IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ロール状衛生薄葉紙用包装体 図1
  • 特開-ロール状衛生薄葉紙用包装体 図2
  • 特開-ロール状衛生薄葉紙用包装体 図3
  • 特開-ロール状衛生薄葉紙用包装体 図4
  • 特開-ロール状衛生薄葉紙用包装体 図5
  • 特開-ロール状衛生薄葉紙用包装体 図6
  • 特開-ロール状衛生薄葉紙用包装体 図7
  • 特開-ロール状衛生薄葉紙用包装体 図8
  • 特開-ロール状衛生薄葉紙用包装体 図9
  • 特開-ロール状衛生薄葉紙用包装体 図10
  • 特開-ロール状衛生薄葉紙用包装体 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176285
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】ロール状衛生薄葉紙用包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/42 20060101AFI20231206BHJP
   B65D 85/672 20060101ALI20231206BHJP
   B65D 77/30 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B65D65/42 A
B65D85/672
B65D77/30 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088488
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 翔平
【テーマコード(参考)】
3E037
3E067
3E086
【Fターム(参考)】
3E037AA03
3E037BA09
3E037BC04
3E037CA06
3E067AA16
3E067AB75
3E067AB76
3E067AB77
3E067AC15
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BB26A
3E067CA24
3E067EA06
3E067EE02
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD07
3E086AA23
3E086AD01
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA25
3E086BB51
3E086BB52
3E086BB62
3E086CA35
(57)【要約】
【課題】紙基材を用いてロール状衛生薄葉紙を包装しても、ロール状衛生薄葉紙の品質や外観を損ねずに、十分なシール性を確保できるロール状衛生薄葉紙用包装体を提供する。
【解決手段】複数個のロール状衛生薄葉紙を包装するための紙基材を含む包装体であって、前記紙基材の前記複数個のロール状衛生薄葉紙と接触する面に、各前記ロール状衛生薄葉紙の周面が前記紙基材と接触する領域を除いて、ヒートシール剤が塗工されている、ロール状衛生薄葉紙用包装体。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のロール状衛生薄葉紙を包装するための紙基材を含む包装体であって、
前記紙基材の前記複数個のロール状衛生薄葉紙と接触する面に、各前記ロール状衛生薄葉紙の周面が前記紙基材と接触する領域を除いて、ヒートシール剤が塗工されている、
ロール状衛生薄葉紙用包装体。
【請求項2】
複数個のロール状衛生薄葉紙を包装するための紙基材を含む包装体であって、
前記紙基材の前記複数個のロール状衛生薄葉紙と接触する面に、各前記ロール状衛生薄葉紙の周面および各前記ロール状衛生薄葉紙の周面と上面または下面とで形成される角部が前記紙基材と接触する領域を除いて、ヒートシール剤が塗工されている、
ロール状衛生薄葉紙用包装体。
【請求項3】
少なくとも上下に2段以上積み重なる複数個のロール状衛生薄葉紙を包装するための紙基材を含む包装体であって、
各ロール状衛生薄葉紙の周面、最上段の前記ロール状衛生薄葉紙の周面と上面とで形成される角部、および最下段の前記ロール状衛生薄葉紙の周面と下面とで形成される角部が前記紙基材と接触する領域を除いて、ヒートシール剤が塗工されている、
ロール状衛生薄葉紙用包装体。
【請求項4】
前記複数個のロール状衛生薄葉紙がキャラメル方式で包装される、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のロール状衛生薄葉紙用包装体。
【請求項5】
前記ロール状衛生薄葉紙が、キッチンペーパー、ペーパータオル、トイレットペーパーまたはティッシュペーパーのいずれかである、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のロール状衛生薄葉紙用包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状衛生薄葉紙用包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンペーパー、ペーパータオル、トイレットペーパー、ティッシュペーパー等のロール状の衛生薄葉紙が収容されロール状薄葉紙用包装袋は、樹脂フィルム製の包装袋に複数個のロールが収容された状態で流通され、使用される。近年、CO排出に伴う地球温暖化やマイクロプラスチック等の海洋汚染等の環境負荷を抑制する等の観点から、ロール状衛生薄葉紙用包装袋に用いる包装袋を樹脂製から紙製に変更し、包装袋における樹脂の使用量を低減する動きが活発になっている。
【0003】
特許文献1には、紙基材にヒートシール層を含むトイレットロール包装体において、紙基材の全面にヒートシール層を形成する場合及び紙基材同士が積層・接合される部分のみにヒートシール層を形成する場合が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-172415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紙を含む基材(紙基材)の全面にヒートシール層が形成されている場合、包装する製品がロール状衛生薄葉紙であると、ロール状衛生薄葉紙の周面は、紙基材のヒートシール層と接する。このため、ヒートシール層のシール剤がロール状衛生薄葉紙に付着したり接着したりして、ロール状衛生薄葉紙の品質や外観を損ねるおそれがある。
【0006】
他方、ヒートシール層を、紙基材同士が積層・接合される部分のみとすると、特に包装態様がキャラメル方式の場合は、ヒートシール層を形成する領域が複雑な形の領域になったり、まだら模様になったり、飛び地が生じることがある。このために、包装体のシール性が確保できず、ヒートシール剤の塗工工程やヒートシール層形成後の取り扱いが複雑になる可能性が高まる。
【0007】
本発明の課題は、紙基材を用いてロール状衛生薄葉紙を包装しても、ロール状衛生薄葉紙の品質や外観を損ねずに、十分なシール性を確保できるロール状衛生薄葉紙用包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る第1の態様は、複数個のロール状衛生薄葉紙を包装するための紙基材を含む包装体であって、前記紙基材の前記複数個のロール状衛生薄葉紙と接触する面に、各前記ロール状衛生薄葉紙の周面が前記紙基材と接触する領域を除いて、ヒートシール剤が塗工されている、ロール状衛生薄葉紙用包装体である。
【0009】
ここで、ロール状衛生薄葉紙(以下、「ロール」という場合がある)では、ロールの中心軸方向に離間している二つの端面のうちの一方の端面を上面、他方の端面を下面という。なお、上面、下面は相対的なもので、例えば天地が決まっているものではない。また、紙基材の各ロール状衛生薄葉紙と接触する面(以下、「接触面」または「紙基材の接触面」という場合がある)のヒートシール剤が塗工された領域には、ヒートシール層が形成される。
【0010】
また、ロールの周面は、ロールの上面と下面の間の側面を構成する。なお、包装された各ロールにおいて、ロールの周面は、紙基材のヒートシール層に接触すると、各ロールの品質や外観が特に損なわれやすい部分である。
【0011】
第1の態様では、各ロールの周面が紙基材と接触する領域(以下、「周面接触領域」または「紙基材の周面接触領域」という場合がある)にヒートシール剤が塗工されていないため、各ロールの周面が紙基材のヒートシール層に接触することはない。そのため、ヒートシール層が接触面に形成された紙基材を用いて複数個のロールを包装しても、各ロールの品質や外観が損なわれにくい。
【0012】
なお、第1の態様では、紙基材の周面接触領域以外の領域であるロールの上面が紙基材と接触する領域(以下、「上面接触領域」または「紙基材の上面接触領域」という場合がある)またはロールの下面が紙基材と接触する領域(以下、「下面接触領域」または「紙基材の下面接触領域」という場合がある)にヒートシール剤が塗工されることになる。
【0013】
しかし、ロールの上面及び下面は、ヒートシール層と接触しても品質や外観を損ねるおそれが相対的に少ない。そのため、第1の態様では、ヒートシール層が設けられた紙基材で複数個のロールを包装しても、各ロールの品質や外観を損ねずに、包装体としてのシール性を確保することができる。
【0014】
さらに、第1の態様では、ヒートシール剤が塗工されていない紙基材の周面接触領域は印刷しやすい領域となる。そのため、ヒートシール層が設けられた紙基材で複数個のロールを包装する場合でも、包装体の外面の目立つ位置に印刷を施すことができる。
【0015】
本発明に係る第2の態様は、複数個のロール状衛生薄葉紙を包装するための紙基材を含む包装体であって、前記紙基材の前記複数個のロール状衛生薄葉紙と接触する面に、各前記ロール状衛生薄葉紙の周面および各前記ロール状衛生薄葉紙の周面と上面または下面とで形成される角部が前記紙基材と接触する領域を除いて、ヒートシール剤が塗工されている、ロール状衛生薄葉紙用包装体である。
【0016】
なお、包装された各ロールにおいて、紙基材から強い圧力を受けるのは、各ロールの周面と上面とで形成される角部(以下、「上面角部」という場合がある)と、各ロールの周面と下面とで形成される角部(以下、「下面角部」という場合がある)である。そのため、各ロールの上面角部および下面角部は、ヒートシール層に接触すると、各ロールの品質や外観が特に損なわれやすい部分である。
【0017】
第2の態様では、周面接触領域に加え、各ロールの上面角部および下面角部が紙基材と接触する領域(以下、「角部接触領域」または「紙基材の角部接触領域」という場合がある)にもヒートシール剤が塗工されていない。これにより、各ロールの両角部がヒートシール層に接触することはないため、ヒートシール層が接触面に形成された紙基材を用いて複数個のロールを包装しても、各ロールの品質や外観がさらに損なわれにくい。
【0018】
本発明に係る第3の態様は、少なくとも上下に2段以上積み重なる複数個のロール状衛生薄葉紙を包装するための紙基材を含む包装体であって、各ロール状衛生薄葉紙の周面、最上段の前記ロール状衛生薄葉紙の周面と上面とで形成される角部、および最下段の前記ロール状衛生薄葉紙の周面と下面とで形成される角部が前記紙基材と接触する領域を除いて、ヒートシール剤が塗工されている、ロール状衛生薄葉紙用包装体である。
【0019】
本明細書において、複数個のロール状衛生薄葉紙が少なくとも上下に2段以上積み重なる場合とは、2個以上のロールが、同じ軸線に沿って積み重なっている(又は直列に並んでいる)場合をいう。最上段のロールとは、積み重なったロールのうちの一方の最も外側にあるロールを示し、最下段のロールとは、他方の最も外側にあるロールを示す。
【0020】
なお、複数個のロールが少なくともロールの中心軸に沿って2段以上積み重なって包装される場合、紙基材から強い圧力を受けるのは、最上段に位置するロール(以下、「最上段ロール」という場合がある)の上面角部と、最下段に位置するロール(以下、「最下段ロール」という場合がある)の下面角部である。すなわち、最上段ロールの上面角部および最下段ロールの下面角部は、ヒートシール層に接触すると、各ロールの品質や外観が特に損なわれやすい部分である。
【0021】
第3の態様では、周面接触領域に加え、この最上段ロールの上面角部が紙基材と接触する領域(以下、「上面角部接触領域」または「紙基材の上面角部接触領域」という場合がある)および最下段ロールの下面角部が紙基材と接触する領域(以下、「下面角部接触領域」または「紙基材の下面角部接触領域」という場合がある)にもヒートシール剤が塗工されていない。
【0022】
これにより、最上段ロールの上面角部および最下段ロールの下面角部がヒートシール層に接触することはない。そのため、第2の態様では、ヒートシール層が接触面に形成された紙基材を用いて複数個のロールが少なくともロールの中心軸に沿って2段以上積み重なって包装される場合でも、各ロールの品質や外観が損なわれにくい。
【0023】
また、第3の態様では、紙基材の周面接触領域、上面角部接触領域および下面角部接触領域以外の領域である最上段ロールの上面接触領域または最下段ロールの下面接触領域にヒートシール剤が塗工されることになる。
【0024】
しかし、最上段ロールの上面及び最下段ロールの下面は、ヒートシール層と接触しても品質や外観を損ねるおそれが相対的に少ない。そのため、第3の態様では、ヒートシール層が設けられた紙基材で複数個のロールを包装しても、各ロールの品質や外観を損ねずに、包装体としてのシール性を確保することができる。
【0025】
さらに、第3の態様でも、ヒートシール剤が塗工されていない紙基材の周面接触領域は印刷しやすい領域となる。そのため、ヒートシール層が接触面に形成された紙基材を用いて複数個のロールが少なくともロールの中心軸に沿って2段以上積み重なって包装される場合でも、包装体の外面の目立つ位置に印刷を施すことができる。
【0026】
本発明に係る第4の態様は、上記第1乃至第3の態様のいずれかにおいて、前記複数個のロール状衛生薄葉紙がキャラメル方式で包装される、ロール状衛生薄葉紙用包装体である。
【0027】
第4の態様では、ヒートシール層に接触すると各ロールの品質や外観が特に損なわれやすい紙基材の接触面(紙基材のロールと接触する面)にヒートシール剤は塗工されていない。そのため、複数個のロールをキャラメル方式で包装する場合でも、各ロールの品質や外観を損ねずに、包装体としてのシール性を確保しながら、包装体の外面の目立つ位置に印刷を施すことができる。
【0028】
また、第4の態様では、複数個のロールをキャラメル方式で包装する場合、各ロールの角部(複数個のロール状衛生薄葉紙が少なくとも上下に2段以上積み重なる場合は、最上段ロールの上面角部および最下段ロールの下面角部)が紙基材から強い圧力を受けやすい。しかし、第4の態様では、各ロールの角部をヒートシール層に接触させない構成とすることで、複数個のロールをキャラメル方式で包装する場合に、各ロールの角部が紙基材から強い圧力を受けても、各ロールの品質や外観が損なわれにくい。
【0029】
本発明に係る第5の態様は、上記第1乃至第4の態様のいずれかにおいて、前記ロール状衛生薄葉紙が、キッチンペーパー、ペーパータオル、トイレットペーパーまたはティッシュペーパーのいずれかである、ロール状衛生薄葉紙用包装体である。
【0030】
第5の態様では、ヒートシール層に接触すると各ロールの品質や外観が特に損なわれやすい紙基材の接触面にヒートシール剤は塗工されていないため、ロールの形態に拘わらず、各ロールがヒートシール剤の影響を受けにくい。
【0031】
したがって、第5の態様では、ヒートシール層が接触面に形成された紙基材を用いて包装される各ロールが、キッチンペーパー、ペーパータオル、トイレットペーパーまたはティッシュペーパーのいずれかであっても、各ロールの品質や外観を損ねずに、包装体としてのシール性を確保しながら、包装体の外面の目立つ位置に印刷を施すことができる。
【発明の効果】
【0032】
開示の発明の一態様によれば、紙基材を用いてロール状衛生薄葉紙を包装しても、ロール状衛生薄葉紙の品質や外観を損ねずに、十分なシール性を確保できるロール状衛生薄葉紙用包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】包装袋にロール状衛生薄葉紙が収容された包装体を示す図である。
図2】包装袋に収容されるロール状衛生薄葉紙を示す図である。
図3図1の包装体を天面側から見た図である。
図4図1の包装体を底面側から見た図である。
図5図1の包装体を一方の側面側から見た図である。
図6図1の包装体を他方の側面側から見た図である。
図7図1の包装体を一方の妻面側から見た図である。
図8図1の包装体を他方の妻面側から見た図である。
図9】包装袋の展開図である。
図10図9のA-A断面図である。
図11図9のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<包装体>
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、共通する部分は、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図において、各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。なお、各図では、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用い、包装袋の長さ方向をX方向とし、幅方向をY方向とし、高さ方向(上下方向または厚み方向)をZ方向とする。
【0035】
図1は、実施形態の包装袋にロールが収容された包装体を示す図である。図2は、包装袋に収容されるロールを示す図である。図3図4図5図6図7図8は、図1の包装体を天面側、底面側、一方の側面側、他方の側面側、一方の妻面側、他方の妻面側からそれぞれ見た図である。包装体100は、本実施形態に係るロール状衛生薄葉紙用包装体の一例であり、包装袋10、ロール20を有する。
【0036】
ロール20は、包装袋に収容されるロール状衛生薄葉紙の一例である。ロール20は、図1に示す例示では、包装袋10に2個収容されている。ロール20は、図2に示すように、長尺シート21が中空コア22に巻回されて構成されている。
【0037】
ロール20の態様は、特に限定されず、例えば、キッチンペーパー、ペーパータオル、トイレットペーパー、ティシューペーパー等の衛生薄葉紙に適用可能である。ロール20の用途は、特に限定されず、産業用、家庭用、携帯用のいずれも適用できる。なお、本実施形態におけるロール20としては、これらの中でも、家庭用のキッチンペーパーが好適に用いられる。
【0038】
包装袋10の包装形態は、特に限定されず、例えば、後述する包装袋10の基材10Aが筒状に加工され、該筒状の基材10Aの開口端部がシール(封止)されたもの(ピロー包装)、筒状の包装袋10用シートの両端部が折りたたまれてシール(封止)されたもの(キャラメル包装)、または、これらを組み合わせたもの等を採用することができる。なお、ピロー包装の場合、筒状の基材10Aは、ガセット状に折り込まれていてもよい。
【0039】
本実施形態の包装体100では、包装形態がキャラメル方式(以下、「キャラメル包装」という場合がある)で構成されている。具体的には、包装袋10の妻面15、16のシール部30、40(サイドシール)が折りたたまれた状態でシールされ、包装袋10の底面12のシール部50(ボトムシール)がシールされた状態で、2個のロール20が包装袋10にキャラメル包装されている(図1図8)。
【0040】
図1図2に示すように、ロール20の周面21Aは、包装袋10の天面11、底面12、側面13、側面14にそれぞれ対面し、周面21Aの一部は隣接するロール20の周面21Aの一部に接触する。なお、図1等において、L1、W1、H1は、それぞれ包装体100の幅、長さ及び高さを示す。また、図2において、L2、W2は、それぞれロール20の幅(ロール幅)及び径寸法(ロール径)を示す。
【0041】
ロール20は2つの端面を有する。一方の端面は上面21B、他方の端面は下面21Cである。なお、上面と下面は相対的な関係であり、上下が決まっているものではない。図1図2に示す例では、ロール20の上面21Bは、包装袋10の妻面15に対面し、ロール20の下面21Cは、包装袋10の妻面16に対面する。
【0042】
なお、ロール20が2個以上重なって(直列に並んで)包装される場合、最上段に位置するロール(最上段ロール)は、包装袋10の妻面15側に収容され、最上段ロールの上面21Bは、包装袋10の妻面15に対面する。また、最下段に位置するロール(最下段ロール)は、包装袋10の妻面16側に収容され、最下段ロールの下面21Cは、包装袋10の妻面16に対面する。
【0043】
ロール20は、上面21B側に角部23Bを有し、下面21C側に角部23Cを有する。角部23Bは、ロール20の周面21Aと上面21Bとで形成され稜線部分である。角部23Cは周面21Aと下面21Cとで形成される稜線部分である。
【0044】
これらの角部23B、23Cは、図1に示すように、包装袋10で包装する場合、包装袋10は角部23B、23Cの稜線に沿って変形し密着する。そのため、複数個のロール20が包装袋10に包装された状態では、角部23B、23Cは包装袋から強い圧力を受けやすい。とりわけ、図1に示すように、包装形態がキャラメル方式(以下、「キャラメル包装」という場合がある)では、角部23B、23Cは包装袋から強い圧力を受ける。
【0045】
ロール20の寸法は、特に限定されないが、長尺シート21の幅方向(Y方向)の幅寸法(ロール幅)L2が好ましくは85mm以上500mm以下であり、長尺シート21の径方向(X方向またはZ方向)の径寸法(ロール径)W2が好ましくは80mm以上200mm以下である(図2参照)。
【0046】
長尺シート21のプライ数は、特に限定されないが、1プライ以上にすることができ、好ましくは1プライまたは2プライ(2枚重ね)である。
【0047】
長尺シート21の材質は、特に限定されないが、例えば、紙、不織布または布等のシートを用いることができ、好ましくは紙(紙シート)である。なお、長尺シート21が紙シートの場合、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、紙シートにおける公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を、50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。
【0048】
また、長尺シート21(紙シート)におけるパルプ組成は、特に限定されない。例えば、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプとを、任意の比率で使用することができる。なお、広葉樹パルプと針葉樹パルプの比は、限定されないが、好ましくは10:90~80:20であり、より好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、長尺シート21(紙シート)に含まれるパルプには、古紙パルプを用いても良い。
【0049】
長尺シート21の坪量は、特に限定されないが、プライ数に応じて、紙の場合は5g/m以上80g/m以下であり、好ましくは10g/m以上60g/m以下、より好ましくは10g/m以上45g/m以下である。また、不織布の場合は20g/m以上100g/m以下のものが望ましい。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
【0050】
また、長尺シート21(紙シート)の厚みは、特に限定されず、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、長尺シート21が紙の場合、紙厚は、2プライあたり、50μm以上600μm以下であり、好ましくは60μm以上500μm以下、より好ましくは130μm以上400μm以下である。
【0051】
また、長尺シート21(紙シート)には、エンボス加工が施されていてもよい。このようなエンボス加工は、公知のエンボス付与方法により実施することができる。
【0052】
また、中空コア22は、周方向(R方向)に長尺シート21が巻き付けられる円筒状の巻芯である(図2参照)。また、中空コア22には、巻芯が存在しない構造(コアレス構造)も含まれる。中空コア22の材質は、特に限定されず、紙、樹脂等を用いることができる。
【0053】
中空コア22の形態は、特に限定されず、例えば、中空コア22が紙管の場合は、一層の厚紙で構成したもの、複数層の厚紙で構成したもののいずれでもよく、厚紙への印刷や消臭剤の塗工を事前に行った塗工厚紙原紙でも良い。また、紙管の巻き方は、特に限定されず、例えば、平巻きのもの、螺旋状に巻かれたもの(いわゆるスパイラル紙管)等のいずれでもよい。
【0054】
中空コアの寸法は、特に限定されない。例えば、中空コア22の長手方向(Y方向)の長さは、ロール20の幅方向(Y方向)のロール幅と同程度(85mm以上500mm以下)である。また、中空コア22の径方向(X方向またはZ方向)の径寸法は、33mm以上50mm以下であり、好ましくは35mm以上45mm以下である(図2参照)。
【0055】
<包装袋>
図9は、包装袋10をロールと接する面から見た展開図である。図10は、図9のA-A断面図であり、図11は、図9のB-B断面図である。
【0056】
包装袋10は、紙成分を含む基材10Aと、基材10Aの一方の面にヒートシール剤が塗工されたヒートシール層30、40、50を有している(図9図11)。ここで、基材10Aは、本実施形態に係るロール状衛生薄葉紙用包装体を構成する紙基材の一例である。
【0057】
ヒートシール層30は、包装袋10の妻面15のシール部30(サイドシール)に対応する。ヒートシール層40は、包装袋10の妻面16のシール部40(サイドシール)に対応する(図11)。ヒートシール層50は、包装袋10の底面12のシール部30(ボトムシール)に対応する(図12)。
【0058】
また、包装袋10は、包装袋10における紙成分の比率が45%以上であり、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上である。
【0059】
ここで、紙成分は、例えば、植物繊維を膠着させたもの(パルプ)である。紙成分におけるパルプ組成は、限定されず、例えば、広葉樹パルプと針葉樹パルプの比が0:100~70:30であり、好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、パルプには、古紙パルプを用いても良い。
【0060】
包装袋10の基材10Aに用いる紙の品種は、特に限定されないが、例えば、包装用紙を適用することができる。包装用紙はさらに、未晒し包装紙、または晒し包装紙に分類される。
【0061】
未晒し包装紙としては、例えば、重袋用両更クラフト紙、一般両更クラフト紙、特殊両更クラフト紙、筋入りクラフト紙、片艶クラフト紙などが挙げられる。
【0062】
晒し包装紙としては、例えば、純白ロール紙、両更晒しクラフト紙、片艶晒しクラフト紙、薄口模造紙などが挙げられる。
【0063】
包装袋10の基材10Aに用いられる紙としては、これらの中でも、片艶紙が好ましく、片艶クラフト紙がより好ましい。ここで、片艶紙は、抄紙後ヤンキードライヤーで加熱乾燥することにより得られ、一方の面が高光沢化された艶面となる紙を示す。
【0064】
包装袋10の基材10Aに用いる紙の坪量は、限定されないが、好ましくは30g/m以上100g/m以下である。坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。なお、包装袋10の基材10Aに用いる紙の坪量は、包装袋10に収容されるロール20の個数によって変更することが好ましい。
【0065】
例えば、包装袋10に収容されるロール20が4個(4ロール)の場合、包装袋10の基材10Aに用いる紙の坪量は30g/m以上60g/m以下であることが好ましい。また、包装袋10に収容されるロール20が12個(12ロール)の場合、包装袋10の基材10Aに用いる紙の坪量は50g/m以上100g/m以下であることが好ましい。
【0066】
包装袋10を構成する基材10Aの厚みは、限定されないが、例えば、好ましくは20μm以上100μm以下であり、より好ましくは25μm以上90μm以下、さらに好ましくは40μm以上75μm以下である。なお、厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
【0067】
<ヒートシール剤の塗工領域>
包装体100は、図9に示すように、基材10Aの複数個のロール20と接触する面(接触面)に、領域18を除いて、基材10Aの全面にヒートシール剤が塗工されている。なお、図9において、符号11~16は、包装袋にロール状衛生薄葉紙が収容された包装体を示す図1の符号と対応する符号であり、図1に示す包装袋10を展開した場合の対応位置を示している。
【0068】
ヒートシール剤は、公知の材料を用いることができ、例えば、ポリオレフィン系の溶融物を用いることができる。ヒートシール剤の塗工方法は、公知の印刷技術を用いることができ、例えば、グラビア塗工方法を用いることができる。
【0069】
図9に示す例では、領域18は、ロール20を包装袋10で包装した際に、各ロール20の周面21Aが基材10Aと接触する領域(周面接触領域18A)、ロール20の上面21B側の角部(上面角部)23Bが基材10Aと接触する領域(上面角部接触領域18B)、ロール20の下面21C側の角部(下面角部)23Cが基材10Aと接触する領域(下面角部接触領域18C)、及び、接触はしないが、上面角部23B及び下面角部23Cと対向する領域を含む。
【0070】
なお、図9において、C線は、包装体100の長さ方向(X方向)において包装体100の仮想中心線(ロール20が隣接してロール20の周面21Aが基材10Aに接触しない部分)を示す。D線は、シール部30との間で上面角部接触領域18Bを画定する仮想線を示す。E線は、シール部40との間で下面角部接触領域18Cを画定する仮想線を示す。
【0071】
領域18の幅は、領域18がロール20の周面21A、上面角部23Bおよび下面角部23Cの稜線に当たるように、200~250mmであり、好ましくは220~240mmがより好ましい。領域18の長さは、包装するロールの数によるが、基材10Aと接触する、ロール20の角部23B、23Cを含め、包装されるロール20の全周に渡るように形成するのが好ましい。
【0072】
本実施形態に係る包装体100では、上述のように、基材10Aの周面接触領域18Aにヒートシール剤が塗工されていないため、各ロール20の周面21Aが基材10Aのヒートシール層30、40、50に接触することはない。そのため、ヒートシール層30、40、50が接触面(基材10Aの複数個のロール20と接触する面)に形成された基材10Aを用いて複数個のロール20を包装しても、各ロール20の品質や外観が損なわれにくい。
【0073】
また、ロール20の上面21B及び下面21Cは、ヒートシール層30、40、50と接触しても品質や外観を損ねるおそれが相対的に少ない。そのため、包装体100では、上述のように、ヒートシール層30、40、50が設けられた基材10Aで複数個のロール20を包装しても、各ロール20の品質や外観を損ねずに、包装体としてのシール性を確保することができる。
【0074】
さらに、包装体100では、ヒートシール剤が塗工されていない基材10Aの周面接触領域18Aは印刷しやすい領域となる。そのため、ヒートシール層30、40、50が設けられた基材10Aで複数個のロール20を包装する場合でも、包装体100の外面の目立つ位置に印刷を施すことができる。
【0075】
また、このように、基材10Aの大部分を占める周面接触領域18Aにヒートシール剤が塗工されていないことで、ヒートシール剤の塗工面積を少なくすることになるので、塗工するヒートシール剤の量を減らすことができる。
【0076】
また、本実施形態に係る包装体100では、上述のように、基材10Aの周面接触領域18Aに加え、基材10Aの上面角部接触領域18Bおよび下面角部接触領域18Cにもヒートシール剤が塗工されていない。これにより、各ロール20の両角部23B、23Cがヒートシール層30、40、50に接触することはない。そのため、ヒートシール層30、40、50が接触面に形成された基材10Aを用いて複数個のロール20を包装しても、各ロール20の品質や外観がさらに損なわれにくい。
【0077】
また、このように、包装するロール20の角部23B、23Cと接触する箇所にヒートシール剤を塗工しないこと、塗工しない領域18は幅の狭い直線状とすることができる。そのために、塗工する領域の外形は複雑になることをふせぐことができる。
【0078】
本実施形態に係る包装体100では、上述のように、ヒートシール層30、40、50に接触すると各ロール20の品質や外観が特に損なわれやすい基材10Aの接触面にヒートシール剤は塗工されていない。そのため、包装体100では、複数個のロール20をキャラメル方式で包装する場合でも、各ロール20の品質や外観を損ねずに、包装体としてのシール性を確保しながら、包装体の外面の目立つ位置に印刷を施すことができる。
【0079】
また、上述のように、各ロール20の角部23B、23Cをヒートシール層30、40、50に接触させない構成とすることで、複数個のロール20をキャラメル方式で包装する場合に、各ロール20の角部23B、23Cが基材10Aから強い圧力を受けても、各ロール20の品質や外観が損なわれにくい。
【0080】
本実施形態に係る包装体100では、上述のように、ヒートシール層30、40、50に接触すると各ロール20の品質や外観が特に損なわれやすい基材10Aの接触面にヒートシール剤は塗工されていないため、ロール20の形態に拘わらず、各ロール20がヒートシール剤の影響を受けにくい。
【0081】
したがって、包装体100では、ヒートシール層30、40、50が接触面に形成された基材10Aを用いて包装される各ロール20が、キッチンペーパー、ペーパータオル、トイレットペーパーまたはティッシュペーパーのいずれかであっても、各ロール20の品質や外観を損ねずに、包装体としてのシール性を確保しながら、包装体の外面の目立つ位置に印刷を施すことができる。
【0082】
なお、包装体100は、少なくとも上下に2段以上積み重なる複数個のロール20を包装するための基材10Aを含む包装体であってもよい。この場合、周面接触領域18A、最上段ロール20の上面角部23Bが基材10Aと接触する領域(上面角部接触領域18B)、及び最下段ロール20の下面角部23Cが基材10Aと接触する領域(下面角部接触領域18C)を除いて、基材10Aの全面にヒートシール剤が塗工されている。
【0083】
これにより、最上段ロール20の上面角部23Bおよび最下段ロール20の下面角部23Cがヒートシール層30、40、50に接触することはない。そのため、ヒートシール層30、40、50が接触面に形成された基材10Aを用いて複数個のロール20が少なくともロールの中心軸に沿って2段以上積み重なって包装される場合でも、各ロール20の品質や外観が損なわれにくい。
【0084】
なお、ヒートシール剤を塗工する範囲として、例えば図1に示す包装体100において、複数個のロール20を包装した状態で、包装袋10とロール20の周面21A、上面21B及び下面21Cとが接触する領域の全てが包含される矩形状の領域を、ヒートシール剤を塗工しない領域とすることができる。
【0085】
このような矩形領域を、ヒートシール剤を塗工しない領域とすることにより、ヒートシール層30、40、50が包装するロール20の、角部23B、23Cを含む全ての面とヒートシール層30、40、50とが接触することはない。したがって、ロール20の包装工程だけでなく、ロール20の流通販売を通じて、ロール20が基材10Aのヒートシール層30、40、50と接触することはないので、ヒートシール剤によりロール20の品質や外観がさらに損なわれにくいものとなる。
【0086】
特に、ロール20の材質及びヒートシール剤の性質により、ロール20にヒートシール剤が付着しやすい場合は、ヒートシール剤を塗工する範囲として、複数個のロール20を包装した状態において、基材10Aの周面接触領域18A、上面角部接触領域18Bおよび下面角部接触領域18Cの全てが包含される矩形状の領域を、ヒートシール剤を塗工しない領域としてもよい。これにより、ヒートシール剤がロール20に付着するのを回避することができる。また、ヒートシール剤の使用量をさらに減らすことができる。
【0087】
なお、包装袋10を構成する基材10Aにおいては、基材10Aの他の面は紙基材のままである(図9図11)。なお、他の面に、樹脂層を形成して、包装体の外面を保護するコーティング層として機能させるこができる。また樹脂層には包装体100の外面にデザインを印刷したり、文字を印刷することが可能な領域とすることができる。
【0088】
樹脂層の材質は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂であり、好ましくは低密度ポリエチレンである。なお、低密度ポリエチレンとしては高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)のいずれでもよい。
【0089】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
100 包装体
10 包装袋
10A 基材(紙基材)
11 天面
12 底面
13、14 側面
15、16 妻面
18 領域(ヒートシール剤が塗工されない領域)
18A 周面接触領域
18B 上面角部接触領域
18C 下面角部接触領域
20 ロール(ロール状衛生薄葉紙)
21 長尺シート
21A 周面
21B 上面
21C 下面
23B 角部(上面角部)
23C 角部(下面角部)
30、40、50 シール部(ヒートシール層)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11