(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176151
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】カバー止め具
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20231206BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H02G3/04 056
F16B5/02 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088278
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000136686
【氏名又は名称】合同会社ブレスト工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(72)【発明者】
【氏名】三上 大輝
(72)【発明者】
【氏名】大谷 政晴
【テーマコード(参考)】
3J001
5G357
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GA01
3J001GA06
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA04
3J001HA07
3J001JA10
3J001KA19
3J001KB02
3J001KB04
5G357BA04
5G357BB01
5G357BC05
5G357BC07
(57)【要約】
【課題】立ち上り施工のケーブルラックにカバーを取り付ける作業が簡単になり、メッキや塗装を施す際も容易に行えるカバー止め具を提供する。
【解決手段】親桁P1のカバー取付け側から側面にかけて係止する第1の支持体10を設ける。この第1の支持体10に着脱自在に連結する第2の支持体20を設ける。第2の支持体20を親桁P1の側面からカバー取付け側の反対側にかけて固定する。カバーQを第1の支持体10にネジ止めする取付けボルト1を設ける。取付けボルト1を第1の支持体10から突出してカバーQをネジ止めする。第1の支持体10のボルト挿通孔11に取付けボルト1を緩挿した状態で保持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立ち上り施工のケーブルラックにカバーを取り付けるカバー止め具において、
親桁に沿ってカバーを垂直方向に取り付け可能なカバー止め具を親桁の外側に設け、親桁の外側から内側に向いて係止する係止片をカバー止め具の両端に備え、
カバー止め具の一端もしくは両端にカバーをネジ止めする取付けボルトで固定するためのボルト挿通孔を備えたカバー止め具。
【請求項2】
前記カバー止め具は、第1の支持体と第2の支持体により構成され、
第1の支持体は親桁のカバー取付け側から側面にかけて係止され、
第2の支持体はこの第1の支持体に着脱自在に連結され親桁の側面からカバー取付け側の反対側にかけて係止され、
第1の支持体から突出しカバーのネジ孔に挿通してカバーを第1の支持体にネジ止めする取付けボルトで固定するためのボルト挿通孔を備えた請求項1に記載のカバー止め具。
【請求項3】
前記第2の支持体にも前記カバーをネジ止めする取付けボルトで固定するためのボルト挿通孔を備えた請求項2に記載のカバー止め具。
【請求項4】
前記取付けボルトは、前記取付けボルトのネジ部に着脱自在に装着した係止片にて前記ボルト挿通孔に保持される請求項1記載のカバー止め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立ち上り施工のケーブルラックにカバーを取り付けるカバー止め具に関する。
【背景技術】
【0002】
立ち上り施工のケーブルラックにカバーを取り付ける場合、特許文献1に記載のカバー取付け金具や、特許文献2に記載のカバー取付け装置などが提案されている。
【0003】
特許文献1のカバー取付け金具は、ケーブルラックP内の子桁P2に外嵌して該子桁P2にスライド自在に係止する係止部1と、親桁P1の側面に沿って配設される位置決め部2とカバーQを固定する固定部3とを備え、固定部3に立設した連結ボルト5をカバーQのネジ孔Q1に挿通し、カバーQをネジ止めする構成である。
【0004】
一方、特許文献2の取付け装置は、ケーブルラック1の子桁5内に係止させる係止部8とカバー2を取着する取着部9とを備え、取着部9と係止部8との間に立設させた連結部10でカバー2を支持する構成である。そして、取着部9に形成したねじ貫通孔17bの雌ネジ部にねじ部材18bをネジ止めしてカバー2を固定する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5784687号公報
【特許文献2】特許第4048983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら従来のカバー取付け金具は、いずれもケーブラックの子桁に固定するので、カバーのねじ孔の位置は子桁の位置に合わせて予め開穿されていることがある。ところが立ち上り施工のケーブルラックにカバーを取り付けるには、床貫通部付近での作業がメインになる。そのため、子桁の位置に合わせてねじ孔を開穿したカバーは、床貫通部の位置から子桁の位置までに合わせて別途形成する必要が生じていた(特許文献1の
図1参照)。
【0007】
特許文献2に記載のカバー取付け金具は、子桁に固定しないタイプのカバー取付け金具も記載されているが、立ち上りカバー関連は床貫通部付近での作業がメインとなり、床貫通部付近で使用する従来の取付け金具では、カバーに別途金具を取り付ける必要がある。このため、この金具が耐震架台部と干渉するので、ケーブルラックに取付けできない。
【0008】
また、特許文献1に記載のカバー取付け金具は、固定部3に連結ボルト5をカシメ加工で固定する構造なので、カバー取付け金具にメッキを施すことが困難になる。すなわち連結ボルト5を固定した後にメッキを施すと、連結ボルト5に目詰まりが生じ、また、メッキ後に連結ボルト5をカシメ加工しようとすると、カシメ加工用の下穴がメッキで埋まる不都合が生じる。そのため、カバー取付け金具にメッキや塗装を施すには連結ボルト5や下穴をマスキング等で保護する必要がある。
【0009】
更に、連結ボルトを予めカシメ加工で固定する構造では、固定した連結ボルトの位置とカバーに開穿したネジ孔の位置とが僅かにずれた場合でもカバーをネジ止め作業が困難になることもある。
【0010】
一方、特許文献2に記載のカバー取付け装置においても、床貫通部付近に設置するカバーは、床貫通部の位置から子桁の位置までに合わせて形成する必要がある。更にこのカバー取付け装置にメッキや塗装を施す場合は、取着部9に形成したねじ貫通孔17bの雌ネジ部をマスキング等で保護する必要がある。しかも、カバー取付け装置のねじ貫通孔17bの位置は、カバー側からネジ止めするねじ部材18bの位置と正確に合わせる必要もある。
【0011】
このように、従来のカバー取付け金具等は、いずれも子桁に固定する構造を成しているため、床貫通部付近に立ち上り施工するケーブルラックにカバーを取り付ける際に作業上の課題があった。また、ケーブル敷設後に取り付けられない不都合がある。しかも、カバー取付け金具等にメッキや塗装を施す場合に連結ボルトのネジ部や、ねじ貫通孔の雌ネジ部等をマスキング等で保護するといった多くの作業が必要になる。
【0012】
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく、立ち上り施工のケーブルラックにカバーを取り付ける作業が簡単になり、止め金具にメッキや塗装を施す際も容易に行うことができるカバー止め具の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、立ち上り施工のケーブルラックPにカバーQを取り付けるカバー止め具において、
親桁P1に沿ってカバーQを垂直方向に取り付け可能なカバー止め具を親桁P1の外側に設け、親桁P1の外側から内側に向いて係止する係止片12A、23Aをカバー止め具の両端に備え、
カバー止め具の一端もしくは両端にカバーQをネジ止めする取付けボルト1で固定するためのボルト挿通孔11を備えたことにある。
【0014】
第2の手段の前記カバー止め具は、第1の支持体10と第2の支持体20により構成され、第1の支持体10は親桁P1のカバー取付け側から側面にかけて係止され、第2の支持体20はこの第1の支持体10に着脱自在に連結され親桁P1の側面からカバー取付け側の反対側にかけて係止され、第1の支持体10から突出しカバーQのネジ孔Q1に挿通してカバーQを第1の支持体10にネジ止めする取付けボルト1で固定するためのボルト挿通孔11を備えたものである。
【0015】
第3の手段は、前記第2の支持体20にも前記カバーQをネジ止めする前記取付けボルト1で固定するための前記ボルト挿通孔11を備えている。
【0016】
第4の手段の前記取付けボルト1は、前記取付けボルト1のネジ部に着脱自在に装着した係止片2にて前記ボルト挿通孔11に保持されるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、立ち上り施工のケーブルラックにカバーを取り付ける作業が簡単になる。また、床貫通部付近のカバーを子桁や耐震架台の位置に制限されずに任意に固定することができる。更に、止め金具にメッキや塗装を施す場合でも、連結ボルトをマスキングする必要がなくなりメッキや塗装が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】本発明の一実施例の使用状態を示す要部斜視図である。
【
図5】本発明の一実施例の使用状態を示す要部平面図である。
【
図6】本発明の他の実施例を示す分解斜視図である。
【
図7】本発明の他の実施例の使用状態を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明止め金具は、ケーブルラックにカバーを固定する止め金具で、特に立ち上り施工のケーブルラックにカバーを取り付けるものである。すなわち、ケーブルラックPの親桁P1に沿ってカバーQを垂直方向に取り付け可能なカバー止め具である。
【0020】
本発明止め金具の主要構成は、第1の支持体10と第2の支持体20と第1の支持体10から突出してカバーQをネジ止めする取付けボルト1とを備えている(
図3参照)。そして、このカバー止め具を親桁P1の外側に装着するように設けている。
【0021】
第1の支持体10は、親桁P1のカバー取付け側から側面にかけて係止する部材である(
図4参照)。この第1の支持体10から突出する取付けボルト1は、第1の支持体10に開穿されたボルト挿通孔11に緩挿するもので(
図3参照)、カバーQ方向を向いて突出した状態で保持されている(
図4参照)。そして、この取付けボルト1を、カバーQのネジ孔Q1に挿通してカバーQをネジ止めする(
図1参照)。
【0022】
図示の第1の支持体10は、金属板を屈曲して係合片12、当接片13、連結片14を有するものである(
図3参照)。係合片12は、親桁P1のカバー取付け側に当接する部位である。カバーQをネジ止めする取付けボルト1は、この係合片12に開穿したボルト挿通孔11に挿通する。更に、この係合片12から親桁P1の内側に向けて係止片12Aを屈曲形成している(
図5参照)。図示の係止片12Aは上下に2個形成しているが、この係止片12Aは1つでも3つ以上でもよい。
【0023】
当接片13は、係合片12から屈曲され親桁P1の外側面に当接する部位である(
図4参照)。更に、この当接片13から屈曲され親桁P1の外側面から立設するように形成された連結片14を備えている。この連結片14は、後述する第2の支持体20に連結する構成を成しており、連結片14の端部を更に第2の支持体20側に屈曲した屈曲片14Aを備えている。
【0024】
取付けボルト1は、ボルト挿通孔11に緩挿した状態で係止片2を装着することでボルト挿通孔11に保持されている(
図4参照)。図示の係止片2は、PET等の樹脂材にて形成された円板状を成し、中央部に取付けボルト1を挿通する孔を形成している(
図3参照)。また、取付けボルト1の保持手段は係止片2に限られず、第1の支持体10の係合片12に保持する他の手段、例えばクリップ等の圧着手段や挟着手段などで保持することやボルト挿通孔11の代わりに雌ねじを使用することも可能である(図示せず)。
【0025】
更に取付けボルト1は、角根ボルトを使用し、第1の支持体10のボルト挿通孔11は取付けボルト1の角根部より一回り大きいサイズに形成されている(
図3参照)。このボルト挿通孔11に緩挿した取付けボルト1に係止片2を装着すると、取付けボルト1はボルト挿通孔11に緩挿した状態で保持される。尚、第1の支持体10や第2の支持体20にメッキや塗装を施す場合には取付けボルト1を外した状態で行える。しかも、ボルト挿通孔11はメッキや塗料で埋まるおそれもないのでマスキング等は不要である。
【0026】
そして、この取付けボルト1をカバーQのネジ孔Q1に挿通し、カバーQの表面に突出した取付けボルト1に座金4と袋ナット5をネジ止めしてカバーQを固定する(
図5参照)。この際、取付けボルト1はボルト挿通孔11に緩挿状態で保持されておりしかもボルト挿通孔11が長穴となっているので、保持した状態で位置の微調整が可能になる。
【0027】
第2の支持体20は、この第1の支持体10に着脱自在に連結する部材で、親桁P1の側面からカバー取付け側の反対側にかけて固定する(
図4参照)。図示の第2の支持体20は、連結片21、当接片22、係合片23を有するものである(
図3参照)。
【0028】
連結片21は、第1の支持体10の連結片14に着脱自在に連結される部位である(
図4参照)。図示では、連結片14に開穿した連結孔15と、連結片21に開穿した連結孔25に連結ボルト3を挿通し、座付きナット6でねじ止めする(
図3参照)。
【0029】
この連結片21から屈曲され親桁P1の外側面に当接する当接片22が形成されている(
図5参照)。更に、当接片22から屈曲され親桁P1のカバー取付け面の反対側に係止する係合片23が形成されたものである。更に、この係合片23から親桁P1内側に向けて係止片23Aが屈曲形成され、係合片23の位置ずれを防止している。更に、この係止片23Aと第1の支持体10の係止片12Aとをカバー止め具の両端に備えることで、カバー止め具を装着することができる。また係合片23、係止片23Aを形状変更すれば子桁P2にも取り付け可能になる。
【0030】
図6、
図7に示す止め金具は、ケーブルラックPのカバー取付け側の反対側にもカバーQをネジ止めするように構成したもので、ケーブルラックPの両側にカバーQを固定する構成を成している。すなわち、第2の支持体20の係合片23を第1の支持体10の係合片12のように延長形成して裏用ボルト挿通孔24を開穿している(
図6参照)。そして、この裏用ボルト挿通孔24に挿通した取付けボルト1で裏側(子桁P2側)のカバーQをネジ止めするように構成したものである(
図7参照)。
【0031】
尚、本発明の各構成は図示例に限定されるものではなく、例えば樹脂や弾性を持った金属、折り畳み式で一体形成することも可能である。また第1の支持体10と第2の支持体20は同形状でもよく、第1の支持体10や第2の支持体20の形状、あるいは取付けボルト1や連結ボルト3等は、本発明の要旨を変更しない範囲において設計変更は自由である。
【符号の説明】
【0032】
P ケーブルラック
P1 親桁
P2 子桁
Q カバー
Q1 ネジ孔
1 取付けボルト
2 係止片
3 連結ボルト
4 座金
5 袋ナット
6 座付きナット
10 第1の支持体
11 ボルト挿通孔
12 係合片
12A 係止片
13 当接片
14 連結片
14A 屈曲片
15 連結孔
20 第2の支持体
21 連結片
22 当接片
23 係合片
23A 係止片
24 裏用ボルト挿通孔
25 連結孔