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  • 特開-電磁波加熱装置 図1
  • 特開-電磁波加熱装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176230
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】電磁波加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/80 20060101AFI20231206BHJP
   B01J 19/12 20060101ALI20231206BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20231206BHJP
   C01B 3/04 20060101ALI20231206BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20231206BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H05B6/80 Z
B01J19/12 A ZAB
B01D53/04 230
C01B3/04 B
B01J35/02 G
B01D53/86 228
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088399
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日下 星野
【テーマコード(参考)】
3K090
4D012
4D148
4G075
4G169
【Fターム(参考)】
3K090AA20
3K090AB20
3K090BB01
3K090CA01
4D012BA02
4D012CA03
4D012CB02
4D012CB03
4D012CB04
4D012CB05
4D012CD03
4D012CD06
4D012CG01
4D012CJ02
4D012CK05
4D148AA08
4D148AB03
4D148BA32Y
4D148BB01
4D148BB02
4D148BB08
4D148CC43
4D148CC53
4D148EA03
4G075AA03
4G075BA05
4G075BB04
4G075CA02
4G075CA26
4G075CA54
4G075DA02
4G075EA05
4G075EB21
4G075EB31
4G075EE33
4G075FB02
4G075FB12
4G075FC20
4G169AA03
4G169AA15
4G169BC70A
4G169CB81
4G169DA06
4G169EA18
4G169EE03
(57)【要約】
【課題】強磁性体がもつヒステリシス損を有効に利用して加熱を行う。
【解決手段】一つの態様は電磁波加熱装置であって、電磁波を発生させる発振器と、前記発振器と接続されたシングルモードの空洞共振器と、前記空洞共振器の内部に配置された強磁性体を含む少なくとも一つの加熱対象物とを備えており、前記電磁波の磁場成分の腹が前記電磁波の照射方向における前記加熱対象物の寸法の中に位置する。別の態様はガス改質装置であって、原料ガスを改質する触媒と、前記電磁波加熱装置と、前記原料ガスを前記加熱対象物まで導く供給通路と、前記加熱対象物から前記触媒に前記原料ガスを導く接続通路とを備え、前記電磁波により加熱された前記加熱対象物で前記原料ガスが予加熱され、予加熱された前記原料ガスが前記触媒に接触して改質される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波加熱装置であって、
電磁波を発生させる発振器と、
前記発振器と接続されたシングルモードの空洞共振器と、
前記空洞共振器の内部に配置された強磁性体を含む少なくとも一つの加熱対象物とを備えており、
前記電磁波の磁場成分の腹が前記電磁波の照射方向における前記加熱対象物の寸法の中に位置する電磁波加熱装置。
【請求項2】
電磁波加熱装置であって、
電磁波を発生させる発振器と、
前記発振器と接続されたシングルモードの空洞共振器と、
前記空洞共振器の内部に配置された強誘電体を含む少なくとも一つの加熱対象物とを備えており、
前記電磁波の電場成分の腹が前記電磁波の照射方向における前記加熱対象物の寸法の中に位置する電磁波加熱装置。
【請求項3】
請求項1または2の電磁波加熱装置であって、
請求項1の電磁波の磁場成分の節または請求項2の電磁波の電場成分の節が前記電磁波の照射方向における前記加熱対象物の寸法の中に存在しない電磁波加熱装置。
【請求項4】
原料ガスを改質するためのガス改質装置であって、
原料ガスを改質する触媒と、
請求項1または2の電磁波加熱装置と、
前記原料ガスを前記加熱対象物まで導く供給通路と、
前記加熱対象物から前記触媒に前記原料ガスを導く接続通路とを備え、
前記電磁波により加熱された前記加熱対象物で前記原料ガスが予加熱され、
予加熱された前記原料ガスが前記触媒に接触して改質されるガス改質装置。
【請求項5】
請求項4のガス改質装置であって、
前記触媒が前記空洞共振器の内部に配置され、
前記加熱対象物を加熱する前記電磁波によって前記触媒も加熱されるガス改質装置。
【請求項6】
ガス中の成分を吸着するための吸着装置であって、
ガス中の成分を吸着する吸着剤と、
請求項1または2の電磁波加熱装置と、
パージガスを前記加熱対象物まで導く供給通路と、
前記加熱対象物から前記吸着剤に前記パージガスを導く接続通路とを備え、
前記電磁波により加熱された前記加熱対象物で前記パージガスが予加熱され、
前記吸着剤に吸着された前記成分が予加熱された前記パージガスによって脱離させられる吸着装置。
【請求項7】
請求項6の吸着装置であって、
前記吸着剤が前記空洞共振器の内部に配置され、
前記加熱対象物を加熱する前記電磁波によって前記吸着剤も加熱される吸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示する技術は電磁波加熱装置に関するものであり、実施形態によっては電磁波加熱装置を利用したガス改質装置または吸着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加熱を要する様々なプロセスにおいて、マイクロ波などの電磁波の吸収を利用した加熱方法が一般に利用されている。例えば、特開2009-274881号公報には、遷移金属やその酸化物などの触媒を用いて気体を分解するために反応容器内においてシングルモードのマイクロ波を照射することによって触媒を加熱する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-274881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の公報に記載されている方法では、遷移金属やその酸化物などの触媒を電磁波の電場成分の腹の位置に置いて加熱している。しかし、電場エネルギーの吸収を表す材料パラメータである誘電損失は一般に高温になるほど大きくなる。このため、粒状の触媒同士の接触部が過熱されるなどして一度触媒の温度分布に不均一が生じると、それが助長されて熱暴走に至る恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願に開示する技術の一つの態様は、電磁波加熱装置であって、電磁波を発生させる発振器と、前記発振器と接続されたシングルモードの空洞共振器と、前記空洞共振器の内部に配置された強磁性体を含む少なくとも一つの加熱対象物とを備えており、前記電磁波の磁場成分の腹が前記電磁波の照射方向における前記加熱対象物の寸法の中に位置する。これにより、強磁性体がもつヒステリシス損を有効に利用して加熱を行うことができる。
【0006】
実施形態によっては、電磁波の磁場成分の節が前記電磁波の照射方向における前記加熱対象物の寸法の中に存在しない。
【0007】
本願に開示する技術の別の態様は、電磁波加熱装置であって、電磁波を発生させる発振器と、前記発振器と接続されたシングルモードの空洞共振器と、前記空洞共振器の内部に配置された強誘電体を含む少なくとも一つの加熱対象物とを備えており、前記電磁波の電場成分の腹が前記電磁波の照射方向における前記加熱対象物の寸法の中に位置する。これにより、強誘電体がもつヒステリシス損を有効に利用して加熱を行うことができる。
【0008】
実施形態によっては、電磁波の電場成分の節が前記電磁波の照射方向における前記加熱対象物の寸法の中に存在しない。
【0009】
本願に開示する技術のさらに別の態様は、原料ガスを改質するためのガス改質装置であって、原料ガスを改質する触媒と、請求項1または2の電磁波加熱装置と、前記原料ガスを前記加熱対象物まで導く供給通路と、前記加熱対象物から前記触媒に前記原料ガスを導く接続通路とを備え、前記電磁波により加熱された前記加熱対象物で前記原料ガスが予加熱され、予加熱された前記原料ガスが前記触媒に接触して改質される。これにより、触媒を加熱する際の熱暴走の可能性を抑えることができる。
【0010】
実施形態によっては、前記触媒が前記空洞共振器の内部に配置され、前記加熱対象物を加熱する前記電磁波によって前記触媒も加熱される。
【0011】
本願に開示する技術のさらに別の態様は、ガス中の成分を吸着するための吸着装置であって、ガス中の成分を吸着する吸着剤と、請求項1または2の電磁波加熱装置と、パージガスを前記加熱対象物まで導く供給通路と、前記加熱対象物から前記吸着剤に前記パージガスを導く接続通路とを備え、前記電磁波により加熱された前記加熱対象物で前記パージガスが予加熱され、前記吸着剤に吸着された前記成分が予加熱された前記パージガスによって脱離させられる。これにより、吸着剤を加熱する際の熱暴走の可能性を抑えることができる。
【0012】
実施形態によっては、前記吸着剤が前記空洞共振器の内部に配置され、前記加熱対象物を加熱する前記電磁波によって前記吸着剤も加熱される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一つの実施形態としてのマイクロ波加熱装置を利用したガス改質装置の構成図である。
図2】別の実施形態としてのマイクロ波加熱装置を利用した吸着装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各種実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
[ガス改質装置]
図1は、原料ガスを改質するためのガス改質装置10を示している。原料ガスの改質は、例えば、アンモニアを触媒反応によって窒素と水素に分解するものが考えられるが、これに限定されない。ガス改質装置10は、マイクロ波を発生させる発振器12と、発振器12と導波管14で接続されたシングルモードの空洞共振器16とを備え、空洞共振器16にはガスを通すための配管が貫通するように設けられる。空洞共振器16には必要に応じてプランジャ18を設けて内部の寸法を変化させられるようにすることも可能である。
【0016】
配管の中には、原料ガスを予加熱するプレヒート層20と、原料ガスを改質する触媒層22とがそれぞれ空洞共振器16の内部を通過する部分に配置される。発振器12と空洞共振器16は、ガス改質時においてプレヒート層20と触媒層22とを加熱するための加熱装置として機能する。具体的な実施形態として、図1に示したガス改質装置10は、原料ガスを供給源24からプレヒート層20まで導く供給通路26と、プレヒート層20から2つの触媒層22に原料ガスを導く分岐した接続通路28と、触媒層22から改質後のガスを回収場所あるいは次工程30へと導く排出通路32を備えている。このようにプレヒート層20から2つの触媒層22へと通路を分岐させると、通路の内径を一定とした場合、触媒層22での原料ガスの流速を落として、着実に触媒反応を進行させることができる。しかし、他の実施形態として、プレヒート層20と触媒層22の数や配管の接続パターンは目的に応じて任意に変更することができる。配管はマイクロ波を吸収しにくい材料で形成することが好ましい。そのような材料の例としてはPTFEやアルミナが挙げられるが、これらに限定されない。図示していないが、ガスを圧送または吸引するためのポンプや流路を切り替えるための弁を必要な個所に設けることも可能である。
【0017】
原料ガスがマイクロ波により加熱されたプレヒート層20で予加熱された状態で触媒に接触するとともに、触媒自体もマイクロ波により加熱される。これによって触媒の温度が上昇し、原料ガスを改質する触媒反応が進行する。したがって、予加熱した原料ガスを用いずにマイクロ波だけで触媒を加熱する場合と比べると、触媒層22の温度分布の不均一が生じにくく、冒頭に述べたような熱暴走の可能性を抑えることができる。また、加熱開始時点における触媒のマイクロ波吸収効率があまり良くない場合でも、予加熱された原料ガスによって触媒自体も予加熱されるため、触媒が所望の温度まで上昇するまでの時間を短縮することができる。また、同一の空洞共振器16の中でプレヒート材料と触媒の両方を加熱することができるため、別の手段でプレヒートを行う場合と比べると、装置がコンパクトになるとともに加熱の効率が良い。
【0018】
[触媒層]
触媒層22は、原料ガスの改質に必要な触媒を含み、全体として配管内の定位置に固定できる形態としたものとする。例えば、上記のようにアンモニアを分解する改質を行う場合、触媒にはルテニウムを用いることができる。触媒の形態としては、粉末状、粒状、ペレット状、繊維状、塊状などの離散的な形態や、ハニカム状などの一体的な形態が挙げられるが、これらに限定されない。粉末状の触媒は多孔質材料などの担体に担持させることもできる。離散的な形態の触媒は、配管内の上流側と下流側において粒径よりも目が細かい押さえ板で保持することもできる。あるいは、不織布シートなど通気性のある素材からなるシートや袋を用いて保持することもできる。
【0019】
[プレヒート層の材料]
プレヒート層20は、強磁性体か強誘電体のいずれかであるプレヒート材料を含み、全体として配管内の定位置に固定できる形態としたものとする。強磁性体の例としては鉄、ニッケル、コバルト、強誘電体の例としてはチタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ロッシェル塩などが挙げられるが、これらに限定されない。具体的には、強磁性体や強誘電体はキュリー温度の観点から選択することができる。強誘電体は加熱によりキュリー温度に達すると常誘電体に相転移し、強磁性体はキュリー温度に達すると常磁性体となる。したがって、所望の上限温度に近いキュリー温度を有する強磁性体や強誘電体を選択とすることで、マイクロ波を照射し続けてもプレヒート材料や原料ガスの過熱を防ぐことができる。
【0020】
強磁性体や強誘電体の形態としては、粉末状、粒状、ペレット状、繊維状、塊状などの離散的な形態や、ハニカム状などの一体的な形態が挙げられるが、これらに限定されない。離散的な形態の強磁性体や強誘電体は、配管内の上流側と下流側において粒径よりも目が細かい押さえ板で保持することもできる。あるいは、不織布シートなど通気性のある素材からなるシートや袋を用いて保持することもできる。
【0021】
[プレヒート層の位置]
プレヒート材料に強磁性体を用いる場合は、マイクロ波の磁場成分34の腹をマイクロ波の照射方向におけるプレヒート層20の寸法(例えば円柱状のプレヒート層20であればその直径)の中に配置する。これにより強磁性体がもつヒステリシス損を有効に利用して加熱を行うことができる。その場合、マイクロ波の磁場成分の節(電場成分36の腹)がマイクロ波の照射方向におけるプレヒート層20の寸法の中に存在しないようにすることもできる。そのためには、マイクロ波の照射方向におけるプレヒート層20の寸法がマイクロ波の波長(例えば2.45GHzの場合は約12cm)の半分より小さい必要がある。これにより、磁場の振幅の差に起因する不均一加熱を抑えることができる。これは、マルチモードではなくシングルモード(定在波)のマイクロ波を用いることの利点である。なお、図1の空洞共振器16に重ねて描いた波形は磁場や電場そのものではなくそれらのエネルギーを示している(電場が実線、磁場が破線)。したがって、図1の波形に黒点で示した極大点と極小点はそれぞれ腹と節に相当する。
【0022】
図示はしていないが、別の実施形態として、プレヒート材料に強誘電体を用いる場合は、マイクロ波の電場成分の腹がマイクロ波の照射方向におけるプレヒート層の寸法の中に配置する。その場合、マイクロ波の磁場成分の腹(電場成分の節)がマイクロ波の照射方向におけるプレヒート層の寸法の中に存在しないようにすることができる。
【0023】
[触媒層の位置]
触媒が強磁性体である場合は、触媒層22をマイクロ波の磁場成分の腹の位置に配置することにより、上述のプレヒート層20の場合と同じ効果を得ることもできる。同様に、触媒が強誘電体である場合は、触媒層22をマイクロ波の電場成分の腹の位置に配置することもできる。しかしながら、触媒が強磁性体と強誘電体のいずれでもない場合は、触媒層22をマイクロ波の吸収特性に応じて磁場成分と電場成分のいずれかの腹の位置に配置することができる。例えば、上述のアンモニア分解のためのルテニウム触媒の場合は、図1に示したように、触媒層22を電場成分36の腹の位置に配置することができる。
【0024】
[吸着装置]
図2は、別の実施形態として、ガス中の特定の成分を吸着するための吸着装置40を示している。ガス中の成分の吸着は、例えば、工場から排出される二酸化炭素を含んだ廃ガスから二酸化炭素を吸着するものが考えられるが、これに限定されない。吸着装置40は、マイクロ波を発生させる発振器12と、発振器12と導波管14で接続されたシングルモードの空洞共振器16とを備え、空洞共振器16にはガスを通すための配管が貫通するように設けられる。
【0025】
配管の中には、ガスを予加熱するプレヒート層20と、ガス中の吸着対象成分を吸着する吸着層42とがそれぞれ空洞共振器16の内部を通過する部分に配置される。発振器12と空洞共振器16は、むしろ脱離(パージ)運転時においてプレヒート層20と吸着層42とを加熱するための加熱装置として機能するものであり、吸着運転時には発振器12を停止して電磁波の照射を行わない。具体的な実施形態として、図2に示した吸着装置40は、脱離運転時にパージガスを供給源44から2つのプレヒート層20まで導く供給通路46と、2つのプレヒート層20から合流しながら吸着層42に窒素などのパージガスを導く接続通路48と吸着層42から脱離した成分を含むパージガスを回収場所あるいは次工程50へと導く排出通路52を備えている。しかし、他の実施形態として、プレヒート層20と吸着層42の数や配管の接続パターンは目的に応じて任意に変更することができる。配管はマイクロ波を吸収しにくい材料で形成することが好ましい。そのような材料の例としてはPTFEやアルミナが挙げられるが、これらに限定されない。図示していないが、吸着運転時には、電磁波の照射を止めた状態で吸着前の廃ガスを脱離運転時と同方向または逆方向に流す。また、図示していないが、廃ガスやパージガスを圧送または吸引するためのポンプや流路を切り替えるための弁を必要な個所に設けることも可能である。
【0026】
パージガスがマイクロ波により加熱されたプレヒート層20で予加熱された状態で吸着剤に接触するとともに、吸着剤自体もマイクロ波により加熱される。これによって得られる効果は上述のガス改質の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0027】
[吸着層]
吸着層42は、ガス中の目的の成分を吸着することが可能な吸着剤を含み、全体として配管内の定位置に固定できる形態としたものとする。例えば、上記のように廃ガス中の二酸化炭素の吸着を行う場合、吸着剤にはゼオライトを用いることができる。吸着剤の形態としては、粉末状、粒状、ペレット状、繊維状、塊状などの離散的な形態や、ハニカム状などの一体的な形態が挙げられるが、これらに限定されない。粉末状の吸着剤は多孔質材料などの支持体に担持させることもできる。離散的な形態の吸着剤は、配管内の上流側と下流側において粒径よりも目が細かい押さえ板で保持することもできる。あるいは、不織布シートなど通気性のある素材からなるシートや袋を用いて保持することもできる。
【0028】
[プレヒート層]
プレヒート層20は、上述のガス改質の場合と同様に、強磁性体か強誘電体のいずれかであるプレヒート材料を含んだものとすることができる。プレヒート材料の選択・形態についてやプレヒート層20の位置については上述のガス改質の場合と同様にすることができ、得られる効果も同様であるため、説明を省略する。
【0029】
[吸着層の位置]
吸着剤が強磁性体である場合は、吸着層42をマイクロ波の磁場成分の腹の位置に配置することにより、上述のプレヒート層20の場合と同じ効果を得ることもできる。同様に、吸着剤が強誘電体である場合は、吸着層42をマイクロ波の電場成分の腹の位置に配置することもできる。しかしながら、吸着剤が強磁性体と強誘電体のいずれでもない場合は、吸着層42をマイクロ波の吸収特性に応じて磁場成分と電場成分のいずれかの腹の位置に配置することができる。例えば、上述の二酸化炭素吸着のためのゼオライトの場合は、図2に示したように、吸着層42を電場成分36の腹の位置に配置することができる。
【0030】
[他の実施形態]
他の実施形態として、必要に応じてマイクロ波以外の適切な波長帯の電磁波を用いることもできる。
【0031】
他の実施形態として、触媒層22や吸着層42とプレヒート層20は、上述のような一つの空洞共振器16の中ではなく、別個の空洞共振器(電磁波加熱装置)の中にそれぞれ配置して独立して加熱しても良い。あるいは、触媒層22や吸着層42は空洞共振器16の外部に配置し、電磁波以外の何らかの適切な加熱手段で加熱を行っても良い。
【0032】
他の実施形態として、上記のような電磁波加熱装置は、ガスの改質のための原料ガスの予加熱や吸着剤の脱離のためのパージガスの予加熱以外にも、単に何らかの加熱対象物を加熱するために用いてもよい。
【0033】
以上、具体的な実施形態を説明したが、本技術はこれらの実施形態に限定されるものではなく、当業者であれば本技術の目的を逸脱することなく様々な置換、改良、変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 ガス改質装置
12 発振器
14 導波管
16 空洞共振器
18 プランジャ
20 プレヒート層
22 触媒層
24 原料ガスの供給源
26 供給通路
28 接続通路
30 回収場所または次工程
32 改質されたガスの排出通路
34 マイクロ波の磁場成分
36 マイクロ波の電場成分
40 吸着装置
42 吸着層
44 パージガスの供給源
46 供給通路
48 接続通路
50 回収場所または次工程
52 パージガスの排出通路
図1
図2