IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立ビルシステムの特許一覧

特開2023-176052故障復旧支援システムおよび故障復旧支援方法
<>
  • 特開-故障復旧支援システムおよび故障復旧支援方法 図1
  • 特開-故障復旧支援システムおよび故障復旧支援方法 図2
  • 特開-故障復旧支援システムおよび故障復旧支援方法 図3
  • 特開-故障復旧支援システムおよび故障復旧支援方法 図4
  • 特開-故障復旧支援システムおよび故障復旧支援方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176052
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】故障復旧支援システムおよび故障復旧支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20231206BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088121
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】竹中 浩一
(72)【発明者】
【氏名】五嶋 匡
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 泰
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】
エラーコードを発報できない故障機器であっても、復旧作業を高効率で行うことができる故障復旧支援システムを提供する。
【解決手段】
故障に関する情報が入力される故障情報入力部11と、故障情報入力部11に入力された情報に基づいて過去の類似事例を抽出する事例検索部30と、事例検索部30で抽出された類似事例に基づいてエラーコードを推定するエラーコード推定部31と、事例検索部30で抽出された類似事例に基づいて故障箇所を推定する故障箇所推定部33と、エラーコード推定部31で推定されたエラーコードに基づいて復旧作業のための対応フローF21を選択する対応フロー選択部41と、対応フロー選択部41で選択された対応フローF21において、故障箇所推定部33で推定された故障箇所を開始位置として指示する開始位置指示部43とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
故障した設備の復旧作業を支援する故障復旧支援システムにおいて、
故障に関する情報が入力される故障情報入力部と、
前記故障情報入力部に入力された情報に基づいて過去の類似事例を抽出する事例検索部と、
前記事例検索部で抽出された前記類似事例に基づいてエラーコードを推定するエラーコード推定部と、
前記事例検索部で抽出された前記類似事例に基づいて故障箇所を推定する故障箇所推定部と、
前記エラーコード推定部で推定されたエラーコードに基づいて復旧作業のための対応フローを選択する対応フロー選択部と、
前記対応フロー選択部で選択された対応フローにおいて、前記故障箇所推定部で推定された故障箇所を開始位置として指示する開始位置指示部とを有することを特徴とする故障復旧支援システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記故障箇所推定部は、前記故障箇所の推定の確信度を示す故障箇所推定確信度を算出し、
前記開始位置指示部は、前記故障箇所推定確信度が高い場合は、前記対応フロー選択部で選択された対応フローにおいて、前記故障箇所推定部で推定された故障箇所を開始位置として指示し、前記故障箇所推定確信度が低い場合は、前記対応フロー選択部で選択された対応フローにおいて、前記対応フローの先頭を開始位置として指示することを特徴とする故障復旧支援システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記故障箇所は、故障部位または故障部品であることを特徴とする故障復旧支援システム。
【請求項4】
請求項1において、
前記対応フローは、故障部位の対応順序の情報と、前記故障部位の中の部品の対応順序の情報とを有し、
前記故障箇所推定部は、前記故障箇所として、故障部品を推定し、
前記開始位置指示部は、前記対応フロー選択部で選択された対応フローにおいて、前記故障箇所推定部で推定された故障部品を開始位置として指示することを特徴とする故障復旧支援システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記故障箇所推定部は、前記故障箇所の推定の確信度を示す故障箇所推定確信度として、故障部品推定確信度を算出し、
前記開始位置指示部は、前記故障部品推定確信度が高い場合は、前記対応フロー選択部で選択された対応フローにおいて、前記故障箇所推定部で推定された故障部品を開始位置として指示し、前記故障部品推定確信度が低い場合は、前記対応フロー選択部で選択された対応フローにおいて、前記対応フローの先頭、または、前記故障部品の属する部位である故障部位を開始位置として指示することを特徴とする故障復旧支援システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記故障箇所推定部は、前記故障箇所として、故障部位と前記故障部品とを推定するとともに、前記故障箇所推定確信度として、故障部位推定確信度と前記故障部品推定確信度とを算出し、
前記開始位置指示部は、前記故障部品推定確信度が低く、前記故障部位推定確信度が高い場合は、前記対応フロー選択部で選択された対応フローにおいて、前記故障部位を開始位置として指示し、前記故障部品推定確信度が低く、前記故障部位推定確信度が低い場合は、前記対応フロー選択部で選択された対応フローにおいて、前記対応フローの先頭を開始位置として指示することを特徴とする故障復旧支援システム。
【請求項7】
請求項1において、
前記エラーコード推定部は、前記エラーコードの推定の確信度を示すエラーコード推定確信度を算出し、
前記対応フロー選択部は、前記エラーコード推定確信度が高い場合は、前記エラーコード推定部で推定されたエラーコードに基づいて復旧作業のための対応フローを選択し、前記エラーコード推定確信度が低い場合は、前記事例検索部で抽出された前記類似事例または前記類似事例の集計結果を表示させるよう指示することを特徴とする故障復旧支援システム。
【請求項8】
故障した設備の復旧作業を支援する故障復旧支援方法において、
故障に関する情報が入力される故障情報入力ステップと、
前記故障情報入力ステップで入力された情報に基づいて過去の類似事例を抽出する事例検索ステップと、
前記事例検索ステップで抽出された前記類似事例に基づいてエラーコードを推定するエラーコード推定ステップと、
前記事例検索ステップで抽出された前記類似事例に基づいて故障箇所を推定する故障箇所推定ステップと、
前記エラーコード推定ステップで推定されたエラーコードに基づいて復旧作業のための対応フローを選択する対応フロー選択ステップと、
前記対応フロー選択ステップで選択された対応フローにおいて、前記故障箇所推定ステップで推定された故障箇所を開始位置として指示する開始位置指示ステップとを有することを特徴とする故障復旧支援方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記故障箇所推定ステップにおいて、前記故障箇所の推定の確信度を示す故障箇所推定確信度を算出し、
前記開始位置指示ステップにおいて、前記故障箇所推定確信度が高い場合は、前記対応フロー選択ステップで選択された対応フローにおいて、前記故障箇所推定ステップで推定された故障箇所を開始位置として指示し、前記故障箇所推定確信度が低い場合は、前記対応フロー選択ステップで選択された対応フローにおいて、前記対応フローの先頭を開始位置として指示することを特徴とする故障復旧支援方法。
【請求項10】
請求項8において、
前記故障箇所は、故障部位または故障部品であることを特徴とする故障復旧支援方法。
【請求項11】
請求項8において、
前記対応フローは、故障部位の対応順序の情報と、前記故障部位の中の部品の対応順序の情報とを有し、
前記故障箇所推定ステップにおいて、前記故障箇所として、故障部品を推定し、
前記開始位置指示ステップにおいて、前記対応フロー選択ステップで選択された対応フローにおいて、前記故障箇所推定ステップで推定された故障部品を開始位置として指示することを特徴とする故障復旧支援方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記故障箇所推定ステップにおいて、前記故障箇所の推定の確信度を示す故障箇所推定確信度として、故障部品推定確信度を算出し、
前記開始位置指示ステップにおいて、前記故障部品推定確信度が高い場合は、前記対応フロー選択ステップで選択された対応フローにおいて、前記故障箇所推定ステップで推定された故障部品を開始位置として指示し、前記故障部品推定確信度が低い場合は、前記対応フロー選択ステップで選択された対応フローにおいて、前記対応フローの先頭、または、前記故障部品の属する部位である故障部位を開始位置として指示することを特徴とする故障復旧支援方法。
【請求項13】
請求項12において、
前記故障箇所推定ステップにおいて、前記故障箇所として、故障部位と前記故障部品とを推定するとともに、前記故障箇所推定確信度として、故障部位推定確信度と前記故障部品推定確信度とを算出し、
前記開始位置指示ステップにおいて、前記故障部品推定確信度が低く、前記故障部位推定確信度が高い場合は、前記対応フロー選択ステップで選択された対応フローにおいて、前記故障部位を開始位置として指示し、前記故障部品推定確信度が低く、前記故障部位推定確信度が低い場合は、前記対応フロー選択ステップで選択された対応フローにおいて、前記対応フローの先頭を開始位置として指示することを特徴とする故障復旧支援方法。
【請求項14】
請求項8において、
前記エラーコード推定ステップにおいて、前記エラーコードの推定の確信度を示すエラーコード推定確信度を算出し、
前記対応フロー選択ステップにおいて、前記エラーコード推定確信度が高い場合は、前記エラーコード推定ステップで推定されたエラーコードに基づいて復旧作業のための対応フローを選択し、前記エラーコード推定確信度が低い場合は、前記事例検索ステップで抽出された前記類似事例または前記類似事例の集計結果を表示させるよう指示することを特徴とする故障復旧支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障復旧支援システムおよび故障復旧対応方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の故障復旧支援システムでは、エラーコード別や故障現象別に復旧作業のための対応フローが作成され、その対応フローに従い復旧対応を行う場合と、対応フローが用意されておらず、過去の類似事例から不具合箇所を推定してしらみ潰しに調査する場合の2種類の復旧対応を状況により使い分けることが一般的である。
【0003】
エラーコードにより調査が行える場合の例としては、例えば特許文献1には、故障コードにより抽出された故障対応手順が有する複数の工程の順序を入れ替えて出力することで、柔軟に対応できる故障支援方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/165982号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された方法は、例えば故障コードなどのエラーコードがわかっている前提の技術であり、エラーコードを発報できない故障機器の場合についての考慮がなされていなかった。
【0006】
エラーコードを発報できない故障機器の場合、エラーコードに基づいた対応フローを使用できず、過去の事例を根拠とした調査が行われるため、調査に多くの時間が必要となるという問題があった。
【0007】
また、対応フローを用いて復旧作業する場合でも、通常の対応フローに従った調査では、調査項目が多いため、調査に時間がかかるという問題もあった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、エラーコードを発報できない故障機器であっても、復旧作業を高効率で行うことができる故障復旧支援システムおよび故障復旧対応方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の故障復旧支援システムは、例えば、故障した設備の復旧作業を支援する故障復旧支援システムにおいて、故障に関する情報が入力される故障情報入力部と、前記故障情報入力部に入力された情報に基づいて過去の類似事例を抽出する事例検索部と、前記事例検索部で抽出された前記類似事例に基づいてエラーコードを推定するエラーコード推定部と、前記事例検索部で抽出された前記類似事例に基づいて故障箇所を推定する故障箇所推定部と、前記エラーコード推定部で推定されたエラーコードに基づいて復旧作業のための対応フローを選択する対応フロー選択部と、前記対応フロー選択部で選択された対応フローにおいて、前記故障箇所推定部で推定された故障箇所を開始位置として指示する開始位置指示部とを有することを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するための本発明の故障復旧支援方法は、例えば、故障した設備の復旧作業を支援する故障復旧支援方法において、故障に関する情報が入力される故障情報入力ステップと、前記故障情報入力ステップで入力された情報に基づいて過去の類似事例を抽出する事例検索ステップと、前記事例検索ステップで抽出された前記類似事例に基づいてエラーコードを推定するエラーコード推定ステップと、前記事例検索ステップで抽出された前記類似事例に基づいて故障箇所を推定する故障箇所推定ステップと、前記エラーコード推定ステップで推定されたエラーコードに基づいて復旧作業のための対応フローを選択する対応フロー選択ステップと、前記対応フロー選択ステップで選択された対応フローにおいて、前記故障箇所推定ステップで推定された故障箇所を開始位置として指示する開始位置指示ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、推定したエラーコードから対応フローを選択し、推定した故障箇所を開始位置として対応フローを開始できるため、エラーコードを発報できない故障機器であっても、復旧作業を高効率で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の故障復旧支援システムの論理構成の一例を示すブロック図。
図2】実施例1の故障復旧支援システムの物理構成の一例を示すブロック図。
図3】実施例1の故障復旧支援方法の一例を示すフローチャート。
図4】実施例1の故障復旧支援システムに用いられるデータ構造の一例を示す図。
図5】実施例1の故障復旧支援システムに用いられるデータ構造の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。各図、各実施例において、同一または類似の構成要素については同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【実施例0014】
図1は、実施例1の故障復旧支援システムの論理構成の一例を示すブロック図である。図2は、実施例1の故障復旧支援システムの物理構成の一例を示すブロック図である。図3は、実施例1の故障復旧支援方法の一例を示すフローチャートである。図4および図5は、実施例1の故障復旧支援システムに用いられるデータ構造の一例を示す図である。
【0015】
実施例1の故障復旧支援システムは、例えばビル設備などの故障した設備の復旧作業を支援する故障復旧支援システムである。実施例1では、設備の一例として空調用熱源機を用いて説明するが、これに限られるものではなく、エレベーターなどの他のビル設備に適用してもよいし、ビル設備以外の工場やプラントなどの他の設備に適用してもよい。
【0016】
実施例1の故障復旧支援システムは、図1に示すように、故障情報入力部11と、事例検索部30と、故障日報DB24と、エラーコード推定部31と、故障箇所推定部33と、対応フロー選択部41と、対応フローDB21と、開始位置指示部43と、開始位置DB23と、対応フロー表示部13と、類似事例表示部12とを有している。ここで、DBは、データベースの略である。
【0017】
図2に示すように、状況入出力部1は、故障情報入力部11と、類似事例表示部12と、対応フロー表示部13とを有している。データベース部2は、対応フローDB21と、開始位置DB23と、故障日報DB24とを有している。推定部3は、事例検索部30と、エラーコード推定部31と、故障箇所推定部33とを有している。対応指示部4は、対応フロー選択部41と、開始位置指示部43とを有している。これらは、計算機システムまたはプログラムによって実現可能であり、1つの計算機システムおよびプログラムとして統合されていてもよいし、例えば一部が一般公衆回線5を介して接続されている構成でもよい。また、状況入出力部1は、スマートフォンのような情報処理端末とすることで、遠隔で支援することが可能となる。一般公衆回線5は、情報交換を行う通信回線部であり、有線や無線などその種別などは限定されない。
【0018】
次に、図1および図3から図5を用いて、実施例1の構成と動作を説明する。
【0019】
故障発生ステップS0において、故障が発生したと想定する。
【0020】
故障情報入力ステップS11において、故障情報入力部11には、故障に関する情報が入力される。入力の方法としては、例えばマウスやキーボードなどのユーザインターフェースを介して人手で入力する方法や、例えば通信機器などを介して入力する方法など、さまざまな方法が可能である。故障に関する情報は、例えば故障機器の機種や故障現象など、過去の類似事例を検索するために必要な情報である。
【0021】
事例検索ステップS30において、事例検索部30は、故障情報入力部11に入力された情報に基づいて過去の類似事例を抽出する。事例検索部30は、例えば故障日報DB24を参照して過去の類似事例を抽出する。
【0022】
故障日報DB24には、図4に示すように、あらかじめ過去の事例として故障日報テーブルT24が格納されており、故障日報テーブルT24には、その一例として、故障日報No毎に、事例検索部30における検索のキーとなる機種や故障現象の情報と、それに対応するエラーコードおよび故障箇所の情報が格納されている。過去の類似事例を抽出した結果としては、例えば図5の類似事例抽出結果テーブルT30のようなものが作成され、エラーコードと故障箇所ごとに、その抽出件数が集計されている。
【0023】
エラーコード推定ステップS31において、エラーコード推定部31は、事例検索部30で抽出された類似事例に基づいてエラーコードを推定する。エラーコード推定部31は、例えば図5に示すように、類似事例抽出結果テーブルT30をエラーコードごとに集計して、エラーコード推定結果テーブルT31を作成する。エラーコード推定結果テーブルT31は、エラーコードと、そのエラーコードの推定の確信度を示すエラーコード推定確信度の情報を有している。
【0024】
エラーコード推定確信度の算出方法の一例としては、類似事例抽出結果テーブルT30における抽出件数の合計が5件であり、そのうちエラーコード041が4件なのでその確信度は4/5=0.80、エラーコード043が1件なのでその確信度は1/5=0.20として算出した。その結果、エラーコード推定部31は、確信度が一番高いエラーコード041であると推定することができる。なお、エラーコードの推定方法は、この方法に限られず、例えば機械学習などの他の方法により推定してもよい。また、エラーコードとしては、英数字や記号などのコードに限られず、例えば「能力不足」などのようなに故障状態を記述した文字のコードでもよい。
【0025】
故障箇所推定ステップS33において、故障箇所推定部33は、事例検索部30で抽出された類似事例に基づいて故障箇所を推定する。故障箇所推定部33は、例えば図5に示すように、類似事例抽出結果テーブルT30のうち、エラーコード推定部31で推定されたエラーコード041について、故障箇所ごとに集計して、故障箇所推定結果テーブルT33を作成する。故障箇所推定結果テーブルT33は、故障箇所と、その故障箇所の推定の確信度を示す故障箇所推定確信度の情報を有している。
【0026】
故障箇所推定確信度の算出方法の一例としては、類似事例抽出結果テーブルT30における抽出件数の合計が5件であり、そのうち火炎検出器が2件なのでその確信度は2/5=0.40、ファン本体が1件なのでその確信度は1/5=0.20として算出した。その結果、故障箇所推定部33は、確信度が一番高い火炎検出器が故障箇所であると推定することができる。ここでは確信度の算出の母数として、類似事例抽出結果テーブルT30における抽出件数の合計を用いたが、これに限られず、エラーコード推定部31で推定されたエラーコード041の抽出件数の合計である4件を用いるようにしてもよい。また、故障箇所の推定方法は、この方法に限られず、例えば機械学習などの他の方法により推定してもよい。また、故障箇所としては、実施例1で示したような故障部品(火炎検出器、ファン本体、燃料ポンプ、バーナーコントローラなど)でもよいし、故障部品のさらに上位の枠組みである故障部位(バーナーなど)でもよい。
【0027】
対応フロー選択ステップS41において、対応フロー選択部41は、エラーコード推定部31で推定されたエラーコードに基づいて復旧作業のための対応フローを選択する。これによって、エラーコードを発報できない故障機器であっても、復旧作業を行うことができる。
【0028】
対応フローDB21には、図4に示すように、エラーコードに紐づけられて対応フローF21が格納されている。
【0029】
ここで、エラーコード推定確信度判断ステップS41aにおいて、対応フロー選択部41は、例えばエラーコード推定確信度を所定のしきい値と比較するなどして、エラーコード推定確信度の判断を行う。ここで、エラーコード推定確信度が高い場合は、ステップS41bにおいて、対応フローDB21を参照し、エラーコード推定部31で推定されたエラーコードをキーにして対応フローF21を選択する。
【0030】
一方、エラーコード推定確信度が低い場合は、対応フロー選択部41は、対応フローF21を選択する代わりに、類似事例表示部12に対して、事例検索部30で抽出された類似事例または類似事例の集計結果を表示させるよう指示する。そして、類似事例表示ステップS12において、類似事例表示部12が表示を行う。類似事例の表示の一例としては、図4の故障日報テーブルT24のうち抽出されたデータを表示するようにしてもよいし、抽出されたデータに対応する日報の内容を表示するようにしてもよいし、それ以外の方法で表示をしてもよい。類似事例の集計結果の表示の一例としては、図5に示すエラーコード推定結果テーブルT30の内容を表示するようにしてもよいし、それ以外の方法で表示をしてもよい。
【0031】
開始位置指示ステップS43において、開始位置指示部43は、対応フロー選択部41で選択された対応フローF21において、故障箇所推定部33で推定された故障箇所を開始位置として指示する。これによって、復旧作業を高効率で行うことができる。また、推定する故障箇所としては、故障部位を推定するよりも、故障部品を推定した方が、復旧対応に要する時間を短縮できるので望ましい。
【0032】
ここで、故障箇所推定確信度判断ステップS43aにおいて、開始位置指示部43は、例えば故障箇所推定確信度を所定のしきい値と比較するなどして、故障箇所推定確信度の判断を行う。ここで、故障箇所推定確信度が高い場合は、ステップS43bにおいて、開始位置指示部43は、対応フロー選択部41で選択された対応フローF21において、故障箇所推定部33で推定された故障箇所を開始位置として指示する。
【0033】
開始位置指示部43は、例えば開始位置DB23に格納された図4に示す開始位置テーブルT23を参照して開始位置を指示する。開始位置テーブルT23は、例えば、エラーコードと故障箇所に対応する対応フロー開始位置の情報を有している。今回の場合は、火炎検出器という部品が故障箇所であると推定されているので、開始位置指示部43は、機種3EXのエラーコード041に対応する対応フローのABC123という開始位置を指示する。
【0034】
一方、故障箇所推定確信度が低い場合は、ステップS43cにおいて、開始位置指示部43は、対応フロー選択部41で選択された対応フローF21において、対応フローF21の先頭を開始位置として指示する。
【0035】
対応フロー表示ステップS13において、対応フロー表示部13は、対応フロー選択部41で選択された対応フローF21と開始位置指示部43で指示された開始位置を表示する。
【0036】
復旧対応開始ステップS100において、対応フロー表示ステップS13または類似事例表示ステップS12において表示された情報に基づき、作業員は復旧対応を開始する。
【0037】
本実施例によれば、推定したエラーコードから対応フローを選択し、推定した故障箇所を開始位置として対応フローを開始できるため、エラーコードを発報できない故障機器であっても、復旧作業を高効率で行うことができる。
【0038】
また、エラーコード推定確信度と故障箇所推定確信度を用い、確信度に応じて対応方法を変えるようにしたので、推定の誤りによって間違った対応フローや開始位置を選択する可能性を減らすことができる。
【実施例0039】
実施例1では、エラーコード推定確信度と故障箇所推定確信度を用い、確信度に応じて対応方法を変えるようにする例を説明したが、これらの一方あるいは両方について、確信度の算出を省略し、確信度が高い場合の処理と同様の処理のみを行うようにしてもよい。
【0040】
実施例2では、確信度を用いたことによる効果は得られないが、それ以外の効果は実施例1と同様に得られる。
【0041】
上記した以外の構成、効果は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【実施例0042】
実施例1では、故障箇所推定確信度が低い場合は、ステップS43cにおいて、開始位置指示部43は、対応フロー選択部41で選択された対応フローF21において、対応フローF21の先頭を開始位置として指示する例を説明したが、これをさらに高度に判断するようにしてもよい。
【0043】
実施例3では、開始位置を指示する際に、部位と部品を考慮する。
【0044】
例えば、図示しない部位部品テーブルによって、部位と、その部位に属する部品との対応関係を定義しておく。例えば、空調用熱源機であれば、バーナーという部位には、火炎検出器とファン本体と燃料ポンプとバーナーコントローラという部品が属しており、再生器という部位には圧力計という部品が属している。
【0045】
また、対応フローF21として、例えば、故障部位の対応順序の情報と、故障部位の中の部品の対応順序の情報とを有するフローとしておく。具体的な例としては、対応フローF21として、故障部位の対応順序の情報として、1番目に作業を行う部位として再生器が定義され、再生器に関する作業が終了したら、2番目に作業を行う部位としてバーナーが定義されている。そして、再生器に属する部品についても、1番目に作業を行う部品、2番目に作業を行う部品というように、対応順序が記載されている。すべての再生器に属する部品の作業が終了したら、次に2番目に作業を行う部位であるバーナーについての作業が開始される。バーナーに属する部品についても、1番目に作業を行う部品、2番目に作業を行う部品というように、対応順序が記載されている。
【0046】
故障箇所推定部33は、故障箇所として、故障部品を推定し、開始位置指示部43は、対応フロー選択部41で選択された対応フローF21において、故障箇所推定部33で推定された故障部品を開始位置として指示する。
【0047】
また、故障箇所推定部33は、故障箇所の推定の確信度を示す故障箇所推定確信度として、故障部品推定確信度を算出する。
【0048】
開始位置指示部43は、故障部品推定確信度が高い場合は、対応フロー選択部41で選択された対応フローF21において、故障箇所推定部33で推定された故障部品を開始位置として指示し、故障部品推定確信度が低い場合は、対応フロー選択部41で選択された対応フローF21において、故障部品の属する部位である故障部位を開始位置として指示する。
【0049】
これによって、2番目以降に作業を行う部位に属する部品が故障部品であると推定された場合には、その故障部品の属する部位から対応フローを開始することができるので、復旧作業を高効率で行うことができる。
【0050】
上記した以外の構成、効果は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【実施例0051】
実施例4は、実施例3をさらに高度化したものである。
【0052】
実施例4では、故障箇所推定部33は、故障箇所として、故障部位と故障部品とを推定するとともに、故障箇所推定確信度として、故障部位推定確信度と故障部品推定確信度とを算出する。
【0053】
開始位置指示部43は、故障部品推定確信度が低く、故障部位推定確信度が高い場合は、対応フロー選択部41で選択された対応フローF21において、故障部位を開始位置として指示し、故障部品推定確信度が低く、故障部位推定確信度が低い場合は、対応フロー選択部41で選択された対応フローF21において、対応フローF21の先頭を開始位置として指示する。
【0054】
これによって、故障部位および故障部品の推定の誤りによって間違った開始位置を選択する可能性を減らすことができる。
【0055】
上記した以外の構成、効果は、実施例3と同様であるため、説明を省略する。
【0056】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例に記載された構成に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変更が可能である。また、各実施例で説明した構成の一部または全部を組み合わせて適用してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 状況入出力部
11 故障情報入力部
12 類似事例表示部
13 対応フロー表示部
2 データベース部
21 対応フローDB
23 開始位置DB
24 故障日報DB
3 推定部
30 事例検索部
31 エラーコード推定部
33 故障箇所推定部
4 対応指示部
41 対応フロー選択部
43 開始位置指示部
5 一般公衆回線
F21 対応フロー
T23 開始位置テーブル
T24 故障日報テーブル
T30 類似事例抽出結果テーブル
T31 エラーコード推定結果テーブル
T33 故障箇所推定結果テーブル
図1
図2
図3
図4
図5