(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176084
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088174
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】植木原 睦人
(72)【発明者】
【氏名】西本 隆弘
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB27
2C056HA29
2C056HA46
2C056HA58
2C056KD06
(57)【要約】
【課題】加熱部からの熱の影響が読取部に影響し難い画像記録装置を提供すること。
【解決手段】 プリンタ10は、シートSを搬送する搬送部23と、記録ヘッド24と、記録ヘッド24の下流に位置し伝熱プレート73を有するヒータ26と、ヒータ26より下流に位置し読取りラインLにより画像を読取るCISユニット30とを備える。CISユニット30は、筐体77と、筐体77の開口85に位置するガラス板78と、筐体77内においてCIS86が搭載された基板79、LED80、LED80の光をガラス板78を通じ外部へ出射する導光板81、ガラス板78を通り外部から入射する光を集光するレンズ82及びガラス板78の一部を覆う第1断熱部材83を有し、第1断熱部材83は左右方向9において両端が伝熱プレート73の両端よりも外方に位置し、LED80は第1断熱部材83の左右方向9の両端よりも外方に位置する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿ってシートを搬送する搬送部と、
液体を吐出する記録ヘッドと、
上記記録ヘッドよりもシートの搬送方向の下流に位置し、シートまたは液体の少なくとも一方を加熱する熱源を有する加熱部と、
上記加熱部よりも上記搬送方向の下流に位置し、上記搬送方向と交差する読取方向に沿った読取りラインによりシートの画像を読み取る読取部と、を備えており、
上記読取部は、
上記読取方向に沿った開口を有する筐体と、
上記筐体内に位置しており、イメージセンサが搭載された基板と、
上記筐体の開口に位置する透光性部材と、
上記筐体内に位置しており、光を照射する光源と、
上記筐体内に位置しており、上記光源が照射した光を上記透光性部材を通じて外部へ出射する導光部材と、
上記筐体内に位置しており、上記透光性部材を通じて外部から入射する光を上記イメージセンサに集光するレンズと、
上記透光性部材の一部を覆う断熱部材と、を有しており、
上記断熱部材は、上記読取方向の両端が、上記熱源の上記読取方向の両端よりも外方に位置しており、
上記光源は、上記断熱部材の上記読取方向の両端よりも外方に位置する画像記録装置。
【請求項2】
上記断熱部材は、上記透光性部材に積層されている請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記断熱部材は、上記透光性部材において、上記導光部材から出射される光および外部から上記レンズに入射する光の光路を除く領域に積層されている請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記断熱部材は、上記透光性部材との間に空気層を形成し、透光性を有する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記記録ヘッドおよび上記読取部は、上記搬送路の上方に位置する請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された記録装置は、用紙に測色パターンを記録する記録ヘッドと、記録された用紙の測色パターンを測色する測色機と、測色パターンが記録された用紙を乾燥させて安定した色にする乾燥部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
筐体内において読取部と乾燥部とが近い位置にあると、読取部の基板が熱の影響を受けて動作に不具合が生じ得る。特に、画像記録装置を小型化すると、筐体内において読取部を乾燥部に対して熱の影響がない程度に離すことが難しい。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱部からの熱の影響が読取部に影響し難い画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る画像記録装置は、搬送路に沿ってシートを搬送する搬送部と、液体を吐出する記録ヘッドと、上記記録ヘッドよりもシートの搬送方向の下流に位置し、シートまたは液体の少なくとも一方を加熱する熱源を有する加熱部と、上記加熱部よりも上記搬送方向の下流に位置し、上記搬送方向と交差する読取方向に沿った読取りラインによりシートの画像を読み取る読取部と、を備えている。上記読取部は、上記読取方向に沿った開口を有する筐体と、上記筐体内に位置しており、イメージセンサが搭載された基板と、上記筐体の開口に位置する透光性部材と、上記筐体内に位置しており、光を照射する光源と、上記筐体内に位置しており、上記光源が照射した光を上記透光性部材を通じて外部へ出射する導光部材と、上記筐体内に位置しており、上記透光性部材を通じて外部から入射する光を上記イメージセンサに集光するレンズと、上記透光性部材の一部を覆う断熱部材と、を有しており、上記断熱部材は、上記読取方向の両端が、上記熱源の上記読取方向の両端よりも外方に位置しており、上記光源は、上記断熱部材の上記読取方向の両端よりも外方に位置する。
【0007】
上記構成によれば、読取部は、透光性部材の一部が断熱部材に覆われているため、加熱部によって熱せられたシートから発生した蒸気の熱による影響を受け難くなる。このため、読取部の読取性能の低下を抑制できる。また、光源が断熱部材よりも読取方向の両端より外方に位置することで、断熱部材が光源の熱によって劣化したり、光源が温度上昇して劣化したりするのを抑制できる。
【0008】
(2) 好ましくは、上記断熱部材は、上記透光性部材に積層されている。
【0009】
上記構成によれば、積層された断熱部材によって、シートから読取部に及ぶ加熱蒸気の熱を、より確実に遮断することができる。
【0010】
(3) 好ましくは、上記断熱部材は、上記透光性部材において、上記導光部材から出射される光および外部から上記レンズに入射する光の光路を除く領域に積層されている。
【0011】
上記構成によれば、読取部において、光路を遮ることなく断熱部材を配置できるため、光路が遮られることなく確実にシートSの画像を読み取りつつ、熱による読取部の読取性能の低下も抑制できる。
【0012】
(4) 好ましくは、上記断熱部材は、上記透光性部材との間に空気層を形成し、透光性を有する。
【0013】
上記構成によれば、シートまたは液体の加熱によって発生する蒸気が透光性部材において結露するのを防止できる。また、蒸気の熱を空気層によって遮ることで基板の温度上昇を抑え、読取部の読取性能の低下を抑制できる。
【0014】
(5) 好ましくは、上記記録ヘッドおよび上記読取部は、上記搬送路の上方に位置する。
【0015】
上記構成によれば、断熱部材によって熱が遮られるため、読取部が、加熱部の熱が及びやすい搬送路の上方に位置しても読取性能の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、読取性能の低下を抑制できる画像記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1(A)は、プリンタ10の外観を模式的に示す斜視図、
図1(B)は、筐体カバー13が開位置にあるプリンタ10を模式的に示す斜視図。
【
図2】
図2は、
図1の線II-IIに沿うプリンタ10の縦断面を示す模式図。
【
図3】
図3は、
図2のCISユニット30の底面を示す斜視図であって、拍車ホルダユニット31が装着された状態を示す図。
【
図4】
図4は、
図2のCISユニット30を拡大して示す断面図。
【
図5】
図5は、
図2のCISユニット30を下方から視た図であって、第1断熱部材83および第2断熱部材84を省略して示す概略図である。
【
図6】
図6は、下方から視た開口85に位置する第1断熱部材83を、CISユニット30の後方に位置する伝熱プレート73とともに示す概略図。
【
図7】
図7は、変形例1に係るCISユニット30Aを示す断面図である。
【
図8】
図8は、変形例2に係るCISユニット30Bを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係るプリンタ10について詳説する。なお、下記の実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0019】
実施形態では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。プリンタ10が使用可能に設置された状態(
図1(A)の状態)を基準として上下方向7が定義される。プリンタ10において排出口16が設けられている側を前側として、前後方向8が定義される。プリンタ10を前方から見て左右方向9が定義される。
【0020】
[プリンタ10の筐体1]
図1、
図2に示されるように、プリンタ10(画像記録装置の一例)は、インクジェット記録方式でシートSに画像を記録する。
【0021】
プリンタ10において、筐体1は、略直方体形状であり、プリンタ10の内部空間11を外部から区画する。筐体1は、筐体ケース12と、筐体カバー13とを有する。
【0022】
筐体ケース12の前壁15には、排出口16が形成される。排出口16は、左右に細長い矩形形状の貫通孔である。筐体カバー13は、筐体ケース12の後壁17に、軸受およびシャフト(不図示)により取り付けられる。
【0023】
筐体カバー13は、シャフトの回動軸18(
図1(B)参照)の周方向に閉位置(
図1(A)に示される位置)および開位置(
図1(B)に示される位置)の間で回動する。回動軸18は、左右方向9に平行である。閉位置の筐体カバー13は、筐体ケース12における上端の開口19を閉塞し、開位置の筐体カバー13は、開口19を開放する。なお、
図1(B)には、筐体1内の構成は示されていない。また、以下では、特に断り書きが無い場合、用語「筐体カバー13」は、「閉位置の筐体カバー13」を意味する。
【0024】
[プリンタ10の内部構成]
図2に示されるように、プリンタ10は、内部空間11に、ロールホルダ21、テンショナ22、搬送部23、記録ヘッド24、支持機構25、ヒータ(加熱部の一例)26、ヒータカバー27、基準板29、CISユニット(読取部の一例)30、および拍車ホルダユニット31を備える。
【0025】
[ロールホルダ21]
内部空間11内で後方寄り且つ下方寄りには、隔壁36によりシート収容空間37が区画される。ロールホルダ21は、シート収容空間37内でフレーム(不図示)により支持される。ロールホルダ21には、ロール体38が装着され、シートSが芯管に巻回される。ロール体38は、芯管を有さないロール状に巻回されたシートSでもよい。また、シート収容空間37には、シートSとして、長尺のファンフォールド紙、またはカット紙が収容可能であってもよい。隔壁36の後端と、後壁17との間には、シートSが通過する隙間39が形成されている。シートSは、ロール体38から引き出されて隙間39を通ってテンショナ22に向かって延びる。
【0026】
[テンショナ22]
テンショナ22は、隔壁36より上方且つ後壁17付近に位置する。テンショナ22は、内部空間11内で左右両端付近に位置するフレーム(不図示)に支持され、フレーム間で左右方向9に延びる。テンショナ22は、前後方向8に移動可能であり、バネにより後向きに付勢される。テンショナ22は、筐体1の外方を向く湾曲面40を有している。シートSは、湾曲面40に下方から巻き掛けられて湾曲面40の上端を通過して、テンショナ22の前方に位置する搬送ローラ対41に向かって延びる。テンショナ22に巻き掛けられたシートSには、テンションが付与される。
【0027】
[搬送部23]
搬送部23は、シートSを搬送路33に沿って搬送する。搬送部23は、ロール体38から引き出したシートSを排出口16に搬送する。搬送部23は、搬送ローラ対41と、第1排出ローラ対51と、第2排出ローラ対52とを有する。
【0028】
図2において、内部空間11には、シートSの搬送路33が形成される。搬送路33は、ロール体38から上方に延びた後、テンショナ22の上端から前方に延び、記録ヘッド24、ヒータ26、およびCISユニット30を通過して排出口16に至る。つまり、ロール体38とテンショナ22との間におけるシートSが搬送される搬送方向Pは上方であり、テンショナ22と排出口16との間における搬送方向Pは前方である。
【0029】
搬送ローラ対41において、駆動ローラ42およびピンチローラ43は、テンショナ22の前方でフレームに支持され、左右方向9に延びる。ピンチローラ43は、駆動ローラ42の上端に上方から当接する。駆動ローラ42は、モータ(不図示)から駆動伝達されて回転することによって、ピンチローラ43との間にシートSをニップしつつ前方にシートSを搬送する。
【0030】
第1排出ローラ対51は、ヒータ26の前方、且つCISユニット30の後方に位置する。第1排出ローラ対51は、シートSの下面に当接する排出ローラ28AとシートSの上面に当接する第1拍車ローラ317Aとを有する。排出ローラ28Aは、フレームに回転可能に支持されている。第1拍車ローラ317Aは、後述の拍車ホルダ313Aに回転可能に支持されている。排出ローラ28Aは、モータ(不図示)から駆動伝達されて回転することによって、第1拍車ローラ317Aとの間にシートSをニップしつつ前方にシートSを搬送する。
【0031】
第2排出ローラ対52は、CISユニット30の前方、且つ排出口16の後方に位置する。第2排出ローラ対52は、シートSの下面に当接する排出ローラ28BとシートSの上面に当接する第2拍車ローラ317Bとを有する。排出ローラ28Bは、フレームに回転可能に支持されている。第2拍車ローラ317Bは、後述の拍車ホルダ313Bに回転可能に支持されている。排出ローラ28Aは、モータ(不図示)から駆動伝達されて回転することによって、第2拍車ローラ317Bとの間にシートSをニップしつつ前方にシートSを搬送する。排出ローラ28A,28Bの各上端は、搬送ベルト64の搬送面よりも上下方向7における下方に位置する。
【0032】
[記録ヘッド24]
記録ヘッド24は、ピンチローラ43の前方且つ支持機構25の上方の位置でフレームに支持される。記録ヘッド24は、記録ヘッド24の下面に形成された複数のノズル70が開口する面であるノズル面71を有しており、ノズル70から、支持機構25に支持されたシートSへ向かってインク(液体の一例)を吐出する。これにより、シートSの記録面にインクによる画像が記録される。記録ヘッド24は、インクタンク(不図示)からチューブ(不図示)を介してインクの供給を受ける。インクは、水、顔料、熱可塑性樹脂微粒子を含有するPPインクである。
【0033】
[支持機構25]
支持機構25は、駆動ローラ42より前方、且つ記録ヘッド24の直下に位置し、フレームにより支持される。支持機構25は、搬送ベルト64と、搬送ベルト64の左右両側でシートSを支持する支持部(不図示)と、を有する。搬送ベルト64は、モータ(不図示)で生成された動力により回転する。詳細には、搬送ベルト64において記録ヘッド24と直下で対向する搬送面が前方へと走行する。これにより、搬送ローラ対41から送り出されたシートSが前方へと摩擦搬送され、支持機構25の前方のヒータ26へと送られる。支持部65は、搬送ベルト64の搬送面と概ね同じ上下位置で前後左右に拡がる支持面を有する。この支持面は、記録ヘッド24の直下で搬送されるシートSを支持して、ノズル70およびシートSの間の上下距離を維持する。なお、プリンタ10は、図示しない吸着機構によりシートSを支持面に吸着してもよい。
【0034】
[ヒータ26]
ヒータ26は、記録ヘッド24よりも搬送方向Pの下流に位置する。ヒータ26は、フレームに支持され、左右方向9に延びる。ヒータ26は、伝熱プレート(熱源の一例)73と、フィルムヒータ74と、を有している。伝熱プレート73は、金属製であり、搬送ベルト64の搬送面と概ね同じ上下位置に、前後左右に拡がる支持面を有する。支持機構25から送り出されたシートSは、伝熱プレート73の支持面上で前方へと搬送される。フィルムヒータ74は、伝熱プレート73の下面に固定されており、コントローラ(不図示)の制御下で発熱する。この熱は、伝熱プレート73を介して、伝熱プレート73上のシートSに伝わる。伝熱プレート73の熱は、シートS、シートSに吐出されたインク、或いはシートSに吐出されてシートSに含浸したインクを加熱して水分を蒸発させる。
【0035】
[ヒータカバー27]
ヒータカバー27は、ヒータ26から上方に若干離れて位置する。ヒータカバー27は、筐体カバー13の左壁14および右壁20(
図1(B)参照)の間で前後左右に拡がる。ヒータカバー27は、伝熱プレート73の支持面全域を覆っている。ヒータカバー27内には、3個の第3拍車ローラ75が前後に並んでいる。第3拍車ローラ75の各々は、左右方向9に平行な回転軸周りに回転可能にヒータカバー27に支持される。第3拍車ローラ75の各下端は、ヒータカバー27の下面に形成されたスリット(不図示)から、ヒータカバー27の下面に対し若干下方に突出する。
【0036】
[拍車ホルダユニット31]
図2、
図3に示されるように、筐体カバー13の内部空間11において筐体77の直前および直後には、収容空間101A,101Bがそれぞれ形成される。収容空間101Aは、ヒータカバー27より前方に区画される。収容空間101A,101Bの各々は、下向きに開放されている。収容空間101A,101Bには、二個一対の支持部材311A、311Bが筐体カバー13にそれぞれ取り付けられている。二個の支持部材311Aの間、および二個の支持部材311Bの間には、円柱形状のシャフト312A,312Bが左右方向9に平行に架け渡されている。
【0037】
シャフト312A,312Bには、拍車ホルダユニット31が着脱可能に取り付けられている。拍車ホルダユニット31は、シャフト312A,312Bに装着されるとき、収容空間101A,101Bに収容され、排出ローラ28A,28Bの上方に位置する。
【0038】
図3に示されるように、拍車ホルダユニット31は、拍車ホルダ313A,313Bと、連結部材314A,314Bと、嵌合部315A,315Bと、を有する。
【0039】
[拍車ホルダ313A,313B]
拍車ホルダ313A,313Bの各々は、左右方向9に細長く拍車ホルダユニット31がシャフト312A,312Bに装着された時に、収容空間101A,101Bに収容され位置決めされる。拍車ホルダ313A,313Bには、第1拍車ローラ317A、第2拍車ローラ317Bが左右にそれぞれ並んでいる。第1拍車ローラ317Aおよび第2拍車ローラ317Bの各々は、左右方向9に平行な回転軸周りに回転可能に拍車ホルダ313A,313Bに支持される。第1拍車ローラ317Aおよび第2拍車ローラ317Bの各下端は、拍車ホルダ313A,313Bに形成されたスリットから若干突出し、排出ローラ28A,28B(
図2参照)の上端に当接する。
【0040】
連結部材314Aは、筐体77よりも左方の位置で前後に延びる平板であり、拍車ホルダ313A,313Bの左端同士を互いに連結する。連結部材314Bは、筐体77よりも右方の位置で前後に延びる平板であり、拍車ホルダ313A,313Bの右端同士を互いに連結する。
【0041】
嵌合部315Aは、拍車ホルダ313Aから後方に延びている。嵌合部315Bは、拍車ホルダ313Bから前方に突出している。嵌合部315A,315Bは、シャフト312A,312Bに嵌合する。嵌合部315A,315Bがシャフト312A,312Bに嵌合することで第1拍車ローラ317A、第2拍車ローラ317Bが、CISユニット30の前後に位置する。
【0042】
[基準板29]
図2に示されるように、基準板29は、前後方向8において排出ローラ28A,28Bの間の位置でフレームに支持される。基準板29は、排出ローラ28A,28Bの各上端と概ね同じ上下位置で前後左右に拡がる支持面を有する。支持面は、上方を向いており、白色に着色されている。
【0043】
[CISユニット30]
CISユニット30は、シートSに記録された画像を読み取る。CISユニット30は、前後方向8において排出ローラ28A,28Bの間に位置しており、上下方向7において基準板29の直上に位置している。つまり、CISユニット30は、ヒータ26の搬送方向Pにおける下流、且つ、ヒータ26よりも上下方向7における上方に位置している。CIS30において、左右方向9が読取りラインLであり(
図6参照)、左右方向9(読取方向の一例)に沿ってシートSの画像を読み取る。
図4、
図5に示されるように、CISユニット30は、筐体77と、ガラス板(透光性部材の一例)78と、基板79と、LED(光源の一例)80と、導光板(導光部材の一例)81と、レンズ82と、第1断熱部材(断熱部材の一例)83と、第2断熱部材84とを有する。なお、
図5においては、説明の便宜上、第1断熱部材83および第2断熱部材84の図示を省略している。
【0044】
筐体77は、左右方向9に長い直方体形状である。筐体77は、下面において開口85が形成されている。つまり、開口85は、基準板29に対向する。開口85は、前後方向8および左右方向9に広がる。開口85は、前後方向8よりも左右方向9に長い(
図5参照)。
【0045】
ガラス板78は、開口85の上下方向7における下方に位置し、LED80からの光、画像が記録されたシートSに反射した光が透過する。ガラス板78は、筐体77の下面に固定されている。ガラス板78は、前後方向8および左右方向9に広がる。ガラス板78は、開口85よりも前後方向8および左右方向9に長い(
図5参照)。
【0046】
基板79には、LED80、および、CIS(コンタクトイメージセンサ)86(イメージセンサの一例)が搭載されており、コントローラと電気的に接続されている。基板79は、前後方向8および左右方向9に広がる平板形状である。基板79は、筐体77内の上部に位置する。基板79は、前後方向8よりも左右方向9に長い。
【0047】
LED80は、画像記録されたシートSに光を照射する。
図4、
図5に示されるように、LED80は、基板79の左端の下面に位置している。LED80は右方に向けて光を照射する。
【0048】
CIS86は、シートSに記録された画像を読取りラインLに沿って光学的に読み取り、読み取り画像を示す画像信号をコントローラに出力する。CIS86は、ラインイメージセンサである。CIS86は、左右方向9に長い。
【0049】
導光板81は、LED80からの光を基準板29上における搬送路33を通過するシートSに導くための略透明な反射部材である。導光板81は、屈折率の高いコアを屈折率の低いクラッドが覆うように構成される。導光板81には、石英ガラス、フッ化物ガラス、カルコゲナイドガラス、プラスチック等が使用される。
【0050】
導光板81は、左右方向9に長い略矩形形状である。導光板81は、上下方向7において、基板79よりも下方に位置する。導光板81は、LED80とほぼ同じ高さに位置する。導光板81は、LED80から右方に延びている。導光板81は、左端がLED80に近接している。導光板81は、左右方向9において基板79よりも短い。
【0051】
導光板81は、LED80からの光を開口85から外部に出射する。より具体的には、導光板81は筐体77内において後方且つ下方の斜め方向に向けて設置されており、LED80から照射される光を後方且つ下方の斜め方向に向けて均一に拡散しつつ出射させる。導光板81から出射された光は、読取りラインLに沿って基準板29上を通過するシートS上に照射される。
【0052】
レンズ82は、ガラス板78を通じ外部から入射する光の光路上に位置する。レンズ82は、上下方向7においてCIS86とガラス板78との間に位置してシートSに反射したLED80の光をCIS86に集光する。レンズ82は、複数が左右方向9に並ぶ。
【0053】
図4、
図6に示されるように、第1断熱部材83は、筐体77の開口85に位置して伝熱プレート73から基板79に向かって放射される熱を遮る。第1断熱部材83は、伝熱プレート73から基板79に伝導、対流、或いは放射によって熱移動するのを軽減するものであればよい。第1断熱部材83には、ウレタンフォームやフェノールフォーム等の発泡系断熱材が使用されてもよい。
【0054】
第1断熱部材83は、開口85に位置している。第1断熱部材83は、外形が左右方向9に長い矩形のシート形状である。第1断熱部材83には、中央部分において左右方向9に長い開口87が形成されている。つまり、第1断熱部材83は、ガラス板78の上面の一部を覆う。ガラス板78の上面の一部とは、ガラス板78の上面において、導光板81からシートSに出射される光およびシートSから反射して外部からレンズ82に入射する光の光路を除く領域である。すなわち、第1断熱部材83において開口87が形成される位置は、上方から視て読取りラインLと重なる(
図6参照)。
【0055】
開口87は、導光板81からシートSに出射される光、およびシートSに反射して外部からレンズ82に入射する光が通過する。
図6に示されるように、第1断熱部材83は、左右方向9において、伝熱プレート73の両端よりも外方に位置している。つまり、第1断熱部材83は、左右方向9において、伝熱プレート73よりも長い。第1断熱部材83は、LED80よりも右方に位置する。第1断熱部材83は、基板79よりも短い。
【0056】
図4、
図5に示されるように、第2断熱部材84は、筐体77内に位置して基板79が加熱されるのを遮る。第2断熱部材84は、第1断熱部材83と同様、伝熱プレート73から基板79への熱移動を軽減できるものであればよく、発泡系断熱材の他、グラスウールやロックウール等の繊維系断熱材であってもよい。
【0057】
第2断熱部材84は、筐体77内における、基板79の前後左右および下方の空間に位置し、且つ、筐体77内における、導光板81からシートSに出射される光およびシートSから反射して外部からレンズ82に入射する光の光路を除く領域に位置する。第2断熱部材84は、上面から下向きに凹んだ第1凹部88と、下面から上向きに凹んだ第2凹部89とが形成された略直方体状の形状である。第1凹部88は、基板79の前後方向8および左右方向9の端面、並びに下面を取り囲むように形成されており、第2凹部89は、導光板81およびレンズ82の前後方向8および左右方向9の端面、並びに上面を取り囲むように形成されている。
【0058】
[プリンタ10の動作]
プリンタ10は、プリンタ10と通信可能な情報処理装置(例えばPC)からシートSに記録される画像を示す印刷データを受信すると画像記録を実行する。
【0059】
図2に示されるように、画像記録では、ロールホルダ21、駆動ローラ42、搬送ベルト64、排出ローラ28A,28Bが回転する。これにより、シートSは、ロールホルダ21から繰り出されてテンショナ22の方へ搬送される。
【0060】
搬送ローラ対41は、テンショナ22からのシートSをニップし、搬送路33へと送り出す。搬送ベルト64は、前方に走行する自身の搬送面により、搬送ローラ対41から送り出されたシートSをさらに前方へと摩擦搬送する。支持部65は、搬送ベルト64の左隣りおよび右隣りで、自身の支持面によりシートSを支持する。記録ヘッド24は、印刷データに基づいて各ノズル70からインクを支持機構25により支持されるシートSに向けて吐出する。これにより、シートSには、画像が記録される。
【0061】
画像が記録されたシートSは、ヒータ26およびヒータカバー27の間へと送られ、ヒータ26の支持面上でさらに前方へと搬送される。シートSには、ヒータ26の伝熱プレート73により熱が加えられる。加熱により、シートS上またはシートS内の熱可塑性樹脂微粒子が溶融するとともに、シートSおよびインクに含まれる水分が蒸発する。そして、インクが乾燥すると、熱可塑性樹脂微粒子が固化して画像がシートSに定着する。
【0062】
シートSおよびインクに含まれる水分が蒸発した後、加熱蒸気は内部空間11において、シートSの搬送によって搬送方向Pにおける下流、且つシートSの上方に移動する。移動した加熱蒸気は、ヒータ26に到達するが、ヒータ26においては、第1断熱部材83および第2断熱部材84によって基板79への熱の伝達が遮られる。
【0063】
ヒータ26に送られた後のシートSは、排出ローラ28Aおよび第1拍車ローラ317Aと、排出ローラ28Bおよび第2拍車ローラ317Bとによりさらに前方へと送られる。排出ローラ28A,28Bの間では、シートSは、基準板29上で搬送される。CISユニット30は、シートSに記録された画像を光学的に読み取り、読取結果を示す読取データをコントローラに出力する。コントローラは、読取データに基づいて、シートSに記録された画像の品質を判定する。シートSは、画像が読み取られた後に排出口16から排出される。
【0064】
[プリンタ10の作用効果]
実施形態では、シートSまたはインクの加熱によって発生する蒸気の熱を第1断熱部材83によって遮ることで、基板79の温度上昇によるCISユニット30の読取性能の低下を抑制できる。また、LED80が第1断熱部材83よりも左右方向9における外方に位置するため、第1断熱部材83がLED80の熱によって劣化したり、LED80自体が第1断熱部材83に覆われることで温度上昇して劣化したりするのを抑制できる。
【0065】
実施形態では、第1断熱部材83によって伝熱プレート73から基板79への熱およびシートSまたはインクの加熱によって発生する蒸気の熱が遮られるため、CISユニット30が、ヒータ26および蒸気の熱が及びやすい搬送路33の上方に位置しても、CISユニット30によるシートSに記録された画像の読取性能の低下を抑制できる。
【0066】
[変形例1]
実施形態では、第1断熱部材83が、ガラス板78上においてガラス板78の一部を覆うように位置している場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。第1断熱部材83は、例えば、
図7に示されるように、複数がガラス板78上に積層されるものであってもよい。
【0067】
変形例1では、第1断熱部材83は、LED80からの光を反射して導光板81から出射される光、およびシートSに反射して外部からガラス板78を透過してレンズ82に入射する光の光路を除く領域に積層されている。
【0068】
[変形例1の作用効果]
変形例1では、第1断熱部材83の複数がガラス板78上に積層されているため、画像が記録されたシートSが加熱されて発生する蒸気からCISユニット30Aに及ぶ熱を、より確実に遮断することができる。
【0069】
変形例1では、導光板81からシートSに出射される光、およびシートSから反射して外部からレンズ82に入射する光の光路を遮ることなく第1断熱部材83が積層した状態で配置できる。このため、光路が第1断熱部材83によって遮られることなく確実にシートSの画像を読み取ることができ、また、熱によるCISユニット30Aの読取性能の低下も抑制できる。
【0070】
[変形例2]
実施形態では、第1断熱部材83が、ガラス板78の上方の一部を覆うように開口85に位置する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。第1断熱部材83は、ガラス板78との間に空気層93が形成される透光性を有するものであってもよい。
【0071】
具体的には、第1断熱部材83およびガラス板78が複層ガラス90として構成されるものであってもよい。この場合、
図8に示されるように、複層ガラス90は、筐体77の開口85に位置する。複層ガラス90は、第1ガラス板91と、第2ガラス板92と、空気層93とを有する。
【0072】
第1ガラス板91は、透光性を有しており、複層ガラス90の下面を形成している。第2ガラス板92は、透光性を有しており、第1ガラス板91の上下方向7における上方に位置する。空気層93は、第1ガラス板91と第2ガラス板92との間に位置している。空気層93には、乾燥空気が封入されている。
【0073】
[変形例2の作用効果]
変形例2では、シートSまたはインクの加熱によって発生する蒸気が複層ガラス90において結露するのを防止できる。また、蒸気から基板79に伝達する熱を空気層93によって遮ることで基板79の温度上昇を抑え、CISユニット30Bの読取性能の低下を抑制できる。
【0074】
[その他の変形例]
実施形態では、LED80が、基板79の左端の下面に位置している場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。LEDは、基板79の左端および右端の両方の下面に位置しているものであってもよい。この場合、導光板81は、左右方向9において、左右のLEDの間に位置する。また、第1断熱部材83は、左右方向9において、左右のLEDの内側に位置する。第1断熱部材83は、左右方向9において、基板79よりも短い。
【0075】
実施形態では、第1断熱部材83が、筐体77内のガラス板78上の光路を除く領域に位置している場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。第1断熱部材83は、例えば、ガラス板78の下面であって光路を除く領域に位置するものであってもよい。この場合、第1断熱部材83は、搬送路33を搬送されるシートSと接触しない距離だけ基準板29から離間して位置する。また、第1断熱部材83は、ガラス板78の下面において積層されるものであってもよい。
【0076】
実施形態では、第1断熱部材83の中央部分において左右方向9に長い開口87が形成されている場合を例にあげて説明したが、第1断熱部材83は、開口85において前方と後方に2つに分かれて配置されていてもよい。具体的には、第1断熱部材83の一方が、前後方向8において、導光板81よりも前方に位置しており、他方がレンズ82よりも後方に位置していてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10・・・プリンタ(画像記録装置)
23・・・搬送部
24・・・記録ヘッド
26・・・ヒータ(加熱部)
30・・・CISユニット(読取部)
33・・・搬送路
73・・・伝熱プレート(熱源)
77・・・筐体
79・・・基板
78・・・ガラス板(透光性部材)
80・・・LED(光源)
81・・・導光板(導光部材)
82・・・レンズ
83・・・第1断熱部材(断熱部材)
85・・・開口
86・・・CIS(イメージセンサ)
93・・・空気層