IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

特開2023-176010画像符号化装置、および、画像復号装置
<>
  • 特開-画像符号化装置、および、画像復号装置 図1
  • 特開-画像符号化装置、および、画像復号装置 図2
  • 特開-画像符号化装置、および、画像復号装置 図3
  • 特開-画像符号化装置、および、画像復号装置 図4
  • 特開-画像符号化装置、および、画像復号装置 図5
  • 特開-画像符号化装置、および、画像復号装置 図6
  • 特開-画像符号化装置、および、画像復号装置 図7
  • 特開-画像符号化装置、および、画像復号装置 図8
  • 特開-画像符号化装置、および、画像復号装置 図9
  • 特開-画像符号化装置、および、画像復号装置 図10
  • 特開-画像符号化装置、および、画像復号装置 図11
  • 特開-画像符号化装置、および、画像復号装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176010
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】画像符号化装置、および、画像復号装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/117 20140101AFI20231205BHJP
   H04N 19/186 20140101ALI20231205BHJP
   H04N 19/70 20140101ALI20231205BHJP
   H04N 19/136 20140101ALI20231205BHJP
   H04N 19/86 20140101ALI20231205BHJP
【FI】
H04N19/117
H04N19/186
H04N19/70
H04N19/136
H04N19/86
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023176960
(22)【出願日】2023-10-12
(62)【分割の表示】P 2019156127の分割
【原出願日】2019-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】八杉 将伸
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 瑛一
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 知宏
(57)【要約】
【課題】ループフィルタにおいて、輝度画像に比べ色差画像に対する処理が貧弱である。
【解決手段】画像(輝度画像、色差画像)に第1のフィルタを適用する第1のフィルタ部と、第1のフィルタの出力画像に第2のフィルタを適用する第2のフィルタ部と、符号化データからフィルタ係数を復号するフィルタセット導出部と、上記フィルタ係数を用いて、第2のフィルタの出力画像に第3のフィルタを適用する第3のフィルタ部を備える画像復号装置であって、前記第3のフィルタ部は、上記第2のフィルタの輝度出力画像を用いて輝度画像のフィルタ処理を行う際に、フィルタ処理による画素値の変化量を所定の値以内にクリップする処理を行う。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像を復号するための画像復号装置であって、
符号化データからクロスコンポーネントパラメータを復号するパラメータ復号手段と、
前記クロスコンポーネントパラメータを用いてクロスコンポーネントフィルタ係数を導出するフィルタ係数導出手段と、
輝度画像および色差画像に適応ループフィルタを適用し、フィルタ後輝度画像およびフィルタ後色差画像を出力するフィルタ手段と、
式(sum+64)>>7を用いて、加算された値を導出するクロスコンポーネントフィルタ手段であって、前記sumは前記輝度画像と前記クロスコンポーネントフィルタ係数との積和値である、クロスコンポーネントフィルタ手段と、
前記加算された値をビットデプスに基づく範囲にクリップすることによりクリップされた値を導出するクリッピング手段と、
前記クリップされた値を前記フィルタ後色差画像に加算することにより修正されたフィルタ後色差画像を導出する加算手段と、を備えることを特徴とする画像復号装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像復号装置、および、画像符号化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動画像を効率的に伝送または記録するために、動画像を符号化することによって符号化データを生成する動画像符号化装置、および、当該符号化データを復号することによって復号画像を生成する動画像復号装置が用いられている。
【0003】
具体的な動画像符号化方式としては、例えば、H.264/AVCやHEVC(High-Efficiency Video Coding)方式などが挙げられる。
【0004】
このような動画像符号化方式においては、動画像を構成する画像(ピクチャ)は、画像を分割することにより得られるスライス、スライスを分割することにより得られる符号化ツリーユニット(CTU:Coding Tree Unit)、符号化ツリーユニットを分割することで得られる符号化単位(符号化ユニット(Coding Unit:CU)と呼ばれることもある)、及び、符号化単位を分割することより得られる変換ユニット(TU:Transform Unit)からなる階層構造により管理され、CU毎に符号化/復号される。
【0005】
また、このような動画像符号化方式においては、通常、入力画像を符号化/復号することによって得られる局所復号画像に基づいて予測画像が生成され、当該予測画像を入力画像(原画像)から減算して得られる予測誤差(「差分画像」または「残差画像」と呼ぶこともある)が符号化される。予測画像の生成方法としては、画面間予測(インター予測)、および、画面内予測(イントラ予測)が挙げられる。また、ループフィルタによって、予測画像生成に利用する参照画像の画質を向上させ、符号量を増やすことなく復号画像の画質を向上させる技術が挙げられる。
【0006】
また、近年の動画像符号化及び復号の技術として非特許文献1が挙げられ、デブロッキングフィルタ、サンプルオフセットフィルタ(SAO)、適応ループフィルタ(ALF)など複数ステージのフィルタ処理によりループフィルタを行う技術が知られている。
【0007】
また、ある色コンポーネントに対するループフィルタにおいて、別の色コンポーネントの画像を参照する技術が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】"Versatile Video Coding (Draft 6)", JVET-O2001-vE, Joint Video Exploration Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら非特許文献1に記載の方法では、ループフィルタにおいて、輝度画像に比べ色差画像に対する処理が貧弱であるという課題がある。また、輝度画像を参照して色差画像のループフィルタ処理を行う場合、中間画像の格納に必要なメモリが大きくなるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る画像復号装置は、入力画像を復号するための画像復号装置であって、符号化データからクロスコンポーネントパラメータを復号するパラメータ復号手段と、前記クロスコンポーネントパラメータを用いてクロスコンポーネントフィルタ係数を導出するフィルタ係数導出手段と、輝度画像および色差画像に適応ループフィルタを適用し、フィルタ後輝度画像およびフィルタ後色差画像を出力するフィルタ手段と、式(sum+64)>>7を用いて、加算された値を導出するクロスコンポーネントフィルタ手段であって、前記sumは前記輝度画像と前記クロスコンポーネントフィルタ係数との積和値である、クロスコンポーネントフィルタ手段と、前記加算された値をビットデプスに基づく範囲にクリップすることによりクリップされた値を導出するクリッピング手段と、前記クリップされた値を前記フィルタ後色差画像に加算することにより修正されたフィルタ後色差画像を導出する加算手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、画像符号化・復号処理において、通知する色差のフィルタ情報を増やし、かつ、色差画像に加え輝度画像を参照することによって、使用するメモリ量を抑制しつつ、色差画像の画質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る画像伝送システムの構成を示す概略図である。
図2】本実施形態に係る動画像符号化装置を搭載した送信装置、および、動画像復号装置を搭載した受信装置の構成について示した図である。(a)は動画像符号化装置を搭載した送信装置を示しており、(b)は動画像復号装置を搭載した受信装置を示している。
図3】本実施形態に係る動画像符号化装置を搭載した記録装置、および、動画像復号装置を搭載した再生装置の構成について示した図である。(a)は動画像符号化装置を搭載した記録装置を示しており、(b)は動画像復号装置を搭載した再生装置を示している。
図4】符号化ストリームのデータの階層構造を示す図である。
図5】動画像復号装置の構成を示す概略図である。
図6】動画像復号装置の概略的動作を説明するフローチャートである。
図7】動画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
図8】本発明のループフィルタの構成を示すブロック図である。
図9】本発明のループフィルタの構成を示すブロック図である。
図10】本発明のループフィルタの形状を示す図である。
図11】本発明のループフィルタのシンタックスを示す図である。
図12】本発明のループフィルタの形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る画像伝送システム1の構成を示す概略図である。
【0015】
画像伝送システム1は、対象画像を符号化した符号化ストリームを伝送し、伝送された符号化ストリームを復号し画像を表示するシステムである。画像伝送システム1は、動画像符号化装置(画像符号化装置)11、ネットワーク21、動画像復号装置(画像復号装置)31、及び動画像表示装置(画像表示装置)41を含んで構成される。
【0016】
動画像符号化装置11には画像Tが入力される。
【0017】
ネットワーク21は、動画像符号化装置11が生成した符号化ストリームTeを動画像復号装置31に伝送する。ネットワーク21は、インターネット(Internet)、広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)、小規模ネットワーク(LAN:Local Area Network)またはこれらの組み合わせである。ネットワーク21は、必ずしも双方向の通信網に限らず、地上デジタル放送、衛星放送等の放送波を伝送する一方向の通信網であっても良い。また、ネットワーク21は、DVD(Digital Versatile Disc:登録商標)、BD(Blue-ray Disc:登録商標)等の符号化ストリームTeを記録した記憶媒体で代替されても良い。
【0018】
動画像復号装置31は、ネットワーク21が伝送した符号化ストリームTeのそれぞれを復号し、復号した1または複数の復号画像Tdを生成する。
【0019】
動画像表示装置41は、動画像復号装置31が生成した1または複数の復号画像Tdの全部または一部を表示する。動画像表示装置41は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスを備える。ディスプレイの形態としては、据え置き、モバイル、HMD等が挙げられる。また、動画像復号装置31が高い処理能力を有する場合には、画質の高い画像を表示し、より低い処理能力しか有しない場合には、高い処理能力、表示能力を必要としない画像を表示する。
【0020】
<演算子>
本明細書で用いる演算子を以下に記載する。
【0021】
>>は右ビットシフト、<<は左ビットシフト、&はビットワイズAND、|はビットワイズOR、|=はOR代入演算子であり、||は論理和を示す。
【0022】
x?y:zは、xが真(0以外)の場合にy、xが偽(0)の場合にzをとる3項演算子である。
【0023】
Clip3(a,b,c)は、cをa以上b以下の値にクリップする関数であり、c<aの場合にはaを返し、c>bの場合にはbを返し、その他の場合にはcを返す関数である(ただし、a<=b)。
【0024】
abs(a)はaの絶対値を返す関数である。
【0025】
Int(a)はaの整数値を返す関数である。
【0026】
floor(a)はa以下の最大の整数を返す関数である。
【0027】
ceil(a)はa以上の最小の整数を返す関数である。
【0028】
a/dはdによるaの除算(小数点以下切り捨て)を表す。
【0029】
x..yは、x以上、y以下の整数の集合を表す。又は、x以上、y以下の整数に対して所定の処理を繰り返し行うことを表す。
【0030】
<符号化ストリームTeの構造>
本実施形態に係る動画像符号化装置11および動画像復号装置31の詳細な説明に先立って、動画像符号化装置11によって生成され、動画像復号装置31によって復号される符号化ストリームTeのデータ構造について説明する。
【0031】
図4は、符号化ストリームTeにおけるデータの階層構造を示す図である。符号化ストリームTeは、例示的に、シーケンス、およびシーケンスを構成する複数のピクチャを含む。図4の(a)~(f)は、それぞれ、シーケンスSEQを既定する符号化ビデオシーケンス、ピクチャPICTを規定する符号化ピクチャ、スライスSを規定する符号化スライス、スライスデータを規定する符号化スライスデータ、符号化スライスデータに含まれる符号化ツリーユニット、符号化ツリーユニットに含まれる符号化ユニットを示す図である。
【0032】
(符号化ビデオシーケンス)
符号化ビデオシーケンスでは、処理対象のシーケンスSEQを復号するために動画像復号装置31が参照するデータの集合が規定されている。シーケンスSEQは、図4に示すように、ビデオパラメータセット(Video Parameter Set)、シーケンスパラメータセットSPS(Sequence Parameter Set)、ピクチャパラメータセットPPS(Picture Parameter Set)、適応パラメータセットAPS(Adaptation Parameter Set)、ピクチャPICT、及び、付加拡張情報SEI(Supplemental Enhancement Information)を含んでいる。
【0033】
ビデオパラメータセットVPSは、複数のレイヤから構成されている動画像において、複数の動画像に共通する符号化パラメータの集合および動画像に含まれる複数のレイヤおよび個々のレイヤに関連する符号化パラメータの集合が規定されている。
【0034】
シーケンスパラメータセットSPSでは、対象シーケンスを復号するために動画像復号装置31が参照する符号化パラメータの集合が規定されている。例えば、ピクチャの幅や高さが規定される。なお、SPSは複数存在してもよい。その場合、PPSから複数のSPSの何れかを選択する。
【0035】
ピクチャパラメータセットPPSでは、対象シーケンス内の各ピクチャを復号するために動画像復号装置31が参照する符号化パラメータの集合が規定されている。例えば、ピクチャの復号に用いられる量子化幅の基準値(pic_init_qp_minus26)や重み付き予測の適用を示すフラグ(weighted_pred_flag)が含まれる。なお、PPSは複数存在してもよい。その場合、対象シーケンス内の各ピクチャから複数のPPSの何れかを選択する。
【0036】
適応パラメータセットAPSでは、対象シーケンス内の各スライスを復号するために動画像復号装置31が参照する符号化パラメータの集合が規定されている。例えば、ピクチャの復号に用いられるALFのパラメータ(フィルタ係数、クリッピング値)が含まれる。なお、APSは複数存在してもよく、各スライスヘッダで複数のAPSの何れかを選択する情報を通知する。APSは複数のピクチャで同じAPSを共有することができる。あるAPSは後続の複数のピクチャから参照されてもよい。また、あるピクチャが複数のスライスを含む場合、異なるスライスでは異なるAPSを参照してもよい。
【0037】
ピクチャの色フォーマットは、Y, Cb, CrでもR, G, Bでもそれ以外でも構わない。また色コンポーネントごとのサンプリングが異なってもよい。例えば、第1色コンポーネントと第2色コンポーネント、第3色コンポーネントのサンプリング数の比率として、第1と第2色、第3色コンポーネントの水平比率をSubWidthC、垂直比率をSubHeightCを示す。例えば、4:4:4, 4:2:2, 4:2:0は、各々、以下になる。
4:2:0, SubWidthC = 2, SubHeightC = 2
4:2:2, SubWidthC = 2, SubHeightC = 1
4:4:4, SubWidthC = 1, SubHeightC = 1
動画像符号化装置11及び動画像復号装置31は、chroma_format_idcを符号化、復号しても良い。
chroma_format_idc = 0, 4:0:0(monochrome)
chroma_format_idc = 1, 4:2:0
chroma_format_idc = 2, 4:2:2
chroma_format_idc = 3, 4:4:4
(符号化ピクチャ)
符号化ピクチャでは、処理対象のピクチャPICTを復号するために動画像復号装置31が参照するデータの集合が規定されている。ピクチャPICTは、図4に示すように、スライス0~スライスNS-1を含む(NSはピクチャPICTに含まれるスライスの総数)。
【0038】
なお、以下、スライス0~スライスNS-1のそれぞれを区別する必要が無い場合、符号の添え字を省略して記述することがある。また、以下に説明する符号化ストリームTeに含まれるデータであって、添え字を付している他のデータについても同様である。
【0039】
(符号化スライス)
符号化スライスでは、処理対象のスライスSを復号するために動画像復号装置31が参照するデータの集合が規定されている。スライスは、図4に示すように、スライスヘッダ、および、スライスデータを含んでいる。
【0040】
スライスヘッダには、対象スライスの復号方法を決定するために動画像復号装置31が参照する符号化パラメータ群が含まれる。スライスタイプを指定するスライスタイプ指定情報(slice_type)は、スライスヘッダに含まれる符号化パラメータの一例である。
【0041】
スライスタイプ指定情報により指定可能なスライスタイプとしては、(1)符号化の際にイントラ予測のみを用いるIスライス、(2)符号化の際に単方向予測、または、イントラ予測を用いるPスライス、(3)符号化の際に単方向予測、双方向予測、または、イントラ予測を用いるBスライスなどが挙げられる。なお、インター予測は、単予測、双予測に限定されず、より多くの参照ピクチャを用いて予測画像を生成してもよい。以下、P、Bスライスと呼ぶ場合には、インター予測を用いることができるブロックを含むスライスを指す。
【0042】
なお、スライスヘッダは、ピクチャパラメータセットPPSへの参照(pic_parameter_set_id)を含んでいても良い。
【0043】
(符号化スライスデータ)
符号化スライスデータでは、処理対象のスライスデータを復号するために動画像復号装置31が参照するデータの集合が規定されている。スライスデータは、図4(d)に示すように、CTUを含んでいる。CTUは、スライスを構成する固定サイズ(例えば64x64)のブロックであり、最大符号化単位(LCU:Largest Coding Unit)と呼ぶこともある。
【0044】
(符号化ツリーユニット)
図4には、処理対象のCTUを復号するために動画像復号装置31が参照するデータの集合が規定されている。CTUは、再帰的な4分木分割(QT(Quad Tree)分割)、2分木分割(BT(Binary Tree)分割)あるいは3分木分割(TT(Ternary Tree)分割)により、符号化処理の基本的な単位である符号化ユニットCUに分割される。BT分割とTT分割を合わせてマルチツリー分割(MT(Multi Tree)分割)と呼ぶ。再帰的な4分木分割により得られる木構造のノードのことを符号化ノード(Coding Node)と称する。4分木、2分木、及び3分木の中間ノードは、符号化ノードであり、CTU自身も最上位の符号化ノードとして規定される。
【0045】
また、CTUのサイズが64x64画素の場合には、CUのサイズは、64x64画素、64x32画素、32x64画素、32x32画素、64x16画素、16x64画素、32x16画素、16x32画素、16x16画素、64x8画素、8x64画素、32x8画素、8x32画素、16x8画素、8x16画素、8x8画素、64x4画素、4x64画素、32x4画素、4x32画素、16x4画素、4x16画素、8x4画素、4x8画素、及び、4x4画素の何れかをとり得る。
【0046】
(符号化ユニット)
図4は、処理対象の符号化ユニットを復号するために動画像復号装置31が参照するデータの集合が規定されている。具体的には、CUは、CUヘッダCUH、予測パラメータ、変換パラメータ、量子化変換係数等から構成される。CUヘッダでは予測モード等が規定される。
【0047】
予測処理は、CU単位で行われる場合と、CUをさらに分割したサブCU単位で行われる場合がある。CUとサブCUのサイズが等しい場合には、CU中のサブCUは1つである。CUがサブCUのサイズよりも大きい場合、CUはサブCUに分割される。たとえばCUが8x8、サブCUが4x4の場合、CUは水平2分割、垂直2分割からなる、4つのサブCUに分割される。
【0048】
予測の種類(予測モード)は、イントラ予測と、インター予測の2つがある。イントラ予測は、同一ピクチャ内の予測であり、インター予測は、互いに異なるピクチャ間(例えば、表示時刻間、レイヤ画像間)で行われる予測処理を指す。
【0049】
変換・量子化処理はCU単位で行われるが、量子化変換係数は4x4等のサブブロック単位でエントロピー符号化してもよい。
【0050】
(予測パラメータ)
予測画像は、ブロックに付随する予測パラメータによって導出される。予測パラメータには、イントラ予測とインター予測の予測パラメータがある。
【0051】
(動画像復号装置の構成)
本実施形態に係る動画像復号装置31(図5)の構成について説明する。
【0052】
動画像復号装置31は、エントロピー復号部301、パラメータ復号部(予測画像復号装置)302、ループフィルタ305、参照ピクチャメモリ306、予測パラメータメモリ307、予測画像生成部(予測画像生成装置)308、逆量子化・逆変換部311、及び加算部312、予測パラメータ導出部320を含んで構成される。なお、後述の動画像符号化装置11に合わせ、動画像復号装置31にループフィルタ305が含まれない構成もある。
【0053】
パラメータ復号部302は、さらに、ヘッダ復号部3020、CT情報復号部3021、及びCU復号部3022(予測モード復号部)を備えており、CU復号部3022はさらにTU復号部3024を備えている。これらを総称して復号モジュールと呼んでもよい。ヘッダ復号部3020は、符号化データからVPS、SPS、PPS、APSなどのパラメータセット情報、スライスヘッダ(スライス情報)を復号する。CT情報復号部3021は、符号化データからCTを復号する。CU復号部3022は符号化データからCUを復号する。TU復号部3024は、TUに予測誤差が含まれている場合に、符号化データからQP更新情報(量子化補正値)と量子化予測誤差(residual_coding)を復号する。パラメータ復号部302は、chroma_format_idcを復号して、SubWidthC, SubHeightCを導出してもよい。
【0054】
TU復号部3024は、スキップモード以外(skip_mode==0)の場合に、符号化データからQP更新情報と量子化予測誤差を復号する。より具体的には、TU復号部3024は、skip_mode==0の場合に、対象ブロックに量子化予測誤差が含まれているか否かを示すフラグcu_cbpを復号し、cu_cbpが1の場合に量子化予測誤差を復号する。cu_cbpが符号化データに存在しない場合は0と導出する。
【0055】
TU復号部3024は、符号化データから変換基底を示すインデックスmts_idxを復号する。また、TU復号部3024は、符号化データからセカンダリ変換の利用及び変換基底を示すインデックスstIdxを復号する。stIdxは0の場合にセカンダリ変換の非適用を示し、1の場合にセカンダリ変換基底のセット(ペア)のうち一方の変換を示し、2の場合に上記ペアのうち他方の変換を示す。
【0056】
また、TU復号部3024はサブブロック変換フラグcu_sbt_flagを復号してもよい。cu_sbt_flagが1の場合には、CUを複数のサブブロックに分割し、特定の1つのサブブロックのみ残差を復号する。さらにTU復号部3024は、サブブロックの数が4であるか2であるかを示すフラグcu_sbt_quad_flag、分割方向を示すcu_sbt_horizontal_flag、非ゼロの変換係数が含まれるサブブロックを示すcu_sbt_pos_flagを復号してもよい。
【0057】
予測画像生成部308は、インター予測画像生成部309及びイントラ予測画像生成部310を含んで構成される。
【0058】
予測パラメータ導出部320は、インター予測パラメータ導出部303及びイントラ予測パラメータ導出部304を含んで構成される。
【0059】
また、以降では処理の単位としてCTU、CUを使用した例を記載するが、この例に限らず、サブCU単位で処理をしてもよい。あるいはCTU、CUをブロック、サブCUをサブブロックと読み替え、ブロックあるいはサブブロック単位の処理としてもよい。
【0060】
エントロピー復号部301は、外部から入力された符号化ストリームTeに対してエントロピー復号を行って、個々の符号(シンタックス要素)を復号する。エントロピー符号化には、シンタックス要素の種類や周囲の状況に応じて適応的に選択したコンテキスト(確率モデル)を用いてシンタックス要素を可変長符号化する方式と、あらかじめ定められた表、あるいは計算式を用いてシンタックス要素を可変長符号化する方式がある。前者のCABAC(Context Adaptive Binary Arithmetic Coding)は、コンテキストのCABAC状態(優勢シンボルの種別(0 or 1)と確率を指定する確率状態インデックスpStateIdx)をメモリに格納する。エントロピー復号部301は、セグメント(タイル、CTU行、スライス)の先頭で全てのCABAC状態を初期化する。エントロピー復号部301は、シンタックス要素をバイナリ列(Bin String)に変換し、Bin Stringの各ビットを復号する。コンテキストを用いる場合には、シンタックス要素の各ビットに対してコンテキストインデックスctxIncを導出し、コンテキストを用いてビットを復号し、用いたコンテキストのCABAC状態を更新する。コンテキストを用いないビットは、等確率(EP, bypass)で復号され、ctxInc導出やCABAC状態は省略される。復号されたシンタックス要素には、予測画像を生成するための予測情報および、差分画像を生成するための予測誤差などがある。
【0061】
エントロピー復号部301は、復号した符号をパラメータ復号部302に出力する。復号した符号とは、例えば、予測モードpredMode、merge_flag、merge_idx、inter_pred_idc、refIdxLX、mvp_LX_idx、mvdLX、amvr_mode等である。どの符号を復号するかの制御は、パラメータ復号部302の指示に基づいて行われる。
【0062】
(基本フロー)
図6は、動画像復号装置31の概略的動作を説明するフローチャートである。
【0063】
(S1100:パラメータセット情報復号)ヘッダ復号部3020は、符号化データからVPS、SPS、PPSなどのパラメータセット情報を復号する。
【0064】
(S1200:スライス情報復号)ヘッダ復号部3020は、符号化データからスライスヘッダ(スライス情報)を復号する。
【0065】
以下、動画像復号装置31は、対象ピクチャに含まれる各CTUについて、S1300からS5000の処理を繰り返すことにより各CTUの復号画像を導出する。
【0066】
(S1300:CTU情報復号)CT情報復号部3021は、符号化データからCTUを復号する。
【0067】
(S1400:CT情報復号)CT情報復号部3021は、符号化データからCTを復号する。
【0068】
(S1500:CU復号)CU復号部3022はS1510、S1520を実施して、符号化データからCUを復号する。
【0069】
(S1510:CU情報復号)CU復号部3022は、符号化データからCU情報、予測情報、TU分割フラグsplit_transform_flag、CU残差フラグcbf_cb、cbf_cr、cbf_luma等を復号する。
【0070】
(S1520:TU情報復号)TU復号部3024は、TUに予測誤差が含まれている場合に、符号化データからQP更新情報と量子化予測誤差、変換インデックスmts_idxを復号する。なお、QP更新情報は、量子化パラメータQPの予測値である量子化パラメータ予測値qPpredからの差分値である。
【0071】
(S2000:予測画像生成)予測画像生成部308は、対象CUに含まれる各ブロックについて、予測情報に基づいて予測画像を生成する。
【0072】
(S3000:逆量子化・逆変換)逆量子化・逆変換部311は、対象CUに含まれる各TUについて、逆量子化・逆変換処理を実行する。
【0073】
(S4000:復号画像生成)加算部312は、予測画像生成部308より供給される予測画像と、逆量子化・逆変換部311より供給される予測誤差とを加算することによって、対象CUの復号画像を生成する。
【0074】
(S5000:ループフィルタ)ループフィルタ305は、復号画像にデブロッキングフィルタ、SAO、ALFなどのループフィルタをかけ、復号画像を生成する。
【0075】
(インター予測画像生成部309)
predModeがインター予測モードを示す場合、インター予測画像生成部309は、インター予測パラメータ導出部303から入力されたインター予測パラメータと参照ピクチャを用いてインター予測によりブロックもしくはサブブロックの予測画像を生成する。
【0076】
インター予測画像生成部309は生成したブロックの予測画像を加算部312に出力する。
【0077】
(イントラ予測画像生成部310)
predModeがイントラ予測モードを示す場合、イントラ予測画像生成部310は、イントラ予測パラメータ導出部304から入力されたイントラ予測パラメータと参照ピクチャメモリ306から読み出した参照画素を用いてイントラ予測を行う。
【0078】
逆量子化・逆変換部311は、パラメータ復号部302から入力された量子化変換係数を逆量子化して変換係数を求める。
【0079】
加算部312は、予測画像生成部308から入力されたブロックの予測画像と逆量子化・逆変換部311から入力された予測誤差を画素毎に加算して、ブロックの復号画像を生成する。加算部312はブロックの復号画像を参照ピクチャメモリ306に記憶し、また、ループフィルタ305に出力する。
【0080】
ループフィルタ305は加算部106が生成した復号画像に対し、デブロッキングフィルタ、SAO、ALFを施す。図8(c)はループフィルタのブロック図である。動画像復号装置31はループフィルタ305(デブロッキングフィルタ3051、SAO部3052、ALF部3053)を備え、動画像符号化装置11はループフィルタ107(デブロッキングフィルタ1071、SAO部1072、ALF部1073)を備える。なお、SAOを実施しない構成でもよいし、SAOの代わりに別のフィルタを行う構成でもよい。
【0081】
デブロッキングフィルタ(3051、1071)は、予測境界もしくは変換境界(例えばCU、PU、TUの境界)を介して互いに隣接する入力画像が予め定められた閾値よりも小さい場合に、当該境界に対してローパスフィルタをかけ、当該境界付近の画素を平滑化する。デブロッキングフィルタをかけた画素はSAO部(3052、1072)に出力される。なお、入力画像Rec1は加算部312の出力、あるいは、luma mapping with chroma scaling(LMCS)が施される場合はLMCSの出力である。LMCSは復号した輝度のヒストグラムを用いて輝度画素値をスケーリングする処理である。
【0082】
SAO(Sample Adaptive Offset)部(3052、1072)は、所定の単位毎に、入力画像に対して画素を分類し、分類に応じて復号したオフセットを加算する。オフセットのパラメータ、例えば、分類方法、オフセットの値は、動画像復号装置31ではパラメータ復号部302から入力され、動画像符号化装置11では符号化パラメータ決定部110から入力される。SAO処理後の画素はALF部(3053、1073)に出力される。なお、入力画像Rec3はデブロッキングフィルタがオンの場合はデブロッキングフィルタをかけた画像、オフの場合はデブロッキングフィルタをかける前の画像である。
【0083】
ALF部(3053、1073)は、入力画像に対して、所定の単位(ブロック)毎に適応ループフィルタ(Adaptive Loop Filter、ALF)をかける。ALFをかけた画素AlfPicは外部に出力されると共に、参照ピクチャメモリ(306、109)に格納される。なお、入力画像Rec2はSAOがオンの場合はSAOをかけた画像、オフの場合はSAOをかける前の画像である。対象ブロックとして、CTU、CU、あるいは、固定サイズ(例えば64*64画素、32*32画素)等を用いてもよい。以降では、対象ブロックがCTUの場合を説明するが、CTU以外の対象ブロックでも同様の説明が成り立つ。図10にフィルタの形状の例を示す。図10(a)は菱形形状の7*7フィルタ、(b)は菱形形状の5*5フィルタ、(c)は菱形形状の3*3フィルタ、(d)は1*1フィルタである。これらのフィルタ係数は、フィルタの中心に対し点対称の値をとってもよい。菱形形状のフィルタのタップ数NTAP(対象ピクチャのフィルタに使う参照画素の数)は、7x7, 5x5, 3x3、1x1の場合で各々、25, 13, 5, 1である。対称性を用いる場合にはフィルタ係数の数NumAlfFilterCoeffを各々、13, 7, 3, 1に削減することができる。
【0084】
図8(a)は、動画像復号装置31のALF部3053の構成を示すブロック図である。ALF部3053はフィルタセット導出部30531とフィルタ処理部30532からなる。フィルタ処理部30532は特性導出部30533、選択部30534、フィルタ部30535を備える。
【0085】
(フィルタセット導出部)
フィルタセット導出部30531は対象ピクチャあるいは対象スライスで使用するフィルタ係数のセット(フィルタセット)を導出する。フィルタセットは適応パラメータセット(adaptive parameter set:APS)を用いて通知される。1つのAPSで、NumApsAlf個のフィルタを通知することができる。フィルタセット導出部30531では、パラメータ復号部302で復号されたAPSのシンタックス要素からフィルタセットを導出する。これらのフィルタセットが、対象ピクチャあるいは対象スライスで使用可能なフィルタである。以下では、輝度用のフィルタセットをAlfCoeffL[apsId][filtIdx][j]、色差用のフィルタセットをAlfCoeffC[apsCId][j]で表す。apsIdはフィルタが通知されたAPSを指定するIDである(例えば、apsId = 0..31)。filtIdxはあるAPSで通知されたNumApsAlf個のフィルタの1つを指定するフィルタインデックス(fltIdx = 0 ..NumApsALf-1)である。jは1つのフィルタに含まれる係数の位置(j = 0.. NumAlfFilterCoeff-1)を表す。色差用のフィルタは1つのAPSで1つだけ通知されるため、filtIdxは不要である。apsCIdは色差用のフィルタが通知されたAPSを指定するIDである。
【0086】
なお、フィルタの導出に必要なクリッピング値に関する情報もAPSで通知される。フィルタセット導出部30531では、パラメータ復号部302で復号されたAPSのシンタックス要素からクリッピング値を導出する。輝度用のクリッピング値をAlfClipL[apsId][filtIdx][j]、色差用のクリッピング値をAlfClipC[apsCId][j]で表す。
【0087】
フィルタセット導出部30531はAlfCoeffL[][][]、AlfCoeffC[][]、AlfClipL[][][]、AlfClipC[][]を選択部30534に出力する。
【0088】
(特性導出部)
特性導出部30533はCTUを複数のサブブロックに分割し、各サブブロックにクラスを割り当てる。このクラスを用いて、上述のフィルタセットから、フィルタ処理部30532で用いる1つのフィルタを選択するフィルタインデックスfiltIdxを導出する。またフィルタ係数の転置に必要なインデックスtransposeIdxを導出する。以降では、サブブロックのサイズを4x4とするが、4x4以外のサイズでも同様の説明が成り立つ。
【0089】
ALF部3053への入力画像をrP[][]、対象ブロックの左上座標を(xCtb,yCtb)、対象ブロック内の画素位置を(x,y)、対象ブロックのサイズをwCtb、hCtbとすると、特性導出部30533は水平、垂直、斜め方向の画素の絶対差分値filtH、filtV、filtD0、filtD1を下式で導出する。以下では、配列の添字[x][y]は、[x,y]と略記する場合がある。
【0090】
filtH[x][y] = abs((rP[xCtb+x,yCtb+y]<<1)-rP[xCtb+x-1,yCtb+y]-rP[xCtb+x+1,yCtb+y])
filtV[x][y] = abs((rP[xCtb+x,yCtb+y]<<1)-rP[xCtb+x,yCtb+y-1]-rP[xCtb+x,yCtb+y+1])
filtD0[x][y] = abs((rP[xCtb+x,yCtb+y]<<1)-rP[xCtb+x-1,yCtb+y-1]-rP[xCtb+x+1, yCtb+y+1])
filtD1[x][y] = abs((rP[xCtb+x,yCtb+y]<<1)-rP[xCtb+x+1,yCtb+y-1]-rP[xCtb+x-1, yCtb+y+1])
x=0..(wCtb-1)>>2、y=0..(hCtb-1)>>2において、特性導出部30533は各サブブロックの絶対差分値の和sumH、sumV、sumD0、sumD1と、アクティビティsumOfHVを下式で導出する。Σはi,j= -2..5の和である。
【0091】
sumH[x][y] = ΣΣfiltH[(x<<2)+i][(y<<2)+j]
sumV[x][y] = ΣΣfiltV[(x<<2)+i][(y<<2)+j]
sumD0[x][y] = ΣΣfiltD0[h(x<<2)+i][v(y<<2)+j]
sumD1[x][y] = ΣΣfiltD1[h(x<<2)+i][v(y<<2)+j]
sumOfHV[x][y] = sumH[x][y]+sumV[x][y]
特性導出部30533は各サブブロックの差分値の和sumH、sumVを用いて変数hv0、hv1、dirHVを導出する。sumV[x>>2][y>>2]がsumH[x>>2][y>>2]より大きい場合、下式で導出する。
【0092】
hv1 = sumV[x>>2][y>>2]
hv0 = sumH[x>>2][y>>2]
dirHV = 1
そうでなければ、下式で導出する。
【0093】
hv1 = sumH[x>>2][y>>2]
hv0 = sumV[x>>2][y>>2]
dirHV = 3
特性導出部30533は各サブブロックの差分値の和sumD0、sumD1を用いて変数d0、d1、dirDを導出する。sumD0[x>>2][y>>2]がsumD1[x>>2][y>>2]より大きい場合、下式で導出する。
【0094】
d1 = sumD0[x>>2][y>>2]
d0 = sumD1[x>>2][y>>2]
dirD = 0
そうでなければ、下式で導出する。
【0095】
d1 = sumD1[x>>2][y>>2]
d0 = sumD0[x>>2][y>>2]
dirD = 2
特性導出部30533はhv0、hv1、dirHV、d0、d1、dirDを用いて変数hvd1、hvd0を導出する。
【0096】
hvd1 = (d1*hv0>hv1*d0) ? d1:hv1
hvd0 = (d1*hv0>hv1*d0) ? d0:hv0
特性導出部30533は方向変数dirS[x][y]、dir1[x][y]、dir2[x][y]を下式で導出する。
【0097】
dir1[x][y] = (d1*hv0>hv1*d0) ? dirD:dirHV
dir2[x][y] = (d1*hv0>hv1*d0) ? dirHV:dirD
dirS[x][y] = (hvd1>2*hvd0) ? 1:((hvd1*2>9*hvd0) ? 2:0)
特性導出部30533はアクティビティsumOfHVに応じて、クラスavgVar[x][y]を導出する。
【0098】
avgVar[x][y] = varTab[Clip3(0,15,(sumOfHV[x>>2][y>>2]*ac)>>(3+BitDepthY))]
varTab[] = { 0, 1, 2, 2, 2, 2, 2, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 3, 4 }
ここでBitDepthYは輝度のビット深度、acは所定の定数であり、例えば64、あるいは、96である。
【0099】
特性導出部30533はavgVar、dir2、dirSを用いてfiltIdx[x][y]とtransposeIdx[x][y]を導出する。
【0100】
transposeIdx[x][y] = transposeTable[dir1[x][y]*2+(dir2[x][y]>>1)]
transposeTable[] = { 0, 1, 0, 2, 2, 3, 1, 3 }
filtIdx[x][y] = avgVar[x][y]
なお、dirS[x][y]が0でない場合、filtIdx[x][y]は以下のように変更してもよい。
【0101】
filtIdx[x][y] += (((dir1[x][y]&0x1)<<1)+dirS[x][y])*5
上式により、filtIdx[][]、transposeIdx[][]にはサブブロック毎に同じ値が格納される。
【0102】
特性導出部30533は、filtIdx[][]、transposeIdx[][]を選択部30534に出力する。
【0103】
(選択部)
選択部30534は、フィルタセット導出部30531の出力AlfCoeffL[][][]、AlfCoeffC[][]、AlfClipL[][][]、AlfClipC[][]と、特性導出部30533の出力transposeIdx[][]、filtIdx[] []と、パラメータ復号部の出力apsId、apsCIdを用いて、フィルタ係数f[]およびクリッピ
ング値c[]を導出する。
【0104】
輝度用のフィルタf[]とクリッピング値c[]は下式で導出する。
【0105】
f[j] = AlfCoeffL[apsId][filtIdx[x][y]][j]
c[j] = AlfClipL[apsId][filtIdx[x][y]][j]
なお、輝度の場合、transposeIdx[][]に応じて、フィルタ係数の順序を入れ替える。従って、フィルタ部30535で適用するフィルタ係数とクリッピング値はf[idx[j]]とc[idx[j]]である。
【0106】
例えば、transpose[x][y]が1の場合、idx[]={9, 4, 10, 8, 1, 5, 11, 7, 3, 0, 2, 6}、transposeIndex[x][y]が2の場合,idx[]={0, 3, 2, 1, 8, 7, 6, 5, 4, 9, 10, 11}、transposeIndex[x][y]が3の場合、idx[]={9, 8, 10, 4, 3, 7, 11, 5, 1, 0, 2, 6}、それ以外の場合、idx[]={0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11}である。図10のフィルタで説明すると、例えばtranspose[x][y]=0の場合、{a0, a1, a2, a3, a4, a5, a6, a7, a8, a9, a10, a11}は{f[0], f[1], f[2], f[3], f[4], f[5], f[6], f[7], f[8], f[9], f[10], f[11]}であるが、transpose[x][y]=1の場合、{a0, a1, a2, a3, a4, a5, a6, a7, a8,
a9, a10, a11}は{f[9], f[4], f[10], f[8], f[1], f[5], f[11], f[7], f[3], f[0], f [2], f[6]}である。なお、a12はa0~a11を用いて導出される。
【0107】
a12 = 128 - 2*Σam
Σはm=0..11の和を表す、つまりa12はa0からa11の和の2倍を128から引いた値である。
【0108】
色差用のフィルタf[]とクリッピング値c[]は下式で導出する。
【0109】
f[j] = AlfCoeffC[apsCId][j]
c[j] = AlfClipC[apsCId][j]
選択部30534はf[]、c[]、idx[]をフィルタ部30535に出力する。
【0110】
(フィルタ部)
フィルタ部30535は、選択部30534の出力f[]、c[]、idx[]を用いて、入力画像rP[]にALFをかける。
【0111】
輝度の場合、入力画像をrPL[x,y]、対象画素をcurr、出力画像をAlfPicL[x][y]とすると、ALFは下式で表せる。なお、フィルタは7*7とする。
【0112】
curr = rPL[x,y] (式ALF-1)
sum = f[idx[0]]*(Clip3(-c[idx[0]],c[idx[0]],rPL[x,y+3]-curr)+
Clip3(-c[idx[0]],c[idx[0]],rPL[x,y-3]-curr))+
f[idx[1]]*(Clip3(-c[idx[1]],c[idx[1]],rPL[x+1,y+2]-curr)+
Clip3(-c[idx[1]],c[idx[1]],rPL[x-1,y-2]-curr))+
f[idx[2]]*(Clip3(-c[idx[2]],c[idx[2]],rPL[x,y+2]-curr)+
Clip3(-c[idx[2]],c[idx[2]],rPL[x,y-2]-curr))+
f[idx[3]]*(Clip3(-c[idx[3]],c[idx[3]],rPL[x-1,y+2]-curr)+
Clip3(-c[idx[3]],c[idx[3]],rPL[x+1,y-2]-curr))+
f[idx[4]]*(Clip3(-c[idx[4]],c[idx[4]],rPL[x+2,y+1]-curr)+
Clip3(-c[idx[4]],c[idx[4]],rPL[x-2,y-1]-curr))+
f[idx[5]]*(Clip3(-c[idx[5]],c[idx[5]],rPL[x+1,y+1]-curr)+
Clip3(-c[idx[5]],c[idx[5]],rPL[x-1,y-1]-curr))+
f[idx[6]]*(Clip3(-c[idx[6]],c[idx[6]],rPL[x,y+1]-curr)+
Clip3(-c[idx[6]],c[idx[6]],rPL[x,y-1]-curr))+
f[idx[7]]*(Clip3(-c[idx[7]],c[idx[7]],rPL[x-1,y+1]-curr)+
Clip3(-c[idx[7]],c[idx[7]],rPL[x+1,y-1]-curr))+
f[idx[8]]*(Clip3(-c[idx[8]],c[idx[8]],rPL[x-2,y+1]-curr)+
Clip3(-c[idx[8]],c[idx[8]],rPL[x+2,y-1]-curr))+
f[idx[9]]*(Clip3(-c[idx[9]],c[idx[9]],rPL[x+3,y]-curr)+
Clip3(-c[idx[9]],c[idx[9]],rPL[x-3,y]-curr))+
f[idx[10]]*(Clip3(-c[idx[10]],c[idx[10]],rPL[x+2,y]-curr)+
Clip3(-c[idx[10]],c[idx[10]],rPL[x-2,y]-curr))+
f[idx[11]]*(Clip3(-c[idx[11]],c[idx[11]],rPL[x+1,y]-curr)+
Clip3(-c[idx[11]],c[idx[11]],rPL[x-1,y]-curr))
sum = curr+((sum+64)>>7)
AlfPicL[xCtb+x][yCtb+y] = Clip3(0,(1<<BitDepthY)-1,sum)
BitDepthYは輝度画素のビット深度である。ここで64、7は各々、ラウンドシフト処理の定数とシフト値であり、別の値でもよい。
【0113】
色差の場合、入力画像をrPC[x,y]、対象画素をcurr、出力画像をAlfPicC[x][y]とすると、ALFは下式で表せる。なお、フィルタは5*5とする。
【0114】
curr = rPC[x,y] (式ALF-2)
sum = f[0]*(Clip3(-c[0],c[0],rPC[x,y+2]-curr)+
Clip3(-c[0],c[0],rPC[x,y-2]-curr))+
f[1]*(Clip3(-c[1],c[1],rPC[x+1,y+1]-curr)+
Clip3(-c[1],c[1],rPC[x-1,y-1]-curr))+
f[2]*(Clip3(-c[2],c[2],rPC[x,y+1]-curr)+
Clip3(-c[2],c[2],rPC[x,y-1]-curr))+
f[3]*(Clip3(-c[3],c[3],rPC[x-1,y+1]-curr)+
Clip3(-c[3],c[3],rPC[x+1,y-1]-curr))+
f[4]*(Clip3(-c[4],c[4],rPC[x+2,y]-curr)+
Clip3(-c[4],c[4],rPC[x-2,y]-curr))+
f[5]*(Clip3(-c[5],c[5],rPC[x+1,y]-curr)+
Clip3(-c[5],c[5],rPC[x-1,y]-curr))
sum = curr+(sum+64)>>7
AlfPicC[xCtbC+x][yCtbC+y] = Clip3(0,(1<<BitDepthC)-1,sum)
BitDepthCは色差画素のビット深度である。
フィルタ部30535はAlfPicL[][]、AlfPicC[][]を外部(表示装置)、参照ピクチャメモリ306に出力する。AlfPicC[][]は、AlfPicCb[][]もしくはAlfPicCr[][]。
【0115】
図9はALF部の別の実施形態であるALF部3053Aを説明するブロック図である。図8のALF部3053では、輝度に比べ色差のフィルタは選択肢が少なく、参照する画素数も少なかった。本実施形態では、通知する色差のフィルタの情報を増やし、かつ、色差画像に加え輝度画像を参照することによって、色差画像の画質を向上させる。
【0116】
図9図8(a)に対し、CCフィルタ係数導出部30536とALFCC 30537、加算部30538、クリッピング部30540が追加されている。ALFTC 30535は図8(a)のフィルタ部30535と同じである。ALF部3053AはCCフィルタ係数導出部30356でクロスコンポーネントのフィルタ係数(CCフィルタ係数)AlfCoeffCCを導出する。ALFCC 30537はこのCCフィルタ係数と入力画像の別の色コンポーネント画像(例えば、輝度画像)を参照して対象色コンポーネント画像(例えば、色差画像)のフィルタに利用する値(例えば、色差画像に加算する値)を導出し、クリッピング部30540でクリッピングした上で、加算部30538でALFTCの出力に加算する。ALFCCへの入力画像とALFTCへの入力画像は同じであり、ループフィルタ305への入力画像である。つまり、ループフィルタが複数ステージから構成される場合、ALFTCとALFCCは同じステージの画像(例えばSAOをかけた画像)を用いる。
【0117】
(クロスコンポーネントフィルタ)
図11では、ALF部3053Aで使用するCCフィルタのシンタックスを通知するAPSの一例を示す。ALF部3053で使用するシンタックスの他に、alf_cross_component_coeff_abs[]とalf_cross_component_coeff_sign[]が追加されている。これらのシンタックス要素はパラメータ復号部302で復号され、CCフィルタ係数導出部30536に入力される。なお図11は、図10(c)に示すようにフィルタ形状が3*3の例である。
【0118】
(CCフィルタ係数導出部)
CCフィルタ係数導出部30536は、上述のシンタックス要素からCCフィルタ係数AlfCoeffCC[]を導出する。
【0119】
AlfCoeffCC[apsCId][j] = alf_cross_component_coeff_abs[j]*(1-2*alf_cross_component_coeff_sign[j])
fcc[j] = AlfCoeffCC[apsCId][j]
CCフィルタ係数導出部30536は、fcc[]をALFCC 30537に出力する。
【0120】
(ALFCC)
ALFCC 30537は、CCフィルタ係数導出部30536の出力fcc[]を用いて、対象色コンポーネントとは異なる色コンポーネントの画像である入力画像rPL[]を用いてフィルタ処理する。ここでは、ALF部3053の入力画像rPを(rPL、rPC)と記す。対象色コンポーネントとは異なる色コンポーネント(例えば輝度)の入力画像をrPL[x,y]、出力画像をaddCC[x][y]とすると、ALFCC 30537は下式の処理を行う。
【0121】
sumCC = Σfcc[k]*rPL[xx+i,yy+j] (式ALF-3)
addCC[x][y] = (sumCC+(1<<(shiftCC-1)))>>shiftCC
ここでΣはkに関する和、(i, j)は、kのフィルタ係数fcc[k]に対応する参照する輝度画像の位置を示し、例えばi=-3..3, j=-3..3の範囲の値のセットである。以降、fccの添字はkを用いる。shiftCCは、フィルタ係数fcc[]のビット精度であり、1<<(shiftCC-1)はラウンド用のオフセットである。(xx, yy)は対象色差画素に対応する輝度画像rPLの位置であり、(xx, yy) = (x, y)でもいいし、SubWidthC、SubHeightCに応じて変更しても良い。xx =
x * SubWidthC、yy = y * SubHeightC。書き下すと以下のように表現できる。
【0122】
sumCC = Σfcc[k]*rPL[x*SubWidthC+i,y*SubHeightC+j] (式ALF-4)
addCC[x][y] = (sumCC+(1<<(shiftCC-1)))>>shiftCC
例えば、addCCの値域は、例えばfccの精度shiftCCが8、rPLのbitDepthが10で、参照画素(k)の個数が14個の場合、8+10+ceil(log2(14))-8=14bitになる。shiftCCは7, 8, 9, 10などでもよい。以下shiftCC=7, 8の例を説明する。
また、図12(a)に示すフィルタ形状のフィルタ係数を用いる場合、以下の式でもよい。
【0123】
sumCC =
fcc[0]*(rPL[xx,yy-2] + rPL[xx,yy+3]) +
fcc[1]*rPL[xx-1,yy-1]+ fcc[2]*rPL[xx,yy-1]+ fcc[3]*rPL[xx+1,yy-1] +
fcc[4]*(rPL[xx-2,yy] + rPL[xx+2,yy] + rPL[xx-2,yy+1] + rPL[xx+2,yy+1]) +
fcc[5]*rPL[xx-1,yy] + fcc[6]*rPL[xx,yy] + fcc[7]*rPL[xx+1,yy] +
fcc[8]*rPL[xx-1,yy+1] + fcc[9]*rPL[xx,yy+1] + fcc[10]*rPL[xx+1,yy+1] +
fcc[11]*rPL[xx-1,yy+2]+ fcc[12]*rPL[xx,yy+2]+ fcc[13]*rPL[xx+1,yy+2] (式ALF-5)
addCC[x][y] = (sumCC+128)>>8
あるいは図12(b)に示すフィルタ形状のフィルタ係数の場合、下式でもよい。
【0124】
sumCC = fcc[0]*(rPL[xx,yy+1]+rPL[xx,yy-1])+fcc[1]*(rPL[xx+1,yy]+rPL[xx-1,yy])+fcc[2]*rPL[xx,yy] (式ALF-6)
addCC[x][y] = (sumCC+64)>>7
ALFCC 30537はaddCC[][]を加算部30358に出力する。
【0125】
あるいは、フィルタ係数の内の一つfcc[n-1]は通知せず、フィルタ係数の合計が(1<<shiftCC)となるように、ほかの係数から導出してもよい。
【0126】
fcc[n-1] = (1<<shiftCC) - Σfcc[k]
ここで、Σはk=0..n-2の和であり、nはフィルタ係数の個数である。
【0127】
また、色差画素に対応する位置の輝度画素rPLは,輝度画素rPLをフィルタリングもしくはサブサンプリングして導出した画素でもよい。サブサンプリングは例えば
rPL[x, y] = rPL[x*SubWidthC, y*SubHeightC]
(加算部・クリッピング部)
加算部30358はALFTC 30535の出力である対象色コンポーネントのフィルタ画像AlfPicC[][](= AlfPicCb[][]、AlfPicCr[][])とALFCC 30357の出力であるクロスコンポーネントのフィルタ画像addCC[][]を加算する。クリッピング部30540は、AlfPicC[x][y]とaddCC[x][ y]の加算の前に、addCC[x][y]を所定の値域に制限する。例えば、minCCおよびmaxCCによって表される所定の値域にクリップする。
【0128】
AlfPicCb[x][y] = AlfPicCb[x][y] + Clip3( minCC, maxCC, addCCb[x][y])
AlfPicCr[x][y] = AlfPicCr[x][y] + Clip3( minCC, maxCC, addCCr[x][y])
なお、右辺のAlfPicCb、AlfPicCrは(式ALF-2)で導出されるフィルタ画像である。addCCb、addCCrは(式ALF-5)で導出される差分値である。
また加算処理の後にシフト処理を加えてもよい。
【0129】
AlfPicCb[x][y] = (AlfPicCb[x][y] + Clip3( minCC, maxCC, addCCb[x][y])+(1-(shiftCC2-1))) >> shiftCC2
AlfPicCr[x][y] = (AlfPicCr[x][y] + Clip3( minCC, maxCC, addCCr[x][y]) +(1-(shiftCC2-1))) >> shiftCC2
つまり、フィルタ部30535は全体として、色差画像の積和演算とラウンドシフト処理から得られた項、と、輝度画像の積和演算とラウンドシフト処理して得られた項のクリップ値を加算してフィルタ処理を行う。したがって、AlfPicCb[][],AlfPicCr[][]は、
AlfPicCb[x][y] = (rPCb[x][y] + Σf[ij]*(Clip3(-c[ij],c[ij],rPCb[x+i][y+j]-rPCb[x][y]) + 64 ) >> 7 + Clip3( minCC, maxCC, addCCb[x][y])
AlfPicCr[x][y] = (rPCr[x][y] + Σf[ij]*(Clip3(-c[ij],c[ij],rPCr[x+i][y+j]-rPCr[x][y]) + 64 ) >> 7 + Clip3( minCC, maxCC, addCCr[x][y])
とも表せる。ここでrPCb[][]とrPCr[][]はフィルタ部30535の色差入力画像である。Σはフィルタ部30535のフィルタ形状内の位置(i,j)についての総和を表し、f[ij]およびc[ij]は、位置(i,j)に対応する係数値およびクリップ値である。
minCCとmaxCCはたとえば、ビット幅を表す値rangeCCBitを用いて、
minCC = -(1<<rangeCCBit)
maxCC = (1<<rangeCCBit)-1
に設定してもよい。
【0130】
rangeCCBitは固定値(例えばrangeCCBit=5,6,7,8など)でもよい。例えばrangeCCBit=6の場合には、以下のように制限される。
【0131】
AlfPicCb[x][y] = AlfPicCb[x][y] + Clip3( -64, 63, addCCb[x][y])
AlfPicCr[x][y] = AlfPicCr[x][y] + Clip3( -64, 63, addCCr[x][y])
上記によれば、輝度画像から導出されるccALFの成分であるaddCC[][]を予めメモリに格納しておき、格納したメモリのaddCCを用いる構成において、格納に必要なメモリ量を削減することができる。例えば、制限前のaddCCの値域が14bitでrangeCCBit=6の場合、必要なメモリ量を半分未満(=6/14)に削減できる。
【0132】
また、rangeCCBitはbitDepthに依存するように設定することが適当である。例えば、bitDepth と所定の定数Mccの差(rangeCCBit= bitDepth-Mcc)を用いて、
minCC = -(1<<(bitDepth-3))
maxCC = (1<<(bitDepth-3))-1
としてもよい。ここでMccは2, 3, 4, 5などでもよい。またクリップ値の大きさ(例えば、絶対値)として、ビットデプスによらない下限を設けてもよい(rangeCCBit= max(minD, bitDepth-Mcc)、例えばminD=6)
minCC = -max(64, (1<<(bitDepth-3)))
maxCC = max(64, (1<<(bitDepth-3)))-1
下限minDは6に限定されない。またビットデプスによらない上限を設けてもよい(rangeCCBit= min(maxD, bitDepth-Mcc) 、例えばmaxD=15)
minCC = -min(32768, (1<<(bitDepth-3)))
maxCC = min(32768, (1<<(bitDepth-3)))-1
上限maxDepthも15bitに限定されない。
さらに下限と上限を設けても良い(rangeCCBit= Clip3(minD, maxD, bitDepth-Mcc))
minCC = -Clip3(64, 32768, (1<<(bitDepth-3)))
maxCC = Clip3(64, 32768, (1<<(bitDepth-3))) -1
あるいは、bitDepth/2と所定の定数Mcc2を用いて(rangeCCBit= bitDepth/2+Mcc2)
minCC = -(1<<(bitDepth/2+1))
maxCC = (1<<(bitDepth/2+1))-1
としてもよい。ここでMcc2は0, 1, 2, 3などでもよい。
【0133】
また、rangeCCBitはフィルタ対象画素に関連する属性や値に応じて切り替えてもよい。このとき、複数の閾値を用いて、複数段階に切り替えてもよい。たとえば、フィルタ対象画素の属するスライスのスライスタイプがイントラスライス(Iスライス)である場合にはrangeCCBit1を用いて
minCC = -(1<<rangeCCBit1)
maxCC = (1<<rangeCCBit1)-1
とし、インタースライス(BまたはPスライス)場合にはrangeCCBit2を用いて
minCC = -(1<<rangeCCBit2)
maxCC = (1<<rangeCCBit2)-1
として切り替えてもよい。このようにして特性の異なる予測方式に応じて変化量の範囲を切り替えられる。
【0134】
また別の方法として、フィルタ対象画素におけるQP値に基づいてminCCとmaxCCの組を切り替えるようにしてもよい。例えば、QPがある閾値QP_th未満の場合には
minCC = -(1<<rangeCCBit1)
maxCC = (1<<rangeCCBit1)-1
とし、QP_th以上の場合には
minCC = -(1<<rangeCCBit2)
maxCC = (1<<rangeCCBit2)-1
とする。
【0135】
さらに別の方法として、フィルタ対象画素のビット深度に応じて変化量の範囲を切り替えてもよい。たとえばフィルタ対象画素のビット深度bitDepthが10未満の場合には
minCC = -(1<<rangeCCBit1)
maxCC = (1<<rangeCCBit1)-1
とし、QP_th以上の場合には
minCC = -(1<<rangeCCBit2)
maxCC = (1<<rangeCCBit2)-1
とする。これは、三項演算子を用いて
minCC = -(1<<(bitDepth<10 ? rangeCCBit1 : rangeCCBit2))
maxCC = (1<<(bitDepth<10 ? rangeCCBit1 : rangeCCBit2))
と表すこともできる。ここで、(rangeCCBit1, rangeCCBit2)の値は、たとえば(5,6),(5,7)や(6,7)などである。
【0136】
加算部30358はAlfPicCb[][]、AlfPicCr[][]を外部(表示装置)、参照ピクチャメモリ306に出力する。
【0137】
(動画像符号化装置の構成)
次に、本実施形態に係る動画像符号化装置11の構成について説明する。図7は、本実施形態に係る動画像符号化装置11の構成を示すブロック図である。動画像符号化装置11は、予測画像生成部101、減算部102、変換・量子化部103、逆量子化・逆変換部105、加算部106、ループフィルタ107、予測パラメータメモリ(予測パラメータ記憶部、フレームメモリ)108、参照ピクチャメモリ(参照画像記憶部、フレームメモリ)109、符号化パラメータ決定部110、パラメータ符号化部111、予測パラメータ導出部120、エントロピー符号化部104を含んで構成される。
【0138】
予測画像生成部101はCU毎に予測画像を生成する。予測画像生成部101は既に説明したインター予測画像生成部309とイントラ予測画像生成部310を含んでおり、説明を省略する。
【0139】
減算部102は、予測画像生成部101から入力されたブロックの予測画像の画素値を、画像Tの画素値から減算して予測誤差を生成する。減算部102は予測誤差を変換・量子化部103に出力する。
【0140】
変換・量子化部103は、減算部102から入力された予測誤差に対し、周波数変換によって変換係数を算出し、量子化によって量子化変換係数を導出する。変換・量子化部103は、量子化変換係数をパラメータ符号化部111及び逆量子化・逆変換部105に出力する。
【0141】
逆量子化・逆変換部105は、動画像復号装置31における逆量子化・逆変換部311(図5)と同じであり、説明を省略する。算出した予測誤差は加算部106に出力される。
【0142】
パラメータ符号化部111は、ヘッダ符号化部1110、CT情報符号化部1111、CU符号化部1112(予測モード符号化部)を備えている。CU符号化部1112はさらにTU符号化部1114を備えている。
【0143】
エントロピー符号化部104には、パラメータ符号化部111から量子化変換係数と符号化パラメータ(分割情報、予測パラメータ)が入力される。エントロピー符号化部104はこれらをエントロピー符号化して符号化ストリームTeを生成し、出力する。
【0144】
予測パラメータ導出部120は、インター予測パラメータ符号化部112、イントラ予測パラメータ符号化部113を含む手段であり、符号化パラメータ決定部110から入力されたパラメータからイントラ予測パラメータ及びイントラ予測パラメータを導出する。導出されたイントラ予測パラメータ及びイントラ予測パラメータは、パラメータ符号化部111に出力される。
【0145】
加算部106は、予測画像生成部101から入力された予測ブロックの画素値と逆量子化・逆変換部105から入力された予測誤差を画素毎に加算して復号画像を生成する。加算部106は生成した復号画像を参照ピクチャメモリ109に記憶する。
【0146】
ループフィルタ107は加算部106が生成した復号画像に対し、デブロッキングフィルタ、SAO、ALFを施す。
【0147】
図8(b)は、動画像符号化装置11のALF部1073の構成を示すブロック図である。ALF部107はフィルタ処理部30532からなる。フィルタ処理部30532は動画像復号装置31のALF部3053のフィルタ処理部30532であり、説明を省略する。ALF部1073には、符号化パラメータ決定部110から対象ピクチャあるいは対象スライスで使用するフィルタセットが入力されるので、フィルタセット導出部30531は不要である。また、ALF部1073が参照画像を読み出す、あるいは出力画像を出力するのは参照ピクチャメモリ109である。
【0148】
予測パラメータメモリ108は、符号化パラメータ決定部110が生成した予測パラメータを、対象ピクチャ及びCU毎に予め定めた位置に記憶する。
【0149】
参照ピクチャメモリ109は、ループフィルタ107が生成した復号画像を対象ピクチャ及びCU毎に予め定めた位置に記憶する。
【0150】
符号化パラメータ決定部110は、符号化パラメータの複数のセットのうち、1つのセットを選択する。符号化パラメータとは、上述したQT、BTあるいはTT分割情報、予測パラメータ、あるいはこれらに関連して生成される符号化の対象となるパラメータである。予測画像生成部101は、これらの符号化パラメータを用いて予測画像を生成する。
【0151】
符号化パラメータ決定部110は、複数のセットの各々について情報量の大きさと符号化誤差を示すRDコスト値を算出する。RDコスト値は、例えば、符号量と二乗誤差に係数λを乗じた値との和である。符号量は、量子化誤差と符号化パラメータをエントロピー符号化して得られる符号化ストリームTeの情報量である。二乗誤差は、減算部102において算出された予測誤差の二乗和である。係数λは、予め設定されたゼロよりも大きい実数である。符号化パラメータ決定部110は、算出したコスト値が最小となる符号化パラメータのセットを選択する。符号化パラメータ決定部110は決定した符号化パラメータをパラメータ符号化部111と予測パラメータ導出部120に出力する。
【0152】
なお、上述した実施形態における動画像符号化装置11、動画像復号装置31の一部、例えば、エントロピー復号部301、パラメータ復号部302、ループフィルタ305、予測画像生成部308、逆量子化・逆変換部311、加算部312、予測パラメータ導出部320、予測画像生成部101、減算部102、変換・量子化部103、エントロピー符号化部104、逆量子化・逆変換部105、ループフィルタ107、符号化パラメータ決定部110、パラメータ符号化部111、予測パラメータ導出部120をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、動画像符号化装置11、動画像復号装置31のいずれかに内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0153】
また、上述した実施形態における動画像符号化装置11、動画像復号装置31の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現しても良い。動画像符号化装置11、動画像復号装置31の各機能ブロックは個別にプロセッサ化しても良いし、一部、または全部を集積してプロセッサ化しても良い。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いても良い。
【0154】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0155】
〔応用例〕
上述した動画像符号化装置11及び動画像復号装置31は、動画像の送信、受信、記録、再生を行う各種装置に搭載して利用することができる。なお、動画像は、カメラ等により撮像された自然動画像であってもよいし、コンピュータ等により生成された人工動画像(CGおよびGUIを含む)であってもよい。
【0156】
まず、上述した動画像符号化装置11及び動画像復号装置31を、動画像の送信及び受信に利用できることを、図2を参照して説明する。
【0157】
図2(a)は、動画像符号化装置11を搭載した送信装置PROD_Aの構成を示したブロック図である。図に示すように、送信装置PROD_Aは、動画像を符号化することによって符号化データを得る符号化部PROD_A1と、符号化部PROD_A1が得た符号化データで搬送波を変調することによって変調信号を得る変調部PROD_A2と、変調部PROD_A2が得た変調信号を送信する送信部PROD_A3と、を備えている。上述した動画像符号化装置11は、この符号化部PROD_A1として利用される。
【0158】
送信装置PROD_Aは、符号化部PROD_A1に入力する動画像の供給源として、動画像を撮像するカメラPROD_A4、動画像を記録した記録媒体PROD_A5、動画像を外部から入力するための入力端子PROD_A6、及び、画像を生成または加工する画像処理部A7を更に備えていてもよい。図においては、これら全てを送信装置PROD_Aが備えた構成を例示しているが、一部を省略しても構わない。
【0159】
なお、記録媒体PROD_A5は、符号化されていない動画像を記録したものであってもよいし、伝送用の符号化方式とは異なる記録用の符号化方式で符号化された動画像を記録したものであってもよい。後者の場合、記録媒体PROD_A5と符号化部PROD_A1との間に、記録媒体PROD_A5から読み出した符号化データを記録用の符号化方式に従って復号する復号部(不図示)を介在させるとよい。
【0160】
図2(b)は、動画像復号装置31を搭載した受信装置PROD_Bの構成を示したブロック図である。図に示すように、受信装置PROD_Bは、変調信号を受信する受信部PROD_B1と、受信部PROD_B1が受信した変調信号を復調することによって符号化データを得る復調部PROD_B2と、復調部PROD_B2が得た符号化データを復号することによって動画像を得る復号部PROD_B3と、を備えている。上述した動画像復号装置31は、この復号部PROD_B3として利用される。
【0161】
受信装置PROD_Bは、復号部PROD_B3が出力する動画像の供給先として、動画像を表示するディスプレイPROD_B4、動画像を記録するための記録媒体PROD_B5、及び、動画像を外部に出力するための出力端子PROD_B6を更に備えていてもよい。図においては、これら全てを受信装置PROD_Bが備えた構成を例示しているが、一部を省略しても構わない。
【0162】
なお、記録媒体PROD_B5は、符号化されていない動画像を記録するためのものであってもよいし、伝送用の符号化方式とは異なる記録用の符号化方式で符号化されたものであってもよい。後者の場合、復号部PROD_B3と記録媒体PROD_B5との間に、復号部PROD_B3から取得した動画像を記録用の符号化方式に従って符号化する符号化部(不図示)を介在させるとよい。
【0163】
なお、変調信号を伝送する伝送媒体は、無線であってもよいし、有線であってもよい。また、変調信号を伝送する伝送態様は、放送(ここでは、送信先が予め特定されていない送信態様を指す)であってもよいし、通信(ここでは、送信先が予め特定されている送信態様を指す)であってもよい。すなわち、変調信号の伝送は、無線放送、有線放送、無線通信、及び有線通信の何れによって実現してもよい。
【0164】
例えば、地上デジタル放送の放送局(放送設備など)/受信局(テレビジョン受像機など)は、変調信号を無線放送で送受信する送信装置PROD_A/受信装置PROD_Bの一例である。また、ケーブルテレビ放送の放送局(放送設備など)/受信局(テレビジョン受像機など)は、変調信号を有線放送で送受信する送信装置PROD_A/受信装置PROD_Bの一例である。
【0165】
また、インターネットを用いたVOD(Video On Demand)サービスや動画共有サービスなどのサーバ(ワークステーションなど)/クライアント(テレビジョン受像機、パーソナルコンピュータ、スマートフォンなど)は、変調信号を通信で送受信する送信装置PROD_A/受信装置PROD_Bの一例である(通常、LANにおいては伝送媒体として無線または有線の何れかが用いられ、WANにおいては伝送媒体として有線が用いられる)。ここで、パーソナルコンピュータには、デスクトップ型PC、ラップトップ型PC、及びタブレット型PCが含まれる。また、スマートフォンには、多機能携帯電話端末も含まれる。
【0166】
なお、動画共有サービスのクライアントは、サーバからダウンロードした符号化データを復号してディスプレイに表示する機能に加え、カメラで撮像した動画像を符号化してサーバにアップロードする機能を有している。すなわち、動画共有サービスのクライアントは、送信装置PROD_A及び受信装置PROD_Bの双方として機能する。
【0167】
次に、上述した動画像符号化装置11及び動画像復号装置31を、動画像の記録及び再生に利用できることを、図3を参照して説明する。
【0168】
図3(a)は、上述した動画像符号化装置11を搭載した記録装置PROD_Cの構成を示したブロック図である。図に示すように、記録装置PROD_Cは、動画像を符号化することによって符号化データを得る符号化部PROD_C1と、符号化部PROD_C1が得た符号化データを記録媒体PROD_Mに書き込む書込部PROD_C2と、を備えている。上述した動画像符号化装置11は、この符号化部PROD_C1として利用される。
【0169】
なお、記録媒体PROD_Mは、(1)HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などのように、記録装置PROD_Cに内蔵されるタイプのものであってもよいし、(2)SDメモリカードやUSB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリなどのように、記録装置PROD_Cに接続されるタイプのものであってもよいし、(3)DVD(Digital Versatile Disc:登録商標)やBD(Blu-ray Disc:登録商標)などのように、記録装置PROD_Cに内蔵されたドライブ装置(不図示)に装填されるものであってもよい。
【0170】
また、記録装置PROD_Cは、符号化部PROD_C1に入力する動画像の供給源として、動画像を撮像するカメラPROD_C3、動画像を外部から入力するための入力端子PROD_C4、動画像を受信するための受信部PROD_C5、及び、画像を生成または加工する画像処理部PROD_C6を更に備えていてもよい。図においては、これら全てを記録装置PROD_Cが備えた構成を例示しているが、一部を省略しても構わない。
【0171】
なお、受信部PROD_C5は、符号化されていない動画像を受信するものであってもよいし、記録用の符号化方式とは異なる伝送用の符号化方式で符号化された符号化データを受信するものであってもよい。後者の場合、受信部PROD_C5と符号化部PROD_C1との間に、伝送用の符号化方式で符号化された符号化データを復号する伝送用復号部(不図示)を介在させるとよい。
【0172】
このような記録装置PROD_Cとしては、例えば、DVDレコーダ、BDレコーダ、HDD(Hard Disk Drive)レコーダなどが挙げられる(この場合、入力端子PROD_C4または受信部PROD_C5が動画像の主な供給源となる)。また、カムコーダ(この場合、カメラPROD_C3が動画像の主な供給源となる)、パーソナルコンピュータ(この場合、受信部PROD_C5または画像処理部C6が動画像の主な供給源となる)、スマートフォン(この場合、カメラPROD_C3または受信部PROD_C5が動画像の主な供給源となる)なども、このような記録装置PROD_Cの一例である。
【0173】
図3(b)は、上述した動画像復号装置31を搭載した再生装置PROD_Dの構成を示したブロックである。図に示すように、再生装置PROD_Dは、記録媒体PROD_Mに書き込まれた符号化データを読み出す読出部PROD_D1と、読出部PROD_D1が読み出した符号化データを復号することによって動画像を得る復号部PROD_D2と、を備えている。上述した動画像復号装置31は、この復号部PROD_D2として利用される。
【0174】
なお、記録媒体PROD_Mは、(1)HDDやSSDなどのように、再生装置PROD_Dに内蔵されるタイプのものであってもよいし、(2)SDメモリカードやUSBフラッシュメモリなどのように、再生装置PROD_Dに接続されるタイプのものであってもよいし、(3)DVDやBDなどのように、再生装置PROD_Dに内蔵されたドライブ装置(不図示)に装填されるものであってもよい。
【0175】
また、再生装置PROD_Dは、復号部PROD_D2が出力する動画像の供給先として、動画像を表示するディスプレイPROD_D3、動画像を外部に出力するための出力端子PROD_D4、及び、動画像を送信する送信部PROD_D5を更に備えていてもよい。図においては、これら全てを再生装置PROD_Dが備えた構成を例示しているが、一部を省略しても構わない。
【0176】
なお、送信部PROD_D5は、符号化されていない動画像を送信するものであってもよいし、記録用の符号化方式とは異なる伝送用の符号化方式で符号化された符号化データを送信するものであってもよい。後者の場合、復号部PROD_D2と送信部PROD_D5との間に、動画像を伝送用の符号化方式で符号化する符号化部(不図示)を介在させるとよい。
【0177】
このような再生装置PROD_Dとしては、例えば、DVDプレイヤ、BDプレイヤ、HDDプレイヤなどが挙げられる(この場合、テレビジョン受像機等が接続される出力端子PROD_D4が動画像の主な供給先となる)。また、テレビジョン受像機(この場合、ディスプレイPROD_D3が動画像の主な供給先となる)、デジタルサイネージ(電子看板や電子掲示板等とも称され、ディスプレイPROD_D3または送信部PROD_D5が動画像の主な供給先となる)、デスクトップ型PC(この場合、出力端子PROD_D4または送信部PROD_D5が動画像の主な供給先となる)、ラップトップ型またはタブレット型PC(この場合、ディスプレイPROD_D3または送信部PROD_D5が動画像の主な供給先となる)、スマートフォン(この場合、ディスプレイPROD_D3または送信部PROD_D5が動画像の主な供給先となる)なども、このような再生装置PROD_Dの一例である。
【0178】
(ハードウェア的実現およびソフトウェア的実現)
また、上述した動画像復号装置31および動画像符号化装置11の各ブロックは、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0179】
後者の場合、上記各装置は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random
Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の実施形態の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである上記各装置の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記各装置に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0180】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory)/MOディスク(Magneto-Optical disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc:登録商標)/CD-R(CD Recordable)/ブルーレイディスク(Blu-ray Disc:登録商標)等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)/EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read-Only Memory:登録商標)/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
【0181】
また、上記各装置を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(Local Area Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、VAN(Value-Added Network)、CATV(Community Antenna television/Cable Television)通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDA(Infrared Data Association)やリモコンのような赤外線、BlueTooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance:登録商標)、携帯電話網、衛星回線、地上デジタル放送網等の無線でも利用可能である。なお、本発明の実施形態は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0182】
本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0183】
本発明の実施形態は、画像データが符号化された符号化データを復号する動画像復号装置、および、画像データが符号化された符号化データを生成する動画像符号化装置に好適に適用することができる。また、動画像符号化装置によって生成され、動画像復号装置によって参照される符号化データのデータ構造に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0184】
31 画像復号装置
301 エントロピー復号部
302 パラメータ復号部
305、107 ループフィルタ
306、109 参照ピクチャメモリ
307、108 予測パラメータメモリ
308、101 予測画像生成部
311、105 逆量子化・逆変換部
312、106 加算部
320 予測パラメータ導出部
11 画像符号化装置
102 減算部
103 変換・量子化部
104 エントロピー符号化部
110 符号化パラメータ決定部
111 パラメータ符号化部
120 予測パラメータ導出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12