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特開2023-176184ガス化ガスのガス前処理設備、及びガス前処理方法
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  • 特開-ガス化ガスのガス前処理設備、及びガス前処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176184
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】ガス化ガスのガス前処理設備、及びガス前処理方法
(51)【国際特許分類】
   C10K 3/04 20060101AFI20231206BHJP
   C10K 1/34 20060101ALI20231206BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20231206BHJP
【FI】
C10K3/04
C10K1/34
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088342
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000176752
【氏名又は名称】三菱化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】宮島 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀晴
(72)【発明者】
【氏名】上條 健人
【テーマコード(参考)】
4G146
4H060
【Fターム(参考)】
4G146JA02
4G146JB03
4G146JB09
4G146JC03
4G146JC22
4G146JC37
4G146JD01
4H060AA02
4H060BB12
4H060BB16
4H060BB23
4H060DD02
4H060GG08
(57)【要約】
【課題】ガス化ガスのガス前処理設備、及びガス前処理方法を提供する。
【解決手段】不飽和炭化水素を含むガス化ガス12を導入するガス化ガス導入ラインL1と、ガス化ガス導入ラインL1からのガス化ガスを水添処理する水添処理装置13と、水添処理装置からの水添処理ガス14をリサイクルするリサイクルラインL2と、リサイクルラインL2からリサイクルガス14aの一部を抜き出すガス抜き出しラインL3と、ガス抜き出しラインL3に介装され、抜き出しリサイクルガス14aを圧縮するガス昇圧機15と、圧縮された圧縮ガス14bを水蒸気改質する改質炉16と、改質炉で改質された水蒸気改質ガス14cを後流側に送出する改質ガス送出ラインL4と、を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和炭化水素化合物を含むガス化ガスを導入するガス化ガス導入ラインと、
前記ガス化ガス導入ラインからのガス化ガスを水素添加処理する水添処理装置と、
前記水添処理装置からの水添処理ガスをリサイクルするリサイクルラインと、
前記リサイクルラインからリサイクルガスの一部を抜き出すガス抜き出すラインと、
抜き出された水添処理ガスを改質する改質炉と、
前記改質炉で改質された改質ガスを後流側に送出する改質ガス送出ラインと、
を備えたことを特徴とするガス化ガスのガス前処理設備。
【請求項2】
請求項1において、
前記ガス抜き出しラインの前記改質炉の前流側に、抜き出された水添処理ガス中に含まれるCOを変成する変成触媒を有する変成器を備えることを特徴とするガス化ガスのガス前処理設備。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記改質炉の後流側において、前記改質ガス中の二酸化炭素の含有率を軽減する脱炭酸装置を備えることを特徴とするガス化ガスのガス前処理設備。
【請求項4】
ガス化設備から排出される不飽和炭化水素化合物を含むガス化ガスを水添処理する水添処理工程と、
前記水添処理工程からの水添処理ガスをリサイクルするガスリサイクル工程と、
前記リサイクル工程からリサイクルガスの一部を抜き出すガス抜き出し工程と、
抜き出された水添処理ガスを改質する改質工程と、
を有することを特徴とするガス化ガスのガス前処理方法。
【請求項5】
請求項4において、
抜き出された水添処理ガス中に含まれるCOを変成するCO変成工程を有することを特徴とするガス化ガスのガス前処理方法。
【請求項6】
請求項4又は5において、
前記改質工程からの改質ガス中の二酸化炭素の含有率を軽減する脱炭酸工程を有することを特徴とするガス化ガスのガス前処理方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス化ガスのガス前処理設備、及びガス前処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水蒸気改質装置の前工程として、水蒸気改質触媒の触媒毒となる原料ガス中の硫黄分を除去するための設備として水添脱硫反応器を設けている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-226867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、廃棄物やバイオマス等をガス化炉で部分酸化処理して製造または生成されたガス化ガスを有効利用する際、改質装置の前処理として、水添反応器を設ける際、ガス化ガス中に、例えばエチレン、アセチレン、プロピレン、ブテン等の不飽和炭化水素を多く含む場合、不飽和炭化水素の水添反応による発熱により著しい温度上昇が発生し、水添反応器の運転温度範囲を逸脱してしまうため、原料ガスとして使用できない、という問題がある。
【0005】
また、ガス化ガス中に一酸化炭素(CO)を多く含むような場合、改質触媒上で、ブーダード反応(2CO→CO2+C)により炭素が析出し、改質触媒の割れや粉化、活性低下と、析出した炭素粉により触媒層を閉塞する、という問題がある。
【0006】
本発明は、例えば不飽和化合物の含有量が多いガス化ガスを有価物製造用の原料ガスとして有効活用することができるガス化ガスのガス前処理設備、及びガス前処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係るガス化ガスのガス前処理設備は、
不飽和炭化水素化合物を含むガス化ガスを導入するガス化ガス導入ラインと、
前記ガス化ガス導入ラインからのガス化ガスを水素添加処理する水添処理装置と、
前記水添処理装置からの水添処理ガスをリサイクルするリサイクルラインと、
前記リサイクルラインからリサイクルガスの一部を抜き出すガス抜き出すラインと、
抜き出された水添処理ガスを改質する改質炉と、
前記改質炉で改質された改質ガスを後流側に送出する改質ガス送出ラインと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2態様に係るガス化ガスのガス前処理方法は、
ガス化設備から排出される不飽和炭化水素化合物を含むガス化ガスを水添処理する水添処理工程と、
前記水添処理工程からの水添処理ガスをリサイクルするガスリサイクル工程と、
前記リサイクル工程からリサイクルガスの一部を抜き出すガス抜き出し工程と、
抜き出された水添処理ガスを改質する改質工程と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガス化設備から生成されたガス化ガスの前処理を効率よく行え、前処理ガスを有価物の原料ガスとして有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1のガス化ガスのガス前処理装置の概略図である。
図2図2は、実施形態2のガス化ガスのガス前処理装置の概略図である。
図3図3は、実施形態3のガス化ガスのガス前処理装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0012】
[実施形態1]
図1は、実施形態1にかかるガス化ガスのガス前処理装置の概略図である。図1に示すように、本実施形態1にかかるガス化ガスのガス前処理装置100Aは、不飽和炭化水素を含むガス化ガス(原料ガス)12を導入するガス化ガス導入ラインL1と、ガス化ガス導入ラインL1からのガス化ガス(原料ガス)12を水素添加処理(以下「水添処理」という)する水添処理装置13と、水添処理装置13からの水素添加処理ガス(以下「水添処理ガス」という)14をリサイクルするリサイクルラインL2と、リサイクルラインL2からリサイクルガスの一部を抜き出すガス抜き出しラインL3と、ガス抜き出しラインL3に介装され、抜き出しリサイクルガス14aを圧縮する昇圧機15と、圧縮された圧縮ガス14bを改質する改質炉16と、改質炉16で改質された改質ガス14cを後流側に有価物17の原料ガスとして送出する改質ガス送出ラインL4と、を備えるものである。なお、図1中、符号20は水蒸気、21はブロワ、Fは改質炉16に供給される燃料(油でもガスでも可)を図示する。
【0013】
ここで、不飽和化合物を含むガス化ガス(原料ガス)12としては、図示しないガス化設備において、ガス化炉により例えばバイオマス、廃棄物等の被処理物を高温で部分酸化されたガス化ガスであり、このガス化ガスには、例えば水素(H2)、飽和炭化水素、不飽和化合物(不飽和炭化水素:例えばエチレン、アセチレン、プロピレン、ブテン等)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、硫黄化合物、等を含んでいる。なお、原料ガス中の不飽和化合物の含有量としては、ガス化処理する対象物にもよるが1 DRY mol%を超えるものをいう。
【0014】
このガス化ガス12は、ガス化ガス導入ラインL1を介して、水添処理触媒を有する水添処理装置13に送られ、ここでガス化ガス12が脱硫処理される。
【0015】
この水添処理装置13において水添処理ガス14は、水添処理装置13の入り口側にリサイクルするリサイクルラインL2が形成されている。このリサイクルラインL2には、熱交換器22が設けられており、ガス化ガス導入ラインL1のガス化ガス12と水添処理ガス14とを熱交換している。熱交換後の水添処理ガス14は冷却器23により所定の温度となるように冷却されている。なお、水添処理装置13の入り口温度が所定の触媒設定温度とならない場合には、必要に応じて水添処理装置13の入り口側において、電気ヒータや蒸気加熱器等の予熱器を別途設けるようにしてもよい。
また、水添処理装置13では、ガス化ガス12中に硫黄化合物が含まれる場合には、水素添加されることで、硫化水素(H2S)に転化されるので、水添触媒の後処理として、酸化亜鉛触媒などの脱硫剤でH2Sを除くことが可能である。
【0016】
水添処理装置13から送出されるガスの一部を水添処理装置13の入口側にリサイクルラインL2を介してリサイクル処理することにより、ガス化ガス12中の不飽和炭化水素の濃度を低くし、水添処理装置13での温度上昇を抑え、水添処理装置13の通常の運転温度範囲での運転を可能としている。
【0017】
すなわち、リサイクルラインL2を備えることで、原料ガスであるガス化ガス12とリサイクルガスである水添処理ガス14とを混合して水添処理装置13へ再度送り、水添処理することで、発熱を抑えることができる(水添処理装置13の入口温度:例えば250℃→出口温度:例えば390℃)。
この際、循環ガス量を原料ガスの0.1倍から10倍リサイクルすることで、発熱を抑えつつ不飽和化合物を飽和化合物に変換することができる。
【0018】
この結果、エチレン、アセチレン、プロピレン、ブテン等の不飽和炭化水素を多く含む原料ガスのような場合、不飽和炭化水素の水添反応による発熱による著しい温度上昇が発生するのを抑制し、水添処理装置13の運転温度範囲を逸脱することを回避するようにしている。
【0019】
また、原料ガス中の不飽和化合物としてアセチレンが多量に含まれているような場合、改質炉16で改質処理される際には、昇圧機15で圧縮するので、事前に水添処理装置13でアセチレンをエタンに転化とすることが望ましい。
【0020】
ここで、水添処理装置13の水添触媒としては、例えばCoMox、NiMox触媒等を例示することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、水添触媒に硫黄(S)分を添加し、予備硫化させるようにしてもよい。また、硫黄除去触媒としては酸化亜鉛(ZnO)等を例示することができる。
さらに、ガス化ガスにハロゲン化物が含まれる場合には、ハロゲン除去用触媒を合わせて用いることができる。ハロゲン除去用触媒としては、NaO触媒等を例示することができる。
【0021】
そして、リサイクルラインL2からの水添処理ガス14の一部をガス抜き出しラインL3を介して抜き出し、後流側に設けた改質炉16に送っている。
【0022】
水添処理ガス14の一部14aを改質炉16に送るガス抜き出しラインL3には、抜き出したリサイクルガス14aを圧縮する昇圧機15が介装されている。なお、昇圧機15の設置はここに限定されるものではない。
【0023】
昇圧機15で圧縮された圧縮ガス14bは水蒸気改質する改質触媒を有する改質炉16に送られ、ここで別途導入される水蒸気20と共に改質される。ここで改質触媒としては、公知の改質触媒を用いることできる。なお、改質触媒としては、例えばNi/Al23、Ni/MgOAl23、Ru/Al23等の触媒が例示されるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
改質炉16で改質された水蒸気改質ガス14cは改質ガス送出ラインL4を介して後流側に有価物17の原料ガスとして送られる。
ここで、本実施形態の改質炉16としては、水蒸気を用いた水蒸気改質炉を例示しているが、ガスを改質する他の改質装置としては、例えばオートサーマルリフォーマを用いるようにしてもよい。
【0025】
このように、本発明によれば、水添処理装置13の出口ガスの一部を水添処理装置13の入口側にリサイクルラインL2を介してリサイクルすることにより、
不飽和炭化水素の濃度を低くし、水添処理装置13での温度上昇を抑え、水添処理装置13の通常の運転温度範囲(例えば200℃~480℃、好適には250℃~390℃)での運転が可能になる。
すなわち、本実施形態の循環プロセスを適用しない場合、不飽和炭化水素の濃度にもよるが、水添処理装置13の入口側の温度を例えば300℃とすると、出口側の温度は500~1000℃まで温度上昇してしまうが、これが解消される。
【0026】
また、不飽和炭化水素のアセチレンは、高濃度で加圧すると爆発する可能性のあるガスで取り扱いには注意が必要であるが、昇圧機15で加圧する前に、常圧に近い低圧で水添反応を行うことにより、例えばアセチレンを含む不飽和炭化水素を水素添加することができる。
【0027】
本実施形態にかかるガス化ガスのガス前処理方法は、ガス化設備から生成される不飽和炭化水素化合物を含むガス化ガス(原料ガス)12を水添処理する水添処理工程(S-1)と、水添処理工程(S-1)からの水添処理ガス14をリサイクルするガスリサイクル工程(S-2)と、リサイクル工程からリサイクルガス14aの一部を抜き出すガス抜き出すガス抜き出し工程(S-3)と、抜き出された水添処理ガスを改質する改質工程(S-4)と、を有する。本ガス化ガスのガス前処理方法によれば、例えば不飽和炭化水素化合物の含有量が多いガス化ガス12と水添処理工程からのリサイクルガスである水添処理ガス14とを混合して水添処理工程へ再度送り、水素添加することで、発熱を抑えることができ、その後改質炉16を有する改質工程で改質処理することで有価物17の原料ガス17として有効活用することができる。
【0028】
[実施形態2]
図2は、実施形態2にかかるガス化ガスのガス前処理装置の概略図である。なお、実施形態1の構成と同一構成については、同一符号を付して、重複した説明は省略する。
本実施形態2にかかるガス化ガスのガス前処理装置100Bは、図1に示すガス化ガスのガス前処理装置100Aにおいて、さらにガス抜き出しラインL3のガス昇圧機15の後流側に介装され、圧縮された圧縮ガス14b中に含まれるCOを変成する変成触媒を有する変成器30を備えている。ここでCO変成触媒としては、公知の変成触媒を用いることでき、限定されるものではない。ここで、変成触媒としてはFe-Cr触媒を例示することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
ここで、水蒸気改質部に供給するガス中のCO濃度が高い場合、改質触媒の触媒上でブーダード反応(2CO→CO2+C)が進行して、炭素析出が生じ、水蒸気改質触媒の活性が低下したり、触媒層を閉塞させてしまうという問題がある。
【0030】
本実施形態のように、CO変成触媒を有するCO変成装置(変成装置)30を、ガス抜き出しラインL3の昇圧機15の後流側で改質炉16の前段に配置することで、変成触媒によりシフト反応(CO+H2O→CO2+H2)を進行させて、CO濃度を低減(例えばCO濃度23 DRY mol%→2 DRY mol%に低減)させている。改質炉16に導入される圧縮ガス14b中のCO濃度を低減した後、水蒸気改質触媒へ供給することにより、高濃度のCOを含む原料ガス12であっても、水蒸気改質の原料ガスとして使用することが可能となる。
【0031】
本実施形態によれば、高濃度の不飽和炭化水素と高濃度の一酸化炭素とを含む原料ガスであるガス化ガス12と水添処理装置13からのリサイクルガスである水添処理ガス14とを混合して水添処理装置13へ再度送り、水添することで、発熱を抑えることができる。さらに、変成器30にてCO濃度を低減することで、その後改質炉16で改質処理する際に、改質触媒上でブーダード反応により炭素が析出し、改質触媒の割れや粉化、活性低下と、析出した炭素粉による触媒層の閉塞が生じることがなく、水蒸気改質ガス14cを安定して得ることができ、有価物17の原料ガスを効率よく製造することができる。
【0032】
[実施形態3]
図3は、実施形態3にかかるガス化ガスのガス前処理装置の概略図である。なお、実施形態1の構成と同一構成については、同一符号を付して、重複した説明は省略する。
本実施形態3にかかるガス化ガスのガス前処理装置100Cは、図2に示すガス化ガスのガス前処理装置100Bにおいて、さらに改質炉16の後流側において、改質ガス14c中の二酸化炭素(CO2)の含有率を軽減する脱炭酸装置31を改質ガス送出ラインL4に備えている。
【0033】
本実施形態においては、二酸化炭素(CO2)を除去する場合には、例えば水蒸気改質ガス14c中のCO2ガス濃度を低減する脱炭酸装置31を設置している。
【0034】
脱炭酸装置31としては、アミン吸収法による吸収塔と再生塔とを備えた二酸化炭素回収装置を用いることができる。なお、脱炭酸装置31のアミン吸収装置以外としては、CO2を液体中に溶解させて、分離回収する物理吸着装置、CO2の固体吸収材を用いて、分離回収する固体吸着装置、CO2分離機能を有する膜を用いて分離回収する膜分離装置等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
なお、脱炭酸処理するには、水蒸気改質ガス14cの「CO/CO2/H2比率」を、後流側で用いる有価物17の原料ガスとして最適濃度となるように調整している。
【0036】
以上述べたように、本発明によれば、不飽和炭化水素の濃度が高く、しかもCO濃度が高いガス化ガスを処理することで、CO、H2を主成分とするオキソガス等を用いた化学原料の一般的な合成設備の有価物17の原料ガスの前処理とすることができる。
【0037】
有価物17としては、例えばメタノール、エタノール、酢酸、ポリウレタン、合成油等を例示することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、ガス化炉から排出されるガス化ガスを前処理するガス前処理設備、ガス前処理方法全般に利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
100A~100C ガス前処理装置
12 ガス化ガス
13 水添処理装置
14 水添処理ガス
14a 抜き出しリサイクルガス
14b 圧縮ガス
14c 水蒸気改質ガス
15 ガス昇圧機
16 改質炉
17 有価物
30 変成器
31 脱炭酸装置
32 炭酸ガス
L1 ガス化ガス導入ライン
L2 リサイクルライン
L3 ガス抜き出しライン
L4 改質ガス送出ライン
F 燃料

図1
図2
図3