(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175977
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】動的な光検出抑制システム及びこれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
G01N15/14 D
G01N15/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175467
(22)【出願日】2023-10-10
(62)【分割の表示】P 2020538610の分割
【原出願日】2019-01-17
(31)【優先権主張番号】62/620,916
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】オズボーン,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】カオ,ジアニング
(57)【要約】 (修正有)
【課題】1つまたは複数の寸法にわたって、フローストリーム内の試料からの光を別個に検出するシステムを提供する。
【解決手段】フローストリーム内で試料を流すように構成されたフローセル302と、フローセル内の試料を照射するように構成された光源301と、スキャッタバー無しで、フローセルからの光を別個に検出するように構成された、光学調整コンポーネント303及び検出器304を含む検出器システムとを備える。光学調整コンポーネントまたは検出器の1つまたは複数のコンポーネントを調節することで、光を別個に検出するように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローストリーム内に試料を流すように構成されたフローセルと、
前記フローセル内の前記試料を照射するように構成された光源と、
スキャッタバー無しで、前記フローセルからの光を別個に検出するように構成された検出器ユニットと
を備える、システム。
【請求項2】
前記検出器ユニットは、検出器アレイを含む検出器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検出器アレイは、フォトダイオードのアレイを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記検出器ユニットは、前記アレイ内の前記フォトダイオードのサブセットを無効化することで、前記フローストリームからの光を別個に検出するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記検出器ユニットは、光学調整コンポーネントを含み、
前記検出器ユニットは、前記光学調整コンポーネントまたは検出器の1つまたは複数のコンポーネントを調節することで、前記フローストリームからの光を別個に検出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記光学調整コンポーネントは溶融光ファイバコンポーネントを含み、前記検出器は検出器アレイを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記溶融光ファイバコンポーネントは、テーパ形状の溶融光ファイバ束を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記検出器ユニットはさらに、前記溶融光ファイバコンポーネントと前記検出器アレイとの間に配置された光伝導材料を含む、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記光学調整コンポーネントは、1つまたは複数のレンズを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
検出器アレイは、フォトダイオードのアレイを含む、請求項5から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記光学調整コンポーネントは、光マイクロマシンを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項12】
前記光学調整コンポーネントは、デジタルマイクロミラーデバイスを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムはフローサイトメータである、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
フローストリーム内に試料を含むフローセルに光源を照射することと、
スキャッタバー無しで、前記フローセルからの光を別個に検出するように構成された請求項1から12のいずれか一項に記載の検出器ユニットにより、前記フローセルからの光を検出することと
を含む、方法。
【請求項15】
フローストリーム内に試料を流すように構成されたフローセルと、
光学調整コンポーネントと、
スキャッタバー無しで、前記フローセルからの光を別個に検出するように構成された請求項1から12のいずれか一項に記載の検出器ユニットと
を備える、キット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
例えば疾患または健康状態の診断に利用される試料(例えば、生体試料)の成分の特徴付けに、光検出が利用されることが多い。照射された試料は、光を散乱し、透過し、さらに(例えば、蛍光により)放出さえする。試料成分の形態、吸光率、変化、蛍光標識の有無等の変化は、試料による散乱光、透過光、または放出光の変化を生じ得る。これらの変化は、試料内の成分の特徴付け、その有無の特定に利用可能である。これらの変化の定量化のため、光は収集され、検出器の表面に送られる。検出器に到達する光量は、検出器により出力される光信号の全体的品質に影響し得る。検出器の表面積を大きくすることで、または試料から光をより多く収集することで、検出器に到達する光量を上げることができる。
【0002】
光検出を利用して試料内の成分の特徴付けを行う技術の1つとして、フローサイトメトリがある。検出された光から生成されたデータを使用して、成分の分布を記録でき、必要があれば物質がソートされ得る。一般的に、フローサイトメータは血液試料等の流体試料を入れる試料リザーバと、シース液を収容するシースリザーバとを備える。フローサイトメータは流体試料内の粒子(細胞を含む)を、フローセルへのセルストリームとして運びながら、シース液もフローセルに送る。セルストリーム上で、略一定速度が伝わるように、フローセル内でセルストリームの周りに液体シースが形成される。フローセルは、ストリーム内で流体力学的に細胞を集中させて、フローセル内で光源の中心を通過させる。光源からの光は、散乱光として、または透過分光法によって検出可能であり、あるいは試料内の1種または2種以上の成分で吸収されて発光として再放出可能である。形態または蛍光標識等の物質の変化は、観察される光の変化を生じるため、光検出器に光を集めることで特徴付けが可能となる。
【発明の概要】
【0003】
1つまたは複数の寸法にわたって、フローストリーム内(例えば、フローサイトメータ内)の試料からの光を別個に検出するシステムを説明する。実施形態に係る光検出システムは、フローストリーム内で試料を流すように構成されたフローセルと、フローセル内の試料を照射するように構成された光源と、スキャッタバー無しで、フローセルからの光を別個に検出するように構成された、光学調整コンポーネント及び検出器を含む検出器システムとを備える。特定の実施形態に係るシステムは、光学調整コンポーネントまたは検出器の1つまたは複数のコンポーネントを調節することで、光を別個に検出するように構成されている。スキャッタバー無しで、検出器ユニットにより、フローストリーム内の試料からの光を別個に検出する方法も記載される。本システムにおいて使用される2個以上のコンポーネントを有するキットも提供される。
【0004】
本開示の態様は、スキャッタバー無しで、照射されたフローセルからの光を別個に検出する光検出システムを含む。特定の実施形態に係るシステムは、試料から発する光(例えば、散乱光、蛍光、透過光等)を動的に遮るように構成されている。対象のシステムは、フローストリーム内で試料を流すように構成されたフローセルと、フローセル内の試料を照射するように構成された光源と、フローセルからの光を別個に検出するように構成された検出器ユニットとを備える。いくつかの実施形態では、検出器ユニットは、検出器アレイを含む検出器を含む。これらの実施形態では、システムは、検出器を調節することで、光を別個に検出するように構成されている。他の実施形態では、検出器ユニットは、光学調整コンポーネントと検出器とを含む。これらの実施形態において、検出器ユニットは、光学調整コンポーネントまたは検出器の1つまたは複数のコンポーネントを調節することで、光を別個に検出するように構成されてよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、検出器ユニットは溶融光ファイバコンポーネント(例えば、テーパ形状の溶融光ファイバ束)と検出器(例えば、フォトダイオードのアレイ)とを含む。光学調整コンポーネントは、特定の実施形態では、検出器と物理的に接触する。ある場合には、検出器ユニットは、光学調整コンポーネントと、検出器との間に、ゲル(例えば、屈折率整合ゲル)のような光伝導材料を含む。いくつかの実施形態では、検出器ユニットは、アレイ内のフォトダイオードのサブセットを無効化することで、フローセルからの光を別個に検出するように構成されている。ある場合には、無効化は可逆的である。別の場合には、無効化は不可逆的である。無効化されたフォトダイオードのサブセットは、1つまたは複数の列、多角形パターン、対称パターン、または非対称パターン等の所定のパターンを形成し得る。
【0006】
他の実施形態では、検出器ユニットは、デジタルマイクロミラーデバイス等の光マイクロマシン(MOEMS)と、検出器とを含む。ある場合には、デジタルマイクロミラーデバイスは、ミラーのサブセットを調節するように構成されている。一例において、検出器ユニットは、デジタルマイクロミラーデバイス上のミラーのサブセットを傾斜することで、フローセルからの光を別個に検出するように構成されている。別の例において、検出器ユニットは、デジタルマイクロミラーデバイス上のミラーのサブセットを無効化することで、フローセルからの光を別個に検出するように構成されている。例えば、デジタルマイクロミラーデバイス上のミラーのサブセットは、電気的に無効化されてよい。デジタルマイクロミラーデバイス上の調節されたミラーのサブセットは、1つまたは複数の列、多角形パターン、対称パターン、または非対称パターン等の所定の形状またはパターンをデジタルマイクロミラー表面上に形成し得る。
【0007】
本開示の態様は、試料からの光を別個に検出する方法をさらに含む。特定の実施形態に係る方法は、光源により、フローストリーム内の試料を含むフローセルを照射することと、スキャッタバー無しで、フローストリームからの光を別個に検出するように構成された検出器ユニットにより、フローセルからの光を検出することとを含む。いくつかの実施形態では、検出器ユニットは、検出器を含む。これらの実施形態では、方法は、検出器を調節することで、光を別個に検出することを含む。他の実施形態では、検出器ユニットは、光学調整コンポーネントと検出器とを含み、方法は、光学調整コンポーネントまたは検出器の1つまたは複数のコンポーネントを調節することをさらに含む。ある場合には、検出器ユニットは溶融光ファイバコンポーネント(例えば、テーパ形状の溶融光ファイバ束)とフォトダイオードのアレイとを含み、方法は、試料からの光を別個に検出するためにアレイ内のフォトダイオードのサブセットを無効化することを含む。例えば、アレイ内のフォトダイオードのサブセットは、1つまたは複数の列、多角形パターン、対称パターン、または非対称パターン等の所定のパターンの形式で無効化されてよい。他の例では、検出器ユニットは、デジタルマイクロミラーデバイスと、検出器とを含み、方法は、試料からの光を別個に検出するためにデジタルマイクロミラー表面上のミラーのサブセットを調節することを含む。例えば、ミラーのサブセットは、傾斜、回転、または電気的に無効化されるなどして無効化されてよい。デジタルマイクロミラー表面で、ミラーのサブセットは、1つまたは複数の列、多角形パターン、対称パターン、または非対称パターン等の所定のパターンの形態等、所定の形状又はパターンの形態となってよい。
【0008】
本光検出システムの1つまたは複数のコンポーネントを含むキットも提供される。ある特定の実施形態に係るキットは、フローセルと、光学調整コンポーネント(例えば、ミラー、レンズ、コリメータ、ピンホール、スリット、光ファイバ)、検出器(例えば、フォトダイオード、光電子増倍管、あるいはフォトダイオードまたは光電子増倍管のアレイ)等、上述の検出器ユニットの1つまたは複数のコンポーネントとを備える。
【0009】
本発明は、添付の図面と併せて読むと、以下の詳細な説明から最もよく理解される。図面には以下の図が含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ある特定の実施形態に係るデジタルマイクロミラーデバイスを示す。
【
図2】ある特定の実施形態に係る、デジタルマイクロミラーデバイスによりフローセル内の試料からの光を別個に検出するように構成された集光システムを示す。
【
図3】ある特定の実施形態に係る、調節された光検出器アレイ付きのフローセルにおける試料からの光を別個に検出するように構成された光検出システムを示す。
【
図4】ある特定の実施形態に係る、所定のパターンで有効化、無効化された光検出器を有する光検出器アレイの正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1つまたは複数の寸法にわたって、フローストリーム内(例えば、フローサイトメータ内)の試料からの光を別個に検出するシステムを説明する。実施形態に係る光検出システムは、フローストリーム内で試料を流すように構成されたフローセルと、フローセル内の試料を照射するように構成された光源と、スキャッタバー無しで、フローセルからの光を別個に検出するように構成された、光学調整コンポーネント及び検出器を含む検出器システムとを備える。特定の実施形態に係るシステムは、光学調整コンポーネントまたは検出器の1つまたは複数のコンポーネントを調節することで、光を別個に検出するように構成されている。スキャッタバー無しで、検出器ユニットにより、フローストリーム内の試料からの光を別個に検出する方法も記載される。本システムにおいて使用される2個以上のコンポーネントを有するキットも提供される。
【0012】
本発明を詳細に説明する前に、本発明は記載された特定の実施形態に限定されるものではなく、したがって当然ながら変えてよいことを理解すべきである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることから、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定することを意図するものではないことも理解すべきである。
【0013】
値の範囲が与えられる場合、その範囲の上限値と下限値との間の、文脈上別段に明示される場合を除いて、下限値の単位の10分の1までの各介在値、及びその記載された範囲にあるその他の記載値または介在値は、本発明に包含されることが理解される。このような小さい範囲の上限値及び下限値は、その小さい範囲に別個に含まれてよく、記載された範囲内の明確に除外されたいずれかの境界値に従うとして、これらはまた本発明に包含される。記載された範囲が境界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれた境界値の一方または両方を除外する範囲はまた、本発明に包含される。
【0014】
本明細書において、ある特定の範囲を、数値の前に「約」を付けて提示する。本明細書において、「約」という用語は、それに続く数字そのもの、さらにそれに続く数字に近い、または近似する数をサポートする記載となる。ある数字が、具体的に記載された数字に近いか近似するかの判断は、記載されていない近いまたは近似の数字が、それが提示された文脈において、具体的に記載された数字と実質的に均等の効果を呈し得るかによる。
【0015】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または同等の任意の方法及び材料を、本発明の実施または試験において使用することもできるが、典型的な例示的方法及び材料を以下に記載する。
【0016】
本明細書に引用される全ての刊行物及び特許は、個々の刊行物または特許が、具体的にかつ個別に示されて参照によって援用されるかのように参照によって本明細書に援用され、その刊行物が関連して引用される方法及び/または材料を開示して記載するために、参照によって本明細書に援用される。任意の刊行物の引用は、その本願出願日前の開示に関するものであり、先行発明の効力により、そのような刊行物に対して本発明が先行していないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される公開日は、実際の公開日と異なる場合があり、公開日は個別に確認する必要があり得る。
【0017】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈において明確に別段の指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は任意選択の要素を除外するように起案できることにもさらに留意されたい。したがって、この言明は、特許請求の範囲の要素の記述に関連した「唯一(solely)」、「のみ(only)」及び同様のもの等の排他的な用語の使用、または、「否定的な」限定の使用のための先行詞としての役割を果たすことを意図する。
【0018】
この開示を読み進める上で当業者にとって明らかであるように、本明細書で説明され、示されている個々の実施形態の各々は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離することも、同特徴と組み合わせることもできる別々の構成要素及び特徴を有する。記述されるいかなる方法も、記述される事象の順序または論理的に可能な他の任意の順序で実施することができる。
【0019】
装置及び方法を、上記及び下記において機能的説明によって文法的に滑らかとなるように説明しているが、請求項は、米国特許法第112条に明確に規定されている場合を除き、「手段」または「ステップ」の限定の解釈によって何ら制限されると解釈されるものではなく、判例法による均等論の原則の下で請求項によって提供される定義の意味及び均等物の全範囲に一致するものであり、請求項が米国特許法第112条に明確に規定されている場合、米国特許法第112条の下での完全な法定均等物に一致することが明確に理解される。
【0020】
上記にまとめたように、本開示は、フローセル内の試料からの光を別個に検出する光検出システムを提供する。本開示の実施形態のさらなる説明にあたって、まず本発明の実施形態に係る光検出システムをより詳細に説明する。次に、フローセル内の試料からの光を別個に検出する方法を説明する。フローセルと、光学調整コンポーネントと、試料からの光を別個に検出する検出器ユニットとを有するキットも提供される。
【0021】
[光を別個に検出するための検出システム]
本開示の態様は、フローセル内の試料からの光を別個に検出するように構成された光検出システムを含む。いくつかの実施形態では、本システムは、フローセル内を流れる試料が発する光を動的に区別するように構成されている。例えば、光検出システムは、強度に基づいてフローセル内の試料からの光を動的に区別するように構成されてよい。別の場合には、光検出システムは試料内の異なる細胞集団を区別する等のため、試料内の異なる粒子集団が発する光を区別するように構成されている。
【0022】
さらに別の実施形態では、光検出システムは照射光源からの入射光を動的に遮るように構成されている。これは、検出される照射光源からの入射光量を、50%以上、例えば、60%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、99%以上低減することにより実現され、さらに、検出される照射光源からの入射光量を、99.9%以上低減することも含む。検出される照射光源からの入射光量を低減することで、本明細書に記載のように、別個に光を検出するように構成されていない集光システムにより収集された蛍光及び散乱光からの検出器信号と比較して、試料からの蛍光及び散乱光からの検出器信号の強度が増加する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の光検出システムで測定される蛍光及び散乱光からの検出器信号強度は、10%以上、例えば、25%以上、50%以上、75%以上、90%以上等増加し、さらに、95%以上の増加も含む。即ち、1.5倍以上、例えば、2倍以上、3倍以上、5倍以上等の増加であり、さらに、10倍以上の増加も含む。
【0023】
実施形態では、光検出システムは、フローストリーム内で試料を流すように構成されたフローセルと、フローセル内の試料に照射するように構成された光源と、スキャッタバー無しで、フローセルからの光を別個に検出するように構成された検出器ユニットとを備える。いくつかの実施形態では、検出器ユニットは、光学調整コンポーネントと、検出器とを備える。これらの実施形態では、試料からの光を別個に検出するため、光検出システムは、光学調整コンポーネントまたは検出器の1つまたは複数のコンポーネントを調節するように構成されている。本明細書において、「光学調整」という用語は、フローセル内の試料からの光を光学的に変化させるコンポーネントを指すように従来どおりの意味で使用される。例えば、光学調整コンポーネントにより、試料からの光の光路、方向、集光、またはコリメートが変化され得る。光学調整コンポーネントは、非限定的に、レンズ(例えば、集光、対物、拡大等)、コリメータ、ミラー(例えば、ダイクロイックミラー)、スリット、ピンホール、フィルタ(例えば、バンドパス、干渉)、回折格子、モノクロメータ、その他の種類の光学調整コンポーネントを含み得る。いくつかの実施形態では、当該検出器ユニット内の光学調整コンポーネントは、光ファイバ光リレーシステム等の光リレーシステムである。試料からの光の検出器ユニット内の検出器への伝播のために、任意の光ファイバ光リレーシステムが利用されてよい。特定の実施形態では、試料からの光の検出器への伝播に適した光ファイバ光リレーシステムは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,809,804号明細書に記載されたもののような光ファイバ光リレーシステムを含むが、これに限定されない。ある特定の実施形態では、光学調整コンポーネントは、テーパ形状溶融光ファイバコンポーネント等の溶融光ファイバコンポーネントである。いくつかの実施形態では、光ファイバ光コンポーネントは検出器と物理的に接触する。別の実施形態では、溶融光ファイバコンポーネントは、光ファイバ束と検出器表面との間に光伝導材料を配置することで、検出器に結合される。光伝導ゲル等の任意の適切な光伝導材料が使用されてよい。例えば、光伝導材料は、屈折率整合光伝導ゲルであってよい。
【0024】
ある特定の実施形態では、光学調整コンポーネントは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)等の光マイクロマシン(MOEMS)である。本明細書に記載のデジタルマイクロミラーデバイスという用語は、従来の意味どおり、個別に作動可能な複数のマイクロミラーがデジタルマイクロミラーデバイス活性面に設けられた基板(例えば平面基板)を有する光マイクロマシンを示す。「個別に作動可能」とは、デジタルマイクロミラーデバイスにより反射される光が、活性面から別個に反射されるように、各マイクロミラーが個別に調節され得ることを意味する。各マイクロミラーの調節は、各マイクロミラーの反射率が所望のように調整されるように、ミラーの回転、傾斜、無効化(例えば電気的に無効化)することの内の1つまたは複数を含む。実施形態において、マイクロミラーが回転、傾斜、または無効化により調節される場合、マイクロミラーの所望の反射率は、1%以上、例えば、2%以上、3%以上、5%以上、10%以上、15%以上、25%以上、50%以上、75%以上、90%以上、95%以上、97%以上、99%以上等低減され得、さらに、マイクロミラーの反射率が100%低減されることも含む。
【0025】
より詳細に後述するように、いくつかの実施形態では、試料から検出器に伝播される光量を増加または低減するように、ミラーのサブセットが調節されてよい。別の実施形態では、検出器に伝播する光(例えば、照射光源からの入射光または不要な試料集団からの光)を遮蔽するまたは遮るようにミラーのサブセットを調節してよい。さらに別の実施形態では、試料内の異なる種類の細胞から発せられる光等、試料内の異なる粒子集団からの光を区別するように、ミラーのサブセットを調節してよい。
【0026】
図1は、ある特定の実施形態に係るデジタルマイクロミラーデバイスを示す。デジタルマイクロミラーデバイス100は、アレイ102に配置された複数のマイクロミラーを有する活性面101を備える。各マイクロミラー103は、個別に作動可能である。これは、調節されたマイクロミラーからの光の反射を低減するか、なくするために、マイクロミラーを傾斜、回転、または無効化することを含む。
【0027】
対象のデジタルマイクロミラーデバイスの活性面は、任意の適切な形状であってよく、例えば直線で構成された形状(例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形等)、曲線形状(例えば、円、楕円形)、または不規則な形状(例えば、放物線形状の底部が、平面的な上部に結合される)であってよい。ある特定の実施形態では、デジタルマイクロミラーデバイスは平面的で、長方形の活性面を有する。対象のデジタルマイクロミラーデバイスは、5mmから100mmの範囲、例えば、10mmから90mm、15mmから85mm、20mmから80mm、25mmから75mm、30mmから70mmの範囲で可変の長さを有する活性面を有してよく、さらに、35mmから65mmも含む。活性面の幅も、5mmから100mmの範囲、例えば、10mmから90mm、15mmから85mm、20mmから80mm、25mmから75mm、30mmから70mmの範囲で可変であり得、さらに、35mmから65mmも含む。実施形態において、デジタルマイクロミラーデバイスの形状に応じて、活性面は、5mm2から1000mm2の表面積、例えば、10mm2から900mm2、15mm2から800mm2、20mm2から700mm2、25mm2から600mm2、30mm2から500mm2、35mm2から400mm2の表面積を有してよく、さらに、40mm2から300mm2も含む。
【0028】
フローセルを流れる試料の種類とデバイスのサイズとに応じて、デジタルマイクロミラーデバイスの活性面上の個別に作動可能なミラーの数も可変であり得、その数は50個以上のマイクロミラー、100個以上のマイクロミラー、250個以上のマイクロミラー、500個以上のマイクロミラー、750個以上のマイクロミラー、1000個以上のマイクロミラー、2500個以上のマイクロミラー、5000個以上のマイクロミラー、7500個以上のマイクロミラー、10,000個以上のマイクロミラーであってよく、さらに、25,000個以上のマイクロミラーも含む。各マイクロミラーは可変の寸法を有し得る。対象のマイクロミラーの長さは、1μmから25μm、例えば、2μmから24μm、3μmから23μm、4μmから22μm、5μmから20μm、6μmから19μm、7μmから18μm、8μmから17μm、9μmから16μであってよく、さらに、10μmから15μmも含む。各マイクロミラーの幅は、1μmから25μmの範囲、例えば、2μmから24μm、3μmから23μm、4μmから22μm、5μmから20μm、6μmから19μm、7μmから18μm、8μmから17μm、9μmから16μmであってよく、さらに、10μmから15μmも含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、光検出システムは、デジタルマイクロミラーデバイス上のマイクロミラーのサブセットを調節することで、光を別個に検出するように構成されている。ある場合には、調節はマイクロミラーのサブセットを、当該ミラーのサブセットによる所望の反射率を低減するために傾斜させることを含む。各マイクロミラーは、デジタルマ
イクロミラーデバイスの表面に対して、5°から15°、例えば、6°から14°、7°から13°傾斜してよく、さらに、デジタルマイクロミラーデバイスの表面に対して8°から12°傾斜することも含む。別の場合では、調節はマイクロミラーのサブセットを、当該ミラーのサブセットによる所望の反射率を低減するために回転させることを含む。各マイクロミラーは、5°から15°、例えば、6°から14°、7°から13°回転してよく、さらに、8°から12°回転することも含む。さらに別の実施形態では、光検出システムは、デジタルマイクロミラーデバイス上のマイクロミラーのサブセットを無効化(例えば、電気的に無効化)することで、光を別個に検出するように構成されている。マイクロミラーのサブセットの無効化のために、マイクロミラーの反射率を低減するかなくすために十分な電流をマイクロミラーのサブセットに印加する等、任意の適切なプロトコルを用いてよい。例えば、印加する電流は、マイクロミラーのサブセットの反射率を、50%以上、例えば、75%以上、90%以上、95%以上、97%以上、99%以上低減するために十分であってよく、さらに、マイクロミラーのサブセットの反射率を100%低減することも含む。
【0030】
フローセル内の試料からの光を別個に検出するために調節されるマイクロミラーの数は、別個に検出されるか、遮られる光の種類に応じて変動する。いくつかの実施形態では、デジタルマイクロミラーデバイスの活性面上の、調節されるマイクロミラーのサブセットは、デジタルマイクロミラーデバイス活性面上のマイクロミラーの5%以上、例えば、10%以上、25%以上、50%以上、75%以上を含んでよく、さらに、デジタルマイクロミラーデバイス活性面上のマイクロミラーの90%以上が調節されることを含んでよい。調節されるマイクロミラーのサブセットは、デジタルマイクロミラーデバイス活性面上で、例えば直線で構成されたパターン(例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形等)、曲線パターン(例えば、円、楕円形)、または非対称パターン、不規則なパターン(例えば、放物線形状の底部が、平面的な上部に結合される)等の、1つまたは複数の所定のパターンの形態をとってよい。別の実施形態では、試料からの光を別個に検出するために調節されるマイクロミラーのサブセットは、デジタルマイクロミラーデバイスの表面全体に1つまたは複数の列に沿って配置される。
【0031】
いくつかの実施形態では、対象の集光システムは、試料内の異なる細胞から発せられる光等、試料内の異なる粒子からの光を区別するように調節されるマイクロミラーのサブセットを、デジタルマイクロミラーデバイスの活性面上に備える。これらの実施形態では、試料内の不要な細胞集団、細胞片、不純物または非細胞成分からの散乱光等の、試料の不要な成分からの光を遮るように、マイクロミラーのサブセットが傾斜、回転、または無効化されてよい。例えば、具体的に試料内の2つの異なる細胞集団を特徴付けることが望まれる場合、これらの細胞集団からの光に対応する、デジタルマイクロミラーデバイスのマイクロミラーのみを有効にしてよく、デジタルマイクロミラーデバイスのその他マイクロミラーを無効化して、試料内のその他の不要な細胞集団からの光を遮ってよい。このように、本集光システム内の検出器ユニットは、複数の異なる細胞集団を有する試料内において、1個以上の異なる細胞集団(例えば、2個以上の異なる細胞集団、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、さらに、複数の異なる細胞集団を有する試料内の10個以上の異なる細胞集団も含む)を具体的に特徴付けるように構成されてよい。
【0032】
別の実施形態では、対象の集光システムは、不要な光を検出器表面に伝播しないよう遮るように調節されたマイクロミラーのサブセットを、デジタルマイクロミラーデバイスの活性面上に備える。例えば、マイクロミラーのサブセットは、照射光源からの入射光を検出器表面に伝播しないよう遮るように調節されてよい。これらの実施形態では、調節されるマイクロミラーのサブセットは、デジタルマイクロミラー表面にわたって1つまたは複数の列の形態であってよい。この形態は、照射光源からの散乱した入射光またはそうでなければ遮られない入射光に対応する。
【0033】
任意の特定の時間に調節される、デジタルマイクロミラーの活性面上のマイクロミラーのサブセットは、任意の好適な数のマイクロミラーを含んでよく、例えば、10個以上のマイクロミラー、25個以上のマイクロミラー、50個以上のマイクロミラー、100個以上のマイクロミラー、250個以上のマイクロミラー、500個以上のマイクロミラー、1000個以上のマイクロミラー、2500個以上のマイクロミラーであってよく、さらに、5000個以上のマイクロミラーも含む。このように、フローセル内の試料からの光を別個に検出するために調節されるマイクロミラーのサブセットは、デジタルマイクロミラーデバイスの活性面上のマイクロミラーの総数に対して、5%から75%、例えば、10%から70%、15%から65%、20%から60%であってよく、さらに、デジタルマイクロミラーデバイスの活性面上のマイクロミラーの総数に対して25%から50%も含む。デジタルマイクロミラーデバイスの活性面の全体的なサイズに応じて、フローセル内の試料からの光を別個に検出するように調節されるマイクロミラーのサブセットは、0.01mmから25mmの範囲の長さ、例えば、0.05mmから20mm、0.1mmから15mm、0.5mmから10mm、1mmから9mmの長さを有してよく、さらに、2mmから8mmも含む。試料からの光を別個に検出するように調節されるマイクロミラーのサブセットの幅も、0.01mmから25mmの範囲、例えば、0.05mmから20mm、0.1mmから15mm、0.5mmから10mm、1mmから9mmの範囲であってよく、さらに、2mmから8mmも含む。実施形態において、試料からの光を別個に検出するように調節されるマイクロミラーのサブセットのパターンに応じて、調節されるマイクロミラーのサブセットは、デジタルマイクロミラーデバイスの表面積の内、0.1mm2から500mm2、例えば、0.5mm2から450mm2、1mm2から400mm2、2mm2 から350mm2、3mm2から300mm2、4mm2から250mm2、5mm2から200mm2を占めてよく、さらに、10mm2から100mm2も含む。
【0034】
特定の実施形態ではデジタルマイクロミラーデバイスの活性面上のマイクロミラーのサブセットは、複数のマイクロミラーの内の1つまたは複数が所望の期間の間、例えば、0.001μs以上、0.01μs以上、0.1μs以上、0.5μs以上、1μs以上、5μs以上、10μs以上、25μs以上、50μs以上、100μs以上、500μs以上の間、さらに、1000μs以上の間も含めて、傾斜、回転、または無効化されるように動的に調節される。特定の実施形態では、デジタルマイクロミラーデバイスの活性面上のマイクロミラーのサブセットは長時間の間、例えば、1秒以上、5秒以上、10秒以上、15秒以上、30秒以上、60秒以上、120秒以上、240秒以上、360秒以上、480秒以上の間、さらに、600秒以上の間も含めて、動的に調節される。ある特定の場合において、マイクロミラーのサブセットは、フローセル内の試料が光源によって照射される期間全体で動的に調節される。
【0035】
図2は、ある特定の実施形態に係る、デジタルマイクロミラーデバイスの活性面上のマイクロミラーのサブセットを調節することで、フローセル内の試料からの光を別個に検出するように構成された集光システムを示す。光源201は、デジタルマイクロミラーデバイス200に光を照射し、デジタルマイクロミラーデバイス200が光をフローセル202内の試料に反射する。フローセル202内の試料からの光(例えば、前方散乱光)が、デジタルマイクロミラーデバイスに逆伝播し、検出器203へと反射される。デジタルマイクロミラーデバイス200からフローセル202にのみ光を反射し、検出器203に逆反射させないように、光源201により照射されるマイクロミラーを調節することで、入射光(例えばレーザ散乱)が、検出器203により収集及び検出されないように遮られ得る。
【0036】
実施形態に係るフローセル内の試料からの光を別個に検出するように構成された集光システムは、さらに検出器を備える。対象の検出器は、これらに限定されないが、他の光検出器の中で特に、アクティブピクセルセンサ(APS)、アバランシェフォトダイオード、撮像素子、電荷結合素子(CCD)、増強電荷結合素子(ICCD)、発光ダイオード、光子計数器、ボロメータ、焦電検出器、フォトレジスタ、太陽電池、フォトダイオード、光電子増倍管、フォトトランジスタ、量子ドット光伝導体またはフォトダイオード、及び、それらの組合せ等の光学センサまたは光検出器を含み得る。特定の実施形態では、透過光は、電荷結合素子(CCD)、半導体電荷結合素子(CCD)、アクティブピクセルセンサ(APS)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像素子またはN型金属酸化膜半導体(NMOS)撮像素子で測定される。
【0037】
いくつかの実施形態では、フローセル内の試料からの光を別個に検出する対象の検出器は、複数の検出器を含む。ある場合には、検出器ユニットは、フォトダイオード等の半導体検出器を含む。ある特定の場合において、検出器ユニットは、フォトダイオードアレイのような光検出器アレイを含む。これらの実施形態において、光検出器アレイは、4個以上の光検出器、例えば、10個以上の光検出器、25個以上の光検出器、50個以上の光検出器、100個以上の光検出器、250個以上の光検出器、500個以上の光検出器、750個以上の光検出器等の光検出器を含んでよく、さらに、1000個以上の光検出器も含む。例えば、検出器は、4個以上のフォトダイオード、例えば、10個以上のフォトダイオード、25個以上のフォトダイオード、50個以上のフォトダイオード、100個以上のフォトダイオード、250個以上のフォトダイオード、500個以上のフォトダイオード、750個以上のフォトダイオード、さらに、1000個以上のフォトダイオードを有するフォトダイオードアレイであってよい。
【0038】
光検出器は、所望のとおりの任意の幾何学的構成に配置されてよい。対象の配置は、正方形構成、長方形構成、台形構成、三角形構成、六角形構成、七角形構成、八角形構成、九角形構成、十角形構成、十二角形構成、円形構成、楕円形構成、さらに不規則なパターンの構成を含むが、これらに限定されない。光検出器アレイ内の光検出器は互いに、(X-Z平面において)10°から180°、例えば、15°から170°、20°から160°、25°から150°、30°から120°、さらに、45°から90°も含む範囲の角度で配向されてよい。光検出器アレイは任意の適切な形状であってよく、例えば直線で構成された形状(例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形等)、曲線形状(例えば、円、楕円形)、または不規則な形状(例えば、放物線形状の底部が、平面的な上部に結合される)であってよい。ある特定の実施形態では、光検出器アレイは長方形活性面を有する。
【0039】
アレイ内の各光検出器(例えば、フォトダイオード)は、活性面の幅が5μmから250μm、例えば、10μmから225μm、15μmから200μm、20μmから175μm、25μmから150μm、30μmから125μm、50μmから100μmの範囲内で、長さが5μmから250μm、例えば、10μmから225μm、15μmから200μm、20μmから175μm、25μmから150μm、30μmから125μm、50μmから100μmの範囲内であってよい。ここで、アレイ内の各光検出器(例えば、フォトダイオード)の表面積は、25μm2から10000μm2、例えば、50μm2から9000μm2、75μm2から8000μm2、100μm2から7000μm2、150μm2から6000μm2等の範囲内であり、さらに、200μm2から5000μm2も含む。
【0040】
光検出器アレイのサイズは、フローセル内の試料から伝播される光の量、光検出器の数及び所望の感度に応じて可変であり得、長さが0.01mmから100mm、例えば、0.05mmから90mm、0.1mmから80mm、0.5mmから70mm、1mmから60mm、2mmから50mm、3mmから40mm、4mmから30mm等の範囲内であってよく、さらに、5mmから25mmも含む。光検出器アレイの幅も可変であり得、0.01mmから100mm、例えば、0.05mmから90mm、0.1mmから80mm、0.5mmから70mm、1mmから60mm、2mmから50mm、3mmから40mm、4mmから30mm等の範囲内であってよく、さらに、5mmから25mmも含む。このように、光検出器アレイの活性面は、0.1mm2から10000mm2、例えば、0.5mm2から5000mm2、1mm2から1000mm2、5mm2から500mm2等の範囲内であってよく、さらに、10mm2から100mm2も含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、光検出器アレイ内の各光検出器は、アレイ内の検出器により、試料からの光が別個に検出されるように、個別に調節されてよい。ある場合には、光検出器アレイにわたった列等、所定のパターンまた形状を形成する、光検出器のアレイまたはサブセットの特定の領域内の光検出器群等の、光検出器のサブセットが調節されてよい。
【0042】
例えば、アレイ内の各光検出器は、光検出器アレイの異なる領域が、異なる光検出を行うように構成されるように、測定中の試料に応じて所望のとおりに(可逆的にまたは不可逆的に)無効化されてよい。いくつかの実施形態では、アレイの特定領域の光検出器が低減した光量を検出するように構成されるように、アレイ内の1つまたは複数の光検出器が部分的にまたは完全に無効化されてよい。即ち、光検出器が、特定領域の当該光検出器の表面にあたる光の95%以下、例えば、90%以下、85%以下、75%以下、50%以下、25%以下、10%以下、5%以下、3%以下、1%以下等を検出し、さらに、特定の領域の光検出器の表面に当たる光の0.1%以下も含む。ある特定の場合において、光検出器アレイ内の光検出器のサブセットは、サブセット内の光検出器によって光が検出されないように無効化される。
【0043】
フローセル内の試料からの光を別個に検出するように調節される光検出器の数は、別個に検出される、または遮られる光の種類に応じて変わる。いくつかの実施形態では、光検出器アレイ内の調節される光検出器のサブセットは、光検出器アレイ内の光検出器の5%以上、例えば、10%以上、25%以上、50%以上、75%以上等であってよく、さらに、光検出器アレイ内の光検出器の90%以上が調節されることも含む。光検出器のサブセットは光検出器アレイ内で、例えば直線で構成されたパターン(例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形等)、曲線パターン(例えば、円、楕円形)、または非対称パターン、不規則なパターン(例えば、放物線形状の底部が、平面的な上部に結合される)等、1つまたは複数の所定のパターンの形態をとってよい。別の実施形態では、試料からの光を別個に検出するように調節される光検出器のサブセットは、光検出器アレイにわたった1つまたは複数の列に沿って配置される。
【0044】
いくつかの実施形態では、対象の集光システムは、試料内の異なる細胞から発せられる光等、試料内の異なる粒子からの光を区別するように調節される、光検出器アレイ内の光検出器のサブセットを含む。これらの実施形態では、光検出器のサブセットは、試料内の不要な細胞集団、細胞片、不純物、または非細胞成分からの散乱光等、試料の不要な成分からの光を遮るように、部分的または完全に無効化されてよい。例えば、具体的に試料内の2つの異なる細胞集団を特徴付けることが望まれる場合、光検出器アレイ内の、これらの細胞集団からの光に対応する光検出器のみを有効化し、光検出器アレイ内のその他の光検出器を無効化することで、試料内のその他不要な細胞集団から発する光を遮ってよい。このように、本集光システム内の検出器ユニットは、複数の異なる細胞集団を有する試料内の、1個以上の異なる細胞集団、例えば、2個以上の異なる細胞集団、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上等を具体的に特徴付けるように構成されてよく、さらに、複数の異なる細胞集団を有する試料内の10個以上の異なる細胞集団も含む。
【0045】
別の実施形態では、対象の集光システムは、不要な光を光検出器アレイが検出しないように遮るため、光検出器アレイの内、部分的にまたは完全に無効化される光検出器のサブセットを備える。例えば、光検出器のサブセットは、照射光源からの入射光を検出器が検出しないように遮るため、部分的にまたは完全に無効化されてよい。これらの実施形態においては、無効化される光検出器のサブセットは、光検出器アレイにわたった1つまたは複数の列の形態であってよい。この形態は、照射光源からの散乱光またはその他形式の遮られない入射光に対応する。
【0046】
任意の特定の時間に部分的にまたは完全に無効化される、光検出器アレイ内の光検出器のサブセットは、任意の適切な数の光検出器を含んでよく、例えば、10個以上の光検出器、25個以上の光検出器、50個以上の光検出器、100個以上の光検出器、250個以上の光検出器、500個以上の光検出器、1000個以上の光検出器、2500個以上の光検出器、さらに、5000個以上の光検出器も含んでよい。このように、フローセル内の試料からの光を別個に検出するために部分的または完全に無効化される光検出器のサブセットは、光検出器アレイ内の光検出器の総数に対して5%から75%、例えば、10%から70%、15%から65%、20%から60%等であってよく、さらに、光検出器アレイ内の光検出器の総数に対して25%から50%も含む。光検出器アレイの全体的なサイズに応じて、フローセル内の試料からの光を別個に検出するために部分的または完全に無効化される光検出器のサブセットは、0.01mmから25mmの範囲、例えば、0.05mmから20mm、0.1mmから15mm、0.5mmから10mm、1mmから9mm等の長さを有してよく、さらに、2mmから8mmも含む。試料からの光を別個に検出するために部分的または完全に無効化される光検出器のサブセットの幅も、0.01mmから25mm、例えば、0.05mmから20mm、0.1mmから15mm、0.5mmから10mm、1mmから9mm等の範囲であってよく、さらに、2mmから8mmも含む。実施形態において、試料からの光を別個に検出するために部分的または完全に無効化される光検出器のサブセットのパターンに応じて、調節される光検出器のサブセットは、表面積の内、0.1mm2 から500mm2 、例えば、0.5mm2 から450mm2 、1mm2 から400mm2 、2mm2 から350mm2 、3mm2 から300mm2 、4mm2 から250mm2 、5mm2 から200mm2 等を占めてよく、さらに、10mm2 から100mm2 も含む。
【0047】
特定の実施形態では、光検出器アレイ内の光検出器のサブセットは、アレイ内の光検出器のうちの1つまたは複数が、例えば、0.001μs以上、例えば、0.01μs以上、0.1μs以上、0.5μs以上、1μs以上、5μs以上、10μs以上、25μs以上、50μs以上、100μs以上、500μs以上、さらに、1000μs以上等の所望の期間(例えば、レーザパルスの間)、部分的または完全に無効化されるように動的に無効化されてよい。特定の実施形態では、光検出器アレイ内の光検出器のサブセットは長時間の間、例えば、1秒以上、5秒以上、10秒以上、15秒以上、30秒以上、60秒以上、120秒以上、240秒以上、360秒以上、480秒以上、さらに、600秒以上の間、動的に無効化されてよい。ある特定の場合において、光検出器アレイ内の光検出器のサブセットは、フローセル内の試料が光源によって照射される期間全体で動的に無効化される。
【0048】
図3は、ある特定の実施形態に係る、調節された光検出器アレイによりフローセル内の試料からの光を別個に検出する光検出システムを示す。フローセル302を流れる試料は、レーザ301からの光で照射される。試料から発する光は、テーパ形状溶融光ファイバコンポーネント303により収集され、複数の光検出器304aを有する光検出器アレイ304に伝播する。光検出器アレイ304(正面視)は、光検出器アレイ304により検出される、レーザ301からの光量を低減するために無効化された光検出器のサブセット304a1を備える。光検出器304a2は完全に有効化されており、フローセル302
から、試料成分からの光を検出するように構成されている。
【0049】
図4は、ある特定の実施形態に係る、有効化及び無効化光検出器を所定のパターンで有する光検出器アレイ400の正面図である。特定のパターンで光検出器を無効化することで、(例えば、入射照射源からの、または試料内の不要な細胞集団からの)不要な光が遮られ得る。光検出器アレイ400は、遮蔽が望まれる光に対応した、所定の明確なパターンで配置された、有効光検出器400aと無効光検出器400bとを備える。
【0050】
対象の光検出器は、収集された光を1個以上の波長、例えば、2個以上の異なる波長、5個以上の異なる波長、10個以上の異なる波長、25個以上の異なる波長、50個以上の異なる波長、100個以上の異なる波長、200個以上の異なる波長、300個以上の異なる波長等で測定するように構成され、さらに、フローストリーム内の試料から放出される光を400個以上の異なる波長で測定することも含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、光検出器は、ある範囲の波長(例えば、200nm~1000nm)にわたって収集された光を測定するように構成されている。特定の実施形態では、対象の光検出器は、ある範囲の波長にわたって光のスペクトルを収集するように構成されている。例えば、システムは、200nm~1000nmの波長範囲のうちの1つまたは複数にわたって光のスペクトルを収集するように構成された1つまたは複数の検出器を含み得る。さらなる他の実施形態では、対象の検出器は、1つまたは複数の特定の波長でフローストリーム内の試料からの光を測定するように構成されている。例えば、システムは、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm及びそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数で光を測定するように構成された1つまたは複数の検出器を含み得る。特定の実施形態では、光検出器は、蛍光分析の試料と共に使用されるもの等の特定のフルオロフォアと対になるように構成してよい。
【0052】
実施形態では、光検出システムは、連続的にまたは離散間隔で光を測定するように構成されている。ある場合には、対象の光検出器は、連続的に収集された光の測定を行うように構成されている。他の例では、当該光検出システムは、離散間隔で、例えば、0.001ミリ秒ごと、0.01ミリ秒ごと、0.1ミリ秒ごと、1ミリ秒ごと、10ミリ秒ごと、100ミリ秒ごと等に光を測定するように構成され、さらに、1000ミリ秒ごとまたは他のいくつかの間隔も含む。
【0053】
試料からの光を測定する対象のシステムは、照射光源を備える。実施形態では、光源は、任意の適切な広帯域または狭帯域光源であってよい。試料内の成分(例えば、細胞、ビーズ、非細胞粒子等)に応じて、光源は、200nmから1500nm、例えば、250nmから1250nm、300nmから1000nm、350nmから900nm等の範囲の可変波長光を放出するように構成されてよく、さらに、400nmから800nmも含む。例えば光源は、200nmから900nmの波長の光を放出する、広帯域光源を含み得る。別の場合には光源は、200nmから900nmの範囲の波長の光を放出する狭帯域光源を含む。例えば、光源は200nmから900nmの範囲の波長の光を放出する狭帯域LED(1nm~25nm)であってよい。いくつかの実施形態では、光源は連続波レーザ等のレーザである。例えば、レーザはヘリウムネオン(HeNe)レーザであってよい。特定の実施形態では、光源は、フローサイトメータ内のレーザである。
【0054】
別の実施形態では、光源は、ハロゲンランプ、ジュウテリウムアークランプ、キセノンアークランプ等のランプ、広帯域連続スペクトルLED、超高輝度発光ダイオード、半導体発光ダイオード、広域スペクトルLED白色光源、マルチLED統合光源等のLED等であるが、これらに限定されない非レーザ光源である。ある場合には、非レーザ光源は、安定化ファイバ結合広帯域光源、白色光源、その他光源、あるいはそれらの任意の組合せであってよい。
【0055】
光源は、試料(例えば、フローサイトメータ内のフローストリーム)から、任意の適切な距離、例えば、0.001mm以上、0.005mm以上、0.01mm以上、0.05mm以上、0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、5mm以上、10mm以上、25mm以上等に配置されてよく、さらに、100mm以上の距離も含む。さらに光源は試料を、(例えば、フローストリームの垂直軸に対して)、例えば、10°~90°、15°~85°、20°~80°、25°~75°等の任意の適切な角度で照射してよく、さらに、30°~60°も含み、例えば90°である。
【0056】
光源は、フローセル内の試料を連続的、または離散間隔で照射するように構成されてよい。ある場合には、システムは、フローサイトメータ内の測定点において、フローストリームを連続的に照射する連続波レーザにより等、試料を連続的に照射するように構成された光源を備える。他の例では、対象のシステムは、試料を離散間隔で、例えば、0.001ミリ秒ごと、0.01ミリ秒ごと、0.1ミリ秒ごと、1ミリ秒ごと、10ミリ秒ごと、100ミリ秒ごと等に照射するように構成されている光源を備え、さらに、1000ミリ秒ごと、またはその他の間隔も含む。ここで、光源が試料を離散間隔で照射するように構成された場合、システムは、光源により試料の間欠的照射を提供するための1つまたは複数の追加のコンポーネントを備えてよい。例えば、これらの実施形態における当該システムは、光源に対して試料を遮断及び曝露するための、1つまたは複数のレーザビームチョッパ、手動またはコンピュータ制御されたビームストップを備えてよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、システムは、フローストリーム内の試料を流すように構成されたフローセルを備える。流体試料を試料測定領域に流す、任意の適切なフローセルを利用してよい。いくつかの実施形態では、フローセルは、長軸を定義する、円筒形近位部と、長軸を横切る、開口部を持つ平坦面で終端する円錐台形先端部とを有する。円筒形近位部の長さ(長軸に沿って測定)は、1mmから15mm、例えば、1.5mmから12.5mm、2mmから10mm、3mmから9mm等の範囲で変化してよく、さらに、4mmから8mmも含む。円錐台形先端部の長さ(長軸に沿って測定)も、1mmから10mm、例えば、2mmから9mm、3mmから8mm等の範囲で変化してよく、さらに、4mmから7mmも含む。フローセルノズルチャンバの直径は、いくつかの実施形態では、1mmから10mm、例えば、2mmから9mm、3mmから8mm等の範囲で変化してよく、さらに、4mmから7mmも含む。
【0058】
ある特定の場合において、フローセルは円筒形部を有さず、フローセル内部チャンバ全体が、円錐台形であってよい。これらの実施形態では、円錐台形内部チャンバの長さ(ノズル開口部を横断する長軸に沿って測定)は、1mmから15mm、例えば、1.5mmから12.5mm、2mmから10mm、3mmから9mm等の範囲で変化してよく、さらに、4mmから8mmも含む。円錐台形内部チャンバの近位部の直径は、1mmから10mm、例えば、2mmから9mm、3mmから8mm等の範囲で変化してよく、さらに、4mmから7mmも含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、試料フローストリームは、フローセルの遠位端における開口部から発する。フローストリームの所望の特性によって、フローセル開口部は、対象の断面形状が、直線で構成された断面形状(例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形等)、曲線の断面形状(例えば、円、楕円形)、または不規則な形状(例えば、放物線形状の底部が、平面的な上部に結合される)を含むが、これらに限定されない任意の形状であってよい。特定の実施形態では、対象のフローセルは、円形開口部を有する。ノズル開口部のサイズは、いくつかの実施形態では、1μmから20000μmの範囲、例えば、2μmから17500μm、5μm15000μm、10μmから12500μm、15μmから10000μm、25μmから7500μm、50μmから5000μm、75μmから1000μm、100μmから750μm等で変化してよく、さらに、150μmから500μmも含む。特定の実施形態では、ノズル開口部は100μmである。
【0060】
いくつかの実施形態では、フローセルは、フローセルに試料を提供するように構成された試料投入口を備える。実施形態において、試料投入システムは、フローセル内室に試料を適宜流すように構成されている。フローストリームの所望の特性に応じて、試料投入口によってフローセル室に運ばれる試料の率は、1μL/分以上、例えば、2μL/分以上、3μL/分以上、5μL/分以上、10μL/分以上、15μL/分以上、25μL/分以上、50μL/分以上等であってよく、さらに、100μL/分以上も含み、ある場合には、試料投入口によってフローセル室に運ばれる試料の率は、1μL/秒以上、例えば、2μL/秒以上、3μL/秒以上、5μL/秒以上、10μL/秒以上、15μL/秒以上、25μL/秒以上、50μL/秒以上等であってよく、さらに、100μL/秒以上も含む。
【0061】
試料投入口は、内室の壁に配置された開口部であってよく、または内室の近位端に配置された導管であってよい。ここで、試料投入口が内室の壁に配置された開口部である場合、試料投入口開口部は、対象の断面形状が、直線で構成された断面形状(例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形等)、曲線の断面形状(例えば、円、楕円形等)、または不規則な形状(例えば、放物線形状の底部が、平面的な上部に結合される)を含むが、これらに限定されない任意の形状であってよい。特定の実施形態では、試料投入口は、円形開口部を有する。試料投入口開口部のサイズは、形状によって異なってよく、ある特定の場合において、0.1mmから5.0mm、例えば、0.2から3.0mm、例えば、0.5mmから2.5mm、0.75mmから2.25mm、1mmから2mm等の範囲の開口を有し、さらに、1.25mmから1.75mmも含み、例えば、1.5mmである。
【0062】
ある特定の場合において、試料投入口は、フローセル内室の近位端に配置された導管である。例えば、試料投入口は、試料投入口の開口部がフローセル開口部に沿うように配置された導管であってよい。ここで、試料投入口がフローセル開口部に沿うように配置された導管である場合、試料投入管の断面形状は、対象の断面形状が、直線で構成された断面形状(例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形等)、曲線の断面形状(例えば、円、楕円形)、または不規則な形状(例えば、放物線形状の底部が、平面的な上部に結合される)を含むが、これらに限定されない任意の形状であってよい。導管の開口部は形状によって異なってよく、特定の場合、0.1mmから5.0mm、例えば、0.2から3.0mm、例えば、0.5mmから2.5mm、0.75mmから2.25mm、1mmから2mm等の範囲の開口部を有し、さらに、1.25mmから1.75mmも含み、例えば、1.5mmである。試料投入口の先端部の形状は、試料投入管の断面形状と同一であっても異なっていてよい。例えば、試料投入口の開口部は、1°から10°、例えば、2°から9°、3°から8°、4°から7°等の範囲の傾斜角を有する傾斜した先端部を備えてよく、さらに、5°の傾斜角も含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、フローセルは、フローセルにシース液を提供するように構成されたシース流体投入口をさらに備える。実施形態では、シース流体投入システムが、試料フローストリームを取り囲むシース流体の積層フローストリームを生成するために、例えば試料と共に、シース流体の流れをフローセル内室に提供するように構成されている。フローストリームの所望の特性によって、フローセル室に運ばれるシース流体の率は、25μL/秒以上、例えば、50μL/秒以上、75μL/秒以上、100μL/秒以上、250μL/秒以上、500μL/秒以上、750μL/秒以上、1000μL/秒以上等であってよく、さらに、2500μL/秒も含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、シース液投入口は、内室の壁に配置された開口部である。シース液投入口開口部は、対象の断面形状が、直線で構成された断面形状(例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形等)、曲線の断面形状(例えば、円、楕円形)、または不規則な形状(例えば、放物線形状の底部が、平面的な上部に結合される)を含むが、これらに限定されない任意の形状であってよい。試料投入口開口部のサイズは形状によって異なってよく、ある特定の場合において、0.1mmから5.0mm、例えば、0.2から3.0mm、例えば、0.5mmから2.5mm、0.75mmから2.25mm、1mmから2mm等の範囲の開口部を有し、さらに1.25mmから1.75mmも含み、例えば、1.5mmである。
【0065】
特定の実施形態では、本システムは、フローストリーム内の試料から放出される光を検出するための上記光検出システムを使用したフローサイトメトリックシステムである。試料を分析するための適切なフローサイトメトリシステム及び方法は、これらに限定されないが、Ormerod(編),Flow Cytometry:A Practical Approach,Oxford Univ.Press(1997)、Jaroszeskiら(編),Flow Cytometry Protocols,Methods in Molecular Biology No.91,Humana Press(1997)、Practical Flow Cytometry,第3版,Wiley-Liss(1995)、Virgoら(2012)Ann Clin Biochem.1月;49(pt 1):17-28、Lindenら,Semin Throm Hemost.2004年10月;30(5):502-11、Alisonら,J Pathol,2010年12月;222(4):335-344、及びHerbigら(2007)Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.24(3):203-255(これらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)で説明されているものを含む。ある特定の場合において、対象のフローサイトメトリシステムは、BD Biosciences FACSCanto(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSVantage(商標)、BD Biosciences FACSort(商標)、BD Biosciences FACSCount(商標)、BD Biosciences FACScan(商標)、及びBD Biosciences FACSCalibur(商標)システム、BD Biosciences Influx(商標)セルソータ、BD Biosciences Aria(商標)セルソータ等を含む。
【0066】
特定の実施形態では、本システムは、米国特許第3,960,449号、第4,347,935号、第4,667,830号、第4,704,891号、第4,770,992号、第5,030,002号、第5,040,890号、第5,047,321号、第5,245,318号、第5,317,162号、第5,464,581号、第5,483,469号、第5,602,039号、第5,620,842号、第5,627,040号、第5,643,796号、第5,700,692号、第6,372,506号、第6,809,804号、第6,813,017号、第6,821,740号、第7,129,505号、第7,201,875号、第7,544,326号、第8,140,300号、第8,233,146号、第8,753,573号、第8,975,595号、第9,092,034号、第9,095,494号、及び第9,097,640号(これらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたフローサイトメータのうちの1つまたは複数のコンポーネントを組み込んだフローサイトメータシステムである。
【0067】
いくつかの実施形態では、光学調整コンポーネント(例えば、デジタルマイクロミラーデバイス)と、検出器(例えば、光検出器アレイ)との内の1つまたは複数が、コンピュータ制御されてよい。これにより、調節される(例えば、有効化、無効化、傾斜、回転等される)マイクロミラーのサブセットまたは光検出器が、完全にまたは部分的に自動化されるように構成されてよい。いくつかの実施形態では、本システムは、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体を有するコンピュータを備え、コンピュータプログラムは、コンピュータにロードされた時点で、デジタルマイクロミラーデバイスの活性面上の1つまたは複数のマイクロミラーの調節(例えば、傾斜、回転、電流印加等による無効化)のための指示を含む。別の実施形態では、本システムは、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体を有するコンピュータを備え、コンピュータプログラムは、コンピュータに展開された時点で、光検出器アレイ内の1つまたは複数の光検出器を(部分的または完全に)有効化または無効化するための指示を含む。
【0068】
本システムは、ハードウェアコンポーネントとソフトウェアコンポーネントとの両方を含み得、ハードウェアコンポーネントは、1つまたは複数のプラットフォームの形態(例えば、サーバの形態)を取ることができ、その結果、機能要素、即ち、システムの特定のタスク(情報の入力及び出力の管理、情報の処理等)を行うシステムのそれらの要素は、システムを表す1つまたは複数のコンピュータプラットフォーム上及び1つまたは複数のコンピュータプラットフォームにわたってソフトウェアアプリケーションを実行することによって実施することができる。
【0069】
システムは、ディスプレイ及びオペレータ入力装置を備えてよい。オペレータ入力装置は、例えば、キーボード、マウスなどであってよい。処理モジュールは、デジタルマイクロミラーデバイスの活性面上の1つまたは複数のマイクロミラーの調節(例えば、傾斜、回転、電流印加等による無効化)のため、または光検出器アレイ内の1つまたは複数の光検出器を(部分的または完全に)有効化または無効化するための指示が記憶されたメモリにアクセス可能なプロセッサを備える。
【0070】
処理モジュールは、オペレーティングシステム、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)コントローラ、システムメモリ、メモリ記憶デバイス、入出力コントローラ、キャッシュメモリ、データバックアップユニット、及び多くの他のデバイスを備えてよい。プロセッサは、市販のプロセッサであってよく、あるいは現在または今後入手可能な他のプロセッサの1つであってよい。プロセッサは、オペレーティングシステムを実行し、オペレーティングシステムは、周知のようにファームウェアとハードウェアとのインタフェースをとり、様々なプログラミング言語、例えば、当技術分野で公知のJava(登録商標)、Perl、C++、他の高水準言語または低水準言語、さらにはそれらの組合せで記述され得る種々のコンピュータプログラムの機能を連携及び実行するプロセッサを支援する。オペレーティングシステムは、典型的には、プロセッサと協同してコンピュータの他のコンポーネントの機能の連携及び実行を行う。オペレーティングシステムはまた、すべて公知の技術に従って、スケジュール管理、入出力制御、ファイル及びびデータ管理、メモリ管理、ならびに通信制御及び関連サービスを提供する。
【0071】
システムメモリは、様々な公知のまたは将来的なメモリ記憶デバイスのいずれであってよい。例としては、任意の一般に入手可能なランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気媒体、例えば、常駐ハードディスクまたはテープ、光学媒体、例えば、読取り及び書込みコンパクトディスク、フラッシュメモリデバイス、または他のメモリ記憶デバイスが挙げられる。メモリ記憶デバイスは、コンパクトディスクドライブ、テープドライブ、リムーバブルハードディスクドライブ、またはディスケットドライブをはじめとする様々な公知のまたは将来的なデバイスのいずれであってよい。かかる種類のメモリ記憶デバイスは、典型的には、プログラム記憶媒体(図示せず)、例えば、それぞれ、コンパクトディスク、磁気テープ、リムーバブルハードディスク、またはフロッピー(登録商標)ディスケットからの読取り及び/またはそれらへの書込みを行う。これらのプログラム記憶媒体または現在使用されている、または今後開発され得る他のものはいずれも、コンピュータプログラム製品とみなされ得る。これらのプログラム記憶媒体は、典型的には、コンピュータソフトウェアプログラム及び/またはデータを記憶することが理解される。コンピュータソフトウェアプログラムは、コンピュータ制御ロジックとも呼ばれ、典型的には、メモリ記憶デバイスと組み合わせて使用されるシステムメモリ及び/またはプログラム記憶デバイスに記憶される。
【0072】
いくつかの実施形態では、コンピュータプログラム製品は、記憶された制御ロジック(プログラムコードを含むコンピュータソフトウェアプログラム)を有するコンピュータ利用可能媒体を含めて記載される。制御ロジックは、プロセッサまたはコンピュータにより実行される場合、本明細書に記載の機能を行うようにプロセッサに命令する。他の実施形態では、いくつかの機能は、例えばハードウェアステートマシンを用いて、主にハードウェアで実行される。本明細書に記載の機能を行うためのハードウェアステートマシンの実行は、関連技術分野の当業者に明らかである。
【0073】
メモリは、プロセッサによるデータの記憶及び取出しが可能な任意の好適なデバイス、例えば、磁気デバイス、光学デバイス、または固体記憶デバイス(例えば、磁気もしくは光学のディスクもしくはテープもしくはRAM、または任意の他の好適な固定型もしくは携帯型のデバイス)であり得る。プロセッサは、必要なプログラムコードを保有するコンピュータ可読媒体から好適にプログラムされる汎用ディジタルマイクロプロセッサを含み得る。プログラミングは、通信チャネルを介して遠隔でプロセッサに提供可能であるか、またはメモリに接続されたデバイスのいずれかを用いてメモリまたは何らかの他の携帯型もしくは固定型のコンピュータ可読記憶媒体等のコンピュータプログラム製品にあらかじめ保存可能である。例えば、磁気または光学ディスクは、プログラミングを保有し得るとともに、ディスクライター/リーダーにより読取り可能である。本発明に係るシステムはまた、プログラミング、例えば、上述の本方法の実施に使用されるアルゴリズムをコンピュータプログラム製品の形態で含む。本発明に係るプログラミングは、コンピュータ可読媒体、例えば、コンピュータによる読取り及び直接アクセスが可能な任意の媒体に記録され得る。かかる媒体としては、磁気記憶媒体、例えば、フロッピーディスク(登録商標)、ハードディスク記憶媒体、及び磁気テープ、光記憶媒体、例えば、CD-ROM、電気記憶媒体、例えば、RAM及びROM、ポータブルフラッシュドライブ、及びこれらのカテゴリーのハイブリッド、例えば、磁気/光学記憶媒体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
プロセッサはまた、遠隔地のユーザと通信するために通信チャネルを利用し得る。遠隔地とは、ユーザがシステムに直接触れることなく、広域ネットワーク(「WAN」)、電話回線網、衛星ネットワーク、または任意の他の好適な通信チャネル、たとえば携帯電話(すなわちスマートフォン)に接続されたコンピュータ等の外部デバイスから入力情報を入力マネージャーに中継することを意味する。
【0075】
いくつかの実施形態では、本開示に係るシステムは、通信インタフェースを備えるように構成され得る。いくつかの実施形態では、通信インタフェースは、ネットワーク及び/または他のデバイスと通信するためのレシーバ及び/またはトランスミッタを含む。通信インタフェースは、有線または無線の通信用として、例えば、限定されるものではないが、無線周波数(RF)通信(例えば、無線周波数識別(RFID)、Zigbee(登録商標)通信プロトコル、WiFi、赤外線、無線ユニバーサルシリアルバス(USB)、ウルトラワイドバンド(UWB)、Bluetooth(登録商標)通信プロトコル及びセルラー通信、例えば、符号分割多重アクセス(CDMA)またはモバイル通信グローバルシステム(GSM(登録商標))用として構成可能である。
【0076】
一実施形態では、通信インタフェースは、当該システムと、類似の補完的データ通信用として構成されたコンピュータ端末等の他の外部デバイス(例えば、診療所または病院環境)とのデータ通信を可能にするように、1つまたは複数の通信ポート、例えば、物理的ポートまたはインタフェース、例えば、USBポート、RS-232ポート、または任意の他の好適な電気接続ポートを含むように構成されている。
【0077】
一実施形態では、通信インタフェースは、当該システムと、他のデバイス、たとえば、コンピュータ端末及び/またはネットワーク、通信可能携帯電話、パーソナルディジタルアシスタント、またはHIV、AIDS、貧血等の健康状態の治療を管理でユーザが組み合わせて使用し得る任意の他の通信デバイスとが通信可能になるように、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)通信、または任意の他の好適な無線通信プロトコル用として構成されている。
【0078】
一実施形態では、通信インタフェースは、携帯電話ネットワーク、ショートメッセージサービス(SMS)、インターネットに接続されたローカルエリアネットワーク(LAN)上のパーソナルコンピュータ(PC)への無線接続、またはWiFiホットスポットでインターネットへのWiFi接続を介して、インターネットプロトコル(IP)を利用してデータ転送するための接続を提供するように構成されている。
【0079】
一実施形態では、本システムは、通信インタフェースを介して、例えば、802.11またはBluetooth(登録商標)RFプロトコルまたはIrDA赤外プロトコル等の共通規格を用いて、サーバデバイスと無線通信するように構成されている。サーバデバイスは、他のポータブルデバイス、例えば、スマートフォン、パーソナルディジタルアシスタント(PDA)、もしくはノートブックコンピュータ、またはより大型のデバイス、例えば、デスクトップコンピュータ、機器等であり得る。いくつかの実施形態では、サーバデバイスは、ディスプレイ、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、さらには、入力デバイス、例えば、ボタン、キーボード、マウス、またはタッチスクリーンを有する。
【0080】
いくつかの実施形態では、通信インタフェースは、上述の通信プロトコル及び/または機構のうちの1つまたは複数を用いて、本システム、例えば、任意選択のデータ記憶ユニットに記憶されたデータを、ネットワークまたはサーバデバイスと自動または半自動で通信するように構成されている。
【0081】
出力コントローラは、人間または機械にかかわらず、ローカルまたはリモートにかかわらず、ユーザに情報を提示するために、様々な公知の表示デバイスのいずれかに対するコントローラを含み得る。表示デバイスの1つが視覚情報を提供する場合、この情報は、典型的には、画素のアレイとして論理的及び/または物理的に組織化され得る。グラフィカルユーザインタフェース(GUI)コントローラは、システムとユーザとの間のグラフィカル入出力インタフェースを提供するために、及び、ユーザ入力を処理するために、様々な公知のまたは将来的なソフトウェアプログラムのいずれかを含み得る。コンピュータの機能エレメントは、システムバスを介して互いに通信し得る。これらの通信のいくつかは、ネットワークまたは他の種類の遠隔通信を用いて、代替的実施形態で達成され得る。出力マネージャーはまた、公知の技術に従って、例えば、インターネット、電話、または衛星ネットワークを用いて、処理モジュールにより生成された情報を遠隔地のユーザに提供し得る。出力マネージャーによるデータの提示は、様々な公知の技術に従って実行され得る。いくつかの例として、データは、SQL、HTML、XML文書、電子メールもしくは他のファイル、または他の形態のデータを含み得る。ユーザが遠隔供給元から追加のSQL、HTML、XML、または他の文書またはデータを取り出し得るように、データはインターネットURLアドレスを含み得る。当該システムに存在する1つまたは複数のプラットフォームは、任意の種類の公知のコンピュータプラットフォームまたは将来開発される種類のものであり得るが、それらは、典型的には、一般にサーバと呼ばれるクラスのコンピュータである。しかしながら、それらはまた、メインフレームコンピュータ、ワークステーション、または他のコンピュータの種類であり得る。それらは、ネットワークまたは他の形で接続された無線システムを含めて任意の公知のまたは将来的なタイプのケーブルまたは他の通信システムを介して接続され得る。それらは同位置であっても物理的に離されていてよい。選択されるコンピュータプラットフォームの種類及び/またはメーカーにおそらく依存して、種々のオペレーティングシステムがコンピュータプラットフォームのいずれかで利用され得る。適切なオペレーティングシステムとしては、Windows(登録商標)NT、Windows XP、Windows 7、Windows 8、iOS、Sun Solaris、Linux(登録商標)、OS/400、Compaq Tru64 Unix(登録商標)、SGI IRIX、Siemens Reliant Unix等が挙げられる。
【0082】
[照射された試料からの光を別個に検出する方法]
本開示の態様はさらに、(例えば、フローサイトメータ内のフローストリーム内の)試料からの光を別個に検出する方法も含む。実施形態の方法の実施において、試料を光源により照射し、上述の光検出システムにより試料からの光を検出する。いくつかの実施形態では、試料は生体試料である。「生体試料」という用語は、全生物、植物、菌類、または、ある特定の場合において、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄液、羊水、羊膜帯血液、尿、膣液及び精液中に見られる動物の組織、細胞もしくは構成要素のサブセットを指すために従前の意味で使用される。したがって、「生体試料」は、自然の生物またはその組織のサブセットと、生物またはその組織のサブセットから準備されたホモジネート、溶解物または抽出成分との両方を指し、例えば、血漿、血清、髄液、リンパ液、皮膚の一部、気道、胃腸管、心臓血管及び尿生殖路、涙、唾液、乳、血液細胞、腫瘍、臓器を含むが、これらに限定されない。生体試料は、任意の種類の生物組織でもあってよく、健常組織と病変組織(例えば、癌性、悪性、壊死性のもの等)との両方を含む。特定の実施形態では、生体試料は、血液またはその派生物(例えば、血漿、涙、尿、精液等)等の液体試料であり、ある場合には、試料は、静脈穿刺または指先穿刺から得られた血液などの血液全体を含む血液試料である(血液は、分析前に、防腐剤または抗凝血剤などの試薬と組み合わせても、組み合わせなくてもよい)。
【0083】
特定の実施形態では、試料の調達源は、「哺乳動物(mammal)」または「哺乳類(mammalian)」であり、これらの用語は、食肉目(order carnivore)(例えば、犬及び猫)、齧歯目(order rodentia)(例えば、マウス、モルモット、及びラット)、ならびにサル目(order primates)(例えば、ヒト、チンパンジー、及びサル)を含む、哺乳綱(class mammalia)内の生物について説明するために幅広く使用される。ある場合には、被検者はヒトである。方法は、両方の性別及び任意の発育段階(即ち、新生児、乳幼児、小児、青年、成人)のヒトの被検者から得られた試料に適用されてよく、特定の実施形態では、ヒトの被検者は、小児、青年または成人である。本発明はヒトの被検者からの試料に適用されてよく、方法は、鳥、マウス、ラット、犬、猫、家畜、及び馬等を含むが、これらに限定されない他の動物対象(すなわち、「ヒト以外の対象」)からの試料に対しても実行できることを理解されたい。
【0084】
当該方法は、(例えばフローサイトメータのフローストリーム内の)試料を光源からの光で照射することで実施される。いくつかの実施形態では、光源は、例えば、50nm以上に及ぶもの、例えば、100nm以上、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上、350nm以上、400nm以上等の広範囲の波長を有する光を放出する広帯域光源であり、さらに、500nm以上に及ぶものも含む。例えば、ある適切な広帯域光源は、200nmから1500nmの波長を有する光を放射する。適切な広帯域光源の別の例は、400nmから1000nmの波長を有する光を放射する光源を含む。方法が広帯域光源によって照射することを含む場合、対象の広帯域光源プロトコルは、これらに限定されないが、他の広帯域光源の中で特に、ハロゲンランプ、ジュウテリウムアークランプ、キセノンアークランプ、安定化ファイバ結合広帯域光源、連続スペクトルを有する広帯域LED、スーパールミネセンス発光ダイオード、半導体発光ダイオード、広スペクトルLED白色光源、複数のLEDが統合された白色光源、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
【0085】
他の実施形態では、方法は、例えば、50nm以下のような狭範囲の波長の光を放射する光源(例えば、40nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、5nm以下、2nm以下等、特定の波長の光(即ち、単色光)を放射する光源を含む)によって、特定の波長または狭範囲の波長を放射する狭帯域光源によって照射することを含む。方法が狭帯域光源によって照射することを含む場合、対象の狭帯域光源プロトコルは、これらに限定されないが、1つもしくは複数の光学バンドパスフィルタ、回折格子、もしくはモノクロメータと結合された、狭範囲の波長のLED、レーザダイオード、もしくは広帯域光源、または、それらの任意の組合せを含み得る。
【0086】
特定の実施形態では、方法は、1つまたは複数のレーザによって試料に照射することを含む。上記で論じられるように、レーザの種類及び数は、試料及び収集される所望の光に応じて異なり、ヘリウムネオンレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、キセノンレーザ、窒素レーザ、CO2レーザ、COレーザ、アルゴンフッ素(ArF)エキシマレーザ、クリプトンフッ素(KrF)エキシマレーザ、キセノン塩素(XeCl)エキシマレーザ、キセノンフッ素(XeF)エキシマレーザ、またはそれらの組合せ等のガスレーザであり得る。他の例では、方法は、スチルビン、クマリン、またはローダミンレーザ等の色素レーザによってフローストリームに照射することを含む。さらなる他の例では、方法は、ヘリウムカドミウム(HeCd)レーザ、ヘリウム水銀(HeHg)レーザ、ヘリウムセレニウム(HeSe)レーザ、ヘリウム銀(HeAg)レーザ、ストロンチウムレーザ、ネオン銅(NeCu)レーザ、銅レーザ、金レーザ、及びそれらの組合せ等の金属蒸気レーザによってフローセル内の試料に照射することを含む。さらに他の例では、方法は、ルビーレーザ、Nd:YAGレーザ、NdCrYAGレーザ、Er:YAGレーザ、Nd:YLFレーザ、Nd:YVO4レーザ、Nd:YCa4O(BO3)3レーザ、Nd:YCOBレーザ、チタニウムサファイアレーザ、ツリウムYAGレーザ、イッテルビウムYAGレーザ、イッテルビウムYb2O3レーザ、またはセリウムドープレーザ、及びそれらの組合せ等の固体レーザによってフローストリームに照射することを含む。
【0087】
試料は、上記で述べられる光源のうちの1つまたは複数、例えば、2つ以上の光源、3つ以上の光源、4つ以上の光源、5つ以上の光源等によって照射されてよく、さらに、10個以上の光源も含む。光源は、光源の種類の任意の組合せを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、方法は、1つまたは複数のガスレーザ、1つまたは複数の色素レーザ、及び1つまたは複数の固体レーザを有するアレイなど、レーザのアレイによってフローストリーム内の試料に照射することを含む。
【0088】
試料は、200nmから1500nm、例えば、250nmから1250nm、300nmから1000nm、350nmから900nm等の範囲の波長で照射されてよく、さらに、400nmから800nmも含む。例えば、光源が広帯域光源である場合、試料は、200nmから900nmの波長で照射されてよい。他の例では、光源が複数の狭帯域光源を含む場合、試料は、200nmから900nmの範囲の特定の波長で照射されてよい。例えば、光源は、複数の狭帯域LED(1nmから25nm)であってよく、各々が200nmから900nmの波長の範囲を有する光を独立して放出する。他の実施形態では、狭帯域光源は、1つまたは複数のレーザ(レーザアレイ等)を含み、試料は、上述のガスレーザ、エキシマレーザ、色素レーザ、金属蒸気レーザ、及び固体レーザを有するレーザアレイによって、200nmから700nmの範囲の特定の波長で照射される。
【0089】
2つ以上の光源が使用される場合、試料は、光源によって同時に、順番に、またはそれらの組合せで照射されてよい。例えば、試料は、両方の光源によって同時に照射されてよい。他の実施形態では、フローストリームは、両方の光源によって順番に照射される。試料を順番に照射するため2つ以上の光源が使用される場合、各光源が試料に照射する時間は、独立して、0.001マイクロ秒以上、例えば、0.01マイクロ秒以上、0.1マイクロ秒以上、1マイクロ秒以上、5マイクロ秒以上、10マイクロ秒以上、30マイクロ秒以上等であってよく、さらに、60マイクロ秒以上も含む。例えば、方法は、0.001マイクロ秒から100マイクロ秒、例えば、0.01マイクロ秒から75マイクロ秒、0.1マイクロ秒から50マイクロ秒、1マイクロ秒から25マイクロ秒、さらに、5マイクロ秒から10マイクロ秒の間、光源(例えば、レーザ)によって試料に照射することを含んでよい。試料が2つ以上の光源によって順番に照射される実施形態では、各光源によって試料が照射される時間は、同じであっても、異なっていてよい。
【0090】
また、各光源による照射間の時間は所望のとおり異なっていてよく、独立して、0.001マイクロ秒以上、例えば、0.01マイクロ秒以上、0.1マイクロ秒以上、1マイクロ秒以上、5マイクロ秒以上、10マイクロ秒以上、15マイクロ秒以上、30マイクロ秒以上等の遅延によって隔てられてよく、さらに、60マイクロ秒以上も含む。例えば、各光源に照射間の時間は、0.001マイクロ秒から60マイクロ秒、例えば、0.01マイクロ秒から50マイクロ秒、0.1マイクロ秒から35マイクロ秒、1マイクロ秒から25マイクロ秒等であってよく、さらに、5マイクロ秒から10マイクロ秒も含む。特定の実施形態では、各光源による照射間の時間は、10マイクロ秒である。試料が順番に2つを超える(即ち、3つ以上の)光源によって照射される実施形態では、各光源による照射間の遅延は、同じであっても、異なっていてよい。
【0091】
試料は、連続的にまたは離散間隔で照射されてよい。ある場合には、方法は、光源によって連続的に試料中の試料に照射することを含む。別の場合には、試料は、光源により、例えば、0.001ミリ秒ごと、0.01ミリ秒ごと、0.1ミリ秒ごと、1ミリ秒ごと、10ミリ秒ごと、100ミリ秒ごと等の離散間隔で照射され、さらに、1000ミリ秒ごと、または他のいくつかの間隔も含む。
【0092】
光源に応じて、試料は、0.01mm以上、例えば、0.05mm以上、0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、2.5mm以上、5mm以上、10mm以上、15mm以上、25mm以上等の異なる距離から照射されてよく、さらに、50mm以上も含む。また、照射角度も、10°から90°、例えば、15°から85°、20°から80°、25°から75°等の範囲で異なってよく、さらに、30°から60°も含み、例えば、90°の角度である。
【0093】
上述のように、実施形態において、照射された試料からの光は、本明細書に記載のように光検出システムに運ばれ、1つまたは複数の光検出器により測定される。ある特定の実施形態に係る本方法の実施において、フローセル内の試料から光を光学調整コンポーネントに伝播する。特定の実施形態では、光学調整コンポーネントは、光の光路、方向、集光またはコリメート等、1つまたは複数の光の特性を光学的に変化するために利用される。光学調整コンポーネントは、非限定的に、レンズ(例えば、集光、対物、拡大等)、コリメータ、ミラー(例えば、ダイクロイックミラー)、スリット、ピンホール、フィルタ(例えば、バンドパス、干渉)、回折格子、モノクロメータ、その他の種類の光学調整コンポーネントを含み得る。いくつかの実施形態では、試料から発する光は、テーパ形状の溶
融光ファイバコンポーネント等の溶融光ファイバコンポーネントに伝播される。いくつかの実施形態において、溶融光ファイバコンポーネントは、溶融光ファイバ束と検出器表面との間のゲル等の光伝導材料により、検出器に結合される。
【0094】
いくつかの実施形態において、方法は、複数のマイクロミラーがデジタルマイクロミラーデバイス活性面上に設けられた、デジタルマイクロミラーデバイス等の光マイクロマシン(MOEMS)に、試料からの光を伝播することを含む。いくつかの実施形態において、照射された試料からの光を別個に検出するため、方法はさらに、複数のマイクロミラーのうちの1つまたは複数を、マイクロミラーの傾斜、回転、または無効化により調節することを含む。調節されたミラーの反射率が、1%以上、例えば、2%以上、3%以上、5%以上、10%以上、15%以上、25%以上、50%以上、75%以上、90%以上、95%以上、97%以上、99%以上等低減され、さらに、マイクロミラーの反射率が100%低減されることも含むように、マイクロミラーが調節されてよい。
【0095】
これらの実施形態において、デジタルマイクロミラーデバイスのマイクロミラーのサブセットが調節されてよい。本方法の実施において、調節されるマイクロミラーの数は、デジタルマイクロミラーデバイスのサイズ及び遮られることが望まれる光の量に応じて可変であり、10個以上、25個以上、50個以上、100個以上、250個以上、500個以上、1000個以上、2500個以上等であってよく、さらに、5000個以上も含む。上述したように、フローセル内の試料からの光を別個に検出するために調節されるマイクロミラーのサブセットは、デジタルマイクロミラーデバイスの活性面上のマイクロミラーの総数に対して、5%から75%、例えば、10%から70%、15%から65%、20%から60%等であってよく、さらに、デジタルマイクロミラーデバイスの活性面上のマイクロミラーの総数に対して25%から50%も含む。調節されるマイクロミラーのサブセットは、デジタルマイクロミラーデバイス活性面上で、例えば直線で構成されたパターン(例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形等)、曲線パターン(例えば、円、楕円形)、または非対称パターン、不規則なパターン(例えば、放物線形状の底部が、平面的な上部に結合される)等の1つまたは複数の所定のパターンの形態をとってよい。他の実施形態において、方法は、試料からの光を別個に検出するため、デジタルマイクロミラーデバイスにわたった1つまたは複数のマイクロミラーの列を調節することを含む。
【0096】
いくつかの実施形態において、マイクロミラーのサブセットを調節するため、方法は各マイクロミラーを傾斜して、ミラーの所望の反射率を低減することを含む。各マイクロミラーは、デジタルマイクロミラーデバイスの表面に対して、5°から15°、例えば、6°から14°、7°から13°等傾斜されてよく、さらに、デジタルマイクロミラーデバイスの表面に対して8°から12°傾斜されることも含む。別の実施形態では、方法はマイクロミラーのサブセットを、当該ミラーのサブセットによる所望の反射率を低減するために回転させることを含む。各マイクロミラーは、5°から15°、例えば、6°から14°、7°から13°等回転されてよく、さらに、8°から12°回転されることも含む。さらに別の実施形態では、方法は、デジタルマイクロミラーデバイス上のマイクロミラーのサブセットを無効化(電気的に無効化)することを含む。マイクロミラーのサブセットの無効化のために、マイクロミラーの反射率を低減するかなくすために十分な電流をマイクロミラーのサブセットに印加する等、任意の適切なプロトコルを用いてよい。例えば、印加する電流は、マイクロミラーのサブセットの反射率を、50%以上、例えば、75%以上、90%以上、95%以上、97%以上、99%以上等低減するために十分であってよく、さらに、マイクロミラーのサブセットの反射率を100%低減することも含む。
【0097】
特定の実施形態では、方法は、異なる複数の種類の細胞を有する試料等の試料内の、異なる粒子からの光を区別するようにデジタルマイクロミラーデバイスの活性面上のマイクロミラーのサブセットを調節することを含む。ある場合には、方法は、試料内の不要な細胞集団、細胞片、不純物または非細胞成分からの散乱光等の、試料の不要な成分からの光を遮るように、マイクロミラーのサブセットを傾斜、回転、または無効化することを含む。例えば、具体的に試料内の2つの異なる細胞集団を特徴付けることが望まれる場合、方法は、デジタルマイクロミラーデバイスのうち、試料内の不要な細胞集団からの光に対応するマイクロミラーを調節(例えば、傾斜、回転、または無効化)し、デジタルマイクロミラーデバイスのマイクロミラーの内、所望の細胞集団からの光に対応するマイクロミラーを有効に維持することを含む。方法は、複数の異なる細胞集団を有する試料内において、1個以上の異なる細胞集団(例えば、2個以上の異なる細胞集団、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上等、さらに、複数の異なる細胞集団を有する試料内の10個以上の異なる細胞集団も含む)を特徴付けることを含んでよい。
【0098】
別の実施形態では、方法は、不要の光(例えば、入射照射光)を検出器表面に伝播しないように遮るため、デジタルマイクロミラーデバイス上のマイクロミラーのサブセットを調節することを含む。例えば、デジタルマイクロミラー表面にわたった1つまたは複数の列あるいは所定のパターンまたは形状の形態で、光を遮るように、マイクロミラーのサブセットが傾斜、回転、または無効化されてよい。
【0099】
本方法の実施において、デジタルマイクロミラーデバイスの活性面上のマイクロミラーのサブセットは、マイクロミラーの内の1つまたは複数が、例えば、0.001μs以上、例えば、0.01μs以上、0.1μs以上、0.5μs以上、1μs以上、5μs以上、10μs以上、25μs以上、50μs以上、100μs以上、500μs以上、さらに、1000μs以上等の所望の期間、傾斜、回転、または無効化されるように動的に調節される。特定の実施形態では、デジタルマイクロミラーデバイスの活性面上のマイクロミラーのサブセットは長時間の間、例えば、1秒以上、5秒以上、10秒以上、15秒以上、30秒以上、60秒以上、120秒以上、240秒以上、360秒以上、480秒以上、さらに、600秒以上等の間、動的に調節される。ある特定の場合において、方法は、マイクロミラーのサブセットを、フローセル内の試料が光源によって照射される期間全体で動的に調節することを含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、方法は、光検出器アレイにより、試料からの光を別個に検出することを含む。上述のように、光検出器アレイは、4個以上の光検出器、例えば、10個以上の光検出器、25個以上の光検出器、50個以上の光検出器、100個以上の光検出器、250個以上の光検出器、500個以上の光検出器、750個以上の光検出器等の複数の光検出器を含んでよく、さらに、1000個以上の光検出器も含む。光検出器アレイにより別個に光を検出するため、光検出器アレイの異なる領域が異なる光検出を行うように構成されるように、光検出器のサブセットが(例えば、可逆的または不可逆的に)無効化されてよい。方法は、サブセット内の複数の光検出器のうちの1つまたは複数を完全に無効化することを含んでよい。別の実施形態では、方法はサブセット内の複数の光検出器のうちの1つまたは複数を部分的に無効化することを含んでよい。例えば、方法は、アレイの特定領域の光検出器が低減した光量を検出するように構成されるように、複数の光検出器のうちの1つまたは複数を部分的にまたは完全に無効化することを含んでよい。即ち、光検出器が、特定領域の当該光検出器の表面にあたる光の95%以下、例えば、90%以下、85%以下、75%以下、50%以下、25%以下、10%以下、5%以下、3%以下、1%以下、さらに、0.1%以下等を検出する。アレイ内の光検出器の数に応じて、方法は、光検出器アレイ内の光検出器の5%以上、例えば、10%以上、25%以上、50%以上、75%以上、さらに、90%以上等を無効化する。無効化される光検出器は、光検出器アレイ内で、例えば直線で構成されたパターン(例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形等)、曲線パターン(例えば、円、楕円形)、または非対称パターン、不規則なパターン(例えば、放物線形状の底部が、平面的な上部に結合される)等、1つまたは複数の所定のパターンの形態をとってよい。別の実施形態では、方法は、光検出器アレイにわたった1つまたは複数の列に沿った、光検出器のサブセットを無効化すること含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、方法は、試料内の異なる細胞から発せられる光等、試料内の異なる粒子からの光を区別するように、光検出器アレイ内の光検出器のサブセットを無効化することを含む。これらの実施形態では、方法は、試料内の不要な細胞集団、細胞片、不純物、または非細胞成分からの散乱光等、試料の不要な成分からの光を遮るように、光検出器のサブセットを部分的または完全に無効化することを含む。例えば、具体的に試料内の2つの異なる細胞集団を特徴付けることが望まれる場合、光検出器アレイ内の、これらの細胞集団からの光に対応する光検出器のみを有効化し、光検出器アレイ内のその他の光検出器を無効化することで、試料内のその他不要な細胞集団から発する光を遮ってよい。
【0102】
別の実施形態では、方法は、不要な光を光検出器アレイが検出しないように遮るため、光検出器アレイ内の光検出器のサブセットを無効化することを含む。例えば、方法は、照射光源からの入射光を検出器が検出しないように遮るため、光検出器のサブセットを部分的または無効化することを含んでよい。これらの実施形態においては、方法は、光検出器アレイにわたる1つまたは複数の列の形態をとる光検出器のサブセットを部分的または完全に無効化してよい。この形態は、照射光源からの散乱光またはその他形式の遮られない入射光に対応する。
【0103】
光検出器アレイ内の、各有効光検出器の表面にあたる光は、1個以上の異なる波長、5個以上の異なる波長、10個以上の異なる波長、25個以上の異なる波長、50個以上の異なる波長、100個以上の異なる波長、200個以上の異なる波長、300個以上の異なる波長等で測定されてよく、さらに、400個以上の異なる波長で収集された光を測定することも含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、方法はある範囲の波長(例えば、200nmから1000nm)にわたって検出された光を測定することを含む。例えば、方法は、200nmから1000nmの波長範囲のうちの1つまたは複数にわたって光のスペクトルを収集することを含んでよい。さらに別の実施形態では、方法は、1つまたは複数の特定の波長から収集した光を測定することを含む。例えば、収集された光は、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm及びそれらの任意の組合せの内の1つまたは複数で測定されてよい。
【0105】
検出光は、連続的にまたは離散間隔で測定されてよい。ある場合には、方法は、光の測定値を連続的に取得することを含む。別の場合では、光は、離散間隔で測定され、例えば、0.001ミリ秒ごと、0.01ミリ秒ごと、0.1ミリ秒ごと、1ミリ秒ごと、10ミリ秒ごと、100ミリ秒ごと等に光を測定し、さらに、1000ミリ秒ごとまたは他のいくつかの間隔も含む。
【0106】
収集された光の測定値は、本方法において、1回以上取得されてよく、例えば、2回以上、3回以上、5回以上、さらに10回以上も含む。特定の実施形態では、光の伝播は、2回以上測定され、場合によってはそのデータの平均をとってよい。
【0107】
キット
本発明の態様はキットをさらに含む。キットはフローストリーム内で試料を流すように構成されたフローセルと、光学調整コンポーネント(例えば、ビームスプリッタ、コリメートレンズ、ミラー、波長セパレータ、ピンホール等)と、上述したようにスキャッタバー無しで、フローストリームからの光を別個に検出するように構成された検出器ユニットとを備える。いくつかの実施形態において、本キットは、テーパ形状溶融光ファイバ束等の光ファイバを含む。別の実施形態では、キットはデジタルマイクロミラーデバイスを含んでよい。さらに別の実施形態では、キットは、アバランシェフォトダイオードアレイ等の光検出器アレイを含んでよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、キットは、消化酵素成分または緩衝液等の流体成分を備える。例示的な緩衝液としては、数ある緩衝溶液タイプの中でも特に、限定されないが、PBS(リン酸塩)緩衝液、酢酸塩緩衝液、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(ビシン)緩衝液、3-{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}プロパンスルホン酸(TAPS)緩衝液、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)緩衝液、クエン酸塩緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トリス)緩衝液、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン(トリシン)緩衝液、3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)緩衝液、4-2-ヒドロキシエチル-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)緩衝液、2-{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}エタンスルホン酸(TES)緩衝液、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)緩衝液、ジメチルアルシン酸(カコジル酸塩)緩衝液、生理食塩水クエン酸ナトリウム(SSC)緩衝液、2(R)-2-(メチルアミノ)コハク酸(コハク酸)緩衝液、リン酸カリウム緩衝液、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸(CHES)緩衝液を挙げることができる。ある特定の場合において、流体成分は、サイトメータグレード溶液である。
【0109】
さらに他の実施形態では、キットは標識試薬組成物を含む。例えば、標識試薬組成物は、フルオロフォア、発色団、酵素、酸化還元標識、放射標識、音響標識、ラマン(SERS)タグ、質量タグ、同位元素タグ、磁性粒子、マイクロ粒子及びナノ粒子、またはそれらの組合せが含まれ得る。ある場合には、標識試薬は、フルオロフォア、発色団、酵素、酸化還元標識、放射標識、音響標識、ラマン(SERS)タグ、質量タグ、同位元素タグ、磁性粒子、マイクロ粒子及びナノ粒子、またはそれらの組合せによって標識された、ポリペプチド、核酸、多糖等の標識生体分子を含む。
【0110】
キットの様々なアッセイコンポーネントは、別々の容器中にあってよく、またはそれらの一部もしくは全てが予め組み合わせられていてよい。例えば、ある場合には、キットの1つまたは複数のコンポーネント、例えば、フローセル、デジタルマイクロミラーデバイス、光検出器アレイは、密封されたポーチ、例えば滅菌フォイルポーチまたは包装材料の中に含まれる。
【0111】
上記のコンポーネントに加えて、当該キットは、本方法を実施するための説明書を(ある特定の実施形態では)さらに含んでよい。これらの説明書は、様々な形態で当該キットに含めてよく、そのうちの1つまたは複数がキット内に含まれてよい。これらの説明書が提供され得る1つの形態としては、キットのパッケージ、添付文書等で、適切な媒体または基板(例えば、情報が印刷される1枚または複数枚の紙)上に印刷された情報が挙げられる。これらの説明書のさらにもう1つの形態としては、当該情報が記録されているコンピュータ可読媒体、例えば、ディスケット、コンパクトディスク(CD)、ポータブルフラッシュドライブ等が挙げられる。これらの説明書の提供され得るさらにもう1つの形態としては、インターネットを介してリモートサイトの情報にアクセスするために使用され得るウェブサイトアドレスが挙げられる。
【0112】
利用性
フローセル内の試料から光を別個に検出するための当該集光システムは、様々な用途において使用される。特定の実施形態では、当該集光システムは、試料からの光(例えば、フローサイトメータのフローストリーム内の試料からの蛍光または散乱光)の測定を強化するために使用される。本開示の実施形態は、研究、ハイスループット実験室試験等、フローサイトメトリにおける放射光及び散乱光測定の有効性を向上させることが望まれる場合に使用される。また、本開示は、細胞分取精度の改善、粒子収集の強化、エネルギー消費量の低減、粒子荷電効率、より精度が高い粒子荷電及び細胞分取の間の粒子偏向の強化をフローサイトメータに提供することが望ましい場合に使用される。
【0113】
また、本開示は、生体試料から準備された細胞が、研究及び実験室試験に対してまたは治療における使用に対して望まれる可能性がある用途においても使用される。いくつかの実施形態では、当該方法及びデバイスは、目標流体または組織の生体試料から準備された個々の細胞を得ることを容易にすることができる。例えば、当該方法及びシステムは、癌等の病気のための研究または診断用試料として使用される予定の流体または組織試料から細胞を得ることを容易にする。同様に、当該方法及びシステムは、治療で使用される予定の流体または組織試料から細胞を得ることを容易にする。本開示の方法及びデバイスにより、従来のフローサイトメトリシステムと比較して、強化された効率と低コストとで、生体試料(例えば、器官、組織、組織片、流体)からの細胞の分離及び収集が可能になる。
【0114】
添付の請求項にもかかわらず、本開示は、以下の付記によっても定義される。
1.フローストリーム内で試料を流すように構成されたフローセルと、
フローセル内の試料を照射するように構成された光源と、
スキャッタバー無しで、フローセルからの光を別個に検出するように構成された検出器ユニットと
を備える、システム。
2.検出器ユニットは、検出器を含む、付記1に記載のシステム。
3.検出器は、検出器アレイを含む、付記2に記載のシステム。
4.検出器アレイは、フォトダイオードのアレイを含む、付記3に記載のシステム。
5.検出器ユニットは、アレイ内のフォトダイオードのサブセットを無効化することで、フローストリームからの光を別個に検出するように構成されている、付記4に記載のシステム。
【0115】
6.無効化されたフォトダイオードのサブセットは、所定のパターンを形成する、付記5に記載のシステム。
7.無効化されたフォトダイオードのサブセットは、フォトダイオードアレイにわたった1つまたは複数の列を形成する、付記6に記載のシステム。
8.無効化されたフォトダイオードのサブセットは、対称パターンまたは非対称パターンを形成する、付記6に記載のシステム。
9.無効化されたフォトダイオードのサブセットは、対称パターンを形成する、付記8に記載のシステム。
10.無効化されたフォトダイオードのサブセットは、非対称パターンを形成する、付記8に記載のシステム。
【0116】
11.フォトダイオードのサブセットの無効化は可逆的である、付記5~10のいずれか一つに記載のシステム。
12.上記フォトダイオードのサブセットの無効化は不可逆的である、付記5~10のいずれか一つに記載のシステム。
13.検出器ユニットは、光学調整コンポーネントを含み、
検出器ユニットは、光学調整コンポーネントまたは検出器の1つまたは複数のコンポーネントを調節することで、フローストリームからの光を別個に検出する、付記1に記載のシステム。
14.光学調整コンポーネントは溶融光ファイバコンポーネントを含み、検出器は検出器アレイを含む、付記13に記載のシステム。
15.溶融光ファイバコンポーネントは、テーパ形状の溶融光ファイバ束を含む、付記14に記載のシステム。
【0117】
16.検出器ユニットはさらに、溶融光ファイバコンポーネントと検出器アレイとの間に配置された光伝導材料を含む、付記14または15に記載のシステム。
17.光伝導材料は、ゲルを含む、付記16に記載のシステム。
18.光伝導材料は、屈折率整合ゲルを含む、付記17に記載のシステム。
19.光学調整コンポーネントは、1つまたは複数のレンズを含む、付記13に記載のシステム。
20.検出器アレイは、フォトダイオードのアレイを含む、付記13~19のいずれか一つに記載のシステム。
【0118】
21.検出器ユニットは、アレイ内のフォトダイオードのサブセットを無効化することで、フローストリームからの光を別個に検出するように構成されている、付記20に記載のシステム。
22.無効化されたフォトダイオードのサブセットは、所定のパターンを形成する、付記21に記載のシステム。
23.無効化されたフォトダイオードのサブセットは、フォトダイオードアレイにわたった1つまたは複数の列を形成する、付記22に記載のシステム。
24.無効化されたフォトダイオードのサブセットは、対称パターンまたは非対称パターンを形成する、付記22に記載のシステム。
25.無効化されたフォトダイオードのサブセットは、対称パターンを形成する、付記24に記載のシステム。
【0119】
26.無効化されたフォトダイオードのサブセットは、非対称パターンを形成する、付記24に記載のシステム。
27.フォトダイオードのサブセットの無効化は可逆的である、付記21~26のいずれか一つに記載のシステム。
28.フォトダイオードのサブセットの無効化は不可逆的である、付記21~26のいずれか一つに記載のシステム。
29.光学調整コンポーネントは、光マイクロマシンを含む、付記13に記載のシステム。
30.光学調整コンポーネントは、デジタルマイクロミラーデバイスを含む、付記29に記載のシステム。
【0120】
31.検出器システムは、デジタルマイクロミラーデバイス上のミラーのサブセットを調節することで、フローストリームからの光を別個に検出するように構成されている、付記30に記載のシステム。
32.検出器システムは、デジタルマイクロミラーデバイス上のミラーのサブセットを傾斜することで、フローストリームからの光を別個に検出するように構成されている、付記31に記載のシステム。
33.検出器システムは、デジタルマイクロミラーデバイス上のミラーのサブセットを無効化することで、フローストリームからの光を別個に検出するように構成されている、付記31に記載のシステム。
34.ミラーのサブセットは、電気的に無効化される、付記33に記載のシステム。
35.無効化されたミラーのサブセットは、所定のパターンを形成する、付記33または34に記載のシステム。
【0121】
36.無効化されたミラーのサブセットは、デジタルマイクロミラーデバイスにわたった1つまたは複数の列を形成する、付記33~35のいずれか一つに記載のシステム。
37.無効化されたミラーのサブセットは、対称パターンまたは非対称パターンを形成する、付記33~36のいずれか一つに記載のシステム。
38.無効化されたミラーのサブセットは、対称パターンを形成する、付記37に記載のシステム。
39.無効化されたミラーのサブセットは、非対称パターンを形成する、付記37に記載のシステム。
40.システムはフローサイトメータである、付記1~39のいずれか一つに記載のシステム。
【0122】
41.光源により、フローストリーム内の試料を含むフローセルを照射することと、
スキャッタバー無しで、フローセルからの光を別個に検出するように構成された検出器ユニットにより、上記フローセルからの光を検出することと
を含む、方法。
42.検出器ユニットは、検出器を含む、付記41に記載の方法。
43.検出器は、検出器アレイを含む、付記42に記載の方法。
44.検出器アレイは、フォトダイオードのアレイを含む、付記43に記載の方法。
45.アレイ内のフォトダイオードのサブセットを無効化することをさらに含む、付記44に記載の方法。
【0123】
46.上記フォトダイオードのサブセットを所定のパターンの形態で無効化することを含む、付記45に記載の方法。
47.フォトダイオードアレイにわたった1つまたは複数の無効化されたフォトダイオードの列を形成するようにフォトダイオードを無効化することを含む、付記46に記載の方法。
48.対称パターンまたは非対称パターンを形成するようにフォトダイオードを無効化することを含む、付記46に記載の方法。
49.無効化されたフォトダイオードのサブセットは、対称パターンを形成する、付記48に記載の方法。
50.無効化されたフォトダイオードのサブセットは、非対称パターンを形成する、付記48に記載の方法。
【0124】
51.無効化されたフォトダイオードのうちの1つまたは複数を再度有効化することをさらに含む、付記45~50のいずれか一つに記載の方法。
52.検出器ユニットは、光学調整コンポーネントと、検出器とを含み、
光学調整コンポーネントまたは検出器の1つまたは複数のコンポーネントを調節することをさらに含む、付記51に記載の方法。
53.光学調整コンポーネントは溶融光ファイバコンポーネントを含み、検出器は検出器アレイを含む、付記52に記載の方法。
54.溶融光ファイバコンポーネントは、テーパ形状の溶融光ファイバ束を含む、付記53に記載の方法。
55.検出器ユニットはさらに、溶融光ファイバコンポーネントと検出器アレイとの間に配置された光伝導材料を含む、付記52~54のいずれか一つに記載の方法。
【0125】
56.光伝導材料は、ゲルを含む、付記55に記載の方法。
57.光伝導材料は、屈折率整合ゲルを含む、付記56に記載の方法。
58.光学調整コンポーネントは、1つまたは複数のレンズを含む、付記52に記載の方法。
59.検出器アレイは、フォトダイオードのアレイを含む、付記53~57のいずれか一つに記載の方法。
60.アレイ内のフォトダイオードのサブセットを無効化することをさらに含む、付記59に記載の方法。
【0126】
61.フォトダイオードのサブセットを所定のパターンの形態で無効化することを含む、付記60に記載の方法。
62.フォトダイオードアレイにわたった1つまたは複数の無効化されたフォトダイオードの列を形成するようにフォトダイオードを無効化することを含む、付記61に記載の方法。
63.フォトダイオードアレイ上に無効化されたフォトダイオードの対称パターンまたはフォトダイオードアレイ上に無効化されたフォトダイオードの非対称パターンを形成するようにフォトダイオードを無効化することを含む、付記61に記載の方法。
64.無効化されたフォトダイオードのサブセットは、対称パターンを形成する、付記63に記載の方法。
65.無効化されたフォトダイオードのサブセットは、非対称パターンを形成する、付記63に記載の方法。
【0127】
66.無効化されたフォトダイオードのうちの1つまたは複数を再度有効化することをさらに含む、付記60~65のいずれか一つに記載の方法。
67.光学調整コンポーネントは、光マイクロマシンを含む、付記52に記載の方法。
68.光学調整コンポーネントは、デジタルマイクロミラーデバイスを含む、付記52に記載の方法。
69.デジタルマイクロミラーデバイス上のミラーのサブセットを調節することをさらに含む、付記68に記載の方法。
70.調節することは、デジタルマイクロミラーデバイス上のミラーのサブセットを傾斜することを含む、付記69に記載の方法。
【0128】
71.調節することは、デジタルマイクロミラーデバイス上のミラーのサブセットを無効化することを含む、付記69に記載の方法。
72.デジタルマイクロミラーデバイス上のミラーのサブセットは、電気的に無効化される、付記71に記載の方法。
73.マイクロミラーのサブセットを所定のパターンの形態で無効化することを含む、付記71または72に記載の方法。
74.デジタルマイクロミラーデバイスにわたった1つまたは複数の無効化されたマイクロミラーの列を形成するようにマイクロミラーを無効化することを含む、付記71~73のいずれか一つに記載の方法。
75.デジタルマイクロミラーデバイス上の無効化されたマイクロミラーの対称パターンまたは非対称パターンを形成するようにマイクロミラーを無効化することを含む、付記71~74のいずれか一つに記載の方法。
【0129】
76.デジタルマイクロミラーデバイス上の無効化されたマイクロミラーの対称パターンを形成するようにマイクロミラーを無効化することを含む、付記75に記載の方法。
77.デジタルマイクロミラーデバイス上の無効化されたマイクロミラーの非対称パターンを形成するようにマイクロミラーを無効化することを含む、付記75に記載の方法。
78.無効化されたマイクロミラーのうちの1つまたは複数を再度有効化することをさらに含む、付記71~77のいずれか一つに記載の方法。
79.光学調整コンポーネントまたは検出器の1つまたは複数のコンポーネントを、光源により試料を照射する前に調節する、付記42~78のいずれか一つに記載の方法。
80.光学調整コンポーネントまたは検出器の1つまたは複数のコンポーネントを、光源により試料を照射しながら調節する、付記42~78のいずれか一つに記載の方法。
【0130】
81.試料は細胞を備える、付記41~80のいずれか一つに記載の方法。
82.試料中の1つまたは複数の異なる種類の細胞集団を特定することをさらに含む、付記81に記載の方法。
83.フローストリーム内で試料を流すように構成されたフローセルと、
光学調整コンポーネントと、
スキャッタバー無しで、フローセルからの光を別個に検出するように構成された検出器ユニットと
を備える、キット。
84.検出器ユニットは、光学調整コンポーネントと、検出器とを備え、
検出器ユニットは、光学調整コンポーネントまたは検出器の1つまたは複数のコンポーネントを調節することで、フローセルからの光を別個に検出する、付記83に記載のキット。
85.光学調整コンポーネントは、溶融光ファイバコンポーネントを含む、付記84に記載のキット。
【0131】
86.光学調整コンポーネントは、テーパ形状の溶融光ファイバ束を含む、付記85に記載のキット。
87.光学調整コンポーネントは、デジタルマイクロミラーデバイスを含む、付記84に記載のキット。
88.検出器ユニットは、検出器アレイを含む、付記84~87のいずれか一つに記載のキット。
89.検出器アレイは、フォトダイオードのアレイを含む、付記88に記載のキット。
【0132】
前述した発明は、理解を明確にする目的で例示及び例として多少詳細に説明してきたが、当業者であれば、この開示の教示を踏まえて、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、発明に対してある変更または修正を行うことができることが容易に明らかである。
【0133】
それに従って、前述した記載は、単に、本発明の原理を示す。当業者は、本明細書で明示的に説明されても示されてもいないが、本発明の原理を具体化する様々な構成を考案することができ、それらの構成はその精神及び範囲内に含まれることが理解される。その上、本明細書に記載の全ての例、条件語句は、主に、本発明の原理及び発明者によって技術の進歩に寄与された概念を理解する上で読者を支援することを意図し、そのような具体的な記載の例及び条件に対する限定がないものと解される。その上、本発明の原理、態様及び実施形態ならびにそれらの特定の例について記載する本明細書のすべての言明は、それらの構造上の均等物と機能上の均等物との両方を包含することを意図する。それに加えて、そのような均等物は、現在知られている均等物と将来開発される均等物との両方(即ち、構造にかかわらず、同じ機能を実行する、開発された任意の要素)を含むことを意図する。さらに、本明細書に開示されたものはいずれも、そのような開示が特許請求の範囲に明示されているか否かにかかわらず、公衆に提供されたものではない。
【0134】
したがって、本発明の範囲は、本明細書で示され説明される例示的な実施形態に限定されることを意図しない。むしろ、本発明の範囲及び精神は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。請求項について、米国特許法第112条(f)または米国特許法第112条(6)の規定は、「の手段」または「のステップ」という用語が請求項における限定の始めに言及された場合に限って、請求項における当該限定に対して該当すると明確に定義されており、これらの用語が請求項における限定に用いられていない場合、米国特許法第112条(f)または第112条(6)の規定に該当しない。
【0135】
[関連出願の相互参照]
米国特許法第119条(e)に基づいて、本願は、2018年1月23日に出願された米国仮特許出願第62/620,916号明細書の出願日の優先権を主張し、同出願の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。