IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立製作所の特許一覧

特開2023-176063エレベーターの乗場ドア装置、及び、エレベーター
<>
  • 特開-エレベーターの乗場ドア装置、及び、エレベーター 図1
  • 特開-エレベーターの乗場ドア装置、及び、エレベーター 図2
  • 特開-エレベーターの乗場ドア装置、及び、エレベーター 図3
  • 特開-エレベーターの乗場ドア装置、及び、エレベーター 図4
  • 特開-エレベーターの乗場ドア装置、及び、エレベーター 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176063
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】エレベーターの乗場ドア装置、及び、エレベーター
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/08 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
B66B13/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088139
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠原 大典
(72)【発明者】
【氏名】高原 悠
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 剛
【テーマコード(参考)】
3F307
【Fターム(参考)】
3F307BA04
3F307CB20
(57)【要約】
【課題】乗場ドアの開閉時における衝突音や摺動音の低減が図られたエレベーターの乗場ドア装置、及び、エレベーターを提供する。
【解決手段】ウェイトは、ドア部を移動可能な重さに設定されたウェイト本体、及び、ウェイト本体に設けられ、鉛直方向に直交する左右方向の幅がウェイト本体の幅よりも大きく構成され、左右方向の両端面に鉛直方向に延びる一対の溝部が設けられたウェイトシューを備える。また、ウェイトガイドは、鉛直方向に延在するように設けられ、一対の溝部に挿入される一対のガイド片を備える。そして、ウェイトは、ウェイトシューの溝部にガイド片が挿入された状態で鉛直方向に摺動移動する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの乗場口に設けられたドア部と、
ワイヤーを介してドア部に接続され、自重によって鉛直方向に移動することで、前記ドア部を戸閉方向に移動させるウェイトと、
前記ウェイトの鉛直方向への移動をガイドするウェイトガイドと、を備え、
前記ウェイトは、
ウェイト本体と、
前記ウェイト本体に設けられ、前記鉛直方向に直交する左右方向の幅が前記ウェイト本体の幅よりも大きいウェイトシューと、を備え、
前記ウェイトシューにおける前記左右方向の両端面には、鉛直方向に延びる一対の溝部が形成れ、
前記ウェイトガイドは、鉛直方向に延在し、前記一対の溝部に挿入される一対のガイド片を備え、
前記ウェイトは、前記ウェイトシューの溝部に前記ガイド片が挿入された状態で鉛直方向に摺動移動する
エレベーターの乗場ドア装置。
【請求項2】
前記ウェイトシューは、前記ウェイト本体の鉛直方向における上端部と下端部に設けられている
請求項1に記載のエレベーターの乗場ドア装置。
【請求項3】
前記ウェイトシューは、樹脂製の部材で構成されている
請求項2に記載のエレベーターの乗場ドア装置。
【請求項4】
前記ウェイト本体の前記左右方向の幅は、前記一対のガイド片における前記左右方向の間隔よりも短く設定されている
請求項1に記載のエレベーターの乗場ドア装置。
【請求項5】
昇降路を昇降移動する乗りかごと、
乗りかごが停止する乗り場の出入り口に開閉可能に設けられたドア部と、
ワイヤーを介して前記ドア部に接続され、自重によって鉛直方向に移動することで、前記ドア部を戸閉方向に移動させるウェイト、及び、前記ウェイトの鉛直方向への移動をガイドするウェイトガイドと、を有して構成されたドアクローザー機構を有する乗場ドア装置とを備え、
前記ウェイトは、
ウェイト本体と、
前記ウェイト本体に設けられ、前記鉛直方向に直交する左右方向の幅が前記ウェイト本体の幅よりも大きいウェイトシューと、を備え、
前記ウェイトシューにおける前記左右方向の両端面には、鉛直方向に延びる一対の溝部が形成れ、
前記ウェイトガイドは、鉛直方向に延在し、前記一対の溝部に挿入される一対のガイド片を備え、
前記ウェイトは、前記ウェイトシューの溝部に前記ガイド片が挿入された状態で鉛直方向に摺動移動する
エレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの乗場ドア装置、及び、エレベーターに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの乗場口には、乗りかごに設けられたかごドアと連動して乗場口を開閉する乗場ドア装置が設けられている。乗場ドアは、乗場階に到着した乗りかごのかごドアと係合し、かごドアの動力によって開閉動作される。乗場ドアには、かごドアとの係合が外れたときに、自動的に戸閉方向に乗場ドアを自動的に移動させるドアクローザー装置が設けられている。
【0003】
ドアクローザー装置は、乗場ドアを支持するハンガーに止着されたワイヤーと、ワイヤーの端部に取り付けられたウェイトと、ワイヤーを掛ける反らしプーリとで構成される。ドアクローザー装置では、ウェイトが自重によって上下方向における下方向に移動することに伴い、ワイヤーに止着されたドアハンガーが戸閉方向に移動することで、乗場ドアを戸閉方向に移動させることができる。
【0004】
特許文献1では、ウェイトが取り付けられたワイヤーの傾き角度を変えることにより、乗場ドアの移動力を調整する構成が開示されている。また、特許文献1では、ガイド用のチューブ内をウェイトが移動する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-107012公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のように、ガイド用のチューブ内をウェイトが移動する場合、ウェイトの摺動音や、チューブとウェイトとの衝突音が発生してしまう問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、乗場ドアの開閉時における衝突音や摺動音の低減が図られたエレベーターの乗場ドア装置、及び、エレベーターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のエレベーターの乗場ドア装置は、エレベーターの乗場口に設けられたドア部を備える。また、ワイヤーを介してドア部に接続され、自重によって鉛直方向に移動することで、ドア部を戸閉方向に移動させるウェイトを備える。さらに、ウェイトの鉛直方向への移動をガイドするウェイトガイドを備える。ウェイトは、ウェイト本体と、ウェイト本体に設けられ、鉛直方向に直交する左右方向の幅がウェイト本体の幅よりも大きいウェイトシューとを備える。ウェイトシューにおける左右方向の両端面には、鉛直方向に延びる一対の溝部が形成れている。ウェイトガイドは、鉛直方向に延在し、一対の溝部に挿入される一対のガイド片を備え、ウェイトは、ウェイトシューの溝部にガイド片が挿入された状態で鉛直方向に摺動移動する。
【0009】
また、本発明のエレベーターは、上記のエレベーターの乗場ドア装置を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、乗場ドアの開閉時における衝突音や摺動音の低減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るエレベーターの乗りかごの概略構成図である。
図2図1のA-A線上に沿う断面から、ウェイト13及びウェイトガイド14を見た場合の図である。
図3図2のB-B線上に沿う方向から見たドアクローザー機構10の要部の概略構成図である。
図4】ウェイト13の上下方向における上端部の要部拡大図を示す。
図5】比較例に係るウェイト及びウェイトガイドの要部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るエレベーターの乗場ドア装置の一例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。以下で説明する各図において、共通の部材には同一の符号を付している。
【0013】
1.エレベーターの乗場ドア装置の構成
図1に、本発明の一実施形態(以下、本実施形態と記す)に係るエレベーターの乗場ドア装置1を正面から見たときの概略構成を示す。なお、以下では、エレベーターの昇降方向を上下方向(鉛直方向)、乗場ドア2、2の開閉方向を左右方向として説明する。
【0014】
本実施形態の乗場ドア装置1は、図1に示すように、一対の乗場ドア2、2と、乗場ドア開閉機構20と、ドアクローザー機構10を有する。
【0015】
[乗場ドア]
一対の乗場ドア2、2(本発明のドア部に相当)は、建屋側のエレベーターの乗りかごが停止する乗場階の出入口に設けられており、出入口の上下方向における上端部に設けられた乗場ドア開閉機構20により開閉可能に支持されている。出入口の上下方向における下端部には、一対の乗場ドア2、2を支持する乗場側ドアシル4が設けられている。一対の乗場ドア2、2は、乗場ドア開閉機構20により、乗場側ドアシル4の延在方向に沿って左右方向に開閉動作される。
【0016】
[乗場ドア開閉機構]
乗場ドア開閉機構20は、ヘッダーケース7と、建屋側ドアレール6と、一対のドアハンガー3、3とを有している。ヘッダーケース7は、乗場ドア2、2の上下方向における上方に配置された部材であり、ヘッダーケース7には、建屋側ドアレール6、一対のドアハンガー3、3が収容されている。その他、ヘッダーケース7には、乗場ドア2、2を開閉移動させるための一対のプーリ(図示を省略する)と、一対のプーリに巻き掛けられた伝達ベルト(図示を省略する)とが収容されている。さらに、ヘッダーケース7には、後述するドアクローザー機構10の一部が収容されている。
【0017】
建屋側ドアレール6は、後述する複数の移動ローラ5が回転移動可能なレール部材であり、乗場ドア2、2における上下方向の上方に設けられている。建屋側ドアレール6は、一対の乗場ドア2、2の開閉方向に沿う方向に延在するように設けられている。
【0018】
一対のドアハンガー3、3は、それぞれ、一対の乗場ドア2、2の上下方向の上端部に設けられている。ドアハンガー3、3には、それぞれ、一対の移動ローラ5、5が回転可能に取り付けられている。移動ローラ5、5は、建屋側ドアレール6に摺動可能に係合する。
【0019】
また、2つのドアハンガー3、3のそれぞれは、図示を省略する連結部材を介して、一対のプーリ(図示を省略する)に巻き掛けられた伝達ベルト(図示を省略する)に連結されている。これにより、伝達ベルトが移動すると、一対の乗場ドア2、2は、連結部材を介して互いに接近する戸閉方向、又は、離反する戸開方向に移動する。
【0020】
[ドアクローザー機構]
ドアクローザー機構10は、ワイヤー11と、ワイヤー11が掛けられるプーリ12と、ワイヤー11に取り付けられたウェイト13と、ウェイト13が摺動移動するウェイトガイド14とを備える。図2に、図1のA-A線上に沿う断面から、ウェイト13及びウェイトガイド14を見た場合の図を示す。また、図3に、図2のB-B線上に沿う方向から見たドアクローザー機構10の要部の概略構成図を示す。さらに、図4に、ウェイト13の上下方向における上端部の要部拡大図を示す。
【0021】
≪ワイヤー、プーリ≫
ワイヤー11は、ウェイト13を吊り下げる部材である。ワイヤー11の一端部は、一対の乗場ドア2の一方の上部であって、ヘッダーケース7の上下方向における上端部に固定され、他端部は、ウェイト13に固定されている。また、ワイヤー11の一端部には、ロッド16が取り付けられている。ヘッダーケース7の上下方向における上端部には、L字形状のワイヤー取付ブラケット15が固定されている。ロッド16は、ワイヤー取付ブラケット15にダブルナット19で固定されている。これにより、ワイヤー11の一端部が、ヘッダーケース7に固定されている。
【0022】
ワイヤー11は、ヘッダーケース7内において、ワイヤー取付ブラケット15から、左右方向における一方向(紙面左方向)に延在するように配置され、プーリ12に巻き架けられている。プーリ12は、他方の乗場ドア2に取り付けられたドアハンガー3の戸袋側(戸開方向側)の端部に固定されている。プーリ12に巻き架けられたワイヤー11は、上下方向における下方に吊り下げられる。そして、ワイヤー11における吊り下げられた側の端部(他方の端部)には、シンブルロッド18(図3参照)を介してウェイト13が固定されている。
【0023】
図3に示すように、ワイヤー11の他方の端部には、ロープソケット17を介してシンブルロッド18が固定されている。シンブルロッド18は、上下方向に延びる棒状の部材であり、外周面に雄ネジが形成されている。ロープソケット17は、ほぼ円筒状に形成された部材であり、中心軸線が上下方向に沿うように配置されている。ロープソケット17は、上端部から下端部に架けて開口されており、上端部からはワイヤー11が挿入され、下端部からはシンブルロッド18が挿入されている。ワイヤー11とシンブルロッド18は、ロープソケット17を介して連結されているが、その連結方法には、周知技術が用いられる。
【0024】
そして、ロープソケット17を介してワイヤー11に接続されたシンブルロッド18は、後述するウェイト13に接続される。これにより、ウェイト13は、ワイヤー11に吊り下げられる。
【0025】
≪ウェイト≫
ウェイト13は、乗場ドア2、2に対して、戸閉方向に移動させる力(クローザ力)を付与する錘である。ウェイト13は、図3に示すように、ウェイト本体30と、ウェイト本体30の上下方向における上端部に設けられた上側ウェイトシュー31と、ウェイト本体30の上下方向における下端部に設けられた下側ウェイトシュー32とで構成されていれる。また、ウェイト13には、シンブルロッド18をウェイト本体30側に固定するための平板部材33が設けられている。
【0026】
ウェイト本体30は、上下方向に長い直方体状の部材で構成されており、乗場ドア2、2を戸閉方向に移動させることが可能な重さに構成されている。図4に示すように、ウェイト本体30の上下方向における上端部には、左右方向の2箇所に、上側ウェイトシュー31を固定するためのボルト34、34が螺合されるボルト穴38、38が設けられている。また、ウェイト本体30の、上下方向における下端部においても、左右方向の2箇所に、下側ウェイトシュー32を固定するためのボルト36、36が螺合されるボルト穴(図示を省略する)が設けられている。
【0027】
図4に示すように、上側ウェイトシュー31は、左右方向の長さがウェイト本体30の左右方向の長さよりも若干長い部材で構成されている。上側ウェイトシュー31における左右方向の両端面には、上下方向に延びる一対の溝部31a、31aが設けられている。この両端面に設けられた溝部31a、31aは、後述するウェイトガイド14のガイド片14bが挿入される溝である。また、上側ウェイトシュー31には、ウェイト本体30に設けられたボルト穴38、38に対応する位置に、上下方向に貫通するボルト穴31b、31bが設けられている。さらに、上側ウェイトシュー31には、左右方向において、2つのボルト穴31b、31bの間に、シンブルロッド18が挿通される貫通孔31cが設けられている。
【0028】
上側ウェイトシュー31は、例えば、ウェイト本体30に対してボルト締結可能な樹脂製の部材で構成されている。なお、本実施形態では、上側ウェイトシュー31は樹脂製の部材で構成する例とするが、その他、鋼板等、種々の材料を用いて構成することが可能である。
【0029】
上側ウェイトシュー31は、ウェイト本体30に設けられたボルト穴38、38に対応する位置に配置された座金37、37を介してウェイト本体30の上部に配置される。そして、上側ウェイトシュー31の上下方向における上端部側から、後述する平板部材33及び、座金34a、34aを介してボルト34、34が挿入される。挿入されたボルト34、34は、それぞれ、ボルト穴31b、31bを介して、ウェイト本体30のボルト穴38、38に螺合されることにより、上側ウェイトシュー31がウェイト本体30に固定される。
【0030】
下側ウェイトシュー32についても、上側ウェイトシュー31と同様に、左右方向の長さがウェイト本体30の左右方向の長さよりも若干長い部材で構成されている。下側ウェイトシュー32における左右方向の両端面には、上下方向(鉛直方向)に延びる一対の溝部32a、32a(図3参照)が設けられている。下側ウェイトシュー32は、上側ウェイトシュー31に設けられたシンブルロッド18が貫通する貫通孔31cが設けられていない点でのみ、上側ウェイトシュー31と異なり、それ以外の構成は、上側ウェイトシュー31と同様の構成を有する。したがって、ここでは、下側ウェイトシュー32の細かな構成の説明については省略する。下側ウェイトシュー32も、上側ウェイトシュー31と同様に、座金39、及び、ボルト36によって、ウェイト本体30の上下方向における下端部に固定されている。
【0031】
平板部材33は、上側ウェイトシュー31の上下方向における上端部に配置される板状部材であり、左右方向における幅が、例えば、ウェイト本体30の左右方向の幅とほぼ同じか若干小さい幅で構成された部材である。平板部材33は、例えば、シンブルロッド18を固定可能な鋼板部材で構成されている。平板部材33には、上側ウェイトシュー31に設けられたボルト穴31b、31bに対応する位置に、上下方向にボルト36、36を挿通させるためのボルト穴33a、33aが設けられている。さらに、上側ウェイトシュー31に設けられた貫通孔31cに対応する位置に、上下方向にシンブルロッド18を挿通させるための貫通孔33bが設けられている。
【0032】
平板部材33は、上側ウェイトシュー31の上下方向における上端面に配置される。そして、平板部材33及び上側ウェイトシュー31は、座金34a、34aを介して、平板部材33の上端部側から挿通されるボルト34、34によって、ウェイト本体30側に固定される。
【0033】
さらに、平板部材33の貫通孔33bには、シンブルロッド18が挿入され、ロックナット35によって、シンブルロッド18が平板部材33に固定される。なお、本実施形態では、シンブルロッド18は、上側ウェイトシュー31の貫通孔31cを介して、ウェイト本体30の上端部に当接する位置まで挿入され、その位置において、ロックナット35で固定されている。
【0034】
本実施形態では、上側ウェイトシュー31及び平板部材33がボルト34、34によってウェイト本体30に固定され、シンブルロッド18が平板部材33に固定されることで、シンブルロッド18がウェイト本体30側に固定される。これにより、ワイヤー11の他方の端部に、ウェイト13が吊り下げられる。
【0035】
≪ウェイトガイド≫
ウェイトガイド14は、上下方向に移動するウェイト13の移動をガイドする部材である。ウェイトガイド14は、一対の乗場ドア2、2の他方の乗場ドア2の戸開方向側の端部であって、ワイヤー11に吊り下げられたウェイト13が移動する位置に固定されている。ウェイトガイド14は、図1に示すように、乗場ドア2の上下方向に延在する部材で構成されており、ウェイトガイド14の上端部及び下端部がボルトによって乗場ドア2(ドアパネル)にボルト締結されている。
【0036】
図2に示すように、ウェイトガイド14は、固定部14aと、一対のガイド片14b、14bで構成される。固定部14aは、乗場ドア2に当接して固定される。一対のガイド片14b、14bは、固定部14aの上下方向に直交する幅方向(左右方向)における両端部に設けられている。一対のガイド片14b、14bは、固定部14aの両端部から屈曲し、ウェイト13が配置される側に突出するように設けられている。一対のガイド片14b、14bは、上側ウェイトシュー31の一対の溝部31a及び下側ウェイトシュー32の一対の溝部32aに挿入される。そして、一対のガイド片14b、14bは、上側ウェイトシュー31及び下側ウェイトシュー32を摺動可能に支持する。
【0037】
本実施形態のウェイトガイド14は、例えば、乗場ドア2における上下方向に延在する板状部材の上下方向に直交する幅方向(左右方向)におけるそれぞれの端部を、断面コの字形状となるように折り曲げることによって形成されている。ウェイトガイド14では、折り曲げ加工された両端部がガイド片14b、14bとなり、ガイド片14bとガイド片14bとの間の領域が固定部14aとなる。
【0038】
本実施形態では、ガイド片14b、14bの上下方向における長さは、乗場ドア2、2の開閉動作に伴って上下方向に移動するウェイト13側に設けられた溝部31a、32aに、常時ガイド片14bが挿入された状態となる長さに設定されている。したがって、本実施形態では、ウェイト13は、下側ウェイトシュー32の溝部32a、及び上側ウェイトシュー31の溝部31aにウェイトガイド14のガイド片14bが挿入された状態で摺動移動する。
【0039】
また、本実施形態では、ガイド片14bと、溝部31a、32aとの間の隙間は、ウェイト13の上下方向への移動を可能とし、かつ、上下方向に直交する方向への移動を制限できる程度に設定されている。これにより、ウェイト13が、ウェイトガイド14にガイドされた状態で上下方向に摺動移動する。
【0040】
2.エレベーターの乗場ドア装置の動作
本実施形態のエレベーターの乗場ドア装置1の動作について説明する。乗場ドア装置1では、乗りかごが所定の乗場階に停止すると、乗りかごのかごドア側と係合し、かごドアの開閉動作に伴って乗場ドア2、2は戸開方向及び戸閉方向に移動する。
【0041】
そして、本実施形態では、かごドアと乗場ドア装置1との係合が外れた場合には、ドアクローザー機構10により、乗場ドアに2、2には戸閉方向に移動する力(クローザ力)が作用する。ドアクローザー機構10では、ウェイト13が自重によって上下方向における下方に移動する力が発生しており、ワイヤー11が上下方向における下方に引っ張られる。そうすると、ワイヤー11を引っ張る力が、プーリ12を介して、プーリ12が設けられた側の乗場ドア2にクローザ力を与える。一対の乗場ドア2、2は、図示を省略する伝達ベルトに連結部を介して連結されることによって、同時に戸閉方向、戸開方向に移動する構成となっている。このため、他方の乗場ドア2にウェイト13の自重によってクローザ力が付与された場合、一方の乗場ドア2にも自閉力が発生し、一対の乗場ドア2、2は自閉する。
【0042】
本実施形態では、ウェイト13は、ウェイトガイド14に沿って移動する際、上側ウェイトシュー31及び下側ウェイトシュー32のそれぞれの溝部31a、32aにガイド片14bが挿入された状態で摺動移動する。
【0043】
ここで、図5に比較例にかかるドアクローザー機構50の要部の断面構成図を示す。図5に示す断面構成図は、筒状に構成されたウェイトガイド54内部をウェイト51が移動する場合の断面構成図である。図5に示すように、筒状のウェイトガイド54内をウェイト51が移動する場合、ウェイト51の、移動方向に直交する方向の面がウェイトガイド54に囲まれるため、ウェイト51の上下方向に直交する方向の移動が制限される。しかしながら、ウェイト51と筒状のウェイトガイド54との間には、ウェイト51が上下方向に移動可能にするための隙間が設けられる。このため、ウェイト51はウェイトガイド54で揺れるため、ウェイトガイド54との衝突は避けられない。したがって、ウェイト51が上下方向に移動する際にウェイト51とウェイトガイド54との衝突音が発生してしまう。
【0044】
これに対し、本実施形態では、ウェイト13は、上側ウェイトシュー31及び下側ウェイトシュー32のそれぞれの溝部31a、32aがウェイトガイド14のガイド片14bに係合した状態で摺動移動する。そして、ウェイト本体30の左右方向の幅は、上側ウェイトシュー31及び下側ウェイトシュー32の左右方向の幅よりも小さく設定されている。さらに、ウェイト本体30の左右方向の幅は、ウェイトガイド14の一対のガイド片14b、14bの左右方向の間隔よりも短く設定されている。
【0045】
そのため、ウェイト13の移動時に、ウェイト本体30が、ウェイトガイド14に衝突することが無い。この結果、ウェイト13と、ウェイトガイド14との接触面積を、図5の比較例にかかる構成よりも低減することができる。以上のように、本実施形態では、ウェイト13の移動時に発生する摺動音を低減することができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、上側ウェイトシュー31及び下側ウェイトシュー32を、樹脂製の部材で構成することにより、ウェイト13がウェイトガイド14にガイドされながら摺動移動する際の摺動音をより小さく抑えることができる。
【0047】
また、比較例に係る構成では、ウェイト51とウェイトガイド54との間の接触面積が大きく、摩擦力が大きくなる。このため、摩擦力を考慮してウェイト51の重さを、クローザ力に必要な重さよりも重くする必要があった。これに対し、本実施形態では、ウェイト13とウェイトガイド14との接触面積が、比較例に比べて小さく、ウェイト13とウェイトガイド14との間の摩擦力を低減することができる。このため、ウェイト13(ウェイト本体30)の重さを決定する際に摩擦力を考慮する必要がなく、ウェイト13の軽量化を図ることができる。
【0048】
本実施形態では、ウェイトシューを、ウェイト本体30の上端部と下端部に設ける構成としたが、上端部のみに設ける構成としてもよく、ウェイト本体30の中間部に設ける等、種々の変更が可能である。さらに、本実施形態では、ドアクローザー機構10を両開きの乗場ドア2、2に取り付ける構成としたが、片開きの乗場ドアにも適応可能である。また、ドアクローザー機構10における、ワイヤー11の止着位置、プーリ12の設置位置、及び、ウェイトガイド14の取付位置は、種々の変更が可能である。
【0049】
上述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成について他の構成を加えることも可能である。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…乗場ドア装置、2…乗場ドア、3…ドアハンガー、4…乗場側ドアシル、5…移動ローラ、6…建屋側ドアレール、7…ヘッダーケース、10…ドアクローザー機構、11…ワイヤー、12…プーリ、13…ウェイト、14…ウェイトガイド、14a…固定部、14b…ガイド片、15…ワイヤー取付ブラケット、16…ロッド、17…ロープソケット、18…シンブルロッド、19…ダブルナット、20…乗場ドア開閉機構、30…ウェイト本体、31…上側ウェイトシュー、31a…溝部、32…下側ウェイトシュー、32a…溝部、34…ボルト、35…ロックナット
図1
図2
図3
図4
図5