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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176132
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】浴槽
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/02 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A47K3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088253
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】喜多 亮太
(72)【発明者】
【氏名】増川 功一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】信田 健太郎
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132AA17
2D132AB03
(57)【要約】
【課題】意匠性を向上し得る浴槽を提供する。
【解決手段】浴槽10は、浴槽本体11と、該浴槽本体の洗い場2側を覆うように取り付けられるエプロン20と、を備えており、前記エプロンには、前記浴槽本体とは異なる色または模様の加飾フィルム28が貼着されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽本体と、該浴槽本体の洗い場側を覆うように取り付けられるエプロンと、を備えており、
前記エプロンには、前記浴槽本体とは異なる色または模様の加飾フィルムが貼着されていることを特徴とする浴槽。
【請求項2】
請求項1において、
前記エプロンは、前記浴槽本体に対して着脱自在とされ、かつ、該浴槽本体に取り付けられた状態で前記洗い場側において露出し、前記加飾フィルムが貼着された表面部と、該浴槽本体に設けられた保持部に保持され、前記加飾フィルムが貼着されていない被保持部と、を備えていることを特徴とする浴槽。
【請求項3】
請求項1において、
前記エプロンは、前記浴槽本体に対して着脱自在とされ、かつ、該浴槽本体に取り付けられた状態で前記洗い場側において露出し、前記加飾フィルムが貼着された表面部と、該浴槽本体に設けられた保持部に保持され、貼着された前記加飾フィルムを保護する保護部材が貼着された被保持部と、を備えていることを特徴とする浴槽。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記浴槽本体の保持部は、前記洗い場側の上端縁部に形成された下向き開口の保持溝であり、前記エプロンの被保持部は、上方側に向けて突出するように上端部に設けられ、前記保持溝に差し込まれる突片部であることを特徴とする浴槽。
【請求項5】
請求項4において、
前記保持溝の溝幅方向一方側の溝内壁には、前記突片部との隙間を小さくするスペーサーが貼着されていることを特徴とする浴槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浴槽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室に設置される浴槽が知られている。
例えば、下記特許文献1には、浴槽、エプロン、洗い場パンに分割され、色の異なるエプロンを選択して施工可能な構成とされた浴槽が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-27860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された浴槽では、着色された樹脂等から形成された複数の単色のエプロンのうちから選択することが考えられるが、意匠性の観点からは更なる改善が望まれる。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、意匠性を向上し得る浴槽を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示に係る浴槽は、浴槽本体と、該浴槽本体の洗い場側を覆うように取り付けられるエプロンと、を備えており、前記エプロンには、前記浴槽本体とは異なる色または模様の加飾フィルムが貼着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る浴槽は、上述のような構成としたことで、意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る浴槽の一例及びこれを備えた浴室装置の一例を模式的に示す一部省略概略斜視図である。
図2】(a)、(b)は、同浴室装置の一部破断概略分解斜視図である。
図3】(a)、(b)は、同浴室装置の一部破断概略分解斜視図である。
図4】(a)、(b)は、同浴室装置の一部破断概略分解斜視図である。
図5】(a)、(b)は、同浴室装置の一部破断概略縦断面図である。
図6】(a)は、同浴槽が備えるエプロンの一例を模式的に示す概略縦断面図、(b)は、同浴槽が備えるエプロンの一変形例を模式的に示す概略縦断面図である。
図7】(a)は、同一例のエプロンの概略横断面図、(b)は、同一変形例のエプロンの概略横断面図である。
図8図6(a)におけるX部に対応させた一部破断概略拡大縦断面図である。
図9】(a)は、同浴槽が備えるエプロンの一例を模式的に示す概略縦断面図、(b)は、同浴槽が備えるエプロンの一変形例を模式的に示す概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本開示の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
以下の実施形態では、本実施形態に係る浴槽の一例及びこれを備えた浴室装置の一例を施工した状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
図1図9は、本実施形態に係る浴槽の一例及びこれを備えた浴室装置の一例を模式的に示す図である。
【0010】
本実施形態に係る浴槽10は、図1に示すように、浴槽本体11と、この浴槽本体11の洗い場2側を覆うように取り付けられるエプロン20,30と、を備えている。このような構成とすれば、浴槽本体11の洗い場2側をエプロン20,30によって覆うことができる。
この浴槽10は、浴室装置1を構成する。浴室装置1は、浴室床を構成する床パン3や、浴室の四周を区画する壁パネル、浴室天井を構成する天井パネル等を備え、いわゆるユニットバス(システムバス)等の浴室ユニットを構成する。
床パン3は、平面視して略方形状とされている。図例では、床パン3は、洗い場2の床部を構成する洗い場床パンのみを構成している。つまり、図例では、浴槽10が設置される浴槽床パンを備えていない浴室装置1を例示しているが、浴槽床パンを備えていてもよい。この場合は、洗い場床パン(床パン3)と浴槽床パンとが一体成形されていてもよく、分割されていてもよく、更に細かく分割された複数の床パネルによって構成されていてもよい。
【0011】
床パン3の適所には、床下の排水管に接続される排水部が設けられている。この床パン3は、スラブ等の基礎床上に適宜の支持脚等を介して設置される構成とされていてもよい。
この床パン3の浴槽10側の端部には、図5(a)に示すように、上方側に立ち上がるように堰部3aが設けられている。この床パン3の壁側の端部には、壁パネルを受ける壁受部や、浴室出入口を開閉する建具が設置される建具設置部が設けられている。浴槽10を囲む壁パネルは、浴槽本体11の壁側の上端部に形成された壁受部に設置されてもよい。天井パネルは、四周の壁パネルの上端部に接合されて設置されてもよく、天井パネルの適所に適宜の換気装置が設けられてもよい。四周の壁面の適所に、照明や窓、操作パネル等が設けられてもよい。浴室装置1を構成する床パン3は、図例のような構成に限られず、また、浴室装置1を構成する図示省略の天井パネルや壁パネル、建具、水栓装置等も種々の構成とされていてもよい。
【0012】
浴槽本体11は、平面視して略方形状とされている(図1参照)。この浴槽本体11は、上方側に向けて開口する湯水溜め部を区画するように形成されている。この浴槽本体11の湯水溜め部の内周壁には、手摺や腕置き段差部、脚載せ(腰掛)段差部等が設けられていてもよい。この浴槽本体11は、有機ガラス系等の種々の人造大理石や、ガラス繊維強化プラスチック等から形成されていてもよい。この浴槽本体11には、白色やベージュ等の淡色系や黒色等の濃色系の単色の着色が施されていてもよい。この浴槽本体11の湯水溜め部の外周側には、適宜の断熱材が設けられていてもよい。この浴槽本体11は、適宜のフレームや支持脚を介してスラブ等の基礎床上に設置されてもよい。
【0013】
エプロン20,30には、浴槽本体11とは異なる色または模様の加飾フィルム28,38(図8も参照)が貼着されている。このような構成とすれば、エプロン20,30の表面に、単色のみならず、レザー調や木目調、メタル調、石目調などの種々の模様を施すことができ、意匠性を向上させることができる。また、単色のエプロンに加飾フィルム28,38を貼着した構成とできるので、加飾フィルム28,38を貼着していない単色のエプロンも含めて製品バリエーションを効果的に多くすることもできる。
エプロン20,30は、図2図5に示すように、浴槽本体11に対して着脱自在とされている。このような構成とすれば、エプロン20,30を取り外すことで、エプロン20,30の背面(浴槽本体11側に向く面)側やエプロン20,30内を清掃することができる。
【0014】
エプロン20,30は、図6(a)及び図9(a)に示すように、浴槽本体11に取り付けられた状態で洗い場2側において露出し、加飾フィルム28,38が貼着された表面部21,31を備えている。このような構成とすれば、浴槽本体11に取り付けられた状態で洗い場2側において露出する表面部21,31の意匠性を向上させることができる。
エプロン20,30は、図5図6(a)及び図9(a)に示すように、浴槽本体11に設けられた保持部(19)に保持され、加飾フィルム28,38が貼着されていない被保持部(22,32)を備えている。このような構成とすれば、エプロン20,30を着脱する際に保持部(19)との接触によって損傷し易い部位となる被保持部(22,32)には加飾フィルム28,38が貼着されていないので、被保持部(22,32)において加飾フィルム28,38が損傷するようなことを抑制することができる。
【0015】
浴槽本体11の保持部は、洗い場2側の上端縁部に形成された下向き開口の保持溝19であり、エプロン20,30の被保持部は、上方側に向けて突出するように上端部に設けられ、保持溝19に差し込まれる突片部22,32である。このような構成とすれば、エプロン20,30の突片部22,32を浴槽本体11の保持溝19に差し込むことでエプロン20,30の上端側を浴槽本体11に保持させることができる。また、突片部22,32には、加飾フィルム28,38が貼着されていないので、上端側において目立ち易くなる突片部22,32における加飾フィルム28,38の損傷を抑制することができる。
保持溝19の溝幅方向一方側の溝内壁には、突片部22との隙間を小さくするスペーサー18が貼着されている。このような構成とすれば、後述するように、エプロン(第1エプロン)20を着脱する際における保持溝19に対する突片部22の溝幅方向への可動域をスペーサー18によって小さくすることができる。これにより、突片部22の基端側に連なる上面部21bと浴槽本体11との接触を抑制することができ、上面部21bの加飾フィルム28の損傷を抑制することができる。
【0016】
具体的には、エプロン20,30は、浴槽本体11の上端部と床パン3との間に亘って浴槽本体11の洗い場2側を覆うように設けられている。このエプロン20,30の表面部21,31の洗い場2側に向く正面部21a,31a(図6(a)及び図9(a)参照)は、突湾曲面状や凹湾曲面状、平坦面状でもよく、これらが組み合わされた形状でもよい。
エプロン20,30は、浴槽本体11の長手方向に分割されている。つまり、浴槽10は、浴槽本体11の長手方向に互いに隣接して配される複数のエプロン20,30を備えている。本例では、浴槽10は、浴槽本体11の長手方向一方側となるカウンターや水栓装置が設置される側(カウンター側)の第1エプロン20と、この第1エプロン20に隣接して浴槽本体11の長手方向他方側に配される第2エプロン30と、を備えている。これら第1エプロン20及び第2エプロン30は、概ね方形平板状とされている。
【0017】
第1エプロン20は、図1に示すように、浴槽本体11の長手方向に沿う寸法が第2エプロン30の同方向に沿う寸法よりも小とされている。この第1エプロン20は、厚さ方向に見て概ね正方形状とされている。
第1エプロン20の突片部22は、図4(a)に示すように、浴槽本体11の長手方向に沿うように第1エプロン20の上端部の略全体に亘って設けられている。この突片部22は、図5及び図6(a)に示すように、正面部21aとの間に段差が形成されるように、正面部21aから浴槽本体11側に段下がり状に設けられている。この突片部22は、正面部21aから段下がり状とされた部位から上方側に向けて突出する縦片部と、この縦片部の上端部から浴槽本体11側に向けて延出する横片部と、を備えている。
【0018】
この突片部22が差し込まれる保持溝19は、浴槽本体11の長手方向に延びるように設けられている。この保持溝19は、図5に示すように、浴槽本体11の上端部から洗い場2側に向けて延出するように設けられたフランジ部12によって溝底側が区画されている。この保持溝19の溝幅方向一方側の溝内壁は、浴槽本体11の洗い場2側の外周壁とエプロン20,30との間に設けられた内エプロン13の上端部13aによって区画されている。内エプロン13は、浴槽本体11の長手方向の全体に亘って設けられている。この内エプロン13は、その下端部が床パン3の堰部3aに適宜のシール材等を介して支持される構成でもよい。この内エプロン13は、その上端部がフランジ部12の下面に適宜のシール材等を介して当接される構成でもよい。この内エプロン13には、当該内エプロン13を貫通するように設けられた点検口を覆う蓋体17が設けられている。
【0019】
保持溝19の溝幅方向他方側の溝内壁は、フランジ部12の洗い場2側の端部から下方側に向けて垂れ下がる垂下片部12aによって区画されている。この保持溝19の溝幅方向両側の溝内壁のうちの少なくとも一方となる内エプロン13の上端部13aの洗い場2側に向く面にスペーサー18が貼着されている。内エプロン13の上端部13aに代えて、または加えて、垂下片部12aの浴槽本体11側に向く面にスペーサー18が貼着されていてもよい。
スペーサー18は、浴槽本体11の長手方向に延びるように設けられていてもよく、浴槽本体11の長手方向に間隔を空けて複数箇所に貼着されていてもよい。このスペーサー18は、EPDM(エチレンプロピレンゴム)等のゴムシートでもよい。このスペーサー18は、フランジ部12の下面側に下方側に向けて突出するように、かつ浴槽本体11の長手方向に間隔を空けて複数箇所に設けられ、エプロン20,30の突片部22,32を受ける受突起が設けられていない箇所に設けられていてもよい。このスペーサー18は、後記するように着脱させる際に浴槽本体11の長手方向にスライドされる第1エプロン20の突片部22の背面側に位置するように設けられていてもよい。第2エプロン30の突片部32の背面側にはスペーサー18を設けていない構成としてもよい。さらには、このようなスペーサー18を設けていない構成としてもよい。
【0020】
第1エプロン20の浴槽本体11側に向く背面には、図4(b)及び図5に示すように、浴槽本体11側に設けられた支持部15に支持される被支持部23が設けられている。被支持部23は、図6(a)及び図7(a)に示すように、第1エプロン20の背面の下端側部位から浴槽本体11側に向けて突出するように設けられている。図例では、第1エプロン20の背面に、浴槽本体11の長手方向に間隔を空けて複数(図例では2つ)の被支持部23,23を設けた例を示している。これら被支持部23,23の突出方向先端部の下面側には、浴槽本体11側に設けられた支持部15のガイド溝にガイドされる被ガイド部が設けられている。
支持部15は、内エプロン13のカウンター側の下端側部位から洗い場2側に向けて突出するように、かつ浴槽本体11の長手方向に延びるように設けられている。この支持部15には、上方側に向けて開口し、浴槽本体11の長手方向に延びるガイド溝が設けられている。
【0021】
第1エプロン20の第2エプロン30側の端部には、図4に示すように、浴槽本体11側に設けられた保持部16に保持される被保持部24が設けられている。被保持部24は、第1エプロン20の第2エプロン30側の端部の上下方向の全体に亘って設けられている。上記した突片部22は、この被保持部24が設けられた部位を除いて第1エプロン20の上端部の略全体に亘って設けられている。この被保持部24は、図4(a)及び図7(a)に示すように、正面部21aとの間に段差が形成されるように、正面部21aから浴槽本体11側に段下がり状に設けられている。この被保持部24は、第2エプロン30側に向けて突出するように設けられている。この被保持部24は、薄板状とされている。
保持部16は、被保持部24に設けられたねじ挿通孔に挿通されたねじがねじ合わされる雌ねじ部でもよい。図例では、被保持部24の上端側部位及び下端側部位のそれぞれに設けられたねじ挿通孔に応じた位置となるように上下に間隔を空けて2つの保持部16,16を内エプロン13に設けた例を示している。
【0022】
上記構成とされた第1エプロン20を浴槽本体11に対して取り付ける際には、以下のようにしてもよい。図3(b)及び図4(a)に示すように、被支持部23,23が支持部15に干渉しない位置となるように、カウンター側の壁から離間させた位置において、斜め状にして第1エプロン20の上端部の突片部22を保持溝19に差し込む。そして、図3に示すように、被支持部23,23の被ガイド部を支持部15のガイド溝に係合させてカウンター側の壁に向けて第1エプロン20をスライドさせ、被保持部24のねじ挿通孔を介して保持部16,16にねじをねじ合わせて固定するようにしてもよい。このように浴槽本体11に第1エプロン20が取り付けられた状態では、浴槽本体11の垂下片部12aの洗い場2側に向く面と第1エプロン20の正面部21a(図6(a)参照)とが概ね同一平面状となる。また、この状態では、浴槽本体11の垂下片部12aとこれに対向するように配される上面部21bとの間に隙間が形成され、床パン3とこれに対向するように配される下面部21cとの間に隙間が形成される。
第1エプロン20を取り外す際には、上記とは逆に、保持部16,16にねじ合わせたねじを取り外し、カウンター側の壁から離間させるように第1エプロン20をスライドさせる。そして、支持部15のガイド溝に対する被支持部23,23の被ガイド部の係合が解除されれば、斜め状にして突片部22を保持溝19から脱離させて第1エプロン20を取り外すようにしてもよい。
【0023】
上記のように第1エプロン20を斜め状にして着脱させる際には、突片部22の背面側に受突起が存在しない箇所において斜め状にされる場合がある。この場合には、突片部22が浴槽本体11(内エプロン13)側に変位し易くなり、その基端側の上面部21bが垂下片部12aに接触する懸念があるが、本例では、スペーサー18を設けているので、このような突片部22の変位を抑制することができる。
この第1エプロン20には、図3に示すように、配管が挿通される挿通部25が設けられている。図例では、挿通部25は、壁側の端部において開口するように切欠状に設けられている。内エプロン13には、挿通部25に対応した位置となるように配管の挿通孔が設けられている。第1エプロン20の挿通部25の周囲には、カウンターの端部を受け入れる凹部が設けられている。配管態様やカウンターの配置態様等によっては、このような挿通部25や凹部を第1エプロン20に設けていない構成としてもよい。
【0024】
第1エプロン20は、図6(a)及び図7(a)に示すように、エプロン本体を構成する基材26の洗い場2側に加飾フィルム28を貼着した構成とされている。
基材26は、薄板状とされており、洗い場2側の正面板部の四周縁部から浴槽本体11側に向けて延出する四周の片部(上片部、下片部及び両側片部)を設けた構成とされている。この基材26の上片部が突片部22との段差面を構成し、この上片部に連なるように突片部22が形成されている。また、基材26の第2エプロン30側の側片部が被保持部24との段差面を構成し、この側片部に連なるように被保持部24が形成されている。
この基材26は、PMMA(アクリル樹脂)等の種々の合成樹脂系材料や、ガラス繊維強化プラスチック等から形成されていてもよい。この基材26には、上記した浴槽本体11と概ね同様、単色の着色が施されていてもよい。この基材26は、加飾フィルム28が貼着されていない場合には、単色の第1エプロンを構成してもよい。
【0025】
加飾フィルム28は、図6(a)に示すように、第1エプロン20の表面部21を構成する正面部21aから突片部22の基端側に連なる段差面となる上方側に向く上面部21bを構成するように貼着されている。このような構成とすれば、浴槽本体11の垂下片部12aの下端との間に隙間があるような場合にも、隙間を介して見える上面部21bには加飾フィルム28が貼着されているので見栄えを向上させることができる。図例では、段差面の突片部22側部位には加飾フィルム28が貼着されていない例を示している。
加飾フィルム28は、突片部22の洗い場2側に向く面及び上方側に向く面には貼着されていない。つまり、突片部22においては基材26が露出している。
加飾フィルム28は、正面部21aから連なる下方側に向く下面部21cを構成するように貼着されている。図例では、基材26の下片部の下方側に向く面の全体に亘って加飾フィルム28を貼着した例を示しているが、背面側部位には貼着していない構成としてもよい。
【0026】
加飾フィルム28は、図7(a)に示すように、正面部21aから浴槽本体11の長手方向両側に連なる両側面部21d,21dを構成するように貼着されている。図例では、被保持部24側の基材26の側片部の外側面の背面側部位には加飾フィルム28を貼着していない構成としている。また、図例では、基材26のカウンター側の側片部の外側面の全体に亘って加飾フィルム28を貼着した例を示しているが、背面側部位には貼着していない構成としてもよい。
つまり、本例では、正面部21a及びこれに連なる四周面(上面、下面及び両側面)の少なくとも正面側部位(21b,21c,21d,21d)に加飾フィルム28が貼着されている。このような構成とすれば、正面部21aのみに加飾フィルム28が貼着された構成と比べて、四周縁部の見栄えを向上させることができ、また、縁部からの加飾フィルム28の剥離を抑制することができる。
加飾フィルム28は、被保持部24には貼着されていない。つまり、被保持部24においては基材26が露出している。このような構成とすれば、保持部16にねじ合わされるねじ等によって加飾フィルム28が損傷するようなことがない。
図例では、第1エプロン20に形成されたカウンターの端部を受け入れる凹部の底面にも加飾フィルム28が貼着された例を示しているが、当該部位には加飾フィルム28が貼着されていない構成としてもよい。
【0027】
この加飾フィルム28は、図8に示すように、当該加飾フィルム28の最表層となる表面層28aと、この表面層28aの裏側(基材26側)に位置する印刷層28bと、を備えている。加飾フィルム28は、この印刷層28bの裏側に位置するベース層28dと、ベース層28dの裏側に位置する接着層28eと、を備えている。
表面層28aは、例えば、透明なPVDF(ポリフッ化ビニリデン)やPMMA(アクリル樹脂)、PVC(ポリ塩化ビニル)等から形成されていてもよい。
印刷層28bは、当該加飾フィルム28に色柄を付与する層であり、種々の模様が印刷によって形成されていてもよい。例えば、印刷層28bには、レザー調や木目調、メタル調、石目調などの種々の模様が形成されていてもよい。
ベース層28dは、例えば、硬質PVCやABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等から形成されていてもよい。
【0028】
ベース層28d及び印刷層28bの両方または一方に、メタルフレーク28cが含有されていてもよい。このような構成とすれば、加飾フィルム28の表面側に微小なシボ加工状の凹凸を設けることができ、水はけ性を向上させることができ、また、金属感を付与することができる。図例では、印刷層28bにメタルフレーク28cを含有させた例を示している。メタルフレーク28cは、薄片状で、例えば、直径(長径)が1μm~25μm程度とされていてもよい。メタルフレーク28cを構成する金属としては、例えば、アルミニウムやシリカ、チタン、亜鉛、銅、ニッケル等でもよい。ベース層28d及び印刷層28bの両方または一方に対するメタルフレーク28cの含有割合は、加飾フィルム28の表面側に微小なシボ加工状の凹凸が形成されるように適宜、設定されてもよい。
【0029】
接着層28eは、例えば、加水分解しにくいPMMA系接着剤でもよく、エポキシ系やウレタン系等の種々の接着剤から形成されていてもよい。
この加飾フィルム28は、厚さが0.1mm~0.3mm程度でもよい。加飾フィルム28の層構成としては、上記した構成に限られず、その他、種々の構成とされていてもよい。
この加飾フィルム28は、プライマー層27を介して基材26の表面に貼着されていてもよい。プライマー層27は、例えば、イソシアネート系のプライマーが塗布されて形成されていてもよい。
【0030】
この加飾フィルム28は、TOM(Three dimension Overlay Method)成形(真空・圧空成形)によって基材26の表面に密着状に貼り付けられてもよい。例えば、それぞれに真空源に連通された上下のチャンバーの下チャンバーの台座に載置された基材26の上方側に加飾フィルム28を配置して上下のチャンバー内を減圧する。そして、上下のチャンバー内で加飾フィルム28を加熱して軟化させた状態で、台座を上昇させて基材26の表面に加飾フィルム28を押し当て、上チャンバー内を大気開放または加圧することで基材26の表面に加飾フィルム28を密着させるようにしてもよい。この場合、上記のように基材26に加飾フィルム28が貼着されていない非貼着部が形成されるように、第1エプロン20の突片部22や被保持部24に貼着された加飾フィルム28をトリミング等によって除去するようにしてもよい。基材26の表面に加飾フィルム28を貼着する態様としては、上記に限られず、真空成形やインモールド成形、インサート成形等、種々の成形態様の採用が可能である。
【0031】
第2エプロン30は、図1及び図2に示すように、厚さ方向に見て、浴槽本体11の長手方向に長尺な略長方形状とされている。
第2エプロン30の突片部32は、浴槽本体11の長手方向に沿うように第2エプロン30の上端部の全体に亘って設けられている。この突片部32は、第1エプロン20の突片部22と概ね同様、図9(a)に示すように、正面部31aとの間に段差が形成されるように、正面部31aから浴槽本体11側に段下がり状に設けられている。
第2エプロン30の浴槽本体11側に向く背面には、図2(b)及び図9(a)に示すように、浴槽本体11側に設けられた支持部14に支持される被支持部33が設けられている。被支持部33は、第2エプロン30の背面の下端側部位から浴槽本体11側に向けて突出するように設けられている。図例では、第2エプロン30の背面に、浴槽本体11の長手方向に間隔を空けて複数(図例では2つ)の被支持部33,33を設けた例を示している。これら被支持部33,33は、浴槽本体11側に設けられた支持部14,14の受凹部(キャッチ部)に差し込まれて保持される係合突起(ストライカー)でもよい。支持部14,14は、内エプロン13の下端側部位に浴槽本体11の長手方向に間隔を空けて複数箇所(2箇所)に設けられている。
【0032】
第2エプロン30の背面の下端側部位には、内エプロン13の下端側部位から洗い場2側に向けて突出するように形成されたリブ上に保持される適宜の被保持突起が設けられていてもよい。図例では、被支持部33,33に隣接した位置に被保持突起を設けた例を示している。第2エプロン30の下端側部位には、当該第2エプロン30を着脱する際の手掛部が設けられていてもよい。
この第2エプロン30は、その第1エプロン20側の端部によって第1エプロン20の被保持部24を覆うように浴槽本体11に取り付けられる。
この第2エプロン30を浴槽本体11に対して取り付ける際には、図2(a)に示すように、斜め状にしてその上端部の突片部32を保持溝19に差し込む。そして、背面下端側の被支持部33,33を浴槽本体11側の支持部14,14に係合保持させて第2エプロン30を浴槽本体11に取り付けるようにしてもよい。また、第2エプロン30を取り外す際には、上記とは逆に、浴槽本体11側の支持部14,14に対する被支持部33,33の係合を解除させるように下端側を洗い場2側に向けて引っ張り、突片部32を保持溝19から脱離させて第2エプロン30を取り外すようにしてもよい。
【0033】
この第2エプロン30は、図9(a)に示すように、第1エプロン20と概ね同様、エプロン本体を構成する基材36の洗い場2側に加飾フィルム38を貼着した構成とされている。基材36は、上記同様、薄板状とされており、洗い場2側の正面板部の四周縁部から浴槽本体11側に向けて延出する四周の片部(上片部、下片部及び両側片部)を設けた構成とされている。上記同様、この基材36の上片部が突片部32との段差面を構成し、この上片部に連なるように突片部32が形成されている。この基材36は、上記同様、種々の合成樹脂系材料や、ガラス繊維強化プラスチック等から形成されていてもよい。この基材36には、上記同様、単色の着色が施されていてもよい。この基材36は、加飾フィルム38が貼着されていない場合には、単色の第2エプロンを構成してもよい。
【0034】
加飾フィルム38は、上記同様、第2エプロン30の表面部31を構成する正面部31aから突片部32の基端側に連なる段差面となる上方側に向く上面部31bを構成するように貼着されている。図例では、段差面の突片部32側部位には加飾フィルム38が貼着されていない例を示している。
加飾フィルム38は、上記同様、突片部32の洗い場2側に向く面及び上方側に向く面には貼着されていない。
加飾フィルム38は、正面部31aから連なる下方側に向く下面部31cを構成するように貼着されている。図例では、基材36の下片部の下方側に向く面の背面側部位には加飾フィルム38が貼着されていない例を示している。
加飾フィルム38は、図示を省略しているが、正面部31aから浴槽本体11の長手方向両側に連なる両側面部を構成するように貼着されていてもよい。この場合、基材36の両側片部の外側面の背面側部位には加飾フィルム38を貼着していない構成としてもよい。
【0035】
この加飾フィルム38は、図8に示すように、上記した第1エプロン20の加飾フィルム28と同様の層構成とされている。つまり、加飾フィルム38は、表面層38aと印刷層38bとベース層38dと接着層38eとを備えている。ベース層38d及び印刷層38bの両方または一方には、上記同様、メタルフレーク38cが含有されていてもよい。
この加飾フィルム38は、上記同様、プライマー層37を介して基材36の表面に貼着されていてもよい。
この加飾フィルム38は、上記同様、TOM成形や種々の成形態様によって基材36の表面に密着状に貼り付けられてもよい。
【0036】
次に、同浴槽10に備えられるエプロンの変形例について、図面を参照しながら説明する。
以下の変形例では、上記した例との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。上記した例と同様に奏する作用効果についても説明を省略または簡略に説明する。
【0037】
図6(b)及び図7(b)は、変形例に係る第1エプロン20Aを模式的に示している。本例では、第1エプロン20Aの被保持部を構成する突片部22及び被保持部24には、貼着された加飾フィルム28を保護する保護部材29が貼着されている。このような構成とすれば、突片部22及び被保持部24に貼着された加飾フィルム28が保護部材29によって保護されているので、突片部22及び被保持部24において加飾フィルム28が損傷するようなことを抑制することができる。保護部材29は、例えば、加飾フィルム28よりも耐擦傷性の良好な保護テープ等でもよい。
図6(b)に示すように、基材26の上片部の上面並びに突片部22の洗い場2側に向く面及び上面に一連状に加飾フィルム28が貼着されている。保護部材29は、突片部22の洗い場2側に向く面及び上面に一連状に貼着されている。
図7(b)に示すように、被保持部24側の基材26の側片部の外側面及び被保持部24の洗い場2側に向く面に一連状に加飾フィルム28が貼着されている。保護部材29は、被保持部24の洗い場2側に向く面に貼着されている。
【0038】
図9(b)は、変形例に係る第2エプロン30Aを模式的に示している。本例では、上記同様、第2エプロン30Aの被保持部を構成する突片部32には、貼着された加飾フィルム38を保護する上記同様の保護部材39が貼着されている。
基材36の上片部の上面並びに突片部32の洗い場2側に向く面及び上面に一連状に加飾フィルム38が貼着されている。保護部材39は、突片部32の洗い場2側に向く面及び上面に一連状に貼着されている。
【0039】
上記した例では、エプロン20,20A,30,30Aの上端部に被保持部を構成する突片部22,32を設けた例を示しているが、このような突片部に代えて、エプロン20,20A,30,30Aの上端部自体が保持溝19に差し込まれてもよい。
上記した例では、エプロン20,20A,30,30Aの突片部22,32及び被保持部24に、加飾フィルム28,38が貼着されていない構成または貼着された加飾フィルム28,38を保護する保護部材29,39を設けた例を示しているが、これらに限らない。例えば、エプロン20,20A,30,30Aの突片部22,32及び被保持部24に、保護部材29,39を設けることなく加飾フィルム28,38が貼着された構成としてもよい。
【0040】
上記した例では、エプロン20,20A,30,30Aを浴槽本体11に対して着脱自在とした例を示しているが、着脱不能とされていてもよい。
上記した例では、浴槽本体11とエプロン20,20A,30,30Aとの間に内エプロン13を設けた例を示しているが、このような内エプロン13が設けられていない構成でもよい。
上記した例では、浴槽10に、浴槽本体11の長手方向に分割された複数のエプロン20,20A,30,30Aを設けた例を示しているが、1枚のエプロンが設けられた構成でよい。
上記した浴槽10の各部及び各部材の構成は、上記したような構成に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 浴槽
11 浴槽本体
16 保持部
18 スペーサー
19 保持溝(保持部)
20,20A 第1エプロン(エプロン)
21,31 表面部
22,32 突片部(被保持部)
24 被保持部
28,38 加飾フィルム
29,39 保護部材
30,30A 第2エプロン(エプロン)
2 洗い場
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9