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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176239
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】放射線検出器及び放射線検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20231206BHJP
   H01L 31/08 20060101ALI20231206BHJP
   H01L 31/107 20060101ALI20231206BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20231206BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20231206BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G01T1/20 E
G01T1/20 F
G01T1/20 G
G01T1/20 C
H01L31/00 A
H01L31/10 B
H01L31/10 G
H01L27/144 K
H01L27/146 D
H01L27/146 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088411
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中村 重幸
(72)【発明者】
【氏名】太田 剛
(72)【発明者】
【氏名】松本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】藤田 卓也
【テーマコード(参考)】
2G188
4M118
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
2G188BB02
2G188BB04
2G188CC15
2G188CC16
2G188CC19
2G188CC23
2G188DD04
2G188DD05
2G188DD42
2G188EE01
2G188EE03
2G188FF20
2G188FF25
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4M118FA27
4M118FA28
4M118GA02
4M118GA08
4M118GC20
4M118GD15
4M118HA30
4M118HA31
5F149AA07
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5F149BA17
5F149EA03
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(57)【要約】
【課題】放射線を精度良く検出することができる放射線検出器及び放射線検出装置を提供する。
【解決手段】放射線検出器1は、複数の受光領域23を有する光半導体素子2と、光半導体素子2上に配置されたシンチレータユニット3と、光半導体素子2とシンチレータユニット3との間に配置された接着層4と、を備える。シンチレータユニット3は、複数の受光領域23に対応している少なくとも一つのシンチレータ31を有する。複数の受光領域23のそれぞれは、互いに並列に接続された複数の受光部24を有する。複数の受光部24のそれぞれは、ガイガーモードで動作するAPD25と、APD25と直列に接続されたクエンチング抵抗26と、を含む。隣り合っている受光領域23の間の距離は、向かい合っている受光領域23及びシンチレータ31の間の距離よりも大きい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受光領域を有する光半導体素子と、
前記光半導体素子上に配置されたシンチレータユニットと、
前記光半導体素子と前記シンチレータユニットとの間に配置された接着層と、を備え、
前記シンチレータユニットは、前記複数の受光領域に対応している少なくとも一つのシンチレータを有し、
前記複数の受光領域のそれぞれは、互いに並列に接続された複数の受光部を有し、
前記複数の受光部のそれぞれは、
ガイガーモードで動作するアバランシェフォトダイオードと、
前記アバランシェフォトダイオードと直列に接続されたクエンチング抵抗と、を含み、
前記複数の受光領域のうち、隣り合っている受光領域の間の距離は、前記複数の受光領域及び前記少なくとも一つのシンチレータのうち、向かい合っている受光領域及びシンチレータの間の距離よりも大きい、放射線検出器。
【請求項2】
前記接着層は、前記光半導体素子及び前記シンチレータユニットのそれぞれに接触している、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記光半導体素子と前記シンチレータユニットとの間に配置された光学フィルタ層を更に備え、
前記接着層は、前記光学フィルタ層と前記シンチレータユニットとの間に配置されており、
前記光学フィルタ層は、前記光半導体素子及び前記接着層のそれぞれに接触しており、
前記接着層は、前記光学フィルタ層及び前記シンチレータユニットのそれぞれに接触している、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記隣り合っている前記受光領域の間の距離は、0.1mm以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記複数の受光部のそれぞれの幅は、50μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項6】
それぞれが前記光半導体素子である複数の光半導体素子が実装された配線基板を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記複数の光半導体素子は、一方向に並んでおり、
前記複数の光半導体素子のそれぞれにおいて、前記複数の受光領域は、前記一方向に並んでおり、
前記複数の受光領域は、
前記一方向における両端に位置している一対の第1受光領域と、
前記一対の第1受光領域の間に位置している複数の第2受光領域と、を含み、
前記一方向において、前記一対の第1受光領域のそれぞれの幅は、前記複数の第2受光領域のそれぞれの幅よりも小さい、請求項6に記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記複数の光半導体素子は、前記配線基板に直接実装されている、請求項6に記載の放射線検出器。
【請求項9】
前記複数の光半導体素子は、前記配線基板が有する共通のパッド上に固定されている、請求項8に記載の放射線検出器。
【請求項10】
前記少なくとも一つのシンチレータは、前記複数の受光領域に対応している複数のシンチレータである、請求項1~3のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項11】
前記シンチレータユニットは、前記複数のシンチレータのそれぞれの表面のうち前記光半導体素子側の面以外の面を覆っている光反射部材を更に有する、請求項10に記載の放射線検出器。
【請求項12】
請求項1~3のいずれか一項に記載の放射線検出器と、
前記複数の受光領域に対応しており、前記複数の受光領域のそれぞれから出力されたパルス信号を処理する複数の信号処理部と、を備え、
前記複数の信号処理部のそれぞれは、波形整形回路と、複数のコンパレータと、複数のカウンタと、を有し、
前記波形整形回路は、パルス幅が短くなるように前記パルス信号の波形を整形し、
前記複数のコンパレータのそれぞれは、前記波形整形回路から入力された前記パルス信号の強度を、互いに異なる複数の閾値のそれぞれと比較し、
前記複数のカウンタのそれぞれは、前記複数の閾値のそれぞれを超えた強度を有する前記パルス信号を、前記複数の閾値のそれぞれごとに計数する、放射線検出装置。
【請求項13】
前記複数の信号処理部のそれぞれは、アノード電位補正回路を更に有し、
前記アノード電位補正回路は、前記複数の受光領域のそれぞれのアノード側の電位を、前記複数の受光領域のそれぞれごとに補正する、請求項12に記載の放射線検出装置。
【請求項14】
前記複数の受光領域に対応しているカソード電位補正回路を更に備え、
前記カソード電位補正回路は、前記放射線検出器が更に備える温度センサから出力された信号に応じて、前記複数の受光領域のそれぞれのカソード側の電位を一括で補正する、請求項12に記載の放射線検出装置。
【請求項15】
前記複数の受光領域に対応している閾値リニアリティ補正回路を更に備え、
前記閾値リニアリティ補正回路は、前記複数の閾値のそれぞれが前記複数の受光領域の間において等しくなるように、前記複数の閾値のそれぞれを補正する、請求項12に記載の放射線検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器及び放射線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光電変換素子と、光電変換素子上に配置されたフィルタと、フィルタ上に配置された蛍光素子と、を備える放射線検出器が記載されている。特許文献1に記載の放射線検出器では、放射線が蛍光素子に入射すると、蛍光素子において光が発せられ、当該光のうち短波長帯の光のみがフィルタを透過して光電変換素子に入射し、当該短波長帯の光が光電変換素子によって検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-274675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような放射線検出器においては、複数の受光領域を有する光半導体素子が光電変換素子として用いられ、複数の受光領域に対応している少なくとも一つのシンチレータを有するシンチレータユニットが蛍光素子として用いられる場合がある。そのような場合には、放射線の入射によってシンチレータ内の或る領域で発せられた光が、当該領域と向かい合っている受光領域だけでなく、当該受光領域と隣り合っている受光領域にも入射することで、放射線の検出精度が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、放射線を精度良く検出することができる放射線検出器及び放射線検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の放射線検出器は、[1]「複数の受光領域を有する光半導体素子と、前記光半導体素子上に配置されたシンチレータユニットと、前記光半導体素子と前記シンチレータユニットとの間に配置された接着層と、を備え、前記シンチレータユニットは、前記複数の受光領域に対応している少なくとも一つのシンチレータを有し、前記複数の受光領域のそれぞれは、互いに並列に接続された複数の受光部を有し、前記複数の受光部のそれぞれは、ガイガーモードで動作するアバランシェフォトダイオードと、前記アバランシェフォトダイオードと直列に接続されたクエンチング抵抗と、を含み、前記複数の受光領域のうち、隣り合っている受光領域の間の距離は、前記複数の受光領域及び前記少なくとも一つのシンチレータのうち、向かい合っている受光領域及びシンチレータの間の距離よりも大きい、放射線検出器」である。
【0007】
上記放射線検出器では、隣り合っている受光領域の間の距離が、向かい合っている受光領域及びシンチレータの間の距離よりも大きい。これにより、放射線の入射によってシンチレータ内の或る領域で光が発せられた際に、当該領域と向かい合っている受光領域への光の入射が促進され、当該受光領域と隣り合っている受光領域への光の入射が抑制される。よって、上記放射線検出器によれば、放射線を精度良く検出することができる。
【0008】
本発明の放射線検出器は、[2]「前記接着層は、前記光半導体素子及び前記シンチレータユニットのそれぞれに接触している、上記[1]に記載の放射線検出器」であってもよい。この放射線検出器によれば、光半導体素子とシンチレータユニットとの間に複数の層の間の界面が存在しないため、放射線の入射によって或るシンチレータで光が発せられた際に、当該シンチレータと向かい合っている受光領域への光の入射がより促進され、当該受光領域と隣り合っている受光領域への光の入射がより抑制される。
【0009】
本発明の放射線検出器は、[3]「前記光半導体素子と前記シンチレータユニットとの間に配置された光学フィルタ層を更に備え、前記接着層は、前記光学フィルタ層と前記シンチレータユニットとの間に配置されており、前記光学フィルタ層は、前記光半導体素子及び前記接着層のそれぞれに接触しており、前記接着層は、前記光学フィルタ層及び前記シンチレータユニットのそれぞれに接触している、上記[1]に記載の放射線検出器」であってもよい。この放射線検出器によれば、放射線の入射によってシンチレータ内の或る領域で光が発せられた際に、所望の波長帯の光について、当該領域と向かい合っている受光領域への光の入射が促進され、当該受光領域と隣り合っている受光領域への光の入射が抑制される。
【0010】
本発明の放射線検出器は、[4]「前記隣り合っている前記受光領域の間の距離は、0.1mm以上である、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載の放射線検出器」であってもよい。この放射線検出器によれば、放射線の入射によってシンチレータ内の或る領域で光が発せられた際に、当該領域と向かい合っている受光領域と隣り合っている受光領域への光の入射がより抑制される。
【0011】
本発明の放射線検出器は、[5]「前記複数の受光部のそれぞれの幅は、50μm以下である、上記[1]~[4]のいずれか一つに記載の放射線検出器」であってもよい。この放射線検出器によれば、例えば、向かい合っている受光領域及びシンチレータの間にずれが生じた場合にも、放射線の検出においてエネルギー分解能が低下するのを抑制することができる。
【0012】
本発明の放射線検出器は、[6]「それぞれが前記光半導体素子である複数の光半導体素子が実装された配線基板を更に備える、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載の放射線検出器」であってもよい。この放射線検出器によれば、光半導体素子のサイズを適切なサイズに維持しつつ、放射線の検出範囲を拡大させることができる。
【0013】
本発明の放射線検出器は、[7]「前記複数の光半導体素子は、一方向に並んでおり、前記複数の光半導体素子のそれぞれにおいて、前記複数の受光領域は、前記一方向に並んでおり、前記複数の受光領域は、前記一方向における両端に位置している一対の第1受光領域と、前記一対の第1受光領域の間に位置している複数の第2受光領域と、を含み、前記一方向において、前記一対の第1受光領域のそれぞれの幅は、前記複数の第2受光領域のそれぞれの幅よりも小さい、上記[6]に記載の放射線検出器」であってもよい。この放射線検出器によれば、複数の受光領域に対応している複数のシンチレータをシンチレータユニットが有している場合に、一方向に並んだ複数の光半導体素子の配列ピッチがばらついたとしても、受光領域に対するシンチレータのずれが第1受光領域で吸収されるため、全ての光半導体素子において、受光領域に対するシンチレータのずれ量が大きくなるのを抑制することができる。
【0014】
本発明の放射線検出器は、[8]「前記複数の光半導体素子は、前記配線基板に直接実装されている、上記[6]又は[7]に記載の放射線検出器」であってもよい。この放射線検出器によれば、複数の光半導体素子のそれぞれにおいて発せられた熱を効率良く配線基板に逃がすことができ、複数の光半導体素子のそれぞれにおいてゲイン(増倍率)が変動したり、複数の光半導体素子の間でゲインがばらついたりするのを確実に抑制することができる。
【0015】
本発明の放射線検出器は、[9]「前記複数の光半導体素子は、前記配線基板が有する共通のパッド上に固定されている、上記[8]に記載の放射線検出器」であってもよい。この放射線検出器によれば、複数の光半導体素子のそれぞれにおいて発せられた熱をより効率良く配線基板に逃がすことができ、複数の光半導体素子のそれぞれにおいてゲインが変動したり、複数の光半導体素子の間でゲインがばらついたりするのをより確実に抑制することができる。
【0016】
本発明の放射線検出器は、[10]「前記少なくとも一つのシンチレータは、前記複数の受光領域に対応している複数のシンチレータである、上記[1]~[9]のいずれか一つに記載の放射線検出器」であってもよい。この放射線検出器によれば、放射線の入射によって或るシンチレータで光が発せられた際に、当該シンチレータと向かい合っている受光領域への光の入射が促進され、当該受光領域と隣り合っている受光領域への光の入射が抑制される。
【0017】
本発明の放射線検出器は、[11]「前記シンチレータユニットは、前記複数のシンチレータのそれぞれの表面のうち前記光半導体素子側の面以外の面を覆っている光反射部材を更に有する、上記[10]に記載の放射線検出器」であってもよい。この放射線検出器によれば、放射線の入射によって或るシンチレータで光が発せられた際に、当該シンチレータと向かい合っている受光領域への光の入射がより促進され、当該受光領域と隣り合っている受光領域への光の入射がより抑制される。
【0018】
本発明の放射線検出装置は、[12]「上記[1]~[11]のいずれか一つに記載の放射線検出器と、前記複数の受光領域に対応しており、前記複数の受光領域のそれぞれから出力されたパルス信号を処理する複数の信号処理部と、を備え、前記複数の信号処理部のそれぞれは、波形整形回路と、複数のコンパレータと、複数のカウンタと、を有し、前記波形整形回路は、パルス幅が短くなるように前記パルス信号の波形を整形し、前記複数のコンパレータのそれぞれは、前記波形整形回路から入力された前記パルス信号の強度を、互いに異なる複数の閾値のそれぞれと比較し、前記複数のカウンタのそれぞれは、前記複数の閾値のそれぞれを超えた強度を有する前記パルス信号を、前記複数の閾値のそれぞれごとに計数する、放射線検出装置」である。
【0019】
上記放射線検出装置によれば、複数の受光領域のそれぞれごとに放射線のエネルギー弁別が可能となる。
【0020】
本発明の放射線検出装置は、[13]「前記複数の信号処理部のそれぞれは、アノード電位補正回路を更に有し、前記アノード電位補正回路は、前記複数の受光領域のそれぞれのアノード側の電位を、前記複数の受光領域のそれぞれごとに補正する、上記[12]に記載の放射線検出装置」であってもよい。この放射線検出装置によれば、複数の受光領域のそれぞれごとにゲインを調整することができる。
【0021】
本発明の放射線検出装置は、[14]「前記複数の受光領域に対応しているカソード電位補正回路を更に備え、前記カソード電位補正回路は、前記放射線検出器が更に備える温度センサから出力された信号に応じて、前記複数の受光領域のそれぞれのカソード側の電位を一括で補正する、上記[12]又は[13]に記載の放射線検出装置」であってもよい。この放射線検出装置によれば、光半導体素子の温度に起因して複数の受光領域のゲインが変動するのを抑制することができる。
【0022】
本発明の放射線検出装置は、[15]「前記複数の受光領域に対応している閾値リニアリティ補正回路を更に備え、前記閾値リニアリティ補正回路は、前記複数の閾値のそれぞれが前記複数の受光領域の間において等しくなるように、前記複数の閾値のそれぞれを補正する、上記[12]~[14]のいずれか一つに記載の放射線検出装置」であってもよい。この放射線検出装置によれば、複数の受光領域の間において互いに対応している複数のコンパレータのそれぞれに入力される閾値がばらつくのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、放射線を精度良く検出することができる放射線検出器及び放射線検出装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一実施形態の放射線検出器の平面図である。
図2図1に示される放射線検出器の一部分の平面図である。
図3図1に示されるIII-III線に沿っての放射線検出器の断面図である。
図4図1に示される受光領域及びシンチレータの位置関係を示す図である。
図5図1に示される光半導体素子の一部分の断面図である。
図6図1に示される光半導体素子の回路図である。
図7】変形例の光半導体素子の一部分の断面図である。
図8】受光領域に対するシンチレータのずれ量とエネルギー分解能統計限界との関係を示すグラフである。
図9図3に示される放射線検出器の一部分の断面図である。
図10】実施例及び比較例についての放射線エネルギーと漏れ光との関係を示すグラフである。
図11】実施例及び比較例についてのエネルギー分解能を示すグラフである。
図12】実施例及び比較例についての正規化出力を示すグラフである。
図13】実施例及び比較例についての放射線線量率とゲイン変動との関係を示すグラフである。
図14】一実施形態の放射線検出装置のブロック図である。
図15】変形例の放射線検出器の一部分の断面図である。
図16】変形例の放射線検出器の光半導体素子の平面図である。
図17】変形例の放射線検出器の平面図である。
図18】変形例の放射線検出器の分解斜視図である。
図19】変形例の放射線検出器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[放射線検出器の構成]
【0026】
図1図2及び図3に示されるように、放射線検出器1は、複数の光半導体素子2と、複数のシンチレータユニット3と、接着層4と、配線基板5と、複数のワイヤ6と、保護樹脂部材7と、温度センサ8と、を備えている。以下の説明では、配線基板5の厚さ方向をZ方向といい、Z方向に平行な一方向をX方向といい、Z方向及びX方向の両方向に垂直な方向をY方向という。なお、図1及び図2では、保護樹脂部材7が二点鎖線で示されている。また、図2では、複数のシンチレータユニット3の図示が省略されている。
【0027】
配線基板5は、表面5a及び裏面5bを有している。配線基板5は、Z方向から見た場合に、例えば、X方向を長辺方向とし且つY方向を短辺方向とする長方形状を呈している。配線基板5の表面5aには、実装パッド(パッド)51が設けれている。実装パッド51は、例えば、Y方向に所定の幅を有しており、表面5aを横切るようにX方向に延在している。複数の光半導体素子2は、X方向(一方向)に一列に並んだ状態で、例えばダイボンディングによって、配線基板5が有する共通の実装パッド51上に固定されている。つまり、複数の光半導体素子2は、配線基板5に直接実装されている。温度センサ8は、複数の光半導体素子2の温度を測定するためのセンサであり、配線基板5の裏面5bに実装されている。
【0028】
各光半導体素子2は、半導体層21と、配線層22と、を有している。半導体層21は、表面21a及び裏面21bを有している。配線層22は、半導体層21の表面21a上に形成されている。本実施形態では、半導体層21の裏面21bが実装パッド51に固定されている。各光半導体素子2は、Z方向から見た場合に、例えば、X方向を長辺方向とし且つY方向を短辺方向とする長方形状を呈している。各光半導体素子2において、半導体層21及び配線層22は、複数の受光領域23を構成している。つまり、各光半導体素子2は、複数の受光領域23を有している。各光半導体素子2において、複数の受光領域23は、X方向に一列に並んでいる。
【0029】
X方向において、一対の受光領域(第1受光領域)23Aのそれぞれの幅は、複数の受光領域(第2受光領域)23Bのそれぞれの幅よりも小さい。一対の受光領域23Aは、各光半導体素子2が有する複数の受光領域23のうち、X方向における両端に位置している一対の受光領域である。複数の受光領域23Bは、各光半導体素子2が有する複数の受光領域23のうち、一対の受光領域23Aの間に位置している複数の受光領域である。各受光領域23Aは、Z方向から見た場合に、例えば、Y方向を長辺方向とし且つX方向を短辺方向とする長方形状を呈している。各受光領域23Bは、Z方向から見た場合に、例えば、正方形状状を呈している。各受光領域23Bの一辺の長さは、例えば、1mm程度である。隣り合っている受光領域23の間の距離は、例えば、0.2mm程度である。
【0030】
各光半導体素子2において、配線層22における半導体層21とは反対側の表面には、複数のアノード電極パッド22A、及びカソード電極パッド22Bが設けられている。各アノード電極パッド22Aは、各受光領域23に対して、Y方向における一方の側に位置している。カソード電極パッド22Bは、複数のアノード電極パッド22Aに対して、X方向における一方の側に位置している。一つのアノード電極パッド22Aは、一つの受光領域23に対応しており、一つの受光領域23のアノード側に電気的に接続されている(詳細については後述する)。カソード電極パッド22Bは、複数の受光領域23に対応しており、複数の受光領域23のカソード側に電気的に接続されている(詳細については後述する)。各電極パッド22A,22Bは、各受光領域23から、例えば、Y方向に1mm以上離れている。
【0031】
配線基板5の表面5aには、複数の個別電極パッド52A及び複数の共通電極パッド52Bが設けられている。各個別電極パッド52Aは、各アノード電極パッド22Aに対して、Y方向における一方の側に位置している。各共通電極パッド52Bは、各カソード電極パッド22Bに対して、Y方向における一方の側に位置している。複数の共通電極パッド52Bは、実装パッド51と一体で(一続きで)形成されている。対応しているアノード電極パッド22A及び個別電極パッド52Aには、ワイヤ6が掛け渡されている。同様に、対応しているカソード電極パッド22B及び共通電極パッド52Bには、ワイヤ6が掛け渡されている。
【0032】
複数の電極パッド22A,22B,52A,52B及び複数のワイヤ6は、保護樹脂部材7によって覆われている。放射線検出器1では、上述したように、各電極パッド22A,22Bが、各受光領域23から、例えば、Y方向に1mm以上離れている。そのため、放射線検出器1の製造時に保護樹脂部材7が各受光領域23上に至ることが防止される。
【0033】
配線基板5の裏面5bには、コネクタ53が設けられている。コネクタ53は、配線基板5における電気信号の入出力ポートである。放射線検出器1では、コネクタ53を介して、各光半導体素子2に対する電気信号の入出力、及び温度センサ8に対する電気信号の入出力が実施される。
【0034】
複数のシンチレータユニット3は、X方向に一列に並んでいる。複数のシンチレータユニット3は、複数の光半導体素子2に対応している。具体的には、各シンチレータユニット3は、接着層4を介して、各光半導体素子2上に配置されている。接着層4は、複数の光半導体素子2と複数のシンチレータユニット3との間に配置されている。接着層4は、複数の光半導体素子2及び複数のシンチレータユニット3のそれぞれに接触している。接着層4の材料は、例えば、シリコーン接着剤、エポキシ接着剤等である。接着層4の厚さは、例えば、100μm未満(典型的には、20~30μm程度)である。
【0035】
各シンチレータユニット3は、複数のシンチレータ31と、光反射部材32と、を有している。各シンチレータユニット3において、複数のシンチレータ31は、X方向に一列に並んでいる。複数のシンチレータ31は、複数の受光領域23に対応している。具体的には、各シンチレータ31は、接着層4を介して、各受光領域23上に配置されている。各シンチレータ31は、例えば、Z方向を長手方向とする直方体状を呈している。Z方向に垂直な各シンチレータ31の断面形状は、Z方向から見た場合における各受光領域23Bの形状と略同じであり(図4参照)、例えば、正方形状状である。各シンチレータ31の材料は、例えば、LYSO:Ce、YAP:Ce、LuAG:Pr等である。X方向及びY方向のそれぞれの方向における各シンチレータ31の幅は、例えば、1mm程度である。Z方向における各シンチレータ31の高さは、例えば、数mm程度である。
【0036】
各シンチレータユニット3において、光反射部材32は、各シンチレータ31の表面31aのうち光半導体素子2側の面31b以外の面を覆っている。或るシンチレータ31に放射線(例えば、X線、γ線等)が入射して当該シンチレータ31において光が発せられると、当該光は、面31bに向かって進行したり光反射部材32によって反射されたりすることで、面31bから出射される。光反射部材32の材料は、例えば、酸化チタン等である。光反射部材32の厚さ(隣り合っているシンチレータ31の間の距離に相当)は、例えば、0.2mm程度である。
[光半導体素子の構成]
【0037】
上述したように、各光半導体素子2は、複数の受光領域23を有している。図4に示されるように、受光領域23は、複数の受光部24を有している。複数の受光部24は、Z方向に垂直な面に沿って二次元に配置されている。本実施形態では、複数の受光部24は、X方向を行方向とし且つY方向を列方向としてマトリックス状に並んでいる。各受光部24は、SPAD(Single Photon Avalanche Diode)であり、光半導体素子2は、一つの受光領域23によって一つのチャンネルが構成されたSiPM(Silicon Photomultiplier)である。
【0038】
図5に示されるように、半導体層21は、一つの受光部24ごとに、N型半導体領域211と、P型半導体領域212と、P型半導体領域213と、を含んでいる。N型半導体領域211は、複数の受光部24に渡って延在している。P型半導体領域212は、半導体層21の表面21aに沿ってN型半導体領域211内に形成されており、N型半導体領域211とPN接合を構成している。P型半導体領域213は、半導体層21の表面21aに沿ってP型半導体領域212内に形成されている。各受光部24では、N型半導体領域211、P型半導体領域212及びP型半導体領域213によってAPD(アバランシェフォトダイオード)25が構成されている。半導体層21の材料は、例えば、シリコンである。半導体層21において、P型の不純物は、例えば、B等の3族元素であり、N型の不純物は、例えば、N、P、As等の5族元素である。
【0039】
半導体層21は、トレンチ21cを有している。トレンチ21cは、各P型半導体領域212を互いに仕切るように延在している。トレンチ21cは、半導体層21の表面21aに開口している。表面21aからのトレンチ21cの深さは、表面21aからのP型半導体領域212の深さよりも大きい。各受光部24において、P型半導体領域212とトレンチ21cとの間には、N型半導体領域211の一部分が配置されている。トレンチ21cの内面に沿っては、絶縁領域214が形成されている。絶縁領域214の材料は、例えば、SiOである。トレンチ21c内には、金属部材215が配置されている。金属部材215の材料は、例えば、Wである。トレンチ21cの幅は、例えば、0.5μm程度である。トレンチ21cの深さは、例えば、数μm程度である。
【0040】
配線層22は、一つの受光領域23に対して、複数のクエンチング抵抗26と、複数の貫通電極27と、読出配線28と、絶縁層29と、を有している。絶縁層29は、複数の絶縁膜によって構成されており、複数の受光領域23に渡って延在している。各絶縁膜の材料は、例えば、SiO又はSiNである。複数のクエンチング抵抗26、複数の貫通電極27、及び読出配線28は、絶縁層29内に形成されている。
【0041】
一つのクエンチング抵抗26は、一つのAPD25と共に一つの受光部24を構成している。各受光部24において、クエンチング抵抗26は、Z方向から見た場合にP型半導体領域213の外縁に沿って延在している。クエンチング抵抗26の一端26aは、貫通電極27を介してP型半導体領域213に電気的に接続されている。クエンチング抵抗26の他端(図示省略)は、読出配線28に電気的に接続されている。クエンチング抵抗26の材料は、例えば、SiCrである。貫通電極27の材料は、例えば、Alである。
【0042】
読出配線28は、複数の開口28aを有している。各受光部24において、開口28aは、Z方向から見た場合に各P型半導体領域213及びクエンチング抵抗26を含んでいる。各受光領域23において、読出配線28は、複数の受光部24に渡って延在している。読出配線28は、対応しているアノード電極パッド22A(図2参照)に電気的に接続されている。読出配線28の材料は、例えば、Alである。なお、各受光領域23において複数の受光部24に渡って延在しているN型半導体領域211は、貫通電極(図示省略)等を介してカソード電極パッド22B(図2参照)に電気的に接続されている。
【0043】
図6は、光半導体素子2の回路図である。図6に示されるように、各受光領域23は、互いに並列に接続された複数の受光部24を有している。各受光部24は、APD25と、APD25と直列に接続されたクエンチング抵抗26と、を含んでいる。各受光領域23において、各APD25のアノードは、各クエンチング抵抗26を介してアノード電極パッド22Aに電気的に接続されており、各APD25のカソードは、カソード電極パッド22Bに電気的に接続されている。なお、図6に示される「DAC」については後述する。
【0044】
光半導体素子2では、各APD25がガイガーモードで動作する。ガイガーモードでは、APD25のブレイクダウン電圧よりも大きい逆方向電圧(逆バイアス電圧)が各APD25に印加される。一例として、各アノード電極パッド22Aが抵抗Rを介して接地されている場合、APD25のブレイクダウン電圧よりも大きい正の電圧がカソード電極パッド22Bに印加される。
【0045】
各APD25がガイガーモードで動作している状態で、任意の且つ少なくとも一つのAPD25に光が入射すると、当該APD25において、光電変換によって電荷が発生し、発生した電荷がアバランシェ増倍によって増幅される。当該APD25において増幅された電荷は、対応しているクエンチング抵抗26を介してアノード電極パッド22Aに出力され、アノード電極パッド22Aから外部の信号処理部にパルス信号として出力される。
[受光領域及びシンチレータに関する寸法]
【0046】
図5に示されるように、複数の受光領域23のうち、隣り合っている受光領域23の間の距離D1は、複数の受光領域23及び複数のシンチレータ31のうち、向かい合っている受光領域23及びシンチレータ31の間の距離D2よりも大きい。本実施形態では、隣り合っている受光領域23の間の距離D1は、0.1mm以上であり、向かい合っている受光領域23及びシンチレータ31の間の距離D2は、0.1mm未満である。本実施形態では、各受光部24の幅D3は、50μm以下である。
【0047】
隣り合っている受光領域23の間の距離D1とは、隣り合っている受光領域23に着目した場合に、「Z方向から見た場合に、一方の受光領域23の外縁に沿って延在している分離領域(本実施形態では、トレンチ21c及び絶縁領域214によって構成された領域)の内縁」と「Z方向から見た場合に、他方の受光領域23の外縁に沿って延在している分離領域(本実施形態では、トレンチ21c及び絶縁領域214によって構成された領域)の内縁」との最短距離を意味する。向かい合っている受光領域23及びシンチレータ31の間の距離D2とは、「複数のAPD25が形成されている半導体層21におけるシンチレータ31側の面(本実施形態では、表面21a)」と「シンチレータ31における半導体層21側の面(本実施形態では、面31b)」との最短距離を意味する。受光部24の幅D3とは、Z方向から見た場合に、分離領域(本実施形態では、トレンチ21c及び絶縁領域214によって構成された領域)の内縁によって画定された部分の幅であって、X方向及びY方向のそれぞれの方向における当該部分の幅を意味する。
【0048】
ここで、分離領域とは、各受光領域23の外縁に沿って並んだAPD25において空乏層20が外側に広がるのを抑制する領域である。本実施形態では、分離領域は、トレンチ21c及び絶縁領域214によって構成された領域である。一例として、分離領域は、Z方向から見た場合に各APD25においてP型半導体領域212を囲むN型半導体領域によって構成された領域であってもよい。
【0049】
なお、分離領域が設けられていない場合における距離D1とは、図7に示されるように、隣り合っている受光領域23に着目した場合に、「一方の受光領域23の外縁に沿って並んだAPD25において空乏層20が最大に広がった際の当該空乏層20の外縁」と「他方の受光領域23の外縁に沿って並んだAPD25において空乏層20が最大に広がった際の当該空乏層20の外縁」との最短距離を意味する。分離領域が設けられていない場合における受光部24の幅D3とは、APD25において空乏層20が最大に広がった際の当該空乏層20の幅であって、X方向及びY方向のそれぞれの方向における当該空乏層20の幅を意味する。或いは、分離領域が設けられていない場合における受光部24の幅D3とは、一つの受光領域23内において隣り合うP型半導体領域213の中心間距離(Z方向から見た場合における中心間距離)を意味する。
【0050】
図8は、受光領域23に対するシンチレータ31のずれ量とエネルギー分解能統計限界との関係を示すグラフである。このシミュレーションでは、サンプル1~5を用意した。サンプル1~5では、Z方向から見た場合における受光領域23の形状を1mm×1mmmの正方形状とし、Z方向に垂直なシンチレータ31の断面形状を1mm×1mmの正方形状とした。それを前提として、サンプル1では、Z方向から見た場合における受光部24の形状を15μm×15μmの正方形状とした。サンプル2では、Z方向から見た場合における受光部24の形状を25μm×25μmの正方形状とした。サンプル3では、Z方向から見た場合における受光部24の形状を50μm×50μmの正方形状とした。サンプル4では、Z方向から見た場合における受光部24の形状を75μm×75μmの正方形状とした。サンプル5では、Z方向から見た場合における受光部24の形状を100μm×100μmの正方形状とした。なお、サンプル1~5において、隣り合っている受光部24の間の距離は同じにした。
【0051】
図4に示されるように、受光領域23に対するシンチレータ31のずれ量dをX方向とY方向とで等しくしつつ、当該ずれ量を変化させ、サンプル1~5のそれぞれについてずれ量ごとにエネルギー分解能統計限界を求めた。このとき、入射光量を960フォトンとし、検出効率(Photon Detection Efficiency)を50%とした。一般に、放射線のエネルギー弁別を実現するためには、40%以下のエネルギー分解能が必要となる。また、一般に、受光領域23に対するシンチレータ31のずれ量は、数十~100μm程度である。図8に示されるように、ずれ量が数十~100μm程度の範囲でエネルギー分解能統計限界が40%以下となるのは、サンプル1~3であった。このシミュレーション結果から、各受光部24の幅D3が50μm以下であることが好ましいことが分かる。
[放射線検出器による作用及び効果]
【0052】
放射線検出器1では、隣り合っている受光領域23の間の距離D1が、向かい合っている受光領域23及びシンチレータ31の間の距離D2よりも大きい。これにより、図9に示されるように、放射線(図9に示される実線)の入射によって或るシンチレータ31で光(図9に示される破線)が発せられた際に、当該シンチレータ31と向かい合っている受光領域23への光の入射が促進され、当該受光領域23と隣り合っている受光領域23への光の入射が抑制される。よって、放射線検出器1によれば、放射線を精度良く検出することができる。
【0053】
放射線検出器1は、複数の光半導体素子2と複数のシンチレータユニット3との間に配置された接着層4が、複数の光半導体素子2及び複数のシンチレータユニット3のそれぞれに接触している。これにより、対応している光半導体素子2及びシンチレータユニット3の間に複数の層の間の界面が存在しないため、放射線の入射によって或るシンチレータ31で光が発せられた際に、当該シンチレータ31と向かい合っている受光領域23への光の入射がより促進され、当該受光領域23と隣り合っている受光領域23への光の入射がより抑制される。
【0054】
放射線検出器1では、隣り合っている受光領域23の間の距離D1が0.1mm以上である。これにより、放射線の入射によって或るシンチレータ31で光が発せられた際に、当該シンチレータ31と向かい合っている受光領域23と隣り合っている受光領域23への光の入射がより抑制される。
【0055】
放射線検出器1では、各受光部24の幅D3が50μm以下である。これにより、例えば、向かい合っている受光領域23及びシンチレータ31の間にずれが生じた場合にも、放射線の検出においてエネルギー分解能が低下するのを抑制することができる。
【0056】
放射線検出器1では、配線基板5に複数の光半導体素子2が実装されている。これにより、各光半導体素子2のサイズを適切なサイズに維持しつつ、放射線の検出範囲を拡大させることができる。
【0057】
放射線検出器1では、複数の光半導体素子2がX方向に並んでおり、各光半導体素子2において、複数の受光領域23がX方向に並んでいる。そして、複数の受光領域23のうち、X方向における両端に位置している一対の受光領域23Aのそれぞれの幅が、複数の受光領域23のうち、一対の受光領域23Aの間に位置している複数の受光領域23Bのそれぞれの幅よりも小さい。これにより、X方向に並んだ複数の光半導体素子2の配列ピッチがばらついた場合にも、受光領域23に対するシンチレータ31のずれが受光領域23Aで吸収されるため、全ての光半導体素子2において、受光領域23に対するシンチレータ31のずれ量が大きくなるのを抑制することができる。
【0058】
放射線検出器1では、複数の光半導体素子2が配線基板5に直接実装されている。これにより、各光半導体素子2において発せられた熱を効率良く配線基板5に逃がすことができ、各光半導体素子2においてゲイン(増倍率)が変動したり、複数の光半導体素子2の間でゲインがばらついたりするのを確実に抑制することができる。
【0059】
放射線検出器1では、複数の光半導体素子2が、配線基板5が有する共通の実装パッド51上に固定されている。これにより、各光半導体素子2において発せられた熱をより効率良く配線基板5に逃がすことができ、各光半導体素子2においてゲインが変動したり、複数の光半導体素子2の間でゲインがばらついたりするのをより確実に抑制することができる。
【0060】
実施例及び比較例を用いて、効果について更に説明する。実施例の放射線検出器としては、上述した放射線検出器1と同様に、複数の光半導体素子2と複数のシンチレータユニット3との間に接着層4のみが配置されており、隣り合っている受光領域23の間の距離D1が、向かい合っている受光領域23及びシンチレータ31の間の距離D2よりも大きいものを用意した。比較例の放射線検出器としては、複数の光半導体素子2がパッケージに収容されていることで、複数の光半導体素子2と複数のシンチレータユニット3との間に接着層4及び保護ガラス部材が配置されており、向かい合っている受光領域23及びシンチレータ31の間の距離D2が、隣り合っている受光領域23の間の距離D1よりも大きいものを用意した。
【0061】
図10は、実施例及び比較例についての放射線エネルギーと漏れ光との関係を示すグラフである。実施例の放射線検出器及び比較例の放射線検出器のそれぞれにおいて、所定のシンチレータ31にγ線を入射させ、当該シンチレータ31と向かい合っている受光領域23と隣り合っている受光領域23での信号量(p.e.:photoelectron)を漏れ光として測定した。その結果、図10に示されるように、実施例の放射線検出器では、120keVのγ線に対しては漏れ光が殆どなかった。300keV以上のγ線に対しても、実施例の放射線検出器では、比較例の放射線検出器と比較して、漏れ光が40%程度に抑制された。
【0062】
図11は、実施例及び比較例についてのエネルギー分解能を示すグラフである。実施例の放射線検出器及び比較例の放射線検出器のそれぞれにおいて、所定のシンチレータ31にγ線を入射させ、当該シンチレータ31と向かい合っている受光領域23でのカウント値を測定した。その結果、図11に示されるように、比較例の放射線検出器では、59.5keVのγ線についてのエネルギー分解能が41.5%となったのに対し、実施例の放射線検出器では、59.5keVのγ線についてのエネルギー分解能が31.8%となった。このように、実施例の放射線検出器では、比較例の放射線検出器と比較して、エネルギー分解能が向上していることが確認された。
【0063】
図12は、実施例及び比較例についての正規化出力を示すグラフである。実施例の放射線検出器及び比較例の放射線検出器のそれぞれにおいて、X線を照射した状態で、所定の長さを有する対象物をスキャン方向に移動させ、所定の受光領域23での出力を測定した。その結果、図12示されるように、比較例の放射線検出器では、対象物の通過前の出力に比べて対象物の通過直後の出力が一時的に増加し、その後、出力が徐々に減少して対象物の通過前の出力と同等となった。これは、対象物の通過中に光半導体素子2の温度が下がって受光領域23のゲインが大きくなり、対象物の通過後に光半導体素子2の温度が徐々に上がって受光領域23のゲインが徐々に小さくなったことを意味する。それに対し、実施例の放射線検出器では、対象物の通過前と通過後とで出力が同等となった。これは、光半導体素子2において発せられた熱が効率良く逃がされることで光半導体素子2の温度が略一定に維持され、ゲインの変動が抑制されていることを意味する。
【0064】
図13は、実施例及び比較例についての放射線線量率とゲイン変動との関係を示すグラフである。実施例の放射線検出器及び比較例の放射線検出器のそれぞれにおいて、X線を照射した状態で、所定の受光領域23での出力を測定した。その結果、図13に示されるように、実施例の放射線検出器では、比較例の放射線検出器と比較して、温度安定性が6倍程度向上していることが確認された。
[放射線検出装置]
【0065】
図14は、上述した放射線検出器1を備える放射線検出装置10のブロック図である。図14に示されるように、放射線検出装置10は、放射線検出器1と、複数の信号処理部11と、閾値リニアリティ補正回路15と、カソード電位補正回路13と、を備えている。なお、複数の信号処理部11については、図10では、一つの信号処理部11のみが図示されている。
【0066】
複数の信号処理部11は、一つの光半導体素子2ごとに、複数の受光領域23に対応している。つまり、一つの受光領域23に対して一つの信号処理部11が設けられている。各信号処理部11は、対応している受光領域23から出力されたパルス信号を処理する。一例として、複数の信号処理部11は、物理的には、一つの集積回路によって構成されている。
【0067】
各信号処理部11は、アノード電位補正回路12と、波形整形回路14と、n個(nは2以上の整数)のコンパレータ16~16と、n個のカウンタ17~17と、を有している。波形整形回路14は、受光領域23から出力されたパルス信号の波形を整形する。具体的には、波形整形回路14は、パルス幅が短くなるようにパルス信号の波形を整形する。各コンパレータ16~16は、波形整形回路14から入力されたパルス信号の強度を、閾値リニアリティ補正回路15から入力された各閾値Th~Thと比較する。各閾値Th~Thは、パルス信号の強度に対する閾値であり、ThからThまで段階的に大きくなっている。各カウンタ17~17は、各閾値Th~Thを超えた強度を有するパルス信号を、複数の閾値Th~Thのそれぞれごとに計数する。
【0068】
以上のように構成された複数の信号処理部11を放射線検出装置10が備えることで、複数の受光領域23のそれぞれごとに放射線のエネルギー弁別が可能となる。その結果、対象物のカラーX線像を生成したり、複数種の物質の密度を測定したりすることが可能となる。
【0069】
アノード電位補正回路12は、各受光領域23のアノード側の電位を、複数の受光領域23のそれぞれごとに補正する。具体的には、図6に示されるように、各受光領域23について、アノード電位補正回路12は、アノード電極パッド22Aと抵抗Rとの間に電位(図6において「DAC」で示される電位)を、各受光領域23のゲインが同等となるように補正する。これにより、例えば、46Vの電圧がカソード電極パッド22Bに印加されている状態でも、各受光領域23には個別に電圧が印加されることになる。このように構成されたアノード電位補正回路12を信号処理部11が有することで、複数の受光領域23のそれぞれごとにゲインを調整することができる。
【0070】
図14に示されるように、カソード電位補正回路13は、複数の受光領域23に対応している。つまり、複数の受光領域23に対して一つのカソード電位補正回路13が設けられている。本実施形態では、複数の光半導体素子2に一つのカソード電位補正回路13が設けられている。カソード電位補正回路13は、温度センサ8から出力された信号に応じて、複数の受光領域23のそれぞれのカソード側の電位を一括で補正する。これにより、光半導体素子2の温度に起因して複数の受光領域23のゲインが変動するのを抑制することができる。
【0071】
閾値リニアリティ補正回路15は、複数の受光領域23に対応している。つまり、複数の受光領域23に対して一つの閾値リニアリティ補正回路15が設けられている。本実施形態では、複数の光半導体素子2に一つの閾値リニアリティ補正回路15が設けられている。閾値リニアリティ補正回路15は、各コンパレータ16~16に各閾値Th~Thを入力する。閾値リニアリティ補正回路15は、各閾値Th~Thが複数の受光領域23の間(換言すれば、複数の信号処理部11の間)において等しくなるように、各閾値Th~Thを補正する。一例として、閾値リニアリティ補正回路15は、複数の信号処理部11のそれぞれごとに且つ複数のコンパレータ16~16のそれぞれごとに記憶している換算コード又は換算パラメータに基づいて、複数の信号処理部11の間において互いに対応している複数の閾値Th(mは1~nのいずれかの整数)が互いに等しくなるように、各閾値Th~Thを補正する。これにより、複数の受光領域23の間(換言すれば、複数の信号処理部11の間)において互いに対応している複数のコンパレータ16のそれぞれに入力される閾値がばらつくのを抑制することができる。
[変形例]
【0072】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、図15に示されるように、光半導体素子2とシンチレータユニット3との間に光学フィルタ層9が配置されていてもよい。一例として、光学フィルタ層9は、光半導体素子2におけるシンチレータユニット3側の表面に成膜された誘電体多層膜によって構成されている。光学フィルタ層9とシンチレータユニット3との間には、接着層4が配置されている。光学フィルタ層9は、光半導体素子2及び接着層4のそれぞれに接触している。接着層4は、光学フィルタ層9及びシンチレータユニット3のそれぞれに接触している。この場合にも、隣り合っている受光領域23の間の距離D1は、向かい合っている受光領域23及びシンチレータ31の間の距離D2よりも大きい。光学フィルタ層9の厚さと接着層4の厚さとの和は、例えば、100μm未満である。なお、光学フィルタ層9は、光半導体素子2におけるシンチレータユニット3側の表面に接着されたものであってもよい。
【0073】
図15に示される構成によれば、放射線の入射によって或るシンチレータ31で光が発せられた際に、所望の波長帯の光について、当該シンチレータ31と向かい合っている受光領域23への光の入射が促進され、当該受光領域23と隣り合っている受光領域23への光の入射が抑制される。一例として、光学フィルタ層9は、シンチレータ31において発せられた光のうち、短波長帯の光(図15に示される破線)を透過させ且つ長波長帯の光(図15に示される点線)をカットするように構成されていてもよい。一般に、短波長帯の光(例えば、青色の光、紫外線等)は、長波長帯の光に比べ、発光の減衰時定数が短くなる。そのため、光半導体素子2において短波長帯の光のみが検出されるように放射線検出器1を構成することで、放射線線量率を向上させることができる。
【0074】
また、図16に示されるように、複数の受光領域23は、光半導体素子2において二次元状に配置されていてもよい。図16に示される構成では、複数の受光領域23が、X方向を行方向とし且つY方向を列方向としてマトリックス状に並んでいる。複数のアノード電極パッド22A、及びカソード電極パッド22Bは、複数の受光領域23に対して、Y方向における一方の側に位置している。
【0075】
また、図17に示されるように、複数の光半導体素子2は、二列に並んだ状態で、配線基板5に実装されていてもよい。図17に示される構成では、一方の側(図17における下側)の一列の複数の光半導体素子2では、複数のアノード電極パッド22A、及びカソード電極パッド22Bが、複数の受光領域23に対して、Y方向における一方の側に位置している。他方の側(図17における上側)の一列の複数の光半導体素子2では、複数のアノード電極パッド22A、及びカソード電極パッド22Bが、複数の受光領域23に対して、Y方向における他方の側に位置している。なお、図17では、保護樹脂部材7が二点鎖線で示されている。また、図17では、複数のシンチレータユニット3の図示が省略されている。
【0076】
また、光半導体素子2は、裏面入射型であってもよい。つまり、半導体層21において、複数のP型半導体領域212及びP型半導体領域213が、半導体層21におけるシンチレータユニット3とは反対側の表面に沿って配置されていてもよい。その場合、半導体層21におけるシンチレータユニット3とは反対側の表面に開口しており且つ各P型半導体領域212を互いに仕切っているトレンチ21cが、半導体層21に形成されていてもよい。また、SiPMとして機能する光半導体素子2において、各受光部24は、N型とP型とが逆の構成等、他の構成を有していてもよい。一例として、N型半導体領域211、P型半導体領域212及びP型半導体領域213が、それぞれ、P型半導体領域、N型半導体領域及びN型半導体領域であってもよい。また、半導体層21の材料は、シリコンに限定されず、化合物半導体であってもよい。また、光半導体素子2では、配線層22が半導体層21の表面21aに形成されていなくてもよい。また、上述した実施形態では、配線基板5において、実装パッド51が複数の共通電極パッド52Bに電気的に接続されていたが、実装パッド51は、複数の共通電極パッド52Bに電気的に接続されていなくてもよい。また、放射線検出器1は、少なくとも一つの光半導体素子2を備えていればよい。
【0077】
また、複数の光半導体素子2が配線基板5に実装されている構成では、一つの光半導体素子2に対して四方向に光半導体素子2が配置されていてもよい。そのような光半導体素子2の配置を可能とする構成について、図18及び図19を参照して説明する。
【0078】
図18に示される構成では、一つの光半導体素子2に着目した場合に、ASIC(application specific integrated circuit)100、光半導体素子2、接着層4及びシンチレータユニット3がこの順序で配線基板5の表面5aに積層されている。光半導体素子2は、X方向を行方向とし且つY方向を列方向としてマトリックス状に並んだ複数の受光領域23を有している。光半導体素子2は、例えば、裏面入射型であり、複数のアノード電極パッド(図示省略)、及びカソード電極パッド(図示省略)が、光半導体素子2における配線基板5側の表面に設けられている。ASIC100は、複数のバンプ電極54を介して、配線基板5に電気的に接続されており且つ配線基板5に固定されている。光半導体素子2は、ASIC100における光半導体素子2側の表面に設けられた複数の直接接合用電極101を介して、ASIC100に電気的に接続されており且つASIC100に固定されている。シンチレータユニット3は、接着層4を介して、光半導体素子2に固定されている。
【0079】
図19に示される構成では、一つの光半導体素子2に着目した場合に、光半導体素子2、接着層4及びシンチレータユニット3がこの順序で配線基板5の表面5aに積層されている。配線基板5の裏面5bには、ASIC100が実装されている。光半導体素子2は、X方向を行方向とし且つY方向を列方向としてマトリックス状に並んだ複数の受光領域23を有している。光半導体素子2は、例えば、表面入射型であり、貫通電極等によって引き出された複数のアノード電極パッド(図示省略)、及びカソード電極パッド(図示省略)が、光半導体素子2における配線基板5側の表面に設けられている。光半導体素子2は、複数のバンプ電極54を介して、配線基板5に電気的に接続されており且つ配線基板5に固定されている。シンチレータユニット3は、接着層4を介して、光半導体素子2に固定されている。
【0080】
また、上述した実施形態では、一つのシンチレータ31が一つの受光領域23に対応していたが、一つのシンチレータ31が複数の受光領域23に対応していてもよい。その場合、複数の受光領域23は、光半導体素子2が有する全部の受光領域23であってもよいし、光半導体素子2が有する一部の受光領域23であってもよい。また、上述した実施形態では、シンチレータユニット3が光反射部材32を有していたが、シンチレータユニット3が光反射部材32を有していなくてもよい。つまり、シンチレータユニット3は、複数の受光領域23に対応している少なくとも一つのシンチレータ31を有するものであればよい。その場合にも、隣り合っている受光領域23の間の距離D1が、向かい合っている受光領域23及びシンチレータ31の間の距離D2よりも大きいため、放射線の入射によってシンチレータ31内の或る領域で光が発せられた際に、当該領域と向かい合っている受光領域23への光の入射が促進され、当該受光領域23と隣り合っている受光領域23への光の入射が抑制される。
【0081】
一例として、Z方向に延在する複数の柱状結晶によってシンチレータ31が構成されている場合、又は、シンチレータ31が比較的薄い場合には、一つのシンチレータ31を一つの受光領域23に対応させる必要も、シンチレータユニット3が光反射部材32を有する必要もない。それらの場合、シンチレータユニット3は、シンチレータ31の表面のうち光半導体素子2側の面以外の面を覆っている保護膜及び光反射膜の少なくとも一方を更に有していてもよい。また、一つの受光領域23内においては、複数のAPD25間において空乏層20が繋がってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…放射線検出器、2…光半導体素子、3…シンチレータユニット、4…接着層、5…配線基板、8…温度センサ、9…光学フィルタ層、10…放射線検出装置、11…信号処理部、12…アノード電位補正回路、13…カソード電位補正回路、14…波形整形回路、16~16…コンパレータ、17~17…カウンタ、23…受光領域、23A…受光領域(第1受光領域)、23B…受光領域(第2受光領域)、24…受光部、25…APD(アバランシェフォトダイオード)、26…クエンチング抵抗、31…シンチレータ、31a…表面、31b…面、32…光反射部材、51…実装パッド(パッド)。
図1
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