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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176002
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】自動義手
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/54 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
A61F2/54
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023176736
(22)【出願日】2023-10-12
(62)【分割の表示】P 2021103760の分割
【原出願日】2016-10-05
(31)【優先権主張番号】62/237,089
(32)【優先日】2015-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】722088
(32)【優先日】2016-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(71)【出願人】
【識別番号】518092126
【氏名又は名称】フィフス エレメント リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー,マシュー ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ラブグローブ,デヴィット ニール
(72)【発明者】
【氏名】ドーソン,ロス ヒューアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン-ヒル,オリバー チャールズ グラハム
(72)【発明者】
【氏名】ベスト,ダリル ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ローウィー,ジョナサン デヴィット
(57)【要約】      (修正有)
【課題】既存の自動義手の有用な代替物を少なくとも提供する自動義手を提供する。
【解決手段】1つの形状において、自動義手100は液体に対応可能であり、1つの形状において、自動義手は、衝撃を受けた際のモーター及び/又は義手の他の高感度構成要素への損傷の危険性を減らす特徴を含み、1つの形状において、義手は、義手が巻きつき、屈曲する及び/又は回転することができるように構成される手首接合を含み、1つの形状において、義手の1つ又はそれ以上の指は個別に制御され、1つの形状において、義手は親指の回転係止メカニズムを含み、1つの形状において、義手は取り外し可能なグリッププレートを備え、1つの形状において、義手は訓練用義手としての用途のために構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.掌;
b.前記掌から延長する2つ又はそれ以上の指;及び、
c.前記指の少なくとも1つを動かすように構成される1つ又はそれ以上のモーター;を含み、
d.そこにおいて、液体に沈められる場合に自動義手が作動するように構成され、それぞれ封止された指関節接合から延長される2つ以上の指を特徴とする自動義手。
【請求項2】
前記自動義手がスリーブを含む下部のアーム部材に前記掌を取り付けるように構成される手首接合を含み、そして前記手首接合は、前記スリーブへの防水取付け部を形成するように構成される、請求項1に記載の自動義手。
【請求項3】
前記手首接合が、その周りで前記掌が巻きつく、屈曲する及び/又は横に回転することができる車軸を含む、請求項2に記載の自動義手。
【請求項4】
前記手首接合が、前記自動義手の前記掌及び/又は指の電子部品と前記スリーブの電子部品を接続する電気コネクタを保つように構成される、請求項2又は請求項3に記載の自動義手。
【請求項5】
前記手首接合が、アーム部材やスリーブに液体が入るのを防ぐための防水封止を含む、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の自動義手。
【請求項6】
前記指関節接合は、指関節接合を経て水が進入するのを防ぐために防水の構造であり、封止された掌の領域を提供する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の自動義手。
【請求項7】
前記モーターは、封止された筐体内で個別に収容される、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の自動義手。
【請求項8】
前記掌は、掌部の固定器を備える、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の自動義手。
【請求項9】
前記モーターは、前記掌部の固定器ときつく係合し、防水の封止を形成する、請求項8に記載の自動義手。
【請求項10】
前記モーターは、前記掌部の固定器の開口に嵌合される請求項8又は請求項9に記載の自動義手。
【請求項11】
前記掌部の固定器は、前記掌との封止された連結を形成するように構成される請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の自動義手。
【請求項12】
前記掌は上部と下部で構成され、防水の封止を前記下部と共に形成するため、前記掌部の固定器の末端部の周りで提供されるOリングを含む請求項11に記載の自動義手。
【請求項13】
前記掌部の固定器は弾力的であり可撓性があり圧縮可能である請求項8から請求項12のいずれか一項に記載の自動義手。
【請求項14】
前記掌部の固定器は、
マイナス20℃からプラス100℃の温度範囲を通じて0.8から0.05の間若しくは0.5から0.05の間のDMTA(動的粘弾性測定)減衰係数を有する材料で形成される、
10から90の間のショアA硬度、30から60の間のショアA硬度若しくは40から90の間のショアD硬度を有する材料で形成される、または、
エラストマ、ゴム、シリコーン、圧縮可能なポリマーから構成される群の1つ若しくはそれ以上の材料で作成される請求項8から請求項13のいずれか一項に記載の自動義手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工装具の義手のような自動義手、及び、自動義手の構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
自動義手は人工装具の義手として一般に用いられ、目標物をグリップし、他の人と握手をし、人間の手で一般に実行される他のタスクを実行するために使用されている。
【0003】
しかしながら、従来の自動義手は、いくつかの不利な点を有する。多くの義手は必然的に大きく、義手内で作動部を収めるためにかさばるものである。これにより、義手は不自然に見えてしまう。
【0004】
従来の自動義手は概して、目標物に確実にグリップするように目標物の周りで屈曲及び湾曲することができない。飲用グラス又はボトルのように目標物が湾曲しているあるいは滑りやすい場合に、これは特に問題となる。公知の自動義手のモーターはまた、適切なグリップを提供するために酷使される可能性があり、したがって、急速に摩耗してしまう。更に、これらの義手は湾曲せず屈曲しないので、握手の際に不自然な感触がする可能性がある。
【0005】
従来の自動義手の概して堅固な性質のため、これらの義手のモーター及び電子装置のような高感度な構成要素は、衝撃力により、特に小指の近くの義手の側部が固い表面に対してぶつかる、あるいは親指の外側の端が側面の衝撃を受ける部分の側面の衝撃力により壊れることがよくある。
【0006】
公知の自動義手に関する他の問題は、義手自体が防水ではないことである。その代わりに、ユーザは、義手の高感度作動部及び電子装置の構成要素を保護するために義手の上に防水の手袋を着用しなければならない。
【0007】
公知の自動義手は一般に、手指を特定の位置の方に付勢して衝撃を吸収する抵抗バネを含む複雑な手指の作動システムを含む。義手のモーターが手指を付勢しない位置に駆動する場合、バネからの抵抗によって手指が要求よりも遅く動き、駆動モーターが酷使され、電池の電力を急速に消耗させる可能性がある。ある設計では衝撃力を吸収する一方向のクラッチを含むが、これらは対向する方向の衝撃に対して保護するものではない。モーターはまた、静止した歯車と関連して指を駆動するウォーム歯車を有する指の範囲内で提供されてもよい。この配置によって、指を動かす時に動かされなければならない質量は増加し、指に沿った配線が必要となり、結合のために使用可能な空間は制限される。限られた空間のために、クラッチメカニズムを収容することは非常に難しい。
【0008】
公知の自動義手のモーター及び作動部はまた、義手の指があまりに大きい引張力又は端部の衝撃にさらされる場合に損傷しやすい。これは、指が概して直接モーターに接続されて、強い力にさらされる場合にモーターから離れることができないためである。
【0009】
従来の自動義手には、手首位置決めシステムが提供されてもよいが、これらのシステムは概して複雑で、大きく扱いにくく、腕から離れて掌が延長することで、手首は伸張した、重く、不格好かつ不自然に見えるように作成されてしまう。加えて、義手が手首に関して動かす方法が制限され、手首は概して液体に対応していない。
【0010】
手足の一部を失った切断患者のための訓練用義手として自動義手が使われることは公知であるにもかかわらず、これらの義手は、EMG(筋電図記録)信号がユーザによって受信されたか、及び/又はどのグリップが選ばれたかを示す指示表示を提供しない。結果的に、特に、どのグリップパターンが選ばれたかがわからない、あるいはEMG信号が受信されているかどうかがわからない場合に、義手のグリップパターンを変えるのに必要であるEMGアルゴリズムに慣れることは、手を切断した患者にとってフラストレーションを与えるものとなる可能性がある。
【0011】
周知の自動義手の重大な不利な点は、作動部、特に電子装置が湿気に影響されやすいことである。その結果として、浴槽、シャワー、又は皿を洗うような湿気のある環境においては、損傷を与えずに素手が使えないことになる。湿気のある環境では、義手の上に防水の手袋を装着することによってのみ、周知の義手を使用することが可能である。人工装具の義手上に手袋を着用することは難しいので、このことがユーザにフラストレーションを与える可能性がある。手袋はまた、消耗し、容易に引き裂かれる可能性がある。
【0012】
自動義手上のグリップ表面はまた、あまりに柔軟な材料で接触面が形成される場合には過剰な摩耗を被り、材料が摩耗し難い固い材料で形成される場合には適切なグリップを提供することができない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
それゆえに、本発明の目的は、1つ又はそれ以上の従来技術の不都合を少なくともある程度克服する、あるいは既存の自動義手の有用な代替物を少なくとも提供する自動義手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の態様において、掌;掌に付属した1つ又はそれ以上の弾力的で可撓性があり、圧縮可能な取付け部;及び、掌に関連して移動可能であり各々がそこから延長する指を有する1つ又はそれ以上のコネクタであって、横力が指に適用される場合に各々のコネクタが取付け部の周りを回転することができるように、各々のコネクタはそれぞれの取付け部に載置されるコネクタ;を含む自動義手が提供される。
【0015】
各々のコネクタは、掌の面又は掌の面に対して垂直の面で回転することができる。単一の一体的な取付け部が提供されても、あるいは多くの別個の取付け部が提供されてもよい。取付け部は、マイナス20℃から100℃の範囲の温度で、0.05から0.8の間、好ましくは0.05から0.5の間のDMTA減衰係数を有する材料で最適に形成されてもよい。材料は好ましくは、20%から60%の間の弾力、及び、10から90の間のショアA硬度(より好ましくは30から60の間のショアA硬度)、又は、代わりに40から90のショアD硬度を有する。掌部の固定器は、掌部の固定器の弾性変形により可能になるアクチュエータと掌の間の相対的な動きのために少なくとも2つの指が少なくとも5°で、好ましくは少なくとも10°で、より好ましくは少なくとも20°で離れて広げられてもよいような弾力を好ましくは有する多数の取付け部又は複数の開口を有する単一の取付け部を含む。掌部の固定器はまた好ましくは、各々のアクチュエータが掌部の固定器の弾性変形により掌と関連して少なくとも2°(好ましくは5°、より好ましくは10°)で回転してもよいように掌に垂直の方向で指に適用する力の衝撃吸収を提供する。指の端へ横にあるいは垂直に適用される2.5から20ニュートンの力のために、好ましくは、掌部の固定器の弾性変形により掌の面の少なくとも3°、好ましくは少なくとも5°で掌に関して角度の回転が生じる。
【0016】
掌部の固定器は、エラストマ、ゴム、シリコーン、圧縮可能なポリマー又は熱可塑性物質の材料で形成されてもよい。好ましくは、材料は(炭化水素、過フッ化炭化水素又は二酸化ケイ素基のいずれかの)熱硬化性エラストマ、熱可塑性エラストマ、熱硬化性樹脂ゴム、本質的に柔軟な熱可塑性物質である。それはまた、合金又はその混合、あるいは上記のポリマーのいずれかの発泡体の構成であってもよい。
【0017】
別の態様においては、掌;アクチュエータを受容する凹部を含む掌に固定される弾力的な取付け部;及び、近端部と末端部を有する第1のアクチュエータであって、近端部は凹部内に取り付けられ、末端部はそこから延長する親指を有する第1のアクチュエータ;を含み、そこで、弾力的な取付け部により、少なくとも2°で掌に関して第1のアクチュエータの相対的な角度の変位が可能になる自動義手が提供される。第1のアクチュエータは、回転の第1の面で掌と関連して親指を回転することができ、親指のグリップする動きの間、アクチュエータが、係合面と接触させて第1の面における動きを抑制するために掌に対して位置がずれるように、義手は、親指に載置する第1の係合面、及び、掌に載置する第2の係合面を含む。
【0018】
更なる態様によれば、掌;近端部及び末端部を有する第1のアクチュエータであって、近端部は掌に枢着され、そこから延長する親指を有し、アクチュエータは回転の第1の面の掌と関連して親指を回転させる第1のアクチュエータ;及び、親指のグリップする動きの間、アクチュエータが、係合面と接触させて第1の面における動きを抑制するために掌に対して位置がずれるように、親指に載置する第1の係合面及び掌に載置する第2の係合面;を含む自動義手が提供される。
【0019】
更なる態様によれば、掌;掌から延長する指;歯車を駆動するアクチュエータ;及び、歯車によって駆動され、その入力で動くように指をその出力に接続させて、クラッチに適用される回転力が制限を上回る場合にクラッチがその入出力間での相対的な回転を可能にするような双方向性過負荷保護を有する過負荷保護クラッチ;を含む自動義手が提供される。
【0020】
更なる態様によれば、掌;クラッチを経て掌に接続される歯車;及び、掌に対して指を回転させるように歯車に係合されるギアを駆動するアクチュエータを含む掌から延長する指;を含み、そこにおいて、クラッチは、歯車によってクラッチに適用される回転力が制限を上回る場合、クラッチが指と掌の間の相対的な回転を可能にするような双方向性過負荷保護を有する過負荷保護クラッチである自動義手が提供される。
【0021】
更なる態様によれば、掌;掌から延長する2つ又はそれ以上の指;少なくとも1つの指を動かすように構成される1つ又はそれ以上のモーター;掌をアーム部材に接続するように構成される手首接合であって、そこにおいて、手首接合は、掌が車軸の周りを回転することができるように掌と係合する対向する端部を有する車軸を含むような手首接合;及び、アーム部材と関連して掌を定位置に係止するように構成される掌に配置される係止メカニズム;を含む自動義手が提供される。
【0022】
更なる態様によれば、液体に沈められた時に防水する封止された掌の領域;掌に取付けられた2つ又はそれ以上の封止された指関節接合;それぞれの封止された指関節接合から延長する2つ又はそれ以上の指;及び、指を動かすように封止された指関節接合を駆動する封止された掌の領域内で載置される1つ又はそれ以上のアクチュエータを含む自動義手が提供される。
【0023】
更なる態様によれば、本発明は、掌;掌から延長する2つ又はそれ以上の指;及び、少なくとも1つの指を動かすように構成される1つ又はそれ以上の駆動モーターを含む自動義手が提供される。各々の指は、指関節接合及び接続用アームを含むコネクタによって掌に取り付けられる。自動義手はまた、2つ又はそれ以上のコネクタの間で延長する弾力的で可撓性のある圧縮可能な掌部の固定器を含む。掌部の固定器は、第1の端部、第2の端部、及び、1つ又はそれ以上の支持開口を含む。各々の支持開口は、少なくとも一部の接続用アームをそこに保つように構成される。
【0024】
1つ又はそれ以上の支持開口は、掌部の固定器の第1の端部及び第2の端部の間で延長する。
【0025】
随意に、各々の支持開口は本質的に円筒状であり、各々の接続用アームは、本質的に円筒状でありかつそれぞれの支持開口内で入れ子になるように構成される。
【0026】
1つの形状において、義手は、掌部の固定器の1つ又はそれ以上の支持開口内で支持される1つ又はそれ以上の指の回転を防ぐように構成される回転防止システムを含む。
【0027】
1つの形状において、少なくとも1つの支持開口は、支持開口内で接続用アームの回転を防ぐために接続用アームの対応する止め具に係合するように構成される少なくとも1つの止め具を含む。好ましくは、支持開口は、凹部又は開口内で突起を保つために少なくとも1つの突起と係合するように構成される少なくとも1つの凹部又は開口を含む。
【0028】
1つの形状において、少なくとも1つのコネクタは、接続用アーム、モーター筐体、及び、接続用アームとモーター筐体の間に位置する指関節接合を含む。モーター筐体は指のうちの1つの範囲内に位置し、接続用アームは掌の範囲内に位置する。
【0029】
好ましくは、少なくとも1つの接続用アームは、駆動モーターを収容するモーター筐体を含む。
【0030】
随意に、掌部の固定器は、エラストマ、ゴム、シリコーン、圧縮可能なポリマーから構成される群の1つ又はそれ以上の材料で作成される。
【0031】
更なる態様によれば、本発明は、第1の端部、及び、第1の端部に本質的に対向する第2の端部を含み、第1の端部と第2の端部の間で延長する1つ又はそれ以上の開口を更に含む、弾力的で可撓性のある圧縮可能な掌部の固定器を提供する。
【0032】
更なる態様によれば、本発明は、掌;及び、掌から延長する2つ又はそれ以上の指;を含む自動義手を提供し、そこにおいて、少なくとも1つの指は、義手の掌の第1の側部、あるいはその近くに取り付けられる親指を形成し、またそこにおいて、親指は本質的に少なくとも1つの他の指に対向し、そして、義手は親指の一部と接触して配置される圧縮可能な親指クッションを含む。圧縮可能な親指クッションは、側面の衝撃下にある親指の側面の動きを弱めて、グリップの対応性を提供するように構成されてもよい。
【0033】
好ましくは、親指は、親指の片側に延長するベース部材に接続され、圧縮可能な親指クッションはベース部材に載置される。
【0034】
好ましくは、圧縮可能な親指クッションの片側は、親指の片側と接触して配置される。
【0035】
1つの形状において、親指は、第2の軸の周りに親指を巻きつけかつ屈曲させるように構成される第1のモーターを含む。好ましくは、第1のモーターは、親指内に収容される。
【0036】
1つの形状において、親指は、親指が第1の軸の周りで掌の第2の側部にヒンジ接合しかつそこから離れるように構成される第2のモーターを含み、第2の側部は、第1の側部に本質的に対向している。好ましくは、第2のモーターはベース部材内に収容される。
【0037】
義手はまた、第1の表面を含む親指支持部を含んでもよく、そこにおいて、ベース部材は、親指支持部の第1の表面上に位置するように構成される。好ましくは、親指支持部は、ベース部材の少なくとも一部をそこに受容するように構成される傾斜した第1の凹部を含む第1の表面を含み、そこにおいて、凹部の角度は、親指に向かって傾いている。
【0038】
第1の凹部は、その最深端部で開口部を含んでもよい。
【0039】
親指支持部は第2の凹部を更に含んでもよく、親指は、底面から延長する突起を含む底面を含み;そこにおいて、突起は第2の凹部内で受容されるように構成される。
【0040】
1つの形状において、突起及び第2の凹部は両方とも、本質的にベース部材の長さに対して垂直な方向に伸びて延長する。好ましくは、突起及び凹部は両方とも、半円筒状である。
【0041】
更なる態様によれば、本発明は、掌;掌から延長する2つ又はそれ以上の指;指の少なくとも1つを動かすように構成される1つ又はそれ以上のモーター;及び、少なくとも1つのクラッチ装置;を含む自動義手を提供する。クラッチ装置は、モーターのうちの1つと係合し、第1の指の駆動から分離するように構成される。クラッチ装置はまた、第1の指と係合するように構成される。クラッチ装置は、接触面を含み、モーターによって回転するように構成される被駆動要素を含む。クラッチ装置はまた、被駆動要素の接触面に係合して構成される第1の表面;及び、クランプ部材の第1の表面が被駆動要素の接触面に対して押圧するように構成される圧縮部材を含むクランプ部材を含む。
【0042】
好ましくは、被駆動要素の接触面は1つ又はそれ以上のオス側係合部材を含み、クランプ部材は1つ又はそれ以上のメス側係合部材を含む。各々のオス側係合部材は、被駆動要素及びクランプ部材を互いに係合するためにそれぞれのメス側係合部材において少なくとも部分的に受容されるように構成されてもよい。
【0043】
1つの形状において、1つ又はそれ以上のメス側係合部材の各々は、本質的にくぼんだ凹部を含む。好ましくは、1つ又はそれ以上のオス側係合部材の各々は、本質的に凸面である又は球面突起を含む。
【0044】
好ましくは、被駆動要素の接触面は、1つ又はそれ以上の開口を含む。各々の開口は閉じた端部を含み、接触面で又はその近くでオス側係合部材が接触面から突出するようにオス側係合部材を受容するために構成され、そこにおいて、圧縮部材は、オス側係合部材と開口の閉じた端部の間の開口内で保たれる。
【0045】
好ましくは、圧縮部材は圧縮して保たれるバネである。
【0046】
1つの形状において、オス側係合部材は玉軸受のようなボールである。他の形状において、オス側係合部材はダボであってもよい。
【0047】
好ましくは、被駆動要素の接触面は1つ又はそれ以上のメス側係合部材を含み、クランプ部材は1つ又はそれ以上のオス側係合部材を含む。各々のオス側係合部材は、被駆動要素及びクランプ部材を互いに係合するためにそれぞれのメス側係合部材において少なくとも部分的に受容されるために構成されてもよい。
【0048】
好ましくは、1つ又はそれ以上のメス側係合部材の各々は、本質的にくぼんだ凹部を含む。より好ましくは、1つ又はそれ以上のオス側係合部材の各々は、本質的に凸面である又は球面突起を含む。
【0049】
1つの形状において、クランプ部材の第1の表面は1つ又はそれ以上の開口を含み、そこにおいて、各々の開口は閉じた端部を含み、第1の表面で又はその近くでオス側係合部材を受容するように構成され、またそこにおいて、圧縮部材は、オス側係合部材と開口の閉じた端部の間の開口内で保たれる。
【0050】
好ましくは、圧縮部材は圧縮して保たれるバネである。
【0051】
1つの形状において、オス側係合部材は玉軸受のようなボールである。他の形状において、オス側係合部材はダボであってもよい。
【0052】
好ましくは、クランプ部材は、第1の指と係合するように構成される第2の表面を含む。
【0053】
1つの形状において、クランプ部材は、クランプ部材の第1の表面を含む第1の要素を含む。クランプ部材はまた、クランプ部材の第2の表面を含む第2の要素を含む。圧縮部材は、第1及び第2の表面の間に位置するバネ座金を含む。
【0054】
好ましくは、1つ又はそれ以上のオス側係合部材は、クランプ部材の第1の表面から突出し、被駆動要素の接触面に提供される1つ又はそれ以上のメス側係合部材に係合するように構成される。
【0055】
1つの形状において、クランプ部材の第2の表面は、第1の指の本体と係合するように構成される。第1の指の本体は、クランプ部材の第2の表面をそこに受容するように構成される受容要素を含む内部の表面を含む。
【0056】
好ましくは、受容要素は、開口、凹部、あるいは、領域に接する少なくとも1つの壁、又は、複数の突出するアームによって定められる領域を含む。
【0057】
1つの形状において、被駆動要素の接触面は本質的に円形であり、クランプ部材は、2つの遠方端部を含み、かつ、クランプ部材の第1の表面を含み、被駆動要素の接触面の少なくとも半分を本質的に囲むように構成される本質的にくぼんだ内部表面を含む本体を含む。圧縮部材は、被駆動要素の接触面に対してクランプ部材の第1の表面を締着するために、クランプ部材の少なくとも1つ遠方端部を他の遠方端部の方へ押圧するように構成される。
【0058】
他の形状において、被駆動要素の接触面は本質的に円形であり、クランプ部材は、リング状の本体から延長する2つの遠方端部を含む本質的にリング状の本体を含む。本質的にリング状の本体はクランプ部材の第1の表面を含み、被駆動要素の接触面を本質的に囲むように構成される内部表面を含む。圧縮部材は、被駆動要素の接触面に対してクランプ部材の第1の表面を締着するために、クランプ部材の少なくとも1つの遠方端部を他の遠方端部の方へ押圧するように構成される。
【0059】
好ましくは、クランプ部材は第1の指の本体と係合するように構成される。
【0060】
1つの形状において、第1の指の本体の内部表面は、クランプ部材の少なくとも一部をそこに受容するように構成される受容要素を含む。受容要素は、クランプ部材と合うように成形される凹部を含む。
【0061】
好ましくは、被駆動要素及びクランプ要素は、被駆動要素及びクランプ要素において形成される車軸受容開口を通過して共通の車軸によって支持される。
【0062】
更なる態様によれば、本発明は、掌;掌から延長する2つ又はそれ以上の指;少なくとも1つの指を動かすように構成される1つ又はそれ以上のモーター;掌をアーム部材に接続するように構成される手首接合;を含む自動義手を提供する。手首接合は、掌が車軸の周りを回転することができるように掌と係合する対向する端部を有する車軸を含む。
【0063】
好ましくは、位置決めシステムは、車軸に係合する位置決め部材、及び、位置決め部材と関連して掌を定位置に固定するように構成される係止部を更に含む。係止部及び位置決め部材の少なくとも一部は、義手の掌内に位置する。
【0064】
1つの形状において、位置決めシステムは、義手の掌内に位置する車軸;掌で位置する係止アームを含む位置決め部材;及び、掌内に位置する係止部材;を含む。係止部材は、掌を中立位置、屈曲位置又は延長位置に固定するために位置決め部材と係合するように構成される。
【0065】
好ましくは、係止アームは複数の開口部を含み、係止部材は開口部のいずれかの範囲内で受容されるように構成される係止ピンを含む。
【0066】
好ましくは、車軸は一対の本質的に圧縮可能な車軸取付け部によって、掌内で支持される。
【0067】
好ましくは、手首接合は、位置決め部材及びアーム部材に取り付けられるように構成されるコネクタを更に含む。
【0068】
好ましくは、位置決め部材はコネクタと関連して回転するように構成される。
【0069】
1つの形状において、位置決め部材は少なくとも1つの係止用指部を含み、コネクタは、コネクタと関連した位置に位置決め部材を固定するために係止用指部と係合するように構成される一連のインデックス化小結節を含む。少なくとも1つの係止用指部は、位置決め部材がコネクタと関連して回転させられる場合、インデックス化小結節から離れるように構成される。
【0070】
好ましくは、手首接合は、位置決め部材とコネクタの間に位置する防水封止を更に含む。
【0071】
更なる態様によれば、本発明は電動端末装置の手首接合を提供し、そこにおいて、手首接合は、電動端末装置及びアーム部材に取り付けられるように構成され、そして手首接合は、第1の端部及び第2の端部を含む本体を含み、第2の端部はアーム部材の方へ面するように構成され、手首接合本体の本質的に中空の領域へ、ユーザの(義手の)基部の一部が手首接合の少なくとも一部を通って延びることができるように延長している開口を含む。
【0072】
好ましくは、開口は手首接合の第1及び第2の端部の間で延長する。
【0073】
1つの形状において、手首接合は、掌が手首接合に関連してヒンジ接合することができるように回転可能に掌に取り付けられる車軸を更に含む。
【0074】
好ましくは、電動端末装置は電力供給されたフックを含む。
【0075】
代わりに、電動端末装置は自動義手を含む。
【0076】
更なる態様によれば、本発明は、掌;掌から延長する2つ又はそれ以上の指;指を動かすように構成される1つ又はそれ以上のモーター;及び、1つ又はそれ以上のモーターに接続されて、ユーザからの1つ又はそれ以上のEMG信号;ユーザーインタフェースからの1つ又はそれ以上の電子信号;又は、ユーザからの1つ又はそれ以上のEMG信号及びユーザーインタフェースからの1つ又はそれ以上の電子信号;を受信するように構成される制御システム;を含み、受信した信号に従って所定のグリップパターンを指に取らせる自動義手を提供し、そこにおいて制御システムは、受信した信号に基づいた所定のグリップパターンを義手に取らせるようにプログラム可能である。選択されたグリップパターンは、ディスプレイに表示されてもよい。
【0077】
義手は更に、信号が制御システムによって受信されたことを示す1つ又はそれ以上の指示器を含んでもよい。指示器のうちの少なくとも1つは、視覚的な指示器であってもよい。1つの形状において、義手は、信号が制御システムによって受信されたことを示す少なくとも1つの視覚的な指示器を含んでもよい。
【0078】
義手は好ましくは、それを通じてユーザが義手に所定のグリップパターンを取らせる1つ又はそれ以上の入力部材を含むユーザーインタフェースを含む。
【0079】
1つ又はそれ以上の入力部材は、1つ又はそれ以上のボタンを含んでもよい。好ましくは、ユーザーインタフェースは、1つ又はそれ以上の入力部材及び1つ又はそれ以上の視覚的な指示器を含むパネルを含む。
【0080】
更なる態様によれば、本発明は、掌;掌から延長する2つ又はそれ以上の指;及び、指のうちの少なくとも1つを動かすように構成される1つ又はそれ以上のモーター;を含み、そこにおいて、液体に沈められた時、自動義手が作動するように構成される自動義手を提供する。
【0081】
好ましくは、義手は、スリーブを含む下部のアーム部材に掌を取り付け、更にスリーブに防水取付け部を形成するように構成される手首接合を含む。
【0082】
好ましくは、手首接合は、その周りに掌を巻きつけかつ屈曲する、及び/又は横に回転する車軸を含む。
【0083】
1つの形状において、手首接合は、スリーブの電子装置を掌の電子装置及び/又は義手の指と接続する電気コネクタを保つように構成される。
【0084】
更に他の態様において、本発明は、本質的に本明細書に記載され、かつ、添付の図面を参照して、個別に又はいかなる特徴及びいかなる構成と組み合わせられた自動義手を提供する。
【0085】
本明細書における従来技術文書に対するいかなる参照も、そのような従来技術が広く知られているあるいは当該分野における共通の一般的な知識の一部を形成するということを承認するものとはみなされない。
【0086】
本明細書において用いられるように、用語「含む」(その活用形comprisesやcomprising)及び、類似した語は、排他的あるいは網羅的な意味において解釈されるものではない。換言すれば、それらは、「含むがこれに限らず」を意味する意図を有する用語である。
【0087】
本発明は、以下の図面を参照して更に記載される。図面の説明は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1図1は、本発明の自動義手の1つの形状の側面図である。
図2図2は、図1の自動義手の下から見た斜視図である。
図3図3は、本発明の自動義手の1つの形状の分解図である。
図4A図4Aは、本発明の掌部の固定器の1つの形状の側面の斜視図である。
図4B図4Bは、図4Aの掌部の固定器の正面斜視図である。
図4C図4Cは、図4Aの掌部の固定器の他の側面の斜視図である。
図4D図4Dは、図4Aの掌部の固定器の下面の斜視図である。
図5図5は、本発明の自動義手の1つの形状の部分的に切断された平面図である。
図6図6は、図5の自動義手の斜視図である。
図7図7は、本発明の親指、親指支持部、及び、親指クッションの1つの形状の分解図である。
図8図8は、本発明の掌、及び、親指構成の1つの形状の分解図である。
図9図9は、本発明の指、及び、クラッチ装置の1つの形状の分解図である。
図10A図10Aは、本発明の指、及び、指関節の一部の側面図である。
図10B図10Bは、図10Aの線A‐Aに沿った指、及び、クラッチ装置の1つの形状の断面図である。
図11A図11Aは、グリップ位置における自動義手の1つの形状の平面図である。
図11B図11Bは、図11Aの線B‐Bに沿った義手の断面側面図である。
図12A図12Aは、開いた位置における本発明の自動義手の1つの形状の平面図である。
図12B図12Bは、図12Aの線C‐Cに沿った義手の断面側面図である。
図13図13は、本発明のクラッチ装置の他の形状の分解図である。
図14A図14Aは、本発明のクラッチ装置の更に他の形状の分解図である。
図14B図14Bは、図14Aのクラッチ装置を支える手指の一部の側面図である。
図14C図14Cは、図14Bの線G‐Gによる断面図である。
図15図15は、本発明の手首位置決めシステムの1つの形状の分解図である。
図16図16は、他の角度からの図15の手首位置決めシステムの分解図である。
図17A図17Aは、中立位置における手首を示す本発明の自動義手の1つの形状の部分的な平面図である。
図17B図17Bは、図17Aの線D‐Dに沿った義手の断面側面図である。
図17C図17Cは、巻きついた位置における図17Aの線D‐Dに沿った義手の断面側面図である。
図17D図17Dは、屈曲した位置における図17Aの線D‐Dに沿った義手の断面側面図である。
図18図18は、本発明の1つの形状の掌の下部、及び、スイッチの分解図である。
図19図19は、本発明の自動義手の1つの形状の一部の斜視図である。
図20A図20Aは、中立位置における掌を示す本発明の義手の1つの形状の平面図である。
図20B図20Bは、図20Aの線E‐Eに沿った義手の断面側面図である。
図20C図20Cは、図20Bの領域Aの拡大図である。
図21図21は、本発明のコネクタの1つの形状に取り付けられた位置決め部材の1つの形状の斜視図である。
図22A図22Aは、中立位置における手首接合を示す義手の1つの形状の側面図である。
図22B図22Bは、図22Aの線F‐Fに沿った手首接合の断面端面図である。
図23図23は、本発明の1つの形状よる手首接合を含む自動義手の1つの形状の斜視図である。
図24図24は、本発明の位置決め部材の他の形状の斜視図である。
図25図25は、図24の訓練目的のためのユーザーインタフェースを含む自動義手の平面図である。
図26図26は、親指の回転方向を示す第2の例示的な実施形態による自動義手の側面の斜視図である。
図27図27は、親指が取り除かれた図26の自動義手の側面図である。
図28図28は、図26に示される義手の親指の斜視図である。
図29図29は、親指回転係止が係合した図26に示される義手の下面図である。
図30図30は、親指回転係止が外れた図26に示される義手の下面図である。
図31図31は、手指及び親指に収容されるアクチュエータを示す断面を有する図26に示される自動義手の上面図である。
図32図32は、係合位置における親指回転係止の代替の実施形態の下面図である。
図33図33は、自動義手の更なる指関節クラッチの実施形態の斜視図及び部分拡大図である。
図34図34は、図33に示される指関節クラッチの分解図である。
図35図35は、図33に示されるクラッチの側面図である。
図36図36は、図35の線I‐Iに沿った断面図である。
図37図37は、図33に示されるクラッチの端面図である。
図38図38は、クラッチ板を示す図37の領域Jの拡大図である。
図39図39は、図33のクラッチのクラッチ板の側面図である。
図40図40は、図33のクラッチのクラッチ板の平面図である。
図41図41は、図33のクラッチのクラッチ板の斜視図である。
図42図42は、手指においてモーター駆動を有する更なる実施形態によるクラッチの側面図である。
図43図43は、中立位置における更なる実施形態による手首メカニズムの下面図である。
図44図44は、図43の線H‐Hに沿った断面図である。
図45図45は、屈曲位置における図43に示される義手の下面図である。
図46図46は、図45の線H‐Hに沿った断面図である。
図47図47は、延長位置における図43に示される義手の下面図である。
図48図48は、図47の線H‐Hに沿った断面図である。
図49図49は、手首部のない図43の自動義手の背部の斜視図である。
図50図50は、図49の分解斜視図である。
図51図51は、図43に示される義手の手首の分解斜視図である。
図52図52は、図43に示される義手の完全な後部アセンブリの分解図である。
図53図53は、図51に示される手首の斜視図である。
図54図54は、英数字ディスプレイを示す自動義手の平面図である。
図55図55は、更に他の手首の実施形態の斜視図である。
図56図56は、図55に示される手首の実施形態の分解斜視図である。
図57図57は、更なる実施形態による掌部の固定器の背面図である。
図58図58は、図57に示される掌部の固定器の側面図である。
図59図59は、図57に示される掌部の固定器の平面図である。
図60図60は、図57に示される掌部の固定器の正面斜視図である。
図61図61は、図57に示される掌部の固定器の後面斜視図である。
図62図62は、掌の上部の後面斜視図である。
図63図63は、一組の指、及び、アクチュエータの後面斜視図である。
図64図64は、掌の底部の後面斜視図である。
図65図65は、義手、及び、掌の上部のカバーの分解斜視図である。
図66図66は、義手、及び、掌の底部のカバーの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
本発明は、人工装具の義手又は人工装具の訓練用義手のような自動義手に関する。電気モーターに関する本明細書での記載は一例として提供されるが、様々な適切なアクチュエータが使用されてもよいことはいうまでもない。
【0090】
第1の例示的な実施形態
第1の例示的な実施形態の自動義手100は図1から図25に示され、掌200及び、掌200から延長する2つ又はそれ以上の指300を含む。各々の指は、指関節接合によって掌に取り付けられてもよい。指は、開いて本質的に屈曲した(延長した)位置と本質的に閉じたグリップ位置の間で動くように構成される。指300は、手指310又は親指320の形であってもよい。一例において、義手100は2つの指300を含んでもよく、一方は手指310であり、他方は本質的に対向する親指320である。他の形状において、義手100は、4つ又はそれ以上の手指310及び本質的に対向する親指320を含んでもよい。更に他の形状において、義手100は、2つ又はそれ以上の手指310のみを含んでもよい。更に他の形状において義手100は、1つ又はそれ以上の手指310、及び、2つ又はそれ以上の親指320を含んでもよいが、不自然な手に見えるので、これは好ましい実施形態ではないと認識される。
【0091】
本発明の義手100はまた、1つ又はそれ以上の駆動モーター230を含む。各々のモーター230は、1つのみの指300又は1つ以上の指の動きを駆動するように構成されてもよい。例えば、義手100が4つの手指及び親指を含む場合、単一のモーター230が、1つの位置から他の位置に親指の動きを駆動するために用いられてもよい。2つのモーター230は手指の動きを駆動するために用いられてもよく、各々の手指モーターは、2つの手指を動かすように構成される。他の形状において、各々の指300は、その指300のみの動きを駆動するように構成される独立したモーター230によって駆動されてもよい。1つの形状において、第1のモーターが親指を巻きつけて屈曲するように構成され、第2のモーターが掌の片側から他方へ親指を動かすように構成される場合、親指は2つのモーターを含んでもよい。
【0092】
各々の指300は、単一の部品又は2つ又はそれ以上の部品として形成されてもよい本体を含む。人間の手指は例えば、基節骨、中節骨及び末節骨を含む。本発明の自動義手100もまた、図1の親指に示すように、基節骨301、中節骨302及び末節骨303を含む1つ又はそれ以上の指300を含んでもよい。代わりに、義手の1つ又はそれ以上の指は、図1の手指に示すように、基節骨301及び末節骨303のみを含むように構成されてもよい。この構成において、基節骨301又は末節骨303は、随意に角度をつけられる、あるいは湾曲してもよい。いくつかの形状において、角度の点又は曲線は場合により、中節骨302と基節骨301の間、又は、中節骨と末節骨303の間の接合の外観に似ていてもよい。図1に示した実施形態において、手指300の末節骨303は、本質的にゆるんだ、わずかに巻きつけられた位置において、継ぎ合わされた中節骨及び末節骨に類似させるために角度をつけられる。更に他の形状において、指は、基節骨のみを含んでもよい。また、指が本質的に湾曲した/巻きついた人間の手指に類似させるために、指は1つ又はそれ以上の湾曲又は角度を含んでもよい。
【0093】
1つの形状において、指300の本体は、中空の内部の中で作動する構成要素を含む本質的に中空の外殻であってもよい。作動する構成要素は、指にモーターの回転の動きを伝達するように構成される。他の形状において、手指の本体は、本質的に中身が詰まっていてもよい。
【0094】
本発明の自動義手100はまた、1つ又はそれ以上の駆動モーター10及び義手の他の電子的な構成要素を作動するように構成される電源装置を含む。電源装置は、電池、又は、低速解放コンデンサのような他の電力貯蔵装置であってもよい。随意に、電源装置は再充電可能である。
【0095】
好ましくは、義手100は、電源が不足している場合に指示を提供する指示器を含む。例えば、指示器は、閃光灯の形状又は特定の色の光の視覚の指示器であってもよい。加えて、又は、代わりに、指示器は、電源が不足していることを示すためにビープ音又は特定の音を出すような音の指示器であってもよい。
【0096】
本発明の義手100はまた、義手のモーターの動作を制御するために構成される制御システムを含んでもよい。制御システムはまた、義手の他の電子的な構成要素の動作を制御するために構成されてもよい。制御システムは、ユーザの要求及びスキルに合わせるためにプログラム可能であってもよい。制御システムは、時間とともにユーザの要求及びスキルの変更に合わせるために随意に再プログラム可能であってもよい。
【0097】
掌部の固定器
1つの形状において、図1から図6に示すように、義手100の掌200は、外側の殻の形の本体を含む。外側の殻は、作動する構成要素及び電子部品が保たれてもよい掌の内部を定める。外側の殻は、一部品として形成されてもよい。他の形状において、掌の外側の殻は、共に取り付けられるように構成される第1の部分210及び第2の部分220を含む。掌の外側の殻の第1の部分は、義手の上部210、すなわち義手の後ろを形成するように構成される。外側の殻の第2の部分は、義手の下部220、すなわち掌のグリップ部品を形成するように構成される。明瞭さのために、第1及び第2の部分210、220はここで、それぞれ上部及び下部210、220と呼ぶ。しかしながら、この用語は、第1の部分が常に上の位置にあり、第2の部分が常に下の位置にあると解釈されるべきではない。周知のように、上部の部分(義手の後ろ)が地面の方へ面して、それゆえに掌の下部より低いように義手は回転してもよい。
【0098】
義手100の掌200はまた、弾力的で可撓性のある圧縮可能な掌部の固定器250を含んでもよい。掌部の固定器250は、義手の指関節接合、それゆえに指も支持するように構成されてもよい。
【0099】
1つの形状において、1つ又はそれ以上の指関節接合は、掌部の固定器に取り付けられるように構成されるコネクタに直接又は間接的に取り付けられる。コネクタ260は、指関節接合261及び接続用アーム20を含んでもよい。指関節接合261は、接続用アーム20の第1の端部に位置してもよい。接続用アーム20は、掌部の固定器250に取り付けられる、又は、少なくともそれによって支えられるように構成されてもよい。接続用アーム20はしたがって、横力が指に適用される場合に各々の接続用アーム20が掌部の固定器250の周りを回転することができるように「浮遊」する状態で掌部の固定器250に取り付けられる。掌部の固定器250の弾力によって、指が広がる(掌の面において離れて回転する)ことができ、垂直の方向において指に適用された力の衝撃吸収を掌に提供する。これにより、上部及び底部の掌は半分に固定される掌部の固定器のみによって掌に取り付けられる指を有する内部フレームのための要求が避けられる。
【0100】
掌部の固定器250は、義手の指関節領域を本質的に横切って延長するように構成される。例えば、掌部の固定器250は、2つ又はそれ以上のコネクタの間で延長されてもよく、コネクタ(したがって、指関節接合261及び掌200の末端の部分)が、人間の手の指関節の自然な動きをシミュレートする(少なくとも部分的に)ために、離れてわずかに広がる、共にわずかに押しつぶす、及び、互いに関連してわずかに上下に動くことができるように構成されてもよい。コネクタ260は、手指300を掌200に接続するように構成される。それゆえに、掌部の固定器の弾力のためにコネクタ260が広げられることによって、手指300もまた、例えば、ブラシハンドルのような品物が手指の間で配置される場合、横に動き、ある程度広がることが可能である。掌部の固定器は好ましくは、掌部の固定器の弾性変形によって可能になるコネクタと掌の間の相対的な動きに起因して、少なくとも2つの指が少なくとも5°(より好ましくは少なくとも10°、更に好ましくは少なくとも20°)で広げられるような弾力を有する。この文脈において、用語「広がる」は、それらの中立位置において一般に平行である指に言及するものであり、それらが「広げられる」範囲は、隣接した指の中央線の間の角度を表す。指が平行でなく「広がる」場合は、隣接した指の間の追加的な角度の回転に言及するものである。掌部の固定器の弾力はまた、横力(すなわち、3番目の手指の方へ押す小指に対する衝撃のような義手のどちらかの両側からの力)、及び、垂直の力(すなわち掌の面に垂直の方向において指に対して作用する力)からの衝撃吸収を提供する。これは、掌部の固定器250の弾性変形により、掌に関してコネクタ260を動かすことができることに起因する。掌部の固定器は、指の端に適用される2.5から20ニュートンの間の横力が掌(指が広がった)の面において少なくとも3°(好ましくは少なくとも5°)の掌に関する角度の回転を生じるように弾性変形を提供してもよい。
【0101】
掌部の固定器は好ましくは、掌部の固定器の弾性変形のために指(指回転)の駆動された動きの面において掌と関連して、各々のコネクタが少なくとも2°(好ましくは少なくとも5°)で回転することができるように、掌に垂直の方向に指に適用される力の衝撃吸収を提供する。掌部の固定器は、掌の面に垂直の方向において指の端の適用される2.5から20ニュートンの間の力が少なくとも3°のにと関連する指の角度の回転を生じるように、弾性変形を提供してもよい。
【0102】
同様に、義手100のいずれの側においてもコネクタ260(したがって指関節接合261)を下方へ動かすことを可能にすることで、例えば手指300は、テニスボールのような小さいあるいは丸い目標物を直ちに合わせて握持することができる。自動義手の適合的な性質は、握手する際により自然なグリップを義手が提供することができることを意味する。
【0103】
掌部の固定器の材料特性
掌部の固定器としての用途のために選ばれる材料は、最終用途において通常の低温及び高温の周囲温度にさらされる場合に、高い柔軟性を保持することができなければならない。義手は、冷たい水(0℃)又は非常に熱い水(60℃)にさらされる可能性がある。
【0104】
動的粘弾性測定(DMTA)は、「掌部の固定器」としての用途のようなその最終用途における高分子材料の実際の動作を正確に示す実験室試験である。これは、D 2236、D 4065、D 4440又はD 5279から選択されるASTMプロトコルである。それは、材料選択のパラメータとして「温度」を組み込むものである。
【0105】
DTMA試験は、屈曲のような機械的な動作の間、エネルギーを吸収及び/又は保持するために材料の能力を測定するものである。
【0106】
それは、吸収されたエネルギー/保持されたエネルギーの比率に関して柔軟性及び弾力(はね返す力)を示すものである。この単位のない比率はその材料の「減衰係数」又は「tanδタンジェントデルタ:損失正接」と呼ばれていて、広範囲にわたる温度で生成することができる。
【0107】
分析的用語において、掌部の固定器のために使用される材料は、マイナス20℃からプラス100℃の温度範囲を通じて測定される場合1.0未満、好ましくは0.05から0.8の間の柔軟性(減衰係数/tanδ)を必要とする。
【0108】
可撓性のある、半圧縮可能であり弾力的な特徴を提供するために、掌部の固定器は、エラストマ、ゴム、シリコーン、圧縮可能なポリマー、及び、熱可塑性物質の材料:を含むがこれらに限らないいかなる適切な材料あるいは材料の組合せから作成されてもよい。(炭化水素、過フッ化炭化水素又は二酸化ケイ素基のいずれかの)熱硬化性樹脂エラストマ、熱可塑性エラストマ、熱硬化性樹脂ゴム、これらのポリマーのいずれかの基の本質的に柔軟な熱可塑性物質又は発泡した組成物が、この用途に適している。
【0109】
これらの基準に対して該当する典型的ないくつかの高分子材料は、以下の表1に示される。ポリマーのこれらの「系統群」は、架橋熱硬化性エラストマ(例えばエチレン/アクリル酸塩又はブチルゴム)、架橋熱硬化性ポリウレタン(ソルボセイン(登録商標))、架橋熱硬化性ポリシロキサン、熱可塑性ポリウレタン(ハンツマン社、バイエル社)、熱可塑性エラストマ(デュポン社 ハイトレル(登録商標)、DSM アルニタル(登録商標)コポリエステル、アルケマ ペバックス(登録商標) コポリアミド):で示すことができる。合金とこれらのポリマーの混合物(無機充填剤と同様に他のポリマーとの)及び、エラストマの材料のこれらの系統群の発泡体もまた、候補の材料である。炭素繊維の強化ポリマーのような複合材料もまた、用いられてもよい。
【0110】
【表1】
【0111】
表1のデータは、広い範囲の熱硬化性樹脂及び熱可塑性ポリマーが、掌部の固定器を製造する材料としての選択の基準を満たしていることを示す。減衰係数は、マイナス20℃からプラス100℃の範囲の温度で、0.05から0.80の間、より好ましくは0.05から0.5の間の範囲である。弾力は、好ましくは20%から60%の間である。硬度は、ショアA硬度で好ましくは10から90の間(より好ましくは30から60の間)、又は、ショアD硬度で40から90の間である。約30のショアA硬度を有する材料で形成される掌部の固定器が、特に適切であることが判明した。
【0112】
掌部のブロックの必要な機能性は、上記の例のように中身の詰まった掌部のブロックを用いる以外の方法で達成されてもよいことが認識された。例えば、切削加工が中身の詰まったブロックにおいて提供されてもよく、あるいは、材料の小さな部分が指によって適用される回転力にさらされるように別途形成されてもよい。発泡した材料は異なる構造を有する可能性があり、例えば、掌部の固定器は、発泡した材料が容易に変形するアクチュエータに沿って更に延長してもよい。
【0113】
図1から図5に示すように、掌部の固定器250は、第1の端部252を有する本体251を含む。第1の端部252は、手首の方向に本質的に面していてもよい。支持部(掌部の固定器)250はまた、第2の端部253を含む。第2の端部253は、第1の端部に本質的に向かい合って配置されてもよく、義手100の手指300の方向に本質的に面していてもよい。掌部の固定器250はまた、義手の掌の上の部分210の上部表面211の一部を形成するように構成されてもよい上部表面254を含む。好ましくは、掌部の固定器250の上部表面は、掌200の上部210の上部表面と本質的に同一平面上に構成される。固定器250はまた、義手の掌の接触面221の一部を形成するように構成されてもよい本質的に対向する下部表面255を含む。接触面は、義手の掌内でグリップされるアイテムに概して接触する義手の下部の外側の表面である。掌部の固定器250の下部表面は、本質的に掌200の下部220の接触面と同一平面上にあってもよい。
【0114】
掌部の固定器250は、指関節接合261と掌200の本体の間に位置する。掌200の上部210及び下部220は、共に接続し、少なくとも掌部の固定器250の一部を上下の部分210、220の間で保つように構成されてもよい。例えば、1つの形状において、掌部の固定器の第1の端部252は、掌200の上下の部分210、220の間で保たれ、掌部の固定器250が上下の部分210、220の延長部として作用するために、本質的に掌の上下の表面と同一平面上にあるように構成される。
【0115】
1つの形状において、掌部の固定器250を含む掌200は、掌の上部210及び下部220に掌部の固定器250を取り付けるための取付けシステムを含んでもよい。一実施形態において、図示するように、掌の上部210は、第1の端部212及び第2の端部213を含む。掌の下部220も、第1の端部222及び第2の端部223を含む。上部及び下部210、220の第2端部は、図3に示すように、第2の端部の周り全て、又は、本質的に全てを通じて延長する唇部214を含んでもよい。掌部の固定器250の第1の端部252は、第1の側部252の周りで本質的に延長するフランジ256を含んでもよい。図3、4C及び4Dで最も良く示されるように、フランジ256と掌部の固定器250の本体の残りの間に、溝257が配置されてもよい。溝257の壁は、フランジ256の内部の端、及び、掌部の固定器250の本体の残り251によって形成される。掌200の上下の部分210、220の各々の唇部214は溝257に突出し、フランジ256の内部の端当接するように構成されてもよい。掌の第1及び第2の部分210、220を共に接続することによって、唇部214が溝257に突出し、フランジ256は、掌部の固定器が屈曲する又は掌200の第1及び第2の部分から離れて引かれる場合であっても、唇部214が溝257から出るのを防ぐ。
【0116】
他の形状において、溝257及びフランジ256は、掌部の固定器250の全体の周り又は本質的にその全体で延長せず、代わりに、掌部の固定器250の一部又は部分の周りで延長してもよいと認識される。例えば、フランジ256は、溝257が各々の突起と支持部250の残りの間で形成されるように、掌部の固定器250の第1の端部の周りで提供される一連の突起で形成されてもよい。他の形状において、フランジ256は、掌部の固定器250の第1の端部に対向する側で提供されてもよい。
【0117】
これは、掌部の固定器を掌の上下の部分に取り付ける取付けシステムのほんの1つの形状に過ぎないと認識されなければならない。他のいかなる適切な取付けシステムが、別途用いられてもよい。例えば、掌部の固定器及び掌の上下の部分は、掌部の固定器を掌に取り付けるように互いに嵌合する補完的なオス側及びメス側の取付け部材を含んでもよい。クリップ固着システムは、他の形状の使用可能なできる取り付けシステムであってもよい。更に他の形状において、少なくとも、掌部の固定器の一部は、掌の上下の部分の1つあるいは両方に固着される、又は、一体的に成形されてもよい。
【0118】
上記のように、掌部の固定器250は、義手の指関節261及び指300を間接的に支持するために、1つ又はそれ以上のコネクタ260を支持するように構成される。
【0119】
1つの形状において、各々のコネクタ260の本体は、モーター筐体を提供するように構成されてもよい。例えば、接続用アーム20はモーター筐体を含んでもよい。他の例において、コネクタは、接続用アーム、モーター筐体、及び、接続用アームとモーター筐体の間に位置する指関節接合を含んでもよい。この構成では、モーター筐体は指の本体内に配置されてもよく、接続用アームは掌の範囲内に配置されてもよい。モーター筐体は、駆動モーターを収容してもよく、随意に1つ又はそれ以上のエンコーダ及び/又はセンサを収容してもよい。
【0120】
掌部の固定器は、各々のコネクタの接続用アームを保つように構成されてもよい。例えば、1つ又はそれ以上の支持開口258は、第1の端部252から第2の端部253まで掌部の固定器250を通って延びてもよい。1つの形状において、図2Aに示すように、4つの支持開口258が提供される。各々の支持開口258は、好ましくはその範囲内でコネクタ260の接続用アーム20を受容するように構成される。
【0121】
他の形状において、掌部の固定器250は、各々の支持開口258がその中に駆動モーターを受容するように構成されるために、義手100の1つ又はそれ以上の駆動モーター10を支持するように構成されてもよい。実質的には、各々の支持開口258は、モーター群を形成するように構成されてもよい。
【0122】
好ましい形状において、各々の支持開口258は本質的に円筒状であり、本質的に円筒状のモーター10又は接続用アーム20をぴったりと保つために必要な大きさにされる。1つの形状において、モーター10又は接続用アーム20の湾曲した壁の本質的に全体が支持開口258内で保たれてもよい。代わりに、図3において指示されかつ図5及び6で示されるように、掌部の固定器250が義手の掌内の空間でモーター/接続用アームを吊着するために、モーター10又は接続用アーム20の一部のみが支持開口258内で保たれてもよい。
【0123】
掌部の固定器250の第2の端部253が各々のコネクタの指関節接合261に当接し、各々のコネクタの接続用アーム20がそれぞれの支持開口258内で保たれるように、義手100は組み立てられてもよい。
【0124】
1つの形状において、各々の接続用アーム20の第1の端部が義手の掌200内で吊着されるように、義手は構成されてもよい。例えば、接続用アームの第2の端部23の又はその近くの接続用アーム20の一部は、支持開口258内で保たれる。接続用アームの第1の端部22の近くの接続用アーム20の残りの部分は、図5及び6に示すように、義手の掌200の本体の内部で吊着されるために支持開口258から延長してもよい。
【0125】
他の形状において、接続用アームの本質的に全体が支持開口の範囲内で保たれるように、掌部の固定器はより長い。
【0126】
1つの形状において、義手100は、4つの手指300と4つの駆動モーター10を含み、各々の駆動モーター10は個々の手指300の動きを駆動するように構成される。義手100の掌部の固定器250は4つの支持開口258を含み、各々の支持開口の各々は掌部の固定器250の第1の端部252と第2の端部253の間で延長する。接続用アームは、掌部の固定器250のそれぞれの支持開口258にぴったりと適合するように構成される。
【0127】
1つの形状において、各々の駆動モーター10は、それぞれのコネクタ260の接続用アーム20内で収容される。好ましくは、接続用アーム20は、防水の筐体を駆動モーター10に提供するように構成される。
【0128】
概して、各々のモーター及び各々のモーター筐体の第1の端部22は、それぞれのモーター10に接続され、直接又は間接的に電源及び/又は制御システムに接続するように構成される電気コネクタ21を含む。制御システムは、モーター10が手指300の動きをいつ、どのように駆動し、手指をどの方向に動かすべきかを決定するように構成されてもよい。各々の駆動モーター10の第2の端部は、(駆動モーター10がモーター筐体内で配置される場合)それぞれのモーター筐体の第2の端部23で又はその近くで配置される。各々のモーターの第2の端部は、直接又は間接的にそれぞれの手指300の作動システムに接続され、モーター10の出力が手指300の動きを駆動するために直接又は間接的に手指300に係合するように構成される出力軸を含んでもよい。
【0129】
1つの形状において、掌部の固定器250及び接続用アーム20は回転防止システムを含み、そこで、2つの部分250、20が互いに係合して、駆動モーターが指を動かすにつれて接続用アーム20が支持開口258内で回転することを防ぐ。1つの形状において、図3から図4Dに示すように、1つ又はそれ以上の支持開口258は、1つ又はそれ以上のそれぞれの接続用アーム20上に形成される突起24のような少なくとも1つの対応する止め具に係合するために構成される凹部又は刻み目のような開口部259を含む少なくとも1つの止め具を含んでもよい。この構成では、各々の接続用アーム20は、モーター筐体の突起24が掌部の固定器250において形成されるそれぞれの開口部259内で保たれるように、支持開口258内で保たれる。代わりに、掌部の固定器のモーター群は、開口/凹部の形でそれぞれの接続用アームに提供される1つ又はそれ以上の止め具と嵌合するように構成される突起の形で1つ又はそれ以上の止め具を備えていてもよい。手指が動いている場合、手指310から接続用アーム20まで伝達されるいかなるトルクも、接続用アーム20が支持開口258内で回転されるのを防ぐ。義手100が衝撃力を受ける場合、回転防止システムはまた、接続用アーム20が支持開口258内で回転されるのを防ぐことができる。代わりに、回転は、対応する相互係合した輪郭を有するアクチュエータで、鍵穴のような円形ではない断面の開口部を提供することによって防止されてもよい。
【0130】
随意に、1つ又はそれ以上の接続用アーム20は、それぞれの手指が掌の上部に向けて曲がることを防ぐ、及び/又は、手指があまりに下に引かれることを防ぐために、掌の外殻に対して押圧するための1つ又はそれ以上の端部止め具25を含むように構成される。換言すれば、端部止め具25は、手指300の極度な動きを防ぐために手指の最大の動きの点を提供するように構成される。1つの形状において、端部止め具25は、モーター筐体の上部に提供されてもよい(その上部は、掌の上部の部分の方に面する部分である)。加えて、又は、代わりに、端部止め具25は、モーター筐体の下部に提供されてもよい(その下部は、掌の下部の部分220に面する部分である)。随意に、接続用アームに又はその中に位置する1つ又はそれ以上の電子部品筐体がまた、端部止め具25を形成してもよい。
【0131】
概して、掌部の固定器250は、幾分屈曲する能力と同様に十分な構造上の保全性を掌200及び指関節接合261に提供するために半可撓性を有し半圧縮可能である。掌部の固定器250の様々な領域で提供される柔軟性及び圧縮性の量は、義手100及び手指300の動きの範囲に影響をもたらす。
【0132】
1つの形状において、掌部の固定器250は、掌部の固定器250の異なる領域で、異なる圧縮性及び/又は柔軟性の特徴を提供するように構成されてもよい。例えば、手指300の間の隙間と整列する掌部の固定器250の領域は、支持部250の他の領域より可撓性を有してもよい。掌部の固定器250のこれらの領域をより薄くする、及び/又は、支持部250の他の領域よりも可撓性のある材料で掌部の固定器250のこれらの領域を作成することによって、より大きい柔軟性が達成される可能性がある。
【0133】
掌部の固定器はまた、圧縮又は屈曲した後に、掌部の固定器が本質的にその本来の状態に戻るように、本質的に弾力を有してもよい。
【0134】
掌部の固定器250の可撓性のある半圧縮可能な性質は、自動義手100に大きな利点を提供する。例えば、義手100の手指300がグリップ位置を形成する場合、グリップした目標物の周りで手指300が本質的に広がり、少なくとも部分的に義手100を目標物の周りにフィットさせることができるように掌部の固定器250は屈曲及び湾曲することができる。このような方法で、掌部の固定器250の動きは、テニスボールのような目標物を掴むためにわずかに湾曲する(特に側部で)人間の手の掌に非常に類似するようになる。目標物の周りでわずかに湾曲することによって、義手100は、義手100が目標物と接触する接触点の数が増加する。義手100がより多くの接触点を有すると、義手のグリップはより良好になる。概して、良好なグリップを達成する従来の自動義手では、義手のモーターが、グリップする目標物の表面上に義手の指を締着するように駆動する。締着力がより強くなると、目標物が義手から抜けにくくなる。しかしながら、これにはモーターが激しく作動する必要があり、モーターが酷使されてしまう。強い締着力が使われる場合でも、いくつかの目標物を従来の自動義手がグリップするのは難しい可能性がある。例えば、ガラス瓶のような滑りやすく湾曲した目標物はまだ、従来の義手が確実にグリップするのは困難である可能性がある。しかしながら、本発明の掌部の固定器を含む自動義手は、多くの接触点を提供するために目標物の周りで本質的に湾曲することができるので、義手のモーターは必要なグリップ力を達成するためにそれほど激しく作動する必要はない。その結果、モーター及び電池の耐用寿命は向上し、より良好なグリップが得られる。
【0135】
本質的に可撓性のある圧縮可能な掌部の固定器によって提供される他の利点は、本発明の自動義手が衝撃力を受ける場合、特に小指又は人差し指へ側面の衝撃の場合、義手は、義手の作動部への損傷を最小にするためにある程度力を吸収することが可能であることである。特に、圧縮可能な掌部の固定器によって作成される緩衝効果は、モーターギアボックスのような義手の高感度な構成要素に別途損傷を与える可能性のある衝撃力を拡散するための補助となる。このように、掌部の固定器は、モーター及び義手の他の構成要素の耐用寿命を向上させるための補助となる。
【0136】
本発明の可撓性のある圧縮可能な掌部の固定器を含む義手はまた、掌部の固定器が本質的に駆動モーターの振動を吸収するので、駆動モーターが接続用アーム内で収容される部分においてより静粛である可能性がある。
【0137】
掌部の固定器によって提供される他の利点は、支持部を含む義手が握手の際により自然な感触がすることである。これは、握手の圧力下でわずかに圧縮し、他の人の手を握るためにわずかに湾曲することができる義手の能力によるためである。
【0138】
更に、掌部の固定器が義手の指関節領域を横切って延長するので、固定器は指関節及び手指を支持し、それにより、手指の動きのより良好な制御及び精度が提供される。
【0139】
掌部の固定器が一体的に形成されたブロックとして示されている一方で、個別に掌に取り付けられても、あるいは形成後に共に固定されても、別個の取付け部は各々のアクチュエータのために提供することができるものであると認識される。
【0140】
親指
1つの形状において、図7及び8に示すように、本発明の自動義手100は、本質的に義手の少なくとも1つの手指310に対向するように構成される親指320の形の指300を含む。好ましくは、自動義手100は、人間の手と同じ又はそれに類似した配置で4つの手指310及び本質的に対向する親指320を含む。
【0141】
親指320は、巻きついて屈曲するように構成されてもよい親指本体321が本質的に少なくとも1つの他の指300、例えば人差し指に対向するように、義手の掌200の第1の側部201で又はその近くで取り付けられる。親指320は、本質的に人間の親指及び掌配置に類似させるために掌の接触面から延長するように構成される。
【0142】
1つの形状において、親指本体321は、図8に図示したように、基節骨301、中節骨302及び末節骨303を含む。他の形状において、親指本体は、上記の通り、義手の指が取り得る様々な実施形態に関して基節骨のみ、又は、基節骨及び末節骨を含んでもよい。
【0143】
1つの形状において、親指320は義手100の掌200の上部210に載置するように構成される。親指320は、掌の上部210の外殻の内部の表面に直接載置されても、あるいは、親指320は、それ自体が掌の上部210の内部の表面上に載置される親指支持部330のような中間部材上に載置されてもよい。例えば、義手100は、掌200に関する所望の位置及び配向で親指320を配置するように構成される親指支持部330を含んでもよい。1つの形状において、親指支持部330は、掌の外殻の上部210に取り付けられる、又はその中に載置される、あるいはその上に載置されるように構成される。
【0144】
親指320は、親指支持部330に載置するように構成されてもよい。例えば、1つの形状において、親指320は、親指本体321の片側から延長して本質的にL字状の親指320を形成する本体321及びベース部材322を含む。義手100が開いた位置にある場合、親指本体321が掌の第1の側部201で又はその近くで掌200の接触面から延長し、ベース部材322が掌の第2の側部202の方へ掌200を横切って延長するために、親指320は掌200に配置される。掌の第2の側部202は、掌の第1の側部201に本質的に対向している。この構成では、ベース部材322の末端部322aは、掌の第2の側部202の方へ本質的に面している。親指320は、下記のように、掌の第2側部202の方へ/から離れて回転するためにベース部材322の末端部322aの方へ/から離れて回転するように構成されてもよい。
【0145】
1つの形状において、親指支持部330は、傾斜した第1の凹部332を有する第1の表面321を含む。示される形状では、第1の凹部332は、親指支持部330に沿って傾斜する。第1の凹部332の角度は、好ましくは親指本体321に向けて傾斜する。第1の凹部332は、凹部332の最も浅い端部である第1の端部332a、及び、凹部332の最も深い端部である本質的に対向する第2の端部332bを含む。随意に、第1の凹部332は開口部を含む。1つの形状において、開口部は、第1の凹部332の第2端部332aで提供されてもよい。
【0146】
第1の凹部332は、ベース部材322が第1の凹部332内の位置において本質的に保たれるように、親指320のベース部材322の少なくとも一部を受容するために構成されてもよい。第1の凹部332の角度は、親指支持部330上の位置に親指320が保たれるのを補助するだけでなく、親指320の本体321が、本質的に自然に見える義手100を提供するように本質的に自然に見える位置で掌200上に配置させ、角度をつけることも補助する。
【0147】
親指支持部330はまた、第1の表面321上に位置する第2の凹部333を含んでもよい。示される形状において、第2の凹部333は、第1の凹部332の第1の端部332aの近くに位置する。第2の凹部333は、ベース部材322が左右に横滑りせずに親指支持部330上でその位置を維持するのを確実にするためにベース部材322から突出する位置決め要素323を受容するように構成されてもよい。第2の凹部333及び位置決め要素323は、例えば矩形の形状、星の形状、六角形の形状又は正方形の形状のようにいかなる適切な補完的な形状であってもよい。
【0148】
1つの形状において、図7及び8に示すように、位置決め要素323は、その周りで親指320がベース部材322の末端部322aの方へ/から離れて回転するようなヒンジを形成する。この形状において、ヒンジ323が第2の凹部333に入れ子になり回転することができるように、突出するヒンジ323は本質的に半円筒状でもよく、第2の凹部333も本質的に半円筒状であってもよい。ヒンジ/位置決め要素323及び第2の凹部333は、ベース部材322の長さに本質的に垂直に延長してもよい。
【0149】
随意に、親指支持部330は、親指320に耐衝撃性を提供するゴム、シリコン又はエラストマのような圧縮可能な材料を含む。
【0150】
親指320は概して、掌200の上部210の内部表面にそれ自体が位置する親指支持部330上に、ベース部材322が位置するように組み立てられる。随意に、親指支持部330は、親指支持部330と掌200の上部210の間の接合を封止する封止340に位置する及び/又はそれに囲まれる。掌200の上部210は、親指支持部330と上部210の間に本質的に中空の筐体を含んでもよく、それにより親指支持部330は、筐体のための蓋を形成する。義手100の電子部品240は随意に、掌の上部220のこの筐体230内で収容されてもよい。例えば、制御システム及び他の電子的な構成要素が筐体内で保たれてもよい。概して、電子部品の筐体230は、掌の上部210の基部で又はその近くで、すなわち掌200と手首500の間の接合部で提供される。電子部品の筐体230を封止することによって、電子部品240は防水で保持されてもよい。
【0151】
義手の掌の接触面が上方に面している場合、図8にて図示したように、掌200の下部220は、上部210、親指支持部330及び親指のベース部材322より上に位置する。掌の下部220は、親指320の本体321が突出する開口部216を含む。このように、親指320のベース部材322は掌200の外殻の内部で本質的に保たれ、親指の本体321は掌200の接触面221から突出する。
【0152】
親指320は、義手100の掌200から突出する本質的に静止した指300であるように構成されてもよい、あるいは、親指320が制御された動きを作成するように構成されてもよい。
【0153】
1つの形状において、親指320は、親指本体321が掌の接触面221の方へ巻きつき、真っ直ぐになる又は接触面から離れるように曲がるために構成されてもよい第1のモーターを含む。親指の指節骨は、基節骨と中節骨の間の第1の接合326、及び、中節骨と末節骨の間の第2の接合327のように指節骨の間の接合の周りに巻きついてもよい。
【0154】
親指320はまた、ベース部材322の末端へ/から親指本体321を動かす(すなわち、義手が小指を含む場合、小指の位置に近接した掌の第2の側部202の方へ/から親指を動かす)ように構成される第2のモーターを含んでもよい。
【0155】
実質的に、親指320は、掌200の第2の側部202の方へ同時にヒンジ結合し、目標物をグリップするため掌200の接触面221の方に巻きつくように構成されてもよい。同様に、親指320は、目標物を解放するために真っ直ぐになり、掌の第2の側部のヒンジ結合から離れてもよい。
【0156】
モーターは、掌200、親指のベース部材322、又は、親指の本体321内といった義手100のいかなる適切な位置に配置されてもよい。例えば、第1のモーターは、親指の本体321内で収容されてもよい。1つの形状において、第2のモーターはベース部材322内で収容される。
【0157】
好ましくは、モーターはモーター筐体内で保たれる。例えば、第1のモーターは第1のモーター筐体内で保たれてもよく、第2のモーターは第2のモーター筐体内で保たれてもよい。1つ又はそれ以上のエンコーダ及び/又はセンサもまた、第1及び/又は第2のモーター筐体内で保たれてもよい。
【0158】
自動義手100は随意に、衝撃力を吸収し、親指320及びその構成要素、特にモーターへの損傷を防ぐのを補助するために、ベース部材322及び掌200の外殻の間で配置されるように構成される圧縮可能な親指クッション350を含む。
【0159】
1つの形状において、親指クッション350は、ベース部材322及び掌の下部220の間に配置される。この形状において、親指クッション350は、掌の下部220の内部表面;ベース部材322の上部表面(上部表面が掌の下部の方へ面する表面である);に取り付けられても、あるいは、親指クッション350は、ベース部材322と掌の下部220の間に単に挟まれてもよい。
【0160】
1つの形状において、親指クッション350は、ベース部材322と掌の下部220の間に位置するために、図7及び8に示すように、ベース部材322に載置するように構成される。ベース部材322は、親指クッション350がベース部材322上に載置されるクッション取付け部324を含んでもよい。例えば、クッション取付け部324は開口又は凹部のような開口部の形であってもよく、親指クッション350は開口部内で受容されるように構成される突起を有する取付け表面を含んでもよい。好ましくは、突起は、開口部又は突起内でぴったりと受容され、開口部は、親指クッションがベース部材に適所に保たれるために開口部内で親指クッションの突起を保つように合わせられる又は別途構成される。他の形状において、図示するように、ベース部材322は突起324の形でクッション取付け部を含み、親指クッション350は、ベース部材322に適所に保たれる突起324を通じて適合するように構成される。
【0161】
1つの形状において、突起クッション取付け部は、第2の親指モーターの筐体、又は、少なくとも筐体の一部を含む。例えば、ベース部材322の第1の表面は、図7及び8に示すように、その中に第2のモーターが配置する突起324の形のクッション取付け部を含んでもよい。その接触面221が上方に面するように義手100の向きが定められる場合、ベース部材322の第1の表面は、また掌の下部220の内部表面の方へ面するその上方に面する表面である。
【0162】
圧縮可能な親指クッション350は、突出するモーター筐体/クッション取付け部324の突出する自由端に位置するように構成されてもよい、あるいは、親指クッション250は、本質的にクッション取付け部324を囲むように構成されてもよい。
【0163】
1つの形状において、図7及び8に示すように、ベース部材322は、突出するクッション取付け部324に位置する受台325を提供するように構成される。親指クッション350は、受台325内で本質的に配置され、本質的に突出するクッション取付け部324を本質的に囲むように構成される。
【0164】
親指本体321が掌の第2側部202の方へ/から離れて回転するにつれて、ベース部材322がわずかに上下に動くように、親指は親指支持部内でわずかに旋回してもよい。例えば、親指本体321が掌200の第2の側部202の方へ動く場合、ベース部材322の末端部322aは、親指支持部330の第1の凹部332へ押される。逆に、親指本体321が掌の第2の側部202から離れて動く場合、ベース部材の末端部322aは、掌200の下部220の内部表面に対して押される。それゆえに、親指320の端部が掌200の上部210の方へ親指本体321のベースを押す衝撃力を受容する場合、ベース部材322の位置決め要素323は親指支持部330の第2の凹部333に対して押され、ベース部材322の末端部322aはシーソー配置で掌の下部220の方へ押される。掌の本質的に堅固な下部220に対してベース部材322の本質的に堅固な構造が衝突する際の損傷を起こすような衝撃力を防ぐため、親指クッション350は、これらの2つの部分322、220の間に配置される。この構成では、ベース部材322は、少なくとも多少の衝撃を吸収する圧縮可能な親指クッション350に対して押圧される。それゆえに、親指クッション350の圧縮可能な性質は、親指320と掌200の間で伝達される力を弱めるのを補助する。結果的に、親指、親指モーター、及び、親指の他の構成要素は、親指の端部への衝撃力によって損傷を受ける可能性が減少する。
【0165】
1つの形状において、親指クッション350はベース部材に載置され、親指320の内部の側320aに当接するように構成されてもよい。親指の内側は、そこからベース部材322が延長する側である。この構成では、親指クッション350は、親指が掌の第1の側部201から衝撃力を受容する場合、親指320の側面の動きを本質的に弱めることが可能である。親指及びその高感度な構成要素は、それゆえに、側面の衝撃の結果として損傷を受ける可能性が減少する。
【0166】
親指クッション350は、ゴム、エラストマ、シリコーン等のいかなる適切な緩衝材料で作成されてもよい。好ましくは、親指クッションの材料は、親指クッションが変形した後、本質的にその本来の形状に戻ることができるために本質的に弾力的なものである。
【0167】
独立した指の速度、位置及び/又は力
1つの形状において、本発明の義手100の制御システムは、独立して義手の指300の動きを制御するために構成される1つ又はそれ以上のモーター制御装置を含む。1つの形状において、モーター制御装置は、独立して指の動きを駆動する1つ又はそれ以上の駆動モーターの速度を制御するために構成されてもよい。特に、モーター制御装置は、1つ又はそれ以上の駆動モーターのモーター速度、及び、パルス幅変調を制御するように構成されてもよい。各々のモーター制御装置は、直接又は間接的に電源、及び、義手100の1つ又はそれ以上モーター駆動に接続される。
【0168】
独立して1つ又はそれ以上の指の動きを制御することによって、制御された指が動く速度;制御された指がアイテムをグリップする力;及び、制御された指の位置を独立してかつ慎重に制御することが可能になる。
【0169】
義手100は1つ又はそれ以上の駆動モーターを含んでもよく、各々の駆動モーターは少なくとも1つの指を動かすように構成される。1つの形状において、義手は、5つの指及び少なくとも5つのモーターを含んでもよい。例えば、図3、5及び6に示すように、第1のモーターは、第1の指の動きを駆動するために人差し指のような第1の指に接続され、第2のモーターは、第2の指の動きを駆動するために中指のような第2の指に接続され、以下同様に接続されてもよい。上記のように、各々のモーターは好ましくは防水である筐体内で保たれてもよい。
【0170】
モーター制御装置は、いかなる所望の速度で1つ又はそれ以上の指300を動かすように構成されてもよい。例えば、モーター制御装置は、同じ速度又は異なる速度で2つ又はそれ以上の指300を動かすように構成されてもよい、あるいは、同じ速度又は異なる速度で各々の指300を動かすように構成されてもよい。
【0171】
1つの形状において、各々のモーター制御装置は、PID制御装置を含む。
【0172】
1つのモーター制御装置が、手指310のような単一の指300の速度を制御するために用いられてもよい。例えば、義手100の各々の指300は、その指300のみの動きの速度を制御するために構成されるモーター制御装置に接続されてもよい。1つの形状において、義手は、5つのモーター制御装置、5つのモーター及び5つの指を含んでもよい。例えば、各々の指の動きの速度がそれぞれのコントローラによって独立して決定することができるように、第1のモーター制御装置は、人差し指のような第1の指の動きの速度を制御するために第1のモーターに接続されてもよく;第2のモーター制御装置は、中指のような第2の指の動きの速度を制御するために第2のモーターに接続されてもよい。
【0173】
代わりに、単一のモーター制御装置が、2つ又はそれ以上の指300の速度を制御するために用いられてもよい。例えば、義手100は、親指、及び、人差し指、中指、薬指及び小指に対応する4つの手指310を含んでもよい。少なくとも1つのモーター制御装置が親指の動きの速度を制御するために用いられてもよく、少なくとも1つの他のコントローラが人差し指の動きの速度を制御するために用いられてもよい。更に他のモーター制御装置が、中指、薬指及び小指の速度を制御するために用いられてもよい。この構成では、親指及び人差し指の両方の速度は独立して制御され、一方で、中指、薬指及び小指は、これらの手指が単一のモーター制御装置によって支配されるので同じ速度で動く。
【0174】
1つの形状において、親指は、2つの駆動モーター:親指を掌の接触面へ/から巻きつけて曲げるようにする第1の駆動モーター;及び、親指を掌の第1の側部から旋回させて第2の側部及び後ろに動かすようにする第2の駆動モーター;を含んでもよい。親指が巻きつきかつ曲がる速度は、親指が掌の第1及び第2の側部の間で動く速度と同じである又は異なるように、各々の駆動モーターの速度は、独立したモーター制御装置によって制御されてもよい。
【0175】
制御システムは、ユーザに適した指の速度を決定するように構成されてもよい。例えば、義手が4つの手指を含み、小さい目標物又は丸い目標物をグリップするために使用される場合、1つ又はそれ以上のモーター制御装置は、薬指を中指よりも速く動かすように構成されてもよい。モーター制御装置は、人差し指と同じ速度で又はより速く中指を動かすように構成されてもよい。加えて又は代わりに、モーター制御装置は、薬指と同じ速度で又はより速く小指(又は義手が4つの手指を含まない場合には義手の外側の端部に最も近い手指)を動かすように構成されてもよい。
【0176】
他の形状において、義手100は、人差し指、中指、薬指、小指及び親指に対応する5つの指300を含む。1つ又はそれ以上のモーター制御装置は、人差し指及び中指より速い速度で、薬指及び小指を動かすように構成される。
【0177】
モーター制御装置は、義手上のいかなる適切な位置に置かれてもよい。好ましくは、制御システム及びモーター制御装置は、義手の掌の電子部品筐体内で、プリント基板上に配置される。
【0178】
1つ又はそれ以上のモーター制御装置は、義手100に組み込まれる前に、前もってプログラムされていてもよい。代わりに、ユーザ又はセラピストが、ユーザの要求に従って、義手の製造後に1つ又はそれ以上のモーター制御装置をプログラムしてもよい。随意に、1つ又はそれ以上のモーター制御装置は、再プログラム可能である。
【0179】
独立した指の速度及び/又は指の位置及び/又は指の力のための制御システムを提供することによって、精密なグリップのタスクを実行することができる。例えば、コントローラは、本質的に現実的かつ自然な握手のグリップを提供するように義手の他の手指と比較して、小指及び薬指により強い力を提供し、特定の手指に速度を提供するため、握手グリップのために握手前と後のグリップ位置を定めるためにプログラムされてもよい。
【0180】
独立した指の速度を有する義手によって提供される他の利点は、義手の制御システムが精密な用具のグリップを提供するように構成されることである。
【0181】
更に他の利点は、目標物をグリップするために適用される力が指の間で変化することができることである。例えば、手指は目標物をグリップするために用いる場合には、小指の駆動モーターを人差し指のものよりも急速に動かすことによって、小指のグリップ力は人差し指のグリップ力より強くなる。
【0182】
更に他の利点は、指の位置が独立して制御されかつ慎重に決定することができることである。例えば、コントローラは、指が、握手のグリップのような特定のグリップパターンで動くように構成されてもよい。
【0183】
クラッチ装置
1つの形状において、図9から図14に示すように、本発明の自動義手は1つ又はそれ以上のクラッチ装置400を含んでもよい。各々のクラッチ装置は、駆動モーターが、端部の衝撃力を指が受容する又は大きい牽引力の下にある場所で指を駆動するのを止めることができるように、駆動モーター10と係合及び分離するように構成されてもよい。例えば、巻きつけられた指300が重い重量を持ち上げる場合、その指の駆動モーターは巻きつけられた構成で指を保持するために酷使される。モーターに対しあまりに多くの負荷がかかると、モーターに損傷が与えられ、時間とともにモーターが摩耗する可能性がある。本発明のクラッチ装置400は、指が端部の衝撃又は大きい牽引力を受けて非常に酷使される場合に、駆動モーター10の駆動力から指300を分離することによって、この損傷を回避するのを補助するように構成される。
【0184】
駆動モーターは、グリップ位置の義手100の掌200の接触面の方へ指を巻きつけさせる第1の方向、及び、開いた位置を形成するために指を真っ直ぐにさせる対向する第2の方向に作動するように構成される。駆動モーターの出力軸は、本発明の少なくとも1つのクラッチ装置と直接又は間接的に係合するように構成される。
【0185】
義手は、義手の1つ又はそれ以上の指と共に用いられる1つ又はそれ以上のクラッチ装置400を含んでもよい。例えば、人差し指及び親指のみがクラッチ装置400を含んでもよい。他の形状において、図示するように、手指又は親指のいずれかの義手の各々の指300が、少なくとも1つのクラッチ装置400を含んでもよい。1つの形状において、指は、1つずつ指の本体の両側に置かれる2つのクラッチ装置400を含んでもよい。説明を簡単にするため、単一のクラッチ装置400の構成は、特に(親指以外の)手指の単一の指に関して記載されている。しかしながら、本発明のクラッチ装置400は親指のために別途使われてもよいと認識されるべきである。親指が2つの駆動モーターを含むので、親指は、親指の各々の駆動モーターと係合するための1つ又はそれ以上のクラッチ装置を含んでもよい。例えば、一実施形態において、親指が2つの駆動モーターを含む場合、親指は、4つのクラッチ装置を含んでもよい(各々の駆動モーターのために2つのクラッチ装置が存在する)。
【0186】
1つの形状において、クラッチ装置は、直接又は間接的に駆動モーターに係合するために構成される第1の部分、及び、直接又は間接的に手指に係合するために構成される第2の部分を含んでもよい。例えば、クラッチ装置の第1の端部は、上記のように手指の駆動モーターと係合してもよく、クラッチの第2の端部は手指と係合するように構成されてもよい。
【0187】
手指310は、義手の掌200に接続される指関節接合261に接続される。指関節接合261は、手指が巻きついて曲がることができるように、指関節接合261の周りで手指がヒンジ結合することができるように構成される。
【0188】
手指310は、別個の接合部分(例えば別個の指節骨)として形成されても、あるいは、手指は、上記のように、単一の部分(例えば基節骨)として形成されてもよい。
【0189】
クラッチ装置400は、2つの隣接した指節骨301、302、303間の接合の範囲内、又は、掌200と指300の間の指関節接合261の範囲内で配置されるように構成されてもよい。好ましい形態において、クラッチ装置400は、掌200と指300の基節骨301の間の指関節接合261の範囲内で配置される。
【0190】
指関節接合261は、1つ又はそれ以上の部分から形成されてもよい。1つの形状において、指関節261は、図9に示すように、共に接続されてもよい第1の部分261a及び第2の部分261bの2つの部分から形成される。
【0191】
指関節接合261は、人間の指関節の曲線に類似させるように少なくとも部分的に湾曲した外側の表面を有する本体を含んでもよい。1つの形状において、指関節接合261は、指支持部材260の一部を形成する。指支持部材260はまた、接続用アーム20を含んでもよい。1つの形状において、指関節接合261は、指支持部材260の第1の端部で又はその近くに位置し、接続用アーム20は指支持部材の第2の端部で又はその近くに位置する。指関節接合261が指支持部材260の一端を形成し、接続用アーム20が他端を形成するように、接続用アーム20は、指関節接合261から延長するように構成されてもよい。
【0192】
1つ又はそれ以上の手指の駆動モーターは、接続用アーム20内で保たれてもよい。随意に、1つ又はそれ以上のエンコーダ及び/又はセンサはまた、モーター筐体内で保たれてもよい。接続用アーム20は本質的に細長くてもよく、義手100の掌200内で配置されるように構成されてもよい。1つの形状において、接続用アーム20及び/又はモーター10は、上記のように、掌部の固定器250のモーター群の中で保たれるように構成されてもよい。他の形状において、接続用アーム20及び/又はモーター10は、例えば基節骨内のような指300の範囲内で保たれてもよい。
【0193】
指関節接合261の本体は、いかなる適切な形状であってもよい。1つの形状において、本体261は、対向する取付け面265a、265bを有する本質的に円形のディスクを含む。
【0194】
1つの形状において、クラッチ装置は、被駆動要素410、クランプ部材420及び圧縮部材430を含む。
【0195】
被駆動要素410は、直接又は間接的に駆動モーター10に係合されてもよく、駆動モーター10によって回転させられる。例えば、被駆動要素410は、駆動モーター10の出力軸によって駆動されるウォームギアと係合するウォーム歯車であってもよい。他の形状において、被駆動要素410は、駆動モーターの出力軸が回転するにつれて被駆動要素410もまた回転させられるような、ベベルギア歯車、あるいは他のいかなる適切なホイール又は回転要素であってもよい。
【0196】
被駆動要素410は、指関節接合261の本体内に配置されてもよい。被駆動要素410は、クランプ部材420と係合するように構成される少なくとも1つの接触面411を含んでもよい。1つの形状において、被駆動要素は、本質的に対向する接触面411a、411bを含む。
【0197】
クランプ部材420は、被駆動要素410の接触面411に係合するように構成される第1の表面421を含んでもよい。例えば、クランプ部材420の第1の表面421は、被駆動要素の接触面411に対して押圧するように構成されてもよい。
【0198】
圧縮部材430は、例えば接触面411に対する押圧によって、締着の第1の表面を被駆動要素410の接触面411と係合させるように構成されてもよい。圧縮部材430はそれゆえに、圧縮力を用いて、クランプ部材420を被駆動要素410の接触面411と係合させるように構成されてもよい。1つの形状において、圧縮部材430はまた、クランプ部材の第1の表面421を被駆動要素の接触面411と分離するように構成されてもよい。
【0199】
指300が単一のクラッチ装置400を含む所では、クランプ部材420及び圧縮部材430は、被駆動要素410の片方の側に位置する。しかしながら、指300が2つのクラッチ装置400を含む場合には、クランプ部材420及び圧縮部材430は、被駆動要素410の両側の上に位置する。
【0200】
1つの形状において、クランプ部材420は、被駆動要素410の接触面411a、411bに隣接して配置されてもよい。
【0201】
被駆動要素410及びクランプ部材420は、被駆動要素410において形成された車軸受容開口414を通って延長するように構成される共通の車軸450、及び、クランプ要素420において形成された車軸受容開口425によって、互いに隣接した位置に保たれてもよい。
【0202】
1つの形状において、被駆動要素の車軸受容開口414は、被駆動要素の接触面411上に、本質的に中央に配置される。車軸受容開口414は、第1の接触面411aから第2の接触面411bまで被駆動要素の本体を通って延長してもよい。
【0203】
クランプ部材420の車軸受容開口425は、クランプ部材420上の本質的に中央に配置されてもよい。
【0204】
1つの形状において、車軸受容開口425は、第1の表面421からクランプ部材の第2の表面422まで、クランプ部材の本体を通って延長してもよい。
【0205】
1つの形状において、車軸は、本質的に円筒状であってもよく、被駆動要素及びクランプ部材の本質的に円形の車軸受容開口を通って延長してもよい。他の形状において、車軸は、本質的に円筒状の中心の領域451、及び、円筒状でない端部452を含む。車軸450の中心の領域451は、本質的に円形の断面を含む被駆動要素410の車軸受容開口414を通って突出するように構成されてもよい。この形状において、被駆動要素410は、車軸450の周りを自由に回転してもよい。
【0206】
車軸450の円筒状でない端部452は、クランプ部材420の対応するように成形された車軸受容開口425に合うために構成された四角形の形状、六角形の形状又は他のいかなる適切な形状であってもよい。この形状において、クランプ部材420が回転するにつれて、車軸450もまた回転させられる。被駆動要素410は車軸430の周りを自由に回転することができ、一方で、車軸430及びクランプ部材420は、互いに関連した位置に固定される。
【0207】
車軸は、被駆動要素及びクランプ部材が互いに本質的に整列したままであるのを確実にすることを補助する。
【0208】
指関節接合261は、クラッチ装置の少なくとも一部を収容し、被駆動要素及びクランプ部材を整列するのを補助するクラッチ受容開口266を含んでもよい。クラッチ受容開口266は、第1の外側の表面265aから第2の外側の表面265bへ指関節接合の本体を通って延長してもよい。クラッチ受容開口266は、指関節接合261の外側の取付け面265a、265b上の好ましくは本質的に中央に位置する。1つの形状において、クラッチ受容開口266は、指関節接合261の第1の部分261a及び第2の部分261bのいずれか、あるいは、第1の部分261a及び第2の部分261bの両方を通って延長する円筒状の開口を形成するための円形の断面を有する。被駆動要素410は、クラッチ受容開口266に配置されてもよい。1つの形状において、クランプ部材420の少なくとも一部もまた、クラッチ受容開口266内で受容されてもよい。
【0209】
1つの形状において、クラッチ装置400は、被駆動要素410が回転する場合にクランプ部材420が回転させられるように、クランプ部材420の第1の表面と被駆動要素410の接触面を係合するための係合システムを含んでもよい。係合システムはまた、指300が大きな力を受ける場合に被駆動要素410からクランプ部材420を分離するように構成されてもよい。
【0210】
1つの形状において、係合システムは、1つ又はそれ以上のメス側係合部材に係合するために構成される1つ又はそれ以上のオス側係合部材を含む。オス側係合部材は、凹部を含むメス側係合部材に係合するために構成される突起を含んでもよい。オス側突起は本質的に凸面であっても、突出したボールのような本質的に球面突起であってもよい。オス側突起は場合により、そこから突起が突出するクランプ部材又は被駆動要素と一体的であっても、それに取り付けられても、あるいは、別途接続されてもよい。一実施形態において、少なくとも1つのメス側係合部材は、ディンプルのように、本質的にくぼんだ凹部を含んでもよい。凹型の領域は、1つ又はそれ以上の開口を含んでもよい。例えば、凹部は、半円形凹部を形成するために湾曲しかつテーパーの付いた端を有して中央に配置される開口を含んでもよい。他の形状において、メス側係合部材は、凹型の表面内で複数の開口を含むくぼんだ凹部を含んでもよい。凹部はまた、本質的に浅くてもよい。換言すれば、凹部の深さは本質的に浅くても、あるいは、本質的に浅いテーパー角度を有するテーパーの付いた端を含んでもよい。
【0211】
被駆動要素の接触面は、クランプ部材の第1の表面上の対応するメス側係合部材又はオス側係合部材に係合するために構成される1つ又はそれ以上のオス側係合部材又はメス側係合部材を含んでもよい。1つの形状において、接触面は、クランプ部材の第1の表面上の対応するメス側及びオス側係合部材に係合するために構成されるオス側及びメス側係合部材の両方を含んでもよい。
【0212】
随意に、係合システムは、4つのメス側係合部材に係合するために構成される4つのオス側係合部材を含む。オス側及びメス側係合部材は、被駆動要素410の接触面411の中心の点、又は、場合によりクランプ部材420の第1の表面421の中心の点から等間隔に及びその周りで配置されるように構成される。
【0213】
1つの形状において、被駆動要素410の接触面411は、1つ又はそれ以上のオス側係合部材を含んでもよく、クランプ部材は1つ又はそれ以上のメス側係合部材を含んでもよい。各々のオス側係合部材は、共に被駆動要素410及びクランプ部材420と係合するためにそれぞれのメス側係合部材において少なくとも部分的に受容されるように構成されてもよい
【0214】
。1つの形状において、被駆動要素410の接触面411は、1つ又はそれ以上の開口を含む。各々の開口は、閉じた端部及び開いた端部を含む。開いた端部は、接触面421に配置される。
【0215】
圧縮部材は、各々の開口内で保たれてもよい。オス側係合部材は、少なくとも一部が接触面から突出するために開口の開いた端部に配置されてもよい。この構成では、圧縮部材は、オス側係合部と開口の閉じた端部の間の開口内で保たれる。突出しているオス側係合部材は、クランプ部材の第1の表面に対して、及び、圧縮部材の一端に対して押圧される。圧縮部材はそれゆえに開口内で圧縮して保たれ、クランプ部材420の第1の表面421に対してオス側係合部材を押すように構成される。
【0216】
随意に、圧縮部材はバネであるが、他の形状において、圧縮部材は、圧縮することができ、その本来の形状にバネで戻ることができるいかなる本質的に圧縮可能かつ弾力的な材料から形成されてもよい。
【0217】
1つの形状において、オス側係合部材は、クランプ部材420と被駆動要素410の間で圧縮して保たれる玉軸受のようなボールを含んでもよい。
【0218】
圧縮部材430の圧縮力は、玉軸受のようなオス側係合部材をクランプ部材420の第1の表面421に対して押圧する。
【0219】
上記のように、クランプ部材420の第1の表面上のメス側係合部材は、被駆動要素410とクランプ部材420が係合する場合、その中でそれぞれのオス側係合部材が入れ子になる1つ又はそれ以上の凹部を含んでもよい。この構成では、被駆動要素410が回転する場合、クランプ部材420は回転させられる。オス側係合部材が玉軸受を含む場合には、1つ又はそれ以上の凹部は、玉軸受がそれぞれの凹部内で幾分回転することができるように構成されてもよい。この構成において、本発明は、被駆動要素410が回転するとクランプ部材420が回転させられるバネ式玉軸受クラッチ装置400を提供する。
【0220】
他の形状において、図9、10A及び10Bに示すように、被駆動要素410の接触面411は1つ又はそれ以上のメス側係合部材413を含み、クランプ部材420は1つ又はそれ以上のオス側係合部材423を含む。各々のオス側係合部材423は、被駆動要素410とクランプ部材420を互いに係合するためにそれぞれのメス側係合部材413において少なくとも部分的に受容されるように構成されてもよい。
【0221】
1つの形状において、クランプ部材420の第1の表面421は、1つ又はそれ以上の開口424を含む。各々の開口424は、閉じた端部と開いた端部を含む。開いた端部は、第1の表面421に位置する。開口424は、閉じた端部と共に形成されてもよい。代わりに、開口は、クランプ部材の第1及び第2の表面の間で延長してもよく、グラブネジのような止め具440が、開口424の端部を閉じるために第2の表面の開口において配置されてもよい。
【0222】
圧縮部材は、各々の開口424内で保たれてもよい。オス側係合部材423は、少なくとも一部が第1の表面421から突出するために開口424の開いた端部に配置されてもよい。この構成では、圧縮部材430は、オス側係合部423と開口424の閉じた端部の間の開口424内で保たれる。突出しているオス側係合部材423は、被駆動要素410の接触面に対して、及び、圧縮部材430に対して押圧される。圧縮部材430はそれゆえに開口424内で圧縮して保たれ、被駆動要素410の接触面411に対してオス側係合部材を押すように構成される。
【0223】
随意に、圧縮部材はバネであるが、他の形状において、圧縮部材は、圧縮することができ、その本来の形状にバネで戻ることができるいかなる本質的に圧縮可能かつ弾力的な材料から形成されてもよい。
【0224】
1つの形状において、オス側係合部材423は、クランプ部材420と被駆動要素410の間で圧縮して保たれる玉軸受のようなボールを含んでもよい。
【0225】
圧縮部材430の圧縮力は、玉軸受423のようなオス側係合部材を被駆動要素410の接触面411に対して押圧する。
【0226】
上記のように、被駆動要素410の接触面411上のメス側係合部材413は、被駆動要素410とクランプ部材420が係合する場合、その中でそれぞれのオス側係合部材423が入れ子になる1つ又はそれ以上の凹部413を含んでもよい。この構成では、被駆動要素410が回転する場合、クランプ部材420は回転させられる。オス側係合部材が玉軸受を含む所では、1つ又はそれ以上の凹部413は、玉軸受423がそれぞれの凹部413内で幾分回転することができるように構成されてもよい。この構成において、本発明は、被駆動要素410が回転するとクランプ部材420が回転させられるバネ式玉軸受クラッチ装置400を提供する。クランプ部材420はまた、手指310と直接又は間接的に係合するように構成されてもよい第2の表面422を含む。例えば、クランプ部材420の第2の表面422は、指300の本体において形成された対応する受容要素305と係合するために構成されてもよい。他の実施形態では、車軸450の末端部は、手指の本体において形成される対応する受容要素と係合するために構成されてもよい。
【0227】
クランプ部材420の第2の表面422及び/又は車軸450の末端部は、クラッチ装置400の第2の端部を形成してもよい。受容要素305は、凹部ではない領域に接している少なくとも1つの壁によって、又は、凹部ではない領域の境界を定める複数の突出するアームによって定められる開口、凹部又は凹部ではない領域のような開口部であってもよい。1つの形状において、図示するように、クランプ部材420は、手指310の基節骨301と係合するために構成される。1つの形状において、クランプ部材は、手指に取り付けられる又は一体的に作成されることによって手指と係合する。
【0228】
1つの形状において、図9に示すように、クランプ部材420は、クランプ部材420の第1の表面421を含む軸426を含んでもよい。フランジ427は、軸426の一端で又はその近くで配置されてもよい。フランジ427は、クランプ部材420の第2の表面422を含んでもよい。軸426は、指関節261のクラッチ受容開口266内で保たれるように構成されてもよい。1つの形状において、クランプ部材420のフランジ427は、フランジ427が指関節接合261の外側の表面265上に位置するように指関節本体261の外側の取付け面265に当接するように構成される。この構成では、クランプ部材400の軸426は、第1の部分261aのような少なくとも指関節261の一部を通って被駆動要素410の方へ延びる。クランプ部材420のフランジ427は、上記の通りに、基節骨301の本体のような手指310と係合するために構成されてもよい。例えば、フランジ427は、凹部、開口又は基節骨の周囲のような対応する受容要素305に合わせるために、四角形、六角形、あるいは不規則に成形されてもよい。
【0229】
この構成において、クランプ部材が被駆動要素に係合して被駆動要素が駆動モーターによって回転させられる場合、手指は、本質的に同時に回転させられる。駆動モーターと手指の間の駆動力は、本明細書において以下に記すように、クランプ部材及び被駆動要素を分離することによって遮断されてもよい。
【0230】
クラッチ装置の更に他の形状において、図13に示すように、クランプ部材420は、クランプ部材420の第1の表面421を含む第1の要素420a、及び、クランプ部材の第2の表面422を含む第2の要素420bを含む複数の部分を含む。圧縮部材430は、バネ座金等を含んでもよく、第1及び第2の要素420a、420bの間に位置するように構成される。
【0231】
上記のように、被駆動要素410の接触面、及び、クランプ部材420の第1の表面421は、被駆動要素をクランプ部材に係合するための1つ又はそれ以上の係合部材を含んでもよい。再度繰り返すが、係合部材は上記のように、突起を含むオス側係合部材、及び、開口のような開口部を含むメス側係合部材であってもよい。被駆動要素の接触面は、クランプ部材の第1の表面上に位置する、対応するメス側係合部材、オス側係合部材又は両方と係合するために構成される1つ又はそれ以上のオス側係合部材、メス側係合部材又は両方を含んでもよい。
【0232】
1つの形状において、1つ又はそれ以上のオス側係合部材423は、被駆動要素410の接触面の上に形成される1つ又はそれ以上の凹部413と係合するためにクランプ部材420の第1の表面421から突出してもよい。他の形状において、被駆動要素410は、被駆動要素の接触面から突出し、クランプ部材420の第1の表面上の1つ又はそれ以上の凹部に係合するように構成される1つ又はそれ以上のオス側係合部材を含む。
【0233】
圧縮部材430は、被駆動要素410に対してクランプ部材420の第1の表面421を押圧するように構成される。対応する係合部材はそれゆえに、被駆動要素及びクランプ部材を互いに係合するために共に入れ子になっていてもよい。クランプ部材の第2の要素420bは、クラッチの第2の端部を含む。
【0234】
第2の要素420bは、手指310と係合するために構成されてもよい。この構成では、被駆動要素及びクランプ部材が係合する場合、被駆動要素が回転するにつれて、クランプ部材及び手指は回転する。
【0235】
1つの形状において、第2の要素420bは、指関節接合260aの第1の部分のクラッチ受容開口266の間で延長して、圧縮部材430に対して押すように構成される第1の端部を含む。第2の要素420bの第2の端部は、指関節接合260aの第1の部分の取付け面265aに当接して手指の基節骨のような手指310と係合するように構成される。好ましくは、手指310は、第2の要素上に提供されるクランプ部材の第2の表面422のようなクランプ部材420の第2の要素に合わせるように構成される受容要素305を含む。受容要素305は、手指310の本体の内部の表面上に配置されてもよい。受容要素305は、開口、凹部、あるいは、領域に接している少なくとも1つの壁、又は、複数の突出するアームによって定められる領域を含んでもよい。
【0236】
それゆえに、クランプ部材420は、指300に駆動モーター10の回転運動を伝達するために被駆動要素410及びそれぞれの指300と係合するように構成されてもよい。駆動モーター10が被駆動要素410を回転させると、クランプ部材420と被駆動要素410の間の係合がクランプ部材420を回転させ、手指もまた回転(巻きつく又は屈曲)させられる。
【0237】
クラッチ装置400は、駆動モーター10を指300から遮断するために被駆動要素410からクランプ部材420を分離することによって特定の状態の下で分離されてもよい。これは、被駆動要素の接触面からクランプ部材の第1の表面を分離することによって達成することができる。1つの形状において、被駆動要素410のオス側及びメス側係合部材、及び、クランプ部材420は、これらの2つの部分410、420を分離するために互いに分離されてもよい。例えば、図11Bの矢印「A」で示されるように、指が巻きつけられる、あるいは、わずかに巻きつけられて、重い重量を持ち上げることによる引張力の下にある構成である場合、又は、指が端部の衝撃力を受容する場合、引張力又は衝撃力により、クランプ部材420から被駆動要素410を分離するために、オス側係合部材は本質的に浅い凹部に引かれる、あるいは、そこから押されてもよい。
【0238】
分離される場合、被駆動要素410は自由に回転し続けてもよいが、切離されたクランプ部材420は、もはや回転させられない。結果的に、手指300もまた、モーター10の駆動力から分離される。分離時に手指300が巻きつけられて重い目標物を持ち上げる場合、駆動モーターは巻きつけられた位置に手指を引くことがもはやできないので、手指はそのグリップを解放して本質的に屈曲する位置に延長してもよい。同様に、手指が端部の衝撃を受容する場合、手指は、駆動モーターに損傷を与えることなく少なくとも部分的に衝撃力を吸収するように衝撃の下で曲がることができるために、衝撃力によって直ちにクラッチが分離される。
【0239】
切離された指300は、図12A及び12Bに示すようにゆるくなり、駆動モーター10に再係合するために係合位置まで戻される必要がある。
【0240】
圧縮部材は、場合により、被駆動要素の接触面411の凹部ではない領域、又は、クランプ部材の第1の表面に対してオス側係合部材を押圧し続ける。
【0241】
それゆえに、ユーザは、指関節接合261の周りで指300を手動で操作することによって、オス側係合部材とそれぞれのメス側係合部材を再調整することができる。圧縮部材430は、クラッチ装置400及び手指300を駆動モーター10に再係合するために、整列されたメス側係合部材にオス側係合部材を自動的に押す。
【0242】
他の形状において、図14Aから図14Cに示すように、被駆動要素410の接触面411は本質的に円形である。例えば、被駆動要素はディスク形状又は円筒状の形状であってもよく、接触面411は被駆動要素410の外周の表面であってもよい。クランプ部材420は、2つの遠方端部426、及び、被駆動要素410の接触面411の少なくとも一部の周りを包むように構成される本質的にくぼんだ内部の表面421を有する本体を含んでもよい。好ましくは、内部の表面421は、本質的に被駆動要素の接触面411の少なくとも半分を囲むように構成される。内部の表面は、クランプ部材420の第1の表面421を含む。1つの形状において、クランプ部材の外側の表面は、クランプ部材の第2の表面を形成してもよい。1つの形状において、クランプ部材本体は、本質的にU形状であり、ここで、クランプ部材420の2つの遠方端部426がU形状の本体のアームから延長する。他の形状において、図14Aに示すように、クランプ部材本体は、本体のリング状の領域から延長している2つの遠方端部426を有するリングを形成するために本質的に円形である。好ましくは、2つの遠方端部426は、クランプ部材本体420から本質的に垂直に延長する。
【0243】
圧縮部材430は、クランプ部材の第1の表面421が被駆動要素の接触面411に対して締着されるように、被駆動要素の周りでクランプ部材本体を締めるために一方の遠方端部426に対して少なくとも1つの遠方端部426を押圧するように構成される。
【0244】
クランプ部材420は、クラッチ装置400の第2の端部を含んでもよい。クランプ部材420は、手指の本体上に位置する受容要素のように、手指310と直接又は間接的に係合するように構成されてもよい。1つの形状において、クランプ部材は、手指の基節骨に係合するように構成されてもよい。
【0245】
受容要素305は、手指310の本体の内部の表面上に配置されてもよい。受容要素305は、開口、凹部、あるいは、領域に接している少なくとも1つの壁又は複数の突出するアームによって定められる領域を含んでもよい。1つの形状において、受容要素305は、圧縮部材がクランプ部材420の遠方端部426の一方又は両方に対して押圧することができるように圧縮部材の少なくとも一部をそこにまた受容するように構成される。受容要素305は、クランプ部材420の第2の表面に合うように構成されてもよい。
【0246】
1つの形状において、圧縮部材430は、第2の遠方端部426bの方へ第1の遠方端部を押すために、手指310の本体へ、及び、第1の遠方端部426aに対して回してはめ込まれるネジを含んでもよい。随意に、圧縮部材430は、クランプ部材420の第1及び第2の遠方端部426の両方が受容要素305内で互いの方へ押されるために、対向する側から手指310の本体に回してはめ込まれる一対のネジを含んでもよい。
【0247】
被駆動要素の接触面に対してクランプ部材の第1の表面を締着することによって、駆動モーターが被駆動要素を回転するにつれて、クランプ部材は回転させられる。クランプ部材が手指と係合するので、手指もまた、回転させられる。
【0248】
大きい衝撃力が手指の端部に影響を与える場合、湾曲する場合、又は、手指が大きい牽引力を受けるために手指が重い目標物を持ち上げる場合、クランプ部材は、被駆動要素から分離されてもよい。例えば、大きい押圧力又は牽引力はクランプ部材と被駆動要素の間の摩擦推力に打ち勝ち、クランプ部材が被駆動要素の周辺ですべり始めて、それにより被駆動要素から分離される。このような方法で、手指は、駆動モーターを大きい押圧/牽引力から保護するために駆動モーターから分離される。
【0249】
上記したものは、指を駆動モーターに係合して、分離するために用いてもよいクラッチ装置のほんのいくつかの形状を記載したものである。他の形状のクラッチ装置が代わりに用いられてもよいと認識されるべきである。
【0250】
本発明のクラッチ装置は、極端に強い力による駆動モーターの酷使を減らす安全性の特徴を自動義手に提供するものである。
【0251】
本発明のクラッチ装置によって提供される他の利点は、義手の指が、手指、クラッチ装置及び駆動モーター間の最小の摩擦でモーターの方向に従って、巻きつき屈曲することができることである。従来の自動義手と異なって、義手の指は、指を開いた位置に付勢するためにバネを必要としない。従来の自動義手のバネは概して固く、それは手指の速度を遅くし、駆動モーター摩耗させる。逆に、本発明のクラッチ装置は、義手の指を比較的急速に動かすことができる。他の有益な効果は、クラッチ装置によって、義手が駆動モーターから得るゲインを向上させることができることである。クラッチ装置はまた、手指が屈曲するにつれて手指の制御された動きを通じて義手の制御された開きを提供する。これは、手指を屈曲した位置に引く付勢力に、手指がさらされないという理由からである。
【0252】
手首
1つの形状において、本発明は、手首接合で義手のコンパクトな屈曲を提供するように構成される手首接合を含む。他の形状において、本発明は、手首接合で義手のコンパクトな回転を提供するように構成される手首接合を含む。随意に、手首接合は、(例えば電力供給されたフック又は自動義手のような)電動端末装置の手首をアーム部材に取り付ける従来の迅速な遮断システムに取り付けられるように構成されてもよい。更に他の形状において、本発明は、義手のコンパクトな屈曲及び義手のコンパクトな回転を提供するように構成される手首接合を含む。
【0253】
1つの形状において、図15から図24に示すように、本発明の自動義手100は、義手の掌に取り付けられて、アーム部材に取り付けられるように構成される手首接合500を含む。アーム部材は、自動義手が使用中の場合、ユーザの基部が配置されるスリーブであってもよい。代わりに、アーム部材は、例えば機械的なアームであってもよい。
【0254】
手首接合は、掌の位置がアーム部材と関連して調節されてもよいように構成される位置決めシステムを含んでもよい。例えば、手首接合は、義手の垂直回転を提供するように構成されてもよい。
【0255】
1つの形状において、位置決めシステムは、掌に取り付けられてもよく直接又は間接的にアーム部材に取り付けられる車軸を含んでもよい。掌200は、掌がアーム部材に関連して巻きつけ、屈曲することができるために車軸520の周りで回転するように構成される。車軸は、アーム部材が掌にできるだけ近くに届くことができるように掌の殻内で保たれて、それによって、手首接合は本質的にコンパクトになることができる。
【0256】
他の形状において、図15に示すように、位置決めシステムは、位置決め部材510、車軸520及び係止部材530を含んでもよい。好ましくは、位置決めシステムは、掌内で本質的に配置される。例えば、車軸、係止部材及び位置決め部材の少なくとも一部は、掌内で配置されてもよい。
【0257】
車軸520は、掌200に接続される。掌がアーム部材に関連して巻きつけ、屈曲することができるために、掌200は車軸520の周りを回転するように構成される。例えば、アーム部材が地面に水平に延長しかつ掌200の接触面221が地面に面する所で、掌200は、アーム部材と関連して上方(屈曲)及び下方(巻きつく)へヒンジ結合することができる。
【0258】
1つの形状において、車軸は、義手の掌の本体内で保たれるように構成される。車軸520は、掌の第1の側部201から第2の側部202まで掌を横切って本質的に延長してもよい。車軸520の各々の端部520a、520bは、回転可能に掌200に取り付けられてもよい。1つの形状において、掌200の基底部は、車軸520を受容するように構成される開口、凹部等であってもよい本質的に対向する開口部205a、205bの対を含んでもよい。車軸受容開口は、掌の内部又は掌の殻の範囲内で提供されてもよい。一実施形態において、各々の車軸受容開口205a、205bは、掌の殻の下部220において形成される。
【0259】
1つの形状において、車軸の各々の端部520a、520bは、本質的に圧縮可能な車軸取付け部525により支えられてもよい。本質的に圧縮可能な車軸取付け部525は、手首接合に側面の衝撃緩衝を提供し、それにより、義手はより良好に側面の衝撃力に耐えることができる。
【0260】
1つの形状において、各々の車軸受容開口は本質的に圧縮可能な材料で形成されてもよい、あるいは、車軸取付け部を形成するために本質的に圧縮可能な材料に沿って並べられてもよい。
【0261】
他の形状において、図15に示すように、本質的に圧縮可能な車軸取付け部525は、車軸510の各々の端部に取り付けられ、義手の掌において形成される車軸受容開口205a、205b内で支えられてもよい。
【0262】
位置決め部材510は、位置決め部材の少なくとも一部が掌内に配置されるために、車軸520に載置されてもよい。
【0263】
位置決め部材510は、アーム部材と関連して掌200を所望の位置に固定する係止部材530と係合するように構成されてもよい。
【0264】
図15及び16に示すように、位置決め部材510は、掌の方に面する第1の端部510aを有する本体、及び、アーム部材の方に面するように構成される第2の端部510bを含んでもよい。
【0265】
1つの形状において、位置決め部材510は、車軸520をそこに受容するための車軸受容開口514を含む。車軸受容開口は、位置決め部材の本体上のいかなる適切な位置で形成されてもよい。一実施形態において、図16で最も良く示されるように、車軸受容開口514は、位置決め部材の第1の端部510aで、又はその近くに配置される本質的に中空の軸を含む。車軸の端部520a、520bの各々が軸514を越えて延長し、上記のように、車軸取付け部525によって掌内で支えられるために、車軸520は軸514を通過する。
【0266】
位置決め部材510は、係止部材530と係合するように構成される1つ又はそれ以上の係合要素を含んでもよい。
【0267】
1つの形状において、係合要素は、1つ又はそれ以上の対応する開口部又は係止部材の係止ピンに係合するように構成される少なくとも1つの係止ピン又は開口部を含んでもよい。
【0268】
1つの形状において、位置決め部材510は、1つ又はそれ以上の係合要素516がその上に位置する係止アーム515を含む。係止アーム515は、位置決め部材の第1の端部510aから突出してもよい。1つの形状において、係止アーム515は、車軸受容軸514に取り付けられる又はそれと一体的であり、軸514から突出する。係止アーム515は、車軸520の長手方向に対して本質的に垂直な方向に突出してもよい。この構成では、係止アームは、義手の掌の本体に突出する。
【0269】
1つの形状において、係止アーム515は、開口、凹部、刻み目等であってもよい1つ又はそれ以上の開口部516の形の係合要素を含む。1つの形状において、係止アーム515は、各々の開口部が車軸520から等間隔に設置されるために湾曲して形成される一連の開口部516を含む第1の側部515aを含む。1つの形状において、係止アーム515は、複数の刻み目516を含む凸面の端517を含む。刻み目516は、開口部/刻み目の本質的に湾曲した線を形成するために車軸520から本質的に等距離に位置する。
【0270】
係止アーム515の開口部516は、係止部材が開口部516と係合することができるために、係止部材530に接近可能であるように構成される。
【0271】
位置決め部材、及び、係止部材は、アーム部材と関連して掌を特定の位置に固定するために互いに係合するように構成される。例えば、位置決めシステムは、図17A及び図17Bに示すように、掌及びアーム部材が本質的に整列されてもよい中立位置;図17Cに示すように、掌がアーム部材に関して下方へ角度を付けられる、巻きつけられた位置;及び、図17Dに示すように、掌がアーム部材に関して上方へ角度を付けられる、屈曲した位置;に義手を固定してもよい。これらの位置は、あたかもユーザが彼又は彼女の体の前で義手の掌を下に向けて本質的に水平にアーム部材を保っているかのように記載されている。しかしながら、これらの用語は、理解の容易さのために用いられるものであって、本発明の範囲を制限する意図を有しないものである。
【0272】
1つの形状において、図18及び図19に示すように、係止部材530は、義手の掌200に取り付けられ、その範囲内に位置する。係止部材は、係止アーム515の開口部516のいずれかと係合するために構成される係止ピン531を含む。係止ピン531は、係止アームの開口部516の方へ突出してもよい。係止ピンが係止部材530及び位置決め部材520を共に固定するために開口部516のうちの1つにおいて受容されるために、係止ピンは、係止アーム515の方へ動くように構成されてもよい。この構成では、係止ピン531は掌200を定位置に固定する。掌は、係止部材530を位置決め部材510の係合要素516のいずれか1つと係合させることによって多くの所望の位置のいずれか1つに固定されてもよい。係止ピン531はまた、係止ピンが係止部材530及び位置決め部材520を分離するためにそれぞれの開口部516から収縮し、掌が自由に巻きつき屈曲することができるために、係止アーム515から離れて動くように構成されてもよい。
【0273】
位置決めシステムは、第1のモードと第2のモードの間で位置決めシステムを切替えるように構成されるスイッチを含んでもよい。第1のモードにおいて、位置決めシステムは、上記のように、手首接合に関して掌を様々な位置のいずれか1つに固定するように構成される。第2のモードにおいて、位置決めシステムは、最大に動く2つの点の間で掌が手首接合から自由にヒンジ結合することができるように構成され;一方の点は、最大に屈曲する位置であり、もう一方の点は、最大に巻きつく位置である。
【0274】
1つの形状において、係止部材530はスイッチを含む。
【0275】
スイッチは、位置決め部材の方へ(位置決め部材と係合するために)係止ピン531を動かし、位置決め部材から離れるように(位置決め部材から分離するために)構成される。
【0276】
1つの形状において、図18及び図19に示すように、スイッチは、掌の第1の側部201から第2の側部202へ掌の殻の内部を横切って延長する摺動アーム532を含む。
【0277】
掌200の殻は、その中に摺動アームが配置される本質的に対向する開口を含んでもよい。一実施形態において、掌の下部は、掌の両側201、202上に位置する一対の本質的に対向する開口206を含む。開口206は、その中に摺動アーム532の端部が配置される溝を形成するために構成されてもよい。摺動アームは、溝の中で前後に摺動するように構成されてもよい。
【0278】
ストッパー533は、摺動アーム532の各々の端部で提供されてもよい。開口206は、摺動アーム532が開口206内で自由に摺動することができるように構成されてもよいが、ストッパー533が開口206から出て、掌200の内部に入るのを防ぐように構成される。例えば、掌200の内部に面している開口206の直径は摺動アーム532の直径より大きくてもよいが、図19に示すように、ストッパー533の直径よりも小さい。
【0279】
係止ピン531は、摺動アーム532に取り付けられる。例えば、係止ピン531は、摺動アーム532に取り付けられる又は一体的であってもよい。係止ピン531は、摺動アーム532の長手方向に本質的に延長し、隔板534によって摺動アーム532から間隔を置いて配置されてもよい。好ましくは、係止ピン531は、摺動アーム532と本質的に平行の状態にあるように構成される。
【0280】
アーム部材と関連して義手100を所望の位置に固定するために、掌200は所望の位置に届くまで車軸520の周りを回転する。ストッパー533は、第1のボタン533aが第1の方向に押され、摺動アーム532を掌200の対向する側の方へ摺動させるためのスイッチのボタンとして働いてもよい。係止ピン531は、係止アーム515の開口部516と係合するため、同時に位置決め部材510の方へ動かされる。義手の掌200はここで、位置決め部材510及びアーム部材と関連した位置に固定される。掌200は、この固定された位置で車軸520の周りを回転することができない。
【0281】
定位置から義手100を解くため、第2のボタン533bは、掌200の対向する側の方へ摺動アーム532を動かすために第1の方向に対向する側の第2の方向に押される。係止ピン531はそれゆえに、係止アーム515のそれぞれの開口部516から離れて分離するように動かされる。解かれた/切離された位置では、掌200は、最大の屈曲位置と最大の巻きつき位置の間において車軸520の周りで自由にヒンジ結合することができる。掌200が位置決め部材510に関してそれ以上巻きつき屈曲するのを防ぐため、動きの最大限度は、位置決め部材510又は車軸に当接する掌200の範囲内で止め具によって提供されてもよい。
【0282】
1つの形状において、手首接合は、引張力がかかるように掌200を保つための引張部材540を含む。この構成において、掌200は本質的にバタバタせずに車軸520の周りで自由にヒンジ結合してもよい。引張部材は、位置決め部材510から延長してもよく、掌200を押圧する又はそれと係合する。1つの形状において、図20Aから図20Cに示すように、引張部材540は、位置決め部材510の係止アーム515から延長し、掌の内部の表面に対して押圧する板バネを含む。
【0283】
1つの形状において、手首接合の位置決めシステムは、義手をアーム部材に接続するように構成されるコネクタ520を含んでもよい。コネクタ520は、掌がアーム部材と関連して左右に回転させることができるように、掌200をアーム部材に取り付けるために構成されてもよい。
【0284】
例えば、1つの形状において、位置決めシステムは、位置決め部材510、車軸520、係止部材530、及び、上記のようにコネクタ550を含んでもよい。
【0285】
コネクタ550は、第1の端部550a及び第2の端部550bを有する本体を含む。コネクタの第1の端部は義手の掌の方へ面し、第2の端部はアーム部材の方へ面するように構成される。1つの形状において、コネクタは、その第1及び第2の端部550a、550bの間で延長する受容開口551を含む。好ましくは、コネクタが、コネクタの本質的に中空の本体への開口部を含むように、コネクタは本質的にリング状あるいは管状である。
【0286】
位置決め部材が定位置でアーム部材に取り付けられるコネクタと関連して回転してもよいように、位置決め部材510は、回転配置においてコネクタ550と係合するように構成される。
【0287】
一実施形態において、位置決め部材510の第2の端部510bは、コネクタ550の第1の端部550aで本質的に円形の受容開口551に適合するように構成される本質的に円形の末端部を有する。1つの形状において、位置決め部材510は、本質的に円筒状あるいは円錐形の本体を含む。位置決め部材本体510の内部は、位置決め部材が本質的に中空であるための開口部590を含む。1つの形状において、位置決め部材本体の内部は、本質的に中空の管を形成する。
【0288】
位置決め部材は、いかなる適切な配置でコネクタに取り付けられてもよい。例えば、位置決め部材の第2の端部は、コネクタのネジ付き第1の端部と係合するためにネジ付きであってもよい。他の形状において、締結具は、位置決め部材及びコネクタを共に取り付けるために用いられてもよい。好ましい形状において、締結具は、位置決め部材の本質的に中空の内部を侵さずに位置決め部材及びコネクタを共に取り付けるために用いられる。
【0289】
1つの形状において、図15及び図16に示すように、位置決め部材510は、位置決め部材510の本体から突出するフランジ518を含む。フランジは、位置決め部材の第1の端部で又はその近くに好ましくは配置される。コネクタの第1の端部550aにおいて、受容開口551は、フランジ518の直径より小さい直径を有するように構成される。位置決め部材510は、図21に示すように、フランジがコネクタの第1の端部550aに当接するために、コネクタの受信開口551内で位置決め部材の第2の端部510bを配置することによってコネクタ550に取り付けられてもよい。締結具はそれから、位置決め部材がコネクタ内で回転することができるがコネクタと分離することができないように、コネクタ内で適所にゆるく位置決め部材を保つために用いられてもよい。
【0290】
1つの形状において、図15図21図22A及び図22Bに示すように、一対の隣接した穴552は、コネクタの第1の端部550aの近くで本質的に対向する側に提供される。ピン553を含む締結具は、穴552の各々の対の間で延長するように構成される。各々のピン553は、位置決め部材の側に対して、本体510を締着するように構成されてもよい。1つの形状において、例えば、バネ付き突起、グラブネジ、又は他の適切なシステムのような圧縮部材554は、コネクタ550の側壁の貫通孔555を延長して、ピン553を押圧し、ピン553を位置決め部材510に対してゆるく締着させるように構成されてもよい。随意に、ピン553は、圧縮部材が押圧する受容要素を含んでもよい。
【0291】
バネ付きの圧縮部材を使用する利点は、ピン553が、位置決め部材を適所に保つために位置決め部材の本体に対して堅固に押圧することである。しかしながら、掌に十分な回転力が適用されることで、位置決め部材は、コネクタに関連して回転するためにピン553によって適用される圧縮力及び摩擦力を克服することができる。このように、締結具は、十分な回転力が取り除かれる場合、自動的に解放して再係合される。
【0292】
位置決め部材の内部の表面を侵さない締結具で位置決め部材をコネクタに取り付ける利点は、手首接合によって、ユーザの義手の基部が手首接合に突出することができる空間を最大にすることである。これにより、アーム部材、手首及び義手の全長及び構成が本質的に解剖学的に適切に見えることが可能になる。
【0293】
しかしながら、これは、位置決め部材510をコネクタ550に取り付けることができるほんの1つの配置である。周知のように、2つの部分510、550は、いかなる適切な配置において共に取り付けられてもよい。例えば、代替的な形状において、コネクタの第1の端部は、代わりに位置決め部材の第2の端部の中で適合するように構成されてもよい。
【0294】
位置決め部材510は、位置決め部材本体の外側の表面から突出し、コネクタの内部の表面と係合するように構成される少なくとも1つの係止用指部570を含んでもよい。好ましくは、位置決め部材は、2つの係止用指部570を含む。1つの形状において、図23Bに示すように、各々の係止用指部はバネ付きの突起を形成してもよい。例えば、係止用指部は、室572の中で保たれ、位置決め部材510の本体において形成される、あるいは、位置決め部材の本体において形成された開口519に適合するボール又は玉軸受のようなダボ571を含んでもよい。バネのような付勢部材が、ダボ571と室572の閉じた端部の間に配置されてもよい。ダボ571は、室572の開いた端部から突出し、圧縮バネの自由端と受容開口551の内部の表面の間で締着される。コネクタ550は、その内部の表面に、開口又は凹部の形で複数のインデックス化小結節556を含んでもよい。インデックス化小結節556は、コネクタの第1の端部550aの近くでコネクタの受容開口551の内部の表面の周りで線において延長してもよい。ダボ572は、インデックス化小結節556のいずれかと係合するように構成される。しかしながら、十分な力によって、圧縮バネが更に圧縮して、ダボ572がそのそれぞれのインデックス化小結節556から隣接した小結節に押されるように、位置決め部材510はコネクタ550内で回転してもよい。このように、掌200は、位置決め部材510をコネクタ550内で回転させるために横に回転してもよい。掌200が所望の位置に届くと、圧縮バネは、掌を適所に固定するためにそれぞれのインデックス化小結節556にダボ572を押す。好ましくは、掌が最大で45°左右に回転することができるために、位置決めシステムは構成される。
【0295】
それゆえに、位置決めシステムは、掌が巻きつき、屈曲する及び/又は横に回転することができるように構成されてもよい。
【0296】
他の形状において、手首接合は、(電力供給されたフック又は自動義手のような)電動端末装置をアーム部材に取り付けるように構成される。1つの形状において、手首接合は、電動端末装置の方へ面するように構成される第1の端部、及び、アーム部材の方へ面するように構成される第2の端部を含む本体を含んでもよい。手首接合はまた、ユーザの基部の一部が手首接合の少なくとも一部を通って延長することができるように、手首接合の本体の本質的に中空の領域に延長する開口を含んでもよい。随意に、開口は、手首接合の第1及び第2の端部の間で延長する。例えば、1つの形状において、手首接合の本体は、本質的に管状あるいはリング状で形成されてもよい。手首接合は、手首接合と関連してヒンジ結合を可能にするために回転可能に掌に取り付けられる車軸を更に含んでもよい。
【0297】
1つの形状において、図24に示すように、手首接合は、本質的に平面の本体を含む位置決め部材510を含む。位置決め部材は、手首接合を形成するためにコネクタ520に取り付けられるように構成されてもよい。位置決め部材及び/又はコネクタは、手首接合をユーザの腕に取り付けるためにアーム部材に取り付けられてもよい。1つの形状において、位置決め部材の第2の端部510bは、本質的に滑らかな表面を含んでもよい。位置決め部材は、公知技術において周知の迅速分離手首システムを含む、あるいはその形状でアーム部材に取り付けられてもよい。位置決め部材及びアーム部材は、ネジのような締結具、又は接着剤、あるいは、他の適切な取付け形状を用いていかなる適切な方法で共に取り付けられてもよい。好ましくは、位置決め部材の第2の端部510bは、迅速分離手首システムのようなアーム部材の端部上へ回してはめ込まれる又はボルトで固定される。1つの形状において、位置決め部材及びアーム部材が共に取り付けられる場合にコネクタもアーム部材に取り付けられるために、コネクタは、位置決めシステムの第2の端部とアーム部材の末端部の間に配置されてもよい。この構成では、コネクタは、位置決め部材とアーム部材の間で締着される。位置決め部材は、コネクタと関連して回転することができない。随意に、アーム部材/迅速分離手首システムは、掌がアーム部材に関連して左右に回転することができるような回転端部を含む。それゆえに、手首接合の位置決めシステムは、掌を従来のアーム部材又は専用のアーム部材に取り付けるように構成されてもよい。
【0298】
随意に、位置決め部材及びコネクタは、単一の部品として形成される。
【0299】
手首接合は、電気コネクタが掌をアーム部材に接続するために配置されるケーブルポート580を含んでもよい。例えば、位置決め部材及びコネクタは各々、掌とアーム部材の間にケーブルポートを形成するために本質的に整列された開口を含んでもよい。
【0300】
図21及び図23に示すように、コネクタ550の第2の端部は、ユーザの基部の上で適合するスリーブの形で自動義手をアーム部材に取り付けるためのスリーブ取付けシステム600を含んでもよい。
【0301】
本発明の手首接合の利点は、位置決めシステムの少なくとも実質的な部分が義手の掌の範囲内に収容されるので、手首接合は、アーム部材と義手の掌の間のごくわずかな空間しか占めることがないということである。結果的に、義手が人工装具として使われる場合、手首接合、及び、掌とアーム部材の間の連結は、本質的に解剖学的に適切であるように見える。
【0302】
位置決め部材及びコネクタもまた、自動義手内で適合することができるユーザの基部の長さを最大にするために、本質的に中空であるように構成されてもよい。図22B及び図23で示されるようにこれもまた、義手が解剖学的により適切に見えるのを補助する。
【0303】
1つの形状において、手首接合はまた、液体がアーム部材/スリーブを通るのを防ぐために位置決め部材とコネクタの間の防水封止560を含んでもよい。
【0304】
訓練用義手
人工装具の義手のユーザは、必要なEMG(筋電図)信号を作成して、所望の位置の方へ義手を動かす必要がある。概して、人工装具の義手のユーザは、使用する実際の人工装具の義手を受け取る前に、相当期間の間、義手を使用するための練習が必要である。いくつかの形状において、練習用義手はコンピュータでシミュレーションされた義手であってもよい。しかしながら、ユーザによって用いられる実際の人工装具の義手は、練習用義手とは異なる感度を有する可能性がある。これは、長い間練習用義手によってユーザが練習していたにもかかわらず、実際の義手は、予想通りに作動しないかもしれないことを意味する。それゆえに、本発明の自動義手は、制御システムを含んでもよく、義手が使われるような訓練をユーザに提供するように構成される。
【0305】
1つの形状において、図25に示すように、義手100は、義手の駆動モーターに接続される制御システムを含んでもよい。制御システムは、ユーザから1つ又はそれ以上のEMG信号;ユーザーインタフェースから1つ又はそれ以上の電子信号;又は、その両方を受信するように構成されてもよい。制御システムはまた、受信した信号に従い指が所定のグリップパターンを取るように構成されてもよい。
【0306】
制御システムは、受信した信号に基づき義手が所定のグリップパターンを取るようにプログラム可能であってもよい。
【0307】
義手は、信号が制御システムによって受信されたことを示す1つ又はそれ以上の指示器の形でディスプレイを含んでもよい。1つの形状において、1つ又はそれ以上の指示器は、EMG信号がユーザに受信されたことを示すように構成されてもよい。加えて又は代わりに、1つ又はそれ以上の指示器は、義手100のグリップパターンを示すように構成されてもよい。更に他の形状において、1つ又はそれ以上の指示器は、例えばWi-Fi又はブルートゥース(登録商標)接続を経て信号が義手のユーザーインタフェースから受信されたことを示すように構成されてもよい。1つの指示器はまた、アラームモードを示してもよい。
【0308】
1つ又はそれ以上の指示器は、1つ又はそれ以上の視覚の指示器150、音声指示器160又はその両方を含んでもよい。
【0309】
1つの形状において、義手は、信号が制御システムによって受信されたことを示す少なくとも1つの視覚の指示器及び少なくとも1つの音声指示器を含む。
【0310】
視覚の指示器150は、異なる色であっても、及び/又は義手100の位置に従い様々なパターンで発光するLEDのような照明であってもよい。代わりに、ディスプレイは図54で示すような英数字ディスプレイ809であってもよい。英数字ディスプレイにより、各々の選択されたグリップパターン、特定の障害状態、及び、EMG信号強度の詳細な範囲等の表示が可能になる。
【0311】
音声指示器160は、制御システムによって作成され、義手100上に提供されるスピーカーによって発される音であってもよい。
【0312】
1つの形状において、義手100は、掌200又は手首領域500の上部210のように義手100のいかなる適切な部分にも配置される、1つ又はそれ以上の視覚の指示器150及び/又は音声指示器を含んでもよい。例えば、1つ又はそれ以上の指示器150、160は、掌200の上部210の上部表面211上に配置されてもよい。好ましくは、3つの照明150が掌の上部表面211に提供される。
【0313】
義手は、それを通じてユーザが、義手に所定のグリップパターンを取らせるように制御システムに指示を入力するユーザーインタフェース180を含んでもよい。ユーザーインタフェース180は、それを通じてユーザが、義手に所定のグリップパターンを取らせるようにデータを入力する1つ又はそれ以上の入力部材170を含んでもよい。1つ又はそれ以上の入力部材170は、1つ又はそれ以上のボタン、ダイヤル又はデータを入力する他の適切なシステムを含んでもよい。ユーザーインタフェースは、タッチセンサー又は機械的に作動する、あるいはその両方であってもよい。
【0314】
1つの形状において、ユーザーインタフェース180は1つ又はそれ以上の押し下げ可能なボタン170を含む。他の形状において、ボタンはタッチセンサーであってもよい。ボタン170は、義手の上部210、手首領域500又は下部220のベースといった義手100のいかなる適切な部分上に配置されてもよい。1つの形状において、ボタン170は、義手の上部210の上部表面211上に位置する。好ましい形状において、図24に示すように、2つ又は3つのボタン170が提供される。しかしながら、他の形状において、4つ以上のボタンが用いられてもよい。
【0315】
ユーザーインタフェース180は、義手の掌200の殻の上のパネルを含んでもよい。1つ又はそれ以上の入力部材170が、パネルに提供されてもよい。入力部材170を制御システムに接続する電子部品は、殻の範囲内で配置されてもよい。好ましくは、電子部品及び制御システムに液体が入るのを避けるためにパネル180は封止される。代わりに、電子部品は掌200の殻の中で封止された筐体の範囲内で配置されてもよい。
【0316】
随意に、義手100は、1つ又はそれ以上の入力部材170、及び、1つ又はそれ以上の視覚150及び/又は音声160の指示器を含む。1つ又はそれ以上ボタン170のような1つ又はそれ以上の入力部材は、視覚の指示器150及び/又は音声指示器160として義手100と同じ領域に配置されてもよい。例えば、上記のように、1つ又はそれ以上の入力部材170、及び、1つ又はそれ以上の指示器は義手上のユーザーインタフェースパネル180上に配置されてもよい。1つの形状において、LEDライト150は、各々の入力部材又はボタン170の隣に配置されてもよい。1つの形状において、義手は、1つ又はそれ以上の視覚の指示器150を含む1つ又はそれ以上の入力部材170を含んでもよい。例えば、LEDライトは、各々のボタン上に配置されてもよい。他の例では、複数のLEDライトは、ダイヤル上に提供されてもよい。
【0317】
1つの形状において、視覚及び/又は音声指示器の数は、ボタンのような入力部材の数と等しくてもよい。他の形状において、入力部材の数は、視覚の指示器及び/又は音声指示器の数を超える、あるいはそれより少なくてもよい。
【0318】
1つ又はそれ以上の入力部材170から受信される信号、EMG信号又はその両方が、義手100のグリップパターンから他のパターンに変化させるために用いられるように、義手の制御システムは構成されてもよい。例えば、ユーザは、親指320が対向した位置にあり、義手の手指310及び親指320が巻きつけられるようなグリップパターンを選ぶため、特定のパターンの1つ又はそれ以上のボタン170を押してもよい。
【0319】
特定の指示器又は指示器の組合せは、制御システムによって受信される信号がEMG信号であるか、あるいは入力部材のうちの1つからの入力信号であるかを示すために用いられてもよい。例えば、赤色光は、EMG信号が受信されたことを示してもよく、緑色光は、入力信号がユーザーインタフェースから受信されたことを示してもよい。1つの形状において、単一のLED指示素子の輝度は、ユーザに受信されたEMG信号の強さの指示を提供するために、受信されたEMG信号の強さに比例して変化してもよい。
【0320】
義手の制御システムは、義手の入力部材170、EMG信号又はその両方を通じて制御システムにデータを入力することによって得られる例えば20種類の最も一般的なグリップパターンといった、特定の数のグリップパターンを記憶するように構成されてもよい。1つの形状において、ユーザが所望のグリップパターンを選ぶようにこの状態から数回、入力ボタンを押して、第1のグリップパターンが選ばれる場合、指示器は照らされる。
【0321】
ユーザが特定のグリップパターンを達成するために必要であるEMG信号を作成することができない場合、入力部材170は、特に役立つ可能性がある。
【0322】
1つの形状において、制御システムは、いくつかのEMG信号のみを認識するようにプログラムされてもよい。この形状において、他のグリップパターンが、ユーザーインタフェース180の入力部材170によって制御されてもよい。
【0323】
それゆえに、本発明の義手100は、ユーザを義手に慣れさせる、特に義手の様々な位置決めに慣れさせるために訓練するのを補助する訓練ツールとして使われるように構成されてもよい。
【0324】
液体に対応可能な義手
1つの形状において、本発明の義手は濡れた場合に作動するように構成されてもよい。例えば、義手は、義手の上に手袋又は防水カバーを用いる必要なしで、水に沈められた場合に作動するように構成されてもよい。
【0325】
多くの作動する機械的な部品を有する電気的に動力供給された自動義手を液体に対応可能であるように作成するのは、非常に困難である。義手を本質的に解剖学的に適切に見せるように義手の部品が非常に小さく設計されている場合には、更に困難である。水に対応可能な義手を提供するため、典型的な自動義手の構造が、発明者によって最初から最後まで再設計された。結果として、本発明の液体に対応可能な自動義手は、乾いていても濡れていても作動するように構成された。義手が水のような液体に沈められる場合、義手の内部が濡れてもよいので、義手は防水ではない。その代わりに、義手は液体に対応可能であるように構成され、それは、液体に沈められた時でも義手が作動することを意味する。
【0326】
義手は、いくつかの点で液体又は水に対応可能であるように構成される。例えば、義手の駆動モーターは、封止された筐体内で個別に収容されてもよい。電気接続は、例えばリモート連結又はリボンケーブルのような、液体に対応可能ないかなる適切な連結を用いて提供されてもよい。1つの形状において、リボンコネクタは、掌及び/又は指の電子部品をスリーブのようなアーム部材の電子部品と接続するため、掌とアーム部材の間の手首接合を横切るように用いられる。リボンコネクタは防水であるように構成されて、また、掌が巻きつく、屈曲する及び/又は手首接合の周りを回転するような義手の移動的な性質に耐えるように構成されてもよい。
【0327】
コントローラ及び電子部品は、義手の掌内の電子部品筐体のような1つ又はそれ以上の封止された筐体内で配置されてもよい。
【0328】
掌及び手首接合はまた、1つ又はそれ以上の防水封止を含んでもよい。例えば、封止は、自動義手のアーム部材/スリーブに液体が入るのを防ぐために位置決め部材及び手首接合のコネクタの間に配置されてもよい。特に、手首接合は、上記のようにコネクタに取り付けられる位置決め部材を含んでもよく、スリーブを含むアーム部材もまた、コネクタに取り付けられてもよい。ゴム入りの封止は、取付けられた位置決め部材とコネクタの間に配置される。液体がスリーブに通ってスリーブ内の電子部品の構成要素に損傷を与えないように、コネクタ、位置決め部材及び封止は共に、スリーブへ封止された端部を形成する。使用の間、スリーブ内で配置されるユーザの基部もまた、乾燥状態で保持される。
【0329】
本発明の位置決めシステムを用いて及び/又は遮断システムを用いて義手がアーム部材に取り付けられる所では、義手はアーム部材と関連して回転することできる。液体に対応可能な義手に連結する場合、この回転能力は特に有益である。
【0330】
義手は、排水可能であるように構成されてもよい。例えば、義手は、義手が液体に沈められた後、液体がそこから流出することができる掌及び/又は指の開口のような1つ又はそれ以上の排水ポートを含んでもよい。代わりに、液体は、例えば、指関節及び指接合の周りで形成される開口部のような義手の隣接した部分の間で提供される1つ以上の開口部を通じて排水されてもよい。
【0331】
本発明の自動義手は、それゆえに、ユーザが例えば、皿を洗うために義手を使用することができるように、流出及び排水可能であるように構成される。
【0332】
追加のグリップを提供するのを補助するために、例えば粘着性である、きめのある、あるいは高摩擦面のようなグリップ援助面が、義手の掌の接触面及び指の接触面に提供されてもよい。指の接触面は、グリップされている目標物が最も接触する可能性のある指の領域である。例えば、指先領域は、接触面であってもよい。1つの形状において、グリップ援助面は例えば、ゴム、シリコン又はエラストマを含むゴム入りの表面であってもよい。
【0333】
従来の自動義手は、グリップを補助するため、耐水性のため、及び、一般の損耗から保護するために手袋を用いることを必要とする。液体に沈められる場合、周知の自動義手は作動することができない。手袋が使われる所では、義手の駆動モーターは、手袋の圧迫的な性質に対して指を動かすために酷使されてしまう。換言すれば、モーターは、手袋を使用しない場合に比べて指を動かすためにより激しく作動する必要がある。義手に手袋を使う必要がないので、これらの不都合は、本発明の液体に対応可能な義手によって避けることができる。それゆえに、より大きなゲインが駆動モーターから得られ、1つの位置から他の位置へ義手の指を動かすために消費する力はより少ない。加えて、手袋の収縮なしで、義手の指はより急速に動くことができる。本発明の自動義手はまた、水による損傷又は他の液体による損傷の危険性がより少ない。
【0334】
本発明の義手が手袋なしで着用することができるので、上記のように、1つ又はそれ以上のLED照明が義手の上に配置されてユーザの目に見える所で、義手が訓練用義手として用いることが可能である。
【0335】
本発明の液体に対応可能な義手はまた、義手の液体に対応可能な性質に悪影響を与えずに直ちに維持されるように構成される。
【0336】
第2の例示的な実施形態
図26から図66は、異なる親指回転係止メカニズム、手首係止メカニズム、過負荷指関節クラッチ、取り外し可能なグリッププレート、及び、関連した特徴を採用する第2の実施形態による自動義手を示す。
【0337】
第1の実施形態の対応する部分と同等であるそれらの部分は、同じ番号が与えられ、上記の記載は、それらの部分に関して参照されるべきである。掌部の固定器は、上記の例示的な実施形態に関して記載されたものと同じ特性を有する。コネクタが、必ずしも代替的な実施形態においてアクチュエータを収容する必要はないが、後述するアクチュエータは、アクチュエータを収容するコネクタを含む。
【0338】
親指回転係止
ここで、図26から図30を参照すると、代替的な親指設計が示される。親指701は、掌704への取付け点であるその近端部で提供されるアクチュエータ702(アクチュエータ筐体を含む)を有する。弾力的な取付け部703は掌704に取り付けられ、アクチュエータ702を受容するために必要な大きさにされる空洞を含む。親指701を弾力的な取付け部703を経て掌に取り付けることによって、親指は、弾力的な取付け部703の弾性変形により衝撃力を吸収することができる。弾力的な取付け部703は、少なくとも2°、好ましくは少なくとも5°で掌704に関して、好ましくはアクチュエータ702の相対的な角度の変位が可能であるようにする。弾力的な取付け部703は、第1の例示的な実施形態に関して上記した掌部の固定器で説明されるような、材料特性を有してもよい。
【0339】
掌704に関する親指701の相対的な動きはまた、親指係止メカニズムにおいて利用されてもよい。アクチュエータ702は矢印Aによって示されるように、軸の周りで一般に義手の延びる方向に親指701を回転させる。この実施形態において、ユーザが回転力を適用する(すなわち逆の駆動を防ぐウォーム駆動のようなギア駆動装置を有しない)場合、アクチュエータ702は位置決めの目的のために親指の回転を可能にする。これにより、ユーザは、所望の位置に親指を回転させることができる。またこれにより、親指への偶発的な衝撃によって生じる力を親指が吸収することができる。第2のアクチュエータ705は、矢印Bによって示されるように、親指の閉止及び延長を制御する。
【0340】
適用された力によって回転する親指の能力のために、(親指の回転による解放を防ぐため)アイテムをグリップするような動きの間、親指を固定した回転位置に係止することが望ましい。図29及び図30は、親指回転係止の動作を示す。図30は、力がC方向に適用されない場合の要素の位置を示す。親指が目標物又は他の指に対して閉じている場合、矢印Cによって示す力により、アクチュエータ702が弾力的な取付け部703に力を適用し、図29に示すように親指及びアクチュエータ702の回転を引き起こす(アクチュエータ702の末端部は手首の方へ動かしたものとする)。これがブロック708を掌ブロック709に対して動かす。第1の係合面706はブロック708に提供されてもよく、第2の係合面707は掌ブロック709に提供されてもよい。2つの係合面が接触するように導かれる場合、これは、親指を回転させることなくグリップを保持するための補助をするように更なる回転(すなわち方向Aの回転)を防ぐことができる。これは、力が適用されてアクチュエータが動く場合に、(後ろへの回転を防ぐことができるウォーム駆動と異なり)特に重要である。親指の回転を可能にすることで親指の位置決めが補助され、親指に損傷を与えずに力を放散することができる。係合面706及び707は両方とも、例えばギア表面のような波形輪郭接触的な輪郭を有してもよい。あるいは、1つの表面は、ブレーキパッド材料のような高い摩擦係数を有してもよく、もう一方は表面輪郭を有しても有さなくてもよい。高い摩擦係数を有する表面はまた、起伏を有してもよい。この例では、表面707はギアの輪郭を有し、良好なグリップを提供するために弾力的な材料で形成される。
【0341】
この設計により、ユーザは所望の位置に親指を回転させることができるが、上記した親指回転係止メカニズムによって、信頼性が高いグリッピングがなお可能である。この設計はまた、偶発的な衝撃による親指又は義手への損傷を避けるため、親指に対する偶発的な衝撃による力を吸収する。
【0342】
この設計の変形は、図32に示され、そこで、親指回転アクチュエータ702は、掌704に枢着され、バネ711によって中立位置の方へ付勢される。グリップの動きの間、力がC方向に適用される場合、アクチュエータ702は、係合面706及び707が接触して更なる回転を制限するために、二重矢印Dによって示されるように枢着点710の周りを回転する。
【0343】
クラッチ
図33から図41を参照すると、指関節接合に一体化される過負荷保護クラッチ720が、記載されている。図33を参照すると、掌と共に位置する掌部の固定器721に載置されるアクチュエータ726は、順番に大歯車723を駆動するウォーム歯車722を駆動する。大歯車723は、ここで記載されるように過負荷クラッチ配置を経て左右の指要素724及び725を駆動する。
【0344】
図34を参照すると、過負荷クラッチ720の分解図が示される。大歯車723は車軸730の周りを自由に回転し、いずれの側部(図では片側が示されている)にも提供される一連のランプ727を有する。ランプ727は、クラッチ板728及び729において形成される補完的なランプと係合する(図39から図41のランプを参照のこと)。クラッチ板728及び729は、円盤バネ731及び732によって大歯車723の方へ付勢される。出力プレート733及び734、円盤バネ731及び732、クラッチ板729及び729と車軸730及び736の全ての「アセンブリ」は、1つの一体的な駆動ユニットを形成するためにボルト735によって共に固定される。指関節接合は、収容要素737及び738の範囲内で囲まれる。
【0345】
通常動作において、アクチュエータ726は、順番に大歯車723(車軸730の周りを自由に回転する)を回転させるウォーム歯車722を回転させる。大歯車723のランプ727は、左右の指要素724及び725を回転させるために「アセンブリ」を駆動するクラッチ板728及び729の補完的なランプと係合する。指に衝撃力が適用される又は指の回転が特定のレベルの力で抑制されると、ランプ表面がもはや係合しないようになるまで円盤バネ731及び732を圧縮するクラッチ板728及び729上の外側の力を適用するために、クラッチ板728及び729のランプ739は大歯車のランプ727に対して駆動されて、それにより、大歯車723に関するクラッチ板728及び729の回転が、適用された過負荷力を軽減させることができる。
【0346】
図38から図41を参照すると、クラッチ板728が更に詳細に示されている(クラッチ板729は同一である)。この例では、4つのランプ部739が示されるが、ランプ部の数は3つから8つのいかなる数であってもよい。図38に示すように、ランプ表面740は、ランプ739の平面に55°の角度で配置されている。ランプ表面727が一体的に大歯車723の上に形成されるように示されているが、クラッチ板がその代わりに大歯車723のいずれの側においても固定できることはいうまでもない。
【0347】
図42は、大歯車743が上記のタイプのクラッチ745を経て掌744に取り付けられる代替的な実施形態を示す。指741の中のモーター742はウォーム歯車746を駆動して、手指を掌の周りで回転させる。過剰な回転力が指741に適用される場合には、過負荷力を軽減するために掌に関する指741の回転を可能にするように、クラッチ745により掌に関する大歯車743の回転が可能になる。
【0348】
ギア表面上でのクラッチの集積により、ランプ表面上への力が減少してクラッチ板の摩耗を減らすことにつながるコンパクトかつ軽量な解決法が提供される。クラッチは、過負荷解放力の下で一貫して解放され、双方向性の保護を提供する。
【0349】
手首
ここで、図43から図53図55から図56を参照すると、代替的な手首設計が示されている。義手100は、車軸520を経て手首500に枢着される。この実施形態において、手首係止メカニズムは、ピン751を経て手首500に枢着されるロッド750の形である。ロッド750は、有用な手首回転の範囲を定めるために適切な間隔で離間された多くの刻み目752をその長さに沿って有する。係止メカニズムは、分岐する開口754を有する係止要素753を含む。係止要素753は、バイアススプリング757によってロッド750の方へ付勢される。プレート756から突出するピン755は、分岐する開口754内で係合する。ストッパー533が摺動アーム532を右の方へ動かすために押される場合、ピン751は分岐する開口754の左に置かれ、係止要素753が刻み目752と係合するために下に付勢されるのを制限する。ストッパー533が摺動アーム532を左の方へ動かすために押される場合、ピン751は分岐する開口754の右に置かれ、係止要素753がバネ757によって刻み目752と係合するために下に付勢されるのを可能にする(係止要素753が刻み目に隣接して配置されない場合、その位置で手首を係止する刻み目と整列する位置で手首を係止するまでロッド750に対して付勢されたままである)。
【0350】
図44は、中立位置で固定される手首を示す。図46は、屈曲して固定される手首を示す。図48は、延長して固定される手首を示す。
【0351】
上記の実施形態では、変更可能な長さの結合が多くの離散的な位置を有して提供されるが、連続的に変更可能な結合もまた、図55及び56に示すように変形の実施形態で提供されてもよい。この場合、ロッド760は手首500に枢着される。弾力的な材料で形成される継ぎ輪762は、金属の半分の継ぎ輪763及び764によって囲まれる。ストッパー533が摺動アーム532を右の方へ動かすために押される場合、ピン751は角度をつけられた開口767の左に置かれ、係止要素765を持ち上げる。ストッパー533が摺動アーム532を左の方へ動かすために押される場合、ピン751は角度をつけられた開口767の右に置かれ、弾力的な継ぎ輪762を圧縮して手首を固定するためにロッド760の位置を固定する半分の継ぎ輪764に対し、係止要素765を下に付勢する。
【0352】
義手の掌内で係止メカニズムを配置することによって、手首は非常に短くかつコンパクトな設計をすることができる。その軽くかつコンパクトな設計により、自然に見える機能的な手首が可能になる。コンパクトな設計により、手首領域における他の構成要素のための空間が提供され、義手の全体的なサイズを減らし、液体に対応可能な設計を可能にするのを補助することができる。
【0353】
水中使用可能
図57から図64を参照すると、液体において水中使用可能である自動義手の掌及び掌部のブロックの設計の特徴が記載されている。図61図62及び図64に示すように、掌は、上部210、下部220及び掌部の固定器770を含む。この実施形態において、円形ではない鍵穴型の開口771が、回転を防ぐために対応して成形されたアクチュエータ筐体と嵌合するために掌部の固定器において提供される。Oリング772の形の封止は、部品が共にしっかりと固定される場合、防水の封止を下部の掌部分220と共に形成するため、掌部のブロック770の末端部の周りで提供される。アクチュエータ20が弾力的な掌部のブロック770ときつく係合すると、防水の封止がこの接合点で形成される。指関節接合は、指関節接合を経て水が進入するのを防ぐために防水の構造である。このように、封止された掌の領域(全て又は部分的に)は、液体に沈められる場合に防水である領域にモーター及び電子部品を収容するために提供されてもよい。これにより、義手の機能性を損なわずに、他の領域への水の進入が可能になる。
【0354】
封止された掌の領域、及び、液体内での封止が重要な構成要素を提供することによって、手袋を用いずに、義手の残りの部分を水中で使用可能、及び、液体で対応可能とすることができる。
【0355】
取外し可能なプレート
ここで図65及び図66を参照すると、取外し可能なプレートを含む実施形態が示される。図65に示される義手800は、プレート803を受容するために必要な大きさにされる水中使用可能な掌の下部に空洞802を含む。開口805は、ネジのような適切な締結具を経て掌801に固定することができるプレート803において提供される。プレート803は、プレート803の表面に提供されるより柔軟な材料の部分804を有する堅固材料で形成されてもよい。より柔軟な材料は、15から90のショアA硬度、好ましくは50から90のショアA硬度を有してもよく、約60のショアA硬度が非常に有効であることが判明した。より柔軟な材料の部分804は、オーバーモールド成形によって形成されても、あるいはそれに対して取り付けられる等で形成されてもよい。これらのより柔軟な部分は改良されたグリップを提供するが、より柔軟であるにつれて摩耗が激しい傾向があるので、入れ替え可能なプレートを提供するのが便利である。図65は、掌の上部の空洞807に固定されてもよい入れ替え可能なプレート808を示す。指の入れ替え可能な掌プレートの指先806を提供でも同様に、同様の方法でグリップを改善するために柔軟な材料層が提供されてもよく、これらも入れ替え可能であってもよい。掌の水中使用可能な性質のために、プレートと掌の間でいかなる防水の封止の作成も必要とせずにプレートは単に取り付けられてもよい。
【0356】
本発明は一例として記載されてきたものであるが、請求項に記載の本発明の範囲内において変形及び修正がなされてもよいと認識されなければならない。更に、周知の同等物が特定の特徴を有する所で、そのような同等物は、詳細に本明細書において参照されたものとして組み込まれるものである。
【0357】
例えば、本発明はまた、例えば足のような他の自動及び/又は人工装具の四肢に関連して用いられてもよい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
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図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
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図20B
図20C
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図22B
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