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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176129
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】排水ソケット
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/16 20060101AFI20231206BHJP
   E03C 1/28 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
E03D11/16
E03C1/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088250
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一柳 岳也
(72)【発明者】
【氏名】神谷 昭範
【テーマコード(参考)】
2D039
2D061
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039CA04
2D039CB02
2D061DA10
2D061DE01
(57)【要約】
【課題】無駄を減らすことが可能な排水ソケットを提供する。
【解決手段】便器13の排水管11と床面の排水管12とを連結する排水ソケット10であって、前記便器13の排水管11に接続される便器接続部21、及び前記便器接続部21の下流側に設けられ、前後方向に延びた便器側連結部24、を有する便器側部材20と、前記床面の排水管12に接続される床面接続部43A,43B、及び前記便器側連結部24に対して前後方向に連結する床面側連結部41、を有する複数の床面側部材40A,40Bと、を備えており、複数の床面側部材40A,40Bの前記床面接続部43A,43Bにおいて、前記床面の排水管12との接続構造は異なっており、選定した前記床面側部材40A,40Bのうちの一つを前記便器側部材に連結する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の排水管と床面の排水管とを連結する排水ソケットであって、
前記便器の排水管に接続される便器接続部、及び前記便器接続部の下流側に設けられ、前後方向に延びた便器側連結部、を有する便器側部材と、
前記床面の排水管に接続される床面接続部、及び前記便器側連結部に対して前後方向に連結する床面側連結部、を有する複数の床面側部材と、
を備えており、
前記複数の床面側部材の前記床面接続部において、前記床面の排水管との接続構造は異なっており、選定した前記床面側部材のうちの一つを前記便器側部材に連結する、排水ソケット。
【請求項2】
既設の前記床面の排水管に合わせた接続構造を有する前記床面側部材を選定し、選定した前記床面側部材を前記便器側部材に連結する、請求項1に記載の排水ソケット。
【請求項3】
前記便器側部材及び前記床面側部材は、便器とともに梱包されている、請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の排水ソケット。
【請求項4】
前記便器側部材及び前記床面側部材は、前記便器側部材及び前記床面側部材の少なくとも一部を前記便器の鉢部内に収めた状態で梱包されている、請求項3に記載の排水ソケット。
【請求項5】
前記便器側連結部は、切断されることで前後方向の長さ寸法を調整できる、請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の排水ソケット。
【請求項6】
前記床面の排水管の種類に応じて前記床面の排水管と前記床面接続部との間に装着されるアダプターを有している、請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の排水ソケット。
【請求項7】
前記アダプターは、便器、前記便器側部材及び前記床面側部材とともに梱包されている、請求項6に記載の排水ソケット。
【請求項8】
前記複数の床面側部材のうち第一床面側部材は合成樹脂製であり、床面に沿って張り出す張出部を有し、
前記張出部の上面と前記床面側連結部の下面との間に、前記床面側連結部の先端から奥側へ凹んだ連結部下凹部が形成されている、請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の排水ソケット。
【請求項9】
前記複数の床面側部材のうち第一床面側部材は、床面に固定される締結部を有し、
前記締結部は、前記第一床面側部材のうち前記床面側連結部の延出側とは反対側の領域に設けられ、前記領域において前記床面側連結部の軸線に交差する方向の両端部に配置されている、請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の排水ソケット。
【請求項10】
前記便器接続部と前記床面接続部との間に、前方向及び後方向のいずれか一方に凸の湾曲した流路を形成する湾曲管部を有している、請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の排水ソケット。
【請求項11】
前記複数の床面側部材のうち第一床面側部材は、床面に沿って張り出す張出部を有し、
前記張出部の下面には、上側に凹んだ張出部下凹部が形成されている、請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の排水ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排水ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に記載されているように、便器の排水管と床面の排水管とを連結する排水ソケットが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-85252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排水ソケットと床面との接続構造は、便器によって異なっている。床面との接続構造毎に排水ソケットを専用に備えることは、無駄が多かった。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、無駄を減らすことが可能な排水ソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の排水ソケットは、便器の排水管と床面の排水管とを連結する排水ソケットであって、前記便器の排水管に接続される便器接続部、及び前記便器接続部の下流側に設けられ、前後方向に延びた便器側連結部、を有する便器側部材と、前記床面の排水管に接続される床面接続部、及び前記便器側連結部に対して前後方向に連結する床面側連結部、を有する複数の床面側部材と、を備えており、前記複数の床面側部材の前記床面接続部において、前記床面の排水管との接続構造は異なっており、選定した前記床面側部材のうちの一つを前記便器側部材に連結するものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第一床面側部材を用いて便器排水管と床面排水管とを連結した状態の排水ソケットを示す断面図
図2】排水ソケットを示す分解斜視図
図3】第一床面側部材を示す平面図
図4】第二床面側部材を用いて便器排水管と床面排水管とを連結した状態の排水ソケットを示す断面図
図5】第一アダプターを用いて便器排水管と床面排水管とを連結した状態の排水ソケットを示す断面図
図6】第二アダプターを用いて便器排水管と床面排水管とを連結した状態の排水ソケットを示す断面図
図7】第三アダプターを用いて便器排水管と床面排水管とを連結した状態の排水ソケットを示す断面図
図8】便器及び排水ソケットを梱包した状態を示す側面図
図9】梱包材に排水ソケットを収納する様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
排水ソケット10は、図1に示すように、便器13の排水管(便器排水管11と称する。)と床面の排水管(床面排水管12と称する。)とを連結する。以下、各構成部材において、床面排水管12に接続される側を前側、便器排水管11に接続される側を後側、便器排水管11及び床面排水管12に接続された状態における上側を上側、下側を下側、右側を右側、左側を左側として説明する。各図において、X軸の正方向側は前側、負方向側は後側、Y軸の正方向側は上側、負方向側は下側、Z軸の正方向側は右側、負方向側は左側を示す。
【0009】
排水ソケット10は、図2に示すように、1つの便器側部材20と、2つの床面側部材40A,40Bと、3つのアダプター60A,60B,60Cとを備えている。2つの床面側部材40A,40Bにおいて床面排水管12との接続構造は異なっている。2つの床面側部材40A,40Bのうち一方の第一床面側部材40Aの接続構造は排水ソケット式であり、他方の第二床面側部材40Bの接続構造はフランジ式である。3つのアダプター60A,60B,60Cは第一床面側部材40Aに取り付けられる。これによって、排水ソケット10は、VP75、VU75、VP100、VU100の4種類のサイズの床面排水管12に接続できる。
【0010】
便器側部材20は、図1及び図2に示すように、上流側から順に、便器接続部21、便器側湾曲管部22、及び便器側連結部24を有している。便器接続部21、便器側湾曲管部22、及び便器側連結部24は、一体に形成されている。
【0011】
便器接続部21は、図1に示すように、便器排水管11に接続される。便器接続部21は上下両側に開口している。便器接続部21の内周面は、円筒状をなしている。便器排水管11は、便器接続部21の内側に上方から挿入される。便器接続部21には、パッキン25が装着されている。
【0012】
便器側湾曲管部22は、図1に示すように、便器接続部21の下流側に連続して設けられている。便器側湾曲管部22の内面のうち後面は、鉛直に垂下する鉛直部26と、円弧状に湾曲した便器側湾曲部27と、を有している。便器側湾曲部27は、鉛直部26の下端から下側に連続している。便器側湾曲管部22の内面のうち前面は、斜め後側に向かって下る傾斜部28を有している。傾斜部28の下端は、絞り部29を構成している。
【0013】
便器側湾曲管部22は、後方向に凸の湾曲した流路を形成する。便器側湾曲管部22の流路の中心31は、前側が凹状、後側が凸状に湾曲している。便器側湾曲管部22の流路の中心31は、便器側湾曲管部22の水平断面における内部空間の中心である。
【0014】
便器側連結部24は、便器側湾曲管部22の下流側に連続して設けられている。便器側連結部24は、前後方向に水平に延びた管状である。便器側連結部24は、切断されることで前後方向の長さ寸法を調整できる。図1には、排水芯にあわせて切断された状態の便器側連結部24を示す。図2には、切断されていない状態の便器側連結部24を示す。
【0015】
第一床面側部材40A及び第二床面側部材40Bはそれぞれ、図1図2及び図4に示すように、上流側から順に、床面側連結部41、床面側湾曲管部42、第一床面接続部43A及び第二床面接続部43Bのいずれかを有している。床面側連結部41、床面側湾曲管部42、第一床面接続部43A及び第二床面接続部43Bのいずれかはそれぞれ、合成樹脂により一体に形成されている。
【0016】
床面側連結部41は、第一床面側部材40A及び第二床面側部材40Bそれぞれの上流側の端部に設けられている。床面側連結部41は、前後方向に延びた管状である。床面側連結部41は、便器側連結部24に対して前方から連結される。床面側連結部41は、便器側連結部24の外周側に重なって嵌合する。床面側連結部41と便器側連結部24とを連結することで、第一床面側部材40A及び第二床面側部材40Bのいずれかと便器側部材20とは連結される。
【0017】
床面側湾曲管部42は、床面側連結部41と第一床面接続部43Aとの間、床面側連結部41と第二床面接続部43Bとの間に設けられている。床面側湾曲管部42の前面は、図1に示すように、円弧状に湾曲した床面側湾曲部44を有している。床面側湾曲部44の上端は、床面側連結部41の上面に連なっている。
【0018】
第一床面接続部43A及び第二床面接続部43Bはそれぞれ、床面排水管12に接続される。第一床面接続部43A及び第二床面接続部43Bは、異なる構造を有している。
【0019】
第一床面接続部43Aは、図1に示すように、排水管部45と、張出部46と、を備えている。排水管部45及び張出部46はいずれも床面側湾曲管部42と一体に形成されている。排水管部45は、床面側湾曲管部42から鉛直下側に延びている。排水管部45の軸線48と、床面側連結部41の軸線47とは直交している。排水管部45は、円筒状をなしている。排水管部45は、床面排水管12の内側に差し込まれて接続される。排水管部45の外径寸法は、4種類のサイズの床面排水管12のうちVP75の内周面に適合する大きさである。VP75の内径寸法は、4種類の床面排水管12において最も小さい。
【0020】
張出部46は、床面側湾曲管部42の下端位置に設けられている。張出部46は、床面に沿って水平に張り出している。図3に示すように、平面視において、張出部46の左右方向の寸法Wは、張出部46の前後方向の寸法Dよりもわずかに大きい。
【0021】
張出部46の前縁46Mは、平面視において、前後方向に対して直交する直線状をなしている。張出部46の後縁46Uは、平面視において、張出部46の中心点46Cを中心とした円弧状をなしている。張出部46の中心点46Cは、排水管部45の軸線48の位置である。排水管部45の軸線48の位置は、排水芯の位置である。張出部46の中心点46Cは、張出部46の前後方向の中心及び左右方向の中心に位置している。張出部46の中心点46Cよりも前側の前側領域49は、平面視において長方形状である。張出部46の中心点46Cよりも後側の後側領域51は、平面視において半円形状である。
【0022】
張出部46は、床面に固定される締結部52を有している。締結部52は、張出部46の前側領域49に設けられている。張出部46の前側領域49は、床面側連結部41の延出側とは反対側の領域である。締結部52は、前側領域49において左右両端部に配置されている。締結部52は、張出部46の角部に設けられている。締結部52と張出部46の中心点46Cとの距離Lは、82.5mmである。これによって、張出部46は、床面排水管12を避けた位置に締結される。距離Lは、締結部52の中心と張出部46の中心点46Cとの水平面上の最短距離である。
【0023】
張出部46の上面と床面側連結部41の下面との間には、図1に示すように、連結部下凹部53が形成されている。連結部下凹部53は、床面側連結部41の後端から前側へ凹んでいる。連結部下凹部53は、後側に開放されている。連結部下凹部53によって、張出部46の上面57と床面側連結部41の下面とは離れている。
【0024】
張出部46の下面には、図1に示すように、張出部下凹部54が形成されている。張出部下凹部54は、上側に凹んでいる。張出部下凹部54は、張出部46の上面57と周面58とによって構成されている。張出部下凹部54は、排水管部45の全周に設けられている。張出部下凹部54によって、張出部46の上面57と床面との間に水平に広がった収納空間が形成されている。
【0025】
第二床面接続部43Bは、図4に示すように、フランジ接続部56を有している。フランジ接続部56は、床面側湾曲管部42と一体に形成されている。フランジ接続部56は、ガスケット59を介してフランジ付き排水管71のフランジ部55の上面に被せられる。フランジ接続部56は、図示しない締結部材によってフランジ部55に固定される。
【0026】
フランジ付き排水管71は、既設のものである。フランジ付き排水管71は、排水管部45とフランジ部55とを一体に有している。排水管部45は、床面排水管12の内側に差し込まれて接続される。排水管部45は、円筒状をなしている。排水管部45の軸線48と、床面側連結部41の軸線47とは直交している。排水管部45の外径寸法は、4種類のサイズの床面排水管12のうちVP75の内周面に適合する大きさである。フランジ部55は、排水管部45の上端から外側に水平に延出している。フランジ部55は、締結部材Tによって床面に固定される。
【0027】
3つのアダプター60A,60B,60Cは、いずれも合成樹脂製である。3つのアダプター60A,60B,60Cは、図5から図7に示すように、第一床面接続部43Aの排水管部45と、3つのサイズの床面排水管12のうちいずれかとの間に装着される。3つのアダプター60A,60B,60Cは、第一床面側部材40Aの排水管部45の外周側に嵌められる。
【0028】
3つのアダプター60A,60B,60Cは、VU75の床面排水管12に適合する第一アダプター60A、VP100の床面排水管12に適合する第二アダプター60B、VU100の床面排水管12に適合する第三アダプター60Cである。3つのアダプター60A,60B,60Cの内径寸法は、第一床面接続部43Aの排水管部45の外径寸法に適合した大きさである。3つのアダプター60A,60B,60Cの外径寸法は、それぞれ対応する床面排水管12の内径寸法に適合した大きさである。
【0029】
排水ソケット10を構成する部材の全ては、図8及び図9に示すように、梱包材14に収納されて便器13とともに梱包される。梱包材14は、便器13の上面に載せられる。便器13は、箱型トレイ15に載せられる。梱包材14及び箱型トレイ15は、段ボール製である。梱包材14、便器13及び箱型トレイ15は、図示しない紐等によって1つに纏められる。図8に示す状態を梱包状態と称する。
【0030】
梱包材14は、図9に示すように、箱部16と蓋部17とを有している。梱包材14は、蓋部17を下側にして便器13の上面に載せられる。図9は、梱包材14を下側から見た図であり、蓋部17を二点差線で表す。
【0031】
梱包材14の前後方向の寸法は、梱包材14の左右方向の寸法よりも大きい。梱包材14の前端部の左右方向の寸法は、後側から前側に向かって次第に小さくなっている。梱包材14の前端部は、梱包状態における便器13の鉢部19側の端部である。
【0032】
蓋部17は、排水ソケット10を構成する部材の大部分を覆う。梱包状態において、蓋部17は、排水ソケット10を構成する部材を支持する。蓋部17には、開口部18が設けられている。開口部18は、蓋部17の前端部に形成されている。開口部18は、平面視において台形状をなしている。開口部18の左右両縁は、前側に向かって次第に近づく向きで傾斜している。蓋部17には、各種の情報が印字されている。各種の情報は、排水ソケット10を構成する部材それぞれの収納場所や、排水ソケット10の施工方法などである。
【0033】
便器側部材20は、梱包材14の左右方向中央部に収納される。便器側部材20の便器側連結部24は、前後方向に延び、蓋部17に覆われる。便器接続部21は、開口部18の位置に配置され、開口部18から蓋部17の外側に突出している(図8参照)。梱包状態において、便器接続部21は、蓋部17よりも下側に突出し、便器13の鉢部19に収容される。
【0034】
第一床面側部材40A及び3つのアダプター60A,60B,60Cは、便器接続部21の右側に収納される。第一床面側部材40A及び3つのアダプター60A,60B,60Cの左右方向の位置は、便器側部材20及び箱部16の側壁によって固定される。第一床面側部材40A及び3つのアダプター60A,60B,60Cは、蓋部17に覆われる。
【0035】
第二床面側部材40Bは、便器接続部21の左側に収納される。第二床面側部材40Bのフランジ接続部56の下面は、開口部18の左側の傾斜縁に沿って配置される。第二床面側部材40Bの床面側連結部41及び床面側湾曲管部42は、梱包材14の内部で便器側部材20に接触した状態になる。第二床面側部材40Bの左右方向の位置は、開口部18の傾斜縁と便器側部材20とによって固定される。
【0036】
排水ソケット10を用いてトイレ室をリフォームする作業の一例を説明する。まず、既設の便器及び既設の排水ソケットを取り外す。次に、排水芯を測定する。排水芯は、床面排水管12の中心と、図示しないトイレ室の壁面との水平面上の最短距離である。
【0037】
次に、既設便器の接続構造に合わせて第一床面側部材40A及び第二床面側部材40Bのどちらを使用するか選定する。既設便器の接続構造がフランジ式である場合、第二床面側部材40Bを使用する。既設便器の接続構造が排水ソケット式である場合、第一床面側部材40Aを使用する。
【0038】
次に、便器側部材20と、選定した第一床面側部材40A及び第二床面側部材40Bとを連結する。この際、測定した排水芯に合わせて便器側連結部24を切断する。便器側連結部24と床面側連結部41とに接着剤を塗布して嵌め合わせる。
【0039】
次に、排水ソケット10を床面に固定する。フランジ式の排水ソケット10は、フランジ接続部56にガスケット59を取り付け、フランジ接続部56を既設のフランジ部55に固定する。
【0040】
排水ソケット式の排水ソケット10は、床面排水管12のサイズにあわせて選択したアダプター60A,60B,60Cのいずれかを用いて固定する場合がある。具体的には、床面排水管12がVP75の場合、アダプター60A,60B,60Cを取り付けない状態の排水管部45を床面排水管12に嵌め入れて固定する。床面排水管12がVU75の場合、第一アダプター60Aを排水管部45に接着し、アダプター60Aとともに排水管部45を床面排水管12に嵌め入れて固定する。床面排水管12がVP100の場合、床面排水管12に第二アダプター60Bを接着し、第二アダプター60Bに排水管部45を嵌め入れて固定する。床面排水管12がVU100の場合、床面排水管12に第三アダプター60Cを接着し、第三アダプター60Cに排水管部45を嵌め入れて固定する。その後、張出部46の締結部52を床面に固定する。
【0041】
次に、便器13を排水ソケット10に接続する。具体的には、便器13の便器排水管11を排水ソケット10の便器接続部21に挿入する。便器13を図示しない締結部材によって床面に固定する。以上により、トイレ室をリフォームする作業が完了する。
【0042】
上記のように構成された実施形態によれば、以下の効果を奏する。排水ソケット10は、便器排水管11と床面排水管12とを連結する。排水ソケット10は、便器側部材20と、第一床面側部材40A及び第二床面側部材40Bと、を備えている。便器側部材20は、便器接続部21及び便器側連結部24を有している。便器接続部21は、便器排水管11に接続される。便器側連結部24は、便器側部材20の下流側に設けられ、前後方向に延びている。第一床面側部材40A及び第二床面側部材40Bは、第一床面接続部43A及び第二床面接続部43Bと床面側連結部41とを有している。第一床面接続部43A及び第二床面接続部43Bは、床面排水管12に接続される。床面側連結部41は、便器側連結部24に対して前後方向に連結する。複数の床面側部材40A,40Bの床面接続部43A,43Bにおいて、床面排水管12との接続構造は異なっている。選定した床面側部材40A,40Bのうちの一つを便器側部材20に連結する。
【0043】
この構成によれば、共通の便器側部材20と、床面排水管12との接続構造に合わせて選択した第一床面側部材40A及び第二床面側部材40Bのいずれかを用いて、便器排水管11と床面排水管12とを連結できる。したがって、床面排水管12との接続構造毎に排水ソケット10を専用に備える場合と比べて、無駄を減らすことができる。
【0044】
既設の床面排水管12に合わせた接続構造を有する床面側部材40A,40Bを選定し、選定した床面側部材40A,40Bを便器側部材20に連結する。この構成によれば、既設の水洗便器を新設の便器13に容易に取りかえることができる。
【0045】
便器側部材20、第一床面側部材40A及び第二床面側部材40Bは、便器13とともに梱包されている。この構成によれば、便器13及び排水ソケット10をセットで取り扱えるから、部材の個別手配を必要としない。したがって、便器13の設置を容易に行うことができる。
【0046】
便器側部材20、第一床面側部材40A及び第二床面側部材40Bは、便器側部材20、第一床面側部材40A及び第二床面側部材40Bの少なくとも一部を便器13の鉢部19内に収めた状態で梱包されている。この構成によれば、便器13の鉢部19内に形成される空間を利用して、便器13及び排水ソケット10をコンパクトに梱包できる。
【0047】
便器側連結部24は、切断されることで前後方向の長さ寸法を調整できる。この構成によれば、排水芯の位置にあわせて便器側連結部24の長さ寸法を調整し、排水ソケット10を設置できる。
【0048】
排水ソケット10は、床面排水管12の種類に応じて床面排水管12と第一床面接続部43Aとの間に装着されるアダプター60A,60B,60Cを有している。この構成によれば、アダプター60A,60B,60Cを用いることで、径寸法の異なる床面排水管12に対応できる。したがって、床面排水管12の径寸法にあわせて多数の床面側部材を備える場合と比べて、無駄を減らすことができる。
【0049】
アダプター60A,60B,60Cは、便器13、便器側部材20、第一床面側部材40A及び第二床面側部材40Bとともに梱包されている。この構成によれば、便器13、排水ソケット10及びアダプター60A,60B,60Cをセットで取り扱えるから、部材の個別手配を必要としない。したがって、便器13の設置を容易に行うことができる。
【0050】
第一床面側部材40Aは合成樹脂製であり、床面に沿って張り出す張出部46を有している。張出部46の上面57と床面側連結部41の下面との間には、床面側連結部41の先端から奥側へ凹んだ連結部下凹部53が形成されている。この構成によれば、張出部46の上面57と床面側連結部41の下面とが連続している場合よりも肉厚を小さくして、ヒケの発生を抑制できる。
【0051】
第一床面側部材40Aは、床面に固定される締結部52を有している。締結部52は、第一床面側部材40Aの前側領域49に設けられている。締結部52は、前側領域49において床面側連結部41の軸線47に交差する左右両端部に配置されている。この構成によれば、締結部52の真上に床面側連結部41が被らないから、締結作業を容易に行うことができる。
【0052】
排水ソケット10は、便器接続部21と、第一床面接続部43A及び第二床面接続部43Bそれぞれとの間に、後方向に凸の湾曲した流路を形成する便器側湾曲管部22を有している。この構成によれば、スムーズに排水できる。
【0053】
張出部46の下面には、上側に凹んだ張出部下凹部54が形成されている。この構成によれば、床面排水管12の上端など、床面より上側に突出しているものがあっても、それらを張出部下凹部54に収納し、第一床面側部材40Aを床面に配置できる。
【0054】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態において排水ソケット10を構成する部材の全ては梱包材14に収納されて便器13の上面に載置されている。これに限らず、排水ソケットを構成する部材のうちいくつかの部材を、便器のうち排水トラップの周囲に形成される空間に収納してもよい。
(2)上記実施形態において排水ソケット10は2つの第一床面側部材40A及び第二床面側部材40Bを有している。これに限らず、排水ソケットは3つ以上の床面側部材を備えてもよい。
(3)上記実施形態において排水ソケット10は1つの便器側部材20を有している。これに限らず、排水ソケットは2つ以上の便器側部材を備えてもよい。例えば2つの便器側部材は、手洗い排水管を接続する手洗い接続部を有するものと、有さないものとであってもよい。
(4)上記実施形態において便器側湾曲管部22は、後方向に凸の湾曲した流路を形成する。これに限らず、湾曲管部は、前方向に凸の湾曲した流路を形成してもよい。言い換えると、排水ソケット10を前後逆向きにして接続してもよい。この構成によれば、トイレ室の壁面に近い位置の床面排水管に、排水ソケットを接続できる。
(5)上記実施形態において便器側湾曲管部22の外面のうちの後面を、後方に膨らんだ形状にしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…排水ソケット、11…便器排水管(便器の排水管)、12…床面排水管(床面の排水管)、13…便器、19…鉢部、20…便器側部材、21…便器接続部、22…便器側湾曲管部、24…便器側連結部、40A,40B…床面側部材、41…床面側連結部、43A,43B…床面接続部、46…張出部、47…床面側連結部の軸線、49…前側領域(第一床面側部材のうち床面側連結部の延出側とは反対側の領域)、52…締結部、53…連結部下凹部、54…張出部下凹部、57…張出部の上面、60A,60B,60C…アダプター
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