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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176157
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20231206BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/01 301
B41J2/14 305
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088293
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】鶸田 周平
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EC07
2C056EC38
2C056HA51
2C056HA60
2C057AG44
2C057AM16
2C057AM40
2C057AR14
2C057AR16
2C057AR20
(57)【要約】
【課題】3層アクチュエータ部材を採用した場合でもインダクタンスを低減可能とする。
【解決手段】制御基板5は、各アクチュエータ90に供給される駆動信号を増幅する増幅器A1~A4を有する。FPC8に設けられた信号線組DW1~DW4は、増幅器A1~A4が増幅した駆動信号をアクチュエータ90に供給する供給線8a及び増幅器A1~A4に駆動信号を帰還させる帰還線8bを含む。各増幅器A1~A4に対し、副電源V1~V4が設けられている。主電源Vxと各副電源V1~V4の1次側との間に設けられたトランスT1~T4によって主電源Vxと副電源V1~V4の1次側とが電気的に絶縁されている。これにより、副電源V0~V4が主電源Vxのグランドから絶縁され、増幅器A1~A4がそれぞれ電気的にフローティングされている。さらに、高電位と低電位との間にコンデンサC1~C4が形成されている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアクチュエータを含むアクチュエータ部材を有する、液体吐出ヘッドと、
前記複数のアクチュエータのそれぞれに供給される駆動信号を増幅する、複数の増幅器と、
前記複数の増幅器のそれぞれに対応して設けられた複数の信号線組であって、前記複数の増幅器のうち対応する増幅器が増幅した前記駆動信号を前記複数のアクチュエータに供給する供給線及び前記対応する増幅器に前記駆動信号を帰還させる帰還線をそれぞれ含む、複数の信号線組と、を備え、
前記アクチュエータ部材は、複数の圧電層を含む圧電体と、第1電極層、第2電極層及び第3電極層を含む電極体と、を有し、
前記第1電極層は、それぞれ可変な第1電位及び前記第1電位よりも低い電位である第2電位が選択的に付与される第1電極を含み、
前記第2電極層は、前記第1電位に保持される第2電極を含み、
前記第3電極層は、前記第2電位に保持される第3電極を含み、
前記複数の増幅器がそれぞれ電気的にフローティングされており、
前記第1電位と前記第2電位との間にコンデンサが形成されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記コンデンサは、前記アクチュエータ部材に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記液体吐出ヘッドは、ノズル及び前記ノズルに連通する圧力室をそれぞれ含む複数の個別流路が形成された流路部材を有し、前記アクチュエータ部材は前記流路部材の表面に配置され、
前記複数のアクチュエータは、前記複数の個別流路の前記圧力室のそれぞれと前記表面と直交する直交方向に重なり、
前記第2電極及び前記第3電極は、それぞれ、前記複数の個別流路の前記圧力室のそれぞれと前記直交方向に重なる複数の個別部を有し、
前記複数の第1電極と、前記第2電極及び前記第3電極の前記複数の個別部とが、前記複数のアクチュエータを構成し、
前記第2電極は、前記複数の個別部からなる個別群と、前記個別群と前記圧電体の端部との間に配置された第1外側部と、を有し、
前記第3電極は、前記複数の個別部からなる個別群と、前記個別群と前記圧電体の端部との間に配置された第2外側部と、を有し、
前記第1外側部と前記第2外側部とは、前記直交方向に重なり、前記コンデンサを形成していることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体吐出ヘッドは、ノズル及び前記ノズルに連通する圧力室をそれぞれ含む複数の個別流路が形成された流路部材を有し、前記アクチュエータ部材は前記流路部材の表面に配置され、
前記複数のアクチュエータは、前記複数の個別流路の前記圧力室のそれぞれと前記表面と直交する直交方向に重なり、
前記第2電極及び前記第3電極は、それぞれ、前記複数の個別流路の前記圧力室のそれぞれと前記直交方向に重なる複数の個別部を有し、
前記複数の第1電極と、前記第2電極及び前記第3電極の前記複数の個別部とが、前記複数のアクチュエータを構成し、
前記第2電極は、前記複数の個別部からそれぞれなる2つの個別群と、前記2つの個別群の間に配置された第1中間部と、を有し、
前記第3電極は、前記複数の個別部からそれぞれなる2つの個別群と、前記2つの個別群の間に配置された第2中間部と、を有し、
前記第1中間部と前記第2中間部とは、前記直交方向に重なり、前記コンデンサを形成していることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記複数のアクチュエータに対して駆動信号を供給する駆動回路と、
前記駆動回路が取り付けられた回線基板であって、前記アクチュエータ部材上に配置された回路基板と、をさらに備え、
前記コンデンサは、前記回路基板に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記複数のアクチュエータに対して駆動信号を供給する駆動回路と、
前記駆動回路が取り付けられた回線基板であって、前記アクチュエータ部材上に配置された回路基板と、
前記複数の増幅器が設けられた制御基板と、
前記制御基板と前記回路基板とを接続する配線基板であって、前記複数の信号線組が設けられた配線基板と、をさらに備え、
前記コンデンサは、前記配線基板に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記複数の増幅器が設けられた制御基板をさらに備え、
前記コンデンサは、前記制御基板に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記複数のアクチュエータに対して駆動信号を供給する駆動回路と、
前記駆動回路が取り付けられた回線基板であって、前記アクチュエータ部材上に配置された回路基板と、
前記複数の増幅器が設けられた制御基板と、
前記制御基板と前記回路基板とを接続する配線基板であって、前記複数の信号線組が設けられた配線基板と、をさらに備え、
前記コンデンサは、前記アクチュエータ部材に形成された第1コンデンサと、前記回路基板、前記配線基板及び前記制御基板の少なくともいずれかに形成された第2コンデンサとを含むことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記コンデンサの静電容量が下記式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
C=Cu×K
K>1
(ここで、C:前記コンデンサの静電容量、Cu:前記第2電極及び前記第3電極の前記複数の個別部間に生じる静電容量の総和、K:係数)
【請求項10】
前記コンデンサの静電容量が下記式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
C=Cu×K
K≧5
(ここで、C:前記コンデンサの静電容量、Cu:前記第2電極及び前記第3電極の前記複数の個別部間に生じる静電容量の総和、K:係数)
【請求項11】
前記コンデンサの静電容量が下記式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
C=Cu×K
K≧10
(ここで、C:前記コンデンサの静電容量、Cu:前記第2電極及び前記第3電極の前記複数の個別部間に生じる静電容量の総和、K:係数)
【請求項12】
前記コンデンサの静電容量が下記式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
C=Cu×K
K≧50
(ここで、C:前記コンデンサの静電容量、Cu:前記第2電極及び前記第3電極の前記複数の個別部間に生じる静電容量の総和、K:係数)
【請求項13】
前記コンデンサの静電容量が下記式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
C=Cu×K
K≧100
(ここで、C:前記コンデンサの静電容量、Cu:前記第2電極及び前記第3電極の前記複数の個別部間に生じる静電容量の総和、K:係数)
【請求項14】
前記コンデンサの静電容量は5~200μFであることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
前記コンデンサの静電容量は10~150μFであることを特徴とする請求項14に記載の液体吐出装置。
【請求項16】
前記コンデンサの静電容量は90~110μFであることを特徴とする請求項15に記載の液体吐出装置。
【請求項17】
前記コンデンサは、タンタルコンデンサ以外で構成されることを特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項18】
前記コンデンサは、セラミックコンデンサ及び電解コンデンサの少なくとも一方で構成されることを特徴とする請求項17に記載の液体吐出装置。
【請求項19】
前記複数の圧電層は、前記第1電極層と前記第2電極層との間に配置された第1圧電層と、前記第2電極層と前記第3電極層との間に配置された第2圧電層とを含むことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項20】
複数のアクチュエータを含むアクチュエータ部材を有する、液体吐出ヘッドと、
前記複数のアクチュエータのそれぞれに供給される駆動信号を増幅する、複数の増幅器と、
前記複数の増幅器のそれぞれに対応して設けられた複数の信号線組であって、前記複数の増幅器のうち対応する増幅器が増幅した前記駆動信号を前記複数のアクチュエータに供給する供給線及び前記対応する増幅器に前記駆動信号を帰還させる帰還線をそれぞれ含む、複数の信号線組と、を備え、
前記アクチュエータ部材は、複数の圧電層を含む圧電体と、第1電極層、第2電極層及び第3電極層を含む電極体と、を有し、
前記第1電極層は、それぞれ可変な第1電位及び前記第1電位よりも低い電位である第2電位が選択的に付与される第1電極を含み、
前記第2電極層は、前記第1電位に保持される第2電極を含み、
前記第3電極層は、前記第2電位に保持される第3電極を含み、
前記複数の増幅器がそれぞれ電気的にフローティングされており、
前記第1電位及び前記第2電位に、前記アクチュエータとは異なるコンデンサが接続されていることを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動信号を増幅して複数のアクチュエータに供給する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の増幅器を設けると共に、各増幅器に対応して信号線組を設け、各増幅器が増幅した駆動信号を当該増幅器に対応する信号線組の供給線を介して複数のアクチュエータに供給する構成が示されている。当該構成により、駆動信号に多くの種類のパルス波形を含める必要がなくなり、吐出周期が長くなる問題を抑制できる。また、特許文献1には、複数の増幅器のそれぞれを電気的にフローティングすることが示されている。これにより、各信号線組の供給線と帰還線とで電流波形の絶対値が一致し、インダクタンスを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-165011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のアクチュエータユニット(アクチュエータ部材)は、電極層が2層のもの(駆動電位及びグランド電位が選択的に付与される個別電極と、グランド電位に保持される共通電極とを有するもの)である。一方、アクチュエータ部材として、電極層が3層のもの(第1電位及び第2電位が選択的に付与される第1電極と、第1電位に保持される第2電極と、第2電位に保持される第3電極とを有するもの。以下、「3層アクチュエータ部材」という。)がある。3層アクチュエータ部材を採用した場合、特許文献1のように複数の増幅器のそれぞれを電気的にフローティングするだけでは、インダクタンスを低減することができない。
【0005】
本発明の目的は、3層アクチュエータ部材を採用した場合でもインダクタンスを低減可能な液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る液体吐出装置は、複数のアクチュエータを含むアクチュエータ部材を有する、液体吐出ヘッドと、前記複数のアクチュエータのそれぞれに供給される駆動信号を増幅する、複数の増幅器と、前記複数の増幅器のそれぞれに対応して設けられた複数の信号線組であって、前記複数の増幅器のうち対応する増幅器が増幅した前記駆動信号を前記複数のアクチュエータに供給する供給線及び前記対応する増幅器に前記駆動信号を帰還させる帰還線をそれぞれ含む、複数の信号線組と、を備え、前記アクチュエータ部材は、複数の圧電層を含む圧電体と、第1電極層、第2電極層及び第3電極層を含む電極体と、を有し、前記第1電極層は、それぞれ可変な第1電位及び前記第1電位よりも低い電位である第2電位が選択的に付与される第1電極を含み、前記第2電極層は、前記第1電位に保持される第2電極を含み、前記第3電極層は、前記第2電位に保持される第3電極を含み、前記複数の増幅器がそれぞれ電気的にフローティングされており、前記第1電位と前記第2電位との間にコンデンサが形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の第2観点に係る液体吐出装置は、複数のアクチュエータを含むアクチュエータ部材を有する、液体吐出ヘッドと、前記複数のアクチュエータのそれぞれに供給される駆動信号を増幅する、複数の増幅器と、前記複数の増幅器のそれぞれに対応して設けられた複数の信号線組であって、前記複数の増幅器のうち対応する増幅器が増幅した前記駆動信号を前記複数のアクチュエータに供給する供給線及び前記対応する増幅器に前記駆動信号を帰還させる帰還線をそれぞれ含む、複数の信号線組と、を備え、前記アクチュエータ部材は、複数の圧電層を含む圧電体と、第1電極層、第2電極層及び第3電極層を含む電極体と、を有し、前記第1電極層は、それぞれ可変な第1電位及び前記第1電位よりも低い電位である第2電位が選択的に付与される第1電極を含み、前記第2電極層は、前記第1電位に保持される第2電極を含み、前記第3電極層は、前記第2電位に保持される第3電極を含み、前記複数の増幅器がそれぞれ電気的にフローティングされており、前記第1電位及び前記第2電位に、前記アクチュエータとは異なるコンデンサが接続されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るプリンタの全体構成図である。
図2図1に示すヘッドの平面図である。
図3図2の領域IIIの拡大図である。
図4図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図3のV-V線に沿った断面図である。
図6図5の断面におけるアクチュエータの動作を示す図である。
図7図2のアクチュエータ部材を構成する3つの圧電層のうち、最も上方の圧電層の上面を示す平面図である。
図8図2のアクチュエータ部材を構成する3つの圧電層のうち、中間の圧電層の上面を示す平面図である。
図9図2のアクチュエータ部材を構成する3つの圧電層のうち、最も下方の圧電層の上面を示す平面図である。
図10図1に示すヘッドの斜視図である。
図11図1のプリンタの電気的構成を示す回路図である。
図12図11のXII-XII線に沿った断面図である。
図13】係数Kを1~100で変化させた場合のパルス波形のシミュレーション結果を示す図である。
図14】係数Kを1~100で変化させた場合の電圧変動のシミュレーション結果を示す図である。
図15】係数Kを1~100で変化させた場合の電流変動のシミュレーション結果を示す図である。
図16】本発明の第2実施形態に係るプリンタの図7に対応する平面図である。
図17】本発明の第2実施形態に係るプリンタの図8に対応する平面図である。
図18】本発明の第2実施形態に係るプリンタの図9に対応する平面図である。
図19】本発明の第3実施形態に係るプリンタの図11に対応する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において、Z方向は鉛直方向であり、X方向及びY方向は水平方向である。X方向及びY方向は共にZ方向と直交する。X方向はY方向と直交する。Z方向は、本発明の「直交方向」に該当する。
【0010】
<第1実施形態>
先ず、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係るプリンタ100(液体吐出装置)の全体構成について説明する。
【0011】
プリンタ100は、ヘッド1と、キャリッジ2と、2つの搬送ローラ対4と、制御基板5とを備えている。
【0012】
キャリッジ2は、Y方向に延びる2本のガイドレール3に支持され、ガイドレール3に沿ってY方向に移動可能である。
【0013】
ヘッド1は、本発明の「液体吐出ヘッド」に該当する。ヘッド1は、シリアル式であり、キャリッジ2に搭載され、キャリッジ2と共にY方向に移動可能である。ヘッド1の下面には、複数のノズル15が開口している。
【0014】
2つの搬送ローラ対4は、X方向にキャリッジ2を挟んで配置されている。搬送ローラ対4が用紙Pを挟持した状態で回転することで、用紙PがX方向に沿った搬送方向に搬送される。
【0015】
制御基板5は、制御回路5x(図11参照)を搭載している。制御回路5xは、キャリッジ2と共にヘッド1をY方向に移動させながらノズル15からインクを吐出させる吐出動作と、搬送ローラ対4によって用紙Pを搬送方向に所定量搬送する搬送動作とを、交互に行わせる。これにより、用紙Pに画像が記録される。
【0016】
次いで、図2図9を参照し、ヘッド1の構成について説明する。
【0017】
ヘッド1は、図2に示すように、流路部材21及びアクチュエータ部材22を有する。
【0018】
流路部材21は、図4に示すように、Z方向に積層された金属製の4枚のプレート31~34で構成されている。
【0019】
プレート31には、複数の圧力室10が形成されている。プレート32には、圧力室10毎に、連通路12,13が形成されている。連通路12,13は、それぞれ、対応する圧力室10のY方向の一端及び他端とZ方向に重なっている。プレート33には、連通路13毎に、連通路14が形成されている。連通路14は、対応する連通路13とZ方向に重なっている。プレート34には、複数のノズル15が形成されている。各ノズル15は、連通路14とZ方向に重なっている。つまり、圧力室10は、対応するノズル15と連通する。
【0020】
流路部材21には、ノズル15及びノズル15に連通する圧力室10をそれぞれ含む複数の個別流路19が形成されている。複数の個別流路19は、図2に示すように、X方向に配列され、12の個別流路列19Rを構成している。12の個別流路列19Rは、Y方向に並んでいる。
【0021】
流路部材21には、さらに、12本の共通流路11が形成されている。共通流路11は、プレート33に形成されており(図4参照)、個別流路列19R(図2参照)毎に設けられている。12本の共通流路11は、それぞれX方向に延び、対応する個別流路列19Rを構成する複数の個別流路19と連通している。12本の共通流路11は、Y方向に並んでいる。
【0022】
プレート31の上面(流路部材21の表面21a)において、アクチュエータ部材22が配置されない領域に、4つの供給口11xが形成されている(図2参照)。各供給口11xは、インクタンク(図示略)と連通し、かつ、3本の共通流路11と連通している。インクタンクから各供給口11xに供給されたインクは、3本の共通流路11に供給される。各共通流路11から、対応する個別流路列19Rを構成する複数の個別流路19にインクが供給される。そして後述のようにアクチュエータ部材22が駆動することで、圧力室10内のインクに圧力が付与され、連通路13,14を通ってノズル15からインクが吐出される。
【0023】
アクチュエータ部材22は、図4に示すように、プレート31の上面(流路部材21の表面21a)に配置されている。アクチュエータ部材22は、3つの圧電層41~43を含む圧電体40と、各圧電層41~43の上面に配置された3つの電極層71~73を含む電極体70とを有する。
【0024】
電極層71が本発明の「第1電極層」に該当し、電極層72が本発明の「第2電極層」に該当し、電極層73が本発明の「第3電極層」に該当する。圧電層41は、電極層71と電極層72との間に配置されており、本発明の「第1圧電層」に該当する。圧電層42は、電極層72と電極層73との間に配置されており、本発明の「第2圧電層」に該当する。
【0025】
3つの圧電層41~43は、それぞれチタン酸ジルコン酸鉛等を主成分とする圧電材料からなり、Z方向に積層されている。圧電層43は、プレート31の上面(流路部材21の表面21a)に配置され、プレート31に形成された全ての圧力室10を覆っている。圧電層42は、電極層73を挟んで圧電層43の上面に配置されている。圧電層41は、電極層72を挟んで圧電層42の上面に配置されている。
【0026】
電極層71は、図7に示すように、複数の駆動電極51と、2つの高電位端子54と、2つの低電位端子55とを含む。
【0027】
複数の駆動電極51は、X方向に配列され、個別流路列19R(図2参照)のそれぞれに対応する複数の駆動電極列51Rを構成している。複数の駆動電極列51Rは、Y方向に並んでいる。
【0028】
駆動電極51は、図3に示すように、圧力室10に対応して配置されている。駆動電極51は、主部51a及び突出部51bを有する。主部51aは、対応する圧力室10の略全域とZ方向に重なっている。突出部51bは、主部51aからY方向に突出し、対応する圧力室10とZ方向に重なっていない。突出部51bには、COF(Chip On Film)7(図10参照)と電気的に接続される接点が設けられている。
【0029】
COF7は、ドライバIC6が取り付けられ、アクチュエータ部材22上に配置されている(図10参照)。ドライバIC6は、制御回路5x(図11参照)の制御により、COF7の配線を介して各駆動電極51に対して個別に駆動信号を供給し、高電位(VDD電位)及び低電位(GND電位)のいずれかを選択的に付与する。高電位(第1電位)は、例えば20~40Vの間で可変である。高電位が本発明の「第1電位」に該当し、低電位が本発明の「第2電位」に該当し、駆動電極51が本発明の「第1電極」に該当する。ドライバIC6が本発明の「駆動回路」に該当し、COF7が本発明の「回路基板」に該当する。
【0030】
2つの高電位端子54及び2つの低電位端子55は、複数の駆動電極51からなる電極群51Gに対し、Y方向の外側に配置されている。各端子54,55は、X方向に延びている。
【0031】
電極群51Gと圧電層41のY方向の一端41cとの間において、1つの高電位端子54と1つの低電位端子55とがX方向に並んでいる。高電位端子54は、圧電層41のX方向の一端41aと低電位端子55との間に配置されている。低電位端子55は、高電位端子54と圧電層41のX方向の他端41bとの間に配置されている。
【0032】
電極群51Gと圧電層41のY方向の他端41dとの間において、1つの高電位端子54と1つの低電位端子55とがX方向に並んでいる。低電位端子55は、圧電層41のX方向の一端41aと高電位端子54との間に配置されている。高電位端子54は、低電位端子55と圧電層41のX方向の他端41bとの間に配置されている。
【0033】
ドライバIC6は、制御回路5x(図11参照)の制御により、COF7の配線を介して、各高電位端子54に高電位(VDD電位)を付与し、各低電位端子55に低電位(GND電位)を付与する。
【0034】
電極層72は、図8に示すように、高電位電極52と、2つの接続電極56とを含む。
【0035】
高電位電極52は、複数の個別部52aと、複数の個別部52aをそれぞれ連結する複数の枝部523と、複数の枝部523を連結し、複数の個別部52aからなる個別群52Gの外側に配置された2つの外側部521とを有する。高電位電極52は、高電位(第1電位)に保持され、本発明の「第2電極」に該当する。
【0036】
複数の個別部52aは、X方向に配列され、駆動電極列51R(図7参照)のそれぞれに対応する複数の列52Rを構成している。複数の列52Rは、Y方向に並んでいる。各個別部52aは、圧力室10のX方向の中央部とZ方向に重なり、駆動電極51とZ方向に重なる部分を有する(図5参照)。
【0037】
複数の枝部523は、それぞれ、X方向に延び、1つの列52R又はY方向に互いに隣接する2つの列52Rを構成する複数の個別部52aを連結している。換言すると、1つの列52R又はY方向に互いに隣接する2つの列52Rを構成する複数の個別部52aが、各枝部523から分岐している。
【0038】
2つの外側部521は、それぞれ、Y方向に延びる部分521aと、X方向に延びる部分521bとを含む。
【0039】
2つの外側部521のうち、一方の外側部521の部分521aは、個別群52Gと圧電層42のX方向の一端42aとの間に配置されている。一方の外側部521において、部分521bは、部分521aのY方向の一端(図8の左端)から、X方向の他方側(図8の下側)に延びている。一方の外側部521は、3本の枝部523を連結している。換言すると、3本の枝部523が、一方の外側部521から分岐している。
【0040】
2つの外側部521のうち、他方の外側部521の部分521aは、個別群52Gと圧電層42のX方向の他端42bとの間に配置されている。他方の外側部521において、部分521bは部分521aのY方向の他端(図8の右端)から、X方向の一方側(図8の上側)に延びている。他方の外側部521は、4本の枝部523を連結している。換言すると、4本の枝部523が、他方の外側部521から分岐している。
【0041】
2つの外側部521の部分521bは、それぞれ、高電位端子54(図7参照)とZ方向に重なっている。2つの外側部521の部分521bは、それぞれ、圧電層41に形成された貫通孔41x(図7参照)を介して高電位端子54と電気的に接続されており、高電位端子54から高電位を受ける。部分521bが受容した高電位は、枝部523を介して各個別部52aに供給される。
【0042】
2つの接続電極56は、個別群52Gに対し、Y方向の外側に配置されている。各接続電極56は、X方向に延びている。2つの接続電極56のうち、一方は、個別群52Gと圧電層42のY方向の一端42cとの間において、一方の外側部521の部分521bとX方向に並んでいる。2つの接続電極56のうち、他方は、個別群52Gと圧電層42のY方向の他端42dとの間において、他方の外側部521の部分521bとX方向に並んでいる。
【0043】
2つの接続電極56は、それぞれ、低電位端子55(図7参照)とZ方向に重なっている。2つの接続電極56は、それぞれ、圧電層41に形成された貫通孔41y(図7参照)を介して低電位端子55と電気的に接続されており、低電位端子55から低電位を受ける。
【0044】
電極層73は、図9に示すように、低電位電極53を含む。
【0045】
低電位電極53は、複数の個別部53aと、複数の個別部53aをそれぞれ連結する複数の枝部533と、複数の枝部533を連結し、複数の個別部53aからなる個別群53Gの外側に配置された2つの外側部531とを有する。低電位電極53は、低電位(第2電位)に保持され、本発明の「第3電極」に該当する。
【0046】
複数の個別部53aは、X方向に配列され、駆動電極列51R(図7参照)のそれぞれに対応する複数の列53Rを構成している。複数の列53Rは、Y方向に並んでいる。各列53Rに属する複数の個別部53aのうち、X方向の一端及び他端に位置する個別部53aを除き、各個別部53aは、X方向に互いに隣接する2つの圧力室10に跨り、当該2つの圧力室10とZ方向に重なる部分を有する(図5参照)。上記X方向の一端及び他端に位置する個別部53aは、1つの圧力室10とZ方向に重なる部分を有する。各圧力室10のX方向の一端及び他端とZ方向に重なる領域と、X方向に互いに隣接する2つの圧力室10の間とZ方向に重なる領域とに、個別部53aが配置されている。
【0047】
複数の枝部533は、それぞれ、X方向に延び、Y方向に互いに隣接する2つの列53Rを構成する複数の個別部53aを連結している。換言すると、Y方向に互いに隣接する2つの列53Rを構成する複数の個別部53aが、各枝部533から分岐している。
【0048】
2つの外側部531は、それぞれ、Y方向に延びる部分531aと、X方向に延びる一対の部分531b,531cとを含む。
【0049】
2つの外側部531のうち、一方の外側部531の部分531aは、個別群53Gと圧電層43のX方向の一端43aとの間に配置されている。一方の外側部531において、一対の部分531b,531cは、それぞれ部分531aのY方向の一端(図9の左端)及び他端(図9の右端)から、X方向の他方側(図9の下側)に延びている。一方の外側部531は、4本の枝部533を連結している。換言すると、4本の枝部533が、一方の外側部531から分岐している。
【0050】
2つの外側部531のうち、他方の外側部531の部分531aは、個別群53Gと圧電層43のX方向の他端43bとの間に配置されている。他方の外側部531において、一対の部分531b,531cは、それぞれ部分531aのY方向の一端(図9の左端)及び他端(図9の右端)から、X方向の一方側(図9の上側)に延びている。他方の外側部531は、3本の枝部533を連結している。換言すると、3本の枝部533が、他方の外側部531から分岐している。
【0051】
なお、一方の外側部531から分岐した4本の枝部533のうち、Y方向において一端43cに最も近い枝部533と、他方の外側部531から分岐した3つの枝部533のうち、Y方向において他端43dに最も近い枝部533とは、同じである。当該枝部533は、X方向の一端(図9の上端)において一方の外側部531の部分531aと接続し、X方向の他端(図9の下端)において他方の外側部531の部分531aと接続している。
【0052】
2つの外側部531の部分531cは、それぞれ、接続電極56(図8参照)とZ方向に重なっている。2つの外側部531の部分531cは、それぞれ、圧電層42に形成された貫通孔42y(図8参照)を介して接続電極56と電気的に接続されており、接続電極56から低電位を受ける。部分531cが受容した低電位は、枝部533を介して各個別部53aに供給される。
【0053】
高電位電極52の外側部521が本発明の「第1外側部」に該当し、低電位電極53の外側部531が本発明の「第2外側部」に該当する。外側部521(図8参照)と、外側部531の部分531a,531b(図9参照)とは、Z方向に重なり、コンデンサC1(図11参照)を形成している。コンデンサC1は、アクチュエータ90(図6参照)とは異なるものであり、外側部521と外側部531との間に圧電層42を挟むことで形成される。つまり、コンデンサC1は、アクチュエータ部材22において、高電位と低電位との間に形成されている。コンデンサC1は、本発明の「第1コンデンサ」に該当する。
【0054】
図5に示すように、圧電層41のうち、Z方向において駆動電極51と高電位電極52の個別部52aとに挟まれた部分を、第1活性部91という。圧電層42,43のうち、Z方向において駆動電極51と低電位電極53の個別部53aとに挟まれた部分を、第2活性部92という。第1活性部91は主に上向きに分極され、第2活性部92は主に下向きに分極されている。アクチュエータ部材22は、圧力室10毎に、1つの第1活性部91と2つの第2活性部92とから構成されるアクチュエータ90を有する。各アクチュエータ90において、2つの第2活性部92は、X方向において、互いに離隔し、第1活性部91を挟んでいる。
【0055】
複数の駆動電極51と、高電位電極52及び低電位電極53の複数の個別部52a,53aとが、複数のアクチュエータ90を構成している。アクチュエータ90は、各個別流路19の圧力室10とZ方向に重なっている。
【0056】
ここで、図6を参照し、あるノズル15からインクを吐出させる際の、当該ノズル15に対応するアクチュエータ90の動作について説明する。
【0057】
プリンタ100が記録動作を開始する前は、図6(a)に示すように、各駆動電極51に低電位(GND電位)が付与されている。このとき、駆動電極51と高電位電極52との電位差によって、第1活性部91にその分極方向に等しい上向きの電界が生じ、第1活性部91が面方向(X方向及びY方向に沿った方向)に収縮している。これにより、圧電層41~43からなる積層体における圧力室10とZ方向に重なる部分が、圧力室10に向かって(下向きに)凸となるように撓んでいる。このとき圧力室10は、上記積層体がフラットな場合と比べ、容積が小さくなっている。
【0058】
プリンタ100が記録動作を開始し、あるノズル15からインクを吐出させる際には、先ず、図6(b)に示すように、当該ノズル15に対応する駆動電極51の電位が低電位(GND電位)から高電位(VDD電位)に切り替えられる。このとき、駆動電極51と高電位電極52との電位差がなくなることで、第1活性部91の収縮が解消される。一方、駆動電極51と低電位電極53との電位差が生じることで、第2活性部92にその分極方向に等しい下向きの電界が生じ、第2活性部92が面方向に収縮する。ただし、第2活性部92は、クロストーク(ある圧力室10におけるアクチュエータ90の変形に伴う圧力変動が、当該圧力室10にX方向に隣接する別の圧力室10に伝わる現象)を抑制する機能を有するものであり、アクチュエータ90の変形にほとんど寄与しない。つまり、このとき上記積層体は、圧力室10とZ方向に重なる部分が圧力室10から離れる方向に(上向きに)凸となるように撓まず、フラットな状態となる。これにより、圧力室10の容積は、図6(a)に比べて大きくなる。
【0059】
その後、図6(a)に示すように、当該ノズル15に対応する駆動電極51の電位が高電位(VDD電位)から低電位(GND電位)に切り替えられる。このとき、駆動電極51と低電位電極53との電位差がなくなることで、第2活性部92の収縮が解消される。一方、駆動電極51と高電位電極52との電位差が生じることで、第1活性部91にその分極方向に等しい上向きの電界が生じ、第1活性部91が面方向に収縮する。これにより、上記積層体における圧力室10とZ方向に重なる部分が、圧力室10に向かって(下向きに)凸となるように撓む。このとき、圧力室10の容積が大きく減少することで、圧力室10内のインクに大きな圧力が付与され、ノズル15からインクが吐出される。
【0060】
次いで、図10を参照し、アクチュエータ部材22とCOF7、さらにCOF7とFPC(Flexible Printed Circuits)8との接続構成について説明する。
【0061】
COF7は、ポリイミドフィルム等の可撓性基材を主体とする部材であり、アクチュエータ部材22の上面に配置された中央部と、中央部のX方向両端から上方に引き出された2つの引出部とを有する。2つの引出部のそれぞれに、ドライバIC6が実装されている。COF7の中央部には、アクチュエータ部材22(駆動電極51の突出部51b、高電位端子54及び低電位端子55)と接続される複数の端子(図示略)が形成されている。
【0062】
FPC8も、ポリイミドフィルム等の可撓性基材を主体とする部材である。FPC8は、COF7の2つの引出部に接続された一端と、制御基板5(図1参照)に接続された他端とを有する。即ち、FPC8は、制御基板5とCOF6とを接続し、本発明の「配線基板」に該当する。COF7の2つの引出部及びFPC8の一端は、これらの下側に配置された支持部材9によって支持されている。
【0063】
次いで、図11を参照し、プリンタ100の電気的構成について説明する。
【0064】
プリンタ100は、プリンタ100各部への電力供給源となる主電源Vxを有する。主電源Vxは、制御基板5に実装されており、接地されている。
【0065】
制御基板5は、制御回路5xと、電源回路Vcと、5つの絶縁回路I0~I4と、5つの回路ユニットU0~U4と、接続回路Xとを含む。
【0066】
回路ユニットU0は、IC制御回路Fと、副電源V0とを含む。
【0067】
IC制御回路Fは、ドライバIC6を制御するためのものであり、制御回路5xからの信号に基づいてドライバIC6を制御するための制御信号及び状態信号をIC制御信号としてドライバIC6に入出力する。IC制御信号は、転送クロック信号CLK、シリアル入力信号SIN、ストローブ制御信号STB等を含み、FPC9の配線DW0を介してドライバIC6に入出力される。
【0068】
副電源V0は、主電源Vxから供給された電力を、IC制御回路F及び絶縁回路I0に供給する。また、副電源V0は、FPC9の配線を介し、ドライバIC6に対して高電位VDD(VDD1,VSS1,VDD2,VSS2)を供給する。
【0069】
回路ユニットU1~U4は、それぞれ、信号生成回路W1~W4と、増幅器A1~A4と、信号生成回路制御部WC1~WC4と、増幅器制御部AC1~AC4と、副電源V1~V4とを含む。
【0070】
各信号生成回路W1~W4は、制御回路5xからの信号に基づいて、D/A変換により、複数のアクチュエータ90にそれぞれ供給される駆動信号を生成する。信号生成回路W1~W4は、互いに異なる波形の駆動信号を生成する。例えば、信号生成回路W1は、小玉のインク滴を吐出させる小玉用駆動信号を生成する。信号生成回路W2は、中玉のインク滴を吐出させる中玉用駆動信号を生成する。信号生成回路W3は、大玉のインク滴を吐出させる大玉用駆動信号を生成する。信号生成回路W4は、インク滴を吐出させない非吐出駆動信号を生成する。
【0071】
増幅器A1~A4は、信号生成回路W1~W4が生成した駆動信号を、アクチュエータ90の駆動に適した信号となるように、電力増幅する。
【0072】
信号生成回路制御部WC1~WC4は、信号生成回路W1~W4を制御するためのものであり、制御回路5xからの信号に基づいて信号生成回路W1~W4を制御するための制御信号及び状態信号を信号生成回路W1~W4に入出力する。
【0073】
増幅器制御部AC1~AC4は、増幅器A1~A4を制御するためのものであり、制御回路5xからの信号に基づいて増幅器A1~A4を制御するための制御信号及び状態信号を増幅器A1~A4に入出力する。
【0074】
副電源V1~V4は、それぞれ、主電源Vxから供給された電力を、信号生成回路W1~W4、増幅器A1~A4、信号生成回路制御部WC1~WC4、増幅器制御部AC1~AC4、及び、絶縁回路I1~I4に供給する。
【0075】
電源回路Vcは、主電源Vxから供給された電力と、制御回路5xからの信号とに基づいて、FPC9の配線VCOM,COMを介し、アクチュエータ部材22の高電位電極52及び低電位電極53に高電位及び低電位をそれぞれ供給する。
【0076】
FPC8には、4つの増幅器A1~A4のそれぞれに対応して設けられた4つの信号線組DW1~DW4と、IC制御回路Fに対応して設けられた信号線と、副電源V0に対応して設けられた信号線と、電源回路Vcに対応して設けられた信号線VCOM,COMとが設けられている。各信号線組DW1~DW4は、対応する増幅器A1~A4が増幅した駆動信号S1~S4を各アクチュエータ90に供給する供給線8aと、対応する増幅器A1~A4に駆動信号S1~S4を帰還させる帰還線8bとを含む。供給線8a及び帰還線8bの一端は、増幅器A1~A4に接続されている。
【0077】
各信号線組DW1~DW4の供給線8a及び帰還線8bは、図12に示すように、ポリイミド等からなる絶縁性シート8xの表面及び裏面に、絶縁性シート8xを挟んで配置されている。絶縁性シート8xの表面及び裏面のそれぞれにおいて、信号線組DW1~DW4の供給線8aと帰還線8bとが交互に並んでいる。
【0078】
信号線VCOM,COMは、図12に示すように、絶縁性シート8xの表面及び裏面のそれぞれに、絶縁性シート8xを挟んで配置されている。
【0079】
絶縁性シート8xの表面及び裏面には、供給線8a、帰還線8b、信号線VCOM,COM等を保護するための保護層8yが設けられている。
【0080】
ドライバIC6は、図11に示すように、アクチュエータ90毎に設けられたアナログ式のスイッチSWを有する。供給線8a及び帰還線8bの他端は、スイッチSWに接続されている。ドライバIC6は、IC制御回路Fから供給されたIC制御信号に基づいて、スイッチSWによって駆動信号S1~S4のうちのいずれか1つを選択し、選択した駆動信号をアクチュエータ90に供給する。各アクチュエータ90に供給された駆動信号S1~S4に基づく電圧が駆動電極51に印加されることで、各ノズル15から駆動信号S1~S4に対応するサイズのインク滴が吐出され、又は、各ノズル15内のインクのメニスカスが振動される。
【0081】
絶縁回路I0~I4は、それぞれ、制御回路5x及び主電源Vxと、回路ユニットU0~U4との間に設けられている。各絶縁回路I0~I4は、信号系のアイソレータとして、制御回路5xと各回路ユニットU0~U4との間に設けられたフォトカプラP0~P4と、電源系のアイソレータとして、主電源Vxと各副電源V1~V4の1次側との間に設けられたトランス(巻線トランス、圧電トランス等)T0~T4とを含む。トランスT0~T4は、主電源Vxと副電源V0~V4の1次側とを電気的に絶縁している。これにより、副電源V0~V4が主電源Vxのグランドから絶縁され、増幅器A1~A4がそれぞれ電気的にフローティングされている。図11中の破線は、絶縁回路I0~I4によって電気的に分離された区画を示す。
【0082】
接続回路Xは、主電源VxのグランドM0と、各副電源V0~V4の2次側Z0~Z4とを接続する回路であり、主電源VxのグランドM0と各副電源V0~V4の2次側Z0~Z4との間に設けられた抵抗を有する。
【0083】
なお、「1次側」は電流の上流側(主電源Vx側)であり、「2次側」は電流の下流側(ヘッド1側:負荷が接続される側)である。
【0084】
このような回路構成において、アクチュエータ部材22に形成されたコンデンサC1に加え、COF7、FPC8及び制御基板5にも、コンデンサC2~C4が形成されている。コンデンサC2~C4は、COF7、FPC8及び制御基板5のそれぞれにおいて、配線VCOM,COM間に形成されている。コンデンサC2~C4は、それぞれ、アクチュエータ90(図6参照)とは異なるものであり、高電位と低電位との間に形成されている。コンデンサC2~C4は、本発明の「第2コンデンサ」に該当する。
【0085】
コンデンサの静電容量(コンデンサC1~C4の静電容量の総和)Cは、下記式を満たす。
C=Cu×K
K>1
(ここで、Cu:高電位電極52及び低電位電極53の個別部52a,52b間に生じる静電容量の総和、K:係数)
【0086】
好ましくはK≧5、より好ましくはK≧10、より一層好ましくはK≧50、さらに好ましくはK≧100である。
【0087】
具体的には、図13から、K=1の場合にはパルス波形に大きな歪みがあり、K>1、K≧5、K≧10、K≧50、K≧100と、Kの値が大きくなるほどパルス波形の歪みが抑制されることがわかる。
【0088】
また、図14から、K=1の場合には高電位電極52と低電位電極53との間の電圧変動が大きく、Kの値が大きくなるほど電圧変動が抑制され、K≧50では電圧変動が十分に抑制されることがわかる。
【0089】
また、図15から、K=1の場合には高電位電極52を流れる電流のピーク値が大きく、Kの値が大きくなるほどピーク値が抑制され、K≧50ではピーク値が十分に抑制されることがわかる。
【0090】
コンデンサの静電容量Cは、例えば5~200μFである。コンデンサの静電容量Cは、好ましくは10~150μF、より好ましくは90~110μFである。
【0091】
コンデンサC1~C4は、タンタルコンデンサ以外で構成され、具体的には、セラミックコンデンサ及び電解コンデンサの少なくとも一方で構成される。
【0092】
以上に述べたように、本実施形態によれば、図11に示すように、複数の増幅器A1~A4のそれぞれを電気的にフローティングすることに加え、高電位と低電位とにコンデンサC1~C4を接続し、又は、高電位と低電位との間にアクチュエータ90とは異なるコンデンサC1~C4を形成している。これにより、3層アクチュエータ部材22を採用した場合でも、2層アクチュエータ部材と等価な回路構成を実現し、インダクタンスを低減することができる。ひいては、インダクタンスを低減することで、パルス波形の歪みを抑制できる。
【0093】
コンデンサC1は、アクチュエータ部材22に形成されている(図11参照)。この場合、アクチュエータ90の近くにコンデンサC1を配置することで、配線起因のインピーダンスを抑制できる。ひいては、インピーダンスによる電圧降下を抑制できる。
【0094】
コンデンサC1は、個別群52Gの外側に配置された外側部521(図8参照)と、個別群53Gの外側に配置された外側部531の部分531a,531b(図9参照)とによって形成されている。この場合、個別群52G,53Gの外側のスペースを使ってコンデンサC1を容易に形成できる。
【0095】
コンデンサC2は、COF7に形成されている(図11参照)。この場合、アクチュエータ90の比較的近くにコンデンサC2を配置することで、配線起因のインピーダンスを抑制できる。ひいては、インピーダンスによる電圧降下を抑制できる。
【0096】
コンデンサC3は、FPC8に形成されている(図11参照)。この場合、アクチュエータ90から比較的遠くにコンデンサC3を配置することで、コンデンサC3の設置スペースを確保できる。ひいては、サイズが大きく静電容量の十分なコンデンサC3を設けることができる。
【0097】
コンデンサC4は、制御基板5に形成されている(図11参照)。この場合、アクチュエータ90から遠くにコンデンサC4を配置することで、コンデンサC4の設置スペースを確保できる。ひいては、サイズが大きく静電容量の十分なコンデンサC4を設けることができる。
【0098】
アクチュエータ部材22に形成されたコンデンサC1(第1コンデンサ)と、COF7、FPC8及び制御基板5の少なくともいずれかに形成されたコンデンサC2~C4(第2コンデンサ)とが設けられている。この場合、アクチュエータ90の近くにコンデンサC1を配置することで、配線起因のインピーダンスを抑制できる。一方、アクチュエータ90の近くにコンデンサを配置すると、コンデンサの設置スペースを確保し難く、サイズが大きく静電容量の十分なコンデンサを設け難い。そこで、アクチュエータ部材22のみでなく、COF7、FPC8及び制御基板5の少なくともいずれかにコンデンサを形成することで、静電容量の不足分を補うことができる。
【0099】
コンデンサの静電容量(コンデンサC1~C4の静電容量の総和)Cは、下記式を満たす。
C=Cu×K
K>1
(ここで、Cu:高電位電極52及び低電位電極53の個別部52a,52b間に生じる静電容量の総和、K:係数)
この場合、図13に示すように、インダクタンスの低減(パルス波形の歪み抑制)を実効的に実現できる。
【0100】
コンデンサの静電容量(コンデンサC1~C4の静電容量の総和)Cは、下記式を満たす。
C=Cu×K
K≧5
(ここで、Cu:高電位電極52及び低電位電極53の個別部52a,52b間に生じる静電容量の総和、K:係数)
この場合、図13に示すように、インダクタンスの低減(パルス波形の歪み抑制)をより実効的に実現できる。
【0101】
コンデンサの静電容量(コンデンサC1~C4の静電容量の総和)Cは、下記式を満たす。
C=Cu×K
K≧10
(ここで、Cu:高電位電極52及び低電位電極53の個別部52a,52b間に生じる静電容量の総和、K:係数)
この場合、図13に示すように、インダクタンスの低減(パルス波形の歪み抑制)をより確実に実現できる。
【0102】
コンデンサの静電容量(コンデンサC1~C4の静電容量の総和)Cは、下記式を満たす。
C=Cu×K
K≧50
(ここで、Cu:高電位電極52及び低電位電極53の個別部52a,52b間に生じる静電容量の総和、K:係数)
この場合、図13に示すように、インダクタンスの低減(パルス波形の歪み抑制)をより確実に実現できる。さらに本構成では、図14及び図15に示すように、高電位電極52と低電位電極53との間の電圧変動を抑えること、及び、高電位電極52を流れる電流のピーク値を抑えることを実現できる。
【0103】
コンデンサの静電容量(コンデンサC1~C4の静電容量の総和)Cは、下記式を満たす。
C=Cu×K
K≧100
(ここで、Cu:高電位電極52及び低電位電極53の個別部52a,52b間に生じる静電容量の総和、K:係数)
この場合、図13に示すように、インダクタンスの低減(パルス波形の歪み抑制)をより確実に実現できる。さらに本構成では、図14及び図15に示すように、高電位電極52と低電位電極53との間の電圧変動を抑えること、及び、高電位電極52を流れる電流のピーク値を抑えることをより確実に実現できる。
【0104】
コンデンサC1~C4は、タンタルコンデンサ以外で構成される。タンタルコンデンサは、一般にリップル電流の許容値が小さく、インダクタンスの低減効果を得難い。本実施形態では、コンデンサC1~C4がタンタルコンデンサ以外で構成されるため、当該問題を抑制できる。
【0105】
コンデンサC1~C4は、セラミックコンデンサ及び電解コンデンサの少なくとも一方で構成される。セラミックコンデンサ及び電解コンデンサは、一般にリップル電流の許容値が大きく、インダクタンスの低減効果を得易い。しかも、セラミックコンデンサ及び電解コンデンサは、一般に安価であり、製品コストを低減できる。
【0106】
<第2実施形態>
続いて、図16図18を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。
【0107】
第1実施形態(図7図9参照)では、各圧電層41~43上に1つの群51G,52G,53Gが設けられている。これに対し、第2実施形態(図16図18)では、各圧電層41~43上に2つの群51G1,51G2,52G1,52G2,53G1,53G2が設けられている。例えば、2つの群51G1,51G2,52G1,52G2,53G1,53G2の一方と他方とにおいて、対応する個別流路19のノズル15から吐出されるインクの色が互いに異なる。
【0108】
複数の駆動電極51は、図16に示すように、2つの電極群51G1,51G2を構成している。2つの電極群51G1,51G2は、Y方向に互いに離隔している。2つの電極群51G1,51G2の間には、高電位端子514が設けられている。
【0109】
流路部材21の上面(表面21a)において、高電位端子514が設けられた領域とZ方向に重なる領域には、圧力室10が形成されていない。流路部材21の下面において、高電位端子514が設けられた領域とZ方向に重なる領域には、ノズル15が形成されていない。流路部材21の下面の当該領域には、群51G1,51G2毎に設けられたキャップ部材(図示略)のリップ部が接触可能である。キャップ部材は、それぞれ、群51G1,51G2に対応するノズル15が形成された領域を封止し、当該ノズル15の乾燥を抑制する。
【0110】
高電位電極52の複数の個別部52aは、図17に示すように、2つの個別群52G1,52G2を構成している。2つの個別群52G1,52G2は、Y方向に互いに離隔している。2つの個別群52G1,52G2の間には、高電位電極52を構成する中間部524が設けられている。中間部524は、外側部521の部分521aに接続している。中間部524は、圧電層41に形成された貫通孔41z(図16参照)を介して高電位端子514と電気的に接続されており、高電位端子514から高電位を受ける。
【0111】
低電位電極53の複数の個別部53aは、図18に示すように、2つの個別群53G1,53G2を構成している。2つの個別群53G1,53G2は、Y方向に互いに離隔している。2つの個別群53G1,53G2の間には、低電位電極53を構成する中間部534が設けられている。中間部534は、外側部531の部分531aに接続している。中間部534は、低電位に保持される。
【0112】
中間部524が「第1中間部」に該当し、中間部534が本発明の「第2中間部」に該当する。中間部524と中間部534とは、Z方向に重なり、コンデンサC1(図11参照)を形成している。
【0113】
以上に述べたように、本実施形態によれば、2つの個別群52G1,52G2,53G1,53G2の間のスペースを使ってコンデンサC1を容易に形成できる。
【0114】
<第3実施形態>
続いて、図19を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。
【0115】
第1実施形態(図11参照)では、トランスT1~T4が主電源Vxと各副電源V1~V4の1次側との間に設けられているのに対し、第3実施形態(図19参照)では、トランスT21~T24が副電源V21~V24のそれぞれに設けられている。IC制御回路Fを含む回路ユニットU20の副電源V20にも、トランスT20が設けられている。
【0116】
主電源Vxは、各副電源V20~V24の1次側に接続している。各トランスT20~T24は、当該副電源V20~V24の1次側と2次側とを電気的に絶縁している。これにより、副電源V20~V24が主電源Vxのグランドから絶縁され、増幅器A1~A4が電気的にフローティングされた状態となっている。図19中の破線は、絶縁回路I20~I24及びトランスT21~T24によって電気的に分離された区画を示す。
【0117】
絶縁回路I20~I24は、それぞれ、制御回路5x及び主電源Vxと、回路ユニットU20~U24との間に設けられている。各絶縁回路I20~I24は、フォトカプラP20~P24を含む。
【0118】
第1実施形態と同様、各回路ユニットU21~U24は、信号生成回路W1~W4及び副電源V21~V24の他、増幅器A1~A4、信号生成回路制御部WC1~WC4及び増幅器制御部AC1~AC4を含む。信号生成回路W1~W4が生成した駆動信号は、増幅器A1~A4により増幅された後、FPC8に設けられた各信号線組DW1~DW4の供給線8aを介して、ヘッド1に設けられたドライバIC6の各スイッチSWに供給される。ドライバIC6は、スイッチSWによって駆動信号のうちのいずれか1つを選択し、選択した駆動信号をアクチュエータ部材22の各アクチュエータ90に供給する。各アクチュエータ90に供給された駆動信号に基づく電圧が、駆動電極51に印加される。駆動信号は、各信号線組DW1~DW4の帰還線8bを介して、対応する増幅器A1~A4に帰還される。
【0119】
以上に述べたように、本実施形態によれば、主電源Vxと各副電源V21~V24との間にアイソレータを設ける構成ではないため、主電源Vxと各副電源V21~V24との間の空間を小型化できる。
【0120】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0121】
各副電源が、液体吐出ヘッドの吐出動作に影響を与えない範囲で、主電源と接続されてもよい(例えば、各副電源と主電源との間に、液体吐出装置の回路に流れる総電流の1パーセント未満の電流が流れる素子(抵抗等)が設けられてもよい)。このような場合も、本発明に係る「複数の増幅器はそれぞれ電気的にフローティングされている」状態に該当する。
【0122】
アイソレータは、トランス(巻線トランス、圧電トランス等)に限定されず、フォトカプラや、LEDによってエネルギーを変換する光アイソレーション等であってもよい。
【0123】
増幅器の数は、2以上であればよく、4つに限定されない。駆動信号の種類も、2以上であればよく、4つに限定されない。
【0124】
信号線組は、図12のように供給線と帰還線とが絶縁性シートを挟む構成や供給線と帰還線とが絶縁性シートの表面及び裏面のそれぞれにおいて交互に並ぶ構成には限定されない。また、各信号線組は、電力等に応じて複数系統で構成されてもよい。
【0125】
信号線VCOM,COMも、図12のように絶縁性シートを挟む構成に限定されない。
【0126】
コンデンサは、上述の実施形態ではアクチュエータ部材、回路基板、配線基板及び制御基板のそれぞれに形成されているが、これに限定されない。例えば、コンデンサは、アクチュエータ部材だけに形成されていてもよいし、回路基板だけに形成されていてもよいし、配線基板だけに形成されていてもよいし、制御基板だけに形成されていてもよい。また、例えば、コンデンサは、アクチュエータ部材と回路基板とにだけ形成されていてもよいし、アクチュエータ部材と配線基板とにだけ形成されていてもよいし、アクチュエータ部材と制御基板とにだけ形成されていてもよい。また、例えば、コンデンサは、アクチュエータ部材、回路基板及び配線基板に形成され、制御基板に形成されていなくてもよい。また、例えば、コンデンサは、アクチュエータ部材、回路基板及び制御基板に形成され、配線基板に形成されていなくてもよい。コンデンサは、アクチュエータ部材、配線基板及び制御基板に形成され、回路基板に形成されていなくてもよい。また、第1実施形態では、コンデンサC1は、アクチュエータ90(図6参照)とは異なるものであり、外側部521と外側部531との間に圧電層42を挟むことで形成されるが、これに限定されない。例えば、コンデンサC1は、一端と他端との2つの端子を有し、コンデンサC1の一端が外側部521と接続し、コンデンサC1の他端が外側部531と接続する構成であってもよい。つまり、コンデンサは、第1電位と第2電位との間に形成、又は、第1電位及び第2電位に接続されればよく、位置や構成は特に限定されない。
【0127】
アクチュエータ部材を構成する圧電層の数は、上述の実施形態では3つであるが、2つ、又は、4つ以上であってもよい。例えば、上述の実施形態において、圧電層43の代わりに、ステンレス鋼等からなる振動板を設けてもよい。或いは、上述の実施形態において、アクチュエータ部材22の圧電層43と流路部材21のプレート31との間に、別の圧電層を配置してもよい。
【0128】
第1電位が高電位、第2電位が低電位であることに限定されず、これと逆(即ち、第1電位が低電位、第2電位が高電位)であってもよい。
【0129】
第1電極層、第2電極層及び第3電極層の直交方向の位置関係は、上述の実施形態のものに限定されない。例えば、直交方向において第2電極層と第3電極層との間に第1電極層が位置してもよいし、直交方向において第1電極層と第2電極層との間に第3電極層が位置してもよい。この場合、高電位電極52が最下層、低電位電極53が中間層に位置してよい。
【0130】
アクチュエータは、上述の実施形態のような圧電素子を用いたピエゾ方式に限定されず、その他の方式(例えば、発熱素子を用いたサーマル方式、静電力を用いた静電方式等)であってもよい。
【0131】
液体吐出ヘッドは、シリアル式に限定されず、ライン式にであってもよい。また、液体吐出装置は、複数の液体吐出ヘッドを含んでもよい。
【0132】
液体吐出ヘッドが吐出する液体は、インクに限定されず、任意の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)であってよい。
【0133】
記録媒体は、用紙に限定されず、記録可能な任意の媒体(例えば、布等)であってよい。
【0134】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0135】
1 ヘッド(液体吐出ヘッド)
5 制御基板
6 ドライバIC(駆動回路)
7 COF(回路基板)
8 FPC(配線基板)
8a 供給線
8b 帰還線
10 圧力室
15 ノズル
19 個別流路
21 流路部材
21a 表面
22 アクチュエータ部材
40 圧電体
41 圧電層(第1圧電層)
42 圧電層(第2圧電層)
51 駆動電極(第1電極)
52 高電位電極(第2電極)
52a 個別部
52G;52G1,52G2 個別群
521 外側部(第1外側部)
524 中間部
53 低電位電極(第3電極)
53a 個別部
53G;53G1,53G2 個別群
531 外側部(第2外側部)
534 中間部
70 電極体
71 第1電極層
72 第2電極層
73 第3電極層
90 アクチュエータ
100;300 プリンタ(液体吐出装置)
A1~A4 増幅器
C1 コンデンサ(第1コンデンサ)
C2~C4 コンデンサ(第2コンデンサ)
DW1~DW4 信号線組
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19