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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176139
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】積層コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20231206BHJP
   H01R 13/514 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H01R13/42 F
H01R13/42 D
H01R13/514
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088262
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萬 知紘
(72)【発明者】
【氏名】原 照雄
(72)【発明者】
【氏名】竹内 竣哉
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE14
5E087EE15
5E087FF06
5E087FF08
5E087FF13
5E087GG22
5E087GG26
5E087GG31
5E087GG32
5E087JJ08
5E087MM05
5E087RR06
(57)【要約】
【課題】積層コネクタにおいて端子の保持力を向上させる技術を提供する。
【解決手段】積層コネクタ10は、複数の端子20と、少なくとも1つの第1部材30と、第1部材30に対して第1方向における一方側から積層される少なくとも1つの第2部材40と、を備え、第1部材30は、端子20を収容する端子収容部31を複数有し、第2部材40は、基部41と、第1方向における他方側に基部41から突出する複数の係止突起42と、隣接する係止突起42を連結する少なくとも1つの連結部43と、を備え、端子20は、第2方向における一方側から係止突起42と係止する係止部22を備え、連結部43は、係止部22の第1方向における一方側の端部22Aよりも第1方向における他方側に突出している。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子と、
少なくとも1つの第1部材と、
前記第1部材に対して第1方向における一方側から積層される少なくとも1つの第2部材と、を備え、
前記第1部材は、前記端子を収容する端子収容部を複数有し、
前記第2部材は、基部と、前記第1方向における他方側に前記基部から突出する複数の係止突起と、隣接する前記係止突起を連結する少なくとも1つの連結部と、を備え、
前記端子は、第2方向における一方側から前記係止突起と係止する係止部を備え、
前記連結部は、前記係止部の前記第1方向における一方側の端部よりも前記第1方向における他方側に突出している、積層コネクタ。
【請求項2】
前記連結部は、前記連結部から前記第1方向における一方側に凹む溝部を有し、
前記第1部材は、隣接する前記端子収容部間に配されて前記溝部に収容される凸部を備える、請求項1に記載の積層コネクタ。
【請求項3】
前記溝部は、前記第2方向と交差する方向に延びている、請求項2に記載の積層コネクタ。
【請求項4】
前記第2部材は前記連結部を複数備え、
各前記連結部には、前記溝部が同一の方向に延びて設けられている、請求項3に記載の積層コネクタ。
【請求項5】
前記第2部材は、隣接する前記係止突起間に受入空間を有し、
前記受入空間は、前記連結部よりも前記第2方向における一方側に配され、
前記第1部材は、隣接する前記端子収容部間に配されて前記受入空間に進入する突出部を備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の積層コネクタ。
【請求項6】
前記第1部材及び前記第2部材は複数設けられ、
前記第1部材と前記第2部材とが一体化されて構成される第3部材が少なくとも1つ設けられる、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の積層コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の部材を積層して組み立てられる積層コネクタとして、特開2012-186001号公報(下記特許文献1)に記載のコネクタが知られている。このコネクタは、端子金具を収容する端子収容部を有するハウジングと、ハウジングに重ねられた状態で端子金具に対して係止する突起を備えるリテーナと、を備えている。また、ハウジングはハウジングに対して積層されるようになっており、リテーナと同様の突起を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-186001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、端子金具の並び方向において隣接する突起の間には空間が設けられている。ハウジングはこの突起間の空間の一部を占める凸状の部材を備えているが、それでもなお、突起間には凸状の部材が配されない空間が存在している。
【0005】
上記の構成において、例えば端子金具に接続された電線がコネクタの後方に引っ張られる等して端子金具から突起に対して荷重がかかると、突起は端子金具に押されて凹みつつ、端子金具の側方へと押し出される。すなわち、突起を構成する肉の一部は、突起間の空間へと逃げる。よって、端子金具によって剪断される突起の剪断面積が小さくなることがありうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の積層コネクタは、複数の端子と、少なくとも1つの第1部材と、前記第1部材に対して第1方向における一方側から積層される少なくとも1つの第2部材と、を備え、前記第1部材は、前記端子を収容する端子収容部を複数有し、前記第2部材は、基部と、前記第1方向における他方側に前記基部から突出する複数の係止突起と、隣接する前記係止突起を連結する少なくとも1つの連結部と、を備え、前記端子は、第2方向における一方側から前記係止突起と係止する係止部を備え、前記連結部は、前記係止部の前記第1方向における一方側の端部よりも前記第1方向における他方側に突出している、積層コネクタである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、積層コネクタにおいて端子の保持力を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態にかかる積層コネクタの斜視図である。
図2図2は、積層コネクタの分解斜視図である。
図3図3は、積層コネクタの背面図である。
図4図4は、積層コネクタの正面図である。
図5図5は、図4のA-A断面図である。
図6図6は、図4のB-B断面図である。
図7図7は、図6のC-C断面図である。
図8図8は、図7のD-D断面図である。
図9図9は、下側ハウジングの斜視図である。
図10図10は、第3部材の拡大斜視図である。
図11図11は、中間ハウジングを下方から見た斜視図である。
図12図12は、第2部材の拡大斜視図である。
図13図13は、中間ハウジングを上方から見た斜視図である。
図14図14は、上側ハウジングの斜視図である。
図15図15は、図7のD-D断面における端子間の沿面距離について説明する図である。
図16図16は、図7のE-E断面における端子間の沿面距離について説明する図である。
図17図17は、連結部に溝部が設けられない場合の図7のD-D断面における端子間の沿面距離について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0010】
(1)本開示の積層コネクタは、複数の端子と、少なくとも1つの第1部材と、前記第1部材に対して第1方向における一方側から積層される少なくとも1つの第2部材と、を備え、前記第1部材は、前記端子を収容する端子収容部を複数有し、前記第2部材は、基部と、前記第1方向における他方側に前記基部から突出する複数の係止突起と、隣接する前記係止突起を連結する少なくとも1つの連結部と、を備え、前記端子は、第2方向における一方側から前記係止突起と係止する係止部を備え、前記連結部は、前記係止部の前記第1方向における一方側の端部よりも前記第1方向における他方側に突出している。
【0011】
端子の係止部により係止突起に荷重が加えられた場合、係止突起は変形し、係止突起の肉の一部が端子の並び方向に逃げようとする。上記の構成では、隣接する係止突起を連結する連結部が設けられ、係止部の第1方向における一方側の端部よりも第1方向における他方側に突出している。このため、係止部に押し出された係止突起の肉の一部が端子の並び方向に逃げることが抑制される。したがって、係止突起の剪断面積を確保しやすく、端子の保持力を向上させることができる。
【0012】
(2)前記連結部は、前記連結部から前記第1方向における一方側に凹む溝部を有し、前記第1部材は、隣接する前記端子収容部間に配されて前記溝部に収容される凸部を備えることが好ましい。
【0013】
このような構成によると、連結部に溝部を設け、第1部材に凸部を設けることにより、端子間の沿面距離を大きくすることができる。
【0014】
(3)前記溝部は、前記第2方向と交差する方向に延びていることが好ましい。
【0015】
このような構成によると、凸部と溝部の内壁とが係止することにより、第2方向について第1部材と第2部材とがずれにくくなる。
【0016】
(4)前記第2部材は前記連結部を複数備え、各前記連結部には、前記溝部が同一の方向に延びて設けられていることが好ましい。
【0017】
このような構成によると、端子の並び方向における溝部間の間隔を一定にすることができる。よって、複数の係止突起の間において、溝部が設けられている高さで各係止突起を支持する連結部の大きさを一定にすることができる。したがって、各係止突起による端子の保持力を同一にすることができる。
【0018】
(5)前記第2部材は、隣接する前記係止突起間に受入空間を有し、前記受入空間は、前記連結部よりも前記第2方向における一方側に配され、前記第1部材は、隣接する前記端子収容部間に配されて前記受入空間に進入する突出部を備えることが好ましい。
【0019】
係止突起が端子の係止部に係止する係止面の付近においては、端子の高さ寸法が大きくなるため、隣接する端子間の沿面距離が小さくなりやすい。上記の構成によると、連結部よりも第2方向における一方側に受入空間が配され、第1部材は受入空間に進入する突出部を備えるから、係止面に近い領域においても端子間の沿面距離を確保しやすくなっている。
【0020】
(6)前記第1部材及び前記第2部材は複数設けられ、前記第1部材と前記第2部材とが一体化されて構成される第3部材が少なくとも1つ設けられることが好ましい。
【0021】
このような構成によると、第3部材は第1部材と第2部材とを兼ねているから、多段の積層コネクタを構成することができる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0023】
<実施形態>
本開示の実施形態について、図1から図17を参照しつつ説明する。以下の説明においては、矢線Zの示す方向を上方、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方として説明する。本実施形態では、上方は第1方向における一方側の一例であり、下方は第1方向における他方側の一例である。前方は第2方向における一方側の一例である。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0024】
[積層コネクタ]
本実施形態にかかる積層コネクタ10は、図2及び図3に示すように、複数の端子20と、複数の端子20を収容するハウジング11と、を備える。ハウジング11は、下側ハウジング12と、中間ハウジング13と、上側ハウジング14と、から構成されている。
【0025】
[端子]
端子20は、導電性の金属板材をプレス加工等することで形成されている。図2に示すように、端子20は、前部に配される角筒状の接続筒部21と、接続筒部21よりも後方に配される電線接続部23と、接続筒部21と電線接続部23とを接続する首部24と、を備える。電線接続部23は、図示しない電線と端子20とを接続する部分である。電線接続部23は、電線の芯線に圧着されるワイヤーバレル23Aと、電線の絶縁被覆に圧着されるインシュレーションバレル23Bと、を備える。
【0026】
図7に示すように、接続筒部21の内部には、弾性接触片21Aが設けられている。接続筒部21内に進入した相手端子(図示せず)が弾性接触片21Aに接触することにより、端子20と相手端子とが接続されるようになっている。
【0027】
図5及び図6に示すように、接続筒部21の上壁の前端寄りの位置には、上壁から上方に突出するランス21Bが設けられている。ランス21Bは、後述する端子収容部31のランスホール31Aの内壁と係止するようになっている。接続筒部21の後端の上側部分は係止部22とされている。後述するように係止部22は前方から第2部材40の係止突起42と係止するようになっている。
【0028】
図2に示すように、下側ハウジング12、中間ハウジング13、及び上側ハウジング14は、絶縁性の合成樹脂製であって、概ね上下方向に扁平な板状をなしている。中間ハウジング13は、下側ハウジング12に対して上方から積層されるようになっている。上側ハウジング14は、下側ハウジング12に積層された中間ハウジング13に対して上方から積層されるようになっている。
【0029】
下側ハウジング12の側壁には、側壁の外面から凹む形態で、第1ロック受け部12A、第2ロック受け部12B、及びロック凹部12Cが設けられている。中間ハウジング13の側部には、下方に延出される弾性片13Aの先端部に第1ロック部13Bが設けられている。図8に示すように、第1ロック受け部12Aと第1ロック部13Bとは、上下方向に係止するようになっている。
【0030】
図3に示すように、上側ハウジング14の後側の側部には、上側ハウジング14の上壁から下方に延出される弾性片14Aの先端部に第2ロック部14Bが設けられている。第2ロック受け部12Bと第2ロック部14Bとは、上下方向に係止するようになっている。
【0031】
図1に示すように、上側ハウジング14の側壁には、下方に凸状をなすロック凸部14Cが設けられている。ロック凸部14Cはロック凹部12Cの内壁と前後方向に係止するようになっている。また、図7に示すように、中間ハウジング13の弾性片13Aもロック凹部12Cの内壁と前後方向に係止するようになっている。
【0032】
図2及び図4に示すように、下側ハウジング12の前端部には、上下方向に延びる前壁12Dが設けられている。前壁12Dには、前後方向に前壁12Dを貫通する貫通孔12Eが設けられている。図7に示すように、前壁12Dは、中間ハウジング13の前端部、及び上側ハウジング14の前端部に対して前方から当接するようになっている。貫通孔12Eは後述する端子収容部31の内部と連通している。貫通孔12Eには、積層コネクタ10に対して前側から嵌合される相手コネクタの相手端子(図示せず)が挿入されるようになっている。
【0033】
図2及び図8に示すように、ハウジング11は、端子20を保持するための部分構造とされる第1部材30及び第2部材40を備える。端子20が収容された第1部材30に対して第2部材40が上方から積層されることで、端子20がハウジング11に保持されるようになっている。下側ハウジング12は第1部材30を備える。上側ハウジング14は第2部材40を備える。中間ハウジング13は、第1部材30と第2部材40とを備える。第1部材30と第2部材40とが一体化した部材は第3部材50とされている。すなわち、中間ハウジング13は第3部材50を備える。本実施形態では、ハウジング11には、2つの第1部材30と2つの第2部材40とが設けられている。このうち1つの第1部材30と1つの第2部材40とは、一体化されて1つの第3部材50を構成している。
【0034】
[第1部材、端子収容部]
図9及び図13に示すように、第1部材30には、複数の端子収容部31が左右方向(端子20の並び方向)に並んで設けられている。端子収容部31の後方には、端子収容部31内に連通する電線挿通孔36が設けられている。電線挿通孔36には、図示しない電線が挿通されるようになっている。端子収容部31の上壁の前端寄りの位置には、上下方向に開口するランスホール31Aが形成されている。図5及び図6に示すように、ランスホール31Aの内壁は、端子収容部31内に収容された端子20のランス21Bと係止するようになっている。
【0035】
端子収容部31の前後中央部付近には、上方に開口する開口部31Bが形成されている。開口部31Bを介して、後述する第2部材40の係止突起42が端子収容部31内に進入するようになっている。
【0036】
[凸部]
図9及び図13に示すように、左右方向に隣接する端子収容部31の間には、隔壁32が配されている。隔壁32は、開口部31Bを構成する壁部の1つとされている。図10に示すように、隔壁32の前端寄りの位置には、隔壁32の上端部から下方に凹む連結部受け部33が形成されている。連結部受け部33の内部には、連結部受け部33の底壁から上方に立ち上がる凸部34が形成されている。凸部34は板状をなしている。凸部34は、連結部受け部33の前壁及び後壁と接続されている。凸部34の高さ寸法は、連結部受け部33の高さ寸法の半分程度となっている。凸部34は、前後方向に対して傾いた方向に延在している。すなわち、凸部34は前後方向と交差する方向に延びている。詳細には、凸部34は、前方に向かうほど左方に位置するように傾斜している。連結部受け部33より前側に配される隔壁32の前端部は突出部35とされている。
【0037】
[第2部材、基部]
図11及び図14に示すように、第2部材40は、基部41と、基部41から下方に突出する複数の係止突起42と、隣接する係止突起42を連結する複数の連結部43と、を備える。基部41は上下方向に扁平な板状をなしている。なお、図8に示すように、第1部材30と第2部材40とが一体化した第3部材50(中間ハウジング13)においては、基部41は端子収容部31の下側に配されている。
【0038】
[係止突起]
図11及び図14に示すように、複数の係止突起42は前後方向に延在し、左右方向に並んでいる。図5及び図6に示すように、係止突起42は開口部31Bを通じて端子収容部31内に進入する。係止突起42は接続筒部21の後端からワイヤーバレル23Aにわたり端子20に沿うような形状を有している。係止突起42の前側の下端部は首部24の内側に進入するようになっている。係止突起42の前側の端面は係止面42Aとされている。係止面42Aは、端子20の係止部22と前後方向に係止するようになっている。
【0039】
[連結部]
図12に示すように、連結部43は基部41から下方に延びて設けられている。連結部43は、係止突起42の係止面42A側(前側)の部分を連結している。連結部43の前後方向の寸法は、係止突起42の前後方向の寸法の4分の1程度とされている。図7に示すように、連結部43は連結部受け部33内に収容されるようになっている。図8に示すように、連結部43は、係止部22の上端部22Aよりも下方に突出している。
【0040】
端子20が後方に引っ張られる等して係止部22から係止突起42に荷重が加わった場合、係止部22に押されて係止突起42を構成する肉の一部が係止部22に対して側方(端子20の並び方向)に逃げようとする。しかし、本実施形態では、係止突起42を連結する連結部43が係止部22の上端部22Aより下方まで延びて設けられているから、係止突起42の肉の一部が係止部22の側方に逃げることを抑制することができる。よって、係止部22と係止する係止突起42の剪断面積を確保しやすく、連結部43を設けない場合に比べて端子20の保持力を向上させることができる。
【0041】
[溝部]
図12に示すように、本実施形態では、連結部43には、連結部43の下面から上方に凹む溝部44が形成されている。溝部44は、連結部43の前端から後端まで延びて設けられ、前方及び後方に開口している。溝部44は前後方向に対して傾いた方向に延びている。すなわち、溝部44は前後方向と交差する方向に延びている。詳細には、溝部44は前方に向かうほど左方に配されている。図6から図8に示すように、溝部44には凸部34が収容されるようになっている。
【0042】
連結部43に溝部44を形成しない場合、連結部43が設けられる領域において、左右方向に並ぶ端子収容部31内の端子20間の沿面距離D3は、図17の一点鎖線により示される。端子20や端子収容部31が小型化された場合には、連結部43が設けられることで、端子20間の沿面距離D3が十分に確保できないことが考えられる。しかし、本実施形態では、溝部44及び凸部34が設けられるから、図15に示すように、端子20間の沿面距離D1を、図17に示す沿面距離D3よりも大きくすることができる。
【0043】
また、図7に示すように、溝部44及び凸部34は前後方向に対して傾いた方向に延びているから、溝部44の内壁と凸部34とが前後方向に係止するようになっている。これにより、第1部材30と第2部材40とが互いに前後方向にずれにくくなる。
【0044】
本実施形態では、各連結部43に設けられる溝部44の延び方向は、同一となっている。これにより、左右方向における溝部44間の間隔を一定にすることができる。よって、図8に示すように、複数の係止突起42の間において、溝部44が設けられている高さで各係止突起42を支持する連結部43の大きさを一定にすることができる。したがって、各係止突起42による端子20の保持力を同一にすることができる。
【0045】
[受入空間]
図12に示すように、本実施形態の第2部材40は、連結部43の前方に受入空間45を有する。受入空間45は隣接する係止突起42の間に配されている。受入空間45は、基部41の下面と、係止突起42の側面42Bと、連結部43の前面43Aと、により構成されている。受入空間45が設けられることで、連結部43の前面43Aは、係止突起42の係止面42Aに対して奥まった位置に配されている。受入空間45の前後方向の寸法は、連結部43の前後方向の寸法の7分の1程度とされている。図7に示すように、受入空間45には突出部35が配されるようになっている。
【0046】
図5及び図6に示すように、係止面42A付近においては、端子20の高さ寸法(端子収容部31の底壁側から上方に測った寸法)が大きくなっている。具体的には、係止面42Aの前方には、接続筒部21の後端の係止部22が配されている。また、接続筒部21側において首部24の高さ寸法は大きくなる。本実施形態では、図7に示すように、係止面42Aに近い領域に受入空間45及び突出部35が設けられている。したがって、図16に示すように、受入空間45及び突出部35が設けられることで、端子20の係止部22に近い領域(すなわち、係止面42Aに近い領域)において、端子20間の沿面距離D2を十分確保できるようになっている。
【0047】
また、連結部43が設けられない受入空間45内には突出部35が配されるから、突出部35によって係止突起42の肉が係止部22の側方に逃げることを抑制することができる。
【0048】
[実施形態の作用効果]
実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態にかかる積層コネクタ10は、複数の端子20と、少なくとも1つの第1部材30と、第1部材30に対して第1方向における一方側(上方)から積層される少なくとも1つの第2部材40と、を備え、第1部材30は、端子20を収容する端子収容部31を複数有し、第2部材40は、基部41と、第1方向における他方側(下方)に基部41から突出する複数の係止突起42と、隣接する係止突起42を連結する少なくとも1つの連結部43と、を備え、端子20は、第2方向における一方側(前方)から係止突起42と係止する係止部22を備え、連結部43は、係止部22の第1方向における一方側の端部(上端部22A)よりも第1方向における他方側に突出している。
【0049】
端子20の係止部22により係止突起42に荷重が加えられた場合、係止突起42は変形し、係止突起42の肉の一部が端子20の並び方向(左右方向)に逃げようとする。上記の構成では、隣接する係止突起42を連結する連結部43が設けられ、係止部22の第1方向における一方側の端部よりも第1方向における他方側に突出している。このため、係止部22に押し出された係止突起42の肉の一部が端子20の並び方向に逃げることが抑制される。したがって、係止突起42の剪断面積を確保しやすく、端子20の保持力を向上させることができる。
【0050】
実施形態では、連結部43は、連結部43から第1方向における一方側に凹む溝部44を有し、第1部材30は、隣接する端子収容部31間に配されて溝部44に収容される凸部34を備える。
【0051】
このような構成によると、連結部43に溝部44を設け、第1部材30に凸部34を設けることにより、端子20間の沿面距離を大きくすることができる。
【0052】
実施形態では、溝部44は、第2方向(前後方向)と交差する方向に延びている。
【0053】
このような構成によると、凸部34と溝部44の内壁とが係止することにより、第2方向について第1部材30と第2部材40とがずれにくくなる。
【0054】
実施形態では、第2部材40は連結部43を複数備え、各連結部43には、溝部44が同一の方向に延びて設けられている。
【0055】
このような構成によると、端子20の並び方向における溝部44間の間隔を一定にすることができる。よって、複数の係止突起42の間において、溝部44が設けられている高さで各係止突起42を支持する連結部43の大きさを一定にすることができる。したがって、各係止突起42による端子20の保持力を同一にすることができる。
【0056】
実施形態では、第2部材40は、隣接する係止突起42間に受入空間45を有し、受入空間45は、連結部43よりも第2方向における一方側に配され、第1部材30は、隣接する端子収容部31間に配されて受入空間45に進入する突出部35を備える。
【0057】
係止突起42が端子20の係止部22に係止する係止面42Aの付近においては、端子20の高さ寸法が大きくなるため、隣接する端子20間の沿面距離が小さくなりやすい。上記の構成によると、連結部43よりも第2方向における一方側に受入空間45が配され、第1部材30は受入空間45に進入する突出部35を備えるから、係止面42Aに近い領域においても端子20間の沿面距離を確保しやすくなっている。
【0058】
実施形態では、第1部材30及び第2部材40は複数設けられ、第1部材30と第2部材40とが一体化されて構成される第3部材50が少なくとも1つ設けられる。
【0059】
このような構成によると、第3部材50は第1部材30と第2部材40とを兼ねているから、多段の積層コネクタ10を構成することができる。
【0060】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、積層コネクタ10は1つの第3部材50を備え、端子20が上下に二段配置されていたが、これに限られることはなく、積層コネクタにおける端子の段数は一段でも三段以上でもよい。
(2)上記実施形態では、溝部44が設けられていたが、これに限られることはなく、図17に示すように、溝部は設けられなくてもよい。
(3)上記実施形態では、受入空間45が設けられていたが、これに限られることはなく、受入空間は設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10: 積層コネクタ
11: ハウジング
12: 下側ハウジング
12A: 第1ロック受け部
12B: 第2ロック受け部
12C: ロック凹部
12D: 前壁
12E: 貫通孔
13: 中間ハウジング
13A: 弾性片
13B: 第1ロック部
14: 上側ハウジング
14A: 弾性片
14B: 第2ロック部
14C: ロック凸部
20: 端子
21: 接続筒部
21A: 弾性接触片
21B: ランス
22: 係止部
22A: 係止部の上端部
23: 電線接続部
23A: ワイヤーバレル
23B: インシュレーションバレル
24: 首部
30: 第1部材
31: 端子収容部
31A: ランスホール
31B: 開口部
32: 隔壁
33: 連結部受け部
34: 凸部
35: 突出部
36: 電線挿通孔
40: 第2部材
41: 基部
42: 係止突起
42A: 係止面
42B: 側面
43: 連結部
43A: 前面
44: 溝部
45: 受入空間
50: 第3部材
図1
図2
図3
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図5
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図10
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図17