(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176120
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】塗布具
(51)【国際特許分類】
B05C 17/00 20060101AFI20231206BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20231206BHJP
A45D 40/26 20060101ALI20231206BHJP
A45D 33/36 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B05C17/00
A45D34/04 510A
A45D40/26 Z
A45D33/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088231
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】紀陸 芳夫
【テーマコード(参考)】
4F042
【Fターム(参考)】
4F042FA22
4F042FA26
4F042FA28
(57)【要約】
【課題】塗布部を交換する際における作業性を向上させることができる塗布具を提供する。
【解決手段】本発明に係る態様に係る塗布具1は、塗布部12と、塗布部12が着脱可能に装着される把持部11と、を備えている。把持部11は、ベース部21と、第1方向Yで向かい合った状態で第1方向Yに交差する第2方向Zに延びるとともに、弾性変形可能なヒンジ部31を介して第1方向Yで互いに接近又は離反する方向にベース部21に回動可能に接続された一対の回動片22と、を備えている。一対の回動片22は、ヒンジ部31に対して第2方向Zの一方側に位置する部分に形成され、塗布部12を係止する係止部22cと、ヒンジ部31に対して第2方向Zの他方側に位置する操作部22bと、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布部と、
前記塗布部が着脱可能に装着される把持部と、を備え、
前記把持部は、
ベース部と、
第1方向で向かい合った状態で前記第1方向に交差する第2方向に延びるとともに、弾性変形可能なヒンジ部を介して前記第1方向で互いに接近又は離反する方向に前記ベース部に回動可能に接続された一対の回動片と、を備え、
一対の前記回動片は、
前記ヒンジ部に対して前記第2方向の一方側に位置する部分に形成され、前記塗布部を係止する係止部と、
前記ヒンジ部に対して前記第2方向の他方側に位置する操作部と、をそれぞれ備えている塗布具。
【請求項2】
前記把持部及び前記塗布部のうち一方の部材には、前記第2方向に延びる突部が設けられ、
前記把持部及び前記塗布部のうち他方の部材には、前記突部が収容される収容部が形成されている請求項1に記載の塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
コンパクト容器内に収容される内容物を掬い取って被塗布部に塗布するための塗布具として、例えば下記特許文献1の構成が知られている。下記特許文献1に記載の塗布具は、把持部と、把持部の先端部に着脱可能に取り付けられる化粧チップと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術にあっては、把持部に対して化粧チップを着脱する際、把持部と化粧チップの双方を摘まんだ状態で行う必要がある。そのため、従来の塗布具では、特に使用済みの化粧チップを把持部から取り外す際、化粧チップに付着した内容物によって手が汚れてしまう等、化粧チップの交換時における作業性を向上させる点で未だ改善の余地があった。
【0005】
本発明は、塗布部を交換する際における作業性を向上させることができる塗布具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係る塗布具は、塗布部と、前記塗布部が着脱可能に装着される把持部と、を備え、前記把持部は、ベース部と、第1方向で向かい合った状態で前記第1方向に交差する第2方向に延びるとともに、弾性変形可能なヒンジ部を介して前記第1方向で互いに接近又は離反する方向に前記ベース部に回動可能に接続された一対の回動片と、を備え、一対の前記回動片は、前記ヒンジ部に対して前記第2方向の一方側に位置する部分に形成され、前記塗布部を係止する係止部と、前記ヒンジ部に対して前記第2方向の他方側に位置する操作部と、を備えている。
【0007】
本態様によれば、塗布部が把持部に装着された状態において、一対の回動片における係止部同士が互いに離間するようにヒンジ部回りに回動片を回動させることで、塗布部と把持部との係止を解除することができる。これにより、把持部から塗布部を取り外すにあたって、従来のように塗布部と把持部との双方を摘まんで行う必要がない。そのため、塗布部の交換時において、使用済みの塗布部に付着した内容物が手等に付着することを抑制し、塗布部の交換時における作業性を向上させることができる。
【0008】
本発明の一態様に係る塗布具において、前記把持部及び前記塗布部のうち一方の部材には、前記第2方向に延びる突部が設けられ、前記把持部及び前記塗布部のうち他方の部材には、前記突部が収容される収容部が形成されていてもよい。
本態様によれば、突部が収容部内に収容されることで、把持部に対する塗布部の位置決めを行うことができる。これにより、係止部を塗布部に係止する前の状態において、把持部に対する塗布部の位置を安定させることができるので、塗布部の装着時における作業性を向上させることができる。また、内容物を被塗布部に塗布する際に、把持部に対する塗布部のがたつきを抑制し、内容物を安定して塗布することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、塗布部を交換する際における作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】塗布部の交換方法を説明する動作説明図であって、塗布具の断面図である。
【
図5】蓋部が開位置にあるときのコンパクト容器の平面図である。
【
図6】蓋部が閉位置にあるときの、
図5のVI-VI線に対応するコンパクト容器の断面図である。
【
図7】塗布部の交換方法を説明する動作説明図であって、コンパクト容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、本発明に係る塗布具1を説明した後、塗布具1が備えられたコンパクト容器について説明する。
図1、
図2に示す塗布具1は、例えばコンパクト容器100等に収容された内容物(例えば、化粧料等)を、被塗布部(例えば、肌等)に塗布するものである。塗布具1は、把持部11と、塗布部12と、を備えている。
【0012】
把持部11は、全体として角筒状に一体形成されている。以下の説明では、把持部11の中心軸線Oに沿う方向をZ方向とする。以下の説明では、Z方向において、塗布部12が装着される側を一方側、その反対側を他方側として説明する。また、Z方向に直交する2方向をそれぞれX方向及びY方向(X方向とY方向とは直交する)という。なお、本実施形態では、Y方向を第1方向、Z方向を第2方向として説明する。本実施形態の把持部11は、Z方向から見てX方向を短手方向とし、Y方向を長手方向とする矩形状に形成されている。但し、把持部11におけるZ方向から見た外形は、矩形状以外の多角形状や円形状等であってもよい。
【0013】
図1~
図3に示すように、把持部11は、ベース部21と、一対の回動片22と、軸部23と、を備えている。
ベース部21は、枠部21aと、一対の側壁部21bと、を備えている。
【0014】
枠部21aは、ベース部21のZ方向の他方側端部を構成する。枠部21aは、Z方向から見て把持部11の外形と同様の矩形枠状に形成されている。具体的に、枠部21aは、X方向で向かい合う一対の第1辺26と、Y方向で向かい合うとともに、第1辺26同士を接続する一対の第2辺27と、を備えている。
【0015】
側壁部21bは、枠部21aのうち一対の第1辺26から、それぞれZ方向の一方側に延びている。側壁部21bにおけるZ方向の中間部分には、凹部21dが形成されている。凹部21dは、側壁部21bにおけるY方向の両端縁にそれぞれ形成されている。
【0016】
図1、
図2に示すように、回動片22は、一対の第2辺27に対してZ方向の一方側に位置する部分であって、一対の側壁部21b間に位置する部分(以下、回動空間29という。)にそれぞれ配置されている。各回動片22は、互いに対称の構成であるため、以下の説明では一方の回動片22を例にして回動片22の詳細について説明する。
【0017】
回動片22は、棒状部22aと、操作部22bと、係止部22cと、を備えている。
棒状部22aは、回動空間29内をZ方向に延びている。棒状部22aにおけるZ方向の他方側端部は、第2辺27に対してZ方向に間隔をあけて配置されている。棒状部22aにおけるZ方向の一方側端部は、側壁部21bにおけるZ方向の一方側端縁と同等の位置に配置されている。
図2、
図4に示すように、棒状部22aにおけるZ方向の中間部分には、一対のヒンジ部31が接続されている。一対のヒンジ部31は、棒状部22aからそれぞれX方向の両側に突出している。各ヒンジ部31は、棒状部22aからX方向に突出する突出部31aと、突出部31aの先端部(X方向の外側端部)からZ方向の他方側に延びる接続部31bと、を備えている。
ヒンジ部31は、凹部21d内に配置されている。接続部31bは、側壁部21bの凹部21d内をZ方向に延びている。接続部31bにおけるZ方向の他方側端部は、凹部21dの内面に接続されている。回動片22は、ヒンジ部31が弾性変形することで、棒状部22aをY方向に回動可能に構成されている。
【0018】
操作部22bは、棒状部22aにおけるZ方向の他方側端部からY方向の外側(中心軸線Oから離間する向き)に突出している。操作部22bは、塗布部12の交換作業時において回動片22を摘まむ(Y方向の内側に押し込む)部分である。
係止部22cは、棒状部22aにおけるZ方向の一方側端部からY方向の内側に突出している。係止部22cは、Z方向の他方側を向く面を平坦面とし、Z方向の一方側を向く面を傾斜面とする三角形状に形成されている。各回動片22の係止部22cは、回動片22の回動に伴いY方向に接近又は離間する。
【0019】
図1に示すように、軸部23は、ベース部21の内側をZ方向に延びている。
図3に示すように、軸部23は、Z方向から見てY方向を厚さ方向とする板状に形成されている。軸部23は、枠部21aにおける一対の第1辺26間、及び一対の側壁部21b間を架け渡した状態でZ方向に延びている。軸部23には、Z方向の一方側に向けて突出する突部34が形成されている。突部34は、例えば軸部23の外径よりも小さい円柱形状に形成されている。なお、突部34は、多角柱形状等に形成されていてもよい。
【0020】
塗布部12は、把持部11に着脱可能に装着される。塗布部12は、装着基部12aと、塗布部本体12bと、を備えている。
図4に示すように、装着基部12aは、Z方向に延びる棒状(例えば、円柱状)に形成されている。装着基部12aのうち、Z方向の他方側端部の外周面には、環状に張り出す被係止部35が形成されている。被係止部35は、Z方向に沿う断面において、Z方向の一方側を向く面を平坦面とし、Z方向の他方側を向く面を傾斜面とする三角形状に形成されている。
【0021】
被係止部35は、装着基部12aの全周に亘って延びている。被係止部35は、塗布部12が把持部11に装着された状態において、係止部22cに被係止部35のZ方向の一方側から係止される。これにより、把持部11に対する塗布部12のZ方向の一方側及びY方向への移動が規制される。装着基部12aは、塗布部12が把持部11に装着された状態において、側壁部21bによってX方向の両側が近接又は当接するように囲まれている。これにより、把持部11に対する塗布部12のX方向の移動が規制されている。なお、被係止部35は、装着基部12aのうち少なくとも係止部22cに向かい合う部分のみ形成されていればよい。この場合、例えば装着基部12aのうち側壁部21bと向かい合う部分は平坦面等に形成されていてもよい。
【0022】
装着基部12aには、Z方向の他方側に向けて開口する収容部36が形成されている。収容部36は、Z方向から見て突部34に倣った形状をなしている。収容部36は、塗布部12が把持部11に装着された状態において、突部34が差し込まれる。これにより、把持部11に対する塗布部12のZ方向の他方側及びZ方向に交差する方向への移動が規制される。
【0023】
塗布部本体12bは、装着基部12aからZ方向の一方側に延びている。塗布部本体12bは、コンパクト容器100等に収容された内容物を掬い取る部分である。なお。塗布部本体12bとしては、例えば多孔質体(スポンジ)や刷毛、ヘラ等を採用可能である。
【0024】
本実施形態の塗布具1において、塗布部12を交換する方法について説明する。
把持部11に装着された塗布部12を取り外すには、
図4に示すように、操作部22bを介して一対の回動片22をY方向の両側から摘まみ、操作部22b同士を接近させる方向(Y方向の内側)に回動片22に対して操作力を付与する。すると、ヒンジ部31の付勢力に抗して各回動片22がヒンジ部31を起点に回動することで、係止部22c同士のY方向の間隔が広がる。これにより、係止部22cと被係止部35との係止が解除され、塗布部12が把持部11から取り外される。
【0025】
続いて、把持部11に塗布部12を装着するには、操作部22bを介して一対の回動片22をY方向の両側から摘まみ、係止部22c同士の間隔を広げておく。この状態で、突部34が収容部36内に挿し込まれるように、装着基部12aを係止部22c同士の間に進入させる。その後、操作部22bに付与した操作力を解除する。すると、ヒンジ部31の付勢力によって係止部22c同士がY方向に接近するように、回動片22がヒンジ部31を起点に回動する。これにより、係止部22cが被係止部35に対して被係止部35のZ方向の一方側から係止される。その結果、塗布部12が把持部11に装着される。
【0026】
なお、本実施形態のように、係止部22cにおけるZ方向の一方側を向く面を傾斜面とし、被係止部35におけるZ方向の他方側を向く面を傾斜面にすることで、操作部22bを押し込まなくとも、塗布部12の装着が可能になる。すなわち、塗布部12に対して把持部11をZ方向に押し込むことで、係止部22c及び被係止部35それぞれの傾斜面同士が摺動し合う。これにより、係止部22c同士が押し広げられることで、回動片22が回動する。その後、係止部22cの頂部が被係止部35の頂部を乗り越えることで、回動片22がヒンジ部31の付勢力によって復元する。その結果、装着部12が把持部11に装着される。以上の通り、本実施形態では、把持部11と塗布部12とのZ方向における相対移動だけでも、塗布部12を把持部11に装着させることができる。
【0027】
このように、本実施形態の塗布具1は、塗布部12と、塗布部12が着脱可能に装着される把持部11と、を備え、把持部11は、弾性変形可能なヒンジ部31を介してベース部21に回動可能に接続された一対の回動片22を備える構成とした。
この構成によれば、塗布部12が把持部11に装着された状態において、ヒンジ部31回りに回動片22を回動させることで、塗布部12と把持部11との係止を解除することができる。これにより、把持部11から塗布部12を取り外すにあたって、従来のように塗布部と把持部との双方を摘まんで行う必要がない。そのため、塗布部12の交換時において、使用済みの塗布部12に付着した内容物が手等に付着することを抑制し、塗布部12の交換時における作業性を向上させることができる。
【0028】
本実施形態において、把持部11の軸部23には、塗布部12に形成された収容部36内に収容される突部34が形成されている構成とした。
この構成によれば、突部34が収容部36内に収容されることで、把持部11に対する塗布部12のZ方向に交差する方向での位置決めを行うことができる。これにより、係止部22cを被係止部35に係止する前の状態において、把持部11に対する塗布部12の位置を安定させることができるので、塗布部12の装着時における作業性を向上させることができる。また、内容物を被塗布部に塗布する際に、把持部11に対する塗布部12のがたつきを抑制し、内容物を安定して塗布することができる。
【0029】
続いて、コンパクト容器100について説明する。
図5、
図6に示すコンパクト容器100は、容器本体101と、蓋体102と、中枠103と、第1中皿104と、第2中皿105と、を備えている。以下の説明では、蓋体102が閉位置の場合における容器本体101及び蓋体102の配列方向を上下方向L1とし、上下方向L1に沿う蓋体102側を上方とし、容器本体101側を下方とする。また、上下方向L1に直交する2方向のうち、後述するヒンジ部110とプッシュピース111とが向かい合う方向を前後方向L2(プッシュピース111側が前方)とし、前後方向L2に直交する方向を左右方向L3という。
【0030】
容器本体101は、上方に開口する箱型に形成されている。容器本体101は、上方から見た平面視で左右方向L3を長手方向とし、前後方向L2を短手方向とする矩形状に形成されている。
蓋体102は、平面視において容器本体101と同等の形状を呈し、下方に開口する箱型に形成されている。蓋体102において、天壁の下面にはミラー108が取り付けられている。蓋体102の後壁部は、容器本体101の後壁部にヒンジ部110を介して連結されている。蓋体102は、容器本体101に対して左右方向L3に沿う軸線回りに回動することで、容器本体101の上端開口部を開閉する。蓋体102の前壁部には、係合部102aが形成されている。係合部102aは、閉位置において、容器本体101の前壁部に設けられた被係合部112に係合する。容器本体101の前壁部において、被係合部112の前方には、プッシュピース111が設けられている。プッシュピース111は、押込操作によって係合部102aと被係合部112との係合を解除する。
【0031】
中枠103は、容器本体101内に嵌め込まれている。中枠103は、容器本体101内を複数の内容物領域103aと塗布具領域103bとに区画している。複数の内容物領域103aは、例えば容器本体101内における左右方向L3の中央部及び一方側に、前後方向L2に2列ずつ(合計4つ)区画されている。塗布具領域103bは、例えば容器本体101内における他方側に前後方向L2を長手方向として区画されている。なお、各領域103a,103bの位置や数等は適宜変更が可能である。
【0032】
第1中皿104は、中枠103のうち、内容物領域103aにそれぞれ嵌め込まれている。第1中皿104は、内容物収容部104aと、塗布部収容部104bと、を備えている。
内容物収容部104aには、内容物が収容されている。内容物は、例えば化粧料等である。本実施形態において、各第1中皿104の内容物収容部104aには、種類(例えば、色彩や用途等)の異なる内容物がそれぞれ収容されている。
【0033】
塗布部収容部104bは、平面視で円形状の凹部である。塗布部収容部104bには、塗布部12が収容可能である。すなわち、各第1中皿104の塗布部収容部104bには、各第1中皿104の内容物収容部104aに対応した塗布部12が収容される。塗布部12は、Z方向(
図1等参照)を上下方向L1に一致させた状態で、塗布部収容部104b内に収容されている。塗布部12は、少なくとも被係止部35が上方に突出した状態で、塗布部本体12bの最大外径部において塗布部収容部104b内に嵌め込まれている。なお、本実施形態では、第1中皿104が、内容物収容部104aと塗布部収容部104bとを備える構成について説明したが、この構成に限られない。内容物収容部104aと塗布部収容部104bとを別々に設けてもよい。この場合、例えば第1中皿104に内容物収容部104aが設けられ、塗布部収容部104bが中枠103に区画される構成等であってもよい。
【0034】
図5に示すように、第2中皿105は、塗布具領域103bに嵌め込まれている。第2中皿105は、前後方向L2を長手方向とし、上方に開口する箱型である。第2中皿105内には、塗布具1が前後方向L2に横たわった状態で収容されている。なお、塗布具領域103bには、第2中皿105を設けず、塗布具1をそのまま収容してもよい。また、塗布具領域103b又は第2中皿105には、把持部11のみを収容してもよい。
【0035】
本実施形態のコンパクト容器100では、異なる種類の内容物を使用する際に、塗布部12を交換することで、内容物に応じた塗布部12を使用できるようになっている。図示の例において、把持部11には、複数種類の内容物のうち、一の第1中皿104Aに収容された内容物用の塗布部12Aが装着されている。
【0036】
続いて、本実施形態のコンパクト容器100において、塗布部12の交換方法について説明する。以下の説明では、把持部11に装着された塗布部12Aから、複数種類の内容物のうち、他の第1中皿104Bに収容された内容物用の塗布部12Bに交換する方法について説明する。
まず、塗布部12Aを取り外すには、把持部11に塗布部12Aが装着された状態で、第1中皿104Aの塗布部収容部104bに塗布部12Aを挿し込む。すると、装着基部12aが上方に突出した状態で、塗布部本体12bが塗布部収容部104b内に嵌まり込む。その後、操作部22bを介して一対の回動片22をY方向の両側から摘まみ、操作部22b同士を接近させる方向(Y方向の内側)に操作力を付与する。すると、各回動片22がヒンジ部31を起点に回動することで、係止部22cと被係止部35との係止が解除される。これにより、把持部11から塗布部12Aが取り外される。
【0037】
次に、
図7に示すように、把持部11に塗布部12Bを装着するには、把持部11を塗布部12Bの上方まで移動させる。その後、操作部22bを介して一対の回動片22をY方向の両側から摘まみ、係止部22c同士の間隔を広げる。この状態で、突部34が収容部36内に挿し込まれるように、装着基部12aを係止部22c同士の間に進入させる。その後、操作部22bに付与した操作力を解除する。すると、係止部22c同士がY方向に接近することで、係止部22cが被係止部35に対して被係止部35の-Z側から係止される。その結果、塗布部12Bが把持部11に装着される。なお、塗布部12Bの装着作業は、係止部22c同士の間隔を広げずに、上述したように把持部11と塗布部12BとのZ方向における相対移動のみにより行ってもよい。この場合、把持部11を塗布部12Bに向けて押し込むだけで、塗布部12Bの装着が可能となる。
【0038】
塗布部12Bが装着された状態で把持部11を上方に引き上げる。すると、塗布部12Bが塗布部収容部104bから引き抜かれる。これにより、塗布部12Bを用いて他の第1中皿104Bに収容された内容物を使用することができる。
【0039】
このように、本実施形態では、塗布部収容部104bにおいて塗布部12のZ方向を上下方向L1に沿わせた状態で保持できるので、塗布部12に手を触れずに把持部11と塗布部12との着脱を行うことができる。これにより、例えば使用する内容物によって塗布部12を付け替えたりする等、利便性を向上させることができる。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、軸部(一方の部材)23に突部34が形成され、塗布部(他方の部材)12に収容部36が形成された構成について説明したが、この構成に限られない。軸部(他方の部材)23に収容部が形成され、塗布部(一方の部材)12に突部が形成されていてもよい。
上述した実施形態では、コンパクト容器100に収容された内容物を塗布具1によって掬い取る構成について説明したが、この構成に限られない。塗布具1は、コンパクト容器100以外の物品に備えられていてもよい。
【0041】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1:塗布具
11:把持部
12,12A,12B:塗布部
21:ベース部
22:回動片
22b:操作部
22c:係止部
31:ヒンジ部
34:突部
36:収容部