(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176246
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】排水路ユニット
(51)【国際特許分類】
E03F 5/04 20060101AFI20231206BHJP
E03F 5/06 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
E03F5/04 F
E03F5/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088425
(22)【出願日】2022-05-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】592086880
【氏名又は名称】丸栄コンクリート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 肇
(72)【発明者】
【氏名】松下 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 輝雄
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063CA03
2D063CB07
2D063CB26
(57)【要約】
【課題】グレーチングの構成をシンプルにしながら、グレーチングの盗難防止効果を高めることができる排水路ユニットを提供する。
【解決手段】側溝ユニットのグレーチング13は、グレーチング本体21の下面に固定された筒状の一対の嵩上げ台22がコンクリートブロックの各側壁部の蓋受け部に載置されることで設置されている。コンクリートブロックには蓋受け部から上方に突出するボルトが設けられ、嵩上げ台22の下板部22bにはボルトの挿通孔33が設けられている。ボルトは蓋受け部から上方に延びる軸部と、軸部の先端側にあるフランジとを有する。挿通孔33は、フランジを挿通可能な第1領域33aと、第1領域33aから溝長さ方向に延び、軸部を挿通可能としフランジを挿通不可とする幅で形成された第2領域33bとを有する。グレーチング13は第2領域33bに軸部を挿通させた状態で設置され、フランジが嵩上げ台22の内部に配置されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝状の排水路を形成するものであり、前記排水路を挟んで対向する一対の側壁部を有するコンクリートブロックと、
前記排水路を上方から覆うように設けられたグレーチングと、を備え、
前記各側壁部の上部には、前記側壁部の内面が段差状とされることで蓋受け部が形成されており、
前記グレーチングは、
格子パネル状のグレーチング本体と、
前記グレーチング本体の下面における前記排水路の幅方向の両端部に固定され、前記排水路の長さ方向に延びる筒状の一対の嵩上げ台とを有し、
前記一対の嵩上げ台がそれぞれ前記各側壁部の前記蓋受け部に載置されることにより前記グレーチングが設置されている排水路ユニットであって、
前記コンクリートブロックには、前記蓋受け部から上方に突出する突出部が設けられ、
前記嵩上げ台のうち前記蓋受け部に載置される載置板部には、前記長さ方向に延び前記突出部が挿通される挿通孔が設けられ、
前記突出部は、
前記蓋受け部から上方に延び、前記挿通孔に挿通される第1部分と、
前記第1部分の先端側に設けられているとともに前記嵩上げ台の内部に配置可能であり、前記幅方向の長さが前記第1部分よりも長くされた第2部分と、を有しており、
前記挿通孔は、
前記第2部分を挿通可能な大きさで形成された第1領域と、
前記第1領域から前記長さ方向に延びているとともに、前記第1部分を挿通可能とし前記第2部分を挿通不可とする幅寸法を有して形成された第2領域と、を有しており、
前記グレーチングは、前記第2領域に前記第1部分を挿通させた状態で設置される、排水路ユニット。
【請求項2】
前記突出部と前記第1領域との前記長さ方向における相対位置関係を示すマーカとして、前記コンクリートブロックに設けられた第1マーカと、前記グレーチングに設けられた第2マーカとを備え、
前記第1マーカと前記第2マーカとは、前記排水路ユニットの上方から視認可能な位置に配置されている、請求項1に記載の排水路ユニット。
【請求項3】
前記突出部と前記第1領域とが前記長さ方向において同じ位置にある場合に前記第1マーカ及び前記第2マーカが前記長さ方向において同じ位置に位置するよう、それら各マーカの位置が設定されている、請求項2に記載の排水路ユニット。
【請求項4】
前記突出部が前記第1領域に挿通されている場合には前記第1マーカ及び前記第2マーカが前記長さ方向において同じ位置に位置し、前記突出部が前記第2領域に挿通されている場合には前記第1マーカ及び前記第2マーカが前記長さ方向において異なる位置に位置するよう、それら各マーカの位置が設定されている、請求項2に記載の排水路ユニット。
【請求項5】
前記嵩上げ台は、前記載置板部と上下に対向する上板部を有し、
前記第1マーカは、前記側壁部のうち前記蓋受け部よりも前記幅方向の外側にある上端面に設けられ、
前記第2マーカは、前記第1マーカが設けられた前記側壁部の前記蓋受け部に載置された前記嵩上げ台の前記上板部に設けられている、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の排水路ユニット。
【請求項6】
前記グレーチング本体は、前記幅方向に延びる複数のメインバーと、前記長さ方向に延び前記各メインバーと交差する複数のクロスバーとを有し、
前記第2マーカは、前記グレーチングの上方から見て、隣り合う前記メインバーの間に位置している、請求項5に記載の排水路ユニット。
【請求項7】
前記第2マーカは、前記第1領域と上下方向に並ぶように配置されている、請求項6に記載の排水路ユニット。
【請求項8】
前記第2マーカは、前記上板部を板厚方向に貫通する孔部からなる、請求項7に記載の排水路ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水路ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、側溝等、排水を流すための排水路は、コンクリートブロックを用いて形成されている。コンクリートブロックは、例えば断面U字状に形成され、排水路を挟んで対向する一対の側壁部を有している。これらの側壁部には、上部内面が段差状とされることで蓋受け部が形成されている。
【0003】
コンクリートブロックには、排水路を上方から覆うようにコンクリート蓋やグレーチングが設けられる。これらコンクリート蓋やグレーチングは、幅方向の両端部がそれぞれ各側壁部の蓋受け部に載置されることにより設置される。
【0004】
グレーチングには、特許文献1に示すように、格子パネル状のグレーチング本体と、グレーチング本体の下面における幅方向の両端部に固定された一対の嵩上げ台とを有したものがある。嵩上げ台は、排水路の長さ方向(以下、水路長さ方向という)に延びる四角筒状の長尺材からなる。かかる構成のグレーチングは、各嵩上げ台が各側壁部の蓋受け部にそれぞれ載置されることにより設置されるようになっている。
【0005】
特許文献1には、グレーチングの盗難防止を図るための盗難防止構造が開示されている。この盗難防止構造では、グレーチングの下面における水路長さ方向の両端部にそれぞれグレーチングから突出する突出片を設け、それらの突出片をグレーチングに隣接するコンクリート蓋の下面側に配置するようにしている。この構造によれば、グレーチングを上方に持ち上げようとすると、各突出片がコンクリート蓋に引っ掛かり、それ以上グレーチングを上方に持ち上げることが不可能となる。そのため、グレーチングの盗難防止を図ることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の盗難防止構造では、グレーチングに複数の突出片を別途設ける必要があり、構成が煩雑となってしまう。また、グレーチングとコンクリート蓋との隙間から突出片に不正なアクセスをされるおそれもあり、グレーチングの盗難防止を図る上でも未だ改善の余地がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、グレーチングの構成をシンプルにしながら、グレーチングの盗難防止効果を高めることができる排水路ユニットを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、第1の発明の排水路ユニットは、溝状の排水路を形成するものであり、前記排水路を挟んで対向する一対の側壁部を有するコンクリートブロックと、前記排水路を上方から覆うように設けられたグレーチングと、を備え、前記各側壁部の上部には、前記側壁部の内面が段差状とされることで蓋受け部が形成されており、前記グレーチングは、格子パネル状のグレーチング本体と、前記グレーチング本体の下面における前記排水路の幅方向の両端部に固定され、前記排水路の長さ方向に延びる筒状の一対の嵩上げ台とを有し、前記一対の嵩上げ台がそれぞれ前記各側壁部の前記蓋受け部に載置されることにより前記グレーチングが設置されている排水路ユニットであって、前記コンクリートブロックには、前記蓋受け部から上方に突出する突出部が設けられ、前記嵩上げ台のうち前記蓋受け部に載置される載置板部には、前記長さ方向に延び前記突出部が挿通される挿通孔が設けられ、前記突出部は、前記蓋受け部から上方に延び、前記挿通孔に挿通される第1部分と、前記第1部分の先端側に設けられているとともに前記嵩上げ台の内部に配置可能であり、前記幅方向の長さが前記第1部分よりも長くされた第2部分と、を有しており、前記挿通孔は、前記第2部分を挿通可能な大きさで形成された第1領域と、前記第1領域から前記長さ方向に延びているとともに、前記第1部分を挿通可能とし前記第2部分を挿通不可とする幅寸法を有して形成された第2領域と、を有しており、前記グレーチングは、前記第2領域に前記第1部分を挿通させた状態で設置される。
【0010】
第1の発明によれば、コンクリートブロックには、蓋受け部から上方に突出する突出部が設けられている。また、グレーチングの嵩上げ台のうち蓋受け部に載置される載置板部には、突出部が挿通される挿通孔が設けられている。突出部は、蓋受け部から上方に延びる第1部分と、第1部分の先端側に設けられた第2部分とを有し、第1部分が挿通孔に挿通され、第2部分が嵩上げ台の内部に配置可能とされている。また、第2部分は、排水路の幅方向の長さが第1部分よりも長くなっている。
【0011】
挿通孔は、突出部の第2部分を挿通可能な第1領域と、第1領域から排水路の長さ方向(以下、水路長さ方向という)に延びる第2領域とを有している。第2領域は、突出部の第1部分を挿通可能とし第2部分を挿通不可とする幅寸法を有して形成されている。そして、グレーチングは、挿通孔の第2領域に突出部の第1部分を挿通させた状態で設置されている。
【0012】
かかる構成では、グレーチングを上方に持ち上げようとすると、嵩上げ台の載置板部が突出部の第2部分に引っ掛かって、それ以上グレーチングを上方に持ち上げることができなくなる。また、第2部分は嵩上げ台の内部に配置されるため、どこで引っ掛かっているのかわかりにくく、そのため、その引っ掛かり箇所への不正なアクセスを極めて困難とすることができる。これにより、グレーチングの盗難防止効果を高めることができる。
【0013】
また、グレーチングの嵩上げ台(詳しくは載置板部)に突出部の第2部分が引っ掛かる構成となっているため、グレーチング側に別途、引っ掛かり用の部材を設ける必要がない。そのため、グレーチングの構成をシンプルにしながら、グレーチングの盗難防止効果を高めることができる。
【0014】
ここで、上記の構成において、グレーチングをコンクリートブロック上に設置する際にはまず、嵩上げ台に設けられた挿通孔の第1領域に突出部の第2部分を通しながら、各嵩上げ台をコンクリートブロックの蓋受け部に載置する。これにより、挿通孔の第1領域に突出部の第1部分が挿通された状態で、グレーチングが蓋受け部上に載置される。その後、かかる載置状態で、グレーチングを水路長さ方向にスライドさせることにより、突出部の第1部分を挿通孔の第1領域から第2領域に入り込ませる。これにより、グレーチングが所定の設置位置に設置される。
【0015】
また、グレーチングを取り外す際には、グレーチングを設置する場合と逆の手順を踏んで取り外す。グレーチングを取り外す際にはまず、設置の場合と逆向きにグレーチングをスライドさせることにより、突出部の第1部分を挿通孔の第2領域から第1領域に入り込ませる。その後、グレーチングを上方に持ち上げることにより、第1領域に突出部の第2部分を通しながらグレーチングを取り外す。
【0016】
第2の発明の排水路ユニットは、第1の発明において、前記突出部と前記第1領域との前記長さ方向における相対位置関係を示すマーカとして、前記コンクリートブロックに設けられた第1マーカと、前記グレーチングに設けられた第2マーカとを備え、前記第1マーカと前記第2マーカとは、前記排水路ユニットの上方から視認可能な位置に配置されている。
【0017】
上述した第1の発明の構成では、グレーチングの嵩上げ台(載置板部)に形成された挿通孔と、挿通孔に挿通された突出部とが嵩上げ台により上方から覆い隠されることになるため、突出部(第2部分)と挿通孔の第1領域との相対位置関係を排水路ユニットの上方から把握するのが困難になると考えられる。そのため、第1領域に突出部の第2部分を通しながら、グレーチングを設置したり取り外したりする際、その作業が大変になることが想定される。
【0018】
そこで、第2の発明では、その点を鑑み、突出部が設けられたコンクリートブロックに第1マーカを設け、挿通孔が設けられたグレーチングに第2マーカを設け、それら各マーカにより、水路長さ方向における突出部と第1領域との相対位置関係を示すようにしている。これらのマーカは、排水路ユニットの上方から視認可能な位置に配置されているため、グレーチングの取り外し又は設置を行う際は、これらのマーカを見ながら第1領域を突出部に位置合わせすることが可能となる。そのため、第1領域に突出部の第2部分を通しながら、グレーチングの取り外し又は設置を行う際、その作業をし易くすることが可能となる。
【0019】
第3の発明の排水路ユニットは、第2の発明において、前記突出部と前記第1領域とが前記長さ方向において同じ位置にある場合に前記第1マーカ及び前記第2マーカが前記長さ方向において同じ位置に位置するよう、それら各マーカの位置が設定されている。
【0020】
第3の発明によれば、グレーチングに設けられた第2マーカを、コンクリートブロックに設けられた第1マーカと水路長さ方向において同じ位置に位置させることにより、挿通孔の第1領域を突出部(第2部分)と水路長さ方向において同じ位置に位置合わせすることができる。これにより、第1領域を突出部に位置合わせし易くすることができる。
【0021】
第4の発明の排水路ユニットは、第2の発明において、前記突出部が前記第1領域に挿通されている場合には前記第1マーカ及び前記第2マーカが前記長さ方向において同じ位置に位置し、前記突出部が前記第2領域に挿通されている場合には前記第1マーカ及び前記第2マーカが前記長さ方向において異なる位置に位置するよう、それら各マーカの位置が設定されている。
【0022】
第4の発明によれば、第1マーカ及び第2マーカが水路長さ方向において同じ位置にある場合には、突出部が挿通孔の第1領域に挿通された状態となっている。そのため、この場合、第1領域に突出部の第2部分を通しながらグレーチングを上方に持ち上げることが可能となる。また、第1マーカ及び第2マーカが水路長さ方向において異なる位置にある場合には、突出部が挿通孔の第2領域に挿通された状態となっている。そのため、この場合、グレーチングを上方に持ち上げることが不可能となる。したがって、上記の構成によれば、各マーカの位置が同じであるか又は異なるかによって、グレーチングを取り外し可能か否かを容易に判別することが可能となる。
【0023】
第5の発明の排水路ユニットは、第2乃至第4のいずれかの発明において、前記嵩上げ台は、前記載置板部と上下に対向する上板部を有し、前記第1マーカは、前記側壁部のうち前記蓋受け部よりも前記幅方向の外側にある上端面に設けられ、前記第2マーカは、前記第1マーカが設けられた前記側壁部の前記蓋受け部に載置された前記嵩上げ台の前記上板部に設けられている。
【0024】
第5の発明によれば、第1マーカ及び第2マーカを上方から見たとき、これら各マーカが近接しているため、各マーカの位置関係がわかり易い。そのため、これらのマーカにより第1領域と突出部との位置関係を把握する上で、好適な構成であるといえる。
【0025】
また、第2マーカについては、グレーチング本体の下方に位置するため、一見しただけでは気づきにくい。そのため、両マーカが近接しているにもかかわらず、両マーカの存在に気付かれて不正な行為が行われる可能性を低減させることが可能となる。
【0026】
第6の発明の排水路ユニットは、第5の発明において、前記グレーチング本体は、前記幅方向に延びる複数のメインバーと、前記長さ方向に延び前記各メインバーと交差する複数のクロスバーとを有し、前記第2マーカは、前記グレーチングの上方から見て、隣り合う前記メインバーの間に位置している。
【0027】
第2マーカがグレーチングの嵩上げ台の上面に設けられた第5の発明の構成では、第2マーカを格子状のグレーチング本体を介して視認する必要がある。その点、第6の発明では、かかる構成にあって、第2マーカが、グレーチング(グレーチング本体)の上方から見て、隣り合うメインバーの間に位置している。そのため、かかる構成にあっても第2マーカを見易くすることができる。
【0028】
第7の発明の排水路ユニットは、第6の発明において、前記第2マーカは、前記第1領域と上下方向に並ぶように配置されている。
【0029】
第7の発明によれば、第2マーカが挿通孔の第1領域と上下に並んでいるため、第2マーカにより第1領域の位置を把握することができる。この場合、第1領域に突出部の第2部分を通しながら、グレーチングを取り外したり設置したりする際に、第2部分が通る箇所を把握しながら作業を行えるため、その作業をよりし易くすることができる。
【0030】
第8の発明の排水路ユニットは、第7の発明において、前記第2マーカは、前記上板部を板厚方向に貫通する孔部からなる。
【0031】
第8の発明によれば、グレーチングを取り外したり設置したりする際、孔部(第2マーカ)を通じて突出部の第2部分を視認することができる。そのため、グレーチングの取り外し及び設置の作業をさらにし易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図3】(a)がコンクリートブロックの一部を示す平面図であり、(b)が(a)のB-B線断面図である。
【
図4】(a)がグレーチングを示す平面図であり、(b)が底面図であり、(c)が側面図である。
【
図6】挿通孔の第2領域にボルトが挿通された状態を示す横断面図。
【
図7】(a)がグレーチングを取り外し可能な位置までスライドさせた状態を示す平面図であり、(b)が挿通孔の第1領域にボルトが挿通された状態を示す横断面図。
【
図8】(a)が他の実施形態における側溝ユニットを示す平面図であり、(b)が挿通孔の第2領域にボルトが挿通された状態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0034】
図1及び
図2に示すように、側溝ユニット10は、側溝15を形成するコンクリートブロック11と、側溝15を上方から覆うコンクリート蓋12及びグレーチング13とを備える。コンクリート蓋12とグレーチング13とは、側溝15の延びる方向(以下、溝長さ方向という)に並べて配置されている。コンクリート蓋12は、溝長さ方向においてグレーチング13を挟んだ両側に配置されている。
【0035】
なお、側溝ユニット10が「排水路ユニット」に相当し、側溝15が「排水路」に相当する。また、溝長さ方向が「排水路の長さ方向」に相当する。
【0036】
図3(a)及び(b)に示すように、コンクリートブロック11は、断面U字状に形成され、その内側に排水が流れる側溝15を有している。コンクリートブロック11は、側溝15を挟んで対向する一対の側壁部16と、各側壁部16の下部を連結する底板部17とを有する。各側壁部16の上部には、側壁部16の内面が段差状とされることで蓋受け部18が形成されている。蓋受け部18は、溝長さ方向に沿って延びている。
【0037】
コンクリート蓋12は、矩形板状に形成されている。コンクリート蓋12は、側溝15の幅方向(以下、溝幅方向という)における両端部がそれぞれコンクリートブロック11の各側壁部16の蓋受け部18に載置されることにより設置されている(
図7(a)も参照)。また、コンクリート蓋12には、溝幅方向に延びる一辺に凹状の手掛け部19が形成されている。なお、溝幅方向が「排水路の幅方向」に相当する。
【0038】
図4(a)~(c)及び
図5に示すように、グレーチング13は金属製であり、格子パネル状のグレーチング本体21と、一対の嵩上げ台22とを有する。グレーチング本体21は矩形形状とされ、メインバー24とクロスバー25とエンドプレート26とを有して構成されている。
【0039】
メインバー24は、溝幅方向に延びる断面I形の長尺材である。メインバー24は、溝長さ方向に所定の間隔で複数配置されている。クロスバー25は、各棒材がねじり加工されることにより形成され、溝長さ方向に延びている。クロスバー25は、各メインバー24の上部に架け渡されており、溝幅方向に所定の間隔で複数配置されている。また、各クロスバー25はメインバー24と交差しており、その交差した部分でメインバー24と溶接により固定されている。エンドプレート26は、溝長さ方向に延びる帯状の長尺板であり、各メインバー24の両端側にそれぞれ配置されている。エンドプレート26は、各メインバー24の端部に架け渡され、各メインバー24の端部に溶接により固定されている。
【0040】
嵩上げ台22は、溝長さ方向に延びる四角筒状に形成されている。嵩上げ台22は、グレーチング本体21の下面における溝幅方向の両端部にそれぞれ固定され、グレーチング本体21の溝長さ方向の略全域に亘って延びている。嵩上げ台22は、上下方向に対向する上板部22a及び下板部22bと、溝幅方向に対向する一対の側板部22cとを有する(
図2も参照)。上板部22aはグレーチング本体21の下面に固定され、詳しくは各メインバー24の下面に溶接により固定されている。
【0041】
図2に示すように、各嵩上げ台22は、コンクリートブロック11の各側壁部16の蓋受け部18にそれぞれ載置されており、その載置状態でグレーチング13が設置されている。この場合、嵩上げ台22の下板部22bが蓋受け部18に載置されており、その下板部22bが「載置板部」に相当する。また、グレーチング13の設置状態では、グレーチング13の上面とコンクリートブロック11の側壁部16の上端面16aとが同じ高さに位置している。
【0042】
ここで、本側溝ユニット10には、グレーチング13の盗難を防止するための盗難防止構造が設けられている。以下、その盗難防止構造について説明する。
【0043】
図3(a)及び(b)に示すように、コンクリートブロック11の各側壁部16には、蓋受け部18から上方に突出した状態でボルト31が設けられている。これらのボルト31は、溝長さ方向において同じ位置に配置されている。ボルト31は、金属製のフランジボルト(フランジ付き六角ボルト)からなり、軸部31aと、軸部31aの先端側に設けられた頭部31bと、頭部31bの底面に設けられたフランジ31cとを有している。軸部31aは上下方向に延びており、その下端側がコンクリートブロック11の内部に埋設されている。これにより、ボルト31がコンクリートブロック11に取り付けられている。
【0044】
フランジ31cは円板状をなし、頭部31bと一体化されている。フランジ31cは、頭部31bよりも径方向の外側に張り出しており、ボルト31において最も径方向の寸法が大きい最大径部分となっている。ボルト31がコンクリートブロック11に取り付けられた状態では、フランジ31cと蓋受け部18との間に所定の隙間が形成されている。この隙間の寸法は嵩上げ台22の下板部22bの厚みよりも大きくなっている。
【0045】
なお、ボルト31が「突出部」に相当し、軸部31aが「第1部分」に相当し、フランジ31cが「第2部分」に相当する。また、軸部31aの径をD1、フランジ31cの径をD2とした場合、D1<D2である。フランジ31cの径D2はフランジ31cの溝幅方向の長さであるともいえ、そのため、D2は「第2部分における排水路の幅方向の長さ」に相当する。
【0046】
図4(b)及び
図5に示すように、グレーチング13の各嵩上げ台22には、その下板部22bにボルト31が挿通される挿通孔33が形成されている。各挿通孔33は、嵩上げ台22の長手方向の略中央部に配置されている。挿通孔33は、嵩上げ台22の長手方向に延びており、換言すると溝長さ方向に延びている。なお、挿通孔33は、各嵩上げ台22にそれぞれ1つだけ設けられている。
【0047】
挿通孔33は、円形状をなす第1領域33aと、第1領域33aから嵩上げ台22の長手方向に延びる長孔状の第2領域33bとを有している。第1領域33aは、その径D3(
図6参照)がボルト31のフランジ31cの径D2よりも大きくなっている。そのため、第1領域33aには、ボルト31のフランジ31cを挿通可能となっており、ひいてはボルト31全体を挿通可能となっている。
【0048】
第2領域33bは、第1領域33aから嵩上げ台22の長手方向(換言すると、溝長さ方向)における一方側に延びている。第2領域33bは、その幅W(詳しくは溝幅方向の長さ)が第1領域33aの径D3よりも小さくなっている。また、第2領域33bの幅Wは、ボルト31の軸部31aの径D1よりも大きく、またボルト31のフランジ31cの径D2よりも小さくなっている。そのため、第2領域33bには、ボルト31の軸部31aを挿通可能となっている一方、ボルト31のフランジ31cについては挿通不可となっている。また、第2領域33bの長さ(詳しくは溝長さ方向の長さ)は第1領域33aの径D3よりも長くなっている。
【0049】
図2及び
図6に示すように、グレーチング13は、各嵩上げ台22の挿通孔33にそれぞれボルト31を挿通させた状態で、コンクリートブロック11の蓋受け部18上に設置されている。この場合、挿通孔33には、ボルト31の軸部31aが挿通され、頭部31b及びフランジ31cについては嵩上げ台22の内部に配置されている。また、ボルト31の軸部31aは、挿通孔33の第2領域33bに挿通され、詳しくは第2領域33bにおける第1領域33a側とは反対側の端部に挿通されている。かかる構成では、グレーチング13を上方に持ち上げようとすると、嵩上げ台22の下板部22bがボルト31のフランジ31cに引っ掛かり、それ以上グレーチング13を上方に持ち上げることが不可となる。そのため、グレーチング13の盗難防止を図ることができる。
【0050】
続いて、グレーチング13をコンクリートブロック11から取り外す際の手順について
図7に基づき説明する。
【0051】
グレーチング13を取り外す際にはまず、
図7(a)及び(b)に示すように、グレーチング13を溝長さ方向にスライドさせることにより、ボルト31の軸部31aを挿通孔33の第2領域33bから第1領域33aに入り込ませる。これにより、ボルト31が第1領域33aに挿通された状態となる。なお、グレーチング13をスライドさせる際には、あらかじめスライドする側のコンクリート蓋12を取り外しておく。
【0052】
続いて、グレーチング13を上方に持ち上げて取り外す。上述したように、第1領域33aの径D3はボルト31のフランジ31cの径D2よりも大きくなっているため、この際、第1領域33aにフランジ31cを通しながら、グレーチング13を上方に持ち上げて取り外す。
【0053】
次に、グレーチング13をコンクリートブロック11に設置する際の手順について説明する。グレーチング13を設置する際には、グレーチング13を取り外す際と逆の手順を踏んで設置する。まず、グレーチング13を、挿通孔33の第1領域33aにボルト31のフランジ31cを通しながら、コンクリートブロック11の各蓋受け部18上に載置する。これにより、第1領域33aにボルト31(軸部31a)が挿通された状態(
図7(b)の状態)で、グレーチング13が各蓋受け部18上に載置される。その後、グレーチング13を溝長さ方向に取り外しの際とは逆向きにスライドさせることで、ボルト31の軸部31aを挿通孔33の第1領域33aから第2領域33bに入り込ませる。これにより、第2領域33bにボルト31の軸部31aが挿通された状態(
図6の状態)で、グレーチング13が所定の設置位置(
図1参照)に設置される。
【0054】
なお、グレーチング13が所定の設置位置に設置された状態では、グレーチング13と隣りのコンクリート蓋12との間に若干の隙間が存在することが想定される。そのため、グレーチング13を、
図7(a)に示す(取り外し可能な)位置から
図1に示す所定の設置位置までスライドさせる際のスライド距離は上記の隙間よりも十分長い距離に設定されている。したがって、そのスライドを可能としている挿通孔33の第2領域33bの長さ(詳しくは溝長さ方向の長さ)も上記の隙間より十分長くなっている。
【0055】
ここで、上述した盗難防止構造では、ボルト31と挿通孔33とが嵩上げ台22(詳しくは上板部22a)により上方から覆い隠されるため、グレーチング13を設置したり取り外したりする際に、ボルト31(フランジ31c)と挿通孔33の第1領域33aとの相対位置関係を側溝ユニット10の上方から把握するのが困難になると考えられる。そのため、グレーチング13を設置したり取り外したりする際、その作業が大変になることが想定される。そこで、本側溝ユニット10では、その点を鑑み、側溝ユニット10の上方から視認可能な位置に、ボルト31と第1領域33aとの溝長さ方向の相対位置関係を示すマーカ35,36を設けている。以下では、そのマーカ35,36について説明する。
【0056】
図1、
図3(a)及び
図4(a)に示すように、マーカ35,36には、コンクリートブロック11に設けられた第1マーカ35と、グレーチング13に設けられた第2マーカ36とがある。第1マーカ35は、コンクリートブロック11の各側壁部16の上端面16aに設けられている。各第1マーカ35は、溝長さ方向において同じ位置に配置されている。また、第1マーカ35は、側壁部16の上端面16aに形成された三角形状の凹みからなり、その三角形状の一の頂部が溝幅方向の内側を向いている。
【0057】
第2マーカ36は、グレーチング13の各嵩上げ台22の上板部22aに設けられている。各第2マーカ36は、グレーチング13の溝長さ方向の略中央部に配置され、同方向において互いに同じ位置にある。第2マーカ36は、嵩上げ台22の上板部22aに形成された三角形状の孔部からなる。孔部(第2マーカ36)は、上板部22aを板厚方向に貫通しており、その三角形状の一の頂部が溝幅方向の外側を向いている。また、第2マーカ36は、第1マーカ35と略同じ大きさからなる。
【0058】
第2マーカ36は、グレーチング13の上方から見た場合に、グレーチング本体21の隣り合うメインバー24の間に位置している。詳しくは、第2マーカ36は、グレーチング13の上方から見て、隣り合うメインバー24の間であって、かつ隣り合うクロスバー25及びエンドプレート26の間となる位置に配置されている。また、第2マーカ36は、挿通孔33の第1領域33aの真上に位置している。そのため、第2マーカ36と第1領域33aとは上下方向に並んでいる。
【0059】
図1に示すように、グレーチング13が所定の設置位置に設置された状態では、第1マーカ35と第2マーカ36とが溝長さ方向において互いに異なる位置にある。これを換言すると、挿通孔33の第2領域33bにボルト31(軸部31a)が挿通された状態(
図6の状態)では、各マーカ35,36が溝長さ方向において互いに異なる位置にある。これに対して、
図7(a)に示すように、グレーチング13が所定の設置位置からスライドされ、挿通孔33の第1領域33aにボルト31が挿通された状態(
図7(b)の状態)では、各マーカ35,36が溝長さ方向において同じ位置に位置する。
【0060】
このような構成によれば、各マーカ35,36が溝長さ方向において同じ位置にある場合には、ボルト31が挿通孔33の第1領域33aに挿通された状態となる。そのため、この場合、第1領域33aにボルト31のフランジ31cを通しながらグレーチング13を上方に持ち上げることが可能となる。また、各マーカ35,36が溝長さ方向において異なる位置にある場合には、ボルト31が挿通孔33の第2領域33bに挿通された状態となるため、この場合、グレーチング13を上方に持ち上げることが不可能となる。したがって、かかる構成によれば、各マーカ35,36の位置が同じであるか又は異なるかによって、グレーチング13を取り外し可能か否かを容易に判別することが可能となる。
【0061】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0062】
ボルト31と挿通孔33の第1領域33aとの溝長さ方向における相対位置関係を示すマーカ35,36を、側溝ユニット10の上方から視認可能な位置に配置したため、グレーチング13の取り外し又は設置を行う際は、これらのマーカ35,36を見ながら第1領域33aをボルト31に位置合わせすることが可能となる。そのため、第1領域33aにボルト31のフランジ31cを通しながら、グレーチング13の取り外し又は設置を行う際、その作業をし易くすることが可能となる。
【0063】
ボルト31と第1領域33aとが溝長さ方向において同じ位置にある場合に、各マーカ35,36が溝長さ方向において同じ位置に位置するよう、各マーカ35,36の位置を設定した。この場合、グレーチング13側の第2マーカ36をコンクリートブロック11側の第1マーカ35と溝長さ方向において同じ位置に位置させることにより、第1領域33aをボルト31(フランジ31c)と溝長さ方向にて同じ位置に位置合わせすることができる。これにより、第1領域33aをボルト31に位置合わせし易くすることができる。
【0064】
第1マーカ35はコンクリートブロック11の側壁部16の上端面16aに設けられ、第2マーカ36はグレーチング13の嵩上げ台22の上板部22aに設けられている。この場合、これらのマーカ35,36を上方から見たとき、各マーカ35,36が互いに近接しているため、各マーカ35,36の位置関係がわかり易い。そのため、これらのマーカ35,36により挿通孔33の第1領域33aとボルト31との位置関係を把握する上で、好適な構成であるといえる。
【0065】
また、第2マーカ36については、グレーチング本体21の下方に位置するため、一見しただけでは気づきにくい。そのため、両マーカ35,36が近接しているにもかかわらず、両マーカ35,36の存在に気付かれて不正な行為が行われる可能性を低減させることが可能となる。
【0066】
第2マーカ36が、グレーチング13の上方から見て、隣り合うメインバー24の間に位置しているため、格子状のグレーチング本体21を介して第2マーカ36を視認する構成にあっても第2マーカ36を見易くすることができる。
【0067】
さらに、第2マーカ36は、グレーチング13の上方から見て、隣り合うクロスバー25及びエンドプレート26の間に位置しているため、第2マーカ36をより見易くすることができる。
【0068】
第2マーカ36が挿通孔33の第1領域33aと上下に並んでいるため、第2マーカ36により第1領域33aの位置を把握することができる。この場合、第1領域33aにボルト31のフランジ31cを通しながら、グレーチング13を取り外したり設置したりする際に、フランジ31cが通る箇所を把握しながら作業を行えるため、その作業をよりし易くすることができる。
【0069】
第2マーカ36は、嵩上げ台22の上板部22aを板厚方向に貫通する孔部からなる。この場合、グレーチング13を取り外したり設置したりする際、孔部(第2マーカ36)を通じてボルト31のフランジ31cを視認することが可能となる。そのため、グレーチング13の取り外し及び設置の作業をさらにし易くすることができる。
【0070】
上記実施形態の盗難防止構造によれば、グレーチング13を取り外す際、まず隣のコンクリート蓋12を取り外し、その後、グレーチング13を溝長さ方向にスライドさせる必要がある。つまり、グレーチング13を取り外す前の作業として、コンクリート蓋12の取り外しと、グレーチング13のスライドという二つの作業を行う必要がある。そのため、グレーチング13を取り外すのに大きな手間がかかる構成となっており、したがって、その点でも盗難防止効果を高めることが可能となっている。
【0071】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0072】
・第1マーカ35及び第2マーカ36の形状は必ずしも三角形状である必要はなく、円形状や四角形状等、他の形状であってもよい。また、各マーカ35,36の形状や大きさは必ずしも同じである必要はなく、異ならせてもよい。
【0073】
・第1マーカ35を凹部により形成することに代えて、凸部により形成してもよい。また、第1マーカ35を、コンクリートブロック11の側壁部16の上端面16aに黒色等、コンクリートブロック11とは異なる色で着色することにより形成してもよい。また、マーカ用の部材を側壁部16の上端面16aに取り付け、その部材を第1マーカ35としてもよい。
【0074】
・第1マーカ35を側壁部16の上端面16aに代え、側壁部16の内面(詳しくは、蓋受け部18よりも下方に位置する内面)に設けてもよい。その場合、グレーチング13を介して第1マーカ35を視認することになる。
【0075】
・第2マーカ36は必ずしも孔部である必要はない。例えば、嵩上げ台22の上板部22aの上面に凹部又は凸部を形成し、その凹部又は凸部を第2マーカ36としてもよい。また、第2マーカ36を、上板部22aの上面に黒色等、嵩上げ台22とは異なる色で着色することにより形成してもよい。また、マーカ用の部材を上板部22aの上面に取り付け、その部材を第2マーカ36としてもよい。
【0076】
・第2マーカ36を嵩上げ台22(上板部22a)の上面に代え、嵩上げ台22の側面に設けてもよい。また、第2マーカ36をグレーチング本体21に設けるようにしてもよい。
【0077】
・コンクリートブロック11に、第1マーカ35に加え、第3マーカを設け、ボルト31(軸部31a)が挿通孔33の第2領域33bに挿通された場合に第2マーカ36と第3マーカとが溝長さ方向において同じ位置に位置するようにしてもよい。その場合、グレーチング13をスライドさせて所定の設置位置に設置する際、第2マーカ36を第3マーカに位置合わせすることで容易に設置することができる。
【0078】
・上記実施形態では、マーカ35,36を、溝幅方向の両側にそれぞれ設けたが、片側にだけ設けてもよい。なお、側溝ユニット10にマーカ35,36を設けないようにしてもよい。
【0079】
・上記実施形態では、第2マーカ36を挿通孔33の第1領域33aと上下に並ぶように配置したが、これを変更して、第2マーカ36を第1領域33aに対して溝長さ方向(嵩上げ台22の長手方向)にずれた位置に配置してもよい。
【0080】
・上記実施形態では、挿通孔33の第1領域33aがボルト31と溝長さ方向にて同じ位置にある場合に、各マーカ35,36が溝長さ方向において同じ位置に位置するようにしたが、これを変更して、挿通孔33の第1領域33aがボルト31と溝長さ方向にて同じ位置にある場合に、各マーカ35,36が溝長さ方向において所定の距離(例えば3cm)だけ離れるようにしてもよい。この場合にも、各マーカ35,36を上記所定の距離だけ溝長さ方向に離間させることで、第1領域33aをボルト31に位置合わせすることが可能である。
【0081】
・挿通孔33は、必ずしも嵩上げ台22の長手方向の中央部に設ける必要はない。例えば、挿通孔33を嵩上げ台22の長手方向の両端部にそれぞれ設けてもよい。この場合、コンクリートブロック11側には、各挿通孔33に対応する位置にそれぞれボルト31を設ける必要がある。
【0082】
・挿通孔33を、グレーチング13の各嵩上げ台22のうちいずれか一方にのみ設けるようにしてもよい。この場合、それに対応して、コンクリートブロック11の各側壁部16のうち一方の側壁部16にのみボルト31を設けるようにする。かかる構成であっても、グレーチング13を持ち上げようとすると、一方の嵩上げ台22がボルト31のフランジ31cに引っ掛かるため、盗難防止を図ることができる。
【0083】
・突出部としては必ずしもボルト31を用いる必要はなく、ボルト31以外の部材を用いてもよい。例えば、拡径された頭部(先端部)を有するピン部材を用いることが考えられる。この場合、ピン部材において、頭部以外の部分(拡径されていない部分)が第1部分に相当し、頭部が第2部分に相当することになる。また、コンクリートブロック11に、蓋受け部18から上方に突出する凸部を形成し、その凸部を突出部としてもよい。この場合、突出部がコンクリートにより形成されることになる。
【0084】
・上記実施形態では、嵩上げ台22を断面四角形状(長方形状又は正方形状)の四角筒状としたが、例えば嵩上げ台22の断面形状を台形形状としたり、楕円形状としたりしてもよい。いずれの断面形状としたとしても、嵩上げ台22のうち、蓋受け部18に載置される載置板部に挿通孔を形成するようにすればよい。
【0085】
・上記実施形態では、コンクリートブロック11が断面U字状のものであったが、例えばコンクリートブロックは断面逆U字状の可変側溝であってもよい。その場合の例を
図8(a)に示す。
図8(a)に示す側溝ユニット40のコンクリートブロック41は、側溝を挟んで対向する一対の側壁部42と、各側壁部42の上部を連結する天板部43とを有し、天板部43には溝長さ方向に延びる開口部45が形成されている。この開口部45には、コンクリート蓋12とグレーチング13とが溝長さ方向に並べて設置されている。この場合も、これらコンクリート蓋12とグレーチング13とは、各側壁部42の蓋受け部に載置された状態で設置される。このような構成においても、上記実施形態と同様に、コンクリートブロック41の側壁部42には蓋受け部から上方に突出するボルト31を設け、グレーチング13の嵩上げ台22には挿通孔33を設けることで、グレーチング13の盗難防止構造を実現することができる(
図6参照)。
【0086】
・ところで、
図8(a)に示す例では、図示の左側にコンクリート蓋12が配置され、図示の右側にグレーチング13が配置されているが、これとは逆に、図示の右側にコンクリート蓋12が配置され、図示の左側にグレーチング13が配置される場合も想定される。その場合、グレーチング13を取り外す際にはグレーチング13を図示右側にスライドさせて取り外す必要があり、グレーチング13を所定の設置位置に設置する際は、グレーチング13を所定の設置位置に対して右側からスライドさせて当該設置位置に設置する必要がある。
【0087】
しかしながら、上記実施形態の挿通孔33(
図6等参照)は、グレーチング13を所定の設置位置に対して図示左側にのみスライド可能とするものであるため、この挿通孔33では、グレーチング13を所定の設置位置に対して図示右側にスライドさせて取り外したり、グレーチング13を所定の設置位置に対して右側からスライドさせて当該設置位置に設置したりすることができない。そこで、その点を鑑み、挿通孔の形状を
図8(b)に示すような形状とすることが考えられる。
図8(b)に示す挿通孔51は、第1領域51aと、第1領域51aから溝長さ方向に互いに反対側に延びる一対の第2領域51bとを有している。つまり、この挿通孔51では、一方の第2領域51bが第1領域51aから図示左側に延びており、他方の第2領域51bが第1領域51aから図示右側に延びている。そのため、かかる挿通孔51を用いれば、グレーチング13を所定の設置位置に対して図示左側にも図示右側にもスライドさせることができる。したがって、コンクリート蓋12とグレーチング13との左右の位置関係がいずれの場合にも、グレーチング13を設置及び取り外しすることが可能となる。
【0088】
・上記実施形態では、グレーチング13に隣接してコンクリート蓋12を設置したが、グレーチング13に隣接して他のグレーチングが設置される場合もある。そのような場合にも本発明を適用することが可能である。
【0089】
・上記実施形態では、側溝15を形成する側溝ユニット10(排水路ユニットに相当)に本発明を適用したが、側溝15以外の排水路を形成する排水路ユニットに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0090】
10…排水路ユニットとしての側溝ユニット、11…コンクリートブロック、12…コンクリート蓋、13…グレーチング、21…グレーチング本体、22…嵩上げ台、31…突出部としてのボルト、31a…第1部分としての軸部、31c…第2部分としてのフランジ、33…挿通孔、33a…第1領域、33b…第2領域、35…第1マーカ、36…第2マーカ。