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特開2023-176191エレベータの情報配信システムおよび情報配信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176191
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】エレベータの情報配信システムおよび情報配信方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20231206BHJP
   G06Q 30/0207 20230101ALI20231206BHJP
【FI】
B66B3/00 Z
B66B3/00 U
G06Q30/02 328
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088350
(22)【出願日】2022-05-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】長坂 勇輔
【テーマコード(参考)】
3F303
5L049
【Fターム(参考)】
3F303DA08
3F303DC32
3F303FA14
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】特定の搭乗者スマートフォンに対して、下車した階床のコンテンツ情報に関連した特別なお知らせ情報を限定的に配信でき、訴求効果をより向上できるようにする。
【解決手段】複数の階床間を昇降運転される乗りかご5 と、乗りかご5 内に配置され、乗客によって操作される行先階ボタン58と、乗客による行先階ボタン58の操作によって設定された行先階に対応するコンテンツ情報を乗りかご5 内の乗客に提供するかご内サイネージモニタ55と、乗りかご5 内から乗客が下車した際に、携帯する搭乗者スマートフォン2 を特定する受付装置3 の制御部34と、会員登録済みの搭乗者スマートフォン2 に対してのみ、下車した階に対応するコンテンツ情報に関連した特別なクーポンSCを通信部51より配信させる制御部53と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階床間を昇降運転される乗りかごと、
前記乗りかご内に配置され、利用者によって操作される操作部と、
前記乗りかご内に配置され、前記利用者による前記操作部の操作によって設定された行先階に対応するコンテンツ情報を前記乗りかご内の利用者に提供する提供部と、
前記乗りかご内から利用者が下車した際に、無線通信により当該利用者が携帯する端末機器を特定する特定部と、
前記特定部によって特定された前記端末機器に対し、無線通信により当該利用者が下車した前記行先階に対応する前記コンテンツ情報に関連した関連情報を配信する配信部と、
前記特定部によって特定された前記端末機器のうち、所定条件を満足する端末機器に対して、前記配信部より前記コンテンツ情報に関連した特別な関連情報を配信させるように制御する制御部と、
を備えることを特徴とするエレベータの情報配信システム。
【請求項2】
通信回線を介して接続され、階床ごとの前記コンテンツ情報と前記コンテンツ情報のそれぞれに関連した前記関連情報を含む各種の関連情報と、を入力する入力部と、
前記入力部により入力された前記コンテンツ情報と、前記コンテンツ情報のそれぞれに関連した前記各種の関連情報と、を対応付けて記憶する記憶部と、
を、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの情報配信システム。
【請求項3】
前記提供部は、サイネージモニタであることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの情報配信システム。
【請求項4】
前記各種の関連情報は、当該利用者の属性に対応したクーポンを含むことを特徴とする請求項2に記載のエレベータの情報配信システム。
【請求項5】
前記所定条件は、当該端末機器での専用のアプリケーション・ソフトウェアの登録であることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの情報配信システム。
【請求項6】
通信回線を介して接続される入力部より、階床ごとのコンテンツ情報と前記コンテンツ情報のそれぞれに関連した各種の関連情報と、を入力するステップと、
前記入力部より入力された前記コンテンツ情報と、前記コンテンツ情報のそれぞれに関連した前記各種の関連情報と、を対応付けて記憶部に記憶させるステップと、
複数の階床間を昇降運転される乗りかご内の操作部が利用者によって操作されて、行先階が設定されると、その設定された行先階に対応するコンテンツ情報を前記記憶部から読み出して提供部により前記乗りかご内の利用者に提供するステップと、
前記乗りかご内から利用者が下車した際に、特定部との無線通信により当該利用者が携帯する端末機器を特定するステップと、
当該利用者が下車した行先階に対応する前記コンテンツ情報に関連した関連情報を、前記記憶部より読み出すステップと、
前記特定部によって特定された前記端末機器に対し、前記記憶部より読み出した前記関連情報を無線通信によって配信部より配信させるステップと、
前記特定部によって特定された前記端末機器のうち、所定条件を満足する端末機器に対して、前記配信部より前記コンテンツ情報に関連した特別な関連情報を配信させ、前記端末機器にて表示させるように制御部によって制御するステップと、
を備えたことを特徴とするエレベータの情報配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの情報配信システムおよび情報配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、乗り場にて乗りかごを待つ利用者(乗客)や乗りかご内の乗客に対して、多様なコンテンツを提供可能なエレベータが提案されている。
【0003】
例えば、乗り場呼び登録を受け付けた乗り場の階床(フロア)に基づいて乗りかごを待つ乗客の属性を推定し、その推定した属性に対応するコンテンツを乗り場の乗客に提供するというものであった。
【0004】
または、サイネージシステムにより、乗りかごの昇降動作(昇降運転)に伴う行先方向に応じたコンテンツを、乗りかご内のディスプレイ装置に表示させるようにしたものである。
【0005】
一方、乗客が携帯する端末装置に対して、行先階に関する広告を送信することができるようにしたエレベータも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-147229号公報
【特許文献2】特開2020-7086号公報
【特許文献3】特開2017-171422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のエレベータは、いずれも乗客に対して多様なコンテンツや有益な広告などを効果的に提供できるようにしたものではあるものの、端末装置を操作して行先階を登録するようにした場合を除いては、特定の利用者に対して、下車した階床のコンテンツや広告などをピンポイントで配信することができないという課題があった。
【0008】
即ち、従来において、利用者が携帯する端末装置に広告などをピンポイントで配信できるようにするためには、利用者が携帯する端末装置を操作して行先階を登録する必要があった。
【0009】
本発明の実施形態は、利用者が携帯する携帯機器を操作したりせずとも行先階を登録でき、その登録に応じた行先階のコンテンツ情報を乗りかご内の利用者に提供できるとともに、特定の利用者に対して、下車した階床のコンテンツ情報に関連した特別な関連情報を限定的に配信でき、特別な関連情報の配信による訴求効果をより向上させることが可能なエレベータの情報配信システムおよび情報配信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は、複数の階床間を昇降運転される乗りかごと、前記乗りかご内に配置され、利用者によって操作される操作部と、前記乗りかご内に配置され、前記利用者による前記操作部の操作によって設定された行先階に対応するコンテンツ情報を前記乗りかご内の利用者に提供する提供部と、前記乗りかご内から利用者が下車した際に、無線通信により当該利用者が携帯する端末機器を特定する特定部と、前記特定部によって特定された前記端末機器に対し、無線通信により当該利用者が下車した前記行先階に対応する前記コンテンツ情報に関連した関連情報を配信する配信部と、前記特定部によって特定された前記端末機器のうち、所定条件を満足する端末機器に対して、前記配信部より前記コンテンツ情報に関連した特別な関連情報を配信させるように制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の実施形態は、通信回線を介して接続される入力部より、階床ごとのコンテンツ情報と前記コンテンツ情報のそれぞれに関連した各種の関連情報と、を入力するステップと、前記入力部より入力された前記コンテンツ情報と、前記コンテンツ情報のそれぞれに関連した前記各種の関連情報と、を対応付けて記憶部に記憶させるステップと、複数の階床間を昇降運転される乗りかご内の操作部が利用者によって操作されて、行先階が設定されると、その設定された行先階に対応するコンテンツ情報を前記記憶部から読み出して提供部により前記乗りかご内の利用者に提供するステップと、前記乗りかご内から利用者が下車した際に、特定部との無線通信により当該利用者が携帯する端末機器を特定するステップと、当該利用者が下車した行先階に対応する前記コンテンツ情報に関連した関連情報を、前記記憶部より読み出すステップと、前記特定部によって特定された前記端末機器に対し、前記記憶部より読み出した前記関連情報を無線通信によって配信部より配信させるステップと、前記特定部によって特定された前記端末機器のうち、所定条件を満足する端末機器に対して、前記配信部より前記コンテンツ情報に関連した特別な関連情報を配信させ、前記端末機器にて表示させるように制御部によって制御するステップと、を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係るエレベータ情報配信システムの全体構成を示すブロック図。
図2】エレベータ情報配信システムにおける乗りかごの構成例を示す概略図。
図3】エレベータ情報配信システムにおけるコンテンツ情報の一例を示す図。
図4】エレベータ情報配信システムにおける関連情報の一例を示す図。
図5】エレベータ情報配信システムの動作例を説明するフローチャート。
図6】エレベータ情報配信システムの動作例を説明する概略図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係るエレベータの情報配信システムおよび情報配信方法について、図面を参照して説明する。
【0014】
実施形態
図1は、本実施形態に係るエレベータ情報配信システムの構成を概略的に示すブロック図である。本エレベータ情報配信システムは、特に、大型のショッピングモールやスーパーマーケットなどの建屋内に設置されるものであって、例えばn階建ての店舗ビルに設置されるようにした場合を例示している。
【0015】
図1に示すように、本エレベータ情報配信システムは、例えば、エレベータ1 、搭乗者スマートフォン(端末機器)2 、情報配信サーバ(入力部)6 、および、クラウド8 が、インターネット(通信回線)7 を介して接続されてなる構成とされている。
【0016】
エレベータ1 は、当該店舗ビルの利用者である買い物客が主に利用する一般的なエレベータ装置であって、例えば、受付装置3 と、制御装置4 と、乗りかご5 と、を備えている。
【0017】
受付装置3 は、操作部31、表示部32、ビーコン送受信部33、および、制御部(特定部)34を備える。この受付装置3 は、当該店舗ビルの各階床(フロア)のエレベータ乗り場の、例えば乗りかご5 の乗降口付近にそれぞれ設置されている。
【0018】
操作部31は、各階床のエレベータ乗り場において、利用者である乗客(搭乗者)が乗り場呼び登録のために操作する、上層階行(上行き)/下層階行(下行き)の呼び出しボタンである。
【0019】
表示部32は、各エレベータ乗り場への乗りかご5 の到着(着床)を表示するもので、例えば、上行きの乗りかご5 の到着を点灯または点滅により報知する上行きランプ(最上階を除く)と、下行きの乗りかご5 の到着を点灯または点滅により報知する下行きランプ(最下階を除く)と、を備える。
【0020】
無線通信を行うビーコン送受信部33は、Bluetooth(登録商標)技術を用いて、ビーコン信号を定期的に送受信するものであって、例えばオフラインにより、ペアリングの結果に基づいて、搭乗者スマートフォン2 の位置情報を取得する。
【0021】
制御部34は、各部31,32,33を制御するとともに、制御装置4 や乗りかご5 との間の通信(信号のやり取り)などを制御する。また、この制御部34は、ビーコン送受信部33によって搭乗者スマートフォン2 の位置情報を取得することにより、該搭乗者スマートフォン2 に割り当てられた固有の識別番号(例えば、MACアドレス)を識別し、乗りかご5 を下車した乗客が携帯する搭乗者スマートフォン2 の特定を行う。
【0022】
本実施形態においては、ビーコン送受信部33からのビーコン信号をBluetooth(登録商標)技術を用いた無線通信により送受信する方式としたことによって、例えば基地局なしに、乗客が下車した階床のコンテンツや広告などを、特定の搭乗者スマートフォン2 に対して送信することが可能とされる。
【0023】
制御装置4 は、エレベータ1 の運転状況などを管理するものであって、例えば、送信部41、受信部42、制御部43、駆動部44、および、記憶部45を備える。この制御装置4 は、乗りかご5 が昇降動作する昇降路(図示省略)の上部などに設置されている。
【0024】
送信部41は、制御部43によって制御され、受付装置3 や乗りかご5 またはインターネット7 を介して信号を送信する。
【0025】
受信部42は、制御部43によって制御され、受付装置3 や乗りかご5 またはインターネット7 を介して信号を受信する。
【0026】
駆動部44は、制御部43によって制御され、乗りかご5 の昇降運転や後述するかごドア5Dの開閉動作のためのモータ駆動などを行う。
【0027】
記憶部45は、制御部43によって制御され、乗りかご5 の運転制御に関する各種の情報のほか、受付装置3 からの乗り場呼び登録に関する情報(乗り場登録情報)や、乗りかご5 からのかご呼び登録に関する行先階情報などを記憶する。
【0028】
乗りかご5 は、昇降運転により乗客を行先階まで搬送するための昇降機であって、通信部(配信部)51、行先登録部52、制御部53、操作部54、かご内サイネージモニタ(提供部)55、および、情報記憶部(記憶部)56などを備える。
【0029】
通信部51は、制御装置4 との間での通信を行うとともに、例えば無線通信により、受付装置3 によって特定された、乗りかご5 を下車した乗客が携帯する搭乗者スマートフォン2 に対して、情報記憶部56に記憶された各種のお知らせ情報(各種の関連情報)を配信する。
【0030】
また、詳細については後述するが、受付装置3 によって特定され、乗りかご5 を下車した乗客が携帯する、所定条件を満足する搭乗者スマートフォン2 に対して、情報記憶部56に記憶された特別なお知らせ情報(特別な関連情報)を配信する。
【0031】
行先登録部52は、乗客による操作部54の操作により設定される目的の行先階情報が登録されるもので、例えば、該行先階情報に応じて、制御装置4 の駆動部44が制御されることによって、乗りかご5 が登録されている行先階へと移動(昇降運転)される。
【0032】
操作部54は、乗りかご5 内に設けられて、主に、乗客により操作されるもので、例えば図2に示すように、行先階ボタン(操作部)58、かごドア5Dの開閉ボタン59、および、スピーカ57などを備える。
【0033】
図1において、かご内サイネージモニタ55は、電子看板や電子掲示板などを構成するものであって、表示制御部55a とコンテンツ情報表示部55b とを備える。表示制御部55a は、乗りかご5 内に設けられるコンテンツ情報表示部55b でのコンテンツ情報の表示を制御する。コンテンツ情報表示部55b は、いわゆるサイネージ・ディスプレイである。
【0034】
即ち、このかご内サイネージモニタ55は、例えば、乗りかご5 内の乗客によって操作部54の行先階ボタン58が操作されると、表示制御部55a によって、情報記憶部56内より読み出される行先階に応じたコンテンツ情報を、コンテンツ情報表示部55b を介して乗りかご5 内の乗客に提供するようになっている。
【0035】
情報記憶部56は、情報配信サーバ6 より配信される、当該店舗ビルの各階床にそれぞれ応じたコンテンツ情報や、各コンテンツ情報に関連した各種のお知らせ情報を予め記憶する。また、各種のお知らせ情報として、例えば、所定条件を満足する搭乗者スマートフォン2 に対して配信される、単なるお知らせ情報とは異なる、特別なお知らせ情報を記憶する。
【0036】
なお、本実施形態において、所定条件を満足する搭乗者スマートフォン2 とは、例えば、広告などの配信を受信したり、ポイントを溜めたりするための、当該店舗ビルやテナントなどの専用のアプリケーション・ソフトウェア(以下、単に専用アプリと略称する)が予め登録されている、会員登録済みの搭乗者スマートフォン2 である。
【0037】
情報記憶部56に記憶されるコンテンツ情報および各コンテンツ情報に関連した各種のお知らせ情報は、相互に対応付けられて記憶するのが望ましい。
【0038】
また、この情報記憶部56においては、例えば、会員登録された搭乗者スマートフォン2 の固有の識別番号やメールドレスなどの登録情報や、その搭乗者スマートフォン2 を携帯する乗客の購入履歴(属性)などの情報をリストとして記憶させることも可能である。
【0039】
制御部53は、乗りかご5 内の各部51,52,54,55,56を制御するとともに、乗りかご5 内の空調や天井照明50などを制御する。また、ペアリングされた搭乗者スマートフォン2 の中から、予め会員登録された搭乗者スマートフォン2 を識別することが可能となっている。
【0040】
ここで、当該店舗ビルの各階床にそれぞれ応じたコンテンツ情報、および、各コンテンツ情報に関連するお知らせ情報について、さらに説明する。
【0041】
即ち、コンテンツ情報とは、例えば図3に示すように、当該店舗ビルの各売り場やテナントなどのコンテンツを階床ごとにまとめたものである。お知らせ情報とは、例えば図4に示すように、来店時に利用者にお知らせすべき各売り場やテナントなどの有益な情報であって、特に、利用者に対してタイムリーに配信することによって有効に利用してもらうことが可能な、クーポンSCなどを含む情報である。
【0042】
なお、各種のお知らせ情報としては、新規テナントのお知らせや催し物のお知らせ、または、商品の割引情報などであっても良く、例えば、商品の割引情報とした場合には、配信する乗客の属性に応じて、割引率などの特典が異なるようにしても良い。
【0043】
図1において、搭乗者スマートフォン2 は、乗客が携帯する端末機器(端末装置/携帯端末)であって、通常のスマートフォンとしての一般的な機能を備えるとともに、受信部21、送信部22、制御部23、記憶部24、表示部25、および、操作部26を備える。
【0044】
受信部21は、例えば、受付装置3 からのビーコン信号や、乗りかご5 内の通信部51からの各種のお知らせ情報、情報配信サーバ6 からの当該店舗ビルやテナントのチラシなどを受信する。
【0045】
送信部22は、受付装置3 へのビーコン信号の応答信号や、ペアリング時に固有の識別番号などを送信する。
【0046】
記憶部24は、割り当てられた固有の識別番号や、例えば、当該店舗ビルやテナントごとの会員登録のための専用のアプリなどを記憶する。
【0047】
表示部25は、スマートフォンとしての一般的な表示のほか、特に、乗りかご5 から下車した際に、乗りかご5 の通信部51より配信されるお知らせ情報を画面上に表示する。
【0048】
操作部26は、スマートフォンとしての一般的な機能である、例えば、乗客が電話を掛けたり、写真を撮影したり、ネット検索したりする際に操作する。
【0049】
制御部23は、各部21,22,24,25,26を制御するとともに、インターネット7 を介して、通信などを行うようになっている。
【0050】
ここで、近年においては、情報配信サーバ6 またはクラウド8 などより、利用者が携帯する搭乗者スマートフォン2 に対して、紙媒体であるチラシなどの広告を電子化した電子広告として配信することが可能とされている。このようなサービスは、携帯する搭乗者スマートフォン2 に利用者が当該店舗ビルやテナントからの専用アプリを予め登録することによって可能とされる。
【0051】
即ち、当該店舗ビルやテナントの専用アプリが予め登録された搭乗者スマートフォン2 に対しては、情報配信サーバ6 より配信される電子広告やクラウド8 に格納された電子広告などが、インターネット7 を介して定期的または不定期的に提供される。
【0052】
情報配信サーバ6 は、コンテンツ情報や該コンテンツ情報に関連した各種のお知らせ情報などを配信するものであって、例えば、当該店舗ビルやテナントでの各種のイベントや企画展などを計画する広告会社や当該店舗ビルの企画部や各テナントなどに設置される。
【0053】
この情報配信サーバ6 は、配信情報作成部61、配信情報送信制御部62、および、配信情報送信部63を備えた、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ(PC)によって構成される。
【0054】
配信情報作成部61は、例えば、当該店舗ビルやテナントでのイベントや企画展などの年度計画に基づいて、各階床に応じたコンテンツ情報やそれぞれのコンテンツ情報に関連した各種のお知らせ情報などを作成する。
【0055】
配信情報送信制御部62は、配信情報送信部63より配信されるコンテンツ情報や各種のお知らせ情報を、イベントなどの開催期間や有効期限などに応じて決定する。
【0056】
配信情報送信部63は、配信情報送信制御部62で決定されたコンテンツ情報や各種のお知らせ情報などを、例えば乗りかご5 内の情報記憶部56に記憶させるために、インターネット7 を介して配信したり、クラウド8 内に格納させたりする。
【0057】
図2は、乗りかご5 の構成を概略的に示すもので、かごドア5Dが開かれた状態の乗りかご5 を内側から見た図である。
【0058】
図2に示すように、乗りかご5 には、乗降口側の壁面(内面)に操作部54が配置されている。操作部54には、音声案内用のスピーカ57と、当該店舗ビルの階床数に応じた行先階ボタン58と、かごドア5Dの開閉ボタン59と、が設けられている。
【0059】
この乗りかご5 の、例えば、かごドア5Dの上部壁面には、かご内サイネージモニタ55のコンテンツ情報表示部55b が設置されている。また、乗りかご5 の天井部分には、天井照明50が設置されている。
【0060】
本実施形態においては、乗りかご5 内に乗車した乗客が操作部54の行先階ボタン58を操作するごとに、操作された行先階ボタン58に対応する階床のコンテンツ情報がコンテンツ情報表示部55b に表示され、乗り合わせた乗りかご5 内の乗客に提供される。このように、乗りかご5 内において、ある乗客の目的の行先階のコンテンツをその他の乗客にも閲覧させるようにすることによって、その他の乗客に対する、目的以外の階床の売り場に関する広告効果を高めることが可能となる。
【0061】
また、乗りかご5 より下車した乗客に対しては、携帯する搭乗者スマートフォン2 に向けて、その階床のコンテンツ情報に関連したお知らせ情報が配信される。これにより、目的の行先階にて容易にお知らせ情報の取得が可能となり、搭乗者スマートフォン2 によって大量に受信した情報の中に埋もれてしまう可能性の高い、お知らせ情報を来店時に労せずに入手できるようになる。したがって、別の目的で下車した乗客の購入心に直接的に働きかけることが可能となる。
【0062】
特に、搭乗者スマートフォン2 を操作せずとも行先階の登録(かご呼び)が可能であり、しかも、会員登録されている特定の搭乗者スマートフォン2 に対して、例えば、その乗客の買い物頻度や購入金額などの属性に応じた特別なクーポンSCをピンポイントで配信できるようになる。これにより、お知らせ情報をより有効に利用してもらうことが可能となり、一層の訴求効果が期待できる。
【0063】
次に、本実施形態に係るエレベータ情報配信システムの動作について説明する。
【0064】
図5は、動作の一例を説明するフローチャートであり、ここでは、予め当該店舗ビルやテナントからの専用アプリの取得により会員登録がなされているスマートフォンを、所定条件を満足した搭乗者スマートフォン2 として説明する。
【0065】
まずは、広告会社の担当者やテナントの店長などによって、事前に、情報配信サーバ6 の配信情報作成部61において、該当する階床のコンテンツ情報とお知らせ情報とが作成される(ステップS01 )。
【0066】
そして、情報配信サーバ6 の配信情報送信制御部62において、セールの開催期間などに応じて、配信するコンテンツ情報とお知らせ情報とが決定される(ステップS02 )。
【0067】
この後、情報配信サーバ6 の配信情報送信部63において、配信情報送信制御部62にて決定されたコンテンツ情報とお知らせ情報とが、インターネット7 を介して、エレベータ1 の乗りかご5 へと送信される(ステップS03 )。乗りかご5 に送られたコンテンツ情報とお知らせ情報は、例えば、制御部53によって情報記憶部56内に対応付けられて記憶される。
【0068】
この状態において、営業中に、乗りかご5 内の乗客が操作部54の行先階ボタン58を操作して目的の行先階を選択したとする(ステップS04 )。
【0069】
すると、制御部53により、行先階に対応する行先階情報が行先登録部52に登録されるとともに、該行先階情報は、例えば、操作部54の開閉ボタン59の閉ボタンの操作に伴って、制御装置4 にも送られる(ステップS05 )。制御装置4 に対する行先階情報の送信は、インターネット7 を介して行うこととしても良い。
【0070】
これにより、制御装置4 の制御部43が行先階情報に応じて駆動部44を制御することによって、乗りかご5 が昇降運転されて、目的の行先階へと移動される(ステップS06 )。
【0071】
また、制御部53によって行先階に対応するコンテンツ情報が情報記憶部56内より読み出され、かご内サイネージモニタ55の表示制御部55a へと送られる。こうして、乗りかご5 内のコンテンツ情報表示部55b にて、行先階に対応するコンテンツ情報の表示が可能とされる(ステップS07 )。
【0072】
なお、上記したコンテンツ情報の表示は、例えば、操作部54の行先階ボタン58が操作された順に、行先階ごとに行われる。各階床のコンテンツ情報の表示は、繰り返し行われるようにしても良い。
【0073】
一方、乗りかご5 が行先階に着床し、乗りかご5 内より乗客が下車したとする(ステップS08 )。
【0074】
すると、受付装置3 によって、例えば図6に示すように、下車した軌跡(下車軌跡)の乗客が携帯する搭乗者スマートフォン2 とペアリングされたかどうかが、チェックされる(ステップS09 )。受付装置3 でのペアリングチェックの結果は、例えば制御装置4 を介して、乗りかご5 の制御部53へと送られる。
【0075】
搭乗者スマートフォン2 とのペアリングが確認できた場合(ステップS09 のYES )、さらに、ペアリングが確認された搭乗者スマートフォン2 の中に、予め当該店舗ビルやテナントの専用アプリが登録されている会員登録澄の搭乗者スマートフォン2 が存在するかどうかを判断する(ステップS10 )。
【0076】
ここで、会員登録済みの搭乗者スマートフォン2 が確認できない場合(ステップS10 のNO)には、制御部53によって、下車した階床のコンテンツ情報に関連したお知らせ情報(例えば、クーポンSCなし)が情報記憶部56内より読み出される。そして、その読み出されたお知らせ情報は、通信部51を介して、会員登録が確認されなかった搭乗者スマートフォン2 に一様に配信される(ステップS11 )。
【0077】
こうして、配信されたお知らせ情報は、それを受信した搭乗者スマートフォン2 の表示部25により、それぞれの画面上にて表示可能とされることによって(ステップS12 )、一連の処理は終了される。
【0078】
これに対し、会員登録済みの搭乗者スマートフォン2 が確認できた場合(ステップS10 のYES )には、制御部53によって、下車した階床のコンテンツ情報に関連した特別なお知らせ情報として、例えば図4に示すような、乗客の属性に応じた特別クーポンSCが情報記憶部56内より読み出される。そして、その読み出された特別なお知らせ情報は、通信部51を介して、会員登録が確認された搭乗者スマートフォン2 へと配信される(ステップS13 )。
【0079】
こうして、配信された特別なお知らせ情報は、それを受信した搭乗者スマートフォン2 の表示部25により、画面上にて表示可能とされることにより(ステップS12 )、一連の処理は終了される。
【0080】
なお、搭乗者スマートフォン2 とのペアリングか確認できない場合(ステップS09 のNO)には、下車した階床のコンテンツ情報に対応するお知らせ情報の配信は行われず、処理は終了される。
【0081】
上記したように、本実施形態によれば、乗客が携帯する搭乗者スマートフォン2 を操作したりせずとも行先階を登録でき、その登録に応じた行先階のコンテンツ情報を乗りかご5 内の乗客に提供できるとともに、会員登録などされた特定の乗客に対して、下車した階床のコンテンツ情報に関連した特別なお知らせ情報をピンポイントに配信でき、特別なお知らせ情報の配信による訴求効果をより向上させることが可能となる。
【0082】
即ち、乗客が携帯する搭乗者スマートフォン2 を操作したりせずとも行先階を登録可能なエレベータ1 において、行先階ボタン58を操作した乗客以外の、乗りかご5 内に一緒に乗り合わせた他の乗客に対しても、目的でない行先階のコンテンツを意識させることが可能となる。
【0083】
しかも、目的でない行先階で下車した乗客が携帯する搭乗者スマートフォン2 に対しては、その階床のコンテンツ情報に関連したお知らせ情報がタイムリーに配信される。
【0084】
特に、下車した乗客が複数の場合にも、例えば、会員登録済みの特定の搭乗者スマートフォン2 に対してのみ、その階床のコンテンツ情報に関連した特別なクーポンSCを限定的に、かつ、タイムリーに配信できるようになる。
【0085】
これによって、各種のお知らせ情報を来店時に労せずに入手できるようになるなど、より有効にお知らせ情報を利用してもらうことが容易に可能となり、一層の訴求効果が期待できる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1 …エレベータ、2 …搭乗者スマートフォン(端末機器)、3 …受付装置、4 …制御装置、5 …乗りかご、6 …情報配信サーバ(入力部)、7 …インターネット(通信回線)、33…ビーコン送受信部、34…制御部(特定部)、51…通信部(配信部)、53…制御部、55…かご内サイネージモニタ(提供部)、55a …表示制御部、55b …コンテンツ情報表示部(表示部)、56…情報記憶部(記憶部)、58…行先階ボタン(操作部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階床間を昇降運転される乗りかごと、
前記乗りかご内に配置され、利用者によって操作される操作部と、
前記乗りかご内に配置され、前記利用者による前記操作部の操作によって設定された行先階に対応するコンテンツ情報を前記乗りかご内の利用者に提供する提供部と、
前記乗りかご内から利用者が下車した際に、無線通信により当該利用者が携帯する端末機器を特定する特定部と、
前記特定部によって特定された前記端末機器に対し、無線通信により当該利用者が下車した前記行先階に対応する前記コンテンツ情報に関連した関連情報を配信する配信部と、
前記特定部によって特定された前記端末機器のうち、専用のアプリケーション・ソフトウェアの登録が確認できなかった端末機器に対しては、前記配信部より前記コンテンツ情報に関連した関連情報を配信し、登録が確認できた端末機器に対しては、前記配信部より前記コンテンツ情報に関連した特別な関連情報を配信させるように制御する制御部と、
を備えることを特徴とするエレベータの情報配信システム。
【請求項2】
通信回線を介して接続され、階床ごとの前記コンテンツ情報と前記コンテンツ情報のそれぞれに関連した前記関連情報を含む各種の関連情報と、を入力する入力部と、
前記入力部により入力された前記コンテンツ情報と、前記コンテンツ情報のそれぞれに関連した前記各種の関連情報と、を対応付けて記憶する記憶部と、
を、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの情報配信システム。
【請求項3】
前記提供部は、サイネージモニタであることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの情報配信システム。
【請求項4】
前記各種の関連情報は、当該利用者の属性に対応したクーポンを含むことを特徴とする請求項2に記載のエレベータの情報配信システム。
【請求項5】
通信回線を介して接続される入力部より、階床ごとのコンテンツ情報と前記コンテンツ情報のそれぞれに関連した各種の関連情報と、を入力するステップと、
前記入力部より入力された前記コンテンツ情報と、前記コンテンツ情報のそれぞれに関連した前記各種の関連情報と、を対応付けて記憶部に記憶させるステップと、
複数の階床間を昇降運転される乗りかご内の操作部が利用者によって操作されて、行先階が設定されると、その設定された行先階に対応するコンテンツ情報を前記記憶部から読み出して提供部により前記乗りかご内の利用者に提供するステップと、
前記乗りかご内から利用者が下車した際に、特定部との無線通信により当該利用者が携帯する端末機器を特定するステップと、
当該利用者が下車した行先階に対応する前記コンテンツ情報に関連した関連情報を、前記記憶部より読み出すステップと、
前記特定部によって特定された前記端末機器に対し、前記記憶部より読み出した前記関連情報を無線通信によって配信部より配信させるステップと、
前記特定部によって特定された前記端末機器のうち、専用のアプリケーション・ソフトウェアの登録が確認できなかった端末機器に対しては、前記配信部より前記コンテンツ情報に関連した関連情報を配信し、登録が確認できた端末機器に対しては、前記配信部より前記コンテンツ情報に関連した特別な関連情報を配信させ、前記端末機器にて表示させるように制御部によって制御するステップと、
を備えたことを特徴とするエレベータの情報配信方法。