(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176177
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】デッキ
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
E04F15/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088330
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】赤井 忠剛
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠也
(72)【発明者】
【氏名】笹島 淳志
(72)【発明者】
【氏名】谷藤 貴生
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA25
2E220AA26
2E220AA35
2E220AA41
2E220AB04
2E220AC03
2E220BA01
2E220BA26
2E220BC06
2E220CA04
2E220CA05
2E220CA13
2E220DA16
2E220DB06
2E220EA03
2E220FA03
2E220GA25X
2E220GA33X
2E220GB05X
(57)【要約】
【課題】建物の屋外に設置されるデッキにおいて、強度を向上させる。
【解決手段】デッキ材と、デッキ材を補強する補強部材を備え、デッキ材は、長手方向に延びる中空部を有しており、補強部材は、デッキ材の中空部内に配置される断面略U字状で下方に開口する上補強材と、デッキ材の中空部内に配置される断面略U字状で上方に開口する下補強材と、デッキ材の下面から中空部内の下補強材を裏板にして取り付けられるボルト部材を有し、ボルト部材は、上端が上補強材の内周下面に当接しており、上補強材は、上面が中空部の上壁の内周面に当接している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキ材と、デッキ材を補強する補強部材を備え、
デッキ材は、長手方向に延びる中空部を有しており、
補強部材は、デッキ材の中空部内に配置される断面略U字状で下方に開口する上補強材と、デッキ材の中空部内に配置される断面略U字状で上方に開口する下補強材と、デッキ材の下面から中空部内の下補強材を裏板にして取り付けられるボルト部材を有し、
ボルト部材は、上端が上補強材の内周下面に当接しており、上補強材は、上面が中空部の上壁の内周面に当接している
デッキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋外に設置されるデッキに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、建物の屋外に設置されるデッキが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の屋外に設置されるデッキにおいて、強度を向上させることが求められている。
【0005】
本発明は、建物の屋外に設置されるデッキにおいて、強度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態は、デッキ材と、デッキ材を補強する補強部材を備え、デッキ材は、長手方向に延びる中空部を有しており、補強部材は、デッキ材の中空部内に配置される断面略U字状で下方に開口する上補強材と、デッキ材の中空部内に配置される断面略U字状で上方に開口する下補強材と、デッキ材の下面から中空部内の下補強材を裏板にして取り付けられるボルト部材を有し、ボルト部材は、上端が上補強材の内周下面に当接しており、上補強材は、上面が中空部の上壁の内周面に当接しているデッキである。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、建物の屋外に設置されるデッキにおいて、強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】一実施形態のデッキの縦断面図の一例であり、(a)は
図1におけるA-A縦断面図であり、(b)は(a)の一部分(D部分)を拡大した縦断面図である。
【
図3】一実施形態のデッキの縦断面図の一例であり、(a)は
図1におけるB-B縦断面図であり、(b)は(a)の一部分(E部分)を拡大した縦断面図である。
【
図4】一実施形態のデッキの縦断面図の一例であり、(a)は
図1におけるC-C縦断面図であり、(b)は(a)の一部分(F部分)を拡大した縦断面図である。
【
図5】一実施形態のデッキの点検口用蓋の平面図の一例である。
【
図6】一実施形態のデッキの点検口用蓋の縦断面図の一例であり、(a)は
図5におけるG-G縦断面図であり、(b)は
図5におけるH-H縦断面図であり、(c)は
図5におけるI-I縦断面図であり、(d)は(b)の一部分(J部分)の拡大図である。
【
図7】一実施形態のデッキ材の図であり、(a)はデッキ材の正面図であり、(b)は小口隠し材の正面図であり、(c)は小口隠し材の側面図であり、(d)は小口隠し材を取り付けた状態のデッキ材の一部側面図であり、(e)は小口隠し材を取り付けた状態のデッキ材の正面図である。
【
図8】一実施形態のデッキの回転把手を説明する図の一例であり、(a)ないし(c)は、回転把手単体の図であり、(d)は回転把手を取り付ける中央デッキ材の平面図であり、(e)は(d)のK-K断面図であり、(f)(g)は上補強材の図であり、(h)(i)は、(f)(g)のL-L断面図である。
【
図9】一実施形態のデッキの回転把手を説明する図の一例であり、(a)は回転把手が取り付けられたデッキ材の平面図であり、(b)は(a)のM-M断面図であり、(c)は回転把手の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態のデッキについて、建物の外壁に近接して配置され中央部分に点検口を有するデッキの例を用いて、図面を参考にして説明する。
なお、以下の説明では、建物の壁面に平行な方向を見付方向、壁面に直角な方向を前後方向といい、建物側からみて壁面から離れた側を前という。
【0010】
(デッキの構成)
本実施形態のデッキは、建物の外壁に近接して配置され、建物の開口部から利用することのできるデッキであり、
図1,
図2(a)に示すように、複数本(4本)の柱1と、柱1の上端に亘って架設された複数本(2本)の大引2と、複数列(6列)のデッキ材3を有している。なお、柱1、大引2およびデッキ材3列の数は、限定されない。
【0011】
デッキは、中央に点検口を有しており、見付方向で外側2列に配置される長尺のデッキ材30,31,38,39と、点検口が設けられている中央2列の中央デッキ材を有しており、中央デッキ材は、後部デッキ材32,33と、中央部デッキ材34,35と、前部デッキ材36,37から構成されている。
デッキは、中央デッキ材を構成する中央部デッキ材34,35によって、点検口を塞ぐ点検口用蓋5が形成されている。
【0012】
柱1は、アルミ合金等の金属材料からなり、断面が矩形中空形状の長尺部材であり、基礎等の上面に対して固定金具等によって固定されている。
【0013】
大引2は、アルミ合金等の金属材料からなり、断面が上方の幅寸法が小さく下方の幅寸法が大きい凸型中空形状の長尺部材であり、柱1の上端に載置されてビス等によって固定されている。
【0014】
デッキ材3は、アルミ合金等の金属材料からなり、
図7(a)に示すように、上壁3aと、底壁3bと、上壁3aと底壁3bとの間を仕切る複数の仕切壁3c,3cを有し、長手方向(前後方向)に伸びる複数の中空部3dが左右方向に並ぶ断面中空形状の部材である。
デッキ材3は、底壁3bが左右に延設されて左右端の仕切壁3cよりも外側に突出しており、該突出した部分によってデッキ材3を連結、固定するための連結部3eが形成されている。
【0015】
複数列に配置されるデッキ材3のうち、見付方向で外側2列に配置されるデッキ材30,31,38,39は、
図1ないし
図3に示すように、前後に並ぶ大引2,2に亘って配置され、デッキ材取付金具25によって大引2に固定されている。
【0016】
大引2は、中央2列を含む領域において、それぞれ前後にスチール等の金属製で断面略L字形のデッキ材受金具21,22がボルト(固定手段)b1によって固定されており、後部デッキ材32,33と、前部デッキ材36,37は、
図2,
図3に示すように、大引2上面および前後のデッキ材受金具21,22によって支持され、デッキ材取付金具25によって固定されている。
【0017】
デッキ材受金具21,22のうち、点検口側に固定されたデッキ材受金具22は、
図2(b)に示すように、前部デッキ材36,37の後方端部(および後部デッキ材32,33の前方端部)よりも点検口側に延びており、点検口用蓋5の前後縁部を載置する載置部22aが形成されている。
【0018】
デッキ材受金具22は、
図2(b),
図4(b)に示すように、載置部22aの上面で点検口用蓋5の見付方向両側位置にガイドブロック26,26が固定されているとともに、載置部22aに点検口用蓋5の載置時の衝撃を緩和するクッション材27が配置されており、点検口用蓋5を閉鎖する際の衝撃をおさえている。
【0019】
デッキは、外周に樹脂製の縁部材6が取り付けられており、デッキ材の端面開口や側面部が露出することなく、意匠性に優れたデッキに形成されている。
点検口用蓋5は、水平軸廻りに回転して出没する回転把手51が設けられており、回転把手51を突出させ、点検口用蓋5を持ちあげて開放することで、デッキ下方の点検を行うことができる。
【0020】
(点検口用蓋)
本実施形態の点検口用蓋5は、
図2(b),4(b),
図5,
図6に示すように、左右に並ぶ中央部デッキ材34,35と、中央部デッキ材34,35の下面に配置され、中央部デッキ材34,35を連結する横部材52,52を有しており、一方の中央部デッキ材35の中空部3d内に回転把手51が配置されている。
【0021】
横部材52は、アルミ合金等の金属材料からなり、断面が矩形中空形状で中央部デッキ材34,35を並べた見付け寸法よりも若干短い長さを有する長尺部材であり、両端部には、樹脂製の端部キャップが装着されている。
【0022】
点検口用蓋5は、
図2,
図5ないし
図6に示すように、前後方向に配置された2本の横部材52,52の上面に中央部デッキ材34,35が配置され、中央部デッキ材34,35の中空部3d内に配置された断面U字形状の裏板部材53と横部材52,52をボルト(固定手段)b2で固定することで形成されている。
【0023】
点検口用蓋5は、
図6(c)に示すように、中央部デッキ材35の回転把手51が配置された中空部3d内に補強部材8が配置されている。
補強部材8は、
図6(d)に示すように、デッキ材3の中空部3d内に配置される下方に開口する断面略U字状の上補強材81と、デッキ材3の中空部3d内に配置される上方に開口する断面略U字状の下補強材82と、デッキ材3の下面から中空部3d内の下補強材82を裏板として螺合され、上端が上補強材81の内周下面に当接しているボルト等からなる拡張部材83を有している。
【0024】
上補強材81および下補強材82は、底壁81a,82aと、底壁81a,82aの両側から延びる左右の側壁81b,82bからなる同一の断面形状を有しており、開口同士を向き合わせて側壁81b,82bが互い違いとなるように中空部3d内に配置されている。
【0025】
回転把手51は、
図8(a)ないし(c)に示すように、把手本体51aと、把手本体51aを回転自在に保持する保持壁51bと、保持壁51bの周りに設けられた縁部分51cを有している。
【0026】
回転把手51が取付けられる中央部デッキ材35は、
図8(d)(e)に示すように、上壁3aにおける回転把手51の取付部位に回転把手51の把手本体51aおよび保持壁51bを挿入可能な寸法の開口部35aが形成されていると共に、開口部35aの周りに回転把手51の縁部分51cが納まる凹部35bが形成されており、凹部35bの適宜位置にネジ孔35c,35cが形成されている。
【0027】
上補強材81は、
図8(f)ないし(i)に示すように、底壁81aおよび側壁81bの一部が切り欠かれて切欠き部81cが形成されており、中央部デッキ材35に形成された開口部35aと切欠き部81cとの位置が一致するように中空部3d内に配置されている。
【0028】
回転把手51は、
図9(a)(b)に示すように、把手本体51aおよび保持壁51bが中央部デッキ材35の上壁3aの開口部35aおよび上補強材81の切欠き部81cを介して中空部3d内に挿入され、縁部分51cが凹部35bに納められて、ビス(固定手段)b等によって中央部デッキ材35および上補強材81に固定されて取り付けられている。
中央部デッキ材35に取り付けられた回転把手51は、
図9(c)に示すように、保持壁51bの軸51dを中心にして把手本体51aを回転させることで把手本体51aが中央部デッキ材35の上方に突出してつかむことができるようになる。
【0029】
補強部材8は、中央部デッキ材35の下面から下補強材82を裏板としてボルト(拡張部材)83が螺合されて上補強材81の底壁82aに当接することで、ボルト(拡張部材)83の上端部が上補強材81を押し上げて、上補強材81の底壁81aおよび下補強材82の底壁82aとの間を拡げようとする。
補強部材8は、間が拡張された上補強材81の底壁81aと下補強材82の底壁82aがそれぞれ中空部3dの上内周面および下内周面に当接し、回転把手51が配置された中空部3dを内側から補強している。
【0030】
中空部3d内に配置された下補強材82は、横部材52を中央部デッキ材35に固定するための裏板部材53を兼用しており、
図6(a)に示すように、下補強材82と横部材52がボルト(固定手段)b2で固定されている。
【0031】
(小口隠し材)
本実施形態のデッキは、デッキ材3の前後方向の端面(小口)同士が対向する部位、具体的には、
図4(b)に示す点検口用蓋5を構成する中央部デッキ材34,35の前後の端面(小口)、および
図3(b)に示す後部デッキ材32,33の前端面(もしくは前部デッキ材36,37の後端面)に小口隠し材7が取り付けられている。
【0032】
小口隠し材7は、平板状の金属材から形成され、
図7(b)(c)に示すように、垂直板状の隠し部7aと、隠し部7aの上端縁が一方向に屈曲されて形成された上壁部7bと、隠し部7aの側部が一方向に屈曲されて形成された左右の固定片7c,7cを有しており、左右の固定片7cにはビス孔7dが形成されている。
【0033】
小口隠し材7は、
図7(d)(e)に示すように、隠し部7aによってデッキ材3の小口を覆った状態で、上壁部7bがデッキ材3の上壁3aに載置され、左右の固定片7c,7cがデッキ材3の見付方向両端の仕切壁3c、3cに外側から当接されて配置されており、固定片7cのビス孔7dを介してビス(固定手段)b3を螺合することでデッキ材3に取り付けられている。
なお、小口隠し材7の固定片7cのデッキ材3に対する固定位置は、仕切壁3c,3cに限定されるものではなく、固定片7cの形状を変更してデッキ材3の他の部分に固定するようにしてもよい。
【0034】
小口隠し材7が取り付けられたデッキ材3は、小口の上方部分が小口隠し材7の隠し部7aによって覆われ、小口の下方部分が露出している。
【0035】
(本実施形態のデッキの効果)
本実施形態のデッキは、デッキ材の中空部内に断面U字状の補強材同士を開口を向き合わせて配置し、ボルト部材によって押し広げるようにして中空部を補強することで、簡単な施工によって、点検口用蓋を開閉する際につかむ把手回りの強度を向上させることができ、点検口用蓋の開閉時に把手回りが破損することを防止し、全体としての強度を向上させることができる。また、点検口に人が載った時にも壊れにくい。
【0036】
本実施形態のデッキは、デッキ材の中空部内に配置される補強部材を断面U字状の補強材同士を開口を向き合わせて形成しているので、各補強材が平板状の補強材に比べてデッキ材の中空部内に配置した状態で安定し、ボルト部材による外力に対して中空部内で傾くことなくデッキ材を補強することができる。
【0037】
本実施形態のデッキは、点検口用蓋を構成するデッキ材の端面および該端面に対向する他のデッキ材の端面を小口塞ぎ材で塞ぐことで、簡単な施工によって、デッキ材の中空部内に雨水やごみが侵入することを抑制できる。
また、小口塞ぎ材によって塞ぐデッキ材の中空部を上方部位のみにして下方部分を露出させることで、デッキ材の中空部内に浸入した雨水等を排水することができ、デッキの汚れや腐食を防止して、対候性を向上させることができる。
【0038】
本実施形態のデッキは、デッキの端面を塞ぐ小口塞ぎ材の塞ぎ部を平板状の金属板から形成することで、デッキ材を安価に成形することができ、塞ぎ材の構成が単純なので施工を容易にすることができる。
さらに、点検口用蓋を構成するデッキ材の端面と、該端面と対向するデッキ材の端面との間を大きくすることなく、点検口におけるデッキ材の端面からのごみの浸入を防ぎ、また、意匠性を向上させることができる。
【0039】
なお、補強部材によって補強されるデッキ材の中空部は、回転把手が配置された中空部に限定されるものではなく、必要に応じて他の中空部についても同様の補強部材によって補強してもよい。
また、デッキを構成するデッキ材は、大引に支持されるデッキ材に限定されるものではない。
以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0040】
1 :柱
2 :大引
3(30~39) :デッキ材
3d :中空部
5 :点検口用蓋
7 :小口塞ぎ材
7a :塞ぎ部
7b :上壁部
7c :固定片
7d :ビス孔
8 :補強部材
51 :回転把手
81 :上補強材
82 :下補強材
83 :拡張部材(ボルト)