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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175981
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】注射針
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/158 20060101AFI20231205BHJP
   A61M 5/34 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
A61M5/158 500H
A61M5/34 500
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023175669
(22)【出願日】2023-10-11
(62)【分割の表示】P 2022007719の分割
【原出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中川 雅之
(57)【要約】
【課題】注射針において、エックス線透視装置による透視観察下で適切に穿刺を行うとともに、術者の被曝を抑えるようにする。
【解決手段】注射針1は、針管11と、この針管11を支持する針管基12と、この針管基12から針管11の径方向に単一の方向のみへ突出する挟持部31とを備える。この挟持部31は、エックス線透視装置201による透視観察下で穿刺が行われる場合に術者の指101,102で、針管11の長手方向D1(上下方向)及び挟持部31の突出方向D2(右方向)とは異なる方向(前後方向)から挟み込んで挟持可能な1対の挟持面31b,31cを有する。挟持部31は、エックス線の透過のしやすさが針管11に用いられる金属と同等又はより高く、針管11の長手方向D1及び挟持部31の突出方向D2に平行に拡がる硬質材料からなる板状部材である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針管と、
前記針管を支持する針管基と、
前記針管基から前記針管の径方向に単一の方向のみへ突出する挟持部とを備え、
前記挟持部は、エックス線透視装置による透視観察下で穿刺が行われる場合に術者の指で、前記針管の長手方向及び前記挟持部の突出方向とは異なる方向から挟み込んで挟持可能な1対の挟持面を有し、
前記挟持部は、エックス線の透過のしやすさが前記針管に用いられる金属と同等又はより高く、前記針管の前記長手方向及び前記挟持部の前記突出方向に平行に拡がる硬質材料からなる板状部材である
ことを特徴とする注射針。
【請求項2】
前記挟持部は、前記針管の前記長手方向に直交する方向において前記針管の針先の先端とは90度異なる方向に突出する
ことを特徴とする請求項1記載の注射針。
【請求項3】
針管と、
前記針管を支持する針管基と、
前記針管基から前記針管の径方向である、右方向、左方向、前方向、及び後方向の4方向に突出する挟持部とを備え、
前記挟持部は、エックス線透視装置による透視観察下で穿刺が行われる場合に術者の指で、前記針管の長手方向及び前記挟持部の突出方向とは異なる方向から挟み込んで挟持可能な4対の挟持面を有し、
前記挟持部は、エックス線の透過のしやすさが前記針管に用いられる金属と同等又はより高く、前記針管の前記長手方向及び前記挟持部の前記突出方向に平行に拡がる硬質材料からなる4枚の板状部材である
ことを特徴とする注射針。
【請求項4】
前記挟持部は、前記針管の前記長手方向における前記針管の針先とは反対側の端部において、前記針管基から離れるほど前記挟持部の前記突出方向に近づくように湾曲する湾曲部分を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の注射針。
【請求項5】
前記挟持部は、前記針管基の四角筒形状の連結部分の外側に嵌め込まれて配置される四角筒形状の連結部分を有し、
前記挟持部の前記連結部分には、当該挟持部を前記針管基に対して着脱自在とするための切り欠きが設けられている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の注射針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、エックス線透視装置による透視観察下で穿刺が行われる注射針に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、痛む神経の周辺や神経そのものに痛みを和らげる薬液を注入する神経ブロックという注射の治療が行われている。この神経ブロックに用いられる注射針としては、例えば、針管先端を目標部位に到達させるために、先端部を湾曲形状に可変可能とした可変式注射針が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、上述の可変式注射針とは異なり可変式でない注射針を用いる場合であっても、注射針が適切な位置に到達しているかどうかや、造影剤の拡がりを確認するために、エックス線透視装置やCT(Computed Tomography)が使用されている。術者(医者)は、例えば、エックス線透視装置による撮像画像を見ながら適切な位置に針先が到達するように注射針の穿刺を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-314570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようにエックス線透視装置による透視観察下で穿刺を行う場合、術者は、注射針のうち針管を支持する針管基を挟持することになるため、エックス線透視装置の撮像画像に術者の指が入り込む。これにより、針管の針先の位置を確認しながら穿刺を行うことが困難になり、適切に穿刺を行うことができなくなる。また、術者にエックス線被曝が生じる。なお、エックス線透視装置の放射線量は、術者の指が撮像画像に入り込むことによって多くなるため、術者のみならず患者にもエックス線の被曝量が増えることになる。
【0006】
本発明の目的は、エックス線透視装置による透視観察下で適切に穿刺を行うことができるとともに、術者の被曝を抑えることができる注射針を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、注射針は、針管と、前記針管を支持する針管基と、前記針管基から前記針管の径方向に突出する挟持部とを備える。前記挟持部は、前記針管の長手方向及び前記挟持部の突出方向とは異なる方向から挟み込んで挟持可能な1対の挟持面を有する。
【発明の効果】
【0008】
前記態様によれば、エックス線透視装置による透視観察下で適切に穿刺を行うことができるとともに、術者の被曝を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施の形態に係る注射針を示す正面図である。
図2】一実施の形態における針管を示す正面図である。
図3】一実施の形態における内針を示す正面図である。
図4】一実施の形態における挟持部を示す正面図である。
図5】一実施の形態における挟持部を示す平面図である。
図6】一実施の形態におけるエックス線透視装置による透視観察下で行われる穿刺を説明するための斜視図である。
図7】比較例に係る注射針の挟持方法を説明するための斜視図(その1)である。
図8】比較例に係る注射針の挟持方法を説明するための斜視図(その2)である。
図9】比較例におけるレントゲン画像を示す図(その1)である。
図10】比較例におけるレントゲン画像を示す図(その2)である。
図11】一実施の形態に係る注射針の挟持方法を説明するための斜視図(その1)である。
図12】一実施の形態に係る注射針の挟持方法を説明するための斜視図(その2)である。
図13】一実施の形態におけるレントゲン画像を示す図(その1)である。
図14】一実施の形態におけるレントゲン画像を示す図(その2)である。
図15】一実施の形態に係る注射針の他の挟持方法を説明するための斜視図(その1)である。
図16】一実施の形態に係る注射針の他の挟持方法を説明するための斜視図(その2)である。
図17】一実施の形態の第1変形例における挟持部を示す平面図である。
図18】一実施の形態の第2変形例における挟持部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態に係る注射針について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る注射針1を示す正面図である。
【0012】
図2図4は、それぞれ、針管11、内針21、及び挟持部31を示す正面図である。
【0013】
図5は、挟持部31を示す平面図である。
【0014】
なお、図1図5並びに後述する図17及び図18に示す上下、前後、及び左右の各方向は、針管11の長手方向D1を上下方向(針先11aが下側)とし、挟持部31の突出方向D2を右方向とした場合の説明の便宜上の一例である。
【0015】
図1に示す注射針1は、針管11と、針管基12と、内針21(図3参照)と、内針基22と、挟持部31とを備える医療用注射針であり、例えば、エックス線透視装置による透視観察下における神経ブロック治療に用いられる。
【0016】
図2に示す針管11は、薬剤を注入するために円筒形状を呈し、針先11aの先端が後部側に位置するように針先11aが傾斜している。
【0017】
針管基12は、針管11を支持する。例えば、針管基12は、針管11の根本側(上端)の針管11の大径部分において、針管11を支持する。針管基12は、例えば、円筒形状部分と、針管11の長手方向D1における円筒形状部分の中央外側に設けられた四角筒形状の連結部分12aとを有する。この連結部分12aには、後述する挟持部31が連結される。一例ではあるが、連結部分12aは、平面視における1辺の長さが針管基12の円筒形状部分よりも長い。また、連結部分12aは、上部にいくほど平面視における1辺の長さが長くなっている。連結部分12aの上端のフランジ部分の前部には、針先11aの先端(後部側)とは反対側(前部側)であることを表す凹部12bが設けられている。
【0018】
図3に示す内針21は、穿刺時の針管11の内部への組織等の侵入を防止するために、針管11の内部に挿入される。内針21は、針管11と同様に、針先21aの先端が後部側に位置するように針先21aが傾斜している。
【0019】
内針基22は、例えば、内針21の根本側(上端)において、内針21を支持する。内針基22は、例えば四角筒形状を呈する。内針基22の下端の前部には、針先21aの先端(後部側)とは反対側(前部側)であることを表す凸部22aが設けられている。この凸部22aは、上述の針管基12の凹部12bに挿入される。このように内針基22の凸部22aが針管基12の凹部12bに挿入されることによって、針管11の針先11aと内針21の針先21aとで先端(後部側)の向きが一致する。
【0020】
図4及び図5に示す挟持部31は、針管基12から、針管11の径方向(前後左右方向)の一例として右方向(突出方向D2)に突出する。挟持部31は、例えば、針管11の長手方向D1(上下方向)及び突出方向L2(右方向)に平行に拡がる板状部材である。挟持部31の材質は任意であるが、プラスチックなどの硬質材料からなるとよい。また、挟持部31の単位厚さ当たりのエックス線の透過のしやすさは、針管11などに用いられる金属と同等、又は、より高いものが望ましい。なお、挟持部31の突出方向D2は、針管11及び内針21の針先11a,21aの先端(後部側)とは90度異なる方向(図4及び図5に示すように右側、或いは、その反対に左側)であるとよい。
【0021】
挟持部31は、連結部分31aと、挟持面31b,31cと、湾曲部分31dとを有する。
【0022】
連結部分31aは、例えば四角筒形状を呈し、針管基12の連結部分12aの外側に嵌め込まれて配置される。連結部分31aの左側中央部分には、挟持部31を針管基12に対して着脱自在とするための切り欠きが設けられている。連結部分31aは、この切り欠きが例えば術者の手で拡げられた状態で連結部分12aに対して着脱される。このように挟持部31が針管基12に対して着脱自在である場合には、挟持部31を既存の注射針の針管基12に後から装着することが可能となるとともに、穿刺状態において針管11の向きを回転させるときに挟持部31を任意の向きに後から付け替えることが可能となる。なお、挟持部31は、針管基12に一体に設けられていてもよい。その場合には、連結部分31aの切り欠きは不要となる。
【0023】
前部側の挟持面31b及び後部側の挟持面31cは、挟持部31を、針管11の長手方向D1及び挟持部31の突出方向D2とは異なる(例えば直交する)方向(前後方向)から挟み込んで挟持可能な1対の挟持面31b,31cを構成する。そのため、1対の挟持面31b,31cは、術者の指で挟持可能な面積以上(例えば、1cm×1cm以上)の平面形状又は曲面形状に形成されているとよい。また、挟持部31の突出方向D2における針管基12からの長さは、例えば、術者の手がレントゲン画像に入らない又は針管11に重ならないための最小サイズが2cm、操作性が損なわれない最大サイズが15cmとして、望ましくは2cm以上、さらに望ましくは2cm以上15cm以下であり、4cm以上7cm以下が好ましい。
【0024】
湾曲部分31dは、針管11の長手方向D1における針管11の針先11aとは反対側(上側)の挟持部31の端部(上端)に位置し、針管基12から離れるほど挟持部31の突出方向D2に近づくように湾曲する。換言すると、針管11の長手方向D1における湾曲部分31dの位置は、針管基12から離れるほど上方への傾斜が緩やかになる。なお、挟持部31の下端は、右方向に水平に延び、挟持部31の先端(右端)は、上下方向に鉛直に延びる。
【0025】
図6は、本実施の形態におけるエックス線透視装置201による透視観察下で行われる穿刺を説明するための斜視図である。
【0026】
図6に示すように、術者は、エックス線透視装置201により患者の患部(図6では腰)の撮像画像をモニタ202で確認しながら手100で注射針1を挟持しながら穿刺を行うことで、神経ブロック治療を行う。
【0027】
ここで、比較例について説明する。本比較例では、本実施の形態に係る注射針1から挟持部31を取り外した注射針を比較例に係る注射針2として説明する。
【0028】
図7及び図8は、比較例に係る注射針2の挟持方法を説明するための斜視図である。
【0029】
図9及び図10は、比較例におけるレントゲン画像P21,P22を示す図である。
【0030】
上述のエックス線透視装置201による透視観察下で比較例に係る注射針2の穿刺を行う場合、術者は、図7及び図8に示すように、手100の親指101と人差し指102とで針管基12(図8参照)を挟持する。
【0031】
この場合、図9及び図10に示すレントゲン画像P21,P22に手100が黒い影として入り込む。図10に示すように、注射針2を患部に対して垂直に穿刺する方が針を進めやすいが、このようにすると針管11の針先11aが手100によって隠れて見えなくなってしまう。なお、図9及び図10に示すレントゲン画像P21,P22では、針管基12や内針基22は、例えばプラスチックによって形成されることによって表れない。
【0032】
図11及び図12は、本実施の形態に係る注射針1の挟持方法を説明するための斜視図である。
【0033】
図13及び図14は、本実施の形態におけるレントゲン画像P11,P12を示す図である。
【0034】
上述のエックス線透視装置201による透視観察下で本実施の形態に係る注射針1の穿刺を行う場合、術者は、図11及び図12に示すように、手100の親指101と人差し指102とで挟持部31を挟持する。
【0035】
この場合、針管基12と手100との間に隙間ができるため、図13及び図14に示すレントゲン画像P11,P12に手100が入り込まない。また、図14に示すように、注射針1を患部に対して垂直に穿刺しても、レントゲン画像P11,P12に針管11の全体が表れる。なお、図13及び図14に示すレントゲン画像P11,P12では、図9及び図10に示すレントゲン画像P21,P22と同様に、針管基12や内針基22は、例えばプラスチックによって形成されることによって表れない。
【0036】
なお、上述の説明では、挟持部31の1対の挟持面31b,31cが手100の親指101と人差し指102とで挟持される挟持方法について説明したが、図15及び図16に示す他の挟持方法を採ることも可能である。
【0037】
図15及び図16は、注射針1の他の挟持方法を説明するための斜視図である。
【0038】
図15及び図16に示すように、術者は、手100の親指101と中指103とで挟持部31を挟持する。また、術者は、人差し指102を挟持部31の上部の湾曲部分31dに添える。なお、図15及び図16では、プロテクタ41によって針管11が覆われた状態の注射針1を示す。
【0039】
図17は、本実施の形態の第1変形例における挟持部32を示す平面図である。
【0040】
図17に示す挟持部32は、針管基12から針管11の径方向(前後左右方向)の一例として右方向及び左方向の両側に突出する。挟持部32は、例えば、針管11の長手方向(上下方向)及び突出方向(右方向及び左方向)に平行に拡がり、連結部分32aにおいて連結された2枚の板状部材である。
【0041】
挟持部32は、連結部分32aと、2対の挟持面32b,32cと、2つの湾曲部分32dとを有する。挟持部32の各部については、図4及び図5に示す挟持部31の各部と同様である。
【0042】
連結部分32aは、四角筒形状を呈し、針管基12の連結部分12aの外側に嵌め込まれて配置される。連結部分32aの前側中央部分には、挟持部32を針管基12に対して着脱自在とするための切り欠きが設けられている。連結部分32aは、この切り欠きが例えば術者の手で拡げられた状態で連結部分12aに対して着脱される。なお、本第1変形例においても、挟持部32は、針管基12に一体に設けられていてもよい。その場合には、連結部分32aの切り欠きは不要となる。
【0043】
前部側の挟持面32b及び後部側の挟持面32cは、挟持部32を、針管11の長手方向(上下方向)及び挟持部32の突出方向(右方向及び左方向)とは異なる方向(前後方向)から挟み込んで挟持可能な2対の挟持面32b,32cを構成する。
【0044】
図18は、本実施の形態の第2変形例における挟持部33を示す平面図である。
【0045】
図18に示す挟持部33は、針管基12から針管11の径方向(前後左右方向)の一例として右方向、左方向、前方向、後方向の4方向に突出する。挟持部33は、例えば、針管11の長手方向(上下方向)及び突出方向(右方向、左方向、前方向、及び後方向)に平行に拡がり、連結部分33aにおいて連結された4枚の板状部材である。
【0046】
挟持部33は、連結部分33aと、4対の挟持面33b,33cと、4つの湾曲部分33dとを有する。挟持部33の各部については、図4及び図5に示す挟持部31の各部と同様である。
【0047】
連結部分33aは、例えば針管基12に一体に設けられている。連結部分33aは、四角筒形状を呈するが、針管基12の連結部分12aの外側に嵌め込むための切り欠きは設けられていない。但し、連結部分33aにも、挟持部33を針管基12に対して着脱自在とするための切り欠きが設けられていてもよい。
【0048】
4対の挟持面32b,32cは、挟持部33を、針管11の長手方向(上下方向)及び挟持部33の突出方向(右方向、左方向、前方向、及び後方向)とは異なる方向から挟み込んで挟持可能な4対の挟持面33b,33cを構成する。
【0049】
以上説明した本実施の形態では、注射針1は、針管11と、この針管11を支持する針管基12と、この針管基12から針管11の径方向(例えば右方向)に突出する挟持部31とを備える。この挟持部31は、針管11の長手方向D1(例えば上下方向)及び挟持部31の突出方向D2(例えば右方向)とは異なる方向(例えば前後方向)から挟み込んで挟持可能な1対の挟持面31b、31cを有する。
【0050】
これにより、エックス線透視装置201による透視観察下で穿刺を行う場合、術者は、注射針1の挟持部31を挟持することができるため、術者の手100と針管基12との間に隙間を確保することができる。そのため、術者が針管基12を挟持する場合(図7図10の比較例参照)と比較して、図13及び図14に示すようにエックス線透視装置201のレントゲン画像P11,P12に手100が入り込むのを回避することができる。したがって、針管11の位置が見えなくなるのを回避して針管11の位置を確認しながら適切に穿刺を行うことができるとともに、術者にエックス線被曝が生じるのを抑制することができる。
【0051】
更には、挟持部31の1対の挟持面31b,31cは、針管11の長手方向D1(上下方向)及び挟持部31の突出方向D2(右方向)とは異なる方向(前後方向)から挟み込んで挟持可能であるため、針管11の針先11aの感覚(例えば、組織や血管などへの侵入時の感覚)が術者の手100に伝わりやすくなる。ところで、本実施の形態とは異なり、例えば、針管11の長手方向D1に直交する平面状に拡がる挟持部を備える注射針(図示せず)を用いて穿刺を行う場合、針管11の長手方向D1に挟持部を挟持することになる。そのため、針管11の針先11aの感覚が術者の指に伝わりにくくなる。したがって、挟持部31の挟持方向の観点でも、適切に穿刺を行うことができる。
【0052】
以上より、本実施の形態によれば、エックス線透視装置201による透視観察下で適切に穿刺を行うことができるとともに、術者の被曝を抑えることができる。なお、エックス線透視装置201の放射線量は、比較例のように術者の手100がレントゲン画像P21,P22に入り込むことによって多くなるため、本実施の形態のように術者の手100がレントゲン画像P11,P12に入り込むのを回避することで、術者のみならず患者にもエックス線の被曝量が増えるのを回避することができる。
【0053】
また、本実施の形態では、挟持部31は、針管11の長手方向D1(例えば上下方向)における針管11の針先11aとは反対側(例えば上側)の端部(例えば上端)において、針管基12から離れるほど挟持部31の突出方向D2(例えば右方向)に近づくように湾曲する湾曲部分31dを有する。これにより、術者は、図11及び図12に示すように挟持面31b,31cを手100の親指101と人差し指102とで挟持する挟持方法に限らず、図15及び図16に示すように挟持面31b,31cを手100の親指101と中指103とで挟持しながら人差し指102を湾曲部分31dに添える挟持方法をも採用することができる。したがって、術者が穿刺のしやすい挟持方法を実行することで、より適切に穿刺を行うことができる。
【0054】
また、本実施の形態では、挟持部31は、針管11の長手方向D1(例えば上下方向)及び挟持部31の突出方向D2(例えば右方向)に平行に拡がる板状部材である。これにより、簡素な構成で、術者が挟持部31を挟持することができる。
【0055】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、上述の実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0056】
1 注射針
2 注射針(比較例)
11 針管
11a 針先
12 針管基
12a 連結部分
12b 凹部
21 内針
21a 針先
22 内針基
22a 凸部
31,32,33 挟持部
31a,32a,33a 連結部分
31b,31c,32b,32c,33b,33c 挟持面
31d,32d,33d 湾曲部分
41 プロテクタ
100 手
101 親指
102 人差し指
103 中指
201 エックス線透視装置
202 モニタ
D1 長手方向(針管)
D2 突出方向(挟持部)
P11,P12 レントゲン画像
P21,P22 レントゲン画像(比較例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18