IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横河電機株式会社の特許一覧

特開2023-176106設備を保守するための装置、方法、およびプログラム
<>
  • 特開-設備を保守するための装置、方法、およびプログラム 図1
  • 特開-設備を保守するための装置、方法、およびプログラム 図2
  • 特開-設備を保守するための装置、方法、およびプログラム 図3
  • 特開-設備を保守するための装置、方法、およびプログラム 図4
  • 特開-設備を保守するための装置、方法、およびプログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176106
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】設備を保守するための装置、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20231206BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088209
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 憲児
(72)【発明者】
【氏名】植村 英生
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ・アンナーセル
(72)【発明者】
【氏名】アブラー・サイード・アルアモウディ
(72)【発明者】
【氏名】アブドラティフ・アブドラー・アンナージム
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】設備を保守するための装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】装置は、設備に発生した異常の報告を取得する報告取得部と、報告中に異常情報として示された異常に対処する作業計画を出力する作業計画出力部と、作業計画出力部が出力した作業計画に応じた作業の評価を取得する評価取得部と、評価取得部が取得した評価を用いて、作業計画出力部による作業計画の出力内容を更新する更新部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備に発生した異常の報告を取得する報告取得部と、
前記報告中に異常情報として示された異常に対処する作業計画を出力する作業計画出力部と、
前記作業計画出力部から出力された作業計画に応じた作業の評価を取得する評価取得部と、
前記評価取得部により取得された評価を用いて、前記作業計画出力部による作業計画の出力内容を更新する更新部と
を備える装置。
【請求項2】
異常情報および当該異常に対処する作業計画をそれぞれ含む複数の組を記憶するデータベースに接続されるデータベース接続部を更に備え、
前記作業計画出力部は、
前記報告中の異常情報、および前記複数の組のそれぞれに含まれる異常情報の類似度を算出する類似度算出部と、
前記類似度算出部により算出された類似度に基づいて、前記報告に示された異常に対処する作業計画の候補を選択する選択部とを有する
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記複数の組のそれぞれに含まれる異常情報のうち前記類似度算出部により算出された類似度がより高い異常情報に対応付けられた作業計画を、前記報告に示された異常に対処する作業計画の候補としてより優先して選択する請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記報告中の異常情報および前記複数の組のそれぞれに含まれる異常情報の類似度と前記複数の組のそれぞれに含まれる評価とに基づいて、前記報告に示された異常に対処する作業計画の候補を選択する請求項2に記載の装置。
【請求項5】
設備に発生した異常についての異常情報、および当該異常に対処した作業記録を取得する作業記録取得部を更に備え、
前記更新部は、前記作業記録取得部により取得された異常情報および作業記録を、異常情報および作業計画の組として前記データベースに追加する
請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の組のそれぞれは、各組に含まれる作業計画の評価を更に含み、
前記更新部は、前記評価取得部により取得された評価を用いて、前記選択部により選択された作業計画の候補に対応づけて前記データベースに記憶された評価を更新する
請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記データベースは、前記複数の組のそれぞれについて、異常が発生した機器を特定する機器情報および異常内容を含む異常情報を記憶する請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記類似度算出部は、前記報告中の異常情報および前記複数の組のそれぞれに含まれる異常情報の間で、機器情報の類似度および異常内容として記録されたテキストの類似度に基づく異常情報の類似度を算出する請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記データベースは、前記複数の組のそれぞれについて、保守作業および保守作業前に行なう保守準備作業を含む作業計画を記憶する請求項2から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
コンピュータが、設備に発生した異常の報告を取得することと、
前記コンピュータが、前記報告中に異常情報として示された異常に対処する作業計画を出力することと、
前記コンピュータが、出力された作業計画に応じた作業の評価を取得することと、
前記コンピュータが、取得された評価を用いて、出力する作業計画の出力内容を更新することと
を含む方法。
【請求項11】
コンピュータにより実行され、コンピュータを、
設備に発生した異常の報告を取得する報告取得部と、
前記報告中に異常情報として示された異常に対処する作業計画を出力する作業計画出力部と、
前記作業計画出力部から出力された作業計画に応じた作業の評価を取得する評価取得部と、
前記評価取得部により取得された評価を用いて、前記作業計画出力部による作業計画の出力内容を更新する更新部と
して機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備を保守するための装置、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「顧客にプラントの長期設備保全計画を提案する際に、これら機器毎に適正な更新時期での更新情報、メンテナンス情報を提供する必要がある。すなわち、顧客が保有するプラント設備毎に適宜カスタマイズされた長期設備保全計画を提案する必要がある」こと(段落0005)、および「本発明は、従来のプラント保守管理システムが有する上記課題に鑑みてなされたものであり、類似プラントの情報を反映させて、機器毎の最適保守実施時期をカスタマイズすることの可能な、新規かつ改良されたプラント設備保全計画の提案支援システムを提供することを目的とする」こと(段落0008)が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2014―139774号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、設備に発生した異常の報告を取得する報告取得部と、報告中に異常情報として示された異常に対処する作業計画を出力する作業計画出力部と、作業計画出力部から出力された作業計画に応じた作業の評価を取得する評価取得部と、評価取得部により取得された評価を用いて、作業計画出力部による作業計画の出力内容を更新する更新部を備える装置を提供する。
【0004】
装置は、異常情報および当該異常に対処する作業計画をそれぞれ含む複数の組を記憶するデータベースに接続されるデータベース接続部を更に備えてよい。作業計画出力部は、報告中の異常情報、および複数の組のそれぞれに含まれる異常情報の類似度を算出する類似度算出部と、類似度算出部により算出された類似度に基づいて、報告に示された異常に対処する作業計画の候補を選択する選択部とを有してよい。
【0005】
上記のいずれかの装置において、選択部は、複数の組のそれぞれに含まれる異常情報のうち類似度算出部により算出された類似度がより高い異常情報に対応付けられた作業計画を、報告に示された異常に対処する作業計画の候補としてより優先して選択してよい。
【0006】
上記のいずれかの装置において、選択部は、報告中の異常情報および複数の組のそれぞれに含まれる異常情報の類似度と複数の組のそれぞれに含まれる評価とに基づいて、報告に示された異常に対処する作業計画の候補を選択してよい。
【0007】
上記のいずれかの装置は、設備に発生した異常についての異常情報、および当該異常に対処した作業記録を取得する作業記録取得部を更に備えてよい。更新部は、作業記録取得部により取得された異常情報および作業記録を、異常情報および作業計画の組としてデータベースに追加してよい。
【0008】
上記のいずれかの装置において、複数の組のそれぞれは、各組に含まれる作業計画の評価を更に含んでよい。更新部は、評価取得部により取得された評価を用いて、選択部により選択された作業計画の候補に対応づけてデータベースに記憶された評価を更新してよい。
【0009】
上記のいずれかの装置において、データベースは、複数の組のそれぞれについて、異常が発生した機器を特定する機器情報および異常内容を含む異常情報を記憶してよい。
【0010】
上記のいずれかの装置において、類似度算出部は、報告中の異常情報および複数の組のそれぞれに含まれる異常情報の間で、機器情報の類似度および異常内容として記録されたテキストの類似度に基づく異常情報の類似度を算出してよい。
【0011】
上記のいずれかの装置において、データベースは、複数の組のそれぞれについて、保守作業および保守作業前に行なう保守準備作業を含む作業計画を記憶してよい。
【0012】
本発明の第2の態様においては、コンピュータが、設備に発生した異常の報告を取得することと、コンピュータが、報告中に異常情報として示された異常に対処する作業計画を出力することと、コンピュータが、出力された作業計画に応じた作業の評価を取得することと、コンピュータが、取得された評価を用いて、出力する作業計画の出力内容を更新することとを含む方法を提供する。
【0013】
本発明の第3の態様においては、コンピュータにより実行され、コンピュータを、設備に発生した異常の報告を取得する報告取得部と、報告中に異常情報として示された異常に対処する作業計画を出力する作業計画出力部と、作業計画出力部から出力された作業計画に応じた作業の評価を取得する評価取得部と、評価取得部により取得された評価を用いて、作業計画出力部による作業計画の出力内容を更新する更新部として機能させるプログラムを提供する。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る装置100の構成を、設備10等と共に示す。
図2】DB130のデータ構造の一例を示す。
図3】本実施形態に係る装置100の動作フローを示す。
図4】本実施形態に係る装置100による表示例を示す。
図5】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、本実施形態に係る装置100の構成を、設備10等と共に示す。設備10は、プラント等に設けられる。このようなプラントは、例えば、化学または金属等の工業プラント、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等であってよい。また、設備10は、ビル、様々な工場または交通機関等に設けられてもよい。このような設備10は、1または複数のプロセス装置、1または複数の発電装置、およびその他の1または複数の装置である1または複数の設備機器20-1~N(「設備機器20」とも示す。)を有してよい。
【0018】
1または複数の設備機器20のそれぞれは、フィールド機器を有してよい。フィールド機器は、例えば圧力計、流量計、温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、プラント等の状況や設備等の対象物を撮影するカメラ若しくはビデオ等の撮像機器、プラントや設備等の異音等を収集し、または警報音等を発するマイク若しくはスピーカ等の音響機器、設備10が有する装置の位置情報を出力する位置検出機器、またはその他の機器であってよい。1または複数の設備機器20のそれぞれには、これらの状態を監視するセンサ機器、撮像機器、または音響機器等として機能する1または複数のセンサが設けられてよい。
【0019】
1または複数の点検者30は、設備10内の各設備機器20を点検する。点検者30は、設備10に異常が発生した場合に、設備10に発生した異常の報告を装置100に提供する。
【0020】
装置100は、異常の報告を取得したことに応じて、異常に対処する作業計画を出力する。装置100は、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータにより実現されてよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムにより実現されてもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。装置100は、設備10の監視用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。
【0021】
表示装置110は、有線または無線により装置100に接続される。表示装置110は、装置100が出力する作業計画を表示する。表示装置110は、PC(パーソナルコンピュータ)等の、作業者40が使用するコンピュータであってよい。これに代えて、表示装置110は、作業者40が携帯可能なタブレット型コンピュータまたはスマートフォン等のコンピュータであってもよい。
【0022】
1または複数の作業者40は、表示装置110に表示された作業計画に従って、設備10の保守作業の準備を行ない(保守準備作業)、設備10を保守する(保守作業)。これにより、作業者40は、点検者30により報告された異常を解決する。
【0023】
本実施形態に係る装置100は、報告取得部120と、データベース130(DB130)と、DB接続部140と、作業計画出力部150と、表示処理部165と、作業記録取得部170と、評価取得部175と、更新部180とを備える。報告取得部120は、設備10に発生した異常の報告を取得する。本実施形態に係る報告取得部120は、点検者30が使用するPC、タブレット型コンピュータ、またはスマートフォン等のコンピュータに入力された報告を、有線または無線通信を介して受信する。報告取得部120は、設備10を監視する監視装置等から、1または複数の設備機器20に設けられたセンサにより検出された異常の通知を異常の報告として受信してもよい。
【0024】
DB130は、半導体メモリまたはハードディスク等の、装置100の外部記憶装置である。これに代えて、DB130は、装置100の外部に設けられ、有線または無線ネットワークを介して装置100に接続されるクラウドストレージまたはNAS(Network Attached Storage)等であってもよい。DB130は、複数種類の異常のそれぞれについて、その異常に対処する作業計画を記憶する。具体的には、DB130は、異常に関する異常情報および当該異常に対処する作業計画をそれぞれ含む複数の組を記憶する。本実施形態においては、DB130は、異常情報および作業計画の組として、過去に発生した異常に関する異常情報およびその異常に対処した作業記録の組を格納する。DB130は、異常情報および作業計画の組として、設備10に発生しうるものとして予め定義された各種の異常について、異常情報およびその異常が発生した場合に予定している作業計画の組を記憶してもよい。また、本実施形態においては、DB130は、複数の組のそれぞれに、各組に含まれる作業計画の評価を更に含めて記憶する。
【0025】
DB接続部140は、DB130に接続される。DB接続部140は、装置100内の各構成要素からの要求に応じて、DB130をアクセスする。
【0026】
作業計画出力部150は、報告取得部120およびDB接続部140に接続される。作業計画出力部150は、報告取得部120により取得された報告中に異常情報として示された異常に対処する作業計画を出力する。本実施形態において、作業計画出力部150は、DB130に格納された異常毎の作業計画の中から、報告中に示された異常と類似する異常に対する作業計画を検索して出力する。ここで、作業計画出力部150は、作業計画と共に、作業計画に対応付けてDB130に記憶された評価を出力してもよい。なお、作業計画に対応付けてDB130に記憶された評価を、作業計画の「現評価」とも示す。
【0027】
作業計画出力部150は、類似度算出部155と、選択部160とを有する。類似度算出部155は、DB接続部140を介してDB130をアクセスして、報告取得部120により取得された報告中の異常情報と、DB130に格納された複数の組のそれぞれに含まれる異常情報との類似度を算出する。選択部160は、類似度算出部155により算出された類似度に基づいて、報告に示された異常に対処する作業計画の候補を選択する。ここで、選択部160は、DB130に格納された複数の組のそれぞれに含まれる異常情報のうち類似度算出部155により算出された類似度がより高い異常情報に対応付けられた作業計画を、報告に示された異常に対処する作業計画の候補としてより優先して選択してよい。これにより、選択部160は、今回の異常に類似する異常に対処する作業計画を、今回の作業計画の候補として選択することができる。
【0028】
表示処理部165は、作業計画出力部150に接続される。表示処理部165は、作業計画出力部150が出力する作業計画の1または複数の候補を表示装置110に表示させる表示処理を行なう。表示処理部165は、表示装置110に表示させる表示画面を生成して表示装置110へと送信してもよく、ウェブページの表示データを生成して表示装置110からアクセス可能としてもよい。これにより、表示処理部165は、作業計画の候補を作業者40に対して提案することができ、作業者40は、作業計画の候補の中から今回の異常に対処する作業計画を決定することができる。これに代えて、作業者40は、表示装置110に表示された作業計画の候補を参考として、一部作業の追加・変更等をすることにより、今回の異常に対処する作業計画を決定してもよい。表示処理部165が作業計画の候補の現評価を表示画面に含める場合、作業者40は、作業計画の候補の現評価を考慮して今回の異常に対処する作業計画を決定してよい。
【0029】
作業記録取得部170は、作業計画出力部150に接続される。作業記録取得部170は、設備10に発生した異常についての異常情報を、報告取得部120から作業計画出力部150を介して取得する。また、作業記録取得部170は、設備10に発生した異常に対処した作業記録を作業者40から取得する。評価取得部175は、作業計画出力部150から出力された作業計画に応じた作業の評価を取得する。なお、作業計画出力部150から出力された作業計画に応じて実際に行なわれた作業について評価取得部175が新たに取得する評価を、「新評価」とも示す。
【0030】
更新部180は、作業記録取得部170および評価取得部175に接続される。更新部180は、評価取得部175により取得された評価(新評価)を用いて、作業計画出力部150による作業計画の出力内容を更新する。本実施形態において、更新部180は、評価取得部175により取得された新評価を用いて、選択部160により選択された作業計画の候補に対応づけてDB130に記憶された評価(現評価)を更新する。また、更新部180は、作業計画の候補とは少なくとも一部異なる作業記録が取得されたことに応じて、作業記録取得部170により取得された異常情報および作業記録を、異常情報および作業計画の組としてDB130に追加してもよい。
【0031】
図2は、DB130のデータ構造の一例を示す。本実施形態に係るDB130は、複数の組(レコード)のそれぞれについて、異常状態ID、登録日時、異常情報、作業計画、および評価に関する情報を含む。
【0032】
異常状態IDは、レコード中の異常情報が示す異常を識別する異常識別情報である。報告取得部120は、設備10に発生した異常の報告を受ける度に、報告された異常に対して異常状態IDを割り当てる。更新部180は、異常情報および作業記録に、異常情報が示す異常に対して割り当てられた異常状態IDを対応付けてDB130に追加する。登録日時は、レコードがDB130に登録された日時を示す。
【0033】
異常情報は、報告中に示された異常の詳細を示す。異常情報は、異常が発生した設備機器20を特定する機器情報と、異常内容とを含む。機器情報は、製品名、製品識別情報、種類(例えばポンプ、反応器、電源)、仕様、設置場所、または設置状態のうちの少なくとも1つ等の、異常が発生した設備機器20に関する1または複数の項目のそれぞれにについての情報を含む。
【0034】
異常内容は、機器情報に示された設備機器20に生じた異常の内容を示す。異常内容は、例えば液漏れ、異常振動、異音、または発火のうちの少なくとも1つ等の各異常項目について、発生の有無を示す情報(例えば点検者30によるチェック)を含んでよい。また、異常内容は、例えば異常の種類または異常に対応すべき専門部署または専門チームを指定する情報を含んもよい。また、異常内容は、異常に対する処置の優先度を示す情報を含んでよい。また、異常内容は、点検者30により入力された、テキストによる異常の詳細説明を含んでよい。
【0035】
作業計画は、異常情報で示された異常に対処する作業計画に関する情報を示す。DB130は、複数の組のそれぞれについて、保守作業および保守作業前に行なう保守準備作業を含む作業計画を記憶してよい。
【0036】
保守準備計画に関する情報は、例えば各種ツールの要否、安全装備の装着の要否、足場の組立ての要否、または届出の要否のうちの少なくとも1つ等の、各準備項目についての要否を示す情報を含んでよい。また,保守準備作業情報は、保守準備作業に要する作業員数、作業時間、またはコストのうちの少なくとも1つ等の、保守準備作業に関する数値の情報を含んでよい。
【0037】
保守計画に関する情報は、例えば各種の保守作業工程(ラインの停止、補修、交換、洗浄、調整等)の要否等の各作業項目についての要否を示す情報を含んでよい。また、保守作業情報は、保守作業に要する作業員数、作業員の要求スキル、作業時間、またはコストのうちの少なくとも1つ等の、保守作業に関する数値の情報を含んでよい。
【0038】
評価(現評価)に関する情報は、レコード内の作業計画に応じた作業(保守準備作業、保守作業)がどの程度報告された異常の対処に適していたか(または異常の対処に関連していたか)を示す指標である。本実施形態において、現評価に関する情報は、作業計画に応じた作業が適切であるほど(または異常の対処との関連度が高いほど)スコアが高くなるスコア値で表される。これに代えて、現評価に関する情報は、複数の評価項目(KPI:Key Performance Indicatorとも示す。)のそれぞれに対するスコア値(「項目評価」とも示す。)の組で表されてもよい。このようなKPIは、例えば、工程の不足の有無、再作業(リワーク)の発生有無、計画上の作業員数と実作業員数との差の大きさ、計画上の作業時間と実作業時間との差の大きさ、計画上のコストと実コストとの差の大きさ等を含んでよい。
【0039】
図3は、本実施形態に係る装置100の動作フローを示す。装置100は、異常の報告を受け取る度に、本図の動作フローを実行する。S300(ステップ300)において、報告取得部120は、設備10に発生した異常の報告を取得する。
【0040】
S310において、類似度算出部155は、報告取得部120により取得された報告中の異常情報と、DB130に格納された複数の組のそれぞれに含まれる異常情報との類似度を算出する。本実施形態において、類似度算出部155は、報告中の異常情報(機器情報および異常内容)の各項目の値が比較対象の異常情報における対応する項目の値と一致する場合(または含まれる場合)に、一致しない場合と比較して高い類似度スコアを割り当てる。そして、類似度算出部155は、各項目についての類似度スコアの合計を算出する等により総合して、類似度とする。
【0041】
類似度算出部155は、異常情報がテキストで記述された異常内容を含む場合には、報告中の異常情報および複数の組のそれぞれに含まれる異常情報の間で、機器情報の類似度および異常内容として記録されたテキストの類似度に基づく異常情報の類似度を算出してよい。例えば、類似度算出部155は、異常の詳細説明等のテキストで入力された項目については、複数の単語(例えば予め定められた登録語)のそれぞれがテキスト中に出現したか否か、または複数の単語のそれぞれの出現頻度等を用いてテキストを特徴ベクトルに変換し、特徴ベクトル間の類似度(例えば単位ベクトル間の内積)を算出してよい。ここで、類似度算出部155は、複数の単語のそれぞれについてのTF-IDFを含む特徴ベクトルを用いて、報告中の異常情報に含まれるテキストと、比較対象の異常情報に含まれるテキストとの類似度を算出してもよい。類似度算出部155は、異常情報におけるテキスト以外の部分の類似度と、テキスト部分の類似度とを加算または2乗和をとる等により総合して、報告中の異常情報およびDB130に格納された異常情報の類似度を算出してよい。
【0042】
S320において、選択部160は、類似度算出部155により算出された類似度に基づいて、報告に示された異常に対処する作業計画の候補を選択する。本実施形態に係る選択部160は、報告中の異常情報に対する類似度がより高い異常情報に対応付けられた作業計画をより優先して選択する。選択部160は、DB130に格納された各組の中から、類似度算出部155により算出された類似度が高い順に選択した予め定められたk個(kは1または2以上の整数)の異常情報に対応付けられたk個の作業計画を、作業計画の候補としてよい(k近傍法)。
【0043】
ここで、「より優先して選択する」とは、他の条件が同じ場合には、優先度が高い順に必要な数の作業計画が選択されるが、他の条件が異なる場合には、優先度がより高い作業計画が選択されず優先度がより低い作業計画が選択されることもあり得ることを意味する。例えば、作業計画の選択に確率を採り入れた場合、選択部160は、類似度算出部155により算出された類似度が高いほどより高い確率で作業計画の候補を選択してよい。
【0044】
選択部160は、報告中の異常情報および複数の組のそれぞれに含まれる異常情報の類似度と複数の組のそれぞれに含まれる評価(現評価)とに基づいて、報告に示された異常に対処する作業計画の候補を選択してもよい。例えば、選択部160は、DB130に格納された複数の組のそれぞれについて、異常情報の類似度および現評価の和または重み付け和等をとることにより総合した値が高い順に選択したk個の組の作業計画を、作業計画の候補として選択してもよい。また、選択部160は、複数の組のそれぞれのうち、現評価が予め定められた閾値を超える組の中から、異常情報の類似度に基づいて、作業計画の候補を選択してもよい。
【0045】
S330において、表示処理部165は、S310およびS320において生成された1または複数の作業計画の候補を表示装置110に表示させる表示処理を行なう。S340において、作業記録取得部170は、表示装置110に表示された作業計画の候補を参考にして作業者40が行なった作業の作業記録を取得する。評価取得部175は、表示装置110に表示された作業計画(作業計画の候補)に応じた作業の評価(新評価)を取得する。この新評価は、1または複数の評価項目(KPI)のそれぞれに対する評価値(項目評価値)を含んでよい。これに代えて、この新評価は、1つのスコア値で表されてもよい。
【0046】
S350において、更新部180は、評価取得部175により取得された新評価を用いて、作業計画出力部150による作業計画の出力内容を更新する。更新部180は、評価取得部175により取得された新評価を用いて、選択部160により選択された作業計画の候補に対応づけてDB130に記憶された現評価を更新する。これにより、作業計画出力部150は、後に同じ作業計画を出力する場合には、この作業計画に対応付けられた更新後の現評価を出力することができる。
【0047】
また、更新部180は、作業記録取得部170により取得された異常情報および作業記録を、異常情報および作業計画の組としてDB130に追加してよい。更新部180は、作業記録取得部170により取得された異常情報および作業記録が、選択部160により選択された組の異常情報および作業計画と少なくとも一部異なることを条件として、異常情報および作業記録の組をDB130に追加してよい。
【0048】
以上に示した装置100によれば、設備10の異常が報告されたことに応じて、異常に対処する保守作業等を提案することができる。ここで、作業計画出力部150は、DB130に記憶された作業記録の履歴を用いることにより、突発的に発生した異常に対して、過去に類似する異常に対処した作業記録を用いて作業計画の候補を提案することが可能となる。これにより、装置100は、過去の作業実績を用いて設備10を異常から速やかに復旧させるようにすることができ、設備10の生産性または可用性を高めることができる。
【0049】
また、装置100によれば、異常に対処した作業記録をDB130に蓄積していくことにより、新たな種類の異常に対処する作業計画を出力することができるように学習を進めることができる。また、装置100によれば、作業者40による新評価を取得してDB130に蓄積した作業計画の現評価を更新することにより、出力する作業計画の精度を向上していくことができる。
【0050】
装置100は、CMMS(Computerized Maintenance Management System)と統合された保守管理/保守活動提案システムとして使用されてもよい。CMMSは、作業記録取得部170、および評価取得部175の機能を有してよい。この場合、CMMSは、異常に対処した作業記録を取得し、作業記録から、作業時間若しくはコストの予実の差、または累積残業時間等の1または複数の評価項目についての項目評価を抽出する。装置100内の更新部180は、CMMSに入力された作業記録をCMMSから受け取り、異常情報と対応付けてDB130に格納する。また、更新部180は、CMMSにより抽出された各項目評価を用いて作業記録の作業内容に対する新評価を算出し、DB130に格納された作業記録の現評価を更新する。これにより、装置100は、CMMSと協調動作して保守管理を行ない、新たに発生する異常に対処する作業計画を提案することができる。
【0051】
図4は、本実施形態に係る装置100による表示例を示す。装置100内の表示処理部165は、報告された異常に対応して、表示装置110のスクリーン全体またはウィンドウ等に表示画面400を表示する表示処理を行なってよい。表示画面400は、異常表示欄410と、候補表示欄420と、候補選択欄430および作業記録入力欄440を含む作業記録欄と、評価入力欄450を含む評価欄とを有する。
【0052】
表示処理部165は、図3のS330において、報告取得部120により取得された報告に含まれる異常を異常表示欄410に表示する。異常表示欄410は、異常の発生日と、異常状態IDと、異常情報(機器情報および異常内容)との表示を含む。
【0053】
表示処理部165は、図3のS330において、作業計画出力部150により出力された作業計画の1または複数の候補のそれぞれを候補表示欄420に表示する。候補表示欄420は、DB130に格納された複数の組のうち、選択部160により選択された各組について、候補の番号と、異常状態IDと、登録日と、異常情報(機器情報および異常内容)と、作業計画(保守準備計画および保守計画)と、評価(現評価)との表示を含む。
【0054】
表示処理部165は、図3のS330において、候補表示欄420に加えて、異常に対処するために行なった保守準備作業および保守作業の作業記録を入力するための入力欄を作業記録欄として表示する。作業記録取得部170は、図3のS340において、作業記録欄を用いて作業記録を入力する。候補選択欄430は、候補表示欄420に表示された作業計画の候補のうちのいずれかと同じ作業が行なわれた場合に作業者40により選択される。候補選択欄430は、候補表示欄420に表示された作業計画の候補のうち実際の作業に用いられた候補を候補番号等により指定するための入力欄を含む。作業記録取得部170は、候補選択欄430が選択された場合には、報告された異常に対処して、候補番号等により指定された候補と同じ内容の作業が行なわれたと判断する。
【0055】
作業記録入力欄440は、候補表示欄420に表示された作業計画の候補を参考としつつも候補とは少なくとも一部が異なる作業が行なわれた場合に作業者40により選択される。作業記録取得部170は、作業記録入力欄440が選択され、実際に行なわれた保守準備作業および保守作業に関する情報が入力された場合には、報告された異常に対処して、入力された作業が行なわれたと判断する。
【0056】
表示処理部165は、図3のS330において、候補表示欄420に加えて、作業記録の評価(新評価)を入力するための入力欄を評価欄として表示する。評価取得部175は、図3のS350において、評価欄を用いて新評価を入力する。評価欄は、複数の評価項目(KPI)のそれぞれについてのスコアを入力する評価入力欄450を含む。評価取得部175は、図3のS340において、評価入力欄450に入力された各評価項目のスコア(項目評価)を取得する。評価取得部175は、例えば作業時間、残業時間、およびコスト等の数値で表される項目については、スコアの代わりに項目の数値を入力してよい。この場合、更新部180は、この数値をスコアに変換する処理を行なってよい。例えば、更新部180は、作業時間に関して、実際の作業時間と作業計画における予定作業時間との差が大きくなるほど低いスコアを算出する。
【0057】
更新部180は、図3のS350において、各評価項目のスコアを用いて、平均または加重平均等をとることにより、作業記録の新評価(総合評価)を算出してよい。更新部180は、評価取得部175により取得された評価に応じて算出した新評価(総合評価)を用いて、選択部160により選択された作業計画の候補に対応づけてDB130に記憶された現評価を更新する。一例として、更新部180は、以下に示す方法を用いてDB130に記憶された現評価を更新する。
【0058】
(1)実際の作業に用いられた候補の現評価を更新する。
候補選択欄430により実際の作業に用いられた作業計画の候補が指定されたことに応じて、更新部180は、指定された作業計画に対応するDB130内の現評価を更新する。ここで、DB130は、各作業計画の現評価として、その作業計画についてこれまでに受けた1または複数の評価(新評価)の平均または移動平均を記憶してよく、更新部180は、DB130内のこれまでの新評価の平均または移動平均を、今回の新評価を反映した平均または移動平均に更新してよい。これを実現するために、DB130は、各作業計画に対応付けて、平均の計算に必要となる、これまでに受けた新評価の数等を記憶してよい。また、DB130は、各作業計画に対応付けて、移動平均の計算に必要となる、例えば直近の予め定められた数の新評価を記憶してよい。ここで、更新部180は、より新しい評価をより高く重み付ける加重平均または加重移動平均を用いて更新後の現評価を算出してもよい。
【0059】
また、DB130に格納するデータ量を削減するために、DB130に格納された現評価と、今回の新評価との重み付け和を算出して、現評価を重み付け和に更新してよい。現評価をE、新評価をeとすると、重み付け和E'は、一例としてE'=(1-α)E+αe(ただし、0<α<1)で表すことができる。このような平滑化を用いることにより、更新部180は、これまでの評価(新評価)の数等がDB130に格納されていなくても、直近の新評価の平均または移動平均の近似値を算出することができる。
【0060】
(2)2以上の候補のそれぞれの評価を更新する。
更新部180は、作業計画出力部150により出力された作業計画の複数の候補のうち、2以上または全ての候補のそれぞれに対応するDB130内の現評価を更新してもよい。更新部180は、各候補の現評価を(1)と同様にして更新してよい。
【0061】
更新部180は、実際の作業に用いられた作業計画により近い作業計画の候補に対して、新評価をより高い重みで反映してもよい。例えば、更新部180は、作業記録入力欄440に入力された作業記録と、各候補の作業計画との類似度を算出し、類似度が高いほど(1)に示した重み付け和E'=(1-α)E+αeにおける係数αを大きくしてもよい。
【0062】
以上に示した更新部180によれば、作業計画出力部150が出力した作業計画の候補に対応付けてDB130に格納された現評価を、今回の評価(新評価)を用いて繰り返し更新することにより、評価(現評価)の精度を高めていくことができる。これにより、装置100は、異常に対してより適切な作業計画が選択されるようにすることができ、設備10を異常から速やかに復旧させることができる。
【0063】
なお、本図の例においては、表示処理部165は、異常表示欄410、候補表示欄420、候補選択欄430および作業記録入力欄440を含む作業記録欄、ならびに評価入力欄450を含む評価欄を同一のウィンドウ内に表示する表示画面を生成する。これに代えて、表示処理部165は、これらの欄を別のウィンドウに表示してもよい。
【0064】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0065】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0066】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0067】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のコンピュータ等のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0068】
図5は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0069】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インターフェイス2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0070】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0071】
通信インターフェイス2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0072】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0073】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0074】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェイス2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェイス2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0075】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0076】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0077】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0078】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0079】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0080】
10 設備、20 設備機器、30 点検者、40 作業者、100 装置、110 表示装置、120 報告取得部、130 DB、140 DB接続部、150 作業計画出力部、155 類似度算出部、160 選択部、165 表示処理部、170 作業記録取得部、175 評価取得部、180 更新部、400 表示画面、410 異常表示欄、420 候補表示欄、430 候補選択欄、440 作業記録入力欄、450 評価入力欄、2200 コンピュータ、2201 DVD-ROM、2210 ホストコントローラ、2212 CPU、2214 RAM、2216 グラフィックコントローラ、2218 ディスプレイデバイス、2220 入/出力コントローラ、2222 通信インターフェイス、2224 ハードディスクドライブ、2226 DVD-ROMドライブ、2230 ROM、2240 入/出力チップ、2242 キーボード
図1
図2
図3
図4
図5