(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176081
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20231206BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231206BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20231206BHJP
H02H 5/08 20060101ALI20231206BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231206BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20231206BHJP
【FI】
H01M50/204 401D
H01M10/48 P
H01M10/48 Z
H01M50/298
H02H5/08 130
H02J7/00 Y
H01M50/284
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088169
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】久保 和樹
(72)【発明者】
【氏名】村田 崇
(72)【発明者】
【氏名】東 慎輔
(72)【発明者】
【氏名】杉山 雅章
(72)【発明者】
【氏名】徳田 竜也
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H040
【Fターム(参考)】
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA08
5H030AA06
5H030AA10
5H030AS01
5H030FF41
5H030FF51
5H040AA18
5H040AS01
5H040AT06
5H040DD26
(57)【要約】
【課題】電池モジュールに水が到達する前に浸水を検知できる蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置は、電池セル11を含む電池モジュール10と、電池モジュール10の上方に配置された電気機器と、アース接続された第1ワイヤハーネスと、電気機器に接続された第2ワイヤハーネスと、第1ワイヤハーネスと第2ワイヤハーネスとが間隔を空けて配置された水検知部40と、を備えている。水検知部40は、電池セル11の下面11Bより下方に位置している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルを含む電池モジュールと、
前記電池モジュールの上方に配置された電気機器と、
アース接続された第1ワイヤハーネスと、
前記電気機器に接続された第2ワイヤハーネスと、
前記電池セルの下面より下方に位置し、前記第1ワイヤハーネスと前記第2ワイヤハーネスとが間隔を空けて配置された、水検知部と、を備える、蓄電装置。
【請求項2】
前記第1ワイヤハーネスと前記第2ワイヤハーネスとの通電を検知する通電検知部をさらに備える、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記通電検知部が通電を検知したときに、前記蓄電装置のユーザの携帯端末に通知する、通知部をさらに備える、請求項2に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-125400号公報(特許文献1)には、1以上の電池モジュールと、電池モジュールの上方に配置された基板などの電気機器とを備え、箱状のケースで覆われた定置型電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安全性の観点から、基板などの電気機器を蓄電装置内の上方に配置したい要求がある。一方、蓄電装置が浸水した場合に、電池モジュールに水が到達する前に水を検知したい要求がある。
【0005】
本開示では、電池モジュールに水が到達する前に浸水を検知できる、蓄電装置が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る蓄電装置は、電池セルを含む電池モジュールと、電池モジュールの上方に配置された電気機器と、アース接続された第1ワイヤハーネスと、電気機器に接続された第2ワイヤハーネスと、第1ワイヤハーネスと第2ワイヤハーネスとが間隔を空けて配置された水検知部と、を備えている。水検知部は、電池セルの下面より下方に位置している。
【0007】
電池セルよりも下方に水検知部が配置されていることで、電池セルが浸水するよりも前に水検知部が浸水し、水検知部が浸水した時点で蓄電装置の浸水を検知できる。したがって、電池モジュールに水が到達する前に、蓄電装置の浸水を検知することができる。
【0008】
上記の蓄電装置は、第1ワイヤハーネスと第2ワイヤハーネスとの通電を検知する通電検知部をさらに備えてもよい。第1ワイヤハーネスと第2ワイヤハーネスとの間の空間に存在する水を介して第1ワイヤハーネスと第2ワイヤハーネスとが通電したことを検知することができ、これにより蓄電装置の浸水を精度よく検知することができる。
【0009】
上記の蓄電装置は、通電検知部が通電を検知したときに蓄電装置のユーザの携帯端末に通知する、通知部をさらに備えてもよい。このようにすれば、蓄電装置のユーザは、蓄電装置の浸水が発生したときに、迅速に浸水を認識することができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の蓄電装置によると、電池モジュールに水が到達する前に浸水を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】密閉カバーを取り外した状態の蓄電装置の概略を示す斜視図である。
【
図5】水検知部と電池セルとの上下位置関係を示す図である。
【
図6】蓄電装置内の浸水を検知した場合にユーザに通知するシステム構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
図1は、蓄電装置1の外観の概略を示す斜視図である。蓄電装置1は、たとえば、家庭用蓄電池として使用される。蓄電装置1は、ベースプレート3と、密閉カバー6とを備えている。密閉カバー6は、トップカバー7と、サイドカバー8とを有している。トップカバー7は、蓄電装置1の上面を構成し、後述する電池モジュール10などを上方から覆う。サイドカバー8は、蓄電装置1の側面を構成し、電池モジュール10などを側方から覆う。密閉カバー6は、下方に開口する蓋状の形状を有している。
【0014】
家庭用蓄電池は屋外に設置されることが一般的である。屋外に設置される蓄電装置1は、雨水などに曝される。蓄電装置1の機能を維持するために、蓄電装置1は密閉構造となっている。密閉カバー6の下縁が、ベースプレート3の上面に液密に取り付けられている。ベースプレート3と密閉カバー6との間から、雨水または塵埃などの異物が蓄電装置1の内部に入り込むことが防止されている。密閉カバー6とベースプレート3との間に、シール材が設けられてもよい。シール材は、弾性の樹脂材料またはゴム材料で形成されてもよい。
【0015】
ベースプレート3は、下面に取付部4,5を有している。取付部4,5は、基礎などの設置場所に蓄電装置1を固定するために設けられている。
【0016】
図2は、蓄電装置1を密閉する密閉カバー6を取り外した状態の、蓄電装置1の概略を示す斜視図である。蓄電装置1の内部は、複数階建て構造である。蓄電装置1は、電池モジュール10を備えている。実施形態の電池モジュール10は、二段に積み重ねられている。ベースプレート3の上面に設けられた第1フロア部21に、一段目の電池モジュール10が搭載されている。第1フロア部21の上方の第2フロア部22に、二段目の電池モジュール10が搭載されている。
【0017】
ベースプレート3の上面に、複数のフレーム部25が固定されている。フレーム部25は、ベースプレート3の上面に対して垂直に延びている。複数のフレーム部25は、互いに平行に延びている。フレーム部25は、第2フロア部22を支持している。二段目の電池モジュール10は、第2フロア部22を介して、フレーム部25に支持されている。
図2中の奥側のフレーム部25に、電池モジュール10を側方から覆うサイドプレート26が取り付けられている。
図2中の手前側のフレーム部25にも同様のサイドプレートが取り付けられているが、図解を容易にするために当該サイドプレートは図示を省略されている。
【0018】
フレーム部25は、第3フロア部23をさらに支持している。第3フロア部23は、第2フロア部22の上方に配置されている。第3フロア部23に、電気機器31,32,33が搭載されている。電気機器31は、たとえば電池ECU(Electronic Control Unit)であってもよい。電気機器32は、たとえば電圧センサであってもよい。電気機器33は、たとえばジャンクションボックスであってもよい。電気機器31,32,33は、電池モジュール10の上方に配置されている。第3フロア部23にはまた、アース点34が設けられている。アース点34は、電気的に接地されている。
【0019】
電池モジュール10は、必ずしも二段に搭載されていなくてもよい。一段の電池モジュール10がベースプレート3に搭載され、二段目またはそれより高い任意の階に電気機器31,32,33が搭載されていてもよい。電池モジュール10が三段以上に積み重ねられてもよい。
【0020】
ベースプレート3の上面にはまた、ブラケット28が固定されている。ブラケット28は、電池モジュール10の長手方向(電池セルの積層方向)における電池モジュール10の端面に対向して配置されている。ブラケット28は、水検知部40を支持している。水検知部40は、電気機器31,32,33よりも下方に配置されている。電気機器31,32,33は、蓄電装置1の最上部に配置されている。水検知部40は、蓄電装置1の最下部に配置されている。
【0021】
図3は、水検知部40の拡大図である。
図4は、水検知部40の回路図である。蓄電装置1は、第1ワイヤハーネス41と第2ワイヤハーネス42とを備えている。第1ワイヤハーネス41の一方端は、蓄電装置1の内部のアース点34に接続されている。第1ワイヤハーネス41は、アース接続されている。第1ワイヤハーネス41は、アース点34から引き出されたアース線である。第2ワイヤハーネス42の一方端は、電気機器33に接続されている。第2ワイヤハーネス42は、電気機器33から引き出された電源線である。
【0022】
第1ワイヤハーネス41の他方端は、導電端部45に接続されている。一方端と他方端との間の第1ワイヤハーネス41は、被覆部43により被覆されている。第2ワイヤハーネス42の他方端は、導電端部46に接続されている。一方端と他方端との間の第2ワイヤハーネス42は、被覆部44により被覆されている。導電端部45と導電端部46とは、互いに距離を空けて配置されており、互いに接続はされていない。第1ワイヤハーネス41の他方端と第2ワイヤハーネス42の他方端とが間隔を空けて配置されることにより、水検知部40が形成されている。
【0023】
図5は、水検知部40と電池セル11との上下位置関係を示す図である。電池モジュール10は、電池セル11を含んでいる。電池モジュール10は、複数の電池セル11が積層方向に積層された積層体を有している。複数の電池セル11は、ベースプレート3の上面に沿う方向に並んで配置されている。複数の電池セル11の各々は、リチウムイオン電池またはニッケル水素電池などの二次電池である。積層方向に隣り合う2つの電池セル11が、図示しない接続部により互いに電気的に接続されて、電池モジュール10が形成されている。電池モジュール10は、電池セル11の積層方向の端部に配置されるエンドプレート12を有している。
【0024】
電池セル11は、下面11Bを有している。電池セル11の下面11Bは、ベースプレート3の上面に向き合っている。
図5に示されるように、水検知部40は、電池セル11の下面11Bよりも下方に位置している。上下方向において、水検知部40は、電池セル11の下面11Bとベースプレート3の上面との間に配置されている。水検知部40は、電池セル11の下面11Bよりもベースプレート3に近く配置されている。好ましくは、水検知部40は、電池モジュール10の下面よりも下方に位置している。
【0025】
導電端部45と導電端部46との両方が、電池セル11の下面11Bよりも下方に位置している。導電端部45,46の少なくとも一部が、電池セル11の下面11Bよりも下方に位置している。導電端部45,46の下面が、電池セル11の下面11Bよりも下方に配置されている。好ましくは、導電端部45,46の全部が、電池セル11の下面11Bよりも下方に位置している。好ましくは、導電端部45,46の上面が、電池セル11の下面11Bよりも下方に配置されている。第1ワイヤハーネス41と第2ワイヤハーネス42とは、蓄電装置1の最上部から最下部まで延びている。
【0026】
図6は、蓄電装置1内の浸水を検知した場合にユーザに通知するシステム構成を示すブロック図である。蓄電装置1は、通電検知部51と、通知部52とを備えている。通電検知部51と通知部52とは、電池ECUである電気機器31の一部構成をなしていてもよい。通電検知部51と通知部52とは、ジャンクションボックスである電気機器33に含まれていてもよい。通電検知部51と通知部52とは、ジャンクションボックスに収容されるECUの一部構成をなしていてもよい。
【0027】
通電検知部51は、第1ワイヤハーネス41と第2ワイヤハーネス42との通電を検知する。強風で飛ばされた物体の蓄電装置1への衝突、地震発生時の振動、などにより、ベースプレート3または密閉カバー6が破損して、蓄電装置1の密閉性が損なわれる場合がある。その場合、蓄電装置1が浸水すると、蓄電装置1の内部にも水が浸入する。水検知部40の配置されている空間に水が溜まると、水を介して、第1ワイヤハーネス41と第2ワイヤハーネス42とが互いに導通する。この第1ワイヤハーネス41と第2ワイヤハーネス42との通電を検知することで、蓄電装置1が浸水したとの判定が可能になる。
【0028】
通知部52は、通電検知部51が第1ワイヤハーネス41と第2ワイヤハーネス42との通電を検知し、蓄電装置1が浸水したと判定されたときに、蓄電装置1のユーザの携帯端末53に、蓄電装置1が浸水したことを通知する。通知部52は、携帯端末53と近距離無線通信を行なうように構成されてもよく、インターネットなどの通信ネットワークを介して携帯端末53と通信可能に構成されてもよい。携帯端末53は、スマートフォン、タブレット端末、またはウェアラブルデバイスであってもよい。
【0029】
以上説明した実施形態の蓄電装置1では、
図2に示されるように、電気機器31,32,33が、電池モジュール10の上方に配置されている。これにより安全性を確保することができる。
【0030】
蓄電装置1は、
図3,4に示されるように、アース接続された第1ワイヤハーネス41と電気機器33に接続された第2ワイヤハーネス42とが間隔を空けて配置された、水検知部40を備えている。
図5に示されるように、水検知部40は、電池セル11の下面11Bよりも下方に配置されている。
【0031】
水検知部40を、電気機器33などが配置されている蓄電装置1の最上部ではなく、より水を検知しやすい蓄電装置1の下部に配置することで、蓄電装置1が浸水したときに比較的早いタイミングで浸水を検知できる。とりわけ、高電圧部品である電池セル11よりも下方に水検知部40が配置されていることで、電池セル11が浸水するよりも前に水検知部40が浸水し、水検知部40が浸水した時点で蓄電装置1の浸水を検知できる。したがって、電池モジュール10に水が到達する前に、蓄電装置1の浸水を検知することができる。水を検知する新たなセンサを設けることなく、既存の回路により構成されている水検知部40によって水を検知可能とされているので、蓄電装置1のコスト増加が抑制されている。
【0032】
図6に示されるように、蓄電装置1は、第1ワイヤハーネス41と第2ワイヤハーネス42との通電を検知する通電検知部51をさらに備えてもよい。水検知部40において互いに離れて配置されている第1ワイヤハーネス41と第2ワイヤハーネス42とが通電するということは、第1ワイヤハーネス41と第2ワイヤハーネス42との間の空間に水が存在しており、水を介して第1ワイヤハーネス41と第2ワイヤハーネス42とが通電したものと判断できる。このようにして、蓄電装置1の浸水を精度よく検知することができる。
【0033】
図6に示されるように、蓄電装置1は、通電検知部51が通電を検知したときに蓄電装置1のユーザの携帯端末53に通知する、通知部52をさらに備えてもよい。このようにすれば、蓄電装置1のユーザは、蓄電装置1の浸水が発生したときに迅速に浸水を認識することができ、必要な対策を早期に取ることが可能になる。
【0034】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0035】
1 蓄電装置、3 ベースプレート、4,5 取付部、6 密閉カバー、7 トップカバー、8 サイドカバー、10 電池モジュール、11 電池セル、11B 下面、12 エンドプレート、21 第1フロア部、22 第2フロア部、23 第3フロア部、25 フレーム部、26 サイドプレート、28 ブラケット、31,32,33 電気機器、34 アース点、40 水検知部、41 第1ワイヤハーネス、42 第2ワイヤハーネス、43,44 被覆部、45,46 導電端部、51 通電検知部、52 通知部、53 携帯端末。