(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176222
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】異物除去装置
(51)【国際特許分類】
B07B 1/46 20060101AFI20231206BHJP
B07B 1/00 20060101ALI20231206BHJP
B07B 1/04 20060101ALI20231206BHJP
F23J 1/00 20060101ALI20231206BHJP
F23G 5/30 20060101ALI20231206BHJP
F23G 5/44 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B07B1/46 K
B07B1/00 B
B07B1/04 Z
F23J1/00 Z ZAB
F23G5/30 E
F23G5/44 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088387
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】品川 和明
(72)【発明者】
【氏名】奥住 宣裕
【テーマコード(参考)】
3K065
3K161
4D021
【Fターム(参考)】
3K065AB01
3K065AC03
3K065AC20
3K161AA40
3K161CA01
3K161DA52
3K161LA12
3K161LA20
3K161LA33
4D021AA01
4D021AC01
4D021CA01
4D021DA13
4D021EA10
(57)【要約】
【課題】篩面を通過する篩下物と当該篩面を通過しない異物とに処理対象物を篩い分ける篩構造体を備えた異物除去装置において、処理対象物に含まれる線状異物を篩面から良好に離脱させて異物排出部に排出し、当該線状異物の篩面への残留を抑制可能とする。
【解決手段】処理対象物投入部12とそれに隣接して設けられた異物排出部との境界部17に沿って水平方向に延びる揺動軸部30を中心に篩構造体20を揺動させて、篩面22を処理対象物投入部12に横断させて篩面22上に前記処理対象物Xを受ける処理姿勢と、処理姿勢側の水平方向に対して篩面22を所定の跳ね上げ角度α分跳ね上げて篩面22上の異物Aを異物排出部15に排出する異物排出姿勢との間で、篩構造体20の姿勢を切り替える揺動駆動部35を備え、跳ね上げ角度αが、90°超且つ180°以下に設定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
篩面を有し、当該篩面を通過する篩下物と当該篩面を通過しない異物とに処理対象物を篩い分ける篩構造体を備え、
前記処理対象物が投入される処理対象物投入部と当該処理対象物投入部に隣接して設けられた異物排出部との境界部に沿って水平方向に延びる揺動軸部を中心に前記篩構造体を揺動させて、前記篩面を前記処理対象物投入部に横断させて当該篩面上に前記処理対象物を受ける処理姿勢と、前記処理姿勢側の水平方向に対して前記篩面を所定の跳ね上げ角度分跳ね上げて当該篩面上の異物を前記異物排出部に排出する異物排出姿勢との間で、前記篩構造体の姿勢を切り替える揺動駆動部を備えた異物除去装置であって、
前記跳ね上げ角度が、90°超且つ180°以下に設定されている異物除去装置。
【請求項2】
前記処理対象物が、焼却炉から排出された焼却主灰、流動媒体、又は不燃物である請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項3】
前記処理対象物投入部に対して前記処理対象物を間欠的に投入する押出装置が設けられており、
前記揺動駆動部が、前記押出装置により前記処理対象物投入部に前記処理対象物が投入される投入タイミングには前記篩構造体の姿勢を前記処理姿勢とし、前記処理対象物に前記処理対象物が投入されない非投入タイミングには前記篩構造体の姿勢を前記異物排出姿勢とする形態で、前記押出装置の作動に連動させて前記篩構造体の姿勢を切り替える請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項4】
前記篩構造体において、前記篩面が、前記揺動軸部に固定された支持部に対して着脱自在に構成されている請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項5】
前記篩面が、複数のグリズリバーを並設して構成されており、
前記複数のグリズリバーの夫々の上端部が、上方に向けて尖形の断面形状を有するように形成されている請求項1に記載の異物除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、篩面を有し、当該篩面を通過する篩下物と当該篩面を通過しない異物とに処理対象物を篩い分ける篩構造体を備えた異物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記異物除去装置として、処理対象物が投入される処理対象物投入部と当該処理対象物投入部に隣接して設けられた異物排出部との境界部に沿って水平方向に延びる揺動軸部を中心に篩構造体を揺動させる揺動駆動部を備えたものが知られている(例えば特許文献1を参照。)。具体的に、揺動駆動部は、篩面を処理対象物投入部に横断させて当該篩面上に処理対象物を受ける処理姿勢と、処理姿勢側の水平方向に対して篩面を所定の跳ね上げ角度分跳ね上げて当該篩面上の異物を異物排出部に排出する異物排出姿勢との間で、篩構造体の姿勢を切り替えるものとして構成されている。
【0003】
特許文献1記載の異物除去装置は、焼却灰等の被処理物から丸太等の大形未燃焼物や大形金属等の大形異物を良好に除去するものとして構成されている。そして、上記揺動駆動部が、篩構造体の姿勢を処理姿勢から異物排出姿勢に跳ね上げる際の上記跳ね上げ角度は、90°以下で、おおよそ70°(特許文献1の
図5を参照。)に設定されている。
即ち、処理姿勢の篩構造体により篩い分けられて篩面上に残る丸太や大形金属等の大型異物は、当該篩面を処理姿勢側の水平方向に対して70°程度跳ね上げて篩構造体の姿勢を異物排出姿勢に切り替えることで、傾斜する篩面上を滑り又は転がりながら移動して、異物排出部に良好に排出されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に焼却炉から排出された焼却主灰、流動媒体、又は不燃物などの処理対象物には、異物として針金やネジ類などの細長い線状異物が比較的多く含まれている。
上述した特許文献1記載の異物除去装置において、処理対象物に線状異物が含まれていると、当該篩面を処理姿勢側の水平方向に対して70°程度跳ね上げて篩構造体の姿勢を異物排出姿勢に切り替えたとしても、上記大型異物は異物排出部に滑り落ちる又は転がり落ちるものの、篩面に絡まった線状異物が容易には篩面から離脱せず、その一部が異物排出部に排出されることなく篩面に残留し、例えば次の処理に悪影響を及ぼすなどの問題が生じる。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、篩面を有し、当該篩面を通過する篩下物と当該篩面を通過しない異物とに処理対象物を篩い分ける篩構造体を備えた異物除去装置において、処理対象物に含まれる線状異物を篩面から良好に離脱させて異物排出部に排出し、当該線状異物の篩面への残留を抑制可能とする技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、篩面を有し、当該篩面を通過する篩下物と当該篩面を通過しない異物とに処理対象物を篩い分ける篩構造体を備え、
前記処理対象物が投入される処理対象物投入部と当該処理対象物投入部に隣接して設けられた異物排出部との境界部に沿って水平方向に延びる揺動軸部を中心に前記篩構造体を揺動させて、前記篩面を前記処理対象物投入部に横断させて当該篩面上に前記処理対象物を受ける処理姿勢と、前記処理姿勢側の水平方向に対して前記篩面を所定の跳ね上げ角度分跳ね上げて当該篩面上の異物を前記異物排出部に排出する異物排出姿勢との間で、前記篩構造体の姿勢を切り替える揺動駆動部を備えた異物除去装置であって、
前記跳ね上げ角度が、90°超且つ180°以下に設定されている点にある。
【0007】
本構成によれば、篩構造体を揺動させて篩構造体の姿勢を上記処理姿勢と上記異物排出姿勢との間で切り替える揺動駆動部は、篩面を処理姿勢側の水平方向に対して90°超且つ180°以下に設定された跳ね上げ角度分跳ね上げて篩構造体の姿勢を異物排出姿勢に切り替える。よって、異物排出姿勢の篩構造体の篩面は、その下方に位置する異物排出部に向けて下向きの状態となるので、処理対象物から篩い分けられた線状異物が篩面に絡まっている場合でも、その線状異物を篩面から良好に離脱させて異物排出部に落下させることができる。
従って、本発明により、篩面を有し、当該篩面を通過する篩下物と当該篩面を通過しない異物とに処理対象物を篩い分ける篩構造体を備えた異物除去装置において、処理対象物に含まれる線状異物を篩面から良好に離脱させて異物排出部に排出し、当該線状異物の篩面への残留を抑制可能とする技術を提供することができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記処理対象物が、焼却炉から排出された焼却主灰、流動媒体、又は不燃物である点にある。
【0009】
本構成によれば、針金やネジ類などの細長い線状異物を比較的多く含む焼却主灰、流動媒体、又は不燃物を処理対象物とし、当該処理対象物から異物を除去する場合であっても、処理対象物に含まれる線状異物を篩面から良好に離脱させて異物排出部に排出し、当該線状異物の篩面への残留を好適に抑制することができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記処理対象物投入部に対して前記処理対象物を間欠的に投入する押出装置が設けられており、
前記揺動駆動部が、前記押出装置により前記処理対象物投入部に前記処理対象物が投入される投入タイミングには前記篩構造体の姿勢を前記処理姿勢とし、前記処理対象物に前記処理対象物が投入されない非投入タイミングには前記篩構造体の姿勢を前記異物排出姿勢とする形態で、前記押出装置の作動に連動させて前記篩構造体の姿勢を切り替える点にある。
【0011】
本構成によれば、処理対象物投入部に対して押出装置により間欠的に投入される処理対象物から合理的に異物を除去することができる。
即ち、押出装置により処理対象物投入部に処理対象物が投入される投入タイミングとなると、揺動駆動部は、押出装置の作動に連動して篩構造体を揺動させて、篩構造体の姿勢を処理姿勢とする。すると、処理姿勢とされた篩構造体の篩面上に押出装置により投入された処理対象物を受けて、当該処理対象物を、篩面を通過する篩下物と当該篩面を通過しない異物とに篩い分けることができる。その後、押出装置により処理対象物投入部に処理対象物が投入されない非投入タイミングとなると、揺動駆動部は、押出装置の作動に連動して篩構造体を跳ね上げて、篩構造体の姿勢を異物排出姿勢とする。すると、異物排出姿勢とされた篩構造体の篩面上の異物を異物排出部に排出することができる。そして、このように揺動駆動部による篩構造体の姿勢切替を押出装置による間欠的な処理対象物の投入に連動させて行うことで、押出装置による非投入タイミングを利用して、篩構造体の姿勢を異物排出姿勢として篩面上の異物を異物排出部に排出して、合理化を図ることができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記篩構造体において、前記篩面が、前記揺動軸部に固定された支持部に対して着脱自在に構成されている点にある。
【0013】
本構成によれば、揺動軸部に固定された支持部に対して篩面が着脱自在に構成されているので、当該篩面を、目開き等の仕様が異なる別の篩面又は新品の篩面に容易に交換することができる。
【0014】
本発明の第5特徴構成は、前記篩面が、複数のグリズリバーを並設して構成されており、
前記複数のグリズリバーの夫々の上端部が、上方に向けて尖形の断面形状を有するように形成されている点にある。
【0015】
本構成によれば、篩面を構成する複数のグリズリバーの夫々の上端部の断面形状が、上方に向けて尖形とされているので、当該グリズリバーの上端部における灰などの篩下物の滞留を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る異物除去装置の概略構成を示す正面図
【
図2】本実施形態に係る異物除去装置の概略構成を示す平面図
【
図3】
図1及び
図2に示す異物除去装置の篩構造体部分の拡大平面図
【
図5】ストーカ式焼却炉に対する異物除去装置の設置個所を示すブロック図
【
図6】異物除去装置の篩構造体を処理姿勢とする際の押出装置の状態を説明する図
【
図7】異物除去装置の篩構造体を異物排出姿勢とする際の押出装置の状態を説明する図
【
図8】流動床式焼却炉に対する異物除去装置の設置個所を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及び
図2に示す本実施形態の異物除去装置(以下「本異物除去装置」と呼ぶ。)10は、詳細については後述するが、焼却炉60(
図5,8参照)から排出された焼却主灰X1や流動媒体X2や不燃物X3などの処理対象物Xから異物Aを除去するものとして構成されている。
【0018】
本異物除去装置10には、本体カバー11内に、篩面22を有する篩構造体20が設けられている。この篩構造体20の篩面22は、本体カバー11の導入口12Aから導入されて処理対象物投入部12に投入された処理対象物Xを、当該篩面22を通過する篩下物Xaと、当該篩面22を通過しない異物Aとに篩い分けるものとして構成されている。篩面22は、
図3及び
図4にも示すように、平面視矩形の枠体24と、その枠体24内に格子状に配置された複数のグリズリバー25とで構成されている。これら複数のグリズリバー25は、処理対象物Xに含まれる異物Aの通過を阻止する程度の所定のピッチ(目開き)で格子状に並設されている。
【0019】
そして、このように構成された篩面22上の処理対象物投入部12に処理対象物Xが投入されると、その処理対象物Xに含まれる篩下物Xaが篩面22のグリズリバー25間の隙間を通過し、その際に、処理対象物Xに含まれる異物Aが篩面22上に残留する形態で、処理対象物Xが篩下物Xaと異物Aとに篩い分けられる。
【0020】
篩面22において、夫々のグリズリバー25は、
図4に示すように、鉛直方向に長尺な矩形の断面形状を有する平鋼(フラットバー)で構成されている。更に、夫々のグリズリバー25の上端部は、上方に向けて尖形の断面形状、言い換えれば上方ほど幅が漸次狭くなる形状を有するように形成されており、具体的には傾斜面25aを片側に有する片流れ形状を有するように形成されている。このことにより、グリズリバー25の上端部における灰などの篩下物Xaの滞留が抑制される。
【0021】
更に、尖形の断面形状を有するグリズリバー25の上端部において、当該尖形を構成する傾斜面25aの迎角(水平に対する傾斜角度)は、上記灰などの篩下物Xaの安息角以上とすることが望ましい。このことで、グリズリバー25の上端部における篩下物Xaの残留が一層良好に抑制される。
尚、グリズリバー25の上端部の断面形状については、例えば傾斜面を両側に有する逆V字形状として上方に向けて尖形の断面形状としたり、尖形とせずに平坦な形状とするなどのように適宜改変可能である。更に、グリズリバー25の上端部の断面形状を逆V字形状とする場合には、グリズリバー25の上端部の両側の傾斜面の夫々の迎角は、両方とも安息角以上であることが望ましいが、例えば、一方側の傾斜面の迎角を安息角以上とし、他方側の傾斜面の迎角を安息角未満とすることもできる
また、本実施形態では、篩面22を、枠体24とその内側に格子状に配置された複数のグリズリバー25とで構成したが、別の形態の篩面22を採用しても構わない。
【0022】
図1及び
図2に示すように、本体カバー11内には、処理対象物Xが投入される処理対象物投入部12に隣接して、篩構造体20の篩面22上に残留する異物Aが排出される異物排出部15が設けられている。この異物排出部15の下方には、当該異物排出部15に排出された異物Aを貯留する異物貯留部19が設けられている。
処理対象物投入部12と異物排出部15との境界部17には、その境界部17に沿って水平方向に延びる揺動軸部30が、本体カバー11に固定された軸受部33によって両端部が支持される形態で設けられている。
【0023】
揺動軸部30の中間部には、篩構造体20を揺動軸部30に固定して支持する支持部21が固定されている。この支持部21は、揺動軸部30に固定された一対の軸固定部21Aと、当該一対の軸固定部21Aに接合されて篩構造体20の縁部に沿って伸びるブラケット21Bとで構成されている。そして、上述した篩構造体20の篩面22が、支持部21のブラケット21Bに対して固定用ボルト27により固定されている。このような構成により、上記篩構造体20の篩面22は、揺動軸部30に固定された支持部21に対して着脱自在に構成されると共に、篩面22を支持部21に固定した状態において、篩構造体20は、揺動軸部30を中心に回転可能となる。
【0024】
そして、揺動軸部30に固定された支持部21に対して篩面22が着脱自在に構成されているので、当該篩面22を、目開き等の仕様が異なる別の篩面22や新品の篩面22などに容易に交換することができる。
尚、本実施形態では、篩構造体20の篩面22を支持部21に対して固定用ボルト27により着脱自在に固定したが、支持部21と篩面22とを一体的に構成しても構わない。
【0025】
図1及び
図2に示すように、本異物除去装置10には、篩構造体20を、揺動軸部30を中心に揺動可能な揺動駆動部35が設けられている。即ち、この揺動駆動部35は、揺動軸部30の一方側の端部に固設されて揺動軸部30の軸方向から離間する方向に延出するリンク部31と、そのリンク部31の先端に接続されて揺動軸部30を回転させるための動力を発生する油圧シリンダ36等で構成されている。そして、揺動駆動部35は、油圧シリンダ36の伸縮及びそれに伴うリンク部31の揺動軸部30を中心とした揺動回転により、揺動軸部30を中心に篩構造体20を揺動させて、所定の処理姿勢と異物排出姿勢との間で切り替えるものとして構成されている。
【0026】
上記処理姿勢は、
図1の実線で示す篩構造体20の姿勢であり、篩面22を処理対象物投入部12に横断させて当該篩面22上に処理対象物Xを受ける姿勢である。即ち、
図6にも示すように、揺動駆動部35により篩構造体20の姿勢が処理姿勢とされると、当該処理姿勢とされた篩構造体20の篩面22上の処理対象物投入部12に投入された処理対象物Xは、篩面22を通過してその下方の篩下物排出部13に落下する篩下物Xaと、篩面22を通過しない異物Aとに篩い分けられることになる。尚、篩下物排出部13に落下した篩下物Xaは、例えばコンベアなどの搬送装置40によって外部へ搬送することができるが、貯留部に貯留することもできる。
【0027】
一方、上記異物排出姿勢は、
図1の2点鎖線で示す篩構造体20の姿勢であり、上述した処理姿勢側の水平方向に対して篩面22を所定の跳ね上げ角度α分跳ね上げて、当該篩面22上の異物Aを異物排出部15に排出する姿勢である。即ち、
図7にも示すように、揺動駆動部35により篩構造体20の姿勢が異物排出姿勢とされると、当該異物排出姿勢とされた篩構造体20上に残留する異物Aが異物排出部15に排出されることになる。尚、異物排出部15に排出された異物Aは、例えば異物貯留部19に貯留することができるが、搬送装置により外部に搬送することもできる。
【0028】
上述のような構成を採用した本異物除去装置10によって異物Aの除去処理が行われる処理対象物Xには、異物Aとして針金やネジ類などの細長い線状異物Aが含まれている場合がある。そこで、本異物除去装置10は、処理対象物Xに含まれる線状異物Aを篩面22から良好に離脱させて異物排出部15に排出し、当該線状異物Aの篩面22への残留を抑制可能とするための特徴を有しており、その詳細について以下に説明を加える。
【0029】
揺動駆動部35により篩構造体20の姿勢を処理姿勢から異物排出姿勢に切り替えるにあたり、処理姿勢側の水平方向に対して篩面22を跳ね上げる角度である跳ね上げ角度αが、90°超且つ180°以下に設定されている。このことにより、異物排出姿勢の篩構造体20の篩面22は、
図7に示すように、その下方に位置する異物排出部15に向けて下向きの状態となる。すると、処理対象物Xから篩い分けられた線状異物Aが篩面22に絡まっている場合でも、その線状異物Aを篩面22から良好に離脱させて異物排出部15に落下させることができる。
【0030】
更に、上記跳ね上げ角度αは、120°以下とすることが好ましく、更に120°とすることが好ましい。
即ち、上記跳ね上げ角度αを120°以下とすれば、篩構造体20の姿勢を処理姿勢から異物排出姿勢に切り替えるにあたり、篩面22を跳ね上げるために必要な跳ね上げ時間をできるだけ短くすることができる。更に、上記跳ね上げ角度αを120°とすれば、上記跳ね上げ時間を適度に短くしながら、篩面22からの線状異物Aの離脱を良好なものとすることができる。
【0031】
これまで説明してきた本異物除去装置10は、焼却炉60から排出された処理対象物Xに対して異物Aを除去するものとして適用可能である。以下に、焼却炉60としてのストーカ式焼却炉61への適用例(
図7)と、焼却炉60としての流動床式焼却炉62への適用例について、説明を加える。
【0032】
(ストーカ式焼却炉61への適用例)
図5に示すように、本異物除去装置10は、ストーカ式焼却炉61から排出された焼却主灰X1(処理対象物Xの一例)から異物Aを除去する異物除去装置10Aとして構成することができる。
【0033】
図6及び
図7に示すように、押出装置50は、本異物除去装置10Aの処理対象物投入部12に対して、水を含ませた湿潤状態の焼却主灰X1を、間欠的に投入するものとして構成されている。
【0034】
押出装置50には、ストーカ式焼却炉61の灰排出シュート51の下方に配置されて、炉内と外部とを水封する冷却水槽53が設けられている。この冷却水槽53の一端部には、排出口52が冷却水槽53の水面よりも上方に形成されており、その排出口52に異物除去装置10Aの導入口12Aが接続される。
【0035】
冷却水槽53には、当該冷却水槽53の底部に堆積された湿潤状態の焼却主灰X1を排出口52に向けて間欠的に押し出すためのスクレーパ56と、当該スクレーパ56の基端部に連結された駆動アーム55とが設けられている。そして、駆動アーム55が油圧シリンダ(図示省略)により揺動駆動され、スクレーパ56が前後に往復駆動される。すると、冷却水槽53に堆積された焼却主灰X1は、間欠的に排出口52から押し出されて本異物除去装置10Aの処理対象物投入部12に投入されることになる。
【0036】
更に、本異物除去装置10Aにおいて、揺動駆動部35による篩構造体20の姿勢切替が、上述した押出装置50による間欠的な焼却主灰X1の投入に連動させて行われる。
即ち、押出装置50により焼却主灰X1が処理対象物投入部12に投入される投入タイミングには、当該押出装置50から揺動駆動装置35に当該投入タイミングを示す投入信号が送られ、押出装置50により焼却主灰X1が処理対象物投入部12に投入されない非投入タイミングには、当該押出装置50から揺動駆動装置35に当該非投入タイミングを示す非投入信号が送られる。
【0037】
即ち、
図6に示すように、押出装置50により焼却主灰X1が処理対象物投入部12に投入される投入タイミングには、当該押出装置50から揺動駆動装置35に当該投入タイミングを示す投入信号が送られる。そして、押出装置50から投入信号を受信した揺動駆動部35は、篩構造体20の姿勢を処理姿勢とすることで、篩構造体20が押出装置50の作動に連動して揺動される。すると、処理姿勢とされた篩構造体20の篩面22上に押出装置50により投入された焼却主灰X1は、篩面22を通過する篩下物Xa(焼却主灰X1)と篩面22を通過しない異物Aとに篩い分けられる。
【0038】
その後、
図7に示すように、押出装置50により焼却主灰X1が処理対象物投入部12に投入されない非投入タイミングとなると、当該押出装置50から揺動駆動装置35に当該非投入タイミングを示す投入信号が送られる。そして、押出装置50から非投入信号を受信した揺動駆動部35は、篩構造体20の姿勢を異物排出姿勢とすることで、篩構造体20が押出装置50の作動に連動して跳ね上げられる。すると、異物排出姿勢とされた篩構造体20の篩面22上の異物Aは、異物排出部15に排出される。このように押出装置50による非投入タイミングを利用して、篩構造体20の姿勢を異物排出姿勢として篩面22上の異物Aを異物排出部15に排出することができる。
【0039】
(流動床式焼却炉62への適用例)
図8に示すように、本異物除去装置10は、流動床式焼却炉62から排出された流動媒体X2(処理対象物Xの一例)から異物Aを除去する異物除去装置10Bや、流動床式焼却炉62から排出された不燃物X3(処理対象物Xの一例)から異物Aを除去する異物除去装置10Cとして構成することができる。
【0040】
即ち、流動床式焼却炉62の流動媒体X2(流動砂)の一部が、当該抜出スクリュ63により流動床式焼却炉62から抜き出されて砂分級装置64により、流動媒体X2と不燃物X3とに分離される。
【0041】
砂分級装置64により分離された流動媒体X2は、砂循環エレベータ66により流動床式焼却炉62に戻されるが、本異物除去装置10Bは、この砂循環エレベータ66から排出されて流動床式焼却炉62に戻される前の流動媒体X2から異物Aを除去することができる。
【0042】
一方、砂分級装置64により分離された不燃物X3は、磁選機や非鉄金属選別機等からなる不燃物処理設備65により鉄やアルミニウム等の金属X4が取り除かれる。そして、本異物除去装置10Cは、不燃物処理設備65により上記金属X4が取り除かれた後の不燃物X3から異物Aを除去することができる。
尚、本異物除去装置10B及び本異物除去装置10Cの構成については、これまで説明してきた本異物除去装置10と同様のため詳細な説明は割愛する。
【0043】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0044】
(1)上記実施形態では、処理対象物Xを焼却炉60(61,62)から排出された焼却主灰X1、流動媒体X2、又は不燃物X3としたが、別の処理対象物Xから異物Aを除去するものとして構成することもできる。
【0045】
(2)上記実施形態では、揺動駆動部35による篩構造体20の姿勢切替を押出装置50による間欠的な処理対象物Xの投入に連動させて行うように構成したが、押出装置による処理対象物の排出が間欠的なものではなく連続的なものである場合には、処理対象物投入部への処理対象物の投入を間欠的なものとするためのバッファやゲートを設け、その間欠的な投入に連動させて揺動駆動部35による篩構造体20の姿勢切替を行うように構成しても構わない。
【符号の説明】
【0046】
10 異物除去装置
10A 異物除去装置
10B 異物除去装置
10C 異物除去装置
12 処理対象物投入部
15 異物排出部
17 境界部
20 篩構造体
21 支持部
22 篩面
25 グリズリバー
30 揺動軸部
35 揺動駆動部
50 押出装置
60 焼却炉
61 ストーカ式焼却炉
62 流動床式焼却炉
A 異物
X 処理対象物
X1 焼却主灰
X2 流動媒体
X3 不燃物
Xa 篩下物
α 跳ね上げ角度