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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023175997
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】農作業機の作業方法
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/32 20060101AFI20231205BHJP
   A01B 35/04 20060101ALI20231205BHJP
   A01B 33/02 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
A01B35/32
A01B35/04 E
A01B33/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023176580
(22)【出願日】2023-10-12
(62)【分割の表示】P 2020153065の分割
【原出願日】2020-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】甲地 重春
(72)【発明者】
【氏名】戸舘 裕紀
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業後の状態を判断しながら制御するために走行機体と連携することが可能な農作業の作業方法を提供する。
【解決手段】進行に伴って作業後の土壌に溝を形成する溝形成部23と、溝を撮影可能に設けた撮影装置31と、撮影装置31によって撮影した溝41の形状に関する情報に基づいて、走行機体11に備えた動作部(第1動作部=走行機体11の昇降装置14(3点リンク)、第2動作部=走行機体11のPTO軸13からなるPTO装置、第3動作部=走行機体11の走行装置12)を動作可能に設けた走行機体制御部と相互通信可能な制御部とを有した農作業機21であって、制御部が撮影装置31からの画像情報に基づいた画像処理によって前記溝41の長さを測定した測定値を得る工程と、測定値と、予め設定した溝41の溝長であるおよび予め設定した許容値を加算した合算値とを比較判断する工程と、を含む農作業機の作業方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行に伴って作業後の土壌に溝を形成する溝形成部と、
前記溝を撮影可能に設けた撮影装置と、
前記撮影装置によって撮影した溝の形状に関する情報に基づいて、走行機体に備えた動作部を動作可能に設けた走行機体制御部と相互通信可能な制御部とを有した農作業機であって、
前記制御部が前記撮影装置からの画像情報に基づいた画像処理によって前記溝の長さを測定した測定値を得る工程と、
前記測定値と、予め設定した溝の溝長である設定値および予め設定した許容値を加算した合算値とを比較判断する工程と、
を含む農作業機の作業方法。
【請求項2】
前記測定値が前記合算値より大きいと判断した場合に前記走行機体に第1動作指示をする工程と、
を含む請求項1に記載の農作業機の作業方法。
【請求項3】
前記第1動作指示ののち前記走行機体が第1動作の指示限界である場合は第2動作指示を行う工程と、
を含む請求項2に記載の農作業機の作業方法。
【請求項4】
前記測定値が前記合算値より大きくないと判断した場合に、前記測定値と、予め設定した溝の溝長である設定値から予め設定した許容値を差し引いた別合算値とを比較判断する工程と、
を含む請求項1に記載の農作業機の作業方法。
【請求項5】
前記測定値が前記別合算値より大きいと判断した場合に前記走行機体に別の第1動作指示をする工程と、
を含む請求項4に記載の農作業機の作業方法。
【請求項6】
前記別の第1動作指示ののち前記走行機体が別の第1動作の指示限界である場合は別の第2動作指示を行う工程と、
を含む請求項5に記載の農作業機の作業方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、農作業機の作業方法に係る。
【背景技術】
【0002】
走行機体に装着して土壌を耕耘あるいは砕土可能な農作業機を、適正な耕耘状態にするために走行機体が有する昇降装置を動作させる機構について、特許文献1の「耕耘機の制御装置」、及び、特許文献2の「作業機の自動制御システム」で提唱されている。
特許文献1「耕耘機の制御装置」には、ロータリ耕耘装置が有する後カバーの回動角度を対地高さとして検出するカバーセンサで得られた検出情報を基にして、走行機体が備える昇降装置を動作させる機構が記載されている。
【0003】
特許文献2「作業機の自動制御システム」に記載の機構は、走行機体及びこれに装着される作業機を横側面及び前後から望める他の場所にカメラを設置し、このカメラで得られた画像を基に演算計測することによって、走行機体に装着される作業機を昇降させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8―214602号公報
【特許文献2】特開2007-61042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
元来、土壌を耕耘あるいは砕土する作業機は、作業を行う圃場の状態に合わせて、適宜、走行機体を操作することが望ましい。走行機体の操作とは、作業機が装着される昇降装置の昇降動作のみならず、走行速度、作業機側への動力取り出し軸であるPTO回転数等、多岐にわたる。
【0006】
特許文献1「耕運機の制御装置」に記載の機構は、「制御装置18には、強制昇降制御手段18Dの制御作動によりロータリ耕耘装置3を耕深設定位置から上昇限界位置まで強制的に上昇させる場合におけるロータリ耕耘装置3の上昇速度を、図3に示すようにカバーセンサS3からの検出情報に基づいて調節する上昇速度制御手段18Eが制御プログラムとして備えられている。」ものであって(特許文献1[0024])、カバーセンサによって走行機体の昇降装置を動作させるのみなので、耕耘後及び砕土後の土壌状態を考慮した制御はされていなかった。
【0007】
特許文献2「作業機の自動制御システム」に記載の機構は、「上記制御作動と同時にトラクタ本機1の車輪沈下量や機体の前後ピッチング姿勢が、撮影した画像の解析によって演算計測され、取得されたこれらの情報が上記自動耕深制御を実行する上での制御量や制御速度を補償する情報として制御装置17に伝送され、応答性の向上やハンチング防止などに活用される。」(特許文献2[0030])、「耕耘装置2を後方から撮影した画像(図5参照)を解析して、耕耘装置2の左右方向での絶対傾斜角度や地表面GLに対する相対傾斜角度、などが演算計測される。」(特許文献2[0032])、「撮像装置41には、撮影した画像の解析を行う解析装置42、画像解析によって取得された情報を無線で送信する送信装置43を備えた解析ユニット44が備えられている。他方、掘削機Bの走行機体31にはこの無線情報を受信する受信装置45が備えられて前記制御装置38に接続されており、撮影された画像の解析によってバケット37における掘削点xの位置が演算計測され、得られた情報に基づいて所望深さの掘削作業や、水平掘削、法面の傾斜掘削、などが行われる。」とされる(特許文献2[0040])。
【0008】
特許文献2に記載の機構は、走行機体及びこれに装着される作業機を横側面及び前後から望める他の場所にカメラを設置し、このカメラで得られた画像を基に演算計測することによって、走行機体に装着される作業機を昇降させるものである。
特許文献2に記載の機構は、カメラを用いて、特許文献1より、さらに細やかな制御を可能にしているものの、特許文献1と同様に、耕耘後及び砕土後の土壌状態は考慮されていない。
本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、作業後の状態を判断しながら制御するために走行機体と連携することが可能な農作業機の作業方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、
進行に伴って作業後の土壌に溝を形成する溝形成部と、
前記溝を撮影可能に設けた撮影装置と、
前記撮影装置によって撮影した溝の形状に関する情報に基づいて、走行機体に備えた動作部を動作可能に設けた走行機体制御部と相互通信可能な制御部とを有した農作業機であって、
前記制御部が前記撮影装置からの画像情報に基づいた画像処理によって前記溝の長さを測定した測定値を得る工程と、
前記測定値と、予め設定した溝の溝長である設定値および予め設定した許容値を加算した合算値とを比較判断する工程と、
を含む農作業機の作業方法、
に係る。
【0010】
この発明は、更に、
前記測定値が前記合算値より大きいと判断した場合に前記走行機体に第1動作指示をする工程と、
を含む農作業機の作業方法、
に係る。
【0011】
この発明は、更に、
前記第1動作指示ののち前記走行機体が第1動作の指示限界である場合は第2動作指示を行う工程と、
を含む農作業機の作業方法、
に係る。
【0012】
この発明は、更に、
前記測定値が前記合算値より大きくないと判断した場合に、前記測定値と、予め設定した溝の溝長である設定値から予め設定した許容値を差し引いた別合算値とを比較判断する工程と、
を含む農作業機の作業方法、
に係る。
【0013】
この発明は、更に、
前記測定値が前記別合算値より大きいと判断した場合に前記走行機体に別の第1動作指示をする工程と、
を含む農作業機の作業方法、
に係る。
【0014】
この発明は、更に、
前記別の第1動作指示ののち前記走行機体が別の第1動作の指示限界である場合は別の第2動作指示を行う工程と、
を含む農作業機の作業方法、
に係る。
【発明の効果】
【0015】
本発明は作業後の状態を判断しながら制御するために走行機体と連携することが可能な農作業機の作業方法を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の第1実施例に係る正面図である。
図2】この発明の第1実施例に係る溝形成部の拡大正面図である。
図3】この発明の第1実施例に係る溝形成部の拡大側面図である。
図4】この発明の第1実施例に係る平面図である。
図5】この発明の第1実施例に係るブロック図である。
図6】この発明の第1実施例に係るフロー図である。
図7】この発明の第2実施例に係る正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1乃至図6に図示するこの発明の第1実施例において、11は走行機体、21は農作業機である。走行機体11は、この実施例では、トラクタからなる。12は、走行装置である。走行装置12は、この実施例では、トラクタのタイヤである。
13は、PTO軸である。PTO軸13は、走行機体11から駆動力を農作業機21に出力する。
14は、昇降装置である。昇降装置14は、走行機体11と農作業機21とを連結し、農作業機21を昇降する。
【0018】
農作業機21は、走行機体11に装着して作業をする。
この本発明の第1実施例では、農作業機21は、耕耘及び砕土作業である代掻き作業をおこなう。代掻き作業後の土壌は、水分と撹拌されることによって、泥状態になる。
22は、整地体である。整地体22は、農作業機21に設け、圃場を整地する。
【0019】
23は、溝形成部である。
農作業機21は、農作業機21後方部の少なくとも一部が土壌に埋没可能に設けており、埋没箇所に溝形成部23を設ける。そのため、溝形成部23は、農作業機21の進行に伴い砕土した後の土壌に溝41を形成可能である。溝形成部23は、図2図3に図示するように下方が頂点の四角錘状からなる。
圃場は耕耘され、その後、溝形成部23によって、整地が完了した土壌に引っかくように溝41を形成する。実施例での溝形成部23は下方に頂点を持つ四角錘状からなり、農作業機21が備える整地部である整地体22の接地部分に設けている。
【0020】
代掻き作業後の土壌は、水分と撹拌されることによって、泥状態になっており、土壌は、代掻き作業後の土壌であって、水分を多量に含んだ泥状であるため、溝41は、溝形成部23が形成した進行方向の前方側に対し、後方側は溝形成後時間が経つにつれて、元の状態に戻るようにして塞がれる。
【0021】
溝41が短い、つまり、早期に溝41が消える場合は、土壌の砕土が十分ではない場合である。土壌との混成がされなかった水分が早期に溝41を埋めることによって、見かけ上、溝41が短くなる。
溝41が短くなるとは、例えば、農作業機21の深さが不足している場合、表層しか泥状にならず、下方の未砕土部分の水分が浮き上がり、この水分が溝41を埋める格好になる。または、深さが良好でも、ある地点の農作業機21の走行速度が速すぎたり、PTO軸13のPTO回転数が低すぎたりすれば、土壌が十分に砕土されず、適正な泥状態にならない。このため、水分が土壌表層に浮き上がり溝41を埋める。
【0022】
他方、溝41が長い、つまり、溝41の消滅が遅すぎる場合は、土壌の砕土が過剰に進むと土壌と水分の撹拌が過剰に行われ、耕耘後の泥の粘性が高くなる場合に生じる。この状態になると、泥の表土に形成した溝41を埋めるための水分も少なく、また、泥自体も粘土が高いので、溝41を埋めるまでに時間を要する。したがって、見かけ上の溝41が長くなる。
【0023】
溝41長さが長くなるとは、例えば、農作業機21が過剰に深く沈下することによって、表層から深い位置まで撹拌・砕土することによって泥の混成が進みすぎて、粘度が高くなり生ずる。または、農作業機21の深さ以外にも、農作業機21の走行速度が遅すぎたり、PTO軸13のPTO回転数が速すぎたりすれば、土壌の砕土及び水分との混成が進みすぎて、適正な泥状態にならない。このため、作業後の土壌の粘度が高すぎることによって、溝41が埋まるまでに時間を要し、結果、見かけ上の溝41長さが長くなる。
【0024】
走行機体11側の基準状態からの差異を指示限界である許容値として設定することによって、走行機体11の動作部の動作具合を調整することが可能となる。
【0025】
すなわち、許容値を大きくするに従って走行機体11の動作部の動作は鈍感になり、撮影装置31で撮影して判定した溝41長さに長短が生じても、直ちに走行機体11の動作部は動作しない。対して、許容値を小さくするに従って走行機体11の動作部の動作は敏感になり、許容値を大きくした場合と比較して、撮影装置31で撮影して判定した溝41長さに長短が生じると、直ちに走行機体11の動作部は動作する。
【0026】
31は、撮影装置である。撮影装置31は、この実施例では、カメラからなる。
撮影装置31は、農作業機21の後部、上方に設ける。撮影装置31は、溝41及び作業後の土壌を撮影可能である。
撮影装置31は、少なくとも農作業機21の後方部を含んで、溝41(全体)を撮影可能なように農作業機21に設ける。
農作業機21の後方部を含んで撮影するため農作業機21の後方部、つまり、第1実施例の場合における整地体22を比較対象にして溝41の長さを撮影できる。したがって、撮影した溝41の長さの判定において、農作業機21の後方部を基準にできるので、溝長さの判断が容易にできる。
撮影装置31の設置場所に限定はない。また、溝41を移す撮影方向は、溝41が撮影できれば良いので、必ずしも真上からでなくてもよく、斜めに映してもよい。また、撮影装置31は、例えば、全天球カメラ、超広角カメラのように、撮影した像が歪んでいても、制御部(演算部)による処理によって、溝41の溝長さ42の適正な計測が可能である。
32は、撮影装置31の撮影範囲である。
【0027】
撮影装置31は、形成した溝形成部23が形成する溝41の前方から、溝41が塞がれた後方まで、溝41消滅部分まで、溝長さ42を撮影する。
溝形成部23上方から後方側から溝41を撮影するので、撮影装置31は農作業機21に近接して配置することができる。撮影装置31の撮影範囲は、溝41の幅が視認上近いところと溝41後方の消失側と幅の違いが判る範囲以上に撮影する。また、少なくとも、一つの溝41の溝41全体を撮影することが望ましい。
溝41が幅広い溝41の前方から撮影装置31で撮影すると、溝41終端部の位置の特定を正確に把握し易くなる。さらに、進行方向後方側の溝41終端部が、撮影装置31の撮影によって生じ得るパースペクティブよって、はっきりと消失したと認識しやすくなる。つまり、進行方向後方側に向かうにしたがい徐々に消失する溝41を、遠近法によって、撮影した画像の見かけ上、より短い距離ではっきりと認識することができる。
【0028】
土壌は、代掻き作業後の土壌であって、水分を多量に含んだ泥状であるため、溝形成部23が形成した溝41の進行方向の前方側に対し、後方側は溝形成後時間が経つにつれて、元の状態に戻るようにして塞がれる。そのため、溝41の方向に沿って撮影した方が、溝41の形成開始部分から消失部分にかけての前後方向の長さ、及び、左右幅の差異を認識できる画像が明瞭に撮影できる。
【0029】
図5に図示する情報伝達関係をあらわすブロック図について説明する。
走行機体11が備える操作部、警報装置、表示装置、第1動作部、第2動作部、・・・第n-1動作部、第n動作部は、走行機体制御部(制御部)と接続する。
動作部の具体例としては、第1動作部=走行機体11の昇降装置14(3点リンク)、第2動作部=走行機体11のPTO軸13からなるPTO装置、第3動作部=走行機体11の走行装置12、等が挙げられる。
【0030】
走行機体制御部(制御部)には、通信処理部及び動作指示部を設ける。
通信処理部は、操作部、警報装置、表示装置、第1動作部、第2動作部、・・・第n-1動作部、第n動作部から入力される情報を処理して農作業機21が備える作業機制御部(制御部)に伝送する。
動作指示部は、通信によって作業機制御部(制御部)から受信した走行機体11側が作動すべき内容からなる動作指示を警報装置、表示装置、第1動作部、第2動作部、・・・第n-1動作部、第n動作部に出力する。
走行機体制御部(制御部)は、作業機制御部(制御部)と通信し接続する。
【0031】
作業機制御部(制御部)には、通信処理部、演算部、動作処理部、記憶部を設ける。
作業機制御部(制御部)の通信処理部は、走行機体制御部(制御部)から入力する情報を走行機体制御部(制御部)と相互に通信可能になるように処理する。
演算部は、溝41の溝長さ42を画像解析処理によって演算計測して、溝41の長さである取得値を出力する。更に、演算部は、出力した取得値と、予め設定した溝41の溝長さ42の基準値である設定値及び予め設定した許容値の合算値と、を比較演算する。
動作処理部は、走行機体11にあらかじめ定められた動作指令を与えるための動作の選択処理を行う。
記憶部は、演算部での演算結果を記憶する。
作業機制御部(制御部)は、農作業機21が備える操作部、警報装置、表示装置、撮影装置(カメラ)31と接続する。
【0032】
図5に図示する走行機体制御部は走行機体の操縦席付近に設置し、農作業機21に備える作業機制御部(制御部)と通信可能に設ける。
撮影装置31によって撮影した溝41に関する情報を、作業機制御部内に設けた演算部に伝送する。
図5に図示する作業機制御部(制御部)内に設けた演算部が、撮影装置31で撮影した撮影情報を取得するとともに、撮影情報に基づいて、溝41の溝長さ42を画像解析処理によって演算計測して、撮影情報に含まれる溝41の溝長さ42の値である取得値を出力する。
【0033】
作業機制御部(制御部)は、演算部によって得られた演算結果に基づいて、走行機体11にあらかじめ定められた動作指令を与えるための動作の選択処理が可能であり、選択処理に基づく動作信号を走行機体11に発信可能に設けた図5に図示する動作処理部を備える。
演算部によって得られた演算結果に基づいて、走行機体11にあらかじめ定められた動作指令を与えるための動作の選択処理を行い、選択処理に基づく動作信号を通信処理部で処理し、走行機体11に発信する。
【0034】
さらに演算部は、出力した取得値と、予め設定した溝41の溝長さ42の基準値である設定値及び予め設定した許容値の合算値とを比較演算する。
演算部は取得値を、あらかじめ定められた溝41の長さの値である設定値及びあらかじめ定められた許容長さの値である許容値の合算値との比較演算をおこなう。
【0035】
制御部の動作処理部によって、比較演算の結果に基づいて、走行機体11側に動作指示である動作信号を発信する。
農作業機21の制御部から発信された動作信号は、走行機体11の制御装置で受信可能であり、動作信号に基づいて各種動作部を動作させることができる。動作信号によって動作させる走行機体11の動作部には制限はない。動作部は、1~n個となる。
【0036】
制御部によって、動作信号を受領した走行機体11は、動作信号に基づいて走行機体11が備える第1動作部、第2動作部、第3動作部を動作させることが可能であり、動作させて農作業機21を制御する。
動作部の具体例としては、第1動作部=走行機体11の昇降装置14(3点リンク)、第2動作部=走行機体11のPTO軸13からなるPTO装置、第3動作部=走行機体11の走行装置12、等が挙げられる。走行装置12により走行速度を増減速変化させる。
図5に図示するフロー図に当てはめると、第A1動作は昇降装置14を上昇、第B1動作は昇降装置14を下降、第A2動作は走行装置12を減速、第B2動作は走行装置12を増速、第A3動作はPTO軸13のPTO回転数を増加、第B3動作はPTO軸13のPTO回転数を減速、等が該当する。
【0037】
制御部は、第1動作部及び第2動作部及び第3動作部の現在状態を走行機体情報として受信可能であり、同走行機体情報として発信することができる。
制御部は、走行機体情報に基づいて、動作信号を発信するか否かを判断する構成である。
【0038】
予め設定した形成した、溝形成部分の溝41の前方から、溝41が塞がれた後方までの溝41の溝長さ42の基準値である設定値及び予め設定した許容値の合算値を、比較演算する。
その結果、溝41が短い場合、つまり、早期に溝41が消える場合は、動作処理部によって走行機体11側に、溝41が短い場合に溝が短くなるのを解消させるように走行機体11が作動すべき内容からなる動作指示をする。
【0039】
溝41が短い場合に溝が短くなるのを解消させるように走行機が作動すべき内容からなる動作指示の対象である、動作部の具体例として、第1動作部=走行機体11の昇降装置14(3点リンク)、第2動作部=走行機体11のPTO軸13からなるPTO装置、第3動作部=走行機体11の走行装置12、等が挙げられる。走行装置12により走行速度を増減速変化させる。
フロー図に当てはめると、第A1動作は昇降装置14を上昇、第B1動作は昇降装置14を下降、第A2動作は走行装置12を減速、第B2動作は走行装置12を増速、第A3動作はPTO軸13のPTO回転数を増加、第B3動作はPTO軸13のPTO回転数を減速があり、選択して溝が短くなるのを解消する作動をさせる。
【0040】
すなわち、溝41が短い、つまり、早期に溝41が消える問題である土壌の砕土が不十分であることを解決するため、作業機が装着される昇降装置の昇降動作により、農作業機21による土壌の砕土を十分にして表層より下方まで泥状にし、農作業機21の深さを更に深くし、あるいは、農作業機21の速度を遅くし、PTO軸13のPTO回転数を高め、適正な泥状態にする。
作成する溝の深さ、長さ等を調整して適正な代掻き作業をさせる。
【0041】
他方、予め設定した形成した、溝形成部分の溝41の前方から、溝41が塞がれた後方までの溝41の溝長さ42の基準値である設定値及び予め設定した許容値の合算値と、を比較演算する。
その結果、溝41が長い場合、つまり、溝41の消滅が遅すぎる場合は、走行機体11側に、溝41が長い場合に溝が長くなるのを解消させるように走行機が作動すべき内容からなる動作指示をする。
【0042】
溝41が長い場合に溝が長くなるのを解消させるように走行機が作動すべき内容からなる動作指示の対象である、動作部の具体例として、第1動作部=走行機体11の昇降装置14(3点リンク)、第2動作部=走行機体11のPTO軸13からなるPTO装置、第3動作部=走行機体11の走行装置12、等が挙げられる。走行装置12により走行速度を増減速変化させる。
フロー図に当てはめると、第A1動作は昇降装置14を上昇、第B1動作は昇降装置14を下降、第A2動作は走行装置12を減速、第B2動作は走行装置12を増速、第A3動作はPTO軸13のPTO回転数を増加、第B3動作はPTO軸13のPTO回転数を減速があり、選択して溝が長くなるのを解消する作動をさせる。
作成する溝の深さ、長さ等を調整して適正な代掻き作業をさせる。
【0043】
すなわち、溝41が長い、つまり、溝41の消滅が遅すぎる、土壌の砕土が過剰に進み土壌と水分の撹拌が過剰に行われ、耕耘後の泥の粘性が高くなる問題を解決するため、作業機が装着される昇降装置の昇降動作により、農作業機21による土壌の砕土が過剰に進まないようにし、土壌と水分の撹拌が過剰に行われないようにし、耕耘後の泥の粘性が高くなることを避ける。
農作業機21による、表層から深い位置まで撹拌・砕土することによって泥の混成が進みすぎないようにする。農作業機21の速度が遅すぎないように早め、PTO軸13のPTO回転数が速すぎるため、土壌の砕土及び水分との混成が進みすぎて、適正な泥状態にならないように、PTO軸13のPTO回転数を遅める。
【0044】
図6に図示するフロー図について説明する。
図6において、Lsは設定値、aは許容値である。
開始すると、S1で、画像情報を取得する。
次いで、S2で画像処理によって溝41を判定する。
次いで、S3で溝41長さを測定し、測定値Lを得る。
次いで、S4で、L>Ls+a?を判断する。YESの場合は、S5へ進む。
S5では、走行機体11に第A1動作指示をする。
S6では、走行機体11が第A1動作の指示限界か?を判断する。YESの場合は、S7へ進む。
S7では、第A1動作指示停止、次いで、第A2動作指示をする。
次いで、S8では、第An-1動作指示停止、次いで第An動作指示を行う。
次いで、S9では、走行機体11がAn動作の指示限界か?判断する。YESの場合は、S10へ進む。
S10では警告指示を発し、開始に戻る。
【0045】
S4で、L>Ls+a?を判断し、NOの場合は、S11へ進む。
S11では、L>Ls-a?を判断する。YESの場合は、S12へ進む。
S12では、走行機体11に第B1動作指示をする。
次いで、S13では走行機体11が第B1動作の指示限界か?判断する。YESの場合は、S14へ進む。
S14では、第B1動作指示停止、次いで、第B2動作指示をする。
次いで、S15では、第Bn-1動作指示停止、次いで第Bn動作指示を行う。
次いで、S16では、走行機体11がBn動作の指示限界か?判断する。YESの場合は、S17へ進む。
S17では警告指示を発し、開始に戻る。
【0046】
S6で、NOの場合は、S18へ進む。
S18では、第A1~An動作指示停止、第B1~Bn動作指示停止をして、開始に戻る。
S9で、NOの場合は、S18に進む。
S18では、第A1~An動作指示停止、第B1~Bn動作指示停止をして、開始に戻る。
S13で、NOの場合は、第A1~An動作指示停止、第B1~Bn動作指示停止をして、開始に戻る。
【0047】
S16で、NOの場合は、S18に進む。
S18では、第A1~An動作指示停止、第B1~Bn動作指示停止をして、開始に戻る。
S11でL>Ls-a?を判断し、NOの場合は、S18に進む。
S18では、第A1~An動作指示停止、第B1~Bn動作指示停止をして、開始に戻る。
【0048】
音声での報知が可能な警報装置、及び、視覚による認知を可能にする表示装置は、走行機体11あるいは農作業機21の少なくとも何れか一方に設けられていればよい。
走行機体11が動作可能な動作部がすべて動作限界に達する条件が揃うと、警告指示の発信が行われ、警報装置及び表示装置によって作業者に警告を発することが可能である。
【0049】
撮影装置31で撮影する、形成する溝41は、1以上であれば良く、溝41の本数が多いほど検出した溝41の信頼性が向上するため、耕深制御の精度向上が期待できる。
溝41の狭まり方の程度を測定してもよい。溝41の形成部分開始部分と例えば、溝41の形成部分開始部分から10mm部分、溝41の形成部分開始部分から10mm部分と溝41の形成部分開始部分から20mm部分とをそれぞれ対比してもよい。
画像処理により、溝41の長さを測定する。溝形成部分と溝非形成部分の画像の色合い、あるいは、反射光の違いに基づいて、溝形成部分の面積を求めてもよい。
【0050】
図7に基づいて、第2実施例について説明する。
溝形成部23によって、耕耘され、その後、整地が完了した土壌に引っかくように溝41を形成する。そのため、溝形成部23は溝41を形成できれば良いので、第2実施例では、図7に図示するように、フレームから後方及び下方に延ばした棒状部材の一部を作業後の土壌に埋没させて溝41を形成する。すなわち、第2実施例では、溝形成部23は、整地体22とは別途に、整地体22の上部から後方に垂直に、整地体22を跨ぐように、正面視L字型に設ける。
【符号の説明】
【0051】
11 走行機体
21 農作業機
22 整地体
23 溝形成部
31 撮影装置
32 撮影範囲
41 溝

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7