口部が開放されることを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
請求項1記載の消火栓装置であって、
前記操作部は、前記上扉の前縁側に設けられ、前記上扉の閉鎖時に前記前扉の前方上部に位置することを特徴とする消火栓装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の消火栓装置であって、
前記上扉は、
前記消火栓装置の上面に形成された第1上面扉開口に、自身の前縁側を軸として回動して開閉するように配置された第1上扉と、
前記第1上扉に形成された第2上面扉開口に、前記前縁側に相対する自身の後縁側を軸として回動して開閉するように配置された第2上扉と、
を備え、
前記操作部の操作により、前記前扉を開放させると共に、前記上扉の前記第2上扉を開放させることが可能であることを特徴とする消火栓装置。
【請求項4】
トンネル内のトンネル壁面に沿った監視員通路の路面下の内部空間である消火栓埋込部を備えた消火栓設備に於いて、
請求項1乃至3何れかに記載の消火栓装置が、前記消火栓埋込部に前記上面が前記監視員通路の路面側に露出し前記前面が道路側に露出するように埋込設置されたことを特徴とする消火栓設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に消火用ホースが収納された消火栓装置及び当該消火栓装置を備えた消火栓設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や自動車専用道路などのトンネル内に設置するトンネル非常用設備として消火栓装置が設けられており、消火栓装置は開放自在な消火栓扉を備え、先端にノズルを装着したホースと消火栓弁を含むバルブ類を収納している。
【0003】
消火栓装置は、一般的に、トンネル側壁に沿って例えば50メートル間隔でトンネル壁面に埋込み設置されている。火災を伴う車両事故が発生した場合には、監視員通路のあるトンネルでは、事故車両の運転者等の道路利用者は監視員通路の側面に設置されたステップ等により監視員通路に登り、トンネル壁面に設置された消火栓装置の消火栓扉を前方に開放してノズル付きのホースを取出して消火作業を行うようにしている。
【0004】
監視員通路は路面に対し高くした側壁通路として設けられ、トンネル内の車両通行を妨げることなく且つ安全にトンネル内に設置している消火栓装置を含む各種の機器の点検を行うことを可能としている。
【0005】
また、監視員通路のないトンネルにあっては、事故車両の運転者等の利用者は、トンネル壁面に設置された消火栓装置に近づき、同様に、消火栓扉を前方に開放してノズル付きのホースを取出して消火作業を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-181057号公報
【特許文献2】特開2008-055024号公報
【特許文献3】特開2009-285126号公報
【特許文献4】特開2006-181057号公報
【特許文献5】特開2001-238976号公報
【特許文献6】特開2003-190315号公報
【特許文献7】実開平01-138465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、シールド工法等により作られた都市型トンネルにあっては、トンネル壁面に消火栓装置を埋込み設置できない構造であり、監視員通路側面(壁面)に消火栓装置を埋込み設置する必要がある。
【0008】
しかしながら、従来の消火栓のように扉を前開きする消火栓装置を監視員通路に設置した場合には、消火栓扉が開くと建築限界を超えて道路側に飛び出す問題がある。
【0009】
この問題を解決するため、本願出願人は、監視員通路内に消火栓収納箱を埋込み設置し、道路側に面してスライド開閉される前扉を設けると共に、監視員通路面に上向きに開閉される上扉を設けた構造の消火栓収納箱の検討を進めている。
【0010】
このように監視員通路に埋込み設置された消火栓収納箱によれば、車両事故による火災の発生時に、利用者は、道路に面した前扉を開くことで、ホース収納部から簡単且つ容易にノズル付きホースを引き出して消火を行うことができる。また、消火栓装置の前に車両が停止して前扉からの操作ができない場合には、監視員通路の上扉を開くことで、停止車両に妨げられることなく、ノズル付きホースを引き出して消火を行うことができる。
【0011】
ところで、監視員通路の路面側から上扉を開くことでノズル付きホースを引き出して消火を行うことができるが、上扉を開くためには体をかがめて作業する必要があり、重量のある上扉を開くことが利用者にとって作業負担が増大させることが問題となる。
【0012】
また、道路側及び監視員通路の路面側から取り扱うために上扉及び前扉を備えており、操作場所により開放させたい扉が異なるため、従来よりも利用者にとっては消火栓装置の取り扱いが困難であることも問題となる。
【0013】
本発明は、前扉及び上扉を容易に開放可能とし、容易に取り扱うことを可能とした消火栓装置及び消火栓設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(消火栓装置)
本発明は、内部に消火用ホースが収納された消火栓装置であって、
消火栓装置の前面に開閉自在に設けられた前扉と、
消火栓装置の上面に開閉自在に設けられた上扉と、
前扉を開放させると共に、上扉を開放させることが可能な操作部と、
を備え、
操作部を操作して前扉と上扉を開放したときに、消火栓装置の前面から上面にかけて一連の開口部が開放されることを特徴とする。
【0015】
(操作部の位置)
操作部は、上扉の前縁側に設けられ、上扉の閉鎖時に前扉の前方上部に位置する。
【0016】
(上扉の構成)
上扉は、
消火栓装置の上面に形成された第1上面扉開口に、自身の前縁側を軸として回動して開閉するように配置された第1上扉と、
第1上扉に形成された第2上面扉開口に、前縁側に相対する自身の後縁側を軸として回動して開閉するように配置された第2上扉と、
を備え、
操作部の操作により、前扉を開放させると共に、上扉の第2上扉を開放させることが可能である。
【0017】
(消火栓設備)
本発明の別形態にあっては、トンネル内のトンネル壁面に沿った監視員通路の路面下の内部空間である消火栓埋込部を備えた消火栓設備に於いて、
前述した消火栓装置が、消火栓埋込部に上面が監視員通路の路面側に露出し前面が道路側に露出するように埋込設置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
(消火栓装置による効果)
本発明は、内部に消火用ホースが収納された消火栓装置であって、消火栓装置の前面に開閉自在に設けられた前扉と、消火栓装置の上面に開閉自在に設けられた上扉と、前扉を開放させると共に、上扉を開放させることが可能な操作部と、を備え、操作部を操作して前扉と上扉を開放したときに、消火栓装置の前面から上面にかけて一連の開口部が開放されるため、1つの操作部で前扉及び上扉を容易に開放することを可能とし、前面から上面にかけて広く開放された開口部から容易に消火用ホースを取り出すことを可能とする。
【0019】
(操作部の位置の効果)
操作部は、上扉の前縁側に設けられ、上扉の閉鎖時に前扉の前方上部に位置するため、消火栓装置の前面側、上面側の何れからも容易に操作部を操作することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】自動車専用道路のトンネル内に設置された消火栓設備を含むトンネル非常用設備を示した説明図
【
図2】通常時における消火栓収納箱の外観を示した説明図
【
図3】
図2の消火栓収納箱の外観を正面及び平面から示した説明図
【
図4】
図2の消火栓収納箱の外観を側面から示した説明図
【
図5】前開き機構が設けられた消火栓収納箱の前開きハンドルの部分を取り出して示した説明図
【
図6】第2上扉を前開きして前扉の落下によりスライド開放させる前開き機構の機構構造を示した説明図
【
図8】道路側から操作する場合の前扉と第2上扉の開放操作を示した説明図
【
図9】前扉の裏側に設けられたアシスト機構を示した説明図
【
図10】
図9のアシスト機構に設けたガススプリングとダンパを取出して示した説明図
【
図11】
図9の実施形態における前扉のストロークに対するガススプリングの荷重変化を示したグラフ図
【
図12】ガススプリングのみで構成された前扉のアシスト機構の他の実施形態を示した説明図
【
図13】監視員通路側から操作する場合の第1上扉の開放操作を示した説明図
【
図14】第1上扉に設けられた上扉アシストステー機構を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
[トンネル非常用設備の概要]
図1は自動車専用道路のトンネル内に設置された消火栓設備を含むトンネル非常用設備を示した説明図である。
図1に示すように、シールド工法により構築されたトンネル10内は円筒形のトンネル壁面12により覆われ、床版18により仕切られることで道路15が設けられており、この例にあっては、道路15は1方向2車線としている。
【0022】
床版18で仕切られた道路15の左側のトンネル壁面12に沿って監視員通路14が設けられ、監視員通路14の下側の内部空間はダクト22として利用され、電線管等が敷設される。監視員通路14は例えば高さが90センチメートル、横幅が70センチメートルといった大きさをもつ。
【0023】
道路15が形成された床版18の下側はトンネル横方向に複数の区画に仕切られており、例えば、監視員通路14の下に位置する区画は、管理用通路20として使用され、また、管理用通路20はトンネル内での火災発生時には、緊急避難通路として使用される。管理用通路20には給水本管24が敷設されている。
【0024】
トンネル10の長手方向の50メートルおきには、消火栓設備16が設置され、消火栓設備16の消火栓装置はホースが収納された消火栓収納箱30と放水制御機構収納部26に分離して設置されている。
【0025】
消火栓収納箱30は、監視員通路14の路面及び道路15側の壁面にかけて箱形に刳り貫かれた消火栓埋込部に配置されている。放水制御機構収納部26は、消火栓収納箱30の下側となる管理用通路20に配置され、給水本管24から分岐した分岐配管24aが引き込まれ、また、消火栓収納箱30に消火用水を供給する給水配管25が立ち上げられている。
【0026】
[消火栓設備]
図2は通常時における消火栓収納箱の外観を示した説明図、
図3は
図2の消火栓収納箱の外観を正面及び平面から示した説明図、
図4は
図2の消火栓収納箱の外観を側面から示した説明図である。
【0027】
(消火栓収納箱の外観構造)
図2乃至
図4に示すように、消火栓設備16の消火栓収納箱30は、監視員通路14の路面下の内部空間に埋込み設置されている。消火栓収納箱30は、筐体31の前面中央の上側に形成された前面扉開口33に前扉32が上下方向にスライド自在に配置されている。
【0028】
また、消火栓収納箱30の監視員通路14の路面側となる上面中央に形成された第1上面扉開口35には、前扉32と同じ横幅の第1上扉34が配置されている。更に、第1上扉34の前側中央には第2上面扉開口37が形成され、ここに第2上扉36が配置されている。
【0029】
第1上扉34は扉前縁の両側を、筐体31の上部の前縁コーナー部に配置した円弧状のヒンジ46により軸支されており、
図4の第1上扉34aに示すように、ヒンジ46の回動により上向きに開放させる後ろ開きができるようにしている。
【0030】
第2上扉36は扉後縁を第1上扉34の第2上面扉開口37にヒンジ42により軸支されており、
図4の第2上扉36aに示すように、ヒンジ42を中心に上向きに開放させる前開きができるようにしている。
【0031】
第2上扉36の前縁にはヒンジ44により前開きハンドル38が軸支されており、前開きハンドル38のハンドル本体に設けられた前開き機構により、第2上扉36の閉鎖状態で、前扉32が図示の閉鎖状態に係止されており、利用者が道路15側から操作する場合には、前開きハンドル38を開操作すると、第2上扉36に対する前扉32の係止が解除され、前扉32は自重により筐体31の裏側に落下して前面扉開口33を開放させ、また、第1上扉36を前開きすることで、消火栓収納箱30の第2上面扉開口37を開放させる。
【0032】
前扉32の裏側には、後の説明で明らかにするように、ガススプリングとダンパを備えたアシスト機構が設けられている。
【0033】
ここで、第1上扉34を筐体31の前縁コーナー部に回動自在に軸支させるヒンジ46と、第2上扉36の前縁に前開きハンドル38を軸支させるヒンジ44は、両者の軸心線が同軸となるように配置されており、筐体31及び前扉32を閉鎖位置に係止している前開きハンドル38を固定側として、ヒンジ44,46により第2上扉36と共に第1上扉34を後開き自在に軸支している。
【0034】
消火栓収納箱30の前面左上部には通報装置パネル48が設けられる。通報装置パネル48には、赤色表示灯50及び発信機52、応答ランプ54及び電話ジャック55が設けられている。赤色表示灯50は常時点灯し、消火栓設備の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機52を押して押し釦スイッチをオンすると、発信信号が監視室の監視センター等に設置された防災受信盤に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が防災受信盤から送られて、応答ランプ54が点灯され、更に、赤色表示灯50が点滅される。
【0035】
[前開き機構]
図5は前開き機構が設けられた消火栓収納箱の前開きハンドルの部分を取り出して示した説明図であり、
図5(A)は正面を示し、
図5(B)は
図5(A)のX-Xから見た側面を示す。
図6は第2上扉を前開きして前扉の落下によりスライド開放させる前開き機構の機構構造を示した説明図であり、
図6(A)は閉鎖状態を示し、
図6(B)は前開きハンドルを開操作した状態を示す。
【0036】
図5に示すように、消火栓収納箱30の上面に配置された第2上扉36の先端にヒンジ44で軸支された前開きハンドル38のハンドル本体38aの両側には、前開き機構の軸部材56が取り出されおり、第2上扉36の閉鎖状態で軸部材56の先端は、前扉32の裏側に配置された軸受部材58の軸穴に挿入されており、これにより第2上扉36に前扉32が係止され、閉鎖位置に保持されている。
【0037】
軸部材56は前開きハンドル38をリフトアップすると、内側に引き込まれ、軸受部材58の軸穴から抜けることで、前扉32の係止が解除され、前扉32は自重によりスライドしながら落下して前面扉開口33を開放させる。
【0038】
図6(A)に示すように、前開き機構60は、ハンドル本体38a内に、一対の屈曲したリンク62の一端が移動支点64で連結され、リンク62の屈曲位置が回動支点66としてハンドル本体38a側に固定され、リンク62の他端はスライド支点70として、軸部材56の軸端の支点68に連結されており、更に、移動支点64はスプリング72により図示で上方向に付勢されている。
【0039】
前開きハンドル38を操作していない場合、スプリング72の力を受けて、リンク62は外側に回動することで、軸部材56を軸受部材58の軸穴58aに嵌め入れ、第2上扉36に前扉32を係止させている。
【0040】
前開きンドル38をリフトアップすると、
図6(B)に示すように、図示しないリンク機構を介して移動支点64がスプリング72に抗して下側に移動し、これによりリンク62は内側に回動し、軸部材56を内側に引き込むことで、軸受部材58の軸穴58aから軸部材56の先端を引き外し、前扉32の係止が解除され、前扉32は自重によりスライドしながら落下して前面扉開口33を開放させる。
【0041】
なお、前開き機構60は
図6のリンク機構に限定されず、前開きハンドル32のリフトアップにより軸部材56を内側に引き込んで軸受部材58の軸穴58aから引き外す適宜のリンク機構が含まれる。
【0042】
[消火栓収納箱の内部構造]
図7は消火栓収納箱の内部構造を示した説明図であり、
図7(A)は正面を示し、
図7(B)は
図7(A)のY-Y断面から見た側面を示す。
【0043】
図7に示すように、消火栓収納箱30における筐体31の内部下側はホース収納部74となっており、保形構造のホース76を水平回りに重ねて内巻きしている。
【0044】
筐体31の平面からみた長方形は、横幅は約1.4メートル程度、奥行きは約0.35メートル程度であることから、ホース収納部74にホース76を内巻きした場合、ホース76の内巻き形状は、2つの平行線と2つの半円からなる角丸長方形となり、平面長方形の筐体31内に内巻きされたホース76の1ターンの長さは概ね3.5メートル程度となり、ホース長さは30メートル以上必要とすることから、ホース76は9ターン以上重ねて内巻きすればよい。
【0045】
ここで、筐体31内に角丸長方形に内巻きされたホース76を、平行線ホース部分76a,76c及び半円ホース部分76b,76dで示している。
【0046】
筐体31の中央前面側には、筐体31内に角丸長方形に内巻きされるホース76の前面側の平行線ホース部分76aを内側に変形させるホースガイド構造80が設けられる。
【0047】
ホースガイド構造80は金属パイプを用いた4本のガイドパイプ80a,80b,80c,80dを底板81に起立させており、両端のガイドパイプ80a,80dは筐体31の内面に沿って起立され、中央のガイドパイプ80b,80cは所定長さ内側に離して起立させ、ホース76をホースガイド構造80のガイドパイプ80a,80b,80c,80dに沿って内巻きすることで、ホース76の前面側の平行線ホース部分76aが内側に変形されて略ひょうたん形に近い形状となり、この変形によりホース76の変形された平行線ホース部分76aには外側に広がろうとする反発力が発生している。
【0048】
このようなホースガイド構造80が設けられたことで、筐体31内に重ねて内巻きされたホース76は、角丸長円形の平行線ホース部分76aがホースガイド構造80により内側に変形されることで、外側に広がろうとする反発力が発生し、筐体31の内壁側に押し付ける力が発生することで、重ねて内巻きしたホース76の平行線ホース部分76a,76cが長くなっても内側に崩れてしまうことを確実に防止可能とする。
【0049】
ここで、ホースガイド構造80はホース76の前面側の平行線ホース部分76aを内側に変形させ、背面側の平行ホース部分76cは内側に変形させていないが、平行線ホース部分76aの内側へ変形により、ホース76全体として外側に広がろうとする力が増加し、内側に変形させていない背面側の平行ホース部分76cについても、内側に崩れてしまうことを確実が防止可能となる。
【0050】
また、前扉32及び第2上扉36又は第1上扉34を開いてホース76を外部に引き出す場合には、ホース76の半円ホース部分76b,76dの変形によるホースを押し出そうとする力に加え、ホース76の平行線ホース部分76aについても、ホースガイド構造80による内側への変形でホース76を押し出そうとする力が発生し、ホース76の引き出し力を低減可能とする。
【0051】
ホースガイド構造80の上部には、
図1及び
図2に示した前面扉開口33、第1上面扉開口35及び第2上面扉開口37の内側を囲むように、ガイドパイプ82a~82c及びガイドパイプ84a~84cが配置され、ホース76を外部に引き出す際にガイドパイプ82a~82c又はガイドパイプ84a~84cに摺接させることで、ホース76の損耗を防止すると共にホース引き出し力を低減させている。
【0052】
また、第2上扉36の裏面にはノズルホルダー86によりホース76の先端に連結された泡ノズル78が着脱自在に係止されている。本実施形態のノズルホルダー86は、泡ノズル78を第2上扉36の裏面に軸支して懸垂状態に吊り下げる懸架構造により係止しており、第2上扉36を
図4の第2上扉36aに示すように前開きした場合、又は、第1上扉34を第2上扉36と一体に
図4の第1上扉34aに示すように後ろ開きした場合にも、第2上扉36の扉裏面にノズルホルダー86が泡ノズル78を懸垂した状態で係止している。
【0053】
このため第2上扉36を前開き又は第1上扉34を第2上扉36と共に後開きすると、扉裏面に懸垂状態に保持されている泡ノズル78が消火栓収納箱30の上部に現れることになる。
【0054】
第2上扉36の前開きで扉裏面に保持されている泡ノズル78が現れる位置は、道路15から概ね0.9~1.3メートルの範囲のいずれかとなり、これは路面15に立った利用者の腰から肩までの範囲に相当し、目の前に泡ノズル78が出現することから、泡ノズル78の取出しが容易にできる。
【0055】
また、第1上扉34の後開きで扉裏面に保持されている泡ノズル78が現れる位置は、監視員通路14の路面から概ね0.2~0.4メートルの範囲のいずれかとなり、監視員通路14に体をかがめて後開きハンドル40を操作している利用者の目の前に泡ノズル78が出現し、利用者は監視員通路14側から泡ノズル78を容易に取り出すことができる。
【0056】
また、筐体31の上面開口の右側内部には操作箱が配置され、操作箱には消火栓弁開閉レバーが設けられ、操作箱の内部に設けられている手動パイロット弁を開閉操作させるようにしているが、図示を省略している。消火栓弁開閉レバーを開操作すると、手動パイロット弁が開放され、
図1に示した放水制御機構収納部26に分離配置された消火栓弁を遠隔的に開放させることができる。
【0057】
また、操作箱や手動パイロット弁、消火栓開閉レバーのうち、1または複数をホースガイド構造80によって確保される空きスペースに配置しても良い。また、手動パイロット弁と消火栓開閉レバー間の接続部材や、手動パイロット弁から消火栓弁までの配管の一部を空きスペースに配置しても良い。
【0058】
上記のように空きスペースに適宜の部材を配置することで、スペースの限られる監視員通路に配置される消火栓収納箱の空間を有効活用することができる。
【0059】
[道路側から第2上扉及び前扉を開放させる操作]
図8は道路側から操作する場合の前扉と第2上扉の開放操作を示した説明図である。
【0060】
図8に示すように、利用者が道路側から消火栓収納箱30を操作する場合には、前開きハンドル38をリフトアップすると、前扉32の係止が解除され、前扉32は自重によりスライド落下し、前面扉開口33が開放される。このとき前扉32は、その裏側に配置されているアシスト機構により開放落下した際の衝撃が吸収される。
【0061】
続いて、利用者が第2上扉36を奥行方向に開く前開き操作を行うと、
図6(A)(B)に示したように、ハンドル本体38aの両側に配置されている軸部材56が前扉32の裏面の軸受部材58から抜き出され、第2上扉36はヒンジ42を中心に前開きされ、第2上面扉開口37が開放される。
【0062】
このとき
図7(A)に示したように、第2上扉36の裏側に配置されているノズルホルダー86は、道路にいる利用者の目の前に位置し、ノズルホルダー86に係止されている泡ノズル78が利用者の目の前に出現し、容易に泡ノズル78を取り出してホース76を引き出すことができる。
【0063】
一方、消火作業が終了した場合には、引き出したホース76の水抜きを行った後に、筐体31内に
図7に示したようにホース76を巻き戻し、最終的に、第2上扉36を閉鎖した状態で、開放している前扉32を引上げ、第2上扉36の前開きハンドル38のハンドル本体38aに係止させ、前扉32を閉鎖状態に保持させる。
【0064】
このように前扉32を引き上げて閉鎖させる場合、その裏側に配置されているアシスト機構により押上げ力が前扉32に加えられていることで、軽い力で前扉32を引き上げて閉鎖させることができる。
【0065】
[前扉のアシスト機構]
図9は前扉の裏側に設けられたアシスト機構を扉裏側から示した説明図であり、
図9(A)に前扉の閉鎖状態を示し、
図9(B)に前扉の開放状態を示し、
図9(C)に平面を示している。また、
図10は
図9のアシスト機構に設けたガススプリングとダンパを取出して示した説明図、
図11は
図9の実施形態における前扉のストロークに対するガススプリングの荷重変化を示したグラフ図である。
【0066】
(アシスト機構の構造)
図9に示すように、筐体31の前面に設けられた前扉32は、両側のガイド部材88と筐体31の前面枠との間に形成されたガイド溝に沿って上下方向にスライド自在に嵌め込まれている。前扉32の裏側には、アシスト機構として、衝撃吸収機構を構成するダンパ92と、上昇付勢機構を構成するガススプリング90が配置されている。
【0067】
ガススプリング90は、
図10に示すように、加圧ガスとオイルが収納された円筒状の本体90aに、ロッド90bが伸縮自在に設けられており、本体90aに収納されたオリフィス穴をピストンにロッド90bの下端が連結されており、ピストンを介してロッド90bに押上力を加えている。
【0068】
ガススプリング90の本体90aの下端の連結部材90cは、筐体31の前面底部の張出部分の筐体支持部材96に固定されており、本体90aの上部から取り出されたロッド90bの先端は、前扉32の裏面に固定された扉連結部材98に連結されている。
【0069】
ダンパ92は、円筒状の本体92aに、ロッド92bが伸縮自在に設けられており、本体92a内にはオリフィス穴と逆止弁を備えたピストンが摺動自在に組み込まれ、ロッド92bの下端をピストンに固定し、更に、本体92a内にはオイルが充填されている。また、ダンパ92の本体92aの下端の連結部材92cは、筐体31の前面底部の張出部分の筐体支持部材96に固定されており、本体92aの上部から取り出されたロッド92bの先端は、前扉32の裏面に固定された扉連結部材98に連結されている。
【0070】
このためロッド92bが下降すると、ピストンのオリフィス穴を通ってオイルが移動し、ピストンの下降速度に比例した減衰力が発生し、前扉32の下降速度を低下させことで、前扉32が扉ストッパ94まで落下停止するときの衝撃を抑制させる。
【0071】
一方、前扉32を引き上げて開放する場合のピストンの動きに対してはピストンの逆止弁が開いてオイルが抵抗なく移動することで略フリー状態となり、軽い力で引き上げることができる。
【0072】
ガススプリング90とダンパ92は、
図9(C)の平面に示すように、前扉32の中央の背後に、
図7に示したガイドパイプ84dとホースガイド構造80により形成される空きスペース95を利用して並べて起立されており、アシスト機構を設けるスペースを新に確保することなく、前扉32のアシスト機構を筐体31内に設置することができる。
【0073】
(ガススプリングとダンパの荷重設定)
ガススプリング90は、
図11に示すように、前扉32が全閉位置に保持されてロッド90bのストロークが最大ストロークLmaxとなった場合の押上荷重をWs2、前扉32が全開となってロッド90bのストロークLがL=0となった場合の押上荷重をWs1とすると、直線100に示すように、ロッド90bのストロークの減少に比例して前扉32に加わる押上荷重が増加する。
【0074】
特に、ガススプリング90は、直線100に示すように、ストロークLに対する押上荷重の変化が少なく(バネ定数が小さく)、前扉32をスライド開閉した場合に加わる押上荷重(押上力)の変化が少ないという特徴がある。
【0075】
ここで、前扉32の重量に対応した前扉荷重をWoとすると、前扉32は上下にスライド移動することから、ガススプリング90のロッド90bには、ストロークLの変化に対し常に一定の前扉荷重Woが加わっている。
【0076】
この前扉荷重Woに対し、前扉32が全開位置にスライド下降したストロークL=0のときのガススプリング90の押上荷重Ws1が所定荷重だけ低くなるように、押上荷重Ws1を設定する。例えば前扉荷重Wo=10(Kg)とすると、ストロークL=0のときの押上荷重Ws1は9(Kg)に設定される。また、前扉32が全閉位置にスライド上昇したストロークL=Lmaxのときのガススプリング90の押上荷重Ws2は例えば8(Kg)に設定される。
【0077】
このようなガススプリング90の荷重設定から、ガススプリング90により前扉32に加わる押上方向の荷重は、ストロークの変化に対し直線100の特性となる。
【0078】
このようなアシスト機構により前扉がスライド開閉された場合の作用は次のようになる。
【0079】
前扉32が最大ストロークLmaxに押し上げられた全閉状態にあっては、前扉重量Wo=10(kg)に対しガススプリング90が押上荷重Ws2=8(Kg)で押し上げており、第2上扉36に対する前扉32の係止を解除すると、前扉荷重Woと押上荷重Ws2との差となる2(Kg)の落下荷重により前扉32はスライド落下を開始し、この落下荷重は
図11の斜線部に示すように、前扉32の下降に伴うストロークLの減少に比例して低下し、全閉位置に落下して停止する。
【0080】
実際には、スライド下降する前扉32は速度慣性があることから、全閉位置(停止位置)となるストロークL=0で速度慣性による衝撃を発生するが、ダンパ92の発生する減衰力より前扉32の落下速度が抑えられ、大きな衝撃力を発生することはない。
【0081】
一方、前扉32を全開位置となるストロークL0から操作者が前扉32を引き上げて閉鎖する場合には、ストロークLの増加に対するアシスト機構の押上力に加え、操作者が
図11に示す斜線部の高さ分の荷重を引き上げる力を加えることで、軽い力で前扉32をスライド上昇して閉鎖させることができる。
【0082】
この斜線部の高さで決まる引上げ荷重は、ストロークLの増加に応じて増加しているが、前扉32の全閉位置となるストロークLmaxでの最大の引上げ荷重は2(Kg)であり、操作上、問題とはならない程度の軽い力で前扉32を引き上げて閉鎖させることができる。
【0083】
なお、
図11の荷重設定は一例であり、必要に応じて適宜の関係に定めることができる。また、ダンパ92はオイルを充填したオイルダンパを例にとっているが、空気や不活性ガスを充填したガスダンパとしても良し、コイルバネを収納した機械式のバネダンパとしても良い。
【0084】
[前扉アシスト機構の他の実施形態]
図12はガススプリングのみで構成された前扉のアシスト機構の他の実施形態を示した説明図ある。
【0085】
図12に示すように、本実施形態にあっては、前扉32のアシスト機構として、前扉32の裏側にガススプリング90のみが配置されている。ガススプリング90は、
図10の実施形態と同様に、加圧ガスとオイルが収納された円筒状の本体90aにロッド90bが伸縮自在に設けられており、本体90aに収納されたピストンにロッド90bの下端が連結されており、ピストンを介してロッド90bに押上力を加えている。
【0086】
ガススプリング90の本体90aの下端の連結部材90cは、筐体31の前面底部の張出部分に固定されており、本体90aの上部から取り出されたロッド90bの先端は、前扉32の裏面に固定された扉連結部材98に連結されている。
【0087】
ガススプリング90は、
図11に示したように、前扉32のスライド開閉に伴うストロークLの変化に対し、直線100に従った押上荷重を発生する。このため前扉32がスライド落下して開放される場合には、ロッド90bが扉荷重を受けて本体90aに押し込まれるストロークLの減少に対し、直線100に従って増加する押上荷重が発生し、この押上荷重は、前扉32がストロークL=0の全開位置で最大の押上荷重Ws1となり、ガススプリング90の押上荷重がスライド下降する前扉32に加わることで、落下速度が抑制され、衝撃を発生することなく、前扉32は滑らかにスライド落下して開放される。
【0088】
また、開放した前扉32を押し上げてスライド上昇により閉鎖させる場合には、ストロークLの増加に対するガススプリング90の押上荷重に加え、
図11の斜線部の高さに対応した荷重を引き上げる力を操作者が加えることで、前扉32を引上げてスライド上昇により閉鎖させることができる。
【0089】
また、本実施形態は、ガススプリング90を前扉32をスライド落下して開放する場合の衝撃吸収機構を兼ねていることから、衝撃吸収機構としてダンパ92を設けた
図10の実施形態に対し、構造が簡単でコストも低減できる。
【0090】
[上扉のアシスト機構]
(監視員通路から第1上扉を開閉させる操作)
図13は監視員通路側から操作する場合の第1上扉の開放操作を示した説明図である。
【0091】
図13に示すように、利用者が監視員通路側から消火栓収納箱30を操作する場合には、利用者が監視員通路から体をかがめて後開きハンドル40をリフトアップすると、第1上扉34の後縁側の筐体31側に対する係止が解除され、前縁コーナー部のヒンジ46を中心に、第1上扉34は後開きされ、第1上面扉開口35が開放される。
【0092】
このとき第1上扉34と一体に第2上扉36もヒンジ44を中心に後開きされ、ヒンジ44で軸支された前開きハンドル38は動くことがなく、前開きハンドル38に設けられた
図6に示した前開き機構60の軸部材56の先端は前扉32の裏面に配置された軸部材58の軸穴58aに嵌め込まれた状態を維持しており、前扉32の閉鎖状態への係止を保持したまま、第2上扉36は第1上扉34と一体に後開きされる。
【0093】
また、第1上扉34のヒンジ46の裏側にはアシストステー機構が設けられており、第1上扉34を開放方向に付勢しており、ロック解除後は自動で開放される。また、開放方向へ付勢される力が扉重量による閉鎖方向に向かう力よりも大きいため、第1上扉34が全開状態で固定される。
【0094】
第1上扉34の後開きにより第1上面扉開口35が開放されると、
図7(A)に示したように、第2上扉36の裏側に配置されているノズルホルダー86に係止された泡ノズル78が、監視員通路で体をかがめている利用者の目の前に出現し、容易に泡ノズル78を取り出してホース76を引き出すことができる。
【0095】
(第1上扉のアシストステー機構)
図14は第1上扉に設けられた上扉アシストステー機構を示した説明図であり、
図14(A)に扉閉鎖状態を示し、
図14(B)に扉開放状態を示している。
【0096】
図14に示すように、第1上扉34は、扉前縁側にヒンジ46が設けられ、ヒンジ46は扉裏面に固定されて先端が円弧上に屈曲されたヒンジ部材46aを筐体31側に配置された筒状のヒンジガイド46に入れることで、軸中心108を中心に回動自在に支持されている。
【0097】
第1上扉34の裏側には上扉アシストステー106が設けられ、上扉アシストステー106は扉横方向の2箇所に設けられている。上扉アシストステー106はステー本体106aにステーアーム106bが連結軸112により回動自在に連結されており、ステー本体106aの下端が第1支軸110により筐体31側に固定した筐体軸受部材118に回動自在に軸支され、ステーアーム106bの先端の第2支軸114が第1上扉34の裏面に非固定された扉軸受部材120に回動自在に軸支されている。
【0098】
また、ステー本体106aの下側の第1支軸110にはコイルスプリング(図示せず)が巻着されており、コイルスプリングの他端が筐体軸受部材118に係止され、コイルスプリングの他端がステー本体106a側に係止されることで、筐体31側に対しステー本体106aを扉開放方向(図示で左回り)に付勢して押し開く力が加えられている。
【0099】
このように上扉アシストステー106はステー本体106aとステーアーム106bを連結軸112により軸支した2節リンクを構成している。
【0100】
また、上扉アシストステー106は第1上扉34に組み付けられた状態で、ヒンジ46の軸中心108、第1支軸110、連結軸112、第2支軸114を支点とした想像線で示す4節平行リンク機構116が構成されている。
【0101】
この4節平行リンク機構116は、ヒンジ46の軸中心108と第1支軸110との間を固定リンクとして開閉方向に揺動する。このため、第1上扉34の軸中心108と上扉アシストステー106の回転中心となる第1支軸110が異なっていても、筐体31に対するステー本体106aのコイルスプリングによる開放方向への付勢力により、ステーアーム106bを介して第1上扉34に付勢力を加え、4節平行リンク機構116の回動により第1上扉34を軽い力で滑らかに開放させることを可能とする。
【0102】
また、第1上扉34を閉鎖する場合には、上扉アシストステー106が衝撃吸収機構として機能し、筐体31に対するステー本体106aのコイルスプリングによる開放方向への付勢力により、第1上扉34を緩やかに開閉位置に回動させ、衝撃を起こすことなく第1上扉34の滑らかな閉鎖を可能とする。
【0103】
[本発明の変形例]
(泡消火栓設備)
上記の実施形態は、消火泡を放出させる泡消火栓設備を例にとっているが、これに限定されず、消火用水を放水させる消火栓設備としても良い。
【0104】
(第2上扉アシスト機構)
上記実施形態は、第1上扉を後開きする動きを付勢する上扉アシスト機構を備えているが、第2上扉を前開きする動きを付勢する第2上扉アシスト機構を設けても良い。第2上扉を前開きさせるモーメントは、第2上扉、ノズル及び第2上扉が開放される際に引き出されるホースによって生じる閉鎖方向のモーメントよりも、第2上扉閉鎖時から一定量開放されるまでは小さく、一定量開放から第2上扉全開放までは大きい方が好適である。
【0105】
このため前開きハンドルのロックを解除し、一定量引き上げるだけで第2上扉が開放されてノズルが引き出されることになるので、手首を返したり、持ち替えたりすることなく第2上扉を開放することが出来る。また、第2上扉閉鎖時から一定量開放されるまでは閉じるモーメントの方が大きいため、閉鎖時に第2上扉を閉鎖する方向に力を加えながら、前扉を上昇させる必要もない。
【0106】
第2上扉アシスト機構は、第1上扉アシスト機構と同様に、アシストステーを用いても良いし、例えばねじりコイルばねのようなモーメントを発生させるものを用いても良い。
【0107】
(消火栓収納箱の設置)
また、上記の実施形態は、トンネル消火栓を例にとっているが、一般の道路に埋め込まれた消火栓に用いても良い。また、消火栓収納箱を埋め込まずに露出するようにしても良い。露出型の消火栓収納箱に用いる場合、上扉の開閉操作を行い易くし、ノズルを取り出す易くするために上扉が1メートル程度の高さに来るようにすることが好適である。また、例えば高さの異なる2つの通路面や、例えば体育館や舞台などの壇上とその下のような、それぞれ人が歩行可能な高さの異なる面とその面に接する壁面において本願消火栓収納箱を適用しても良い。
【0108】
(その他)
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0109】
10:トンネル
12:トンネル壁面
14:監視員通路
15:道路
16:消火栓設備
18:床版
20:管理用通路
22:ダクト
24:給水本管
24a:分岐配管
25:給水配管
26:放水制御機構収納部
30:消火栓収納箱
31:筐体
32:前扉
33:前面扉開口
34:第1上扉
35:第1上面扉開口
36:第2上扉
37:第2上面扉開口
38:前開きハンドル
40:後開きハンドル
42,44,46:ヒンジ
48:通報装置パネル
56:軸部材
58:軸受部材
58a:軸穴
60:前開き機構
74:ホース収納部
76:ホース
78:泡ノズル
80:ホースガイド構造
80a~80d,82a~82c,84a~84c:ガイドパイプ
86:ノズルホルダー
88:ガイド部材
90:ガススプリング
90a,92a:本体
90b,92b:ロッド
92:ダンパ
94:扉ストッパ
96:筐体支持部材
98、120:扉連結部材
106:上扉アシストステー
106a:ステー本体
106b:ステーアーム
108:軸中心
110:第1支軸
112:連結軸
114:第2支軸
116:4節平行リンク機構
118:筐体軸受部材
120:扉軸受部材