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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176065
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20231206BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20231206BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/01 Z
B41J29/393 101
B41J29/393 107
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088142
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】及川 敏史
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ03
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061KK12
2C061KK18
2C061KK22
2C061KK25
2C061KK32
2H270LA22
2H270LA44
2H270LB14
2H270LC07
2H270LD03
2H270LD16
2H270MD04
2H270MH06
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZD01
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC05
2H300EH16
2H300EJ09
2H300GG12
2H300GG31
2H300GG32
2H300RR15
2H300RR37
2H300RR38
2H300RR39
2H300RR40
2H300RR50
2H300TT03
2H300TT04
(57)【要約】
【課題】 キャリブレーションに用いられるシートのサイズに適した読取動作を実行する。
【解決手段】 搬送ローラ406、及び407がパッチ画像Pが形成されたシートSを間欠に搬送する間に停止中のシートS上を搬送方向に交差する方向へ移動しながらパッチ画像Pを読み取る測色ユニット500と、シートSのサイズに関する情報を取得する測色通信部450と、間欠に搬送する搬送回数と測色ユニットの移動回数とをシートSのサイズに関する情報に基づいて制御するCPU453とを備える。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト画像をシートに形成する画像形成手段と、
複数のローラを有し、前記シートを搬送する搬送手段と、
前記複数のローラに含まれる第1ローラと前記複数のローラに含まれる第2ローラとによって前記シートが搬送される搬送方向に交差する方向へ移動し、前記搬送手段が前記シートを間欠に搬送する間に停止中の前記シート上を前記方向に移動しながら前記第1ローラと前記第2ローラとの間に位置する前記シート上の領域を読み取る読取手段と、
前記テスト画像が形成される前記シートのサイズに関する情報を取得する取得手段と、
前記搬送手段が前記シートを間欠に搬送する搬送回数と、前記読取手段が前記方向へ移動する移動回数とを、前記取得手段により取得された前記情報に基づいて制御する制御手段と、
前記読取手段により読み取られた前記複数のテスト画像の読取結果を出力する出力手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成装置のキャリブレーションの種類を受け付ける受付手段をさらに有し、
前記画像形成手段は、前記キャリブレーションの種類に基づく前記テスト画像を形成し、
前記決定手段は、前記搬送回数と前記移動回数を、前記キャリブレーションの種類と前記情報とに基づいて制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記読取手段は、前記方向において第1側へ移動する第1の移動と、前記方向において前記第1側と逆の第2側へ移動する第2の移動と、を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像データを変換条件に基づいて変換する変換手段と、
前記出力手段により出力された前記読取結果に基づいて前記変換条件を生成する生成手段と、をさらに有し、
前記画像形成手段は前記変換手段により変換された前記画像データに基づいて画像を形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートが搬送される搬送方向と交差する方向へ移動しながら、シートに形成されたキャリブレーション用のテスト画像を読み取る読取処理に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オンデマンド画像形成装置の市場が拡大している。例えば、オフセット印刷市場では、電子写真方式の画像形成装置が広がりつつある。また、ラージフォーマット、低イニシャルコスト、超高速等の理由で幅広い市場開拓に成功したインクジェット方式の画像形成装置がある。しかし市場拡大は容易なものではなく、その市場を担ってきた先行の画像形成装置の画像品質(以下、「画質」と呼ぶ。)を維持しなければならない。
【0003】
画像形成装置が形成する画像の質には、階調性、粒状性、面内一様性、文字品位、色再現性(色安定性を含む)等がある。例えば、人間が記憶している特定の色(記憶色)は、写真等への出力時にその再現性が重要になる。また、例えば、印刷物とモニタの色の差に違和感を覚えてしまうオフィスユーザ、或いはコンピュータグラフィックスを扱うグラフィックアーツユーザは、画像形成装置により印刷される画像の色再現性への要求度が高い。
【0004】
そのため、近年ではシートに形成されたテスト画像を読み取り、画像形成条件を決定する画像形成装置が登場している。特許文献1に記載の画像形成装置は、シートに形成されたテスト画像を読み取るため、シートが搬送される搬送方向と交差する方向に移動する読取センサユニットを有している。そして、特許文献1の画像形成装置は、画像形成装置により形成される画像の色を調整するためのカラープロファイルをテスト画像の読取結果に基づいて生成するキャリブレーションを実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-179555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、テスト画像が形成されるシートのサイズが変化する場合には、シート上に形成されるテスト画像のレイアウトも変化させることが好ましい。
【0007】
しかしながら、特許文献1のように予め決められた読取ライン数に従い読取動作が実行される場合、テスト画像が形成されていない領域も読み取るようにセンサが移動するので、ダウンタイムを増大させる可能性がある。また、特許文献1のように予め決められた読取ライン数に従い読取動作が実行される場合、キャリブレーションを実施するのに必要なテスト画像の数が不足してしまい、高精度なキャリブレーションの結果を得ることができない可能性もある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、キャリブレーションに用いられるシートのサイズに適した読取動作を実行することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、テスト画像をシートに形成する画像形成手段と、複数のローラを有し、前記シートを搬送する搬送手段と、前記複数のローラに含まれる第1ローラと前記複数のローラに含まれる第2ローラとによって前記シートが搬送される搬送方向に交差する方向へ移動し、前記搬送手段が前記シートを間欠に搬送する間に停止中の前記シート上を前記方向に移動しながら前記第1ローラと前記第2ローラとの間に位置する前記シート上の領域を読み取る読取手段と、前記テスト画像が形成される前記シートのサイズに関する情報を取得する取得手段と、前記搬送手段が前記シートを間欠に搬送する搬送回数と、前記読取手段が前記方向へ移動する移動回数とを、前記取得手段により取得された前記情報に基づいて制御する制御手段と、前記読取手段により読み取られた前記複数のテスト画像の読取結果を出力する出力手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キャリブレーションに用いられるシートのサイズに適した読取動作を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】画像形成装置の概略構成図
図2】自動読取装置の概略構成図
図3】測色ユニットの要部断面図
図4】画像形成装置の制御ブロック図
図5】カラーマネジメントの説明図
図6】自動読取装置の画像センサを移動させる移動機構の部分斜視図
図7図6に示す移動機構の要部拡大図
図8】画像センサと搬送ローラの位置関係を示す要部斜視図
図9】自動読取装置の画像センサ周辺の要部断面図
図10】パッチ画像の読取処理の説明図
図11】自動読取装置を用いるキャリブレーションのシーケンスを示すフローチャート図
図12】パッチライン数判断シーケンスを示すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
【0013】
(画像形成装置)
図1は、画像形成装置1の概略構成図である。本実施形態の画像形成装置1は、プリンタ100、自動読取装置400、及び排紙装置600により構成される。プリンタ100はシートSに画像を形成する。また、プリンタ100はキャリブレーションが実行される場合にシートSにキャリブレーションに応じたテスト画像(以下ではパッチ画像と称す)を形成する。なお、以下の説明では、プリンタ100はトナーを用いて画像を形成する電子写真プリンタを例に説明される。しかし、画像形成手段として機能するプリンタ100は電子写真プリンタに限定されず、インクジェットプリンタや昇華型プリンタであってもよい。
【0014】
プリンタ100は、筐体101内に画像形成エンジン部を構成する各機構及び各機構の動作を制御する後述のコントローラを備える。筐体101の上部には操作パネル180が設けられる。操作パネル180はユーザインタフェースであり、ユーザからの指示を受け付ける入力装置と、操作画面を表示する出力装置としてのディスプレイを備える。入力装置は、各種キーボタンやタッチパネル等である。画像形成エンジン部を構成する各機構は、画像を形成する機構(画像形成機構)、シートSに画像を転写する機構(転写機構)、シートSを給送する機構(給送機構)、及びシートSに画像を定着させる機構(定着機構)を含む。
【0015】
画像形成機構は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する4つの画像形成部120、121、122、123を備える。画像形成部120、121、122、123は、対応する色の画像を形成する。画像形成部120、121、122、123は、形成する画像の色が異なるのみで、同じ構成である。ここでは画像形成部120の構成について説明し、他の画像形成部121、122、123の構成の説明は省略する。
【0016】
画像形成部120は、感光ドラム105、帯電器111、レーザスキャナ107、及び現像器112を備える。感光ドラム105は、表面に感光層を有するドラム形状の感光体であり、ドラム軸を中心に回転する。帯電器111は、回転する感光ドラム105の表面の感光層を一様に帯電させる。レーザスキャナ107は、形成する画像を表す画像データに基づいて変調されたレーザ光により、感光ドラム105の表面を走査する。レーザスキャナ107は、半導体レーザから出射されるレーザ光を一方向に走査する発光部108と、発光部108からのレーザ光を感光ドラム105に向けて反射する反射ミラー109と、を備える。なお、レーザスキャナ107が感光ドラム105を走査する方向(図中奥行き方向)が主走査方向である。
【0017】
感光ドラム105は、帯電した後にレーザ光により走査されることで、表面に、画像データに応じた静電潜像が形成される。現像器112は、感光ドラム105に形成された静電潜像を、対応する色の現像剤により現像する。これにより感光ドラム105の表面に静電潜像が顕像化された画像が形成される。画像形成部120の感光ドラム105には、イエローの画像が形成される。画像形成部121の感光ドラム105には、マゼンタの画像が形成される。画像形成部122の感光ドラム105には、シアンの画像が形成される。画像形成部123の感光ドラム105には、ブラックの画像が形成される。なお、感光ドラム105及び現像器112は、筐体101に対して着脱可能である。
【0018】
転写機構は、中間転写体106及び転写ローラ114を備える。中間転写体106は、画像形成部120、121、122、123の各感光ドラム105から、画像が順次重畳して転写される。本実施形態では、中間転写体106は、図中時計回りに回転しており、画像形成部120(イエロー)、画像形成部121(マゼンタ)、画像形成部122(シアン)、画像形成部123(ブラック)の順に画像が転写される。中間転写体106の回転方向で画像形成部123の下流側には、中間転写体106上に形成される画像濃度検出用の画像から画像濃度を検出するための画像濃度検出センサ117が設けられる。
【0019】
中間転写体106に転写された画像は、中間転写体106が回転することで転写ローラ114まで搬送される。中間転写体106の回転方向で転写ローラ114の上流側には、シートSへの転写位置を決めるための画像形成開始位置検出センサ115が設けられる。転写ローラ114は、シートSを中間転写体106に圧接すると同時に、中間転写体106上の画像と逆特性のバイアスが印加されることで、中間転写体106からシートSに画像を転写する。
【0020】
給送機構は、シートSを収納する給紙カセット113と、シートSが給送される搬送パスと、シートSを搬送パスに搬送するための各種ローラと、を備える。シートSは、給紙カセット113から給紙され、搬送パスを搬送されながら画像が転写、定着されることで画像が形成され、筐体101の外部に排出される。
【0021】
そのためにシートSは、まず、給紙カセット113から給紙されて、搬送パスを転写ローラ114まで搬送される。給紙カセット113から転写ローラ114までの搬送パスの途中には、シートSの搬送タイミングを調整するための給紙タイミングセンサ116が設けられる。画像形成開始位置検出センサ115が中間転写体106上の画像を検出するタイミングと、給紙タイミングセンサ116がシートSを検出するタイミングとにより、シートSが転写ローラ114へ搬送されるタイミングが調整される。これによりシートSの所定の位置に、中間転写体106から画像が転写される。
【0022】
画像が転写されたシートSは、定着機構へ搬送される。本実施形態の定着機構は、第1定着器150及び第2定着器160を備える。第1定着器150は、シートSに画像を熱圧着するために、シートSを加熱するための定着ローラ151、シートSを定着ローラ151に圧接させるための加圧ベルト152、及び定着完了を検知する定着後センサ153を含む。定着ローラ151は中空ローラであり、内部にヒータ1510を有し、回転することでシートSを搬送するように構成されている。加圧ベルト152は、シートSを定着ローラ151に圧接する。定着後センサ153は、画像定着後のシートSを検出する。
【0023】
第2定着器160は、第1定着器150よりもシートSの搬送方向で下流側に配置され、第1定着器150により定着処理されたシートS上の画像に対するグロスの付加や、定着性の確保に用いられる。第2定着器160は、定着ローラ161、加圧ローラ162、及び定着後センサ163を有する。定着ローラ161は定着ローラ151と同様の構成であり、同様に機能する。加圧ローラ162は、加圧ベルト152と同様に機能する。定着後センサ163は、定着後センサ153と同様に機能する。第2定着器160は、第1定着器150と同様にシートSへの定着処理を行う。
【0024】
第2定着器160は、シートSの種類や画像形成処理の内容によっては使用されないことがある。搬送パス130は、第1定着器150で定着処理されたシートSを、第2定着器160を経由せずに搬送するために設けられる。そのために、シートSの搬送方向で第1定着器150の下流側には、シートSを第2定着器160と搬送パス130とのいずれかに誘導するためのフラッパ131が設けられる。
【0025】
第2定着器160と搬送パス130とのいずれか一方を経由したシートSは、そのまま排出される場合と、搬送パス135に搬送される場合とがある。そのために、第2定着器160後の搬送パスと搬送パス130とが合流した後に、フラッパ132が設けられる。フラッパ132は、シートSを搬送パス135とシートSの排出パスとのいずれかに誘導する。排出パスに誘導されたシートSは、画像が形成された面を上に向けて筐体101の外部に排出される。
【0026】
搬送パス135は、シートSの表裏面の反転に用いられる反転パス136までシートSを搬送する経路である。反転パス136には、シートSを検出する反転センサ137が設けられる。反転センサ137がシートSの後端を検出すると、シートSは反転パス136で搬送方向が反転される。搬送方向が反転したシートSは、搬送パス135と反転パス138とのいずれかに搬送される。そのために搬送パス135と反転パス138との分岐点にフラッパ133が設けられる。搬送パス135に搬送される場合、シートSは、フラッパ133により搬送パス135に誘導され、表裏面が反転されて(画像が形成された面を下に向けて)筐体101の外部に排出される。反転パス138に搬送される場合、シートSは、フラッパ133により反転パス138に誘導される。反転パス138に誘導されたシートSは、表裏面が反転されて、再度転写ローラ114へ搬送される。これによりシートSは、裏面への画像形成が行われる。
【0027】
(自動読取装置)
図2は、自動読取装置400の概略構成図である。自動読取装置400は、プリンタ100の後段に連結され、プリンタ100からシートSが供給される。自動読取装置400は、スルーパス431と読取パス432との2つの搬送パスを備える。スルーパス431は、画像形成装置100から、自動読取装置400の後段に連結される排紙装置600へと搬送されるシートSが通過する搬送路である。読取パス432は、自動読取装置400の排出トレイ423に搬出されるシートSが通過する搬送路である。スルーパス431には、搬送ローラ401、402、403、及び排出ローラ404が設けられる。読取パス432には、複数の搬送ローラ405、406、407、及び排出ローラ408が設けられる。
【0028】
搬送ローラ405と搬送ローラ406との間にシートセンサ421が配置される。搬送ローラ406と搬送ローラ407との間に、シートS上の画像を読み取る読取手段として機能する測色ユニット500が配置される。測色ユニット500は、搬送ローラ406(第1ローラ)と搬送ローラ407(第2ローラ)によってシートSが搬送される搬送方向に交差する方向に移動しながら、搬送ローラ406と搬送ローラ407の間に位置するシートSの画像を読み取る。ここで、測色ユニット500の移動方向とは、図2の紙面に垂直な方向である。シートSに形成された複数のパッチ画像を前記測色ユニット500が読み取るために、複数のパッチ画像が形成されたシートSは間欠に搬送され、測色ユニット500はシートSの搬送停止中に移動方向に移動しながら読取動作を実行する。
【0029】
プリンタ100から送られてきたシートSは、搬送ローラ401、402、403により、スルーパス431と読取パス432との分岐点へ搬送される。シートSは、分岐点でスルーパス431と読取パス432とのいずれか一方へ搬送される。スルーパス431と読取パス432との分岐点にシートSの搬送先を切り替えるフラッパ422が設けられている。
【0030】
スルーパス431をそのまま搬送される場合、シートSは、フラッパ422により排出ローラ404側に誘導され、自動読取装置400の後続に接続される後処理装置としての排紙装置600へ排出される。排紙装置600は、シートSを排紙トレイへ排出する。なお、排紙装置600は、シートSに綴じ処理や製本処理等の後処理を行ってからシートSを排出する後処理装置であってもよい。
【0031】
読取パス432へ搬送される場合、シートSは、フラッパ422により読取パス432へ誘導される。読取パス432に誘導されたシートSは、測色ユニット500によりパッチ画像が読み取られた後に、排出ローラ408により排出トレイ423へ排出される。測色ユニット500は、読取パス432を搬送されるシートSから画像を読み取るインラインセンサである。
【0032】
(測色ユニット)
図3は、測色ユニット500の要部断面図である。測色ユニット500は、画像センサ551を備える。画像センサ551は、白色LED(Light Emitting Diode)501と、回折格子502と、ラインセンサ503と、演算部504と、メモリ505と、レンズ506と、を備える。画像センサ551は、シートSの搬送方向に直交する主走査方向(図2の奥行き方向)に移動しながらシートSに形成された画像を読み取る。画像センサ551を主走査方向に移動させる移動機構については後述する。
【0033】
白色LED501は、発光部であり、読取パス432を搬送されるシートSに対して白色光を照射する。回折格子502は、パッチ画像Pによる反射光を波長毎に分光する。レンズ506は、白色LED501から照射される白色光をパッチ画像Pに集光し、且つパッチ画像Pによる反射光を回折格子502に集光する。
【0034】
ラインセンサ503は、n個の受光素子503-1~503-nを有する受光部である。ラインセンサ503の各受光素子503-1~503-nは、回折格子502により波長毎に分光された反射光を受光する。各受光素子503-1~503-nは、検出結果として、例えば受光した反射光の強度を表す光強度値を出力する。演算部504は、各受光素子503-1~503-nから出力された光強度値に所定の演算を行う。例えば演算部504は、光強度値に対して分光演算やLab値を演算する。メモリ505は、演算結果等の各種データを保存する。
【0035】
(コントローラ)
図4は、画像形成装置1の制御ブロック図である。プリンタ100には、プリンタ100の動作を制御するプリンタコントローラ103及び画像形成のための画像形成エンジン部の動作を制御するエンジン制御部312が、コントローラとして設けられる。自動読取装置400には、自動読取装置400の動作を制御する制御部451及びプリンタコントローラ103と通信を行う通信部450が設けられる。
【0036】
エンジン制御部312は、定着後センサ153、163、反転センサ137、シートSを搬送する各ローラを駆動する駆動モータ311、及びフラッパ131、132が接続される。エンジン制御部312は、各センサの検出結果に基づいて、駆動モータ311、及びフラッパ131、132を制御することで、画像形成エンジン部によるシートSの搬送を行う。また、図示は省略しているが、エンジン制御部312は、画像形成機構、転写機構、給送機構、及び定着機構の動作を制御して、シートSへの画像形成を行う。エンジン制御部312は、プリンタコントローラ103により動作が制御される。
【0037】
プリンタコントローラ103には、操作パネル180及び外部I/F308が接続される。外部I/F308は、所定のネットワークを介して外部装置と通信を行う通信インタフェースである。プリンタコントローラ103は、外部I/F308を介して外部装置からジョブなどを受け付けることができる。プリンタコントローラ103の動作の詳細については後述する。
【0038】
自動読取装置400の制御部451は、CPU453、ROM455、RAM454を内蔵し、ROM455に格納されている制御プログラムにより自動読取装置400を制御する。RAM454は制御データを一時的に保持したり、制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。また、自動読取装置400はプリンタ制御部900と通信可能に接続されている。
【0039】
さらに、自動読取装置400の制御部451は、搬送モータ452、シートセンサ421、フラッパ422、及び測色ユニット500が接続される。制御部451は、通信部450を介してプリンタコントローラ103と通信を行い、プリンタコントローラ103と協働で処理を行う。制御部451は、搬送モータ452により、自動読取装置400内の搬送ローラ401、402、403、排出ローラ404、搬送ローラ405、406、407、及び排出ローラ408の動作を制御して、シートSを搬送する。制御部451は、フラッパ422の動作を制御する。制御部451は、シートセンサ421がシートSを検出したタイミングに応じて測色ユニット500の動作を制御し、シートS上のパッチ画像Pを検出する。
【0040】
(調整基本処理)
本実施形態の画像形成装置1は、プリンタ100により、シートSに画質を維持するためのパッチ画像Pを形成する。プリンタ100は、パッチ画像Pを形成したシートSを自動読取装置400へ搬送する。自動読取装置400は、測色ユニット500(画像センサ551)によりシートSに形成されたパッチ画像Pを読み取る。プリンタコントローラ103は、画像センサ551による検出結果(読取結果)に基づいてフィードバック制御を行い、色再現性などの画質の維持を図る。そのためにプリンタコントローラ103は、測色ユニット500による測色結果に基づいて、色再現性などの画質を維持するために、プリンタ100による画像形成条件を補正する。
【0041】
画像形成装置1は、画像形成条件としてプロファイルを作成し、作成したプロファイルを用いて画像データを変換し、該変換された画像データに基づいて画像を形成する。以下では、優れた色再現性を実現するプロファイルとしてICCプロファイルを用いる。なお、プロファイルには、CRD(Color Rendering Dictionary)、色分解テーブル、ColorWise内CMYKシミュレーションなども用いることができる。
【0042】
(分光反射率の測定、色度演算)
画像センサ551は、パッチ画像Pからの反射光を検出し、不図示の白色基準板からの反射光を検出する。演算部504は、パッチ画像Pの検出結果と白色基準板の検出結果からパッチ画像Pの分光反射率R(λ)を演算する。ここで、λはラインセンサ503の各画素に対応する波長を意味する。
【0043】
画像センサ551は、白色LED501から照射された白色光の測定対象物による反射光を、回折格子502で分光し、380[nm]~720[nm]の各波長領域に配置された受光素子503-1~503-nで検出する。パッチ画像Pからの反射光がラインセンサ503に受光された場合のラインセンサ503の各画素の出力値はパッチ画像の分光データP(λ)として取得される。白色基準板からの反射光がラインセンサ503に受光された場合のラインセンサ503の各画素の出力値は白色基準板の分光データW(λ)として取得される。演算部504は、は分光データP(λ)を白色基準板の分光データW(λ)で割り算することでパッチ画像Pの分光反射率R(λ)を演算する。そして、パッチ画像Pの分光反射率R(λ)はLab演算部303へ入力される。
【0044】
Lab演算部303はCIEの規定通り、パッチ画像Pの分光反射率R(λ)を、等色関数によりL*、a*、b*で表される色データに変換する。色データとパッチ画像Pの信号値(画像データ)との関係により、色変換プロファイルであるICCプロファイルが作成される。
【0045】
(L*a*b*演算)
以下は、分光反射率R(λ)から色データ(L*a*b*)を算出する方法である(ISO13655で規定)。
【0046】
a.試料の分光反射率R(λ)を求める(380[nm]~780[nm])
b.等色関数x(λ)、y(λ)、z(λ)と標準光分光分布SD50(λ)を用意
なお、等色関数はJIS Z8701、SD50(λ)はJIS Z8720で規定され、補助標準イルミナントD50とも呼ばれる。
【0047】
c.R(λ)×SD50(λ)×x(λ)、R(λ)×SD50(λ)×y(λ)、R(λ)×SD50(λ)×z(λ)
d.各波長積算 Σ{R(λ)×SD50(λ)×x(λ)}
Σ{R(λ)×SD50(λ)×y(λ)}
Σ{R(λ)×SD50(λ)×z(λ)}
e.等色関数y(λ)と標準光分光分布SD50(λ)の積を各波長積算
Σ{SD50(λ)×y(λ)}
f.XYZ算出
X=100×Σ{SD50(λ)×y(λ)}/Σ{R(λ)×SD50(λ)×x(λ)}
Y=100×Σ{SD50(λ)×y(λ)}/Σ{R(λ)×SD50(λ)×y(λ)}
Z=100×Σ{SD50(λ)×y(λ)}/Σ{R(λ)×SD50(λ)×z(λ)}
g.L*、a*、b*の算出
L*=116×(Y/Yn)^(1/3)-16
a*=500{(X/Xn)^(1/3)-(Y/Yn)^(1/3)}
b*=200{(Y/Yn)^(1/3)-(Z/Zn)^(1/3)}
Y/Yn>0.008856のとき:Xn、Yn、Znは標準光三刺激値
(X/Xn)^(1/3)=7.78(X/Xn)^(1/3)+16/116
(Y/Yn)^(1/3)=7.78(Y/Yn)^(1/3)+16/116
(Z/Zn)^(1/3)=7.78(Z/Zn)^(1/3)+16/116
(プロファイル作成)
カスタマエンジニアによる部品交換時、カラーマッチング精度が要求されるジョブの前、さらにはデザイン構想段階などで最終出力物の色味が知りたいときなどに、ユーザは操作パネル180によりプロファイルの作成処理を指示する。プリンタコントローラ103は、操作パネル180からの指示に応じてプロファイルを作成する。
【0048】
図4に示すとおり、プリンタコントローラ103は、プロファイル作成部301、Lab演算部303、出力ICCプロファイル格納部305、CMM306、及び入力ICCプロファイル格納部307を備える。
【0049】
プロファイル作成の指示は、操作パネル180からプロファイル作成部301に入力される。プロファイル作成部301は、該指示に応じて、ISO12642テストフォームと呼ばれるパッチ画像データを、プロファイルを介さずに形成するようにエンジン制御部312に送る。同時に、プリンタコントローラ103は、画像センサ551に測色指示を送信する。エンジン制御部312は、プリンタ100の動作を制御して、シートSにISO12642テストフォーム(パッチ画像)を印刷する。テストフォーム(パッチ画像)が印刷されたシートSは、画像センサ551により測色される。測色された928パッチ画像の分光反射率は、プリンタコントローラ103に入力される。分光反射率は、Lab演算部303により色データ(L*、a*、b*)に変換され、プロファイル作成部301に入力される。なお、色データは、L*、a*、b*に限定されず、CIE1931XYZ表色系を用いて表現される色データ(X、Y、Z)へ変換されてもよい。
【0050】
プロファイル作成部301は、テストフォームのCMYK色信号と入力された色データとの関係により、出力ICCプロファイルを作成する。プロファイル作成部301は、作成した出力ICCプロファイルを、出力ICCプロファイル格納部305に既に格納されている出力ICCプロファイルと入れ替える。
【0051】
ISO12642テストフォームは、一般的な複写機が出力可能な色再現域を網羅するCMYK色信号のパッチ画像を含む。プロファイル作成部301は、パッチ画像Pを形成するために用いた画像信号値(色信号値)とパッチ画像Pの測色結果としての色データとの関係から色変換テーブルを作成する。つまり、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各信号値をL*、a*、b*の値への変換テーブル(A2Bxタグ)が作成される。この変換テーブルに基づいて、逆変換テーブル(B2Axタグ)が作成される。
【0052】
プリンタコントローラ103は、外部I/F308を介して外部装置からプロファイル作成の指示を受け付けることもある。この場合、プリンタコントローラ103は、外部装置で作成された出力ICCプロファイルを取得し、該ICCプロファイルに対応したアプリケーションにより色変換を行う。
【0053】
(色変換処理)
通常のカラー画像形成における色変換では、外部I/F308を介して入力されたRGB信号値やJapanColorなどの標準印刷CMYK信号値を想定して入力された画像データは、外部入力用の入力ICCプロファイル格納部307に格納される。この場合、外部I/F308にはスキャナやDFE(Digital Front End Processor)が外部装置として接続される。接続されている外部装置がスキャナの場合、入力ICCプロファイル格納部307に格納された画像データは、RGB→L*a*b*或いはCMYK→L*a*b*変換が行われる。入力ICCプロファイルは、入力信号のガンマ値を制御する一次元LUT、ダイレクトマッピングといわれる多次色LUT、生成された変換データのガンマ値を制御する一次元LUTで構成される。これらのテーブルを用いて、入力ICCプロファイル格納部307に格納された画像データは、デバイスに依存した色空間からデバイスに依存しないL*a*b*データに変換される。
【0054】
図5は、CMM306によるカラーマネジメントの説明図である。L*a*b*の色度座標に変換された画像データは、CMM306に入力される。CMM306は、外部装置であるスキャナなどの読取色空間と、出力機器としてのプリンタ100の出力色再現範囲とのミスマッチをマッピングするGUMAT変換を行う。また、CMM306は、入力時の光源種と出力物を観察するときの光源種のミスマッチ(色温度設定のミスマッチとも言う)を調整する色変換や、黒文字判定等を行う。これによりL*a*b*データは、L*’a*’b*’データへ変換されて、出力ICCプロファイル格納部305に格納される。上述のように、作成したプロファイルは、出力ICCプロファイル格納部305に格納されており、新たに作成したICCプロファイルによって色変換され、出力機器に依存したCMYK信号へと変換され、出力される。図5に示すように、CMM306はカラーマネジメントを行うモジュールである。CMM306は、入力プロファイルと出力プロファイルを使って色変換を行っているモジュールである。
【0055】
また、接続されている外部装置がDFE(Digital Front End Processor)の場合、外部I/F308から、測色指示がプリンタ100に送られてくる。送られてきた測色指示は、プリンタコントローラ103からエンジン制御部312に伝わり、通信部139から自動読取装置400の通信部450に送られる。その後、外部I/F308からテストフォーム(パッチ画像)チャートデータがプリンタ100に送られてくる。プリンタ100は送られてきたパッチ画像チャートデータを印字して自動読取装置450へパッチ画像チャートを搬送する。
【0056】
外部I/F308から送られてくるパッチ画像チャートデータはDFE(Digital Front End Processor)の種類により、さらに各々のDFEの用途(プロファイル作成やカラー検証など)に応じて、パッチライン数は異なる。
【0057】
(DFEキャリブレーション)
画像形成装置1に接続されるDFEはDFEキャリブレーションの実行を画像形成装置1に指示する。DFEキャリブレーションとは、シートの種類ごとに予め定められたターゲット階調が達成されるように、DFEが使用する階調補正用の変換テーブル(γLUT)を生成する処理である。たとえば、DFEは測定用画像データを生成すると共に、該測定用画像データを画像形成装置1のプリンタ100へ転送する。これによりプリンタ100はDFEキャリブレーション用のパッチ画像をシートSに形成する。パッチ画像が形成されたシートSはテストチャートと呼ばれてもよい。
【0058】
さらに、DFEはプリンタ1を介して自動読取装置600にDFEキャリブレーション用のパッチ画像を読み取る際のパッチライン数を通知する。これにより、自動読取装置400の測色ユニット500は、シートS上に形成されたDFEキャリブレーション用のパッチ画像を読み取り、DFEキャリブレーション用のパッチ画像に関する読取データ(分光反射率)をDFEへ送信する。DFEはDFEキャリブレーション用のパッチ画像に関する読取データ(分光反射率)を受信すると、読取データを濃度データに変換し、各パッチ画像の濃度データと、シートの種類ごとのターゲット濃度とに基づきシートの種類ごとのγLUTを生成する。つまり、ターゲット階調が実現されるように、シートの種類ごとのγLUTが生成される。たとえば、コート紙用のγLUT、普通紙用のγLUT、厚紙用のγLUT、薄紙用のγLUTが生成される。DFEは生成したγLUTをシートの種類と関連づけてDFE内のメモリに記憶する。
【0059】
なお、DFEは画像データをγLUTに基づき変換し、該変換された画像データをプリンタ100に転送することで、プリンタ100により形成される画像の濃度をシート種類ごとのターゲット濃度となるような制御することができる。γLUTは画像データを変換する変換条件として機能する。
【0060】
(測色ユニット)
図6図7、及び図8は、画像センサ551を主走査方向に移動させる移動機構の説明図である。測色ユニット500は、画像センサ551に加えて、移動機構を備える。移動機構は、画像センサ551を主走査方向に移動させるための移動ユニット530、移動ユニット530を駆動する移動駆動モータ570、及びユニット検知センサ545、546を備える。移動ユニット530には、図示を省略しているが、画像センサ551が取り付けられる。移動機構の周辺部品として、シートSをa方向に搬送する搬送ローラユニット580、及び搬送ローラユニット580を駆動する搬送駆動ユニット590が配置される。移動駆動モータ570及び搬送駆動ユニット590の駆動制御は、制御部451により行われる。
【0061】
シートSが搬送ローラユニット580により画像センサ551の読取位置551Sに搬送されると、移動ユニット530は、画像センサ551を主走査方向(b方向)に移動開始させる。シートセンサ421がシートSを検出したタイミングと、シートセンサ421がシートSを検出する位置と、シートSの搬送速度に基づいて、シートSが画像センサ551の読取位置に搬送されるタイミングが判定される。画像センサ551は、主走査方向に移動しながらシートSの画像を読み取る(測色する)。
【0062】
搬送ローラユニット580は、シートSの搬送方向(a方向)で画像センサ551の上流側に上流搬送駆動ローラ581及び上流搬送従動ローラ582を有する。また、搬送ローラユニット580は、シートSの搬送方向で画像センサ551の下流側に下流搬送駆動ローラ583及び下流搬送従動ローラ584を有する。搬送ローラユニット580は、搬送ローラ406から搬送されてきたシートSを、読取位置551S(検出位置)を介して搬送ローラ407へ搬送する。
【0063】
本実施形態では、1個の搬送駆動ユニット590により上流搬送駆動ローラ581及び下流搬送駆動ローラ583を駆動する構成である。この他に、上流搬送駆動ローラ581と下流搬送駆動ローラ583との各々に搬送駆動ユニットを設け、上流搬送駆動ローラ581と下流搬送駆動ローラ583とを個別に駆動制御する構成であってもよい。
【0064】
(測色動作)
図9は、読取パス432を搬送されるシートSの画像センサ551の読取位置551Sにおける姿勢を例示する。読取パス432は、鉛直方向の下から上に向かってシートSが搬送されるように設けられる。測色ユニット500は、鉛直方向に搬送されるシートSからパッチ画像を読み取る(測色する)。シートSと
図10は、測色ユニット500によるパッチ画像の読取処理の説明図である。シートSには、行方向及び列方向のそれぞれに所定数のパッチ画像が形成される。本実施形態では、シートSには、P1~Pmのm行の測色用のパッチ画像Pが形成される。各行の列方向に、P1-1、P1-2、P1-3・・・P1-nのn個のパッチ画像が形成されている。つまり1枚のシートSにm×n個のパッチ画像が配置されている。
【0065】
上記の通り、画像センサ551は、移動ユニット530によりシートSの搬送方向に直交する主走査方向へ移動する。シートSは、画像センサ551にパッチ画像を読み取られる際に、搬送ローラユニット580により搬送/停止が制御され、所定量の搬送が可能である。搬送駆動ユニット590は、搬送ローラユニット580により、シートSを所定量だけ搬送して一時停止する動作を繰り返す。シートSの位置は、不図示のシート位置検知センサにより検知される。画像センサ551は、シートSが一時停止している間に主走査方向へ移動して、1行分のパッチ画像を読み取る。そして、主走査方向の装置手前→奥側に移動する場合、移動ユニット530は図10のシートの左側→右側に移動し、ユニット検知センサ546が移動ユニット530を検知したら、移動ユニット530の駆動を停止する。逆に、主走査方向の装置奥側→手前側に移動する場合、移動ユニット530は図10のシートの右側→左側に移動し、ユニット検知センサ545が移動ユニット530を検知したら、移動ユニット530の駆動を停止する。
【0066】
図10(a)に示すように、シートSが画像センサ551の読取位置551Sに搬送される際に、画像センサ551は、主走査方向のシートSの領域外に退避して待機する。ここで、領域外とは、画像センサ551が装置手前側にいる場合はユニット検知センサ545がオンとなるような位置であり、画像センサ551が装置奥側にいる場合はユニット検知センサ546がオンとなるような位置である。シートSは、画像センサ551の読取位置551Sと先頭行のパッチ画像P1の位置とが搬送方向で合うまで搬送されて停止する。シートSの搬送が停止されると、画像センサ551は、図10(b)に示すように主走査方向に移動しながら、n個のP1行のパッチ画像P1-1~P1-nを読み取る。
【0067】
なお、上記の説明では、測色ユニット500が自動読取装置400に設けられる例について説明したが、自動読取装置400は、プリンタ100内に設けられてもよい。例えば、第2定着器160と搬送パス130とが合流した後に、測色ユニット500が配置された読取パス432が設けられていてもよい。
【0068】
(キャリブレーションの動作フロー)
以下では、自動読取装置400を用いるキャリブレーションにおいて自動読取装置400のCPU453が実行するシーケンスを、図11、及び図12に示すフローチャート図に基づき説明される。なお、以下では、キャリブレーションの種類は、DFEキャリブレーション(キャリブレーション1と称す)と、プロファイル作成(キャリブレーション2と称す)を例に説明される。また、図11、及び図12のフローチャート図は、プリンタ100によりキャリブレーションの種類とシートSのサイズに基づいてレイアウトされたパッチ画像Pの測色指示が入力された例が説明される。
【0069】
CPU453は、操作パネル180を用いて入力された、キャリブレーションの種類を受付けると共に、該キャリブレーションに使用するシートSのサイズの情報を測色通信部450によって取得する。CPU453は、入力されたシートSのサイズの情報に基づいて、パッチ画像Pが形成されるシートSの枚数と、各シートS上のパッチ画像Pを読み取るときのパッチライン数を決定する。測色通信部450は、操作パネル180を介して入力される、パッチ画像Pが形成されるシートSのサイズに関する情報を取得する取得手段として機能する。また、測色通信部450は各キャリブレーションにおいてパッチ画像Pの読取が実施された場合、パッチ画像Pに関する読取データを出力する出力手段としても機能する。
【0070】
例えば、キャリブレーション1においてA3サイズが選択された場合、パッチ画像Pが形成されるシートSの枚数が2枚であり、1枚目のパッチライン数が8ライン、2枚目のパッチライン数が4ラインである。また、例えば、キャリブレーション1においてA4サイズが選択された場合、パッチ画像Pが形成されるシートSの枚数が4枚であり、1~3枚目のパッチライン数が4ライン、4枚目のパッチライン数が2ラインである。
【0071】
また、例えば、キャリブレーション2においてA3サイズが選択された場合、パッチ画像Pが形成されるシートSの枚数が2枚であり、1、及び2枚目のパッチライン数が8ラインである。また、例えば、キャリブレーション2においてA4サイズが選択された場合、パッチ画像Pが形成されるシートSの枚数が4枚であり、1~4枚目のパッチライン数が4ラインである。
【0072】
そして、CPU453は、パッチ画像Pが形成されるシートSの枚数と、パッチライン数に基づいて、搬送ローラ406、及び407がシートSを間欠に搬送する搬送回数と、測色ユニット500がシートSの搬送方向に交差する方向へ移動する移動回数を制御する。
【0073】
(キャリブレーション1)
パッチ画像シートの測色指示は、操作パネル180または外部I/F308からプリンタ100のエンジン通信部139を介して自動読取装置400の測色通信部450に測色指示がくる。なお、実施例では、キャリブレーション1の測色指示の情報として、少なくとも、キャリブレーションのモード(種類)と、用紙サイズを含むものとする。また、測色指示がきてジョブが開始されるときはパッチ画像シートカウンタ変数Sheetを0クリアする。
【0074】
測色指示がくると、CPU453はS1001に遷移し、測色パッチの何列目を測色するかを表す変数ReadLineCntを0に設定する。その後、S1002に遷移し、パッチ画像チャートの測色するパッチライン数を判断する。S1002では、測色するパッチライン数の変数LineCntを決定する。
【0075】
CPU453はステップS1002を開始すると、処理をS1101に移行させ、測色通信部450で受け取ったキャリブレーションのモード(種類)を変数CALに設定し、変数CALの値をチェックする(S1102)。
【0076】
キャリブレーション1の要求であると判断した場合(S1102:はい)、パッチ画像シートカウンタ変数Sheetが0かチェックする(S1103)。変数Sheetは、測色するパッチ画像シートが何枚目かを表す変数であり、複数枚のパッチ画像シートを使用して測色する場合、何枚目のパッチ画像シートを測色するか判断できる。Sheetが0の場合(S1103:はい)は、S1104に移り測色通信部450で受け取った用紙サイズ情報を変数Sizeに設定してS1105に移り大サイズ(A3サイズ)かチェックを行う。
【0077】
大サイズの場合は(S1105:はい)、変数SheetMaxに2を設定する(S1106)。小サイズ(A4サイズ)の場合は(S1105:いいえ)変数SheetMaxに4を設定する(S1110)。次にS1107に移り各パッチ画像シートにのるパッチライン数を決定する。大サイズの場合は、パッチ画像シートの1枚目が8ライン、2枚目が4ラインに決定する。小サイズの場合は、パッチ画像シートの1枚目が4ライン、2枚目が4ライン、3枚目が4ライン、4枚目が2ラインと決定する。次にS1108に移り、パッチ画像シートカウンタ変数Sheetを1枚目に設定して、S1109に移り、S1107で決定した1枚目のパッチライン数を変数LineCntに設定する。そしてS1002の処理は終了する。
【0078】
これらの変数SheetMax、LineCntの値は、DFEから通知される印刷設定に基づき予め通知されている。
【0079】
(S1103:いいえ)の条件は、パッチ画像シート2枚目以降の場合である。例えば大サイズの場合で2枚目のパッチ画像シートを測色する場合は(S1103:いいえ)、S1111に移り、Sheetを2枚目に設定して、S1112に移り変数LineCntを2枚目の4ラインに設定する。次に1113に移り、変数Sheetが変数SheetMaxの値と同じであれば(S1113:はい)、パッチ画像シートの最終シートと判断して、変数Sheetを0にする。S1111:いいえの場合は変数Sheetの値は保持される。そしてS1002の処理は終了する。
【0080】
(キャリブレーション2)
ステップS1102においてキャリブレーション1の指示ではない場合はキャリブレーション2であるか判定する(S1115)。ステップS1115においてキャリブレーション2である場合(S1115:はい)、測色通信部450で受け取った測色指示にあるライン数を変数LineCntに設定する(S1116)。
【0081】
実施例では、キャリブレーション2の測色指示の情報として、少なくとも、キャリブレーションのモード(種類)と、ライン数を含むものとする。
【0082】
このケースは、キャリブレーション2と判断した場合(S1115:はい)、パッチ画像シート毎にパッチライン数が動的に可変するものと判断する。そのため、パッチ画像シート毎に測色通信部450で受け取ったライン数を変数LineCntに設定する。
【0083】
また、パッチ画像シートの使用枚数の判断や、各パッチ画像シートにのるパッチライン数の判断は行わない。そしてS1002の処理は終了する。
【0084】
このケースでは、パッチ画像シート毎に、DFEから通知されるライン数を変数LineCntに設定することで、パッチ画像シートのパッチライン数が動的に可変しても適切なライン数を読むことができる。
【0085】
変数CALの内容が、キャリブレーション1でもキャリブレーション2でもない場合は、S1117に移る。S1117では測色通信部450で受け取った用紙サイズ情報を変数Sizeに設定してS1118に移り大サイズかチェックを行う。大サイズの場合は(S1118:はい)、大サイズで測色できる最大のパッチライン数(固定値を設定する)を変数LineCntに設定する(S1119)。小サイズの場合は(S1118:いいえ)小サイズで測色できる最大のパッチライン数(固定値を設定する)を変数LineCntに設定する(S1120)。そしてS1001の処理は終了する。
【0086】
また、自動読取装置400を用いるキャリブレーションの種類はプロファイル作成やDFEキャリブレーションに限らず、ベリフィケーションや他のパッチの形成を伴うキャリブレーションであってもよい。
【0087】
(パッチ画像シートの測色動作)
S1002のパッチライン数判断が終了すると、S1003へ移りパッチ画像シート上の測色するトータルパッチライン数を表す変数AllreadLincCntに、取得したLineCntの値を設定する。今回の実施例ではLineCntを8とする。
【0088】
次にパッチ画像シートが搬送されてきて、測色位置(図10(a)の測色先頭ラインP1の位置)で停止するまで待つ(図示なし)。パッチ画像シートが測色先頭ラインの位置で停止すると、S1004へ移り移動ユニット530を手前の位置から奥の位置へ移動させる。並行して画像センサ551がパッチ測色処理を行っていく(S1005)。
【0089】
画像センサ551が図10(a)のP1のラインを測色しながら図10(c)の位置(奥の位置)に到達して停止すると、P1ラインの測色動作は終了して、測色パッチの何列目を測色するかを表す変数readLineCntをインクリメントする(S1006)。次にS1007に移り、変数AllreadLincCntの値に達したかチェックする。図10のP1ラインの測色後なので、変数AllreadLincCntの値(8)に達していない。変数readLineCntの値が変数AllreadLincCntの値に達していない場合(S1007:いいえ)、処理をS1010に移行する。S1010では、パッチ画像シートを図10(c)のP2の測色ライン位置まで移動させる。次にS1011に移り移動ユニット530を奥の位置から手前の位置へ移動させる。並行して画像センサ551がパッチ測色処理を行っていく(S1012)。
【0090】
一方、ステップS1007において、変数readLineCntの値が変数AllreadLincCntの値に達した場合、移動ユニット530を奥の位置から手前の位置へ移動させ、処理をS1008へ移行させる。
【0091】
画像センサ551が図10(c)のP2のラインを測色しながら手前の位置に到達して停止すると、P2ラインの測色動作は終了して、S1013に移り、測色パッチの何列目を測色するかを表す変数readLineCntをインクリメントする。
【0092】
次にS1014に移り、変数AllreadLincCntの値に達したかチェックする。図10のP2ラインの測色後なので、変数AllreadLincCntの値(8)に達していない状態なので(S1014:いいえ)、S1015に移る。S1015では、パッチ画像シートを図10のP3(図示なし)の測色ライン位置まで移動させる。次にS1004へ移り移動ユニット530を手前の位置から奥の位置へ移動させる。並行して画像センサ551がパッチ測色処理を行っていく(S1005)。
【0093】
このS1004~S1015の動作を変数readLineCntが8になるまで繰り返す。変数readLineCntが8になると、変数AllreadLincCntに到達して(S1014:はい)、S1008へ移り、パッチ画像シートは図10の搬送方向へ搬送されて自動読取装置400の外に排出される。
【0094】
1枚分の測色処理が終了するとS1040に遷移し、Sheet=0、つまり全用紙の測色処理が完了したか否かを判断する。Sheet=0でない場合は次紙の測色を行うためS1002へ戻り、前述のパッチライン数判断フロー、及び実際の測色処理を同様に行う。Sheet=0である場合は全用紙の測色処理が完了したと判断し測色処理を終了する(S1009)。
【0095】
以上に説明したように、外部装置でICCプロファイルなどのキャリブレーションを行う際、必要に応じてパッチラインを可変されても、可変されたライン数分、読むことができるため、無駄なく最適な測色時間で測色できる。
【符号の説明】
【0096】
100 プリンタ
406 搬送ローラ
407 搬送ローラ
450 測色通信部
453 CPU
500 測色ユニット
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12