IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 澁谷工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-物品方向整列装置 図1
  • 特開-物品方向整列装置 図2
  • 特開-物品方向整列装置 図3
  • 特開-物品方向整列装置 図4
  • 特開-物品方向整列装置 図5
  • 特開-物品方向整列装置 図6
  • 特開-物品方向整列装置 図7
  • 特開-物品方向整列装置 図8
  • 特開-物品方向整列装置 図9
  • 特開-物品方向整列装置 図10
  • 特開-物品方向整列装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176210
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】物品方向整列装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
B65G47/14 Q
B65G47/14 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088374
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】青塚 久和
(72)【発明者】
【氏名】國長 陽平
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA06
3F080BA02
3F080BC01
3F080CC05
3F080CC09
3F080CC10
3F080CC22
3F080CF07
3F080CF08
3F080CF23
3F080DA03
3F080DA07
3F080DA09
3F080DA10
3F080DA18
3F080DB04
(57)【要約】
【課題】張り出し部が設けられた短尺物品の整列効率を高める。
【解決手段】物品方向整列装置10は、軸心と交差する面に沿って広がる張り出し部を有するとともに、張り出し部から軸心に沿って延伸し、張り出し部よりも小径である突出部を有する物品Mの方向整列を行う。物品方向整列装置10は、外側回転体14と、この内側に配置され、鉛直方向に対して傾斜した回転軸周りに回転する内側回転体12とを備える。外側回転体14の環状部14Aには、外側に向けて開放される多数のスリット24が外周に沿って設けられ、物品Mの張り出し部はスリット24に係合し、突出部が垂下された正立姿勢で搬送可能である。外側回転体14の搬送経路は下方に物品Mと摺接する固定プレート26Aが配置された第1、第2区間S1、S4と、固定プレートが摺接しない第2、第3区画S2、S5が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に開放された開放端部を有する複数のスリットが外周部に設けられ、鉛直方向に沿った回転軸周りに回転する環状の外側回転体と、
前記外側回転体の内側に配置されるとともに物品が供給され、鉛直方向に対して傾斜した回転軸周りに回転する内側回転体と、
前記外側回転体の搬送経路の終端部に設けられ、前記外側回転体によって搬送された物品を排出する排出手段とを備え、
前記内側回転体によって供給された物品を外側回転体の搬送経路の上流部へと移載し、前記外側回転体において前記スリット上に移載された物品を下流部に向けて搬送し、前記スリットの開放端部を介して前記外側回転体から前記排出手段へと排出する物品方向整列装置において、
前記物品は、当該物品の軸心と交差する面に沿って広がる張り出し部を有するとともに、当該張り出し部から前記軸心に沿って延伸し、当該張り出し部よりも小径である突出部を有するものであり、
前記スリットの幅は前記突出部の通過を許容し、かつ、前記張り出し部の通過を規制する幅に設定され、前記スリットの長手方向は前記外側回転体の半径方向に沿うように配置されており、
前記外側回転体の搬送経路には、
前記外側回転体の下方に前記スリットに隣接して固定プレートが設けられた第1区間と、
前記搬送経路のうちの第1区間の下流に設けられ、前記外側回転体の下方に前記スリットに隣接して固定プレートが設けられていない第2区間と、
前記搬送経路のうちの第2区間の下流に設けられ、前記外側回転体の下方に前記スリットに隣接して固定プレートが設けられた第3区間と、
前記搬送経路のうちの第3区間の下流に設けられ、前記外側回転体の下方に前記スリットに隣接して固定プレートが設けられていない第4区間と
を有することを特徴とする物品方向整列装置。
【請求項2】
前記第1区間に配置された固定プレートが、前記スリットを当該スリットの長手方向全域に亘って閉鎖可能な幅を有し、
前記第3区間に配置された固定プレートが、前記第1区間に配置された固定プレートよりも細い幅を有し、前記スリットのうちの前記外側回転体の半径方向外側端部に位置する所定領域を上下に開放するように構成され、
前記第2区間には、前記突出部を前記スリットに位置させた状態で軸心が上下に延伸した正立状態で前記スリットに支持される物品に、当該物品を前記スリットのうちの前記外側回転体の半径方向外側へ移動させる気体を噴射する気体噴射手段が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の物品方向整列装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、張り出し部を有する短尺物品の向きを揃える物品方向整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば鍔部などの張り出し部を備える長尺管状物品の向きを揃える物品方向整列装置としては、外側回転体の内側に、傾けられた状態で内側回転体を配置したものが知られている(特許文献1)。外側回転体は放射状に多数のスリットを有し、外側回転体はその下方に固定プレートが設けられた第1区画と設けられない第2区画とが設けられる。内側回転体に投入された鍔付き長尺管状物品は掻き上げ桟により掻き上げられるとともに遠心力により外側回転体へと移動される。外側回転体上の鍔付き長尺管状物品は、第1区画では横臥姿勢で固定プレート上を擦動しながら搬送され、第2区画では鍔部がスリットに係合して、スリットから懸架された起立姿勢で搬送されてその向きが揃えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-147120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のような装置で短尺の物品を取り扱う場合、物品は外側回転体において容易に回転してしまうため、物品の長手方向がスリットの長手方向に沿い難く、張り出し部をスリットに係合させて起立姿勢にできない場合が発生し、整列効率が低下する。
【0005】
本発明は、張り出し部が設けられた短尺物品の整列効率を高めることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である物品方向整列装置は、外部に開放された開放端部を有する複数のスリットが外周部に設けられ、鉛直方向に沿った回転軸周りに回転する環状の外側回転体と、前記外側回転体の内側に配置されるとともに物品が供給され、鉛直方向に対して傾斜した回転軸周りに回転する内側回転体と、前記外側回転体の搬送経路の終端部に設けられ、前記外側回転体によって搬送された物品を排出する排出手段とを備え、前記内側回転体によって供給された物品を外側回転体の搬送経路の上流部へと移載し、前記外側回転体において前記スリット上に移載された物品を下流部に向けて搬送し、前記スリットの開放端部を介して前記外側回転体から前記排出手段へと排出する物品方向整列装置において、前記物品は、当該物品の軸心と交差する面に沿って広がる張り出し部を有するとともに、当該張り出し部から前記軸心に沿って延伸し、当該張り出し部よりも小径である突出部を有するものであり、前記スリットの幅は前記突出部の通過を許容し、かつ、前記張り出し部の通過を規制する幅に設定され、前記スリットの長手方向は前記外側回転体の半径方向に沿うように配置されており、前記外側回転体の搬送経路には、前記外側回転体の下方に前記スリットに隣接して固定プレートが設けられた第1区間と、前記搬送経路のうちの第1区間の下流に設けられ、前記外側回転体の下方に前記スリットに隣接して固定プレートが設けられていない第2区間と、前記搬送経路のうちの第2区間の下流に設けられ、前記外側回転体の下方に前記スリットに隣接して固定プレートが設けられた第3区間と、前記搬送経路のうちの第3区間の下流に設けられ、前記外側回転体の下方に前記スリットに隣接して固定プレートが設けられていない第4区間とを有することを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明である物品方向整列装置は、第1の発明において、前記第1区間に配置された固定プレートが、前記スリットを当該スリットの長手方向全域に亘って閉鎖可能な幅を有し、前記第3区間に配置された固定プレートが、前記第1区間に配置された固定プレートよりも細い幅を有し、前記スリットのうちの前記外側回転体の半径方向外側端部に位置する所定領域を上下に開放するように構成され、前記第2区間には、前記突出部を前記スリットに位置させた状態で軸心が上下に延伸した正立状態で前記スリットに支持される物品に、当該物品を前記スリットのうちの前記外側回転体の半径方向外側へ移動させる気体を噴射する気体噴射手段が設けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、張り出し部が設けられた短尺物品の整列効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態である物品方向整列装置の平面図である。
図2図1の物品方向整列置のA-A断面図である。
図3】本実施形態の物品方向整列装置で取り扱われる4種類の物品を例示する側面図である。
図4】第1、第3区間において正立した物品が固定プレートに摺接する様子を示す環状部近傍の拡大断面図である。
図5】第1、第3区間において、軸がスリットに沿って横倒しになった物品の様子を示す環状部近傍の拡大断面図である。
図6】第1、第3区間において、軸がスリットと交差して横倒しになった物品の様子を示す環状部近傍の拡大断面図である。
図7】第2、第4区間において、正立姿勢でスリットに支持される物品の様子を示す環状部近傍の拡大断面図である。
図8】第2実施形態である物品方向整列装置の平面図である。
図9】第2実施形態の第2、第4区間において、正立姿勢でスリットに支持される物品が外寄せエアにより外側ガイド側に移動された様子を示す環状部近傍の拡大断面図である。
図10】第2実施形態の第3区間において、軸がスリットと交差して横倒しになった物品の様子を示す環状部近傍の拡大断面図である。
図11】第2実施形態の第3区間において、軸がスリットに沿って横倒しになった物品の様子を示す環状部近傍の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態である物品方向整列装置の平面図であり、図2は、図1のA-A断面図である。
【0011】
第1実施形態の物品方向整列装置10は、軸心と交差する面に沿って広がる張り出し部と、張り出し部から軸心に沿って延伸し、張り出し部よりも小径である突出部とを有する短尺の物品Mの方向整列に用いられる。物品Mは、例えば液体洗剤などが充填される容器に用いられる計量カップを兼ねる蓋である。
【0012】
物品方向整列装置10は、回転軸L1が鉛直方向から所定角度傾けられた内側回転体12と、内側回転体12の周囲に水平に配置され、鉛直軸L2周りに回転する円環状の外側回転体14とを備える。内側回転体12は、図1のA-A線に略沿った方向に傾けられ、図2に示されるように、外側回転体14は、内側回転体12の最も高い位置P(上流部)と同じ高さに配置される。
【0013】
内側回転体12の上方には、物品Mを内側回転体12の中央部付近にランダムに投入するホッパ16や、内側回転体12上に残留する物品Mを検出する残量検出用センサが配置される。内側回転体12の下面は、シャフト12Aに支持され、内側回転体12は内側回転体駆動モータ12Bにより回転軸L1周りに所定速度で回転される。
【0014】
外側回転体14は、円環状の環状部14Aと、環状部14Aの内周縁から下方にボウル状に延出するボウル状支持部14Bと、ボウル状支持部14Bの底部から下方に延出する円筒状支持部14Cとを備える。円筒状支持部14Cの下方部は、軸受18Aを介してシャフト18に軸支される。これにより、外側回転体14はシャフト18の中心軸に一致する回転軸L2を中心に回転自在とされる。
【0015】
ボウル状支持部14Bの底部には、円環状のギヤ14Dが回転軸L2を中心として配置され、ギヤ14Dは、鉛直軸周りに回転する外側回転体駆動モータ20に取り付けられた駆動ギア20Aと係合する。すなわち、外側回転体14は、外側回転体駆動モータ20の回転により回転軸L2周りに回転する。なお、本実施形態の内側回転体12および外側回転体14は、同じ方向に回転し(図1では反時計回り)、内側回転体12の方が外側回転体14よりも僅かに速い速度で回転する。
【0016】
内側回転体12の上面の外周部には、径方向に沿って物品Mを掻き上げるための掻き上げ桟22が所定の間隔で配置される。一方、外側回転体14の環状部14Aには、径方向沿って外側に開放されるスリット24が周方向に一定の間隔で配置される。スリット24の幅は物品Mの突出部の外径よりも広く、張り出し部の外径よりも狭く設定される。
【0017】
環状部14Aの下方には、環状部14Aの周方向に沿って約3時~1時の区間に円弧状の固定フレーム26が配置される。固定フレーム26には、環状部14Aの下面との間に固定プレート26A、26B、26Cが、それぞれ異なる高さや傾きで取り付けられ、後述するように環状部14Aにおける物品Mの姿勢矯正に用いられる。
【0018】
本実施形態では図1に示されるように、約11時~1時の区間(第1区間)S1、および約6時~9時の区間(第3区間)S4の2カ所に固定プレート26Aが環状部14Aの下面(あるいはスリット24)に隣接する高さで水平に配置される。また、約9時半~11時の区間(第2区間)S2、および約3時~6時の区間(第4区間)S5には、固定プレート26Aよりも低い位置、すなわち、スリット24に支持される物品Mの突出部などが係合しない高さ(環状部14Aの下面(あるいはスリット24)に隣接しない高さ)に固定プレート26Bが水平に配置され、スリット24の下方は開放されている。区間S2と区間S4の間には、区間S2の固定プレート26Bと区間S4の固定プレート26Aを連絡するスロープ状の固定プレート26Cが配置される。なお、固定プレート26Aの幅は、スリット24の長さに略対応し、スリット24の長手方向全域に亘ってスリット24を下方から閉鎖可能な幅を有している。また、固定プレート26Bは省略することも可能である。
【0019】
環状部14Aの僅か上方にあって、環状部14Aの外周縁に沿った約3時~12時の区間には、環状部14Aによる物品Mの移動をガイドする外側ガイド28Aが配置されるとともに、約3時~5時の区間には、環状部14Aのスリット24の内側端部に沿って、外側ガイド28Aと対をなす内側ガイド28Bが配置される。また、環状部14A下の略3時位置(下流部)からは、環状部14Aにおいて向きが揃えられた物品Mを排出するための排出シュート(排出手段)30が区間S5に接続されるように接線方向に延出する。
【0020】
また、環状部14Aの上方において環状部14Aの内側および外側には、複数のエアノズルが環状部14Aに向けて放射状に配置される。本実施形態では、掻き揚げ桟22よりも内側の12時位置(位置P)に、掻き揚げ桟22により掻き揚げられた内側回転体12上の物品Mを外側回転体14の環状部14Aへと移動するための移載エアノズル32が径方向外側の斜め下に向けて配置される。
【0021】
また、固定プレート26Aが設けられる区間S1、S4には、環状部14A上の物品Mの向きを回転させる対となる回転エアノズル34A、34Bが設けられる。回転エアノズル34Aは、環状部14Aの内側に、ノズルを外側に向けて配置され、回転エアノズル34Bは、環状部14Aの外側に、ノズルを内側に向けて配置される。回転エアノズル34A、34Bは、環状部14Aの周方向に僅かにずれて配置される(図1の例では内側回転エアノズル34Aが上流側、外側回転エアノズル34Bが僅かに下流側に配置される)。本実施形態の区間S1では11時~12時の間に一対の回転エアノズル34A、34Bが設けられ、区間S4では8時~9時の間と、7時前後の2カ所にそれぞれ一対の回転エアノズル34A、34Bが設けられる。
【0022】
また、低い位置に固定プレート26Bが設けられる(あるいは固定プレートが設けらない)区間S2、S5には、環状部14A上において姿勢が矯正されていない物品Mを環状部14Aの外側から内側回転体12に向けてエアで吹き落とす選別エアノズル36が設けられる。本実施形態では、区間S2の10時位置近くと、区間S5の5時半位置近くに配置される。また、区間S5の選別エアノズル36の下流側かつ内側ガイド28Bの上流側には、スリット24に嵌合して姿勢が矯正された物品Mを環状部14Aの内側から外側ガイド28Aに向けてエアで押し出す外寄せエアノズル38が配置される。外寄せエアノズル38により、姿勢を維持したまま外側ガイド28Aに当接するまでスリット24内を移動された物品Mは、外側ガイド28Aと内側ガイド28Bによりガイドされて排出シュート30へと搬送される。
【0023】
図3は、本実施形態の物品方向整列装置10で取り扱われる4種類の物品M1、M2、M3、M4を例示する側面図である。物品M1~M4は何れも、軸心と交差する面に沿って広がる張り出し部を有するとともに、当該張り出し部から軸心に沿って延伸し、張り出し部よりも小径である突出部を有する。図3では、各物品M1~M4の張り出し部が環状部14Aの上面に係合し、突出部がスリット24から下方に懸架した正立姿勢(向きが揃えられた状態)で示される。
【0024】
ホッパ16から傾斜された内側回転体12の中央部よりもやや下側に投入された物品Mは、内側回転体12の傾斜面を転がり、図1の6時方向(図2の左手側)に移動され、ボウル状支持部14Bの内周面に沿って蓄積される。物品Mは、内側回転体12の外周部に設けられた掻き上げ桟22により掻き上げられ、内側回転体12の外周縁が最も高くなる図1の12時近傍(位置P近傍)で遠心力や移載エアノズル32からのエアなどにより区間S1の環状部14A上へと押し出される。
【0025】
図4図6は、区間S1や区間S4の環状部14Aにおいて、様々な姿勢をとる物品Mの様子を示す環状部14A近傍の拡大断面図である。図4以降の図面では、物品M1を代表例としてその状態が示される。
【0026】
図4には、物品M1が正立した姿勢(目的とする向きに揃えられた姿勢)でスリット24に嵌合した状態が示される。すなわち、物品M1の突出部はスリット24に嵌合し、突出部先端は固定プレート26Aによって支持され、物品M1の張り出し部は環状部14Aから僅かに浮いた状態とされる。スリット24に嵌合した物品M1は、突出部が固定プレート26A上を摺接(摺動)しながら搬送され、物品M1が区間S2や区間S5へと移動されると、固定プレート26Bは物品M1の突出部から離接し、物品M1が正立姿勢を維持したままスリット24内を下降して物品M1の張り出し部が環状部14Aの上面によって支持される。これにより、各物品M1は図7に示されるように正立姿勢で環状部14Aの各スリット24で支持される。なお、区間S2において図7の状態にある物品M1は、区間S3のスロープ状の固定プレート26Cに突出部が係合することにより、その姿勢を維持したまま持ち上げられ、区間S4では再び図4の状態とされる。
【0027】
区間S2、S5に設けられる選別エアノズル36は、図7のように正立姿勢で環状部14Aのスリット24で支持される物品M1の天面よりも僅かに高い位置に略水平に配置され、環状部14Aの外側から内側に向けてエアを噴射する。物品M1が正立姿勢でスリット24に嵌合していない状態(図5図6などの姿勢)では、選別エアノズル36からのエアが物品M1に吹き付けられ、物品M1は環状部14Aからボウル状支持部14B内の内側回転体12へと吹き落とされる。これにより、正しい向きに整列されていない物品M1は、内側回転体12上へと戻され、再び掻き上げ桟22によって掻き上げられる。
【0028】
図5には、環状部14Aのスリット24上で物品M1が横倒しとなり、物品M1の軸が環状部14Aの径方向に沿って配置された物品M1の状態が示される。図5では物品M1の突出部はスリット24上に位置し、物品M1が区間S2、S5に移動されると、物品M1はスリット24の両側で環状部14Aに係合する張り出し部を軸に自重により回転し、突出部がスリット24に嵌合して図7の状態となる。
【0029】
図6には、環状部14A上で物品M1が横倒しとなり、物品M1の軸が環状部14Aの径方向と交差する方向に配置された物品M1の状態が示される。このような姿勢の物品M1は、突出部や張り出し部の一部がスリット24から下方に延出し得るが、その場合、そのような箇所が固定プレート26Aにより支持され、物品M1の一部がスリット24に嵌合して、その姿勢を矯正できなくなることはない。図6の姿勢の物品M1が回転エアノズル34A、34Bの間を搬送されると、物品M1は回転エアノズル34A、34Bからのエアにより容易に回転され図5の状態とされる。そして、図5の状態を維持したまま物品M1が区間S2、S5に移動されると、図5を参照して説明したように、物品M1は自重により図7の状態とされる。図7の状態とされた物品M1は、外寄せエアノズル38によって外側ガイド28Aに当接するまでスリット24内を移動され、その後、図1の3時位置において排出シュート30に同姿勢を維持したまま移載される。これにより、排出シュート30には向きが揃えられた物品M1が整列され、排出シュート30を介して下流側へと搬送される。
【0030】
以上のように、第1実施形態の物品方向整列装置では、外側回転体の環状部14Aに移載された物品Mを区間S1、S2における整列工程と、区間S4、S5における整列工程と2回繰り返しているため、短尺の鍔付き物品を取り扱う場合にも整列効率を高めることができる。
【0031】
次に、図8図11を参照して、第2実施形態の物品方向整列装置について説明する。
【0032】
第2実施形態の物品方向整列装置40の構成は略第1実施形態の物品方向整列装置10と同様であるが、第2実施形態の物品方向整列装置40では、区間S2において、図7に示される適正な姿勢とされた物品Mを区間S4においてもその姿勢を維持させ、再び固定プレート26Aに係合させないように構成したものである。すなわち、第2実施形態では、第1実施形態の区間S4の固定プレート26Aと区間S3のスロープ状の固定プレート26Cが、内側から略半分の幅とされた固定プレート42、44として構成されるとともに、区間S2において環状部14Aと固定プレート26Bの間に環状部14Aの内側から外側に向けた外寄せエアノズル(気体噴射手段)46が設けられる。なお、その他の構成に関しては第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同様の構成に関しては、同一参照符号を用いその説明を省略する。
【0033】
図9は、区間S2において、正立姿勢で環状部14Aの各スリット24で支持される物品M1の状態を示す環状部14A近傍の拡大断面図である。図9に示されるように、区間S2の環状部14Aの下面の直ぐ下には、ボウル状支持部14Bの外周近傍から径方向外側に向けて外寄せエアノズル46が配置される。外寄せエアノズル46からのエアは、区間S2においてスリット24から下方に突出(垂下)する正立姿勢の物品M1の突出部に吹き付けられ、物品M1はスリット24に沿って外側ガイド28Aに当接するまで移動される。なお、区間S2において正立姿勢にない物品M1は、その突出部がスリット24から下方に十分に突出していないので、外寄せエアノズル46からのエアによりスリット24に沿って外側に移動されることはない。
【0034】
図10は、区間S4において物品M1が横倒しとなり、物品M1の軸が環状部14Aの径方向と交差する方向に配置された物品M1の状態(正立姿勢にない状態)が示される環状部14A近傍の拡大断面図である。図11は、区間S4においてスリット24に物品M1が正立姿勢で保持される状態が示される環状部14A近傍の拡大断面図である。図10図11に示されるように、区間S4に設けられる固定プレート42は、図4図6の固定プレート26Aの内側略半分ほどの幅しかなく、スリット24の外側の下方に固定プレート42は設けられていない。また、区間S3に設けられるスロープ状の固定プレート44は、固定プレート42と同様に、固定プレート26Cの内側半分の幅とされ、区間S2の固定プレート26Bと区間S3の固定プレート42とを連絡する。
【0035】
区間S1では、第1実施形態の図4図6と同様に、環状部14A上の物品M1の姿勢は、回転エアノズル34A、34Bやスリット24との接触により矯正され、その一部(または全部)は図4のように正立されて突出部の下端が固定プレート26Aに摺接しながら搬送される。正立された物品M1は、区間S2において固定プレート44が物品M1の突出部から離接すると、図7に示されるように、張り出し部がスリット24の両測縁に支持されるとともに突出部がスリット24の下方に垂下されて正立姿勢で搬送される。そしてこれらの物品M1は、外寄せエアノズル46からのエアにより図9に示されるように外側ガイド28Aへと押し当てられる。図9の状態の物品M1は、その後、区間S3の固定プレート44、区間S4の固定プレート42と係合することなく、区間S4では図11に示されるように、固定プレート42の外側を外側ガイド28Aに摺接した状態で搬送される。
【0036】
一方、区間S1において正立されなかった物品M1は、横倒しの状態のまま区間S2を搬送され、区間S4に搬送されたときには図10に示されるような横倒しの状態のままである。区間S4では、区間S1と同様に回転エアノズル34A、34Bやスリット24との接触によりその一部(または全部)の向きが矯正され正立される。正立された物品M1の突出部の下端は、環状部14A下に隣接する固定プレート42と摺接しながら搬送される。
【0037】
区間S4で正立された物品M1が区間S5に達し、固定プレート26Bが突出部から離接すると、物品M1は図7に示されるように、張り出し部がスリット24の両側縁に支持されるとともに突出部がスリット24の下方に垂下されて正立姿勢で搬送される。その後、正立姿勢とされた物品M1は、区間S5において外寄せエアノズル38からのエアにより外側ガイド28Aへと押し遣られ図9の状態となり、外側ガイド28Aと内側ガイド28Bの間を介して排出シュート30へと搬送される。なお、区間S4においても正立姿勢とされなかった物品M1は、区間S5に設けられた選別エアノズル36により、環状部14Aの内側の内側回転体12へと吹き落とされる。
【0038】
以上のように、第2実施形態の物品方向整列装置においても第1実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0039】
10 物品方向整列装置
12 内側回転体
14 外側回転体
14A 環状部
24 スリット
26A、26B、26C、42、44 固定プレート
30 排出シュート(排出手段)
46 外寄せエアノズル(気体噴射手段)
M、M1、M2、M3、M4 物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11