(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176036
(43)【公開日】2023-12-12
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
B64U 10/13 20230101AFI20231205BHJP
B64U 60/50 20230101ALI20231205BHJP
B64U 101/64 20230101ALN20231205BHJP
【FI】
B64U10/13
B64U60/50
B64U101:64
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023179957
(22)【出願日】2023-10-19
(62)【分割の表示】P 2023543696の分割
【原出願日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/030862
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517331376
【氏名又は名称】株式会社エアロネクスト
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 なるみ
(72)【発明者】
【氏名】堀 拓也
(57)【要約】
【課題】本発明は、燃費を向上させ得る、物品の輸送が可能な飛行体を提供し得る。
【解決手段】本発明の飛行体は、配送物を保持する搭載部を備える飛行体であって、搭載部または配送物は、着陸状態またはホバリング状態に搭載部または配送物が前後方向において後傾するように前記機体に取り付けられている。また、搭載部または配送物は、巡行時に搭載部または配送物が略水平となるように機体に取り付けられている。また、着陸状態またはホバリング状態において、搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置より前方側であり、且つ、揚力の発生中心点より下側に設けられる。また、着陸状態またはホバリング状態において、搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置より後方側であり、且つ、揚力の発生中心点より下側に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送物を保持する搭載部を備える飛行体であって、
前記搭載部または前記配送物は、着陸状態またはホバリング状態に前記搭載部または前記配送物が前後方向において後傾するように前記機体に取り付けられている、
ことを特徴とする飛行体。
【請求項2】
前記搭載部または前記配送物は、巡行時に前記搭載部または前記配送物が略水平となるように前記機体に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
着陸状態またはホバリング状態において、前記搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置より前方側であり、且つ、揚力の発生中心点より下側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の飛行体。
【請求項4】
着陸状態またはホバリング状態において、前記搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置より後方側であり、且つ、揚力の発生中心点より下側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の飛行体。
【請求項5】
着陸状態またはホバリング状態において、前記搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置より後方側であり、且つ、揚力の発生中心点より上側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の飛行体。
【請求項6】
着陸状態またはホバリング状態において、前記搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置より前方側であり、且つ、揚力の発生中心点より上側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の飛行体。
【請求項7】
着陸状態またはホバリング状態において、前記搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置と一致または略一致であり、且つ、揚力の発生中心点近傍または機体の重心近傍に設けられる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の飛行体。
【請求項8】
着陸状態またはホバリング状態において、前記搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置と一致または略一致であり、且つ、揚力の発生中心点より上側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の飛行体。
【請求項9】
着陸状態またはホバリング状態において、前記搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置と一致または略一致であり、且つ、揚力の発生中心点より下側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の飛行体。
【請求項10】
前記搭載部は、機体の前方かつ上方から前記配送物を格納する構成である、
ことを特徴とする請求項1に記載の飛行体。
【請求項11】
前記搭載部は、機体の後方かつ下方から前記配送物を格納する構成である、
ことを特徴とする請求項1に記載の飛行体。
【請求項12】
前記搭載部は、機体の前方かつ下方から前記配送物を格納する構成である、
ことを特徴とする請求項1に記載の飛行体。
【請求項13】
前記搭載部は、機体の後方かつ上方から前記配送物を格納する構成である、
ことを特徴とする請求項1に記載の飛行体。
【請求項14】
前記搭載部は、開閉可能な蓋部により前記配送物を格納する構成である、
ことを特徴とする請求項10ないし13のいずれかに記載の飛行体。
【請求項15】
前記飛行体は、少なくとも前後に脚部を備え、
前方側の前記脚部は、後方側の前記脚部よりも長い、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローン(Drone)や無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)などの飛行体(以下、「飛行体」と総称する)を用いた宅配サービスの実用化が進められている。一般的にマルチコプターと呼ばれる、複数のプロペラを備えた飛行体(以下、マルチコプターと総称する)は、一般的な固定翼機のように離着陸用の滑走路を必要としないため、比較的狭い土地での運用が可能となり、宅配などの運送サービスの提供に好適である。
【0003】
しかし、マルチコプターは、液体燃料を利用するエンジン機と比較して、航続距離が短くなる場合がある。撮影等の限られた時間や範囲で飛行が行われるケースと異なり、輸送用途においては、長時間、長距離の飛行が必要とされている。このような状況を鑑みて、特許文献1においては、飛行体が電線に沿って飛行し、電線路を流れる電力を利用しながら飛行することで長距離輸送を可能とする飛行体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、飛行体が電線路に流れる電力を利用し、航続距離を向上させることが可能な飛行体が開示されている。
【0006】
しかし、輸送業務においては、海上や山間部等、外部から電力の供給を受けることが困難なルートを飛行する場合がある。このような場合でも、航続距離の向上を実現するためには、飛行体の燃費を向上させることが必要となる。
【0007】
更に、近年では、一度の飛行で運ぶ物品の大きさや重さをより大きくすることが望まれるケースがある。物品の大きさや重量が大きくなると、飛行体の移動時の抗力やモータ付加が増加し、燃費の悪化につながる要素となる場合がある。
【0008】
かかる状況に鑑み、本発明による飛行体は、輸送に用いる飛行体が主に用いる前進の姿勢において、燃費向上が可能な飛行体を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、 配送物を保持する搭載部を備える飛行体であって、前記搭載部または前記配送物は、着陸状態またはホバリング状態に前記搭載部または前記配送物が前後方向において後傾するように前記機体に取り付けられている、飛行体を提供することができる。
【0010】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、燃費を向上させ得る、物品の輸送が可能な飛行体を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による飛行体を側面から見た模式図である。
【
図4】飛行体へ搭載物を搭載する方法の例を示す側面図である。
【
図5】
図4の飛行体の搭載物格納中の側面図である。
【
図9】飛行体へ搭載物を搭載する方法の例を示す側面図である。
【
図11】搭載物の飛行体への接続例を示す側面図である。
【
図13】既存の飛行体を側面から見た模式図である。
【
図15】飛行体へ搭載物を搭載する方法の例を示す側面図である。
【
図16】飛行体へ搭載物を搭載する方法の例を示す側面図である。
【
図17】飛行体へ搭載物を搭載する方法の例を示す側面図である。
【
図18】搭載物の搭載位置の例を示す側面図である。
【
図19】搭載物の搭載位置の例を示す側面図である。
【
図20】搭載物の搭載位置の例を示す側面図である。
【
図21】搭載物の搭載位置の例を示す側面図である。
【
図22】搭載物の搭載位置の例を示す側面図である。
【
図23】搭載物の搭載位置の例を示す側面図である。
【
図24】飛行体の搭載物の搭載方向の例を示す側面図である。
【
図25】飛行体の搭載物の搭載方向の例を示す側面図である。
【
図26】飛行体の搭載物の搭載方向の例を示す側面図である。
【
図27】飛行体の搭載物の搭載方向の例を示す側面図である。
【
図28】飛行体へ搭載物を搭載する方法の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による飛行体は、以下のような構成を備える。
[項目1]
配送物を保持する搭載部を備える飛行体であって、
前記搭載部または前記配送物は、着陸状態またはホバリング状態に前記搭載部または前記配送物が前後方向において後傾するように前記機体に取り付けられている、
ことを特徴とする飛行体。
[項目2]
前記搭載部または前記配送物は、巡行時に前記搭載部または前記配送物が略水平となるように前記機体に取り付けられている、
ことを特徴とする項目1に記載の飛行体。
[項目3]
着陸状態またはホバリング状態において、前記搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置より前方側であり、且つ、揚力の発生中心点より下側に設けられる、
ことを特徴とする項目1または2に記載の飛行体。
[項目4]
着陸状態またはホバリング状態において、前記搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置より後方側であり、且つ、揚力の発生中心点より下側に設けられる、
ことを特徴とする項目1または2に記載の飛行体。
[項目5]
着陸状態またはホバリング状態において、前記搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置より後方側であり、且つ、揚力の発生中心点より上側に設けられる、
ことを特徴とする項目1または2に記載の飛行体。
[項目6]
着陸状態またはホバリング状態において、前記搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置より前方側であり、且つ、揚力の発生中心点より上側に設けられる、
ことを特徴とする項目1または2に記載の飛行体。
[項目7]
着陸状態またはホバリング状態において、前記搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置と一致または略一致であり、且つ、揚力の発生中心点近傍または機体の重心近傍に設けられる、
ことを特徴とする項目1または2に記載の飛行体。
[項目8]
着陸状態またはホバリング状態において、前記搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置と一致または略一致であり、且つ、揚力の発生中心点より上側に設けられる、
ことを特徴とする項目1または2に記載の飛行体。
[項目9]
着陸状態またはホバリング状態において、前記搭載部の中心位置は、機体の前後方向の中央位置と一致または略一致であり、且つ、揚力の発生中心点より下側に設けられる、
ことを特徴とする項目1または2に記載の飛行体。
[項目10]
前記搭載部は、機体の前方かつ上方から前記配送物を格納する構成である、
ことを特徴とする項目1に記載の飛行体。
[項目11]
前記搭載部は、機体の後方かつ下方から前記配送物を格納する構成である、
ことを特徴とする項目1に記載の飛行体。
[項目12]
前記搭載部は、機体の前方かつ下方から前記配送物を格納する構成である、
ことを特徴とする項目1に記載の飛行体。
[項目13]
前記搭載部は、機体の後方かつ上方から前記配送物を格納する構成である、
ことを特徴とする項目1に記載の飛行体。
[項目14]
前記搭載部は、開閉可能な蓋部により前記配送物を格納する構成である、
ことを特徴とする項目10ないし13のいずれかに記載の飛行体。
[項目15]
前記飛行体は、少なくとも前後に脚部を備え、
前方側の前記脚部は、後方側の前記脚部よりも長い、
ことを特徴とする項目1または2に記載の飛行体。
【0014】
<本発明による実施形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による飛行体について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
<第1の実施の形態の詳細>
【0016】
図1及び
図2に例示されるように、飛行体100は、搭載物10を搭載した状態で離着陸や飛行が可能な飛行体である。
【0017】
飛行体100は、離陸地点から離陸を行い、目的地まで飛行する。例えば、飛行体が配送を行う場合には、目的地に到達した飛行体が、ポート等に着陸またはポート等の上空でホバリング行い、荷物を切り離すことで配送を完了する。荷物を切り離した飛行体は、例えば他の目的地に向かうために移動を行う。
【0018】
図1及び
図2に示されるように、本発明の実施の形態による飛行体100は飛行を行うために少なくともプロペラ110及びモータ111からなる複数の回転翼部や当該回転翼部を支えるモータマウントやフレーム120等の要素を含む飛行部を備えており、それらを動作させるためのエネルギー(例えば、二次電池や燃料電池、化石燃料等)を搭載していることが望ましい。
【0019】
なお、図示されている飛行体100は、本発明の構造の説明を容易にするため簡略化されて描かれており、例えば、制御部等の詳しい構成は図示していない。
【0020】
飛行体100は図の矢印Dの方向(-Y方向)を前進方向としている(詳しくは後述する)。
【0021】
なお、以下の説明において、以下の定義に従って用語を使い分けることがある。前後方向:+Y方向及び-Y方向、上下方向(または鉛直方向):+Z方向及び-Z方向、左右方向(または水平方向):+X方向及び-X方向、進行方向(前方):-Y方向、後退方向(後方):+Y方向、上昇方向(上方):+Z方向、下降方向(下方):-Z方向
【0022】
プロペラ110は、モータ111からの出力を受けて回転する。プロペラ110が回転することによって、飛行体100を出発地から離陸させ、移動させ、目的地に着陸させるための推進力が発生する。なお、プロペラ110は、右方向への回転、停止及び左方向への回転が可能である。
【0023】
本発明の飛行体が備えるプロペラ110は、1以上の羽根を有している。任意の羽根(回転子)の数(例えば、1、2、3、4、またはそれ以上の羽根)でよい。また、羽根の形状は、平らな形状、曲がった形状、よじれた形状、テーパ形状、またはそれらの組み合わせ等の任意の形状が可能である。なお、羽根の形状は変化可能である(例えば、伸縮、折りたたみ、折り曲げ等)。羽根は対称的(同一の上部及び下部表面を有する)または非対称的(異なる形状の上部及び下部表面を有する)であってもよい。羽根はエアホイル、ウイング、または羽根が空中を移動される時に動的空気力(例えば、揚力、推力)を生成するために好適な幾何学形状に形成可能である。羽根の幾何学形状は、揚力及び推力を増加させ、抗力を削減する等の、羽根の動的空気特性を最適化するために適宜選択可能である。
【0024】
また、本発明の飛行体が備えるプロペラは、固定ピッチ、可変ピッチ、また固定ピッチと可変ピッチの混合などが考えられるが、これに限らない。
【0025】
モータ111は、プロペラ110の回転を生じさせるものであり、例えば、駆動ユニットは、電気モータ又はエンジン等を含むことが可能である。羽根は、モータによって駆動可能であり、モータの回転軸(例えば、モータの長軸)の周りに回転する。
【0026】
羽根は、すべて同一方向に回転可能であるし、独立して回転することも可能である。羽根のいくつかは一方の方向に回転し、他の羽根は他方方向に回転する。羽根は、同一回転数ですべて回転することも可能であり、夫々異なる回転数で回転することも可能である。回転数は移動体の寸法(例えば、大きさ、重さ)や制御状態(速さ、移動方向等)に基づいて自動又は手動により定めることができる。
【0027】
飛行体100は、フライトコントローラ1001やESC112、送受信機(プロポ)1006等により、風速と風向に応じて、各モータの回転数や、飛行角度を決定する。これにより、飛行体は上昇・下降したり、加速・減速したり、方向転換したりといった移動を行うことができる。
【0028】
飛行体100は、事前または飛行中に設定されるルートやルールに準じた自律的な飛行や、送受信機(プロポ)1006を用いた操縦による飛行を行うことができる。
【0029】
上述した飛行体100は、
図6に示される機能ブロックを有している。なお、
図6の機能ブロックは最低限の参考構成の一例である。フライトコントローラ1001は、所謂処理ユニットである。処理ユニットは、プログラマブルプロセッサ(例えば、中央処理ユニット(CPU))などの1つ以上のプロセッサを有することができる。処理ユニットは、図示しないメモリを有しており、当該メモリにアクセス可能である。メモリは、1つ以上のステップを行うために処理ユニットが実行可能であるロジック、コード、および/またはプログラム命令を記憶している。メモリは、例えば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。センサ類1002から取得したデータは、メモリに直接に伝達されかつ記憶されてもよい。例えば、カメラ等で撮影した静止画・動画データが内蔵メモリ又は外部メモリに記録される。
【0030】
処理ユニットは、回転翼機の状態を制御するように構成された制御モジュールを含んでいる。例えば、制御モジュールは、6自由度(並進運動x、y及びz、並びに回転運動θx、θy及びθz)を有する回転翼機の空間的配置、速度、および/または加速度を調整するために回転翼機の推進機構(モータ等)を制御する。制御モジュールは、搭載部、センサ類の状態のうちの1つ以上を制御することができる。
【0031】
処理ユニットは、1つ以上の外部のデバイス(例えば、端末、表示装置、または他の遠隔の制御器)からのデータを送信および/または受け取るように構成された送受信部1005と通信可能である。送受信機1006は、有線通信または無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができる。例えば、送受信部1005は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信などのうちの1つ以上を利用することができる。送受信部1005は、センサ類1002で取得したデータ、処理ユニットが生成した処理結果、所定の制御データ、端末または遠隔の制御器からのユーザコマンドなどのうちの1つ以上を送信および/または受け取ることができる。
【0032】
本実施の形態によるセンサ類1002は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)、またはビジョン/イメージセンサ(例えば、カメラ)を含み得る。
【0033】
本発明の実施の形態における飛行体100が備えるプロペラ110の回転面は、進行時に進行方向に向かい前傾した角度となる。前傾したプロペラ110の回転面により、上方への揚力と、進行方向への推力とが生み出され、これにより飛行体100が進行する。
【0034】
飛行体100は、モータ、プロペラ、フレーム等を備え、揚力及び推力を発生させる飛行部において、飛行部に搭載する処理ユニットやバッテリ等を内包可能な本体部を備えていてもよい。本体部は、飛行体100の移動中、長時間維持されることが期待される巡航時の飛行体100の姿勢における形状を最適化し、飛行速度を向上させることで、効率的に飛行時間を短縮することが可能である。
【0035】
本体部は、飛行や離着陸に耐え得る強度を持つ外皮を備えていることが望ましい。例えば、プラスチック、FRP等は、剛性や防水性があるため、外皮の素材として好適である。これらの素材は、飛行部に含まれるフレーム120(アーム含む)と同じ素材であってもよいし、異なる素材であってもよい。
【0036】
また、飛行部が備えるモータマウント、フレーム120、及び本体部は、夫々の部品を接続して構成してもよいし、モノコック構造や一体成形を利用して、一体となるように成形してもよい(例えば、モータマウントとフレーム120を一体に成形する、モータマウントとフレーム120と本体部すべてを一体に成形する、等)。部品を一体とすることで、各部品のつなぎ目を滑らかにすることが可能となるため、ブレンデッドウィングボディやリフティングボディといった飛行体が持つ、抗力の軽減や燃費の向上効果が期待できる。
【0037】
飛行体100の形状は、指向性を持っていてもよい。例えば、飛行体100が無風下における巡航時の姿勢において抗力の少ない流線形の本体部等、飛行体の機首が風に正対した際に飛行効率を向上させる形状が挙げられる。
【0038】
搭載部11は、飛行部に接続するパーツである。搭載部11は、例えば、搭載物10を保持するように構成され、より好ましくは搭載物10を内包するような構成であり得る。なお、本実施形態において搭載物10は、荷物やその梱包資材となる輸送箱の一例として説明されるが、本技術はかかる例に限定されない。搭載物10は、例えば、販売店から注文ユーザーに対して(直接、または、小売店や代理店、一時預かり場所などの受け取り場所を介して)配送される日用品や書籍、食品等の配送物の他、カメラ、構造物の点検等を行うためのセンサおよびアクチュエータ等の装置、その他飛行部に搭載可能である物体を含んでよい。また、搭載部11を構成する物体は単数または複数であってもよい。これらの搭載部11は、飛行部に固定されて設けられ、飛行体の傾きに準じて傾斜する。
【0039】
次に
図1及び
図3を参照すると、本実施形態に係る搭載部11の中心B1は、着陸状態またはホバリング状態において、進行方向(前後方向)Dに対して側方(+X方向及び-X方向)からみて、飛行体100の前後方向の中央位置C1より前方側であり、且つ、次の(1)~(3)のいずれかより下側に設けられることが望ましい。(1)揚力発生領域L1(揚力発生中心点L2)(2)飛行体100の上下方向の中央位置C2(3)飛行体100の重心G1
【0040】
また、搭載部11の重心G2が、着陸状態またはホバリング状態において、進行方向(前後方向)Dに対して側方(+X方向及び-X方向)からみて、飛行体100の中央位置C1より前方側であり、且つ、先述の(1)~(3)のいずれかより下側に設けられることでも、同様または近似の効果を得ることが出来る。
【0041】
ここで、本実施形態に係る飛行体100の重心G1とは、飛行部及び本体部の総合的な重心を意味する。また、重心G3とは、飛行部、本体部、搭載部、搭載物の総合的な重心を意味する。また、揚力発生領域L1は、本実施形態に係る回転翼機1においては、各プロペラ110の羽根の幅(
図1における高さ方向Zに沿った長さ)に含まれる領域である。この揚力発生領域L1において、プロペラ110の各々の平面視における位置に基づいて揚力発生中心点(揚力中心)L2が存在し得る。揚力中心L2は、プロペラ110の各々の出力が略同一である場合に、プロペラ110の各々の平面視における幾何的な中心位置に存在する。
【0042】
なお、例えば、プロペラ110の各々がプッシュ型およびプル型の混合形式により設けられていたり、段違いに設けられたりしている場合は、揚力発生領域L1は、以下のように定義できる。まず、モータ111の各々の回転軸における、プロペラ110の羽根の幅方向(回転翼機1における高さ方向H)の上端および下端の位置を得る。各回転軸における上端の位置のそれぞれに対応する点群により得られる最小二乗平面と、各回転軸における下端の位置のそれぞれに対応する点群により得られる最小二乗平面とに挟まれる空間が、揚力発生領域L1として定義できる。この場合における揚力中心L2の位置は、上述したケースと同様である。
【0043】
また、飛行部140の中央位置C1とは、飛行部140の前後方向Dにおける前端と後端との間における中央にあたる位置を意味し、飛行部140の中央位置C2は、飛行部140の上下方向における上端と下端との間における中央にあたる位置を意味する。また、飛行部140の左右方向における右端と左端との間における中央にあたる中央位置C3と、中央位置C1との交点は飛行体の上面視における中央位置C4となる。
【0044】
図7に例示されるように、搭載物10は搭載部11の底面に置くことが一般的である。また、搭載物10が複数の物品を内包している箱等である場合においても、搭載物の内部で物品が底面側に置かれるケースが一般的である。このことから、搭載部11の重心G2は、搭載部の中心より下方となる可能性が高い。すなわち、搭載部の中心点B1を先述した(1)~(3)のいずれかより下側に設けることで、多くのケースにおいて、搭載部11の重心G2も(1)~(3)のいずれかより下側となり得る。これにより、着陸状態またはホバリング状態において、重心G3は、飛行体の重心G1と比較して、前方(+Y)且つ下方(-Z)となる。
【0045】
かかる重心G3の位置を考慮しない
図12及び
図13に示されるような従来の回転翼機においては、回転翼機の巡航のために回転翼機を傾斜させる必要があることから、回転翼機の後方を持ち上げ、前方を下げる必要がある。この場合は、後方のプロペラの揚力は前方のプロペラの揚力より大きくする必要がある。そうすると、前進中の後方のモータの回転数は大きくなり、前方のロータの回転数は小さくなる。このように、モータの回転数のばらつきが生じ得る。さらに、飛行体中央下部に搭載物を接続することから、重心G3は飛行体後方となり、モータの回転数の差は大きくなる。
【0046】
図2は、本実施形態に係る飛行体100の巡航時における飛行態様の一例を示す図である。
図2に示す飛行体100は、進行方向Dに対して傾斜して、進行方向Dに飛行している状態である。このとき、飛行体100の重心G3は、
図13に示される従来の回転翼機に比較して、揚力中心L2に近付く(例えば、従来機より下側、かつ進行方向側となる)。
【0047】
かかる姿勢で巡航する場合、高さ方向Zへの揚力を発生させる中心である揚力中心L2と重心G3との位置関係から、飛行体100に対して発生し得るモータ111への負荷のばらつきが低減される。そのため、前方のプロペラ110aにより発生させる揚力F1と、後方のプロペラ110bにより発生させる揚力F2とが、回転翼機1が進行方向Fに対して傾斜した状態において、従来の回転翼機が同様に傾斜した状態に比較して、差が少ない状態を得ることができる。そうすると、モータ111aとモータ111bの回転数の差も小さくなる。
【0048】
本実施形態に係る飛行体100においては、巡航時において進行方向Dに飛行体100を傾斜させた場合に、前方のモータ111aと後方のモータ111bの回転数の差を小さくすることができる。これにより、巡航時におけるモータの回転数の差によるバッテリの消費量(つまりエネルギー消費量)のばらつきを抑えることができる。これにより、例えば、巡航時間をさらに伸ばすことができる。また、モータへの負荷も均質化することができ、モータの運用をより効率よく行うことができる。したがって、回転翼機の巡航における運用の効率性を向上させることが可能となる。
【0049】
このように、飛行部と搭載部11との位置を上述したような位置とすることで、飛行体100の巡航において、モータ111の各々の回転数を平均化することができる。これにより、モータ111による出力やそれに伴う影響のばらつきを抑えることができる。よって、飛行体100の長距離の飛行等における運用をより効率化することが可能となる。
【0050】
飛行体により輸送される搭載物の大きさは、近年、より大きくすることが求められることがある。例えば、個人宅への配送ではなく、離島や集落等へ複数の物品を配送する際には、まとめて搭載することで輸送効率が上昇する場合がある。
【0051】
しかし、搭載物の量が増えるに従って、搭載物又は搭載部の体積が大きくなると、飛行体100が移動する際の抗力が増加する場合がある。
【0052】
例えば、
図13に示されるように、搭載部を、着陸時やホバリング時に、巡航姿勢時と比較して後傾する(例えば、巡航姿勢時に前傾し、着陸・ホバリング時に水平となる)角度で取り付ける場合、飛行体前傾時の搭載部の前面投影面積(搭載部を機体前方から見た時の面積)は、
図14に示されるように、着陸時やホバリング時と比較して増加する(例えば、着陸時やホバリング時の搭載部全高H3と、巡航姿勢時の搭載部全高H4とを比較すると、H4が大きい)。
【0053】
本実施形態の飛行体においては、搭載部11または搭載物10を所定の角度で搭載することにより、巡航姿勢時の飛行体の前面投影面積増加を抑え、飛行効率の低下を防ぐ。所定の角度とは、飛行体巡航時の前面投影面積または抗力が、着陸時やホバリング時と比較して、小さくなる角度であることが望ましい。
【0054】
図1及び
図2に例示されるように、搭載部を、着陸時やホバリング時に搭載部が前後方向において後傾(進行方向に向かって前上がり)し、巡航時には、着陸時やホバリング時に比較して搭載部が水平に近づく角度(略水平となる角度)で取り付ける場合、飛行体前傾時の搭載部の前面投影面積は、着陸時やホバリング時と比較して減少する(例えば、着陸時やホバリング時の搭載部全高H1と、巡航姿勢時の搭載部全高H2とを比較すると、H2が小さい)。
【0055】
図17に例示されるように、搭載物自体を所定の角度に傾けた状態で飛行部または本体部に取り付けて固定することとしても良いし、
図4及び
図5、
図15及び
図16に例示されるように、予め所定の角度で設けられた搭載部11に搭載物10を載置するものとしても良い。
【0056】
人の手によって搭載物を載置する場合に、搭載物が重いと、飛行体下方から押し上げる動きが困難となることがある。特にこのような場合には、
図4のような飛行体前方かつ上方や、
図16のような飛行体上方からアクセス可能な構成とすることで、搭載物の搭載部への載置を簡便にすることが出来る。
図16のような載置方法を用いる場合には、搭載物が通過可能な開口部を、飛行部や本体部に設けることで、障害なく搭載物の載置が可能となる。
【0057】
<第2の実施の形態の詳細>
【0058】
本発明による第2の実施の形態の詳細において、第1の実施の形態と重複する構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明は省略する。
【0059】
搭載物10は、トレイやプレート等のスタッキング可能な形状の部材(以下、トレイ部材と総称する)に梱包されていてもよい。近年ECサイト等の普及により、家庭や企業に届く荷物の数が増えている。物品と共に届く梱包資材の保管場所の確保や処分など、ユーザーへの負担並びに環境への負荷を増加させる場合がある。荷物の多くは段ボール等の梱包資材に格納されており、届いた形状のまま保管する場合にかさばる懸念がある。搭載物の梱包にトレイ部材を用いることで、梱包資材の保管に必要なスペースを削減するほか、資材自体に用いる資源の削減も期待できる。
【0060】
例えば、
図8に示されるように、物品をトレイ部材20に載せ、樹脂フィルムやネット等の物品の動きを制限可能な被覆部材(以下、フィルム21と総称する)により、物品をトレイ部材20から意図せず落下しないように固定する方法がある。ユーザーは箱状の梱包資材を受け取ることがなく、トレイ部材20は複数枚を重ねて置くことが可能なため、保管場所が削減される。また、緩衝が必要な場合に、搭載部11に緩衝材を備えたり、飛行体の着陸脚130に衝撃吸収装置131を設けたりすることで、ユーザーの手元に残される資材を更に削減することが期待できる。
【0061】
また、梱包資材にトレイ部材20を用いる場合、
図9及び
図10のように、トレイ部材20を上側に、物品を下側に向けて飛行体100に接続させることで、搭載物の大きさや高さを最小限とし、これにより、箱状の搭載部を用いる場合に比較して、飛行体巡航時の前面投影面積を縮小させ、抗力の低減及び燃費の向上に対してより高い効果を得ることが可能となる。
【0062】
トレイ部材20を上側に向けて飛行体100に接続する方法の例として、
図11及び
図12のように搭載部11にレール状の吊下用部材を設け、トレイ部材20の一部(例えば、向かい合う二辺上)にレールへ嵌合可能な突起を設けることで、搭載物を吊ることとしてもよい。このとき、搭載物10が、飛行体の傾きによって意図せずレールから滑り落ちないよう、
図12のように突起状の滑り止め12等を設けることとしてもよい。
【0063】
トレイ部材20を飛行体に接続する方法は、トレイ部材や搭載物を意図せず切り離すことのない方法であればよく、上記レール状部材を用いる方法以外に、紐やベルト、面ファスナー、ラッチロック機構による固定、磁着や吸着、紐状部材による吊下げ等が例として挙げられるが、この限りではない。
【0064】
なお、上記実施例においては重心の観点から搭載部11または搭載物10を前方下に配置する構成を例示したが、巡航時に搭載部11または搭載物10の角度を水平にする観点から、
図18-
図21のような構成であっても、搭載部11の前面投影面積を減少させる効果を奏する。すなわち、飛行体100の巡航時における搭載部11または搭載物10の空気抵抗を減らし、飛行効率を向上させることが可能となる。
【0065】
夫々の図における、飛行体が着陸状態またはホバリング状態であるときの搭載部位置を説明する。
図18では、搭載部の中心B1は、機体の前後方向の中央位置より後方側であり、且つ、先述の(1)~(3)のいずれかより下側に設けられる。このとき、重心G3は着陸状態またはホバリング状態において、飛行体の重心G1と比較して、後方(-Y)且つ下方(-Z)となる。
【0066】
図19では、搭載部の中心B1は、機体の前後方向の中央位置より後方側であり、且つ、先述の(1)~(3)のいずれかより上側に設けられる。このとき、重心G3は着陸状態またはホバリング状態において、飛行体の重心G1と比較して、後方(-Y)且つ上方(+Z)となる。
【0067】
図20では、搭載部の中心B1は、機体の前後方向の中央位置より前方側であり、且つ、先述の(1)~(3)のいずれかより上側に設けられる。このとき、重心G3は着陸状態またはホバリング状態において、飛行体の重心G1と比較して、前方(+Y)且つ上方(+Z)となる。
【0068】
図21では、搭載部の中心B1は、機体の前後方向の中央位置と一致または略一致であり、且つ、先述の(1)~(2)のいずれかの近傍(一致または略一致)または(3)に設けられる。このとき、重心G3は着陸状態またはホバリング状態において、飛行体の重心G1と比較して、前後方向及び上下方向において略同一位置又は上下方向において下方(-Z)となる。
【0069】
図22では、搭載部の中心B1は、機体の前後方向の中央位置と一致または略一致であり、且つ、先述の(1)~(3)のいずれかより上側に設けられる。このとき、重心G3は着陸状態またはホバリング状態において、飛行体の重心G1と比較して、前後方向の略同一位置且つ上方(+Z)となる。
【0070】
図23では、搭載部の中心B1は、機体の前後方向の中央位置であり、且つ、揚力の発生中心点より下側に設けられる。このとき、重心G3は着陸状態またはホバリング状態において、飛行体の重心G1と比較して、前後方向において略同一位置となり、上下方向において略同一位置または上方(-Z)となる。
【0071】
飛行体巡航時における搭載部の前面投影面積の減少は、上記実施例と同様に、飛行体の着陸時やホバリング時の搭載部全高H1と、巡航姿勢時の搭載部全高H2とを比較した場合に、H2が小さくなることにより実現するものである。
【0072】
また、搭載部の底面が後傾から水平に近くなり、迎角に相当する角度が減少する。これにより搭載部の底面が意図しない揚力を生むことを防止し、回転翼による推進の効率低下を引き起こさない効果も期待できる。
【0073】
例えば、着陸状態またはホバリング状態の飛行体に対して、搭載部11または搭載物10を、所定の角度に後傾させて設けた場合、飛行体が前傾した際、搭載部及び搭載物自体の前面投影面積が減少する。さらに、搭載部11または搭載物10の位置が
図18のような飛行体の中央より後方且つ下や、
図21のように飛行体の中央となるように設けた場合には、飛行体全体の正面視においても、飛行体前傾時に、搭載部又は搭載物が飛行体の本体部等と重なるため、前面投影面積の増加が少なくなる。
【0074】
図20-
図22に例示される飛行体では、搭載部11を、所定の角度に後傾させるとともに、搭載部11を、側面視における飛行体の中央近傍に設けている。飛行体の前後方向における中心近傍に搭載物を設けることで、飛行体のピッチ方向の動作速度が向上する。
【0075】
所定の角度に傾斜した箱状の搭載部11に搭載物10を載置する際、搭載部が備える開口部は、搭載物の差し入れが行える面及び広さを備えていればよい。例えば、
図24-
図27に例示されるように、搭載部前方下又は後方下からの格納、搭載部上方又は下方からの格納が可能である他、搭載部側方からの格納による搭載物の載置も可能である。搭載物の格納方法は、搭載部の設置位置や飛行体の運用方法により、好適なものを選択して用いることが好ましい。
【0076】
搭載部11が開口部を備える場合、開口部の開閉動作は、搭載物の格納の障害とならない方法を用いることが好ましい。
図24のようなスライド方式や、
図27のようなヒンジ等による回動、
図25のような蓋部材13と搭載物との一体化、
図26のようなロールシャッター等が例として挙げられるが、これに限らない。また、蓋部材13は、風雨等の進入を防ぐ防水機能や密閉機能を備えていてもよいし、搭載物11を載置可能な強度を備えていてもよい。
【0077】
また、搭載部11が備える開口部は1つに限られず、2つ以上の開口部を備えていてもよい。例えば、搭載部11の上方に設けられた開口部から格納した搭載物10を、搭載部11の下方や側方に設けられた開口部から切り離すことで、格納及び切り離しが簡便となる場合がある。
【0078】
図18-
図20及び
図22、
図23に例示されるように、搭載部11が2本以上のフレーム120に囲まれた被囲い空間を貫通しない位置に設けられてもよい。この場合、飛行体の中央には開口部の代わりにデッキを設けて制御ユニットやセンサ類1002を設置したり、板状の部材を追加して更に剛性を高めたりすることも可能である。
【0079】
搭載部11の下方から、斜め上に向かって搭載物を格納する場合、搭載部には滑り止め12が備えられていることが望ましい。例えば、
図22に示されるように、載置面に突起状の滑り止め12を設けることで、搭載部に載置した搭載物が自重により滑り降りた場合でも、搭載部からの飛び出しを防ぐことができる。また、載置面の一部または全部に摩擦係数の高い素材を用いたり、貼り付けたりすることで、搭載物の滑りを防止することでも同様の効果を得る。
【0080】
ここまで、搭載部11や搭載物10の角度による飛行効率の向上について言及したが、そのほかの飛行体部品においても、同様の構成を用いてもよい。例えば、
図28及び
図29のように、着陸状態またはホバリング状態における飛行体のフレーム120や本体部を後傾させることで、飛行体巡航時に前面投影面積を減少させ、飛行効率の向上を図ることも可能である。同時に、着陸脚の延長による重量増加や前面投影面積の増加も考えられるため、飛行体のフレーム120や本体部等の、搭載部11や搭載物10以外の飛行体パーツの角度については、種々のトレードオフを考慮して構成を決定することが望ましい。
【0081】
近年、様々な形態の飛行体が、宅配以外の産業(例えば、点検や調査、撮影、監視、農業、防災など)においても利用を検討、実施されている。飛行体の搭載物を救助用品や情報収集機器、電波の中継器等とすることにより、緊急に必要な物品をより早く、遠くに配送したり、事故や災害等の緊急性の高い事象について、迅速に情報収集を行ったり出来るようになることが期待される。
【0082】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0083】
10 搭載物、荷物
11 搭載部
12 滑り止め
13 蓋部材
20 トレイ部材
21 フィルム
100 飛行体
110a-110d プロペラ
111a-111d モータ
120 フレーム
130 着陸脚
131 衝撃吸収装置