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特開2023-176225活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176225
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/14 20060101AFI20231206BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20231206BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20231206BHJP
【FI】
C09J175/14
C09J4/00
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088393
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003034
【氏名又は名称】東亞合成株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大房 一樹
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AA14
4J004AB01
4J004AB06
4J004BA02
4J004DB02
4J004FA05
4J040EF181
4J040FA011
4J040FA132
4J040HB41
4J040HD30
4J040HD36
4J040JA09
4J040JB07
4J040JB09
4J040KA13
4J040KA15
4J040KA19
4J040KA23
4J040KA31
4J040LA01
4J040MA05
4J040MB05
4J040NA12
4J040NA15
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】低積算光量の照射条件においても硬化性に優れ、得られる硬化膜の粘着力、耐候性(耐光性や耐水性)に優れ、かつ低臭気な活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の提供。
【解決手段】下記(A)、(B)及び(C)成分を必須成分として含有する活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
・(A)成分:重量平均分子量が10,000~100,000のウレタン(メタ)アクリレート
・(B)成分:1個のエチレン性不飽和基を有する化合物であり、(メタ)アクリルアミド以外の化合物であって、少なくとも下記(b1)成分を含む化合物
(b1)成分:1個のエチレン性不飽和基と芳香環又は脂環式構造を有する化合物
・(C)成分:(C-1)アシルホスフィンオキサイド系化合物を除く、分子量300以上の光重合開始剤又は/及び(C-2)アシルホスフィンオキサイド系化合物を必須成分として含む光重合開始剤
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)、(B)及び(C)成分を必須成分として含有する活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
・(A)成分:重量平均分子量が10,000~100,000のウレタン(メタ)アクリレート
・(B)成分:1個のエチレン性不飽和基を有する化合物であり、(メタ)アクリルアミド以外の化合物であって、少なくとも下記(b1)成分を含む化合物
(b1)成分:1個のエチレン性不飽和基と芳香環又は脂環式構造を有する化合物
・(C)成分:(C-1)アシルホスフィンオキサイド系化合物を除く、分子量300以上の光重合開始剤又は/及び(C-2)アシルホスフィンオキサイド系化合物を必須成分として含む光重合開始剤
【請求項2】
前記(A)成分が、ポリエステル構造を有するウレタン(メタ)アクリレートである請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
【請求項3】
前記(A)成分が、下記化合物(a)、(b)、及び(c)の反応物であり、化合物(b)として少なくとも一つのポリエステルポリオールを使用して得られた反応物である請求項2に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
・化合物(a):1分子中にイソシアネート基を2個有する化合物
・化合物(b):ジオール
・化合物(c):水酸基含有(メタ)アクリレート
【請求項4】
前記(B)成分が、(b2)1個のエチレン性不飽和基と水酸基を有する化合物を含む請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
【請求項5】
前記(A)、及び(B)成分の合計量100重量%中に、(A)成分を5~50重量%、(B)成分を50~95重量%含み、(A)、及び(B)成分の合計量100重量部に対して、前記(C)成分を0.1~15重量部含む請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
【請求項6】
さらに、下記(D)成分を含む請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
・(D)成分:前記(A)成分以外のエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物
【請求項7】
前記(A)、(B)、及び(D)成分の合計量100重量%中に、(A)成分を5~50重量%、(B)成分を50~95重量%、(D)成分を0~20重量%含み、(A)、(B)、及び(D)成分の合計量100重量部に対して、前記(C)成分を0.1~15重量部含む請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
【請求項8】
組成物の硬化膜が、膜厚40μmであって、基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム、被着体としてガラス板を用いた時、23℃、50%RHの条件における180°剥離強度(剥離速度:300mm/min)が1~50N/25mmである請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
【請求項9】
基材と、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の組成物の活性エネルギー線硬化膜からなる粘着剤層から構成される粘着フィルム又はシート。
【請求項10】
基材に、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の組成物を塗工した後、活性エネルギー線を照射する粘着フィルム又はシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に関し、粘着ラベル、粘着テープ及び特殊粘着フィルム等の種々の用途に使用可能であり、これら技術分野に属する。
尚、本明細書においては、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表し、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
又、本明細書において、「単官能」とは、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基を1個有する化合物を意味し、「多官能」とは、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を意味する。
【背景技術】
【0002】
粘着剤は、貼付した後に剥離できる機能を生かして、各種ラベル及びテープ等に使用されている。粘着剤は、その形態によって、溶剤型粘着剤、エマルション型粘着剤、及び無溶剤型粘着剤等に大別されるが、使用溶剤やエネルギーコスト削減の点から、無溶剤型粘着剤の一種である活性エネルギー線硬化型粘着剤に注目が集まっている。
活性エネルギー線硬化型粘着剤は、溶剤型粘着剤やエマルション型粘着剤とは異なり、粘着剤層を形成する際に、溶剤や水等の溶媒を除去する工程を要しないという特長があることから、近年、環境対応型粘着剤として、画像表示装置、家電製品、情報機器、自動車内外装部材、建材、及びラベル等の様々な分野で使用されている。
【0003】
活性エネルギー線硬化型粘着剤としては、(メタ)アクリル系ポリマーを主成分とする粘着剤が知られている。当該粘着剤は、粘度を低減させるため、多くの場合、有機溶剤を含む組成物であり、組成物を基材へ塗布して粘着剤層を形成する際に、乾燥により有機溶剤を除去する必要がある。
しかしながら、硬化膜である粘着剤層中の残存有機溶剤をゼロとすることは困難であったため、粘着テープとしての使用に際し臭気や安全性の点で問題があったことから、無溶剤型の組成物が求められている。
【0004】
無溶剤型の組成物として、ドライレジンである(メタ)アクリル系ポリマー、エチレン性不飽和基を1個有する不飽和モノマー(以下、「単官能モノマー」という)及び多官能(メタ)アクリレートからなる組成物が開示されている(特許文献1)。
しかしながら、離型フィルムにより塗膜をラミネートして空気遮断下の紫外線照射を行ったとしても、塗膜中の溶存酸素による重合阻害の影響で硬化性が低下し、硬化膜の粘着剤層中には未反応の単官能モノマーが残存するため、粘着テープとしての使用に際し臭気や安全性の点で問題があった。
【0005】
又、ウレタン(メタ)アクリレート等のアクリル系オリゴマーを主成分とした無溶剤型の組成物も知られている。
特許文献2には、ウレタン(メタ)アクリレート(A)、(メタ)アクリル単量体(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する紫外線硬化型粘着剤用樹脂組成物であって、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の(メタ)アクリロイル基の当量が、8,000~17,000の範囲である紫外線硬化型粘着剤用樹脂組成物が開示されている。同文献の組成物は、前記(メタ)アクリル単量体(B)が、ガラス転移温度(以下、「Tg」という)が15℃以下のホモポリマーを形成可能な(メタ)アクリル単量体の1種以上と、Tgが15℃より高いホモポリマーを形成可能な窒素原子を有する(メタ)アクリル単量体の1種以上との混合物であることが好ましいことが開示されている。
しかし、Tgが15℃より高いホモポリマーを形成可能な窒素原子を有する(メタ)アクリル単量体は、アクリルアミド化合物が一般的であるが、当該化合物は親水性が高いため、硬化膜が接着後の耐候性(耐光性や耐水性)が低下してしまうという問題があった。
【0006】
特許文献3には、ウレタン(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和単量体を含む活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が開示されている。
この組成物は親水性が低く、耐候性(耐光性や耐水性)には優れるが、一方で硬化後に光重合開始剤の分解残渣由来の臭気が問題となる問題があった。
又、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物においては、生産性向上の目的で、高ラインスピードとすることがある。この場合、活性エネルギー線の照射時間を短くする必要があり、低積算光量(低エネルギー)の照射条件で活性エネルギー線を照射するため、硬化性が不十分となる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-217674号公報
【特許文献2】特開2014-5368号公報
【特許文献3】特開2003-155455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、低積算光量の照射条件においても硬化性に優れ、得られる硬化膜の粘着力、耐候性(耐光性や耐水性)に優れ、かつ低臭気な活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を見出すため鋭意検討を行ったのである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するためには、特定の重量平均分子量を有するウレタン(メタ)アクリレート、特定の単官能不飽和化合物、及び特定の光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が、低積算光量の照射条件においても硬化性に優れ、得られる硬化膜の粘着力、耐候性(耐光性や耐水性)に優れ、かつ低臭気なことを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の組成物によれば、低積算光量の照射条件においても硬化性に優れ、得られる硬化膜の粘着力、耐候性(耐光性や耐水性)に優れ、かつ低臭気な活性エネルギー線硬化型粘着剤とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、下記(A)、(B)及び(C)成分を必須成分として含有する活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(以下、単に「組成物」ということもある)に関する。
・(A)成分:重量平均分子量が10,000~100,000のウレタン(メタ)アクリレート
・(B)成分:1個のエチレン性不飽和基を有する化合物であり、(メタ)アクリルアミド以外の化合物であって、少なくとも下記(b1)成分を含む化合物
(b1)成分:1個のエチレン性不飽和基と芳香環又は脂環式構造を有する化合物
・(C)成分:(C-1) アシルホスフィンオキサイド系化合物を除く、分子量300以上の光重合開始剤又は/及び(C-2)アシルホスフィンオキサイド系化合物を必須成分として含む光重合開始剤
【0012】
前記(A)成分としては、ポリエステル構造を有するウレタン(メタ)アクリレートが好ましく、さらに、下記化合物(a)、(b)、及び(c)の反応物であり、化合物(b)として少なくとも一つのポリエステルポリオールを使用して得られた反応物が好ましい。
・化合物(a):1分子中にイソシアネート基を2個有する化合物
・化合物(b):ジオール
・化合物(c):水酸基含有(メタ)アクリレート
【0013】
前記(B)成分としては、(b2)1個のエチレン性不飽和基と水酸基を有する化合物を含むものが好ましい。
【0014】
本発明の組成物としては、前記(A)、及び(B)成分の合計量100重量%中に、(A)成分を5~50重量%、(B)成分を50~95重量%含み、(A)、及び(B)成分の合計量100重量部に対して、前記(C)成分を0.1~15重量部含むものが好ましい。
【0015】
本発明の組成物としては、さらに、下記(D)成分を含むものが好ましい。
・(D)成分:前記(A)成分以外のエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物
この場合の組成物としては、前記(A)、(B)、及び(D)成分の合計量100重量%中に、(A)成分を5~50重量%、(B)成分を50~95重量%、(D)成分を0~20重量%含み、(A)、(B)、及び(D)成分の合計量100重量部に対して、前記(C)成分を0.1~15重量部を含むものが好ましい。
【0016】
本発明においては、組成物の硬化膜が、膜厚40μmであって、基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム、被着体としてガラス板を用いた時、23℃、50%RHの条件における180°剥離強度(剥離速度:300mm/min)が1~50N/25mmであるものが好ましい。
【0017】
本発明は、基材と、前記組成物の活性エネルギー線硬化膜からなる粘着剤層から構成される粘着フィルム又はシートにも関する。
又、本発明は、基材に、前記の組成物を塗工した後、活性エネルギー線を照射する粘着フィルム又はシートの製造方法にも関する。
【0018】
以下、(A)、(B)、(C)、(D)成分、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物及び用途について説明する。
尚、本発明において、硬化性成分とは、活性エネルギー線により硬化する成分であり、(A)成分及び(B)成分を意味し、後記する(D)成分を配合する場合は、(A)成分、(B)成分及び(D)成分を意味する。
【0019】
1.(A)成分
(A)成分は、重量平均分子量(以下、「Mw」という)が10,000~100,000のウレタン(メタ)アクリレートである。
(A)成分を含むことにより、組成物は硬化性に優れ、硬化膜は接着力に優れるものとなる。
(A)成分のMwは、10,000~100,000である必要があり、20,000~60,000であることが好ましい。
(A)成分のMwが10,000に満たないと、架橋密度が過剰に高くなるため十分な粘着力を得ることができず、一方、100,000を超過すると、粘度が高くなり過ぎて塗工性が悪化してしまう。
本発明におけるMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
【0020】
(A)成分としては、下記化合物(a)、(b)、及び(c)を反応させて得られる化合物が好ましい。
・化合物(a):1分子中にイソシアネート基を2個有する化合物
・化合物(b):ジオール
・化合物(c):水酸基含有(メタ)アクリレート
以下、(A)成分の原料化合物である、化合物(a)~(c)について説明し、(A)成分の製造方法について説明する。
【0021】
1-1.化合物(a)
化合物(a)としては、1分子中にイソシアネート基を2個有する化合物であれば種々の化合物を使用することができる。
化合物(a)の具体例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びトリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;
水添トリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシリレンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω’-ジイソシアネートジメチルシクロヘキサン、3-イソシアネートエチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、及び3-イソシアネートエチル-3,5,5-トリエチルシクロヘキシルイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;並びに、
ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0022】
1-2.化合物(b)
化合物(b)としては、低分子量ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0023】
低分子量ポリオールとしては、例えば、分子量50~300程度の水酸基を少なくとも2個有するポリオールが挙げられ、具体例として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、及びヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
【0024】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、オキシアルキレン単位を3個以上有するポリアルキレングリコールが挙げられ、具体例として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、カーボネートとジオールとの反応生成物が挙げられる。カーボネートとして具体的には、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート、並びにジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート等が挙げられる。ジオールとしては、前記した低分子量ポリオールが挙げられる。
【0025】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、これら低分子量ポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジカルボン酸とのエステル化反応物が挙げられる。
ジカルボン酸としては、種々の化合物が使用でき、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸及びダイマー酸等が挙げられる。
【0026】
本発明の(A)成分としては、ポリエステル構造を有するウレタン(メタ)アクリレートが好ましく、よって、化合物(b)としては、前記した化合物の中でも、ポリエステルジオールが好ましい。ポリエステル構造を有するウレタン(メタ)アクリレートによれば、得られたる組成物の粘着層の凝集力及び柔軟性に優れるものとすることができる。
さらに、本発明の化合物(b)としては、前記した化合物の中でも、水酸基価が28~225mgKOH/gであるポリエステルジオール〔以下、「化合物(b1)」という〕が好ましい。
化合物(b1)の水酸基価としては、37~115mgKOH/gが好ましい。
この値を28mgKOH/g以上にすることで、粘着層の凝集力を充分なものとすることができ、225mgKOH/g以下にすることで、粘着層の柔軟性を優れるものとすることができる。
化合物(b1)の原料ジオールとしては、前記したもので良く、それらの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物及びダイマージオール等が好ましい。
【0027】
1-3.化合物(c)
化合物(c)としては、水酸基を有する(メタ)アクリレートであれば種々の化合物を使用することができ、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン(メタ)アクリレート〔以下、「水酸基含有単官能(メタ)アクリレート」という〕、並びにグリセリンのモノ又はジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのモノ又はジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリ、テトラ又はペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性イソシアヌル酸のモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート等の水酸基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「水酸基含有多官能(メタ)アクリレート」という〕等が挙げられる。
前記した化合物の中でも、組成物の硬化性と硬化膜の粘着力に優れるという点で、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0028】
1-4.(A)成分の製造方法
(A)成分は、前記した化合物(a)、(b)及び(c)を反応させて得られる化合物が好ましい。
(A)成分の製造方法としては、常法に従えば良く、化合物(a)、(b)及び(c)を反応させる方法、化合物(a)と化合物(b)を反応させて末端イソシアネートオリゴマーを製造した後、当該化合物のイソシアネート基に化合物(c)の水酸基を反応させる方法、化合物(b)と化合物(c)を混合した混合液に、化合物(a)を加えて反応させる方法等が挙げられる。
(A)成分の製造においては、組成物で配合する(B)成分や(D)成分中で実施しても良い。
得られた(A)成分は、組成物で配合する(B)成分や(D)成分を使用して溶解させても良い。
【0029】
(A)成分の製造においては、鎖延長剤を使用しても良い。
鎖延長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、及びダイマージオール等が挙げられる。
【0030】
本発明において、化合物(a)~(c)の反応割合としては、化合物(a)のイソシアネート基当量数(p)と、化合物(b)及び化合物(c)の合計水酸基当量数(q)の当量比として、(p):(q)は0.8~1.2:1.0であるのが好ましく、より好ましくは0.9~1.1:1.0である。
鎖延長剤を使用する場合も同様に、化合物(a)のイソシアネート基当量数(p)と、化合物(b)、化合物(c)及び鎖延長剤の合計水酸基当量数(q)の当量比として、(p):(q)は0.8~1.2:1.0であるのが好ましく、より好ましくは0.9~1.1:1.0である。
水酸基当量数(q)の1当量に対するイソシアネート基当量数(p)を0.8以上1.2以下にすることで絶縁信頼性に優れるものとすることができる。
【0031】
(A)成分は、従来のウレタン化反応で使用される触媒を使用することができる。ウレタン化触媒としては、具体的には、有機金属化合物及び三級アミン化合物を挙げることができる。
【0032】
有機金属化合物の例としては、有機錫化合物、有機鉄化合物、有機亜鉛化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物及び有機ビスマス化合物等が挙げられる。
有機錫化合物としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセトアセトナート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ラウリン酸スズ及びフェルザチック酸スズ等の錫カルボン酸塩、並びにジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等が挙げられる。
有機チタン化合物としては、テトラブチルチタネート及びテトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル、並びにチタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート化合物等が挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等が挙げられる。
有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート等のジルコニウムキレート化合物等が挙げられる。
有機ビスマス化合物としては、ビスマス-トリス(ネオデカノエート)、ビスマス-トリス(2-エチルヘキソエート)及びオクチル酸ビスマス等が挙げられる。
有機鉄化合物及び有機亜鉛化合物は好ましい化合物であり、後記に詳述する。
【0033】
3級アミン化合物としては、トリエチルアミン等のトリアルキルアミン;テトラメチルエチレンジアミン及びテトラメチルヘキサンジアミン等のテトラアルキルアルキレンジアミン;ペンタメチルジエチレントリアミン等のペンタアルキルジアルキレントリアミン;トリメチルアミノエチルピペラジン及びメチルヒドロキシエチルピペラジン等のピペラジン;ジメチルアミノエトキシエタノール等のジアルキルアミノアルキルアルコール;トリメチルアミノエチルエタノールアミンのトリアルキルアミノアルキルアルコール;1,2-ジメチルイミダゾール等のN-アルキルイミダゾール;ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル;トリエチレンジアミン〔1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)〕;並びに2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミンが挙げられる。
これら以外の例としては、N-メチルモルホリン及び1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7(DBU)等が挙げられる。
【0034】
本発明においては、得られる(A)成分中に触媒に由来する金属分を低減させ、組成物の経時変化を少なくすることができることから、(A)成分として、ウレタン化触媒として有機鉄化合物及び有機亜鉛化合物が好ましく、下記金属下記一般式(1)で表される金属化合物を触媒として使用して製造されたものがより好ましい。
M(X)n ・・・(1)
〔式(1)において、MはFe又はZnを表し、Xは同一又は異なってβ-ジケトン、ハロゲン原子、アシルオキシ基又はアルコキシ基を表し、nは2又は3の整数を表す。〕
これらの金属化合物は、従来のスズ触媒に対して優れた活性を有するため、少ない使用量で目的とする(A)成分を製造することができる。
【0035】
MはFe又はZnを表し、触媒活性により優れる点でFeが好ましい。
Xで表されるβ-ジケトンとしては、例えば、アセチルアセトン、2,4-ヘキサンジオン、3,5-ヘプタンジオン、2-メチルヘキサン-3,5-ジオン、6-メチルヘプタン-2,4-ジオン、2,6-ジメチルヘプタン-3,5-ジオン、4,6-ノナンジオン、2,8-ジメチルノナン-4,6-ジオン、2,2,6,6-テトラメチルヘプタン-3,5-ジオン、トリデカン-6,8-ジオン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸tert-ブチル、プロピオニル酢酸メチル、プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸イソプロピル、プロピオニルtert-ブチル及びヘキサフルオロアセチルアセトン等が挙げられ、これらの中でも、アセチルアセトンが、安価である上ウレタン化反応の活性に優れるため好ましい。
Xで表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子及び臭素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
Xで表されるアシルオキシ基としては、例えば、炭素数3~20のアシルオキシ基が好ましく、具体的には、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、2-エチルヘキサノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基及びオクタデカノイル基等が挙げられる。
Xで表されるアルコキシ基としては、例えば、炭素数1~10のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基及びエトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基及び2-エチルヘキシロキシ基等を挙げることができる。
Xは上記のいずれか1種でも良いし、2種以上の組み合わせでも良い。 これらの中でも、Xとしては、硬化物の電気特性に特に優れたものとなる点でハロゲン原子以外の官能基が好ましく、アセチルアセトン及びヘキサフルオロアセチルアセトンがより好ましく、反応液や組成物への溶解性に優れる点で、特に好ましくはアセチルアセトンである。
【0036】
これらの中でも、下記式(2)で表される鉄のβ-ジケトン錯体が、ウレタン化反応の反応性に特に優れるため好ましい。
Fe(X’)3 ・・・(2)
〔式(2)において、X’はβ-ジケトンを表す。〕
X’で表されるβ-ジケトンとしては、上記のXで表されるβ-ジケトンを選択することが出来る。
【0037】
Xの数を表すnは、2又は3の整数であり、製造安定性が良いため、MがFeの場合はnが3のものが、MがZnの場合はnが2のものが好ましい。
【0038】
金属化合物の具体例としては、Xがβ-ジケトンの場合には、例えば、トリス(アセチルアセトナート)鉄、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)鉄、トリス(テトラフルオロアセチルアセトナート)鉄、ビス(アセチルアセトナート)亜鉛、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)亜鉛、ビス(テトラフルオロアセチルアセトナート)亜鉛等が挙げられる。Xがハロゲン原子の場合は、例えば、塩化第二鉄及び塩化亜鉛等が挙げられる。Xがアシルオキシ基の場合には、例えば、トリス(2-エチルヘキサン酸)鉄、ナフテン酸鉄、ビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛及びナフテン酸亜鉛等が挙げられる。Xがアルコキシ基の場合は、例えば、トリエトキシ鉄、トリイソプロポキシ鉄、ジエトキシ亜鉛及びジイソプロポキシ亜鉛等が挙げられる。
【0039】
これらの中でも、MがFeでありnが3のものが、ウレタン化反応の触媒活性に優れるためより好ましい。具体例としては、トリス(アセチルアセトナート)鉄や塩化第二鉄等を挙げることができ、式(2)で表されるトリス(アセチルアセトナート)鉄が触媒活性に優れるため特に好ましい。
【0040】
(A)成分は、化合物(a)、(b)及び(c)を、前記金属化合物の存在下、必要に応じ反応溶媒の存在下に加熱・攪拌してウレタン化して製造することができる。
この場合、化合物(a)、(b)及び(c)を一括に仕込んで反応させることもでき(以下、「1段反応」という)、化合物(a)及び(b)を反応させてイソシアネート基含有プレポリマーを製造した後、化合物(c)を添加することもできる(以下、「2段反応」という)。
化合物(a)、(b)及び(c)の割合は、前記の通りである
【0041】
尚、本反応により生成する(A)成分の分子量が高くなると反応混合物が高粘度となり、攪拌が困難となる場合があるため、反応成分中に反応溶媒を配合することもできる。
反応溶媒としては、ウレタン化反応に関与しないものが好ましく、例えば、トルエン及びキシレン等の芳香族化合物、並びにジメチルホルムアミド等の有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒を使用する場合の配合量は、(A)成分の粘度等に応じて適宜設定すれば良いが、反応溶液中に0~70重量%となるように設定することが好ましい。
ここで、反応溶液とは、原料化合物のみを使用する場合には、原料化合物の合計量を意味し、原料化合物に加え反応溶媒等を使用する場合は、これらを含めた合計量を意味する。具体的には、化合物(a)、(b)、(c)及び必要に応じ用いる反応溶媒等を合わせた溶液の意味に用いられる。以下同じ。
【0042】
反応溶媒として、上記有機溶媒とともに又は上記有機溶媒に代えて、組成物の成分として使用する(B)成分及びこれら以外の光重合性化合物(これらをまとめて硬化性成分という)を配合することもできる。硬化性成分を配合してウレタン化反応を行い、得られたウレタン(メタ)アクリレートを硬化型組成物に配合した場合、前記有機溶媒を配合する場合と異なり、該組成物を塗布した後、乾燥する必要がないため好ましい。
硬化性成分を反応成分に配合する場合の配合量は、最終的に組成物に配合する硬化性成分の割合に応じて適宜設定すれば良いが、例えば、反応溶液中に10~70重量%、さらに10~50重量%となるように設定することが好ましい。
【0043】
ウレタン化触媒の配合量は、触媒量でよく、例えば、反応溶液に対して、0.01~1,000wtppmが好ましく、より好ましくは0.1~1,000wtppmである。
金属化合物の配合量が、0.01wtppm以上とすることで、ウレタン化反応を好ましく進行させることができ、1,000wtppm以下とすることで、得られる(A)成分の着色を抑制することができる。
【0044】
ウレタン化触媒は、1段反応の場合は、ポリオール、有機ポリイソシアネート及び水酸
基含有(メタ)アクリレートの仕込時に添加し、2段反応の場合は、ポリオール及び有機
ポリイソシアネートの仕込時に添加することができる。
【0045】
ウレタン化反応では、分子量調整の目的で、鎖延伸長剤を少量配合することもできる。
鎖延長剤としては、ウレタン化反応で通常使用されるものを使用することができ、前記した低分子量ポリオールと同様のものを挙げることができる。
【0046】
ウレタン化反応では、原料又は生成物の(メタ)アクリロイル基の重合を防止する目的で、重合禁止剤を使用することが好ましく、さらには含酸素ガスを反応液に導入してもよい。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール、ベンゾキノン、フェノチアジン等の有機系重合禁止剤、塩化銅及び硫酸銅等の無機系重合禁止剤、並びにジブチルジチオカルバミン酸銅等の有機塩系重合禁止剤等が挙げられる。重合禁止剤は、一種を単独で使用しても又は二種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。重合禁止剤の割合としては、反応液中に5~20,000wtppmが好ましく、より好ましくは25~3,000wtppmである。
含酸素ガスとしては、例えば空気、酸素と窒素の混合ガス、酸素とヘリウムの混合ガス等が挙げられる。
【0047】
反応温度は、使用する原料及び目的とする(A)成分の構造や分子量等に応じて適宜設定すれば良いが、通常10~150℃が好ましく、より好ましくは、30~120℃である。反応時間も、使用する原料及び目的とする(A)成分の構造や分子量等に応じて適宜設定すれば良いが、通常1~70時間が好ましく、より好ましくは、2~30時間である。
【0048】
(A)成分は、前記した化合物を1種のみを使用しても、2種以上を併用しても良い。
(A)成分の単独重合体のTg(ガラス転移温度)としては、-80~60℃の範囲であることが好ましく、-60~40℃の範囲であることがより好ましい。
尚、本発明においてTgとは、示差走査熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で測定した値を意味し、△T-温度曲線においてガラス転移温度中間点(Tmg)における値を意味する。
【0049】
2.(B)成分
(B)成分は、1個のエチレン性不飽和基を有する化合物であり、(メタ)アクリルアミド以外の化合物である。
(メタ)アクリルアミドを使用すると、粘着層の耐水性が低下するという問題があり、より具体的には、耐湿熱性試験後に剥がれが生じてしまう。本発明では、(B)成分として当該(メタ)アクリルアミドを含まないことにより、粘着層の耐水性に優れるものとすることができる。
分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル系化合物及びアリル化合物が挙げられる。
【0050】
ビニル系化合物としては、ビニル基を1個有する化合物が挙げられる。具体的には、スチレン、ビニルトルエン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル等のビニルモノマー等が挙げられる。
アリル化合物としては、アリル基を1個有する化合物が挙げられる。具体的には、アリルアルコール等が挙げられる。
【0051】
(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物(以下、単官能(メタ)アクリレートという)が挙げられる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、炭素数12~13のアルキル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート(エチルカルビトール(メタ)アクリレート)、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7-アミノ-3,7-ジメチルオクチル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート;
イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、4-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、
フェニル(メタ)アクリレート、フェノール誘導体の(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、クレゾールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、p-クミルフェノールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、p-フェニルフェノールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、トリブロモフェノールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステルの芳香族(メタ)アクリレートの芳香族(メタ)アクリレート;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール-ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等のカルボン酸含有(メタ)アクリレート;
N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2-(1,2-シクロヘキサ-1-エンジカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレート、ファンクリルFA-502A(日立化成工業製)等のイミド(メタ)アクリレート;
2-(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート等のリン酸(メタ)アクリレート;
が挙げられる。
【0052】
本発明における(B)成分は、組成物が低粘度となるうえ、剥離強度に優れるものとなるため、1個のエチレン性不飽和基と芳香環又は脂環式構造を有する化合物〔以下、「(b1)成分」という〕を必須とする。
【0053】
(b1)成分の具体例としては、前記した脂環式(メタ)アクリレート及び芳香族(メタ)アクリレートが好ましく、これらの中でも耐熱性及び接着性を高くできるという理由で、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、及び2-(1,2-シクロヘキサ-1-エンジカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0054】
さらに、本願発明における(B)成分としては、1個のエチレン性不飽和基と水酸基を有する化合物〔以下、(b2)成分という〕が好ましい。以下、(b1)、及び(b2)成分以外の(B)成分を、(b3)成分という。
【0055】
(b2)成分としては、水酸基を1個有する(メタ)アクリレートが好ましく、具体的な化合物は前述の通りであるが、それらの中でも、組成物が低粘度となるうえ、接着性に優れるものとなるため、分子量が200未満の化合物が好ましい。当該分子量を満たす化合物としては、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0056】
(B)成分は、前記した化合物の1種のみを使用することも、2種以上を併用することもでき、(b1)成分を必須とするものである。
さらに、(B)成分としては、(b1)成分及び(b2)成分を併用したものが好ましい。
【0057】
(A)成分及び(B)成分の含有割合としては、硬化性成分の合計量100重量%中に、(A)成分を5~50重量%及び(B)成分を50~95重量%を含むことが好ましく、より好ましくは、(A)成分を10~40重量%及び(B)成分を60~90重量%含むものである。
(A)成分の含有割合を50重量%以下又は(B)成分の含有割合を50重量%以上にすることで、組成物を低粘度にすることができ塗工性に優れるものとすることができ、又接着力に優れるものとすることができ、(A)成分の含有割合を5重量%以上又は(B)成分の含有割合を95重量%以下にすることで、粘着層の凝集力を優れたものとすることができる。
【0058】
3.(C)成分
(C)成分は、(C-1)アシルホスフィンオキサイド系化合物を除く、分子量300以上の光重合開始剤〔以下、「(C-1)成分」という〕又は/及び(C-1)アシルホスフィンオキサイド系化合物〔以下、「(C-2)成分」という〕を必須成分として含む光重合開始剤である。
本発明において、(C)成分を使用することにより、組成物の硬化性に優れ、さらに得られる硬化膜の低臭気性に優れる。さらに、硬化膜の光安定性に優れ着色が少ない点で、(C-1)成分が好ましい。
【0059】
(C-1)成分としては、α-ヒドロキシケトン系化合物が、前記した性能に優れることに加え、(A)及び(B)成分との相溶性に優れる点でより好ましい。
α-ヒドロキシケトン系化合物の具体例としては、α-ヒドロキシケトンのオリゴマー及びポリマー等が挙げられ、例えば、下記式(1)で表される化合物等が挙げられる。
【0060】
【化1】
【0061】
式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2はアルキル基を表し、nは2~5の数を表す。尚、nは、上記単位の平均の繰り返し数を意味する。
2はアルキル基としては、メチル基、エチル基及びプロピル基等の低級アルキル基が好ましい。
【0062】
式(1)で表される化合物の具体例としては、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン等が挙げられる。
当該化合物は市販されており、例えば、ESACURE KIP 150(IGM Resins社製)及びESACURE ONE(IGM Resins社製)が挙げられる。
ESACURE KIP 150及びESACURE ONEは、上記式(1)表される化合物において、R1は水素原子又はメチル基、R2はメチル基、nは2から3の数、かつ[(204.3×n+16.0)又は(204.3×n+30.1)]の分子量を有する化合物である。
尚、ESACURE ONEは、ESACURE KIP 150と同じ成分を含むものであるが、精製された高純度の製品である。
【0063】
前記以外のα-ヒドロキシケトン系化合物としては、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)フェノキシ〕フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(市販品としては、IGM Resins社製のESACURE KIP-160がある。以下、括弧書きは同様の意味を示す。)及び(2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(BASF社製イルガキュア127)等が挙げられる。
【0064】
α-ヒドロキシケトン系化合物以外の化合物としては、2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、及びオキシフェニル酢酸等を挙げることができる。
当該化合物は市販されており、イルガキュア754(BASF社製)が知られている。イルガキュア754は、オキシフェニル酢酸、2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物である。
又、オリゴマータイプのベンゾフェノン系光重合開始剤であるSPEEDCURE 7005(分子量1200以上、ランブソンジャパン社製)、オリゴマータイプのチオキサントン系光重合開始剤等(分子量1500以上、ランブソンジャパン社製)、(1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルフォニル)プロパン-1-オン(IGM Resins社製ESACURE 1001M)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1(BASF社製イルガキュア369)、及び2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)ブタノン-1(BASF社製イルガキュア379)等を挙げることができる。
【0065】
(C-2)成分のアシルホスフィンオキサイド系化合物としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、及びビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0066】
(C)成分は(C-1)及び(C-2)成分を必須成分とするものであるが、必要に応じて(C-1)及び(C-2)成分以外の光重合開始剤〔以下、「(C-3)成分」という〕を併用することができる。
(C-3)成分の具体例としては、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)]フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、等の分子量300未満のアセトフェノン系化合物;
ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;
ベンゾフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、メチル-2-ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン及び4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルチオキサントン、3-[3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イル-オキシ]-2-ヒドロキシプロピル-N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフルオロチオキサントン等のチオキサントン系化合物等が挙げられる。
前記以外の化合物としては、ベンジル、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート、フェニルグリオキシ酸メチル、エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、及びカンファーキノン等が挙げられる。
【0067】
又、硬化膜の膜厚を厚くする必要がある場合、例えば50μm以上とする必要がある時は、硬化膜内部の硬化性を向上させる目的で、又、紫外線吸収剤や顔料を併用する場合は、組成物の硬化性を向上させる目的で、チオキサントン系化合物及びα-アミノアルキルフェノン系化合物から選ばれる複数種の化合物を併用することが好ましい。
この場合の化合物の好ましい例としては、チオキサントン系化合物としては、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられ、並びに、α-アミノアルキルフェノン系化合物としては、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)]フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等が挙げられる。
【0068】
(C)成分の含有割合は、硬化性成分合計量100重量部に対して0.1~15重量部が好ましく、より好ましくは0.5~10重量部である。(C)成分の割合を0.1重量部以上にすることで、組成物の光硬化性を良好にし、密着性に優れるものとすることができ、15重量部以下とすることで、硬化膜の内部硬化性が良好にすることができ、基材との密着性を良好にすることができる。
【0069】
4.(D)成分
本発明においては、硬化性成分として前記(A)及び(B)成分を必須とするものであるが、必要に応じて、下記(D)成分を配合することができる。
・(D)成分:前記(A)成分以外のエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物
(D)成分としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「多官能(メタ)アクリレート」という〕が好ましく、2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「2官能(メタ)アクリレート」という〕、及び3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「3官能以上(メタ)アクリレート化合物」という〕が挙げられる。
【0070】
2官能(メタ)アクリレートの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及びノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;並びに
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、及びビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール系化合物アルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート
等が挙げられる。
【0071】
2官能(メタ)アクリレートとしては、オリゴマーを使用することもでき、Mwが10,000未満のウレタン(メタ)アクリレートや、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びポリエーテルポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0072】
Mwが10,000未満のウレタン(メタ)アクリレートは、(A)成分のMwが10,000未満になるように製造したものを用いることができる。これの原料や構造は前述の(A)成分と同じである。
【0073】
前記(A)成分の必須原料であった化合物(a)および(c)から製造されたウレタン(メタ)アクリレートを用いることもできる。この化合物はウレタンアダクトと称される。
【0074】
ウレタンアダクトの中でも、組成物の低粘度化と硬化膜の粘着力に優れるという点で、化合物(a)としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートが好ましく、化合物(c)としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン(メタ)アクリレート、グリセリンのモノ又はジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性イソシアヌル酸のモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0075】
ウレタンアダクトの別の好ましい化合物としては、3個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートと水酸基含有単官能(メタ)アクリレートの反応物が挙げられる。
当該化合物における水酸基含有単官能(メタ)アクリレートとしては、前記した化合物と同様の化合物が挙げられる。
3個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートの例としては、前記したヘキサメチレンジイソシアネート3量体及びイソホロンジイソシアネート3量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体等を挙げることができる。
【0076】
エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応物である。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えばジャパンエポキシレジン社製エピコート827(商品名、以下同じ)、エピコート828、エピコート1001、エピコート1004等が挙げられ、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、エピコート806、エピコート4004P等が挙げられる。又、ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピコート152、エピコート154等が挙げられる。
【0077】
ポリエステル(メタ)アクリレートは、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との反応物である。
ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多塩基酸との反応により得られる。
多価アルコールとしては、例えばネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール及びビス-[ヒドロキシメチル]-シクロヘキサン等が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸及びテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0078】
3官能以上(メタ)アクリレート化合物としては、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば種々の化合物が挙げられ、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのトリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド付加物のトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のトリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート;並びに
イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート
等を挙げることができる。
【0079】
前記で例示した化合物における、アルキレンオキサイド付加物の例としては、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0080】
(D)成分は、1種のみを使用しても、2種以上を併用しても良い。
(D)成分の単独重合体のTgとしては、-80~60℃の範囲であることが好ましく、-60~40℃の範囲であることがより好ましい。
【0081】
(D)成分の含有割合としては、硬化性成分の合計量100重量%中に0~20重量%が好ましく、より好ましくは5~18重量%である。(D)成分の含有割合を20重量%以下とすることで、剥離強度を十分に高くすることができる。
【0082】
5.活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物
本発明は、前記(A)、(B)、及び(C)成分を必須成分とし、任意に(D)成分を配合することもできる活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に関する。
さらに、本発明の組成物は、組成物が塗工性かつ硬化性に優れ、硬化膜が粘着力に優れるため、再剥離用活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物として好ましく使用することができる。
再剥離用途に使用する場合の剥離強度としては、組成物の硬化膜が、膜厚40μmであって、基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム、被着体としてガラス板を用いた時、23℃、50%RHの条件における180°剥離強度(剥離速度:300mm/min)が1~50N/25mmであるものが好ましい。当該範囲の剥離強度を有する組成物は、貼り付け後の環境変化での剥離が少なく、耐久性に優れる。
【0083】
組成物の粘度としては、20~500,000mPa・sであることが好ましく、50~50,000mPa・sであることがより好ましい。
尚、本発明において粘度とは、E型粘度計(コーンプレート型粘度計)を使用して25℃で測定した値を意味する。
【0084】
本発明の組成物は、前記(A)、(B)、及び(C)成分を必須成分とし、任意に(D)成分を配合するものであるが、目的に応じて種々のその他成分を配合することができる。
その他成分としては、有機溶剤、増感剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、表面改質剤及び可塑剤等が挙げられる。
以下、その他の成分について説明する。
尚、後記するその他の成分は、例示した化合物の1種のみを使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
【0085】
5-1.有機溶剤
本発明の組成物は、最も好ましいのは無溶剤であるが、基材への塗工性を改善する等の目的で、有機溶剤を含むことができる。
【0086】
有機溶剤の具体例としては、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル化合物;メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、(A)及び(B)成分の溶解性に優れる点で、芳香族化合物がより好ましい。
【0087】
有機溶剤の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0~1,000重量部であることが好ましく、0~500重量部であることがより好ましく、0~300重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であると、組成物を塗工に適当な粘度とすることができ、後記する公知の塗布方法で組成物を容易に塗布することができる。
【0088】
5-2.増感剤
増感剤は、組成物の光反応性をさらに高める目的で配合する。
増感剤としては、脂肪族アミンあるいはジエチルアミノフェノン、ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジメチルアミノ安息香酸イソアシル等の芳香族アミン等が挙げられる。又、硬化後の塗膜中からのマイグレーションを少なくするため、高分子量タイプのアミンを用いることもできる。
増感剤の含有割合としては、組成物の固形分100重量部に対して、0~5重量部であることが好ましく、0~3重量部であることがより好ましい。
【0089】
5-3.重合禁止剤
重合禁止剤は、組成物の熱安定性や光反応性を高める目的で配合する。
重合禁止剤の具体例としては、有機系重合禁止剤、無機系重合禁止剤、有機塩系重合禁止剤が挙げられる。有機系重合禁止剤の具体例として、ハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール化合物、ベンゾキノン等のキノン化合物、ガルビノキシル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル等の安定ラジカル、フェノチアジン、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム等が挙げられる。無機系重合禁止剤の具体例として、塩化銅、硫酸銅及び硫酸鉄が挙げられる。有機塩系重合禁止剤の具体例として、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩、アンモニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物、ジブチルジチオカルバミン酸銅が挙げられる。
【0090】
これらの中でも、接着剤の着色が小さく、組成物の増粘やゲル化を防止して安定性を高くできる点で、安定ラジカル、ニトロソ化合物が好ましい。
硬化性成分中の重合禁止剤の割合は、0.0001~1質量%、より好ましくは0.0005~0.5質量%である。重合禁止剤の割合を0.0001質量%以上にすることで、組成物の熱安定性や光安定性を高めることができ、1質量%以下にすることで、組成物の光硬化性が優れたものとなる。
【0091】
5-4.酸化防止剤
酸化防止剤は、硬化膜の耐熱性、耐候性等の耐久性を向上させる目的で配合する。
酸化防止剤としては、たとえばフェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、たとえば、2,6-ジ-t-ブチルヒドロキシトルエン等のヒンダードフェノール類を挙げることができる。市販されているものとしては、(株)アデカ製のAO-20、AO-30、AO-40、AO-50、AO-60、AO-70、AO-80等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン等のホスフィン類や、亜リン酸トリアルキルや亜リン酸トリアリール等が挙げられる。これらの誘導体で市販品としては、たとえば(株)アデカ製、アデカスタブPEP-4C、PEP-8、PEP-24G、PEP-36、HP-10、260、522A、329K、1178、1500、135A、3010等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、チオエーテル系化合物が挙げられ、市販品としては(株)アデカ製AO-23、AO-412S、AO-503A等が挙げられる。
これらは1種を用いても2種類以上を用いてもよい。これら酸化防止剤の好ましい組合せとしては、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤との併用、及びフェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤の併用が挙げられる。
酸化防止剤の含有割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計量100重量部に対して0.01~5重量部が好ましく、より好ましくは0.1~1重量部である。
酸化防止剤の含有割合を0.1重量部以上とすることで、組成物の耐久性を向上させることができ、一方、5重量部以下とすることで、硬化性や密着性を良好にすることができる。
【0092】
5-5.紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、硬化膜の耐光性を向上させる目的で配合する。
紫外線吸収剤としては、BASF社製TINUVIN400、TINUVIN405、TINUVIN460、TINUVIN479等のトリアジン系紫外線吸収剤や、TINUVIN900、TINUVIN928、TINUVIN1130等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
紫外線吸収剤の含有割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計量100重量部に対して0.01~5重量部が好ましく、より好ましくは0.1~1重量部である。紫外線吸収剤の含有割合を0.01重量部以上とすることで、硬化膜の耐光性を良好なものとすることができ、一方、5重量部以下とすることで、組成物の硬化性に優れるものとすることができる。
【0093】
5-6.シランカップリング剤
シランカップリング剤は、硬化膜と基材との界面接着強度を改善する目的で配合する。
シランカップリング剤としては、基材との接着性向上に寄与できるものであれば特に特に限定されるものではない。
【0094】
シランカップリング剤としては、具体的には、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0095】
シランカップリング剤の含有割合は、目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計量100重量部に対して0.1~10重量部が好ましく、より好ましくは1~5重量部である。
シランカップリング剤の含有割合を0.1重量部以上にすることで、組成物の接着力を向上させることができ、一方、10重量部以下とすることで、接着力の経時変化を防止することができる。
【0096】
5-7.表面改質剤
本発明の組成物は、塗布時のレベリング性を高める目的や、硬化膜の滑り性を高める目的等のため、表面改質剤を添加してもよい。
表面改質剤としては、表面調整剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、スベリ性付与剤及び防汚性付与剤等が挙げられ、これら公知の表面改質剤を使用することができる。
それらのうち、シリコーン系表面改質剤及びフッ素系表面改質剤が好適に挙げられる。具体例としては、シリコーン鎖とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するシリコーン系ポリマー及びオリゴマー、シリコーン鎖とポリエステル鎖とを有するシリコーン系ポリマー及びオリゴマー、パーフルオロアルキル基とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するフッ素系ポリマー及びオリゴマー、並びに、パーフルオロアルキルエーテル鎖とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するフッ素系ポリマー及びオリゴマー等が挙げられる。
又、滑り性の持続力を高める等の目的で、分子中にエチレン性不飽和基、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する表面改質剤を使用してもよい。
【0097】
表面改質剤の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.01~1.0重量部であることが好ましい。上記範囲であると、塗膜の表面平滑性に優れる。
【0098】
5-8.可塑剤
本発明の組成物は、硬化膜の粘着性を調整する目的で必要に応じて配合しても良い。
【0099】
可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート及びジオクチルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート及びジエチルサクシネート等の脂肪族二塩基酸エステル類、及びアセチルクエン酸トリブチル等の脂肪族多塩基酸エステル類;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート及びトリクレジルホスフェート等の正リン酸エステル類;グリセリルトリアセテート及び2-エチルヘキシルアセテート等の酢酸エステル類;トリフェニルホスファイト及びジブチルハイドロジエンホスファイト等の亜リン酸エステル類;ロジン系樹脂やテルペン系樹脂等の天然樹脂及びその誘導体;並びにポリエステル類、アクリルポリマー類(例えば、東亞合成製アルフォンUP-1000)、ポリエーテル類及び石油樹脂等の不活性化合物等が挙げられる。
【0100】
可塑剤の含有割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良いが、好ましくは組成物中に1~90重量%が好ましく、より好ましくは5~80重量%である。
【0101】
6.使用方法
本発明の組成物の使用方法としては、常法に従えば良い。
具体的には、基材に組成物を塗工し活性エネルギー線を照射して硬化させる方法、別の基材と貼り合せた後さらに活性エネルギー線を照射して硬化させる方法等が挙げられる。
又、基材に対する塗工範囲としては目的に応じて適宜選択すれば良く、部分塗工しても全面塗工しても良い。
【0102】
基材としては、接着を目的とする材料(以下、「被着体」という)の他、離型性を有するシート又はフィルム(以下、「離型材」という)であっても良い。
【0103】
被着体の材質としては、ポリマー、紙、ガラス、セラミックス、鋼板やアルミ等の金属、金属や金属酸化物の蒸着膜、並びにシリコン等が挙げられる。
ポリマーとしては、セロハン、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ユリア・メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエーテルサルホン、上記ポリマーの共重合体、液晶ポリマー及びフッ素樹脂等が挙げられる。これらポリマーの形状としては、フィルム又はシート状のものが好ましい。
紙としては、上質紙、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙及び厚紙等が挙げられる。
【0104】
離型材としては、上記被着体として挙げたポリマーに離型処理を施した材料が挙げられる。具体的な離型処理としては、シリコーン処理、フッ素処理、及び長鎖アルキル処理等が挙げられる。又、表面自由エネルギーの小さなポリマーを未処理のまま使用することも可能であり、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、及びフッ素樹脂等が挙げられる。
【0105】
塗工方法としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、目的に応じて適宜設定すれば良く、バーコーター、アプリケーター、ドクターブレード、ディップコーター、ロールコーター、スピンコーター、フローコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、リップコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター及びインクジェット等で塗工する方法が挙げられる。
【0106】
本発明の組成物を硬化させるための活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線及び電子線等が挙げられるが、紫外線が好ましい。
紫外線照射装置としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線無電極ランプ及び紫外線発光ダイオード(UV-LED)等が挙げられる。
照射エネルギーは、活性エネルギー線の種類や配合組成に応じて適宜設定すれば良く、塗膜の厚みや照度等により異なるが、例えば、高圧水銀ランプを使用する場合、UV-A領域の照射エネルギーで10~2,000mJ/cm2が好ましく、10~1,000mJ/cm2がより好ましい。
本発明の組成物は、低積算光量(低エネルギー)の照射条件においても硬化性に優れるものである。この場合の積算光量(照射エネルギー)としては、10~500mJ/cm2が好ましく、10~200mJ/cm2がより好ましい。
【0107】
7.粘着シート
本発明の組成物は、粘着シートの製造に好ましく使用できる。
粘着シートの製造方法としては常法に従えば良く、例えば、組成物を基材に塗布した後、活性エネルギー線を照射して製造することができる。
【0108】
組成物が無溶剤型の場合は、組成物を基材に塗工する。組成物が有機溶剤等は、組成物を基材に塗工した後に、乾燥させて有機溶剤等を蒸発させる。
基材に組成物層が形成されてなるシートに対して活性エネルギー線を照射することで、基材/硬化膜から構成される粘着シートが得られる。活性エネルギー線の照射は、通常、組成物層側から照射するが、基材側からも照射できる。
【0109】
本発明の組成物の塗工量としては、使用する用途に応じて適宜選択すればよいが、有機
溶剤等を乾燥した後の膜厚が、1~100μmであることが好ましく、5~50μmであることがより好ましい。
【0110】
組成物が有機溶剤等を含む場合は、塗布後に乾燥させ、有機溶剤等を蒸発させる。
乾燥条件は、使用する有機溶剤等に応じて適宜設定すれば良く、40~150℃の温度
に加熱する方法等が挙げられる。
【0111】
活性エネルギー線照射における、照射エネルギー等の照射条件は、使用する組成物、基材及び目的等に応じて適宜設定すれば良く、前記と同様の条件に従えば良い。
【0112】
8.用途
本発明の組成物から形成される粘着シートは、粘着ラベル、粘着テープ及び特殊粘着フィルム等の種々の用途に使用することができる。
【0113】
粘着ラベルの具体例としては、商標ラベル、品質表示ラベル、内容表示ラベル、リターナブルラベル、ネームプレート等の商品表示用、計量ラベル、ハンドラベル、値札・正札等の価格表示用、取扱説明ラベル、検査証ラベル、保証ラベル、改ざん防止用ラベル、配電図ラベル、目盛板ラベル、PL法警告ラベル等の説明・保証用、ステッカー(ウインドー用、車輌用、店頭用等)、マーク・装飾用ラベル、スタンプ、シール、ワッペン、ポスター、多層ラベル等の宣伝・販促用、帳票ラベル、電算機用ラベル、POS用ラベル、工程・在庫管理ラベル等の管理用、両面・片面荷札ラベル、宛名ラベル、宅配用伝票ラベル等の荷札・宛名用、封緘用シール、キャップシール等の封緘用、案内標識ラベル、交通標識ラベル、施設標識ラベル等の案内・標識用、トイレタリー関連ラベル、家電用ラベル、OA機器用ラベル等のリサイクル用、その他インデックスラベル(文具用、ブルーレイディスク用等)用、カラーサンプルラベル用、玩具(シール)用及び教材用等がある。
【0114】
粘着テープとしては、ネームプレートテープ、金属建材用テープ、自動車用テープ等の表面保護用、半導体製造工程用テープ、電子部品の搬送用テープ、保護・マスキング用テープ、固定・接着用テープ、電気絶縁用テープ、結束・補修用テープ、導電性テープ等の電気・電子機器用、EPS(発泡ポリスチレンビーズ融着製品)ケース類への表示・封緘用、塗装マスキングテープ、養生マスキングテープ等の一般マスキング用、段ボール包装テープ等の封緘・包装用、事務用、その他自動車装飾用テープ、写真製版用テープ、スプライシングテープ等の用途、両面テープ及びセロハンテープ・OPPテープ等といった、一般的な結束・固定用途が挙げられる。
【0115】
特殊粘着フィルムとしては、屋外広告フィルム、自動車用ストライプ、マーキングフィルム等の屋外耐久用、ポスター、インテリアフィルム、内装材等の一般壁装用、エレベーター内装フィルム、カウンター装飾フィルム、家具装飾フィルム、車輌内装フィルム、自販機装飾フィルム、キャッシュコーナー装飾フィルム、テーブル装飾フィルム等の内装化粧用、ウインドディスプレイフィルム、ステッカー、マーキングフィルム等の短期装飾用、屋外耐久性フィルム等の内照看板用、建物用日射遮蔽及び飛散防止フィルム用、保安用反射フィルム(自動車用、靴用、ヘルメット用等)用、自動車用等に水又は石鹸水で濡らしながら貼るウインドウフィルムとしての用途、その他、プリズム、ホログラムフィルム、畜光フィルム及び発光フィルム等が挙げられる。
【実施例0116】
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。
【0117】
1.ウレタンアクリレートの製造
1)製造例1〔(A)成分の製造〕
攪拌機、温度計、5%ON配管を装備した0.5Lフラスコに、イソホロンジイソシアネート〔エボニックジャパン(株)製:IPDI〕を22.86g(0.103mol)、ジブチルヒドロキシトルエン〔川口化学工業(株)製:アンテージBHT(商品名)〕を0.10g、希釈剤として利用するイソボルニルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製:IBXA(商品名)。以下、「IBXA」という〕を193.55g仕込んだ。
5%ONを吹き込みながら内容物を攪拌してフラスコ内を70℃にした。
トリス(アセチルアセトナート)鉄〔日本化学産業(株)製:ナーセム第二鉄(商品名)〕を0.002g添加して、その後に水酸基価が55mgKOH/g(分子量2,040)のネオペンチルグリコール及びアジピン酸由来のポリエステルジオール〔DIC(株)製:ポリライトOD-X-2044(商品名)〕を徐々に添加した。最終的にポリエステルジオールを167.23g(0.082mol)仕込んだ。その後、1,4-ブタンジオールを0.93g(0.010mol)添加して、フラスコ内の温度を80℃に昇温した。
GPCによる分子量計測で内容物のMwが2.8万を越えた段階で2-ヒドロキシエチルアクリレート〔東亞合成(株)製。以下、「HEA」という〕を4.32g(0.037mol)添加した。この時、ナーセムも0.002g再度添加した。
その後のIR計測により、イソシアネート基が消失したことを確認し、合成を終了した。
得られた反応混合物は、GPCによる分子量計測でMwが3.1万のポリエステル系ウレタンアクリレート(以下、「A-1」という)を50重量%と、50重量%のIBXAを含む混合物であった。
尚、GPCは、下記測定条件に従い測定した
【0118】
◆GPC測定条件
GPC(東ソー(株)製:HLC-8120、カラム:TSKgel-GMHxl×2本、溶離液:テトラヒドロフラン(THF) 1mL/min、検出器:示差屈折率計(RI))を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を測定した。
【0119】
2)製造例2〔(A)成分の製造〕
OD-X-2044の代わりに、水酸基価が55mgKOH/g(分子量2,040)の3-メチル-1,5-ペンタンジオールとアジピン酸由来のエステルジオール〔(株)クラレ製:クラレポリオールP-2010(商品名)〕を167.23g(0.082mol)用いた以外は、製造例1と同様の操作を行った。
得られた反応混合物は、GPCによる分子量計測でMwが3.2万のウレタンアクリレートオリゴマー(以下、「A-2」という)を50重量%と、50重量%のIBXAを含む混合物であった。
【0120】
3)製造例3〔(A)成分の製造〕
IBXAの代わりに、ノニルフェノキシエチルアクリレート〔東亞合成(株)製:アロニックスM-111(商品名)。以下、「M111」という〕を82.0g用いた以外は、製造例1と同様の操作を行った。
得られた反応混合物は、GPCによる分子量計測でMwが3.1万のウレタンアクリレートオリゴマー(以下、「A-3」という)を70重量%と、30重量%のM111を含む混合物であった。
【0121】
4)製造例4〔(A)成分の製造〕
GPCによる分子量計測で内容物のMwが4.8万を越えた段階でHEAを仕込んだ以外は、製造例3と同様の操作を行った。
得られた反応混合物は、GPCによる分子量計測でMwが5.2万のウレタンアクリレートオリゴマー(以下、「A-4」という)を70重量%と、30重量%のM111を含む混合物であった。
【0122】
5)製造例5〔(A)成分の製造〕
GPCによる分子量計測で内容物のMwが1.3万を越えた段階でHEAを仕込んだ以外は、製造例3と同様の操作を行った。
得られた反応混合物は、GPCによる分子量計測でMwが1.5万のウレタンアクリレートオリゴマー(以下、「A-5」という)を70重量%と、30重量%のM111を含む混合物であった。
【0123】
6)製造例6〔(A)成分の製造〕
HEAの代わりにグリセリンジ/トリアクリレート〔東亞合成製(株):アロニックスM-920(商品名)、水酸基価=240mgKOH/g〕を4.32g仕込んだ以外は、製造例3と同様の操作を行った。
得られた反応混合物は、GPCによる分子量計測でMwが6.8万のウレタンアクリレートオリゴマー(以下、「A-6」という)を70重量%と、30重量%のM111を含む混合物であった。
【0124】
7)製造例7〔(A)成分の製造〕
M111の代わりに、エトキシエトキシエチルアクリレート〔大阪有機工業(株)製:ビスコート#190(商品名)。以下、「EEEA」という〕を82.0g用いた以外は、製造例3と同様の操作を行った。
得られた反応混合物は、GPCによる分子量計測でMwが3.0万のウレタンアクリレートオリゴマー(以下、「A-7」という)を70重量%と、30重量%のEEEAを含む混合物であった。
【0125】
8)比較製造例1〔(A')成分の製造〕
1,4-ブタンジオールを使用せず、かつGPCによる分子量計測で内容物のMwが0.4万を越えた段階でHEAを仕込んだ以外は、製造例3と同様の操作を行った。
得られた反応混合物は、GPCによる分子量計測でMwが0.5万のウレタンアクリレートオリゴマー(以下、「A'-1」という)を70重量%と、30重量%のM111を含む混合物であった。
【0126】
2.活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の製造
1)実施例1~同10、比較例1~同4
前記製造例1~同7、及び比較製造例1で得られた反応物、及び表1に示す化合物を表1に示す割合で撹拌・混合し、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を製造した。
製造例で得られた反応物は(A)及び(B)成分の混合物であるため、表2には、製造例で得られた反応物を(A)及び(B)成分を分けて記載した。
尚、表1及び表2における数字は部数を意味する。
又、表1及び表2における略号は下記を意味する。
【0127】
(1)(A)成分
・UN6304:無黄変型ポリエーテル骨格ウレタンアクリレート(Mw13,000)、根上工業(株)製ウレタンアクリレート「アートレジンUN-6304」
【0128】
(2)(B)成分
(2-1)(b1)成分
・M111:ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(n=1)アクリレート、東亞合成(株)製「アロニックスM-111」(商品名)
・M113:ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(n=4)アクリレート、東亞合成(株)製「アロニックスM-113」(商品名)
・IBXA:イソボルニルアクリレート、大阪有機化学工業(株)製「IBXA」(商品名)
・TMCHA:3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、大阪有機化学工業(株)製「ビスコート」#196」(商品名)
・CTFA:環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、大阪有機化学工業(株)製「ビスコート」#200」(商品名)
【0129】
(2-2)(b2)成分
・4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート、大阪有機化学工業(株)製「4-HBA」(商品名)
【0130】
(2-3)(b3)成分
・EEEA:エトキシエトキシエチルアクリレート、大阪有機化学工業(株)製「ビスコート#190」(商品名)
【0131】
(2)(B)’成分
・ACMO:アクリロイルモルホリン、KJケミカルズ製「ACMO」(商品名)
【0132】
(4)(C)成分
(4-1)(c1)成分
・E-ONE:ポリ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オン}、IGM Resins社製「ESACURE ONE」(商品名)
(4-2)(c2)成分
・TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、IGM Resins社製「Omnirad TPO」(商品名)
【0133】
(5)(C)成分以外の光重合開始剤
・O-184:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、IGM Resins社製「Omnirad 184」(商品名)
【0134】
(6)(D)成分
・M930:グリセリントリアクリレート、東亞合成(株)製「アロニックスM-930」(商品名)
【0135】
【表1】
【0136】
【表2】
【0137】
2)組成物の評価方法
実施例1~同10及び比較例1~同4で得られた組成物を使用し、後記する評価を行った。それらの結果を表3に示す。
(1)25℃粘度
得られた組成物を、E型粘度計を使用して、25℃において粘度を測定した。
【0138】
3)硬化膜の評価方法
◆粘着シートの製造
得られた組成物を、膜厚40μmとなるよう、幅300mm×長さ300mmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東洋紡(株)製、コスモシャインA4300(厚み50μm)。以下、「PET」という〕にアプリケーターで塗布して塗膜を形成させた。これを「試験体0」という。
この塗膜に、幅300mm×長さ300mmの離型PETフィルム〔東レフィルム加工(株)製、セラピールBKE(厚み38μm)。以下、「離型PET」という〕をラミネートした。
次いで、アイグラフィックス(株)製のコンベア式紫外線照射装置(160W/cm高圧水銀灯、ランプ高さ10cm、UV-A領域の照射強度1,200mW/cm2(ヘレウス(株)製UV POWER PUCKの測定値)を用いて、14m/minのコンベアを通過することにより、離型PET側よりUV-A領域の照射エネルギー100mJ/cm2の紫外線照射を行い、粘着シートを得た。これを「試験体1」という。
得られた試験体0(硬化前の組成物)及び試験体1(粘着シート)を使用し、後記する硬化性、粘着力、臭気、100℃E’、耐光性、及び耐水性の評価を行った。尚、耐光性、及び耐水性は、耐候性の評価のため行う試験である。
【0139】
(1)硬化性
試験体0(硬化前の組成物)及び試験体1(紫外線で硬化させた硬化膜)のアクリロイル基反応率を、赤外線吸収スペクトル測定〔μ―ATR法〕により測定した。赤外線吸収スペクトル測定装置としては、パーキンエルマージャパン(株)製Spectrum100を使用した。
得られた紫外線吸収スペクトルを使用し、下記式(1)によりアクリロイル基反応率を算出した。
アクリロイル基反応率={1-(B2/A2)/(B1/A1)]×100・・・(1)
A1:組成物の-C=Oに由来する1724cm-1のピーク高さ
B1:組成物の-CH=CH2に由来する1405cm-1のピーク高さ
A2:硬化膜の-C=Oに由来する1724cm-1のピーク高さ
B2:硬化膜の-CH=CH2に由来する1405cm-1のピーク高さ
上記と同様の方法に従い、照射条件2で硬化させた硬化膜のアクリロイル基反応率を測定した。
ここで算出されたアクリロイル基反応率が、95%以上であれば「〇」、95%未満であれば「×」と判定した。
【0140】
(2)粘着力
試験体1を使用して、粘着力を、JIS Z 0237:2009に準拠して測定した。
具体的には、被着体としてガラス板を用い、23℃、50%RHの条件において、180°剥離強度(剥離速度:300mm/min)を測定した。
剥離強度の測定は、インストロンジャパン カンパニィリミテッド(株)製万能材料試験機インストロン5564を使用した。
【0141】
(3)臭気
試験体1を使用して、前記(2)の粘着力測定後のガラス板を剥がし、粘着層の臭いを嗅いで、以下の3水準で評価を行った。
〇:全く臭気が感じられない。
△:わずかに臭気がある。
×:強い臭気がある。
【0142】
(4)100℃E'
試験体0(硬化前の組成物)を、照度200mW/cm2、積算光量2J/cm2(365nm)、膜厚1mmで光照射し、硬化物を得た。
この硬化物の機械特性をJIS K7244-4に準じて測定(周波数1Hz、昇温速度2℃/分)し、引張モードにおける100℃での引張貯蔵弾性率E’を算出した。
【0143】
(5)耐光性
試験体1を使用して、フェードメーターを用いた耐光性試験を行って、照射96時間後の硬化膜について、目視により以下の4水準で評価した。
◎:色調の変化がほとんど無い
〇:色調の変化がやや認められる
△:若干黄色味を帯びている
×:著しく変色している
【0144】
(6)耐湿熱性
試験体1を使用して、60℃90%RHの恒温恒湿器に入れ、100時間後の外観を観察し、ハガレが生じているか評価し、以下の4水準で評価した。
◎:ハガレは全く無い
〇:小さなハガレが10個未満みられる
△:ハガレが面積の10%未満みられる
×:ハガレが面積の10%以上みられる
【0145】
【表3】
【0146】
4)評価結果
実施例1~同10の結果から明らかな通り、本発明の組成物は、低臭気で、硬化性に優れ、更に得られる硬化膜の粘着力、及び耐候性、耐湿熱性に優れるものであった。
加えて、(D)成分であるM930を含む実施例9や、(A)成分の原料である(c)成分として2官能アクリレートを含むM920を用いた実施例10は、架橋密度の向上により100℃E‘が向上し、そのため耐湿熱性もさらに良好な組成物であった。
これに対して、(A)成分を含まない比較例1の組成物は、硬化性に優れ、かつ低臭気であるものの、硬化膜の粘着力が低く、耐湿熱性も劣るものであった。又、(C)成分ではない光重合開始剤を用いた比較例2の組成物は、硬化膜の臭気が著しいものであった。又、(メタ)アクリルアミドであるACMOを含む比較例3の組成物は、耐湿熱性が劣るものであった。又、(b1)成分を含まない比較例4の組成物は、硬化性、粘着力、臭気、耐候性、及び耐湿熱性のいずれも劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、粘着ラベル、粘着テープ及び特殊粘着フィルム等の種々の用途に使用可能であり、より具体的には、画像表示装置、家電製品、情報機器、自動車内外装部材、建材、及びラベル等の様々な分野で使用可能である。