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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176124
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】検知センサ
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/12 20060101AFI20231206BHJP
   G01S 13/04 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G01V3/12 A
G01S13/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088237
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】小野 恭裕
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 雄彦
【テーマコード(参考)】
2G105
5J070
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB11
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE02
2G105HH01
5J070AB17
5J070AC03
5J070AE09
5J070AF01
5J070AG01
5J070AH23
5J070AK15
5J070AK35
5J070BD08
(57)【要約】
【課題】検知範囲を所望の範囲に制限しつつ、当該所望の範囲における検知感度の低下を抑制可能な検知センサを提供する。
【解決手段】検知センサは、所定空間における検知対象の有無を検知する。この検知センサは、第1電波レーダと、第1板状部材とを備える。第1電波レーダは、第1送信アンテナ及び第1受信アンテナを含み、所定空間に含まれる第1検知範囲における検知対象の有無を検知する。第1板状部材は、電波の反射面を有する。第1送信アンテナは、電波を送信する。第1受信アンテナは、前記検知対象において反射した電波を受信する。検知センサが水平な天井に設置された場合に、検知センサから下方に延びる仮想的な直線に対して第1板状部材の反射面は傾斜している。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定空間における検知対象の有無を検知する検知センサであって、
第1送信アンテナ及び第1受信アンテナを含み、前記所定空間に含まれる第1検知範囲における前記検知対象の有無を検知する第1電波レーダと、
電波の反射面を有する第1板状部材とを備え、
前記第1送信アンテナは、電波を送信し、
前記第1受信アンテナは、前記検知対象において反射した電波を受信し、
前記検知センサが水平な天井に設置された場合に、前記検知センサから鉛直方向に延びる仮想的な直線に対して前記第1板状部材の反射面は傾斜している、検知センサ。
【請求項2】
第2送信アンテナ及び第2受信アンテナを含み、前記所定空間に含まれる第2検知範囲における前記検知対象の有無を検知する第2電波レーダと、
電波の反射面を有する第2板状部材とをさらに備え、
前記第2送信アンテナは、電波を送信し、
前記第2受信アンテナは、前記検知対象において反射した電波を受信し、
前記第1電波レーダと前記第1板状部材とによって第1レーダ部が構成され、
前記第2電波レーダと前記第2板状部材とによって第2レーダ部が構成され、
前記第1板状部材の反射面と前記第2板状部材の反射面とは互いに平行ではなく、
前記検知センサが前記天井に設置された場合、前記第1板状部材及び前記第2板状部材の各々の反射面の下端同士の距離が、前記各々の反射面の上端同士の距離よりも短くなるように、前記各々の反射面が傾いている、請求項1に記載の検知センサ。
【請求項3】
前記第1板状部材は、1枚の板を折り曲げることによって構成されており、
前記検知センサの平面視において、前記第1電波レーダの一部は、第1領域及び/又は第2領域と重なり、
前記第1領域は、前記検知センサが前記天井に設置された場合に、前記検知センサの平面視において、前記第1板状部材の下方端部の2辺と前記下方端部の2辺の両端を結ぶ仮想的な直線とによって囲まれる領域であり、
前記第2領域は、前記検知センサが前記天井に設置された場合に、前記検知センサの平面視において、前記第1板状部材の上方端部の2辺と前記上方端部の2辺の両端を結ぶ仮想的な直線とによって囲まれる領域である、請求項1又は請求項2に記載の検知センサ。
【請求項4】
前記第1板状部材及び前記第2板状部材の各々は、1枚の板を折り曲げることによって構成されており、
前記検知センサの平面視において、前記第1電波レーダの一部は、第1領域及び/又は第2領域と重なり、
前記第1領域は、前記検知センサが前記天井に設置された場合に、前記検知センサの平面視において、前記第1板状部材の下方端部の2辺と、前記第1板状部材の下方端部の2辺の両端を結ぶ仮想的な直線とによって囲まれる領域であり、
前記第2領域は、前記検知センサが前記天井に設置された場合に、前記検知センサの平面視において、前記第1板状部材の上方端部の2辺と、前記第1板状部材の上方端部の2辺の両端を結ぶ仮想的な直線とによって囲まれる領域であり、
前記検知センサが前記天井に設置された場合に、前記第1板状部材の下方端部に位置する角部と前記第2板状部材の下方端部に位置する角部とを結ぶ仮想的な第1直線の長さは、前記第1板状部材の上方端部に位置する角部と前記第2板状部材の上方端部に位置する角部とを結ぶ仮想的な第2直線の長さよりも短い、請求項2に記載の検知センサ。
【請求項5】
前記検知センサが前記天井に設置された場合における前記第1電波レーダの下方の面と前記第1板状部材の反射面とによって形成される角度と、前記検知センサが前記天井に設置された場合における前記第2電波レーダの下方の面と前記第2板状部材の反射面とによって形成される角度とは異なる、請求項4に記載の検知センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-181652号公報(特許文献1)は、点灯システムを開示する。この点灯システムにおいては、例えば、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式のセンサによって、検知範囲における人の有無が検知される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-181652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検知センサにおいて、検知範囲を所望の範囲に制限したい場合がある。しかしながら、検知範囲を所望の範囲に制限した場合に、所望の範囲の一部において、検知センサの検知感度が低下することがある。上記特許文献1においては、このような問題の解決手段が開示されていない。
【0005】
本発明の目的は、検知範囲を所望の範囲に制限しつつ、当該所望の範囲における検知感度の低下を抑制可能な検知センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従う検知センサは、所定空間における検知対象の有無を検知する。この検知センサは、第1電波レーダと、第1板状部材とを備える。第1電波レーダは、第1送信アンテナ及び第1受信アンテナを含み、所定空間に含まれる第1検知範囲における検知対象の有無を検知する。第1板状部材は、電波の反射面を有する。第1送信アンテナは、電波を送信する。第1受信アンテナは、前記検知対象において反射した電波を受信する。検知センサが水平な天井に設置された場合に、検知センサから下方に延びる仮想的な直線に対して第1板状部材の反射面は傾斜している。
【0007】
仮に、検知センサが天井に設置された状態において、検知センサから鉛直方向に延びる仮想的な直線に対して第1板状部材の反射面が傾斜していないとする。この場合には、検知センサの真下付近に存在する検知対象において反射した電波の反射面への入射角が大きく、反射面において乱反射が生じやすくなり、結果的に検知センサの検知感度が低下することを本発明者(ら)は見出した。本発明に従う検知センサにおいては、検知センサから下方に延びる仮想的な直線に対して第1板状部材の反射面が傾斜している。したがって、検知センサから鉛直方向に延びる仮想的な直線に対して第1板状部材の反射面が傾斜していない場合と比較して、検知センサの真下付近に存在する検知対象において反射した電波の反射面への入射角が小さくなる。その結果、この検知センサによれば、第1板状部材の反射面における乱反射が抑制されるため、第1板状部材によって検知範囲を所望の範囲に制限しつつ、当該所望の範囲における検知感度の低下を抑制することができる。
【0008】
上記検知センサは、第2送信アンテナ及び第2受信アンテナを含み、所定空間に含まれる第2検知範囲における検知対象の有無を検知する第2電波レーダと、電波の反射面を有する第2板状部材とをさらに備え、第2送信アンテナは電波を送信し、第2受信アンテナは検知対象において反射した電波を受信し、第1電波レーダと第1板状部材とによって第1レーダ部が構成され、第2電波レーダと第2板状部材とによって第2レーダ部が構成され、第1板状部材の反射面と第2板状部材の反射面とは互いに平行ではなく、検知センサが天井に設置された場合、第1板状部材及び第2板状部材の各々の反射面の下端同士の距離が、各々の反射面の上端同士の距離よりも短くなるように、各々の反射面が傾いていてもよい。
【0009】
この検知センサにおいては、検知センサが天井に設置された場合における第1板状部材及び第2板状部材の各々の反射面の下端同士の距離が、検知センサが天井に設置された場合における第1板状部材及び第2板状部材の各々の反射面の上端同士の距離よりも短くなるように、第1板状部材及び第2板状部材の各々の反射面が傾いている。したがって、検知センサから鉛直方向に延びる仮想的な直線に対して第1板状部材及び第2板状部材の各々の反射面が傾斜していない場合と比較して、検知センサの真下付近に存在する検知対象において反射した電波の各反射面への入射角が小さくなる。その結果、この検知センサによれば、第1板状部材及び第2板状部材の各々の反射面における乱反射が抑制されるため、第1板状部材及び第2板状部材の各々によって各電波レーダによる検知範囲を所望の範囲に制限しつつ、当該各所望の範囲における各電波レーダの検知感度の低下を抑制することができる。
【0010】
上記検知センサにおいて、第1板状部材は、1枚の板を折り曲げることによって構成されており、検知センサの平面視において、第1電波レーダの一部は、第1領域及び/又は第2領域と重なり、第1領域は、検知センサが天井に設置された場合に、検知センサの平面視において、第1板状部材の下方端部の2辺と下方端部の2辺の両端を結ぶ仮想的な直線とによって囲まれる領域であり、第2領域は、検知センサが天井に設置された場合に、検知センサの平面視において、第1板状部材の上方端部の2辺と上方端部の2辺の両端を結ぶ仮想的な直線とによって囲まれる領域であってもよい。
【0011】
上記検知センサにおいて、第1板状部材及び前記第2板状部材の各々は、1枚の板を折り曲げることによって構成されており、検知センサの平面視において、第1電波レーダの一部は、第1領域及び/又は第2領域と重なり、第1領域は、検知センサが天井に設置された場合に、検知センサの平面視において、第1板状部材の下方端部の2辺と下方端部の2辺の両端を結ぶ仮想的な直線とによって囲まれる領域であり、第2領域は、検知センサが天井に設置された場合に、検知センサの平面視において、第1板状部材の上方端部の2辺と上方端部の2辺の両端を結ぶ仮想的な直線とによって囲まれる領域であり、検知センサが天井に設置された場合に、第1板状部材の下方端部に位置する角部と第2板状部材の下方端部に位置する角部とを結ぶ仮想的な第1直線の長さは、第1板状部材の上方端部に位置する角部と第2板状部材の上方端部に位置する角部とを結ぶ仮想的な第2直線の長さよりも短くてもよい。
【0012】
上記検知センサにおいて、検知センサが天井に設置された場合における第1電波レーダの下方の面と第1板状部材の反射面とによって形成される角度と、検知センサが天井に設置された場合における第2電波レーダの下方の面と第2板状部材の反射面とによって形成される角度とが異なっていてもよい。
【0013】
この検知センサによれば、検知センサが水平でない天井に設置されたとしても、検知範囲を適宜所望の範囲に制限でき、かつ、当該所望の範囲における検知感度の低下を適宜抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、検知範囲を所望の範囲に制限しつつ、当該所望の範囲における検知感度の低下を抑制可能な検知センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1に従う照明システムを模式的に示す図である。
図2】検知センサの電気的構成を模式的に示す図である。
図3】第1電波レーダの電気的構成を模式的に示す図である。
図4】各電波レーダ、各赤外線センサ及び制御部の物理的な接続関係を模式的に示す図である。
図5】検知センサの外観を模式的に示す斜視図である。
図6】検知センサに含まれる主要部分を模式的に示す斜視図である。
図7】検知センサに含まれる主要部分を模式的に示す平面図である。
図8】検知センサに含まれる主要部分を側方から模式的に示す図である。
図9】板状部材を模式的に示す平面図である。
図10】各板状部材の役割を説明するための図である。
図11】各板状部材の各反射面が傾斜している理由を説明するための図である。
図12】鉛直方向に延びる仮想的な直線に対して各板状部材を傾斜させることによる効果を説明するための図である。
図13】検知センサのうちベース側に固定された各部材を側面から模式的に示す部分断面図である。
図14】検知センサのうちカバー側に固定された各部材を側面から模式的に示す部分断面図である。
図15】ベースにカバーを取り付けた状態(検知センサ)を側面から模式的に示す部分断面図である。
図16】照明装置の電気的構成を模式的に示す図である。
図17】制御装置の電気的構成を模式的に示す図である。
図18】検知センサにおいて各電波レーダが送信波を発するタイミングを示す図である。
図19】検知センサにおける各レーダの周波数制御動作の一例を示すフローチャートである。
図20】各電波レーダにおける送信アンテナの利得を個別に調整可能とすることによる効果を説明するための図である。
図21】検知センサにおける赤外線センサ及び電波レーダの各々の役割を説明するための図である。
図22】検知範囲における人の検知手順の一例を示すフローチャートである。
図23】制御装置における動作の概要を説明するための図である。
図24】制御装置における動作の一例を示すフローチャートである。
図25】各照明装置における動作の一例を示すフローチャートである。
図26】実施の形態2に従う照明システムを模式的に示す図である。
図27】各検知範囲の広さを調整する他の例について説明するための図である。
図28】3つの電波レーダが設けられた検知センサの平面を模式的に示す図である。
図29】各板状部材のみが制御部基板に対して傾斜している例を模式的に示す図である。
図30】各レーダ基板のみが制御部基板に対して傾斜している例を模式的に示す図である。
図31】板状部材の他の形態の一例を模式的に示す平面図である。
図32】板状部材の他の層構成の第1の例を模式的に示す図である。
図33】板状部材の他の層構成の第2の例を模式的に示す図である。
図34】板状部材の他の層構成の第3の例を模式的に示す図である。
図35】板状部材を側面から見た場合における他の形状の例を模式的に示す図である。
図36】一部の板状部材180の傾斜角度が他の板状部材の傾斜角度と異なる例を模式的に示す図である。
図37図36のような構成によるメリットを説明するための図である。
図38】検知センサの主要部分の構成の他の例を模式的に示す平面図である。
図39図38のような構成によるメリットを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。
【0017】
[1.実施の形態1]
<1-1.構成>
(1-1-1.照明システムの全体構成)
図1は、本実施の形態1に従う照明システム10を模式的に示す図である。なお、図1においては、天井が透過した状態の室内15が上方から示されている。すなわち、図1においては、天井に取り付けられた検知センサ100側から室内15が示されている。
【0018】
図1に示されるように、照明システム10は、検知センサ100と、複数の照明装置200と、制御装置300とを含んでいる。検知センサ100は、第1電波レーダ110と、第2電波レーダ120と、第3電波レーダ130と、第4電波レーダ140とを含んでおり、所定空間の一例である室内15における人の有無を検知するように構成されている。なお、所定空間は、野外、出入口近傍であってもよい。第1電波レーダ110、第2電波レーダ120、第3電波レーダ130及び第4電波レーダ140の各々は、例えば、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式の電波レーダ又はドップラー方式の電波レーダによって構成される。
【0019】
所定空間である室内15には、検知範囲A1,A2,A3,A4が含まれている。検知範囲A1における人の有無は第1電波レーダ110によって検知され、検知範囲A2における人の有無は第2電波レーダ120によって検知される。検知範囲A3における人の有無は第3電波レーダ130によって検知され、検知範囲A4における人の有無は第4電波レーダ140によって検知される。
【0020】
第1電波レーダ110、第2電波レーダ120、第3電波レーダ130及び第4電波レーダ140の各々による検知結果を示す信号(以下、「検知結果信号」とも称する。)は、検知センサ100から制御装置300へ送信される。検知結果信号は、例えば、(1)検知範囲に人が存在しない、(2)検知範囲に人が進入し人が存在するようになった、(3)検知範囲に人が存在する、及び(4)検知範囲から人が退出し検知範囲に人が存在しなくなった、のいずれかを示す。検知結果信号は、検知センサ100から制御装置300へ直接的に送信されてもよい。また、検知結果信号は、1又は複数の照明装置200を介して間接的に検知センサ100から制御装置300へ送信されてもよい。
【0021】
制御装置300は、受信された検知結果信号に基づいて複数の照明装置200の各々を制御する。例えば、検知範囲A1において人が検知され、かつ、検知範囲A2,A3,A4において人が検知されなかった場合に、制御装置300は、検知範囲A1を照らす複数の照明装置200(以下、「第1照明装置群」とも称する。)の各々を点灯させ、検知範囲A2,A3,A4の各々を照らす複数の照明装置200(以下、それぞれを「第2照明装置群」、「第3照明装置群」及び「第4照明装置群」とも称する。)の各々を消灯させる。すなわち、制御装置300は、そのような制御を実現するための制御信号(以下、「照明制御信号」とも称する。)を各照明装置200へ直接的又は間接的に送信する。
【0022】
第1電波レーダ110、第2電波レーダ120、第3電波レーダ130及び第4電波レーダ140の各々は、各検知範囲における人の有無を検知するために電波を発する。検知センサ100においては、電波レーダ間における電波干渉を抑制しつつ、各検知範囲における検知感度の低下を抑制するための構造的工夫及び制御的工夫が取り入れられている。以下、照明システム10について詳細に説明する。
【0023】
(1-1-2.検知センサの電気的構成)
図2は、検知センサ100の電気的構成を模式的に示す図である。図2に示されるように、検知センサ100は、第1電波レーダ110と、第2電波レーダ120と、第3電波レーダ130と、第4電波レーダ140と、第1赤外線センサ111と、第2赤外線センサ121と、第3赤外線センサ131と、第4赤外線センサ141と、制御部160と、通信部135と、電源部150とを含んでいる。第1赤外線センサ111、第2赤外線センサ121、第3赤外線センサ131及び第4赤外線センサ141の各々は、例えば、照度センサ又は温度センサ等の他の環境測定用センサに置き替えられてもよい。
【0024】
上述のように、検知センサ100において、第1電波レーダ110は検知範囲A1(図1)における人の有無を検知し、第2電波レーダ120は検知範囲A2における人の有無を検知する。また、第3電波レーダ130は検知範囲A3における人の有無を検知し、第4電波レーダ140は検知範囲A4における人の有無を検知する。第1電波レーダ110、第2電波レーダ120、第3電波レーダ130及び第4電波レーダ140の各々は、例えば、FMCW方式のレーダ又はドップラー方式のレーダによって構成される。第1電波レーダ110、第2電波レーダ120、第3電波レーダ130及び第4電波レーダ140は、例えば、互いに同一の構成を有している。
【0025】
図3は、第1電波レーダ110の電気的構成を模式的に示す図である。この例において、第1電波レーダ110は、FMCW方式の電波レーダによって構成されている。図3に示されるように、第1電波レーダ110は、送信アンテナ113と、受信アンテナ114と、通信部116と、制御回路118とを含んでいる。送信アンテナ113は、周波数(送信周波数)が時間の経過に伴って変化する送信波を送信するように構成されている。すなわち、送信アンテナ113は、FMCW方式に従う送信波を送信するように構成されている。受信アンテナ114は、周波数(受信周波数)が時間の経過に伴って変化する受信波を受信するように構成されている。すなわち、受信アンテナ114は、例えば、FMCW方式に従う受信波を受信するように構成されている。
【0026】
なお、第1電波レーダ110がドップラー方式のレーダによって構成される場合には、送信アンテナ113が所定周波数の送信波を送信するように構成されていてもよい。また、受信アンテナ114が反射波を受信するように構成されていてもよい。この場合には、例えば、送信波が検知範囲に存在する人で反射したときに、反射波の周波数が変化する。そして、送信波の周波数と反射波の周波数との差分に基づいて人の有無が検知される。
【0027】
制御回路118は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含んでいる。制御回路118は、情報処理に応じて、第1電波レーダ110内の各構成要素を制御するように構成されている。制御回路118は、例えば、送信周波数と受信周波数とを比較することによって、検知範囲(例えば、検知範囲A1)における人の有無を検知する。なお、制御回路118によって実現される機能は、1つの回路で実現されてもよいし、複数の回路で実現されてもよい。
【0028】
通信部116は、制御部160(図2)と通信するように構成されている。通信部116は、例えば、第1電波レーダ110による検知結果を示す信号を制御部160へ送信する。なお、通信部116と制御部160との間における通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0029】
再び図2を参照して、第1赤外線センサ111、第2赤外線センサ121、第3赤外線センサ131及び第4赤外線センサ141の各々は、周囲の温度変化に基づいて人が検知範囲に進入したことを検知する。詳細については後述するが、第1赤外線センサ111は検知範囲A1への人の進入を検知し、第2赤外線センサ121は検知範囲A2への人の進入を検知する。また、第3赤外線センサ131は検知範囲A3への人の進入を検知し、第4赤外線センサ141は検知範囲A4への人の進入を検知する。
【0030】
制御部160は、例えば、CPU、RAM及びROMを含んでいる。制御部160は、情報処理に応じて、検知センサ100内の各構成要素を制御するように構成されている。制御部160は、第1電波レーダ110による検知結果を示す信号、第2電波レーダ120による検知結果を示す信号、第3電波レーダ130による検知結果を示す信号、及び、第4電波レーダ140による検知結果を示す信号に基づいて検知結果信号を生成する。
【0031】
通信部135は、例えば、複数の照明装置200及び制御装置300の各々と直接的又は間接的に通信するように構成されている。通信部135は、例えば、検知結果信号を複数の照明装置200及び制御装置300の各々へ直接的又は間接的に送信する。通信部135は、例えば、有線通信又は無線通信が可能である。無線通信の一例としては、例えば、920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯を用いた通信が挙げられる。このような通信を実現する通信規格の一例としては、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)及びWi-Fi(登録商標)が挙げられる。
【0032】
電源部150は、商用電源(100V)から供給される交流電力(AC:Alternating Current)を直流電力(DC:Direct Current)に変換し、検知センサ100の各構成要素に直流電力を供給するように構成されている。
【0033】
図4は、各電波レーダ、各赤外線センサ及び制御部160の物理的な接続関係を模式的に示す図である。図4に示されるように、第1電波レーダ110は第1レーダ基板112に実装されており、第2電波レーダ120は第2レーダ基板122に実装されている。また、第3電波レーダ130は第3レーダ基板132に実装されており、第4電波レーダ140は第4レーダ基板142に実装されている。
【0034】
各赤外線センサ及び制御部160の各々は、制御部基板162に実装されている。制御部基板162は、第1レーダ基板112、第2レーダ基板122、第3レーダ基板132及び第4レーダ基板142の各々とケーブル172を介して接続されている。ケーブル172は、例えば、SPI(Serial Peripheral Interface)に準拠した通信が可能である。これにより、制御部160は、各赤外線センサ及び各電波レーダの各々と電気的に接続されている。また、第1レーダ基板112、第2レーダ基板122、第3レーダ基板132、第4レーダ基板142及び制御部基板162は、同一の筐体170に収容されている。検知センサ100に含まれる各基板が1つの筐体170に収容されているため、検知センサ100の実装が容易になっている。
【0035】
(1-1-3.検知センサの機械的構成)
図5は、検知センサ100の外観を模式的に示す斜視図である。図5を参照して、上述のように、検知センサ100は、例えば、部屋の天井に設置される。
【0036】
図6は、検知センサ100に含まれる主要部分を模式的に示す斜視図である。図7は、検知センサ100に含まれる主要部分を模式的に示す平面図である。図6及び図7を参照して、例えば、検知センサ100の面のうち制御部基板162側の面が天井に取り付けられる。制御部基板162においては、制御部基板162の面のうち、検知センサ100が天井に取り付けられた状態で室内15を向く方の面に、各種部品が実装されている。
【0037】
検知センサ100は、制御部基板162と、第1電波レーダ110と、第1レーダ基板112と、第1赤外線センサ111と、第2電波レーダ120と、第2レーダ基板122と、第2赤外線センサ121と、第3電波レーダ130と、第3レーダ基板132と、第3赤外線センサ131と、第4電波レーダ140と、第4レーダ基板142と、第4赤外線センサ141と、スペーサ119,129,139,149と、複数の板状部材180(板状部材180A,180B,180C,180D)とを含んでいる。なお、図6においては、各赤外線センサが省略されている。
【0038】
制御部基板162は、平面視において略正円形状を有する。なお、制御部基板162の平面視における形状はこれに限定されない。例えば、制御部基板162の平面視における形状は矩形であってよい。制御部基板162には、制御部160(図4)、第1赤外線センサ111、第2赤外線センサ121、第3赤外線センサ131及び第4赤外線センサ141の各々が実装されている。第1赤外線センサ111、第2赤外線センサ121、第3赤外線センサ131及び第4赤外線センサ141の各々は、制御部基板162の中心点を中心とする周方向において等角度間隔(90°)を空けて配置されている。
【0039】
第1赤外線センサ111は制御部基板162の中心点から見て第1電波レーダ110の先に位置し、第2赤外線センサ121は制御部基板162の中心点から見て第2電波レーダ120の先に位置している。また、第3赤外線センサ131は制御部基板162の中心点から見て第3電波レーダ130の先に位置し、第4赤外線センサ141は制御部基板162の中心点から見て第4電波レーダ140の先に位置している。
【0040】
第1電波レーダ110は第1レーダ基板112の略中央部分に実装されており、第2電波レーダ120は第2レーダ基板122の略中央部分に実装されている。第3電波レーダ130は第3レーダ基板132の略中央部分に実装されており、第4電波レーダ140は第4レーダ基板142の略中央部分に実装されている。第1レーダ基板112、第2レーダ基板122、第3レーダ基板132及び第4レーダ基板142の各々は、長辺及び短辺を有する矩形形状を有する。本例では、受信アンテナ114と送信アンテナ113を一つのチップの中に実装する例を示しているが、これに限らず、通信部116と制御回路118とをチップ内に実装し、受信アンテナ114と送信アンテナ113とを各レーダ基板上に印刷してもよいし、ワイヤアンテナを別途設けてもよい。
【0041】
第1レーダ基板112はスペーサ119を介して制御部基板162に取り付けられており、第2レーダ基板122はスペーサ129を介して制御部基板162に取り付けられている。また、第3レーダ基板132はスペーサ139を介して制御部基板162に取り付けられており、第4レーダ基板142はスペーサ149を介して制御部基板162に取り付けられている。
【0042】
第1レーダ基板112、第2レーダ基板122、第3レーダ基板132及び第4レーダ基板142の各々は、制御部基板162の中心点を中心とする周方向において等角度間隔(90°)を空けて配置されている。すなわち、平面視において、第1レーダ基板112は制御部基板162の中心点に関して第3レーダ基板132と対称な位置に配置されており、第2レーダ基板122は制御部基板162の中心点に関し第4レーダ基板142と対称な位置に配置されている。
【0043】
平面視において、第1レーダ基板112と重なる位置、第2レーダ基板122と重なる位置、第3レーダ基板132と重なる位置、及び、第4レーダ基板142と重なる位置の各々に板状部材180が設けられている。各板状部材180は、例えば、1枚の板を曲げることによって形成されており、角部BE1を介して形成された板部181及び板部182を含んでいる。
【0044】
具体的には、平面視において、第1レーダ基板112と重なる位置に板状部材180Aが設けられており、第2レーダ基板122と重なる位置に板状部材180Bが設けられている。また、平面視において、第3レーダ基板132と重なる位置に板状部材180Cが設けられており、第4レーダ基板142と重なる位置に板状部材180Dが設けられている。
【0045】
平面視において、第1電波レーダ110は、板状部材180Aにおける板部181の端部S1と板部182の端部S2とを結ぶ仮想的な線、板部181の天井側の辺、及び、板部182の天井側の辺によって囲まれる領域AR1と重なっている。なお、板部181の端部S1は板部181の天井側の辺における角部BE1と反対側の端部であり、板部182の端部S2は板部182の天井側の辺における角部BE1と反対側の端部である。
【0046】
また、平面視において、第1電波レーダ110は、板状部材180Aにおける板部181の端部S3と板部182の端部S4とを結ぶ仮想的な線、板部181の室内15側の辺、及び、板部182の室内15側の辺によって囲まれる領域AR2と重なっている。なお、板部181の端部S3は板部181の室内15側の辺における角部BE1と反対側の端部であり、板部182の端部S4は板部182の室内15側の辺における角部BE1と反対側の端部である。したがって、検知センサ100によれば、第1電波レーダ110によって発された電波の一部が板部181、182によって遮られるため、第1電波レーダ110による検知範囲を所望の範囲に制限することができる。
【0047】
また、平面視において、第2電波レーダ120は、板状部材180Bにおける板部181の端部S1と板部182の端部S2とを結ぶ仮想的な線、板部181の天井側の辺、及び、板部182の天井側の辺によって囲まれる領域AR1と重なっている。また、平面視において、第2電波レーダ120は、板状部材180Bにおける板部181の端部S3と板部182の端部S4とを結ぶ仮想的な線、板部181の室内15側の辺、及び、板部182の室内15側の辺によって囲まれる領域AR2と重なっている。したがって、検知センサ100よれば、第2電波レーダ120によって発された電波の一部が板部181、182によって遮られるため、第2電波レーダ120による検知範囲を所望の範囲に制限することができる。
【0048】
また、平面視において、第3電波レーダ130は、板状部材180Cにおける板部181の端部S1と板部182の端部S2とを結ぶ仮想的な線、板部181の天井側の辺、及び、板部182の天井側の辺によって囲まれる領域AR1と重なっている。また、平面視において、第3電波レーダ130は、板状部材180Cにおける板部181の端部S3と板部182の端部S4とを結ぶ仮想的な線、板部181の室内15側の辺、及び、板部182の室内15側の辺によって囲まれる領域AR2と重なっている。したがって、検知センサ100によれば、第3電波レーダ130によって発された電波の一部が板部181、182によって遮られるため、第3電波レーダ130による検知範囲を所望の範囲に制限することができる。
【0049】
また、平面視において、第4電波レーダ140は、板状部材180Dにおける板部181の端部S1と板部182の端部S2とを結ぶ仮想的な線、板部181の天井側の辺、及び、板部182の天井側の辺によって囲まれる領域AR1と重なっている。また、平面視において、第4電波レーダ140は、板状部材180Dにおける板部181の端部S3と板部182の端部S4とを結ぶ仮想的な線、板部181の室内15側の辺、及び、板部182の室内15側の辺によって囲まれる領域AR2と重なっている。したがって、検知センサ100によれば、第4電波レーダ140によって発された電波の一部が板部181、182によって遮られるため、第4電波レーダ140による検知範囲を所望の範囲に制限することができる。
【0050】
平面視において、第1電波レーダ110、第2電波レーダ120、第3電波レーダ130及び第4電波レーダ140の各々よりも各板状部材180の角部BE1の方が制御部基板162の中心点の近くに位置している。板状部材180Aの角部BE1、板状部材180Cの角部BE1、及び、制御部基板162の中心点は、一直線上に位置している。板状部材180Bの角部BE1、板状部材180Dの角部BE1、及び、制御部基板162の中心点は、一直線上に位置している。
【0051】
図8は、検知センサ100に含まれる主要部分を側方から模式的に示す図である。図8に示される例において、検知センサ100は、水平な天井に設置されている。
【0052】
図8に示されるように、第1レーダ基板112及び第4レーダ基板142の各々は、制御部基板162に対して傾斜している。例えば、この傾斜角度は、1°以上、89°以下であり、5°以上、30°以下であることが好ましく、10°以上、20°以下であることがより好ましい。図8においては省略されているが、スペーサ119,149の上面が制御部基板162に対して傾斜しているため、第1レーダ基板112及び第4レーダ基板142の各々は、制御部基板162に対して傾斜している。図8においては示されていないが、第2レーダ基板122及び第3レーダ基板132も、制御部基板162に対して傾斜している。
【0053】
第1レーダ基板112及び第4レーダ基板142が制御部基板162に対して傾斜しているため、第1レーダ基板112及び第4レーダ基板142に実装されている第1電波レーダ110及び第4電波レーダ140もそれぞれ制御部基板162に対して傾斜している。
【0054】
各レーダ基板は、制御部基板162の中心点に近づくほど天井から離れるように制御部基板162に対して傾斜している。すなわち、各電波レーダは、制御部基板162の中心点に近づくほど天井から離れるように制御部基板162に対して傾斜している。
【0055】
また、各板状部材180は、制御部基板162の法線に対して傾斜している。例えば、この傾斜角度は、1°以上、89°以下であり、5°以上、30°以下であることが好ましく、10°以上、20°以下であることがより好ましい。
【0056】
各板状部材180は、2つの反射面188を有している。各反射面188は、電波を反射するように構成されている。各反射面188は、検知センサ100から鉛直方向に延びる仮想的な直線に対して傾斜している。例えば、板状部材180Aの反射面188と板状部材180Dの反射面188とは、互いに平行ではない。
【0057】
例えば、検知センサ100が水平な天井に設置された場合における板状部材180A,180Dの各々の反射面188の下端同士の距離(長さLe1)が、板状部材180A,180Dの各々の反射面188の上端同士の距離(長さLe2)よりも短くなるように、板状部材180A,180Dの各々の反射面188が傾いている。このような関係は、検知センサ100において、隣接する板状部材180間において成立している。
【0058】
また、例えば、検知センサ100が水平な天井に設置された場合に、板状部材180Aの角部BE1の最も下方の端部と板状部材180Dの角部BE1の最も下方の端部とを結ぶ仮想的な直線の長さ(長さLe1)は、板状部材180Aの角部BE1の最も上方の端部と板状部材180Dの角部BE1の最も上方の端部とを結ぶ仮想的な直線の長さ(長さLe2)よりも短い。
【0059】
図9は、板状部材180を模式的に示す平面図である。図9に示されるように、板状部材180は、角部BE1において略90°に折り曲がっており、平面視に置いて略L字形状を有している。板状部材180は、厚み方向において層183,184を含んでいる。層183は、例えば、金属板(アルミニウム等)によって構成されている。層184は、例えば、電波吸収材によって構成されている。電波吸収材の一例としては、フェライト又はカーボニル鉄等の強磁性体粉末を含むエポキシ樹脂、ゴム及びシリコンが挙げられる。板状部材180は、一方の面に電波吸収材が貼り付けられた金属板を折り曲げることによって製造されてもよいし、金属板を折り曲げた後に板部181,182の各々に電波吸収材を貼り付けることによって製造されてもよい。また、塗布により板部181,182の各々に電波吸収材を成膜してもよい。
【0060】
図10は、各板状部材180の役割を説明するための図である。図10を参照して、各板状部材180には、電波レーダによって発された電波が入射する。各板状部材180は、層184における反射波の位相と層183における反射波の位相とが略180°異なる状態となり、層184における反射波の振幅と層183における反射波の振幅とが略同一となるように構成されている。したがって、層184における反射波と層183における反射波とが互いに打ち消し合う。結果的に、板状部材180において電波が吸収される。
【0061】
上述のように、本実施の形態1に従う検知センサ100においては、検知センサ100から鉛直方向に延びる仮想的な直線に対して、各板状部材180の各反射面188が傾斜している。以下、このような構成が採用されている理由について説明する。
【0062】
図11は、各板状部材180の各反射面188が傾斜している理由を説明するための図である。図11を参照して、この仮の例においては、各板状部材180の各反射面188が、鉛直方向に延びる仮想的な直線に対して傾斜していない。各反射面188へ入射する電波の入射角(θ1)が大きくなると、反射面188において電波の乱反射が生じやすくなり、結果的に各電波レーダの検知感度が低下することを本発明者(ら)は見出した。例えば、反射面188への電波の入射角(θ1)が60°以上となると、板状部材180において電波が十分に吸収されず、反射面188における乱反射の影響が大きくなる。
【0063】
各板状部材180の各反射面188が鉛直方向に延びる仮想的な直線に対して傾斜していない場合においては、検知センサ100の真下付近の広い範囲において、反射面188への電波の入射角が60°以上となる。特に天井が高い場合に、反射面188への電波の入射角が60°以上となる領域が広くなる。例えば、天井の高さが高さH2である場合に反射面188への電波の入射角が60°以上となる部分の広さ(Le4)は、天井の高さが高さH1である場合に反射面188への電波の入射角が60°以上となる部分の広さ(Le3)よりも広い。
【0064】
このように、各板状部材180の各反射面188が鉛直方向に延びる仮想的な直線に対して傾斜していない場合には、検知センサ100の真下付近の広い範囲において、各電波レーダの検知感度が低下する。
【0065】
図12は、鉛直方向に延びる仮想的な直線に対して各板状部材180を傾斜させることによる効果を説明するための図である。図12を参照して、板状部材180A,180Dの各々の反射面188は、鉛直方向に延びる仮想的な直線に対して傾斜している。したがって、反射面188へ入射する電波の入射角(θ2)は、鉛直方向に延びる仮想的な直線に対して各反射面188が傾斜していない場合の電波の入射角(θ3)と比較して小さくなる。その結果、本実施の形態1に従う検知センサ100によれば、各板状部材180の反射面188における乱反射が抑制されるため、各板状部材180によって検知範囲を所望の範囲に制限しつつ、当該所望の範囲における検知感度の低下を抑制することができる。
【0066】
また、例えば、反射面188への電波の入射角が30°未満となると、板状部材180において電波がほとんど反射せず各電波レーダにおいて反射波が十分に受信されないため、結果的に各電波レーダの検知感度が低下することを本発明者(ら)は見出した。したがって、例えば、検知センサ100の真下付近の検知対象からの反射波の入射角が30°以上、60°未満となるように、各板状部材180の傾きが設定されることが好ましい。次に、検知センサ100の組立て手順の一例について説明する。
【0067】
図13は、検知センサ100のうちベース102側に固定された各部材を側面から模式的に示す部分断面図である。図13に示されるように、制御部基板162は、ベース102に固定されている。制御部基板162には、スペーサ119,129等を介して各レーダ基板(第1レーダ基板112、第2レーダ基板122等)が固定されている。まず、図13に示される部材が準備される。
【0068】
図14は、検知センサ100のうちカバー104側に固定された各部材を側面から模式的に示す部分断面図である。図14に示されるように、カバー104には、複数の板状部材180が固定されている。各板状部材180は、例えば、両面テープを介してカバー104に固定されている。次に、図14に示される部材が準備される。ベース102にカバー104が取り付けられる。なお、各板状部材180は、図13に示される段階で、各レーダ基板に固定されていてもよい。
【0069】
図15は、ベース102にカバー104を取り付けた状態(検知センサ100)を側面から模式的に示す部分断面図である。図15に示されるように、検知センサ100においては、ベース102側からカバー104側に向かって、制御部基板162、複数のスペーサ(スペーサ119,129等)、複数のレーダ基板(第1レーダ基板112、第2レーダ基板122等)及び複数の板状部材180がこの順に並んでいる。
【0070】
(1-1-4.照明装置の電気的構成)
図16は、照明装置200の電気的構成を模式的に示す図である。図16に示されるように、照明装置200は、通信部210と、光源部220と、電源部230と、制御部240とを含んでいる。
【0071】
通信部210は、例えば、検知センサ100、他の照明装置200及び制御装置300の各々と直接的又は間接的に通信するように構成されている。通信部210は、例えば、検知結果信号の送受信、及び、照明制御信号の送受信を行なう。通信部210は、例えば、有線通信又は無線通信が可能である。無線通信の一例としては、例えば、920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯を用いた通信が挙げられる。このような通信を実現する通信規格の一例としては、BLEを含むBluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)及びWi-Fi(登録商標)等が挙げられる。
【0072】
光源部220は、電源部230から電力供給を受けることによって発光するように構成されている。光源部220は、例えば、LED(Light Emitting Diode)によって構成される。電源部230は、商用電源(100V)から供給される交流電力(AC)を直流電力(DC)に変換し、照明装置200の各構成要素に直流電力を供給するように構成されている。
【0073】
制御部240は、例えば、CPU、RAM及びROMを含んでいる。制御部240は、情報処理に応じて、照明装置200内の各構成要素を制御するように構成されている。制御部240は、例えば、照明制御信号を受信した場合に、照明制御信号に従って光源部220を制御する。また、制御部240は、例えば、検知結果信号を受信した場合に、他の照明装置200又は制御装置300へ検知結果信号を送信するように通信部210を制御する。
【0074】
(1-1-5.制御装置の電気的構成)
図17は、制御装置300の電気的構成を模式的に示す図である。図17に示されるように、制御装置300は、表示部310と、通信部320と、電源部330と、記憶部340と、制御部350とを含んでいる。
【0075】
表示部310は、画像を表示するように構成されている。表示部310は、例えば、検知結果信号が示す情報(例えば、室内15における人の有無を示す情報)を表示する。表示部310は、例えば、液晶モニタ又は有機EL(Electro Luminescence)モニタ等のモニタで構成される。
【0076】
通信部320は、例えば、検知センサ100及び複数の照明装置200の各々と直接的又は間接的に通信するように構成されている。通信部320は、例えば、検知結果信号の受信及び照明制御信号の送信を行なう。通信部320は、例えば、有線通信又は無線通信が可能である。無線通信の一例としては、例えば、920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯を用いた通信が挙げられる。このような通信を実現する通信規格の一例としては、BLEを含むBluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)及びWi-Fi(登録商標)等が挙げられる。
【0077】
電源部330は、商用電源(100V)から供給される交流電力(AC)を直流電力(DC)に変換し、制御装置300の各構成要素に直流電力を供給するように構成されている。記憶部340は、各種データを記憶するように構成されている。記憶部340は、例えば、検知センサ100から受信された検知結果信号の内容を継続的に記憶する。記憶部340は、例えば、ROM、RAM、EEPROM、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブの少なくとも一部によって構成される。
【0078】
制御部350は、例えば、CPU、RAM及びROMを含んでいる。制御部350は、情報処理に応じて、制御装置300内の各構成要素を制御するように構成されている。制御部350は、例えば、受信された検知結果信号に基づいて照明制御信号を生成する。例えば、検知範囲A1において人が検知され、かつ、検知範囲A2,A3,A4の各々において人が検知されなかった場合に、制御部350は、第1照明装置群に含まれる各照明装置200を点灯させ、第2照明装置群,第3照明装置群及び第4照明装置群の各々に含まれる各照明装置200を消灯させる照明制御信号を生成する。
【0079】
<1-2.動作>
(1-2-1.検知センサの動作)
検知センサ100において、仮に第1電波レーダ110、第2電波レーダ120、第3電波レーダ130及び第4電波レーダ140の各々が互いに同じタイミングで電波を発すると、電波干渉が生じる可能性が高まる。検知センサ100においては、電波干渉を抑制するために、第1電波レーダ110、第2電波レーダ120、第3電波レーダ130及び第4電波レーダ140の各々が電波を発するタイミングが互いに異なる。以下、詳細に説明する。
【0080】
図18は、検知センサ100において各電波レーダが送信波を発するタイミングを示す図である。図18を参照して、横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示す。波形W1は第1電波レーダ110によって発される送信波に対応し、波形W2は第2電波レーダ120によって発される送信波に対応する。また、波形W3は第3電波レーダ130によって発される送信波に対応し、波形W4は第4電波レーダ140によって発される送信波に対応する。
【0081】
例えば、時刻t1-t2においては、第1電波レーダ110の送信波における周波数の掃引が行なわれる。時刻t2-t3においては、いずれの電波レーダにおいても送信波における周波数の掃引が行なわれない。この期間は休止時間である。休止時間は、例えば、掃引時間(例えば、時刻t1-t2)に送信された送信波に対応する受信波の受信が完了する程度の時間である。休止時間は、例えば、所定時間(例えば、1-10ms)に乱数で決定された時間(例えば、1-10ms)を加算することによって決定されてもよい。時刻t3においては、第2電波レーダ120の送信波における周波数の掃引が開始される。
【0082】
検知センサ100においては、第1電波レーダ110、第2電波レーダ120、第3電波レーダ130及び第4電波レーダ140がこの順で送信波における周波数の掃引を行なう。各掃引の間には休止時間が挟まれる。第4電波レーダ140の送信波における周波数の掃引後の休止時間が経過すると、第1電波レーダ110の送信波における周波数の掃引が開始される。なお、第4電波レーダ140の送信波における周波数の掃引後に第1電波レーダ110の送信波における周波数の掃引が開始されるタイミングは、例えば、第1電波レーダ110における送信波の送信時間間隔に基づいて決定されてもよい。この送信時間間隔の決定には、例えば、乱数が用いられてもよい。
【0083】
このように、検知センサ100によれば、第1電波レーダ110、第2電波レーダ120、第3電波レーダ130及び第4電波レーダ140が順に作動するため、第1電波レーダ110、第2電波レーダ120、第3電波レーダ130及び第4電波レーダ140間の電波干渉を抑制することができる。また、検知センサ100によれば、各電波レーダの送信波における周波数の掃引開始タイミング間に休止時間が挟まれるため、例えば、第1電波レーダ110によって受信される反射波と第2電波レーダ120によって送信される送信波との間の電波干渉を抑制することができる。
【0084】
図19は、検知センサ100における各レーダの周波数制御動作の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、検知センサ100の制御部160によって繰り返し実行される。
【0085】
図19を参照して、制御部160は、送信波における周波数の掃引を開始するように所定順序に従う電波レーダ(例えば、1番目であれば第1電波レーダ110)を制御する(ステップS100)。制御部160は、掃引時間が経過したか否かを判定する(ステップS110)。掃引時間が経過していないと判定されると(ステップS110においてNO)、制御部160は、送信波における周波数の掃引を継続するように所定順序に従う電波レーダを制御する。
【0086】
一方、掃引時間が経過したと判定されると(ステップS110においてYES)、制御部160は、送信波における周波数の掃引を停止するように所定順序に従う電波レーダを制御する(ステップS120)。制御部160は、例えば、乱数を用いることによって休止時間を算出する(ステップS130)。制御部160は、休止時間が経過したか否かを判定する(ステップS140)。休止時間が経過していないと判定されると(ステップS140においてNO)、制御部160は、休止時間が経過するまで待機する。一方、休止時間が経過したと判定されると(ステップS140においてYES)、制御部160は、再びステップS100の処理を実行する。すなわち、制御部160は、送信波における周波数の掃引を開始するように所定順序に従う電波レーダ(例えば、2番目であれば第2電波レーダ120)を制御する。
【0087】
図19のフローチャートに示される処理と並行して、制御部160は、送信波の周波数及び受信波の周波数に基づいて各検知範囲における人の有無を判定する。制御部160は、判定結果に基づいて検知結果信号を生成し、生成された検知結果信号を直接的又は間接的に制御装置300へ送信するよう通信部135を制御する。
【0088】
また、検知センサ100においては、第1電波レーダ110、第2電波レーダ120、第3電波レーダ130及び第4電波レーダ140の各々における送信アンテナ113の利得が個別に調整可能である。
【0089】
図20は、各電波レーダにおける送信アンテナ113の利得を個別に調整可能とすることによる効果を説明するための図である。図20に示されるように、第1電波レーダ110、第2電波レーダ120、第3電波レーダ130及び第4電波レーダ140の各々において送信アンテナ113における利得を個別に調整することによって、送信波の届く範囲を個別に調整することができる。その結果、検知センサ100によれば、例えば、各電波レーダによる検知範囲の広さを個別に調整することができる。
【0090】
また、検知センサ100においては、室内15における人の検知に赤外線センサ及び電波レーダの両方が用いられている。検知センサ100において、赤外線センサ及び電波レーダの各々は異なる役割を有する。
【0091】
図21は、検知センサ100における赤外線センサ及び電波レーダの各々の役割を説明するための図である。図21に含まれる左側の図を参照して、例えば、第1赤外線センサ111は、検知範囲A1への人の進入を検知する。第1赤外線センサ111は、検知範囲A1における温度変化に基づいた検知を行なうため、検知範囲A1への人の進入を容易に検知することができる。次に図21に含まれる中央の図を参照して、例えば、第1電波レーダ110は、検知範囲A1において継続的に存在する人を検知する。例えば、検知範囲A1に人が継続的に存在する場合には検知範囲A1における温度変化が小さいため、検知範囲A1に継続的に存在する人の検知に第1赤外線センサ111は適さない。次に図21に含まれる右側の図を参照して、例えば、第1電波レーダ110は、検知範囲A1に人が存在しなくなったことを検知する。検知センサ100においては、例えば、赤外線センサ及び電波レーダの各々がこのような役割を有している。
【0092】
図22は、検知範囲A1における人の検知手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、例えば、検知センサ100の制御部160によって繰り返し実行される。ここでは、室内15のうち検知範囲A1における人の検知手順について説明するが、検知範囲A2,A3,A4の各々においても同様の手順で人の検知が行なわれる。
【0093】
図22を参照して、制御部160は、第1赤外線センサ111が人を検知したか否かを判定する(ステップS200)。第1赤外線センサ111によって人が検知されていないと判定されると(ステップS200においてNO)、制御部160は、第1赤外線センサ111によって人が検知されるまで待機する。
【0094】
一方、第1赤外線センサ111によって人が検知されたと判定されると(ステップS200においてYES)、制御部160は、検知範囲A1において人が検知された旨を示す検知結果信号を制御装置300へ直接的又は間接的に送信するように通信部135を制御する(ステップS210)。
【0095】
制御部160は、タイマ機能を有し、第1赤外線センサ111によって人が検知された場合に対象の照明装置200(例えば、第1照明装置群)を継続的に点灯させる時間を示す所定時間情報を記憶している。制御部160は、タイマを用いた所定時間のカウントダウンを開始する(ステップS220)。
【0096】
制御部160は、第1電波レーダ110が人を検知したか否かを判定する(ステップS230)。第1電波レーダ110によって人が検知されたと判定されると(ステップS230においてYES)、制御部160は、タイマのリセットを行なう(ステップS240)。
【0097】
一方、第1電波レーダ110によって人が検知されていないと判定されると(ステップS230においてNO)、制御部160は、カウントダウンの開始時から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS250)。所定時間が経過していないと判定されると(ステップS250においてNO)、処理は再びステップS230へ移行する。
【0098】
一方、所定時間が経過したと判定されると(ステップS250においてYES)、制御部160は、検知範囲A1において人が検知されていない旨を示す検知結果信号を制御装置300へ直接的又は間接的に送信するように通信部135を制御する(ステップS260)。このように、検知センサ100によれば、各検知範囲において、赤外線センサが初期検知を行ない、電波レーダがその後の検知を行なうといった制御を行なうことができる。
【0099】
(1-2-2.制御装置の動作)
図23は、制御装置300における動作の概要を説明するための図である。図23に示されるように、検知センサ100によって送信された検知結果信号は、例えば、複数の照明装置200を経て制御装置300によって受信される。制御装置300は、受信された検知結果信号に基づいて照明制御信号を生成し、照明制御信号を直接的又は間接的に複数の照明装置200の各々へ送信する。
【0100】
例えば、検知範囲A1(図1)において人が検知され、かつ、検知範囲A2,A3,A4の各々において人が検知されなかった場合に、制御装置300は、第1照明装置群に含まれる各照明装置200を点灯させ、第2照明装置群、第3照明装置群及び第4照明装置群の各々に含まれる各照明装置200を消灯させる照明制御信号を各照明装置200へ送信してもよい。また、例えば、検知範囲A1において人が検知され、かつ、検知範囲A2,A3,A4において人が検知されなかった場合に、制御装置300は、第1照明装置群に含まれる各照明装置200の照度を、第2照明装置群、第3照明装置群及び第4照明装置群の各々に含まれる各照明装置200の照度よりも高くする照明制御信号を各照明装置200へ送信してもよい。
【0101】
図24は、制御装置300における動作の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、制御装置300の制御部350によって繰り返し実行される。
【0102】
図24を参照して、制御部350は、通信部320を介して検知結果信号を受信したか否かを判定する(ステップS300)。検知結果信号を受信していないと判定されると(ステップS300においてNO)、制御部350は、検知結果信号を受信するまで待機する。
【0103】
一方、検知結果信号を受信したと判定されると(ステップS300においてYES)、制御部350は、受信された検知結果信号に基づいて照明制御信号を生成し、照明制御信号を直接的又は間接的に各照明装置200へ送信するように通信部320を制御する(ステップS310)。
【0104】
(1-2-3.照明装置の動作)
図25は、各照明装置200における動作の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、照明装置200の制御部240によって繰り返し実行される。
【0105】
図25を参照して、制御部240は、通信部210を介して照明制御信号を受信したか否かを判定する(ステップS400)。照明制御信号を受信していないと判定されると(ステップS400においてNO)、制御部240は、照明制御信号を受信するまで待機する。
【0106】
一方、照明制御信号を受信したと判定されると(ステップS400においてYES)、制御部240は、受信された照明制御信号に基づいて光源部220を制御すると共に、他の照明装置200へ照明制御信号を送信するように通信部210を制御する(ステップS410)。このように、照明システム10によれば、例えば、検知範囲A1,A2,A3,A4の各々における人の有無の検知結果に従って各照明装置200の点灯制御が行なわれるため、電力の浪費を抑制することができる。
【0107】
<1-3.特徴>
以上のように、本実施の形態1に従う検知センサ100においては、検知センサ100から下方に延びる仮想的な直線に対して各板状部材180の各反射面188が傾斜している。したがって、検知センサ100から鉛直方向に延びる仮想的な直線に対して各板状部材180の各反射面188が傾斜していない場合と比較して、検知センサ100の真下付近に存在する検知対象において反射した電波の反射面への入射角が小さくなる。その結果、検知センサ100によれば、各板状部材180の各反射面188における乱反射が抑制されるため、各板状部材180によって検知範囲を所望の範囲に制限しつつ、当該所望の範囲における検知感度の低下を抑制することができる。
【0108】
[2.実施の形態2]
上記実施の形態1においては、室内15に検知センサ100が1台設置された。しかしながら、室内15に設置される検知センサ100の数は1台に限定されない。本実施の形態2においては、室内15Aに複数台(2台)の検知センサ100が設置されている。以下では、上記実施の形態1と異なる点を中心に説明する。なお、検知センサ100X,100Yの各々の構成は、上記実施の形態1における検知センサ100と同様である。
【0109】
<2-1.照明システムの全体構成>
図26は、本実施の形態2に従う照明システム10Aを模式的に示す図である。なお、図26においては、天井が透過した状態の室内15Aが上方から示されている。
【0110】
図26に示されるように、照明システム10Aは、検知センサ100X,100Yと、複数の照明装置200と、制御装置300Aとを含んでいる。室内15Aには、検知範囲A5-A12が含まれている。
【0111】
検知範囲A5における人の有無は検知センサ100Xの第1電波レーダ110によって検知され、検知範囲A6における人の有無は検知センサ100Xの第2電波レーダ120によって検知される。検知範囲A7における人の有無は検知センサ100Xの第3電波レーダ130によって検知され、検知範囲A8における人の有無は検知センサ100Xの第4電波レーダ140によって検知される。
【0112】
検知範囲A9における人の有無は検知センサ100Yの第1電波レーダ110によって検知され、検知範囲A10における人の有無は検知センサ100Yの第2電波レーダ120によって検知される。検知範囲A11における人の有無は検知センサ100Yの第3電波レーダ130によって検知され、検知範囲A12における人の有無は検知センサ100Yの第4電波レーダ140によって検知される。
【0113】
検知センサ100X,100Yの各々によって生成された検知結果信号は、直接的又は間接的に制御装置300Aへ送信される。制御装置300Aは、受信された検知結果信号に基づいて複数の照明装置200の各々を制御する。なお、制御装置300Aは、例えば、上記実施の形態1の制御装置300における制御部350を制御部350A(不図示)に置き換えた構成を有する。
【0114】
仮に検知センサ100Xの第2電波レーダ120と検知センサ100Yの第1電波レーダ110とが同じタイミングで電波を発すると、検知範囲A6,A9が互いに隣接しているため、電波干渉が生じる可能性が高い。しかしながら、上述のように、各電波レーダにおいて送信波が発されるタイミングの決定には乱数が用いられている。したがって、照明システム10Aによれば、隣接する検知範囲における人の有無を検知する各電波レーダが同タイミングで電波を発する可能性が必ずしも高くないため、各電波レーダ間において電波干渉が発生する可能性を低減することができる。
【0115】
<2-2.特徴>
以上のように、本実施の形態2に従う照明システム10Aによれば、隣接する検知範囲における人の有無を検知する各電波レーダが同タイミングで電波を発する可能性が必ずしも高くないため、各電波レーダ間において電波干渉が発生する可能性を低減することができる。
【0116】
[3.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0117】
<3-1>
上記実施の形態2において、照明システム10Aは、2つの検知センサ100(100X,100Y)を含んでいた。しかしながら、照明システム10Aに含まれる検知センサ100の数は2つに限定されない。照明システム10Aには、3つ以上の検知センサ100が含まれてもよい。検知センサ100の数を増やすことによって、より広範囲における人の有無を検知することができる。
【0118】
<3-2>
また、上記実施の形態1,2において、制御装置300,300Aによって行なわれた処理の一部が外部のサーバ(クラウドサーバを含む。)によって実行されてもよい。例えば、制御装置300によって受信された検知結果信号が外部のサーバに送信され、サーバにおいて照明制御信号が生成されてもよい。また、サーバにアクセスすることによって、例えば、ユーザのスマートフォンの画面に、各部屋における人の有無の情報が表示されてもよい。また、そのような情報がデジタルサイネージに表示されてもよい。
【0119】
<3-3>
また、上記実施の形態1,2においては、各電波レーダに含まれる送信アンテナ113の利得を調整することによって各検知範囲の広さが調整された。しかしながら、各検知範囲の広さを調整する手段はこれに限定されない。
【0120】
図27は、各検知範囲の広さを調整する他の例について説明するための図である。図27を参照して、例えば、検知センサ100Aに含まれる第1電波レーダ110A(不図示)には2つの受信アンテナ114が含まれている。検知センサ100Aにおいては、2つの受信アンテナ114の各々における受信結果の差に基づいて人が存在する位置を示す角度(例えば、角度An1)が算出される。検知センサ100Aにおいては、例えば、所定角度情報(例えば、角度An1)が予め記憶されている。例えば、所定角度An1より小さい角度位置において人が検知された場合には人が検知された旨を示す検知結果信号が生成され、所定角度An1以上の角度位置において人が検知された場合には人が検知されていない旨を示す検知結果信号が生成される。なお、所定角度情報は、調整可能であってもよい。このような手段によって、各検知範囲の広さが調整されてもよい。
【0121】
<3-4>
また、上記実施の形態1,2においては、第1赤外線センサ111、第2赤外線センサ121、第3赤外線センサ131及び第4赤外線センサ141が検知センサ100に設けられた。しかしながら、第1赤外線センサ111、第2赤外線センサ121、第3赤外線センサ131及び第4赤外線センサ141は、必ずしも検知センサ100に設けられなくてもよい。各検知範囲への人の進入も各電波レーダによって検知されてもよい。
【0122】
<3-5>
また、上記実施の形態1,2において、検知センサ100,100X,100Yの各々は、4つの電波レーダを含んでいた。しかしながら、電波レーダの数はこれに限定されない。例えば、各検知センサ100は、3つ以下の電波レーダを含んでいてもよく、5つ以上の電波レーダを含んでいてもよい。
【0123】
<3-6>
図28は、3つの電波レーダが設けられた検知センサ100Cの平面を模式的に示す図である。図28を参照して、例えば、3つの電波レーダが設けられた場合には、板状部材180の屈曲角度が120°であってもよい。これにより、例えば、実施の形態1における室内15を3つの検知範囲に区分けすることができる。
【0124】
<3-7>
また、上記実施の形態1,2においては、各レーダ基板及び各板状部材180の各々が制御部基板162に対して傾斜していた。しかしながら、各レーダ基板及び各板状部材180が必ずしも制御部基板162に対して傾斜していなくてもよい。
【0125】
図29は、各板状部材180のみが制御部基板162に対して傾斜している例を模式的に示す図である。図29に示されるように、各板状部材180のみが制御部基板162に対して傾斜しており、各レーダ基板が制御部基板162に対して傾斜していなくてもよい。
【0126】
図30は、各レーダ基板のみが制御部基板162に対して傾斜している例を模式的に示す図である。図30に示されるように、各レーダ基板のみが制御部基板162に対して傾斜しており、各板状部材180が制御部基板162に対して傾斜していなくてもよい。
【0127】
<3-8>
また、上記実施の形態1,2において、各板状部材180は、角部BE1を有していた。しかしながら、各板状部材180は、必ずしも角部BE1を有していなくてもよい。
【0128】
図31は、板状部材180の他の形態の一例を模式的に示す平面図である。図31に示されるように、この板状部材180においては、角部BE1が形成されておらず、円弧が形成されている。各板状部材180は、このような形状であってもよい。
【0129】
<3-9>
また、上記実施の形態1,2において、各板状部材180は、層183,184を有していた。しかしながら、各板状部材180の層構成はこれに限定されない。
【0130】
図32は、板状部材180の他の層構成の第1の例を模式的に示す図である。図32に示されるように、この板状部材180は、層185A,185B,185C,185Dを含んでいる。層185Aは、例えば、電波吸収材で構成されている。層185B,185Dは、例えば、金属膜であり、金属を層185Cに塗布等することによって形成されている。層185Cは、例えば、プラスチック板によって構成されている。板状部材180は、例えば、このような層構成を有していてもよい。
【0131】
図33は、板状部材180の他の層構成の第2の例を模式的に示す図である。図33に示されるように、この板状部材180は、層186A,186B,186Cを含んでいる。層186Bは、例えば、金属板で構成されている。層186A,186Cは、例えば、電波吸収材料の膜であり、電波吸収材料を層185Bに塗布等することによって形成されている。板状部材180は、例えば、このような層構成を有していてもよい。
【0132】
図34は、板状部材180の他の層構成の第3の例を模式的に示す図である。図34に示されるように、この板状部材180は、層187A,187B,187C,187D,187Eを含んでいる。層187Cは、例えば、プラスチック板によって構成されている。層187B,187Dは、例えば、金属膜であり、金属を層187Cに塗布等することによって形成されている。層187A,187Eは、例えば、電波吸収材料の膜であり、電波吸収材料を層187B,187Dにそれぞれ塗布等することによって形成されている。
【0133】
<3-10>
図35は、板状部材180を側面から見た場合における他の形状の例を模式的に示す図である。図35に示されるように、板状部材180は、側面から見た場合に曲面を有する形状を有していてもよい。
【0134】
<3-11>
上記実施の形態1,2においては、各レーダ基板及び各板状部材180が制御部基板162に対して等しく傾斜していた。しかしながら、各レーダ基板及び各板状部材180の制御部基板162に対する傾斜角度は必ずしも等しくなくてもよい。例えば、一部のレーダ基板の傾斜角度が他のレーダ基板の傾斜角度と異なっていてもよいし、一部の板状部材180の傾斜角度が他の板状部材180の傾斜角度と異なっていてもよい。すなわち、検知センサ100が水平な天井に設置された場合におけるいずれかの電波レーダ(例えば、第1電波レーダ110)の下方の面と当該電波レーダに対応する板状部材180(例えば、板状部材180A)の反射面188とによって形成される角度と、他の電波レーダ(例えば、第2電波レーダ120)の下方の面と当該他の電波レーダに対応する板状部材180(例えば、板状部材180B)の反射面188とによって形成される角度とは異なっていてもよい。これにより、各電波レーダの検知範囲を個別に調整することができる。
【0135】
図36は、一部の板状部材180(板状部材180A)の傾斜角度が他の板状部材180(板状部材180D)の傾斜角度と異なる例を模式的に示す図である。図36に示されるように、この例においては、板状部材180Dが第4電波レーダ140の下方の面の法線と平行であり、板状部材180Aが第1電波レーダ110の下方の面の法線に対して傾斜している。検知センサ100に含まれる主要部分の構成はこのような構成であってもよい。
【0136】
図37は、図36のような構成によるメリットを説明するための図である。図37に示されるように、検知センサ100が傾斜した天井に設置されたとしても、例えば、図36に示されるような構成を採用することによって、各電波レーダによる検知範囲を所望の通りに分割することができる。すなわち、この検知センサ100によれば、検知センサ100が水平でない天井に設置されたとしても、検知範囲を適宜所望の範囲に制限でき、かつ、当該所望の範囲における検知感度の低下を適宜抑制することができる。
【0137】
<3-12>
検知センサ100において、各板状部材180が配置される位置は、上記実施の形態1,2の例に限定されない。
【0138】
図38は、検知センサ100の主要部分の構成の他の例を模式的に示す平面図である。図38に示されるように、この検知センサ100においては、各板状部材180が各電波レーダよりも制御部基板162の中心から離れた位置に配置されている。各板状部材180の配置される位置はこのような位置であってもよい。
【0139】
図39は、図38のような構成によるメリットを説明するための図である。図39を参照して、検知センサ100Dの主要部分は、図38に示される構成を有している。検知センサ100Dによれば、各板状部材180が各電波レーダよりも制御部基板162の中心から離れた位置に配置されているため、検知範囲の外側の境界をより高精度に区切ることができる。
【0140】
<3-13>
上記実施の形態1,2においては、検知センサ100の平面視において、各電波レーダが領域AR1,AR2(図7)の両方と重なっていた。しかしながら、検知センサ100の平面視において、各電波レーダが必ずしも領域AR1,AR2(図7)の両方と重なっていなくてもよい。例えば、検知センサ100の平面視において、各電波レーダが、領域AR1,AR2(図7)の少なくとも一方と重なっていればよい。
【0141】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0142】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0143】
10 照明システム、15 室内、100 検知センサ、102 ベース、104 カバー、110 第1電波レーダ、111 第1赤外線センサ、112 第1レーダ基板、113 送信アンテナ、114 受信アンテナ、116,135,210,320 通信部、118 制御回路、119,129,139,149 スペーサ、120 第2電波レーダ、121 第2赤外線センサ、122 第2レーダ基板、130 第3電波レーダ、131 第3赤外線センサ、132 第3レーダ基板、140 第4電波レーダ、141 第4赤外線センサ、142 第4レーダ基板、150,230,330 電源部、160,240 制御部、162 制御部基板、170 筐体、172 ケーブル、180 板状部材、181,182 板部、183,184,185,186,187 層、188 反射面、200 照明装置、220 光源部、300 制御装置、310 表示部、340 記憶部、A1-A12 検知範囲、AR1,AR2 領域、BE1 角部、H1,H2 高さ、Le1,Le2 長さ、S1,S2,S3,S4 端部、W1-W4 波形。

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