(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176104
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】吸収性物品の個包装体
(51)【国際特許分類】
A61F 13/551 20060101AFI20231206BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A61F13/551 200
A61F13/15 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088204
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】筒井 咲葵
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA03
3B200BB03
3B200CA11
3B200DF09
(57)【要約】
【課題】手で細かい作業を行うことが難しい人であっても、個包装を開封し、使用済の吸収性物品を衛生的に廃棄することが可能な吸収性物品の個包装体の提供を目的とする。
【解決手段】本開示に係る吸収性物品の個包装体1は、吸収性物品20と、吸収性物品20を包装する個包装シート10と、を含む吸収性物品の個包装体1であって、個包装シート10は、長手方向の両側の外端部に配置されて幅方向に延びる1対のスリット11a,11bを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品と、前記吸収性物品を包装する個包装シートと、を含む吸収性物品の個包装体であって、
前記個包装シートは、長手方向の両側の外端部に配置されて幅方向に延びる1対の開口部を備える
ことを特徴とする吸収性物品の個包装体。
【請求項2】
前記1対の開口部は、前記幅方向に延びるスリットである
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品の個包装体。
【請求項3】
前記1対の開口部の前記幅方向の長さは、10mm以上100mm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品の個包装体。
【請求項4】
前記1対の開口部は、前記個包装シートの前記長手方向の外端から10mm以上30mm以下の領域に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品の個包装体。
【請求項5】
前記個包装シートは、スパンボンド不織布又は前記スパンボンド不織布を含む複合不織布から構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品の個包装体。
【請求項6】
前記1対の開口部の少なくとも一部は、前記長手方向の外側へ凸状に形成される
ことを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品の個包装体。
【請求項7】
前記個包装シートは、前記1対の開口部の前記長手方向の内側又は外側の近傍に、前記1対の開口部の位置の目印となる目印領域を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品の個包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品の個包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン、パンティーライナー、軽失禁製品、軽失禁ライナー、尿取りパッド等のパッド製品を、1つずつ個包装シートで包み、個包装シートの端部を封止テープで封着することにより個包装化した、吸収性物品の個包装体が知られている。吸収性物品の個包装化により、吸収性物品を1つずつ、簡易にかつ衛生的に持ち運ぶことができ、外出先での使用済の吸収性物品(以下単に「使用済品」ともいう)の新しい吸収性物品(以下単に「新品」ともいう)への交換も比較的容易である。
【0003】
吸収性物品の個包装体を利用して、使用済品を新品に交換するときに、新品の個包装シートで使用済品を包んで廃棄することが行なわれている。具体的には、例えば、下着から剥がした使用済品を折り畳むか又はロール状に巻回した後に、新品に付属する個包装シートで包み、得られた包装体を新品に付属する封止テープで封じるのが一般的な手法である。しかしながら、前述の手法では、使用済品を直接手で触れるのを避けることができず、不衛生であるという問題がある。また、新品を取り出すために一度剥がした封止テープでは接着力が弱まり再封性がよくない。具体的には、包装体が開いて、使用済品の隠蔽性が著しく低下したり、使用済品に吸収されていた尿や血液等が包装体から漏出したりするといった不具合が生じ易い。新品と取り替えた使用済品を包装するときに、使用済品への手指の接触を出来るだけ少なくし、使用済品を隠蔽性及び密封性良く包装し、体液の漏れを防止できる吸収性物品の個包装体が要望され、種々の提案がなされている。
【0004】
特許文献1には、吸収性物品を個包装する可撓性の個包装シートであって、表裏に貫通する挿通部を有し、吸収性物品を、折り畳むか又はロール状に丸めて柱状体とすると共に挿通部が外面に露出するように個包装シートでくるみ、且つ柱状体の軸心方向端部側から個包装シートの挿通部に挿通することで、吸収性物品を柱状体等の状態に維持可能に包装できる個包装シートが記載されている(請求項1)。特許文献1の個包装シートの代表的な実施形態は、2つの挿通部が個包装シートの長手方向の一方の端部において幅方向に対向配置された形態である(請求項2、3)。また、挿通部は例えばミシン目として形成される(請求項5)。特許文献1によれば、粘着性の部材を用いることなく吸収性物品を個包装シートでくるんだ状態で維持することができると記載されている(段落0006)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、手が不自由で細かい作業が難しい人にとっては、未使用の吸収性物品を個包装する個包装シートの封止テープを剥がすことが難しい場合がある。また、吸収性物品は、吸収量が多いと膨らんでしまうので、使用済の吸収性物品を手で丸めることが困難であり、個包装シートから露出しないように個包装シートで包むことも難しい。使用済の吸収性物品が個包装シートから露出しないように、使用済の吸収性物品を何度も手で触れることは衛生上好ましくない。このように、手が不自由で細かい作業が難しい人にとっては、吸収性物品の開封や廃棄が難しいという問題がある。
【0007】
特許文献1には、個包装シートにミシン目を設けることによって、粘着性の部材を用いることなく吸収性物品を包むことが可能な個包装シートが開示されている。しかし、吸収性物品の量産ラインでは、通常、吸収性物品の長手方向と搬送方向(MD方向)とが直交するように吸収性物品やその一部を構成する資材が搬送される。特許文献1の個包装シート90で包んだ、
図8に示す吸収性物品20の個包装体100を搬送すると、挿通部を構成するためのミシン目80の延びる方向である長手方向と搬送方向とが略直交することから、個包装シート90ひいてはミシン目80に搬送方向のテンションが掛かり、ミシン目80が破れ易くなる。一方で、ミシン目80を破れ難くするために、ミシン目80の間隔を広げるなどすると、使用時にミシン目80が開け難くなる。
【0008】
また、吸収性物品は体液を吸収して比較的大きく膨らむことが比較的多く発生し、このような場合、特許文献1の個包装シート90は、挿通部(ミシン目80の切り込み)に入らず、包むことができない。無理に挿通部に入れ込もうとすると、挿通部が裂けてしまい、使用済品を隠蔽性及び密封性良く包装することができない。さらに、体液漏れを十分に防止することもできない。
【0009】
そこで、本開示は、手で細かい作業を行うことが難しい人であっても、個包装を開封し、使用済の吸収性物品を衛生的に廃棄することが可能な吸収性物品の個包装体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、個包装シートの長手方向の両端部に、幅方向に延びる開口部を設けることで、手で細かい作業を行うことが難しい人であっても、個包装を開封することができ、使用済の吸収性物品を個包装シートに包んで衛生的に廃棄することができ、また製品の搬送方向に力が掛かっても損傷することがないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明の第1の態様は、吸収性物品と、前記吸収性物品を包装する個包装シートと、を含む吸収性物品の個包装体であって、前記個包装シートは、長手方向の両側の外端部に配置されて幅方向に延びる1対の開口部を備える。
【0012】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の吸収性物品の個包装体であって、前記1対の開口部は、前記幅方向に延びるスリットである。
【0013】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様の吸収性物品の個包装体であって、前記1対の開口部の前記幅方向の長さは、10mm以上100mm以下である。
【0014】
本発明の第4の態様は、上記第1の態様の吸収性物品の個包装体であって、前記1対の開口部は、前記個包装シートの前記長手方向の外端から10mm以上30mm以下の領域に形成される。
【0015】
本発明の第5の態様は、上記第1の態様の吸収性物品の個包装体であって、前記個包装シートは、スパンボンド不織布又は前記スパンボンド不織布を含む複合不織布から構成される。
【0016】
本発明の第6の態様は、上記第2の態様の吸収性物品の個包装体であって、前記1対の開口部の少なくとも一部は、前記長手方向の外側へ凸状に形成される。
【0017】
本発明の第7の態様は、上記第2の態様の吸収性物品の個包装体であって、前記個包装シートは、前記1対の開口部の前記長手方向の内側又は外側の近傍に、前記1対の開口部の位置の目印となる目印領域を有する。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、手で細かい作業を行うことが難しい人であっても、個包装を開封し、使用済の吸収性物品を衛生的に廃棄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る吸収性物品の個包装体の構成を模式的に示す説明図であって、(a)は開封して展開した状態を、(b)は開封前の状態をそれぞれ示す。
【
図2】吸収性物品の一実施形態の構成を模式的に示す図であって、(a)は平面図を、(b)は(a)のIIb-IIb矢視断面図をそれぞれ示す。
【
図3】吸収性物品の個包装体の展開についての説明図であって、(a)は開封時の状態を、(b)は展開時の状態をそれぞれ示す。
【
図4】使用済の吸収性物品を個包装シートで包んで廃棄する際の第1段階の説明図であって、(a)(b)(c)の順で手順が進行する。
【
図5】使用済の吸収性物品を個包装シートで包んで廃棄する際の第2段階の説明図であって、(a)(b)(c)の順で手順が進行する。
【
図6】使用済の吸収性物品を個包装シートで包んで廃棄する際の第3段階の説明図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る吸収性物品の個包装体の構成を模式的に示す説明図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る吸収性物品の個包装体の構成を模式的に示す説明図である。
【
図9】従来技術の課題を説明する模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付する。
【0021】
本明細書において、吸収性物品の着用とは、体液の吸収前後を問わず、吸収性物品を身体に装着した状態をいう。吸収性物品において、長さ方向とは吸収性物品を身体に着用したときに着用者の股間部を介して身体の前後に亘る図中Yで示す方向であり、幅方向とは長さ方向に対して直交する図中Xで示す方向であり、厚み方向とは各構成部材を積層する図中Zで示す方向である。肌側とは、吸収性物品の厚み方向のうち、装着した状態で装着者の肌に面する側を意味し、非肌側とは、その反対側を意味する。体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係る吸収性物品の個包装体1について説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態に係る吸収性物品の個包装体1の構成を模式的に示す説明図であって、(a)は開封して展開した状態を、(b)は開封前の状態をそれぞれ示す。
図2は、吸収性物品20の一実施形態の構成を模式的に示す図であって、(a)は平面図を、(b)は(a)のIIb-IIb矢視断面図をそれぞれ示す。
【0024】
図1に示すように、本実施形態の吸収性物品の個包装体(以下、単に「個包装体」という。)1は、吸収性物品20と、吸収性物品20を包む個包装シート10と、個包装シート10の長手方向の一端に取り付けられた封止テープ30と、を備える。吸収性物品20と個包装シート10とは、例えば、吸収性物品20の後述するバックシート22の非肌側の面に設けられた下着取り付け用の粘着層24によって、剥離可能に互いに接着されている(
図1(a)参照)。使用前の個包装体1は、吸収性物品20を内側にするように、三つ折りに折り畳まれて、封止テープ30を個包装シート10に貼り付けた封止状態となっている(
図1(b)参照)。本実施形態では、使用前の個包装体1は、
図1(a)に示す一点鎖線x1,x2に沿って、一点鎖線x1、一点鎖線x2の順に三つ折りに折り畳まれて、封止状態となっている(
図1(b)参照)。吸収性物品20を使用する際には、封止状態の個包装体1の封止テープ30を剥がして個包装体1を展開し(
図1(a)参照)、吸収性物品20を個包装シート10から取り外して使用する。
【0025】
図2に示すように、吸収性物品20は、ベビー用、成人用及び高齢者用の種々の吸収性物品として使用でき、その中でも、生理用ナプキン、パンティーライナー、おりものシート、軽失禁パッド、軽失禁ライナー、尿取りパッド等のパッド製品である。吸収性物品20の、長手方向の寸法は例えば100mm以上800mm以下の範囲、150mm以上500mm以下の範囲、又は150mm以上350mm以下の範囲であり、幅方向の寸法は例えば50mm以上250mm以下の範囲、50mm以上180mm以下の範囲、又は50mm以上105mm以下の範囲である。各寸法を前述の数値範囲内にすると、軽失禁用製品、生理用ナプキン、おりものシート等に適した吸収性物品20が得られる。
【0026】
吸収性物品20は、トップシート21、吸収体23、及びバックシート22を基本構成単位とし、例えば、立体ギャザー25やサイドシート(不図示)の配設、トップシート21と吸収体23との間へのセカンドシートやトランスファシート(不図示)の配置、キャリアシート(不図示)による吸収体23の被覆等の、公知の様々な改変を施すことができる。以下、本実施形態の吸収性物品20の構成部材について、トップシート21、バックシート22、吸収体23、立体ギャザー25及びサイドシートの順で更に詳しく説明する。
【0027】
トップシート21は、吸収体23に向けて体液を速やかに通過させて吸収体23の面方向に体液を拡散させる液透過性のシート状基材である。トップシート21は、着用者の肌に直接当接してもよいように、柔らかな感触で、肌に刺激を与えない基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性シート、同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等を用いて作製された、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも各不織布が好ましい。
【0028】
トップシート21には、液透過性を向上させる観点から、エンボス加工や穿孔加工を表面に施してもよい。トップシート21は、肌への刺激を低減させる観点から、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等の1種又は2種以上を含有してもよい。トップシート21の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の観点から、例えば、15g/m2以上25g/m2以下の範囲、又は19g/m2以上35g/m2以下の範囲である。トップシート21の形状は特に制限されず、漏れがないように体液を吸収体23に誘導するために必要とされる、吸収体23の一部又は全部を覆う形状であればよい。
【0029】
バックシート22は、吸収性物品20が保持する体液が着用者の衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の単層不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等の複合不織布、これらの複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0030】
バックシート22の坪量は、強度及び加工性の点から、例えば15g/m2以上60g/m2以下の範囲である。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート22には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート22に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート22にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0031】
バックシート22は、非肌側の面に下着取り付け用の粘着層24を有している(
図1(a)及び
図2(b)参照)。粘着層24は、樹脂フィルム、紙、不織布等に対して接着性を示す接着剤を含んでいる。粘着層24は、個包装シート10に貼り付けられているが、粘着層24と個包装シート10との間には、プラスチックフィルム等からなる剥離シート(不図示)を介在させてもよい。剥離シートの材質としては、例えば、プラスチックフィルム、不織布シート、紙等が挙げられるが、シリコン加工を施した紙が好ましい。プラスチックフィルムや不織布シートなどには、例えば、高齢者が取り扱い易いように、エンボス加工や伸縮加工を施してもよい。なお、剥離シートの粘着層24に接する面は、シリコン加工が施されていないか、その反対面よりも弱いシリコン加工が施されていることが好ましい。これにより、剥離シートと個包装シート10とを剥離不能に接合することができる。
【0032】
粘着層24に含まれる接着剤としては特に限定されず、公知の接着剤を使用できるが、例えば、ホットメルト接着剤等が挙げる。ホットメルト接着剤としては、融点が100℃以上180℃以下のものを特に限定なく使用でき、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン系共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン系共重合体等の合成ゴム系ホットメルト接着剤、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系ホットメルト接着剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤の塗布方法としては、ノズルから溶融状態のホットメルト接着剤を非接触式で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法等、公知の方法が利用できる。また、粘着層24に、両面テープ等を用いることもできる。
【0033】
吸収体23としては、例えば、吸収性繊維と高吸収性ポリマーとを含むフラッフ吸収体が挙げられる。吸収体23は、その長手方向の寸法(最大長さ)が、例えば、100mm以上450mm以下の範囲、又は150mm以上350mm以下の範囲である。吸収体23の幅方向の寸法(最大幅)は、例えば、30mm以上250mm以下の範囲、又は30mm以上180mm以下の範囲である。
【0034】
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体23に、基材としての吸収性繊維にフラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、肌触りや体液吸収量等の観点から、例えば、80g/m2以上800g/m2以下の範囲、200g/m2以上500g/m2以下の範囲である。
【0035】
高吸収性ポリマー(以下「SAP」ともいう)としては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0036】
高吸収性ポリマーは、例えば、粒子状、繊維状等の形態で用いられるが、取扱い易さ等の観点から好ましくは粒子状で用いられる。このとき、粉体としての流動性が悪い微粉末の高吸収性ポリマーの使用を避け、中位粒子径を有する高吸収性ポリマーを用いることにより、吸収に関する基本性能を高め、かつ、吸収体23が体液を吸収した後に硬化することにより発生するごつごつとした触感を低減することができる。高吸収性ポリマーの中位粒子径は、例えば、50μm以上600μm以下の範囲又は100μm以上500μm以下の範囲である。吸収体23における高吸収性ポリマーの含有量は、吸収体23全量の25重量%以上の範囲、又は25重量%以上70重量%以下の範囲である。
【0037】
吸収体23において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものでもよく、吸収性繊維間にSAP粒子を固着したSAPシートでもよい。前述のフラッフ吸収体以外にも、吸収体23として、複数の親水性シートとこれらの間に固着担持された高吸収性ポリマーとを含む吸収性物品を使用することもできる。SAP粒子の吸収体23からの漏洩防止や吸収体23の形状の安定化の観点から、吸収体23の下又は吸収体23を全体に包むように、キャリアシートを設けてもよい(不図示)。キャリアシートの基材としては親水性を有するものであればよく、ティシュー、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。キャリアシートを複数備える場合は、複数のキャリアシートの基材は同一でも異なっていてもよい。
【0038】
立体ギャザー25は、吸収性物品20の着用者が排泄した体液の横漏れ等を防止するためのギャザーであって、例えば、トップシート21の肌側の面の幅方向両端部において、吸収性物品20の長手方向に沿って延びるように設けてもよい。立体ギャザー25は、弾性伸縮部材25aと、撥水性及び/又は防水性のシート部材25bと、を含む。
【0039】
弾性伸縮部材25aは、シート部材25bの自由端(他端)付近に長手方向に沿って配設され、該自由端に起立性を付与し、シート部材25bの自由端及びその近傍領域を着用者の体型に合わせて変形可能にする。シート部材25bは、本実施形態では幅方向一端(固定端)がバックシート22の肌側の面の幅方向両端付近に固定され、幅方向途中部がトップシート21の肌側の面の幅方向両端付近に固定され、幅方向他端が起立性を有する自由端である。シート部材25bの固定端(幅方向一端)の固定位置は、本実施形態に限定されず、例えば、バックシート22の非肌側の面、内部に吸収体23を収納したトップシート21とバックシート22との各縁辺の全部又は一部接合体の肌側の面又は非肌側の面の幅方向両端付近、トップシート21の肌側の面の幅方向両端付近等が挙げられる。
【0040】
シート部材25bは撥水性及び/又は防水性を有するシートであり、例えば不織布から構成される。第1シート部材用不織布としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び/又は防水性(液不透過性)の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMS不織布)等が挙げられる。シート部材25bの坪量は、例えば、13g/m2以上20g/m2以下の範囲である。弾性伸縮部材25aとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
【0041】
トップシート21の肌側の面の長手方向両端部には、吸収性物品20の幅方向に延びるように一対のサイドシート(不図示)を設けてもよい。サイドシートの材質としては、バックシート22に用いられるものと同様の、液不透過性の不織布や樹脂フィルムを特に限定なく使用できる。サイドシートは、例えば、トップシート21の長手方向両端部を、その形状に沿って覆うように設けられ、一方及び他方の長手方向におけるサイドシートの長手方向寸法は例えば10mm以上30mm以下の範囲である。
【0042】
図1に示すように、個包装体1の個包装シート10は、吸収性物品20を個包装するためのシート状の部材であって、本実施形態では平面視において矩形状に形成される。個包装シート10の長手方向及び幅方向の長さは、吸収性物品20よりも長い。なお、個包装シート10の形状は矩形状に限定されるものではなく、例えば、長円状、楕円形状、4角が丸まった角丸矩形状等であってもよい。
【0043】
個包装シート10の材質としては特に限定されず、不織布、樹脂フィルム、少なくとも表面に撥水性を付与した紙製シート等、種々のものを使用できるが、破れ難さに関する耐性、外出先に持ち運ぶための軽量性や嵩高等の観点から、不織布が好ましい。不織布としては、バックシート22に用いられる不織布が好ましく、後述するスリット11a,11bの周囲の強度等の観点からスパンボンド不織布、スパンボンド不織布を含む複合不織布等がより好ましい。スパンボンド不織布を含む複合不織布としては、例えば、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布等が挙げられる。使用される不織布の坪量は、例えば、13g/m2以上25g/m2以下の範囲である。
【0044】
個包装シート10は、長手方向の両側の外端部に配置されて幅方向に延びる1対の開口部(本実施形態では、スリット11a,11b)を備える。1対の開口部は、後述するように、個包装体1の開封時に使用者が指を挿入したり、使用済みの吸収性物品20を個包装シート10で包む際に利用したりするための開口部である。本実施形態の1対の開口部は、個包装シート10の長手方向の両側の外端部に切り込みを幅方向に入れることによって形成される1対のスリット(開口部)11a,11bである。個包装シート10のうち各スリット11a,11bよりも長手方向の外側の領域12a,12b(以下、「外端領域12a,12b」という。)は、後述するように、使用済みの吸収性物品20を個包装シート10で包む際に指を掛けたり、吸収性物品20を隠蔽し密封したりするために利用される。なお、1対の開口部は、スリット(切り込み)に限定されるものではなく、個包装体1の開封時に使用者が指を挿入可能であり、使用済みの吸収性物品20を個包装シート10で包む際に利用可能であれば、他の形状(例えば、幅方向に長孔状の開口部など)であってもよい。また、長手方向の外側とは、長手方向の中心側を内側とし、長手方向の中心から長手方向に沿って離間する方向を意味する。
【0045】
スリット11a,11bは、本実施形態では、幅方向に互いに同じ長さに形成され、個包装シート10の幅方向の中央に配置される。また、スリット11a,11bは、幅方向に直線状に延び、互いに幅方向に平行に設けられる。
【0046】
スリット11a,11bの幅方向の長さL1は、10mm以上100mm以下であることが好ましく、25mm以上50mm以下であることがより好ましい。スリット11a,11bの幅方向の長さL1を10mmよりも短くすると、開封時に使用者が指を挿入することが難しくなる。一方、スリット11a,11bの幅方向の長さL1を100mmよりも長くすると、使用済みの吸収性物品20を個包装シート10で包んだ際に、吸収性物品20の隠蔽性及び密封性が低下してしまう。また、スリット11a,11bの幅方向の長さL1を25mm以上50mmに設定することによって、一般的な大人の指を2~3本挿入可能な幅とすることができる。なお、スリット11a,11bの幅方向の長さは、互いに同じ長さに限定されるものではない。
【0047】
スリット11a,11bから個包装シート10の長手方向の外端10a,10bまでの距離L2は、10mm以上30mm以下であることが好ましい。すなわち、スリット11a,11bは、個包装シート10の長手方向の外端10a,10bから10mm以上30mm以下の領域に形成されることが好ましい。スリット11a,11bを、個包装シート10の長手方向の外端10a,10bから10mmよりも近い領域に形成すると、個包装シート10の外端領域12a,12bの幅(長手方向の長さ)が短くなり、使用済みの吸収性物品20を個包装シート10で包む際に、個包装シート10の外端領域12a,12bが千切れ易くなってしまう。一方、スリット11a,11bを、個包装シート10の長手方向の外端10a,10bから30mmよりも離れた領域に形成すると、個包装シート10の外端領域12a,12bの幅(長手方向の長さ)が太くなり過ぎて、吸収性物品20の隠蔽性及び密封性が低下してしまうなど、使用性が低下する。なお、スリット11aから個包装シート10の長手方向の外端10aまでの距離L2と、スリット11bから個包装シート10の長手方向の外端10bまでの距離L2とは、互いに同一であってもよいし、或いは互いに異なっていてもよい。
【0048】
封止テープ30は、個包装シート10の一方の外端領域12aに設けられる。すなわち、封止テープ30は、スリット11aを跨がない位置に設けられる。本実施形態では、封止テープ30は、個包装シート10の一方の外端領域12aの幅方向の中央に設けられる。
【0049】
次に、使用済みの吸収性物品20’を新規の吸収性物品20に取り替える際の作業について、
図3~
図6に基づいて説明する。使用済みの吸収性物品20’を新規の吸収性物品20に取り替える際の大まかな流れの一例としては、使用者は、先ず、新規の個包装体1を開封し(
図3参照)、新規の吸収性物品20を個包装シート10から取り外して使用済みの吸収性物品20’と交換し、使用済みの吸収性物品20’を、上記新規の個包装体1で使用されていた個包装シート10に包んで廃棄する(
図4~
図6参照)。
【0050】
先ず、新規の個包装体1を開封する際の作業について、
図3に基づいて説明する。本説明では、個包装体1のスリット11a,11bを利用して封止状態の個包装体1を開封して展開する場合について説明する。
【0051】
図3は、吸収性物品の個包装体1の展開についての説明図であって、(a)は開封時の状態を、(b)は展開時の状態をそれぞれ示す。
図3では、(a)、(b)の順でステップが進行する。
【0052】
図3(a)に示すように、新規の吸収性物品20を使用する際には、使用者は、先ず、個包装シート10の一方の外端10a側に設けられるスリット11aに、長手方向の内側から外側(外端10a側)へ向かって指Fを挿入する。そして、スリット11aに指を掛けた状態で、使用者は、
図3(a)に白抜き矢印Aで示すように、封止テープ30を剥がす方向に手を動かして、封止テープ30を剥がし、個包装体1の長手方向の一方側(封止テープ30が設けられている側)を展開する。この状態では、個包装体1の長手方向の一方側(一点鎖線x2よりも外端10a側)が展開され、他方側(一点鎖線x1よりも外端10b側)は未だ折り畳まれた状態となっている。
【0053】
次に、使用者は、個包装シート10の他方の外端10b側に設けられるスリット11bに、長手方向の内側から外側(外端10b側)へ向かって指Fを挿入する。そして、スリット11bに指Fを掛けた状態で、使用者は、
図3(a)に白抜き矢印Bで示すように、個包装体1の長手方向の他方側を展開する。このように、使用者は、指Fでつまむ動作(例えば封止テープ30を指Fでつまむ動作)をしなくても、スリット11a,11bを利用して封止状態の個包装体1を開封して展開することができる(
図3(b)参照)。その後、使用者は、未使用の吸収性物品20を個包装シート10から取り外して使用する。なお、使用者は、スリット11a,11bを利用することなく、封止テープ30を指Fで剥がして開封して展開することもできる。
【0054】
次に、使用済みの吸収性物品20’を個包装シート10で包んで廃棄する場合の作業について、
図4~
図6に基づいて説明する。本説明では、個包装体1のスリット11a,11bを利用して使用済みの吸収性物品20’を個包装シート10で包んで廃棄する場合について説明する。
【0055】
図4(a)に示すように、使用済の吸収性物品20’を個包装シート10で包んで廃棄する場合、新規の個包装体1から吸収性物品20を取り外した後の個包装シート10を準備する。なお、
図4(a)には、新規の吸収性物品20の粘着層24と個包装シート10との間に配置されていた剥離シート13が図示されている。
【0056】
次に、
図4(b)に示すように、使用済みの吸収性物品20’を個包装シート10に載置する。使用済みの吸収性物品20’を個包装シート10に載置する際には、使用済みの吸収性物品20’の粘着層(図示省略)を利用して、使用済みの吸収性物品20’を個包装シート10に貼り付けてもよい。
【0057】
次に、
図4(c)に示すように、個包装シート10の長手方向の両側のスリット11a,11bに指Fを挿入して、個包装シート10の外端領域12a,12bを指Fに掛けた状態で、
図4(c)に白抜き矢印で示すように、使用済みの吸収性物品20’を内側にするように、使用済みの吸収性物品20’と共に個包装シート10を2つ折りにする。
【0058】
次に、
図5(a)に示すように、個包装シート10の長手方向の一側の外端領域12aを、他側のスリット11b内に挿入し、クロスさせる。このとき、封止テープ30が設けてある一側の外端領域12aを、他側のスリット11b内に挿入することが好ましい。これにより、一側の外端領域12aを封止テープ30によって視認し易いので、一側の外端領域12aを他側のスリット11b内に容易に挿入することができる。また、封止テープ30を引いて一側の外端領域12aを他側のスリット11b内から引き出すこともできる。
【0059】
次に、
図5(b)に示すように、他側の外端領域12bを、一側のスリット11a内に挿入する。このとき、
図5(a)に白抜き矢印で示すように、手を他側のスリット11b内から一側のスリット11a内に挿入し、反対側にある他側の外端領域12bに指を掛けて、他側の外端領域12bを引き出すことによって、他側の外端領域12bを一側のスリット11a内に挿入することができる。
【0060】
次に、
図5(c)に示すように、他側のスリット11b内に指を挿入して他側の外端領域12bに指を掛けた状態で持ち上げることによって、使用済みの吸収性物品20’の自重を利用して、他側の外端領域12bの根元を一側の外端領域12aで締め付ける。こうして得られる包装体は、他側の外端領域12bの根元が一側の外端領域12aによって硬く締結されている。また、
図5(c)に白抜き矢印で示すように、最後に、封止テープ30を個包装シート10へ貼り付けてもよい。これによって、包装が緩んでバラけてしまうことを防止することができる。なお、他側の外端領域12bの根元を一側の外端領域12aで締め付ける方法は、使用済みの吸収性物品20’の自重を利用することに限定されるものではなく、例えば、片手で一側の外端領域12aを押さえた状態で、他側の外端領域12bを引くことによって締め付けてもよい。
【0061】
最後に、
図6に示すように、他側のスリット11b内に指Fを挿入して他側の外端領域12bに指を掛けた状態で、使用済の吸収性物品20’を所定の廃棄箱等へ移動させて廃棄することができる。これにより、使用済の吸収性物品20’を個包装シート10で包んで廃棄することができる。すなわち、使用者は、指でつまむ動作をしなくても、スリット11a,11bを利用して指を掛けることによって、使用済の吸収性物品20’を個包装シート10で包んで廃棄することができる。
【0062】
上記のように構成された個包装体1では、個包装シート10は、長手方向の両側の外端部に配置されて幅方向に延びる1対の開口部(本実施形態ではスリット11a,11b)を備える。すなわち、個包装シート10は、長手方向の封止テープ30が設けられる側(本実施形態では一側)に開口部を備えるので、新規の個包装体1を開封する際に、封止テープ30を指でつまんで剥がさなくても、一側の開口部(スリット11a)に指を掛けて引くことによって封止テープ30を剥がすことができる。このように、使用者は、指でつまむ動作をしなくても、個包装体1の個包装を開封することができるので、手で細かい作業(例えば、指でつまむ動作)を行うことが難しい人であっても、個包装を開封することができる。
【0063】
また、個包装シート10は、長手方向の封止テープ30とは反対側(本実施形態では他側)に開口部を備えるので、新規の個包装体1を開封した後、展開する際に、個包装シート10又は吸収性物品20を指でつままなくても、他側の開口部(スリット11b)に指を挿入して個包装体1の個包装を展開することができる。このように、使用者は、指でつまむ動作をしなくても、個包装体1の個包装を展開することができるので、手で細かい作業を行うことが難しい人であっても、個包装を展開することができる。
【0064】
また、上述したように、使用者は、指でつまむ動作をしなくても、スリット11a,11bを利用して指を掛けることによって、使用済の吸収性物品20’を個包装シート10で包んで廃棄することができる。このため、手で細かい作業(例えば、指でつまむ動作)を行うことが難しい人であっても、使用済の吸収性物品20’を個包装シート10で包んで廃棄することができる。
【0065】
また、使用者は、個包装シート10の長手方向の外端領域12a,12bに触れて包装作業を行うので、使用済の吸収性物品20’を手で丸める場合とは異なり、使用済の吸収性物品20’を衛生的に個包装シート10で包むことができる。
【0066】
また、使用者は、使用済の吸収性物品20’側に触れることなく、個包装シート10の長手方向の外端領域12a,12bに触れて廃棄作業を行うことができるので、衛生的に廃棄することができる。
【0067】
また、使用済の吸収性物品20’を個包装シート10で包んだ包装体は、他側の外端領域12bの根元が硬く締結されていることから、剛性が高く、密閉性及び隠蔽性に優れ、体液漏れも顕著に防止することができる。
【0068】
このように、本実施形態によれば、手で細かい作業を行うことが難しい人であっても、個包装を開封し、使用済の吸収性物品20’を衛生的に廃棄することができる。
【0069】
また、1対の開口部は、幅方向に延びるスリット11a,11bである。このように、スリット11a,11bは、製品の製造ライン上の搬送方向と同じ方向に延びているので、製造ラインにおいて搬送方向のテンションが掛かることがなく、製造ライン上でスリット11a,11bが開いてしまうことを抑えることができる。
【0070】
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の個包装体2は、スリット14a,14bの形状が一直線状ではない点で第1実施形態と相違する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0071】
図7は、本発明の第2実施形態に係る吸収性物品の個包装体2の構成を模式的に示す説明図である。
図7(a)は、本実施形態のスリット14a,14bを、
図7(b)は、スリット14a,14bの一の変形例を、
図7(c)は、スリット14a,14bの他の変形例をそれぞれ示す。
【0072】
図7(a)示すように、本実施形態の個包装体2は、吸収性物品20(
図2参照)と、吸収性物品20を包む個包装シート10と、個包装シート10の長手方向の一端に取り付けられた封止テープ30と、を備える。個包装シート10は、1対のスリット(開口部)14a,14bを備える。なお、1対のスリット14a,14bを設ける領域は、上記第1実施形態の1対のスリット11a,11bと同様であってよい。
【0073】
図7(a)に示すように、個包装シート10の1対のスリット14a,14bは、全体として幅方向に延びるとともに、その全域が長手方向の外側(外端10a,10bに向かう方向)へ凸状に形成される。すなわち、1対のスリット14a,14bの少なくとも一部は、長手方向の外側へ凸状に形成される。本実施形態のスリット14a,14bは、幅方向に直線状に延びる中間部15と、中間部15の幅方向の両端から幅方向の外側かつ長手方向の内側へ、幅方向に対して傾斜する傾斜端部16,16を有する。
【0074】
なお、本実施形態では、1対のスリット14a,14bの形状を、中間部15と、中間部15の幅方向の両側の傾斜端部16,16とを有する形状としたが、これに限定されるものではなく、1対のスリット14a,14bの少なくとも一部が長手方向の外側へ凸状に形成されていればよい。
【0075】
例えば、
図7(b)に示すように、1対のスリット14a,14bは、その幅方向の中間部分が長手方向の外側へ膨出するように、全体として湾曲した形状であってもよい。或いは、
図7(c)に示すように、1対のスリット14a,14bは、その幅方向の中間部分(
図7(c)では中央部分)に配置されて長手方向の外側へ膨出する中間湾曲部17と、中間湾曲部17の幅方向の両端から幅方向に沿って外側へ直線状に延びる直線端部18,18とを有する形状であってもよい。
【0076】
上記のように構成された個包装体2では、1対のスリット14a,14bの少なくとも一部が長手方向の外側へ凸状に形成されるので、個包装体1の開封時に使用者が指を挿入する際に、長手方向の外側へ向かってスリット14a,14b内に指を挿入し易い。
【0077】
また、上記第1実施形態に係る個包装体1と同様の作用効果が生じる。
【0078】
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の個包装体3は、個包装シート10のスリット11a,11bの近傍に目印となる領域を設けた点で第1実施形態と相違する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0079】
図8は、本発明の第3実施形態に係る吸収性物品の個包装体3の構成を模式的に示す説明図である。
図8(a)は、スリット11a,11bの長手方向の内側に目印領域19を設けた状態を、
図8(b)は、スリット11a,11bの長手方向の外側に目印領域19を設けた状態をそれぞれ示す。なお、
図8では、スリット11b側に設けた目印領域19の図示を省略している。
【0080】
図8に示すように、本実施形態の個包装体3は、吸収性物品20(
図2参照)と、吸収性物品20を包む個包装シート10と、個包装シート10の長手方向の一端に取り付けられた封止テープ30と、を備える。
【0081】
個包装シート10は、1対のスリット(開口部)11a,11bの長手方向の内側又は外側の近傍に、スリット11a,11bの位置の目印となる目印領域19を有する。例えば、
図8(a)に示すように、個包装シート10の目印領域19を、スリット11a,11bの長手方向の内側に設けてもよいし、或いは、
図8(b)に示すように、スリット11a,11bの長手方向の外側に設けてもよい。
【0082】
本実施形態の個包装シート10の目印領域19は、他の領域とは異なる色の領域(異色領域)であり、スリット11a,11bが設けられている位置の目印となる。例えば、個包装シート10の地の色は白色であり、目印領域19は青色などであってもよい。本実施形態では、目印領域19(異色領域)を、スリット11a,11bに沿わせた状態で、スリット11a,11bの幅方向の全域に亘って設けている。
【0083】
なお、目印領域19を異色領域とする場合には、個包装シート10のスリット11a,11bの位置の目印となる所望の領域に対して、他の領域とは異なる色を着色することによって構成された領域であってもよいし、或いは、上記所望の領域には着色せずに、上記他の領域を上記所望の領域とは異なる色に着色することによって構成された領域であってもよい。
【0084】
また、本実施形態では、目印領域19(異色領域)を、スリット11a,11bに沿わせた状態で、スリット11a,11bの幅方向の全域に亘って設けたが、これに限定されるものではなく、目印領域19(異色領域)を、スリット11a,11bの幅方向の一部の領域に設けてもよい。
【0085】
また、本実施形態では、スリット11a,11bの位置の目印となる目印領域19を、他の領域とは異なる色の異色領域としたが、これに限定されるものではない。例えば、個包装シート10のスリット11a,11bの位置の目印となる所望の領域に、矢印(スリット11a,11bに向かう矢印)、三角印、四角印、丸印、或いはその他の模様等を付し、当該所望の領域をスリット11a,11bの位置の目印となる目印領域19としてもよい。
【0086】
また、
図8(a)及び
図8(b)では、目印領域19を、直線状に延びるスリット11a,11bに対して適用したが、これに限定されるものではなく、上記第2実施形態に係る個包装体2のスリット14a,14bに対して適用してもよい。
【0087】
上記のように構成された個包装体3では、個包装シート10は、1対のスリット11a,11bの長手方向の内側又は外側の近傍に、スリット11a,11bの目印となる目印領域19を有する。このため、例えばスリット11a,11bが細く視認することが難しい場合であっても、目印領域19を視認することができるので、スリット11a,11bの位置を分かり易くすることができる。
【0088】
また、上記第1実施形態に係る個包装体1と同様の作用効果が生じる。
【0089】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
1,2,3:吸収性物品の個包装体
10:個包装シート
10a,10b:個包装シートの長手方向の外端
11a,11b,14a,14b:1対のスリット(開口部)
19:目印領域
20:吸収性物品