(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176224
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】接触操作装置および音信号の再生方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20231206BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20231206BHJP
G11B 27/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G06F3/03 400
H04M1/00 R
G11B27/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088391
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111763
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆
(72)【発明者】
【氏名】勝又 良宏
【テーマコード(参考)】
5D110
5K127
【Fターム(参考)】
5D110AA27
5D110FA02
5D110FA05
5K127BA03
5K127CA08
5K127CB34
5K127DA13
(57)【要約】
【課題】 レコードプレーヤに近い操作感をユーザに与える技術的手段を提供する。
【解決手段】 接触操作装置であるクレードル100Aは、タッチパネル205に接触する接触操作部114を先端に有するアーム111と、アーム111を支持する支持部であって、接触操作部114を水平方向に移動させるようにアーム111を運動させる第1支持機構と、接触操作部114を上下方向に移動させるようにアーム111を運動させる第2支持機構とを有する支持部120と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルに接触する接触操作部を先端に有するアームと、
前記アームを支持する支持部であって、前記接触操作部を水平方向に移動させるように前記アームを運動させる第1支持機構と、前記接触操作部を上下方向に移動させるように前記アームを運動させる第2支持機構とを有する支持部と、
を有する接触操作装置。
【請求項2】
前記アームを駆動することにより前記接触操作部を移動させる駆動部
を有する請求項1に記載の接触操作装置。
【請求項3】
前記アームの駆動指令を受信する通信部を有し、
前記駆動部は、前記駆動指令に従って前記アームを駆動する
請求項2に記載の接触操作装置。
【請求項4】
接触操作装置と携帯情報端末とにより音信号を再生する再生方法であって、
前記携帯情報端末は、タッチパネルを有し、
前記接触操作装置は、前記タッチパネルに接触する接触操作部を先端に有するアームと、前記アームを支持する支持部であって、前記接触操作部を水平方向に移動させるように前記アームを運動させる第1支持機構と、前記接触操作部を上下方向に移動させるように前記アームを運動させる第2支持機構とを有する支持部とを有し、
前記携帯情報端末は、音信号が記録された記録媒体の画像を前記タッチパネルに表示し、前記記録媒体の画像を表示したタッチパネルに前記接触操作部が接触した場合に、前記記録媒体の画像における前記接触操作部の接触位置に基づいて、前記音信号の再生開始位置を決定し、当該再生開始位置から音信号の再生を開始する再生方法。
【請求項5】
前記携帯情報端末は、前記接触操作部が前記タッチパネルに接触している間、前記音信号の再生を継続する請求項4に記載の再生方法。
【請求項6】
前記接触操作装置は、前記携帯情報端末から駆動指令を受信する通信部と、前記駆動指令に従って前記アームを駆動することにより前記接触操作部を移動させる駆動部と、を有し、
前記携帯情報端末は、前記タッチパネルにおける前記接触操作部の接触位置を前記音信号の再生位置に追従させる駆動指令を前記接触操作装置に送信する請求項5に記載の再生方法。
【請求項7】
接触操作装置と携帯情報端末とにより音信号を再生する再生方法であって、
前記携帯情報端末は、タッチパネルを有し、
前記接触操作装置は、前記タッチパネルに接触する接触操作部を先端に有するアームと、前記アームを支持する支持部であって、前記接触操作部を水平方向に移動させるように前記アームを運動させる第1支持機構と、前記接触操作部を上下方向に移動させるように前記アームを運動させる第2支持機構とを有する支持部と、前記携帯情報端末から駆動指令を受信する通信部と、前記駆動指令に従って前記アームを駆動することにより前記接触操作部を移動させる駆動部と、を有し、
前記携帯情報端末は、音信号の選択を受け付けると、前記音信号が記録された記録媒体の画像を前記タッチパネルに表示し、前記タッチパネルの画面において前記音信号の再生開始位置に対応した位置に前記接触操作部を接触させる駆動指令を前記接触操作装置に送信する再生方法。
【請求項8】
前記携帯情報端末は、前記音信号の再生位置が再生終了位置に到達した場合に、前記アームを所定の位置に移動させる駆動指令を前記接触操作装置に送信する請求項6または7に記載の再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、接触操作装置および接触操作装置を利用した音信号の再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
楽曲を再生する機能を備えたスマートフォン等の携帯情報端末が知られている。特許文献1に開示された携帯情報端末では、タッチパネルを利用して、楽曲選択に必要な情報をユーザに提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術において、スマートフォン等の携帯情報端末は、指やスタイラスペンをタッチパネルに接触させる操作に応じて、音信号の再生を開始する。このような操作は、ユーザにとって簡単で便利であるが、ユーザに感動を与えない。一方、デジタルオーディオが進展した現在においても、レコードプレーヤには根強い人気がある。ユーザは、レコードプレーヤのアームの先端のピックアップを移動し、ピックアップに設けられたレコード針をレコード盤のレコード溝に接触させる。このレコード溝にレコード針が接触する瞬間に音が鳴り出す。この音が鳴り出す瞬間の緊張と緩和の心の動きが多くのユーザに感動を与える。
【0005】
この発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、レコードプレーヤに近い操作感をユーザに与える技術的手段を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一態様である接触操作装置は、タッチパネルに接触する接触操作部を先端に有するアームと、前記アームを支持する支持部であって、前記接触操作部を水平方向に移動させるように前記アームを運動させる第1支持機構と、前記接触操作部を上下方向に移動させるように前記アームを運動させる第2支持機構とを有する支持部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、この発明の他の態様である音信号の再生方法は、接触操作装置と携帯情報端末とにより音信号を再生する再生方法であって、前記携帯情報端末は、タッチパネルを有し、前記接触操作装置は、前記タッチパネルに接触する接触操作部を先端に有するアームと、前記アームを支持する支持部であって、前記接触操作部を水平方向に移動させるように前記アームを運動させる第1支持機構と、前記接触操作部を上下方向に移動させるように前記アームを運動させる第2支持機構とを有する支持部とを有し、前記携帯情報端末は、音信号が記録された記録媒体の画像を前記タッチパネルに表示し、前記記録媒体の画像を表示したタッチパネルに前記接触操作部が接触した場合に、前記記録媒体の画像における前記接触操作部の接触位置に基づいて、前記音信号の再生開始位置を決定し、当該再生開始位置から音信号の再生を開始することを特徴とする。
【0008】
また、この発明の他の態様である音信号の再生方法は、接触操作装置と携帯情報端末とにより音信号を再生する再生方法であって、前記携帯情報端末は、タッチパネルを有し、前記接触操作装置は、前記タッチパネルに接触する接触操作部を先端に有するアームと、前記アームを支持する支持部であって、前記接触操作部を水平方向に移動させるように前記アームを運動させる第1支持機構と、前記接触操作部を上下方向に移動させるように前記アームを運動させる第2支持機構とを有する支持部と、前記携帯情報端末から駆動指令を受信する通信部と、前記駆動指令に従って前記アームを駆動することにより前記接触操作部を移動させる駆動部と、を有し、前記携帯情報端末は、音信号の選択を受け付けると、前記音信号が記録された記録媒体の画像を前記タッチパネルに表示し、前記タッチパネルの画面において前記音信号の再生開始位置に対応した位置に前記接触操作部を接触させる駆動指令を前記接触操作装置に送信することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の第1実施形態である音信号の再生方法を実行する再生システムの構成を示す平面図である。
【
図3】同再生システムにおける接触操作装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】同再生システムにおける携帯情報端末の電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】同再生システムにおいて実行される再生処理のフローチャートである。
【
図7】同再生システムにおける再生開始位置の算出方法を説明する図である。
【
図8】この発明の第2実施形態である音信号の再生システムにおける接触操作装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図9】同実施形態において実行される再生処理のフローチャートである。
【
図10】この発明の第3実施形態である音信号の再生システムの構成を示す平面図である。
【
図11】同再生システムにおける接触操作装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図12】同実施形態において実行される再生処理のフローチャートである。
【
図13】この発明の他の実施形態において実行される再生処理のフローチャートである。
【
図14】この発明の他の実施形態において実行される再生処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1はこの発明の第1実施形態である音信号の再生方法を実行する再生システム300Aの構成を示す平面図である。また、
図2は同再生システム300Aの構成を示す側面図である。再生システム300Aは、タッチパネル205を有するスマートフォン200Aと、スマートフォン200Aに対して無線給電を行う機能を備えたクレードル100Aと、を有する。本実施形態において、クレードル100Aは、スマートフォン200Aのタッチパネル205に対する接触操作を行う接触操作装置であり、レコードプレーヤに類似した形態を有する。また、スマートフォン200Aは、クレードル100Aによって行われる接触操作に応じて音信号を再生する携帯情報端末である。
【0012】
クレードル100Aは、矩形平板状のベース101を有する。このベース101の略中央には略矩形状の給電領域102があり、この給電領域102には1次側コイル(図示略)が埋め込まれている。ユーザは、この給電領域102に給電対象であるスマートフォン200Aを載せる。クレードル100Aは、1次側コイルに交流電流を流すことにより交流磁界を発生し、給電領域102に載せられたスマートフォン200Aへの無線給電を行う。
【0013】
ベース101の一長辺の近傍には近距離無線通信部103が配置されている。この近距離無線通信部103は、例えばブルートゥース(登録商標)通信部であり、スマートフォン200Aを通信相手として近距離無線通信を行う手段である。本実施形態において、クレードル100Aは、スマートフォン200Aが再生した音信号をこの近距離無線通信部103により受信する。
【0014】
ベース101の一短辺の両端近傍には2つの音出力部104が設けられている。これらの音出力部104は、スピーカである。本実施形態において、クレードル100Aは、近距離無線通信部103により受信された音信号をこれらの音出力部104から放音する。
【0015】
ベース101の他の短辺近傍には、支持部120によって支持されたアーム111が配置されている。このアーム111の先端にはピックアップ112が取り付けられている。また、アーム111の後端にはカウンタウェイト116が取り付けられている。支持部120は、アーム111においてカウンタウェイト116寄りの位置を支持している。具体的には、支持部120は、鉛直方向の第1軸121廻りに旋回可能に、かつ、水平方向の第2軸122廻りに旋回可能にアーム111を支持する。カウンタウェイト116は、アーム111がその自重により第2軸122廻りに旋回する際にその旋回速度を緩和する役割を果たす。
【0016】
また、ベース101には、アーム111における支持部120とピックアップ112との中間の部分を下方から受け止めるレスト部118が設けられている。音信号の再生を行わない場合、アーム111はこのレスト部118の上に載せられる。
【0017】
アーム111の先端のピックアップ112の下方には接触操作部114が取り付けられている。この接触操作部114は、給電領域102に載せられたスマートフォン200Aのタッチパネル205に接触する部材であり、導電エラストマにより構成されている。ピックアップ112には、ハンドル113が設けられている。ユーザは、このハンドル113を指で摘まみ、ピックアップ112を移動させることができる。
【0018】
上述したようにピックアップ112が取り付けられたアーム111は、第1軸121廻りに旋回可能である。従って、ピックアップ112の接触操作部114は、同接触操作部114から第1軸121までの距離を半径とする円弧を描いて移動可能である。スマートフォン200Aが給電領域102に適切に配置された形態において、この円軌道は、スマートフォン200Aのタッチパネル205の中心を通過する。このように第1軸121は、接触操作部114を水平方向に移動させるようにアーム111を運動させる第1支持機構として機能する。
【0019】
また、ピックアップ112が取り付けられたアーム111は、第2軸122廻りに旋回可能である。従って、ピックアップ112の接触操作部114は、下降することによりスマートフォン200Aのタッチパネル205に接触し、あるいは上昇することによりタッチパネル205から離れることが可能である。このように第2軸122は、接触操作部114を上下方向に移動させるようにアーム111を運動させる第2支持機構として機能する。
【0020】
そして、クレードル100Aは、スマートフォン200Aのタッチパネル205上の所望の位置に接触操作部114を接触させ、あるいは接触操作部114をタッチパネル205から離す接触操作装置として機能する。
【0021】
ここで、支持部120の第2軸122廻りに働く慣性モーメントのうちアーム111の先端部分に働く慣性モーメントは、アーム111の後端部分に働く慣性モーメントよりも大きい。従って、ユーザが接触操作部114をタッチパネル205に接触させた後、ハンドル113から指を離すと、接触操作部114はタッチパネル205に接触し続ける。
【0022】
図3はクレードル100Aの電気的構成を示すブロック図である。
図3に示すように、クレードル100Aは、CPU131と、記憶部132と、近距離無線通信部103と、無線給電部133と、音出力部104と、を有する。
【0023】
CPU131は、クレードル100Aの各部を制御する制御手段である。近距離無線通信部103および音出力部104は、
図1および
図2を参照して説明した通りである。無線給電部133は、給電領域102に埋め込まれた1次側コイルを含む。無線給電部133は、この1次側コイルに交流電流を流すことにより、スマートフォン200Aへの給電のための交流磁界を発生する。
【0024】
記憶部132は、ROM、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶部と、RAM等の揮発性記憶部とからなる。不揮発性記憶部には、CPU131により実行される制御プログラムが記憶されている。揮発性記憶部は、CPU131によってワークエリアとして利用される。CPU131は、不揮発性記憶部内の制御プログラムを実行することにより、無線給電部133による給電の制御と、近距離無線通信部103によりスマートフォン200Aから音信号を受信して音出力部104により放音する動作の制御を行う。
【0025】
図4はスマートフォン200Aの電気的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、スマートフォン200Aは、CPU201と、記憶部202と、音入力部203と、音出力部204と、無線通信部206と、近距離無線通信部207と、無線充電部208と、バッテリ209と、を有する。
【0026】
音入力部203はマイクロフォン、音出力部204はスピーカである。この音入力部203および音出力部204は、主に通話のための手段として利用される。タッチパネル205は、各種の情報を表示する表示機能と、接触操作を受け付ける操作機能とを併有する装置である。本実施形態では、このタッチパネル205がクレードル100Aの接触操作部114の操作対象となる。無線通信部206は、移動通信網およびインターネットを含むネットワークを介して他の通信装置との通信を行う手段である。バッテリ209は、スマートフォン200A内の各部に電力を供給する直流電源である。無線充電部208は、クレードル100Aの無線給電部133からの給電を受け、バッテリ209の充電を行う。さらに詳述すると、無線充電部208は、無線給電部133内の1次側コイルと磁気的に結合される2次側コイルを含んでおり、この2次側コイルに発生する交流電流を整流してバッテリ209に流すことによりバッテリ209の充電を行う。
【0027】
記憶部202は、ROM、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶部と、RAM等の揮発性記憶部とからなる。不揮発性記憶部には、CPU201により実行される制御プログラムやアプリケーションプログラムが記憶されている。揮発性記憶部は、CPU201によってワークエリアとして利用される。CPU201は、不揮発性記憶部内の制御プログラムを実行することにより、スマートフォン200A内の各部を制御する。
【0028】
記憶部202の不揮発性記憶部には、各種の楽曲の音信号を時系列化した1以上の音信号ファイルが記憶される。また、記憶部202の不揮発性記憶部には、音信号ファイルから音信号を読み出し、音として再生するための再生処理をCPU201に実行させる再生アプリケーションプログラムが記憶されている。これらの音信号ファイルおよび再生アプリケーションプログラムは、例えばインターネットに接続されたサーバからダウンロードされ、記憶部202の不揮発性記憶部に格納される。
【0029】
次に本実施形態の動作を説明する。
図5はCPU201が再生アプリケーションプログラムに従って実行する再生処理を示すフローチャートである。スマートフォン200Aの近距離無線通信部207がクレードル100Aの近距離無線通信部103との間に無線リンクを確立すると、CPU201は、
図5に示す再生処理を開始する。まず、CPU201は、スマートフォン200Aがクレードル100Aの給電領域102に配置されているか否かを判断する(ステップS10)。この判断は、例えば無線充電部208内の2次側コイルに発生する交流電圧のピークレベルを閾値と比較することにより行うことが可能である。ステップS10の判断結果が「NO」である場合、CPU201は、ステップS10の判断を繰り返す。ステップS10の判断結果が「YES」である場合、CPU201の処理は、ステップS12に進む。
【0030】
次にステップS12に進むと、CPU201は、近距離無線通信部207によりクレードル100Aに給電指令を送信する。クレードル100AのCPU131は、この給電指令を近距離無線通信部103により受信すると、無線給電部133の1次側コイルに流す電流を増加し、スマートフォン200Aの無線充電部208に供給する交流電力を増加する。これによりクレードル100Aによるスマートフォン200Aの無線充電が開始される。
【0031】
次にステップS20に進むと、CPU201は、タッチパネル205に楽曲選択を受け付けるためのメニューを表示する。次にステップS22に進むと、CPU201は、楽曲が選択されたか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合、CPU201は、ステップS22の判断を繰り返す。ステップS22の判断結果が「YES」になると、CPU201の処理はステップS30に進む。
【0032】
次にステップS30に進むと、CPU201は、ユーザによって選択された楽曲の音信号ファイルに対応するレコード盤の画像をタッチパネル205に表示する。本実施形態において、CPU201によって再生される音信号は、記憶部202内の音信号ファイルに記憶されている。しかしながら、本実施形態は、レコードプレーヤに近い操作感をユーザに与えることを目的としている。そこで、CPU201は、ステップS30において、音信号が記録された記録媒体の画像として、レコード盤の画像をタッチパネル205に表示する。なお、記録媒体の画像は、レコード盤の形状を模したドーナツ状の図形等であってもよい。
【0033】
図6はタッチパネル205にレコード盤400の画像が表示された状態を例示する平面図である。レコード盤400の画像は、レコード盤400の中心Qと、レコード盤400の最外周レコード溝Cstと、レコード盤400の最内周レコード溝Cenの各画像を含む。ここで、レコード盤400の半径方向における最外周レコード溝Cstと最内周レコード溝Cenとの間の距離は、音信号ファイルに格納された音信号の総時間長に対応している。
【0034】
次にステップS44に進むと、CPU201は、タッチパネル205の画面に接触操作部114が接触したか否かを判断する。この判断結果が「NO」である場合、CPU201の処理はステップS48に進み、「YES」である場合、CPU201の処理はステップS46に進む。次にステップS48に進むと、CPU201はタイムアウトが発生したか否か、すなわち、ステップS44の判断結果が「NO」となる状態が所定時間以上継続したか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合、CPU201の処理はステップS44に戻り、「YES」の場合、CPU201の処理はステップS20に戻る。
【0035】
ステップS44の判断結果が「YES」となってステップS46に進むと、CPU201は、タッチパネル205における接触操作部114の接触位置を検出する。次にステップS50に進むと、CPU201は、接触位置に対応した再生開始位置から音信号の再生を開始する。
【0036】
ここで、
図7を参照し、ステップS50の処理について説明する。上述したように、レコード盤400の半径方向における最外周レコード溝Cstと最内周レコード溝Cenとの間の距離L1は、音信号ファイルに格納された音信号の総時間長Tに対応している。そこで、CPU201は、タッチパネル205に表示されたレコード盤400の画像において、接触位置Pが属するレコード溝から最外周レコード溝Cstまでの半径方向の距離L2を求める。そして、CPU201は、音信号ファイル内の音信号において先頭からL2・T/L1だけ進んだ位置を再生開始位置とする。
【0037】
次にステップS52に進むと、CPU201は、音信号ファイル内の音信号において現在の再生位置から始まる所定時間分の音信号を再生し、近距離無線通信部207によりクレードル100Aに送信する。この音信号はクレードル100の近距離無線通信部103によって受信され、音出力部104により放音される。このステップS52が実行されることにより時間軸上において再生位置が所定時間だけ進む。
【0038】
次にステップS56に進むと、CPU201は、再生位置が再生終了位置に到達したか否かを判断する。ここで、再生終了位置とは、音信号ファイル内の音信号における最後尾の位置である。この判断結果が「NO」である場合、CPU201の処理はステップS58に進み、「YES」の場合、CPU201は、再生停止処理(不図示)をして、ステップS20に戻る。
【0039】
次にステップS58に進むと、CPU201は、タッチパネル205の画面から接触操作部114が離れたか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合、CPU201の処理はステップS52に戻り、「YES」の場合、CPU201の処理はステップS60に進む。
【0040】
従って、接触操作部114がタッチパネル205の画面に接触してから再生位置が再生終了位置に到達するまでの間、あるいは接触操作部114がタッチパネル205の画面から離れるまでの間、音信号の再生(ステップS52)が繰り返される。
【0041】
次にステップS60に進むと、CPU201は、音信号ファイル内の音信号の再生を停止する。そして、CPU201の処理は、ステップS44に戻る。
【0042】
次にユーザが接触操作部114をタッチパネル205の画面から離し、ステップS48においてタイムアウトが発生する前に接触操作部114をタッチパネル205の画面に接触させたとする。この場合、ステップS58の判断結果が「YES」となることにより、CPU201の処理は、ステップS60を介してステップS44に進む。そして、ステップS48においてタイムアウトが発生する前にステップS44の判断結果が「YES」となり、CPU201はタッチパネル205における接触操作部114の接触位置を検出する(ステップS46)。そして、CPU201は、接触位置に対応した位置を再生開始位置とし(ステップS50)、音信号ファイル内において再生開始位置から始まる音信号を継続的に再生する。
【0043】
ユーザが再び接触操作部114をタッチパネル205の画面から離し、その後、タイムアウト発生前に接触操作部114をタッチパネル205の画面に接触させた場合も同様な処理が行われる。従って、ユーザは、接触操作部114をタッチパネル205の画面の異なる位置に接触させる操作を繰り返すことにより、音信号ファイル内において、複数の異なる再生位置から音信号を再生することができる。
【0044】
次に再生位置が再生終了位置に到達すると、ステップS56の判断結果が「YES」となり、CPU201は、再生停止処理(不図示)をして、楽曲選択の受け付け(ステップS20)に戻る。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、携帯情報端末であるスマートフォン200Aは、タッチパネル205を有し、接触操作装置であるクレードル100Aは、タッチパネル205に接触する接触操作部114を先端に有するアーム111と、アーム111を支持する支持部であって、接触操作部114を水平方向に移動させるようにアーム111を運動させる第1支持機構である第1軸121と、接触操作部114を上下方向に移動させるようにアーム111を運動させる第2支持機構である第2軸122とを有する支持部120とを有する。そして、スマートフォン200Aは、音信号が記録された記録媒体であるレコード盤400の画像をタッチパネル205に表示し、レコード盤400の画像を表示したタッチパネル205に接触操作部114が接触した場合に、タッチパネル205に表示された画像における接触操作部114の接触位置に基づいて、音信号の再生開始位置を決定し、当該再生開始位置から音信号の再生を開始する。従って、本実施形態によれば、レコードプレーヤに近い操作感をユーザに与えることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、スマートフォン200Aは、接触操作部114がタッチパネル205に接触している間、音信号の再生を継続する。従って、この点においても、レコードプレーヤに近い操作感をユーザに与えることができる。
【0047】
<第2実施形態>
図8はこの発明の第2実施形態である再生システム300Bにおけるクレードル100Bの電気的構成を示すブロック図である。
【0048】
図8に示すように、クレードル100Bは、上記第1実施形態のクレードル100Aに対して、水平駆動部135と垂直駆動部136とを追加した構成となっている。ここで、水平駆動部135は、
図1におけるアーム111を第1軸121廻りに旋回させ、接触操作部114を水平方向に移動させるモータを含む。また、垂直駆動部136は、
図1におけるアーム111を第2軸122廻りに旋回させ、接触操作部114を上下方向に移動させるモータを含む。近距離無線通信部103は、アーム111に関する駆動指令をスマートフォン200Aから受信する。CPU131は、この駆動指令に従って、水平駆動部135と垂直駆動部136とを制御することによりアーム111を駆動し、接触操作部114を移動させる。
【0049】
再生システム300Bは、上記第1実施形態において示したものと同じ構成のスマートフォン200Aを含む。本実施形態におけるスマートフォン200Aは、上記第1実施形態と同様の機能を有する他、2つの追加機能を有する。第1の追加機能は、タッチパネル205における接触操作部114の接触位置を再生位置に追従させる機能である。第2の追加機能は、音信号ファイル内の音信号の再生が終了した場合に接触操作部114をタッチパネル205から持ち上げ、アーム111をレスト部118に移動させる機能である。
【0050】
図9は本実施形態においてスマートフォン200AのCPU201が再生アプリケーションプログラムに従って実行する再生処理のフローチャートである。本実施形態では、上記第1実施形態の再生処理(
図5参照)におけるステップS30の後にステップS32が追加され、ステップS52の後にステップS54が追加され、ステップS56の判断結果が「YES」になった場合の処理としてステップS62が追加されている。
【0051】
本実施形態では、CPU201は、タッチパネル205にレコード盤の画像を表示(ステップS30)した後、クレードル100Bとのネゴシエーションを行う(ステップS32)。このネゴシエーションにおいて、CPU201は、タッチパネル205に表示されたレコード盤の最外周レコード溝Cstの半径、最内周レコード溝Cenの半径および音信号ファイル内の音信号の総時間長Tを示す情報を近距離無線通信部207によりクレードル100Bに送信する。
【0052】
そして、所定時間に亙って音信号を再生するステップS52の処理が終了すると、CPU201は、タッチパネル205における接触操作部114の接触位置を再生位置に追従させる制御を行う(ステップS54)。具体的には、このステップS54においてCPU202は、再生位置を伴った駆動指令を近距離無線通信部207によりクレードル100Bに送信する。
【0053】
クレードル100BのCPU131は、近距離無線通信部103により再生位置および駆動指令を受信すると、再生位置に対応した位置に接触操作部114の接触位置を移動させる制御を行う。
【0054】
さらに詳述すると、CPU131は、ステップS32において受信したレコード盤の最外周レコード溝Cstの半径を示す情報に基づき、接触操作部114の位置を最外周レコード溝Cstの位置に到達させるために必要なアーム111の回転角度θ1(例えばレスト部118からの回転角度)を求める。
【0055】
次いでCPU131は、接触操作部114の位置を再生位置に対応した位置に到達させるための追加の回転角度θ2を求める。具体的には、音信号の総時間長をT、再生位置をt、最外周レコード溝Cstの半径と最内周レコード溝Cenの半径との差分をLDとした場合、CPU201は、最外周レコード溝Cstから距離LD・t/Tだけ半径方向に移動したレコード溝(略円形の溝)を求め、接触操作部114の位置をこのレコード溝の位置に到達させるための追加の回転角度θ2を求める。そして、CPU131は、アーム111の回転角度をθ1+θ2とする水平駆動を水平駆動部135に実行させる。
【0056】
また、本実施形態では、再生位置が再生終了位置に到達し、ステップS56の判断結果が「YES」となった場合に、CPU201の処理はステップS62に進む。このステップS62において、CPU201は、音信号の再生を停止し、初期位置復帰の駆動指令を近距離無線通信部207によりクレードル100Bに送信する。
【0057】
クレードル100BのCPU131は、近距離無線通信部103により初期位置復帰の駆動指令を受信すると、垂直駆動部136によりアーム111を垂直駆動して接触操作部114をタッチパネル205から離す。次いでCPU131は、水平駆動部135によりアーム111を水平駆動してアーム111をレスト部118の上方に移動させる。次いでCPU131は、垂直駆動部136によりアーム111を垂直駆動してアーム111をレスト部118の上に載せる。
【0058】
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態によれば、接触操作装置であるクレードル100Bは、スマートフォン200Aから駆動指令を受信する近距離無線通信部103と、駆動指令に従ってアーム111を駆動することにより接触操作部114を移動させる水平駆動部135および垂直駆動部136と、を有し、スマートフォン200Aは、タッチパネル205における接触操作部114の接触位置を音信号の再生位置に追従させる駆動指令をクレードル100Bに送信する。従って、本実施形態によれば、タッチパネル205における接触操作部114の接触位置が音信号の再生位置に追従し、この点においてもレコードプレーヤに近い操作感をユーザに与えることができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、スマートフォン200Aは、音信号の再生位置が再生終了位置に到達した場合に、アーム111をレスト部118に移動させる駆動指令をクレードル100Bに送信し、クレードル100Bはアーム111をレスト部118に移動させる。従って、再生システム300Bの利便性を向上させることができる。
【0060】
<第3実施形態>
図10はこの発明の第3実施形態である再生システム300Cの構成を示す平面図である。なお、
図10において、上記第1実施形態(
図1)の各部と対応する部分には共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
再生システム300Cのクレードル100Cにおいて、ベース101の一長辺の近傍には、レール109が設けられている。このレール109には、アーム111を支持する支持部120が支持されている。支持部120は、レール109に沿って摺動可能である。上記第1実施形態と同様、支持部120は、第2軸122を有している。アーム111は、この第2軸122廻りに旋回可能である。従って、支持部120は、接触操作部114を水平方向に移動させるようにアーム111を運動させる第1支持機構と、接触操作部114を上下方向に移動させるようにアーム11を運動させる第2支持機構として機能する。ピックアップ112の下面には、接触操作部114の他、操作対象検出部137が取り付けられている。ここで、操作対象検出部137は、例えばスマートフォン200Aのタッチパネル205を撮影するカメラである。
【0062】
図11は再生システム300Cにおけるクレードル100Cの電気的構成を示すブロック図である。このクレードル100Cでは、上記第2実施形態(
図8)のクレードル100Bに対し、操作対象検出部137が追加され、かつ、クレードル100Bの水平駆動部135が水平駆動部135aに置き換えられている。この水平駆動部135aは、アーム111を支持する支持部120をレール109に沿って移動させるモータを含む。
【0063】
再生システム300Cは、上記第1実施形態において示したものと同じ構成のスマートフォン200Aを含む。上記第2実施形態と同様、本実施形態におけるスマートフォン200Aは、タッチパネル205における接触操作部114の接触位置を再生位置に追従させる機能と、音信号ファイル内の音信号の再生が終了した場合に接触操作部114をタッチパネル205から持ち上げ、アーム111をレスト部118に移動させる機能とを有する。また、本実施形態におけるスマートフォン200Aは、さらに2つの追加機能を有する。第1の追加機能は、タッチパネル205に対する操作に応じて音信号の再生を開始し、かつ、接触操作部114を再生開始位置に対応した位置に移動させて接触させる機能である。第2の追加機能は、タッチパネル205に対する操作に応じて音信号の再生を停止し、アーム111をレスト部118に移動させる機能である。
【0064】
図12は本実施形態においてスマートフォン200AのCPU201が再生アプリケーションプログラムに従って実行する再生処理のフローチャートである。本実施形態では、上記第2実施形態の再生処理(
図9参照)において、ステップS20がステップS20aに置き換えられ、ステップS44、S46およびS48がステップS40に置き換えられ、ステップS58がステップS58aに置き換えられている。
【0065】
本実施形態において、CPU201は、ステップS20aにおいて、楽曲の選択を受け付ける際に再生開始位置の選択も受け付ける。具体的には、選択した楽曲の音信号ファイルが複数曲の音信号を含む場合に、CPU201は、それら複数曲のうち所望の曲の選択を受け付け、その曲の音信号の再生開始位置を求める。
【0066】
また、CPU201は、ステップS40において、ステップS20aにおいて選択された再生開始位置を伴った駆動指令を近距離無線通信部207によりクレードル100Cに送信する。
【0067】
クレードル100CのCPU131は、近距離無線通信部103により再生開始位置および駆動指令を受信すると、再生開始位置に対応した位置に接触操作部114を移動させる制御を行う。具体的には、CPU131は、アーム111をレール108に沿って移動させつつ操作対象検出部137によりタッチパネル205を撮像する。そして、CPU131は、操作対象検出部137の撮像結果に基づき、接触操作部114の位置が最外周レコード溝Cstの位置を通過し、再生開始位置に対応した位置に到達したことを検知したとき、アーム111の水平駆動を停止し、アーム111を垂直駆動して接触操作部114をタッチパネル205に接触させる。
【0068】
また、CPU201は、ステップS58aにおいて、停止操作が行われたか否かを判断する。この停止操作は、スマートフォン200Aのタッチパネル205に表示された停止指示アイコンに対して行われる接触操作である。このステップS58aの判断結果が「YES」である場合、上記第2実施形態と同様、CPU201は、音信号の再生を停止し、初期位置復帰の駆動指令を近距離無線通信部207によりクレードル100Bに送信する。
【0069】
クレードル100BのCPU131は、近距離無線通信部103により初期位置復帰の駆動指令を受信すると、垂直駆動部136および水平駆動部135aを制御することによりアーム111を移動させ、レスト部118の上に載せる。
【0070】
本実施形態においても、上記第2実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態によれば、スマートフォン200Aは、音信号の選択を受け付けると、音信号が記録されたレコード盤の画像をタッチパネル205に表示し、タッチパネル205の画面において音信号の再生開始位置に対応した位置に接触操作部114を接触させる駆動指令をクレードル100Cに送信する。従って、タッチパネル205の画面において再生開始位置に対応した位置に接触操作部114が接触するとともに、音信号の再生が開始される。従って、再生システム300Cの利便性を向上させることができる。
【0071】
<他の実施形態>
以上、この発明の各実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
【0072】
(1)上記第1~第3実施形態において、スマートフォン200Aと同じ平面形状およびサイズを有する凹部をベース101に設け、この凹部にスマートフォン200Aを収容して無線給電を行うようにしてもよい。この場合、凹部の中心は給電領域102の中心と一致し、かつ、アーム111が水平移動したときに接触操作部114が描く軌跡上に凹部の中心が位置することが好ましい。
【0073】
(2)上記第1~第3実施形態では、無線給電機能を有するクレードルを接触操作装置として再生システムに設けたが、無線給電機能を有しない接触操作装置を再生システムに設けてもよい。この場合において、接触操作装置は、ベース101がなく、支持部120を机や画面部分が大きい携帯情報端末(タブレットなど)そのものに固定して使用する構成のものであってもよい。
【0074】
(3)上記第2および第3実施形態では、再生位置を伴う駆動指令をスマートフォンからクレードルに送信することにより、接触操作部114の接触位置を音信号の再生位置に追従させた。しかし、そのようにする代わりに、クレードルが、接触操作部114をタッチパネル205に接触させた後、接触操作部114の接触位置を一定速度でレコード盤の中心に向けて移動させてもよい。この場合の一定速度は、音信号のソースとして想定しているレコード盤の回転速度に基づいて決定すればよい。
【0075】
(4)上記第1実施形態において、スマートフォン200Aは、タッチパネル205に丁度収まる大きさのレコード盤400の画像をタッチパネル205に表示した。しかし、タッチパネル205に表示するレコード盤400のサイズは任意であり、例えばユーザに指定させてもよい。
【0076】
(5)上記第1~第3実施形態において、無線給電は音信号の再生に必須のものではない。そこで、上記第1~第3実施形態において、再生処理を
図13のフローチャートのように変更してもよい。この態様では、ステップS10の判断結果が「NO」になった場合にステップS11に進み、CPU201はタイムアウトが発生したか否か、すなわち、ステップS10の判断結果が「NO」となる状態が所定時間以上継続したか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合、CPU201の処理はステップS10に戻り、「YES」の場合、CPU201の処理はステップS20に進む。この態様では、このように所定時間以上に亙って給電領域にスマートフォンが設置されない場合や無線給電機能を有しない接触操作装置にスマートフォンが設置された場合に、給電を行うことなく、音信号の再生のための処理が開始される。また、無線給電機能を有するクレードルに無線充電機能を有しないスマートフォンが配置される場合も考えられる。この場合、無線充電機能を有しないスマートフォンでは、
図5、
図9および
図12におけるステップS10、S12の処理(
図13の場合はステップS10、S11、S12の処理)を省略すればよい。この場合も、給電を行うことなく、音信号の再生のための処理が開始される。
【0077】
(6)上記第1および第2実施形態では、ユーザがアーム111を操作可能なので、タッチパネル205における接触操作部114の接触位置が音信号の再生中に移動することがあり得る。そして、上記第1および第2実施形態において、ユーザは、音信号の再生中に、再生位置を所望の位置に変更したい場合に、タッチパネル205から接触操作部114を一旦離して、タッチパネル205における接触操作部114の接触位置を移動させた。ここで、レコードプレーヤを使用する場合には、レコード盤を傷つけないように、レコード針をレコード盤から一旦離して、レコード盤におけるレコード針の接触位置を移動させる。しかしながら、上記第1および第2実施形態では、レコード盤の画像を表示したタッチパネル205に接触操作部114を接触させる。従って、接触操作部114をタッチパネル205に接触させたまま接触位置を移動させてもタッチパネル205が傷つくといった問題は生じない。そこで、上記第1および第2実施形態の再生処理において、接触操作部114がタッチパネル205から離れた場合の他、ユーザの操作によって接触操作部114の接触位置が移動した場合に、移動後の接触位置に対応した位置から音信号の再生を行うようにしてもよい。
【0078】
具体的には、上記第1実施形態の再生処理(
図5)および上記第2実施形態の再生処理(
図9)を
図14のフローチャートのように変更する。この態様では、ステップS57およびS61が上記第1および第2実施形態の再生処理に対して追加されている。
【0079】
ステップS57において、CPU201は、タッチパネル205における接触操作部114の接触位置の移動速度が閾値以上か否かを判断する。ここで、閾値とは、例えばレコード盤が所定の回転速度(例えば33rpm、45rpm等)で回転する場合におけるレコード盤の半径方向のレコード針の移動速度より大きな所定の値である。この判断結果が「YES」である場合、CPU201は、接触操作部114がユーザの操作によって移動したとみなし、ステップS61の処理に進む。
【0080】
次にステップS61に進むと、CPU201は、音信号の再生を停止し、所定時間待機する。ここで、所定時間とは、ユーザがタッチパネル205における接触操作部114の接触位置を所望の位置に移動させるのに要すると考えられる時間である。ステップS61が終了すると、CPU201の処理はステップS44に進む。以降、上記第1実施形態または上記第2実施形態と同様な処理が行われ、移動後の接触位置に対応した再生開始位置から音信号の再生が開始される(
図5、
図9参照)。この態様では、ユーザはアーム111を動かすことで、音信号の再生中でも再生箇所を自由に変更することができる。
【符号の説明】
【0081】
300A,300B,300C……再生システム、100A,100B,100C……クレードル、200A……スマートフォン、111……アーム、112……ピックアップ、113……ハンドル、114……接触操作部、116……カウンタウェイト、118……レスト部、120……支持部、121……第1軸、122……第2軸、101……ベース、102……給電領域、103,207……近距離無線通信部、104.204……音出力部、133……無線給電部、131,201……CPU、132,202……記憶部、205……タッチパネル、203……音入力部、206……無線通信部、208……無線充電部、209……バッテリ、135,135a……水平駆動部、136……垂直駆動部、137……操作対象検出部。