(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175962
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】内容物充填システム及び殺菌方法
(51)【国際特許分類】
B65B 55/14 20060101AFI20231205BHJP
B65B 55/16 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B65B55/14
B65B55/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023174502
(22)【出願日】2023-10-06
(62)【分割の表示】P 2023115416の分割
【原出願日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】P 2021169187
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022065360
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】早川 睦
(72)【発明者】
【氏名】山元 志記
(72)【発明者】
【氏名】和田 唯子
(72)【発明者】
【氏名】村上 順一
(72)【発明者】
【氏名】藤野 嵩大
(72)【発明者】
【氏名】井上 能考
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素の排出量を低減することが可能な、内容物充填システム及び殺菌方法を提供する。
【解決手段】内容物充填システム10は、水を非加熱殺菌する水殺菌ライン50と、製品原液を加熱殺菌する原液殺菌ライン70と、水殺菌ライン50及び原液殺菌ライン70にそれぞれ接続され、水及び製品原液をボトル100に充填する充填装置20とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を非加熱殺菌する水殺菌ラインと、
製品原液を加熱殺菌する原液殺菌ラインと、
前記水殺菌ライン及び前記原液殺菌ラインにそれぞれ接続され、前記水及び前記製品原液を容器に充填する充填装置とを備え、
前記原液殺菌ラインは、製品原液を加熱殺菌する製品原液殺菌機を含み、
製品原液殺菌機は、ジュール式加熱殺菌機である、内容物充填システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内容物充填システム及び殺菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
殺菌された容器(PETボトル)に殺菌された内容物を無菌環境下で充填し、その後、容器をキャップによって閉栓する無菌充填システム(アセプティック充填システム)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、無菌充填システムにおいて、成形した容器を無菌充填システムに供給し、無菌充填システム内で、容器に殺菌剤としての過酸化水素水溶液をスプレーする。その後、過酸化水素水溶液を乾燥することにより容器を殺菌する。次いで、容器に内容物を無菌充填する。
【0004】
ところで、近年、環境負荷の低減を目的として、排出される二酸化炭素の量を低減することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、二酸化炭素の排出量を低減することが可能な、内容物充填システム及び殺菌方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、水を非加熱殺菌する水殺菌ラインと、製品原液を加熱殺菌する原液殺菌ラインと、前記水殺菌ライン及び前記原液殺菌ラインにそれぞれ接続され、前記水及び前記製品原液を容器に充填する充填装置とを備える、内容物充填システムである。
【0008】
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様による内容物充填システムにおいて、前記水殺菌ラインは、紫外線によって前記水を殺菌しても良い。
【0009】
本開示の第3の態様は、上述した第1の態様又は上述した第2の態様による内容物充填システムにおいて、前記水殺菌ラインにおいて、前記水は、低圧水銀ランプ及び中圧水銀ランプのうちの少なくとも一方からの紫外線によって、殺菌されても良い。
【0010】
本開示の第4の態様は、上述した第2の態様又は上述した第3の態様によるによる内容物充填システムにおいて、内容物充填システムは、前記水殺菌ラインを制御する制御部を更に備えていても良く、前記制御部は、前記紫外線の照射量又は照度が所定の値以下となった場合に、前記水を前記水殺菌ラインの外部に排出しても良い。
【0011】
本開示の第5の態様は、水を殺菌する水殺菌ラインと、製品原液を加熱殺菌する原液殺菌ラインと、前記水殺菌ライン及び前記原液殺菌ラインにそれぞれ接続され、前記水及び前記製品原液を容器に充填する充填装置とを備え、前記水によって前記製品原液を希釈することにより作製される内容物のpHが4.5未満の場合、前記水殺菌ラインは、F
0値が0.00029以上3.1未満となるように、前記水を殺菌し、前記内容物のpHが4.5以上の場合、前記水殺菌ラインは、F
0値が3.1以上100以下となるように、前記水を殺菌し、前記F
0値は、下記の式によって算出されるF値である、内容物充填システムである。
【数1】
(ただし、Tは任意の殺菌温度(℃)、10^{(T-Tr)/Z}は任意の殺菌温度Tでの致死率、Trは基準温度(℃)、ZはZ値(10℃)を表す。)
【0012】
本開示の第6の態様は、水を殺菌する水殺菌ラインと、製品原液を加熱殺菌する原液殺菌ラインと、前記水殺菌ライン及び前記原液殺菌ラインにそれぞれ接続され、前記水及び前記製品原液を容器に充填する充填装置とを備え、前記水殺菌ラインは、F
0値が3.1以上100以下となるように、前記水を殺菌し、前記F
0値は、下記の式によって算出されるF値である、内容物充填システムである。
【数2】
(ただし、Tは任意の殺菌温度(℃)、10^{(T-Tr)/Z}は任意の殺菌温度Tでの致死率、Trは基準温度(℃)、ZはZ値(10℃)を表す。)
【0013】
本開示の第7の態様は、上述した第1の態様から上述した第6の態様のそれぞれによる内容物充填システムにおいて、前記水殺菌ラインは、無菌フィルタによって前記水を濾過することにより、前記水を殺菌しても良い。
【0014】
本開示の第8の態様は、上述した第1の態様から上述した第7の態様のそれぞれによる内容物充填システムにおいて、内容物充填システムは、前記水殺菌ラインを制御する制御部を更に備えていても良く、前記水殺菌ラインは、前記水を殺菌する水殺菌機を少なくとも有していても良く、前記水殺菌機は、無菌フィルタを少なくとも含んでいても良く、前記制御部は、前記無菌フィルタの上流側の圧力と下流側の圧力との間の圧力差が所定の値以上となった場合に、前記水を前記水殺菌ラインの外部に排出しても良い。
【0015】
本開示の第9の態様は、上述した第1の態様から上述した第8の態様のそれぞれによる内容物充填システムにおいて、内容物充填システムは、前記水殺菌ラインを制御する制御部を更に備えていても良く、前記制御部は、前記水殺菌ラインからサンプリングした前記水内の菌数及び微粒子のうちの少なくとも一方が所定の値以上となった場合に、前記水を前記水殺菌ラインの外部に排出しても良い。
【0016】
本開示の第10の態様は、上述した第1の態様から上述した第9の態様のそれぞれによる内容物充填システムにおいて、前記製品原液は、前記水によって、1.1倍以上100倍以下に希釈されても良い。
【0017】
本開示の第11の態様は、上述した第1の態様から上述した第10の態様のそれぞれによる内容物充填システムにおいて、前記充填装置は、前記水殺菌ラインに接続された水充填装置と、前記原液殺菌ラインに接続された原液充填装置とを有していても良く、前記水充填装置は、前記容器に対して、殺菌された前記水を充填しても良く、前記原液充填装置は、前記容器に対して、殺菌された前記製品原液を充填しても良い。
【0018】
本開示の第12の態様は、上述した第11の態様による内容物充填システムにおいて、前記水充填装置は、空の前記容器に対して前記水を充填しても良く、前記水充填装置が前記容器に対して前記水を充填する充填速度は、前記原液充填装置が前記容器に対して前記製品原液を充填する充填速度よりも速くても良い。
【0019】
本開示の第13の態様は、上述した第1の態様から上述した第9の態様のそれぞれによる内容物充填システムにおいて、前記充填装置は、前記水殺菌ラインに接続された水充填装置と、前記原液殺菌ラインに接続された原液充填装置とを有していても良く、前記水充填装置及び前記原液充填装置のうちの一方のみを用いて、前記容器に対して、前記水又は前記製品原液を充填しても良い。
【0020】
本開示の第14の態様は、上述した第11の態様から上述した第13の態様のそれぞれによる内容物充填システムにおいて、前記水充填装置は、前記水を充填する複数の水充填ノズルを含んでいても良く、各々の前記水充填ノズルに、前記容器の内部のガスを排出するためのスニフトラインがそれぞれ接続されていても良く、前記水充填装置は、前記スニフトラインを介して、前記容器の内部のガスを排出可能な状態で、前記水を加圧充填しても良い。
【0021】
本開示の第15の態様は、上述した第14の態様による内容物充填システムにおいて、前記水充填ノズルの先端に、前記容器に密着することにより、前記容器の内部のガスの漏れを抑制するシール部材が設けられていても良く、前記水充填装置は、前記シール部材を前記容器に密着させた状態で、前記水を加圧充填しても良い。
【0022】
本開示の第16の態様は、上述した第14の態様又は上述した第15の態様による内容物充填システムにおいて、前記原液充填装置は、前記製品原液を充填する複数の原液充填ノズルを含んでいても良く、前記水充填ノズルの口径は、前記原液充填ノズルの口径よりも大きくても良い。
【0023】
本開示の第17の態様は、上述した第16の態様による内容物充填システムにおいて、前記水充填ノズルの口径は、前記原液充填ノズルの口径の1.2倍以上1.5倍以下であっても良い。
【0024】
本開示の第18の態様は、上述した第11の態様から上述した第17の態様のそれぞれによる内容物充填システムにおいて、前記充填装置は、複数の前記原液充填装置を有していても良い。
【0025】
本開示の第19の態様は、上述した第18の態様による内容物充填システムにおいて、内容物充填システムは、複数の前記原液殺菌ラインを備えていても良く、複数の前記原液充填装置は、各々の前記原液殺菌ラインにそれぞれ接続されていても良い。
【0026】
本開示の第20の態様は、上述した第19の態様による内容物充填システムにおいて、前記充填装置は、フレーバーを含まない前記製品原液を充填する第1原液充填装置と、フレーバーを含む前記製品原液を充填する第2原液充填装置とを有していても良い。
【0027】
本開示の第21の態様は、上述した第20の態様による内容物充填システムにおいて、前記第1原液充填装置は、チャンバ壁によって区画された空間に収容されていても良く、前記チャンバ壁に、前記容器が通過する隙間が形成されていても良く、前記空間の外部に、開閉自在に設けられ、前記容器を搬送する第1グリッパを含む第1ホイールが配置されていても良く、前記空間の内部に、開閉自在に設けられ、前記容器を搬送する第2グリッパを含む第2ホイールが配置されていても良く、前記第1原液充填装置によって前記製品原液を前記容器に充填する場合、前記第2グリッパは、前記第1グリッパから前記容器を受け取っても良く、前記第1原液充填装置によって前記製品原液を前記容器に充填しない場合、前記第2グリッパは、前記第1グリッパと干渉しないように、開放位置をとっても良い。
【0028】
本開示の第22の態様は、上述した第21の態様による内容物充填システムにおいて、前記チャンバ壁に、前記隙間を開閉するシャッターが設けられていても良く、前記第1原液充填装置によって前記製品原液を前記容器に充填しない場合、前記隙間は、前記シャッターによって閉鎖されても良く、前記第2グリッパは、前記隙間を閉鎖する前記シャッターと干渉しないように、開放位置をとっても良い。
【0029】
本開示の第23の態様は、上述した第1の態様から上述した第10の態様のそれぞれによる内容物充填システムにおいて、前記水殺菌ライン及び前記原液殺菌ラインと、前記充填装置との間に、前記水と前記製品原液とを混合する混合タンクが介在されていても良い。
【0030】
本開示の第24の態様は、上述した第1の態様から上述した第10の態様のそれぞれによる内容物充填システムにおいて、前記充填装置は、前記水及び前記製品原液を充填する複数の充填ノズルを含んでいても良く、各々の前記充填ノズルに、前記水殺菌ライン及び前記原液殺菌ラインがそれぞれ接続されていても良い。
【0031】
本開示第25の態様は、上述した第1の態様から上述した第24の態様のそれぞれによる内容物充填システムにおいて、前記水殺菌ラインは、前記水を貯留する第1水タンクと、前記第1水タンクに貯留された前記水を殺菌する水殺菌機と、前記水殺菌機によって殺菌された前記水を貯留する第2水タンクとを有していても良く、前記原液殺菌ラインは、前記製品原液を貯留する第1原液タンクと、前記第1原液タンクに貯留された前記製品原液を加熱殺菌する製品原液殺菌機と、前記製品原液殺菌機によって殺菌された前記製品原液を貯留する第2原液タンクとを有していても良い。
【0032】
本開示の第26の態様は、上述した第25の態様による内容物充填システムにおいて、前記水殺菌ラインは、複数の前記水殺菌機を有していても良い。
【0033】
本開示の第27の態様は、上述した第25の態様又は上述した第26の態様による内容物充填システムにおいて、内容物充填システムは、前記水及び前記製品原液が充填された前記容器に装着されるキャップを殺菌するキャップ殺菌装置を更に備えていても良く、前記第2水タンクの下流側に、前記水殺菌ラインと前記キャップ殺菌装置とを互いに接続するバイパスラインが設けられていても良い。
【0034】
本開示の第28の態様は、上述した第25の態様から上述した第27の態様のそれぞれによる内容物充填システムにおいて、前記第2原液タンクの下流側に、前記製品原液に対して固形物を添加する添加ユニットが連結されていても良い。
【0035】
本開示の第29の態様は、上述した第1の態様から上述した第28の態様のそれぞれによる内容物充填システムは、プリフォームを殺菌するプリフォーム殺菌装置と、前記プリフォームから前記容器を成形する容器成形装置と、前記容器を殺菌する容器殺菌装置とを更に備えていても良く、前記容器成形装置は、温水によって前記容器の温度を調節することなく、前記容器を成形しても良い。
【0036】
本開示の第30の態様は、上述した第1の態様から上述した第29の態様のそれぞれによる内容物充填システムにおいて、前記水殺菌ラインは、非無菌雰囲気下の非無菌ゾーンと、非無菌雰囲気と無菌雰囲気とを隔絶する、第1グレーゾーン及び第2グレーゾーンと、無菌雰囲気下の無菌ゾーンとに区画されていても良く、前記非無菌ゾーン、前記第1グレーゾーン、前記第2グレーゾーン及び前記無菌ゾーンは、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に設けられていても良く、前記第1グレーゾーンにおいて、前記水内の菌を殺菌しても良く、前記第2グレーゾーンにおいて、前記水内に菌が存在しない状態を維持しても良い。
【0037】
本開示の第31の態様は、上述した第1の態様から上述した第30の態様のそれぞれによる内容物充填システムを殺菌する殺菌方法において、前記水殺菌ラインは、水殺菌機を少なくとも備え、前記水殺菌機は、少なくとも1つの無菌フィルタと、少なくとも1つの殺菌機とを有し、前記殺菌方法は、前記無菌フィルタの少なくとも1つに対して、第1完全性試験を行う工程と、前記無菌フィルタを殺菌する工程と、前記無菌フィルタの少なくとも1つに対して、第2完全性試験を行う工程と、を備える、殺菌方法である。
【0038】
本開示の第32の態様は、上述した第31の態様による殺菌方法において、殺菌方法は、前記殺菌機を殺菌する工程を更に備えても良い。
【0039】
本開示の第33の態様は、上述した第31の態様又は上述した第32の態様による殺菌方法において、前記殺菌機を殺菌する工程は、前記水殺菌機に熱水を供給する工程と、前記殺菌機を含む循環系内において、前記熱水を循環させる工程と、前記循環系の冷却工程とを有していても良い。
【0040】
本開示の第34の態様は、上述した第31の態様から上述した第33の態様のそれぞれによる殺菌方法において、前記殺菌機を殺菌する工程は、前記水殺菌機に薬剤を供給する工程と、前記殺菌機を含む循環系内において、前記薬剤を循環させる工程と、前記循環系をすすぐ工程とを有していても良い。
【0041】
本開示の第35の態様は、上述した第31の態様から上述した第34の態様のそれぞれによる殺菌方法において、前記無菌フィルタを殺菌する工程は、前記殺菌機を殺菌する工程が行われている間に、行われても良い。
【発明の効果】
【0042】
本開示によれば、内容物充填システムが排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、一実施の形態による内容物充填システムを示す概略平面図である。
【
図2A】
図2Aは、一実施の形態による水殺菌ラインを示す概略図である。
【
図2B】
図2Bは、一実施の形態による水殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
【
図2C】
図2Cは、一実施の形態による水殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
【
図2D】
図2Dは、一実施の形態による水殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
【
図2E1】
図2E1は、一実施の形態による水殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
【
図2E2】
図2E2は、一実施の形態による水殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
【
図2E3】
図2E3は、一実施の形態による水殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
【
図2F】
図2Fは、一実施の形態による水殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
【
図2G】
図2Gは、一実施の形態による水殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
【
図2H】
図2Hは、一実施の形態による水殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
【
図2I】
図2Iは、一実施の形態による水殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
【
図2J】
図2Jは、一実施の形態による水殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
【
図2K】
図2Kは、一実施の形態による水殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
【
図2L】
図2Lは、一実施の形態による水殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
【
図2M】
図2Mは、一実施の形態による水殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
【
図2N】
図2Nは、一実施の形態による水殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
【
図3】
図3は、一実施の形態による水殺菌機の第1殺菌機を示す平面図である。
【
図4】
図4は、一実施の形態による水殺菌機の第1殺菌機を示す断面図(
図3のIV-IV線断面図)である。
【
図5A】
図5Aは、一実施の形態による水殺菌機の第1殺菌機の他の例を示す平面図である。
【
図5B】
図5Bは、一実施の形態による水殺菌機の第1殺菌機の他の例を示す断面図(
図5AのVB-VB線断面図)である。
【
図6A】
図6Aは、一実施の形態による水殺菌機の第1殺菌機の他の例を示す正面図である。
【
図6B】
図6Bは、一実施の形態による水殺菌機の第1殺菌機の他の例を示す断面図(
図6AのVIB-VIB線断面図)である。
【
図6C】
図6Cは、一実施の形態による水殺菌機の第1殺菌機の他の例を示す断面図(
図6BのVIC部拡大図)である。
【
図7】
図7は、一実施の形態による原液殺菌ラインを示す概略図である。
【
図8】
図8は、一実施の形態による内容物充填システムを用いた内容物充填方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、一実施の形態による内容物充填システムの殺菌方法であって、チャンバの殺菌方法を示すフローチャートである。
【
図10A】
図10Aは、一実施の形態による内容物充填システムの殺菌方法であって、水殺菌機の殺菌方法を示すフローチャートである。
【
図10B1】
図10B1は、一実施の形態による内容物充填システムの殺菌方法であって、水殺菌機の殺菌方法を示すフローチャートである。
【
図10B2】
図10B2は、一実施の形態による内容物充填システムの殺菌方法であって、水殺菌機の殺菌方法の他の例を示すフローチャートである。
【
図10C】
図10Cは、一実施の形態による内容物充填システムの殺菌方法であって、水殺菌機の殺菌方法の更に他の例を示すフローチャートである。
【
図10D】
図10Dは、一実施の形態による内容物充填システムの殺菌方法であって、水殺菌機の殺菌方法の更に他の例を示すフローチャートである。
【
図10E】
図10Eは、一実施の形態による内容物充填システムの殺菌方法であって、水殺菌機の殺菌方法の更に他の例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、一実施の形態による内容物充填システムの第2変形例を示す概略平面図である。
【
図12A】
図12Aは、一実施の形態による内容物充填システムの第4変形例を示す概略平面図である。
【
図12B】
図12Bは、一実施の形態による内容物充填システムの第4変形例の第2無菌チャンバ及び出口チャンバを拡大して示す概略平面図である。
【
図12C】
図12Cは、一実施の形態による内容物充填システムの第4変形例を用いた内容物充填方法を示す概略平面図である。
【
図12D】
図12Dは、一実施の形態による内容物充填システムの第4変形例を用いた内容物充填方法を示す概略平面図である。
【
図12E】
図12Eは、一実施の形態による内容物充填システムの第4変形例の他の例(第1の例)を示す概略平面図である。
【
図12F】
図12Fは、一実施の形態による内容物充填システムの第4変形例の他の例(第2の例)を示す概略平面図である。
【
図12G】
図12Gは、一実施の形態による内容物充填システムの第4変形例の他の例(第3の例)を示す概略平面図である。
【
図12H】
図12Hは、一実施の形態による内容物充填システムの第4変形例の他の例(第4の例)を示す概略平面図である。
【
図12I】
図12Iは、一実施の形態による内容物充填システムの第4変形例の他の例(第5の例)を示す概略平面図である。
【
図13】
図13は、一実施の形態による内容物充填システムの第5変形例を示す概略平面図である。
【
図14】
図14は、一実施の形態による内容物充填システムの第5変形例の他の例を示す概略平面図である。
【
図15】
図15は、一実施の形態による内容物充填システムの第5変形例の他の例における、充填装置の充填ノズルを示す概略断面図である。
【
図16A】
図16Aは、一実施の形態による内容物充填システムの第6変形例を示す概略平面図である。
【
図16B】
図16Bは、一実施の形態による内容物充填システムの第6変形例における、水充填装置の水充填ノズルを示す概略断面図である。
【
図16C】
図16Cは、一実施の形態による内容物充填システムの第6変形例における、原液充填装置の原液充填ノズルを示す概略断面図である。
【
図17A】
図17Aは、一実施の形態による内容物充填システムの第7変形例における、水殺菌ラインを示す概略図である。
【
図17B】
図17Bは、一実施の形態による内容物充填システムの第7変形例の他の例における、水殺菌ラインを示す概略図である。
【
図17C】
図17Cは、一実施の形態による内容物充填システムの第8変形例における、水殺菌ラインを示す概略図である。
【
図18A】
図18Aは、一実施の形態による内容物充填システムの第10変形例における、原液殺菌ラインを示す概略図である。
【
図18B】
図18Bは、一実施の形態による内容物充填システムの第12変形例を示す概略平面図である。
【
図18C】
図18Cは、一実施の形態による内容物充填システムの第12変形例の他の例を示す概略斜視図である。
【
図18D1】
図18D1は、一実施の形態による内容物充填システムの第16変形例を示す概略平面図である。
【
図18D2】
図18D2は、一実施の形態による内容物充填システムの第16変形例の他の例を示す概略平面図である。
【
図18E】
図18Eは、一実施の形態による内容物充填システムの第17変形例における、水殺菌ラインを示す概略図である。
【
図19】
図19は、一実施の形態による内容物充填システムの殺菌方法の第1変形例を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、一実施の形態による内容物充填システムの殺菌方法の第1変形例の他の例を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、一実施の形態による内容物充填システムの殺菌方法の第2変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
図1乃至
図10Eは一実施の形態を示す図である。
【0045】
(内容物充填システム)
まず、
図1により、実施の形態による内容物充填システム(無菌充填システム)について説明する。
【0046】
図1に示す内容物充填システム10は、ボトル(容器)100に飲料等の内容物を充填するシステムである。内容物は、製品原液を水によって希釈することによって作製され得る。この場合、製品原液は、水によって、1.1倍以上100倍以下に希釈されても良く、好ましくは2倍以上10倍以下に希釈されても良い。また、製品原液は、水によって、10倍以上80倍以下に希釈されても良く、20倍以上70倍以下に希釈されても良く、30倍以上50倍以下に希釈されても良い。ボトル100は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム100aを二軸延伸ブロー成形することにより作製できる。なお、ボトル100は、ダイレクトブロー成形により作製されても良い。ボトル100の材料としては、熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、又はPEN(ポリエチレンナフタレート)を使用することが好ましい。このほか、容器としては、ガラス、缶、紙、パウチ、カップ又はこれらの複合容器であっても良い。本実施の形態においては、容器として合成樹脂製ボトルを用いる場合を例にとって説明する。
【0047】
図1に示すように、内容物充填システム10は、水を殺菌する水殺菌ライン50と、製品原液を殺菌する原液殺菌ライン70と、水殺菌ライン50及び原液殺菌ライン70にそれぞれ接続された充填装置(フィラー)20とを備えている。また、内容物充填システム10は、充填装置20を制御する制御部90を備えている。さらに、内容物充填システム10は、ボトル成形部30と、殺菌装置(容器殺菌装置)11と、エアリンス装置14と、上述した充填装置20と、キャップ装着装置(キャッパー、巻締及び打栓機)16と、製品ボトル搬出部25とを備えている。これらボトル成形部30、殺菌装置11、エアリンス装置14、充填装置20、キャップ装着装置16及び製品ボトル搬出部25は、ボトル100の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。また、エアリンス装置14、充填装置20及びキャップ装着装置16等の間には、これらの装置間でボトル100を搬送する複数の搬送ホイール12が設けられている。ここでは、まず、ボトル成形部30、殺菌装置11、エアリンス装置14、充填装置20、キャップ装着装置16及び製品ボトル搬出部25について説明する。
【0048】
ボトル成形部30は、外部からプリフォーム100aを受け入れるとともにボトル100の成形を行うように構成されている。そして、ボトル成形部30は、成形されたボトル100を殺菌装置11へ向けて搬送するように構成されている。これにより、内容物充填システム10において、プリフォーム100aの供給からボトル100の成形を経て、ボトル100への内容物の充填及び閉栓に至る工程を連続して行うようにできる。この場合、容積の大きいボトル100ではなく、容積の小さいプリフォーム100aが、外部から内容物充填システム10に運搬される。このため、運送費を低減できる。
【0049】
ボトル成形部30は、プリフォーム100aを搬送するプリフォーム搬送部31と、プリフォーム100aに対してブロー成形を施すことにより、プリフォーム100aからボトル100を成形するブロー成形部(容器成形装置)32と、成形されたボトル100を搬送するボトル搬送部33と、を有している。
【0050】
このうち、プリフォーム搬送部31は、受取部34と、加熱部35と、受渡部36とを含んでいる。このうち、受取部34は、プリフォーム供給装置1からプリフォーム供給コンベア2を介して供給されるプリフォーム100aを受け取るように構成されている。この受取部34には、プリフォーム100aを殺菌するためのプリフォーム殺菌装置34aと、プリフォーム100aをエアリンスするためのプリフォームエアリンス装置34bとが設けられている。図示された例においては、受取部34には、1つのプリフォーム殺菌装置34aと、1つのプリフォームエアリンス装置34bとが設けられている。なお、プリフォーム殺菌装置34a及びプリフォームエアリンス装置34bの個数は、これに限られない。
【0051】
受取部34において、プリフォーム殺菌装置34aにより、過酸化水素水溶液のガス又はミストがプリフォーム100aに吹き付けられ、プリフォーム100aが殺菌される(予備殺菌)。
【0052】
プリフォーム100aを殺菌するための殺菌剤としては、微生物を不活性化させる性質を有していれば良く、例えば過酸化水素のほか、過酢酸、酢酸、過硝酸、硝酸、塩素系薬剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、二酸化塩素、オゾン水、酸性水、界面活性剤を単体で用いても良く、これらのうち2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0053】
このように、プリフォーム殺菌装置34aにより予めプリフォーム100aを殺菌(予備殺菌)することによって、プリフォーム100aから作製されるボトル100に付着する菌を少なくできる。このため、ボトル100を殺菌する殺菌装置11で使用する過酸化水素の使用量を低減できるとともに、殺菌時間を短縮できる。ここで、一般に、容積の小さいプリフォーム100aを殺菌するために使用する殺菌剤の量は、ボトル100を殺菌するために使用する殺菌剤の量よりも少なくて良い。このため、プリフォーム100aを予備殺菌することにより、殺菌剤の全体の使用量を低減できる。
【0054】
また、殺菌装置11で使用する過酸化水素の使用量を低減できるとともに、殺菌時間を短縮できるため、殺菌装置11の小型化を図ることができる。また、ボトル100を殺菌する殺菌時間を短縮できるため、ボトル100への熱負荷を低減できる。このため、軽量化されたボトル100又はリサイクルによる再生PETを使用したボトル100であっても、殺菌剤の熱によるボトル100の変形を抑制できる。
【0055】
さらに、プリフォーム100aを予備殺菌することによって、ボトル100に付着する菌を少なくできるため、殺菌装置11において、殺菌条件を弱化させても良い。ここで、一般に、殺菌装置11における殺菌効果を向上させるために、ブロー成形部32において、金型温調器(図示せず)の温水を金型に供給することによって、ボトル100の胴部をヒートセットしている。これにより、殺菌装置11における殺菌効果を向上できるとともに、殺菌装置11におけるボトル100の収縮を低減できる。ところが、本実施の形態では、上述したように、プリフォーム100aを予備殺菌することによって、ボトル100に付着する菌を少なくできる。このため、ブロー成形部(容器成形装置)32が、温水によってボトル100の温度を調節することなく、ボトル100を成形しても良い。すなわち、ブロー成形部32において、殺菌効果を向上させるために金型に供給していた温水を、金型に供給しなくても良い。この結果、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。また、ブロー成形部32の金型に温水を供給しなくても良いため、ブロー成形部32の簡素化を図ることができる。また、ブロー成形部32の簡素化を図ることができるため、ボトル100に加えられる熱量を低減できる。このため、上述した温水を金型に供給しない場合であっても、殺菌装置11におけるボトル100の収縮を低減できる。
【0056】
なお、このような殺菌処理は、受取部34だけでなく、加熱部35又は受渡部36で行われても良い。また、殺菌処理は、ボトル100の成形後に、ボトル搬送部33から充填装置20までの間に行われても良い。さらに、殺菌処理は、複数の箇所で行われても良い。なお、殺菌処理において、殺菌剤を使用することなく、紫外線照射又は電子線照射等によって、菌を不活性化しても良い。
【0057】
図1を参照すると、プリフォーム殺菌装置34aの下流側には、上述したプリフォームエアリンス装置34bが設けられている。殺菌剤が吹き付けられたプリフォーム100aは、プリフォームエアリンス装置34bにおいて、ホットエアで乾燥される。この際、プリフォーム100aの口部を下に向けた状態で、プリフォーム100aに対してホットエアが供給されることが好ましい。これにより、プリフォーム100a内から異物を効果的に除去できる。このため、無菌水によってプリフォーム100aを洗浄する工程を省略でき、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。なお、受取部34において、プリフォームエアリンス装置34bは設けられていなくても良い。また、受取部34において、プリフォーム殺菌装置34aの上流側に、プリフォーム100aに付着した異物を除去するための異物除去装置(図示せず)が設けられていても良い。
【0058】
加熱部35は、受取部34からプリフォーム100aを受け取り、プリフォーム100aを搬送しながら加熱するように構成されている。この加熱部35には、プリフォーム100aを加熱するヒーター35aが設けられている。このヒーター35aは、例えば赤外線ヒーターであっても良い。このヒーター35aにより、プリフォーム100aは、例えば90℃以上130℃以下程度に加熱される。なお、プリフォーム100aの口部の温度は、変形等を防止するため70℃以下の温度に抑えられる。
【0059】
受渡部36は、加熱部35により加熱されたプリフォーム100aを受け取り、ブロー成形部32に受け渡すように構成されている。
【0060】
ブロー成形部32は、図示しない金型を含んでいる。この金型を用いてプリフォーム100aに対してブロー成形を施すことにより、ボトル100が成形される。そして、成形されたボトル100は、ボトル搬送部33によって、下流側に搬送される。
【0061】
ここで、ボトル成形部30と殺菌装置11との間に、ボトル搬送部33からボトル100を受け取り、殺菌装置11へボトル100を受け渡す調整搬送部5が設けられている。この調整搬送部5の少なくとも一部は、殺菌剤噴霧チャンバ70d(後述)の上流側に設けられた雰囲気遮断チャンバ70c(後述)の内部に収容されている。図示された例においては、調整搬送部5は、ボトル成形部30を収容する成形部チャンバ70b(後述)と、雰囲気遮断チャンバ70cとに跨がるように配置されている。このように、調整搬送部5の少なくとも一部が、雰囲気遮断チャンバ70cの内部に収容されていることにより、殺菌剤噴霧チャンバ70d内で発生する殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が、成形部チャンバ70bに流入することを抑制できる。
【0062】
図示された例においては、調整搬送部5とボトル成形部30のボトル搬送部33との間には、単一の搬送ホイール12が設けられている。すなわち、ボトル成形部30のブロー成形部32と殺菌装置11との間には、ボトル成形部30のボトル搬送部33、単一の搬送ホイール12及び調整搬送部5が設けられている。これにより、調整搬送部5とボトル成形部30のボトル搬送部33との間に、複数の搬送ホイール12が設けられている場合と比較して、内容物充填システム10をコンパクトにできる。なお、図示はしないが、ボトル成形部30のブロー成形部32と殺菌装置11との間に、調整搬送部5のみが設けられていても良い。この場合、内容物充填システム10を更にコンパクトにできる。
【0063】
殺菌装置11は、殺菌剤をボトル100に噴射することにより、ボトル100を殺菌する装置である。これにより、内容物の充填前に殺菌剤によってボトル100が殺菌される。殺菌剤としては、例えば過酸化水素水溶液が用いられる。殺菌装置11においては、過酸化水素水溶液のガス又はミストが生成され、ガス又はミストがボトル100の内外面に噴霧される。このようにボトル100が過酸化水素水溶液のガス又はミストで殺菌されるので、ボトル100の内外面がムラなく殺菌される。
【0064】
エアリンス装置14は、ボトル100に無菌の加熱エア又は常温エアを供給することにより、過酸化水素の活性化を行いつつ、ボトル100内から異物、過酸化水素等を除去する装置である。この際、ボトル100の口部を下に向けた状態で、ボトル100に対して無菌エアが供給されることが好ましい。これにより、ボトル100内から異物を効果的に除去できる。このため、無菌水によってボトル100を洗浄する工程を省略でき、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。なお、必要に応じて、常温の無菌化されたエアに、低濃度の過酸化水素の凝結ミストを混ぜて過酸化水素をガス化させて、ボトル100に供給しても良い。
【0065】
充填装置20は、水及び製品原液をボトル100に充填する装置である。すなわち、充填装置20は、ボトル100の口部からボトル100内へ、予め殺菌処理された水及び製品原液を充填するものである。これにより、充填装置20において、製品原液を希釈することによって作製された内容物が、空の状態のボトル100に充填される。この充填装置20では、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ内容物が充填される。
【0066】
充填装置20は、水殺菌ライン50に接続された水充填装置21と、原液殺菌ライン70に接続された原液充填装置22とを有していても良い。水充填装置21及び原液充填装置22は、ボトル100の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。水充填装置21は、後述する第1無菌チャンバ70fの内部に配置されている。原液充填装置22は、後述する第2無菌チャンバ70hの内部に配置されている。水充填装置21及び原液充填装置22は、それぞれ、いわゆるロータリーフィラーであっても良い。
【0067】
水充填装置21は、ボトル100に対して、殺菌された水を充填する。この場合、水充填装置21は、空のボトル100に対して、殺菌された水を充填する。一方、原液充填装置22は、水が充填されたボトルに対して、殺菌された製品原液を充填する。このように、充填装置20が、水充填装置21と原液充填装置22とを有していることにより、単一の充填装置によって内容物を充填する場合と比較して、製品原液又は内容物に触れる充填装置(すなわち、原液充填装置22)のサイズを小さくできる。このため、後述するように、充填装置20を洗浄及び殺菌する領域を狭くできる。
【0068】
水充填装置21がボトル100に対して水を充填する充填速度は、原液充填装置22がボトル100に対して製品原液を充填する充填速度よりも速くても良い。すなわち、水充填装置21が、空のボトル100に対して水を充填することにより、水の充填速度を速くできる。ここで、内容物をボトル100に勢いよく充填した場合、例えば、ボトル100内での泡立ち等によって、内容物の一部がボトル100の口部から外部に飛散する場合がある。そして、外部に飛散した内容物により、ボトル100の周囲に、内容物による汚れが付着する可能性がある。これに対して、空のボトル100に水を充填する場合、水がボトル100の口部から外部に飛散した場合であっても、ボトル100の周囲に汚れが付着することはない。このため、水の充填速度を速くできる。この結果、水充填装置21の水充填ノズル(例えば、後述する
図16B参照)の本数を少なくできる。このため、水充填装置21のサイズを小さくできる。
【0069】
水充填装置21において、水の充填速度は、100mL/sec以上500mL/sec以下であっても良く、200mL/sec以上400mL/sec以下であることが好ましい。水の充填速度が100mL/sec以上であることにより、水充填装置21の水充填ノズルの本数をより少なくできる。このため、水充填装置21のサイズをより小さくできる。また、水の充填速度が500mL/sec以下であることにより、水をボトル100に対して充填する際に、水がボトル100の口部から外部に飛散することを抑制できる。このため、製品ボトル101同士の間において、内容物の体積及び製品原液を希釈する倍率にバラツキが生じることを抑制できる。なお、原液充填装置22において、製品原液の充填速度は、30mL/sec以上200mL/sec以下であっても良い。
【0070】
キャップ装着装置16は、ボトル100にキャップ88を装着することにより、ボトル100を閉栓する装置である。キャップ装着装置16において、水及び製品原液(内容物)が充填されたボトル100はキャップ88により閉じられ、ボトル100内に外部の空気や微生物が侵入しないように密封される。キャップ装着装置16において、内容物が充填された複数のボトル100が回転(公転)されながら、その口部にキャップ88が装着される。このようにして、ボトル100にキャップ88を装着することにより、製品ボトル101が得られる。
【0071】
キャップ88は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌される。キャップ殺菌装置18は、例えば第2無菌チャンバ70h(後述)等の外側であってキャップ装着装置16の近傍に配置されている。キャップ殺菌装置18において、内容物充填システム10の外部から搬入されたキャップ88は、予め多数集められ、キャップ装着装置16に向かって列になって搬送される。キャップ88がキャップ装着装置16に向かう途中で、過酸化水素のガス又はミストがキャップ88の内外面に向かって吹き付けられた後、ホットエアで乾燥し、殺菌処理される。
【0072】
製品ボトル搬出部25は、キャップ装着装置16でキャップ88を装着された製品ボトル101を、内容物充填システム10の外部へ向けて連続的に搬出する。
【0073】
なお、内容物充填システム10は、プリフォーム殺菌チャンバ70aと、成形部チャンバ70bと、雰囲気遮断チャンバ70cと、殺菌剤噴霧チャンバ70dと、エアリンスチャンバ(第4無菌チャンバ)70eと、第1無菌チャンバ70fと、中間エリアチャンバ(第3無菌チャンバ)70gと、第2無菌チャンバ70hと、出口チャンバ70iとを有している。このうち、第1無菌チャンバ70fと第2無菌チャンバ70hとの間に、第1無菌チャンバ70fと第2無菌チャンバ70hとを互いに連結する中間エリアチャンバ(第3無菌チャンバ)70gが設けられている。また、第1無菌チャンバ70fの上流側に、エアリンスチャンバ(第4無菌チャンバ)70eが設けられている。すなわち、プリフォーム殺菌チャンバ70a、成形部チャンバ70b、雰囲気遮断チャンバ70c、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、第1無菌チャンバ70f、中間エリアチャンバ70g、第2無菌チャンバ70h、及び出口チャンバ70iは、プリフォーム100a及びボトル100の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。
【0074】
各チャンバ70a乃至70iは、それぞれ隔壁によって分離されている。隔壁は、各チャンバ70a乃至70i間で、殺菌剤等が意図しない方向へ流通することを防ぎ、各チャンバ70a乃至70i内の圧力を安定させる役割を果たす。なお、隔壁には、それぞれプリフォーム100a又はボトル100が通過できる程度の隙間が形成されている。この隙間は、各チャンバ70a乃至70i内の圧力が変化しないように、最小限、例えば1個分のプリフォーム100a又はボトル100程度の大きさ形成されている。また、隔壁には、上述した隙間を閉鎖するシャッターが設けられていても良い。このシャッターは、例えば制御部90からの信号により、自動で開閉するように構成されていても良い。
【0075】
各チャンバ70a乃至70iのうち、プリフォーム殺菌チャンバ70aの内部には、プリフォーム殺菌装置34a等が収容されている。
【0076】
成形部チャンバ70bの内部には、ボトル成形部30のブロー成形部32等が収容されている。
【0077】
雰囲気遮断チャンバ70cの内部には、調整搬送部5の少なくとも一部が収容されている。また、雰囲気遮断チャンバ70cの内部に、カメラが設けられていても良い。そして、カメラを用いることにより、ボトル100が成形上問題ないかどうかを検査しても良い。さらに、雰囲気遮断チャンバ70cの内部に、温度計が設けられていても良い。そして、この温度計によって、殺菌前のボトル100の温度が測定されても良い。ここで、ボトル100の温度は、ボトル100の殺菌効率を左右する重要な要素の1つである。すなわち、ボトル100の温度を適切な温度に保つことにより、ボトル100の殺菌効率を向上できる。このため、温度計によって、殺菌前のボトル100の温度を測定することにより、殺菌時のボトル100の温度を適切な温度に保つことができ、ボトル100の殺菌効率を向上できる。
【0078】
殺菌剤噴霧チャンバ70dの内部には、殺菌装置11が収容されている。また、エアリンスチャンバ70eの内部には、エアリンス装置14が収容されている。
【0079】
第1無菌チャンバ70fの内部には、充填装置20の水充填装置21が収容されている。また、第2無菌チャンバ70hの内部には、上述した充填装置20の原液充填装置22及びキャップ装着装置16が収容されている。さらに、出口チャンバ70iの内部には、製品ボトル搬出部25が収容されている。なお、中間エリアチャンバ70gの内部には、搬送ホイール12のみが収容されていても良い。
【0080】
上述したプリフォーム殺菌チャンバ70a、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、第1無菌チャンバ70f、中間エリアチャンバ70g、第2無菌チャンバ70h及び出口チャンバ70iの内部には、各チャンバ内の圧力を測定する圧力計(図示せず)が取り付けられている。なお、成形部チャンバ70b及び又は雰囲気遮断チャンバ70cにも、各チャンバ内の圧力を測定する圧力計が取り付けられていても良い。
【0081】
ここで、上述したように、内容物充填システム10は、充填装置20を制御する制御部90を備えている。この制御部90は、充填装置20に電気的に接続されており、充填装置20の水充填装置21及び原液充填装置22を制御する。また、制御部90は、水殺菌ライン50、原液殺菌ライン70、ボトル成形部30、殺菌装置11、エアリンス装置14、キャップ装着装置16、製品ボトル搬出部25及びキャップ殺菌装置18に電気的に接続されていても良く、制御部90が水殺菌ライン50等を制御しても良い。
【0082】
この制御部90は、各チャンバ内を洗浄及び殺菌しても良く、水殺菌ライン50の後述する水殺菌機60等を洗浄及び殺菌しても良い。本実施の形態では、制御部90は、第1無菌チャンバ70fの内部を無菌状態に維持した状態で、第2無菌チャンバ70h内を洗浄(以下、各チャンバ内の洗浄をCOPとも記す)する。また、制御部90は、第1無菌チャンバ70fの内部を無菌状態に維持した状態で、原液充填装置22を洗浄(以下、原液充填装置22等の充填装置20内の洗浄をCIP(Cleaning in Place)とも記す)する。すなわち、制御部90は、第2無菌チャンバ70h内及び原液充填装置22を洗浄する際に、第1無菌チャンバ70f内を洗浄(COP)することなく、第1無菌チャンバ70fの内部を無菌状態に維持した状態を保つ。また、制御部90は、第2無菌チャンバ70h内及び原液充填装置22を洗浄する際に、水充填装置21を洗浄(CIP)することなく、第1無菌チャンバ70fの内部を無菌状態に維持した状態を保つ。
【0083】
上述したように、第1無菌チャンバ70f内には、殺菌された水を充填する水充填装置21が収容されている。この水充填装置21の周囲、及び水充填装置21内の水の流路には、内容物による汚れが付着することはない。このため、内容物の種類を切り替える際に、第1無菌チャンバ70f内の洗浄(COP)又は殺菌(以下、各チャンバ内の殺菌をSOPとも記す)を行わない場合であっても、第1無菌チャンバ70f内の衛生性を保つことができる。また、この際、第1無菌チャンバ70f内に収容された水充填装置21の洗浄(CIP)又は殺菌(SIP(Sterilization in Place))を行わない場合であっても、水充填装置21の衛生性を保つことができるとともに、次回の内容物に、前回の内容物が混ざることを抑制できる。このように、第2無菌チャンバ70h内を洗浄する際に、第1無菌チャンバ70f内を洗浄しない場合、第1無菌チャンバ70f内を洗浄する回数を少なくできるとともに、内容物充填システム10において、洗浄する領域を狭くできる。このため、水、蒸気、電気及び洗浄剤の使用量を低減できる。また、洗浄する領域を狭くできるため、洗浄時間を短縮できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0084】
また、制御部90は、第1無菌チャンバ70fの内部を無菌状態に維持した状態で、第2無菌チャンバ70h内を殺菌(SOP)する。また、制御部90は、第1無菌チャンバ70fの内部を無菌状態に維持した状態で、原液充填装置22を殺菌(SIP)する。すなわち、制御部90は、第2無菌チャンバ70h内及び原液充填装置22を殺菌する際に、第1無菌チャンバ70f内を殺菌(SOP)することなく、第1無菌チャンバ70fの内部を無菌状態に維持した状態を保つ。また、制御部90は、第2無菌チャンバ70h内及び原液充填装置22を殺菌する際に、水充填装置21を殺菌(SIP)することなく、第1無菌チャンバ70fの内部を無菌状態に維持した状態を保つ。これにより、殺菌する領域を狭くできる。このため、蒸気の使用量を低減できる。また、殺菌時間を短縮できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0085】
上述した第1無菌チャンバ70f内の圧力は、第2無菌チャンバ70h内の圧力よりも高いことが好ましい。これにより、第2無菌チャンバ70h内の空気が、第1無菌チャンバ70f内に入り込むことを抑制できる。このため、第1無菌チャンバ70fの内部の無菌状態を良好に維持できる。
【0086】
第2無菌チャンバ70h内を洗浄及び殺菌する際、第1無菌チャンバ70f内の圧力は、40Pa以上100Pa以下であることが好ましく、第2無菌チャンバ70h内の圧力は、0Pa以上20Pa以下であることが好ましい。また、原液充填装置22を洗浄及び殺菌する際、第1無菌チャンバ70f内の圧力は、40Pa以上100Pa以下であることが好ましく、第2無菌チャンバ70h内の圧力は、0Pa以上20Pa以下であることが好ましい。これにより、第2無菌チャンバ70h内の空気が第1無菌チャンバ70f内に入り込むことを効果的に抑制でき、第1無菌チャンバ70fの内部の無菌状態を更に良好に維持できる。なお、製品ボトル101を生産する際には、第1無菌チャンバ70f内の圧力は、30Pa以上60Pa以下であることが好ましく、第2無菌チャンバ70h内の圧力は、10Pa以上40Pa以下であることが好ましい。
【0087】
また、中間エリアチャンバ(第3無菌チャンバ)70g内の圧力は、第1無菌チャンバ70f内の圧力よりも低く、第2無菌チャンバ70h内の圧力以上であることが好ましい。中間エリアチャンバ70g内の圧力が第1無菌チャンバ70f内の圧力よりも低いことにより、中間エリアチャンバ70g内の空気が、第1無菌チャンバ70f内に入り込むことを抑制できる。また、中間エリアチャンバ70g内の圧力が第2無菌チャンバ70h内の圧力以上であることにより、第2無菌チャンバ70h内の空気が、中間エリアチャンバ70g内に入り込むことを抑制できる。このため、第2無菌チャンバ70h内の空気が、中間エリアチャンバ70gを介して、第1無菌チャンバ70f内に入り込むことを抑制できる。この結果、第1無菌チャンバ70fの内部の無菌状態を良好に維持できる。
【0088】
第2無菌チャンバ70h内を洗浄及び殺菌する際、中間エリアチャンバ70g内の圧力は、10Pa以上40Pa以下であることが好ましい。また、原液充填装置22を洗浄及び殺菌する際、中間エリアチャンバ70g内の圧力は、10Pa以上40Pa以下であることが好ましい。これにより、第2無菌チャンバ70h内の空気が中間エリアチャンバ70g内に入り込むことを抑制でき、第1無菌チャンバ70fの内部の無菌状態を更に良好に維持できる。なお、製品ボトル101を生産する際には、中間エリアチャンバ70g内の圧力は、20Pa以上50Pa以下であることが好ましい。
【0089】
また、エアリンスチャンバ(第4無菌チャンバ)70e内の圧力は、第1無菌チャンバ70f内の圧力以下であることが好ましい。これにより、エアリンスチャンバ70e内の空気が、第1無菌チャンバ70f内に入り込むことを抑制できる。このため、第1無菌チャンバ70fの内部の無菌状態を良好に維持できる。
【0090】
第2無菌チャンバ70h内を洗浄及び殺菌する際、エアリンスチャンバ70e内の圧力は、10Pa以上40Pa以下であることが好ましい。また、原液充填装置22を洗浄及び殺菌する際、エアリンスチャンバ70e内の圧力は、10Pa以上40Pa以下であることが好ましい。これにより、エアリンスチャンバ70e内の空気が、第1無菌チャンバ70f内に入り込むことを抑制でき、第1無菌チャンバ70fの内部の無菌状態を更に良好に維持できる。なお、製品ボトル101を生産する際には、エアリンスチャンバ70e内の圧力は、10Pa以上30Pa以下であることが好ましい。
【0091】
また、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の圧力は、雰囲気遮断チャンバ70c内の圧力以下であることが好ましい。これにより、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の空気が、雰囲気遮断チャンバ70c及び成形部チャンバ70b内に入り込むことを抑制できる。ここで、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の空気が成形部チャンバ70b内に入り込むことを抑制できることにより、成形部チャンバ70b内の湿度の上昇を抑制できる。上述したように、成形部チャンバ70bの内部には、ボトル成形部30のブロー成形部32が収容されている。このため、成形部チャンバ70b内の湿度の上昇を抑制することにより、ブロー成形部32を構成する機械の腐食を抑制できる。
【0092】
第2無菌チャンバ70h内を洗浄及び殺菌する際、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の圧力は、0Pa以上20Pa以下であることが好ましい。また、原液充填装置22を洗浄及び殺菌する際、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の圧力は、0Pa以上20Pa以下であることが好ましい。これにより、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の空気が、雰囲気遮断チャンバ70c及び成形部チャンバ70b内に入り込むことを抑制でき、成形部チャンバ70b内の湿度の上昇を抑制できる。なお、製品ボトル101を生産する際には、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の圧力は、-10Pa以上10Pa以下であることが好ましい。
【0093】
第2無菌チャンバ70h内を洗浄及び殺菌する際、出口チャンバ70i内の圧力は、0Pa以上20Pa以下であることが好ましい。また、原液充填装置22を洗浄及び殺菌する際、出口チャンバ70i内の圧力は、0Pa以上20Pa以下であることが好ましい。これにより、出口チャンバ70i内の空気が第2無菌チャンバ70h等を介して、第1無菌チャンバ70f内に入り込むことを抑制でき、第1無菌チャンバ70fの内部の無菌状態を更に良好に維持できる。なお、製品ボトル101を生産する際には、出口チャンバ70i内の圧力は、10Pa以上20Pa以下であることが好ましい。
【0094】
以上を纏めると、殺菌剤噴霧チャンバ70d乃至出口チャンバ70i内の圧力は、以下の表1のようにしても良い。
【0095】
【0096】
なお、この際、プリフォーム殺菌チャンバ70a乃至雰囲気遮断チャンバ70c内の圧力は、以下の表2のようにしても良い。
【0097】
【0098】
このような内容物充填システム10は、例えば無菌充填システムからなっていても良い。この場合、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、第1無菌チャンバ70f、中間エリアチャンバ70g、第2無菌チャンバ70h及び出口チャンバ70iの内部は無菌状態に保持される。なお、出口チャンバ70iの下流側に、無菌状態の無菌ゾーンと、非無菌状態の非無菌ゾーンとを連結するチャンバ(図示せず)が設けられていてもよい。
【0099】
次に、内容物充填システム10の水殺菌ライン50及び原液殺菌ライン70について説明する。ここでは、まず、水殺菌ライン50について説明する。
【0100】
水殺菌ライン
水殺菌ライン50は、水を非加熱殺菌する殺菌ラインである。この水殺菌ライン50は、紫外線によって水を殺菌しても良い。この場合、水殺菌ライン50において、水は、低圧水銀ランプ及び中圧水銀ランプのうちの少なくとも一方からの紫外線によって、殺菌されても良い。また、水殺菌ライン50は、無菌フィルタ(後述する第1無菌フィルタ63等)によって水を濾過することにより、水を殺菌しても良い。なお、本明細書中、「非加熱殺菌」とは、電気ヒーター又は蒸気等による熱エネルギーを用いることなく、水を殺菌することをいう。
【0101】
図2Aに示すように、水殺菌ライン50は、水を殺菌する水殺菌機60を少なくとも有している。
図2Aに示す例においては、水殺菌ライン50は、第1水タンク51と、水殺菌機60と、第2水タンク52とを有している。また、水殺菌ライン50は、第1水タンク51の上流側に設けられ、水(純水)を製造する純水製造装置50aと、純水製造装置50aから供給された水(純水)を貯留する純水タンク50cとを更に有していても良い。純水製造装置50a、純水タンク50c、第1水タンク51、水殺菌機60及び第2水タンク52は、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。
【0102】
このうち純水タンク50cは、水の供給源である純水製造装置50aから供給された水(純水)を貯留するタンクである。ここで、清涼飲料水の原水には、食品衛生法によって定められている食品製造用水を使用することが義務付けられている。食品製造用水は、活性炭、逆浸透膜又はイオン交換樹脂(EDI含む)等を備える純水製造装置50aで作製された純水(RO水、イオン交換水又は蒸留水等)である。純水は、カルシウム、マグネシウム、塩素、鉄又はミネラル分等の不純物が取り除かれた水である。この場合、純水の蒸発残留物は、20mg/L以下である。さらに、純水の電気伝導率は、0.1μS/cm以上20μS/cm以下である。後述するように、本実施の形態では、水は、紫外線によって殺菌される。このため、殺菌する水の電気伝導率が20μS/cm以下であることにより、後述する第1紫外線ランプ67a等の表面に、無機物(カルシウム等の酸化物)等が付着することを抑制できる。このため、紫外線透過率の低下を防ぐことができる。また、純水製造装置50aから供給される水は、純水に限らず、超純水でも良い。
【0103】
この純水タンク50cは、水を貯留することにより、水の流れを円滑にする役割を果たす。純水タンク50cの容積は、50m3以上100m3以下であっても良く、一例として、50m3であっても良い。
【0104】
また、純水タンク50c内の菌数は、0.001CFU/mL以上20CFU/mL以下であることが望ましい。純水タンク50cに供給される純水は、水道水内の塩素が活性炭等により除去されることにより作製されている。これにより、純水タンク50cに供給される純水では、菌が増殖しやすい。このため、純水タンク50c内にUVランプを設置し、菌の増殖を抑制すると良い。なお、純水タンク50c内の菌数が20CFU/mLよりも多くなる場合、純水タンク50cを塩素、熱水又は蒸気等で殺菌することが好ましい。純水タンク50c内の菌数は、常時モニタリングされるとともに、上記範囲内になるように制御されても良い。これにより、追加の機器を設けることなく、無菌性を維持した水を製造できる。このため、水殺菌機60を高コストな仕様にすることなく、水殺菌機60が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0105】
この純水タンク50cの下流側には、前段殺菌機62A及び第1水タンク51が設けられている。
【0106】
ここで、純水製造装置50aから供給される菌数濃度が高い場合(例えば、1CFU/ml以上)、かつ、後述する異物除去フィルタ61が除菌フィルタのポアサイズ(0.1μm以上10μm以下)であった場合に、異物除去フィルタ61は短期間で菌汚染され得る。菌が異物除去フィルタ61で大量に補足され、菌増殖すると、水の品質に影響を及ぼす場合がある。このため、
図2Aに示すように、異物除去フィルタ61の上流側に、前段殺菌機62Aが設置されていることが好ましい。これにより、品質の良い無菌水を長期間製造することが可能になる。
図2Aに示す例においては、前段殺菌機62Aは、異物除去フィルタ61の上流側に2つ設けられている。具体的には、前段殺菌機62Aは、異物除去フィルタ61の上流側であって、第1水タンク51の上流側及び下流側に、1つずつ設けられている。なお、前段殺菌機62Aの個数は1つであっても良く、第1水タンク51の上流側及び下流側のうちの一方のみに設けられていても良い。この場合、水を殺菌する際のコストを低減できる。なお、前段殺菌機62Aの構成は、後述する
図3乃至
図6Bに示す第1殺菌機62と略同一の構成としても良い。
【0107】
第1水タンク51は、いわゆるバランスタンクであり、水を貯留することにより、水の流れを円滑にする役割を果たす。第1水タンク51の容積は、30m3以上100m3以下であっても良く、一例として、50m3であっても良い。
【0108】
第1水タンク51の下流側には、水を搬送するためのポンプP1と、水の流量を測定するための流量計Fが設けられていても良い。ポンプP1及び流量計Fは、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に設けられていても良い。なお、流量計Fの設置場所は、ポンプP1の下流側、かつ、後述するバルブV1の上流側であれば、適宜変更されても良い。また、流量計Fの下流側には、上述した水殺菌機60が設けられている。
【0109】
水殺菌機60は、第1水タンク51に貯留された水を殺菌する殺菌機である。水殺菌機60の詳細は後述する。
【0110】
第2水タンク52は、水殺菌機60によって殺菌された水を貯留するタンク(いわゆるアセプティックタンク)である。この第2水タンク52は、殺菌された水を貯留することにより、水の流れを円滑にする役割を果たす。第2水タンク52の容積は、5m3以上50m3以下であっても良く、一例として、10m3であっても良い。
【0111】
また、第2水タンク52の下流側に、殺菌された水を濾過する補助フィルタ53と、補助フィルタ53を通過した水を貯留する第3水タンク54とが設けられていても良い。この場合、第3水タンク54は、いわゆる充填機タンクであっても良く、水充填装置21の充填精度を向上させるために、水充填装置21の鉛直方向上方に設置されていても良い。第3水タンク54は、第3水タンク54の下流側における水の使用量が変化した場合であっても、水の円滑な流れを確保する、いわゆるクッションタンクとしての役割を果たしても良い。第3水タンク54の容積は、0.1m3以上1m3以下であっても良く、一例として、0.3m3であっても良い。
【0112】
また、第2水タンク52の下流側に、水殺菌ライン50とキャップ殺菌装置18とを互いに接続する第1バイパスライン(バイパスライン)55(
図1及び
図2A等参照)が設けられていても良い。これにより、水殺菌機60によって殺菌した水を、キャップ88の洗浄に使用できる。ここで、キャップ88は、殺菌剤によって殺菌された後に、無菌水によって洗浄され得る。これにより、キャップ88が冷却されるとともに、キャップ88に付着した異物が除去される。また、キャップ88が無菌水によって洗浄されることにより、キャップ88に付着した無菌水によって、キャップ88を搬送する搬送シュート(図示せず)と、キャップ88との間の摩擦を低減できる。このため、キャップ88の搬送時に、搬送シュートによってキャップ88が削られることを抑制できる。
【0113】
上述したように、第2水タンク52の下流側に第1バイパスライン55が設けられていることにより、水殺菌機60によって殺菌した水を、キャップ88の洗浄に使用できる。このため、水を加熱して殺菌する殺菌機を使用して作製された無菌水によってキャップ88を洗浄する場合と比較して、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を更に低減できる。なお、キャップ88の殺菌条件、搬送速度及び又は材質等を適宜設定することにより、キャップ88は、削られることなく、搬送され得る。このように、キャップ88が削られない場合、キャップ88は、無菌水によって洗浄されなくても良い。
【0114】
さらに、第2水タンク52の下流側に、水殺菌ライン50と第2無菌チャンバ70hとを互いに接続する第2バイパスライン56が設けられていても良い。そして、第2無菌チャンバ70h内を洗浄する際、制御部90は、水殺菌ライン50で殺菌された水を、第2バイパスライン56を介して、第2無菌チャンバ70hに供給しても良い。また、原液充填装置22を洗浄する際、制御部90は、水殺菌ライン50で殺菌された水を、第2バイパスライン56を介して、第2無菌チャンバ70hに供給しても良い。これにより、水を加熱して殺菌する殺菌機を使用して作製された無菌水によって第2無菌チャンバ70h内を洗浄する場合と比較して、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を更に低減できる。
【0115】
また、第2無菌チャンバ70h内では、原液充填装置22によって、ボトル100内へ製品原液が充填される。ここで、製品原液(内容物)をボトル100に充填した後に、ボトル100の口部が洗浄され得る。このようにボトル100の口部を洗浄する際、第2バイパスライン56を介して第2無菌チャンバ70hに供給された水を使用しても良い。これにより、水を加熱して殺菌する殺菌機を使用して作製された無菌水によってボトル100の口部を洗浄する場合と比較して、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を更に低減できる。なお、ボトル100の口部に製品原液(内容物)が付着しない場合は、ボトル100の口部は、洗浄されなくても良い。また、ボトル100の口部に製品原液が付着する場合であっても、菌が増殖する可能性がない場合は、ボトル100の口部は、洗浄されなくても良い。
【0116】
なお、第2バイパスライン56は、水殺菌ライン50と、各チャンバ70a乃至70iとを互いに接続していても良い。そして、各チャンバ70a乃至70i内を洗浄する際、水殺菌ライン50で殺菌された水を、第2バイパスライン56を介して、各チャンバ70a乃至70iに供給しても良い。また、各チャンバ70a乃至70i内に配置された機械を洗浄する際、水殺菌ライン50で殺菌された水を、第2バイパスライン56を介して、各チャンバ70a乃至70iに供給しても良い。
【0117】
また、
図2Aに示すように、水殺菌ライン50の第2水タンク52の上流側に、循環ライン(第1循環ライン)59が接続されていても良い。この循環ライン59の一端は、水殺菌ライン50に設けられたバルブV1を介して水殺菌ライン50に接続されていても良い。循環ライン59の他端は、水殺菌ライン50の第1水タンク51に接続されていても良い。これにより、後述する異物除去フィルタ61、第1殺菌機62、第1無菌フィルタ63、第2殺菌機64、第2無菌フィルタ65、循環ライン59及び第1水タンク51によって、水を循環させる循環系(第1循環系)59Aが構成されていても良い。また、循環ライン59には、温度計Tが設けられていても良い。また、循環ライン59には、水殺菌機60を殺菌する際に、殺菌剤又は洗浄剤の濃度を測定するための濃度計59cが設けられていても良い。さらに、循環ライン59には、循環ライン59を洗浄及び又は殺菌する際に、殺菌剤等を温めるための昇温装置(熱交換器又はヒーター等)が設置されていても良い。昇温装置は、後述する完全性試験の際に、第1無菌フィルタ63等に供給される水を一定温度(例えば25℃)に調整するために使用されても良い。この場合、一定温度に調整された水は、後述する第1無菌フィルタ63等のメンブレンを湿潤させるために使用され得る。これにより、完全性試験において、年間を通じて水温に影響されないデータを得ることができる。昇温装置は、循環ライン59以外に、第1水タンク51からバルブV1の間であれば、どこに設置されても良い。設置される昇温装置は、1つであっても良く、2つ以上であっても良い。なお、バルブV1は、制御部90に電気的に接続されていても良く、制御部90によって制御されても良い。
【0118】
また、
図2Bに示すように、水殺菌ライン50の第1水タンク51と水殺菌機60との間に、循環ライン(第2循環ライン)95が接続されていても良い。この循環ライン95の一端は、後述するサンプリングポイントSP5に接続されたサンプリングラインSLに接続されていても良い。循環ライン95の他端は、例えば、第1水タンク51の下流側に設けられたポンプP1と前段殺菌機62Aとの間に接続されていても良い。また、循環ライン95の他端は、例えば、ポンプP1の上流側(例えば、第1水タンク51とポンプP1との間)に接続されていても良い。これにより、前段殺菌機62A、後述する第3バイパスライン95a、第1殺菌機62、後述する第4バイパスライン95b、第2殺菌機64及び循環ライン95によって、水等を循環させる循環系(第2循環系)95Aが構成されていても良い。また、循環ライン95には、図示しないタンク、ポンプ、ヒーター及び濃度計等を含む殺菌剤供給ユニット96が設けられていても良い。また、循環ライン95には、熱交換器97が設けられていても良い。さらに、循環ライン95には、図示しないポンプが設けられていても良い。このような循環ライン95を含む循環系95Aは、後述するように、水殺菌機60を殺菌する際に、殺菌剤又は洗浄剤を循環させるために使用されても良い。
【0119】
さらに、
図2Cに示すように、循環ライン95の一端は、例えば、第2殺菌機64と第1無菌フィルタ63との間に接続されていても良い。これにより、循環系(第2循環系)95Aが、前段殺菌機62A、後述する第3バイパスライン95a、第1殺菌機62、第2殺菌機64及び循環ライン95によって、構成されていても良い。
【0120】
<水殺菌機>
次に、水殺菌機60について説明する。この水殺菌機60は、内容物充填システム10で使用する水を殺菌する殺菌機である。本実施の形態では、水殺菌機60は、水を非加熱殺菌する。上述したように、水殺菌機60は、第1水タンク51に貯留された水(純水)を殺菌する。このため、水殺菌機60は、電気伝導率が、0.1μS/cm以上20μS/cm以下である水を殺菌する。
【0121】
図2A及び
図2Bに示すように、水殺菌機60は、少なくとも1つの無菌フィルタ(第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65)を備えている。また、水殺菌機60は、少なくとも1つの殺菌機(第1殺菌機62及び第2殺菌機64)を備えている。水殺菌機60が、少なくとも1つの無菌フィルタと、少なくとも1つの殺菌機とを備えていることにより、無菌フィルタ及び殺菌機の一方が停止した場合であっても、無菌フィルタ及び殺菌機の他方によって、水の無菌性を保証できる。
【0122】
図2A及び
図2Bに示す例においては、水殺菌機60は、異物除去フィルタ61と、第1殺菌機62と、第1無菌フィルタ63と、第2殺菌機64と、第2無菌フィルタ65とを備えている。異物除去フィルタ61、第1殺菌機62、第1無菌フィルタ63、第2殺菌機64及び第2無菌フィルタ65は、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。このように、無菌フィルタ(この場合、第1無菌フィルタ63)の下流側に、殺菌機(この場合、第2殺菌機64)が配設されていることにより、菌が無菌フィルタを通過した場合であっても、殺菌機によって、当該菌を殺菌できる。このとき、
図2Cに示すように、異物除去フィルタ61、第1殺菌機62、第2殺菌機64、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65が、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。
図2A乃至
図2Cに示すように、水殺菌機60が複数の無菌フィルタ(第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65)を備えていることにより、一方の無菌フィルタが停止した場合であっても、他方の無菌フィルタによって、水の無菌性を保証できる。また、水殺菌機60が複数の殺菌機(第1殺菌機62及び第2殺菌機64)を備えていることにより、一方の殺菌機が停止した場合であっても、他方の殺菌機によって、水の無菌性を保証できる。
【0123】
また、
図2Dに示すように、水殺菌機60は、異物除去フィルタ61と、第1殺菌機62と、第1無菌フィルタ63と、第2無菌フィルタ65とを備えていても良い。異物除去フィルタ61、第1殺菌機62、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65は、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。この場合、水殺菌機60は、第1無菌フィルタ63と第2無菌フィルタ65との間に設けられた第2殺菌機64を更に備えていても良い。
【0124】
また、
図2E1に示すように、水殺菌機60は、第1殺菌機62と、第1無菌フィルタ63と、第2無菌フィルタ65とを備えていても良い。第1殺菌機62、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65は、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。この場合、水殺菌機60は、第1無菌フィルタ63と第2無菌フィルタ65との間に設けられた第2殺菌機64を更に備えていても良い。また、
図2E2に示すように、第1無菌フィルタ63、第1殺菌機62、第2無菌フィルタ65及び第2殺菌機64が、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。さらに、
図2E3に示すように、第1殺菌機62、第1無菌フィルタ63、第2無菌フィルタ65及び第2殺菌機64が、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。
【0125】
また、
図2Fに示すように、水殺菌機60は、第1殺菌機62と、第1無菌フィルタ63とを備えていても良い。第1殺菌機62及び第1無菌フィルタ63は、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。また、
図2Gに示すように、第1無菌フィルタ63及び第1殺菌機62が、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。これらの場合、水殺菌機60は、第1無菌フィルタ63と後述するバルブV1との間に設けられた第2殺菌機64を更に備えていても良い。
【0126】
また、
図2Hに示すように、水殺菌機60は、第1殺菌機62と、第2殺菌機64と、第1無菌フィルタ63とを備えていても良い。第1殺菌機62、第2殺菌機64及び第1無菌フィルタ63は、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。この場合、水殺菌機60は、第1無菌フィルタ63の下流側に設けられた第2無菌フィルタ65を更に備えていても良い。
【0127】
また、
図2Iに示すように、水殺菌機60は、第1無菌フィルタ63と、第2無菌フィルタ65と、第1殺菌機62とを備えていても良い。第1無菌フィルタ63、第2無菌フィルタ65及び第1殺菌機62は、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。この場合、水殺菌機60は、第1殺菌機62の下流側に設けられた第2殺菌機64を更に備えていても良い。
【0128】
また、水殺菌機60は、無菌フィルタを備えていなくても良い。すなわち、製品原液を水によって希釈することによって作製された内容物の無菌品質レベル、及び又は内容物における菌の増殖特性等により、水殺菌機60が無菌フィルタを備えていなくても良い場合がある。また、殺菌された水を各チャンバ内の洗浄(COP)及び又は殺菌(SOP)に使用する場合には、水が内容物に直接触れることはない。このような場合においても、水殺菌機60が無菌フィルタを備えていなくても良い場合がある。これらの場合、例えば、
図2Jに示すように、水殺菌機60は、第1殺菌機62のみを備えていても良い。また、
図2Kに示すように、水殺菌機60は、第1殺菌機62と第2殺菌機64とを備えていても良い。このように、水殺菌機60が無菌フィルタを備えていない場合、水殺菌機60の製造コストを低減できる。
【0129】
さらに、水殺菌機60は、殺菌機を備えていなくても良い。すなわち、製品原液を水によって希釈することによって作製された内容物の無菌品質レベル、及び又は内容物における菌の増殖特性等により、水殺菌機60が殺菌機を備えていなくても良い場合がある。この場合、例えば、
図2Lに示すように、水殺菌機60は、第1無菌フィルタ63のみを備えていても良い。また、
図2Mに示すように、水殺菌機60は、第1無菌フィルタ63と第2無菌フィルタ65とを備えていても良い。このように、水殺菌機60が殺菌機を備えていない場合においても、水殺菌機60の製造コストを低減できる。
【0130】
次に、異物除去フィルタ61、第1殺菌機62、第1無菌フィルタ63、第2殺菌機64及び第2無菌フィルタ65について説明する。なお、以下の説明では、主に
図2Aに示す水殺菌機60を例にとって、異物除去フィルタ61、第1殺菌機62、第1無菌フィルタ63、第2殺菌機64及び第2無菌フィルタ65を説明する。ここでは、まず、異物除去フィルタ61について説明する。
【0131】
異物除去フィルタ61は、水内の異物を除去するフィルタである。図示された例においては、水殺菌機60は、単一の異物除去フィルタ61を備えている。しかしながら、これに限られず、水殺菌機60が、複数の異物除去フィルタ61を備えていても良い。異物除去フィルタ61の目開き(濾過精度)は、例えば0.20μm以上10μm以下であっても良く、0.45μm以上10μm以下であっても良い。また、異物除去フィルタ61の目開きは、真菌類(カビ・酵母等)を除去可能な大きさであることが好ましい。後述するように、異物除去フィルタ61の下流側に設けられた第1殺菌機62等では、水に対して紫外線が照射される。このため、異物除去フィルタ61の目開きは、紫外線に対して耐性のあるカビ類を除去可能な大きさであることが好ましく、0.45μm以上1.2μm以下であることが好ましい。なお、異物除去フィルタ61を通過した水の無菌性を高めるために、異物除去フィルタ61の目開きは、0.2μm以上1.2μm以下であっても良い。これにより、水に残存するほぼ全ての菌を捕集し得る。また、異物除去フィルタ61を通過した水の無菌性を高めるために、目開きが0.1μm以上0.22μm以下である無菌グレードのフィルタが、異物除去フィルタ61として使用されても良い。
【0132】
第1殺菌機62は、異物除去フィルタ61の下流側に設けられている。また、第1殺菌機62は、第1無菌フィルタ63の上流側に設けられている。第1殺菌機62は、紫外線によって水を殺菌する殺菌機である。これにより、異物除去フィルタ61を通過した菌(カビ・酵母以外の細菌)を殺菌できる。また、第1殺菌機62が紫外線によって水を殺菌することにより、水を加熱することによって水を殺菌する場合と比較して、内容物充填システムが排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。とりわけ、上述したように、内容物を作製する場合、製品原液は、水によって、1.1倍以上100倍以下に希釈され得て、好ましくは2倍以上10倍以下に希釈され得る。製品原液が水によって、2倍以上10倍以下に希釈された場合、内容物の50%以上90%以下は、水である。このため、水を加熱することなく殺菌することにより、内容物を作製する際に排出される二酸化炭素の排出量を大幅に低減できる。
【0133】
上述したように、本実施の形態では、第1殺菌機62は、紫外線によって水を殺菌する。この場合、
図3及び
図4に示すように、第1殺菌機62は、本体部66と、本体部66内に設けられた紫外線照射部67とを有していても良い。
【0134】
このうち本体部66は、中空状に形成されている。また、本体部66の形状は、円錐台形状である。具体的には、本体部66は、円錐台形状の内面を有しており、小径側の端部が、大径側の端部より上方に位置するように向けられている。この本体部66の下部に、本体部66の内部に水を導入する導入部68が形成され、本体部66の上部に、殺菌された水を本体部66から排出する排出部69が形成されていても良い。本体部66に形成された導入部68には、導入管68aが連結されていても良く、導入管68aは、平面視において、本体部66の内面の接線方向に延びるように設けられていても良い。この場合、内面の接線方向とは、導入部68を含む水平断面において、本体部66の内面によって構成される円の接線のうち、導入される水が本体部66の内面に衝突する部分における接線方向である。
【0135】
導入部68を通って本体部66の内部に導入された水は、本体部66の内面に沿って案内されることにより、周方向に旋回する。そして、水は、旋回しながら上方に移動し、排出部69から排出される。これにより、本体部66の内部に導入された水の流れの偏りを抑制できる。このため、本体部66の内部に導入された水の一部が短時間で排出部69から排出されること(いわゆるショートパス)を防止できる。
【0136】
図4に示すように、本体部66内に、水の流れを規制する邪魔板66aが設けられていても良い。この邪魔板66aは、螺旋状に周回するように、本体部66の内面から径方向に突出していても良い。このような邪魔板66aが本体部66内に設けられることにより、導入部68を通って本体部66の内部に導入された水が、周方向に旋回することなく上方に移動することを抑制できる。このため、いわゆるショートパスをより確実に防止できる。なお、図示はしないが、本体部66内において、邪魔板66aが螺旋状に周回していなくても良い。この場合、例えば、本体部66内に、それぞれ平面視における形状が円環形状である複数の邪魔板66aが設けられていても良く、中央の開口部を水が通過するように構成されていても良い。
【0137】
また、本体部66内に、紫外線照射部67の後述する第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bを固定するための固定部材66bが設けられていても良い。固定部材66bの形状は、例えば、平面視において、十字形状であっても良い。これにより、水の上方への移動が、固定部材66bによって妨げられることを抑制できる。あるいは、固定部材66bの形状は、例えば、円盤形状であっても良く、平面視において円形状であっても良い。この場合、固定部材66bには、図示しない貫通孔が形成されていても良く、当該貫通孔を水が通過するように構成されていても良い。
【0138】
さらに、本体部66に、紫外線照射部67から照射された紫外線の照度を測定する照度計(強度計)66cが設置されていても良い。照度計66cは紫外線照射部67の近傍に少なくとも1つ設置されていることが望ましい。なお、紫外線照射部67の後述する第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bの出力を測定する出力計が設置されていても良い。また、上述した流量計Fにより、水が本体部66の内部を通過する時間(滞留時間)を常時監視しても良い。さらに、本体部66を通過する水の温度、透過率(濁度)及び又は色度を、常時又は適宜測定し、紫外線の照射量に異常がないことを常時確認しても良い。
【0139】
次に、紫外線照射部67について説明する。紫外線照射部67は、本体部66の径方向中央に設けられた第1紫外線ランプ67aと、第1紫外線ランプ67aの周囲に設けられた複数の第2紫外線ランプ67bとを含んでいても良い。図示された例においては、1本の第1紫外線ランプ67aの周囲に、4本の第2紫外線ランプ67bが設けられている。
【0140】
各々の第2紫外線ランプ67bは、本体部66の内面に沿って配置されている。すなわち、各々の第2紫外線ランプ67bは、上方に向かうにつれて径方向内側に傾斜するように設けられている。この場合、第2紫外線ランプ67bは、周方向に沿って等間隔に配置されていることが好ましい。これにより、紫外線の積算照射量(mJ/cm2)にバラツキが生じることを抑制できる。第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bは、それぞれ、波長が200nm以上450nm以下の紫外線を照射する紫外線ランプであっても良い。
【0141】
このような第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bは、それぞれ低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ又はUV-LEDであっても良い。この場合、第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bは、それぞれ低圧水銀ランプ又は中圧水銀ランプであることが好ましい。
【0142】
また、第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bは、照射する紫外線の波長及び又は出力が互いに異なっていても良い。すなわち、第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bは、互いに異なる紫外線ランプであっても良い。一例として、第1紫外線ランプ67aが低圧水銀ランプである場合、第2紫外線ランプ67bは、中圧水銀ランプ(又はUV-LED)であっても良い。さらに、複数の第2紫外線ランプ67bは、照射する紫外線の波長及び又は出力が互いに異なっていても良い。すなわち、複数の第2紫外線ランプ67bは、互いに異なる紫外線ランプであっても良い。例えば、一の第2紫外線ランプ67bが低圧水銀ランプである場合、他の第2紫外線ランプ67bは、中圧水銀ランプ(又はUV-LED)であっても良い。後述するように、低圧水銀ランプは、殺菌効果の高い波長(253.7nm)の紫外線を効率よく照射できる。また、後述するように、中圧水銀ランプは、低圧水銀ランプと比較して、高出力の水銀ランプである。このため、第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bが互いに異なる紫外線ランプである場合、第1殺菌機62における殺菌効果を向上できるとともに、第1殺菌機62が多くの量の水を殺菌できる。また、上述したように、複数の第2紫外線ランプ67bが互いに異なる紫外線ランプである場合においても、第1殺菌機62における殺菌効果を向上できるとともに、多くの量の水を第1殺菌機62が殺菌できる。
【0143】
低圧水銀ランプは、点灯中の水銀蒸気圧が10Pa未満となる水銀ランプである。この低圧水銀ランプは、殺菌効果の高い波長(253.7nm)の紫外線を効率よく照射できる。このため、第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bが、それぞれ低圧水銀ランプである場合、第1殺菌機62(及び第2殺菌機64)における殺菌効果を向上できる。低圧水銀ランプは、水銀と他の金属との合金であるアマルガムが発光管内に封入されたアマルガムランプ(低圧高出力アマルガムランプ)であっても良い。
【0144】
中圧水銀ランプは、点灯中の水銀蒸気圧が40kPa以上となる水銀ランプである。中圧水銀ランプが照射する紫外線の波長は、主波長が365nmであり、254nm、302nm、313nm、405nm、436nm等にもピークがある波長である。一般的に、中圧水銀ランプは、低圧水銀ランプと比較して、高出力の水銀ランプである。このため、第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bが、それぞれ中圧水銀ランプである場合、多くの量の水を第1殺菌機62(及び第2殺菌機64)が殺菌できる。また、中圧水銀ランプが高出力の水銀ランプであるため、第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bが、それぞれ中圧水銀ランプである場合、第1殺菌機62(及び第2殺菌機64)の小型化を図ることができる。
【0145】
また、第1殺菌機62の紫外線照射部67は、低圧水銀ランプ(低圧高出力アマルガムランプ含む)のみから構成されていても良く、第2殺菌機64の紫外線照射部67は、中圧水銀ランプのみから構成されていても良い。このように、水殺菌ライン50が複数の殺菌機(例えば、第1殺菌機62及び第2殺菌機64)を有している場合、低圧水銀ランプ(低圧高出力アマルガムランプ含む)と中圧水銀ランプとを併用することが好ましい。低圧水銀ランプ(低圧高出力アマルガムランプ含む)と中圧水銀ランプとは、殺菌波長が互いに異なる。このため、低圧水銀ランプ(低圧高出力アマルガムランプ含む)と中圧水銀ランプとを併用することにより、高い殺菌効果が得られる。
【0146】
また、中圧水銀ランプは、低圧水銀ランプよりも耐熱性が高いため、高温下での点灯が可能である。従って、後述するように、熱水又は殺菌剤を、循環系95A(
図2B及び
図2C参照)内で循環させることにより、第1殺菌機62及び第2殺菌機64を殺菌する際、第1紫外線ランプ67a等を点灯した状態で、第1殺菌機62等の殺菌を行うことができる。低圧水銀ランプ(低圧高出力アマルガムランプ含む)と、低圧水銀ランプとは異なる波長の紫外線を照射する紫外線ランプとを直列で設置する場合、低圧水銀ランプは、殺菌を行わない純水タンク50cと第1水タンク51との間の前段殺菌機62Aで使用されても良い。
【0147】
ここで、紫外線による菌の殺菌効果は、紫外線の積算照射量(mJ/cm2)によって変化する。すなわち、紫外線の積算照射量が多いほど紫外線による菌の殺菌効果が高まる。この積算照射量は、照度(mW/cm2)と、照射時間(s)との積によって求められる。このため、紫外線による菌の殺菌効果を高めるためには、光源(第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67b)と水との間の距離を短くするとともに、紫外線の照射時間を長くすることが求められる。とりわけ、照度は、紫外線を照射する光源からの距離の二乗に反比例する。例えば、光源からの距離が2倍になった場合、照度は1/4になり、光源からの距離が3倍になった場合、照度は1/9になる。このため、水が光源の近くを通過することにより、紫外線による菌の殺菌効果を高めることができる。
【0148】
上述したように、本実施の形態では、本体部66の下部に、本体部66の内部に水を導入する導入部68が形成され、本体部66の上部に、殺菌された水を本体部66から排出する排出部69が形成されている。これにより、ショートパスを防止でき、水が本体部66の内部に滞留する時間を長くできる。このため、水に対する紫外線の照射時間を長くでき、紫外線の積算照射量を多くできる。また、水を本体部66の下部から導入することにより、第1殺菌機62の稼働初期の水、すなわち、空の状態の本体部66に導入された水であっても、水が本体部66の内部に滞留する時間を十分に確保できる。このため、水に対する紫外線の照射時間を長くできる。
【0149】
また、本体部66の形状は、円錐台形状である。これにより、本体部66の上部において、第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bと水と間の距離を短くできる。このため、紫外線による菌の殺菌効果を高めることができる。また、紫外線照射部67が、本体部66の径方向中央に設けられた第1紫外線ランプ67aと、第1紫外線ランプ67aの周囲に設けられた複数の第2紫外線ランプ67bとを含んでいる。これにより、周方向に旋回しながら上方に移動する水に対して、ムラなく紫外線を照射できる。このため、紫外線の積算照射量にバラツキが生じることを抑制できる。
【0150】
ここで、水に対する紫外線の積算照射量は、10mJ/cm2以上10000mJ/cm2以下であることが好ましく、100mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下であることがより好ましい。すなわち、本体部66を通過した際に、水に対する紫外線の積算照射量は、10mJ/cm2以上10000mJ/cm2以下であることが好ましく、100mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下であることがより好ましい。この場合、水に対する紫外線の積算照射量は、254nmの波長で10mJ/cm2以上10000mJ/cm2以下であることが好ましく、100mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下であることがより好ましい。紫外線の積算照射量が10mJ/cm2以上であることにより、第2無菌フィルタ65を通過する可能性がある水棲菌(貧栄養環境の水内で増殖可能なPseudomonas属又はMethylobacterium属等のグラム陰性菌)を効果的に殺菌できる。また、紫外線の積算照射量が100mJ/cm2以上であることにより、細菌胞子も殺菌できる。また、紫外線の積算照射量が10000mJ/cm2以下であることにより、電気消費量を低減でき、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。ここで、紫外線の波長は、250nm以上260nm以下であっても良く、一例として253.7nm(254nm)であっても良い。紫外線の波長が250nm以上260nm以下、とりわけ253.7nmであることにより、紫外線による菌の殺菌効果を高めることができる。ここで、本明細書中「水棲菌」とは、目開きが0.2μmの無菌フィルタを通過可能な菌を意味する。
【0151】
このような第1殺菌機62は、殺菌(SIP)可能であることが好ましい。これにより、第1殺菌機62を定期的に殺菌できる。なお、第1殺菌機62を殺菌する場合、上述した制御部90は、蒸気又は熱水で第1殺菌機62を殺菌しても良い。あるいは、第1殺菌機62が熱に弱い場合には、制御部90は、水殺菌機60を含む循環系59Aにおいて、例えば過酢酸を含む殺菌剤を循環させることにより、第1殺菌機62を殺菌しても良い。この場合、制御部90は、循環系59Aにおいて、殺菌剤を少なくとも10秒以上60分以下循環させても良い。
【0152】
なお、
図5A及び
図5Bに示すように、第1殺菌機62の本体部66の形状が、円筒形状であっても良い。この場合、本体部66に形成された排出部69には、排出管69aが連結されていても良く、排出管69aは、平面視において、本体部66の内面の接線方向に延びるように設けられていても良い。この場合、内面の接線方向とは、排出部69を含む水平断面において、本体部66の内面によって構成される円の接線のうち、内面に当接しながら周回した水が本体部66の内面から離れる部分における接線方向である。本体部66の形状が、円筒形状である場合、水が本体部66の内部に滞留する時間を長くできる。このため、水に対する紫外線の照射時間を長くでき、紫外線の積算照射量を多くできる。なお、この場合、図示はしないが、複数の第2紫外線ランプ67bが、上方に向かうにつれて径方向内側に傾斜するように設けられていても良い。
【0153】
また、
図6A及び
図6Bに示すように、本体部66の形状が、細長い略円筒形状であっても良い。この場合、本体部66の一方の端部に、本体部66の内部に水を導入する導入部68が形成されていても良い。また、本体部66の他方の端部に、殺菌された水を本体部66から排出する排出部69が形成されていても良い。この場合、本体部66の長手方向(水の進行方向)が水平方向と平行になるように、本体部66が配置されても良く、本体部66の長手方向(水の進行方向)が上下方向と平行になるように、本体部66が配置されても良い。なお、図示された例においては、本体部66の形状が、一方の端部に向かうにつれて径が縮径するとともに、他方の端部に向かうにつれて径が縮径する、いわゆるレデューサー形状である。しかしながら、これに限られず、本体部66の形状が、導入部68から排出部69まで、略均一な径を有する円筒形状であっても良い。
【0154】
本変形例では、紫外線照射部67は、水の進行方向に沿って配置された複数の第3紫外線ランプ67cを含んでいても良い。これにより、水に対して、ムラなく紫外線を照射できる。このため、紫外線の積算照射量にバラツキが生じることを抑制できる。図示された例においては、紫外線照射部67は、8本の第3紫外線ランプ67cを含んでいる。
【0155】
また、水の進行方向において互いに隣り合う第3紫外線ランプ67cは、水の進行方向から見た場合に、互いに異なる方向に延びていても良い。これにより、紫外線の積算照射量にバラツキが生じることをより効果的に抑制できる。図示された例においては、各々の第3紫外線ランプ67cは、規則的に配置されている。すなわち、各々の第3紫外線ランプ67cは、水の進行方向の上流側(
図6Bの左側)から見た場合に、水の進行方向下流側(
図6Bの右側)に向かうにつれて、本体部66の中心軸線Xを中心に45°ずつ時計回り方向に回転している。なお、各々の第3紫外線ランプ67cの回転角度は、適宜変更されても良い。例えば、各々の第3紫外線ランプ67cは、水の進行方向の上流側から見た場合に、水の進行方向下流側に向かうにつれて、中心軸線Xを中心に90°ずつ時計回り方向に回転していても良い。また、紫外線照射部67が3つ以上の第3紫外線ランプ67cを含んでいる場合、各々の第3紫外線ランプ67cは、水の進行方向の上流側から見た場合に、水の進行方向下流側に向かうにつれて、中心軸線Xを中心に60°ずつ時計回り方向に回転していても良い。なお、各々の第3紫外線ランプ67cは、不規則的に配置されていても良い。
【0156】
第3紫外線ランプ67cは、第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bと同様の紫外線ランプであっても良い。すなわち、第3紫外線ランプ67cは、波長が200nm以上450nm以下の紫外線を照射する紫外線ランプであっても良い。また、第3紫外線ランプ67cは、低圧水銀ランプ(低圧高出力アマルガムランプを含む)、中圧水銀ランプ又はUV-LEDであっても良い。また、複数の第3紫外線ランプ67cは、照射する紫外線の波長及び又は出力が互いに異なっていても良い。すなわち、複数の第3紫外線ランプ67cは、互いに異なる紫外線ランプであっても良い。例えば、一の第3紫外線ランプ67cが低圧水銀ランプである場合、他の第3紫外線ランプ67cは、中圧水銀ランプ(又はUV-LED)であっても良い。この場合においても、第1殺菌機62における殺菌効果を向上できるとともに、多くの量の水を第1殺菌機62が殺菌できる。なお、図示はしないが、本体部66内に、水の流れを規制する邪魔板66aが設けられていても良い。
【0157】
また、
図3乃至
図6Bに示す第1殺菌機62において、第1殺菌機62における殺菌効率を高めるために、本体部66内で紫外線を反射させても良い。例えば、
図6A及び
図6Bに示す第1殺菌機62を例にとって説明すると、
図6Cに示すように、本体部66は、外側部材660と、外側部材660の内部に設けられた内側部材661とを含んでいても良い。外側部材660は、例えば、電解研磨等で鏡面仕上げされたステンレス鋼管から構成されていても良い。内側部材661は、ガラス管から構成されていても良い。また、外側部材660と内側部材661との間に、空気層662が介在されていても良い。この場合、内側部材661のガラス管のガラスとして、紫外線透過率の高いガラス(例えば、石英ガラス又はフッ化物ガラス)を用いた場合、
図6Cに示すように、内側部材661と空気層662との界面において、紫外線UVを反射させることができる。なお、内側部材661の材料としては、第3紫外線ランプ67c等が照射する紫外線の波長に合わせて、紫外線の透過率が高い材質が適宜選択されても良い。また、内側部材661の材料としては、ガラス以外が用いられても良く、例えば、ガラスと同様の特性を有するプラスチックが用いられても良い。さらに、外側部材660の内面及び又は内側部材661の外面に、反射率の高い材料がコーティングされていても良い。とりわけ、
図6A及び
図6Bに示す第1殺菌機62のように、本体部66が細長い場合、外側部材660の内面等に反射率の高い材料をコーティングすることにより、紫外線UVの減衰を抑制しつつ、紫外線UVを繰り返し反射させることができる。このため、水を効率よく殺菌できる。なお、紫外線UVは、本体部66の内部において、1回以上反射することが好ましい。この場合、外側部材660等と第3紫外線ランプ67c等との間の距離を短くすることにより、紫外線UVの反射回数を2回以上とすることがより好ましい。ここで、中圧水銀ランプから照射された紫外線は、低圧水銀ランプから照射された紫外線と比較して、より遠くまで照度を維持できる。このため、第3紫外線ランプ67c等が中圧水銀ランプである場合、本体部66の内部において、紫外線UVを複数回反射させた場合であっても、紫外線UVによる殺菌効果が低下することを効果的に抑制できる。
【0158】
また、水が第1殺菌機62を通過する通過時間は、0.1秒以上10秒未満であっても良く、0.5秒以上5秒未満であることが好ましい。なお、通過時間は、導入部68から本体部66の内部に導入された水が、排出部69から排出されるまでの時間である。通過時間が0.1秒以上であることにより、水の殺菌効果にバラツキが生じることを抑制できる。このため、十分な殺菌効果を得ることができる。通過時間が10秒未満であることにより、第1殺菌機62の小型化を図ることができる。なお、水が第1殺菌機62を通過する通過時間は、第1殺菌機62が処理(殺菌)する水の流量に基づいて、適宜変更されても良い。
【0159】
再度
図2Aを参照すると、第1無菌フィルタ63は、第1殺菌機62の下流側に設けられている。この第1無菌フィルタ63は、水に残存する菌を捕集することにより、水を除菌する精密濾過フィルタ(MF(Micro-Filtration)である。第1無菌フィルタ63の目開きは、0.1μm以上0.45μm以下であっても良く、0.1μm以上0.22μm以下であることが好ましい。第1無菌フィルタ63の目開きが0.1μm以上であることにより、水の殺菌効率の低下を抑制できる。また、第1無菌フィルタ63の目開きが0.45μm以下であることにより、水に残存する菌を第1無菌フィルタ63によって効果的に捕集できる。一部のウイルスも除去可能な、目開きが0.02μm以上0.1μm以下のフィルタが、第1無菌フィルタ63として使用されても良い。また、第1無菌フィルタ63の濾過膜(メンブレン)の材質は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、混合セルロース(SCWP)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)又はポリアミド等であっても良い。第1無菌フィルタ63の濾過膜は、内容物の適性に応じて、例えば、逆浸透膜(RO(Reverse Osmosis)膜)であっても良く、限界濾過膜(UF(Ultra-Filtration)膜)であっても良い。
【0160】
この第1無菌フィルタ63は、殺菌(SIP)可能であることが好ましい。これにより、第1無菌フィルタ63を定期的に殺菌できる。ここで、上述したように、第1無菌フィルタ63は、第1殺菌機62を通過し、水に残存する菌を捕集する。このため、水殺菌機60において長期間水の殺菌を続けると、捕集された菌が第1無菌フィルタ63内で繁殖し得る。また、有機物である菌の死骸が第1無菌フィルタ63等に付着していた場合、菌の死骸が基質になり得る。この場合、菌が第1無菌フィルタ63内で更に繁殖し得る。このように、第1無菌フィルタ63内で繁殖した場合、第1無菌フィルタ63を通過する水内に入り込む可能性がある。これに対して、第1無菌フィルタ63が殺菌可能であることにより、第1無菌フィルタ63に付着した菌が、第1無菌フィルタ63を通過する水内に入り込むことを抑制できる。この結果、第1無菌フィルタ63の濾過性能が低下することを抑制できる。なお、第1無菌フィルタ63を殺菌する場合、殺菌用の蒸気等は、後述する、無菌エアの供給口60aから第1無菌フィルタ63に供給されても良い。
【0161】
ここで、第1無菌フィルタ63の殺菌の程度については、F値によって管理されても良い。言い換えれば、第1無菌フィルタ63を有する水殺菌機60を殺菌する際、水殺菌機60の殺菌の程度については、F値によって管理されても良い。この際、例えば、制御部90は、第1無菌フィルタ63の流路に流された加熱蒸気(流体)又は熱水(流体)の温度を測定するとともに、測定された温度に基づいてF値を算出しても良い。そして、F値が目的値以上となった場合に、制御部90は、第1無菌フィルタ63の殺菌を終了しても良い。加熱蒸気又は熱水の温度を測定する場合、制御部90は、第1無菌フィルタ63の流路に、加熱蒸気又は熱水を流しつつ、流路のうち温度が上昇しにくい各所に配置された温度センサで温度を測定しても良い。そして、制御部90は、各温度センサからの温度が所定温度に達した時間が所定時間以上となったときに、加熱蒸気等による流路の加熱を終了させても良い。これにより、第1無菌フィルタ63に対して必要以上に熱を加えることなく、第1無菌フィルタ63を殺菌できる。ここでF値とは、菌を一定時間で加熱したとき、全ての菌を死滅させるのに要する加熱時間であり、121.1℃における菌の致死時間で示され、下記の式によって算出される。
【0162】
【数3】
(ただし、Tは任意の殺菌温度(℃)、10^{(T-Tr)/Z}は任意の殺菌温度Tでの致死率、Trは基準温度(℃)、ZはZ値(℃)を表す。)
【0163】
また、第1無菌フィルタ63は、第1無菌フィルタ63の目開きに対する完全性試験を行うことが可能であることが好ましい。ここで、完全性試験は、例えば、バブルポイント試験によって行われても良い。バブルポイント試験は、以下のようにして行うことができる。例えば、まず、第1無菌フィルタ63内のハウジング(図示せず)に水を供給することにより、第1無菌フィルタ63のフィルタ(図示せず)を水で覆う。次に、水の供給を停止し、第1無菌フィルタ63内の水を排出する。そして、フィルタが水で覆われた第1無菌フィルタ63内に、例えば無菌エアの供給口60aから無菌エアを注入する。次いで、第1無菌フィルタ63から無菌エアが抜けるまで、無菌エアの圧力を高める。そして、第1無菌フィルタ63から無菌エアが抜けた際の無菌エアの圧力に基づいて(バブルポイント)、第1無菌フィルタ63の目開きの大きさを判断する。このように、第1無菌フィルタ63が、第1無菌フィルタ63の目開きに対する完全性試験を行うことが可能であることにより、第1無菌フィルタ63の劣化具合を容易に判断できる。なお、第1無菌フィルタ63内の圧力を測定するために、無菌エアの供給口60a近傍に、圧力計P2が設けられていても良い。なお、完全性試験は、上述したバブルポイント試験以外に、ディフュージョンフロー試験、又はプレッシャーホールド試験等により行われても良い。
【0164】
第2殺菌機64は、第1無菌フィルタ63の下流側に設けられている。この第2殺菌機64の構成は、
図3乃至
図6Bに示す第1殺菌機62と略同一の構成としても良い。すなわち、第2殺菌機64は、紫外線によって水を殺菌する殺菌機であっても良い。
【0165】
第2無菌フィルタ65は、第2殺菌機64の下流側に設けられている。この第2無菌フィルタ65は、第2殺菌機64を通過し、水に残存する菌を捕集することにより、水を除菌するフィルタである。第2無菌フィルタ65の目開きは、第1無菌フィルタ63の目開き以下であることが好ましい。これにより、万が一、水内の菌が第1無菌フィルタ63を通過した場合であっても、第2無菌フィルタ65によって、当該菌を捕集できる。このため、水の無菌性を十分に確保できる。また、第2無菌フィルタ65の目開きが、第1無菌フィルタ63の目開きと同等である場合、殺菌機と無菌フィルタとによって構成される殺菌セットを、水の搬送方向に沿って、2セット配置できる。すなわち、第1殺菌機62と第1無菌フィルタ63とによって構成される第1の殺菌セットと、第2殺菌機64と第2無菌フィルタ65とによって構成される第2の殺菌セットとを、水の搬送方向に沿って、直列に配置できる。このため、一方の殺菌セットに何らかの異常が発生した場合であっても、水の無菌性を保証できる。なお、殺菌セットは、水又は最終製品(内容物)の無菌性保証レベル(SAL(Sterility Assurance Level))に合わせて、複数設けられていても良い(
図2A、
図2B、
図2D乃至
図2E3参照)。また、
図2F等に示すように、殺菌セットの個数は、1つであっても良く、図示はしないが、殺菌セットの個数は、3つ以上であっても良い。
【0166】
第2無菌フィルタ65の目開きは、0.1μm以上0.45μm以下であっても良く、0.1μm以上0.22μm以下であることが好ましい。第2無菌フィルタ65の目開きが0.1μm以上であることにより、水の殺菌効率の低下を抑制できる。また、第2無菌フィルタ65の目開きが0.45μm以下であることにより、水に残存する菌を第2無菌フィルタ65によって更に効果的に捕集できる。第2無菌フィルタ65の濾過膜は、例えば、逆浸透膜(RO(Reverse Osmosis)膜)であっても良く、限界濾過膜(UF(Ultra-Filtration)膜)であっても良い。
【0167】
第2無菌フィルタ65のその他の構成は、第1無菌フィルタ63と略同一の構成としても良い。すなわち、第2無菌フィルタ65は、殺菌(SIP)可能であっても良い。また、第2無菌フィルタ65は、第2無菌フィルタ65の目開きに対する完全性試験を行うことが可能であっても良い。
【0168】
ここで、水殺菌機60において、菌数レベルの目標値(FSO(Food Safety Objective/ISO13409-1996)(=logN))に基づいて、水の殺菌強度を調整しても良い。
【0169】
この場合、例えばフィルタ(例えば、第1無菌フィルタ63)に入る前の水内の初発菌数レベルをH0(=logN0)とする。この場合、フィルタの初発菌数レベルH0は、フィルタ(例えば、第1無菌フィルタ63)による除菌効果(水内の菌減少数レベル:ΣR1(=log(N0/NR1)>0)によって減少する。なお、「N0」は、水内の初発菌数を意味し、「NR1」は、フィルタ(例えば、第1無菌フィルタ63)によって除菌された後の水内の菌数を意味する。
【0170】
一方、フィルタを通過する間に、水内の菌が、ある一定の割合で増加する場合も考えられる(水内の菌増加数レベル:ΣI(=log(NI)≧0))。なお、「NI」は、フィルタを通過する間に増加した菌数を意味する。
【0171】
また、水内の菌は、殺菌機(例えば、第2殺菌機64)による殺菌効果(水内の菌減少数レベル:ΣR2(=log(NI/NR2)>0))によって再び減少する。水殺菌機60を通過した後の水内の菌数レベルが目標値(FSO(Food Safety Objective/ISO13409-1996)(=logN))以下であれば、水殺菌ライン50によって殺菌された水の無菌性には問題がないと考えることができる。なお、「NR2」は、殺菌機(例えば、第2殺菌機64)によって殺菌された後の水内の菌数を意味し、「N」は、殺菌機(例えば、第2殺菌機64)によって殺菌された後の水内の菌数の目標値を意味する。
【0172】
上述した、H0、ΣR1、ΣI、ΣR2及びFSOの関係を式として表すと以下のようになる。
H0-ΣR1+ΣI-ΣR2≦FSO・・・(式1)
このため、ΣR2の値が(H0-ΣR1+ΣI)-FSO以上となるように、殺菌機(例えば、第2殺菌機64)の殺菌能力を設定することにより、水の無菌性を目標値(FSO)以下とすることが可能となる。
【0173】
また、
図2A乃至
図2Mに示すように、水殺菌機60の入口、水殺菌機60の出口、及び、異物除去フィルタ61と第1殺菌機62との間等には、水を無菌的にサンプリングするためのサンプリングポイントSP1乃至SP6(SP)が設けられていても良い。また、このサンプリングポイントSP1乃至SP6のうちの少なくとも一部には、図示しないバルブを介して、サンプリングラインSLが接続されていても良い。これにより、サンプリングポイントSP1乃至SP6又はサンプリングラインSLから水を無菌的にサンプリングすることにより、水内の菌数又は微粒子の数を容易に測定できるとともに、菌の繁殖といった水内の状態変化を容易に確認できる。水内の菌数等を測定する場合、及び又は菌の繁殖といった状態変化を確認する場合、例えば、平板培地を用いて菌数等がカウントされても良い。また、例えば、水内の菌数等及び又は菌の状態変化は、微生物計測器又は微粒子計測器(液中パーティクルカウンタ)等を用いて測定及び又は確認されても良い。ここで、微生物計測器は、粒子にレーザー光線を当てたときに発する蛍光を検知しつつ、MIE散乱理論に基づいて非生物か微生物かを識別することにより、微生物をカウントする計測器である。このような微生物計測器としては、例えば、リオン株式会社製:生物粒子計測器、メトラー・トレド株式会社製:微生物検出アナライザ7000RMS、アズビル株式会社製:リアルタイム微生物ディテクタ、IMD-W(登録商標)等が挙げられる。なお、サンプリングラインSLから水を無菌的にサンプリングする場合、サンプリングラインSLは、予め殺菌されていることが好ましい。この場合、例えば、過酢酸等の殺菌剤又は熱水によってサンプリングラインSLを殺菌しても良い。また、殺菌剤によって殺菌されたサンプリングラインSLを、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65によって除菌された純水ですすいでも良い。
【0174】
なお、サンプリングラインSLには、温度計Tが設けられていても良く、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65を蒸気によって殺菌する際に、温度計Tによって、蒸気の温度を監視しても良い。
【0175】
また、
図2B及び
図2Cに示すように、前段殺菌機62Aと第1殺菌機62との間に、第3バイパスライン95aが設けられていても良い。これにより、水殺菌ライン50を殺菌剤又は洗浄剤で殺菌する際に、殺菌剤又は洗浄剤が、異物除去フィルタ61を通過することを抑制できる。また、異物除去フィルタ61の上流側には、第1ドレン配管95cが接続されていても良く、第1ドレン配管95cから、後述するすすぎ水等が排出されても良い。なお、第1ドレン配管95cは、第3バイパスライン95aに接続されていても良い。
【0176】
さらに、
図2Bに示すように、第1殺菌機62と第2殺菌機64との間に、第4バイパスライン95bが設けられていても良い。これにより、水殺菌ライン50を殺菌剤又は洗浄剤で殺菌する際に、殺菌剤又は洗浄剤が、第1無菌フィルタ63を通過することを抑制できる。また、
図2B及び
図2Cに示すように、第1無菌フィルタ63の上流側には、第2ドレン配管95dが接続されていても良く、第2ドレン配管95dから、後述するすすぎ水等が排出されても良い。なお、第2ドレン配管95dは、第4バイパスライン95bに接続されていても良い。
【0177】
このような水殺菌機60の処理能力は、製品ボトル101の生産時に必要とされる最大処理能力の105%以上であることが好ましく、製品ボトル101の生産時に必要とされる最大処理能力の110%以上であることがより好ましい。例えば、水殺菌機60の処理能力は、5m3/h以上50m3/h以下であっても良く、一例として、24m3/hであっても良い。また、水殺菌機60の処理能力が、製品ボトル101の生産時に必要とされる最大処理能力の105%以上である場合、製品ボトル101の生産時に、第2水タンク52内に所定の量の水を貯留することもできる。この場合、第2水タンク52の容積を適宜設計することにより、上述した第1無菌フィルタ63等の殺菌(SIP)又は完全性試験時であっても、水を不足させることなく、製品ボトル101の生産、及び第1無菌フィルタ63等の殺菌(SIP)又は完全性試験を行うことができる。なお、第1無菌フィルタ63等の殺菌(SIP)の所要時間及び完全性試験の所要時間は、それぞれ約30分以上約1時間以下である。このため、第2水タンク52の容積は、製品ボトル101を1時間生産する際に、内容物充填システム10において使用される水の量以上としても良い。
【0178】
また、水殺菌機60の処理能力は、制御部90によって制御されても良い。例えば、制御部90は、内容物充填システム10を洗浄及び殺菌するために使用する水の量を決定するとともに、決定された水の量に基づいて、水殺菌ライン50の水殺菌機60が製品ボトル101の生産中に殺菌する水の量を決定しても良い。ここで、製品ボトル101の生産後に各チャンバ内等を洗浄及び又は殺菌するために必要な無菌水の量は、チャンバ等毎に把握可能である。このため、水殺菌機60の処理能力は、製品ボトル101の生産後に使用する無菌水を、製品ボトル101を1ロット生産する間に蓄えられるように、制御部90によって制御されても良い。これにより、製品ボトル101の生産後に、直ちに各チャンバ内等を洗浄及び又は殺菌できる。このため、ダウンタイムを短縮できる。
【0179】
また、制御部90は、紫外線の照射量又は照度が所定の値以下となった場合に、水を水殺菌ライン50の外部に排出しても良い。ここで、所定の値とは、水を水殺菌ライン50の外部に排出すべきか否かを判断するための基準値(閾値)である。このような所定の値は、本体部66の容積又は水の流速等に応じて任意に設定できる。例えば、所定の値は、水又は最終製品(内容物)の無菌性保証レベルを下回らないようにできる照射量又は照度としても良い。所定の値は、例えば、本体部66の容積等にもよるが、10mJ/cm2以上10000mJ/cm2以下であっても良く、一例として、100mJ/cm2であっても良い。紫外線照射部67が照射する紫外線の照射量は、実際の化学線量計又は生物線量計によって求められたRED(換算紫外線照射量:Reduction Equivalent UV Dose)に基づいて設定されても良い。詳細は、「ULTRAVIOLET DISINFECTION GUIDANCE MANUAL FOR THE FINAL LONG TERM 2 ENHANCED SURFACE WATER TREATMENT RULE, United States Environmental Protection Agency, EPA 815-R-06-007,November 2006」を参照できる。
【0180】
制御部90が水を水殺菌ライン50の外部に排出する場合、制御部90は、循環ライン59を介して、水を水殺菌ライン50の外部に排出しても良い。この場合、制御部90は、水殺菌機60が紫外線によって水を殺菌している際に、照度計66cの値が所定の値以下となった場合に、バルブV1を切り替えても良い。そして、制御部90がバルブV1を切り替えることにより、水が循環ライン59に供給されても良い。これにより、バルブV1よりも下流側の無菌性を維持できる。なお、循環ライン59に供給された水は、第1水タンク51に供給されることなく、循環ライン59から排出されても良い。あるいは、循環ライン59に供給された水は、第1水タンク51に供給されても良い。この場合、照度計66cの値が十分な値となるまで、水を循環系59A内で循環させても良い。そして、照度計66cの値が十分な値となった後に、制御部90がバルブV1を切り替えることにより、循環系59A内の水が、第2水タンク52に供給されても良い。
【0181】
また、制御部90は、無菌フィルタ(第1無菌フィルタ63又は第2無菌フィルタ65)の上流側の圧力と下流側の圧力との間の圧力差(差圧)が所定の値以上となった場合に、水を水殺菌ライン50の外部に排出しても良い。すなわち、制御部90は、第1無菌フィルタ63(又は第2無菌フィルタ65)の上流側の圧力と下流側の圧力との間の圧力差(差圧)に異常が認められた場合においても、同様に、水を水殺菌ライン50の外部に排出しても良い。この場合においても、例えばバルブV1よりも下流側の無菌性を維持できる。
【0182】
さらに、制御部90は、水殺菌ライン50からサンプリングした水内の菌数及び微粒子のうちの少なくとも一方が所定の値以上となった場合に、水を水殺菌ライン50の外部に排出しても良い。すなわち、制御部90は、サンプリングラインSLからサンプリングした水内の菌数及び又は微粒子の数等に異常があった場合においても、同様に、水を水殺菌ライン50の外部に排出しても良い。この場合においても、例えばバルブV1よりも下流側の無菌性を維持できる。
【0183】
これらの場合、水殺菌機60の不具合を解消させた後、後述するように水殺菌機60を過酢酸等の殺菌剤、又は、熱水若しくは蒸気によって殺菌する。その後、水殺菌機60による水の殺菌を再開する。
【0184】
このような水殺菌ライン50の水殺菌機60は、内容物充填システム10においてボトル100に内容物を充填することにより、製品ボトル101を生産している間、水の殺菌を停止することなく、水を殺菌し続けることが好ましい。これにより、第1無菌フィルタ63内及び第2無菌フィルタ65内で、菌が繁殖することを抑制できる。すなわち、水殺菌機60内において、水の流れが停止した場合、第1無菌フィルタ63内及び第2無菌フィルタ65内で、菌が増殖する可能性がある。これに対して、内容物充填システム10において製品ボトル101を生産している間、ポンプP1を停止することなく、水を殺菌し続けることにより、第1無菌フィルタ63内及び第2無菌フィルタ65内で、菌が繁殖することを抑制できる。なお、内容物充填システム10において製品ボトル101を生産している間に、第2水タンク52が満水になった場合には、殺菌された水を循環系59A(
図2A等参照)内で循環させても良い。これにより、第2水タンク52が満水になった場合であっても、水殺菌機60内において、水の流れが停止することを抑制できる。このため、第1無菌フィルタ63内及び第2無菌フィルタ65内で、菌が繁殖することを抑制できる。なお、殺菌された水の循環時間が長くなる場合、紫外線照射部67から照射された紫外線の照射エネルギーにより、殺菌された水の温度が上昇する場合がある。この場合、循環ライン59を流れる水を第1水タンク51に供給することなく、循環ライン59から排出しても良い。そして、純水製造装置50aから第1水タンク51に新しい純水を供給することにより、循環する水の温度の上昇を抑制しても良い。例えば、殺菌された水を循環系59Aで循環させる場合、循環ライン59の内部に滞留する水の約3%以上30%以下の水を、1時間に1回排出させるとともに、純水製造装置50aから第1水タンク51に新しい純水を供給しても良い。これにより、常時一定の温度の水を第2水タンク52へ供給することが可能となる。排出する水の割合は、第1紫外線ランプ67a等の照射線量又は本数等により、適宜変更されても良い。
【0185】
ここで、
図2Nに示すように、水殺菌ライン50は、非無菌ゾーンZ1と、第1グレーゾーンZ2と、第2グレーゾーンZ3と、無菌ゾーンZ4とに区画されている。非無菌ゾーンZ1、第1グレーゾーンZ2、第2グレーゾーンZ3及び無菌ゾーンZ4は、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に設けられている。
【0186】
このうち非無菌ゾーンZ1は、非無菌雰囲気下のゾーンであり、菌が存在し得るゾーンである。図示された例においては、非無菌ゾーンZ1は、前段殺菌機62Aよりも上流側の領域である。非無菌ゾーンZ1では、製品ボトル101の製造前に、第1水タンク51、及び第1水タンク51よりも下流側の流路が殺菌される。一方、非無菌ゾーンZ1では、製品ボトル101の製造開始後、第1水タンク51よりも上流側から菌が持ち込まれることにより、第1水タンク51等が菌によって汚染され得る。
【0187】
第1グレーゾーンZ2及び第2グレーゾーンZ3は、それぞれ、非無菌雰囲気と無菌雰囲気とを隔絶するためのゾーンである。このうち第1グレーゾーンZ2は、水内の菌を殺菌するゾーンである。第2グレーゾーンZ3は、製品ボトル101の製造時、水内に菌が存在しない状態を維持するゾーンである。図示された例においては、第1グレーゾーンZ2は、前段殺菌機62Aから第2殺菌機64の出口までの領域である。また、第2グレーゾーンZ3は、第2殺菌機64の出口から第1無菌フィルタ63の入口までの領域である。ここで、水殺菌ライン50に水を供給する純水製造装置50aは、水殺菌ライン50に水を殺菌する前に殺菌(SIP)される。このとき、殺菌は、少なくとも水棲菌を殺菌可能な条件で行われる。殺菌に使用する蒸気又は熱水の温度及び殺菌時間は、少なくとも60℃以上、5分以上であっても良く、好ましくは85℃、30分以上である。殺菌に使用する蒸気又は熱水の温度及び殺菌時間は、殺菌価がZ値=5℃と同等の条件である90℃、3分としても良い。また、殺菌条件は、殺菌に使用する蒸気又は熱水の温度及び殺菌時間が95℃、0.3分である高温短時間の条件でも良い。一方、これらの殺菌条件における殺菌価では、一般的に細菌芽胞は殺菌できない。よって、第1無菌フィルタ63の手前までの領域では、細菌芽胞が存在し得る。このため、前段殺菌機62Aから第1無菌フィルタ63の手前までの領域をグレーゾーンと呼ぶ。純水製造装置50aの殺菌後、第2グレーゾーンZ3に常時水を供給し続けることにより、第2グレーゾーンZ3が陽圧状態に維持される。これにより、第2グレーゾーンZ3において、水棲菌が存在しない状態が維持される。なお、第2グレーゾーンZ3の陽圧状態は、圧力計(図示せず)で管理する。なお、純水製造装置50aの殺菌(SIP)は、蒸気又は熱水ではなく、水棲菌を不活化する薬剤等によって行われても良い。
【0188】
無菌ゾーンZ4は、無菌雰囲気下のゾーンである。すなわち、無菌ゾーンZ4は、無菌状態に保持されたゾーンである。図示された例においては、無菌ゾーンZ4は、第1無菌フィルタ63よりも下流側の領域である。無菌ゾーンZ4には、各機器を蒸気又は熱水で殺菌(SIP(F0値が3以上、Z値=10℃))することにより細菌芽胞を含めた全ての菌を殺菌した後、無菌エア又は無菌水が供給される。これにより、無菌ゾーンZ4が陽圧状態に維持され、無菌ゾーンZ4が無菌状態に保持される。なお、無菌ゾーンZ4を殺菌(SIP)する場合、少なくとも第2グレーゾーンZ3との境界部までを殺菌することが好ましい。無菌ゾーンZ4を殺菌するとき、無菌ゾーンZ4と共に、第2グレーゾーンZ3内の配管を殺菌しても良い。
【0189】
これらの非無菌ゾーンZ1、第1グレーゾーンZ2、第2グレーゾーンZ3及び無菌ゾーンZ4のうち、第1グレーゾーンZ2では、水に対して紫外線が照射され得る。第1グレーゾーンZ2において、前段殺菌機62Aによる水に対する紫外線の積算照射量は、254nmの波長で少なくとも10mJ/cm2以上であっても良く、好ましくは100mJ/cm2以上であっても良い。この場合、前段殺菌機62Aは、低圧水銀ランプを含んでいても良い。また、第1グレーゾーンZ2において、第1殺菌機62及び第2殺菌機64による水に対する紫外線の合計積算照射量は、254nmの波長で100mJ/cm2以上であっても良い。このように、第1殺菌機62及び第2殺菌機64による水に対する紫外線の合計積算照射量が100mJ/cm2以上であることにより、第1グレーゾーンZ2において、水棲菌を殺菌できる。このため、第2グレーゾーンZ3における水の無菌性を保証できる。この場合、第1殺菌機62及び第2殺菌機64は、それぞれ中圧水銀ランプを含んでいても良い。
【0190】
第1グレーゾーンZ2において、第1殺菌機62及び第2殺菌機64による水に対する紫外線の合計積算照射量が254nmの波長で100mJ/cm2未満である場合、第1無菌フィルタ63に供給される前の水を循環ライン95によって循環させても良い。これにより、水棲菌が存在し得る水が、第1無菌フィルタ63に供給されることを防止できる。このため、無菌ゾーンZ4における水の無菌性を保証できる。また、この場合、水を無菌ゾーンZ4(第1無菌フィルタ63)に供給する前に、前段殺菌機62A、異物除去フィルタ61、第1殺菌機62及び第2殺菌機64を殺菌(SIP)しても良い。
【0191】
また、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65のうちの少なくとも一方において、後述する生産前後の完全性試験(第1完全性試験及び第2完全性試験)の試験結果が合格であることが好ましい。これにより、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65のうちの少なくとも一方により、水棲菌以外の菌を濾過滅菌できる。このため、無菌ゾーンZ4における水の無菌性を保証できる。なお、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65において、生産前後の完全性試験結果が不合格である場合、異物除去フィルタ61として、例えば目開きが0.1μm以上0.22μm以下である無菌グレードのフィルタを使用されても良い。この場合、異物除去フィルタ61において、生産前後の完全性試験結果が合格であることが好ましい。これにより、異物除去フィルタ61により、水棲菌以外の菌を濾過滅菌でき、無菌ゾーンZ4における水の無菌性を保証できる。
【0192】
このように、本実施の形態による水殺菌ライン50の水殺菌機60においては、生産中、紫外線の照射量が所定の値以上又は所定の範囲内であったこと、及び、生産開始前後の完全性試験結果が合格であることにより、水の無菌性が担保される。
【0193】
次に、原液殺菌ライン70について説明する。原液殺菌ライン70は、製品原液を加熱殺菌する殺菌ラインである。
【0194】
図7に示すように、原液殺菌ライン70は、第1原液タンク71と、製品原液殺菌機80と、第2原液タンク72とを有している。第1原液タンク71、製品原液殺菌機80及び第2原液タンク72は、製品原液の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。なお、原液殺菌ライン70には、後述する第3段冷却部86と第2原液タンク72との間に、循環ライン(第3循環ライン)89が接続されていても良い。そして、第3段冷却部86を通過した製品原液が、循環ライン89を介して、第1原液タンク71に戻され得るように構成されていても良い。
【0195】
第1原液タンク71は、図示しない供給源から供給された製品原液を貯留するタンクである。この第1原液タンク71は、製品原液を貯留することにより、製品原液の流れを円滑にする役割を果たす。第1原液タンク71の容積は、0.3m3以上3m3以下であっても良く、一例として、1m3であっても良い。
【0196】
この第1原液タンク71の下流側には、製品原液を搬送するためのポンプP3が設けられていても良い。また、ポンプP3の下流側には、上述した製品原液殺菌機80が設けられている。
【0197】
製品原液殺菌機80は、第1原液タンク71に貯留された製品原液を加熱殺菌する殺菌機である。本実施の形態では、製品原液殺菌機80は、超高温加熱処理法によって製品原液を殺菌する殺菌機(Ultra High-temperature、以下、単にUHTと記す)であっても良い。このUHT80は、第1段加熱部81と、第2段加熱部82と、ホールディングチューブ83と、第1段冷却部84と、第2段冷却部85、第3段冷却部86とを有している。UHT80に供給された製品原液は、第1段加熱部81及び第2段加熱部82によって徐々に加熱され、ホールディングチューブ83内で目標温度まで加熱される。この場合、例えば製品原液は、第1段加熱部81によって60℃以上80℃以下に加熱され、第2段加熱部82によって80℃以上150℃以下に加熱されても良い。また、ホールディングチューブ83内で、製品原液の温度が一定時間保持される。ホールディングチューブ83内を通過した製品原液は、第1段冷却部84、第2段冷却部85及び第3段冷却部86によって徐々に冷却される。なお、加熱部や冷却部の段数は必要に応じて増減される。また、第1段加熱部81と第2段加熱部82との間において、製品原液の圧力損失が高くなり得る。このため、第1段加熱部81と第2段加熱部82との間に、追加のポンプ(図示せず)が設けられていても良い。また、第1段加熱部81と第2段加熱部82との間、又は第1段冷却部84と第2段冷却部85との間等に、製品原液を均質化するためのホモゲナイザーが設けられても良い。
【0198】
このようなUHT80の処理能力は、3m3/h以上30m3/h以下であっても良く、一例として、6m3/hであっても良い。
【0199】
また、UHT80のうち、最も高温となる場所(例えば、第2段加熱部82)の温度をモニタリングすることにより、UHT80に付着したスケール(カルシウム等の堆積物)を監視しても良い。そして、UHT80を洗浄(CIP)する際に、スケールの除去状態をモニタリングしても良い。これにより、UHT80を洗浄する洗浄工程の最適化を図ることができる。このため、洗浄時間を短縮できるとともに、洗浄に使用する水、蒸気及び洗浄剤の使用量を低減できる。この結果、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0200】
なお、UHT80はインジェクション方式でもインフュージョン方式でも良い。また、UHT80の熱交換器等、内容物充填システム10において熱交換を行うために使用される熱交換機はプレート式でもシェル&チューブ式でも掻き取り式熱交換機でも良い。
【0201】
第2原液タンク72は、製品原液殺菌機80によって殺菌された製品原液を貯留するタンク(いわゆるアセプティックタンク)である。この第2原液タンク72は、殺菌された製品原液を貯留することにより、製品原液の流れを円滑にする役割を果たす。第2原液タンク72の容積は、1m3以上20m3以下であっても良く、一例として、2m3であっても良い。
【0202】
また、第2原液タンク72の下流側に、殺菌された製品原液を濾過する補助フィルタ73と、補助フィルタ73を通過した製品原液を貯留する第3原液タンク74とが設けられていても良い。この場合、第3原液タンク74は、いわゆる充填機タンクであっても良く、原液充填装置22の充填精度を向上させるために、原液充填装置22の鉛直方向上方に設置されていても良い。第3原液タンク74は、第3原液タンク74の下流側における製品原液の使用量が変化した場合であっても、製品原液の円滑な流れを確保する、いわゆるクッションタンクとしての役割を果たしても良い。第3原液タンク74の容積は、0.1m
3以上1m
3以下であっても良く、一例として、0.3m
3であっても良い。なお、補助フィルタ73は、原液充填装置22の全原液充填ノズル(例えば、後述する
図16C参照)の内部、又は先端に設けられていても良い。
【0203】
さらに、第2原液タンク72の下流側に、製品原液に対して固形物を添加する添加ユニット75が連結されていても良い。これにより、内容物充填システム10において、固形物入りの内容物をボトル100に充填できる。この場合、添加ユニット75が製品原液に対して添加する固形物としては、例えば、さのう、ナタデココ、タピオカ又はアロエ等であっても良い。また、固形物は、予め殺菌された無菌の固形物であっても良い。
【0204】
(内容物充填方法)
次に、上述した内容物充填システム10(
図1)を用いた内容物充填方法について、
図8により説明する。
【0205】
まず、プリフォーム供給装置1により、プリフォーム供給コンベア2を介して、複数のプリフォーム100aが、プリフォーム搬送部31の受取部34に順次供給される(プリフォーム供給工程、
図8の符号S1)。この際、プリフォーム100aは、プリフォーム殺菌装置34aにおいて、プリフォーム100aに対して過酸化水素のガス又はミストを吹き付けることによって殺菌処理された後、ホットエアで乾燥される。
【0206】
次に、プリフォーム100aは、加熱部35に送られ、ヒーター35aにより、例えば90℃以上130℃以下程度に加熱される。次いで、加熱部35により加熱されたプリフォーム100aは、受渡部36に送られる。そして、プリフォーム100aは、受渡部36からブロー成形部32に送られる。
【0207】
次いで、ブロー成形部32に送られたプリフォーム100aに対して、図示しない金型を用いてブロー成形を施すことにより、ボトル100がブロー成形される(ボトル成形工程、
図8の符号S2)。そして、ブロー成形されたボトル100は、ボトル搬送部33に送られる。
【0208】
次に、殺菌装置11において、ボトル100に対して殺菌剤である過酸化水素水溶液を用いて殺菌処理が行われる(容器殺菌工程、
図8の符号S3)。このとき、殺菌剤は、過酸化水素水溶液を一旦沸点以上で気化させたガス又はミストであっても良い。過酸化水素水溶液のガス又はミストは、ボトル100の内面及び外面に付着し、ボトル100の内外面を殺菌する。
【0209】
続いて、ボトル100は、エアリンス装置14に送られる。エアリンス装置14において、ボトル100に対して無菌の加熱エア又は常温エアが供給されることにより、過酸化水素の活性化が行われ、かつ、ボトル100から異物及び過酸化水素等が除去される(エアリンス工程、
図8の符号S4)。なお、エアリンス工程において、必要に応じて、無菌の加熱エア又は常温の無菌化されたエアに、低濃度の過酸化水素の凝結ミストを混ぜても良い。この場合、過酸化水素は、無菌エアによってガス化される。そして、エアリンス工程において、ガス化された過酸化水素をボトル100に供給しても良い。
【0210】
続いて、ボトル100は、充填装置20に搬送される。この際、まず、充填装置20の水充填装置21において、ボトル100内へ水が充填される(水充填工程、
図8の符号S5)。この水充填装置21において、ボトル100は回転(公転)されながら、その口部からボトル100内へ水が充填される。水は、水充填装置21でボトル100内に充填される前に、予め水殺菌ライン50において殺菌される。
【0211】
水充填装置21においては、殺菌されたボトル100に、殺菌された水が常温で充填される。充填時の水の温度は、例えば3℃以上かつ40℃以下程度である。また、水充填装置21がボトル100に対して水を充填する充填速度は、原液充填装置22がボトル100に対して製品原液を充填する充填速度よりも速くても良い。水充填装置21において、水の充填速度は、100mL/sec以上500mL/sec以下であっても良い。
【0212】
次に、充填装置20の原液充填装置22において、水が充填されたボトル100内へ製品原液が充填される(製品原液充填工程、
図8の符号S6)。この原液充填装置22において、ボトル100は回転(公転)されながら、その口部からボトル100内へ製品原液が充填される。製品原液は、原液充填装置22でボトル100内に充填される前に、予め原液殺菌ライン70において加熱殺菌される。製品原液を加熱する加熱温度は、一般的に内容物の酸性度がpH4.5未満の場合は60℃以上120℃以下程度であっても良く、加熱時間は、30秒以上120秒以下程度であっても良い。また、内容物の酸性度がpH4.5以上の場合は、製品原液を加熱する加熱温度は、115℃以上150℃以下程度であっても良い。また、加熱時間は、30秒以上120秒以下程度であっても良い。これにより、充填前の製品原液中の微生物のうち、製品ボトル101内で発育しうる微生物が、全て殺菌される。加熱殺菌処理された製品原液は、3℃以上かつ40℃以下程度の温度まで冷却される。
【0213】
原液充填装置22においては、水が充填されたボトル100に、上記殺菌処理され常温まで冷やされた製品原液が常温で充填される。充填時の製品原液の温度は、例えば3℃以上かつ40℃以下程度である。原液充填装置22において、製品原液の充填速度は30mL/sec以上200mL/sec以下であっても良い。
【0214】
続いて、内容物が充填されたボトル100は、搬送ホイール12によってキャップ装着装置16に搬送される。
【0215】
一方、キャップ88は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌処理される(キャップ殺菌工程、
図8の符号S7)。この間、まずキャップ88は、内容物充填システム10の外部からキャップ殺菌装置18に搬入される。続いて、キャップ88は、キャップ殺菌装置18において、過酸化水素のガス又はミストが吹き付けられて、その内外面が殺菌処理された後、ホットエアで乾燥し、キャップ装着装置16に送られる。
【0216】
次いで、キャップ装着装置16において、充填装置20から搬送されてきたボトル100の口部に殺菌済みのキャップ88を装着することにより、ボトル100が閉栓され製品ボトル101が得られる(キャップ装着工程、
図8の符号S8)。
【0217】
その後、製品ボトル101は、キャップ装着装置16から製品ボトル搬出部25へ搬送され、内容物充填システム10の外部へ向けて搬出される(ボトル排出工程、
図8の符号S9)。そして、製品ボトル101は、図示しない包装ラインへと運ばれ、包装される。
【0218】
なお、上記容器殺菌工程、エアリンス工程、水充填工程、製品原液充填工程、キャップ装着工程及びボトル排出工程は、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、第1無菌チャンバ70f、中間エリアチャンバ70g、第2無菌チャンバ70h及び出口チャンバ70iで囲まれた無菌の雰囲気内すなわち無菌の環境下で行われる。また、キャップ殺菌工程は、キャップ殺菌装置18によって行われる。この場合、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、第1無菌チャンバ70f、中間エリアチャンバ70g、第2無菌チャンバ70h、出口チャンバ70i及びキャップ殺菌装置18は、予め過酸化水素若しくは過酢酸の噴霧、又は熱水の放水等により、殺菌処理されている。
【0219】
そして、各チャンバの殺菌処理後は、常時、無菌エアが、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、第1無菌チャンバ70f、中間エリアチャンバ70g、第2無菌チャンバ70h及び出口チャンバ70i外に向かって吹き出るように、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、第1無菌チャンバ70f、中間エリアチャンバ70g、第2無菌チャンバ70h及び出口チャンバ70i内に陽圧の無菌エアが供給される。また、常時、無菌エアが、キャップ殺菌装置18外に向かって吹き出るように、キャップ殺菌装置18内に陽圧の無菌エアが供給される。
【0220】
このように、各チャンバ70d乃至70i内に陽圧の無菌エアが供給される場合、雰囲気遮断チャンバ70c、殺菌剤噴霧チャンバ70d及び出口チャンバ70iで、各チャンバ内の無菌エアとボトル殺菌で使用された殺菌剤とを排気する。その際、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、第1無菌チャンバ70f、中間エリアチャンバ70g、第2無菌チャンバ70h及び出口チャンバ70i内の圧力がそれぞれ陽圧になるように、各チャンバ内の圧力が調整されても良い。この場合、上述したように、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の圧力は、-10Pa以上10Pa以下であっても良い。エアリンスチャンバ70e内の圧力は、10Pa以上30Pa以下であっても良い。第1無菌チャンバ70f内の圧力は、30Pa以上60Pa以下であっても良い。中間エリアチャンバ70g内の圧力は、20Pa以上50Pa以下であっても良い。第2無菌チャンバ70h内の圧力は、10Pa以上40Pa以下であっても良い。出口チャンバ70i内の圧力は、10Pa以上20Pa以下であっても良い。
【0221】
なお、内容物充填システム10におけるボトル100の生産(搬送)速度は、100bpm以上かつ1500bpm以下とすることが好ましい。ここでbpm(bottle per minute)とは、1分間当たりのボトル100の搬送速度をいう。
【0222】
(内容物充填システムの殺菌方法)
次に、上述した内容物充填システム10(
図1)の殺菌方法について説明する。ここでは、まず、第1無菌チャンバ70f、中間エリアチャンバ70g及び第2無菌チャンバ70hの殺菌方法(以下、単にチャンバの殺菌方法と記す)について、
図9により説明する。
【0223】
チャンバの殺菌方法
まず、内容物充填システム10における飲料の充填が終了した後、例えば、制御部90の操作ボタンを操作する。これにより、水充填装置21の水充填ノズルにCIPカップ(図示せず)が被せられる。このように、水充填装置21の水充填ノズルにCIPカップ(図示せず)が被せられることにより、水充填装置21内の無菌状態が維持される。すなわち、水充填ノズルの先端から水充填装置21内に菌が混入しないように、水充填装置21が物理的に保護される。また、制御部90の操作ボタンを操作することにより、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、第1無菌チャンバ70f、中間エリアチャンバ70g及び第2無菌チャンバ70hをそれぞれ分離する隔壁に形成された隙間が、シャッター(図示せず)によって閉鎖される。
【0224】
次に、第1無菌チャンバ70f内の圧力を上昇させる。この際、第1無菌チャンバ70f内に無菌エア供給装置(図示せず)から無菌エアが供給されることにより、第1無菌チャンバ70f内の圧力が上昇する。また、この際、第1無菌チャンバ70f内の圧力が所定の圧力になるように、各チャンバにおける給気量及び又は排気量を調整する。このとき、例えば30Paであった第1無菌チャンバ70f内の圧力を、例えば40Paまで上昇させる。これにより、第1無菌チャンバ70f内に、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の空気及び中間エリアチャンバ70g内の空気が流入しないようになる。
【0225】
この場合、上述したように、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の圧力は、0Pa以上20Pa以下であっても良い。エアリンスチャンバ70e内の圧力は、10Pa以上40Pa以下であっても良い。第1無菌チャンバ70f内の圧力は、40Pa以上100Pa以下であっても良い。中間エリアチャンバ70g内の圧力は、10Pa以上40Pa以下であっても良い。第2無菌チャンバ70h内の圧力は、0Pa以上20Pa以下であっても良い。出口チャンバ70i内の圧力は、0Pa以上20Pa以下であっても良い。
【0226】
次いで、中間エリアチャンバ70g内及び第2無菌チャンバ70h内に無菌水が供給される(すすぎ工程、
図9の符号S11)。これにより、中間エリアチャンバ70g内及び第2無菌チャンバ70h内に付着した内容物が、無菌水によって洗い流される。この際、無菌水は、水殺菌機60によって殺菌された水であっても良い。なお、内容物は、中間エリアチャンバ70gを介して、第2無菌チャンバ70h内から第1無菌チャンバ70f内に流入している可能性がある。このため、第1無菌チャンバ70f内に無菌水を供給することにより、第1無菌チャンバ70f内に付着した内容物を洗い流しても良い。また、第2無菌チャンバ70h内に落下したキャップ88又はボトル100等があれば回収する。また、次に使用するボトル100の形状等に合わせて、キャップ装着装置16の下流側に設けられた搬送ホイール12の型替えが行われても良い。さらに、次に使用するキャップ88のサイズ等に合わせて、キャップ装着装置16において、キャッパーヘッドのチャック(図示せず)の交換が行われても良い。
【0227】
次に、第1無菌チャンバ70fの内部を無菌状態に維持した状態で、第2無菌チャンバ70h内を洗浄する。この際、まず、中間エリアチャンバ70g内及び第2無菌チャンバ70h内を洗浄(COP)する(COP工程、
図9の符号S12)。このとき、中間エリアチャンバ70g内及び第2無菌チャンバ70h内に配置された噴射ノズル(図示せず)から、アルカリ性薬剤等の洗浄剤、及び水等が、中間エリアチャンバ70g内及び第2無菌チャンバ70h内に噴射される。これにより、中間エリアチャンバ70g等の内壁面や充填装置20等の機器の表面が浄化される。この際、水は、水殺菌機60によって殺菌された無菌水であっても良い。
【0228】
ここで、第2無菌チャンバ70h内を洗浄(COP)する際、第1バイパスライン55及び第2バイパスライン56のうち、少なくとも第2バイパスライン56は、洗浄(CIP)及び殺菌(SIP)されていることが好ましい。第2バイパスライン56を洗浄(CIP)又は殺菌(SIP)する場合、例えば、第2バイパスライン56を水殺菌ライン50に接続する接続点CP1(
図1及び
図2A等参照)から、洗浄剤又は殺菌剤が第2バイパスライン56に供給されても良い。洗浄剤及び殺菌剤は、例えば、過酢酸、過酸化水素、アルカリ性薬剤、酸性薬剤、次亜塩素酸ナトリウム等であっても良い。その後、予め無菌水が貯留された第2水タンク52から、第2バイパスライン56に無菌水を供給することにより、第2バイパスライン56を無菌水ですすいでも良い。なお、第1バイパスライン55を洗浄(CIP)又は殺菌(SIP)する場合、例えば、第1バイパスライン55を水殺菌ライン50に接続する接続点CP2(
図1及び
図2A等参照)から、洗浄剤又は殺菌剤が第1バイパスライン55に供給されても良い。
【0229】
次いで、第1無菌チャンバ70fの内部を無菌状態に維持した状態で、原液充填装置22を洗浄(CIP)する(CIP工程、
図9の符号S13)。この際、まず、原液充填装置22の原液充填ノズルにCIPカップ(図示せず)が被せられる。次に、原液充填装置22内の内容物の流路を水ですすぐとともに、当該流路に、例えば水に苛性ソーダ等のアルカリ性薬剤又は硝酸等の酸性薬剤を添加した洗浄剤が供給される。これにより、原液充填装置22内の内容物の流路に付着した前回の飲料の残留物等が除去される。この際、水は、水殺菌機60によって殺菌された無菌水であっても良い。
【0230】
次に、第1無菌チャンバ70fの内部を無菌状態に維持した状態で、第2無菌チャンバ70h内を殺菌する。この際、まず、原液充填装置22を殺菌(SIP)する(SIP工程、
図9の符号S14)。このとき、原液充填装置22内の内容物の流路に、加熱蒸気又は熱水が供給される。これにより、原液充填装置22内の内容物の流路が殺菌される。この際、水は、水殺菌機60によって殺菌された無菌水であっても良い。
【0231】
次に、中間エリアチャンバ70g内及び第2無菌チャンバ70h内を殺菌(SOP)する(SOP工程、
図9の符号S15)。このとき、中間エリアチャンバ70g内及び第2無菌チャンバ70h内に配置された噴射ノズル(図示せず)から、過酢酸、過酸化水素水等の殺菌剤が、中間エリアチャンバ70g内及び第2無菌チャンバ70h内に噴射される。その後、当該噴射ノズル(図示せず)から、無菌水が、中間エリアチャンバ70g内及び第2無菌チャンバ70h内に噴射される。これにより、中間エリアチャンバ70g等の内壁面や充填装置20等の機器の表面が無菌化される。この際、無菌水は、水殺菌機60によって殺菌された無菌水を使用しても良い。これにより、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。また、第2無菌チャンバ70h内を殺菌剤で殺菌する前後又は同時に、少なくとも第1無菌チャンバ70fの内部、エアリンスチャンバ70e及び殺菌剤噴霧チャンバ70dの内部も、過酢酸洗浄剤で洗浄するとともに、水殺菌機60によって殺菌された無菌水ですすいでも良い。これにより、長期間安定した無菌性を維持し、無菌性レベルを上げることが可能になる。
【0232】
また、第2無菌チャンバ70h内を殺菌している間に、第1無菌チャンバ70f内の隅々を再殺菌しても良い。この際、例えば、第1無菌チャンバ70f内に過酸化水素水等の殺菌剤を噴射し、その後、第1無菌チャンバ70f内をホットエアで乾燥させることにより、第1無菌チャンバ70f内の隅々を再殺菌しても良い。
【0233】
このようにして、内容物充填システム10が殺菌される。
【0234】
次いで、水充填装置21の水充填ノズルに被せられたCIPカップ(図示せず)が取り外れされる。そして、水充填装置21の水充填ノズル内に無菌保持された水を、第1無菌チャンバ70f内に排出する。これにより、万が一CIPカップの外から水充填ノズル内へ殺菌剤等が混入した場合に、殺菌剤がボトル100に充填されることを防止できる。また、上述したように、第1無菌チャンバ70f内を再殺菌した場合に、水充填ノズルに被せられたCIPカップから殺菌剤が完全に除去されることなく、CIPカップに殺菌剤が付着していた場合であっても、殺菌剤等がボトル100に充填されることを防止できる。なお、第1無菌チャンバ70f内に排出する水の量は、次回の生産に使用するボトル100の1本分以上の量であることが好ましい。その後、シャッターによって閉鎖されていた隙間が開放された後に、次回の内容物の充填が開始される。
【0235】
【0236】
水殺菌機の殺菌方法
まず、内容物充填システム10における飲料の充填が終了した後、例えば、制御部90の操作ボタンを操作する。これにより、水殺菌機60の殺菌(SIP)が開始される。なお、水殺菌機60の殺菌は、製品ボトル101の生産中に行っても良い。この場合、水殺菌機60による水の殺菌を停止した場合であっても、第2水タンク52に貯留した無菌水を使用することにより、製品ボトル101の生産を行うことができる。
【0237】
水殺菌機60の殺菌の際、まず、内容物充填システム10による内容物の充填(生産)が終了する(
図10Aの「生産終了」)。
【0238】
その後、水殺菌機60の無菌フィルタ(第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65)の少なくとも1つに対して、生産後の完全性試験(第1完全性試験)が行われる(
図10Aの符号S20A)。すなわち、水殺菌機60の第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65のうちの少なくとも一方に対して、生産後の完全性試験が行われる。異物除去フィルタ61も無菌フィルタであった場合、3か所のフィルタのうち、少なくとも1カ所以上のフィルタの完全性試験を行う。生産開始前後の完全性試験結果が合格であること(リークが認められないこと)と、生産中、紫外線の照射量が所定の値以上又は所定の範囲内であったこととで、水の無菌性が担保される。
【0239】
次に、殺菌機(第1殺菌機62及び又は第2殺菌機64(以下、単に第1殺菌機62等とも記す))の洗浄及び又は殺菌をする(殺菌機洗浄殺菌工程、
図10Aの符号S20)。この際、まず、第1殺菌機62等を洗浄(CIP処理)する。CIP処理は、アルカリ性洗浄液を流路内に流した後、又はアルカリ性洗浄液を流路内に流す前に、水に硝酸系やリン酸系の酸性薬剤を添加した酸性洗浄液を流路内に流すことによって行われる。アルカリ性洗浄液は、水に苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、界面活性剤及びキレート剤等を混ぜたアルカリ性薬剤を添加した洗浄液である。なお、アルカリ性洗浄液によるアルカリ洗浄工程と、酸性洗浄液による酸洗浄工程とは、自由に組み合わされて実施されても良い。これにより、水が通過する流路内に付着した残留物等が除去される。また、洗浄剤を添加せずに、温水又は熱水だけのCIP処理でも構わない。なお、水殺菌ライン50には、内容物が付着することはない。また、水殺菌ライン50の第1殺菌機62等では、製品ボトル101の生産時には、第1紫外線ランプ67a等によって紫外線が照射されている。これにより、水殺菌ライン50が菌によって汚染される可能性は少ない。このため、水殺菌ライン50のCIP処理を省略しても良い。
【0240】
次に、第1殺菌機62等を殺菌(SIP処理)する。SIP工程では、まず、水殺菌機60に蒸気又は熱水を供給する(熱水供給工程、
図10B1の符号S201a)。この場合、例えば、水殺菌機60を含む循環系59Aに蒸気又は熱水を供給する。これにより、第1殺菌機62等の第1紫外線ランプ67a、第2紫外線ランプ67b及び第3紫外線ランプ67c(以下、単に第1紫外線ランプ67a等とも記す)が、それぞれ蒸気又は熱水で加熱殺菌される。また、第1殺菌機62の配管内及び第2殺菌機64の配管内の隅々が、それぞれ蒸気又は熱水で加熱殺菌される。なお、第1殺菌機62及び第2殺菌機64を殺菌する際に、異物除去フィルタ61、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65を同時に殺菌しても良い。また、上記CIP処理で使用する洗浄剤の温度、濃度及び又は時間を調整することで、菌の不活化(SIP処理)を同時に行い、その後のSIP処理を実行しなくても良い(CSIP処理)。CIP処理及びSIP処理、又はCSIP処理が終了した後、循環系59Aから洗浄剤を排出する。その後、洗浄剤を完全に除去するためにすすぎ工程へ移行する。すすぎ水は50aの純水タンクから純水を供給して行う。すすぎ工程では、第1紫外線ランプ67a等を点灯することにより、紫外線の照射量又は照度が所定の値以上であることを確認すると良い。
【0241】
また、第1殺菌機62等が熱に弱い場合には、第1殺菌機62等を殺菌剤(薬剤)又は洗浄剤(薬剤)によって殺菌しても良い。この際、まず、水殺菌機60に殺菌剤を供給する(殺菌剤供給工程、
図10B2の符号S201b)。この場合、例えば、水殺菌機60を含む循環系59Aに殺菌剤を供給する。殺菌剤又は洗浄剤は、殺菌剤供給ユニット96(
図2B及び
図2C参照)から、水殺菌ライン50に設けられた前段殺菌機62A、第1殺菌機62及び第2殺菌機64等に供給されても良い。このとき、殺菌剤又は洗浄剤は、異物除去フィルタ61及び第1無菌フィルタ63を通過しないようにすることが好ましい。すなわち、殺菌剤又は洗浄剤を、循環系95A内で循環させることが好ましい。具体的には、例えば、
図2B及び
図2Cの太線で示すように、殺菌剤又は洗浄剤は、前段殺菌機62Aと第1殺菌機62との間に設けられた第3バイパスライン95aを通過することが好ましい。また、
図2Bの太線で示すように、殺菌剤又は洗浄剤は、第1殺菌機62と第2殺菌機64との間に設けられた第4バイパスライン95bを通過することが好ましい。これにより、水殺菌ライン50を殺菌剤又は洗浄剤で殺菌する際に、殺菌剤又は洗浄剤が、異物除去フィルタ61及び第1無菌フィルタ63を通過することを抑制できる。殺菌剤又は洗浄剤は、サンプリングポイントSP2乃至SP4から供給されても良い。
【0242】
殺菌剤は、過酢酸を含んでいても良い。また、殺菌剤が過酢酸を含む場合、殺菌剤の濃度は、1000ppm以上3000ppm以下であっても良い。殺菌剤の濃度が1000ppm以上であることにより、殺菌剤による第1殺菌機62等の殺菌効果を高めることができる。また、殺菌剤の濃度が3000ppm以下であることにより、過酢酸の使用量を低減でき、水殺菌機60を殺菌する際のコストを低減できる。
【0243】
また、循環系59Aに供給される熱水、殺菌剤又は洗浄剤の温度は、50℃以上150℃以下であっても良い。熱水、殺菌剤又は洗浄剤の温度が50℃以上であることにより、殺菌剤による第1殺菌機62等の殺菌効果と洗浄効果とを高めることができる。また、熱水、殺菌剤又は洗浄剤の温度が150℃以下であることにより、耐熱性を有する特殊な材料を用いることなく低コストで第1殺菌機62等を製作することができる。
【0244】
次に、殺菌機(第1殺菌機62及び又は第2殺菌機64)を含む循環系95A内において、熱水、殺菌剤又は洗浄剤を循環させる(熱水循環工程、
図10B1の符号S202a、殺菌剤循環工程、
図10B2の符号S202b)。例えば、水殺菌ライン50に設けられた前段殺菌機62A、第1殺菌機62及び第2殺菌機64を含む循環系95A内において、熱水、殺菌剤又は洗浄剤を循環させる。この場合、前段殺菌機62A、第1殺菌機62及び第2殺菌機64含む循環系95Aにおいて、殺菌剤等を少なくとも10秒以上60分以下循環させることにより、前段殺菌機62A、第1殺菌機62及び第2殺菌機64を殺菌しても良い。循環時間が10秒以上であることにより、殺菌剤等による第1殺菌機62等の殺菌効果を高めることができる。また、循環時間が60分以下であることにより、第1殺菌機62等の殺菌時間を短縮できる。このため、ダウンタイムを短縮できる。なお、殺菌剤循環工程において、循環系95A内ではなく、循環系59A内において、熱水、殺菌剤又は洗浄剤を循環させても良い。
【0245】
また、熱水、殺菌剤又は洗浄剤の循環は、第1紫外線ランプ67a等を点灯した状態で行われても良い。第1紫外線ランプ67a等に耐熱性がない場合、熱水、殺菌剤又は洗浄剤を循環させながら、第1紫外線ランプ67a等が点灯可能な温度まで、第1紫外線ランプ67a等を冷却させると良い。このとき、循環系95A内に設けられた熱交換器97により、第1紫外線ランプ67a等と、殺菌剤又は洗浄剤との間で、熱交換が行われることが好ましい。
【0246】
その後、殺菌剤等は、サンプリングポイントSP2乃至SP5のいずれかから排出され(熱水排出工程、
図10B1の符号S203a、殺菌剤排出工程、
図10B2の符号S203b)、その後、循環系95Aを冷却又はすすぐ(冷却工程、
図10B1の符号S204a、すすぎ工程、
図10B2の符号S204b)。すなわち、水殺菌機60を含む循環系59Aに熱水を供給した場合(上述した熱水供給工程、
図10B1の符号S201a)、循環系59Aを冷却する(冷却工程、
図10B1の符号S204a)。一方、水殺菌機60を含む循環系59Aに殺菌剤等を供給した場合(上述した殺菌剤供給工程、
図10B2の符号S201b)、循環系95Aをすすぐ(すすぎ工程、
図10B2の符号S204b)。殺菌剤等の排出時は、殺菌された配管内の菌汚染を防ぐために、配管内に無菌エアを供給した状態で、短時間で殺菌剤を排出させても良い。なお、殺菌剤排出工程を行うことなく、すすぎ工程に移行しても良い。
【0247】
すすぎ工程では、まず、異物除去フィルタ61に殺菌剤が付着しないように、十分に前段殺菌機62Aをすすぎ水ですすぐ。このとき、すすぎ水は、異物除去フィルタ61の上流側に設けられた第1ドレン配管95cから排出されても良い。このとき、異物除去フィルタ61に水を供給する配管内を陽圧に維持した状態で、第1ドレン配管95cから水を排出することが好ましい。この場合、第1ドレン配管95cから水を排出している間、当該配管内が陽圧になっていることを確認すると良い。その後、すすぎ水を異物除去フィルタ61に通過させる。
【0248】
次に、第1殺菌機62に残存する殺菌剤をすすぎ水で十分にすすぐ。このとき、すすぎ水は、第1無菌フィルタ63の上流側に設けられた第2ドレン配管95dから排出されても良い。このときも同様に、第1無菌フィルタ63に水を供給する配管内を陽圧に維持した状態で、第2ドレン配管95dから水を排出することが好ましい。この場合、第2ドレン配管95dから水を排出している間、当該配管内が陽圧になっていることを確認すると良い。その後、すすぎ水を第1無菌フィルタ63に通過させる。以降、順番に下流側へ向かって同様の操作を行う。第1ドレン配管95c又は第2ドレン配管95dから水を排出する前に、第1ドレン配管95c等を事前に蒸気又は熱水で殺菌していても良い。
【0249】
次に、無菌フィルタ(第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65(以下、単に第1無菌フィルタ63等とも記す))を殺菌する(フィルタ洗浄殺菌工程、
図10Aの符号S21)。この際、まず、第1無菌フィルタ63等の流路に加熱蒸気(流体)又は熱水(流体)を供給する(流体供給工程、
図10Aの符号S211)。このとき、例えば、無菌エアの供給口60aから、第1無菌フィルタ63等に、殺菌用の蒸気が供給される。
【0250】
次に、第1無菌フィルタ63等の流路に供給された加熱蒸気又は熱水の温度を測定するとともに、測定された温度に基づいてF値を算出する(F値算出工程、
図10Aの符号S212)。
【0251】
その後、F値が目的値以上となった場合に、第1無菌フィルタ63等の殺菌を終了する。このようにして、第1無菌フィルタ63等が殺菌される。このように、F値を利用した第1無菌フィルタ63等の加熱殺菌を行うことにより、第1無菌フィルタ63等に対して必要以上に熱を加えることなく、第1無菌フィルタ63等を殺菌できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。また、第1無菌フィルタ63等に対して必要以上に熱を加えることなく、第1無菌フィルタ63等を殺菌できるため、第1無菌フィルタ63等のメンブレンの損傷を抑制できる。このため、第1無菌フィルタ63等の寿命を長くでき、第1無菌フィルタ63等を、交換することなく、長期間使用できる。F値の算出を行わず、例えば121℃以上、20分間(タイマー方式)で、第1無菌フィルタ63等の殺菌が行われても良い。
【0252】
なお、第1無菌フィルタ63等を殺菌する際、サンプリングポイントSP1乃至SP6に設けられたバルブ(図示せず)を開閉することにより、蒸気によって殺菌される領域を区画しても良い。例えば、第1無菌フィルタ63を殺菌する蒸気は、サンプリングポイントSP3とサンプリングポイントSP4との間の領域に供給されることにより、当該領域を殺菌しても良い。また、第2無菌フィルタ65を殺菌する蒸気は、サンプリングポイントSP5とサンプリングポイントSP6との間の領域に供給されることにより、当該領域を殺菌しても良い。なお、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65と共に、異物除去フィルタ61を殺菌しても良い。
【0253】
このようにして、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65に対するSIP処理が行われる。その後、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65が冷却される(
図10Aの符号S213)。
【0254】
次に、水殺菌機60の無菌フィルタ(第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65)の少なくとも1つに対して、完全性試験(第2完全性試験)が行われる(
図10Aの符号S22)。すなわち、水殺菌機60の第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65のうちの少なくとも一方に対して、生産前の完全性試験が行われる(
図10Aの符号S22)。完全性試験では、まず、第1無菌フィルタ63等内のハウジング(図示せず)に水を供給する(湿潤工程(図示せず))。湿潤工程は、第1紫外線ランプ67a等を点灯した状態で行われる。これにより、紫外線が照射された水が、第1無菌フィルタを通過する。次に、第1無菌フィルタ63等の近傍のバルブ(図示せず)を閉じ、第1無菌フィルタ63等内の水を排出させた後、第1無菌フィルタ63等に無菌エアを供給する。このとき、水が充填された第1無菌フィルタ63等内に、例えば無菌エアの供給口60aから無菌エアを注入する。そして、第1無菌フィルタ63等に供給された無菌エアを徐々に加圧させ、第1無菌フィルタ63等のバブルポイント値を測定する。その後、複数回(例えば3回)測定されたバブルポイント値の結果により、第1無菌フィルタ63等が完全であるか(所定の圧力の際に無菌エアがリークしていないか)確認する。
【0255】
ここで、例えば第1無菌フィルタ63に対して完全性試験を行っている間、第1無菌フィルタ63に水を供給することはできない。一方、第1殺菌機62等の本体部66(
図3乃至
図6B参照)内に水を滞留させ続けた場合、第1紫外線ランプ67a等の熱により、本体部66内の水の温度が上昇する。とりわけ、第1紫外線ランプ67a等が中圧水銀ランプである場合には、中圧水銀ランプの動作温度が高い(約600℃以上900℃以下)ため、本体部66内の水の温度が容易に上昇し得る。このため、例えば第1無菌フィルタ63に対して完全性試験を行っている間、例えば、
図2Cの太線で示すように、第1紫外線ランプ67a等によって紫外線が照射された水を、循環系95A内で循環させることが好ましい。これにより、第1紫外線ランプ67a等の過熱を抑制でき、第1紫外線ランプ67a等の損傷を抑制できる。
【0256】
その後、内容物充填システム10による内容物の充填(生産)が再度開始される。なお、完全性試験で使用する水は、第1殺菌機62で殺菌された水を用いると良い。また、完全性試験で使用するエアは、無菌エアを用いると良い。
【0257】
なお、
図10Cに示すように、殺菌機洗浄殺菌工程(
図10AのS20)とフィルタ洗浄殺菌工程(
図10AのS21)の順番を逆にしても良い。また、
図10Dに示すように、異物除去フィルタ61、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65のSIP中(例えば、第1無菌フィルタ63等の冷却中)に、第1殺菌機62及び第2殺菌機64の洗浄殺菌工程を並行して行っても良い。この場合、第1無菌フィルタ63等の上流側又は下流側に位置する配管又はバルブが、殺菌剤に接する。このため、冷却時間の短縮化を図ることができる。具体的には、異物除去フィルタ61、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65が、それぞれ110℃未満まで冷却された時点から、第1殺菌機62及び第2殺菌機64に殺菌剤が供給されても良い。これにより、異物除去フィルタ61、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65の冷却中、殺菌機洗浄殺菌工程を終了させることも可能である。
【0258】
また、第1殺菌機62等では、製品ボトル101の生産時には、第1紫外線ランプ67a等によって紫外線が照射されている。これにより、第1殺菌機62等が菌によって汚染される可能性は少ない。このため、水殺菌機60を殺菌する際、第1殺菌機62等は、殺菌されなくても良い。
【0259】
なお、別の実施の形態として、
図10Eに示すように、水殺菌機60の無菌フィルタ(第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65)を殺菌する工程は、殺菌機(第1殺菌機62及び第2殺菌機64)を洗浄する工程又は殺菌機(第1殺菌機62及び第2殺菌機64)を殺菌する工程が行われている間に、行われても良い。すなわち、水殺菌機60の第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65と、第1殺菌機62及び第2殺菌機64とを同時に洗浄・殺菌しても良い。
【0260】
この場合、
図10Eに示すように、まず、充填(生産)が終了する。その後、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65のうちの少なくとも一方に対して、生産後の完全性試験(第1完全性試験)が行われる(
図10Eの符号S30)。
【0261】
次に、第1無菌フィルタ63、第2無菌フィルタ65、第1殺菌機62及び第2殺菌機64の洗浄(CIP)処理を行う(
図10Eの符号S31)。このとき、異物除去フィルタ61の手前(上流側)から洗浄剤及び殺菌剤を供給し、循環ライン59を使用し、洗浄剤及び殺菌剤を循環系59A内で所定時間循環させる。
【0262】
CIP処理を行った後、第1無菌フィルタ63、第2無菌フィルタ65、第1殺菌機62及び第2殺菌機64の殺菌(SIP)処理を行っても良い(
図10Eの符号S32)。あるいはCIP処理及びSIP処理に換えて、第1無菌フィルタ63、第2無菌フィルタ65、第1殺菌機62及び第2殺菌機64の洗浄と殺菌とを同時に行っても良い(CSIP処理)(
図10Eの符号S33)。
【0263】
CIP処理及びSIP処理、又はCSIP処理に用いる洗浄剤及び殺菌剤としては、過酢酸、酢酸、過酸化水素、過硝酸、硝酸、リン酸等の酸性薬剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性薬剤、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素等の塩素系薬剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、或いはオゾン水、酸性水、界面活性剤を単体で用いても良く、これらのうち2種以上を組み合わせて用いても良い。洗浄剤及び殺菌剤の昇温は図示しないヒーターで行っても良い。CIP処理及びSIP処理、又はCSIP処理は、水殺菌機60及び循環ライン59に設置された温度計T及び濃度計59cの値に基づいて、所定の条件(温度、濃度、時間)で行われても良い。
【0264】
循環系59Aからの洗浄剤及び殺菌剤の排出は、純水タンク50cから循環系59Aに純水を供給し、ポンプP1より純水を搬送することにより、殺菌剤を純水に置換しながら行われても良い。また、他の装置(図示せず)から循環系59Aに水を供給し、殺菌剤を排出しても良い。殺菌剤の排出は、循環ライン59の下流側に設けられた濃度計59cの値を監視しながら行われても良い。この場合、例えば、濃度計59cの値が、純水製造装置50aに設けられた濃度計(図示せず)の値と同じ値になるまで、すすぎ水で循環系59Aをすすぐことが好ましい。また、すすぎ工程において、すすぎ時間がタイマーで管理されても良い。また、すすぎ工程は、所定の時間が経過した場合に完了するように設定されていても良い。CIP処理中、SIP処理中又はCSIP処理中において、第1紫外線ランプ67a等は、点灯していても良く、点灯していなくても良い。また、第1紫外線ランプ67a等は、すすぎ工程中のみ点灯していても良い。CIP処理及びSIP処理、又はCSIP処理が完了した後、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65のうちの少なくとも一方に対して、生産前の完全性試験(第2完全性試験)を行う(
図10Eの符号S34)。すなわち、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65のうちの一方、又は両方に対して、生産前の完全性試験を行う。
【0265】
次に、生産開始前の完全性試験の結果が合格であった場合(リークが認められなかった場合)、生産準備工程へ移行する(
図10Eの符号S35)。生産準備工程では、純水を循環系59A内で循環させながら、第1紫外線ランプ67a等から照射される紫外線の照度が、所定の値以上であることを確認する。この場合、各々の殺菌機(第1殺菌機62又は第2殺菌機64)において、第1紫外線ランプ67a等の合計照射量は、例えば、10mJ/cm
2以上であっても良く、100mJ/cm
2以上であることが好ましい。
【0266】
その後、生産を開始する。
【0267】
なお、水殺菌機60には、内容物が付着することはない。また、第1殺菌機62等では、製品ボトル101の生産時には、第1紫外線ランプ67a等によって紫外線が照射されている。これにより、第1殺菌機62等が菌によって汚染される可能性は少ない。このため、水殺菌機60を殺菌する際、第1殺菌機62等は、殺菌されなくても良い。
【0268】
以上のように本実施の形態によれば、内容物充填システム10が、水を非加熱殺菌する水殺菌ライン50と、製品原液を加熱殺菌する原液殺菌ライン70と、水殺菌ライン50及び原液殺菌ライン70にそれぞれ接続され、水及び製品原液をボトル100に充填する充填装置20とを備えている。これにより、水を加熱して殺菌する殺菌機を使用して作製された無菌水によって製品原液を希釈する場合と比較して、内容物を作製する際に排出される二酸化炭素の排出量を低減できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0269】
また、本実施の形態によれば、内容物充填システム10が、水殺菌ライン50を制御する制御部90を更に備えている。そして、制御部90が、紫外線の照射量又は照度が所定の値以下となった場合に、水を水殺菌ライン50の外部に排出する。これにより、第2水タンク52等の無菌性を維持できる。
【0270】
また、本実施の形態によれば、充填装置20が、水殺菌ライン50に接続された水充填装置21と、原液殺菌ライン70に接続された原液充填装置22とを有している。また、水充填装置21が、ボトル100に対して、殺菌された水を充填し、原液充填装置22が、ボトル100に対して、殺菌された製品原液を充填する。これにより、内容物による汚れが付着する領域を狭くできる。このため、洗浄及び殺菌する領域を狭くできる。この結果、蒸気等の使用量を低減できる。また、洗浄時間及び殺菌時間を短縮できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0271】
また、本実施の形態によれば、水充填装置21が、空のボトル100に対して水を充填する。また、水充填装置21がボトル100に対して水を充填する充填速度は、原液充填装置22がボトル100に対して製品原液を充填する充填速度よりも速い。これにより、ボトル100の周囲に汚れを付着させることなく、水充填装置21の水充填ノズルの本数を少なくできる。このため、ボトル100の周囲に汚れを付着させることなく、水充填装置21のサイズを小さくできる。
【0272】
また、本実施の形態によれば、水殺菌ライン50が、水を貯留する第1水タンク51と、第1水タンク51に貯留された水を非加熱殺菌する水殺菌機60と、水殺菌機60によって殺菌された水を貯留する第2水タンク52とを有している。また、原液殺菌ライン70が、製品原液を貯留する第1原液タンク71と、第1原液タンク71に貯留された製品原液を加熱殺菌する製品原液殺菌機80と、製品原液殺菌機80によって殺菌された製品原液を貯留する第2原液タンク72とを有している。これにより、水及び製品原液の流れを円滑にできる。
【0273】
また、本実施の形態によれば、第2水タンク52の下流側に、水殺菌ライン50とキャップ殺菌装置18とを互いに接続する第1バイパスライン55が設けられている。これにより、水殺菌機60によって殺菌した水を、キャップ88の洗浄に使用できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を更に低減できる。
【0274】
また、本実施の形態によれば、第2原液タンク72の下流側に、製品原液に対して固形物を添加する添加ユニット75が連結されている。これにより、内容物充填システム10において、固形物入りの内容物をボトル100に充填できる。
【0275】
また、本実施の形態によれば、内容物充填システム10が、プリフォーム100aを殺菌するプリフォーム殺菌装置34aと、プリフォーム100aからボトル100を成形するブロー成形部(容器成形装置)32と、ボトル100を殺菌する殺菌装置(容器殺菌装置)11とを更に備えている。そして、ブロー成形部(容器成形装置)32が、金型温調器の温水によってボトル100の温度を調節することなく、ボトル100を成形する。これにより、ボトル100に付着する菌を少なくできるとともに、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。また、ブロー成形部32の金型に温水を供給しなくても良いため、ブロー成形部32の簡素化を図ることができる。
【0276】
(内容物充填システムの変形例)
次に、内容物充填システムの変形例について説明する。
【0277】
(第1変形例)
上述した実施の形態において、水殺菌ライン50(水殺菌機60)が、水を非加熱殺菌する例について説明したが、これに限られない。例えば、水殺菌ライン50(水殺菌機60)は、水を所定の温度に加熱することにより、水を殺菌しても良い。純水製造装置50aによって製造された純水の菌数は、純水製造装置50aの管理を適切に行っていれば、一般的に製品原液に比べて少ない。従って、充填、又はボトル100にキャップ88が装着された後の内容物のpHが4.5未満の場合、水殺菌ライン50(第1殺菌機62及び第2殺菌機64)は、F
0値が0.00029以上3.1未満となるように、水を殺菌しても良い。また、内容物のpHが4.5以上の場合、水殺菌ライン50(第1殺菌機62及び第2殺菌機64)は、F
0値が3.1以上100以下となるように、水を殺菌しても良い。pHが異なる内容物を切り替えながら充填する場合、水殺菌ライン50の洗浄及び又は殺菌の回数を減らすために、水殺菌ライン50(第1殺菌機62及び第2殺菌機64)は、統一してF
0値が3.1以上100以下となるように、水を殺菌しても良い。ここで、F
0値は、上述した下記の式
【数4】
(ただし、Tは任意の殺菌温度(℃)、10^{(T-Tr)/Z}は任意の殺菌温度Tでの致死率、Trは基準温度(℃)、ZはZ値(℃)を表す。)
において、基準温度Trが121.1℃、Z値が10℃の場合に算出されるF値である。
【0278】
本変形例によれば、水を製品原液と同じ殺菌強度で、製品原液と同時に高温に加熱して殺菌する殺菌機を使用する場合(通常、F0値が約30以上80以下)と比較して、水を殺菌する際に排出される二酸化炭素の排出量を低減できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。また、水殺菌ライン50(第1殺菌機62及び第2殺菌機64)が、内容物のpHに基づいて、殺菌条件を変更する場合、水を殺菌する際に排出される二酸化炭素の排出量を更に低減でき、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を更に低減できる。
【0279】
(第2変形例)
また、上述した実施の形態において、水充填装置21が、ボトル100に対して、殺菌された水を充填し、原液充填装置22が、水が充填されたボトル100に対して、殺菌された製品原液を充填する例について説明したが、これに限られない。例えば、原液充填装置22が、ボトル100に対して、殺菌された製品原液を充填し、水充填装置21が、製品原液が充填されたボトル100に対して、殺菌された水を充填しても良い。
【0280】
この場合、
図11に示すように、原液充填装置22が、水充填装置21よりも、ボトル100の搬送方向上流側に配設されていても良い。また、原液充填装置22が、第1無菌チャンバ70fの内部に収容されていても良く、水充填装置21が、第2無菌チャンバ70hの内部に収容されていても良い。
【0281】
(第3変形例)
また、上述した実施の形態において、製品原液が、水によって希釈される例について説明したが、これに限られない。例えば、水充填装置21及び原液充填装置22のうちの一方のみを用いて、ボトル100に対して、水又は製品原液を充填しても良い。具体的には、水充填装置21のみを使用することにより、ボトル100に対して水のみを充填しても良い。すなわち、内容物充填システム10において、水充填装置21のみを使用することにより、ミネラルウォーターを製造しても良い。あるいは、原液充填装置22のみを使用することにより、ボトル100に対して製品原液のみを充填しても良い。すなわち、内容物充填システム10において、原液充填装置22のみを使用することにより、いわゆるコンク製品(濃縮製品)を製造しても良い。なお、殺菌が不要である製品原液のみをボトル100に充填する場合、ボトル100は、中間エリアチャンバ70gの内部に収容された搬送ホイール12に供給されても良い。
【0282】
本変形例によれば、水充填装置21及び原液充填装置22のうちの一方のみを用いて、ボトル100に対して、水又は製品原液を充填する。これにより、内容物充填システム10において、ミネラルウォーター及びいわゆるコンク製品を製造できる。このため、内容物充填システム10において生産される製品ボトル101の種類を増やすことができる。
【0283】
(第4変形例)
また、上述した実施の形態において、充填装置20が、水殺菌ライン50に接続された水充填装置21と、原液殺菌ライン70に接続された原液充填装置22とを有している例について説明した。この場合、充填装置20が、複数の原液充填装置22を有していても良い。また、例えば、
図12Aに示すように、内容物充填システム10が、複数(例えば2つ)の原液殺菌ライン70を備えていても良い。そして、充填装置20が、各々の原液殺菌ライン70にそれぞれ接続された複数(例えば2つ)の原液充填装置22を有していても良い。
【0284】
この場合、充填装置20は、フレーバーを含まない製品原液を充填する第1原液充填装置22aと、フレーバーを含む製品原液を充填する第2原液充填装置22bとを有していても良い。言い換えれば、2つの原液充填装置22のうち、一方の原液充填装置22は、例えば、茶系飲料等のフレーバーを含まない製品原液を充填する充填装置(第1原液充填装置22a)であっても良い。そして、他方の原液充填装置22は、果実系飲料、乳飲料又はスポーツドリンク等のフレーバーを含む製品原液を充填する充填装置(第2原液充填装置22b)であっても良い。なお、第2原液充填装置22bは、固形物を充填する充填装置であっても良い。
【0285】
このように、充填装置20が第1原液充填装置22aと第2原液充填装置22bとを有していることにより、茶系飲料等のフレーバーを含まない内容物をボトル100に充填した際に、当該内容物に、前回の内容物の香りが付着することを抑制できる。また、一方の原液充填装置22を、フレーバーを含まない製品原液を充填する充填装置(第1原液充填装置22a)とした場合、第1原液充填装置22a内の製品原液の流路等には、フレーバーが付着することはない。例えば、各配管や各装置の接続箇所等に設けられたパッキン等のシール要素に、フレーバーが付着することはない。このため、内容物の種類を切り替える際に、洗浄(CIP)する領域を狭くできる。これにより、洗浄時間を短縮できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0286】
図示された例においては、第1原液充填装置22a、第2原液充填装置22b及びキャップ装着装置16は、第2無菌チャンバ70hの内部に収容されている。また、
図12Bに示すように、第2無菌チャンバ70hの内部には、チャンバ壁710が設けられている。このチャンバ壁710は、第1原液充填装置22aが収容される第1空間(空間)701と、第2原液充填装置22bが収容される第2空間702と、キャップ装着装置16が収容される第3空間703とを分離している。言い換えれば、第1原液充填装置22aは、チャンバ壁710によって区画された第1空間701に収容されている。また、第2原液充填装置22bは、チャンバ壁710によって区画された第2空間702に収容されており、キャップ装着装置16は、チャンバ壁710によって区画された第3空間703に収容されている。
【0287】
チャンバ壁710は、各空間の殺菌剤等が意図しない空間へ流通することを防ぎ、各空間内の圧力を安定させる役割を果たす。このチャンバ壁710には、ボトル100が通過できる隙間G1乃至G6(後述する
図12C参照)が形成されている。この隙間G1乃至G6は、各空間内の圧力が変化しないように、最小限、例えば1個分のボトル100程度の大きさ形成されている。また、チャンバ壁710には、上述した隙間G1乃至G6を開閉するシャッターsh1乃至sh6(後述する
図12C参照)が設けられていても良い。このシャッターsh1乃至sh6は、例えば制御部90からの信号により、自動で開閉するように構成されていても良い。
【0288】
また、このように、第2無菌チャンバ70hの内部にチャンバ壁710が設けられていることにより、例えば、第1原液充填装置22aの運転中に、第2空間702を洗浄(COP)及び殺菌(SOP)できるとともに、第2原液充填装置22bを洗浄(CIP)及び殺菌(SIP)できる。これにより、ダウンタイムを大幅に短縮でき、製品ボトル101の生産性を向上できる。ここで、例えば、第1原液充填装置22aの運転中に、第2原液充填装置22bを洗浄(CIP)及び殺菌(SIP)する際、チャンバ壁710に設けられたシャッターsh1等を閉鎖しても良い。これにより、第2原液充填装置22bを収容している空間(非無菌空間)から、第1原液充填装置22aを収容している空間(無菌空間)へ、殺菌剤等が侵入しないようにしても良い。
【0289】
なお、第2無菌チャンバ70h内に収容された搬送ホイール12のうち、第1原液充填装置22aにボトル100を受け渡す第1搬送ホイール(第1ホイール)12a及び第1原液充填装置22aからボトル100を受け取る第2搬送ホイール12bは、それぞれ、第1空間701の外部に配置されている。また、第2無菌チャンバ70h内に収容された搬送ホイール12のうち、第2原液充填装置22bにボトル100を受け渡す第3搬送ホイール12c及び第2原液充填装置22bからボトル100を受け取る第4搬送ホイール12dは、それぞれ、第2空間702の外部に配置されている。
【0290】
ここで、
図12Cに示すように、第1搬送ホイール12aは、ボトル100を搬送するグリッパ(第1グリッパ)121を含んでいる。このグリッパ121は、開閉自在に設けられている。
【0291】
同様に、第2搬送ホイール12b乃至第4搬送ホイール12dは、それぞれ、ボトル100を搬送するグリッパ122、123、124を含んでいる。グリッパ122、123、124は、それぞれ開閉自在に設けられている。
【0292】
また、第1原液充填装置22aは、ホイール221(第2ホイール)を含んでおり、ホイール221(第2ホイール)は、第1空間701の内部に配置されている。このホイール221は、ボトル100を搬送するグリッパ(第2グリッパ)222を含んでいる。このグリッパ222は、開閉自在に設けられている。
【0293】
同様に、第2原液充填装置22bは、ホイール223を含んでおり、ホイール223は、第2空間702の内部に配置されている。このホイール223は、ボトル100を搬送するグリッパ224を含んでいる。このグリッパ224は、開閉自在に設けられている。
【0294】
次に、第1空間701に収容された第1原液充填装置22aの運転中に、第2空間702(及び又は第2原液充填装置22b)を洗浄及び殺菌する場合について、
図12Cにより説明する。すなわち、第1原液充填装置22aによって製品原液をボトル100に充填しながら、第2空間702及び又は第2原液充填装置22b(以下、単に第2空間702等とも記す)を洗浄及び殺菌する場合について説明する。
【0295】
まず、第2原液充填装置22bにおける製品原液の充填が終了した後、例えば、制御部90の操作ボタンを操作する。これにより、例えば、チャンバ壁710に形成された隙間G1乃至G6のうち、隙間G1及びG4が、シャッターsh1及びsh4によって、それぞれ閉鎖される。
【0296】
次に、ボトル100が、第1搬送ホイール12aから第1原液充填装置22aに搬送される。このとき、第3搬送ホイール12cのグリッパ123は、第1搬送ホイール12aのグリッパ121と干渉しないように、開放位置をとる。本実施の形態では、グリッパ123は、グリッパ123の一対の爪が閉鎖位置から水平方向にそれぞれ90度回転することにより、開放位置をとる。なお、一つの爪の回転角度は、それぞれ60度以上130度以下であっても良い。
【0297】
この開放位置においては、グリッパ123は、隙間G1を閉鎖するシャッターsh1と干渉しない。これにより、第2空間702等を洗浄及び殺菌する際に、第1空間701の内部を無菌状態に維持しつつ、ボトル100を第1原液充填装置22aに搬送できる。
【0298】
そして、第1原液充填装置22aによって製品原液をボトル100に充填する場合、第1原液充填装置22aのホイール221のグリッパ(第2グリッパ)222は、第1搬送ホイール12aのグリッパ(第1グリッパ)121からボトル100を受け取る。すなわち、ボトル100が、第1空間701の外部に配置された第1搬送ホイール(第1ホイール)12aから、第1空間701の内部に配置されたホイール221(第2ホイール)へと受け渡される。
【0299】
次に、第1原液充填装置22aにおいて、ボトル100に製品原液が充填される。この際、グリッパ222によって搬送されるボトル100に、製品原液が充填される。
【0300】
続いて、内容物が充填されたボトル100は、第2搬送ホイール12bによってキャップ装着装置16に搬送される。このとき、第4搬送ホイール12dのグリッパ124は、第2搬送ホイール12bのグリッパ122と干渉しないように、開放位置をとる。本実施の形態では、グリッパ124は、グリッパ124の一対の爪が閉鎖位置から水平方向にそれぞれ90度回転することにより、開放位置をとる。なお、一つの爪の回転角度は、それぞれ60度以上130度以下であっても良い。
【0301】
この開放位置においては、グリッパ124は、隙間G4を閉鎖するシャッターsh4と干渉しない。これにより、第2空間702等を洗浄及び殺菌する際に、第1空間701及び第3空間703の内部を無菌状態に維持しつつ、ボトル100をキャップ装着装置16に搬送できる。
【0302】
このようにして、第1原液充填装置22aによって製品原液が充填された製品ボトル101が得られる。この間、第2空間702等が洗浄及び殺菌される。
【0303】
このように、第1空間701に収容された第1原液充填装置22aの運転中に、第2空間702を洗浄する際、第1空間701内の圧力は、10Pa以上40Pa以下であることが好ましく、第2空間内702の圧力は、-10Pa以上10Pa以下であることが好ましく、第3空間703内の圧力は、5Pa以上30Pa以下であることが好ましい。これにより、第2空間702内の空気及び第3空間703内の空気が、第1空間701内に入り込むことを効果的に抑制でき、第1空間701内の無菌状態を更に良好に維持できる。
【0304】
第1空間701に収容された第1原液充填装置22aの運転中に、第2空間702を殺菌する際、第2空間702内の圧力は、第1空間701に収容された第1原液充填装置22aの運転中に、第2空間702を洗浄する際の第2空間702内の圧力よりも高くても良い。第2空間702を殺菌する際、第1空間701内の圧力は、10Pa以上40Pa以下であることが好ましく、第2空間702内の圧力は、0Pa以上20Pa以下であることが好ましく、第3空間703内の圧力は、5Pa以上30Pa以下であることが好ましい。これにより、第2空間702内の空気及び第3空間703内の空気が、第1空間701内に入り込むことを効果的に抑制でき、第1空間701内の無菌状態を良好に維持できる。
【0305】
次に、第1原液充填装置22aによって製品原液をボトル100に充填しない場合について説明する。ここでは、第2空間702に収容された第2原液充填装置22bの運転中に、第1空間701及び又は第1原液充填装置22a(以下、単に、第1空間701等とも記す)を洗浄及び殺菌する場合について、
図12Dにより説明する。すなわち、第2原液充填装置22bによって製品原液をボトル100に充填しながら、第1空間701等を洗浄及び殺菌する場合について説明する。
【0306】
まず、第1原液充填装置22aにおける製品原液の充填が終了した後、例えば、制御部90の操作ボタンを操作する。これにより、例えば、チャンバ壁710に形成された隙間G1乃至G6のうち、隙間G5及びG6が、シャッターsh5及びsh6によって、それぞれ閉鎖される。
【0307】
次に、ボトル100が、第1搬送ホイール12aから第2原液充填装置22bに搬送される。このとき、第1原液充填装置22aのホイール221(第2ホイール)のグリッパ(第2グリッパ)222は、第1搬送ホイール12aのグリッパ(第1グリッパ)121と干渉しないように、開放位置をとる。本実施の形態では、グリッパ222は、グリッパ222の一対の爪が閉鎖位置から水平方向にそれぞれ90度回転することにより、開放位置をとる。なお、一つの爪の回転角度は、それぞれ60度以上130度以下であっても良い。
【0308】
この開放位置においては、グリッパ222は、隙間G6を閉鎖するシャッターsh6と干渉しない。これにより、第1空間701等を洗浄及び殺菌する際に、第2空間702の内部を無菌状態に維持しつつ、ボトル100を第2原液充填装置22bに搬送できる。
【0309】
そして、第2原液充填装置22bによって製品原液をボトル100に充填する場合、第3搬送ホイール12cのグリッパ123は、第1搬送ホイール12aのグリッパ121からボトル100を受け取る。
【0310】
また、第2原液充填装置22bによって製品原液をボトル100に充填する場合、第2原液充填装置22bのホイール223のグリッパ224は、第3搬送ホイール12cのグリッパ123からボトル100を受け取る。すなわち、ボトル100が、第2空間702の外部に配置された第3搬送ホイール12cから、第2空間702の内部に配置されたホイール223へと受け渡される。
【0311】
次に、第2原液充填装置22bにおいて、ボトル100に製品原液が充填される。この際、グリッパ224によって搬送されるボトル100に、製品原液が充填される。
【0312】
続いて、内容物が充填されたボトル100は、第4搬送ホイール12dによって第2搬送ホイール12bに搬送される。
【0313】
その後、ボトル100は、第2搬送ホイール12bによってキャップ装着装置16に搬送される。このとき、第1原液充填装置22aのホイール221のグリッパ222は、第2搬送ホイール12bのグリッパ122と干渉しないように、開放位置をとる。また、この開放位置においては、グリッパ222は、隙間G5を閉鎖するシャッターsh5と干渉しない。これにより、第1空間701等を洗浄及び殺菌する際に、第2空間702及び第3空間703の内部を無菌状態に維持しつつ、ボトル100をキャップ装着装置16に搬送できる。
【0314】
このようにして、第2原液充填装置22bによって製品原液が充填された製品ボトル101が得られる。この間、第1空間701等が洗浄及び殺菌される。
【0315】
第2空間702に収容された第2原液充填装置22bの運転中に、第1空間701を洗浄する際、第1空間701内の圧力は、-10Pa以上10Pa以下であることが好ましく、第2空間702内の圧力は、10Pa以上40Pa以下であることが好ましく、第3空間703内の圧力は、5Pa以上30Pa以下であることが好ましい。これにより、第1空間701内の空気及び第3空間703内の空気が、第2空間702内に入り込むことを効果的に抑制でき、第2空間702内の無菌状態を更に良好に維持できる。
【0316】
第2空間702に収容された第2原液充填装置22bの運転中に、第1空間701を殺菌する際、第1空間701内の圧力は、第2空間702に収容された第2原液充填装置22bの運転中に、第1空間701を洗浄する際の第1空間701内の圧力よりも高くても良い。第1空間701を殺菌する際、第1空間701内の圧力は、0Pa以上20Pa以下であることが好ましく、第2空間702内の圧力は、10Pa以上40Pa以下であることが好ましく、第3空間703内の圧力は、5Pa以上30Pa以下であることが好ましい。これにより、第1空間701内の空気及び第3空間703内の空気が、第2空間702内に入り込むことを効果的に抑制でき、第2空間702内の無菌状態を良好に維持できる。
【0317】
以上を纏めると、各空間内の圧力は、以下の表3及び表4のようにしても良い。
【0318】
【0319】
【0320】
本変形例によれば、充填装置20が、複数の原液充填装置22を有している。これにより、例えば、第1原液充填装置22aの運転中に、第2原液充填装置22bを洗浄(CIP)及び殺菌(SIP)できる。これにより、ダウンタイムを大幅に短縮でき、製品ボトル101の生産性を向上できる。
【0321】
また、本変形例によれば、内容物充填システム10が、複数の原液殺菌ライン70を備えている。そして、複数の原液充填装置22が、各々の原液殺菌ライン70にそれぞれ接続されている。これにより、内容物充填システム10において生産される製品ボトル101の種類を増やすことができる。
【0322】
また、本変形例によれば、充填装置20が、フレーバーを含まない製品原液を充填する第1原液充填装置22aと、フレーバーを含む製品原液を充填する第2原液充填装置22bとを有している。これにより、フレーバーを含まない内容物をボトル100に充填した際に、前回の内容物の香りが付着することを抑制できる。また、第1原液充填装置22aがフレーバーを含まない製品原液を充填するため、第1原液充填装置22a内の製品原液の流路には、フレーバーが付着することはない。このため、内容物の種類を切り替える際に、洗浄(CIP)する領域を狭くできる。これにより、洗浄時間を短縮できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。また、この際、第1原液充填装置22aと、第2原液充填装置22bとが、互いに異なる原液殺菌ライン70にそれぞれ接続されていることにより、例えば、第1原液充填装置22aが接続された原液殺菌ライン70においては、フレーバーを除去するための洗浄(いわゆる脱臭CIP)を行わなくても良い。ここで、脱臭CIPは、通常のCIPよりも時間及びエネルギーを要する。このため、脱臭CIPを行わない場合、脱臭CIPを行う場合と比較して、ダウンタイムを短縮できるとともに、省エネルギー化を図ることができる。
【0323】
また、本変形例によれば、第1原液充填装置22aによって製品原液をボトル100に充填する場合、第1原液充填装置22aのホイール221のグリッパ(第2グリッパ)222が、第1搬送ホイール12aのグリッパ(第1グリッパ)121からボトル100を受け取る。そして、第1原液充填装置22aによって製品原液をボトル100に充填しない場合、第1原液充填装置22aのホイール221(第2ホイール)のグリッパ(第2グリッパ)222は、第1搬送ホイール12aのグリッパ(第1グリッパ)121と干渉しないように、開放位置をとる。これにより、第2空間702等を洗浄及び殺菌する際に、ボトル100を第1原液充填装置22aに搬送できる。
【0324】
さらに、本変形例によれば、第1原液充填装置22aによって製品原液をボトル100に充填しない場合、隙間G5及びG6が、シャッターsh5及びsh6によって、閉鎖される。そして、第1原液充填装置22aのホイール221のグリッパ(第2グリッパ)222が、隙間G5及びG6を閉鎖するシャッターsh5及びsh6と干渉しないように、開放位置をとる。これにより、第2空間702等を洗浄及び殺菌する際に、第2空間702及び第3空間703の内部を無菌状態に維持しつつ、ボトル100を第1原液充填装置22aに搬送できる。
【0325】
なお、グリッパ222等の一対の爪が、閉鎖位置から水平方向に回転することにより、グリッパ222等が開放位置をとる例について説明したが、これに限られない。グリッパ222等は、任意の構成によって、開放位置をとっても良い。例えば、グリッパ222等は、一対の爪を上方又は下方に折り曲げることにより、開放位置をとっても良い。また、一対の爪を伸縮自在に構成することにより、グリッパ222等が開閉自在に設けられていても良い。
【0326】
(第4変形例の他の例)
次に、第4変形例の他の例について説明する。
【0327】
<第1の例>
図12Eに示す第1の例では、内容物充填システムは、第5無菌チャンバ70jと、第6無菌チャンバ70kと、第7無菌チャンバ70mとを更に有している。第5無菌チャンバ70jは、第1無菌チャンバ70fの上流側に設けられている。第6無菌チャンバ70kは、第2無菌チャンバ70hの下流側に設けられている。第7無菌チャンバ70mは、第6無菌チャンバ70kの下流側に設けられている。すなわち、図示された例においては、第5無菌チャンバ70j、第1無菌チャンバ70f、第2無菌チャンバ70h、第6無菌チャンバ70k、第7無菌チャンバ70m及び出口チャンバ70iは、ボトル100(
図12A等参照)の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。また、第5無菌チャンバ70j、第1無菌チャンバ70f、第2無菌チャンバ70h、第6無菌チャンバ70k及び第7無菌チャンバ70mは、ボトル100を回転搬送する円形の円形搬送体110の外周に並んで配置されている。
【0328】
このうち、第5無菌チャンバ70jの内部には、エアリンスされたボトル100を搬送する搬送ホイール12が収容されていても良い。第6無菌チャンバ70kの内部には、第2原液充填装置22bが収容されている。また、第7無菌チャンバ70mの内部には、キャップ装着装置16が収容されている。すなわち、
図12Eに示す例においては、第2原液充填装置22b及びキャップ装着装置16は、第1原液充填装置22aが収容された第2無菌チャンバ70hとは異なる無菌チャンバ(第6無菌チャンバ70k又は第7無菌チャンバ70m)の内部に収容されている。
【0329】
図12Eにおいて、予め上流側で殺菌されたボトル100が、第5無菌チャンバ70j内に配置された搬送ホイール12及び円形搬送体110を介して、第1無菌チャンバ70fまで搬送される。そして、ボトル100は、第1無菌チャンバ70f内に配置された搬送ホイール12を介して、水充填装置21まで搬送される。
【0330】
次に、水充填装置21において、水殺菌ライン50によって殺菌された水が、空のボトル100内に充填される。この水充填装置21では、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ水が充填される。
【0331】
次いで、第1無菌チャンバ70f内のボトル100は、第1無菌チャンバ70f内に配置された搬送ホイール12、円形搬送体110、及び第2無菌チャンバ70h内に配置された搬送ホイール12を介して、第1原液充填装置22aまで搬送される。
【0332】
次に、第1原液充填装置22aにおいて、原液殺菌ライン70によって殺菌された製品原液が、予め水充填装置21により水が充填されたボトル100内に充填される。この第1原液充填装置22aでは、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ製品原液が充填される。
【0333】
その後、第2無菌チャンバ70h内のボトル100は、第2無菌チャンバ70h内に配置された搬送ホイール12、円形搬送体110、及び第6無菌チャンバ70k内に配置された搬送ホイール12を介して、第2原液充填装置22bまで搬送される。
【0334】
次に、第2原液充填装置22bにおいて、原液殺菌ライン70によって殺菌された他の製品原液が、予め水及び製品原液が充填されたボトル100内に充填される。この第2原液充填装置22bでは、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ他の製品原液が充填される。
【0335】
その後、第6無菌チャンバ70k内のボトル100は、第6無菌チャンバ70k内に配置された搬送ホイール12、円形搬送体110、及び第7無菌チャンバ70m内に配置された搬送ホイール12を介して、キャップ装着装置16まで搬送される。
【0336】
次に、キャップ装着装置16において、水及び製品原液が充填されたボトル100が、キャップ88(
図12A等参照)により閉じられる。このようにして、ボトル100内に外部の空気及び又は微生物が侵入しないように、ボトル100が密封される。このキャップ装着装置16では、水及び製品原液が充填された複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の口部にキャップ88が装着される。このようにして、製品ボトル101(
図12A等参照)が得られる。
【0337】
<第2の例>
次に、
図12Fにより、第2の例について説明する。
図12Fに示す第2の例では、内容物充填システムは、第6無菌チャンバ70kと、第7無菌チャンバ70mと、第8無菌チャンバ70nとを更に有している。第6無菌チャンバ70kは、第1無菌チャンバ70fの下流側に設けられている。第7無菌チャンバ70mは、第2無菌チャンバ70h及び第6無菌チャンバ70kの下流側に設けられている。第8無菌チャンバ70nは、第2無菌チャンバ70hと第6無菌チャンバ70kとの間に設けられている。ここで、
図12Fにおいて、第2無菌チャンバ70h及び第6無菌チャンバ70kは、ボトル100(
図12A等参照)の搬送方向に沿って、第1無菌チャンバ70fの下流側に、並列に配置されている。すなわち、図示された例においては、第1無菌チャンバ70f、第2無菌チャンバ70h又は第6無菌チャンバ70k、第7無菌チャンバ70m及び出口チャンバ70iは、ボトル100(
図12A等参照)の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。
【0338】
このうち、第6無菌チャンバ70kの内部には、第2原液充填装置22bが収容されている。また、第7無菌チャンバ70mの内部には、キャップ装着装置16が収容されている。さらに、第8無菌チャンバ70nの内部には、水充填装置21によって水が充填されたボトル100を搬送する搬送ホイール12が収容されていても良い。
【0339】
図12Fにおいて、予め上流側で殺菌されたボトル100が、第1無菌チャンバ70f内に配置された搬送ホイール12を介して、水充填装置21まで搬送される。
【0340】
次に、水充填装置21において、水殺菌ライン50によって殺菌された水が、空のボトル100内に充填される。この水充填装置21では、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ水が充填される。
【0341】
次いで、第1無菌チャンバ70f内のボトル100は、例えば、第1無菌チャンバ70f内に配置された搬送ホイール12、第8無菌チャンバ70n内に配置された搬送ホイール12、及び第2無菌チャンバ70h内に配置された搬送ホイール12を介して、第1原液充填装置22aまで搬送される。
【0342】
次に、第1原液充填装置22aにおいて、原液殺菌ライン70によって殺菌された製品原液が、予め水充填装置21により水が充填されたボトル100内に充填される。この第1原液充填装置22aでは、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ製品原液が充填される。
【0343】
その後、第2無菌チャンバ70h内のボトル100は、第2無菌チャンバ70h内に配置された搬送ホイール12、第8無菌チャンバ70n内に配置された搬送ホイール12、及び第7無菌チャンバ70m内に配置された搬送ホイール12を介して、キャップ装着装置16まで搬送される。
【0344】
次に、キャップ装着装置16において、水及び製品原液が充填されたボトル100が、キャップ88(
図12A等参照)により閉じられる。このようにして、製品ボトル101(
図12A等参照)が得られる。
【0345】
ここで、第1無菌チャンバ70f内のボトル100は、第1原液充填装置22aに搬送されることなく、第2原液充填装置22bに搬送されても良い。例えば、第1無菌チャンバ70f内のボトル100は、第1無菌チャンバ70f内に配置された搬送ホイール12、第8無菌チャンバ70n内に配置された搬送ホイール12、及び第6無菌チャンバ70k内に配置された搬送ホイール12を介して、第2原液充填装置22bまで搬送されても良い。この場合、第1無菌チャンバ70f内のボトル100は、第2無菌チャンバ70h内に配置された第1原液充填装置22aへは搬送されない。
【0346】
第2原液充填装置22bまでボトル100が搬送されると、第2原液充填装置22bにおいて、原液殺菌ライン70によって殺菌された他の製品原液が、予め水が充填されたボトル100内に充填される。この第2原液充填装置22bでは、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ他の製品原液が充填される。
【0347】
その後、第6無菌チャンバ70k内のボトル100は、第6無菌チャンバ70k内に配置された搬送ホイール12、及び第7無菌チャンバ70m内に配置された搬送ホイール12を介して、キャップ装着装置16まで搬送される。
【0348】
このように、
図12Fに示す第2の例においては、第2原液充填装置22bによって製品原液をボトル100内に充填する場合、ボトル100は、第1無菌チャンバ70f、第8無菌チャンバ70n、第6無菌チャンバ70k、及び第7無菌チャンバ70mの順に、各無菌チャンバを通過する。
【0349】
なお、
図12Fに示す例において、内容物充填システム10において、ミネラルウォーターを製造する場合、第1無菌チャンバ70f内で水充填装置21により水が充填されたボトル100を、第7無菌チャンバ70m内に配置されたキャップ装着装置16に直接搬送しても良い。すなわち、水が充填されたボトル100を、第1原液充填装置22a又は第2原液充填装置22bに搬送することなく、第8無菌チャンバ70n内に配置された搬送ホイール12のみを介して、キャップ装着装置16に直接搬送しても良い。この場合、水のみが充填されたボトル100の口部にキャップ88が装着されることにより、製品ボトル101が得られる。なお、この場合、
図12C及び
図12Dを用いて説明したように、第1原液充填装置22a又は第2原液充填装置22bに隣接している搬送ホイール12のグリッパは、開放位置をとることが好ましい。これにより、グリッパ同士の干渉を抑制できる。
【0350】
<第3の例>
次に、
図12Gにより、第3の例について説明する。
図12Gに示す第3の例では、
図12Fに示す第2の例と異なり、第2原液充填装置22bによって製品原液をボトル100内に充填する場合、ボトル100は、第1無菌チャンバ70f、第6無菌チャンバ70k、第8無菌チャンバ70n、及び第7無菌チャンバ70mの順に、各無菌チャンバを通過する。第3の例による内容物充填システム10の他の構成は、
図12Fに示す第2の例と同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0351】
<第4の例>
次に、
図12Hにより、第4の例について説明する。
図12Hに示す第4の例では、内容物充填システムは、第6無菌チャンバ70kと、第7無菌チャンバ70mと、第9無菌チャンバ70pとを更に有している。第6無菌チャンバ70kは、第1無菌チャンバ70f及び第2無菌チャンバ70hの下流側に設けられている。第7無菌チャンバ70mは、第6無菌チャンバ70kの下流側に設けられている。第9無菌チャンバ70pは、第1無菌チャンバ70f、第2無菌チャンバ70h及び第6無菌チャンバ70kと、第7無菌チャンバ70mとの間に設けられている。
【0352】
また、第6無菌チャンバ70kの内部には、第2原液充填装置22bが収容されている。また、第7無菌チャンバ70mの内部には、キャップ装着装置16が収容されている。さらに、第9無菌チャンバ70pの内部には、搬送ホイール12が収容されていても良い。
【0353】
図12Hにおいて、予め上流側で殺菌されたボトル100が、第9無菌チャンバ70p内に配置された搬送ホイール12、及び第1無菌チャンバ70f内に配置された搬送ホイール12を介して、水充填装置21まで搬送される。
【0354】
次に、水充填装置21において、水殺菌ライン50によって殺菌された水が、空のボトル100内に充填される。この水充填装置21では、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ水が充填される。
【0355】
次いで、第1無菌チャンバ70f内のボトル100は、第1無菌チャンバ70f内に配置された搬送ホイール12、第9無菌チャンバ70p内に配置された搬送ホイール12、及び第2無菌チャンバ70h内に配置された搬送ホイール12を介して、第1原液充填装置22aまで搬送される。
【0356】
次に、第1原液充填装置22aにおいて、原液殺菌ライン70によって殺菌された製品原液が、予め水充填装置21により水が充填されたボトル100内に充填される。この第1原液充填装置22aでは、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ製品原液が充填される。
【0357】
その後、第2無菌チャンバ70h内のボトル100は、第2無菌チャンバ70h内に配置された搬送ホイール12、第9無菌チャンバ70p内に配置された搬送ホイール12、及び第6無菌チャンバ70k内に配置された搬送ホイール12を介して、第2原液充填装置22bまで搬送される。
【0358】
次に、第2原液充填装置22bにおいて、原液殺菌ライン70によって殺菌された他の製品原液が、予め水が充填されたボトル100内に充填される。この第2原液充填装置22bでは、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ他の製品原液が充填される。
【0359】
その後、第6無菌チャンバ70k内のボトル100は、第6無菌チャンバ70k内に配置された搬送ホイール12、第9無菌チャンバ70p内に配置された搬送ホイール12、及び第7無菌チャンバ70m内に配置された搬送ホイール12を介して、キャップ装着装置16まで搬送される。
【0360】
このように、
図12Hに示す第4の例においては、第1原液充填装置22a及び第2原液充填装置22bによって製品原液をボトル100内に充填する場合、ボトル100は、第1無菌チャンバ70f、第9無菌チャンバ70p、第2無菌チャンバ70h、第9無菌チャンバ70p、第6無菌チャンバ70k、第9無菌チャンバ70p、及び第7無菌チャンバ70mの順に、各無菌チャンバを通過する。
【0361】
<第5の例>
次に、
図12Iにより、第5の例について説明する。
図12Iに示す第5の例では、内容物充填システムは、第6無菌チャンバ70kと、第7無菌チャンバ70mと、第10無菌チャンバ70qとを更に有している。第6無菌チャンバ70kは、第1無菌チャンバ70f及び第2無菌チャンバ70hの下流側に設けられている。第7無菌チャンバ70mは、第6無菌チャンバ70kの下流側に設けられている。第10無菌チャンバ70qは、第2無菌チャンバ70hと第6無菌チャンバ70kとの間に設けられている。
【0362】
また、第6無菌チャンバ70kの内部には、第2原液充填装置22bが収容されている。また、第7無菌チャンバ70mの内部には、キャップ装着装置16が収容されている。さらに、第9無菌チャンバ70pの内部には、搬送ホイール12が収容されていても良い。
【0363】
図12Iに示す第5の例において、第1原液充填装置22a及び第2原液充填装置22bは、製品原液の充填量が少ない場合に用いられる充填装置である。この場合、第1原液充填装置22a及び第2原液充填装置22bは、それぞれ、ボトル100の口部上に固定して使用される定量タイプの充填ノズル22e及び充填ノズル22fを含んでいる。なお、第1原液充填装置22a及び第2原液充填装置22bは、充填ノズル22e及び充填ノズル22fを複数本ずつ含んでいても良い。
【0364】
そして、ボトル100が充填ノズル22e、22fに到達すると、近赤外線でボトル100が検出される。これにより、ボトル100の口部が充填ノズル22e、22fの下方を通過している間だけ、各々のボトル100に対して、充填ノズル22e、22fから間欠的に製品原液が充填される。なお、充填ノズル22e、22fは、間欠的に製品原液を充填するタイプの充填ノズルでなくても良く、連続的に製品原液を充填するタイプの充填ノズルであっても良い。
【0365】
図12Iにおいて、予め上流側で殺菌されたボトル100が、第1無菌チャンバ70f内に配置された搬送ホイール12を介して、水充填装置21まで搬送される。
【0366】
次に、水充填装置21において、水殺菌ライン50によって殺菌された水が、空のボトル100内に充填される。この水充填装置21では、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ水が充填される。
【0367】
次いで、第1無菌チャンバ70f内のボトル100は、第1無菌チャンバ70f内に配置された搬送ホイール12を介して、第1原液充填装置22aまで搬送される。
【0368】
次に、第1原液充填装置22aにおいて、原液殺菌ライン70によって殺菌された製品原液が、予め水充填装置21により水が充填されたボトル100内に充填される。この第1原液充填装置22aでは、ボトル100に対して製品原液が間欠的に充填される。
【0369】
その後、第2無菌チャンバ70h内のボトル100は、第10無菌チャンバ70q内に配置された搬送ホイール12を介して、第2原液充填装置22bまで搬送される。
【0370】
次に、第2原液充填装置22bにおいて、原液殺菌ライン70によって殺菌された他の製品原液が、予め水が充填されたボトル100内に充填される。この第2原液充填装置22bでは、ボトル100に対して他の製品原液が間欠的に充填される。
【0371】
その後、第6無菌チャンバ70k内のボトル100は、第7無菌チャンバ70m内に配置された搬送ホイール12を介して、キャップ装着装置16まで搬送される。
【0372】
(第5変形例)
また、上述した実施の形態において、充填装置20が、水殺菌ライン50に接続された水充填装置21と、原液殺菌ライン70に接続された原液充填装置22とを有している例について説明したが、これに限られない。例えば、
図13に示すように、内容物充填システム10が、単一の充填装置20を備えていても良い。
【0373】
この場合、内容物充填システム10は、プリフォーム殺菌チャンバ70aと、成形部チャンバ70bと、雰囲気遮断チャンバ70cと、殺菌剤噴霧チャンバ70dと、エアリンスチャンバ70eと、第1無菌チャンバ70fと、出口チャンバ70iとを有していても良い。すなわち、内容物充填システム10が、中間エリアチャンバ70g及び第2無菌チャンバ70hを有していなくても良い。また、第1無菌チャンバ70fの内部に、充填装置20及びキャップ装着装置16が収容されていても良い。
【0374】
本変形例では、水殺菌ライン50及び原液殺菌ライン70と、充填装置20との間に、水と製品原液とを混合する混合タンク57が介在されていても良い。これにより、充填前に製品原液を水によって希釈することにより、内容物を調合できる。また、この場合、混合タンク57は、いわゆる充填機タンクであっても良く、充填装置20の充填精度を向上させるために、充填装置20の鉛直方向上方に設置されていても良い。さらに、混合タンク57は、混合タンク57の下流側における内容物の使用量が変化した場合であっても、内容物の円滑な流れを確保する、いわゆるクッションタンクとしての役割を果たしても良い。
【0375】
このような混合タンク57には、調合された内容物の濃度を測定する濃度計が設置されていても良い。また、混合タンク57において調合された内容物の濃度を担保するために、濃度計が設置された混合タンク57の下流側に、充填機タンク等のタンクが少なくとも1基以上設けられていても良い。混合タンク57の容積は、0.1m3以上30m3以下であっても良く、一例として、0.3m3であっても良い。なお、本変形例においては、上述した添加ユニット75は、混合タンク57の下流側に連結されていても良い。
【0376】
本変形例では、第1無菌チャンバ70f内を洗浄(COP)及び殺菌(SOP)する場合、例えば、水殺菌ライン50のうち、水殺菌ライン50と原液殺菌ライン70とを接続する接続点CP3よりも上流側を無菌状態に維持した状態で、当該接続点CP3よりも下流側を洗浄(CIP)及び殺菌(SIP)しても良い。同様に、第1無菌チャンバ70fの内部に収容された充填装置20を洗浄(CIP)及び殺菌(SIP)する場合、例えば、接続点CP3よりも上流側を無菌状態に維持した状態で、当該接続点CP3よりも下流側を洗浄(CIP)及び殺菌(SIP)しても良い。この場合においても、洗浄及び殺菌する領域を狭くできる。このため、蒸気等の使用量を低減できる。また、洗浄及び殺菌する領域を狭くできるため、洗浄時間及び殺菌時間を短縮できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0377】
また、本変形例においても、水を加熱して殺菌する殺菌機を使用して作製された無菌水によって製品原液を希釈する場合と比較して、内容物を作製する際に排出される二酸化炭素の排出量を低減できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0378】
なお、
図14に示すように、水殺菌ライン50及び原液殺菌ライン70と、充填装置20との間に、水と製品原液とを混合する混合タンク57が介在されていなくても良い。この場合、充填装置20は、水及び製品原液を充填する複数の充填ノズル20a(
図15参照)を含んでいても良く、各々の充填ノズル20aに、水殺菌ライン50及び原液殺菌ライン70がそれぞれ接続されていても良い。そして、水と製品原液とを1つの充填ノズル20aで充填しても良い。
【0379】
具体的には、
図15に示すように、充填ノズル20aは、ノズル本体部20bを含んでいても良い。そして、ノズル本体部20bに、水殺菌ライン50及び原液殺菌ライン70が、それぞれ接続されていても良い。水殺菌ライン50及び原液殺菌ライン70には、それぞれ水又は製品原液の流量を測定するための流量計F、及びバルブV2が設けられていても良い。また、充填された水又は製品原液の実重量をロードセルによって検出することにより、水又は製品原液の各充填量を計測しても良い。この場合、ボトル100に水及び製品原液を充填する順番は、ボトル100内での泡立ち、又は水と製品原液との混ざりやすさ等を考慮して、適宜変更されても良い。例えば、水が充填された後に製品原液が充填されても良く、製品原液が充填された後に、水が充填されても良い。製品原液を充填した後に水を充填する場合、内容物による汚れが、充填ノズル20aの先端に付着するリスクを低減できる。また、水が充填された後に製品原液が充填され、その後、更に水が充填されても良い。あるいは、水及び製品原液が同時に充填されても良い。
【0380】
図14に示す例では、第1無菌チャンバ70f内を洗浄(COP)及び殺菌(SOP)する場合、例えば、水殺菌ライン50のうち、第3水タンク54までを無菌状態に維持した状態で、第3水タンク54よりも下流側を洗浄(CIP)及び殺菌(SIP)しても良い。同様に、第1無菌チャンバ70fの内部に収容された充填装置20を洗浄(CIP)及び殺菌(SIP)する場合、例えば、水殺菌ライン50のうち、第3水タンク54までを無菌状態に維持した状態で、第3水タンク54よりも下流側を洗浄(CIP)及び殺菌(SIP)しても良い。この場合においても、洗浄及び殺菌する領域を狭くできる。このため、蒸気等の使用量を低減できる。また、洗浄及び殺菌する領域を狭くできるため、洗浄時間及び殺菌時間を短縮できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0381】
本変形例においても、水を加熱して殺菌する殺菌機を使用して作製された無菌水によって製品原液を希釈する場合と比較して、内容物を作製する際に排出される二酸化炭素の排出量を低減できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0382】
(第6変形例)
また、上述した実施の形態において、第2水タンク52の下流側に第3水タンク54が設けられている例について説明した。この場合、
図16Aに示すように、第3水タンク54の上流側に、水に炭酸を添加する炭酸添加装置58が連結されていても良い。
【0383】
ここで、水充填装置21は、水を充填する複数の水充填ノズル21a(
図16B参照)を含んでいる。本変形例においては、水充填装置21の水充填ノズル21aは、炭酸水を充填する。
図16Bに示すように、各水充填ノズル21aには、水殺菌ライン50及びカウンタガスライン58aが接続されている。具体的には、水充填ノズル21aは、ノズル本体部21bを含んでいる。そして、ノズル本体部21bに、水殺菌ライン50及びカウンタガスライン58aが、それぞれ接続されている。このうち水殺菌ライン50は、その一端が無菌炭酸水を充填した第3水タンク54に接続されるとともに、他端においてボトル100の内部に連通している。そして、第3水タンク54から供給された無菌炭酸水は、水殺菌ライン50を通過して、ボトル100の内部に注入される。
【0384】
カウンタガスライン58aは、第3水タンク54に充填された無菌炭酸ガスを、水充填ノズル21aに向けて供給するラインである。カウンタガスライン58aは、その一端が第3水タンク54に接続されるとともに、他端においてボトル100の内部に連通している。そして、第3水タンク54から供給される無菌炭酸ガスからなるカウンタープレッシャー用のガスは、カウンタガスライン58aを通過して、ボトル100の内部に充填される。
【0385】
また、各水充填ノズル21aには、ボトル100の内部のガスを排出するためのスニフトライン58bが接続されている。スニフトライン58bは、その一端がカウンタガスライン58aに接続されている。このスニフトライン58bを介して、ボトル100の内部のガスが、スニフトライン58bの他端から第1無菌チャンバ70f内に排出されるように構成されている。
【0386】
さらに、各水充填ノズル21aの先端には、ボトル100に密着することにより、ボトル100の内部のガスの漏れを抑制するパッキンP(シール部材)が設けられている。そして、炭酸飲料をボトル100に充填する際には、水充填装置21は、パッキンPをボトル100の口部に密着させた状態で、炭酸飲料をボトル100に充填する(密着充填)。これにより、カウンタープレッシャー用の無菌炭酸ガスがボトル100の内部から漏れ出ることを抑制できるように構成されている。このため、ボトル100の内圧が第3水タンク54の内圧と同一の圧力となるように、ボトル100の内圧を大気圧よりも高めることができる。なお、図示はしないが、水殺菌ライン50等には、水等の流量を測定するための流量計及びバルブ等が設けられていても良い。
【0387】
本変形例によれば、第3水タンク54の上流側に、水に炭酸を添加する炭酸添加装置58が連結されている。これにより、内容物充填システム10において、炭酸飲料をボトル100に充填できる。また、このように、水殺菌ライン50に炭酸添加装置58が連結されていることにより、内容物として炭酸水を充填する場合に、前回の内容物のフレーバーが、炭酸水に付着することを抑制できる。なお、炭酸飲料をボトル100に充填する場合のみ、第2水タンク52からの水を炭酸添加装置58へ供給し、冷却後、無菌のカーボネータで無菌的に炭酸ガスを添加した後、炭酸が添加された水が第3水タンク54へ供給されても良い。また、内容物として炭酸水を製造する場合には、原液充填装置22は、使用されても良く、使用されなくても良い。
【0388】
なお、水充填装置21が炭酸水を充填できる水充填ノズル21aを含む場合であっても、水充填装置21が、炭酸ガスが添加さていない水を充填しても良い。この場合、内容物充填システム10において、水充填装置21のみを使用することにより、ミネラルウォーターを製造しても良い。この場合においても、水充填装置21は、パッキンPをボトル100の口部に密着させた状態で、水を充填しても良い。これにより、ボトル100内からの水の吹きこぼれを最小に抑えることが可能になる。この場合、水充填装置21は、水を加圧充填しても良い。これにより、短時間で水を充填できる。ここで、ボトル100の耐圧性が低い場合、水充填装置21は、スニフトライン58bを介して、ボトル100の内部のガスを排出可能な状態で、水を加圧充填することが好ましい。例えば、水充填装置21は、ボトル100の口部にパッキンPを密着させた後、スニフトライン58bを開いた状態で、水を加圧充填することが好ましい。これにより、水を加圧充填した場合であっても、圧力によるボトル100の変形及び又は破損を抑制できる。このため、短時間で水を充填できるとともに、ボトル100の変形及び又は破損を抑制できる。
【0389】
なお、水充填装置21と供に原液充填装置22を使用する場合は、水充填装置21のみを使用する場合と比較して、水充填装置21で充填した水の液面レベルが下がる。従って、充填された水が吹きこぼれるリスクも少ない。このため、水の充填速度は、100mL/sec以上であっても良く、200mL/sec以上であることが好ましい。これにより、水充填ノズル21aの本数を更に少なくすることが可能である。この場合、水は、第3水タンク54の内圧を第3原液タンク74の内圧よりも高めた状態で、ボトル100に充填され得る。密着充填時には、第3原液タンク74の内圧は、0.02MPa以上0.1MPa以下であっても良く、第3水タンク54の内圧は、0.03MPa以上0.9MPaであっても良い。
【0390】
また、水充填装置21は、ボトル100の口部にパッキンPを密着させることなく、水充填ノズル21a(パッキンP)とボトル100との間に隙間が形成された状態で、水をボトル100に充填しても良い(口上充填)。この場合においても、水は、第3水タンク54の内圧を第3原液タンク74の内圧よりも高めた状態で、ボトル100に充填され得る。具体的には、口上充填時には、第3原液タンク74の内圧は、0.02MPa以上0.1MPa以下であっても良く、第3水タンク54の内圧は、0.03MPa以上0.07MPa以下であっても良い。
【0391】
さらに、水充填装置21と供に原液充填装置22を使用する場合において、上述したように、水充填装置21は、空のボトル100に対して水を充填しても良い。この場合、ボトル100内での泡立ちを抑制できるため、充填された液体の一部がボトル100の口部から外部に飛散するリスクが少ない。ここで、原液充填装置22は、製品原液を充填する複数の原液充填ノズル22c(
図16C参照)を含んでいる。
図16Cに示すように、各原液充填ノズル22cには、原液殺菌ライン70が接続されている。具体的には、原液充填ノズル22cは、ノズル本体部22dを含んでいる。そして、ノズル本体部22dに、原液殺菌ライン70が、接続されている。なお、図示はしないが、原液殺菌ライン70には、製品原液の流量を測定するための流量計及びバルブ等が設けられていても良い。
【0392】
上述したように、水充填装置21が空のボトル100に対して水を充填する場合、ボトル100内での泡立ちを抑制できるため、充填された液体の一部がボトル100の口部から外部に飛散するリスクが少ない。このため、水充填装置21の水充填ノズル21aの口径は、原液充填装置22の原液充填ノズル22cの口径よりも大きくても良い。これにより、水を充填する充填時間を短くできる。例えば、水充填装置21の水充填ノズル21aの口径は、原液充填装置22の原液充填ノズル22cの口径の1.2倍以上1.5倍以下であっても良い。水充填ノズル21aの口径が原液充填ノズル22cの口径の1.2倍以上であることにより、水を充填する充填時間を更に短くできる。また、水充填ノズル21aの口径が原液充填ノズル22cの口径の1.5倍以下であることにより、充填された液体の一部がボトル100の口部から外部に飛散するリスクを更に低減できる。なお、水充填装置21の水充填ノズル21aの本数を少なくし、水充填装置21をコンパクトにするために、充填方式(密着充填、口上充填)、充填圧力及び又は水充填ノズル21aの口径等を適宜変更しても良い。
【0393】
(第7変形例)
また、上述した実施の形態において、循環系(第2循環系)95Aが、前段殺菌機62A、第3バイパスライン95a、第1殺菌機62、第2殺菌機64及び循環ライン95によって構成されている例(
図2C等参照)について説明した。この場合、第1紫外線ランプ67a等を点灯した状態で、循環系95Aにおいて水を循環させることにより、異物除去フィルタ61に捕集された菌を定期的に殺菌しても良い。異物除去フィルタ61に捕集された菌の殺菌は、例えば、製品ボトル101の製造を停止している間に行われても良い。このとき、例えば、
図17Aに示すように、循環ライン95の一端は、第2殺菌機64と第1無菌フィルタ63との間に接続されていても良く、循環ライン95の他端は、第1水タンク51に接続されていても良い。また、ポンプP1の周波数を変化させることにより、異物除去フィルタ61の上流側の圧力と下流側の圧力との間の圧力差(差圧)を変化させても良い。そして、異物除去フィルタ61の上流側の圧力と下流側の圧力との間の圧力差(差圧)を変化させることにより、異物除去フィルタ61に捕集された菌を、積極的に、異物除去フィルタ61の下流側に押し出しても良い。具体的には、循環系95Aにおいて水を循環させることにより菌を殺菌するとき、異物除去フィルタ61の上流側の圧力を、製品ボトル101の製造時における圧力よりも0.05MPa以上高くしても良く、好ましくは0.1MPa以上高くしても良い。また、異物除去フィルタ61の構造上問題がなければ、
図17Bに示すように、水を逆流させることにより、異物除去フィルタ61に捕集された菌を、循環系95Aにおいて循環させても良い。なお、これらの場合、異物除去フィルタ61の上流側の圧力と下流側の圧力との間の圧力差が、異物除去フィルタ61の正圧及び逆圧ともに、許容最大圧力を超えないようにする。このように、異物除去フィルタ61に捕集された菌を定期的に殺菌することにより、水殺菌ライン50によって、連続して長時間水を殺菌した場合であっても、水殺菌ライン50によって殺菌された水の無菌性を担保できる。
【0394】
(第8変形例)
また、上述した実施の形態において、水殺菌ライン50が、第1水タンク51と、水殺菌機60と、第2水タンク52とを有している例について説明した。この場合、
図17Cに示すように、水殺菌ライン50は、複数(例えば2つ)の水殺菌機60を有していても良い。これにより、一方の水殺菌機60が停止した場合、又は一方の水殺菌機60において紫外線の照射量が低下した場合であっても、他方の水殺菌機60によって、水の無菌性を担保できる。また、一方の水殺菌機60を洗浄(CIP)又は殺菌(SIP)している場合に、他方の水殺菌機60を使用して、水を殺菌できる。このため、製品ボトル101の製造を連続して行うことができる。また、例えば、一方の水殺菌機60を洗浄(CIP)又は殺菌(SIP)しつつ、他方の水殺菌機60を使用して、第2無菌チャンバ70h内等を洗浄する場合に、第2無菌チャンバ70h等に供給する水が不足することを抑制できる。また、例えば、一方の水殺菌機60の第1無菌フィルタ63等を殺菌(SIP)又は完全性試験しつつ、他方の水殺菌機60を使用して、第2無菌チャンバ70h内等を洗浄する場合に、第2無菌チャンバ70h等に供給する水が不足することを抑制できる。なお、
図17Cに示す例においては、水殺菌機60の構成が
図2Aに示す水殺菌機60の構成と同一であるが、これに限られない。図示はしないが、例えば、水殺菌機60が、
図2B乃至
図2Mに示す水殺菌機60であっても良い。また、水殺菌ライン50が複数の水殺菌機60を有する場合、水殺菌ライン50が有する水殺菌機60が互いに異なっていても良い。一例として、水殺菌ライン50が、
図2Aに示す水殺菌機60と、
図2Cに示す水殺菌機60とを有していても良い。
【0395】
(第9変形例)
また、上述した実施の形態において、水殺菌機60が、異物除去フィルタ61と、第1殺菌機62と、第1無菌フィルタ63と、第2殺菌機64と、第2無菌フィルタ65とを備えている例について説明したが、これに限られない。例えば、純水製造装置50aによって製造された純水の衛生度が高く、かつ、第1水タンク51内においてカビ類が検出されない場合、水殺菌機60が異物除去フィルタ61を備えていなくても良い。なお、第1水タンク51内の菌数が多い場合、水殺菌機60は、異物除去フィルタ61の上流側に設けられた第3殺菌機(図示せず)を更に備えていても良い。この場合、第3殺菌機の構成は、
図3乃至
図6Bに示す第1殺菌機62と略同一の構成としても良い。すなわち、第3殺菌機は、紫外線によって水を殺菌する殺菌機であっても良い。
【0396】
(第10変形例)
また、上述した実施の形態において、UHT80が、第1段加熱部81と、第2段加熱部82と、ホールディングチューブ83と、第1段冷却部84と、第2段冷却部85、第3段冷却部86とを有している例について説明した。この場合、
図18Aに示すように、UHT80が、複数(例えば2つ)の第2段加熱部82と、複数(例えば2つ)のホールディングチューブ83と、複数(例えば2つ)の第1段冷却部84とを有していても良い。これにより、一方の第2段加熱部82、ホールディングチューブ83又は第1段冷却部84等に焦げ等が付着した場合であっても、他方のホールディングチューブ83等を使用して、製品原液を殺菌できる。すなわち、一方のホールディングチューブ83等を洗浄(CIP)、殺菌(SIP)、又は洗浄殺菌(CSIP)している場合に、他方のホールディングチューブ83等を使用して、製品原液を殺菌できる。このため、製品ボトル101の製造を連続して行うことができる。
【0397】
(第11変形例)
また、上述した実施の形態において、製品原液殺菌機80が、UHTである例について説明したが、これに限られない。例えば、製品原液殺菌機80が、製品原液に直接通電し、自己発熱させるオーミック(ジュール式)加熱殺菌機であっても良い。また、製品原液殺菌機80は、マイクロ波(915MHz、2450MHz)を用いて製品原液を殺菌する殺菌機であっても良い。この場合、マイクロ波は、製品原液又は固形物が通過する配管の外部から照射されても良い。これにより、製品原液又は固形物の温度を上昇させることができ、製品原液又は固形物を殺菌できる。これらの場合においても、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0398】
(第12変形例)
また、上述した実施の形態において、充填装置20(水充填装置21及び原液充填装置22)が、いわゆるロータリーフィラーである例について説明したが、これに限られない。例えば、充填装置20は、例えばコンベアによって搬送される容器(カップ又は紙容器等)に水等を充填する、いわゆる直線式の無菌充填機であっても良い。この場合、例えば、まず、無菌水を充填し、次に、製品原液を充填しても良い。さらに、製品原液を充填する原液充填装置22の下流側に、フレーバーを含む製品原液又は固形物を充填する原液充填装置22が設けられていても良い。なお、無菌水及び製品原液を充填する順序は、これに限らない。例えば、先に製品原液を充填し、その後に無菌水を充填しても良い。また、
図15を用いて説明したように、1つの充填ノズル20aによって、無菌水と製品原液とを充填しても良い。
【0399】
ここで、充填装置20が、いわゆる直線式の無菌充填機である場合、
図18Bに示すように、内容物充填システム10は、包装材料130(スリーブ)から容器140(紙容器、カートン)を成形する容器成形部150を備えていても良い。この容器成形部150は、第11無菌チャンバ70r内に配置されていても良い。この第11無菌チャンバ70r内には、容器140を搬送するためのコンベア125が設けられていても良い。また、内容物充填システム10は、殺菌剤噴霧用ノズル11Aと、エアリンスノズル160と、癖折り部170と、加熱部180と、シール部190とを備えていても良い。このうち、殺菌剤噴霧用ノズル11Aは、容器140の内外面に殺菌剤を噴霧するノズルである。エアリンスノズル160は、容器140の内面に無菌エアを吹き付けるためのノズルである。癖折り部170は、容器140を折り畳むための部分である。加熱部180は、容器140を加熱する部分である。シール部190は、容器140をシールする部分である。殺菌剤噴霧用ノズル11A、エアリンスノズル160、水充填装置21、原液充填装置22、癖折り部170、加熱部180及びシール部190は、容器140の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けて、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。このような内容物充填システム10では、1つの容器140に対して、水充填ノズル21a及び原液充填ノズル22cから、水及び製品原液が同時に充填されても良い。ボトル100に水及び製品原液を充填する順番は、ボトル100内での泡立ち、水と製品原液との混ざりやすさ、又は生産能力等を考慮して、適宜変更されても良い。また、
図15を用いて説明したように、1つの充填ノズル20aによって、無菌水と製品原液とを充填しても良い。
【0400】
また、内容物充填システム10は、包装材料130(スリーブ)から容器140を成形する無菌充填システムではなく、いわゆるロール供給型の無菌充填システムであっても良い。ロール供給型の無菌充填システムは、例えば、ロール状で供給された包装材料から容器(紙容器又はパウチ)を成形するとともに、成形された容器に内容物の充填を行う充填システムである。この場合、
図18Cに示すように、ロール状で供給された包装材料200は、まず、殺菌槽201内の殺菌液(例えば、過酸化水素)に浸漬されることにより、殺菌される。なお、殺菌剤のガス又はミストを包装材料の両面に吹き付けた後に、殺菌剤をホットエアで乾燥・除去することにより、包装材料の両面を殺菌しても良い。また、電子線を包装材料の両面に照射することにより、包装材料の両面を殺菌しても良い。次に、成形部202において、包装材料に対して所定の加工が施されることにより、容器(紙容器又はパウチ)203が成形される。図示された例においては、成形部202において、包装材料に対して、ヒートシール等の加工が施されることにより、紙容器203が成形される。このとき、水充填ノズル21a及び原液充填ノズル22cから、水及び製品原液が同時に充填されても良い。なお、図示はしないが、
図15を用いて説明したように、1つの充填ノズル20aによって、無菌水と製品原液とを充填しても良い。その後、成形部202において、紙容器203を所定の形状に切断することにより、内容物入りの製品が得られる。
【0401】
(第13変形例)
また、上述した実施の形態において、プリフォームの殺菌装置及び容器の殺菌装置として、過酸化水素殺菌を行う殺菌装置を用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、過酸化水素殺菌を行う殺菌装置は、プリフォームの殺菌装置及び容器の殺菌装置のどちらかであっても良い。また、プリフォームの殺菌装置及び容器の殺菌装置が、ボトルの内外面を過酢酸溶液(又はガス、ミスト若しくはこれらの混合物)で殺菌した後、内外面を無菌水リンスする過酢酸殺菌方式を行う殺菌装置であっても良い。あるいは、プリフォームの殺菌装置及び容器の殺菌装置が、殺菌剤として過酸化水素やエタノール以外に、過酢酸、酢酸、過硝酸、硝酸、次亜塩素酸ナトリウム、塩素、苛性ソーダ等を単体で用いる殺菌装置であっても良く、これらのうち2種以上を組み合わせた殺菌剤を用いる殺菌装置であっても良い。また、殺菌装置は、ボトルを殺菌するだけでなくカップ、パウチ、紙容器又はこれらの複合体の殺菌で用いられても良い。さらに、プリフォームの殺菌装置は、薬剤噴霧、薬剤リンス、蒸気、無菌水、無菌エア、電子線、X線又は紫外線によりプリフォームを殺菌しても良い。同様に、容器の殺菌装置は、薬剤噴霧、薬剤リンス、蒸気、無菌水、無菌エア、電子線、X線又は紫外線により容器を殺菌しても良い。
【0402】
(第14変形例)
また、上述した実施の形態において、内容物充填システム10がボトル成形部30を備えている場合について説明したが、これに限られない。例えば、内容物充填システムが、成形された空のボトル100を外部からエア搬送等で順次受け入れ、受け入れたボトル100を殺菌装置11へ向けて搬送するように構成されていても良い。この場合においても、上述した効果を得ることができる。
【0403】
(第15変形例)
また、上述した実施の形態において、内容物充填システム10が、ボトル100に内容物を充填するシステムである場合を例にとって説明したが、これに限られない。本実施の形態による内容物充填システム10は、乳飲料等のいわゆるチルド飲料をカップ等の容器に充填する充填システムにも適用可能である。この場合においても、水を加熱して殺菌する殺菌機を使用して作製された無菌水によって製品原液を希釈する場合と比較して、内容物を作製する際に排出される二酸化炭素の排出量を低減できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。また、内容物が乳飲料等である場合、製品原液内の菌数が多くなり得る。このように、製品原液内の菌数が多くなった場合であっても、製品原液は加熱殺菌される。このため、内容物が乳飲料等であっても、内容物の無菌性を十分に確保できる。また、本実施の形態による内容物充填システム10において、殺菌を必要とする任意の液体(例えば、調味料、アルコール飲料又は乳飲料等)を容器に充填しても良い。
【0404】
(第16変形例)
また、上述した実施の形態において、内容物充填システム10が、ボトル100に内容物を充填するシステムである場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、内容物充填システム10が、プリフォーム100aに対して水(又は製品原液若しくは内容物)を充填することにより、プリフォーム100aからボトル100を成形する充填システム(いわゆる、ブローフィルシール(Blow-Fill-Seal(BFS)))であっても良い。
【0405】
この場合、
図18D1に示すように、充填装置20の一部(図示された例においては、水充填装置21)は、ボトル成形部30内に組み込まれていても良い。なお、図示はしないが、例えば、プリフォーム100aに対して製品原液を充填することにより、プリフォーム100aからボトル100を成形する場合には、原液充填装置22が、ボトル成形部30内に組み込まれていても良い。
【0406】
また、
図18D1に示すように、ボトル成形部30のプリフォーム搬送部31において、プリフォーム殺菌装置34aは、加熱部35の下流側に設けられていても良い。そして、プリフォーム殺菌装置34aは、加熱部35によって加熱されたプリフォーム100aを殺菌するように構成されていても良い。プリフォーム殺菌装置34aは、第12無菌チャンバ70s内に配置されていても良い。
【0407】
本変形例では、水充填装置21において、殺菌されたプリフォーム100aに対して、加圧された水が充填され得る。これにより、ボトル100の成形と、ボトル100に対する水の充填とが同時に行われ得る。
【0408】
なお、本変形例において、充填装置20が、水殺菌ライン50に接続された水充填装置21と、原液殺菌ライン70に接続された原液充填装置22とを有している例について説明したが、これに限られない。例えば、
図18D2に示すように、内容物充填システム10が、単一の充填装置20を備えていても良い。この場合、
図13を用いて説明したように、水殺菌ライン50及び原液殺菌ライン70と、充填装置20との間に、水と製品原液とを混合する混合タンク57が介在されていても良い。なお、図示はしないが、
図14及び
図15を用いて説明したように、水殺菌ライン50及び原液殺菌ライン70と、充填装置20との間に、水と製品原液とを混合する混合タンク57が介在されていなくても良い。これらの場合、充填装置20において、殺菌されたプリフォーム100aに対して、加圧された内容物(又は水若しくは製品原液)が充填され得る。これにより、ボトル100の成形と、ボトル100に対する内容物等の充填とが同時に行われ得る。
【0409】
(第17変形例)
さらに、上述した実施の形態において、水殺菌機60が、電気伝導率が0.1μS/cm以上20μS/cm以下である水を殺菌する例について説明したが、これに限られない。例えば、水殺菌機60が殺菌する水が、20μS/cmよりも大きい水であっても良い。この場合、水は、水道水又は井水であっても良い。すなわち、水殺菌機60によって殺菌された水は、清涼飲料水の原水ではなく、ミネラルウォーター、製薬用水として用いられる精製水、又は注射用水等に使用されても良い。なお、製薬用水等を殺菌する場合、菌以外にエンドトキシンを不活化又は減少させる必要がある。この場合、水に対する紫外線の積算照射量は、500mJ/cm2以上であることが好ましい。これにより、エンドトキシンを不活化又は減少させることができる。
【0410】
本変形例では、
図18Eに示すように、水殺菌ライン50は、第1水タンク51の上流側に設けられ、水(水道水又は井水等)を貯留する前段水タンク50dを有していても良い。なお、水殺菌機60が水道水等を殺菌する場合、第1紫外線ランプ67a等を保護する石英スリーブの表面(例えば、石英ガラスによって構成される表面)に、無機物(カルシウム等の酸化物)等が付着し得る。そして、第1紫外線ランプ67a等の石英スリーブの表面に無機物等が付着した場合、水殺菌機60における紫外線の強度(照射量)が低下し得る。このため、水殺菌機60における紫外線の強度(照射量)が低下した場合には、水殺菌機60を洗浄(CIP)及び殺菌(SIP)することにより、石英スリーブの表面に付着した無機物等を除去することが好ましい。
【0411】
この場合、
図17Cを用いて説明したように、水殺菌ライン50が、複数(例えば2つ)の水殺菌機60を有していても良い。これにより、一方の水殺菌機60を洗浄(CIP)又は殺菌(SIP)している場合に、他方の水殺菌機60を使用して、水を殺菌できる。このため、製品ボトル101の製造を連続して行うことができる。なお、水殺菌機60を洗浄(CIP)及び殺菌(SIP)する際、殺菌剤又は洗浄剤が、異物除去フィルタ61及び第1無菌フィルタ63を通過しないようにしても良い。すなわち、
図2B及び
図2Cを用いて説明したように、殺菌剤又は洗浄剤が、第3バイパスライン95a及び第4バイパスライン95bを通過することにより、第1殺菌機62及び第2殺菌機64のみを洗浄及び殺菌しても良い。
【0412】
(内容物充填システムの殺菌方法の変形例)
次に、内容物充填システムの殺菌方法の変形例について説明する。
【0413】
(第1変形例)
上述した実施の形態において、チャンバの殺菌方法が、COP工程(
図9の符号S12)と、CIP工程(
図9の符号S13)と、SIP工程(
図9の符号S14)と、SOP工程(
図9の符号S15)とを順に行う例について説明したが、これに限られない。例えば、
図19に示すように、チャンバの殺菌方法において、すすぎ工程(
図19の符号S310)の後に、COP工程(
図19の符号S320)と、CIP工程(
図19の符号S330)とが同時に行われても良い。また、COP工程とCIP工程との後に、SIP工程(
図19の符号S340)と、SOP工程(
図19の符号S350)とが同時に行われても良い。これにより、ダウンタイムを大幅に短縮でき、製品ボトル101の生産性を向上できる。
【0414】
また、
図20に示すように、チャンバの殺菌方法において、すすぎ工程(
図20の符号S41)の後に、COP工程とSOP工程とを同時に行うCSOP工程(
図20の符号S42)と、CIP工程とSIP工程とを同時に行うCSIP工程(
図20の符号S43)とが同時に行われても良い。この場合、例えば、CSOP工程の際に、70℃以上の温度の洗浄剤が、中間エリアチャンバ70g内及び第2無菌チャンバ70h内に、少なくとも1分以上噴射されることが好ましく、5分以上噴射されることがより好ましい。これにより、中間エリアチャンバ70g等の内壁面や充填装置20等の機器の表面が浄化及び無菌化される。また、例えば、CSIP工程の際に、原液充填装置22内の製品原液の流路を無菌水ですすぐとともに、当該流路含む循環路(図示せず)に70℃以上の温度の洗浄剤を供給する。そして、当該循環路において、洗浄剤を少なくとも5分以上循環させることが好ましく、10分以上循環させることがより好ましい。これにより、原液充填装置22内の製品原液の流路が殺菌される。この場合においても、ダウンタイムを大幅に短縮でき、製品ボトル101の生産性を向上できる。
【0415】
また、本変形例においても、第1無菌チャンバ70f内を洗浄及び殺菌する回数を少なくできるとともに、内容物充填システム10において、洗浄及び殺菌する領域を狭くできる。また、第1無菌チャンバ70fの内部に収容された充填装置20を洗浄及び殺菌する回数を少なくできるとともに、内容物充填システム10において、洗浄及び殺菌する領域を狭くできる。このため、蒸気等の使用量を低減できる。また、洗浄及び殺菌する領域を狭くできるため、洗浄時間及び殺菌時間を短縮できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0416】
なお、CIP工程とSIP工程とを同時に行うCSIP工程を行った場合、CSIP工程後に、原液充填装置22内等を無菌状態に維持した状態で、使用した洗浄剤をすすぐ必要がある。この際、水殺菌ライン50で殺菌した水をすすぎに使用することにより、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。また、水殺菌ライン50で殺菌された水は、第2水タンク52に貯留しておくことができるため、CSIP工程後に直ちに洗浄剤をすすぐことができる。このため、ダウンタイムを短縮できる。なお、第2水タンク52から、CSIP工程及びCSOP工程が行われる無菌エリアまでの流路は、CSIP工程後に洗浄剤をすすぐ前に、洗浄(CIP)及び殺菌(SIP)されていることが好ましい。この場合、例えば、第2バイパスライン56を水殺菌ライン50に接続する接続点CP1(
図1及び
図2A等参照)から、洗浄剤又は殺菌剤が第2バイパスライン56に供給されても良く、蒸気又は熱水等により、上記流路が殺菌されても良い。
【0417】
(第2変形例)
また、上述した実施の形態において、水殺菌機60の第1殺菌機62等を殺菌する場合に、蒸気、熱水又は殺菌剤により、第1殺菌機62等を殺菌する例について説明したが、これに限られない。例えば、第1殺菌機62等が、熱に弱い場合及び又は薬剤耐性が低い場合には、殺菌された水により、第1殺菌機62等を殺菌しても良い。この場合、殺菌された水は、第1殺菌機62等の内部において、紫外線によって殺菌された水であっても良い。そして、制御部90が、水殺菌機60を含む循環系59A(
図2A等参照)において、殺菌された水を循環させることにより、循環している水の菌数を徐々に減少させ、第1殺菌機62等を殺菌しても良い。この際、制御部90は、循環系59Aにおいて、殺菌された水を少なくとも3回以上循環させても良く、好ましくは、10回以上循環させても良い。
【0418】
本変形例では、まず、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65の殺菌(SIP)を行う(SIP工程、
図21の符号S231)。なお、この場合、異物除去フィルタ61も予め蒸気によって殺菌(SIP)されていることが好ましい。
【0419】
次に、水殺菌機60を含む循環系59Aに水を供給する(水供給工程、
図21の符号S232)。この際、まず、ポンプP1によって純水を搬送する。このとき、熱交換器等(図示せず)によって所定の温度(例えば、25℃)に調整された純水が、第1無菌フィルタ63等に供給される。これにより、第1無菌フィルタ63等のメンブレンを湿潤させる。その後、ポンプP1を停止する。
【0420】
次に、第1無菌フィルタ63及び第2無菌フィルタ65のうちの少なくとも一方に対して、完全性試験を行う(完全性試験工程、
図21の符号S233)。完全性試験の際、第1無菌フィルタ63等の近傍のバルブ(図示せず)を閉じ、第1無菌フィルタ63等に無菌エアを供給する。そして、第1無菌フィルタ63等に供給された無菌エアを徐々に加圧させ、第1無菌フィルタ63等のバブルポイント値を測定する。その後、複数回(例えば3回)測定されたバブルポイント値の結果により、第1無菌フィルタ63等が完全であるか(所定の圧力の際に無菌エアがリークしていないか)確認する。なお、完全性試験において、第1無菌フィルタ63等が完全でないと確認された場合、第1無菌フィルタ63等を交換する。
【0421】
次いで、水を第1殺菌機62等の内部で殺菌する(水殺菌工程、
図21の符号S234)。この際、まず、ポンプP1によって純水を搬送する。そして、第1殺菌機62等の内部が水で満たされた後、第1紫外線ランプ67a等によって、水に対して紫外線を照射する。この場合、紫外線を照射する照射時間(殺菌時間)は、10秒以上30分以下であることが好ましい。なお、このとき、第1紫外線ランプ67a等から照射された紫外線の照度を確認しても良い。そして、第1紫外線ランプ67a等から照射された紫外線の照度が異常である場合、第1紫外線ランプ67a等を交換しても良い。
【0422】
ここで、中圧水銀ランプは、動作温度が約600℃以上900℃以下である。このため、第1紫外線ランプ67a等が中圧水銀ランプである場合、ポンプP1によって水を搬送させながら、水に対して紫外線を照射することが好ましい。これにより、第1紫外線ランプ67a等の過熱を抑制できる。このとき、紫外線が照射された水は、例えば、第2水タンク52に貯留されて良い。あるいは、紫外線が照射された水を循環系59A内で循環させても良い。紫外線が照射された水を循環系59A内で循環させる場合、水の無菌性レベルを高めることができる。
【0423】
一方、低圧水銀ランプは、動作温度が約40°以上100°以下である。このため、第1紫外線ランプ67a等が低圧水銀ランプである場合、ポンプP1を停止した状態で、水に対して紫外線を照射しても良い。
【0424】
次いで、水殺菌機60を含む循環系59Aにおいて、殺菌された水を循環させる(水循環工程、
図21の符号S235)。このとき、紫外線を照射された水は、第2無菌フィルタ65を通過する。そして、第2無菌フィルタ65を通過した純水は、循環ライン59を介して、第1水タンク51に供給される。このようにして、殺菌された純水が循環系59A内を循環する。
【0425】
その後、循環系59Aにおいて、殺菌された水を少なくとも1回以上循環させても良く、好ましくは3回以上循環させても良い。このように、純水を循環系59A内で3回以上循環させることにより、水による第1殺菌機62等の殺菌効果を高めることができる。このとき、循環する殺菌された水に対する紫外線の積算照射量は、少なくとも100mJ/cm2以上3000mJ/cm2以下であることが好ましく、1000mJ/cm2以上3000mJ/cm2以下であることがより好ましい。循環する水に対する紫外線の積算照射量が100mJ/cm2以上であることにより、紫外線による水の殺菌効果を高めることができる。また、紫外線の積算照射量が3000mJ/cm2以下であることにより、電気消費量を低減でき、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0426】
このようにして、第1殺菌機62等が無菌化される。
【0427】
また、第1殺菌機62等は、例えば、洗浄剤によって殺菌されても良い。この場合、第1殺菌機62及び第2殺菌機64のみに洗浄剤を供給することにより、第1殺菌機62等を殺菌しても良い。なお、洗浄剤は、例えば、過酢酸を含む洗浄剤、過酸化水素、アルカリ性薬剤、酸性薬剤、次亜塩素酸ナトリウム等であっても良い。その後、予め無菌水が貯留された第2水タンク52から、循環系59Aに無菌水を供給することにより、第1殺菌機62等を無菌水ですすいでも良い。
【0428】
本変形例によれば、制御部90が、水殺菌機60を含む循環系59Aにおいて、殺菌された水を循環させることにより、第1殺菌機62を殺菌する。このように、蒸気、熱水又は加熱された殺菌剤を使用することなく、第1殺菌機62を殺菌することにより、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できるとともに、水殺菌機60を殺菌する際のコストを低減できる。
【0429】
また、本変形例によれば、水が、第1殺菌機62の内部において、紫外線によって殺菌される。これにより、水を加熱することによって水を殺菌する場合と比較して、内容物充填システムが排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0430】
上記実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0431】
10 内容物充填システム
11 殺菌装置
18 キャップ殺菌装置
20 充填装置
20a 充填ノズル
21 水充填装置
21a 水充填ノズル
22 原液充填装置
22a 第1原液充填装置
22b 第2原液充填装置
22c 原液充填ノズル
32 ブロー成形部
34a プリフォーム殺菌装置
50 水殺菌ライン
51 第1水タンク
52 第2水タンク
55 第1バイパスライン
57 混合タンク
58b スニフトライン
60 水殺菌機
70 原液殺菌ライン
71 第1原液タンク
72 第2原液タンク
75 添加ユニット
80 製品原液殺菌機
88 キャップ
90 制御部
100 ボトル
100a プリフォーム
P パッキン