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特開2023-176128学習装置、日射強度予測装置、系統制御システム、需給制御システム、設備形成支援システム、学習方法、日射強度予測方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176128
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】学習装置、日射強度予測装置、系統制御システム、需給制御システム、設備形成支援システム、学習方法、日射強度予測方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/10 20060101AFI20231206BHJP
   G01W 1/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G01W1/10 H
G01W1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088248
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】安並 一浩
(72)【発明者】
【氏名】ドゥイ ショウイ
(72)【発明者】
【氏名】松田 啓史
(72)【発明者】
【氏名】高田 一輝
(57)【要約】
【課題】使用するコンピュータリソースを抑制しつつ、日射強度を精度よく予測することができる学習装置を得ること。
【解決手段】学習装置1は、日射強度の実績値である日射強度実績値と、気象データとを取得する取得部11と、正解データである日射強度実績値と、当該日射強度実績値に対応する特徴量とを用いて、特徴量から日射強度の予測値を推論するための学習済モデルを機械学習により生成する学習モデル生成部13と、を備え、特徴量は、予測対象の日時である予測対象時間の気象データの予測値と、予測対象時間の当日の予測対象時間より一定時間前の日射強度実績値とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
日射強度の実績値である日射強度実績値と、気象データとを取得する取得部と、
正解データである前記日射強度実績値と、当該日射強度実績値に対応する特徴量とを用いて、前記特徴量から日射強度の予測値を推論するための学習済モデルを機械学習により生成する学習モデル生成部と、
を備え、
前記特徴量は、予測対象の日時である予測対象時間の気象データの予測値と、前記予測対象時間の当日の前記予測対象時間より一定時間前の前記日射強度実績値とを含むことを特徴とする学習装置。
【請求項2】
前記特徴量は、前記予測対象時間の当日の第1の時間から前記予測対象時間より一定時間前の第2の時間までの前記日射強度実績値を含むことを特徴とする請求項1に記載の学習装置。
【請求項3】
前記学習モデル生成部は、学習済モデルを時間帯ごとに生成することを特徴とする請求項1に記載の学習装置。
【請求項4】
前記特徴量は、上層雲量、中層雲量、下層雲量、全雲量、天気、気温、湿度、降水量のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の学習装置。
【請求項5】
前記予測対象時間のエアマスおよび大気外日射強度を算出する特徴量生成部、
を備え、
前記特徴量は、前記特徴量生成部によって算出された前記エアマスおよび前記大気外日射強度を含むことを特徴とする請求項4に記載の学習装置。
【請求項6】
日射強度の予測の対象日時である予測対象時間の気象データと、前記予測対象時間の当日の前記予測対象時間より一定時間前の日射強度の実績値とを特徴量として取得する取得部と、
前記特徴量から前記予測対象時間の日射強度の予測値を推論するための学習済モデルに、前記取得部に取得された前記特徴量を入力することにより日射強度の予測値を推論する推論部と、
を備えることを特徴とする日射強度予測装置。
【請求項7】
前記特徴量は、前記予測対象時間の当日の第1の時間から前記予測対象時間より一定時間前の第2の時間までの日射強度の実績値を含むことを特徴とする請求項6に記載の日射強度予測装置。
【請求項8】
前記学習済モデルは時間帯ごとに生成されることを特徴とする請求項6に記載の日射強度予測装置。
【請求項9】
前記特徴量は、上層雲量、中層雲量、下層雲量、全雲量、天気、気温、湿度、降水量のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項6から8のいずれか1つに記載の日射強度予測装置。
【請求項10】
前記予測対象時間のエアマスおよび大気外日射強度を算出する特徴量生成部、
を備え、
前記特徴量は、前記特徴量生成部によって算出された前記エアマスおよび前記大気外日射強度を含むことを特徴とする請求項9に記載の日射強度予測装置。
【請求項11】
日射強度の実績値である日射強度実績値と、気象データとを取得する取得部と、
正解データである前記日射強度実績値と、当該日射強度実績値に対応する特徴量とを用いて、前記特徴量から日射強度の予測値を推論するための学習済モデルを機械学習により生成する学習モデル生成部と、
前記学習済モデルを用いて日射量の予測値を推論する推論部と、
を備え、
前記特徴量は、予測対象の日時である予測対象時間の気象データの予測値と、前記予測対象時間の当日の前記予測対象時間より一定時間前の前記日射強度実績値とを含み、
前記取得部は、予測時には、前記予測対象時間の前記気象データと、前記予測対象時間の当日の前記予測対象時間より一定時間前の前記日射強度実績値とを予測用の前記特徴量として取得し、
前記推論部は、予測用の前記特徴量を前記学習済モデルに入力することで日射量の予測値を推論することを特徴とする日射強度予測装置。
【請求項12】
日射強度を予測する日射強度予測装置と、
前記日射強度予測装置によって予測された日射強度を用いて電力系統の電圧を制御する制御装置と、
を備え、
前記日射強度予測装置は、
日射強度の予測の対象日時である予測対象時間の気象データと、前記予測対象時間の当日の前記予測対象時間より一定時間前の日射強度の実績値とを特徴量として取得する取得部と、
前記特徴量から前記予測対象時間の日射強度の予測値を推論するための学習済モデルに、取得された前記特徴量を入力することにより日射強度の予測値を推論する推論部と、
を備えることを特徴とする系統制御システム。
【請求項13】
日射強度を予測する日射強度予測装置と、
前記日射強度予測装置によって予測された日射強度を用いて電力の需給制御を行う需給制御装置と、
を備え、
前記日射強度予測装置は、
日射強度の予測の対象日時である予測対象時間の気象データと、前記予測対象時間の当日の前記予測対象時間より一定時間前の日射強度の実績値とを特徴量として取得する取得部と、
前記特徴量から前記予測対象時間の日射強度の予測値を推論するための学習済モデルに、取得された前記特徴量を入力することにより日射強度の予測値を推論する推論部と、
を備えることを特徴とする需給制御システム。
【請求項14】
日射強度を予測する日射強度予測装置と、
前記日射強度予測装置によって予測された日射強度を用いて電力系統の状態を提示する状態管理装置と、
を備え、
前記日射強度予測装置は、
日射強度の予測の対象日時である予測対象時間の気象データと、前記予測対象時間の当日の前記予測対象時間より一定時間前の日射強度の実績値とを特徴量として取得する取得部と、
前記特徴量から前記予測対象時間の日射強度の予測値を推論するための学習済モデルに、取得された前記特徴量を入力することにより日射強度の予測値を推論する推論部と、
を備えることを特徴とする設備形成支援システム。
【請求項15】
学習装置における学習方法であって、
日射強度の実績値である日射強度実績値と、気象データとを取得するステップと、
正解データである前記日射強度実績値と、当該日射強度実績値に対応する特徴量とを用いて、前記特徴量から日射強度の予測値を推論するための学習済モデルを機械学習により生成するステップと、
を含み、
前記特徴量は、予測対象の日時である予測対象時間の気象データの予測値と、前記予測対象時間の当日の前記予測対象時間より一定時間前の前記日射強度実績値とを含むことを特徴とする学習方法。
【請求項16】
日射強度予測装置における日射強度予測方法であって、
日射強度の予測の対象日時である予測対象時間の気象データと、前記予測対象時間の当日の前記予測対象時間より一定時間前の日射強度の実績値とを特徴量として取得するステップと、
前記特徴量から前記予測対象時間の日射強度の予測値を推論するための学習済モデルに、取得された前記特徴量を入力することにより日射強度の予測値を推論するステップと、
を含むことを特徴とする日射強度予測方法。
【請求項17】
コンピュータシステムに、
日射強度の実績値である日射強度実績値と、気象データとを取得するステップと、
正解データである前記日射強度実績値と、当該日射強度実績値に対応する特徴量とを用いて、前記特徴量から日射強度の予測値を推論するための学習済モデルを機械学習により生成するステップと、
を実行させ、
前記特徴量は、予測対象の日時である予測対象時間の気象データの予測値と、前記予測対象時間の当日の前記予測対象時間より一定時間前の前記日射強度実績値とを含むことを特徴とするプログラム。
【請求項18】
コンピュータシステムに、
日射強度の予測の対象日時である予測対象時間の気象データと、前記予測対象時間の当日の前記予測対象時間より一定時間前の日射強度の実績値とを特徴量として取得するステップと、
前記特徴量から前記予測対象時間の日射強度の予測値を推論するための学習済モデルに、取得された前記特徴量を入力することにより日射強度の予測値を推論するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、日射強度を推論するための学習を行う学習装置、日射強度予測装置、系統制御システム、需給制御システム、設備形成支援システム、学習方法、日射強度予測方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーの利用を拡大することの重要性が高まっており、太陽光発電設備などの分散型電源を設置し、電力系統(送配電系統)に電力を供給する需要家が増えてきている。今後、再生可能エネルギーをはじめとした分散型電源が大量に連系されることが予想され、需給計画や系統制御を実施するために、太陽光発電設備の発電出力を把握する必要がある。一方、太陽光発電設備は、火力発電設備のように、その発電出力を任意に調整することが難しく、また、太陽光発電設備の発電出力は日射強度(太陽光)に依存する。日射強度を予測し、日射強度の予測結果を用いて太陽光発電設備の発電出力を予測する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、太陽光発電設備の発電量予測に使用するために日射量を予測する技術が開示されている。特許文献1に記載の予測装置は、予測の対象時間よりm時間前(mは2以上)から対象時間までの気象データから特徴量を抽出し、複数日分の特徴量を用いて対象時間における日射強度を予測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/121202号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、予測の対象時間よりm時間前(mは2以上)から対象時間までの各気象データをそれぞれ時系列データとして取得して学習を行うことで、時系列データの変動を特徴量として用いた学習を行っている。このため、変動の特徴が現れるような長い時系列データの取得が必要であり、学習および予測のために多くのコンピュータリソースを必要とする。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、使用するコンピュータリソースを抑制しつつ、日射強度を精度よく予測することができる学習装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる学習装置は、日射強度の実績値である日射強度実績値と、気象データとを取得する取得部と、正解データである日射強度実績値と、当該日射強度実績値に対応する特徴量とを用いて、特徴量から日射強度の予測値を推論するための学習済モデルを機械学習により生成する学習モデル生成部と、を備える。特徴量は、予測対象の日時である予測対象時間の気象データの予測値と、予測対象時間の当日の予測対象時間より一定時間前の日射強度実績値とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる学習装置は、使用するコンピュータリソースを抑制しつつ、日射強度を精度よく予測することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態にかかる学習装置を含む系統制御システムの構成例を示す図
図2】実施の形態の特徴量を説明するための図
図3】実施の形態の学習装置における学習時の処理手順の一例を示すフローチャート
図4】実施の形態の日射強度予測装置における日射強度の予測時の処理手順の一例を示すフローチャート
図5】実施の形態の学習済モデルを用いた予測の検証結果を示す図
図6】実施の形態の学習済モデルを用いた予測の検証結果を示す図
図7】実施の形態の学習済モデルを用いた予測の検証結果を示す図
図8】実施の形態の学習済モデルを用いた予測の検証結果を示す図
図9】時間帯ごとの日射強度の予測値の一例を示す図
図10】時間帯ごとの日射強度の予測値の一例を示す図
図11】実施の形態の学習装置および日射強度予測装置を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施の形態にかかる学習装置、日射強度予測装置、系統制御システム、需給制御システム、設備形成支援システム、学習方法、日射強度予測方法およびプログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態.
図1は、実施の形態にかかる学習装置を含む系統制御システムの構成例を示す図である。本実施の形態の系統制御システム4は、学習装置1、日射強度予測装置2および制御装置3を備える。学習装置1は、予測対象の日時である予測対象時間の気象データの予測値と、予測対象時間の当日の予測対象時間より一定時間前の日射強度実績値とを含む特徴量を用いて特徴量から日射強度の予測値を推論するための学習済モデルを機械学習により生成する。日射強度実績値は、日射強度の測定値であってもよいし、高精度に推定された推定値であってもよい。例えば、日射強度実績値は、日射計によって測定された結果であってもよいし、衛星画像から算出された推定値であってもよい。制御装置3は、日射強度予測装置2によって予測された日射強度から算出された太陽光発電設備の発電出力を用いて、例えば、電力系統の制御機器や分散電源を用いて電流・電圧を制御する。以下では、日射強度の予測値を用いた太陽光発電設備の発電出力の算出が制御装置3によって行われる例を説明するが、これに限定されず、日射強度予測装置2が日射強度の予測値を用いて太陽光発電設備の発電出力を算出し、太陽光発電設備の発電出力を制御装置3へ出力してもよい。
【0012】
正解データとして与えられる日射強度は、予測対象時間の日射強度実績値である。この日射強度実績値も、日射強度の測定値であってもよいし、高精度に推定された推定値であってもよい。
【0013】
図1では、学習装置1および日射強度予測装置2が、系統制御システム4に含まれ、日射強度予測装置2によって予測された日射強度が系統制御に用いられる例を示しているが、これに限らず、予測された日射強度は、例えば、需給制御、設備形成などに用いられてもよい。また、日射強度予測装置2によって予測された日射強度は、VPP(Virtual Power Plant)やDR(Demand Response)の制御に用いられてもよいし、需要家におけるエネルギー管理に用いられてもよい。例えば、需要家におけるエネルギー管理装置が、予測された日射強度を表示してもよいし、需要家において分散型電源の制御を行う際に、予測された日射強度が用いられてもよい。
【0014】
日射強度予測装置2によって予測された日射強度が需給制御に用いられる場合、例えば、需給制御システムが、学習装置1および日射強度予測装置2を備えるとともに、需給制御を行う需給制御装置を備え、需給制御装置が、日射強度予測装置2によって予測された日射強度から算出された太陽光発電設備の発電出力を用いて、電力の需給制御を行う。また、日射強度予測装置2によって予測された日射強度が設備形成の支援のために用いられる場合、設備形成支援システムが、学習装置1および日射強度予測装置2を備えるとともに、電力系統の状態を管理する状態管理装置を備え、状態管理装置が、日射強度予測装置2によって予測された日射強度から算出された太陽光発電設備の発電出力を用いて電力系統の状態を管理し、運用者に電力系統の状態を提示することで設備形成を支援する。
【0015】
また、学習装置1によって生成される学習済モデルが複数の日射強度予測装置2で用いられてもよい。例えば、学習装置1を1つ設け、当該学習装置1によって生成された学習済モデルを記憶する日射強度予測装置2を、需給制御システムと設備形成支援システムとにそれぞれ設けてもよい。
【0016】
次に、学習装置1および日射強度予測装置2の構成例について説明する。図1に示すように、学習装置1は、取得部11、特徴量生成部12、学習モデル生成部13、モデル記憶部14およびデータ保存部15を備える。
【0017】
取得部11は、気象データ提供システム5から過去の気象データの予測値を取得し、日射強度提供システム6から過去の日射強度実績値を取得する。気象データは、MSM(Meso-Scale Model)データを提供するシステムであってもよいし、GSM(Global Spectral Model)データを提供するシステムであってもよいし、これら以外の気象データであってもよい。気象データの予測値は、予測の対象時間より前の時間に予測された値である。日射強度提供システム6は、例えば、日射強度の測定網によって測定された測定値(全天日射計による測定値など)を提供するシステムである。日射強度提供システム6が提供する日射強度実績値は、測定値に限定されず、上述したように高精度に推定された推定値であってもよい。また、日射強度提供システム6が提供する日射強度実績値は、測定値と推定値とが混在していてもよい。また、気象データ提供システム5と日射強度提供システム6とは同一のシステムであってもよい。
【0018】
また、取得部11は、日射強度の予測の対象となる地点である予測対象地点に対応する気象データおよび日射強度実績値を取得する。例えば、MSMデータでは、Xkm×Xkm(Xは正の実数)の空間分解能で提供されるため、予測対象地点が含まれるメッシュのデータを予測対象地点に対応する気象データとして取得することができる。日射強度実績値に関しては、例えば、日射強度実績値が測定値の場合には、予測対象地点に最も近い測定点における測定値を予測対象地点に対応する日射強度実績値として取得することができる。日射強度実績値が高精度な推定値であり推定値がメッシュごとに提供される場合には、予測対象地点が含まれるメッシュのデータを予測対象地点に対応する日射強度実績値として取得することができる。予測対象地点が複数存在する場合については後述する。
【0019】
取得部11が取得する日射強度実績値は、学習済モデルにおいて正解データとして用いられるデータを含む。正解データは、日射強度の予測値の正解データである。正解データに対応する日時は、過去の予測対象時間に相当する。正解データに対応する日時、すなわち過去の予測対象時間を、以下、学習対象時間とも呼ぶ。取得部11が取得するデータは、学習対象時間の日射強度実績値と、学習対象時間の気象データの予測値と、当日の学習対象時間より一定時間前の日射強度実績値とを含む。学習対象時間の気象データの予測値と、当日の学習対象時間より一定時間前の日射強度実績値とは特徴量に相当する。学習対象時間の日射強度実績値は正解データに相当する。当日とは、学習時においては学習対象時間に対応する日であり、後述する予測時においては予測対象時間に対応する日である。学習対象時間より一定時間前の日射強度実績値は、予測時には、予測対象時間より一定時間前の日射強度実績値に相当することになる。
【0020】
学習対象時間の日射強度実績値は、正解データとしてデータ保存部15に格納される。学習対象時間の気象データの予測値と、学習対象時間の当日の学習対象時間より一定時間前の日射強度実績値とは、特徴量としてデータ保存部15に格納される。なお、後述するように、特徴量として用いられる気象データは、気象データ提供システム5から取得される気象データに限定されず、取得された気象データを用いて算出された気象データを含んでいてもよい。
【0021】
特徴量生成部12は、機械学習において用いる特徴量のうち計算されることで取得される気象データがある場合に、すなわち計算によって取得される特徴量がある場合に、当該特徴量を算出する。特徴量生成部12は、算出した特徴量をデータ保存部15に格納する。例えば、本実施の形態の機械学習において特徴量として用いられる気象データは、上層雲量、中層雲量、下層雲量、全雲量、天気、気温、湿度、降水量、エアマス、大気外日射強度などのうちの少なくとも1つを含む。例えば、これらの気象データのうち、上層雲量、中層雲量、下層雲量、全雲量、天気、気温、湿度、降水量は、気象データ提供システム5から提供されるが、エアマス、大気外日射強度については、月日、時間、緯度などを用いて計算される。また、気象データ提供システム5から気温および相対湿度が取得され、特徴量生成部12が、気温および相対湿度を用いて、特徴量として絶対湿度を算出してもよい。計算によって取得される特徴量がない場合には、特徴量生成部12は設けられなくてもよい。
【0022】
学習モデル生成部13は、正解データである学習対象時間の日射強度実績値と当該日射強度実績値に対応する特徴量とを用いて、特徴量から日射強度を予測するための学習済モデルを機械学習により生成する。具体的には、学習モデル生成部13は、データ保存部15に格納されている特徴量と当該特徴量に対応する正解データである日射強度実績値とを用いて、機械学習によって学習済モデルを生成し、生成した学習済モデルをモデル記憶部14に格納する。学習済モデルは、1日における時間帯ごとに作成される。例えば、学習済モデルは、気象データ提供システム5から提供される気象データの時間分解能に相当する時間帯ごとに生成される。気象データ提供システム5から提供される気象データの時間分解能が1時間である場合、例えば、6時に対応する学習済モデル、7時に対応する学習済モデル、8時に対応する学習済モデル、…といったように、1時間ごとの学習済モデルが生成される。なお、ここでは、気象データの時間分解能に相当する時間帯ごとに学習済モデルが生成される例を説明するが、学習済モデルの生成される時間帯の長さはこの例に限定されず、気象データの時間分解能より長くてもよい。また、夜間の日射強度は予測する必要がないため、例えば6時から18時までの1時間ごとの13個の学習済モデルが生成される。
【0023】
また、日射強度実績値の時間分解能が気象データの時間分解能より高く、1つの時間帯に対応する日射強度実績値が複数存在する場合には、取得された複数の日射強度実績値の平均値または中央値が正解データとして用いられる。学習対象時間の当日の学習対象時間より一定時間前の日射強度実績値については、同様に、時間帯ごとの平均値または中央値を特徴量として用いることで時間分解能を気象データと合わせてもよいし、取得されたそのままの日射強度実績値が用いられてもよい。また、日射強度実績値の方が気象データより時間分解能が高い場合、日射強度実績値の時間分解能に合わせた時間断面ごとに学習済モデルを生成し、複数の時間断面で、同じ気象予測値を利用してもよい。以下では、日射強度実績値の時間分解能を、気象データの時間分解能にあわせる前提とし、各時間帯に対応するデータを各点のデータとも呼ぶ。この場合、学習対象時間の当日の学習対象時間より一定時間前の日射強度実績値は、学習対象時間の当日の学習対象時間よりn(nは1以上の整数)点前の日射強度実績値と表現することができる。なお、特徴量として用いる日射強度実績値は、少なくとも学習対象時間の当日のデータを含むが、さらに当日より過去のデータを含んでいてもよい。
【0024】
以下では、気象データ提供システム5から提供される気象データの時間分解能が1時間であり、学習済モデルが1時間ごとに生成する例を説明するが、上述したように、気象データの時間分解能および学習済モデルが生成される時間単位は、この例に限定されない。
【0025】
学習済モデルを生成するための機械学習のアルゴリズムとしては、例えば、ランダムフォレスト(Random Forest)、回帰木、重回帰、サポートベクトル回帰、ニューラルネットワークを用いることができるが、これらに限らず、回帰型のアルゴリズムであればどのようなものが用いられてもよい。
【0026】
モデル記憶部14は学習済モデルを記憶する。また、モデル記憶部14には、学習途中の学習モデルが記憶されてもよい。
【0027】
日射強度予測装置2は、モデル記憶部21、取得部22、特徴量生成部23、推論部24、出力部25およびデータ保存部26を備える。
【0028】
モデル記憶部21には、学習装置1によって生成された学習済モデルが格納される。モデル記憶部21にあらかじめこの学習済モデルが格納されてもよいし、日射強度予測装置2の図示しない通信部が学習装置1からこの学習済モデルを受信してモデル記憶部21に格納してもよい。
【0029】
取得部22は、気象データ提供システム5から予測対象時間の気象データの予測値を取得し、日射強度提供システム6から、予測対象の当日の予測対象時間より一定時間前の日射強度実績値を取得する。取得部22は、気象データ提供システム5から予測対象時間の気象データの予測値と日射強度提供システム6から取得した日射強度実績とをデータ保存部26に特徴量として格納する。
【0030】
特徴量生成部23は、学習装置1における特徴量生成部12と同様に、計算によって算出する特徴量を算出し、算出した特徴量をデータ保存部26に格納する。計算によって取得される特徴量がない場合には、特徴量生成部23は設けられなくてもよい。
【0031】
推論部24は、モデル記憶部21に格納されている学習済モデルにデータ保存部26に格納されている特徴量を入力することで日射強度の予測値を推論し、予測値をデータ保存部26に格納する。出力部25は、データ保存部26に格納されている予測値を読み出し、読み出した予測値を制御装置3へ送信する。なお、出力部25は、表示機能を有し予測値を表示してもよい。データ保存部26は、特徴量および予測値を記憶する。
【0032】
図1に示した例では、学習装置1と日射強度予測装置2とが個別に設けられているが、これに限らず、日射強度予測装置2が学習装置1としての機能を有することで、学習装置1と日射強度予測装置2とが一体化されていてもよい。この場合、日射強度予測装置2に学習モデル生成部13が追加され、学習モデル生成部13は学習済モデルをモデル記憶部21に格納する。また、この場合、取得部11、特徴量生成部12、データ保存部15が、日射強度予測装置2に追加されてもよいが、取得部22、特徴量生成部23、データ保存部26が、それぞれ取得部11、特徴量生成部12、データ保存部15としての機能も有することで取得部22、特徴量生成部23、データ保存部26が学習時と予測時とで共用されてもよい。
【0033】
ここで、本実施の形態の日射強度の特徴量を、図を用いて説明する。図2は、本実施の形態の特徴量を説明するための図である。上述したように、本実施の形態では、1時間ごとに学習済モデルを作成する。図2では、12時に対応する学習済モデルに対応する予測対象時間を実線の矩形で示している。12時に対応する学習済モデルを用いて日射強度の予測が行われる場合、すなわち、12時の日射強度を予測する場合には、特徴量として、予測対象時間に対応する気象データの予測値が用いられるとともに、図2に破線の枠で示した日射強度実績値、すなわち当日の予測対象時間よりn点前の日射強度実績値が用いられる。なお、図2に示した例では、予測対象時間よりn点前の日射強度実績値が用いられているが、日射強度実績値は1点以上であればよく、複数点の日射強度実績値が用いられてもよい。すなわち、予測対象時間の当日の第1の時間から予測対象時間より一定時間前の第2の時間までの日射強度実績値が用いられてもよい。
【0034】
予測対象時間よりn点前の日射強度実績値の1点のデータを用いると、上述した特許文献1のように時系列データから変動を把握する場合に比べて、学習のために必要となるコンピュータリソース(CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサやメモリなど)の使用量を少なくすることができ、また、計算時間も短縮できる。さらには、学習済モデルの保存のために必要となる記録装置の容量も削減できる。また、予測対象時間よりn点前までの複数点の日射強度実績値を用いる場合であっても、時系列データの変動を把握する場合に比べればデータの数を低減することができ、同様の効果を奏することができる。また、機械学習では、予測対象となる量(情報)との相関が低い情報を特徴量とすると、予測精度が落ちる可能性もある。特許文献1のように、予測対象の直前までの時系列データの変動を特徴量として用いると、予測対象となる量(情報)との相関が低い情報まで特徴量に含まれてしまうことで、逆にノイズとなり、精度が低下する可能性もあると考えられる。従って、本実施の形態のように、予測対象時間の気象データと、予測対象時間のn点前の日射強度実績値の予測値とを特徴量として用いる方が、時系列データの変動に着目する場合に比べて高精度に日射強度を予測できる。なお、学習時には、図2に示した予測対象時間は学習対象時間に相当し、学習対象時間の気象データと学習対象時間のn点前の(またはn点前までの複数点の)日射強度実績値とを特徴量とし、当該特徴量と学習対象時間の正解データとが用いられて学習済モデルが生成される。
【0035】
図2では、日射強度の実績値(Actual)を実線で示すとともに、特徴量として予測対象時間に対応する気象データの予測値だけを用いて予測を行った場合の予測値(Forecast)を破線で示している。特徴量として予測対象時間に対応する気象データの予測値だけを用いて予測を行うと、気象データの予測値が実際の気象と異なっている場合、図2に示すように、日射強度の予測値が実際の値である実績値と乖離し、精度の良い予測ができない。
【0036】
本実施の形態では、予測対象時間に対応する気象データだけでなく、当日の予測対象時間のn点前の日射強度実績値を特徴量として用いることで、気象データの予測値が実際と異なっていた場合でも、日射強度を精度よく予測することができる。また、特徴量として、予測対象時間に対応する気象データと当日の予測対象時間のn点前の日射強度実績値とをそれぞれ取得して入力として用いて予測を行うだけでよいため、使用するコンピュータリソースを抑制しつつ、日射強度を精度よく予測することができる。なお、上述したように、日射強度実績値は、予測対象時間のn点前までの複数点の値が用いられてもよい。以下、予測対象時間のn点前までの日射強度実績値が特徴量として用いられる例を説明するが、1点(予測対象時間のn点前)の日射強度実績値が用いられてもよい。
【0037】
次に、本実施の形態の動作について説明する。図3は、本実施の形態の学習装置1における学習時の処理手順の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、学習装置1は、気象データの予測値(過去値)を取得する(ステップS1)。詳細には、取得部11が、気象データ提供システム5から過去の気象データの予測値を取得し、データ保存部15に特徴量として格納する。
【0038】
次に、学習装置1は、日射強度実績値(正解データおよび正解データの一定時間前までの過去値)を取得する(ステップS2)。詳細には、取得部11が、日射強度提供システム6から、正解データとして用いる過去の日射強度実績値と、特徴量として用いる、正解データの一定時間前までの日射強度実績値(当日の正解データのn点前までの日射強度実績値)とを取得し、正解データを日射強度実績値としてデータ保存部15に格納し、正解データの一定時間前までの日射強度実績値を特徴量としてデータ保存部15に格納する。なお、ステップS1とステップS2との順序は図3に示した例に限定されず、ステップS1とステップS2との順序は逆であってもよいし、ステップS1とステップS2とが同時に行われてもよい。
【0039】
次に、学習装置1は、特徴量(過去値)を生成する(ステップS3)。詳細には、計算によって取得される特徴量がある場合に、特徴量生成部12が、当該特徴量を算出し、算出した特徴量をデータ保存部15に格納する。計算によって取得される特徴量がない場合には、ステップS3は行わなくてよい。
【0040】
次に、学習装置1は、学習済モデルを生成し(ステップS4)、処理を終了する。詳細には、ステップS4では、学習モデル生成部13が、データ保存部15に格納されている特徴量と当該特徴量に対応する正解データである日射強度実績値とを用いて、機械学習によって学習済モデルを生成し、生成した学習済モデルをモデル記憶部14に格納する。上述したように、学習済モデルは、時間帯ごとに生成される。例えば、1時間単位の各時間帯に対応する学習済モデルが生成される。
【0041】
また、予測対象地点が複数存在する場合、上述した気象データにおける1つのメッシュ内に複数の予測対象地点が存在する場合には、1つのメッシュ内の複数の予測対象地点で、同一の学習済モデルを用いてもよい。また、複数の予測対象地点が、複数のメッシュに分散して存在する場合には、メッシュごとに、学習済モデルを生成してもよい。または、複数のメッシュを1エリアとし、エリアごとに学習済モデルを生成してもよい。
【0042】
次に、本実施の形態の日射強度予測装置2における予測時の処理について説明する。図4は、本実施の形態の日射強度予測装置2における日射強度の予測時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0043】
日射強度予測装置2は、気象データの予測値(予測対象時間)を取得する(ステップS11)。詳細には、取得部22は、気象データ提供システム5から予測対象時間の気象データの予測値を取得し、取得した気象データの予測値を特徴量としてデータ保存部26に格納する。
【0044】
日射強度予測装置2は、日射強度実績値(予測対象時間の一定時間前までの過去値)を取得する(ステップS12)。詳細には、取得部22は、日射強度提供システム6から、予測対象の当日の予測対象時間より一定時間前までの日射強度実績値を取得し、取得した日射強度実績値を特徴量としてデータ保存部26に格納する。
【0045】
次に、日射強度予測装置2は、特徴量(予測対象時間)を生成する(ステップS13)。詳細には、計算によって取得される特徴量がある場合に、特徴量生成部23が、当該特徴量を算出し、算出した特徴量をデータ保存部26に格納する。計算によって取得される特徴量がない場合には、ステップS13は行わなくてよい。
【0046】
次に、日射強度予測装置2は、日射強度予測処理を実行する(ステップS14)。詳細には、推論部24が、モデル記憶部21に格納されている学習装置1によって生成された学習済モデルに、データ保存部26に格納されている特徴量を入力することで日射強度の予測値を取得し、取得した予測値をデータ保存部26に格納する。より詳細には、推論部24は、モデル記憶部21に格納されている時間帯ごとの学習済モデルのうち、予測対象時間に対応する学習済モデルを選択し、選択した学習済モデルに特徴量を入力することで日射強度の予測値を取得する。
【0047】
次に、日射強度予測装置2は、日射強度の予測値を送信し(ステップS15)、処理を終了する。詳細には、ステップS15では、出力部25が、データ保存部26に格納されている予測値を制御装置3へ送信する。
【0048】
次に、本実施の形態の効果について説明する。図5図8は、本実施の形態の学習済モデルを用いた予測の検証結果を示す図である。図5図8は、予測された日射強度と、対応する実績値との間の誤差(Error)をヒストグラムとして示したものであり、横軸は誤差を示し、縦軸は頻度(Frequency)を示している。図5図8は、約1年分のデータを用いて検証を行った結果を示している。図5は、特徴量として日射強度実績を使用せず予測対象時間の気象データを用いた例であり、図6図8は、予測対象時間の気象データに加えて当日の予測対象時間のn点前の日射強度実績値を用いた例である。詳細には、図6は、特徴量として、予測対象時間の気象データに加えて当日の予測対象時間の3時間前の日射強度実績値を用いた例であり、図7は、特徴量として、予測対象時間の気象データに加えて当日の予測対象時間の2時間前の日射強度実績値を用いた例であり、図8は、特徴量として、予測対象時間の気象データに加えて当日の予測対象時間の1時間前の日射強度実績値を用いた例である。すなわち、図6,7,8は、それぞれn=3,2,1の例である。
【0049】
図5図8からわかるように、nが小さくなるほど誤差は小さくなる。したがってnは小さいほど、すなわち一定時間は短いほど予測精度は高くなるが、一方で、nが小さいほど、予測対象時間に近い時間の日射強度実績値を取得する必要がある。このため、日射強度実績値を取得可能な範囲でnを小さな値に設定すると日射強度の予測精度を高めることができる。
【0050】
図9,10は、時間帯ごとの日射強度の予測値の一例を示す図である。図9,10では、横軸は時間を示し、縦軸は日射強度を示している。Method1~Method4は日射強度の予測値を示しており、図9は、気象データの予測値より実際には天気が悪く日射強度の実績値(Actual)が日射強度の予測値より低くなる例を示しており、図10は、気象データの予測値より実際には天気が良く日射強度の実績値が日射強度の予測値より高くなる例を示している。Method1は、特徴量として日射強度実績値を使用せず予測対象時間の気象データを用いた手法であり、Method2は、予測対象時間の気象データに加えて当日の予測対象時間の3時間前の日射強度実績値を用いた手法である。Method3は、予測対象時間の気象データに加えて当日の予測対象時間の2時間前の日射強度実績値を用いた手法であり、Method4は、予測対象時間の気象データに加えて当日の予測対象時間の1時間前の日射強度実績値を用いた手法である。
【0051】
図9,10からも、予測対象時間に近い日射強度実績値を特徴量として用いるほど、予測精度が高くなることがわかる。
【0052】
次に、本実施の形態の学習装置1および日射強度予測装置2のハードウェア構成について説明する。本実施の形態の学習装置1は、コンピュータシステム上で、学習装置1における処理が記述されたプログラムが実行されることにより、コンピュータシステムが学習装置1として機能する。本実施の形態の日射強度予測装置2も同様に、コンピュータシステム上で、日射強度予測装置2における処理が記述されたプログラムが実行されることにより、コンピュータシステムが日射強度予測装置2として機能する。図11は、本実施の形態の学習装置1および日射強度予測装置2を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。図11に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
【0053】
図11において、制御部101は、例えば、CPU等のプロセッサであり、本実施の形態の学習装置1または日射強度予測装置2における処理が記述されたプログラムを実行する。なお、制御部101の一部が、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用ハードウェアにより実現されてもよい。入力部102は、例えばキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステムの使用者が、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ、などを記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部104は、ディスプレイ、LCD(液晶表示パネル)などで構成され、コンピュータシステムの使用者に対して各種画面を表示する。通信部105は、通信処理を実施する受信機および送信機である。出力部106は、プリンタ、スピーカなどである。なお、図11は、一例であり、コンピュータシステムの構成は図11の例に限定されない。
【0054】
ここで、本実施の形態のプログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、例えば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、コンピュータプログラムが記憶部103にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、記憶部103から読み出されたプログラムが記憶部103の主記憶領域に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納されたプログラムに従って、本実施の形態の学習装置1または日射強度予測装置2としての処理を実行する。
【0055】
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、学習装置1または日射強度予測装置2における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、例えば、通信部105を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
【0056】
本実施の形態のプログラムは、例えば、コンピュータシステムに、日射強度の実績値である日射強度実績値と、気象データとを取得するステップと、正解データである日射強度実績値と、当該日射強度実績値に対応する特徴量とを用いて、特徴量から日射強度の予測値を推論するための学習済モデルを機械学習により生成するステップと、を実行させ、特徴量は、予測対象の日時である予測対象時間の気象データの予測値と、予測対象時間の当日の予測対象時間より一定時間前の日射強度実績値とを含む。また、本実施の形態のプログラムは、例えば、コンピュータシステムに、日射強度の予測の対象日時である予測対象時間の気象データと、予測対象時間の当日の予測対象時間より一定時間前の日射強度実績値とを特徴量として取得するステップと、特徴量から予測対象時間の日射強度の予測値を推論するための学習済モデルに、取得された特徴量を入力することにより日射強度の予測値を推論するステップと、を実行させる。
【0057】
図1に示した特徴量生成部12および学習モデル生成部13は、図11に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図11に示した制御部101により実行されることにより実現される。図1に示した特徴量生成部12および学習モデル生成部13の実現には、図11に示した記憶部103も用いられる。図1に示した取得部11は、図11に示した通信部105により実現される。また、図1に示した取得部11が、オペレータからの入力を受け付ける場合には、取得部11は図11に示した入力部102により実現される。図1に示したモデル記憶部14およびデータ保存部15は、図11に示した記憶部103の一部である。また、学習装置1は、複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、学習装置1は、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0058】
図1に示した特徴量生成部23および推論部24は、図11に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図11に示した制御部101により実行されることにより実現される。図1に示した特徴量生成部23および推論部24の実現には、図11に示した記憶部103も用いられる。図1に示した取得部22および出力部25は、図11に示した通信部105により実現される。出力部25が表示機能を有する場合には、出力部25は図11に示した表示部104により実現される。図1に示したモデル記憶部21およびデータ保存部26は、図11に示した記憶部103の一部である。また、日射強度予測装置2は、複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、日射強度予測装置2は、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。また、学習装置1および日射強度予測装置2が、1つのコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0059】
以上のように、本実施の形態の学習装置1は、過去の予測対象時間における気象データと過去の予測対象時間より一定時間前までの日射強度実績値とを特徴量として用いて機械学習により、特徴量から日射強度を予測するための学習済モデルを生成する。そして、本実施の形態の日射強度予測装置2は、予測対象時間における気象データと当日の予測対象時間より一定時間前までの日射強度実績値とを特徴量として学習済モデルに入力することで日射強度を予測するようにした。このため、使用するコンピュータリソースを抑制しつつ、日射強度を精度よく予測することができる。
【0060】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 学習装置、2 日射強度予測装置、3 制御装置、4 系統制御システム、5 気象データ提供システム、6 日射強度提供システム、11,22 取得部、12,23 特徴量生成部、13 学習モデル生成部、14,21 モデル記憶部、15,26 データ保存部、24 推論部、25 出力部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
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図11