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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176270
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A01B69/00 303V
A01B69/00 303K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088457
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小佐野 光
(72)【発明者】
【氏名】川上 修平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 学
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB06
2B043DA04
2B043DA17
2B043DB05
2B043DC03
2B043EA03
2B043EA04
2B043EA12
2B043EA32
2B043EA40
2B043EB05
2B043EC02
2B043EC12
2B043EC15
2B043ED03
2B043ED12
2B043EE01
(57)【要約】
【課題】自動走行を行えないエリアについては手動走行で作業を行わなければならない。
【解決手段】走行車体と、前記走行車体に連結され、圃場に対し所定の作業が可能な作業装置と、前記走行車体の位置情報を取得する位置情報取得装置(300)と、前記位置情報取得装置(300)により取得された前記位置情報を利用して得られた自動走行経路情報とに基づいて、旋回を含む走行を前記走行車体に自動で行わせる制御部(400)と、を備え、前記圃場において手動走行させられた際、前記制御部(400)は、前記位置情報取得装置(300)により取得された位置情報に基づいて、前記圃場の情報を決定し、前記取得された前記自動走行経路情報とは別の自動走行の目標となる方位情報が取得されることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)と、前記走行車体(2)に連結され、圃場に対し所定の作業が可能な作
業装置(50)と、
前記走行車体(2)の位置情報を取得する位置情報取得装置(300)と、
前記位置情報取得装置(300)により取得された前記位置情報を利用して得られた自動走行経路情報とに基づいて、旋回を含む走行を前記走行車体に自動で行わせる制御部(400)と、を備え、
前記圃場において手動走行させられた際、前記制御部(400)は、前記位置情報取得装置(300)により取得された位置情報に基づいて、前記圃場の情報を決定し、
前記取得された前記自動走行経路情報とは別の自動走行の目標となる方位情報が取得されることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記位置情報を記録するエリア記録部(EK)を備え、
前記エリア記録部(EK)とは別に、前記目標方位を記録する目標方位記録部(MK)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記エリア記録部(EK)を利用して自動走行する手段と、
前記目標方位記録部(MK)を利用して自動走行する手段と、を切り替え可能に構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場で苗の植付け等の作業を行う際に用いる苗移植機等の作業車両には、GPSを搭載し操舵部材を直進位置に保持して自動直進走行を行ない、機体の進行方向を自動的に修正することができる自動操舵装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-24541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の作業車両では、自動操舵により、作業者への直進運転操作の負担は軽減されたが、次工程(即ち、隣接する次の条)への旋回操作は依然として作業者が行っているため、条合わせは、作業者が手動で行わなければならず、作業車両への作業者の乗車は必須であった。また、エリアが取得できても自動走行できる経路が限られた場合、自動走行を行えないエリアについては手動走行で作業を行わなければならない。
【0005】
本発明は、上述した従来の作業車両の課題に鑑みて、作業者が乗車しなくても所定の作業が可能であると共に、走行の安全性の向上を図り、自動走行経路外で直進制御のみ使用できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、
走行車体(2)と、前記走行車体(2)に連結され、圃場に対し所定の作業が可能な作
業装置(50)と、
前記走行車体(2)の位置情報を取得する位置情報取得装置(300)と、
前記位置情報取得装置(300)により取得された前記位置情報を利用して得られた自動走行経路情報とに基づいて、旋回を含む走行を前記走行車体に自動で行わせる制御部(400)と、を備え、
前記圃場において手動走行させられた際、前記制御部(400)は、前記位置情報取得装置(300)により取得された位置情報に基づいて、前記圃場の情報を決定し、
前記取得された前記自動走行経路情報とは別の自動走行の目標となる方位情報が取得されることを特徴とする作業車両である。
【0007】
第2の本発明は、
前記位置情報を記録するエリア記録部(EK)を備え、
前記エリア記録部(EK)とは別に、前記目標方位を記録する目標方位記録部(MK)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両である。
【0008】
第3の本発明は、
前記エリア記録部(EK)を利用して自動走行する手段と、
前記目標方位記録部(MK)を利用して自動走行する手段と、を切り替え可能に構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、圃場情報により、例えば、旋回を含む走行を走行車体に自動で行わせる場合、作業者が乗車しなくても所定の作業が可能であると共に、走行の安全性の向上を図ることが出来る。また、エリアが取得できても自動走行が困難な場合は、方位情報による自動操舵を行うことで、例えば、変形圃場等で自動走行が行えなかったエリアについて自動操舵走行を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明にかかる実施の形態におけるロボット乗用田植機の左側面図
図2】本実施の形態におけるロボット乗用田植機の平面図
図3】本実施の形態のロボット乗用田植機における制御部と各種装置及び各種センサ等との接続関係を示すブロック図
図4】本実施の形態の圃場におけるロボット乗用田植機の走行経路、及び作業手順についての概要を説明するための圃場の平面模式図
図5】本実施の形態の圃場の3辺に沿ったマニュアル走行に基づいて、圃場の形状情報を取得する作業手順等についての概要を説明するための圃場の平面模式図
図6】本実施の形態の旋回自動制御を説明するために、圃場の第4辺側において、ロボット乗用田植機の植付中央位置が第1植付開始ラインに到達し植付作業を停止した時の植付中央位置の現実の位置を植付停止位置とし、植付中央位置が順次到達すべき旋回時の目標座標(位置情報)を、第1目標~第4目標として模式的に示した圃場の部分拡大平面模式図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の作業車両の一実施の形態にかかる8条植えのロボット乗用田植機について、図面を用いて説明する。
【0012】
図1及び図2は本実施の形態にかかるロボット乗用田植機の左側面図と平面図である。
【0013】
本実施の形態のロボット乗用田植機1は、図1図2に示す様に、走行車体2の後側に昇降リンク装置30を介して植付装置50が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置のホッパー3が設けられている。昇降リンク装置30は、上側リンクアーム31と、下側リンクアーム32とを備えた平行リンクである。
【0014】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪4、4及び左右一対の後輪5、5を備えた四輪駆動車両ある。
【0015】
また、トランスミッションケース6の背面部に車体メインフレーム7の前端部が固着されており、他方、その車体メインフレーム7の後端左右両端部には、昇降リンク装置30を回動可能に支持する左右一対のリンク支持ステー10が固定されている。
【0016】
エンジン20は車体メインフレーム7の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置12及びHST(静油圧式無段階変速機)13を介してトランスミッションケース6に伝達される。トランスミッションケース6に伝達された回転動力は、トランスミッションケース6内の変速機構(副変速装置等)により変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、前輪4、4、及び左右後輪5、5を駆動する。
【0017】
また、トランスミッションケース6から取出された外部取出動力は、植付クラッチ96(図3参照)を介して植付伝動軸21によって植付装置50へ伝動される。
【0018】
また、図1図2に示す様に、植付装置50は、第1苗植付部55a、第2苗植付部55b、第3苗植付部55c、第4苗植付部55dを備え、更にそれぞれの苗植付部には、苗を植付ける爪を有する植付具51が、左右両側に2つずつ回動可能に設けられ、合計8条の苗が圃場に植え付けられる構成である。
【0019】
また、図1図2に示す通り、植付装置50の下部には、中央位置と、左右両側の位置に、それぞれフロート53が設けられている。これらフロート53が圃場の泥面上を整地しつつ滑走し、その整地跡に、植付具51により苗が圃場に植え付けられる。
【0020】
また、操縦座席22の前方には操縦ハンドル24が設けられている。操縦ハンドル24の右側又は左側には、走行車体2の前進走行と後進走行の切り替え及び走行速度などを設定するHST操作レバー(図示省略)、植付装置50の昇降及び植付作業の入切を操作する植付作業レバー41(図2図3参照)等の各種レバーが設けられている。
【0021】
なお、本実施の形態のロボット乗用田植機1では、走行車体2が旋回したり、後進走行した場合には、それらの動作に連動して昇降リンク装置30が上昇することにより植付装置50が上昇すると共に植付作業が停止される構成である。
【0022】
また、本実施の形態のロボット乗用田植機1には、HST13から伝達された駆動力を変速するための副変速レバー42(図3)が設けられており、この副変速レバー42の中立位置に連接する領域には、後述する「その場植付操作位置」が設けられている。即ち、本実施の形態のロボット乗用田植機1では、副変速レバー42が、「その場植付操作レバー」としての機能を兼ねている。
【0023】
また、操縦ハンドル24の下方には、各種操作ボタン(図示省略)と、後述する自動運転モードの入り切りを行うための自動運転モード入/切スイッチ61(図3参照)と、制御部400により自動運転制御が停止された後に自動運転制御を再び継続させるための自動運転継続スイッチ62(図3参照)と、表示ランプ等を配置したモニターパネル60(図2参照)が設けられている。
【0024】
また、本実施の形態のロボット乗用田植機1は、図3に示す様に、送受信装置70と、自動操舵装置200と、位置情報取得装置300等と、その他、各種センサ等を備えており、これらは後述する制御部400(図3参照)に電気的に接続されている。
【0025】
図3は、ロボット乗用田植機1における制御部400と各種装置及び各種センサ等との接続関係を示すブロック図である。
【0026】
送受信装置70は、圃場の畦に居て、無人運転中のロボット乗用田植機1による自動植付作業を監視している作業者が、必要に応じて、作業者が携帯しているリモコン装置71(図3)を用いて当該ロボット乗用田植機1を遠隔操作する際の信号の送受信を行うための装置である。
【0027】
自動操舵装置200は、操縦ハンドル24を自動で操作して、走行車体2を直進方向に維持したり、旋回させたりすることが可能な構成である。
【0028】
即ち、自動操舵装置200は、任意の回転力を自動で操縦ハンドル24に付与することにより、操縦ハンドル24を回転させる操舵モータ210と、操縦ハンドル24の回転角度(ハンドル切れ角)を検知するハンドルポテンショメータ220と、を有している。
【0029】
また、位置情報取得装置300は、GNSS(Global Navigation Satellite System)に基づいて地球上でのロボット乗用田植機1の位置情報(即ち、座標情報)を取得する構成であり、人工衛星からの信号を所定間隔で受信する為の受信アンテナ310を備え、位置情報取得装置300により取得された位置情報は、制御部400に送られる構成である。
【0030】
制御部400に送られた位置情報や、後述する、当該位置情報に基づいて得られた圃場の形状情報や、圃場における自動植付作業時においてロボット乗用田植機1が走行すべき目標走行経路の位置情報(位置座標)や、圃場の3辺に沿って手動走行した場合の実際の走行軌跡の位置情報等は、メモリ部410(図3参照)に記録可能に構成されている。また、圃場の形状情報や、目標走行経路の位置情報や、圃場の形状情報に対する走行軌跡のズレ等は、後述する演算部420により算出される。
【0031】
また、受信アンテナ310は、図1図2に示す通り、正面視で門型のアンテナ固定部材320の上面中央部に固定されており、アンテナ固定部材320の左右の下端部321L、321Rは、フロアステップ23の前端部左右両側面に固定されている。
【0032】
また、本実施の形態のロボット乗用田植機1には、図3に示す様に、
(1)ホッパー3内の肥料の残量を重量で検知する肥料残量検知センサ81と、
(2)ホッパー3からの肥料の繰出量を検知する肥料繰出量検知センサ82と、
(3)植付装置50において各条毎に苗マットを供給する苗タンク52のそれぞれに、所定間隔(例えば、10mm間隔)毎に苗の存在を検知する苗検知センサ(図示省略)を設置した苗検知装置83と、
(4)走行車体2の進行方向の変化量を検知する方位変化検知センサ84と、
(5)後輪5の回転数を検知する後輪回転センサ85と、が設けられている。
【0033】
これらの各種センサは、その検知結果を制御部400に送信する構成である。
【0034】
なお、苗検知装置83は、自動植付作業中において、それらの苗検知センサが順次、OFF(非検知状態)になっていくか否かを検知し、その検知結果を制御部400に順次、送信する。制御部400は、苗検知装置83からの信号を受信して、苗が欠株されることなく適切に植え付けられているか否かを判定し、自動植付作業を継続し、または、自動植付作業を停止させると共に、自動運転制御を停止させる。
【0035】
また、本実施の形態のロボット乗用田植機1には、図3に示す様に、
(1)フロントカバー11の前面側に設けられたヘッドライト91と、
(2)フロントカバー11の前面側に設けられた報知ブザー92と、
(3)昇降リンク装置30に設けられた、植付装置50の基準位置からの高さ方向の変化量を検知し、その検知結果を制御部400に送信する植付部ポテンショメータ93と、
(4)ペダルによる入り切り操作が可能であると共に、自動運転中においてモータ94aで入り切り可能な4輪ブレーキ94と、
(5)右側の後輪5への回転駆動力の伝達を断続的に入り切り出来る右後輪クラッチ95Rと、
(6)左側の後輪5への回転駆動力の伝達を断続的に入り切り出来る左後輪クラッチ95Lと、
(7)植付装置50による植付動作の入り切りを行う植付クラッチ96と、が設けられている。
【0036】
これらの各種装置は、制御部400からの指令に基づいて動作可能に構成されている。
【0037】
なお、本実施の形態の走行車体2は、本発明の走行車体の一例にあたり、本実施の形態の植付装置50は、本発明の作業装置の一例にあたる。また、本実施の形態の位置情報取得装置300は、本発明の位置情報取得装置の一例にあたり、本実施の形態の制御部400は、本発明の制御部の一例にあたる。また、本実施の形態の後輪5は、本発明の走行車輪の一例にあたり、本実施の形態の後輪回転センサ85は、本発明の回転数検知部の一例にあたる。また、本実施の形態の植付部ポテンショメータ93は、本発明の位置検出部の一例にあたる。また、本実施の形態のホッパー3は、本発明の貯留部の一例にあたり、本実施の形態の肥料残量検知センサ81は、本発明の残量検知部の一例にあたる。
【0038】
以上の構成において、本実施の形態のロボット乗用田植機1を用いた自動運転の動作について、主として図4図6を用いて説明する。
【0039】
まず、図4を用いて、ロボット乗用田植機1の走行経路、及び作業手順についての概要を説明する。
【0040】
図4は、圃場におけるロボット乗用田植機1の走行経路、及び作業手順についての概要を説明するための圃場の平面模式図である。
【0041】
図5は、圃場の3辺に沿ったマニュアル走行に基づいて、圃場の形状情報を取得する作業手順等についての概要を説明するための圃場の平面模式図である。
【0042】
本実施の形態の圃場500は、四方を第1辺501、第2辺502、第3辺503、及び第4辺504で囲まれた、略長方形状の圃場である。
【0043】
また、本実施の形態では、ロボット乗用田植機1に対する苗や肥料の補給作業は、圃場500の第4辺504側にて行うため、ロボット乗用田植機1が自動運転中は、リモコン装置71を携帯した作業者は、第4辺504側に待機して、その動作を監視しているものとする。
【0044】
本実施の形態では、まず、ロボット乗用田植機1に作業者が乗車して、自動運転モード入/切スイッチ61を「入り」にして、作業者が操縦ハンドル24を操作することで、圃場500の第1辺501、第2辺502及び第3辺503に沿ってA工程511、B工程512、及びC工程513をマニュアル走行しながら8条植えの植付作業を行う。
【0045】
このA工程511~C工程513をマニュアル走行することにより、制御部400は、圃場500の形状情報と、各工程における実際の走行軌跡(旋回時の軌跡は含まない)であるA工程走行軌跡511t、B工程走行軌跡512t、及びC工程走行軌跡513t(図5参照)のそれぞれの位置情報(座標値)とを取得すると共に、圃場の形状情報に基づいて、自動旋回動作可能な自動走行経路情報を演算により求め、それらの情報をメモリ部410に格納する。
【0046】
次に、圃場500の第4辺504に沿ってD工程514(図4では、破線で示した)を植付け作業を行うことなくマニュアル走行して、第2列目L2の第1植付開始位置L2S(第1植付開始ラインLU1と第2列目L2との交点)の手前で時計回りに旋回して第1植付開始位置L2Sで走行を停止させた後、作業者はロボット乗用田植機1から降りて、第4辺504側の畦に移動する。
【0047】
その後、作業者は、第4辺504の畦の位置から自ら携帯しているリモコン装置71を操作して、ロボット乗用田植機1に対して無人の自動運転を開始させる指令を送信する。
【0048】
送受信装置70を介して、自動運転開始指令を受信した制御部400は、メモリ部410に格納されている自動走行経路情報に基づいて、自動操舵装置200等に指令を出して、第2列目L2~第n列目Lnにおける旋回を含む走行動作と植付作業とを、後述する肥料や苗の補給作業等の例外を除き、無人のまま自動で行わせる。
【0049】
次に、第n列目Lnの自動植付作業が終了した後、制御部400は、D工程514を無人のまま自動運転により走行させながら自動植付作業を行わせて、第2列目L2の第1植付開始位置L2Sまで機体を移動させた後、旋回させて、植付装置50を上昇させたまま、第2列目L2を自動走行させて、B工程512と第2植付開始ラインLU2との間のB工程枕地ライン515まで移動させる。
【0050】
そして、制御部400は、B工程枕地ライン515において、旋回させて、植付装置50を降下させて、無人のまま自動運転により走行させながら自動植付作業を行わせ、第n列目Lnの位置で植付作業を停止させ、旋回させて植付装置50を上昇させたまま、第n列目Lnを自動走行させて、第4辺504まで到達した時点で、作業者によるリモコン装置71からの指令により自動運転を終了する。
【0051】
ここで、第1植付開始ラインLU1は、第2列目L2~第n列目Lnの第4辺504側における、植付開始位置と植付停止位置の基準位置を示すための直線であり、第2植付開始ラインLU2は、第2列目L2~第n列目Lnの第2辺502側における、植付停止位置と植付開始位置の基準位置を示すための直線である。これらのラインの演算部420による設定については更に後述する。
【0052】
次に、主として図5を用いて、A工程511~C工程513において作業者が乗車してマニュアル走行することにより、制御部400が圃場500の形状情報、及び自動走行経路情報を演算により取得する動作を中心に更に説明する。
【0053】
作業者は、A工程511(図4参照)において、ロボット乗用田植機1の植付装置50の左端に位置する植付具51が、圃場500の第1辺501と第4辺504の隅部の位置に、出来る限り近づく様にロボット乗用田植機1を配置する。
【0054】
作業者は、上述した様に、自動運転モード入/切スイッチ61を「入り」にした後、副変速レバー42(図3参照)を「その場植付操作位置」に設定する。副変速レバー42からの信号を受けた制御部400は、走行クラッチ(図示省略)を一定時間だけ「切り」状態としたままで、植付クラッチ96(図3参照)を「入り」状態とすることにより、機体を一定時間だけ停止させた状態で、全ての植付具51に対して、その場での苗の植付動作を行わせ、当該一定時間が経過した後、走行クラッチを「入り」状態に切り換えることにより、マニュアル走行と共に植付動作が引き続き行われる。
【0055】
なお、本実施の形態におけるマニュアル走行は、作業者が、ロボット乗用田植機1を圃場500の第1辺501の凹凸に沿って走行させるものであり、その走行軌跡が直線的なものになるとは限らない。
【0056】
副変速レバー42が「その場植付操作位置」に設定されたことを示す信号を受け付けた制御部400は、自動運転モードが「入り」状態にある場合、その信号を本来の意味以外に始点取得トリガー信号でもあると判定し、演算部420に対して、位置情報取得装置300により直前に取得されている受信アンテナ310の最新の位置情報(座標値)と、後述する所定の後端位置変換定数とを利用して、植付装置50の左端に位置する植付具51の位置情報(座標値)を求めさせ、その演算結果を第1辺始点P1S(図5参照)の位置情報(座標値)として、メモリ部410に格納する。
【0057】
ロボット乗用田植機1を圃場500の第1辺501の凹凸に沿ってマニュアル走行させることでA工程511の終端部までくると、作業者は、ロボット乗用田植機1の走行車体2の前端部2a(図1参照)が、圃場500の第2辺502の直前まで達した位置でロボット乗用田植機1の走行を停止させ、植付作業レバー41(図3参照)を「植付装置上昇」位置に操作するので、これに連動して植付作業が停止されると共に、植付装置50が所定高さまで上昇して停止する。
【0058】
植付作業レバー41から「植付装置上昇」に設定されたことを示す信号を受け付けた制御部400は、自動運転モードが「入り」状態にある場合、その信号を本来の意味以外に終点取得トリガー信号でもあると判定し、演算部420に対して、位置情報取得装置300により直前に取得されている受信アンテナ310の最新の位置情報(座標値)と、後述する所定の前端位置とを利用して、ロボット乗用田植機1の後述する左前端仮想点(図示省略)の位置情報(座標値)を求めさせ、その演算結果を第1辺終点P1E(図5参照)の位置情報(座標値)として、メモリ部410に格納する。
【0059】
なお、制御部400は、上記始点取得トリガー信号を受信した時から、上記終点取得トリガー信号を受信するまでの間におけるA工程511でのロボット乗用田植機1の受信アンテナ310の位置の変化をA工程走行軌跡511tの位置情報(座標値)として所定のタイミングで取得し、メモリ部410に格納する。
【0060】
ここで、所定の後端位置変換定数とは、受信アンテナ310の位置における位置情報(座標値)を用いて、植付装置50の左端に位置する植付具51の位置(即ち、上記の第1辺始点P1S(図5参照)の位置)における位置情報(座標値)を演算で求めるための変換定数であり、ロボット乗用田植機1の構成及びサイズによって両者の位置関係は予め確定した値であり、メモリ部410に予め格納されているものとする。
【0061】
また、所定の前端位置変換定数とは、受信アンテナ310の位置における位置情報(座標値)を用いて、ロボット乗用田植機1の走行車体2の前端部2a(図1参照)を通り左右両側に伸びる第1仮想直線と、植付装置50の左端に位置する植付具51の位置を通り前後方向に伸びる第2仮想直線との、平面視における交点(これを、左前端仮想点と称す)の位置(即ち、第1辺終点P1E(図5参照)の位置)における位置情報(座標値)を演算で求めるための変換定数であり、ロボット乗用田植機1の構成及びサイズによって両者の位置関係は予め確定した値であり、メモリ部410に予め格納されているものとする。
【0062】
上記の様に、ロボット乗用田植機1を圃場500の隅部に出来る限り近づく様に操縦して、第1辺始点P1S(図5参照)の位置情報と、第1辺始点P1S(図5参照)の位置情報とを得ることにより、これらの位置情報を圃場500の第1辺501の両端部の位置情報の近似値として利用することが出来る。
【0063】
また、上記の様に、自動運転モードが「入り」状態にある場合、既存のレバーである、副変速レバー42、植付作業レバー41の所定の操作が、その操作の本来の意味以外に、始点の位置情報の取得、終点の位置情報の取得のトリガー信号としての意味をも兼ねている構成としたことにより、専用の装置を必要とせず部品点数の削減を図ることが出来る。
【0064】
次に、作業者は、A工程511での植付作業を終了して、植付装置50を上昇させたまま時計回りに旋回操作し、B工程512において上述したA工程と同様の操作を実行する。
【0065】
なお、本実施の形態では、A工程511からB工程512に旋回操作により移動する場合、方位変化検知センサ84(図3参照)による検知結果が制御部400に送信され、制御部400が、その検知結果が所定角度以上(例えば、60°以上)であることからその圃場500が極端な変形田でないと判定した場合にのみ、第2辺502の始点、及び終点の位置情報の取得が行われる構成である。
【0066】
これにより、極端な変形田の場合には、ロボット乗用田植機1による自動運転を制限出来て、作業の安全性が向上する。
【0067】
即ち、制御部400が、B工程512への移動時の旋回角度が上記所定角度以上(例えば、60°以上)であり圃場500が極端な変形田でないと判定した場合、作業者が、B工程512において、上述したA工程511での操作と同じ操作をすることにより、副変速レバー42から「その場植付操作位置」に設定されたことを示す信号を受け付けた制御部400は、上記と同様に、その信号を始点取得トリガー信号でもあると判定し、植付装置50の左端に位置する植付具51の位置情報(座標値)を第2辺始点(図示省略)の位置情報(座標値)として演算し、メモリ部410に格納し、更に、植付作業レバー41から「植付装置上昇」に設定されたことを示す信号を受け付けた制御部400は、上記と同様に、その信号を終点取得トリガー信号でもあると判定し、ロボット乗用田植機1の上述した左前端仮想点(図示省略)の位置情報(座標値)を第2辺終点(図示省略)の位置情報(座標値)として、メモリ部410に格納する。また、B工程512におけるマニュアル走行のB工程走行軌跡512t(図5参照)の位置情報もメモリ部410に格納される。
【0068】
また、B工程512からC工程513に移動した後についても、上記と同様に、制御部400は、始点取得トリガー信号を得て、第3辺始点(図示省略)の位置情報(座標値)を演算しメモリ部410に格納し、終点取得トリガー信号を得て、第3辺終点(図示省略)の位置情報(座標値)として、メモリ部410に格納する。また、C工程513におけるマニュアル走行のC工程走行軌跡513t(図5参照)の位置情報もメモリ部410に格納される。
【0069】
制御部400は、演算部420において、上記の様にしてメモリ部410に格納された第1辺始点P1S(図5参照)の位置情報、第1辺終点P1E(図5参照)の位置情報、第2辺始点の位置情報、第2辺終点の位置情報、第3辺始点の位置情報、及び第3辺終点P3E(図5参照)の位置情報を用いて、圃場500の形状情報を演算させる。
【0070】
即ち、演算部420は、第1辺始点P1S(図5参照)の位置情報と、第1辺終点P1E(図5参照)の位置情報とから、第1辺始点P1Sと第1辺終点P1Eとを通る第1直線521(図5参照)の位置情報を求め、同様に、第2辺始点と第2辺終点とを通る第2直線522の位置情報を求め、また同様に、第3辺始点と第3辺終点とを通る第3直線523の位置情報を求め、また同様に、第1辺始点P1Sと第3辺終点P3Eとを通る第4直線524の位置情報を求める。
【0071】
この様にして、制御部400により、第1直線521~第4直線524により四方を囲まれた四角形の形状が圃場500の形状情報として近似的に認定される。
【0072】
上述した様に、本実施の形態によれば、圃場500の第1辺501~第3辺503の各辺において、ロボット乗用田植機1を極力隅部に近づけて始点と終点を取得出来るので、旋回を含む自動運転に必要な第1植付開始ラインLU1と第2植付開始ラインLU2とを適切に設定出来るので、自動植付の精度向上を図ることが出来る。
【0073】
なお、第1辺始点P1S(図5参照)と、第1直線521と第2直線522の第1交点と、第2直線522と第3直線523の第2交点と、第3辺終点との、合計4つの点の位置情報が、演算部420において同時に取得される。従って、本実施の形態の圃場500の形状情報は、第1辺始点P1S(図5参照)と第1交点とを繋ぐ第1線分と、第1交点と第2交点を繋ぐ第2線分と、第2交点と第3辺終点とを繋ぐ第3線分と、第3辺終点と第1辺始点P1Sとを繋ぐ第4線分により形成された四角形として認定しても良い。
【0074】
なお、圃場500の四隅の位置情報として取得した、第1辺501~第3辺503のそれぞれの辺における始点と終点の位置情報については、圃場の形状やロボット乗用田植機1の隅部への配置状況等によって、第1辺終点と第2辺始点との位置情報は一致する場合もあるし異なる場合もあり、また、第2辺終点と第3辺始点との位置情報は一致する場合もあるし異なる場合もある。
【0075】
上記の通り、本実施の形態では、圃場500の第1辺501~第4辺504は、実際には凹凸部が存在するかもしれないが、上述した通り、第1辺501~第3辺503において取得した始点と終点の位置情報からそれらを通る直線(又は、線分)、即ち、第1直線521~第4直線524(又は、第1線分~第4線分)で囲まれる形状により圃場500の形状を近似的に認定する構成としている。
【0076】
従って、上述した様に、作業者が待機して、ロボット乗用田植機1の走行を十分に監視出来る第4辺504側においては、その凹凸部の存在に応じて、作業者がリモコン装置71を適宜使用して安全に走行させることが出来るが、作業者の待機位置から離れた場所、即ち、作業者の監視が十分に行き届き難い第1辺501~第3辺503における所定寸法以上の凹凸部の有無は、自動運転を安全に行う上で、事前に確認する必要がある。
【0077】
そこで、本実施の形態では、制御部400は、A工程511~C工程513での各走行軌跡511t~513tが、第1直線521~第3直線523を基準として、予め定められたズレ判定基準値(例えば、±3m)以上のズレ幅を有しているか否かを、演算部420において算出させて、その結果、ズレ判定基準値以上のズレ幅を有している場合は、圃場500が基準値を超える変形田であると判定し、ロボット乗用田植機1に自動運転制御を行わせない構成とした。
【0078】
なお、演算部420におけるズレ幅の算出においては、第1直線521~第3直線523の位置情報を、副変速レバー42を「その場植付操作位置」に設定したときのロボット乗用田植機1の受信アンテナ310の位置における位置情報に基づいて所定の変換を施した上で、ズレ幅を算出する必要があることは言うまでもない。例えば、第1直線521の位置情報は、副変速レバー42を「その場植付操作位置」に設定したときのロボット乗用田植機1の受信アンテナ310の位置と、上述した第2仮想直線との、平面視での距離分だけ、図中のX軸のプラス方向にシフトさせた上で、A工程走行軌跡511tの位置情報とのズレ幅を算出する必要がある。
【0079】
これにより、作業者が、変形田において、ロボット乗用田植機1に誤って自動運転制御を実行させることを防止出来るので作業の安全性が向上する。
【0080】
次に、制御部400において、上述した圃場の形状情報に基づいて、第2列目以降の自動走行経路情報を演算により求める動作について説明する。
【0081】
制御部400は、上述した通り、始点取得トリガー信号を受信した時から、終点取得トリガー信号を受信するまでの間におけるA工程511でのロボット乗用田植機1の受信アンテナ310の位置の変化をA工程走行軌跡511tの位置情報(座標値)としてメモリ部410に格納している。また、メモリ部410には、第1直線521~第4直線524により四方を囲まれた四角形の形状が圃場500の形状情報として格納されている。
【0082】
制御部400は、演算部420において、メモリ部410に格納されているA工程走行軌跡511tの両端点の位置情報、即ち、始点取得トリガー信号を受信した時の受信アンテナ310の位置の座標点と、終点取得トリガー信号を受信した時の受信アンテナ310の位置の座標点と、を通る直線を基準ラインとし、第2列目L2~第n列目Lnの自動走行経路を、当該基準ラインに平行で互いに車幅の距離を隔てた複数の直線(目標ライン)として算出する。
【0083】
なお、第2列目L2~第n列目Lnの自動走行経路の算出においては、メモリ部410に予め格納されているロボット乗用田植機1の車幅と、上記演算によりメモリ部410に格納されている圃場500の形状情報から得られる第1直線521と第3直線523との間の距離等が考慮される。
【0084】
また、第2列目L2~第n列目Lnの自動走行経路の算出の結果、第n列目Lnの植付幅のスペースが狭くなり、8条分の植付幅が確保出来ないと制御部400により判定された場合、制御部400は、各列の間隔を、車幅を基準とした標準幅より所定範囲内において狭くした変形幅を利用して調整する。
【0085】
これにより、植付装置50の植付具51による植付作業を部分的に入り切りする部分クラッチ(図示省略)等の機構を備えることなく、第2列目L2~第n列目Lnの全ての列において8条植えを行うことが出来て、部品点数の削減や、製造コストの低減を図ることが出来る。
【0086】
なお、第2列目L2~第n列目Lnの自動走行経路の算出の結果、第n列目Lnの植付幅のスペースが8条分の植付幅より広くなると制御部400により判定された場合、制御部400は、各列の間隔を、車幅を基準とした標準幅より所定範囲内において広くした変形幅を利用して調整する。
【0087】
更に制御部400は、演算部420において、メモリ部410に格納されている圃場500の形状情報から得られる第4直線524の位置情報を基準として、第2辺502側にロボット乗用田植機1の車幅に対応した距離分だけ離れた位置に、上述した第1植付開始ラインLU1を設定し、その第1植付開始ラインLU1の位置情報をメモリ部410に格納する。
【0088】
更にまた、制御部400は、演算部420において、メモリ部410に格納されている圃場500の形状情報から得られる第2直線522の位置情報を基準として、第4辺504側にロボット乗用田植機1の車幅に対応した距離の2倍の距離分だけ離れた位置に、上述した第2植付開始ラインLU2を設定し、その第2植付開始ラインLU2の位置情報をメモリ部410に格納する。
【0089】
以上の様にして、制御部400は、第2列目L2~第n列目Lnにおける自動直進走行に必要な目標ラインの位置情報と、第2列目L2~第n列目Lnにおける植付開始と植付停止の基準位置の設定に必要な、換言すれば、植付開始位置に対応した旋回終了位置と植付停止位置に対応した旋回開始位置の基準位置の設定に必要な、第1植付開始ラインLU1(これを第1旋回基準ラインとも称す)と第2植付開始ラインLU2(これを第2旋回基準ラインとも称す)とを設定し、メモリ部410に格納する。
【0090】
なお、制御部400は、演算部420において、第n列目Lnの自動植付作業が終了した後のD工程514を無人で自動植付作業を伴う自動運転を行わせるために必要なD工程基準ライン(図示省略)を、第4直線524と第1植付開始ラインLU1との中間位置に設定し、また、上述したB工程枕地ライン515(図4参照)を、第2直線522の位置情報を基準として、第2植付開始ラインLU2側にロボット乗用田植機1の車幅の概ね1.5倍の距離分だけ離れた位置に設定し、メモリ部410に格納する。
【0091】
次に、自動走行運転における、制御部400によるPID制御(Proportional-Integral-Differential 制御)について説明する。
【0092】
制御部400は、上述したA工程511~C工程513におけるマニュアル走行中に、位置情報取得装置300により取得される位置情報を利用して所定期間内の走行距離を算定し、その算定された走行距離と、同所定期間内における後輪回転センサ85(図3参照)により検出された後輪回転数とから、ロボット乗用田植機1のスリップ率を算定し、その算定されたスリップ率から圃場500に適したPID制御パラメータを決定する。
【0093】
例えば、制御部400は、算定されたスリップ率から当該圃場がスリップし易い圃場であると判定した場合、直進走行時の最高速度を低く抑え、且つ、旋回時の速度を通常よりも低速にするための、圃場毎に適した制御パラメータを決定する。
【0094】
なお、制御部400は、圃場500に適したPID制御パラメータを決定するに際し、上記のスリップ率に代えて、圃場500の深さ情報を用いても良い。即ち、この構成の場合、制御部400は、上述したA工程511~C工程513におけるマニュアル走行中に、植付部ポテンショメータ93により検出された検出結果から圃場500の深さを算定し、その算定された圃場500の深さから圃場500に適したPID制御パラメータを決定する構成としても良い。
【0095】
この構成の場合、例えば、制御部400は、算定された圃場500の深さ情報から当該圃場が深い圃場であると判定した場合、直進走行時の最高速度を低く抑え、且つ、旋回時の速度を通常よりも低速にするための、圃場毎に適した制御パラメータを決定する。
【0096】
これにより、制御部400は、自動走行運転において、圃場毎に適した制御パラメータを用いたPID制御により、精度の高い自動植付を行うことが出来る。
【0097】
また、本実施の形態のロボット乗用田植機1の制御部400は、第2列目L2~第n列目Lnの各列での自動直進走行中において、第1植付開始ラインLU1(第1旋回基準ライン)、及び第2植付開始ラインLU2(第2旋回基準ライン)の所定距離手前(例えば、3m手前)に達した際、ロボット乗用田植機1の車速が予め定められた基準速度(例えば、1m/sec)以上であるか否かを判定し、当該基準速度以上であると判定した場合は、制御部400は、その所定距離手前の位置から車速を基準速度より減速させて、旋回動作に入る様に制御する。
【0098】
これにより、制御部400が、自動で旋回速度を下げるので、正確に旋回することが出来て、旋回のやり直し等の作業ロスを防止出来る。
【0099】
また、本実施の形態のロボット乗用田植機1の制御部400は、ロボット乗用田植機1の車速を上記の通り減速させた後、植付装置50の植付具51による植付位置が、第1植付開始ラインLU1(第1旋回基準ライン)、及び第2植付開始ラインLU2(第2旋回基準ライン)に到達したとき、昇降リンク装置30に対して植付装置上昇指令を出して植付装置50を上昇させる構成としても良い。
【0100】
これにより、旋回動作より先に植付装置50を上昇させるので、植付装置50に過負荷が掛かり難く、植付装置50の破損等を防止出来る。
【0101】
また、本実施の形態のロボット乗用田植機1の制御部400は、フロート53(図1参照)が、圃場面より離れたことを感知してからでないと旋回動作を行わせない構成としても良い。即ち、この構成の場合、フロート53が圃場面に接地している場合、旋回動作を行わせず、ロボット乗用田植機1の走行を停止させる。
【0102】
これにより、フロート53が圃場面から離れたことを感知することで、植付装置50が確実に上昇した後に旋回させるので、植付装置50に過負荷が掛かり難く、植付装置50破損等を防止出来る。
【0103】
また、本実施の形態のロボット乗用田植機1の制御部400は、第1植付開始ラインLU1と、第2植付開始ラインLU2とからすぐに植付けを開始出来る様にするために、所定の部位の位置(例えば、受信アンテナ310の位置、走行車体の前端部の位置、又は植付具51の植付位置など)が、上記植付開始ラインを基準として所定距離(例えば、500mm)手前の位置にくると昇降リンク装置30に降下指令を出して、植付装置50を植付け高さまで降下させ、フロート53が圃場面に接地したことを検知し、位置情報取得装置300の取得結果から植付具51の植付位置が上記植付開始ラインに到達したものと判定すると、植付クラッチ96を「入り」状態にして植付動作を開始させる。
【0104】
また、本実施の形態のロボット乗用田植機1の制御部400は、自動運転制御において、位置情報取得装置300により取得されるロボット乗用田植機1の位置情報と、後輪回転センサ85により検出される旋回外側後輪回転数とから、機体が動いていないと判定した場合、深みからの脱出を図るために、旋回内側の後輪クラッチ(右後輪クラッチ95R又は左後輪クラッチ95L)を一定間隔で入り切りさせる(これをポンピング制御と称す)。
【0105】
これにより、自動運転制御の旋回中において、深みにはまり機体が停止してしまい、作業能率が低下することを回避出来る。
【0106】
なお、自動旋回走行中において、制御部400が、機体が動いていないと判定した場合、深みからの脱出を図るために、上記ポンピング制御に加えて、左右前輪4に対してデフロックをモータ駆動で入りにする(即ち、ディファレンシャル機能を停止させて、左右前輪4を等速回転させる)構成としても良い。
【0107】
これにより、自動旋回走行中において、深みからの脱出をより確実に図ることが出来るので、深みにはまり機体が停止してしまい、作業能率が低下することを回避出来る。
【0108】
次に、本実施の形態のロボット乗用田植機1の自動運転制御中において、肥料残量が少なくなった場合の動作を中心に説明する。
【0109】
即ち、制御部400は、第2列目L2~第n列目Lnの内の奇数列目の自動直進走行中において、機体が第1植付開始ラインLU1(第1旋回基準ライン)(図4参照)に接近し次の旋回動作に入る直前の時点での(1)肥料残量検知センサ81によるホッパー3の肥料残量と、(2)肥料繰出量検知センサ82による肥料繰出量と、(3)メモリ部410に格納されている次の1往復に対応する目標ライン、第1植付開始ラインLU1、第2植付開始ラインLU2等の位置情報等から算出した次の1往復での植付距離等を把握することで、次の旋回動作の後の1往復の自動走行の途中、換言すれば、次の旋回動作の後、機体が次に第1植付開始ラインLU1(第1旋回基準ライン)(図4参照)に達するまでの走行途中において、肥料が無くなるか否かを判定する。
【0110】
具体的には、制御部400は、上述した肥料残量と、肥料繰出量と、その時点での車速とから、現時点の肥料残量での植付可能な距離を算出し、その算出した「植付可能距離」が、上述した「次の1往復での植付距離」に達していないと認定した場合、次の1往復の途中で肥料がなくなるものと判定して、次の旋回を中止し、そのまま、第4辺504の畦際まで直進走行して停止し、報知ブザー92を鳴らすと共に、ヘッドライト91を点滅させて、作業者に肥料補給の必要性を知らせる。
【0111】
これにより、次の1往復の植付工程の途中で肥料切れになることが回避出来るので、第4辺504側に待機している作業者は、ホッパー3への肥料補給を迅速に行えて、作業効率の向上を図ることが出来る。
【0112】
なお、上記説明では、制御部400は、次の1往復の途中で肥料がなくなる状況を回避するための動作について説明したが、これに加えて、次の1往復の途中で苗がなくなり欠株となる状況を回避するために、上記と同様、次の1往復の途中で苗がなくなるものと判定した場合、次の旋回を中止し、そのまま、第4辺504の畦際まで直進走行して停止し、報知ブザー92を鳴らすと共に、ヘッドライト91を点滅させて、作業者に苗補給の必要性を知らせる。
【0113】
ここで、次の1往復の途中で苗がなくなるか否かの判定は、株間、植付具51の苗取り量、苗タンク52の横送り量の各データをメモリ部410に記録することにより、苗タンク52上にある苗の残量で、次の1往復での植付作業が可能かどうかを制御部400が判定する。
【0114】
これにより、次の1往復の植付工程の途中で苗切れになることが回避出来るので、第4辺504側に待機している作業者は、苗タンク52への苗補給を迅速に行える。苗補給作業の後、作業者が、自動運転継続スイッチ62(図3参照)をONすることにより、ロボット乗用田植機1に対して、自動運転制御を継続させることが出来る。
【0115】
また、本実施の形態のロボット乗用田植機1の制御部400は、苗検知装置83により、苗タンク52に所定間隔で設置された苗検知センサが、順次OFF(即ち、苗の存在を検知しなくなる状態)になっていくか否かを把握し、順次OFFになっていない場合は、欠株が生じていると判定して自動走行を停止させ、また、順次OFFになっている場合は、自動植付動作を継続させる。
【0116】
これにより、自動植付動作中において、欠株の発生の有無を診断することで、長距離に亘って苗の植え付けが出来ていない様な状況を回避することが出来る。
【0117】
次に、本実施の形態のロボット乗用田植機1における自動旋回制御について、図6を用いて説明する。
【0118】
図6は、旋回自動制御を説明するために、圃場500の第4辺504側において、ロボット乗用田植機1の植付中央位置Q(図2参照)が第1植付開始ラインLU1に到達し植付作業を停止した時の植付中央位置Qの現実の位置を植付停止位置Qtとし、植付中央位置Qが順次到達すべき旋回時の目標座標(位置情報)を、第1目標Q1~第4目標Q4として模式的に示した圃場の部分拡大平面模式図である。
【0119】
なお、植付中央位置Qは、ロボット乗用田植機1の植付具51による植付位置であって、且つ車幅の中央位置である部位として、図2に示した。
【0120】
また、植付中央位置Qの現実の位置情報は、位置情報取得装置300により取得された受信アンテナ310の現実の位置情報と、メモリ部410に格納されている所定の変換定数(即ち、受信アンテナ310の位置の位置情報を用いて植付中央位置Qの位置の位置情報を演算するために必要な、双方の位置関係から定まる定数)とから、演算部420により演算される位置情報である。
【0121】
ここでは、旋回自動制御を圃場500の第4辺504側における旋回を例として説明するが、第2辺502側における旋回でも同様の制御が適用出来ることはいうまでもない。
【0122】
本実施の形態では、制御部400は、旋回走行を段階に分けて制御するために、第1目標Q1~第4目標Q4の位置情報(座標値)を予め演算により求めて、メモリ部410に格納する。
【0123】
第1目標Q1~第4目標Q4の位置情報(座標値)は、メモリ部410に格納されている、圃場の形状情報、第1植付開始ラインLU1及び第2植付開始ラインLU2の位置情報、第2列目L2~第n列目Lnの各目標ラインの位置情報、植付停止位置Qtの位置情報、機体に応じて予め定められている旋回半径等を利用して、演算部420によって下記の位置の位置情報(座標値)として設定される。
【0124】
なお植付停止位置Qtの位置情報は、図6に示す様に、第k列目Lkを第4辺504側に向けて自動走行するロボット乗用田植機1の植付中央位置Qが、第1植付開始ラインLU1に到達したと制御部400により判定された時点での植付中央位置Qの現実の位置情報である。
【0125】
即ち、第1目標Q1の位置情報(座標値)は、植付停止位置Qtから、所定距離(例えば、500mm)だけ後退した位置、換言すれば、直前まで走行していた進行方向とは逆方向に後退した、植付中央位置Qが到達すべき目標位置の位置情報である。
【0126】
また、第2目標Q2の位置情報は、第1目標Q1から反時計回りに所定の旋回半径で旋回を開始して90°の旋回を完了させる、植付中央位置Qが到達すべき目標位置の位置情報である。
【0127】
また、第3目標Q3の位置情報は、第2目標Q2から第1植付開始ラインLU1に平行に移動した位置であって、且つ、次の植付作業列である第k+1列目Lk+1の所定距離(例えば、500mm)手前である、植付中央位置Qが到達すべき目標位置の位置情報である。
【0128】
また、第4目標Q4の位置情報は、第3目標Q3から反時計回りに所定の旋回半径で旋回を開始して90°の旋回を完了させると共に、第k+1列目Lk+1の目標ライン上であり且つ第1植付開始ラインLU1の直前である、植付中央位置Qが到達すべき目標位置の位置情報である。
【0129】
この様に、本実施の形態の旋回自動制御は、旋回走行途中において複数の目標位置を設定して、第1目標Q1から第4目標Q4の各目標位置に順次到達する様に、制御部400からの指令によりロボット乗用田植機1を旋回走行させることで、様々な圃場条件の下でも次の植付作業列に確実に旋回移動出来て、条合わせを確実に行うことが出来る。
【0130】
なお、第1目標Q1の設定において説明した後退させる所定距離は、機体の旋回半径に合わせて、即ち、機体の特性に合わせて変更出来る様に構成されている。
【0131】
これにより、旋回半径の異なるロボット乗用田植機1に対しても、同様の旋回自動制御を適用出来る。
【0132】
なお、第2目標Q2と第3目標Q3との間隔は、変更可能に構成されていても良い。これにより、条数や条間の異なるロボット乗用田植機1であっても、同様の旋回自動制御を適用出来る。
【0133】
なお、上記実施の形態では、A工程511~C工程513における圃場の形状情報の取得等に際し、圃場500の内周を時計回りにマニュアル走行する場合を想定して説明したが、これに限らず例えば、圃場500の内周を反時計回りにマニュアル走行する場合でも、上記と同様の構成で圃場の形状情報の取得等を行うことが出来る。また、その場合、各辺の始点の位置情報の演算については、受信アンテナ310の位置情報をロボット乗用田植機1の植付装置50の右端に位置する植付具51の位置の位置情報に変換し、また、各辺の始点の位置情報の演算については、受信アンテナ310の位置情報を、ロボット乗用田植機1の走行車体2の前端部2a(図1参照)を通り左右両側に伸びる第1仮想直線と、植付装置50の右端に位置する植付具51の位置を通り前後方向に伸びる第3仮想直線との、平面視における交点の位置における位置情報に変換する必要があることは言うまでもない。また、マニュアル走行を開始する際に、作業者は、所定のスイッチ(図示省略)を利用して、時計回りとするか、反時計回りとするかの何れであるかを入力することにより、制御部400は、始点及び終点の位置情報の演算において所定の変換定数を適切に切り替えることが出来るので、圃場500の形状を適切に近似した形状情報を算出すること出来る。
【0134】
また、上記実施の形態では、制御部400において、圃場500の形状情報や自動走行経路情報を求め、それを利用して、ロボット乗用田植機1に自動走行及び自動植付を行わせる構成について説明したが、これに限らず例えば、ロボット乗用田植機1のメモリ部410に格納されている各種データを、作業者が有するタブレット端末(図示省略)に送信し、タブレット端末上に当該自動走行経路を表示し確認し、その自動走行経路を作業者が自由に編集した後、ロボット乗用田植機1に送信し、メモリ部410に格納されているデータを更新する構成としても良い。
【0135】
これにより、圃場特性を知る作業者が、制御部400が自動作成した自動走行経路を編集することが出来るので、機体が沈没する様な深い場所を避けて自動植付を行うことが出来、沈没によるタイムロスや機械の故障等を回避することが出来る。
【0136】
また、上記実施の形態では、目標ライン同士の間隔を、車幅の距離とする場合について説明したが、これに限らず例えば、苗の植付間隔(例えば、300mm)×機体の植付条数(本実施の形態では、8条植え)÷2として設定しても良い。これにより正確に条合わせを行うことが出来る。
【0137】
また、上記実施の形態では、制御部400により苗タンク52上の苗の残量不足が検知された場合、ロボット乗用田植機1に次の旋回を中止させ、そのまま、第4辺504の畦際の苗補給位置まで直進走行させて停止し、報知ブザー92等により作業者に注意喚起することで、作業者が、苗タンク52に苗を補給する場合について説明したが、これに限らず例えば、ロボット乗用田植機1に電動式でレール状態になる電動補助苗枠(図示省略)を備え、畦際の苗補給位置にてレール状態になった電動補助苗枠を利用して、苗タンク52に苗を補給し、苗補給後は手動操作で元の状態に戻す構成としても良い。これにより、長い距離を植付けする場合に補助作業者が苗を供給することにより自動走行を継続できる。また、この構成において、作業者が苗補給後に、電動補助苗枠を手動操作で元の状態に戻すことにより、旋回制御を開始する構成としても良い。これにより、長い距離を植付けする場合に補助作業者が苗を供給することにより自動走行を継続できる。
【0138】
また、上記実施の形態では、自動運転モードが「入り」状態にある場合、植付作業レバー41(図3参照)を「植付装置上昇」位置に操作することで、その操作の本来の意味以外に、始点取得トリガー信号としての意味をも兼ねている場合について説明したが、これに限らず例えば、植付作業レバー41(図3参照)を「植付切り」位置に操作することで、その操作の本来の意味以外に、始点取得トリガー信号としての意味をも兼ねさせる構成としても良い。
【0139】
また、上記実施の形態では、制御部400は、次の1往復の途中で肥料がなくなるか否か、及び、苗タンク52上の苗がなくなるか否かの判定は、第2列目L2~第n列目Lnの内の奇数列目の各列ごとに行う場合について説明したが、これに限らず例えば、上記判定を行った際の肥料の残量、又は苗の残量に応じて、次の判定を行う列を制御部400が決定する構成としても良いし、あるいは、肥料、又は苗を補給した時から所定のタイミングで上記判定を行う様に構成しても良い。
【0140】
また、上記実施の形態では、圃場500の三方、即ち、第1辺501~第3辺503をマニュアル走行することで取得した始点、終点等の位置情報に基づいて、圃場500の形状情報、自動走行経路情報等を得る場合について説明したが、これに限らず例えば、圃場500の四方、即ち、第1辺501~第4辺504をマニュアル走行することで取得した始点、終点等の位置情報に基づいて、圃場500の形状情報、自動走行経路情報等を得る構成としても良い。
【0141】
また、上記実施の形態では、圃場500の三方、即ち、第1辺501~第3辺503をマニュアル走行することで取得した位置情報に基づいて走行軌跡を得て、制御部400が、その走行経路と圃場500の形状情報とのズレの程度をズレ判定基準値で判定して、ロボット乗用田植機1に自動運転制御をおこなわせるか否かを決定する構成について説明したが、これに限らず例えば、圃場500の四方、即ち、第1辺501~第4辺504をマニュアル走行することで取得した位置情報に基づいて得られた走行軌跡と、圃場500の形状情報とのズレの程度をズレ判定基準値で判定して、ロボット乗用田植機1に自動運転制御をおこなわせるか否かを決定する構成としても良い。
【0142】
また、上記実施の形態では、圃場500の形状が略長方形状である場合について説明したが、これに限らず例えば、略正方形状であっても良いし、略平行四辺形状であっても良いし、略台形状であっても良いし、或いは、略ホームベース形状であっても良く、要するに圃場形状は四角形状に限定されるものではない。圃場形状が略台形状の場合、上底と下底に対応する圃場の辺に平行に植付け条を形成することが好ましい。また、圃場形状が略ホームベース形状の場合、略直角に連接する三辺に沿ってマニュアル走行することで取得した始点、終点等の位置情報に基づいて、圃場500の形状情報、自動走行経路情報等を近似的に得ることが出来る。また、圃場形状が略ホームベース形状の場合、上記三辺以外の他の二辺、即ち、鈍角を成す二辺の内の一辺と、それに繋がったもう一方の鈍角を成す二辺の内の一辺とに対応する圃場の辺を、作業者が待機し、肥料や苗を補給する畦とすれば良い。また、圃場形状が略ホームベース形状の場合、略直角に連接する三辺の内の対向する辺に平行に植付け条を形成する場合、上記三辺以外の他の二辺に挟まれた領域は、近似的に得られた圃場形状から、外へはみ出しているので、制御部400により得られた自動走行経路情報では植付作業が行われない。従って、作業者がリモコン装置71を操作して第2列目L2~第n列目Lnの植付停止位置(第1植付開始ラインLU1に対応)を超えて植付作業させる様にしても良いし、或いは、上述したタブレット端末上で、その自動走行経路を作業者が自由に編集した後、ロボット乗用田植機1に送信し、メモリ部410に格納されているデータを更新する構成としても良い。
【0143】
また、圃場内を2辺以上走行することにより自動走行エリアを取得する自動走行作業機において、エリア記録部EKと別に手動操作をトリガーとして2点を取得し目標方位を取得する直進用目標方位記録部MKを設けている。また、エリア記録部EKを利用して自動走行する方法と直進用目標方位記録部MKを利用して自動走行する方法を切り替える切替部材(図示省略)を備えている。両方を組み合わせて利用することで、状況に応じた自動走行が実現できる。
【0144】
エリアが取得できても自動走行できる経路が限られて未作業部分が残った場合の経路外で直進制御のみ使用できる。また、エリア取得による経路を選択して基準経路とする場合にタブレット等の経路表示手段を必要とするが、経路表示手段を用いず経路自動走行制御と自動直進、自動旋回を共存することができる。
【0145】
直進用目標方位記録部MKに保管してある目標方位に従って走行する走行形態を少なくとも2個以上持ち走行形態を選択する切替スイッチを備えても良い。また、取得エリアにより自動走行するスイッチと別に設けられている。よって、エリアによる経路自動走行モード目標方位取得による自動直進、自動旋回中に関わらず自動旋回のバック旋回かUターン旋回を選択可能にできる。
【0146】
直進用目標方位に従って自動走行する走行形態に、自動で後進し自動で旋回後自動直進走行を実行する形態が含まれている。よって、苗つぎ等の資材供給の為バック旋回があると操作が容易になる。
【0147】
自動走行スイッチがOFFの場合遠隔操作による操作を受け付けない制御としても良い。 また、自動走行スイッチがONの場合にエリア取得操作が許可される構成としても良い。
【0148】
よって、自動走行スイッチを自動経路走行要件に入れないことにより自動直進、自動旋回機能が手動走行中であればいつでも使用可能である。
【0149】
目標方位取得のための手動操作は自動走行スイッチの[ON」[OFF」に関わらず実施できる構成としても良い。つまり、自動走行スイッチを自動経路走行要件に入れないことにより自動直進、自動旋回機能が手動走行中であればいつでも使用可能にできる。
【0150】
手動操作にて目標方位が取得されている場合に自動スイッチの「ON」「OFF」に関わらず直進用目標方位に従って自動走行する各形態が走行形態を切り替える切替スイッチ位置に従って実行される構成としても良い。つまり、手動操作時であれば条件が整えば自動直進、自動旋回アシスト機能を全て使用できる。
【0151】
直進用目標方位に従って自動走行する制御が手動操作をトリガーとして実施される。また、直進用目標方位に従って自動走行する制御はエリアによる自動走行モード中を含む手動操作状態のみ許可される。また、手動操作により目標方位取得中は自動走行経路に従って自動走行中でも作業機の下降から上昇までの距離を取得し自動走行経路とは別に記録される記録部を備えても良い。
【0152】
エリアによる自動経路走行と目標方位による自動直進走行ではそれぞれ異なる制御方法を用い目標方位による直進走行制御手段はアンテナ付近にあるコントローラ内に収納されている目標方位直進制御部に収納されている構成としても良い。つまり、エリアによる経路取得用コントローラに異常が生じた場合にバックアップできる。
【0153】
エリアによる自動経路走行用コントローラに異常が生じた場合に目標方位による直進走行制御のみの使用が可能である構成としても良い。エリアによる経路取得用コントローラに異常が生じた場合にバックアップすることができる。
【0154】
エリア取得による自動走行を制御する制御手段が方位による直進走行制御手段より高速演算できるよう構成している。
【0155】
また、次工程で苗が足りなくならないか監視するためのスイッチ(苗追加SW)を苗減少スイッチとは別に苗タンク上側に設置する。(設置する位置は苗押えが機能する位置(苗1.2枚分の位置))(出力は1つとし、植付「ON」且ついずれかの条の苗追加SWが「ON」で出力する。)よって、次工程で苗が無くなる状態化現在もうすぐ苗が無くなる状態かを区別できる。
【0156】
また、遠隔操作で補正した植付深さ補正値を、植付部上昇時にリセットするかどうかを変更可能な構成としても良い。また、遠隔操作で補正した整地ロータ高さ補正値を植付部上昇時にリセットするかどうかを変更可能な構成としても良い。
【0157】
また、自律走行を行う田植機でその植付走行経路上、設定した畦で不足している資材の補給を行うことを前提としたもので、その畦に到達し再度自律走行を行うためには作業者の手入力を必要とするものにおいて、畦から次の畦に到達するまで苗が不足しないかどうかを判断し不足する場合は自動を再開させない構成としても良い。
【0158】
また、苗タンク上部にリミットセンサを設ける場合、延長苗タンクの取り付け口、メイン苗タンクの最上部に設ける。センサ部分で苗が浮きあがりを抑えるよう苗押さえを設ける。
【0159】
補給ポイントで資材切れを判定する田植機において植付可能距離を算出するとき、苗の積載割合を最小値として用いても良い。また、自動植付走行中に資材切れを検知した場合、苗および肥料などの資材消費を停止しても良い。また、往復工程が終わり、内周工程が始まる前に必要となる資材積載量を計算しモニタなどでアナウンスしても良い。
【0160】
また、自動走行中の燃料不足を防止するためティーチング終了時点で必要燃料を割出しタンク内の燃料が足りなければ警告する構成としても良い。また、現在の作業走行経路での自動作業走行制御の実行中に、次の作業走行経路での作業終了地点までの作業走行の継続が可能か否かの判定を、自動走行制御の開始前に判定する構成としても良い。
【0161】
また、上記実施の形態では、本発明の作業車両の一例として8条型の乗用田植機1について説明したが、これに限らず例えば、4条植え、5条植え、或いは6条植え等の構成であっても良く、条数に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明によれば、作業者が乗車しなくても所定の作業が可能であると共に、走行の安全性の向上を図ることが出来、例えば、ロボット乗用田植機等として有用である。
【符号の説明】
【0163】
1 ロボット乗用田植機
2 走行車体
50 植付装置
300 位置情報取得装置
400 制御部
EK エリア記録部
MK 目標方位記録部
図1
図2
図3
図4
図5
図6