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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176111
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】ダンパ装置および冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/08 20060101AFI20231206BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20231206BHJP
   H02K 5/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
F25D17/08 306
H02K7/116
H02K5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088218
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】横江 悟
【テーマコード(参考)】
3L345
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA12
3L345BB01
3L345BB02
3L345CC01
3L345DD03
3L345DD04
3L345DD08
3L345KK04
5H605BB05
5H605CC02
5H605CC06
5H605EC05
5H605EC07
5H605EC13
5H605EC14
5H607BB01
5H607BB10
5H607CC05
5H607DD03
5H607EE31
(57)【要約】
【課題】弾性部材の反発力により開口部を完全に密閉できない状態を回避する。
【解決手段】ダンパ装置1は、フレーム2の開口部20をバッフル4により開閉する。バッフル4は、開口部20の縁に設けられたシール部10に当接する弾性部材46を備える。シール部10は、バッフル4の回転軸線Lに平行な第1シール部11と第2シール部12のうち、回転軸線Lに近い第1シール部11が、開口部20を挟んで第1シール部11と反対側に配置される第2シール部12よりも先に弾性部材46に接触する。また、第2シール部12の駆動機構6側の端部(第3シール部13と第2シール部12とが繋がる第1角部15)の突出高さH1が、駆動機構6から遠い側の端部(第4シール部14と第2シール部12とが繋がる第2角部16)の突出高さH2よりも低く、第1角部15が第2角部16よりも先に弾性部材46に当接する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が設けられたフレームと、
前記フレームに回転可能に支持され、前記開口部を開閉するバッフルと、
前記開口部に対して前記バッフルの回転軸線方向の一方側に配置されて前記バッフルを駆動する駆動機構と、を有し、
前記フレームは、前記開口部を全周で囲むシール部を備え、
前記バッフルは、開閉板と、前記開閉板の一方面に配置されて前記バッフルが前記開口部を塞ぐときに前記シール部に当接する弾性部材と、を備え、
前記シール部は、前記バッフルの回転軸線に沿う第1シール部、前記開口部を挟んで前記第1シール部と対向する第2シール部、前記第1シール部と前記第2シール部の一端を接続する第3シール部、および、前記第1シール部と前記第2シール部の他端を接続する第4シール部を備え、
前記第1シール部は、前記第2シール部よりも前記回転軸線に近く、
前記第3シール部は、前記第4シール部よりも前記駆動機構に近い場合に、
前記バッフルが前記開口部側に回転するときに、前記第3シール部と前記第2シール部とが繋がる第1角部が、前記第4シール部と前記第2シール部とが繋がる第2角部よりも先に前記弾性部材に当接することを特徴とするダンパ装置。
【請求項2】
前記バッフルが前記開口部側に回転するときに、前記第1シール部が前記第2シール部よりも先に前記弾性部材に当接することを特徴とする請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項3】
前記シール部に押し付けられて押し潰された前記弾性部材が前記シール部に接触する前の形状に戻ろうとする反発力が、前記駆動機構から前記バッフルに加わる駆動力を上回るよりも先に、前記弾性部材が前記第2角部に当接することを特徴とする請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項4】
前記シール部は、前記バッフルが位置する側に突出する突出部であり、
前記弾性部材は、前記突出部の先端に当接することを特徴とする請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項5】
前記突出部は、前記第1角部の突出高さが、前記第2角部の突出高さよりも低いことを特徴とする請求項4に記載のダンパ装置。
【請求項6】
前記開口部は、前記回転軸線方向を長辺方向とする長方形であることを特徴とする請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項7】
前記バッフルは、樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項8】
開口部が設けられたフレームと、
前記フレームに回転可能に支持され、前記開口部を開閉するバッフルと、
前記開口部に対して前記バッフルの回転軸線方向の一方側に配置されて前記バッフルを駆動する駆動機構と、を有し、
前記フレームには、前記開口部の縁に沿って全周に弾性部材が配置され、
前記バッフルには、前記バッフルが前記開口部を塞ぐときに前記弾性部材に当接するシール部が設けられ、
前記シール部は、前記バッフルの回転軸線に沿う第1シール部、前記バッフルで前記開口部を閉鎖したときに前記開口部を挟んで前記第1シール部と対向する第2シール部、前記第1シール部と前記第2シール部の一端を接続する第3シール部、および、前記第1シール部と前記第2シール部の他端を接続する第4シール部を備え、
前記第1シール部は、前記第2シール部よりも前記回転軸線に近く、
前記第3シール部は、前記第4シール部よりも前記駆動機構に近い場合に、
前記バッフルが前記開口部側に回転するときに、前記シール部は、前記第3シール部と前記第2シール部とが繋がる第1角部が、前記第4シール部と前記第2シール部とが繋がる第2角部よりも先に前記弾性部材に当接することを特徴とするダンパ装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一項に記載のダンパ装置を備えた冷蔵庫であって、
冷却機と、前記冷却機で発生した冷気が供給される貯蔵室と、を有し、
前記ダンパ装置は、前記貯蔵室における冷気取り入れ口に配置されることを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームの開口部を開閉するダンパ装置および冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の冷気通路等に配置されるダンパ装置は、開口部が設けられたフレームと、フレームに回転可能に支持されたバッフルと、バッフルを駆動する駆動機構とを有しており、駆動機構は、フレームの端に設けられたケースの内側に収容される。駆動機構は、ケースの内側に配置されるステッピングモータと、ステッピングモータの回転をバッフルに伝達する輪列を備える。特許文献1には、この種のダンパ装置が記載される。
【0003】
特許文献1では、フレームの開口部の縁に沿ってバッフルの側に突出する突出部(シール板部)が設けられている。バッフルの開口部側の面には、発泡体からなる弾性部材が配置される。バッフルを開口部側に回転させると、開口部の縁に設けられた突出部(シール板部)に弾性部材が押し付けられて開口部を塞ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-211195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、バッフルの表面に弾性部材を配置しており、開口部回りの寸法ばらつきやバッフルの寸法ばらつきを弾性部材の変形により吸収して開口部を密閉することができる。しかしながら、バッフルの縁に沿って延びる回転軸を中心としてバッフルを回転させる場合、バッフルは、回転軸から離れた自由端側の端部と、回転軸に近い側の部分とでは、自由端側の端部の方が回転軸に近い部分よりも弾性部材を開口部の縁に押し付ける最大押圧力が小さい。
【0006】
また、バッフルが樹脂製であって回転軸回りにねじれるような撓みが発生しやすいことを考慮すると、駆動機構から最も離れた先端側の部分と、駆動機構に近い部分では、先端側の部分の方が駆動機構に近い部分よりも弾性部材を開口部の縁に押し付ける最大押圧力が小さい。
【0007】
このように、バッフルの各部において最大押圧力が一定ではなく、バッフルの形状や支持構造に起因する最大押圧力の強弱が存在する場合、最大押圧力が弱い箇所が先に開口部の縁に接触してしまうと、弾性部材が全周で開口部の縁に接触するよりも先に、最初に接触した箇所において先に押し潰される弾性部材からの反発力が最大押圧力を上回ってしまい、開口部が完全に密閉されるまでバッフルを回転させることができないおそれがある。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、弾性部材の反発力により開口部を完全に密閉できなくなるおそれを少なくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るダンパ装置は、開口部が設けられたフレームと、前記フレームに回転可能に支持され、前記開口部を開閉するバッフルと、前記開口部に対して前記バッフルの回転軸線方向の一方側に配置されて前記バッフルを駆動する駆動機構と、を有し、前記フレームは、前記開口部を全周で囲むシール部を備え、前記バッフ
ルは、開閉板と、前記開閉板の一方面に配置されて前記バッフルが前記開口部を塞ぐときに前記シール部に当接する弾性部材と、を備え、前記シール部は、前記バッフルの回転軸線に沿う第1シール部、前記開口部を挟んで前記第1シール部と対向する第2シール部、前記第1シール部と前記第2シール部の一端を接続する第3シール部、および、前記第1シール部と前記第2シール部の他端を接続する第4シール部を備え、前記第1シール部は、前記第2シール部よりも前記回転軸線に近く、前記第3シール部は、前記第4シール部よりも前記駆動機構に近い場合に、前記バッフルが前記開口部側に回転するときに、前記第3シール部と前記第2シール部とが繋がる第1角部が、前記第4シール部と前記第2シール部とが繋がる第2角部よりも先に前記弾性部材に当接することを特徴とする。
【0010】
本発明では、フレームに設けられた開口部を開閉する際、バッフルの表面に設けられた弾性部材を開口部の縁に押し付ける押圧力が、駆動機構からのバッフルの各部の距離に起因してばらつくことを考慮して、適正なタイミングでバッフルの各部の弾性部材を開口部の縁に当接させる。すなわち、駆動機構に最も近い部分(第1角部)が先に当接し、駆動機構から最も離れた先端部分(第2角部)がその後に当接するように構成する。これにより、最大押圧力が弱い箇所(第2角部)が先に弾性部材に接触してしまい、第2角部において弾性部材の反発力が最大押圧力を上回る状態になって、第1角部と弾性部材とが当接するまでバッフルを回転させることができなくなることを回避できる。よって、弾性部材の反発力により開口部を完全に密閉できなくなるおそれを少なくすることができる。
【0011】
本発明において、前記バッフルが前記開口部側に回転するときに、前記第1シール部が前記第2シール部よりも先に前記弾性部材に当接することが好ましい。このようにすると、回転軸線に近い部分と回転軸線から離れた部分との押圧力のばらつきを考慮して、適正なタイミングでバッフルの各部の弾性部材を開口部の縁に当接させることができる。すなわち、最大押圧力が弱い箇所(第2シール部)が先に開口部の縁に接触してしまい、弾性部材の反発力が最大押圧力を上回る状態になって開口部が完全に密閉されるまで(すなわち、第1シール部に弾性部材が接触するまで)バッフルを回転させることができなくなることを回避できる。よって、弾性部材の反発力により開口部を完全に密閉できなくなるおそれを少なくすることができる。
【0012】
本発明において、前記シール部に押し付けられて押し潰された前記弾性部材が前記シール部に接触する前の形状に戻ろうとする反発力が、前記駆動機構から前記バッフルに加わる駆動力を上回るよりも先に、前記弾性部材が前記第2角部に当接するように構成する。このようにすると、第1角部と弾性部材とが確実に当接するまでバッフルを回転させることができる。従って、開口部を完全に密閉することができる。
【0013】
本発明において、前記シール部は、前記バッフルが位置する側に突出する突出部であり、前記弾性部材は、前記突出部の先端に当接することが好ましい。このようにすると、シール部と弾性部材との当接面積が少ないので、押圧力を集中させることができる。従って、駆動力を大きくしなくても弾性部材の潰し量を大きくすることができるので、開口部が完全に密閉できなくなるおそれが少ない。
【0014】
本発明において、前記突出部は、前記第1角部の突出高さが、前記第2角部の突出高さよりも低いことが好ましい。このようにすると、バッフルが回転する際の撓みを考慮して、駆動機構に最も近い部分(第1角部)が先に弾性部材に当接し、駆動機構から最も離れた先端部分(第2角部)がその後に弾性部材に当接するように構成できる。
【0015】
本発明において、前記開口部は、前記回転軸線方向を長辺方向とする長方形であることが好ましい。このような開口形状では、駆動機構からの距離に起因する押圧力のばらつきが大きい。従って、第1角部と第2角部とで弾性部材に当接するタイミングに差を付ける
ことにより、開口部が完全に密閉されるまでバッフルを回転させることができなくなるおそれを少なくすることができる。
【0016】
本発明において、前記バッフルは、樹脂からなる。バッフルが樹脂製の場合には、バッフルの撓みに起因する押圧力のばらつきが大きい。従って、撓みやすい部位と撓みにくい部位とで弾性部材と開口部の縁とが当接するタイミングに差を付けることにより、開口部が完全に密閉されるまでバッフルを回転させることができなくなるおそれを少なくすることができる。
【0017】
次に、本発明に係るダンパ装置は、開口部が設けられたフレームと、前記フレームに回転可能に支持され、前記開口部を開閉するバッフルと、前記開口部に対して前記バッフルの回転軸線方向の一方側に配置されて前記バッフルを駆動する駆動機構と、を有し、前記フレームには、前記開口部の縁に沿って全周に弾性部材が配置され、前記バッフルには、前記バッフルが前記開口部を塞ぐときに前記弾性部材に当接するシール部が設けられ、前記シール部は、前記バッフルの回転軸線に沿う第1シール部、前記バッフルで前記開口部を閉鎖したときに前記開口部を挟んで前記第1シール部と対向する第2シール部、前記第1シール部と前記第2シール部の一端を接続する第3シール部、および、前記第1シール部と前記第2シール部の他端を接続する第4シール部を備え、前記第1シール部は、前記第2シール部よりも前記回転軸線に近く、前記第3シール部は、前記第4シール部よりも前記駆動機構に近い場合に、前記バッフルが前記開口部側に回転するときに、前記シール部は、前記第3シール部と前記第2シール部とが繋がる第1角部が、前記第4シール部と前記第2シール部とが繋がる第2角部よりも先に前記弾性部材に当接することを特徴とする。
【0018】
このように、本発明は、弾性部材をバッフルでなく開口部の縁に配置し、バッフルに弾性部材に当接するシール部を設けた構成にも適用できる。すなわち、駆動機構に最も近い部分(第1角部)において先にシール部と弾性部材とが当接し、駆動機構から最も離れた先端部分(第2角部)がその後に当接するように構成することができる。これにより、最大押圧力が弱い箇所(第2角部)が先に弾性部材に接触してしまい、第2角部において弾性部材の反発力が最大押圧力を上回る状態になって、第1角部と弾性部材とが当接するまでバッフルを回転させることができなくなることを回避できる。よって、弾性部材の反発力により開口部を完全に密閉できなくなるおそれを少なくすることができる。
【0019】
本発明に係るダンパ装置は冷蔵庫に用いることができ、冷蔵庫は、冷却機と、前記冷却機で発生した冷気が供給される貯蔵室と、を有し、前記ダンパ装置は、前記貯蔵室における冷気取り入れ口に配置される。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、フレームに設けられた開口部を開閉する際、バッフルの表面に設けられた弾性部材を開口部の縁に押し付ける押圧力が、駆動機構からのバッフルの各部の距離に起因してばらつくことを考慮して、適正なタイミングでバッフルの各部の弾性部材を開口部の縁に当接させる。すなわち、駆動機構に最も近い部分(第1角部)が先に当接し、駆動機構から最も離れた先端部分(第2角部)がその後に当接するように構成する。これにより、最大押圧力が弱い箇所(第2角部)が先に弾性部材に接触してしまい、第2角部において弾性部材の反発力が最大押圧力を上回る状態になって、第1角部と弾性部材とが当接するまでバッフルを回転させることができなくなることを回避できる。よって、弾性部材の反発力により開口部を完全に密閉できなくなるおそれを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明を適用したダンパ装置をバッフルとは反対から見た斜視図である。
図2図1に示すダンパ装置をバッフルの側から見た斜視図である。
図3図1に示すダンパ装置の分解斜視図である。
図4】隔壁板、駆動機構、およびケースの分解斜視図である。
図5】ギアードモータの分解斜視図である。
図6】シール部の平面図および側面図である。
図7】バッフルが閉じる過程を示す説明図である。
図8図1に示すダンパ装置を備える冷蔵庫の説明図である。
図9】開口部の縁に弾性部材を配置し、バッフルにシール部を設けた形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明を適用した冷蔵庫用のダンパ装置について説明する。本明細書において、XYZは互いに直交する方向である。バッフルの回転軸線Lに沿う方向をX方向とする。バッフルにより開閉される開口部はZ方向を向いている。X方向は第1方向であり、Y方向は第2方向であり、Z方向は第3方向である。また、X方向の一方側をX1とし、X方向の他方側をX2とし、Y方向の一方側をY1とし、Y方向の他方側をY2とし、Z方向の一方側をZ1とし、Z方向の他方側をZ2として説明する。
【0023】
(全体構成)
図1は、本発明を適用したダンパ装置1をバッフル4とは反対側から見た斜視図である。図2は、図1のダンパ装置1をバッフル4の側から見た斜視図である。図3は、図1に示すダンパ装置1の分解斜視図である。図4は、隔壁板23、駆動機構6、およびケース3の分解斜視図である。図5は、ギアードモータ60の分解斜視図である。
【0024】
図1図2図3に示すように、ダンパ装置1は、Z方向に開口する開口部20が設けられたフレーム2と、フレーム2に回転可能に支持されたバッフル4と、フレーム2に結合されたケース3とを有する。フレーム2およびケース3は樹脂製である。バッフル4は、X方向に延びる回転軸線L回りに回転して開口部20を開閉する。
【0025】
フレーム2は、開口部20が設けられた枠部21と、枠部21の外縁からZ1方向に突出した角筒状の胴部22と、胴部22におけるX1方向の側板部分と一体に形成される隔壁板23を備える。ケース3は隔壁板23にX1方向から対向する。ケース3と隔壁板23は、ケース3の側面に形成される突起30に隔壁板23の縁からX1方向へ延びるフック24を係合させることにより結合される。隔壁板23とケース3は、バッフル4を駆動する駆動機構6を収容する直方体状の筐体を構成する。
【0026】
フレーム2は、枠部21のX2側の端に配置されて隔壁板23にX方向で対向する側板25を備える。また、フレーム2は、枠部21において開口部20の縁からバッフル4が位置する側(Z1方向)に向けて突出した角筒状のシール部10を備える。枠部21には、シール部10を囲むヒータ(図示せず)が取り付けられている。ダンパ装置1は、ヒータに通電して発熱させることより、バッフル4が氷結によって動かなくなることを防止する。
【0027】
バッフル4は、隔壁板23と側板25との間で回転可能に支持される。バッフル4のY2側の縁には、X1側に突出する円柱部41、および、X2側に突出する円柱部42が形成されている。円柱部41の先端には、隔壁板23を貫通する軸穴27からバッフル4に向けて突出した出力部材69の軸部691の先端が嵌まる連結穴(図示せず)が形成されている。円柱部42の先端には、側板25に形成された軸穴(図示せず)に嵌まる軸部44が形成されている。従って、バッフル4は、隔壁板23の軸穴27の中心、および側板25の軸穴の中心を結ぶ直線を回転軸線Lとして回転可能にフレーム2に支持される。
【0028】
バッフル4は、開口部20より大きい樹脂製の開閉板45と、開閉板45の開口部20側の面に貼り付けられた発泡ポリウレタン等からなるシート状の弾性部材46とを有する。バッフル4は、後述する駆動機構6によって駆動されることにより、回転軸線L回りに回転して、開口部20を開放する開位置4A(図7(a)参照)、および、開口部20を閉鎖する閉位置4B(図7(c)参照)に移動する。閉位置4Bでは、弾性部材46がシール部10に接触する。
【0029】
ダンパ装置1は、例えば、冷気通路を構成するダクト等の内側に配置される。冷気は、開口部20に対してバッフル4が配置されている側とは反対から開口部20を通って流れる。また、冷気は、開口部20に対してバッフル4が配置されている側から開口部20を通って流れることもある。
【0030】
(駆動機構)
図3図4に示すように、駆動機構6は、ケース3と隔壁板23との間に収容される。駆動機構6は、ギアードモータ60と、ギアードモータ60によって駆動される出力部材69を備える。出力部材69は、ケース3に設けられた軸支持部35に嵌まる軸部691と、軸部691から径方向に張り出した扇形歯車692を備える。出力部材69は、ケース3の軸支持部35によって回転可能に支持される。上記のように、出力部材69の軸部691は、X2方向に延びる先端部が隔壁板23に設けられた軸穴27を貫通し、バッフル4に連結される。
【0031】
図5に示すように、ギアードモータ60は、モータ61と、モータ61の回転を出力部材69に伝達する歯車伝達機構62を備える。モータ61は、有底円筒形の金属製のモータケース63と、モータケース63の開口端を塞ぐモータプレート64と、モータケース63の内側に配置された円筒状のステータ65と、ステータ65の内側に配置されたロータ(図示せず)と、モータプレート64とステータ65との間に配置された仕切り部材66を備える。モータケース63、ロータおよびステータ65によって、ステッピングモータからなるモータ61が構成される。
【0032】
歯車伝達機構62は、仕切り部材66とモータプレート64との間に配置される複数の歯車からなる輪列621と、輪列621を介して駆動される出力車622を備える。ロータの回転は、輪列621によって減速されて出力車622に伝達される。出力車622は、輪列621の最終段の歯車と噛み合う歯車623と、歯車623の中心からX2方向に延びる軸部624と、モータプレート64に設けられた軸支持部641を貫通してX2方向に突出する軸部624の先端に連結される歯車625とを有する。歯車625は、出力部材69の扇形歯車692と噛み合う。
【0033】
モータ61は、モータケース63の切欠き631に配置される端子台67と、端子台67を覆う端子カバー68を備える。端子台67は、ステータコイル651が巻かれるインシュレータ652の径方向外側に配置され、インシュレータ652と一体形成される。端子台67には、複数本のコネクタ端子70が保持される。複数本のコネクタ端子70は、端子台67の径方向外側においてX1方向へ屈曲し、端子台67と端子カバー68の隙間においてX1方向へ延びる。コネクタ端子70には、ステータコイル651が電気的に接続される。
【0034】
(ケース)
ケース3は、隔壁板23に対して枠部21とは反対側(X1方向)から対向する底部31と、底部31から隔壁板23の側(X2方向)へ突出した角筒状の側板部32とを有する。底部31および側板部32は、X方向からみたとき、Y方向に長辺が延在し、Z方向
に短辺が延在する四角形である。図3に示すように、側板部32は、Z方向で対向する第1側板321および第2側板322と、Y方向で対向する第3側板323および第4側板324とを有する。第3側板323は、第1側板321と第2側板322のY2側の端を接続する。第4側板324は、第1側板321と第2側板322のY1側の端を接続する。隔壁板23のフック24に係合する突起30は、第1側板321および第2側板322に形成される。
【0035】
ケース3には、モータ61のコネクタ端子70を隔壁板23とは反対側に向けて露出させるコネクタ挿入口33が設けられている。図3図4に示すように、コネクタ挿入口33は、第4側板324と底部31とが繋がる角部を切り欠いた構造になっている。コネクタ挿入口33に相手側コネクタを挿入すれば、モータ61のコネクタ端子70を相手側コネクタに接続される外部配線に接続して、駆動信号をモータ61に供給することができる。
【0036】
図3に示すように、ケース3は、第1側板321と第2側板322の内面に沿ってZ方向に延びる円筒状のボス部34を備える。ボス部34は、底部31からX2方向へ突出し、第1側板321、第2側板322と繋がっている。隔壁板23とケース3とを結合する際、隔壁板23からX1方向に突出する凸部28(図4参照)がボス部34に嵌合する。
【0037】
ケース3は、側板部32の内側に配置される円筒形の軸支持部35およびモータ保持部36を備える。軸支持部35およびモータ保持部36は、底部31から隔壁板23が位置する側(X2方向)へ突出する。軸支持部35とモータ保持部36は、ケース3のZ方向の中央に配置される。軸支持部35は、ケース3の第3側板323側(Y2側)の端に配置される。モータ保持部36は、ケース3の第4側板324側の端に配置される。
【0038】
ギアードモータ60をケース3に組み付ける際、略円筒形のモータ保持部36の内側にモータケース63を配置する。モータ保持部36の内面には、Z方向に延びるモータ受けモータ受けリブ363が形成されている。モータケース63は、外周面がモータ受けリブ363の先端に接触し、モータ保持部36の内側に軽圧入される。
【0039】
図4に示すように、隔壁板23には、ギアードモータ60のモータプレート64と対向する位置からX1方向に突出するモータプレート受け部29が設けられている。隔壁板23とケース3とを結合すると、モータプレート受け部29がギアードモータ60のモータプレート64にX2側から当接する。
【0040】
ケース3の内側には、上記のように、モータ保持部36として略円筒形のリブ形状が設けられている。図3に示すように、モータ保持部36はケース3の第4側板324側の端に配置され、第3側板323からは離れている。そのため、モータ保持部36と第3側板323との間には、Z方向に延びる第1リブ37と、Y方向に延びる第2リブ38および第3リブ39が配置され、リブによる補強構造が設けられている。
【0041】
図4に示すように、ケース3の底部31は、モータ保持部36のX1方向の端部を塞ぐ底板311と、底板311に対して隔壁板23側(X2側)に位置する仕切り板312を備える。仕切り板312は、モータ保持部36の外側面と、側板部32の内側面とを接続する。従って、モータ保持部36の外周側では、仕切り板312によって駆動機構6を収容する空間が外部空間から区画される。
【0042】
本形態では、仕切り板312は、ケース3のX方向の略中央に位置する。図3に示す第1リブ37、第2リブ38、第3リブ39、および第4リブ40は、仕切り板312からX2方向に突出する。ケース3の底部31は、仕切り板312からX1方向へ突出する第
1外面リブ313および第2外面リブ314によって補強される。図4に示すように、第1外面リブ313は、モータ保持部36と第3側板323との間でZ方向に延びており、第1側板321と第2側板322に接続される。第2外面リブ314はY方向に延びており、第1外面リブ313と交差する。
【0043】
(シール部)
図6(a)は、シール部10の平面図であり、フレーム2をバッフル4の側から見た平面図である。図6(b)は、シール部10の側面図であり、図6(a)のA-A位置で切断したフレーム2の断面図である。図6(a)に示すように、フレーム2の枠部21において、シール部10は、バッフル4の回転軸線Lに沿う第1シール部11と、開口部20を挟んで第1シール部11と対向する第2シール部12と、第1シール部11と第2シール部12のX1側の端部を接続する第3シール部13と、第1シール部11と第2シール部12のX2側の端部を接続する第4シール部14を備える。
【0044】
本形態では、開口部20は、回転軸線方向であるX方向を長辺方向とし、回転軸線方向と交差する方向を短辺方向とする長方形である。第1シール部11は、開口部20の縁において回転軸線Lに近い側の縁に位置し、第2シール部12は回転軸線Lから遠い側の縁に位置する。また、第3シール部13は開口部20の縁において駆動機構6に近い側の縁に位置し、第4シール部14は駆動機構6から遠い側の縁に位置する。シール部10は、開口部20を全周で囲む。従って、バッフル4を閉じたとき、シール部10が全周で弾性部材46に押し付けられて開口部20が密閉される。
【0045】
第1シール部11には、バッフル4における回転軸線Lに近い部分が接触する。第2シール部12には、回転軸線Lから離れた自由端部分が接触する。第3シール部13には、バッフル4における駆動機構6に近い部分が接触する。第4シール部14には、駆動機構6から遠い部分が接触する。ここで、バッフル4を閉じるときにバッフル4の各部をシール部10に押し付ける押圧力は、回転軸線Lに近い部分の方が回転軸線Lから遠い部分よりも大きい。また、駆動機構6に近い部分の方が駆動機構6から遠い部分よりも大きい。
【0046】
バッフル4でシール部10を押圧する押圧力が小さい部分を先にシール部10に接触させてしまうと、最後に接触する部分がシール部10に当接するよりも先に、最初に接触した箇所において弾性部材46からの反発力が押圧力(すなわち、バッフル4を回転させる駆動機構6のトルク)を上回ってしまい、それ以上バッフル4を回転させることができなくなるおそれがある。その場合、弾性部材46とシール部10との間に隙間ができてしまう。そのため、本形態では、バッフル4においてシール部10を押圧する押圧力が大きい部分が先にシール部10に当接するように、シール部10の先端のZ方向の位置を決定している。
【0047】
具体的には、本形態のシール部10において、第3シール部13と第2シール部12とが繋がる第1角部15は、第4シール部14と第2シール部12とが繋がる第2角部16よりも大きな押圧力でバッフル4により押圧される。そこで、本形態では、第1角部15におけるシール部10の枠部21からの突出高さH1を、第2角部16におけるシール部10の枠部からの突出高さH2よりも低くしている。これにより、第1角部15が第2角部16よりも先に弾性部材46と接触する。
【0048】
バッフル4は樹脂製であるため、回転軸線L回りにねじれる方向の撓みが発生する。そのため、バッフル4は、駆動機構6側の第1角部15と対向する部分の方が、先端側に位置する第2角部16と対向する部分よりも先に回転する。本形態では、第1角部15の高さH1を第2角部16の高さH2よりも低くすることにより、第1角部15と第2角部16を適正なタイミングで弾性部材46に接触させるように構成している。
【0049】
ここで、弾性部材46とシール部10の各部とが接触するタイミングは、バッフル4の回転軸線LのZ方向の位置を基準位置Pとして、基準位置PからのZ方向の距離によって規定することができる。本形態では、第1角部15の基準位置PからのZ方向の距離D1が、第2角部16の基準位置PからのZ方向の距離D2よりも大きい。
【0050】
図7は、バッフル4が閉じる過程を示す説明図である。図7(a)は、バッフル4が開位置4Aにある状態を示す。図7(b)は、シール部10と弾性部材46とが最初に接触した状態を示す。図7(c)は、バッフル4が閉位置4Bにある状態を示す。バッフル4は、回転軸線Lを中心として、Z方向に沿う開位置4AとY方向に沿う閉位置4Bの間を移動する。図7(b)に示すように、バッフル4を開口部20に向けて回転させると、シール部10は、回転軸線Lに近い側の縁に設けられた第1シール部11が、回転軸線Lから遠い側の縁に設けられた第2シール部12よりも先に弾性部材46と接触する。
【0051】
本形態では、第1シール部11の突出高さH3はX方向の位置によって変化せず、一定である。第1シール部11の突出高さH3は、第2シール部12の突出高さよりも低い。上記のように、第2シール部12の突出高さは、X1側の端(第1角部15)が最も低く、X2側の端(第2角部16)が最も高い。従って、第2シール部12は、X1側へ向かうに従って突出高さが低くなる方向に傾斜している。第1シール部11の突出高さH3は、第2角部16の突出高さH2よりも低く、且つ、第1角部15の突出高さH1よりも低い。また、第1シール部11の基準位置PからのZ方向の距離D3は、第1角部15と第2角部16の基準位置PからのZ方向の距離D1、D2よりも大きい。
【0052】
例えば、本形態では、第1シール部11の基準位置PからのZ方向の距離D3は5.3mmである。また、第2シール部12は、第2角部16の基準位置PからのZ方向の距離D2が4.7mmであり、第1角部15の基準位置PからのZ方向の距離D1が5.0mmである。シール部10の各部の寸法公差は0.05mmである。このような形状において、バッフル4による開口部20の封止性能の試験を行った結果、バッフル4を閉位置4Bまで回転させることができ、開口部20からのエアリークが発生しないことを確認できた。
【0053】
(冷蔵庫)
図8は、図1に示すダンパ装置1を備える冷蔵庫100の説明図である。図8に示す冷蔵庫100において、冷蔵庫本体110は、複数の貯蔵室111と、複数の貯蔵室111へ冷気を供給する冷気ダクト112とを備えており、冷気ダクト112と貯蔵室111とを連通する冷気取り入れ口113には、本発明を適用したダンパ装置1が設けられている。また、冷蔵庫本体110は、冷気を生成する冷却機114と、冷気ダクト112内に配置されるファン115と、制御装置120とを備えている。制御装置120は、貯蔵室111に設けられたセンサ(不図示)の信号に基づき、ダンパ装置1の開閉動作を制御して、貯蔵室111への冷気の供給タイミングや供給量を調節する。
【0054】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態のダンパ装置1は、開口部20が設けられたフレーム2と、フレーム2に回転可能に支持され、開口部20を開閉するバッフル4と、開口部20に対してX1側(すなわち、バッフル4の回転軸線方向の一方側)に配置されてバッフル4を駆動する駆動機構6を有する。フレーム2は、開口部20を全周で囲むシール部10を備える。バッフル4は、開閉板45と、開閉板45の一方面に配置されてバッフル4が開口部20を塞ぐときにシール部10に当接する弾性部材46を備える。シール部10は、バッフル4の回転軸線Lに沿う第1シール部11、開口部20を挟んで第1シール部11と対向する第2シール部12、第1シール部11と第2シール部12のX1側の端部を接続する
第3シール部13、および、第1シール部11と第2シール部12のX2側の端部を接続する第4シール部14を備え、第1シール部11は、第2シール部12よりも回転軸線Lに近く、第3シール部13は、第4シール部14よりも駆動機構6に近い。バッフル4が開口部20側に回転するときに、第3シール部13と第2シール部12とが繋がる第1角部15が、第4シール部14と第2シール部12とが繋がる第2角部16よりも先に弾性部材46に当接する。
【0055】
本形態では、フレーム2に設けられた開口部20を開閉する際、バッフル4の表面に設けられた弾性部材46を開口部20の縁に押し付ける押圧力が、駆動機構6からのバッフル4の各部の距離に起因してばらつくことを考慮して、適正なタイミングでバッフル4の各部の弾性部材46を開口部20の縁に当接させる。すなわち、駆動機構6に最も近い部分(第1角部15)が先に当接し、駆動機構6から最も離れた先端部分(第2角部16)がその後に当接する。これにより、最大押圧力が弱い箇所(第2角部16)が先に弾性部材46に接触してしまい、第2角部16において弾性部材46の反発力が最大押圧力を上回る状態になって、第1角部15と弾性部材46とが当接するまでバッフル4を回転させることができなくなることを回避できる。よって、弾性部材46の反発力により第1角部15に隙間ができることを回避できるので、開口部20を完全に密閉できなくなるおそれが少ない。
【0056】
本形態では、バッフル4が開口部20側に回転するときに、第1シール部11が第2シール部12よりも先に弾性部材46に当接する。これにより、回転軸線Lに近い部分と回転軸線Lから離れた部分との押圧力のばらつきを考慮して、適正なタイミングでバッフル4の各部の弾性部材46を開口部20の縁に当接させることができる。すなわち、最大押圧力が弱い箇所(第2シール部12)が先に開口部20の縁に接触してしまい、弾性部材46の反発力が最大押圧力を上回る状態になって開口部20が完全に密閉されるまで(すなわち、第1シール部11に弾性部材46が接触するまで)バッフル4を回転させることができなくなることを回避できる。よって、弾性部材46の反発力により開口部20を完全に密閉できなくなるおそれが少ない。
【0057】
本形態では、シール部10に押し付けられて押し潰された弾性部材46がシール部10に接触する前の形状に戻ろうとする反発力が、駆動機構6からバッフル4に加わる駆動力を上回るよりも先に、弾性部材46が第2角部16に当接するように構成する。このようにすると、第1角部15と弾性部材46とが確実に当接するまでバッフル4を回転させることができる。従って、開口部20を完全に密閉することができる。
【0058】
本形態では、シール部10は、バッフル4が位置する側に突出する突出部であり、開口部20の縁に沿って延びるリブである。従って、弾性部材46は、突出部(リブ)の先端に当接するので、シール部10と弾性部材46との当接面積が少ない。当接面積が少ないと、押圧力を集中させることができ、駆動力が大きくなくても弾性部材46の潰し量を大きくすることができる。従って、開口部20を完全に密閉できなくなるおそれが少ない。
【0059】
本形態では、シール部10は、第1角部15の枠部21からの突出高さH1が、第2角部16の枠部からの突出高さH2よりも低い。このようにすると、バッフル4に回転軸線L回りにねじれる方向の撓みが発生する場合でも、第1角部15と第2角部16を適正なタイミングで弾性部材46に当接させることができる。
【0060】
本形態では、開口部20は、回転軸線方向(X方向)を長辺方向とする長方形であることが好ましい。このような開口形状では、駆動機構6からの距離に起因する押圧力のばらつきが大きい。本形態では、第1角部15と第2角部16とで弾性部材46に当接するタイミングに差を付けることにより、開口部20が完全に密閉されるまでバッフル4を回転
させることができなくなるおそれを少なくしている。
【0061】
本形態では、バッフル4は、樹脂からなる。バッフル4が樹脂製の場合には、バッフル4の撓みに起因する押圧力のばらつきが大きい。従って、本形態のように、撓みやすい部位と撓みにくい部位とで弾性部材46と開口部20の縁とが当接するタイミングに差を付けることにより、開口部20が完全に密閉されるまでバッフル4を回転させることができなくなるおそれを少なくしている。
【0062】
本形態に係るダンパ装置1は冷蔵庫100に用いることができ、冷蔵庫100は、冷却機114と、冷却機114で発生した冷気が供給される貯蔵室111と、を有し、ダンパ装置1は、貯蔵室111における冷気取り入れ口113に配置される。
【0063】
(他の実施形態)
本発明は、上記形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形可能である。例えば、上記形態のダンパ装置1は、冷蔵庫用であるが、本発明は冷蔵庫に用いられるダンパ装置に限定されるものではない。また、上記形態のシール部10はリブであったが、シール部はリブでなくてもよい。例えば、開口部20の縁に沿ってシート材を取り付けても良い。この場合は、弾性部材46を当接させるタイミングに応じてシート材を取り付ける範囲や厚さを調整すればよい。
【0064】
また、上記形態では開口部20の縁に設けたシール部10に対してバッフル4に設けた弾性部材46を押し付ける構成であるが、弾性部材とシール部の配置を逆にしてもよい。図9は、開口部20の縁に弾性部材46Aを配置し、バッフル4にシール部10Aを設けた形態の説明図である。図9(a)は、シール部10Aを備えたバッフル4の平面図である。図9(b)は、バッフル4およびフレーム2の断面図であり、バッフル4が開口部20を閉鎖した状態を示す。
【0065】
図9の構成は、上記形態と同様に、開口部20が設けられたフレーム2と、フレーム2に回転可能に支持され、開口部20を開閉するバッフル4と、開口部20に対してバッフル4の回転軸線方向の一方側に配置されてバッフル4を駆動する駆動機構6と、を有するダンパ装置に適用される。フレーム2には、開口部20の縁に沿って全周に弾性部材46Aが配置される。バッフル4には、バッフル4が開口部20を塞ぐときに弾性部材46Aに当接して開口部20を全周で囲むシール部10Aが設けられている。シール部10Aは、バッフル4の開閉板45から開口部20が位置する側へ突出する角筒状の突出部である。
【0066】
図9(a)に示すように、シール部10Aは、バッフル4の回転軸線Lに沿う第1シール部11A、バッフル4で開口部20を閉鎖したときに開口部20を挟んで第1シール部11Aと対向する第2シール部12A、第1シール部11Aと第2シール部12Aの一端を接続する第3シール部13A、および、第1シール部11Aと第2シール部12Aの他端を接続する第4シール部14Aを備える。第1シール部11Aは、第2シール部12Aよりも回転軸線Lに近く、第3シール部13Aは、第4シール部14Aよりも駆動機構6に近い。
【0067】
本形態においても、バッフル4が開口部20側に回転するときに、シール部10Aは、第3シール部13Aと第2シール部12Aとが繋がる第1角部15Aが、第4シール部14Aと第2シール部12Aとが繋がる第2角部16Aよりも先に弾性部材46Aに当接する。例えば、シール部10Aは、第1角部15Aの開閉板45からの突出高さが、第2角部16Aの開閉板45からの突出高さよりも大きい場合に、第1角部15Aが第2角部116Aよりも先に弾性部材46Aに当接する。また、バッフル4が開口部20側に回転す
るときには、第1シール部11Aが第2シール部12Aよりも先に弾性部材46Aに当接する。
【0068】
これにより、上記形態と同様に、弾性部材46Aの反発力により、開口部20が完全に密閉されるまでバッフル4を回転させることができなくなることを回避できる。よって、開口部20を完全に密閉できなくなるおそれが少ない。
【符号の説明】
【0069】
1…ダンパ装置、2…フレーム、3…ケース、4…バッフル、4A…開位置、4B…閉位置、6…駆動機構、10、10A…シール部、11、11A…第1シール部、12、12A…第2シール部、13、13A…第3シール部、14、14A…第4シール部、15、15A…第1角部、16、16A…第2角部、20…開口部、21…枠部、22…胴部、23…隔壁板、24…フック、25…側板、27…軸穴、28…凸部、29…モータプレート受け部、30…突起、31…底部、32…側板部、33…コネクタ挿入口、34…ボス部、35…軸支持部、36…モータ保持部、37…第1リブ、38…第2リブ、39…第3リブ、40…第4リブ、41、42…円柱部、44…軸部、45…開閉板、46、46A…弾性部材、60…ギアードモータ、61…モータ、62…歯車伝達機構、63…モータケース、64…モータプレート、65…ステータ、66…仕切り部材、67…端子台、68…端子カバー、69…出力部材、70…コネクタ端子、100…冷蔵庫、110…冷蔵庫本体、111…貯蔵室、112…冷気ダクト、113…冷気取り入れ口、114…冷却機、115…ファン、120…制御装置、311…底板、312…仕切り板、313…第1外面リブ、314…第2外面リブ、321…第1側板、322…第2側板、323…第3側板、324…第4側板、363…モータ受けリブ、621…輪列、622…出力車、623…歯車、624…軸部、625…歯車、641…軸支持部、651…ステータコイル、652…インシュレータ、691…軸部、692…扇形歯車、L…回転軸線、P…基準位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9