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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176107
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】バスバユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/58 20060101AFI20231206BHJP
   H01R 4/34 20060101ALI20231206BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20231206BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20231206BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20231206BHJP
【FI】
H01R4/58 C
H01R4/34
H01B7/00 302
H01M50/50 101
H01M50/296
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088214
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】次井 瑛治
(72)【発明者】
【氏名】松岡 宏幸
【テーマコード(参考)】
5E012
5G309
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E012BA12
5G309BA06
5H040AA03
5H040AA12
5H040AS04
5H040AT02
5H040AY08
5H040DD06
5H040DD22
5H040LL04
5H040LL06
5H040NN03
5H043AA19
5H043CA04
5H043FA06
5H043GA23
5H043GA25
5H043HA31F
5H043JA01F
5H043JA04F
5H043KA15F
5H043KA22F
5H043LA21F
(57)【要約】
【課題】バスバユニットと機器との着脱にかかる作業効率の向上を目的とする。
【解決手段】バスバユニットは、ボルト締結部とコネクタ端子部とを含むバスバと、前記バスバを覆うモールド樹脂部と、を備える。前記モールド樹脂部は、電池パックの側面と対向するように前記側面から第1方向に離れて設けられて前記コネクタ端子部を覆うコネクタハウジング部と、前記コネクタハウジング部から延び出る前記バスバの中間部を覆う中間覆い部と、前記コネクタハウジング部から前記電池パックの前記側面に向けて突出して前記電池パックの前記側面に接触する突起とを含む。前記ボルト締結部とは別に前記電池パックに固定される固定部が、前記モールド樹脂部のうち第2方向における前記バスバユニットの重心位置より前記ボルト締結部側に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックの端子と電気的に接続されるバスバユニットであって、
一端に設けられて前記電池パックの前記端子とボルト締結されて電気的に接続されるボルト締結部と、他端に設けられて相手コネクタのコネクタ端子と電気的に接続されるコネクタ端子部とを含むバスバと、
前記バスバを覆うモールド樹脂部と、
を備え、
前記バスバの前記ボルト締結部と前記コネクタ端子部とが、前記電池パックの側面に対する法線方向である第1方向と、前記電池パックの前記側面に沿う第2方向とのそれぞれにおいて離れて設けられており、
前記モールド樹脂部は、前記電池パックの前記側面と対向するように前記側面から前記第1方向に離れて設けられて前記コネクタ端子部を覆うコネクタハウジング部と、前記コネクタハウジング部から延び出る前記バスバの中間部を覆う中間覆い部と、前記コネクタハウジング部から前記電池パックの前記側面に向けて突出して前記電池パックの前記側面に接触する突起とを含み、
前記ボルト締結部とは別に前記電池パックに固定される固定部が、前記モールド樹脂部のうち前記第2方向における前記バスバユニットの重心位置より前記ボルト締結部側に設けられている、バスバユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のバスバユニットであって、
前記中間覆い部は、前記コネクタハウジング部から延びる第1覆い部と、前記第1覆い部と交差する方向に延びる第2覆い部とを有し、
前記モールド樹脂部は、前記第2覆い部と前記コネクタハウジング部とを連結する第1連結部を含み、
前記固定部は、前記第1連結部から突出している、バスバユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のバスバユニットであって、
前記モールド樹脂部は、前記第1連結部と前記第1覆い部とを連結する第2連結部を含み、かつ、繊維強化プラスチック製である、バスバユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のバスバユニットであって、
前記モールド樹脂部は、前記固定部と、前記中間覆い部のうちの前記ボルト締結部側の端部との間に延びる切り欠きを含む、バスバユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のバスバユニットであって、
前記モールド樹脂部には、前記ボルト締結部がボルト締結されず、かつ、前記固定部が固定されていない状態で、前記バスバユニットが前記コネクタハウジング部側に傾くことを前記電池パックの前記側面に設けられた受部に引っかかることによって抑制する回転抑制部が設けられている、バスバユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バスバユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、通電部材を介して複数の機器を電気的に接続する端子間接続構造を開示している。複数の機器の組み合わせは、例えば、2つの単電池同士、又は、単電池及びジャンクションブロックである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/241412号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機器の保守、点検又は交換などの際に、通電部材と機器との着脱作業が生じる場合がある。かかる着脱作業のうちの通電部材と機器との取付け作業には通電部材と機器とを接続する作業が含まれ、通電部材と機器との取外し作業には通電部材と機器との接続を解除する作業が含まれる。特許文献1の端子間接続構造において、通電部材の両端がボルト締結される構成であると、通電部材と機器との着脱作業時に、両端のボルトをそれぞれ操作する作業を行う必要が生じうる。このため、通電部材と機器との着脱にかかる作業効率の向上が求められている。
【0005】
そこで、バスバユニットと機器との着脱にかかる作業効率の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のバスバユニットは、電池パックの端子と電気的に接続されるバスバユニットであって、一端に設けられて前記電池パックの前記端子とボルト締結されて電気的に接続されるボルト締結部と、他端に設けられて相手コネクタのコネクタ端子と電気的に接続されるコネクタ端子部とを含むバスバと、前記バスバを覆うモールド樹脂部と、を備え、前記バスバの前記ボルト締結部と前記コネクタ端子部とが、前記電池パックの側面に対する法線方向である第1方向と、前記電池パックの前記側面に沿う第2方向とのそれぞれにおいて離れて設けられており、前記モールド樹脂部は、前記電池パックの前記側面と対向するように前記側面から前記第1方向に離れて設けられて前記コネクタ端子部を覆うコネクタハウジング部と、前記コネクタハウジング部から延び出る前記バスバの中間部を覆う中間覆い部と、前記コネクタハウジング部から前記電池パックの前記側面に向けて突出して前記電池パックの前記側面に接触する突起とを含み、前記ボルト締結部とは別に前記電池パックに固定される固定部が、前記モールド樹脂部のうち前記第2方向における前記バスバユニットの重心位置より前記ボルト締結部側に設けられている、バスバユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、バスバユニットと機器との着脱にかかる作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態1にかかるバスバユニット及びこれを備える接続モジュールを示す斜視図である。
図2図2は実施形態1にかかるバスバユニット及びこれを備える接続モジュールを示す側面図である。
図3図3はバスバユニットを示す斜視図である。
図4図4はバスバユニットを示す平面図である。
図5図5はバスバユニットを示す正面図である。
図6図6はバスバユニットを示す側面図である。
図7図7図4のVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8はバスバユニットが傾く様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のバスバユニットは、次の通りである。
【0011】
(1)電池パックの端子と電気的に接続されるバスバユニットであって、一端に設けられて前記電池パックの前記端子とボルト締結されて電気的に接続されるボルト締結部と、他端に設けられて相手コネクタのコネクタ端子と電気的に接続されるコネクタ端子部とを含むバスバと、前記バスバを覆うモールド樹脂部と、を備え、前記バスバの前記ボルト締結部と前記コネクタ端子部とが、前記電池パックの側面に対する法線方向である第1方向と、前記電池パックの前記側面に沿う第2方向とのそれぞれにおいて離れて設けられており、前記モールド樹脂部は、前記電池パックの前記側面と対向するように前記側面から前記第1方向に離れて設けられて前記コネクタ端子部を覆うコネクタハウジング部と、前記コネクタハウジング部から延び出る前記バスバの中間部を覆う中間覆い部と、前記コネクタハウジング部から前記電池パックの前記側面に向けて突出して前記電池パックの前記側面に接触する突起とを含み、前記ボルト締結部とは別に前記電池パックに固定される固定部が、前記モールド樹脂部のうち前記第2方向における前記バスバユニットの重心位置より前記ボルト締結部側に設けられている、バスバユニットである。
【0012】
(1)のバスバユニットによると、バスバの他端が相手コネクタとコネクタ接続されるため、バスバの他端がボルト締結部である場合と比べて、バスバユニットと機器との着脱にかかる作業効率が向上する。また、モールド樹脂部に電池パックの側面に接触する突起が設けられていることによって、バスバの他端がコネクタ接続される際に、バスバユニットが相手コネクタに押されても、バスバユニットの他端が電池パックに支持される。これにより、コネクタ接続の作業効率が向上する。
【0013】
(2)(1)のバスバユニットにおいて、前記中間覆い部は、前記コネクタハウジング部から延びる第1覆い部と、前記第1覆い部と交差する方向に延びる第2覆い部とを有し、前記モールド樹脂部は、前記第2覆い部と前記コネクタハウジング部とを連結する第1連結部を含み、前記固定部は、前記第1連結部から突出していてもよい。これにより、バスバの他端がコネクタ接続される際に、コネクタハウジング部が変形しにくくなり、コネクタ接続の作業効率が向上する。
【0014】
(3)(2)のバスバユニットにおいて、前記モールド樹脂部は、前記第1連結部と前記第1覆い部とを連結する第2連結部を含み、かつ、繊維強化プラスチック製であってもよい。これにより、モールド樹脂部が繊維強化プラスチック製であっても、第1連結部及び第2連結部があることによってモールド樹脂部の成形時における繊維強化プラスチックの流路が増え、繊維強化プラスチックに含まれる繊維の方向を散らすことができる。
【0015】
(4)(1)から(3)のいずれか1つのバスバユニットにおいて、前記モールド樹脂部は、前記固定部と、前記中間覆い部のうちの前記ボルト締結部側の端部との間に延びる切り欠きを含んでもよい。これにより、電池パックの膨張時に電池パックからバスバユニットにかかる応力を分散できる。
【0016】
(5)(1)から(4)のいずれか1つのバスバユニットにおいて、前記モールド樹脂部には、前記ボルト締結部がボルト締結されず、かつ、前記固定部が固定されていない状態で、前記バスバユニットが前記コネクタハウジング部側に傾くことを前記電池パックの前記側面に設けられた受部に引っかかることによって抑制する回転抑制部が設けられていてもよい。バスバの他端がコネクタ接続される構成となったことによって、バスバの一端のボルト締結部が締結されていない状態で、バスバの他端が支持されない状態となり得る。この場合でも、回転抑制部が電池パックの受部に引っかかることによって、一端のボルト締結部が締結されていない状態でバスバユニットがコネクタハウジング部側に傾くことを抑制しているため、一端のボルト操作にかかる作業効率が向上する。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のバスバユニットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかるバスバユニットについて説明する。図1は実施形態1にかかるバスバユニット30及びこれを備える接続モジュール100を示す斜視図である。図2は実施形態1にかかるバスバユニット30及びこれを備える接続モジュール100を示す側面図である。
【0019】
バスバユニット30は、電池パック10の端子13Aと電気的に接続される。バスバユニット30は、相手コネクタ20のコネクタ端子23とも電気的に接続される。バスバユニット30は、電池パック10と相手コネクタ20との間に介在し、電池パック10の端子13Aと、相手コネクタ20のコネクタ端子23とを電気的に接続する。本開示において、電池パック10、相手コネクタ20及びバスバユニット30が接続されたものを接続モジュール100とする。なお、図1及び図2では、バスバユニット30と相手コネクタ20とが接続されておらず分解された状態が示されている。バスバユニット30の接続相手である電池パック10及び相手コネクタ20について先に説明する。
【0020】
電池パック10は、複数のセル電池11と、接続導体14と、筐体15とを含む。各セル電池11は、電池本体12と複数の端子13とを有する。電池本体12は、電荷を貯める部分である。複数の端子13は、電池本体12を電気機器と接続するために電池本体12に設けられ、正極端子と負極端子とを有する。複数のセル電池11は、例えば、接続導体14を介して直列的に接続される。接続導体14は、隣り合うセル電池11の正極端子と負極端子とを接続する。端子13及び接続導体14は、如何なるものであってもよい。ここでは端子13は、スタッドボルト13である。接続導体14は、スタッドボルト13を通す孔があいた金属板である。筐体15は複数のセル電池11を保持する。複数のセル電池11は筐体15に保持され、一体化されている。
【0021】
バスバユニット30と接続される電池パック10の端子13Aは、電池パック10の上面15aに位置する。ここでは端子13Aは、直列接続される複数のセル電池11のうち端部に位置するセル電池11の端子13Aである。上述のように、セル電池11の端子13はスタッドボルトであるため、ここではバスバユニット30と接続される電池パック10の端子13Aはスタッドボルトである。もっとも、バスバユニット30と接続される電池パックの端子は、セル電池11の端子13とは別に設けられてセル電池11の端子13と導通する端子であってもよい。また、バスバユニット30と接続される電池パックの端子は、ボルトを通す孔があいた金属板などであってもよい。
【0022】
電池パック10の上面15aには、固定用ボルト16も設けられる。固定用ボルト16は、スタッドボルト13Aと同じ向きに突出する。固定用ボルト16は、バスバユニット30を固定するためのボルトである。固定用ボルト16は、セル電池11と、バスバユニット30におけるバスバ40とを電気的に接続するものではない。ここでは電池パック10の上面15aにおいて、固定用ボルト16が設けられる部分は、スタッドボルト13Aが設けられる部分よりも低い。ここでは電池パック10の上面15aにおいて、固定用ボルト16が設けられる部分と、スタッドボルト13Aが設けられる部分との間に段差が生じている。
【0023】
電池パック10の側面15bには、図2に示すように、受部17が設けられる。バスバユニット30のうちスタッドボルト13Aに締結される部分及び固定用ボルト16に締結される部分を除く大部分は、側面15bに対向する位置に配置される。受部17は、バスバユニット30と接触して、バスバユニット30の回転を抑制する。受部17は、側面15bにおいて受部17の周囲の部分よりも外側に突出する。
【0024】
ここで、図1には、互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向が示されている。X方向は、受部17の設けられる側面15bの法線方向であり、第1方向の一例である。Y方向は、側面15bに沿う方向であり、第2方向の一例である。ここではY方向は、側面15bに沿う方向のうちスタッドボルト13Aの突出方向と直交する方向である。Z方向は、スタッドボルト13A及び固定用ボルト16の突出方向である。図2以降の各図においても、図1と対応するX方向、Y方向及びZ方向が示されている。
【0025】
相手コネクタ20は、コネクタハウジング21とコネクタ端子23(図7参照)とを含む。例えば、コネクタハウジング21は絶縁性を有する樹脂製であり、コネクタ端子23は導電性を有する金属製である。コネクタハウジング21はコネクタ端子23を保持する。コネクタハウジング21の側面には、ロック受部22が設けられる。ロック受部22は、相手コネクタ20がバスバユニット30にコネクタ接続される際、バスバユニット30に設けられたロック部52にロックされる。ここではロック受部22は、ロック部52にロックするロック片22aと、ロックを解除する際にロック片22aをロック部52から離間させるように変形させるための操作部22bとを有する。コネクタ端子23の一端はバスバユニット30と接続される。コネクタ端子23の他端に、電線24の一端が接続される。コネクタ端子23と電線24とは、圧着、圧接又は溶接などによって接続される。
【0026】
電線24は、例えば導体芯線と絶縁被覆とを有する被覆電線である。導体芯線は、例えば複数の金属素線が撚られた撚線である。絶縁被覆は、導体芯線を覆う。電線24の他端は電池パック10とは別の電気機器に接続される。例えば、電線24の他端には接続端子又はコネクタなどが設けられ、当該接続端子又はコネクタなどが当該別の電気機器に接続される。かかる電気機器は、特に限定されるものではなく、例えば電池パック10と同様の構成を有し、電池パック10とは別に設けられた電池パックであってもよい。また例えば、電気機器は、バスバユニット30と同様の構成を有し、当該別の電池パックに設けられたバスバユニットであってもよい。また例えば、電気機器は、ジャンクションボックスなどであってもよい。
【0027】
電線24は、例えば、バスバユニット30におけるバスバ40と比べて曲げ容易である。電池パック10と、別の電気機器との間に電線24が介在することによって、車両における電池パック10と、別の電気機器との位置関係の自由度が高まる。さらに、電池パック10と、別の電気機器との位置関係に設計変更が生じた場合に、他の部材を設計変更せずとも電線24を曲げることによって対応可能となり得る。
【0028】
<バスバユニット>
バスバユニット30について、図3から図7をさらに参照しつつ、より具体的に説明する。図3はバスバユニット30を示す斜視図である。図1及び図3は互いに異なる視点から見た斜視図である。図4はバスバユニット30を示す平面図である。図5はバスバユニット30を示す正面図である。図6はバスバユニット30を示す側面図である。図6図2とは反対側の側面を示す。図7図4のVII-VII線に沿った断面図である。なお、図4から図6において、電池パック10が仮想線で示されている。また図7において、相手コネクタ20が実線で示されている。
【0029】
バスバユニット30は、バスバ40とモールド樹脂部50とを備える。モールド樹脂部50は、バスバ40をインサート部品としたインサートモールド成形により形成されている。本実施形態では、モールド樹脂部50は、バスバ40のほかに、カラー70もインサート部品としている。カラー70は、モールド樹脂部50における固定部60を補強するための部材である。カラー70は、モールド樹脂部50に対して後から圧入されてもよい。またカラー70は省略されてもよい。
【0030】
バスバ40は、ボルト締結部41とコネクタ端子部42とを含む。ボルト締結部41は、バスバ40の一端に設けられる。ボルト締結部41は電池パック10の端子13Aとボルト締結されて電気的に接続される。コネクタ端子部42は、バスバ40の他端に設けられる。コネクタ端子部42は、相手コネクタ20のコネクタ端子23と電気的に接続される。ボルト締結部41とコネクタ端子部42とが、X方向と、Y方向とのそれぞれにおいて離れて設けられている。
【0031】
バスバ40において、ボルト締結部41からコネクタ端子部42までが1つの板材によって形成されている。かかる板材は、金属製であり、厚み寸法が幅寸法よりも小さい扁平な断面が、延在方向に連続する長尺板状に形成されている。バスバ40は、板材が厚み方向に屈曲した屈曲部43A、43B、43C、43Dを有する。屈曲部43A、43B、43C、43Dは、コネクタ端子部42からボルト締結部41に向けてこの順に設けられる。屈曲部43A、43B、43Cにおいて板材が厚み方向に90度曲る。屈曲部43Dにおいて、板材は厚み方向にオフセットするように曲る。
【0032】
バスバ40のうち屈曲部43Aよりも他端側部分がコネクタ端子部42とされる。コネクタ端子部42は屈曲部43AからZ方向に沿って延びる。バスバ40のうち屈曲部43Dよりも一端側の部分がボルト締結部41とされる。ボルト締結部41は屈曲部43DからX方向に沿って延びる。バスバ40のうち屈曲部43Aと屈曲部43Dとの間の部分が中間部44とされる。ここでは中間部44は、第1中間部44A、第2中間部44B及び第3中間部44Cを有する。
【0033】
バスバ40のうち屈曲部43Aと屈曲部43Bとの間の部分が第1中間部44Aとされる。第1中間部44Aは、屈曲部43AからY方向に沿って延びた後、屈曲部43Bの手前で延びる向きをX方向に変えて屈曲部43Bに至る。バスバ40のうち屈曲部43Bと屈曲部43Cとの間の部分が第2中間部44Bとされる。第2中間部44Bは、屈曲部43BからZ方向に延びて屈曲部43Cに至る。バスバ40のうち屈曲部43Cと屈曲部43Dとの間の部分が第3中間部44Cとされる。第3中間部44Cは、屈曲部43CからX方向に沿って延びた後、屈曲部43Dの手前で延びる向きをXY平面においてX方向及びY方向のそれぞれと交差する方向に変えて屈曲部43Dに至る。
【0034】
なお、バスバ40において、屈曲部の数、位置及び曲がり方などは、上記に限定されるものではなく、適宜設定可能である。
【0035】
モールド樹脂部50は、コネクタハウジング部51と中間覆い部53と突起55と第1連結部56と第2連結部57と固定部60と切り欠き61とを含む。
【0036】
コネクタハウジング部51は、コネクタ端子部42を覆う。コネクタハウジング部51は、電池パック10の側面15bと対向するように側面15bからX方向に離れて設けられている。屈曲部43Aは、コネクタハウジング部51内に位置する。コネクタハウジング部51には相手コネクタ20の先端が嵌る嵌合凹部51Aが設けられる。嵌合凹部51AはZ方向に連続する穴である。嵌合凹部51Aは、コネクタハウジング部51の上面に開口する。嵌合凹部51Aの開口部とは反対側に位置する底面から、コネクタ端子部42の先端が嵌合凹部51A内に突出する。バスバ40は、屈曲部43Aから屈曲部43Bに向かう途中にコネクタハウジング部51から外方に延び出る。ここではバスバ40は屈曲部43Aの近くでコネクタハウジング部51から外方に延び出る。Z方向において、バスバ40は、コネクタハウジング部51のうち嵌合凹部51Aの開口部が設けられる端部とは反対側の端部から延出する。
【0037】
中間覆い部53は、コネクタハウジング部51から延び出るバスバ40の中間部44を覆う。中間覆い部53は、第1覆い部53A、第2覆い部53B及び第3覆い部53Cを有する。第1覆い部53Aは、コネクタハウジング部51から延びる。第2覆い部53Bは、第1覆い部53Aのうちコネクタハウジング部51から延び出た部分の延在方向(ここではY方向)と交差する方向(ここではZ方向)に延びる。第3覆い部53Cは、第2覆い部53Bと交差する方向(ここではX方向)に延びる。ここでは第1覆い部53Aは、バスバ40の第1中間部44Aのうちコネクタハウジング部51の外側に位置する部分を覆う。第2覆い部53Bはバスバ40の第2中間部44Bを覆う。第3覆い部53Cはバスバ40の第3中間部44Cのうち屈曲部43C寄りの一部を覆う。第1覆い部53Aと第2覆い部53Bとの連結部分が屈曲部43Bを覆い、第2覆い部53Bと第3覆い部53Cとの連結部分が屈曲部43Cを覆う。バスバ40の第3中間部44Cのうち屈曲部43D寄りの一部とボルト締結部41とはモールド樹脂部50に覆われていない。
【0038】
図2に示すように、突起55は、コネクタハウジング部51から電池パック10の側面15bに向けてX方向に突出する。突起55は、バスバユニット30が電池パック10に取付けられた状態で、電池パック10の側面15bに接触する。突起55は、コネクタハウジング部51のうちZ方向において嵌合凹部51Aの開口部が設けられる端部から延出する。
【0039】
第1連結部56は、中間覆い部53のうちコネクタハウジング部51から離れた部分と、コネクタハウジング部51とを連結する。ここでは第1連結部56は、第2覆い部53Bとコネクタハウジング部51とを連結する。ここでは第1連結部56は、1本である。第1連結部56は、Y方向に平行な直線状に延在する。第1連結部56は、コネクタハウジング部51のうちZ方向において嵌合凹部51Aの開口部が設けられる端部から延出する。第1連結部56と第1覆い部53Aとはコネクタハウジング部51からY方向に沿って平行に延び出る。第1覆い部53Aのうちコネクタハウジング部51からY方向に沿って延び出る部分は、第1連結部56とは、X方向及びZ方向に沿って離れている。第1連結部56はコネクタハウジング部51のうち突起55が突出する側面15bに連なる。第1連結部56の先端は突起55にも連なる。
【0040】
第2連結部57は、中間覆い部53のうち第1連結部56との交差部よりもコネクタハウジング部51寄りの部分と第1連結部56の中間部とを連結する。ここでは第2連結部57は、第1覆い部53Aと第1連結部56とを連結する。ここでは、第2連結部57は1本である。第2連結部57は、Z方向に平行な直線状に延在する。図5によく示されるように、第2連結部57は、Y方向において、コネクタハウジング部51と第2覆い部53Bとの中心よりも第2覆い部53B寄りに位置する。Y方向において、第2覆い部53Bと第2連結部57との間に固定部60が位置する。
【0041】
ここでは第2連結部57は、連結本体57Aとリブ57Bとを有する。連結本体57Aは第1覆い部53Aと第1連結部56とを連結する。リブ57Bは連結本体57AよりもX方向に沿って電池パック10側に突出する。X方向において、リブ57Bの突出寸法は、突起55の突出寸法よりも小さい。図3によく示されるように、リブ57Bは第1連結部56よりもX方向に沿って電池パック10側に突出する。Z方向におけるリブ57Bの上端は第1連結部56の中間部44まで達している。
【0042】
コネクタハウジング部51、第1覆い部53A、第2覆い部53B及び第1連結部56が、閉じた環状となるように連結される。モールド樹脂部50には、コネクタハウジング部51、第1覆い部53A、第2覆い部53B及び第1連結部56に囲まれる開口部が存在する。当該開口部が、第2連結部57によって2つに仕切られる。モールド樹脂部50には、コネクタハウジング部51、第1覆い部53A、第2連結部57及び第1連結部56に囲まれる開口部と、第1覆い部53A、第2覆い部53B、第1連結部56及び第2連結部57に囲まれる開口部とが存在する。
【0043】
第1連結部56の厚み寸法(X方向に沿った寸法)は、第2連結部57の厚み寸法(Y方向に沿った寸法)よりも太い。第1連結部56の厚み寸法(X方向に沿った寸法)は、中間覆い部53の厚み寸法(例えば、第1覆い部53AにおけるZ方向に沿った寸法)と同じである。第1連結部56の幅寸法(Z方向に沿った寸法)は、中間覆い部53の幅寸法(例えば、第2覆い部53BにおけるY方向に沿った寸法)よりも細い。
【0044】
固定部60は、ボルト締結部41とは別に電池パック10に固定される。固定部60は、モールド樹脂部50のうちY方向におけるバスバユニット30の重心位置よりボルト締結部41側に設けられている。換言すると、Y方向におけるバスバユニット30の重心位置は、固定部60よりもコネクタハウジング部51側に位置する。固定部60は、第1連結部56から突出している。
【0045】
モールド樹脂部50には、回転抑制部が設けられている。ここではリブ57Bが回転抑制部として機能する。回転抑制部57Bは、電池パック10の側面15bに設けられた受部17に引っかかる。回転抑制部57Bは、ボルト締結部41がボルト締結されず、かつ、固定部60が固定されていない状態で、バスバユニット30がコネクタハウジング部51側に傾くことを抑制する。ここでは回転抑制部57Bは、第2連結部57に設けられている。リブ57Bが受部17に引っ掛かって回転抑制部57Bとして機能する。
【0046】
本実施形態では、リブ57Bと平行なリブ58が、第2覆い部53Bに設けられている。リブ58は第2覆い部53BよりもX方向に沿って電池パック10側に突出する。Z方向におけるリブ58の上端は第3覆い部53Cの下面まで達している。Y方向におけるリブ58の寸法は、Y方向における第2覆い部53Bの寸法よりも小さい。リブ58は、Y方向における第2覆い部53Bの中心に1本設けられる。リブ58は、複数本設けられていてもよい。X方向において、リブ58の突出寸法は、突起55の突出寸法よりも小さく、リブ57Bの突出寸法と同じである。リブ57B、58は、電池パック10の側面15bまで達していない。なお、電池パック10が熱などにより膨張した際、電池パック10の側面15bがリブ57B、58に接触することもあり得る。この場合でも、リブ57B、58が細いため、電池パック10の熱などによる膨張の影響を受けにくい。
【0047】
切り欠き61は、固定部60と、中間覆い部53のうちのボルト締結部41側の端部との間に延びる。ここでは第3覆い部53Cと固定部60とは切り欠き61によって完全に分離している。また、第2覆い部53Bのうち第3覆い部53C側の部分と固定部60とも、切り欠き61によって完全に分離している。Z方向において、切り欠き61は、第1連結部56の上面まで達している。Z方向において、切り欠き61は、コネクタハウジング部51の上面の高さまでは達していない。第1連結部56のうち第2覆い部53Bとの連結部分の幅寸法(Z方向に沿った寸法)は、第1連結部56のうちコネクタハウジング部51との連結部分の幅寸法(Z方向に沿った寸法)よりも大きい。切り欠き61の幅寸法(Y方向に沿った寸法)は、第2連結部57の厚み寸法(Y方向に沿った寸法)よりも大きい。
【0048】
モールド樹脂部50は、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics、FRP)製である。繊維強化プラスチックに含まれる繊維は、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維などである。繊維強化プラスチックにおいてベースとなる樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリブチレンテレフタレート(Poly Butylene Terephthalate、PBT)などである。
【0049】
モールド樹脂部50は、金型に材料(ここでは、繊維を含有した溶融樹脂)を流し込んで成形される。モールド樹脂部50には、金型に材料を流し込むためのゲートの跡が残っている。図5に示す例では、かかるゲート跡62が、第1覆い部53Aに設けられている。図5に示す例では、ゲート跡62は第1覆い部53Aのうち第2連結部57と連結される側の面とは反対側の面に設けられている。もちろん、ゲート跡62の位置は、これに限られず、適宜設定可能である。
【0050】
繊維は溶融樹脂と共に金型内を流れ、溶融樹脂の流れが止まることによって繊維の流れも止まる。溶融樹脂が硬化することによって、繊維の向きが固定される。従って、通常、繊維強化プラスチックに含まれる繊維は、モールド樹脂部50内において、溶融樹脂の流れる方向に延びた状態となる。本実施形態では、金型内において、中間覆い部53となる部分のほか第1連結部56及び第2連結部57となる部分も溶融樹脂の流路となる。従って、流路に分岐ができることによって、繊維の向きが一定の向きに揃いにくくなる。これにより、繊維強化プラスチック製のモールド樹脂部50が、特定の方向に割れやすくなることが抑制される。かかる特定の方向は、例えば、割れ目が繊維の延在方向に沿うような方向である。
【0051】
また、繊維を含む溶融樹脂は、通常、繊維を含まない溶融樹脂よりも流れにくいため、金型内に行き渡りにくい。本実施形態では、図5に示すように、ゲート跡62の近くに第2連結部57があるため、ゲートから金型内に入った直後の材料の流路として、第1覆い部53Aに相当する流路のほか、第2連結部57に相当する流路が存在する。このため、材料が、金型内に行き渡りやすくなる。
【0052】
モールド樹脂部50を成形するための金型は、上型及び下型を含む。ここでは上型及び下型は、Z方向に上下抜きされる。モールド樹脂部50は、Z方向において、空間を挟んで対向する部分(いわゆるアンダーカットとなる部分)がない形状に形成される。例えば、X方向において、第1覆い部53Aと第1連結部56とが互いに離れて設けられていることによって、第1覆い部53Aと第1連結部56とがアンダーカットとなることが抑制されている。また例えば、Y方向において、第2連結部57のリブ57Bと固定部60とが互いに離れて設けられていることによって、リブ57Bと固定部60とがアンダーカットとなることが抑制されている。
【0053】
モールド樹脂部50の成形時に、インサート部品(ここではバスバ40及びカラー70)は、上型及び下型の間に保持される。さらにここではバスバ40の第1中間部44Aは、位置決めピンによって保持される。モールド樹脂部50の第1覆い部53Aには、位置決めピンの跡となる位置決めピン用凹部63が残る。位置決めピンはバスバ40に対してZ方向上方及び下方のそれぞれに設けられる。モールド樹脂部50の第1覆い部53Aには、Z方向上方を向く面及び下方を向く面のそれぞれに位置決めピン用凹部63が残る。位置決めピン用凹部63は、第1覆い部53Aの延在方向に沿って複数設けられる。
【0054】
<電池パックとバスバユニットとの着脱について>
電池パック10とバスバユニット30との着脱(取付け及び取外し)について、より具体的に説明する。
【0055】
電池パック10とバスバユニット30とを取付けるに当たり、まず作業者は、電池パック10に対してバスバユニット30をZ方向に沿って移動させて、ボルト締結部41にスタッドボルト13Aを通すと共に、固定部60に固定用ボルト16を通す(図5参照)。この後、作業者は、レンチなどの締結用治具とナット80とを取り、締結用治具によってスタッドボルト13A及び固定用ボルト16のそれぞれにナット80を締結する。この際、作業者は、ナット80及び締結用治具を取るために、バスバユニット30から両手を離し得る。
【0056】
ここで、バスバユニット30の重心は、Y方向に沿って固定部60よりもコネクタハウジング部51寄りに位置する。このため、回転抑制部57B及び受部17による回転抑制がされない場合、ボルト締結前に作業者がバスバユニット30から両手を離すと、図8に示すように、バスバユニット30がコネクタハウジング部51側に傾き得る。ボルト締結部41よりも固定部60がY方向における重心に近い場合、バスバユニット30は固定部60と固定用ボルト16との接触部分の周りに回転するように傾く。バスバユニット30の傾きが大きくなると、ボルト締結部41がスタッドボルト13Aから抜ける恐れがある。このため、作業者は、ナット80の締結前にバスバユニット30の傾きを直す必要が生じうる。なお、図8はバスバユニット30が傾く様子を示す模式図であり、図8では電池パック10に受部17が設けられない例が記載されている。
【0057】
これに対して、本実施形態のバスバユニット30では、回転抑制部57B及び受部17による回転抑制がされているため、ボルト締結前に作業者がバスバユニット30から両手を離しても、図5に示すように、バスバユニット30が正規の姿勢を保ちやすくなる。このため、作業者は、ナット80及び締結治具を取った後、バスバユニット30の姿勢を直す作業をせずとも、そのままナット80の締結作業を行うことができる。
【0058】
電池パック10とバスバユニット30との取外し時も、回転抑制部57B及び受部17による回転抑制がされない場合、ナット80が外された状態で作業者がバスバユニット30から両手を離すと、図8に示すように、バスバユニット30がコネクタハウジング部51側に傾き得る。この際、固定部60と固定用ボルト16とがY方向に押し合う。このため、バスバユニット30を電池パック10から取り外すためにバスバユニット30をZ方向に移動させると、固定部60及び固定用ボルト16が強く擦れ合う恐れがある。
【0059】
これに対して、本実施形態のバスバユニット30では、回転抑制部57B及び受部17による回転抑制がされているため、ナット80が外された状態で作業者がバスバユニット30から両手を離しても、図5に示すように、バスバユニット30が正規の姿勢を保ちやすくなる。このため、作業者は、ナット80を外した後、そのままバスバユニット30をZ方向に移動させても、固定部60及び固定用ボルト16が強く擦れ合う恐れが少ない。このため、バスバユニット30を電池パック10から取り外しやすくなる。
【0060】
回転抑制部57B及び受部17は、電池パック10及びバスバユニット30が正規の取付け姿勢となった状態で接触していてもよい。回転抑制部57B及び受部17は、電池パック10及びバスバユニット30が正規の取付け姿勢からわずかに傾いた姿勢となった状態で接触していてもよい。この場合、バスバユニット30の傾きは、ボルト締結部41がスタッドボルト13Aから抜けておらず、スタッドボルト13Aの先端にナット80を取付け可能であり、ナット80の締結によって当該傾きを正規の姿勢に直せるものであればよい。
【0061】
<バスバユニットと相手コネクタとの着脱について>
バスバユニット30と相手コネクタ20との着脱について、より具体的に説明する。
【0062】
バスバユニット30と相手コネクタ20との取付けは、電池パック10へのバスバユニット30の取付け後に行われるものとして説明する。相手コネクタ20は、バスバユニット30に対してZ方向に沿って図1及び図2の矢符A1の向き(ここではZ方向に平行な向き)に移動して相手コネクタ20の先端が嵌合凹部51Aに嵌ることによって取付けられる。
【0063】
この際、相手コネクタ20の移動の向きが、図2の矢符A2又は矢符A3の向きのように矢符A1からX方向にずれた向きとなり得る。この場合、相手コネクタ20をコネクタハウジング部51に挿入する力が、コネクタハウジング部51をY軸回りに回転させる力として作用し得る。この場合でも、本実施形態のバスバユニット30では、突起55が電池パック10の側面15bに接触して支持されているため、相手コネクタ20からコネクタハウジング部51にY軸回りに回転させる力がかかっても、コネクタハウジング部51の回転が抑制される。これにより、バスバユニット30と相手コネクタ20との取付けが容易となる。
【0064】
バスバユニット30と相手コネクタ20との取外し時も、同様に、相手コネクタ20をコネクタハウジング部51から引抜く力の向きが、X方向にずれることがあり得る。この場合、相手コネクタ20をコネクタハウジング部51から引抜く力が、コネクタハウジング部51をY軸回りに回転させる力として作用し得る。この場合でも、本実施形態のバスバユニット30では、突起55が電池パック10の側面15bに接触して支持されているため、相手コネクタ20からコネクタハウジング部51にY軸回りに回転させる力がかかっても、コネクタハウジング部51の回転が抑制される。これにより、バスバユニット30と相手コネクタ20との取外しが容易となる。
【0065】
突起55と電池パック10の側面15bとの接触は、電池パック10とバスバユニット30との着脱時であって、ボルト締結されていない状態で、バスバユニット30がY軸回りに回転することを抑制する機能も有する。つまり、バスバユニット30において、X方向の重心は、固定部60よりもコネクタハウジング部51側に位置する。このため、突起55と電池パック10の側面15bとの接触がないと、ボルト締結されていない状態で、コネクタハウジング部51が下がるようにY軸回りにバスバユニット30の回転が生じ得る。突起55と電池パック10の側面15bとの接触があることによって、当該回転が抑制される。
【0066】
<効果等>
以上のように構成されたバスバユニット30によると、バスバ40の他端が相手コネクタ20とコネクタ接続されるため、バスバ40の他端が一端と同様にボルト締結部41である場合と比べて、バスバユニット30と機器との着脱にかかる作業効率が向上する。また、モールド樹脂部50に電池パック10の側面15bに接触する突起55が設けられていることによって、バスバ40の他端がコネクタ接続される際に、バスバユニット30が相手コネクタ20に押されても、バスバユニット30の他端が電池パック10に支持される。これにより、コネクタ接続の作業効率が向上する。また、突起55と電池パック10の側面15bとの接触があることによって、ボルト締結されていない状態で、コネクタハウジング部51が下がるようなY軸回りにおけるバスバユニット30の回転が生じにくい。
【0067】
また、中間覆い部53は、コネクタハウジング部51から延びる第1覆い部53Aと、第1覆い部53Aと交差する方向に延びる第2覆い部53Bとを有し、モールド樹脂部50は、第2覆い部53Bとコネクタハウジング部51とを連結する第1連結部56を含み、固定部60は、第1連結部56から突出している。これにより、バスバ40の他端がコネクタ接続される際に、コネクタハウジング部51が変形しにくくなり、コネクタ接続の作業効率が向上する。
【0068】
また、モールド樹脂部50は、第1連結部56と第1覆い部53Aとを連結する第2連結部57を含み、かつ、繊維強化プラスチック製である。モールド樹脂部50が繊維強化プラスチック製の場合、モールド樹脂部の成形時に軟化した樹脂と共に繊維が金型内を流動する。このとき、モールド樹脂部50が繊維強化プラスチック製であっても、第1連結部56及び第2連結部57があることによってモールド樹脂部50の成形時における繊維強化プラスチックの流路が増え、繊維強化プラスチックに含まれる繊維の方向を散らすことができる。これにより、モールド樹脂部50が特定の方向に割れやすくなることを抑制できる。
【0069】
また、モールド樹脂部50は、固定部60と、中間覆い部53のうちのボルト締結部41側の端部との間に延びる切り欠き61を含む。これにより、電池パック10が熱などによる膨張時に電池パック10からバスバユニット30にかかる応力を分散できる。
【0070】
また、モールド樹脂部50には、ボルト締結部41がボルト締結されず、かつ、固定部60が固定されていない状態で、バスバユニット30がコネクタハウジング部51側に傾くことを電池パック10の側面15bに設けられた受部17に引っかかることによって抑制する回転抑制部57Bが設けられている。本開示のバスバユニット30は、バスバ40の他端がコネクタ接続される構成となったことによって、バスバ40の一端のボルト締結部41が締結されていない状態で、バスバ40の他端が支持されない状態となり得る。この場合でも、回転抑制部57Bが電池パック10の受部17に引っかかることによって、一端のボルト締結部41が締結されていない状態でバスバユニット30がコネクタハウジング部51側に傾くことを抑制しているため、一端のボルト操作にかかる作業効率が向上する。
【0071】
[付記]
これまで、モールド樹脂部50が第1連結部56を含み、固定部60が第1連結部56から突出しているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、モールド樹脂部50が第1連結部56を含んでいなくてもよい。また、モールド樹脂部50が第1連結部56を含む場合でも、固定部60が第1連結部56から突出していなくてもよい。例えば、固定部60は第2覆い部53Bから突出していてもよい。この場合、固定部60はボルト締結部41よりもY方向におけるモールド樹脂部50の重心から遠くてもよい。
【0072】
またこれまで、モールド樹脂部50が第2連結部57を含み、かつ、繊維強化プラスチック製であるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、モールド樹脂部50は第2連結部57を含んでいなくてもよい。また例えばモールド樹脂部50は、繊維を含まない樹脂製であってもよい。
【0073】
またこれまで、モールド樹脂部50が切り欠き61を含むものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。モールド樹脂部50は切り欠き61を含まず、固定部60と第3覆い部53Cとが直接的につながっていてもよい。
【0074】
またこれまで、モールド樹脂部50に回転抑制部57Bが設けられているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。モールド樹脂部50に回転抑制部57Bが設けられていなくてもよい。またモールド樹脂部50に回転抑制部57Bが設けられる場合でも、回転抑制部57Bが上記リブ57Bであることは必須の構成ではない。回転抑制部がリブ57Bとは別の位置にも設けられていてもよく、例えば、突起55又はリブ58が回転抑制部として機能していてもよい。
【0075】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0076】
10 電池パック
11 セル電池
12 電池本体
13、13A 端子(スタッドボルト)
14 接続導体
15 筐体
15a 上面
15b 側面
16 固定用ボルト
17 受部
20 相手コネクタ
21 コネクタハウジング
22 ロック受部
22a ロック片
22b 操作部
23 コネクタ端子
24 電線
30 バスバユニット
40 バスバ
41 ボルト締結部
42 コネクタ端子部
43A、43B、43C、43D 屈曲部
44 中間部
44A 第1中間部
44B 第2中間部
44C 第3中間部
50 モールド樹脂部
51 コネクタハウジング部
51A 嵌合凹部
52 ロック部
53 中間覆い部
53A 第1覆い部
53B 第2覆い部
53C 第3覆い部
55 突起
56 第1連結部
57 第2連結部
57A 連結本体
57B リブ(回転抑制部)
58 リブ
60 固定部
61 切り欠き
62 ゲート跡
63 位置決めピン用凹部
70 カラー
80 ナット
100 接続モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8