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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176166
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/532 20060101AFI20231206BHJP
   A61F 13/533 20060101ALI20231206BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20231206BHJP
   A61F 13/47 20060101ALI20231206BHJP
   A61F 13/475 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A61F13/532 200
A61F13/533 100
A61F13/511 110
A61F13/47 300
A61F13/475 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088310
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】永島 真里子
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 裕美
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA13
3B200BA14
3B200CA11
3B200DB01
3B200DB05
3B200DC06
(57)【要約】
【課題】臀部へのフィット性を高め、伝い漏れを防止できる吸収性物品を提供する。
【解決手段】肌側のトップシートと、前記肌側と反対側の非肌側のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体とを備える細長の本体を有する吸収性物品であって、前記本体が、装着時に装着者の臀部に対向させる臀部対向領域のうち後方において、当該吸収性物品の長手方向に沿って延びる長手方向中心線に跨り且つ横方向に延在する低密度領域を有し、前記低密度領域はその全体が、当該低密度領域よりも密度の高い高密度領域によって取り囲まれている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌側のトップシートと、前記肌側と反対側の非肌側のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体とを備える細長の本体を有する吸収性物品であって、
前記本体が、装着時に装着者の臀部に対向させる臀部対向領域のうち後方において、当該吸収性物品の長手方向に沿って延びる長手方向中心線に跨り且つ横方向に延在する低密度領域を有し、前記低密度領域はその全体が、当該低密度領域よりも密度の高い高密度領域によって取り囲まれている、吸収性物品。
【請求項2】
前記高密度領域が、圧搾により高密度化された領域である、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記臀部対向領域が、前記吸収体のパルプ目付がほぼ均一な目付均一領域を含み、
前記低密度領域が、前記目付均一領域内に部分的に形成されている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記低密度領域が、後方に凸の形状を有する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
少なくとも前記トップシート及び前記吸収体に、前記トップシート側から窪む圧搾溝が形成されており、
前記圧搾溝が、前記低密度領域の前方に横方向に沿って延在する第1圧搾溝と、前記低密度領域の後方に横方向に沿って延在する第2圧搾溝とを含む、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記第1圧搾溝及び前記第2圧搾溝がそれぞれ、後方に凸の形状を含む形状である、請求項5に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン等の吸収性物品として、長時間用若しくは夜間用の、本体が臀部まで対向するよう後方領域を長くした製品が知られている。このような吸収性物品においては、後方領域での体液の漏れを防止するための構成が様々に検討されている。当該検討には、吸収体の形状に係る工夫も含まれる。
【0003】
例えば、特許文献1には、前後方向に長い形状の吸収性コア(吸収体)を備えた吸収性物品において、吸収性コアの中央域が、側方域の上面より上方に突出した突出部を有し、当該突出部が、着用者の液排泄部に対向配置される排泄部対向部から排泄部対向部より後方に配される後方部に亘って形成された構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-104094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の構成では、夜間就寝時、或いは長時間にわたって吸収性物品を使用した場合、装着の仕方、装着者の装着中の動き等によっては、体液が臀裂に対向させた吸収体で体液を吸収しきれずに、体液が臀裂を伝って臀裂の後方又は後側方に漏れてしまう懸念(伝い漏れともいう)が依然としてある。よって、臀部へのフィット性、特に臀裂の後方の部位、又は臀裂後端よりさらに後方の部位へのフィット性を高め、体液の伝い漏れを阻止することが求められている。
【0006】
上記に鑑みて、本発明の一態様は、臀部へのフィット性を高め、伝い漏れを防止できる吸収性物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、肌側のトップシートと、前記肌側と反対側の非肌側のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体とを備える細長の本体を有する吸収性物品であって、前記本体が、装着時に装着者の臀部に対向させる臀部対向領域のうち後方において、当該吸収性物品の長手方向に沿って延びる長手方向中心線に跨り且つ横方向に延在する低密度領域を有し、前記低密度領域はその全体が、当該低密度領域よりも密度の高い高密度領域によって取り囲まれている。
【0008】
上記第一の態様によれば、低密度領域が、臀部対向領域のうちの後方に形成されているので、装着時には当該低密度領域を、装着者の臀裂の後方部分付近の部位、或いは臀裂の後端よりも後の部位に対向させることができる。低密度領域は柔軟性が高いので、臀裂の後方部分の浅い窪みに、或いは窪みのほとんどない肌面に沿って密着でき、本体のフィット性が向上する。また、体液が臀裂を伝って後方に移行し、低密度領域に向かう場合、体液は高密度領域から低密度領域へは拡散しにくいため、低密度領域の手前で拡散速度が低下する。そして、低密度領域内に入った体液は、比較的ゆっくりと後方及び横方向に拡散するので、吸収体を横方向にも活用できる。また、低密度領域においては、パルプ間の隙間が多いので、比較的多量の体液の保持が可能となる。このようにして、低密度領域が、言わばストッパとなって伝い漏れを防止することができる。
【0009】
本発明の第二の態様では、前記高密度領域が、圧搾により高密度化された領域である。
【0010】
上記第二の態様によれば、高密度領域が、比較的簡単な圧搾という手段により形成されているので、製造工程の煩雑化を防止できる。低密度領域及び高密度領域に対応した圧搾型を準備すれば、目付均一の吸収体を用いて所望の領域を高密度化し、ひいては所望の領域を高密度化せずに低密度領域を得ることができる。また、吸収体に高密度領域が形成されていることで、吸収体の保形性が向上し、吸収体の意図せぬほぐれ等を防止できる。
【0011】
本発明の第三の態様では、前記臀部対向領域が、前記吸収体のパルプ目付がほぼ均一な目付均一領域を含み、前記低密度領域が、前記目付均一領域内に部分的に形成されている。
【0012】
本発明の第三の態様によれば、低密度領域と高密度領域とで、パルプ目付が均一であるので、低密度領域の厚みを厚くすることができる。また、低密度領域の局所的な密度の調整を、吸収体の積繊において行う必要がなく、製造工程の煩雑化を防止できる。
【0013】
本発明の第四の態様では、前記低密度領域が、後方に凸の形状を有する。
【0014】
本発明の第四の態様によれば、低密度領域を、臀裂の後端付近を後側から囲むように密着させることができる。そのため、体液が長手方向から多少逸脱する方向に伝ってきても、より確実に漏れを阻止できる。
【0015】
本発明の第五の態様では、少なくとも前記トップシート及び前記吸収体に、前記トップシート側から窪む圧搾溝が形成されており、前記圧搾溝が、前記低密度領域の前方に横方向に沿って延在する第1圧搾溝と、前記低密度領域の後方に横方向に沿って延在する第2圧搾溝とを含む。
【0016】
上記第五の態様によれば、装着時に、臀部対向領域の後方領域を長手方向に湾曲させた場合、柔軟性の高い低密度領域は、第1圧搾溝及び第2圧搾溝から圧縮力を受け、トップシート側へと盛り上がるように変形し得る。これにより、本体の、臀裂の浅い又は臀裂のない部位へのフィット性が高まる。また、第1圧搾溝及び第2圧搾溝は横方向に沿って延在しているので、後方に移行してきた体液を塞き止める作用も奏する。
【0017】
本発明の第六の態様では、前記第1圧搾溝及び前記第2圧搾溝がそれぞれ、後方に凸の形状を含む形状である。
【0018】
上記第六の態様によれば、第1圧搾溝(第1後方圧搾溝)及び第2圧搾溝(第2後方圧搾溝)によって、斜後方又は側方に向かう体液の移行も阻止できる。また、臀部対向領域のうちの後方を臀部の全体に沿わせる場合には、長手方向及び横方向の両方で本体を三次元的に湾曲させる必要があるが、本態様による第1圧搾溝及び第2圧搾溝の形状によって、上記三次元的な湾曲が自然に形成できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、臀部へのフィット性を高め、伝い漏れを防止できる吸収性物品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一形態による吸収性物品をトップシート側から見た平面図である。
図2図1のI-I線断面である。
図3図1の吸収性物品の吸収体を露出させた状態の平面図である。
図4図1の部分拡大図である。
図5図4の吸収体のII-II線断面の一部を示す図である。
図6】高密度領域及び低密度領域の形成について説明するための図である。
図7】高密度領域の拡大平面図である。
図8図3と同様の図であるが、吸収体の目付について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0022】
<吸収性物品の基本構造>
まず、吸収性物品の基本構造について、夜用又は長時間用の生理用ナプキンを例に挙げて説明する。図1に、吸収性物品1の平面図を示す。また、図2に、図1のI-I線に沿って切った断面図を示す。
【0023】
図1及び図2に示すように、吸収性物品1は、装着時に装着者の肌に対向させる側、すなわち肌側に配置された透液性のトップシート3と、上記肌側と反対側の非肌側(下着側)に配置された不透液性のバックシート2とを備える。さらに、バックシート2とトップシート3との間には吸収体(吸収性コア)4が配置されている。これらのバックシート2、吸収体4、及びトップシート3が積層されて、本体(吸収性物品本体)8が形成されている。吸収体4は、平面視でバックシート2及びトップシート3からはみ出ないように配置されている。そして、長手方向D1の両端縁においては、バックシート2の縁部とトップシート3の縁部とが、接着剤、ヒートシール等によって接合されていてよい。
【0024】
吸収性物品1は、図示のように、細長のパッド状(幅及び長さに比べ厚みが小さい形状)である。本明細書においては、吸収性物品1の長手方向(前後方向)をD1、当該長手方向D1に直交する横方向(左右方向若しくは幅方向)をD2とする。長手方向D1は、吸収性物品1を装着した時に装着者の身体の前後方向に対応する方向であり、横方向D2は、身体の左右方向に対応する方向である。
【0025】
図1及び図2に示す形態では、本体8は、長手方向D1に延びる中心線(長手方向中心線)CLに対して略線対称の平面視形状を有しているが、本体8の形状は必ずしも線対称でなくてよい。また、吸収性物品1及び本体8の形状以外の構成(吸収体4の厚みや密度、圧搾溝の大きさ及び位置、本体8から横方向D2外方に延出するフラップの形状及び大きさ等を含む)は、中心線CLを対称軸として略対称であってもよいし、非対称であってもよい。
【0026】
バックシート2は、少なくとも遮水性を有するシートであってよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂製のシートであってよい。また、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布の積層シート等を用いることができる。また、ムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられることがさらに望ましい。このような遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シート等を用いることができる。バックシート2は、吸収性物品1の外形形状と同じ外形形状を有するシートであってよい。
【0027】
トップシート3は、経血、おりもの、尿等の体液を速やかに透過させる透液性のシートとすることができる。トップシート3としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシート等が好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、及びこれらの混紡繊維、並びに綿等の天然繊維を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、不織布の加工法としては、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等が挙げられる。これらの加工法のうち、スパンレース法は柔軟性、スパンボンド法はドレープ性に富む不織布を製造できる点で好ましく、サーマルボンド法は嵩高でソフトな不織布を製造できる点で好ましい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を用いることもできる。
【0028】
吸収体4は、体液を吸収して保持できる材料であれば限定されないが、綿状パルプと吸水性ポリマーとを含むことが好ましい。吸水性ポリマーとしては、高吸水ポリマー粒状粉(superabsorbent polymer(SAP))、高吸水ポリマー繊維(superabsorbent fiber(SAF))、及びこれらの組合せを用いることができる。パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられる。化学パルプの原料材としては、広葉樹材、針葉樹材等が用いられるが、繊維長が長いこと等から針葉樹材が好適に使用される。
【0029】
吸収体4には合成繊維を混合してもよい。合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、及びこれらの共重合体を使用でき、これらのうちの2種を混合して使用することもできる。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。なお、疎水性繊維を親水化剤で表面処理し、体液に対する親和性を付与したものを用いることもできる。吸収体4は、積繊又はエアレイド法によって製造されたものが好ましい。
【0030】
吸収体4には、部分的にトップシート3側からバックシート2側へと窪む吸収体圧搾部(吸収体高圧搾部及び吸収体低圧搾部を含む)が形成されていてもよい(後に詳述)。また、吸収体4は、ヨレや割れの防止又はポリマー粒子のこぼれ等の防止のために、着色又は無着色(白色)のクレープ紙、不織布等から形成された被包シートによって包まれていてもよい。
【0031】
吸収性物品1の両側部、すなわち横方向D2の側部には、肌側に、長手方向D1に沿って、サイドシート7、7が配置されている。サイドシート7は、体液の浸透を防止する、或いは肌触り感を高める等の目的に応じて、適切な撥水処理又は親水処理を、全体に若しくは部分的に施した素材を用いて構成されたものであってよい。サイドシート7は天然繊維、合成繊維、再生繊維等を含む、若しくはこれらの繊維からなる不織布であると好ましい。サイドシート7が不織布である場合、エアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等であってよいが、折り癖が付きにくく、シワになりにくく柔らかいことから、肌触りを向上できるという観点でエアスルー不織布であると好ましい。なお、サイドシート7は、シリコン系、パラフィン系等の撥水剤等で撥水処理されていてもよい。
【0032】
サイドシート7は、横方向D2の内側で折り返され、本体8の側部に沿って延在する複数層の帯状部が形成されていてよい。そして、複数層の層間に、長手方向D1に沿って弾性伸縮部材を伸長状態で配置することで、ギャザーが形成されていてもよい。本明細書では、サイドシート7の折返し及びギャザーの構成については説明を省略し、図面においても図示を省略する。
【0033】
吸収性物品1は、装着時に装着者の体液排出口(図示の例では膣口)に対向させる体液排出口対向領域Cと、体液排出口対向領域Cの前方に隣接し且つ吸収性物品1の前端までの領域である前方領域Fと、体液排出口対向領域Cの後方に隣接し且つ装着時に装着者の会陰付近に対向させる会陰対向領域(中間領域)Mと、会陰対向領域Mの後方に隣接し且つ吸収性物品1の後端までの領域であって、装着時に装着者の臀部に対向させる臀部対向領域Bとを有していてよい。会陰対向領域M及び臀部対向領域Bは、合せて後方領域と呼ぶ場合がある。臀部対向領域Bは、会陰対向領域Mに隣接する前方臀部対向領域B1と、当該前方臀部対向領域B1の後方に隣接する後方臀部対向領域B2とを含む。前方臀部対向領域B1は、臀裂(臀部の溝)に主として対向する領域であって、肛門を含む部位に対向する領域である。後方臀部対向領域B2は、臀部の臀裂の後方部分若しくは臀裂の後端付近からさらに後方の部位、特に臀部と脚の境ともいえる臀溝よりも後方(起立状態では上方)の部位に対向できる領域であってよい。なお、上記の本体8の領域と装着者の身体との対向関係についての説明は、装着者が臥位での通常の装着の仕方で吸収性物品を装着した場合の凡その範囲であるが、あくまで目安である。
【0034】
体液排出口対向領域Cの長手方向D1長さは、50~120mm、臀部対向領域Bの長手方向D1長さは、90~230mmであってよい。また、本形態による構成は、例えば、会陰対向領域M及び臀部対向領域Bの合計長さが、好ましくは臀部対向領域Bの長手方向D1長さが、ウィングフラップWFが設けられている長手方向D1の長さより大きい、後方が長い吸収性物品において好適である。また、前方臀部対向領域(臀裂対向領域)B1の長手方向D1長さは、40~100mm、後方臀部対向領域B2の長手方向D1長さは、40~120mmであってよい。また、吸収性物品1の長手方向D1の全長は、250~450mmであってよい。
【0035】
吸収性物品1は、体液排出口対向領域Cの両側部からそれぞれ横方向D2外方に延出した一対のウィングフラップWF、WFを備えていてよい。ウィングフラップWF、WFの非肌側にはズレ止め材(図示せず)が設けられていてよく、このズレ止め材によって、装着時にはウィングフラップWF、WFと本体8とで下着を挟むように、ウィングフラップWF、WFを非肌側に折り返して下着に貼着できる。これにより、吸収性物品1を下着に確実に固定できる。ウィングフラップWF、WFは、サイドシート7、7の横方向D2外方への延出部と、バックシート2の横方向D2外方への延出部とが接合されて形成されている。
【0036】
また、会陰対向領域Mから臀部対向領域Bにかけて、本体8の側部から横方向D2外方に延出する一対のヒップホールドフラップHF、HFが形成されていてよい。ヒップホールドフラップHF、HFは、吸収性物品1の後方における体液の漏れを防止するとともに、臀部との接触面積を大きくすることで、吸収性物品1全体が下着に対して、特に横方向D2にズレにくくなり、吸収性物品1の装着位置を安定させる機能も有する。ヒップホールドフラップHF、HFも、サイドシート7、7の横方向D2外方への延出部と、バックシート2の横方向D2外方への延出部との接合によって形成されていてよい。
【0037】
<吸収体の具体的な構成>
図3に、図1の吸収性物品1からトップシート3及びサイドシート7、7を取り外し、吸収体4を露出させた状態の平面図を示す。図1及び図3に示すように、本体8は、臀部対向領域Bにおいて、局所的に吸収体4の密度の異なる領域を有している。より具体的には、吸収体4が、低密度領域46と、当該低密度領域46の周囲を取り囲み且つ低密度領域46よりも密度、好ましくはパルプ密度が高い高密度領域45を有する。本明細書において、低密度及び高密度という語は、密度の相対的な大きさを指すものであり、特定の密度を示すものではない。但し、低密度領域46のパルプ密度は、高密度領域45のパルプ密度の40~90%、好ましくは60~80%であってよい。また、低密度領域46のパルプ密度は、好ましくは0.035~0.1g/cm、より好ましくは0.05~0.08g/cmであってよい。高密度領域45のパルプ密度は、好ましくは0.055~0.15g/cm、より好ましくは0.07~0.12g/cmであってよい。
【0038】
低密度領域46は、主として後方臀部対向領域B2に設けられており、装着時には装着者の臀部の後方部分、若しくは臥位で臀溝よりも上体に近い領域に対向する領域に形成されている。また、図1及び図3に示すように、低密度領域46は、長手方向中心線CLを跨るように且つ横方向D2に延在するように形成されている。このような低密度領域46は、装着時には装着者の臀裂の後端付近の浅い窪みに、或いは臀裂の後端よりも後方のほぼ平らな肌面に対向するが、低密度領域46はその柔軟性によって、肌面の形状に合わせて変形して肌に密着でき、また装着感も良好である。
【0039】
なお、低密度領域46よりも前方に、体液排出口対向領域Cから会陰対向領域Mにかけても、周囲より密度の低い低密度領域46'が形成されていてよい。この前方の低密度領域46'は、パルプ目付が相対的に高い高目付部4H(後に詳述)を含むように形成されていてよい。本形態では、図3に示すように、低密度領域46、46'以外の領域は高密度領域45となっている。
【0040】
図4に、図1の吸収体4の低密度領域46及びその周囲の領域の拡大図を示す。装着時に、体液が臀裂を伝って、長手方向中心線CLに沿って後方に移行してきた場合、(図4の白矢印で示すように、高密度領域45から低密度領域46内へと移行することになる。ここで、一般に液は、高密度の吸収体から低密度の吸収体へは拡散しにくいことから、低密度領域46の前縁では拡散速度が一旦低下し、その後の低密度領域46内での拡散も後方に急速に進むのではなく、比較的ゆっくりと且つ横方向D2にも進む(図4の白矢印)。そのため、吸収体4を横方向D2にわたって活用できる。また、低密度領域46は吸収体4に含まれるパルプ間の隙間が多いので、体液の保持する容量が大きく、さらに後方には体液を移行させにくい。よって、低密度領域46は、言わばストッパとなり、体液のさらなる後方への移行を阻止でき、伝い漏れを防止できる。また、臀裂を伝ってきた体液でなくとも、体液排出口対向領域Cにて吸収しきれず吸収体4内を後方に移行してきた体液も阻止できる。
【0041】
密度の異なる領域(低密度領域46及び高密度領域45)を形成する方法は特に限定されないが、吸収体4となる前段階の積繊体を、厚み方向に圧搾(若しくは圧縮)することによって形成することが好ましい。その場合、高密度領域45は圧搾により高密度化された領域であり、低密度領域46は、圧搾(若しくは圧縮)が実質的にされていない領域である。圧搾(若しくは圧縮)が実質的にされていない、とは、高密度領域45を形成するための圧搾加工時に圧搾型(コアエンボス型ともいう、後に詳述)から厚み方向の圧力を受けていないことを指す。但し、本形態における低密度領域46の機能を損なわない限りで、低密度領域46に圧搾された部分があってもよい。
【0042】
低密度領域46は全体として、長手方向中心線CLを跨り且つ横方向D2に延在する形状であるが、後方に凸の形状に湾曲していてもよい。図示の例では、低密度領域46は、カシューナッツ形状(湾曲帯状で且つ両端部が丸められている形状、若しくは楕円を当該楕円の長径の中心付近を長径の一方側へと湾曲させた形状)になっている。このように、低密度領域46が後方に凸の形状になっていることで、横方向D2の中央付近を後方に移行してきた体液を、後ろから包み込むように阻止できるので、長手方向D1から逸脱した体液も良好に塞き止めることができる。また、後方に凸に湾曲していることで、低密度領域46及びその周囲の領域を、臀部の丸みに沿って自然に変形させることができる。
【0043】
低密度領域46の中心線(おおよそ横方向D2に沿った湾曲した中心線)Lの曲率半径は13~35mmであってよく、少なくとも長手方向中心線CLにおいて15~25mmとなっていてよい。このような低密度領域46の湾曲の度合によって、体液の良好な塞き止め、自然な変形といった上述の作用を向上できる。また、低密度領域46の幅(横方向D2の長さ)aは、30~60mmであってよく、吸収体4の横方向D2長さの好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上であってよい。低密度領域46の長さ(長手方向D1の長さ)bは、10~30mmであってよい。さらに、低密度領域46の横方向D2長さの、長手方向D1長さに対する比の値(a/b)は、1.5~4であってよい。
【0044】
図4に示すように、高密度領域45は、吸収体低圧搾部42と、吸収体低圧搾部42によりも圧搾深さの深い吸収体高圧搾部41、41、…とを含む。図示の例では、吸収体高圧搾部41、41、…は、点在して配置されている。すなわち、複数の吸収体高圧搾部41、41、…が互いに離隔して配置されている。高密度領域45においては、吸収体高圧搾部41、41、…以外の領域が、吸収体低圧搾部42になっている。吸収体高圧搾部41、41、…が形成されていることで、高密度領域45が硬くなり過ぎることなく、厚み方向により確実に圧搾され、使用中でも吸収体4の形が崩れたりほぐれたりしにくくなる。
【0045】
図5に、吸収体4の一部を図4のII-II線で切った断面を模式的に示す。図5に示すように、低密度領域46の前後に高密度領域45、45が形成されている。高密度領域45、45は、全体的に厚み方向に圧縮されていて、低密度領域46よりも厚みが小さくなっている。図5に示すように、低密度領域46が相対的に盛り上がっていると、肌面の形状に合わせて変形して肌に密着するという上述の伝い漏れストッパとしての機能が高まる。また、低密度領域46は柔軟性が高い領域であるので、装着者が仰臥位になった際でも違和感が生じにくい。そして、図5に示すように、低密度領域46、は後方臀部対向領域B2内に形成されているので、臀裂の浅くなっている、若しくは臀裂がない身体部位に良好に密着できる。なお、図5における符号11'及び12'は、吸収体の製造工程より後の工程にて、少なくともトップシート3及び吸収体4に形成される圧搾溝(フィットエンボスともいう、後に詳述)の位置を示す。
【0046】
ここで、図6を参照して、密度の異なる領域(高密度領域45及び低密度領域46)の形成について説明する。場所による密度の違いを形成するためには、例えば、図6(a)に示すように、表面に凹凸が付与された圧搾型80を準備し、この圧搾型80を、吸収体材料が積繊された積繊体4aの面に押し付ける。圧搾型80には、低密度領域46に対応する凹部86が設けられており、凹部86内では領域が厚み方向に圧搾されないようになっている。また、凹部86の周囲の面は、吸収体低圧搾部42に対応する低圧搾面82となっており、さらに当該低圧搾面82内に、吸収体高圧搾部41に対応する高圧搾突起81、81、…が複数離隔して形成されている。圧搾型80が積繊体4aに押し付けられると、図6(b)に示すように、低圧搾面82によって積繊体4aが厚み方向に圧縮されるが、凹部86内の積繊体4aは圧縮されない。そのため、凹部86内に位置する積繊体4aの高さは、周囲よりも高く維持され、高密度化が起こらない若しくはほとんど起こらない。また、離隔した複数の高圧搾突起81、81、…は、低圧搾面82から積繊体4aに向かって突出しているので、高圧搾突起81、81、…に対向する位置では、積繊体4aに深い窪みが形成される。その後、図6(c)に示すように、圧搾型80を取り外すと、長手方向D1で高密度領域45、45に挟まれた低密度領域46が形成された吸収体4(図5)が得られる。そして、高密度領域45として、吸収体低圧搾部42内に吸収体高圧搾部41、41、…が点在した構成が得られる。
【0047】
図7に、図4における高密度領域45の部分拡大図を示す。図7に示すように、高密度領域45においては、複数の吸収体高圧搾部41、41、…が互いに離隔して配置されている。吸収体高圧搾部41、41、…のない領域が、連続して延在する吸収体低圧搾部42である。図7に示す例では、吸収性物品1の長手方向D1を上下方向として見て、吸収体高圧搾部41、41、…の配置は千鳥状であるが、吸収体高圧搾部41、41、…は、別の配置に、例えば格子状に形成されていてもよい。但し、図示のような千鳥状の配置の場合、吸収性物品1が横方向D2から両脚の力を受けた場合にでも応力が長手方向D1に分散しやすく、吸収体4を歪みなくトップシート3側に盛り上げることができる。千鳥状の配置で、1つの吸収体高圧搾部41の中心と、当該吸収体高圧搾部41に横方向D2に隣接する吸収体高圧搾部41の中心との距離pは、平均で4~12mmであってよく、1つの吸収体高圧搾部41の中心と、当該吸収体高圧搾部41に長手方向D1に隣接する吸収体高圧搾部41の中心との距離pは、平均で4~12mmであってよい。
【0048】
複数の吸収体高圧搾部41、41、…は、同じ平面視形状及び同じ大きさを有していてもよいが、吸収体高圧搾部41、41、…には、異なる形状を有する吸収体高圧搾部、例えば図7に示すように、2種の形状の異なる第1吸収体高圧搾部41A、41A、…及び第2吸収体高圧搾部41B、41B、…が含まれていてもよい。図7に示す例では、第1吸収体高圧搾部41A、41A、…は円形であり、第2吸収体高圧搾部41B、41B、…は細長形状である。そして、第1吸収体高圧搾部41A、41A、…が長手方向D1に離隔して配置された列と、第2吸収体高圧搾部41B、41B、…が長手方向D1に離隔して配置された列とが交互に配置されている。より具体的には、第1吸収体高圧搾部41Aの輪郭41Ar及び底面41Abの形状はいずれも円形である。一方、第2吸収体高圧搾部41Bの輪郭41Brは細長の六角形であり、第2吸収体高圧搾部41Bの底部41Bbの形状は楕円形である。吸収体高圧搾部41、41、…のこのような輪郭の形状及び底部の形状は、例えば、吸収体高圧搾部41、41、…を形成する際に使用する圧搾型80における高圧搾突起81の形状(図6)等を変更することによって調整できる。
【0049】
なお、図7に示すように、細長形状の第2吸収体高圧搾部41Bは、その中心線の方向(例えば、楕円形であればその長径方向)は、横方向D2で隣り合う同形状の第2吸収体高圧搾部41Bの中心線の方向と、75°~105°の角度、好ましくは90°の角度をなしていてよい。これにより、本体8の右側部分が前に、左側部分が後ろに引っ張られるような変形があっても、応力が集中しにくく、吸収体4内に歪みが生じにくくなる。
【0050】
なお、吸収体4は、全面にわたって均一な目付を有してなくともよく、局所的に目付を増やした領域、又は局所的に目付を少なくした領域を有していてもよい。なお、吸収体4には、上述のようにパルプと吸水性ポリマーとが含まれているが、吸水性ポリマーの目付は吸収体4全体において同程度であると好ましい。その場合、パルプ目付の大小関係が、目付の大小関係に反映される。
【0051】
吸収体4の目付の分布について説明するため、図8に、図3における吸収体高圧搾部41、41、…の図示を省略し、吸収体4内の異なる目付を明示した平面図を示す。図8に示すように、吸収体4には、体液排出口対向領域Cにおいては、吸収体4の横方向D2の中央に、目付を高くした高目付部4Hが形成されていてよい。また、会陰対向領域M、及び前方臀部対向領域B1の横方向D2の中央の連続した領域は、目付を低くした低目付部4Lであってよい。図示の例では、高目付部4H及び低目付部4L以外の領域は、高目付部4Hより目付が低く且つ低目付部4Lより目付の高い中目付部4Mとなっている。中目付部4Mは、前方領域F、体液排出口対向領域Cにおいて高目付部4Hを取り囲む領域、前方臀部対向領域B1において低目付部4Lを取り囲む領域、及び後方臀部対向領域B2に延在していてよい。高目付部4H、中目付部4M、及び低目付部4Lは、各部分内において目付がほぼ均一な目付均一領域であってよい。所定部分若しくは所定領域内で目付がほぼ均一であるとは、目付が多少異なる箇所があっても、当該所定部分若しくは所定領域内の目付の平均との差が、目付の平均の20%以下、好ましく10%以下、より好ましくは5%以下であることを指す。
【0052】
上述の低密度領域46は、後方臀部対向領域B2内に形成されている。そして、後方臀部対向領域B2は中目付部4Mであり、目付均一領域であってよい。すなわち、低密度領域46とその周囲の高密度領域45とでは、同様のパルプ目付を有している。パルプ目付が均一な後方臀部対向領域B2のパルプ目付は、好ましくは250~600g/m、より好ましくは300~600g/m、さらに好ましくは400~500g/mであってよい。
【0053】
低密度領域46と高密度領域45とでは目付が均一であるので、低密度領域46の低密度化は、上述の吸収体高圧搾部41、41、…の形成等の圧搾によって行うことができ、吸収体4の積繊の際に行う必要はない。また、本形態によれば、低密度領域46の厚みは、高密度領域45の厚みよりも大きくなっている。吸収体4において、低密度領域46の厚みは、高密度領域45の厚みの40~90%であってよい。また、吸収体4の低密度領域46の厚みは、5~9mm、吸収体4の高密度領域の厚みは、3~7mmであってよい。
【0054】
<圧搾溝>
図1及び図2に示すように、本形態の吸収性物品1の本体8には、少なくともトップシート3及び吸収体4がトップシート3側から圧搾されてなる圧搾溝(フィットエンボス)が形成されていてよい。圧搾溝は、体液を引き込んで保持する機能があるので、体液の拡散の阻止、或いは体液の誘導に寄与することができる。図示の例では、圧搾溝は、複数の圧搾溝を含んでいてよい(符号10、11、12、13で図示)。圧搾溝は、平面視で、吸収性物品1の長手方向中心線CLを対称線とする線対称に形成されていてよいが、必ずしも線対称でなくともよい。圧搾溝は、例えば、少なくともトップシート3及び吸収体4が積層されてなる積層体を、一対の加圧ロールの間に通過させることによって形成することができる。その場合、上記積層体のトップシート3側に凸状のロールが、吸収体4側に平坦なロールが配置されるようにして、両ロールによって挟むことで加圧できる。なお、圧搾溝は、低圧搾部と、当該低圧搾部内においてより高圧で圧搾された高圧搾部とを含んでいてよい。図面においては、高圧搾部は黒色で表示する。
【0055】
図1に示す形態では、主として体液排出口対向領域Cから会陰対向領域Mにおいて、一対の中央圧搾溝10、10が長手方向D1に沿って延在している。一対の中央圧搾溝10、10は、長手方向中心線CLの両側に、互いに離隔して形成されている。一対の中央圧搾溝10、10は、高目付部4Hと重ならないように配置されている。一対の中央圧搾溝10、10同士の横方向D2の離隔距離は一定であってもよいが、変動していてもよい。例えば図1に示すように、体液排出口対向領域Cと会陰対向領域Mとの境界付近で小さくなり、その後方で再び大きくなり、後端に向かうにつれて小さくなっていてよい。
【0056】
一対の中央圧搾溝10、10の後方には、当該一対の中央圧搾溝10、10と離隔して第1後方圧搾溝(第1圧搾溝)11が形成されている。第1後方圧搾溝11は、臀部対向領域Bに、主として臀裂対向領域B1に形成されている。第1後方圧搾溝11は、全体として後方に凸の形状を有する。第1後方圧搾溝11は、より具体的には、少なくとも3つの後方に凸の弧状部分を含んでいてよい。或いは、第1後方圧搾溝11は、長手方向中心線CLに重なるU字形状、好ましくは蹄鉄状の圧搾溝と、当該圧搾溝の側方から枝分かれして前方に延びる圧搾溝とを含む形状を有していてよい。さらに、第1後方圧搾溝11の後方には、当該第1後方圧搾溝11から離隔して第2後方圧搾溝(第2圧搾溝)12が形成されている。第2後方圧搾溝12は、横方向D2に沿って延在する溝であり、後方に凸の形状を有する。また、一対の中央圧搾溝10、10の前方には、前方圧搾溝13が形成されている。図1に示す例では、前方圧搾溝13は、異なる曲率半径で前方に凸に湾曲した形状の圧搾溝が組み合わされてなる閉じた形状を有する。
【0057】
図3及び図4に示すように、第1後方圧搾溝11は、上述の低密度領域46の前方に形成されており、且つ第2後方圧搾溝12は、低密度領域46の後方に形成されていることが好ましい。よって、低密度領域46は、平面視で、第1後方圧搾溝11と第2後方圧搾溝12とによって前後で挟まれている。低密度領域46の柔軟性を確保する観点からは、図3及び図4に示すように、第1後方圧搾溝11及び第2後方圧搾溝12が低密度領域46に重なっていなことが好ましい。また、第1後方圧搾溝11及び第2後方圧搾溝12の形成位置は、図5にも、第1後方圧搾溝11の形成予定位置11'及び第2後方圧搾溝12の形成予定位置12'として示す。
【0058】
低密度領域46が形成されている後方臀部対向領域B2は、装着時には装着者の臀部の湾曲が大きくなる部位付近に対向するので、長手方向に大きく湾曲する。その際、柔軟性の高い低密度領域46は、第1後方圧搾溝11及び第2後方圧搾溝12からそれぞれ圧縮力を受けて、トップシート3側に盛り上がるよう変形できる。よって、第1後方圧搾溝11及び第2後方圧搾溝12があることで、臀裂の浅い又は臀裂がほとんどない部位へのフィット性を高めることができる。
【0059】
なお、第1後方圧搾溝11のうちの特に最も後方に位置する凸形状の湾曲度合、低密度領域46の湾曲度合(中心線Lの湾曲度合)、及び第2後方圧搾溝12の湾曲度合は、この順でより緩やかにすることができる。すなわち、長手方向中心線CLにおいて、第1後方圧搾溝11の最後方の凸形状の中心線の曲率半径、低密度領域46の上述の中心線Lの曲率半径、及び第2後方圧搾溝12の中心線の曲率半径は、後方にむかうほど大きくなっていてよい。これにより、後方臀部対向領域B2を臀部後方の形状に沿って、シワやヨレなしで密着させることができる。
【0060】
さらに、第1後方圧搾溝11及び第2後方圧搾溝12が設けられていることで、後方又は斜後方の体液の流れを塞き止めることができ、本形態の伝い漏れ防止の機能を高めることができる。また、第1後方圧搾溝11及び第2後方圧搾溝12は、本体8を臀部に沿って三次元的に湾曲させる際の曲げの基点ともなり得るので、臀部全体へのフィット性も高まる。
【0061】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。また、上記実施形態は、特許請求の範囲に記載された範囲内において、様々な変更、修正、置換、付加、削除、及び組合せ等が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0062】
1 吸収性物品(生理用ナプキン)
2 バックシート
3 トップシート
4 吸収体
4H 吸収体の高目付部
4L 吸収体の低目付部
4M 吸収体の中目付部
7 サイドシート
8 本体(吸収性物品本体)
10 中央圧搾溝
11 第1後方圧搾溝
11' 第1後方圧搾溝の形成予定位置
12 第2後方圧搾溝
12' 第2後方圧搾溝の形成予定位置
13 前方圧搾溝
41 吸収体高圧搾部
41A 第1吸収体高圧搾部
41B 第2吸収体高圧搾部
42 吸収体低圧搾部
45 高密度領域
46 低密度領域(非圧搾部)
80 圧搾型
81 高圧搾突起
82 低圧搾面
86 凹部
B 臀部対向領域
B1 前方臀部対向領域(臀裂対向領域)
B2 後方臀部対向領域
C 体液排出口対向領域
CL 長手方向中心線
D1 長手方向
D2 横方向
F 前方領域
HF ヒップホールドフラップ
M 中間領域(会陰対向領域)
WF ウィングフラップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8