IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テルモ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-着脱システム 図1
  • 特開-着脱システム 図2
  • 特開-着脱システム 図3
  • 特開-着脱システム 図4
  • 特開-着脱システム 図5
  • 特開-着脱システム 図6
  • 特開-着脱システム 図7
  • 特開-着脱システム 図8
  • 特開-着脱システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176267
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】着脱システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A61M1/16 155
A61M1/16 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088453
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】江崎 伸
(72)【発明者】
【氏名】馬塲 優作
(72)【発明者】
【氏名】進士 貴司
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA03
4C077BB06
4C077EE01
4C077EE05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】緊急時にも、ECMOの支柱への着脱が短時間で可能な着脱システムを提供する。
【解決手段】着脱システム10は、支柱26に取り付け可能なクランプ16と、医療デバイス12を保持する支持板28を有し、支持板28の前面側に医療デバイス12を保持するホルダ14と、支持板28の背面側に固定され、クランプ16にホルダ14を着脱可能に連結する連結部38と、基部がホルダ14に固定され、先端が医療デバイス12の上方で支持板28よりも前方に突出したハンドル36を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に取り付け可能なクランプと、
医療デバイスを保持するホルダと、
前記ホルダに固定され、前記クランプに前記ホルダを着脱可能に連結する連結部と、
前記ホルダに固定され前記ホルダよりも上方に突出したハンドルと、
を備える、着脱システム。
【請求項2】
請求項1記載の着脱システムであって、
前記連結部と前記クランプとは、上下方向のスライド動作により着脱される、着脱システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の着脱システムであって、前記ハンドルは、先端側に棒状の把持部を有する、着脱システム。
【請求項4】
請求項3記載の着脱システムであって、前記把持部は、前記医療デバイスの重心の上方に位置する、着脱システム。
【請求項5】
請求項3又は4記載の着脱システムであって、前記ホルダは、前記医療デバイスを支持する支持板を有し、前記把持部は、前記支持板に対して垂直な方向に延在する、着脱システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の着脱システムであって、前面側から見たときに、前記連結部と、前記ハンドルとは、幅方向の位置とが同じである、着脱システム。
【請求項7】
請求項2記載の着脱システムであって、前記クランプは、ガイド板を有し、前記連結部は、前記ガイド板を受け入れる収容部を有し、前記連結部は、前記ガイド板に沿ってスライドすることで、前記クランプに連結される、着脱システム。
【請求項8】
請求項7記載の着脱システムであって、前記ガイド板は、幅方向の一方の側部及び他方の側部に前記上下方向に延在するガイドレールをそれぞれ有し、
前記収容部は、前記幅方向の一方の側部及び他方の側部に、前記ガイドレールを受け入れるガイド溝をそれぞれ有し、
前記収容部は、前記上下方向にスライドすることで前記クランプに着脱する、着脱システム。
【請求項9】
請求項7又は8記載の着脱システムであって、前記ガイド板は、上端部及び下端部の少なくとも一方に、係合孔を有し、
前記収容部は、前記係合孔に係合するロックレバーを有する、着脱システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の着脱システムであって、
前記ホルダは、前記医療デバイスを支持する支持板と、前記支持板の下方に配置され、幅方向の軸線回りに回動する回動アームとを有し、前記回動アームは、前記幅方向に拡幅する拡幅部を有する、着脱システム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の着脱システムであって、前記医療デバイスは、血液ポンプと、人工肺とを有し、前記ホルダは、前記血液ポンプを保持するポンプ保持部と、前記人工肺を保持する人工肺保持部とを有し、前記ポンプ保持部と前記人工肺保持部とは、水平方向に並んで配置される、着脱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱に医療デバイスを着脱可能に固定する着脱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
体外式膜型人工肺(ECMO)は、人工肺と血液ポンプが予め組み立てられた使い捨てのモジュール(医療デバイス)を有している。このようなモジュールは、ホルダを介して支柱に固定して使用される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-176708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
新型コロナウイルス感染症の流行にともなって、重症患者にECMOを取り付けて緊急搬送する事例が増加している。このような場合には、現場でECMOを用いた治療を確立させ、その後、患者を医療施設に搬送するといった処置が行われる。
【0005】
新型コロナウイルス感染症の治療では、例えば、患者の搬送や、胸部レントゲン撮影等の際に、ECMOを支柱から着脱する機会が頻繁に生じる。従来、ECMOの着脱は、医療従事者が片方の手で医療デバイスを水平に保持しつつ、もう片方の手で支柱に取り付けるクランプの操作を必要とする。ところが、ECMOは、血液ポンプを作動させるモータ及び血液で満たされて重量が増した人工肺といった重量物を含む。このような重量物を支えた状態でのクランプの操作は、医療従事者にとって困難である。そのため、従来のECMOは、緊急を要するにもかかわらず、支柱への着脱のために時間のロスを生じやすいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の開示の一観点は、支柱に取り付け可能なクランプと、医療デバイスを保持するホルダと、前記ホルダに固定され、前記クランプに前記ホルダを着脱可能に連結する連結部と、前記ホルダに固定され前記ホルダよりも上方に突出したハンドルと、を備える、着脱システムにある。
【発明の効果】
【0008】
上記観点の着脱システムは、ハンドルによって医療デバイスの保持及び取付が容易になる。これにより、着脱システムは、緊急時に時間をロスすることなく、素早く医療デバイスを支柱に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る着脱システムを医療デバイスが取り付けられた状態で示す斜視図である。
図2図2は、図1の医療デバイスの斜視図である。
図3図3は、図1の着脱システムの前面側の斜視図である。
図4図4は、図3の着脱システムの回動アームの回転変位を示す斜視図である。
図5図5は、図1の着脱システムの背面側の斜視図である。
図6図6Aは、図1の連結部の部分拡大図であり、図6B図6Aの連結部の断面図である。
図7図7Aは、図1のクランプの斜視図であり、図7B図7Aのクランプのガイド板を示す斜視図である。
図8図8Aは、連結部とクランプとの連結方法を示す側面図であり、図8Bは、連結部とクランプとの連結状態を示す断面図である。
図9図9は、第2実施形態に係る着脱システムのホルダ及びハンドルを、医療デバイス(手動クランク)が取り付けられた状態で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
本実施形態に係る着脱システム10は、図1に示すように、医療デバイス12を保持するホルダ14と、クランプ16とを有する。図2に示すように、本実施形態の医療デバイス12は、人工肺18と、血液ポンプ20と、を有し、ECMO装置の一部を構成する。医療デバイス12は、使い捨ての器具である。人工肺18及び血液ポンプ20は、持ち手22を有する連結部材24によって一体的に連結される。持ち手22は、医療デバイス12をホルダ14に装着するために使用される。
【0011】
医療デバイス12において、図示を省略するが人工肺18及び血液ポンプ20の接続ポートには、患者からの血液を人工肺18に導く脱血チューブと、血液ポンプ20から送血する送血チューブとが接続される。医療デバイス12は、脱血チューブ及び送血チューブが予め接続された状態で提供される。
【0012】
図1に示すように、ホルダ14は、前面側に医療デバイス12を保持する。ホルダ14は、医療デバイス12を保持した状態で、治療に使用される。ホルダ14及び医療デバイス12は、背面側のクランプ16を介して支柱26に取り付けられる。
【0013】
図3に示すように、ホルダ14は、支持板28と、ポンプ保持部30と、駆動モータ32と、背面梁部34と、ハンドル36と、連結部38と、プライミングステー40とを有する。支持板28は、本体部28aと、本体部28aの底辺から90°屈曲して前方に延び出た支持部28bとを有する。支持板28は、側面から見てL字形状を有する。本体部28aは、使用状態において上下方向に沿って配置される。本体部28aは、前方から見て幅広となっている。支持部28bは、本体部28aの底辺の一部を構成する屈曲部28cを介して本体部28aと一体的に繋がる。屈曲部28cは、幅方向に延在する。支持部28bは、水平方向に延びる。支持部28b及び本体部28aは、人工肺18を保持する人工肺保持部31を構成する。本体部28aは、人工肺18に係合する人工肺ロック機構28dを有する。
【0014】
ポンプ保持部30は、前方から見て支持板28の左側部に位置する。ポンプ保持部30は、血液ポンプ20及び駆動モータ32を保持する部分である。
【0015】
駆動モータ32は、前面側に、ポンプ装着面32aと、ポンプ固定機構32bとを有する。ポンプ装着面32aは、血液ポンプ20の駆動面が取り付けられる。駆動モータ32は、ポンプ装着面32aの内側に永久磁石を有し、その永久磁石を回転させることでポンプ装着面32aに回転磁界を発生させる。駆動モータ32は、回転磁界により血液ポンプ20を駆動する。ポンプ固定機構32bは、血液ポンプ20を取り外し可能にポンプ装着面32aに固定する。
【0016】
図5に示すように、背面梁部34は、支持板28の背面側に配置される。背面梁部34は、ヒンジ部35を介して支持板28を回動可能に支持する。背面梁部34は、支持板28の幅方向の略全域で支持板28を支持する梁本体34aを有する。背面梁部34は、さらに、梁本体34aから背面側に突出した中間接続部34bを有する。中間接続部34bは、医療デバイス12を保持した状態のホルダ14(図1参照)の幅方向の重心位置と同じ位置に配置される。ホルダ14は、内部に血液が充填されることで重量が大きな人工肺18と、重量のある駆動モータ32との配置関係によって決まる。本実施形態では、図示のように、幅方向の重心位置である中間接続部34bの位置は、支持板28の中央よりもポンプ保持部30に近い位置に配置される。
【0017】
中間接続部34bは、さらに接続凹部34cと、後端部34dとを有する。接続凹部34cは、ハンドル36の基部36aが接続される凹部である。後端部34dは、連結部38と接続される。
【0018】
ハンドル36は、側面視でL字形状に屈曲した形状を有する。ハンドル36は、基部36aが接続凹部34cに挿入されて、背面梁部34に接続される。ハンドル36の基部36aは、接続凹部34cから上方に延びる。基部36aの上端は、屈曲部36bを介して前方に向けて延び出る把持部36cに接続する。把持部36cは、支持板28に対して垂直であり、前方向に延びる。把持部36cの先端付近の一部は、支持板28の本体部28aよりも前方に突出する。把持部36cは、医療デバイス12を保持した状態のホルダ14の幅方向の重心位置の上方に配置される。このようなハンドル36は、医療デバイス12を保持した状態のホルダ14を水平に維持した状態での搬送を容易にする。
【0019】
連結部38は、クランプ16にスライド動作によって連結される接続構造である。連結部38は、背面梁部34を介して支持板28に接続されている。図6Aに示すように、連結部38は、箱型の形状を有する。図5に示すように、連結部38は、収容部38aと、ガイド溝38bと、規制壁38cと、ロックレバー38dとを有する。収容部38aは、クランプ16のガイド板46(図7B)を収容する。収容部38aは、幅方向の両側部に、一対のガイド溝38bを有する。ガイド溝38bは、上下方向に延在する。収容部38a及びガイド溝38bは、下方に向けて開口する。ガイド溝38bは、ガイド板46(図7B)のガイドレール46aと、上下方向のスライド動作によって係合する。規制壁38cは、収容部38a及びガイド溝38bの上端に位置する。
【0020】
規制壁38cは、収容部38a及びガイド溝38bの上端を閉塞することで、ガイド板46の移動を規制する。図6Aに示すように、ロックレバー38dは、連結部38の上端部のレバー取付孔38eに取り付けられている。ロックレバー38dは、連結部38から上方に突出し、回動操作が可能である。図6Bに示すように、ロックレバー38dは、軸ピン39aと、付勢部39bと、爪部39cとをさらに有する。軸ピン39aは、幅方向に延び、ロックレバー38dの回動軸を構成する。軸ピン39aは、レバー取付孔38e(図6A)に保持される。付勢部39bは、ロックレバー38dの回動軸から前方に向けて延び出た部分である。付勢部39bは、バネ39eによって上方に付勢される。爪部39cは、回動軸から下方に延び出る。爪部39cは、ガイド板46の係合孔46cに係合することで、連結部38をクランプ16に固定する。
【0021】
プライミングステー40は、図3に示すように、支持板28の下方に配置される。プライミングステー40は、一対のアーム40bと、回動軸部40cと、回動アーム40dと、チューブ支持部40eとを有する。下方延出部40aは、支持板28の背面に固定され、支持板28の下方に延び出る。一対のアーム40bは、支持板28の側部と、ポンプ保持部30の側部と、にそれぞれ接続されている。一対のアーム40bは、支持板28及びポンプ保持部30から、前方に向けて延び出る。一対のアーム40bは、幅方向に互いに離間する。回動軸部40cは、一対のアーム40bのそれぞれの前方側の端部に取り付けられている。回動軸部40cは、回動アーム40dの基端部を支持する。回動アーム40dは、一対設けられる。回動アーム40dの各々は、基端部が回動軸部40cを通じて一対のアーム40bに対して回動可能に取り付けられている。
【0022】
回動アーム40dは、人工肺18から空気を排出するプライミング工程の際に、図4に示すように前方に突出する位置に回動されて使用される。プライミング工程では、生理食塩水を人工肺18に導入し、内部の空気を排出するために、支持板28を本体部28aが水平となる向きに回動させる。プライミングステー40は、プライミング工程において、人工肺18の上方に配置され、人工肺18に接続されるチューブを支え、チューブの折れ曲がりによる閉塞を阻止する。
【0023】
なお、回動アーム40dは、製品提供状態である初期状態及び使用状態においては、図3に示すように、後方に折り畳まれる。
【0024】
チューブ支持部40eは、回動アーム40dの先端付近に位置する。チューブ支持部40eは、幅方向に延びるパイプよりなり、一方の回動アーム40dと他方の回動アーム40dとに架け渡されるように接合される。本実施形態のホルダ14は、2本のチューブ支持部40eを有する。
【0025】
本実施形態のホルダ14は、以上の構成を有する。着脱システム10は、さらにクランプ16(図1参照)を有する。
【0026】
クランプ16は、図7Aに示すように、ベース部16aと、ベース部16aから延び出たクランプアーム16b、16cを有する。クランプ16は、クランプアーム16b、16cの間に可動片16dを有する。可動片16dは、ノブ16eによって、クランプアーム16bとの間隔が変化する。可動片16dとクランプアーム16bとの間に、支柱26が挟み込まれる。ノブ16eを締め込むと、クランプアーム16bと可動片16dとが支柱26を把持して、クランプ16を支柱26に固定する。
【0027】
図7Bに示すように、クランプ16は、ベース部16aの外側に平坦な取付面16fを有する。クランプ16は、取付面16fにガイド板46を有する。ガイド板46は、矩形の形状を有する。ガイド板46は、ガイドレール46aと、係合部46bとを有する。ガイドレール46aは、ガイド板46の幅方向の両側部にそれぞれ形成されている。ガイドレール46aは、幅方向に短く突出し、ガイド板46の上下方向に延在する。係合部46bは、ガイド板46の上端部と、下端部とに配置される。各々の係合部46bは、係合孔46cを有する。係合孔46cは、連結部38の爪部39cと係合することで、クランプ16と連結部38との脱落を阻止する。ガイド板46は、上端部と下端部とに係合部46bを有するため、上下対称の形状となる。したがって、クランプ16は、ノブ16eの取付方向にかかわらずクランプ16の上側に係合部46bが現われるため、確実に連結部38を爪部39cで固定できる。
【0028】
本実施形態の着脱システム10は以上の構成を有する。この着脱システム10は、以下の説明のように作用する。
【0029】
図8Aに示すように、クランプ16は、予め支柱26に固定される。医療デバイス12を装着したホルダ14(図1)は、連結部38がクランプ16の上方に位置するように搬送される。その後、ホルダ14は、連結部38の収容部38a(図5参照)にガイド板46が挿入されるように、スライドすることで、クランプ16に取り付けられる。ホルダ14の取り付け動作は、ハンドル36を把持した医療従事者によって行われる。図1に示すように、ハンドル36は、ホルダ14の重心の上方に配置されるため、使用者やホルダ14を容易に水平に保つことができる。また、ハンドル36は、連結部38の近傍に配置されるため、使用者は容易に、連結部38をクランプ16のガイド板46に位置合わせできる。
【0030】
ガイド板46のガイドレール46aは、連結部38のガイド溝38bに係合しつ摺動する。ガイド板46は、連結部38の規制壁38cに当接して停止する。図8Bに示すように、ガイド板46が停止する際に、係合部46bの係合孔46cに、連結部38のロックレバー38dの爪部39cが係合する。ロックレバー38dは、連結部38と、ガイド板46との離脱を阻止する。以上のようにして、ホルダ14がクランプ16に固定される。
【0031】
ホルダ14は、上記の説明と逆の順序の操作によって、クランプ16から取り外される。すなわち、ロックレバー38dが倒されて、爪部39cと係合部46bとの係合が解除される。次に、ロックレバー38dを倒した状態のまま、ホルダ14がクランプ16に対して上方に持ち上げられる。これにより、連結部38がガイド板46に対してスライドし、連結部38がガイド板46から外れる。以上のようにして、本実施形態の着脱システム10は、ホルダ14を支柱26に、容易に着脱できる。
【0032】
(第2実施形態)
図9に示す本実施形態の着脱システム10Aは、医療デバイス12A及びホルダ14Aと、クランプ16とを有する。なお、クランプ16は、図7A及び図7Bを参照しつつ説明したクランプ16と同様である。したがって、クランプ16の説明は省略される。
【0033】
本実施形態の医療デバイス12Aは、ECMO装置に付属する手動クランクである。医療デバイス12Aは、図1の駆動モータ32が故障した際や停電等の緊急時に使用される。医療デバイス12Aは、直方体状の筐体50と、クランク52と、ポンプ装着面32aと、を有する。クランク52は、筐体50の前面側から延び出る。筐体50は、クランク52によって回動される増速機と、を有する。クランク52を通じて、入力された回転運動は増速機により所定回転速度に増速される。増速機は、ポンプ装着面32aの内部の永久磁石を回転させることにより、ポンプ装着面32aに回転磁界を発生させる。
【0034】
医療デバイス12Aは、ホルダ14Aの前面側に取り付けられる。ホルダ14Aは、支持板28Aと、ハンドル36Aと、連結部38とを有する。支持板28Aは、上下方向に延在する本体部54aと、前方に向けて延び出る支持部54bとを有する。支持部54bは、本体部54aの下端から屈曲部54cを介して延び出る。ハンドル36Aは、支持板28Aの本体部54aに接合された板体56aと、板体56aの上端から前方に向けて延び出る把持部56bとを有する。板体56aは、医療デバイス12Aの上方に延在する。把持部56bは、棒状の形状を有し、支持板28Aの本体部54aよりも前方に突出する。把持部56bは、医療デバイス12Aの上方に配置される。
【0035】
連結部38は、図5図6Bを参照しつつ説明した第1実施形態の連結部38と同様である。連結部38は、板体56aの背面側に接合される。
【0036】
本実施形態の着脱システム10Aは、図8A及び図8Bを参照しつつ説明した第1実施形態の着脱システム10と同様に作用し、支柱26に容易にホルダ14Aを着脱できる。
【0037】
上記の諸実施形態は、以下にまとめられる。
【0038】
一観点は、支柱26に取り付け可能なクランプ16と、医療デバイス12、12Aを保持するホルダ14、14Aと、前記ホルダに固定され、前記クランプに前記ホルダを着脱可能に連結する連結部38と、前記ホルダに固定され前記ホルダよりも上方に突出したハンドル36、36Aと、を備える、着脱システム10、10Aにある。
【0039】
上記の着脱システムは、ハンドルによって医療デバイスの保持及び取付を容易にする。これにより、着脱システムは、緊急時に時間をロスすることなく、素早く医療デバイスを支柱に固定できる。
【0040】
上記の着脱システムにおいて、前記連結部と前記クランプとは、上下方向のスライド動作により着脱されてもよい。この着脱システムは、クランプのノブの操作を不要とすることで、緊急時に時間をロスすることなく、素早く医療デバイスを支柱に固定できる。
【0041】
上記の着脱システムにおいて、前記ハンドルは、先端側に棒状の把持部36c、56bを有してもよい。この場合、前記把持部は、前記医療デバイスの重心の上方に位置してもよい。さらに、前記ホルダは、前記医療デバイスを保持する支持板28、28Aを有し、前記把持部は、前記支持板に対して垂直な方向に延在してもよい。この着脱システムは、重量のある医療デバイスを傾けずに把持することを容易にする。
【0042】
上記の着脱システムにおいて、前面側から見たときに、前記連結部と、前記ハンドルとは、幅方向の位置とが同じであってもよい。この着脱システムは、連結部の位置と、ハンドルの位置とが一致するため、連結部をクランプに取り付ける作業を容易に行える。
【0043】
上記の着脱システムにおいて、前記クランプは、ガイド板46を有し、前記連結部は、前記ガイド板を受け入れる収容部38aを有し、前記連結部は、前記ガイド板に沿ってスライドすることで、前記クランプに連結されてもよい。この着脱システムは、連結部とガイド板とのスライド動作により簡単に支柱との着脱を行える。
【0044】
上記の着脱システムにおいて、前記ガイド板は、前記幅方向の一方の側部及び他方の側部に前記上下方向に延在するガイドレール46aをそれぞれ有し、前記収容部は、前記幅方向の一方の側部及び他方の側部に、前記ガイドレールを受け入れるガイド溝38bをそれぞれ有し、前記収容部は、前記上下方向にスライドすることで前記クランプに着脱してもよい。この着脱システムは、前記上下方向のスライド動作で、容易に支柱に取り付けることができる。
【0045】
上記の着脱システムにおいて、前記ガイド板は、上端部及び下端部の少なくとも一方に、係合孔46cを有し、前記収容部は、前記係合孔に係合するロックレバー38dを有してもよい。この着脱システムは、ロックレバーと係合孔とが係合することで、ホルダのクランプからの脱落を防止できる。
【0046】
上記の着脱システムにおいて、前記ホルダは、前記医療デバイスを支持する支持板と、前記支持板の下方に配置され、幅方向の軸線回りに回動する回動アーム40dとを有し、前記回動アームは、前記幅方向に拡幅する拡幅部41を有してもよい。
【0047】
上記の着脱システムにおいて、前記医療デバイスは、血液ポンプ20と、人工肺18とを有し、前記ホルダは、前記血液ポンプを保持するポンプ保持部30と、前記人工肺を保持する人工肺保持部31とを有し、前記ポンプ保持部と前記人工肺保持部とは、水平方向に並んで配置されてもよい。この着脱システムは、人工肺及び血液ポンプを有する医療デバイス(例えば、ECMO装置)を使用する患者の搬送を容易にする。
【0048】
なお、本発明は、上記した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0049】
10、10A…着脱システム 12、12A…医療デバイス
14、14A…ホルダ 16…クランプ
18…人工肺 20…血液ポンプ
26…支柱 28、28A…支持板
30…ポンプ保持部 31…人工肺保持部
36、36A…ハンドル 36c…把持部
38…連結部 38a…収容部
38b…ガイド溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9