(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176076
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】人力駆動車用のハブ
(51)【国際特許分類】
B62J 6/12 20060101AFI20231206BHJP
B60B 37/00 20060101ALI20231206BHJP
B60B 27/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B62J6/12
B60B37/00 D
B60B27/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088164
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松枝 慶治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 実
(72)【発明者】
【氏名】タン ヤン ハン
(57)【要約】
【課題】部品点数を削減できるブレーキ力調整機構を備える人力駆動車用のハブを提供する。
【解決手段】人力駆動車用のハブは、ハブ軸と、前記ハブ軸に対して回転可能に設けられ、第1フランジと、前記第1フランジから前記ハブ軸の軸方向に離れて設けられる第2フランジと、を含むハブシェルと、前記ハブ軸または前記ハブシェルに設けられ、磁石または磁石取付部が設けられる第1配置面と、ブレーキ装置によるブレーキ力を調整するように前記ハブシェルに少なくとも一部が設けられるブレーキ力調整機構と、前記第1フランジおよび前記第1配置面が設けられる第1領域と、前記第2フランジおよび前記ブレーキ力調整機構が設けられる第2領域と、を備え、前記ハブシェルは、前記第1領域に含まれる第1部分、および、前記第2領域に含まれる第2部分を含み、前記第1部分は、前記第2部分と一体に形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用のハブであって、
ハブ軸と、
前記ハブ軸に対して回転可能に設けられ、第1フランジと、前記第1フランジから前記ハブ軸の軸方向に離れて設けられる第2フランジと、を含むハブシェルと、
前記ハブ軸または前記ハブシェルに設けられ、磁石または磁石取付部が設けられる第1配置面と、
ブレーキ装置によるブレーキ力を調整するように前記ハブシェルに少なくとも一部が設けられるブレーキ力調整機構と、
前記第1フランジおよび前記第1配置面が設けられる第1領域と、
前記第2フランジおよび前記ブレーキ力調整機構が設けられる第2領域と、を備え、
前記ハブシェルは、前記第1領域に含まれる第1部分、および、前記第2領域に含まれる第2部分を含み、
前記第1部分は、前記第2部分と一体に形成される、ハブ。
【請求項2】
前記第1配置面は、前記ハブシェルに設けられ、
前記磁石または前記磁石取付部は、前記第1配置面に設けられた状態において、前記ハブ軸と対向する、請求項1に記載のハブ。
【請求項3】
前記ハブ軸に設けられ、前記ハブシェルと前記ハブ軸との間に配置可能な発電機構が着脱可能に設けられる第2配置面を含み、
前記磁石または前記磁石取付部は、前記第1配置面に設けられた状態において、前記第2配置面と対向する、請求項2に記載のハブ。
【請求項4】
前記ハブシェルと前記ハブ軸との間に設けられる発電機構をさらに備え、
前記発電機構は、着脱可能に前記ハブ軸に設けられる、請求項1に記載のハブ。
【請求項5】
前記発電機構は、前記ハブ軸に着脱可能に取り付けられる取付部分を含む、請求項4に記載のハブ。
【請求項6】
前記発電機構は、前記ハブ軸に設けられるステータおよびヨークを含み、
前記ステータおよび前記ヨークは、前記ハブ軸の径方向において前記第1配置面と重なるように設けられる、請求項4に記載のハブ。
【請求項7】
前記発電機構は、前記第1領域に設けられる、請求項4に記載のハブ。
【請求項8】
前記第1領域における前記ハブシェルの最小内径は、前記第2領域における前記ハブシェルの最大内径以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載のハブ。
【請求項9】
前記第1領域における前記ハブシェルの最小内径は、前記第2領域における前記ハブシェルの最大内径と実質的に等しい、請求項8に記載のハブ。
【請求項10】
前記第1領域における前記ハブシェルの最小外径は、前記第2領域における前記ハブシェルの最小外径と実質的に等しい、請求項1から7のいずれか一項に記載のハブ。
【請求項11】
前記ブレーキ力調整機構は、前記ハブシェルに設けられ、
前記ハブシェルは、前記ブレーキ力調整機構が前記ハブシェルに設けられた状態において、前記ハブ軸から着脱可能に前記ハブ軸に設けられる、請求項1から7のいずれか一項に記載のハブ。
【請求項12】
前記ブレーキ力調整機構は、前記ブレーキ力が所定ブレーキ力よりも大きい場合に、前記ブレーキ力が前記所定ブレーキ力以下になるように、前記ブレーキ力を調整する、請求項1から7のいずれか一項に記載のハブ。
【請求項13】
前記ブレーキ力調整機構は、
前記ブレーキ装置に接続可能に構成され、前記ハブ軸に対して回転する第1部材と、
前記第2部分に設けられ、前記第1部材に係合する第2部材と、を含み、
前記第2部材は、前記ブレーキ力が前記所定ブレーキ力よりも大きい場合に、前記第1部材に対して回転するように構成される、請求項12に記載のハブ。
【請求項14】
前記第2部材は、前記第1部材に摩擦係合する、請求項13に記載のハブ。
【請求項15】
前記ハブ軸の中心軸心を含み、かつ、前記軸方向に平行な断面において、前記第1配置面は、前記軸方向に平行な直線部分を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のハブ。
【請求項16】
前記軸方向において、前記第1配置面の長さは、30mm以上かつ40mm以下である、請求項1に記載のハブ。
【請求項17】
前記軸方向において、前記第2配置面の長さは、28mm以上かつ38mm以下である、請求項3に記載のハブ。
【請求項18】
前記軸方向に垂直な方向において、前記第1配置面から前記第2配置面までの距離は、15mm以上かつ25mm以下である、請求項3に記載のハブ。
【請求項19】
前記軸方向において、前記第1領域の長さは、前記第2領域の長さよりも大きい、請求項1に記載のハブ。
【請求項20】
前記軸方向において、前記第1領域の長さは、40mm以上かつ50mm以下である、請求項19に記載のハブ。
【請求項21】
前記軸方向において、前記第2領域の長さは、15mm以上かつ25mm以下である、請求項19または20に記載のハブ。
【請求項22】
前記第1領域は、前記軸方向において、前記第2領域に隣接する、請求項1に記載のハブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用のハブに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、人力駆動車用のハブの一例を開示する。特許文献1に開示されるハブは、ブレーキ力調整機構を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるハブのハブシェルは、第1領域と、第1領域とは別体に形成される第2領域とを含む。特許文献1に開示されるハブは、第1領域に磁石が設けられ、第2領域にブレーキ力調整機構が設けられる。
【0005】
本開示の目的の1つは、部品点数を削減できるブレーキ力調整機構を備える人力駆動車用のハブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1側面に従うハブは、人力駆動車用のハブであって、ハブ軸と、前記ハブ軸に対して回転可能に設けられ、第1フランジと、前記第1フランジから前記ハブ軸の軸方向に離れて設けられる第2フランジと、を含むハブシェルと、前記ハブ軸または前記ハブシェルに設けられ、磁石または磁石取付部が設けられる第1配置面と、ブレーキ装置によるブレーキ力を調整するように前記ハブシェルに少なくとも一部が設けられるブレーキ力調整機構と、前記第1フランジおよび前記第1配置面が設けられる第1領域と、前記第2フランジおよび前記ブレーキ力調整機構が設けられる第2領域と、を備え、前記ハブシェルは、前記第1領域に含まれる第1部分、および、前記第2領域に含まれる第2部分を含み、前記第1部分は、前記第2部分と一体に形成される。
第1側面のハブによれば、ブレーキ力調整機構が設けられるハブにおいて、ハブシェルのうちの第1領域に含まれる第1部分、および、ハブシェルのうちの第2領域に含まれる第2部分が一体に形成されるため、部品点数を削減できる。
【0007】
本開示の第1側面に従う第2側面のハブにおいて、前記第1配置面は、前記ハブシェルに設けられ、前記磁石または前記磁石取付部は、前記第1配置面に設けられた状態において、前記ハブ軸と対向する。
第2側面のハブによれば、磁石または磁石取付部をハブ軸と対向するようにハブシェルに設けることができる。
【0008】
本開示の第2側面に従う第3側面のハブにおいて、前記ハブ軸に設けられ、前記ハブシェルと前記ハブ軸との間に配置可能な発電機構が着脱可能に設けられる第2配置面を含み、前記磁石または前記磁石取付部は、前記第1配置面に設けられた状態において、前記第2配置面と対向する。
第3側面のハブによれば、磁石または磁石取付部をハブシェルに設け、かつ、発電機構をハブ軸に設けることができる。したがって、発電機構が第2配置面に設けられた状態において、ハブシェルとハブ軸との間において、磁石と発電機構とが、好適な位置関係になるように設けることができる。
【0009】
本開示の第1側面に従う第4側面のハブにおいて、前記ハブシェルと前記ハブ軸との間に設けられる発電機構をさらに備え、前記発電機構は、着脱可能に前記ハブ軸に設けられる。
第4側面のハブによれば、発電機構が着脱可能にハブシェルとハブ軸との間に設けられるため、発電機構が不要な場合には、発電機構を取り外したハブが利用できる。
【0010】
本開示の第4側面に従う第5側面のハブにおいて、前記発電機構は、前記ハブ軸に着脱可能に取り付けられる取付部分を含む。
第5側面のハブによれば、取付部分によって発電機構をハブ軸に好適に着脱できる。
【0011】
本開示の第4または第5側面に従う第6側面のハブにおいて、前記発電機構は、前記ハブ軸に設けられるステータおよびヨークを含み、前記ステータおよび前記ヨークは、前記ハブ軸の径方向において前記第1配置面と重なるように設けられる。
第6側面のハブによれば、ステータおよびヨークを含む発電機構によって好適に発電できる。
【0012】
本開示の第4から第6のいずれか1つに従う第7側面のハブにおいて、前記発電機構は、前記第1領域に設けられる。
第7側面のハブによれば、発電機構をハブに好適に設けることができる。
【0013】
本開示の第1から第7側面のいずれか1つに従う第8側面のハブにおいて、前記第1領域における前記ハブシェルの最小内径は、前記第2領域における前記ハブシェルの最大内径以下である。
第8側面のハブによれば、第1領域におけるハブシェルの最小内径を小さくできる。
【0014】
本開示の第8側面に従う第9側面のハブにおいて、前記第1領域における前記ハブシェルの最小内径は、前記第2領域における前記ハブシェルの最大内径と実質的に等しい。
第9側面のハブによれば、ハブシェルの内面を簡単な形状にできる。
【0015】
本開示の第1から第9側面のいずれか1つに従う第10側面のハブにおいて、前記第1領域における前記ハブシェルの最小外径は、前記第2領域における前記ハブシェルの最小外径と実質的に等しい。
第10側面のハブによれば、ハブシェルの外面を簡単な形状にできる。
【0016】
本開示の第1から第10側面のいずれか1つに従う第11側面のハブにおいて、前記ブレーキ力調整機構は、前記ハブシェルに設けられ、前記ハブシェルは、前記ブレーキ力調整機構が前記ハブシェルに設けられた状態において、前記ハブ軸から着脱可能に前記ハブ軸に設けられる。
第11側面のハブによれば、ブレーキ力調整機構がハブシェルに設けられた状態においてハブシェルをハブ軸から取り外しできるため、ブレーキ力調整機構およびハブシェルをハブ軸から取り外す工程を簡便にできる。
【0017】
本開示の第1から第11側面のいずれか1つに従う第12側面のハブにおいて、前記ブレーキ力調整機構は、前記ブレーキ力が所定ブレーキ力よりも大きい場合に、前記ブレーキ力が前記所定ブレーキ力以下になるように、前記ブレーキ力を調整する。
第12側面のハブによれば、ブレーキ力が所定ブレーキ力以下になるようにブレーキ力を調整できるため、好適に制動ができる。
【0018】
本開示の第12側面に従う第13側面のハブにおいて、前記ブレーキ力調整機構は、前記ブレーキ装置に接続可能に構成され、前記ハブ軸に対して回転する第1部材と、前記第2部分に設けられ、前記第1部材に係合する第2部材と、を含み、前記第2部材は、前記ブレーキ力が前記所定ブレーキ力よりも大きい場合に、前記第1部材に対して回転するように構成される。
第13側面のハブによれば、第2部材が第1部材に対して回転することによって、好適にブレーキ力を所定ブレーキ力以下にできる。
【0019】
本開示の第13側面に従う第14側面のハブにおいて、前記第2部材は、前記第1部材に摩擦係合する。
第14側面のハブによれば、第2部材が第1部材に摩擦係合することによって、好適に制動できる。
【0020】
本開示の第1から第14側面のいずれか1つに従う第15側面のハブにおいて、前記ハブ軸の中心軸心を含み、かつ、前記軸方向に平行な断面において、前記第1配置面は、前記軸方向に平行な直線部分を含む。
第15側面のハブによれば、磁石または磁石取付部を第1配置面に好適に配置できる。
【0021】
本開示の第1から第15側面のいずれか1つに従う第16側面のハブにおいて、前記軸方向において、前記第1配置面の長さは、30mm以上かつ40mm以下である。
第16側面のハブによれば、軸方向の長さが30mm以上かつ40mm以下の第1配置面に、磁石または磁石取付部を配置できる。
【0022】
本開示の第3側面に従う第17側面のハブにおいて、前記軸方向において、前記第2配置面の長さは、28mm以上かつ38mm以下である。
第17側面のハブによれば、軸方向の長さが28mm以上かつ38mm以下の第2配置面に、発電機構を配置できる。
【0023】
本開示の第3または第17側面に従う第18側面のハブにおいて、前記軸方向に垂直な方向において、前記第1配置面から前記第2配置面までの距離は、15mm以上かつ25mm以下である。
第18側面のハブによれば、軸方向に垂直な方向の距離が、15mm以上かつ25mm以下の部分に発電機構を配置できる。
【0024】
本開示の第1から第18側面のいずれか1つに従う第19側面のハブにおいて、前記軸方向において、前記第1領域の長さは、前記第2領域の長さよりも大きい。
第19側面のハブによれば、軸方向において、第1配置面をブレーキ力調整機構よりも大きくできる。
【0025】
本開示の第1から第19側面のいずれか1つに従う第20側面のハブにおいて、前記軸方向において、前記第1領域の長さは、40mm以上かつ50mm以下である。
第20側面のハブによれば、軸方向において40mm以上かつ50mm以下の部分に第1配置面を配置できる。
【0026】
本開示の第1から第20側面のいずれか1つに従う第21側面のハブにおいて、前記軸方向において、前記第2領域の長さは、15mm以上かつ25mm以下である。
第21側面のハブによれば、軸方向において15mm以上かつ25mm以下の部分にブレーキ力調整機構を配置できる。
【0027】
本開示の第1から第21側面のいずれか1つに従う第22側面のハブにおいて、前記第1領域は、前記軸方向において前記第2領域に隣接する。
第22側面のハブによれば、第1部分と第2部分とを簡単に形成できる。
【発明の効果】
【0028】
本開示の人力駆動車用のハブは、部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車用のハブにおいて、発電機構を備える人力駆動車用のハブの正面図である。
【
図3】
図2の人力駆動車用のハブにおいて、発電機構を備えない人力駆動車用のハブの断面図である。
【
図4】
図2の人力駆動車用のハブにおいて、発電機構の取り外し工程における第1状態を示す断面図である。
【
図5】
図2の人力駆動車用のハブにおいて、発電機構の取り外し工程における第2状態を示す断面図である。
【
図6】
図2の人力駆動車用のハブにおいて、発電機構の取り外し工程における第3状態を示す断面図である。
【
図7】
図2の人力駆動車用のハブにおいて、発電機構の取り外し工程における第4状態を示す断面図である。
【
図8】
図2の人力駆動車用のハブにおいて、発電機構の取り外し工程における第5状態を示す断面図である。
【
図9】
図2の人力駆動車用のハブにおいて、発電機構の取り外し工程における第6状態を示す断面図である。
【
図10】
図2の人力駆動車用のハブにおいて、発電機構の取り外し工程における第7状態を示す断面図である。
【
図11】
図2の人力駆動車用のハブにおいて、発電機構の取り外し工程における第8状態を示す断面図である。
【
図12】
図2の人力駆動車用のハブにおいて、発電機構の取り外し工程における第9状態を示す断面図である。
【
図13】
図2の人力駆動車用のハブにおいて、発電機構の取り外し工程における第10状態を示す断面図である。
【
図14】第2実施形態の人力駆動車用のハブの断面図である。
【
図15】第3実施形態の人力駆動車用のハブの断面図である。
【
図16】第4実施形態の人力駆動車用のハブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1実施形態>
図1から
図13を参照して、第1実施形態の人力駆動車用のハブ10が説明される。人力駆動車は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車は、例えば1輪車および2輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(E-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車が自転車として説明される。
【0031】
図1および
図2に示されるように、ハブ10は、ハブ軸12と、ハブシェル14と、第1配置面16と、ブレーキ力調整機構18と、第1領域30と、第2領域32と、を備える。ハブシェル14は、ハブ軸12に対して回転可能に設けられる。例えば、ハブ軸12は、円柱形状に形成される。例えば、ハブ軸12は、筒形状に形成される。例えば、ハブシェル14は、筒形状に形成される。例えば、ハブ軸12は、人力駆動車のフレーム90に対して回転不能にフレーム90に設けられる。例えば、ハブ軸12の内部空間には、ハブ軸12をフレーム90に取り付けるための取付部材の一部が設けられる。ハブシェル14は、フレーム90に対して回転可能に、ハブ軸12に設けられる。ハブシェル14は、ハブ軸12の中心軸心C1まわりにハブ軸12に対して回転可能に、ハブ軸12に設けられる。
【0032】
例えば、ハブ軸12は、外面12Aを含む。例えば、ハブシェル14は、内面14Aを含む。ハブ軸12の径方向において、ハブ軸12の外面12Aと、ハブシェル14の内面14Aとの間には、内部空間SAが形成される。
【0033】
第1配置面16は、ハブ軸12またはハブシェル14に設けられ、磁石24または磁石取付部が設けられる。例えば、第1配置面16は、ハブシェル14に設けられる。本実施形態では、第1配置面16は、内面14Aに設けられる。例えば、
図2のようにハブ軸12の中心軸心C1を含み、かつ、軸方向に平行な断面において、第1配置面16は、軸方向に平行な直線部分16Aを含む。例えば、軸方向において、第1配置面16の長さL1は、30mm以上かつ40mm以下である。例えば、長さL1は直線部分16Aの軸方向における長さと一致する。
【0034】
例えば、ハブ10は、磁石24をさらに備える。本実施形態では、磁石24が、第1配置面16に設けられる。例えば、磁石24は、接着剤26を介して、第1配置面16に設けられる。磁石24は、第1配置面16にスプライン篏合等によって係合することによって、第1配置面16に設けられてもよい。例えば、磁石24が筒形状に形成され、第1配置面16に第1スプラインが形成され、磁石24の外面に第1スプラインと係合する第2スプラインが形成される。磁石24の軸方向の長さは、実質的に第1配置面16の長さL1と一致する。磁石24の軸方向の長さは、第1配置面16の長さL1よりも短くてもよい。
図3に示されるように、磁石24は、複数の磁石24を含んでもよい。複数の磁石24は、複数の極が周方向に並ぶように、ハブシェル14の内面14Aに設けられる。磁石24は、永久磁石を含む。磁石24は、内面14Aに着磁された磁石24であってもよい。ハブ10は、磁石24を取り付け可能な磁石取付部を備えていてもよい。磁石24は、磁石取付部に着脱可能に取り付けられてもよい。磁石取付部は、例えば、雌ねじ部を含む。磁石取付部が、雌ねじ部を含む場合、磁石24は、ボルトおよび雌ねじ部によって、内面14Aに設けられる。磁石24は、接着剤26に代えて、溶接によって第1配置面16に設けられてもよい。
【0035】
例えば、ハブ10は、第2配置面20を含む。例えば、第2配置面20は、ハブ軸12またはハブシェル14に設けられる。例えば、第2配置面20は、ハブ軸12に設けられる。本実施形態では、第2配置面20は、外面12Aに設けられる。例えば、第2配置面20は、ハブシェル14とハブ軸12との間に配置可能な発電機構22が着脱可能に設けられる。軸方向において、第2配置面20の長さL2は、28mm以上かつ38mm以下である。例えば、ハブ軸12の軸方向において、第1配置面16の長さL1は、第2配置面20の長さL2よりも長くてもよく、短くてもよい。例えば、ハブ軸12の軸方向において、第1配置面16の長さL1は、第2配置面20の長さL2と実質的に等しい。
【0036】
ハブシェル14は、第1フランジ28Aと、第2フランジ28Bと、を含む。第2フランジ28Bは、第1フランジ28Aからハブ軸12の軸方向に離れて設けられる。第1フランジ28Aおよび第2フランジ28Bには、車輪のスポークが設けられる。車輪は、人力駆動車の前輪または後輪である。ハブシェル14は、車輪と一体回転するように構成される。
【0037】
第1領域30および第2領域32は、ハブ軸12の軸方向において互いに異なる領域である。第1領域30は、軸方向において、第2領域32に隣接する。第1領域30および第2領域32は、互いに重複しない。軸方向において、第1領域30の長さL3は、第2領域32の長さL4よりも大きい。軸方向において、第1領域30の長さL3は、40mm以上かつ50mm以下である軸方向において、第2領域32の長さL4は、15mm以上かつ25mm以下である。
【0038】
第1領域30には、第1フランジ28Aおよび第1配置面16が設けられる。第1フランジ28Aは、第1領域30におけるハブシェル14の外面から径方向の外方に向かって延びる。第1配置面16は、第1領域30におけるハブシェル14の内面14Aに設けられる。第2領域32には、第2フランジ28Bおよびブレーキ力調整機構18が設けられる。第2フランジ28Bは、第2領域32におけるハブシェル14の外面から径方向の外方に向かって延びる。ブレーキ力調整機構18は、第2領域32におけるハブシェル14の内面14Aに設けられる。
【0039】
例えば、第1領域30は、ハブ軸12の軸方向において、ハブシェル14のうちの第1端部から所定部分までの領域である。例えば、第2領域32は、ハブ軸12の軸方向において、ハブシェル14のうちの第2端部から所定部分までの領域である。所定部分は、例えば、ハブ軸12の軸方向において、ブレーキ力調整機構18と第1配置面16との間の部分と対応する。所定部分は、ハブ軸12の軸方向において、ブレーキ力調整機構18のうちの第1配置面16側の端部と対応してもよく、ハブ軸12の軸方向において、第1配置面16側のうちのブレーキ力調整機構18側の端部と対応してもよい。
【0040】
ハブシェル14は、第1部分30A、および、第2部分32Aを含む。第1部分30Aは、第1領域30に含まれる。第2部分32Aは、第2領域32に含まれる。第1部分30Aは、第2部分32Aと一体に形成される。例えば、第1部分30Aおよび第2部分32Aは、鋳造、接着剤による接着、または、溶接等によって分離不能なように形成される。第1部分30Aおよび第2部分32Aは、単一の材料によって形成されてもよいし、各別の材料によって形成されてもよい。
【0041】
ハブ10には、ハブシェル14のうちの、ハブ軸12の第1領域30側の端部の開口を閉鎖するカバー56が設けられてもよい。カバー56は、第1部分30Aの内面14Aに、着脱可能に設けられる。カバー56は、ハブシェル14の内部空間SAを区画するように、第1部分30Aの内面14Aからハブ軸12に向けてハブシェル14の径方向内側に延びる。カバー56は、ハブシェル14と一体回転するように構成される。ハブ10には、ハブシェル14のうちの第2領域32側の端部の開口を閉鎖するキャップ部が設けられてもよい。キャップ部は、例えば、ブレーキ力調整機構18と一体に形成される。
【0042】
ハブ軸12は、第3部分34と、第4部分36と、を含む。第3部分34は、ハブ軸12のうちの第1領域30に含まれる部分である。第4部分36は、ハブ軸12のうちの第2領域32に含まれる部分である。第3部分34には、第2配置面20が設けられる。例えば、第4部分36の最大外径D1は、第3部分34の最大外径D2以上である。例えば、第4部分36の最大外径D1は、第3部分34の最大外径D2よりも大きい。
【0043】
ブレーキ力調整機構18は、ブレーキ装置92によるブレーキ力を調整するようにハブシェル14に少なくとも一部が設けられる。例えば、ブレーキ装置92は、ディスクブレーキ装置を含む。ブレーキ力調整機構18は、ブレーキ装置92によって入力されたブレーキ力を調整して、調整したブレーキ力をハブシェル14に伝達するように構成される。例えば、ブレーキ力調整機構18は、ブレーキ力が所定ブレーキ力よりも大きい場合に、ブレーキ力が所定ブレーキ力以下になるように、ブレーキ力を調整する。
【0044】
例えば、ブレーキ力調整機構18は、ハブシェル14に設けられる。ハブシェル14は、ブレーキ力調整機構18がハブシェル14に取り付けられた状態において、ハブ軸12から着脱可能にハブ軸12に設けられる。例えば、ブレーキ力調整機構18は、ハブシェル14に着脱不能に設けられる。
【0045】
例えば、ブレーキ力調整機構18は、第1部材38と、第2部材40と、を含む。第1部材38および第2部材40は、円盤形状に形成され、ハブ軸12が貫通するように構成される。例えば、ブレーキ力調整機構18は、複数の第1部材38と、複数の第2部材40と、を含む。例えば、ブレーキ力調整機構18は、2つの第1部材38と、2つの第2部材40と、を含む。複数の第1部材38および複数の第2部材40は、軸方向において交互に設けられる。
【0046】
例えば、ブレーキ力調整機構18は、第1支持部材42および第2支持部材44を含む。第1支持部材42および第2支持部材44は、中心軸心C1まわりに、ハブ軸12に対して回転可能に構成される。第1支持部材42には、ブレーキ装置92に接続可能に構成される第1支持面42Aが形成される。例えば、第1支持面42Aには、ブレーキ装置92の回転体94が接続される。例えば、第1支持面42Aには、ブレーキ装置92の回転体94が接続されるスプライン部が形成される。第2支持部材44は、第1支持部材42と一体回転するように、第1支持部材42に接続される。例えば、第2支持部材44は、第2部材40に接触する第2支持面44Aを含む。
【0047】
例えば、第1部材38は、ブレーキ装置92に接続可能に構成され、ハブ軸12に対して回転する。第1部材38は、第1支持部材42および第2支持部材44を介して、ブレーキ装置92の回転体94に接続される。例えば、ブレーキ装置92は、ディスクブレーキを含み、かつ、回転体94は、ディスクブレーキロータを含む。ブレーキ装置92は、ローラブレーキであってもよく、リムブレーキであってもよい。第1部材38は、第2支持部材44の外面とスプライン嵌合することによって、第2支持部材44と一体回転するように、第2支持部材44に設けられる。
【0048】
例えば、第2部材40は、ハブシェル14に設けられ、第1部材38に係合する。第2部材40は、第2部分32Aの内面14Aとスプライン嵌合することによって、ハブシェル14と一体回転するように、ハブシェル14に設けられる。例えば、第2部材40は、第1部材38に摩擦係合する。第2部材40は、第1部材38と摩擦係合することによって、ブレーキ装置92によって入力されるブレーキ力が所定ブレーキ力以下である場合、第1部材38と一体回転する。所定ブレーキ力は、第1部材38と第2部材40との摩擦力によって設定される。
【0049】
例えば、第2部材40は、ブレーキ力が所定ブレーキ力よりも大きい場合に、第1部材38に対して回転するように構成される。ブレーキ力が所定ブレーキ力よりも大きい場合、第2部材40に対する第1部材38の回転力が、第1部材38と第2部材40との摩擦力よりも大きくなる。第2部材40に対する第1部材38の回転力が、第1部材38と第2部材40との摩擦力よりも大きい場合、第2部材40が第1部材38に対して回転するため、ブレーキ力が所定ブレーキ力以下になるように調整される。
【0050】
例えば、ブレーキ力調整機構18は、付勢部材46を含む。付勢部材46は、円盤形状に形成され、ハブ軸12が貫通するように設けられる。例えば、付勢部材46は、皿ばねを含む。複数の第1部材38および複数の第2部材40は、軸方向において、付勢部材46と第2支持面44Aとの間に挟み込まれる。付勢部材46が軸方向において交互に設けられる複数の第1部材38および複数の第2部材40をハブ軸12の軸方向に付勢することによって、第2部材40が第1部材38に摩擦係合する。
【0051】
例えば、ブレーキ力調整機構18は、付勢力調整機構48を含む。付勢力調整機構48は、円盤形状に形成され、ハブ軸12が貫通するように設けられる。例えば、付勢力調整機構48は、第2支持部材44の雄ねじ部44Bにねじ込まれる雌ねじ部48Aを含む。付勢力調整機構48は、雌ねじ部48Aが雄ねじ部44Bにねじ込まれる量によって、付勢部材46の付勢力を調整可能に構成される。雌ねじ部48Aが雄ねじ部44Bにねじ込まれる量が大きくなるほど、付勢部材46の付勢力が大きくなる。付勢部材46の付勢力が大きくなるほど、第1部材38と第2部材40との摩擦力が大きくなる。
【0052】
例えば、ハブ10は、ハブシェル14とハブ軸12との間に設けられる発電機構22をさらに備える。例えば、発電機構22は、着脱可能にハブ軸12に設けられる。例えば、発電機構22は、ハブ軸12に着脱可能に取り付けられる取付部分22Aを含む。例えば、第2配置面20にはスプラインが形成される。取付部分22Aは、スプライン嵌合によって、第2配置面20に取り付けられる。取付部分22Aが第2配置面20に取り付けられることによって、発電機構22のハブ軸12に対する中心軸心C1まわりの回転が規制される。
【0053】
例えば、発電機構22は、ダイナモを含む。例えば、発電機構22は、ハブ軸12に設けられるステータ50およびヨーク52を含む。例えば、発電機構22は、クローポール型の発電機である。ステータ50およびヨーク52は、ハブ軸12と相対回転不能に、ハブ軸12の外面12Aに設けられる。例えば、ステータ50およびヨーク52は、ハブ軸12の径方向において第1配置面16と重なるように設けられる。ステータ50およびヨーク52は、第1配置面16に設けられる磁石24に対して回転するように、第3部分34の外面12Aに設けられる。発電機構22は、ステータ50およびヨーク52が磁石24に対して回転することによって、発電する。
【0054】
ステータ50は、コイル50Aおよびボビン50Bを含む。コイル50Aは、ボビン50Bに巻き付けられる。ヨーク52は、複数の第1ヨーク52Aおよび複数の第2ヨーク52Bを含む。第1ヨーク52Aは、複数の第1ヨーク片によって構成される。第2ヨーク52Bは、複数の第2ヨーク片によって構成される。複数の第1ヨーク52Aおよび複数の第2ヨーク52Bは、ボビン50Bに設けられる凹部にはめられることによって、周方向において交互に第3部分34の外面12Aに設けられる。
【0055】
例えば、発電機構22は、電気部品54をさらに備える。電気部品54は、ステータ50およびヨーク52と電気的に接続する。電気部品54は、人力駆動車のハブ10とは異なる電気コンポーネントと電気的に接続可能に構成される。電気部品54は、ステータ50およびヨーク52と、人力駆動車のハブ10とは異なるコンポーネントとを電気的に接続する。
【0056】
例えば、ハブ10は、第1軸受58および第2軸受60をさらに備える。第1軸受58は、ハブシェル14がハブ軸12に対して回転可能に、カバー56とハブ軸12との間に設けられる。例えば、第1軸受58は、第1外輪58A、第1内輪58B、および、第1回転体58Cを含む。第1外輪58Aは、カバー56の径方向内側に設けられる。第1内輪58Bは、第3部分34の外面12Aに設けられる。第1回転体58Cは、第1外輪58Aが第1内輪58Bに対して回転可能に、第1外輪58Aと第1内輪58Bとの間に設けられる。例えば、第1回転体58Cは球であり、第1軸受58は玉軸受である。
【0057】
第2軸受60は、ブレーキ力調整機構18がハブ軸12に対して回転可能に、ブレーキ力調整機構18とハブ軸12との間に設けられる。例えば、第2軸受60は、第2外輪60A、第2内輪60B、および、第2回転体60Cを含む。第2外輪60Aは、ブレーキ力調整機構18の第2支持部材44の内面に設けられる。第2内輪60Bは、第4部分36の外面12Aに設けられる。第2回転体60Cは、第2外輪60Aが第2内輪60Bに対して回転可能に、第2外輪60Aと第2内輪60Bとの間に設けられる。例えば、第2回転体60Cは長さ方向が軸方向に一致する棒状部材であり、第2軸受60はニードルベアリングである。
【0058】
例えば、ハブ10は、第1規制部材62、第2規制部材64、および、第3規制部材66をさらに備える。第1規制部材62、第2規制部材64、および、第3規制部材66は、ハブ軸12に対するハブシェル14の軸方向の移動を規制するように構成される。第1規制部材62、第2規制部材64、および、第3規制部材66は、環状に形成され、ハブ軸12が貫通する。
【0059】
例えば、第1規制部材62および第2規制部材64は、ハブ軸12に着脱可能に設けられるロックナットである。第1規制部材62および第2規制部材64は、軸方向において、それぞれの間にハブシェル14が位置するように、ハブ軸12に設けられる。例えば、第3規制部材66は、軸方向における第2規制部材64に対するハブシェル14の位置を決定するスペーサである。第3規制部材66は、軸方向において、第2規制部材64とブレーキ力調整機構18の第2支持部材44との間に位置するように、ハブ軸12に設けられる。
【0060】
例えば、ハブ10は、第3軸受68をさらに備える。第3軸受68は、第2支持部材44が第3規制部材66に対して回転可能に、第2支持部材44に設けられる。例えば、第3軸受68は、第3外輪68A、第3内輪68B、および、第3回転体68Cを含む。第3外輪68Aは、第3規制部材66に接触するように、設けられる。第3内輪68Bは、第2支持部材44に接触するように、設けられる。第3回転体68Cは、周方向において第3外輪68Aが第3内輪68Bに対して回転可能に、第3外輪68Aと第3内輪68Bとの間に設けられる。例えば、第3回転体68Cは球であり、第3軸受68は玉軸受である。
【0061】
例えば、ハブ10は、第4規制部材70および第5規制部材72をさらに備える。第4規制部材70および第5規制部材72は、ハブ軸12に対する発電機構22の軸方向の移動を規制するように設けられる。第4規制部材70および第5規制部材72は、環状に形成され、ハブ軸12が貫通する。例えば、第4規制部材70および第5規制部材72は、ハブ軸12に着脱可能に設けられるロックナットである。第4規制部材70および第5規制部材72は、軸方向においてお互いの間に発電機構22が位置するように、ハブ軸12に設けられる。
【0062】
図3に示されるように、ハブ10は、発電機構22を取り外した状態において、人力駆動車用のハブ10として使用可能に構成される。
図3のハブ10は、発電機構22による発電が不要な人力駆動車に用いることができる。ハブ10から発電機構22を取り外すことによって、ハブ10が軽量化される。例えば、
図3の発電機構22を備えないハブ10において、磁石24または磁石取付部は、第1配置面16に設けられた状態において、ハブ軸12と対向する。本実施形態では、
図3の発電機構22を備えないハブ10において、第1配置面16に設けられる磁石24が、ハブ軸12と対向する。例えば、
図3の発電機構22を備えないハブ10において、磁石24または磁石取付部は、第1配置面16に設けられた状態において、第2配置面20と対向する。本実施形態では、
図3の発電機構22を備えないハブ10において、磁石24が、第1配置面16に配置された状態において、第2配置面20と対向する。
【0063】
例えば、
図3の発電機構22を備えないハブ10は、電気部品54に代えて、第6規制部材74をさらに含む。第6規制部材74は、発電機構22を取り外した状態において、電気部品54が取り外された位置に設けられる。例えば、第6規制部材74は、軸方向において第1規制部材62に対するハブシェル14の位置を決定するスペーサである。第6規制部材74は、軸方向において、第1規制部材62と第1軸受58との間に位置するように、ハブ軸12に設けられる。
【0064】
第1部分30Aの内面14Aと第2部分32Aの内面14Aとは、軸方向において連続的に形成される。例えば、第1領域30におけるハブシェル14の最小内径D3は、第2領域32におけるハブシェル14の最大内径D4以下である。例えば、第1領域30におけるハブシェル14の最小内径D3は、第1部分30Aの最小内径である。例えば、第2領域32におけるハブシェル14の最大内径D4は、第2部分32Aの最小内径である。例えば、第1領域30におけるハブシェル14の最小内径D3は、第2領域32におけるハブシェル14の最大内径D4と実質的に等しい。
【0065】
例えば、第1領域30におけるハブシェル14の最小外径D5は、第2領域32におけるハブシェル14の最小外径D6と実質的に等しい。例えば、第1領域30におけるハブシェル14の最小外径D5は、第1部分30Aの最小外径である。例えば、第2領域32におけるハブシェル14の最小外径D6は、第2部分32Aの最小外径である。
【0066】
例えば、軸方向に垂直な方向において、第1配置面16から第2配置面20までの距離D7は、15mm以上かつ25mm以下である。例えば、配置空間SA1は、内部空間SAのうち、第1領域30に含まれる空間である。例えば、配置空間SA1は、内部空間SAのうち、発電機構22が配置可能に構成される空間である。第2配置面20の長さL2および距離D7は、それぞれハブ10に取り付け可能な発電機構22の寸法に応じて決定される。
【0067】
ハブ10は、発電機構22を着脱可能な構造を有する。例えば、ハブ軸12の外面12Aの形状およびハブシェル14の内面14Aの形状によって、発電機構22がハブ10から着脱可能に構成される。例えば、ハブ10は、発電機構22以外の他の部品も外面12Aに着脱可能にハブ軸12に設けられる。例えば、ハブ軸12は、軸方向の中間部分の外径が最も大きくなるように構成される。ハブ軸12は、軸方向における一方の外径が最も大きくなるように構成されてもよい。
【0068】
図4から
図13を参照して、発電機構22の取り外し工程について説明する。取り外し工程によって、
図2のハブ10から、
図3の発電機構22を備えないハブ10が製造される。発電機構22の取り外し工程は、第1工程、第2工程、第3工程、第4工程、第5工程、第6工程、第7工程、第8工程、第9工程、第10工程、および、第11工程を含む。
【0069】
第1工程は、第2規制部材64および第3規制部材66が、ハブ軸12から取り外される工程を含む。
図4は、第1工程において、第2規制部材64および第3規制部材66が取り外されたハブ10を示す。第1工程において、第2規制部材64および第3規制部材66がハブ軸12に対して第1方向AD1に移動することによって、第2規制部材64および第3規制部材66がハブ軸12から取り外される。第1方向AD1は、ハブ軸12の軸方向において第3部分34から第4部分36に向かう方向である。
【0070】
第2工程は、ハブシェル14およびブレーキ力調整機構18が、ハブ軸12から取り外される工程を含む。
図5は、第1工程の後、第2工程において、ハブシェル14およびブレーキ力調整機構18が取り外されたハブ10を示す。第2工程において、カバー56がハブシェル14から取り外された後、ハブシェル14およびブレーキ力調整機構18がハブ軸12から取り外される。ハブシェル14およびブレーキ力調整機構18がハブ軸12に対して第1方向AD1に移動することによって、ハブシェル14およびブレーキ力調整機構18がハブ軸12から取り外される。ハブシェル14は、ブレーキ力調整機構18がハブシェル14に設けられた状態において、ハブ軸12から取り外される。したがって、ハブシェル14およびブレーキ力調整機構18は一体的に、ハブ軸12から取り外される。
【0071】
第3工程は、第1規制部材62および電気部品54がハブ軸12から取り外される工程を含む。
図6は、第2工程の後、第3工程において、第1規制部材62および電気部品54が取り外されたハブ10を示す。第3工程において、第1規制部材62および電気部品54がハブ軸12に対して第2方向AD2に移動することによって、第1規制部材62および電気部品54がハブ軸12から取り外される。第2方向AD2は、軸方向において第1方向AD1とは反対の方向である。
【0072】
第4工程は、第1軸受58およびカバー56がハブ軸12から取り外される工程を含む。
図7は、第3工程の後、第4工程において、第1軸受58およびカバー56が取り外されたハブ10を示す。第4工程において、第1軸受58およびカバー56がハブ軸12に対して第2方向AD2に移動することによって、第1軸受58およびカバー56がハブ軸12から取り外される。
【0073】
第5工程は、発電機構22、第4規制部材70、および、第5規制部材72がハブ軸12から取り外される工程を含む。
図8は、第4工程の後、第5工程において、発電機構22、第4規制部材70、および、第5規制部材72が取り外されたハブ10を示す。第5工程において、発電機構22、第4規制部材70、および、第5規制部材72がハブ軸12に対して第2方向AD2に移動することによって、発電機構22、第4規制部材70、および、第5規制部材72がハブ軸12から取り外される。
【0074】
第6工程は、第2軸受60がブレーキ力調整機構18に取り付けられる工程を含む。
図9は、第2工程において、ハブ軸12から取り外されたハブシェル14およびブレーキ力調整機構18に、第2軸受60が取り付けられた状態を示す。第6工程において、第2内輪60Bがハブ軸12から取り外された後、第2外輪60Aがブレーキ力調整機構18に取り付けられることによって、第2軸受60がブレーキ力調整機構18に取り付けられる。
【0075】
第7工程は、ハブ軸12がハブシェル14およびブレーキ力調整機構18に取り付けられる工程を含む。
図10は、第6工程の後、第7工程において、ハブシェル14およびブレーキ力調整機構18が取り付けられたハブ10を示す。第7工程において、ハブ軸12がハブシェル14およびブレーキ力調整機構18に対して第1方向AD1に移動することによって、ハブ軸12がハブシェル14およびブレーキ力調整機構18に取り付けられる。
【0076】
第8工程は、カバー56および第1外輪58Aがハブシェル14に取り付けられる工程を含む。
図11は、第7工程の後、第8工程において、カバー56および第1外輪58Aが取り付けられたハブ10を示す。第8工程において、カバー56がハブシェル14に対して第1方向AD1に移動することによって、カバー56がハブシェル14に取り付けられる。
【0077】
第9工程は、第1回転体58Cおよび第1内輪58Bがハブ軸12に取り付けられる工程を含む。
図12は、第8工程の後、第9工程において、第1回転体58Cおよび第1内輪58Bが取り付けられたハブ10を示す。第9工程において、第1回転体58Cおよび第1内輪58Bがハブ10に対して第1方向AD1に移動することによって、第1回転体58Cおよび第1内輪58Bがハブ10に取り付けられる。
【0078】
第10工程は、第1規制部材62および第6規制部材74がハブ軸12に取り付けられる工程を含む。
図13は、第9工程の後、第10工程において、第1規制部材62および第6規制部材74が取り付けられたハブ10を示す。第10工程において、第1規制部材62および第6規制部材74がハブ軸12に対して第1方向AD1に移動することによって、第1規制部材62および第6規制部材74がハブ軸12に取り付けられる。
【0079】
第11工程は、第2規制部材64および第3規制部材66がハブ軸12に取り付けられる工程を含む。第11工程において、第2規制部材64および第3規制部材66がハブ軸12に対して第2方向AD2に移動することによって、第2規制部材64および第3規制部材66がハブ軸12に取り付けられる。
【0080】
ハブ10は、発電機構22を取り外した状態から、発電機構22を取り付けることができるように構成されてもよい。発電機構22の取り付け工程は、例えば、発電機構22の取り外し工程と逆の手順によって行われる。
【0081】
本実施形態の人力駆動車用のハブ10は、第1領域30の長さL3が第2領域32の長さL4よりも大きいため、発電機構22を設けるための空間を内部空間SAに適切に確保できる。第2領域32の長さL4は第1領域30の長さL3よりも小さいが、ブレーキ力調整機構18がブレーキ力を所定ブレーキ力以下にする構成であるため、小型のブレーキ力調整機構18であっても適切にブレーキ力を維持できる。第2領域32の長さL4が第1領域30の長さL3よりも小さいため、ハブ10の小型化、および、ハブ10の設計自由度を向上できる。本実施形態の人力駆動車用のハブ10によれば、発電機構22を取り外した状態においても、ハブ10を人力駆動車用のハブ10として使用できるため、ハブ10を便利に用いることができる。
【0082】
<第2実施形態>
図14を参照して、第2実施形態のハブ10が説明される。第2実施形態のハブ10は、第2軸受60の構成が異なる点、第3軸受68を含まない点、および、第4軸受76を含む点以外は第1実施形態のハブ10と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0083】
本実施形態の第2軸受60は、複数の第2軸受60を含む。複数の第2軸受60は、2つの第2軸受60を含む。複数の第2軸受60は、軸方向において離れて設けられる。複数の第2軸受60のそれぞれの第2外輪60Aは、ブレーキ力調整機構18の第2支持部材44の内面に設けられる。複数の第2軸受60のそれぞれの第2内輪60Bは、第4部分36の外面12Aに設けられる。複数の第2軸受60の第2回転体60Cは球であり、複数の第2軸受60は、玉軸受である。複数の第2軸受60の内輪のうちの1つは、第3規制部材66に接触するように設けられる。
【0084】
例えば、本実施形態のハブ10は、第4軸受76をさらに備える。第4軸受76は、ブレーキ力調整機構18がハブシェル14に対して回転可能なように、ブレーキ力調整機構18に設けられる。例えば、第4軸受76は、第4外輪76A、第4内輪76B、および、第4回転体76Cを含む。第4外輪76Aは、第2領域32の内面14Aに設けられる。第4内輪76Bは、第2支持部材44と一体に形成される。第4回転体76Cは、周方向において第4外輪76Aが第4内輪76Bに対して回転可能に、第4外輪76Aと第4内輪76Bとの間に設けられる。例えば、第4回転体76Cは球であり、第4軸受76は玉軸受である。
【0085】
<第3実施形態>
図15を参照して、第3実施形態のハブ10が説明される。第3実施形態のハブ10は、ブレーキ力調整機構18が第3支持部材78を含む点、および、第2部材40が第3支持部材78の内面に設けられる点以外は第2実施形態のハブ10と同様であるので、第2実施形態と共通する構成については、第2実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0086】
本実施形態のブレーキ力調整機構18は、第3支持部材78を含む。第3支持部材78は、ハブシェル14と一体回転するように、第2領域32におけるハブシェル14の内面14Aに設けられる。第3支持部材78の外面は、第1部材38および第2部材40を介して、第2支持部材44に接続される。
【0087】
例えば、本実施形態の第2部材40は、ブレーキ力調整機構18に設けられる。本実施形態の第2部材40は、第3支持部材78の内面とスプライン嵌合することによって、第3支持部材78の内面に設けられる。
【0088】
<第4実施形態>
図16を参照して、第4実施形態のハブ10が説明される。第4実施形態のハブ10は、第4支持部材80を含む点、第1軸受58の構成が異なる点、第2軸受60の構成が異なる点、第3軸受68を含まない点、第5軸受82を含む点、第6軸受84を含む点、および、カバー56を含まない点以外は第1実施形態のハブ10と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0089】
例えば、本実施形態のハブ10は、第4支持部材80をさらに備える。第4支持部材80は、ハブシェル14の径方向においてハブシェル14とハブ軸12との間に設けられる。第4支持部材80は、ハブシェル14およびハブ軸12のそれぞれに対して回転可能に構成される。本実施形態の第1軸受58は、第4支持部材80がハブ軸12に対して回転可能に、ハブ軸12に設けられる。例えば、本実施形態の第1軸受58の第1外輪58Aは、第4支持部材80の径方向内側に設けられる。
【0090】
本実施形態の第2軸受60の第2外輪60Aは、第2支持部材44と一体に形成される。本実施形態の第2外輪60Aは、第2支持部材44と別体に設けられてもよい。第2内輪60Bは、ハブ軸12の外周部に設けられる。本実施形態の第2軸受60の第2回転体60Cは球であり、第2軸受60は、玉軸受である。第2軸受60の内輪は、軸方向において第3規制部材66に接触するように設けられる。
【0091】
例えば、本実施形態のハブ10は、第5軸受82をさらに備える。第5軸受82は、ハブシェル14が第4支持部材80に対して回転可能に、第4支持部材80に設けられる。例えば、第5軸受82は、第5外輪82A、第5内輪82B、および、第5回転体82Cを含む。第5外輪82Aは、第1部分30Aの内面14Aに設けられる。第5内輪82Bは、第4支持部材80の径方向外側に設けられる。第5回転体82Cは、第5外輪82Aが第5内輪82Bに対して回転可能に、第5外輪82Aと第5内輪82Bとの間に設けられる。例えば、第5回転体82Cは球であり、第5軸受82は玉軸受である。
【0092】
例えば、本実施形態のハブ10は、第6軸受84をさらに備える。第6軸受84は、ブレーキ力調整機構18がハブシェル14に対して回転可能なように、ブレーキ力調整機構18に設けられる。例えば、第6軸受84は、第6外輪84A、第6内輪84B、および、第6回転体84Cを含む。第6外輪84Aは、第2領域32におけるハブシェル14の内面14Aに設けられる。第6内輪84Bは、第2支持部材44と一体に形成される。第6内輪84Bは、第2支持部材44と別体に形成されてもよい。第6回転体84Cは、周方向において第6外輪84Aが第6内輪84Bに対して回転可能に、第6外輪84Aと第6内輪84Bとの間に設けられる。例えば、第6回転体84Cは球であり、第6軸受84は玉軸受である。
【0093】
本実施形態のハブ10は、発電機構22を取り外した状態において人力駆動車用のハブ10として使用する場合に、ブレーキ力調整機構18が第1領域30に設けられるように構成されてもよい。発電機構22を取り外した状態において、ブレーキ力調整機構18の第2支持部材44は、軸方向において、第2領域32から第1領域30までにわたり設けられてもよい。発電機構22を取り外した状態において、ブレーキ力調整機構18の第2支持部材44は、第4支持部材80と連結してもよい。発電機構22を取り外した状態においてブレーキ力調整機構18が第2領域32から第1領域30までにわたり設けられる場合、ブレーキ力調整機構18が安定して回転できる。
【0094】
<変更例>
各実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用のハブが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用のハブは、例えば以下に示される各実施形態の変更例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変更例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変更例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0095】
・第1配置面16がハブ軸12に設けられ、第2配置面20がハブシェル14に設けられてもよい。例えば、第1配置面16が外面12Aに設けられ、第2配置面20が内面14Aに設けられる。例えば、磁石24または磁石取付部は、ハブ軸12に設けられ、かつ、発電機構22は、着脱可能にハブシェル14に設けられる。例えば、発電機構22は、ハブシェル14に着脱可能に設けられる取付部分を含む。例えば、発電機構22は、ハブシェル14に設けられるステータ50およびヨーク52を含む。
【0096】
・磁石24は、着脱可能に第1配置面16に設けられてもよい。磁石24が着脱可能に第1配置面16に設けられる場合、
図3のハブ10は、磁石24を備えていなくてもよい。
図3のハブ10が磁石24を備えない場合、磁石24を着脱可能に構成される磁石取付部が第1配置面16に設けられてもよい。
図3のハブ10が磁石24を備えない場合、磁石24は、磁石取付部に着脱可能に構成され、かつ、磁石取付部は、着脱可能に第1配置面16に設けられてもよい。
【0097】
・ハブ10は、ブレーキ力調整機構18および発電機構22に加えて、内装変速機を備えてもよい。
【0098】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0099】
10…ハブ、12…ハブ軸、14…ハブシェル、16…第1配置面、18…ブレーキ力調整機構、20…第2配置面、22…発電機構、22A…取付部分、24…磁石、28A…第1フランジ、28B…第2フランジ、30…第1領域、30A…第1部分、32…第2領域、32A…第2部分、38…第1部材、40…第2部材、50…ステータ、52…ヨーク。