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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017627
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】貨幣処理装置及び貨幣処理システム
(51)【国際特許分類】
   G07D 13/00 20060101AFI20230131BHJP
【FI】
G07D13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121994
(22)【出願日】2021-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】丸山 加織
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA06
3E141CA05
3E141CB04
3E141FC03
(57)【要約】
【課題】回収容器に収納された店舗の売上金とそれ以外の貨幣とを区別して処理する。
【解決手段】
店舗で使用される貨幣処理装置を、入金される貨幣を受け付ける入金部と、入金部に受け付けた貨幣を識別する識別部と、識別部が識別した貨幣を繰り出し可能に収納する収納部と、入金部から入金された、売上金額が確定していない営業日の売上金貨幣のうち収納部に収納されずに回収された回収貨幣、及び売上金額が確定した営業日の売上金貨幣を収納する、脱着可能な回収容器と、回収容器に収納されている回収貨幣の金額を特定可能な内訳情報を外部装置に送信する貨幣管理部とを備えるよう構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗で使用される貨幣処理装置であって、
入金される貨幣を受け付ける入金部と、
前記入金部に受け付けた貨幣を識別する識別部と、
前記識別部が識別した貨幣を繰り出し可能に収納する収納部と、
前記入金部から入金された、売上金額が確定していない営業日の売上金貨幣のうち前記収納部に収納されずに回収された回収貨幣、及び売上金額が確定した営業日の売上金貨幣を収納する、脱着可能な回収容器と、
前記回収容器に収納されている前記回収貨幣の金額を特定可能な内訳情報を外部装置に送信する貨幣管理部と
を備えることを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
前記貨幣管理部は、売上金額が確定した営業日の前記売上金額を示す売上金情報を前記外部装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記貨幣管理部は、売上金額が確定した営業日の売上金貨幣のうち既に前記回収容器に収納された回収貨幣の金額を算出し、該金額を前記売上金額から差し引いて得られた金額分の貨幣を前記収納部から前記回収容器へ移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記貨幣管理部は、売上金額が確定した営業日の前記売上金額と、前記売上金額のうち前記回収容器に収納されて過去の営業日の売上金貨幣と共に装置外へ回収された金額とを特定可能な情報を管理することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
店舗で使用される貨幣処理システムであって、
入金される貨幣を受け付ける入金部と、
前記入金部に受け付けた貨幣を識別する識別部と、
前記識別部が識別した貨幣を繰り出し可能に収納する収納部と、
前記入金部から入金された、売上金額が確定していない営業日の売上金貨幣のうち前記収納部に収納されずに回収された回収貨幣、及び売上金額が確定した営業日の売上金貨幣を収納する、脱着可能な回収容器と、
前記回収容器に収納されている前記回収貨幣の金額を特定可能な内訳情報を外部装置に送信する貨幣管理部と
を備えることを特徴とする貨幣処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脱着可能な回収容器を備える貨幣処理装置及び貨幣処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗では様々な貨幣処理装置が利用されている。貨幣処理装置の中には、入金された貨幣を出金可能に収納する収納部に加えて、脱着可能に設けられた回収容器を備えるものがある。貨幣処理装置から貨幣を回収する際、回収対象の貨幣を回収容器に収納して該回収容器を貨幣処理装置から取り外すことにより、回収作業を容易に行うことができる。特許文献1には、カセット式の回収容器を利用して貨幣処理装置から店舗の売上金を回収する方法が開示されている。
【0003】
店舗で、釣銭として使用される貨幣を出金する貨幣処理装置の収納部には、店舗の営業開始前に、釣銭準備金と呼ばれる釣銭用の貨幣が予め収納されている。店舗の営業中は、収納部を利用して、店舗の売上金を構成する貨幣の入金と、釣銭用の貨幣の出金とが行われる。店舗の営業終了後、釣銭準備金を装置内に残して、売上金額分の貨幣を収納部から回収容器に移動することにより、売上金を回収容器ごと装置外へ回収することができる。特許文献2には、装置内に収納されている多数の貨幣の中から、売上金額分の貨幣を回収カセットに移動する貨幣処理装置が開示されている。
【0004】
店舗の売上金は営業日毎に管理される。店舗の営業を終了して当日の売上金が回収容器に収納された後、この回収容器内に売上金以外の貨幣が混入すると、回収容器内の貨幣の管理が煩雑になる。例えば、回収容器内の貨幣を計数して得られた金額が売上金額と一致しなかった場合、その原因を調査する必要がある。
【0005】
例えば、前日の売上金を回収容器に収納した状態で、当日処理した貨幣を収納部に収納すれば、前日の売上金とそれ以外の貨幣とを分けることができる。ところが、収納部は釣銭用貨幣の収納に利用されるため、入金された貨幣のうち釣銭に利用できない傷みのひどい貨幣は収納部には収納できず、回収容器に収納される。売上金が収納されている回収容器に、傷みのひどい貨幣が収納されると、回収容器内に売上金とそれ以外の貨幣とが混在する状態になってしまう。
【0006】
これを避けるため、特許文献3には、回収容器として利用される金庫、及び収納部として利用される収納庫に加えて、収納部として利用可能な入金庫をさらに備える装置が開示されている。この装置を利用すれば、前日の売上金が金庫に収納されている間は、入金された貨幣を入金庫へ収納しておいて、前日の売上金が回収されて金庫が空になった後に、入金庫の貨幣を収納庫に移動することができる。移動する貨幣の中に、傷みがひどいために収納庫ではなく金庫へ収納された貨幣がある場合も、前日の売上金は既に金庫から回収された後であるため、金庫内で売上金とそれ以外の貨幣が混在することはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5879147号公報
【特許文献2】特開2021-18724号公報
【特許文献3】特許4517832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術に係る貨幣処理装置は、回収容器に前日の売上金が収納されている間、入金された貨幣を、回収容器及び収納部から独立して設けられた別の場所へ保管することにより、売上金とそれ以外の貨幣とを分けて管理することができる。しかしながら、貨幣処理装置内に、回収容器及び収納部に加えて、さらに別の保管場所を設ける必要があり、装置構造の複雑化、装置の重量増加及びコスト増加につながる。
【0009】
本開示は、上記課題を含む従来技術を鑑みてなされたもので、その目的の1つは、回収容器内に店舗の売上金とそれ以外の貨幣とが混在する場合でも、これらを区別して容易に処理することができる貨幣処理装置及び貨幣処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る貨幣処理装置は、店舗で使用される貨幣処理装置であって、入金される貨幣を受け付ける入金部と、前記入金部に受け付けた貨幣を識別する識別部と、前記識別部が識別した貨幣を繰り出し可能に収納する収納部と、前記入金部から入金された、売上金額が確定していない営業日の売上金貨幣のうち前記収納部に収納されずに回収された回収貨幣、及び売上金額が確定した営業日の売上金貨幣を収納する、脱着可能な回収容器と、前記回収容器内に収納されている前記回収貨幣の金額を特定可能な内訳情報を外部装置に送信する貨幣管理部とを備える。
【0011】
上記構成において、前記貨幣管理部は、売上金額が確定した営業日の前記売上金額を示す売上金情報を前記外部装置に送信してもよい。
【0012】
上記構成において、前記貨幣管理部は、売上金額が確定した営業日の売上金貨幣のうち既に前記回収容器に収納された回収貨幣の合計金額を算出し、該金額を前記売上金額から差し引いて得られた金額分の貨幣を前記収納部から前記回収容器へ移動させてもよい。
【0013】
上記構成において、前記貨幣管理部は、売上金額が確定した営業日の前記売上金額と、前記売上金額のうち前記回収容器に収納されて過去の営業日の売上金貨幣と共に装置外へ回収された金額とを特定可能な情報を管理してもよい。
【0014】
本開示に係る貨幣処理システムは、店舗で使用される貨幣処理システムであって、入金される貨幣を受け付ける入金部と、前記入金部に受け付けた貨幣を識別する識別部と、前記識別部が識別した貨幣を繰り出し可能に収納する収納部と、前記入金部から入金された、売上金額が確定していない営業日の売上金貨幣のうち前記収納部に収納されずに回収された回収貨幣、及び売上金額が確定した営業日の売上金貨幣を収納する、脱着可能な回収容器と、前記回収容器に収納されている前記回収貨幣の金額を特定可能な内訳情報を外部装置に送信する貨幣管理部とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る貨幣処理装置を利用すれば、売上金額が確定した過去の営業日の店舗の売上金と、それ以外の貨幣とが回収容器内に混在する場合でも、これらを区別して容易に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態に係る貨幣処理装置及び貨幣処理システムの概要を説明するための図である。
図2図2は、貨幣処理システムにおける店舗の売上金の管理方法を説明するための図である。
図3図3は、1日目の売上金の処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、2日目の売上金の処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、1日目に貨幣処理装置が管理する売上金に関する情報の例を示す図である。
図6図6は、2日目に貨幣処理装置が管理する売上金に関する情報の例を示す図である。
図7図7は、3日目に貨幣処理装置が管理する売上金に関する情報の例を示す図である。
図8図8は、複数営業日の売上金がまとめて回収される場合に、貨幣処理装置が管理する売上金に関する情報の例を示す図である。
図9図9は、貨幣処理装置の構成例を示すブロック図である。
図10図10は、図9に示す貨幣処理装置の外観の例を示す図である。
図11図11は、図3の変形例を示すフローチャートである。
図12図12は、図4の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る貨幣処理装置及び貨幣処理システムの実施の形態について説明する。貨幣処理装置及び貨幣処理システムは、商品を販売する店舗及びサービスを提供する店舗を含む様々な場所で利用することができるが、本実施形態では、商品を販売する店舗を例に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る貨幣処理装置10及び貨幣処理システム1の概要を説明するための図である。貨幣処理システム1は、店舗に設置された貨幣処理装置10と、店舗の売上金を管理する売上金管理装置2とを含む。図1に示す実線矢印は貨幣現物の動きを示し、破線矢印は貨幣に関する情報の動きを示している。本実施形態で言う貨幣は、紙幣のみであってもよいし、硬貨のみであってもよいし、紙幣及び硬貨の両方であってもよい。
【0019】
売上金管理装置2は、例えばコンピュータ装置である。例えば、操作部、表示部、制御部及び記憶部を備えるコンピュータ装置が売上金管理装置2として利用されるが、売上金管理装置2の構成は特に限定されない。売上金管理装置2の設置場所も特に限定されないが、例えば、店舗を管理する本社に設置される。
【0020】
貨幣処理装置10は、出金部11、入金部12、識別部13、収納部14、回収容器15及び貨幣管理部20を含む。貨幣処理装置10は、装置内の収納部14に収納している貨幣を出金部11から装置外へ排出する出金処理を行うことができる(A1)。出金処理時には、収納部14に収納されている貨幣が繰り出されて出金部11から出金される
【0021】
貨幣処理装置10は、装置外から入金部12に貨幣を受けて、各貨幣を装置内の収納部14又は回収容器15に収納する入金処理を行うことができる(B1)。入金処理時には、入金部12に受けた各貨幣が識別部13で識別される。識別部13は、例えば、各貨幣の金種、真偽及び正損を識別することができる。識別結果に基づいて、出金処理に利用可能な貨幣は、収納部14に収納される(B2)。
【0022】
例えば、収納部14は、入金処理時に入金された貨幣を金種別に収納すると共に、出金処理時に出金される貨幣を繰り出せるよう構成されている。これにより、貨幣処理装置10は、入金された貨幣を出金に利用する貨幣のリサイクルを行うことができる。
【0023】
入金処理時に所定の条件を満たした貨幣は、収納部14に収納されず、回収容器15に収納される(B3)。具体的には、入金部12から入金されたが収納部14に収納できない貨幣が、回収容器15に収納される。
【0024】
例えば、収納部14は出金処理に利用する貨幣の収納に利用されるため、予め設定された正損の基準に基づいて出金処理に利用できないと判定された傷みのひどい貨幣は、回収容器15に収納される。
【0025】
例えば、収納部14に収納するよう設定された金種と異なる金種の貨幣は、傷み具合によらず回収容器15に収納される。例えば市場での流通量が多い貨幣の金種が予め収納部14に割り当てられ、それ以外の金種の貨幣が回収容器15に収納される。
【0026】
例えば、通常は収納部14に収納されるが、収納部14が貨幣で満杯になるなどして収納できなかった貨幣は、回収容器15に収納される。ここで言う満杯とは、収納部14が物理的に貨幣で満杯になり、それ以上は貨幣を収納できない状態に限定されない。収納部14へ収納する貨幣枚数が予め設定され、収納部14に貨幣を収納可能ではあるが、収納部14に収納された貨幣の枚数が設定枚数に達した状態を、貨幣処理装置10が満杯と判定して回収容器15に貨幣を収納してもよい。収納部14に収納するよう設定された金種毎に、満杯と判定される収納枚数が設定されてもよい。
【0027】
貨幣管理部20は、入金処理時に、収納部14に収納されずに回収容器15に収納された貨幣があれば、この貨幣の情報を取得して管理する(B4)。この情報は、回収容器15に収納されている貨幣の合計金額を特定可能な情報を含む。
【0028】
回収容器15は、貨幣処理装置10に対して脱着可能に設けられている。例えば、カセット式収納部、袋等の容器が回収容器15として利用される。回収容器15は、売上金の回収処理に利用される。回収処理は、貨幣処理装置10の装置内で貨幣を移動することにより、装置外への回収対象である貨幣を回収容器15へ集める処理である。
【0029】
店舗の営業が終了して、貨幣処理装置10内にある売上金の金額が確定した後、売上金の回収処理が実行される(C1)。貨幣処理装置10は、収納部14から回収容器15へ貨幣を移動することにより、売上金額分の貨幣を回収容器15に収納した状態とする。貨幣管理部20は、回収容器に収納された売上金の情報を取得して管理する(C2)。この情報は、回収容器15に収納されている売上金額を特定可能な情報を含む。
【0030】
例えば売上金額が10万円と確定された際、回収容器15が空であった場合は、収納部14から10万円分の貨幣が繰り出されて回収容器15に収納される。一方、例えば回収容器15に1万円分の貨幣が既に収納されていた場合は、売上金額10万円からこの金額1万円を差し引いた9万円分の貨幣が、収納部14から繰り出されて回収容器15に収納される。売上金額が確定して回収処理が行われると、回収容器15内には、売上金を構成する貨幣(売上金貨幣)のみが収納された状態となる。
【0031】
貨幣管理部20は、売上金情報を売上金管理装置2へ送信する(C3)。売上金管理装置2は、貨幣管理部20から受信した売上金情報に基づいて、店舗の売上金額を記憶部に登録し、売上金の管理を開始する(C4)。例えば、売上金管理装置2の記憶部で、各店舗を区別するための識別情報である店舗番号と、各店舗の営業日の日付と、各営業日の売上金額とが関連付けて管理される。
【0032】
1日目の売上金が回収容器15に収納されている状態で2日目の営業が開始される。2日目の営業中に入金処理が行われて(B1)、入金された貨幣の一部が回収容器15に回収された場合(B3)、貨幣管理部20は、この回収金(回収貨幣)の情報を回収金情報として管理する(B4)。回収金情報は売上金情報と区別して管理される。
【0033】
例えば、1日目の売上金10万円が収納されている回収容器15に、2日目の営業中に1万円分の貨幣が収納された場合、回収金情報及び売上金情報に基づいて、回収容器15内にある貨幣の金額11万円が、1日目の売上金額10万円及び2日目の回収金額1万円の合計金額であることが分かるようになっている。
【0034】
店舗の売上金は、店舗の現金を所定拠点へ運搬する警送会社3によって店舗外へ回収される(D1)。例えば、店舗から売上金の回収を依頼された警送会社3は、売上金が入った回収容器15を現金センターと呼ばれる拠点へ運ぶ。現金センターでは、回収容器15に収納されている売上金の計数、計数した売上金額の売上金管理装置2への入力、店舗の銀行口座への売上金額の入金等の処理が行われる。
【0035】
2日目の営業開始後、1日目の売上金を回収するために来店した警送会社3は、1日目の売上金が入った回収容器15を貨幣処理装置10から取り出す取出処理を行う。取出処理は、売上金が入った回収容器15を貨幣処理装置10から取り出す処理である。取出処理時には、取り出された回収容器15の代わりに、空の回収容器15が貨幣処理装置10に装着される。
【0036】
貨幣管理部20は、取出処理で装置外へ取り出された回収容器15の内訳情報を売上金管理装置2に送信する(D2)。内訳情報は、売上金及び回収金の情報から得ることができる。内訳情報には、回収容器15に収納されている売上金、回収金等の貨幣の種類と、各種類の貨幣の金額とを特定可能な情報が含まれる。
【0037】
例えば、内訳情報には、回収容器15に収納されている1日目の売上金額Pを示す情報と、回収金額Qすなわち1日目の売上金以外の貨幣の金額を示す情報とが含まれる。ただし、売上金額及び回収金額を特定することができれば内訳情報の内容は特に限定されない。例えば、内訳情報が、売上金額P及び合計金額(P+Q)を含む態様であってもよいし、回収金額Q及び合計金額(P+Q)を含む態様であってもよい。また、例えば、内訳情報が、売上金額Pを含まず、回収金額Qのみを含む態様であってもよい。この場合も、売上金管理装置2は、貨幣管理部20から別途受信した売上金情報に含まれる売上金額P1と、内訳情報に含まれる回収金額Qとに基づいて、回収容器15内の貨幣の種類と、各種類の貨幣の金額と、これらの合計金額とを特定することができる。
【0038】
取出処理が2日目の営業の途中で行われた場合、1日目の売上金以外に、2日目の営業中に発生した回収金が回収容器15に収納されている可能性がある。売上金管理装置2は、貨幣管理部20から受信した内訳情報に基づいて、売上金額及び回収金額を特定することができる。取出処理時に、売上金のみが回収容器15内に収納されている場合もあるが、この場合、内訳情報は回収金額が0(ゼロ)円であることを示す情報になる。
【0039】
警送会社3は、店舗から回収した回収容器15内にある貨幣の金額を確認する。警送会社3が確認した金額Rの情報は、売上金管理装置2へ報告される(D3)。例えば、現金センターに設けられた貨幣処理装置が、回収容器15内の貨幣を識別計数して、得られた計数結果を売上金管理装置2に送信する。
【0040】
売上金管理装置2は、店舗の貨幣管理部20から取得した内訳情報と、警送会社3から取得した金額情報とに基づいて、店舗の売上金を管理する(D4)。売上金管理装置2は、回収容器15に収納されていた貨幣の金額Rが、1日目の売上金額Pと2日目営業中の回収金額Qの合計金額と一致するか否かを判定して、判定結果を報知することができる。
【0041】
一致しないとの判定結果が得られた場合、売上金管理装置2が、店舗の店員、本社の担当者、警送会社3の少なくともいずれか一つにこれを報知することにより、不一致の原因が調査されることになる。
【0042】
一致するとの判定結果が得られた場合、売上金管理装置2は、警送会社3による1日目の売上金の回収が完了したことを認識して、1日目の売上金の管理を終えることができる。売上金管理装置2は、2日目の売上金の一部が警送会社3によって回収されたことを認識して、2日目の売上金の管理を開始することができる。2日目の営業が終了するまで2日目の売上金額は確定されないが、売上金管理装置2は、売上金額の確定前から2日目の売上金の管理を開始することになる。
【0043】
その後も、貨幣管理部20は、売上金額確定後の回収処理によって回収容器15に収納された売上金貨幣の金額と、それ以外の処理で回収容器15に収納された回収貨幣の金額との内訳を示す内訳情報を管理する。貨幣管理部20は、取出処理が行われる度に、この回収容器15の内訳情報を売上金管理装置2へ送信する。
【0044】
図2は、貨幣処理システム1における店舗の売上金の管理方法を説明するための図である。図2の上段は、店舗の各営業日の売上金額を示している。図2の下段は、各営業日の翌日に警送会社3が、売上金が入った回収容器15を回収した際、この回収容器15内に収納されていた貨幣の金額を示している。
【0045】
図2は、1日目の売上金額P1の確定後、売上金額P1分の売上金が回収容器15に収納された状態で2日目の営業が開始され、さらに回収金額Q2分の回収金が回収容器15に収納された後に、回収容器15が警送会社3によって回収されたことを示している。すなわち、警送会社3が1日目の売上金が入った回収容器15を店舗外へ回収した際、この回収容器15内に、1日目の売上金の他に2日目の回収金が含まれていたことを示している。
【0046】
警送会社3が回収容器15の取出処理を実行した際、貨幣管理部20は、この回収容器15内にある貨幣の金額の内訳が、1日目の売上金額P1と、2日目の回収金額Q2であることを示す内訳情報を売上金管理装置2へ送信する。
【0047】
警送会社3は、回収容器15に収納されていた貨幣の金額R1を、1日目の売上金額として、売上金管理装置2に報告する。警送会社3は、回収容器15内に、回収金、すなわち売上金以外の貨幣が収納されているか否かを知ることができない。このため、回収容器15内の貨幣の金額R1が売上金額として報告されることになる。
【0048】
売上金管理装置2は、貨幣管理部20から取得した内訳情報に基づいて、警送会社3から取得した金額R1が、1日目の売上金額P1に2日目の回収金額Q2を加算した金額であることを認識する(R1=P1+Q2)。
【0049】
売上金管理装置2は、1日目の売上金額P1が警送会社3によって店舗外へ回収されたことを確認して、1日目の売上金の管理を終えることができる。2日目の売上金の一部が回収金として既に警送会社3によって店舗外へ回収されたことを認識した売上金管理装置2は、回収金額Q2を記憶部に記録して、2日目の売上金の管理を開始することができる。
【0050】
2日目の売上金額P2が確定して回収処理が実行されると、この売上金額P2から、1日目の売上金と共に既に回収された、2日目の売上金額P2の一部である回収金額Q2を差し引いて、得られた金額(P2-Q2)分の貨幣が、回収容器15に収納される。回収容器15に、2日目の売上金の一部である貨幣が収納された状態で3日目の営業が開始される。
【0051】
3日目の営業開始後に2日目の売上金を回収しに店舗を訪れた警送会社3は、回収容器15に収納されていた貨幣の金額R2を、2日目の売上金額として売上金管理装置2に報告する。
【0052】
貨幣管理部20は、警送会社3によって装置外へ回収された回収容器15内の貨幣の金額の内訳が、2日目の売上金額P2の一部(P2-Q2)と、3日目の回収金額Q3であることを示す内訳情報を売上金管理装置2へ送信する。
【0053】
売上金管理装置2は、内訳情報に基づいて、警送会社3から報告された金額R2が、2日目の売上金の一部(P2-Q2)と、3日目の回収金額Q3との合計金額であることを認識する(R2=P2-Q2+Q3)。
【0054】
売上金管理装置2は、2日目の売上金の一部が売上金額確定前に1日目の売上金と共に店舗から回収された後、残りが売上金確定後に店舗から回収されたことにより、2日目の売上金全額が回収されたことを確認して、2日目の売上金の管理を終えることができる。売上金管理装置2は、3日目の売上金のうち売上金確定前に既に警送会社3によって回収された回収金額Q3を記憶部に記録して、3日目の売上金の管理を開始することができる。
【0055】
3日目の売上金額P3が確定して回収処理が実行されると、この売上金額P3から、2日目の売上金と共に既に回収された回収金額Q3を差し引いて、得られた金額(P3-Q3)分の貨幣が、回収容器15に収納される。回収容器15に、3日目の売上金の一部である貨幣が収納された状態で4日目の営業が開始される。
【0056】
4日目の営業開始後に3日目の売上金を回収しに店舗を訪れた警送会社3は、回収容器15に収納されていた貨幣の金額R3を、3日目の売上金額として、売上金管理装置2に報告する。
【0057】
図2に示す例では、警送会社3が4日目に売上金を回収した際、回収容器15内には3日目の売上金の一部のみが収納され、4日目の回収金は収納されていない。このため、貨幣管理部20は、回収容器15内の貨幣の金額の内訳が、3日目の売上金額P3の一部(P3-Q3)のみであること、すなわち4日目の回収金額が0(ゼロ)円であることを示す内訳情報を、売上金管理装置2へ送信する。
【0058】
売上金管理装置2は、内訳情報に基づいて、警送会社3から報告された金額R3が、3日目の売上金額P3から、既に店舗から回収された3日目の売上金の一部の金額である回収金額Q3を差し引いて得られた金額であることを認識する(R3=P3-Q3)。
【0059】
売上金管理装置2は、3日目の売上金は、その一部が3日目の営業途中に2日目の売上金と共に回収されて、残りが4日目に回収されたことにより、全額が回収されたことを確認して、3日目の売上金の管理を終えることができる。
【0060】
このように、貨幣処理システム1では、回収容器15内に、前日までの営業日の売上金と、売上金以外の貨幣とが収納されている場合でも、貨幣処理装置10が、売上金額と売上金以外の貨幣の金額との内訳を特定するための内訳情報を、売上金管理装置2へ送信することができる。
【0061】
内訳情報には、前日までの各営業日の終了後、売上金額が確定して行われた回収処理で回収容器15に収納された貨幣の金額と、取出処理が行われた当日の営業中、売上金額の確定前に回収容器15に収納された貨幣の金額とを特定するための情報が含まれる。すなわち、内訳情報は、回収容器15に収納されている、売上金額が確定していない営業日の回収金額を特定可能な情報を含んでいる。
【0062】
売上金管理装置2は、警送会社3から取得した回収容器15内の貨幣の金額と、貨幣処理装置10から取得した内訳情報とに基づいて、各営業日の売上金額を管理すると共に、各営業日の売上金が警送会社3によって回収されたか否かを管理することができる。
【0063】
なお、説明を簡単にするため、警送会社3が毎日店舗を訪れて各営業日の売上金を翌日に回収する例を示したが、警送会社3による売上金の回収方法は特に限定されない。例えば、2日おき、3日おきと言うように、複数営業日の売上金がまとめて回収される態様であってもよい。この場合も、貨幣処理装置10から売上金管理装置2へ、回収容器15内に収納されている各営業日の売上金額と回収金額との内訳を特定可能な内訳情報を送信することにより、売上金管理装置2は、上述したように各営業日の売上金を管理することができる。
【0064】
次に、貨幣処理装置10で行われる売上金の回収に係る処理の流れについて説明する。図3は、1日目の売上金の処理の流れを示すフローチャートである。図3に示す破線より上の処理(ステップS1~S4)は1日目に行われる処理を示し、破線より下の処理(ステップS5~S11)は2日目に行われる処理を示している。
【0065】
本実施形態で言う1日目とは、売上金額が確定して回収処理を実行した後に、その当日の売上金全てが回収容器15内に収納された営業日を言う。例えば、図2に示す例では、4日目に警送会社3が店舗から回収容器15を回収した際、回収容器15には、3日目の売上金の一部のみが収納され、4日目の回収金は回収されていない。このため、4日目の営業が終了して売上金額が確定し、回収処理が行われた後、4日目の売上金全てが回収容器15内にある状態となる。よって、図2に示す例では、1日目に加えて4日目が本実施形態で言う1日目に相当し、これらの営業日の売上金は図3に示す流れで処理されることになる。
【0066】
店舗の1日目の営業が終了して、貨幣処理装置10内にある売上金の金額P1が確定すると、図3に示すように回収処理が開始される。貨幣管理部20は、回収容器15内に回収済みの貨幣(回収金)があるか否かを判定する(ステップS1)。回収容器15が空である場合(ステップS1;No)、貨幣管理部20は、収納部14から回収容器15へ売上金額P1分の貨幣を移動する(ステップS2)。
【0067】
1日目の営業中に、収納部14に収納できない貨幣が回収容器15に収納されていた場合(ステップS1;Yes)、貨幣管理部20は、この貨幣の金額を回収金額D1とする。貨幣管理部20は、売上金額P1から回収金額D1を減算した金額(P1-D1)分の貨幣を収納部14から回収容器15へ移動する(ステップS3)。ステップS1の判定結果によらず、1日目の営業終了後には、1日目の売上金額P1分の貨幣が回収容器15に収納された状態となる。
【0068】
貨幣管理部20は、1日目の売上金額P1を示す情報と、1日目の売上金が回収容器15内、すなわち店舗の貨幣処理装置10内にあることを示す情報とを、売上金管理装置2へ送信する(ステップS4)。売上金管理装置2は、1日目の売上金額P1分の貨幣が回収容器15内にあることを認識して、1日目の売上金の管理を開始する。
【0069】
2日目、貨幣管理部20は、1日目の売上金を回収する取出処理が開始されたか否かを判定する(ステップS5)。取出処理が行われて1日目の売上金が回収されるまでの間(ステップS5;No、ステップS9;No)、ステップS5とS9のループが繰り返される。取出処理が行われた後も、2日目の営業が終わるまでの間(ステップS10;No)、ステップS5、S9、S10のループが繰り返される。
【0070】
取出処理が開始されると(ステップS5;Yes)、貨幣管理部20は、回収容器15の中に1日目の売上金以外の貨幣があるか否かを判定する(ステップS6)。回収容器15に1日目の売上金のみが収納されている場合(ステップS6;No)、貨幣管理部20は、1日目の売上金のみ、すなわち売上金額P1分の貨幣のみが回収容器15に収納されていることを示す内訳情報を、売上金管理装置2へ送信する(ステップS7)。
【0071】
2日目の営業中に収納部14に収納できなかった貨幣が回収容器15に収納されている場合(ステップS6;Yes)、貨幣管理部20は、この貨幣の金額を回収金額Q2とする。貨幣管理部20は、回収容器15内に、1日目の売上金すなわち金額P1分の貨幣と、2日目の回収金すなわち回収金額Q2分の貨幣とが収納されていることを示す内訳情報を、売上金管理装置2へ送信する(ステップS8)。
【0072】
取出処理が行われて、1日目の売上金が収納された回収容器15が貨幣処理装置10から取り出されると(ステップS9;Yes)、代わりに空の回収容器15が貨幣処理装置10に装着されて2日目の営業が続けられる。2日目の営業を終えた後(ステップS10;Yes)、貨幣処理装置10内で2日目の売上金を回収容器15へ回収する回収処理が行われる(ステップS11)。
【0073】
図4は、2日目の売上金の処理(図3ステップS11)の流れを示すフローチャートである。図4に示す破線より上の処理(ステップS21~S28)は2日目に行われる処理を示し、破線より下の処理(ステップS29~S39)は3日目に行われる処理を示している。
【0074】
店舗の2日目の営業が終了して、売上金額P2が確定すると、図4に示すように回収処理が開始される。貨幣管理部20は、2日目の売上金の一部が、回収容器15に収納されて1日目の売上金と共に既に装置外へ取り出されたか否かを判定する(ステップS21)。
【0075】
2日目の売上金全てが貨幣処理装置10内にある場合(ステップS21;No)、続いて貨幣管理部20は、2日目の営業中に回収された貨幣が回収容器15内に収納されているか否かを判定する(ステップS22)。回収容器15に回収された貨幣がない場合(ステップS22;No)、貨幣管理部20は、2日目の売上金額P2分の貨幣を収納部14から回収容器15へ移動する(ステップS23)。
【0076】
2日目の営業中に収納部14に収納できなかった貨幣が回収容器15内に収納されている場合(ステップS22;Yes)、貨幣管理部20は、この貨幣の金額を回収金額D2とする。貨幣管理部20は、売上金額P2から回収金額D2を減算した金額(P2-D2)分の貨幣を収納部14から回収容器15へ移動する(ステップS24)。2日目の売上金が全て貨幣処理装置10内にある場合、ステップS22の判定結果によらず、2日目の売上金額P2分の貨幣が回収容器15に収納された状態となる。
【0077】
2日目の売上金のうち一部の金額Q2分の貨幣が既に装置外へ回収されていた場合も(ステップS21;Yes)、貨幣管理部20は、2日目の営業中に回収された貨幣が回収容器15内に収納されているか否かを判定する(ステップS25)。回収された貨幣がない場合(ステップS25;No)、貨幣管理部20は、売上金額P2から、装置外へ回収済みの回収金額Q2を減算した金額(P2-Q2)分の貨幣を、収納部14から回収容器15へ移動する(ステップS26)。
【0078】
2日目の営業中に収納部14に収納できなかった貨幣が回収容器15内に収納されている場合(ステップS25;Yes)、貨幣管理部20は、この貨幣の金額を回収金額D2とする。貨幣管理部20は、売上金額P2から、装置外へ回収済みの回収金額Q2と、回収容器15内にある回収金額D2とを減算した金額(P2-Q2-D2)分の貨幣を、収納部14から回収容器15へ移動する(ステップS27)。2日目の売上金のうち回収金額Q2分の貨幣が既に装置外へ回収されている場合、ステップS25の判定結果によらず、金額(P2-Q2)分の貨幣が回収容器15に収納された状態となる。
【0079】
貨幣管理部20は、2日目の売上金額P2を示す情報を、売上金管理装置2へ送信する(ステップS28)。売上金管理装置2は、ステップS8で受信した内訳情報と、ステップS28で受信した売上金情報とに基づいて、2日目の売上金の全部又は一部が回収容器15にあることを認識して2日目の売上金の管理を継続する。
【0080】
3日目、貨幣管理部20は、警送会社3によって取出処理が開始されたか否かを判定する(ステップS29)。取出処理が行われて2日目の売上金が回収されるまでの間は(ステップS29;No、ステップS37;No)、ステップS29とS37のループが繰り返される。取出処理が行われた後も、3日目の営業が終わるまでの間は(ステップS38;No)、ステップS29、S37、S38のループが繰り返される。
【0081】
取出処理が開始されると(ステップS29;Yes)、貨幣管理部20は、2日目の売上金の一部が回収容器15に収納されて1日目の売上金と共に既に装置外へ取り出されたか否かを判定する(ステップS30)。
【0082】
2日目の売上金全てが貨幣処理装置10内にある場合(ステップS30;No)、貨幣管理部20は、3日目の営業中に回収された貨幣が回収容器15内に収納されているか否かを判定する(ステップS31)。
【0083】
回収容器15に2日目の売上金のみが収納されている場合(ステップS31;No)、貨幣管理部20は、2日目の売上金のみ、すなわち売上金額P2分の貨幣のみが回収容器15に収納されていることを示す内訳情報を、売上金管理装置2へ送信する(ステップS32)。
【0084】
3日目の営業中に収納部14に収納できなかった貨幣が回収容器15に収納されている場合(ステップS31;Yes)、貨幣管理部20は、この貨幣の金額を回収金額Q3とする。貨幣管理部20は、回収容器15内に、2日目の売上金すなわち金額P2分の貨幣と、3日目の回収金すなわち金額Q3分の貨幣とが収納されていることを示す内訳情報を、売上金管理装置2へ送信する(ステップS33)。
【0085】
2日目の売上金のうち回収金額Q2分の貨幣が既に警送会社3によって装置外へ回収されていた場合も(ステップS30;Yes)、貨幣管理部20は、3日目の営業中に回収された貨幣が回収容器15内に収納されているか否かを判定する(ステップS34)。3日目の回収金がない場合(ステップS34;No)、貨幣管理部20は、2日目の売上金の一部、すなわち金額(P2-Q2)分の貨幣が回収容器15内に収納されていることを示す内訳情報を、売上金管理装置2へ送信する(ステップS35)。
【0086】
3日目の営業中に収納部14に収納できなかった貨幣が回収容器15内に収納されている場合(ステップS34;Yes)、貨幣管理部20は、この貨幣の金額を回収金額Q3とする。貨幣管理部20は、2日目の売上金の一部すなわち金額(P2-Q2)分の貨幣と、3日目の回収金すなわち回収金額Q3分の貨幣とが、回収容器15に収納されていることを示す内訳情報を、売上金管理装置2へ送信する(ステップS36)。
【0087】
2日目の売上金が収納された回収容器15が貨幣処理装置10から取り出されると(ステップS37;Yes)、代わりに空の回収容器15が貨幣処理装置10に装着されて3日目の営業が続けられる。3日目の営業を終えた後(ステップS38;Yes)、貨幣処理装置10内で3日目の売上金を回収容器15へ収納するための回収処理が行われることになる。
【0088】
なお、説明を簡単にするため、図3及び図4では、各営業日の売上金が翌日に回収される例を示したが、複数営業日の売上金がまとめて回収される場合も同様の処理が行われる。複数営業日の売上金がまとめて回収される場合は、図3に示す1日目の売上金を、1日目を含む複数営業日それぞれの売上金と読み替えて、図4に示す2日目の売上金を、その次に回収される複数営業日それぞれの売上金と読み替えて、各処理を実行すればよい。
【0089】
次に、貨幣処理装置10が管理する売上金に関する情報の具体例を説明する。図5は、1日目に貨幣処理装置10が管理する売上金に関する情報21(21a~21c)の例を示す図である。貨幣処理装置10の貨幣管理部20は、図5に示すように、回収容器15に収納されている貨幣の情報21を管理している。
【0090】
図5(a)に示す情報21aは、1日目の営業終了後、1日目の売上金が回収容器15に回収される前に、回収容器15に、売上金は収納されておらず、回収金7千円のみが収納されていたことを示している。1日目の売上金が50万円であることが確定された後、貨幣処理装置10内で売上金を回収容器15に回収する回収処理が実行される。回収処理の開始前に既に回収金7千円が回収容器15内に収納されている。このため、回収処理時には、売上金額50万円から回収金額7千円を差し引いて得られた49万3千円分の貨幣が、収納部14から回収容器15へ移動する。
【0091】
図5(b)に示す情報21bは、回収処理の終了後、回収容器15に、1日目の売上金50万円のみが収納され、回収金は収納されていないことを示している。貨幣管理部20は、この情報21bに基づいて、売上金情報21cを売上金管理装置2に送信する。
【0092】
図5(b)に示すように回収容器15に1日目の売上金のみが収納された状態で2日目の営業が開始される。図6は、2日目に貨幣処理装置10が管理する売上金に関する情報22(22a~22e)の例を示す図である。
【0093】
図6(a)に示す情報22aは、1日目の売上金を装置外へ回収する取出処理の実行時、回収容器15に、1日目の売上金50万円と、2日目の回収金3千円との合計50万3千円分の貨幣が収納されていたことを示している。貨幣管理部20は、この情報22aに基づいて、内訳情報22bを売上金管理装置2に送信する。内訳情報22bは、貨幣処理装置10から取り出された回収容器15に収納されている貨幣の内訳が、1日目の売上金額50万円と、2日目の回収金額すなわち2日目の売上金の一部である3千円であることを示す情報となる。なお、内訳情報22bが、回収金額3千円を示す情報のみであってもよい。この場合も、図5(b)に示すように、1日目の売上金額50万円を示す売上金情報21cは既に売上金管理装置2に送信されているため、売上金管理装置2は、回収容器15内にある貨幣の金額50万3千円を算出することができる。
【0094】
図6(b)に示す情報22cは、取出処理の終了後、貨幣処理装置10に空の回収容器15を装着して2日目の営業を続けた結果、回収金4千円が回収容器15に収納されたことを示している。貨幣管理部20は、回収容器15内に収納されている貨幣の種類及び金額の他、売上金額の確定前に警送会社3によって装置外へ回収された貨幣の情報も管理する。図6(b)で「取出済」と記載された情報は、2日目の売上金のうち3千円分の貨幣は既に警送会社3によって装置外へ取り出されたことを示している。
【0095】
図6(b)に示す状態で2日目の営業が終了して2日目の売上金が40万円であることが確定すると、2日目の売上金の回収処理が実行される。図6(b)に示すように、回収処理の開始前、売上金の一部3千円分が既に装置外へ回収されて、回収金4千円が回収容器15内に収納されている。このため、回収処理時には、これらの合計金額7千円を売上金額40万円から差し引いた39万3千円分の貨幣が、収納部14から回収容器15へ移動する。この結果、回収容器15内に39万7千円分の貨幣が収納された状態となる。
【0096】
図6(c)に示す情報22dは、回収処理の終了後、2日目の売上金40万円のうち、3千円分は既に装置外へ回収されて、残り39万7千円分の貨幣が回収容器15に収納されていることを示している。貨幣管理部20は、この情報22dに基づいて、売上金情報22eを売上金管理装置2に送信する。売上金情報22eは、2日目の売上金額を示す情報と、この売上金額のうち回収容器15に収納されている金額及び既に警送会社3によって装置外へ回収された金額を特定可能な情報とを含む。なお、売上金情報22eが、回収容器15内の売上金額39万7千円を示す情報のみであってもよい。この場合も、既に装置外へ回収された2日目の売上金3千円を示す内訳情報22bが売上金管理装置2に送信済であるため、売上金管理装置2は、2日目の売上金額40万円を算出することができる。
【0097】
図6(c)に示すように、2日目の売上金40万円の一部である39万7千円分の貨幣が回収容器15に収納された状態で、3日目の営業が開始される。図7は、3日目に貨幣処理装置10が管理する売上金に関する情報23(23a~23d)の例を示す図である。
【0098】
図7(a)に示す情報23aは、2日目の売上金を回収する取出処理の実行時に、回収容器15に、3日目の回収金は収納されておらず、2日目の売上金40万円の一部である39万7千円分の貨幣のみが回収容器15に収納されていたことを示している。貨幣管理部20は、この情報23aに基づいて、内訳情報23bを売上金管理装置2に送信する。内訳情報23bは、貨幣処理装置10から取り出された回収容器15に収納されている貨幣の内訳が、2日目の売上金の一部である39万7千円と、3日目の回収金0(ゼロ)円とであることを示す情報となる。なお、内訳情報23bが、回収金額0(ゼロ)円を示す情報のみであってもよい。この場合も、内訳情報23bと図6(c)に示す売上金情報22eから、売上金管理装置2は、回収容器15内にある貨幣の金額を算出することができる。
【0099】
取出処理の実行時に、2日目の売上金以外の貨幣が回収容器15に収納されていた場合は、図7(b)に示すように、これを示す内訳情報が送信されることになる。図7(b)に示す情報23cは、取出処理の実行時に、2日目の売上金40万円の一部である39万7千円分の貨幣と、3日目の回収金である2千円分の貨幣とが回収容器15に収納されていた例を示している。貨幣管理部20は、この情報23cに基づいて、内訳情報23dを売上金管理装置2に送信する。この場合、内訳情報23dは、回収容器15に収納されている貨幣の内訳が、2日目の売上金の一部である39万7千円と、3日目の回収金2千円であることを示す情報となる。
【0100】
複数営業日の売上金がまとめて回収される場合も同様に処理される。図8は、複数営業日の売上金がまとめて回収される場合に、貨幣処理装置10が管理する売上金に関する情報24(24a~24d)の例を示す図である。図8は、1日目の売上金50万円と、2日目の売上金40万円とが、3日目の営業開始後に警送会社3によって回収された例を示している。
【0101】
図8(a)に示す情報24aは、取出処理の実行時に、回収容器15に、1日目の売上金50万円と、2日目の売上金40万円と、3日目の回収金5千円とが収納されていたことを示している。貨幣管理部20は、この情報24aに基づいて、内訳情報24bを売上金管理装置2に送信する。内訳情報24bは、回収容器15に収納されている貨幣の内訳が、1日目の売上金額50万円と、2日目の売上金40万円と、3日目の回収金5千円であることを示す情報となる。
【0102】
取出処理の終了後、回収容器15に回収金が収納されることなく3日目の営業が終了して3日目の売上金が確定すると、3日目の売上金の回収処理が開始される。例えば、3日目の売上金額が45万円であった場合、3日目の売上金のうち5千円分は既に警送会社3によって装置外へ回収されているため、回収処理では、44万5千円分の貨幣が回収容器15に収納される。
【0103】
図8(b)に示す情報24cは、回収処理の終了後、3日目の売上金45万円のうち5千円分は既に警送会社3によって装置外へ回収され、残り44万5千円分の貨幣が回収容器15に収納されていることを示している。貨幣管理部20は、この情報24cに基づいて、売上金情報24dを売上金管理装置2に送信する。売上金情報24dは、3日目の売上金額と、この売上金額のうち回収容器15に収納されている金額及び既に警送会社3によって装置外へ回収された金額とを特定可能な情報となる。4日目以降も、同様に、各営業日の売上金額が確定した後に売上金を回収容器15へ収納する回収処理が行われて、警送会社3が売上金を店舗外へ回収するための取出処理が所定のタイミングで行われることになる。
【0104】
このように、警送会社3が複数営業日の売上金をまとめて回収する場合も、貨幣管理部20が、各営業日の売上金額と、警送会社3が店舗外に回収した回収容器15に収納されている各営業日の売上金額と回収金額の内訳を特定可能な内訳情報とを、売上金管理装置2に送信する。売上金管理装置2は、各営業日の売上金額と、各営業日の売上金額のうち店舗の回収容器15に残っている金額と、警送会社3によって既に回収された金額とを管理することにより、各営業日の売上金が警送会社3によって店舗外へ回収されたことを確認することができる。
【0105】
次に、貨幣処理装置10の具体例を説明する。図9は、貨幣処理装置10の構成例を示すブロック図である。図10は、図9に示す貨幣処理装置10の外観の例を示す図である。既に説明した内容は省略して他の構成部を中心に説明する。
【0106】
図9及び図10図に示す貨幣処理装置10は、例えば店舗のバックオフィスに設置され、店舗の従業員によって利用される。貨幣処理装置10は、紙幣の入金処理、出金処理及び回収処理と、硬貨の入金処理、出金処理及び回収処理と、所定枚数の硬貨が包装された包装硬貨の出金処理とを実行することができる。
【0107】
例えば、店員は、出金処理を実行して、店舗のチェックアウトカウンターのキャッシュレジスタで使用する釣銭用の貨幣を貨幣処理装置10から出金することができる。店員は、入金処理を実行して、キャッシュレジスタから回収した売上金を貨幣処理装置10に入金することができる。
【0108】
図9に示すように、貨幣処理装置10は、紙幣処理部100、硬貨処理部200、包装硬貨処理部300を含む。この他、貨幣処理装置10は、制御部20、操作表示部30、記憶部40及び通信部50を含む。
【0109】
紙幣処理部100は、図1の出金部11、入金部12、識別部13、収納部14、回収容器15それぞれに対応する紙幣出金部111、紙幣入金部12、紙幣識別部113、紙幣収納部114、紙幣回収容器115を含む。
【0110】
この他、紙幣処理部100は、紙幣リジェクト部116及び紙幣搬送部117を含む。紙幣リジェクト部116は、入金処理時に入金できないリジェクト紙幣を排出するために利用される。紙幣搬送部117は、紙幣処理部100の各部111~116の間で紙幣を搬送する。
【0111】
紙幣収納部114は、1万円札を収納する収納部114a、五千円札を収納する収納部114b、千円札を収納する収納部114cを含む。入金処理時には、紙幣入金部112から入金された紙幣が紙幣識別部113で識別されて、識別結果に基づいて、各収納部114a~114cに金種別に収納される。出金処理時には、各収納部114a~114cから繰り出された紙幣が紙幣出金部111から出金される。回収処理時には、回収対象の紙幣が各収納部114a~114cから繰り出されて紙幣回収容器115に収納される。
【0112】
硬貨処理部200は、図1の出金部11、入金部12、識別部13、収納部14、回収容器15それぞれに対応する硬貨出金部211、硬貨入金部212、硬貨識別部213、硬貨収納部214、硬貨回収容器215を含む。
【0113】
この他、硬貨処理部200は、硬貨リジェクト部216及び硬貨搬送部217を含む。硬貨リジェクト部216は、入金処理時に入金できないリジェクト硬貨を排出するために利用される。硬貨搬送部217は、硬貨処理部200の各部211~216の間で硬貨を搬送する。
【0114】
硬貨収納部214は、500円硬貨を収納する収納部214a、100円硬貨を収納する収納部214b、50円硬貨を収納する収納部214c、10円硬貨を収納する収納部214d、5円硬貨を収納する収納部214e、1円硬貨を収納する収納部214fを含む。入金処理時には、硬貨入金部212から入金された硬貨が硬貨識別部213で識別されて、識別結果に基づいて、各収納部214a~214fに金種別に収納される。出金処理時には、各収納部214a~114fから繰り出された硬貨が硬貨出金部211から出金される。回収処理時には、回収対象の硬貨が各収納部214a~214cから繰り出されて硬貨回収容器215に収納される。
【0115】
包装硬貨処理部300は釣銭用の包装硬貨を処理する。包装硬貨処理部300は、包装硬貨収納部314、包装硬貨出金部311、包装硬貨搬送部317を含む。包装硬貨収納部314は、硬貨収納部214と同じ金種の包装硬貨を金種別に収納する収納部314a~314fを含む。包装硬貨を出金する出金処理時には、各収納部314a~314fから繰り出された包装硬貨が硬貨搬送部317によって搬送されて、包装硬貨出金部311から装置外へ排出される。
【0116】
操作表示部30は、図10に示すように、店員に提示される各種情報が表示される表示部30aと、店員が各種情報を貨幣処理装置10に入力するための操作部30bとを含む。店員及び警送会社3の担当者は、操作部30bを操作して、貨幣管理部20が管理する各種情報を表示部30aに表示して確認することができる。貨幣管理部20は、操作部30bで行われた操作に応じて、例えば図5図8に示した各情報を表示部30aに出力することができる。
【0117】
記憶部40には在高情報41が保存される。在高情報41は、紙幣処理部100の紙幣収納部114、硬貨処理部200の硬貨収納部214、包装硬貨処理部300の包装硬貨収納部314それぞれに収納されている金種と、各金種の貨幣枚数とを特定可能な情報を含む。この他、記憶部40は、上述した売上金情報及び内訳情報、これらに関する情報、制御部20の動作に必要なプログラム及びデータ等、各種情報の保存に利用される。
【0118】
通信部50は、有線又は無線で外部装置と情報を送受信する。情報の送受信は、専用回線を利用して行われてもよいし公衆回線を利用して行われてもよい。貨幣処理装置10は、通信部50を利用して、売上金管理装置2との間で、売上金額及び回収金額を含む各種情報を送受信することができる。
【0119】
制御部20は、記憶部40に保存されている情報を利用しながら、操作表示部30で入力された情報及び通信部50で送受信される情報に基づいて、貨幣処理装置10の各部を制御することができる。これにより、本実施形態に記載する貨幣処理装置10の機能及び動作が実現されている。
【0120】
制御部20は、図1で説明した貨幣管理部20として機能する。例えば、制御部20に対応するプログラムが記憶部40又は専用の記憶装置に予め記憶されており、このプログラムがCPU等のハードウェアによって実行されることにより、制御部20の機能及び動作が実現される。
【0121】
図9及び図10に示す貨幣処理装置10は、紙幣処理部100及び硬貨処理部200によって、図1図8で説明した貨幣処理を実行する。店員が操作表示部30で所定の操作を行うことにより回収処理が実行される。回収処理時には、売上金を構成する紙幣が、紙幣処理部100の紙幣収納部114から繰り出されて紙幣回収容器115へ移動すると共に、売上金を構成する硬貨が、硬貨処理部200の硬貨収納部214から繰り出されて硬貨回収容器215へ移動する。警送会社3の担当者が操作表示部30で所定の操作を行うことにより取出処理が実行される。取出処理時には、紙幣回収容器115が紙幣処理部100から取り出されて、硬貨回収容器215が硬貨処理部200から取り出される。紙幣のみが処理される場合は紙幣処理部100のみで処理が行われて、硬貨のみが処理される場合は硬貨処理部200のみで処理が行われることは言うまでもない。
【0122】
図1図9及び図10に示した貨幣処理装置10の構成は例示であって、貨幣処理装置10の構成がこれらに限定されるものではない。例えば、貨幣処理装置10が、出金部11を有さず出金処理を行わない態様であってもよい。貨幣処理装置10が包装硬貨処理部300を含まない態様であってもよい。
【0123】
本実施形態の図3及び図4では、理解を容易にするため、既に警送会社によって回収された売上金貨幣、すなわち売上金を構成する貨幣が存在するか否かに場合分けして、内訳情報を説明したが、内訳情報の内容及び処理方法がこれらに限定されるものではない。例えば、図3のステップS6~S8が1つの処理にまとめられ、該処理において、売上金額P1及び回収金額Q2を特定可能な内訳情報が送信される態様であってもよい。例えば、内訳情報が、金額P1及びQ2を示す情報であってもよい。また、例えば、売上金管理装置2は既にステップS4で売上金額P1を取得しているため、内訳情報が金額Q2のみを示す情報であってもよい。具体的には、図11に示すように、図3のステップS6~S8に代えて、図11に示すステップS6が実行される態様であってもよい。この場合も、回収済の売上金貨幣が無ければ金額Q2を0(ゼロ)とすることで、上述したように各処理を行うことができる。同様に、図4のステップS30~S36が1つの処理にまとめられ、該処理において、売上金額P2、回収金額Q2及びQ3を特定可能な内訳情報が送信される態様であってもよい。例えば、内訳情報が、金額P2、Q2及びQ3を示す情報であってもよい。また、例えば、売上金管理装置2は既にステップS28で売上金額P2を取得し、図3のステップS8又は図11のステップS6で回収金額Q2を取得しているため、内訳情報が金額Q3のみを示す情報であってもよい。具体的には、図12に示すように、図4のステップS30~S36に代えて、図12に示すステップS30が実行される態様であってもよい。この場合も、回収済の売上金貨幣が無ければ金額Q3を0(ゼロ)とすることで、上述したように各処理を行うことができる。
【0124】
上述した貨幣処理システム1及び貨幣処理装置10の構成は機能概略的なものであり、各構成が、物理的に上述した構成に限定されるものではない。各装置の分散、統合の形態は上述した例に限定されず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散、統合して構成することができる。
【0125】
上述したように、本開示に係る貨幣処理装置は、店舗の営業を終了して当日の売上金額が確定した際に回収容器に収納されている回収金の金額と、当日の営業中に回収容器に収納されて既に装置外へ回収された回収金の金額との合計金額を算出することができる。貨幣処理装置は、この合計金額を売上金額から差し引いて得られた金額分の貨幣を収納部から回収容器へ移動する回収処理を実行することにより、店舗の営業終了後には、回収容器が売上金を構成する貨幣のみを収納した状態とすることができる。翌日の営業開始後、回収容器を取り外して売上金を装置外へ回収する処理が行われた際、貨幣処理装置は、当日の営業中に回収容器に収納された回収金の金額を特定することができる。貨幣処理装置は、この回収金額を特定可能な内訳情報を、表示装置、外部装置等に出力することができる。内訳情報は、例えば、店舗の売上金を管理する売上金管理装置に送信される。これにより、回収容器内に店舗の売上金とそれ以外の貨幣とが混在する場合でも、これらを区別して容易に処理することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
以上のように、本開示に係る貨幣処理装置及び貨幣処理システムは、回収容器内に店舗の売上金とそれ以外の貨幣とが混在する場合でも、これらを区別して容易に処理するために有用である。
【符号の説明】
【0127】
1 貨幣処理システム
2 売上金管理装置
10 貨幣処理装置
11 出金部
12 入金部
13 識別部
14 収納部
15 回収容器
20 貨幣管理部(制御部)
図1
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図12