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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175951
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/78 20060101AFI20231205BHJP
   A01D 34/82 20060101ALI20231205BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20231205BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20231205BHJP
【FI】
A01D34/78 Z
A01D34/82
A01D34/64 A
B60K1/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023174226
(22)【出願日】2023-10-06
(62)【分割の表示】P 2021132621の分割
【原出願日】2021-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】馬場 裕佑
(72)【発明者】
【氏名】増田 龍太郎
(57)【要約】
【課題】高いエネルギ効率で後輪等を駆動し、走行時に走行車体に発生する振動によるバッテリの破損を抑制した作業車両を提供する。
【解決手段】 走行車体1の前部に左右一対の前輪2を設け、該走行車体1の後部に左右一対の後輪3を設け、前記走行車体1の上面における前側に所定の空間が形成されたボンネット部5を設けた作業車両において、前記後輪3を駆動する電動機30を設け、前記ボンネット部5に、前記電動機30に供給する電力を蓄電するバッテリ50を設け、該バッテリ50に、前後方向に延在する左前後フレーム52L及び右前後フレーム52Rを有するバッテリブラケット52を固定し、前記走行車体1の左部に設けられた左支持部材12Lと前記左前後フレーム52Lを、左防振部材53Lを介して連結し、前記走行車体1の右部に設けられた右支持部材12Rと前記右前後フレーム52Rを、右防振部材53Rを介して連結した。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(1)の前部に左右一対の前輪(2)を設け、該走行車体(1)の後部に左右一対の後輪(3)を設け、
前記走行車体(1)の上面における前側に所定の空間が形成されたボンネット部(5)を設け、該ボンネット部(5)の後側に操縦者が搭乗する操縦部(6)を設けた作業車両において、
前記後輪(3)を駆動する電動機(30)を設け、
前記ボンネット部(5)に、前記電動機(30)に供給する電力を蓄電するバッテリ(50)を設け、
該バッテリ(50)に、前後方向に延在する左前後フレーム(52L)及び右前後フレーム(52R)を有するバッテリブラケット(52)を固定し、
前記走行車体(1)の左部に設けられた左支持部材(12L)と前記左前後フレーム(52L)を、左防振部材(53L)を介して連結し、
前記走行車体(1)の右部に設けられた右支持部材(12R)と前記右前後フレーム(52R)を、右防振部材(53R)を介して連結したことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
正面視において、前記左支持部材(12L)の連結部と左前後フレーム(52L)の連結部を左上がり傾斜に形成し、前記右支持部材(12R)の連結部と右前後フレーム(52R)の連結部を右上がり傾斜に形成した請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
正面視において、前記左支持部材(12L)の連結部と左前後フレーム(52L)の連結部を、前記左防振部材(53L)の中心と前輪(2)の左前輪(2L)の中心を結ぶ左仮想線(55L)と直交させて形成し、前記右支持部材(12R)の連結部と右前後フレーム(52R)の連結部を、前記右防振部材(53R)の中心と前輪(2)の右前輪(2R)の中心をとおる右仮想線(55R)と直交させて形成した請求項2記載の作業車両。
【請求項4】
側面視において、前記走行車体(1)を前後方向に延在する走行車体本体(10)と、前記操縦部(6)のステアリングシャフト(63)を支持する上下方向に延在するステアリングポスト(11)で形成し、
前記ステアリングポスト(11)の前面の下部に左右方向に所定の間隔を隔てて緩衝部材(15)を設け、
前記バッテリ(50)の後面に、前記緩衝部材(15)の先端部を押当てた請求項1~3のいずれか1項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公園等を走行して芝等の刈取りを行う作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業車両は、ボンネット部にエンジンを搭載して、エンジンの出力回転を後輪や作業車両の下部に昇降自在に支持されたモアデッキ等の作業機に伝動して駆動する手段が知られている。(特許文献1)
【0003】
また、作業車両は、作業車両の後部にバッテリを搭載して、バッテリの電力を電動機に供給して、電動機の出力回転を後輪や作業車両の前部に昇降自在に支持されたモアデッキ等の作業機に伝動して駆動する手段が知られている。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-158907号公報
【特許文献2】特開2020-156340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の手段では、エンジンの出力回転を後輪や作業機に伝動する伝動機器の構成が複雑で部品点数も多いことからエネルギ効率が低いという恐れがあった。
【0006】
また、特許文献2の手段では、走行時に走行車体に発生する振動によってバッテリが破損する恐れがあった。
【0007】
そこで、本発明は、高いエネルギ効率で後輪等を駆動し、走行時に走行車体に発生する振動によるバッテリの破損を抑制した作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、走行車体(1)の前部に左右一対の前輪(2)を設け、該走行車体(1)の後部に左右一対の後輪(3)を設け、
前記走行車体(1)の上面における前側に所定の空間が形成されたボンネット部(5)を設け、該ボンネット部(5)の後側に操縦者が搭乗する操縦部(6)を設けた作業車両において、
前記後輪(3)を駆動する電動機(30)を設け、
前記ボンネット部(5)に、前記電動機(30)に供給する電力を蓄電するバッテリ(50)を設け、
該バッテリ(50)に、前後方向に延在する左前後フレーム(52L)及び右前後フレーム(52R)を有するバッテリブラケット(52)を固定し、
前記走行車体(1)の左部に設けられた左支持部材(12L)と前記左前後フレーム(52L)を、左防振部材(53L)を介して連結し、
前記走行車体(1)の右部に設けられた右支持部材(12R)と前記右前後フレーム(52R)を、右防振部材(53R)を介して連結したことを特徴とする作業車両である。
【0009】
請求項2記載の発明は、正面視において、前記左支持部材(12L)の連結部と左前後フレーム(52L)の連結部を左上がり傾斜に形成し、前記右支持部材(12R)の連結部と右前後フレーム(52R)の連結部を右上がり傾斜に形成した請求項1記載の作業車両である。
【0010】
請求項3記載の発明は、正面視において、前記左支持部材(12L)の連結部と左前後フレーム(52L)の連結部を、前記左防振部材(53L)の中心と前輪(2)の左前輪(2L)の中心を結ぶ左仮想線(55L)と直交させて形成し、前記右支持部材(12R)の連結部と右前後フレーム(52R)の連結部を、前記右防振部材(53R)の中心と前輪(2)の右前輪(2R)の中心をとおる右仮想線(55R)と直交させて形成した請求項2記載の作業車両である。
【0011】
請求項4記載の発明は、側面視において、前記走行車体(1)を前後方向に延在する走行車体本体(10)と、前記操縦部(6)のステアリングシャフト(63)を支持する上下方向に延在するステアリングポスト(11)で形成し、
前記ステアリングポスト(11)の前面の下部に左右方向に所定の間隔を隔てて緩衝部材(15)を設け、
前記バッテリ(50)の後面に、前記緩衝部材(15)の先端部を押当てた請求項1~3のいずれか1項に記載の作業車両である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、エネルギ効率が高く後輪(3)を駆動し、走行時に走行車体(1)に発生する振動でバッテリ(50)が破損するのを抑制することができる。また、ボンネット部(5)に形成された空間を有効活用してバッテリ(50)に雨水がかかるのを防止することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、走行時に走行車体(1)に発生する大きな左右方向の振動でバッテリ(50)が破損するのをより抑制することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明による効果に加えて、左前輪(2L)と右前輪(2R)を介して走行面の凹凸に起因する大きな振動を抑制して、バッテリ50の破損をさらに抑制することができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、請求項1~3のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、作業車両の発進時にバッテリ(50)が後方に移動するのを防止してバッテリ(50)が周辺部材に衝突して破損するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】作業車両の左側面図である。
図2】ボンネットカバーを開放姿勢にした作業車両の左側面図である。
図3】作業車両の一部を破断した要部の斜視図である。
図4】作業車両の背面図である。
図5】後輪と作業機の要部の平面図である。
図6】後輪と作業機の要部の左側面図である。
図7】後輪用の電動機と作業機用の電動機の左側面図である。
図8】走行車体の斜視図である。
図9】ステアリングポストの斜視図である。
図10】バッテリとバッテリブラケットの斜視図である。
図11】バッテリブラケットの斜視図である。
図12】前輪と、バッテリと、バッテリブラケットの正面図である。
図13】作業車両の一部を破断した要部の平面図である。
図14】電装部品の斜視図である。
図15】インバータ装置の筐体の斜視図である。
図16】バッテリ監視装置の筐体の斜視図である。
図17】ブレーキペダルと、電動シリンダと、ドラムブレーキの左側面図である。
図18】ブレーキペダルと、電動シリンダと、ドラムブレーキの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すように、乗用芝刈り機等の作業車両は、走行車体1と、走行車体1の前部に左右一対の前輪2が設けられ、走行車体1の後部に左右一対の後輪3が設けられ、走行車体1の下側における前輪2と後輪3の間に芝等を刈取る作業機4が設けられている。また、走行車体1の上側の前部にボンネット部5が設けられ、ボンネット部5の後側には操縦者が搭乗する操縦部6が設けられ、操縦部6の後側には作業機4で刈取られた芝等を貯留する集草容器7が設けられている。
【0018】
図2,3に示すように、ボンネット部5には、後輪3を駆動する電動機30等に供給する電力を蓄電するバッテリ50が設けられ、バッテリ50はボンネットカバー51で覆われている。なお、ボンネットカバー51は、走行車体1の前部に設けられた左右方向に延在する支軸(図示省略)に支持されている。これにより、ボンネット部5に形成される空間を有効に活用することができ、また、作業車両の前後方向の重量バランスの相違を抑制することができる。
【0019】
操縦部6の操縦席60の下側には、電装部品61が設けられている。これにより、操縦席60の下側に形成される空間を有効に活用することができる。
【0020】
図4~7に示すように、電装部品61の下側には後輪3を駆動する3相交流電圧波形で操作される同期電動機や誘導電動機等の電動機30が設けられている。電動機30の左右方向に延在して形成された出力軸30Aは、出力軸30Aから伝動される出力回転を減速して出力トルクを大きくしたり回転方向を逆さにするギアボックス31の上部に連結されている。なお、電動機30は左右方向の中央よりも左側に偏移した位置に設けられている。また、
ギアボックス31で増減速された出力回転は、ギアボックス31の下部に設けられ差動歯車等で形成されたディファレンシャルギア32を介して左右方向に延在するドライブシャフト33に伝動される。ドライブシャフト33に伝動された出力回転は、ドライブシャフト33の両端部に支持された後輪3に伝動される。これにより、
電動機30の下側には作業機4を駆動する3相交流電圧波形で操作される同期電動機や誘導電動機等の電動機40が設けられている。電動機40の前後方向に延在して形成された出力軸40Aは、前後方向に延在して設けられた自在継手41の後部に連結されている。また、出力軸40Aは、ドライブシャフト33の上側に、ドライブシャフト33と直交して設けられている。これにより、電動機30の下側に形成された空間を有効に活用することができる。また、電動機40と作業機4の間の伝動経路を短くすることができるので電動機40の出力回転を作業機4に効率良く伝動することができる。なお、電動機40は左右方向の中央よりも左側に偏移した位置に設けられている。
【0021】
自在継手41の前部は、自在継手41から伝動される出力回転を減速して出力トルクを大きくするギアボックス42に連結されている。ギアボックス42に伝動された出力回転は、ギアボックス42の上下方向に延在して形成された出力軸を介して作業機4の左排出通路45Lに設けられた左刈刃(図示省略)に伝動される。
【0022】
ギアボックス42の左部には、左右方向に延在する連結部材43が連結され、連結部材43の右部はギアボックス44に連結されている。ギアボックス44に伝動された出力回転は、ギアボックス44の上下方向に延在して形成された出力軸を介して作業機4の右排出通路45Rに設けられた右刈刃(図示省略)に伝動される。なお、ギアボックス42の出力軸とギアボックス44の出力軸の出力回転の回転速度は同一速度であり、回転方向は逆方向、すなわち、平面視において、ギアボックス42出力軸は時計方向に回転し、ギアボックス44の出力軸は反時計方向に回転する。
【0023】
左排出通路45Lと右排出通路45Rの搬出口は、刈取られた芝等を集草容器7に搬送するシュータ46の搬入口に連結されている。シュータ46の搬出口は集草容器7の搬入口に連結されている。
【0024】
平面視において、シュータ46の前部は自在継手41の右側に設けられ、シュータ46の後部はギアボックス31の右側に設けられ、背面視において、シュータ46と集草容器7は、ギアボックス31と右側の後輪3の間に設けられている。これにより、自在継手41とギアボックス31の右側に形成される空間に大きなシュータ46を設けることができ、作業機4で刈取った芝等を効率良く集草容器7に搬送することができる。
【0025】
側面視において、シュータ46の上壁は後上がり傾斜に形成され、シュータ46の後部は電装部品61の下側を下方に向かって延在して設けられている。これにより、シュータ46の後部を大きくしてシュータ46の内部での芝等の詰まりを防止することができる。
【0026】
図8,9に示すように、走行車体1は、前輪2と後輪3を支持する走行車体本体10と、ステアリングシャフト63を支持するステアリングポスト11から形成されている。
【0027】
走行車体本体10には、前後方向に延在する左前後フレーム10Lと右前後フレーム10Rが形成され、ステアリングポスト11の下部には、前方に延出する左連結部11Lと右連結部11Rが形成されている。
【0028】
左前後フレーム10Lに左連結部11Lがボルト等の締結手段によって固定され、右前後フレーム10Rに右連結部11Rボルト等の締結手段によって固定されて一体となり走行車体1を形成している。
【0029】
左前後フレーム10Lの前部には左支持部材12Lが設けられ、左支持部材12Lの連結部は左上がり傾斜に形成されている。また、右前後フレーム10Rの前部には右支持部材12Rが設けられ、右支持部材12Rの連結部は右上がり傾斜に形成されている。なお、左支持部材12Lと右支持部材12Rはチャンネル鋼材で形成されている。
【0030】
左連結部11Lの前部には左支持部材13Lが設けられ、左支持部材13Lの連結部は左上がり傾斜に形成されている。また、右連結部11Rの前部には右支持部材13Rが設けられ、右支持部材12Rの連結部は右上がり傾斜に形成されている。なお、左支持部材13Lと右支持部材13Rはチャンネル鋼材で形成されている。
【0031】
ステアリングポスト11の下部には、左右方向に所定の間隔を隔てて前側に突出すると突出部14が形成され、突出部14の先端にはゴム部材等から形成された緩衝部材15が設けられている。
【0032】
図10に示すように、ボンネット部5内に設けられるバッテリ50の下部は、バッテリブラケット52の内周部に内嵌されている。バッテリ50は、複数のエネルギ密度が高いリチウムイオンバッテリを直列と並列に接続して形成されている。これにより、ボンネット部5に形成された空間を有活用できる。また、リチウムイオンバッテリはエネルギ密度が高いので、一回のフル充電によって作業車両を長距離走行させることができる。
【0033】
図11に示すように、バッテリブラケット52は、前後方向に延在する左前後フレーム52L及び右前後フレーム52Rと、左前後フレーム52Lと右前後フレーム52Rの前部を連結する前左右フレーム52Aと、左前後フレーム52Lと右前後フレーム52Rの後部を連結する後左右フレーム52Bで形成されている。なお、左前後フレーム52L及と右前後フレーム52Rはアングル鋼材で形成され、前左右フレーム52Aと後左右フレーム52Bはチャンネル鋼材で形成されている。
【0034】
左前後フレーム52Lの連結部は左上がり傾斜に形成され、右前後フレーム52Rの連結部は左上がり傾斜に形成されている。なお、背面視において、左支持部材13Lの連結部、左支持部材12Lの連結部、及び左前後フレーム52Lの連結部の左上がり傾斜は同一傾斜角度に形成され、右支持部材12Rの連結部、右支持部材12Rの連結部、及び右前後フレーム52Rの連結部の右上がり傾斜は同一傾斜角度に形成されている。
【0035】
左前後フレーム52Lの連結部の下面には、前後方向に所定の間隔を隔てて丸形の左防振部材53Lが設けられ、右前後フレーム52Rの連結部の下面には、前後方向に所定の間隔を隔てて丸形の右防振部材53Rが設けられている。
【0036】
左前後フレーム52Lは、左防振部材53Lを介して左前後フレーム10Lの左支持部材12Lと左連結部11Lの左支持部材13Lに連結され、右前後フレーム52Rは、右防振部材53Rを介して右前後フレーム10Rの右支持部材12Rと右連結部11Rの右支持部材13Rに連結される。これにより、作業車両の走行時に発生する走行車体本体10の振動がバッテリ50に伝わるのを抑制して、バッテリ50の破損等を防止することができる。
【0037】
図12に示すように、左前後フレーム52Lの連結部は、左防振部材53Lの中心と左側の左前輪2Lの中心を結ぶ左仮想線55Lに対して直交して設けられている。また、右前後フレーム52Rの連結部は、右防振部材53Rの中心と右側の右前輪2Rの中心を結ぶ右仮想線55Rに対して直交して設けられている。これにより、前輪2と後輪3を介して走行面の凹凸に起因する大きな振動を抑制して、バッテリ50の破損等を防止することができる。なお、符号57は左右の前輪2を支持する前輪支持フレームを示し、符号56は前輪支持フレームと走行車体本体10との連結部であり、前輪支持フレームの揺動軸を示している。
【0038】
また、バッテリブラケット52の後左右フレーム52Bの後面には、ステアリングポスト11の緩衝部材15の先端部が押当てられている。これにより、作業車両の発進時にバッテリ50の後方への移動を抑制して、バッテリ50の破損等を防止することができる。
【0039】
図2,3に示すように、操縦部6の操縦席60の前側にはステアリングホイール62が設けられ、ステアリングホイール62は上下方向に延在するステアリングシャフト63の上部に支持されている。
【0040】
操縦席60の左側の左フェンダ64Lには、シュータ46の内部に残った刈草を後側の集草容器7へ搬送等を操作するクリーナレバー65が設けられ、操縦席60の右側のフェンダ64Rには、作業機4の昇降等を操作する操作レバー66が設けられている。また、操縦時に操縦者が足を載せるフロア67の左前部には、ブレーキペダル68が設けられ、右前部には、前進用アクセルペダル75と後進用アクセルペダル76が並設されている。
【0041】
図13,14に示すように、操縦席60の下側に設けられた電装部品61は、バッテリ50から供給される直流電圧を交流電圧に変換して電動機30等を操作する3相交流電圧波形を生成するインバータ装置80と、バッテリ50の温度、充電状態、電圧保護、各セル短絡状態を監視するバッテリ監視装置81と、操縦席60の前側に設けられた走行速度等を表示するメータパネル(図示省略)に供給する電池を蓄電する鉛蓄電池等の補助バッテリ82と、バッテリ50から供給される直流電圧をクリーナレバー65等の操作位置を検出するセンサに供給する直流電圧に変更するコンバータ装置83から形成されている。
【0042】
インバータ装置80は、電動機30を操作するインバータ装置84と電動機40を操作するインバータ装置85から形成されている。また、インバータ装置84には、回生ブレーキの作動時、すなわち、前進用アクセルペダル75又は後進用アクセルペダル76が解放されて走行車体1の慣性力よって出力軸30Aが回転して電動機30が発電機として作動する場合には、電動機30からインバータ装置80に供給された電力をバッテリ50に充電する充電装置としての機能も兼ね備えている。
【0043】
平面視において、操縦席60の下側の前部にインバータ装置80が設けられ、インバータ装置80の後側にバッテリ監視装置81が設けられている。また、インバータ装置80の左側に補助バッテリ82が設けられ、バッテリ監視装置81の左側で補助バッテリ82の後側にコンバータ装置83が設けられている。これにより、操縦席60の下側に形成された空間を有効に活用することができる。また、重量が重いバッテリ監視装置81を後側に設けることにより、走行車体本体10の前部と後部に加わる重量の相違を抑制して走行安定性能を高めることができる。
【0044】
図15に示すように、インバータ装置80の筐体80Aの左壁と右壁の内面には、それぞれ前後方向に所定の間隔を隔てて丸形のグロメット86が設けられている。また、筐体80Aは、グロメット86を介して走行車体本体10の後部に設けられた左右方向に延在する左右フレーム16に連結されている。これにより、作業車両の走行時に発生する走行車体本体10の振動がインバータ装置80に伝わるのを抑制して、インバータ装置80の破損等を防止することができる。また、グロメット86に形成された中空部にインバータ装置80と電動機30を接続する電線等を挿通させて電線等の配策を容易に行うことができる。
【0045】
図16に示すように、バッテリ監視装置81の筐体81Aの下壁には、前後方向と左右方向に所定の間隔を隔てて丸形のグロメット87が設けられている。また、筐体81Aは、グロメット87を介して左右フレーム16の後側に設けられた左右フレーム17に連結された支持フレーム18に連結されている。これにより、作業車両の走行時に発生する走行車体本体10の振動がバッテリ監視装置81に伝わるのを抑制して、バッテリ監視装置81の破損等を防止することができる。また、グロメット87に形成された中空部にバッテリ監視装置81とバッテリ50を接続する電線等を挿通させて電線等の配策を容易に行うことができる。
【0046】
図17,18に示すように、電動シリンダ70と後輪3に設けられたブレーキ71は、前後方向に延在するロッド72で連結されている。なお、電動シリンダ70のロッド先端部とロッド72は連結部材73で連結されている。
【0047】
操縦部6に設けられたブレーキスイッチ(図示省略)をONにした場合には、電動シリンダ70のロッドが縮んでロッド72を前側に移動させてブレーキ71を作動させて後輪3の駆動を停止させることができる。これにより、緊急時にブレーキスイッチをONにして電動シリンダ70を駆動させて作業車両の走行を緊急停止することができる。
【0048】
また、ブレーキスイッチをOFFにした場合には、電動シリンダ70のロッドが伸びてロッド72を後側に移動させてブレーキ71の作動を停止させて後輪3を駆動させることができる。
【0049】
ロッド72の前側部は、ブレーキペダル68の後部に連結されている。ブレーキペダル68を踏込んだ場合には、ブレーキペダル68が左右方向に延在する支軸68Aを中心として反時計方向に回転してロッド72を前側に移動させることができる。これにより、電動シリンダ70が作動不良に陥った場合にもブレーキペダル68を踏込んでブレーキ71を作動させることができ安全性を高めることができる。
【0050】
また、ブレーキペダル68の踏込みを止めた場合には、ブレーキペダル68の下部に設けられたスプリング等の牽引手段69によってブレーキペダル68が支軸68Aを中心として時計方向に回転しロッド72を後側に移動してブレーキ71の作動を停止させて後輪3を駆動させることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 走行車体
2 前輪
2L 左前輪
2R 右前輪
3 後輪
4 作業機
5 ボンネット部
6 操縦部
10 走行車体本体
11 ステアリングポスト
12L 左支持部材
12R 右支持部材
13L 左支持部材
13R 右支持部材
15 緩衝部材
30 電動機(第1電動機)
40 電動機(第2電動機)
50 バッテリ
52 バッテリブラケット(ブラケット)
53L 左防振部材
53R 右防振部材
55L 左仮想線
55R 右仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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