(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176295
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】角型基板の判定方法及びマッピング機構
(51)【国際特許分類】
H01L 21/68 20060101AFI20231206BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H01L21/68 F
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088506
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】石原 裕揮
(72)【発明者】
【氏名】小川 建
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳志
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA12
5F131CA69
5F131CA70
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB76
5F131DB82
5F131GA14
5F131GA33
5F131HA02
5F131KA16
5F131KA52
5F131KA60
5F131KA63
5F131KA72
5F131KB12
5F131KB42
5F131KB52
(57)【要約】
【課題】容器内の角型基板の収容状態を正確に判定することが可能となる技術を提供する。
【解決手段】角型基板Bの判定方法は、FOUP7内のスロットSLに収容された角型基板Bの側面に対向する方向から垂直方向の位置を変動させながら、角型基板Bの側面に対して楕円形状のスポット光を照射し、角型基板Bの側面からの反射光を受光した時間に応じて角型基板Bの収容状態を判定する。角型基板Bの判定方法によれば、1つのスポット光を照射するだけで角型基板Bの積載異常を判定することができる。このため、複数のマッピングセンサを設けることなく、角型基板の積載異常を判定することができるので、ロードポート3のコスト低減に貢献することが可能となる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内のスロットに収容された角型基板の側面に対向する方向から垂直方向の位置を変動させながら、前記角型基板の側面に対して、互いに直行する2軸方向の長さが異なる形状の検出光を照射し、前記角型基板の側面からの反射光を受光した時間に応じて前記角型基板の収容状態を判定する、
角型基板の判定方法。
【請求項2】
前記反射光の反射率も加味して前記角型基板の収容状態を判定し、
前記反射光の反射率が所定の反射率の閾値以下である場合、前記角型基板は前記スロットに段違いに収納されていると判定する、
請求項1に記載の角型基板の判定方法。
【請求項3】
前記検出光の長軸の長さは、前記角型基板の前記側面の長手方向の長さの1/10以上である、
請求項1に記載の角型基板の判定方法。
【請求項4】
前記反射光の反射率が前記所定の反射率の閾値を超え、かつ前記反射光を受光した時間が所定の時間の閾値を超えた場合、前記角型基板は複数枚重なった状態で収容されていると判定する、
請求項2に記載の角型基板の判定方法。
【請求項5】
複数の基板を多段に収容する容器に収容された角型基板の側面に対向する方向から垂直方向の位置を変動させながら、前記角型基板の側面に対して、互いに直行する2軸方向の長さが異なる形状の検出光を照射するマッピングセンサと、
前記角型基板の側面からの反射光を前記マッピングセンサが受光した時間に応じて前記角型基板の収容状態を判定するコントローラと、
を備えたマッピング機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、容器内に収容された角型基板を判定する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロードポートに搬送される容器に収容された半導体ウエハを認識するマッピング機能を備えたロードポートが記載されている。具体的には、このロードポートは、投光部と受光部を左右に備え、検出波の照射軸である光軸を左右の水平方向へ向けた透過型光センサからなるマッピングセンサを有し、マッピングセンサを上方から下方へ移動させて、FOUP(Front-Opening Unified Pod)やオープンカセット等の容器の棚に収容された半導体ウエハの収容状態、例えば、半導体ウエハの厚みや異常積載を認識するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、半導体ウエハより大型の角型基板でパッケージを一括して製造するPLP(Panel Level Packaging)が注目されている。そして、PLPでも、容器に収容された大型の角型基板の収容状態を認識する必要がある。この角型基板の収容状態の認識に、特許文献1に記載のロードポートが有する透過型のマッピングセンサを用いることが考えられるが、透過型のマッピングセンサを用いて角型基板の収容状態を認識する場合、投光部と受光部との間に角型基板の一部が位置するようにマッピングセンサを角型基板に近付ける必要がある。しかし、大型の角型基板では、その基板の外縁と容器の周壁と間の空間にマッピングセンサを挿入するだけの余裕がないので(後述する
図3参照)、透過型のマッピングセンサを用いて角型基板の収容状態を認識することは困難である。
【0005】
これに対して、透過型のマッピングセンサに代えて、反射型のマッピングセンサを用いることも考えられるが、従来の反射型のマッピングセンサは、照射光のスポットが円形状であるため、例えば、角型基板が容器の棚に段違いに収容されていたとしても、同じ段の棚に正常に収容されていると誤認する虞がある。
【0006】
本願は、容器内の角型基板の収容状態を正確に判定することが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願の角型基板の判定方法は、容器内のスロットに収容された角型基板の側面に対向する方向から垂直方向の位置を変動させながら、角型基板の側面に対して、互いに直行する2軸方向の長さが異なる形状の検出光を照射し、角型基板の側面からの反射光を受光した時間に応じて角型基板の収容状態を判定することを特徴とする。
【0008】
これにより、1つの検出光を照射するだけで角型基板の収容状態を判定することができる。このため、複数のマッピングセンサを設けることなく、角型基板の収容状態を判定することができるので、コスト低減に貢献することが可能となる。
【0009】
また、反射光の反射率も加味して角型基板の収容状態を判定するようにしてもよい。
【0010】
これにより、角型基板の収容状態の種類をさらに拡大して判定することが可能となる。
【0011】
また、検出光の長軸の長さは、角型基板の側面の長手方向の長さの1/10以上であるようにしてもよい。
【0012】
これにより、角型基板の収容状態の判定精度を向上させることが可能となる。
【0013】
また、反射光の反射率が所定の反射率の閾値以下である場合、角型基板はスロットに段違いに収納されていると判定するようにしてもよい。
【0014】
これにより、角型基板の収容状態の種類をさらに拡大しつつ、その判定精度を向上させることが可能となる。
【0015】
また、反射光の反射率が所定の反射率の閾値を超え、かつ反射光を受光した時間が所定の時間の閾値を超えた場合、角型基板は複数枚重なった状態で収容されていると判定するようにしてもよい。
【0016】
これにより、角型基板の収容状態の種類をさらに拡大しつつ、その判定精度を向上させることが可能となる。
【0017】
上記目的を達成するため、本願のマッピング機構は、複数の基板を多段に収容する容器に収容された角型基板の側面に対向する方向から垂直方向の位置を変動させながら、角型基板の側面に対して、互いに直行する2軸方向の長さが異なる形状の検出光を照射するマッピングセンサと、角型基板の側面からの反射光をマッピングセンサが受光した時間に応じて角型基板の収容状態を判定するコントローラと、を備えたことを特徴とする。
【0018】
これにより、1つの検出光を照射するだけで角型基板の収容状態を判定することができる。このため、複数のマッピングセンサを設けることなく、角型基板の収容状態を判定することができるので、マッピング機構の製造コスト低減に貢献することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本願の一実施形態に係るロードポートの側断面図である。
【
図2】
図1の状態よりFOUPの蓋部とともに扉部を下方に移動させた状態を示す側断面図である。
【
図3】
図1中のマッピングセンサと判定対象の角型基板との位置関係の一例を示す図である。
【
図4】
図1のロードポートの制御構成を示すブロック図である。
【
図5】
図4のコントローラ、特にCPUが実行する基板の収容状態判定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図5の基板の収容状態判定処理を実行している様子を示す模式図である。
【
図7】マッピングセンサをロボットアームに取り付けた一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本願の一実施形態に係るロードポート3(「マッピング機構」の一例)の側断面を示している。ロードポート3は、基板(本実施形態では、角型基板)に対して各種処理を行う半導体製造装置(図示せず)に組み付けられて使用され、複数の基板を収容するFOUP7と半導体製造装置との間のインターフェース部分の役割を果たしている。なお、各図において、方向に言及するときには、各図に示される矢印の方向を用いるものとする。
【0022】
ロードポート3は、キャスタ及び設置脚の取り付けられる脚部35の後方よりパネル31を略垂直に起立させ、このパネル31の約60%程度の高さ位置より前方に向けて水平基部33が設けられている。そして、この水平基部33の上部には、FOUP7を載置するための載置台34が設けられている。
【0023】
FOUP7は、基板を収容するための内部空間Sfを備えた本体71と、基板の搬出入口として本体71の一面に設けられた開口71aを閉止可能な蓋部72とから構成されており、載置台34に正しく載置された場合には蓋部72がパネル31と対向するようになっている。なお、載置台34は、FOUP7を載置した状態で、前後方向に移動することが可能となっている。
【0024】
ロードポート3は開口42を開閉するための開閉機構6を備えている。開閉機構6は、開口42を開閉するための扉部61と、これを支持するための支持フレーム63と、この支持フレーム63をスライド支持手段64を介して前後方向に移動可能に支持する可動ブロック65と、この可動ブロック65をパネル本体31bに対して上下方向に移動可能に支持するスライドレール66を備えている。支持フレーム63は、扉部61の後部下方を支持するものであり、下方に向かって延在した後に、パネル本体31bに設けられたスリット状の挿通孔31dを通過してパネル本体31bの前方に向かって張り出した略クランク状の形状をしている。そして、この支持フレーム63を支持するためのスライド支持手段64、可動ブロック65及びスライドレール66はパネル本体31bの前方に設けられている。
【0025】
さらに、扉部61の前後方向への移動及び上下方向への移動を行わせるためのアクチュエータ5(
図4参照)が、各方向毎に設けられており、これらにコントローラ11からの駆動指令を与えることで、扉部61を前後方向及び上下方向に移動させることができるようになっている。
【0026】
扉部61は、FOUP7の蓋部72を開閉するためのラッチ操作や、蓋部72の保持を行うための連結手段(図示せず)を備えている。この連結手段では、蓋部72をラッチすることで蓋部72を開放可能な状態とするとともに、蓋部72を扉部61に連結して一体化した状態とすることができる。また、これとは逆に、蓋部72と扉部61との連結を解除するとともに、蓋部72を本体71に取付けて閉止状態とすることもできる。
【0027】
さらに、連結手段を動作させることで、蓋部72と扉部61との連結を保ったまま、蓋部72を本体71より取り外し可能とするとともに、扉部61により蓋部72を一体的に保持させた状態とする。この状態より、支持フレーム63とともに扉部61を後方に向かって移動させる。こうすることで、FOUP7の蓋部72を本体71より離間させて内部空間Sfを開放することができる。
【0028】
そして、
図2に示すように、支持フレーム63とともに扉部61を下方に移動させる。こうすることで、FOUP7の搬出入口としての開口71aの後方を大きく開放することができ、FOUP7と上記半導体製造装置との間で基板の移動を行うことが可能となる。以上、FOUP7の開口71aを開放する際の動作を説明したが、FOUP7の開口71aを閉止する際には、以上の動作と逆の動作を行わせればよい。
【0029】
扉部61の上端縁部には、
図3に示すように、マッピングセンサ20が、扉部61と一体的に固定されている。具体的には、マッピングセンサ20は、扉部61の上端縁部の中央部に、例えば公知の締結手段(図示せず)等によって固定されている。したがって、
図1に示すように、マッピングセンサ20は、扉部61が開口42を閉止状態としているとき、つまりFOUP7の開口71aが閉止状態となっているとき、FOUP7に収容されている複数の基板のうち、最上位に収容されている基板よりも上方に配置されている。
【0030】
マッピングセンサ20は、本実施形態では、CMOSレーザセンサからなり、楕円形状のスポットレーザ光SP(
図6参照)を対象物(本実施形態では、
図3あるいは
図6に示す基板B)に照射し、その反射光を受光して、受光した反射光の光量に応じた電気信号を出力する。マッピングセンサ20は、扉部61が後方に向けて水平移動し、その後に下方に向けて移動するときに、コントローラ11により作動される。
【0031】
図4は、ロードポート3の制御構成を示している。ロードポート3は、制御装置10を備え、制御装置10は、コントローラ11と、モータドライバ12とを備えている。コントローラ11は、モータドライバ12と接続され、モータドライバ12は、アクチュエータ5を構成する電磁モータ51と接続されている。また、コントローラ11は、マッピングセンサ20と接続されている。
【0032】
コントローラ11は、CPU11Aとメモリ11Bを有する。メモリ11Bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリなどを含み、制御や処理に係わる情報を保存等する。また、メモリ11Bは、後述する基板の収容状態判定処理(
図5参照)を含む各種制御処理を実行する制御プログラムなどを記憶している。CPU11Aは、メモリ11Bに記憶された各種制御プログラムを実行することにより、ロードポート3の各種制御を行う。
【0033】
コントローラ11は、ロードポート3の各種制御を行う過程で、モータドライバ12を介して電磁モータ51を制御する。電磁モータ51は、本実施形態では、アクチュエータ5が扉部61を上下方向へ移動させる際の動力源として使用される。電磁モータ51として、例えば、ステッピングモータを採用した場合、コントローラ11は、モータドライバ12に対してパルス信号を供給する。モータドライバ12は、入力されたパルス信号のパルス数に応じた回転角度となるようにステッピングモータの回転軸を制御する。したがって、コントローラ11は、モータドライバ12に供給したパルス信号のパルス数を積算すれば(マイナス値の積算も含む)、扉部61の上下方向の現在位置を間接的に知ることができる。これにより、コントローラ11は、マッピングセンサ20の現在位置も知ることができるので、マッピングセンサ20によるマッピングを、扉部61が開口42を全閉状態から全開状態にするまでの任意の位置で行うことが可能となる。
【0034】
マッピングセンサ20からの出力信号(本実施形態では、デジタルデータとするので、以下「出力データ」という)は、マッピングセンサ20からコントローラ11へ送信される。コントローラ11は、マッピングセンサ20から受信した出力データをメモリ11Bに一時的に保存する。そして、コントローラ11は、メモリ11Bに保存された出力データに基づいて、各スロットSLに収容された各基板Bの収容状態を判定する。
【0035】
以上のように構成されたロードポート3が実行する制御処理を、
図5及び
図6に基づいて詳細に説明する。
図5は、コントローラ11、特にCPU11Aが実行する基板の収容状態判定処理の手順を示している。基板の収容状態判定処理は、FOUP7から基板の搬送が始まる前などの所定のタイミング、例えば、FOUP7の蓋部72を開けるためにロードポート3の扉部61が昇降するタイミングで開始される。なお、基板の収容状態判定処理が開始されるときには、CPU11Aは、マッピングセンサ20の作動を開始させている。以降、各処理の手順の説明において、ステップを「S」と表記する。
【0036】
図5において、まずCPU11Aは、FOUP7内に収容されている基板を上段から順に1段ずつ数えていくためのカウンタmを初期値“1”に設定する(S10)。
【0037】
次にCPU11Aは、マッピングセンサ20からの出力データに基づいて反射光の反射率を算出し、算出した反射率が所定の閾値R1を超えているか否かを判断する(S12)。ここで、反射率は、本実施形態では、マッピングセンサ20からの出力データに基づいてCPU11Aが算出しているが、これに限らず、マッピングセンサ20が出力データとして反射率を出力するとしてもよい。閾値R1は、
図6に示す“R1”であるが、この閾値R1は、出力データに含まれるノイズ分を除去して、マッピングセンサ20が基板Bから適正な反射光を受光したことを判定するための基準値である。
【0038】
上記S12の判断において、反射率>閾値R1の場合(S12:YES)、CPU11Aは、タイマによる計時を開始する(S14)。タイマは、コントローラ11にタイマ機能が備わっていればそれを用いればよいし、タイマ機能が備わっていなければ、メモリ11B上にソフトウェアタイマを構築して、それを用いるようにしてもよい。
【0039】
次にCPU11Aは、反射率が最高値を超えているか否かを判断する(S16)。ここで、最高値は、現在の反射率の最高値として、メモリ11Bに保存された値である。S16の判断において、反射率>最高値の場合(S16:YES)、CPU11Aは、最高値を反射率で更新した(S18)後、処理をS20に進める。一方、反射率≦最高値の場合(S18:NO)、CPU11Aは、S18をスキップして、処理をS20に進める。
【0040】
S20では、反射率が閾値R1を下回ったか否かを判断する。この判断において、反射率≧閾値R1の場合(S20:NO)、CPU11Aは、処理を上記S16に戻す。そして、CPU11Aは、反射率<閾値R1になるまで、S16~S20の処理を繰り返す。したがって、一旦反射率が閾値R1を超えると、反射率が閾値R1を下回るまでの反射率の最高値がメモリ11Bに保存される。
【0041】
図6は、マッピングセンサ20が基板Bを、基板Bの範囲外から基板Bを経由して基板Bの範囲外へ上から下に移動しながらマッピングして行ったときに、マッピングセンサ20から出力された出力データに基づいて算出された反射率の推移を示している。
図6中、縦軸は時間を示し、横軸は反射率を示している。マッピングセンサ20の移動に従ってマッピングセンサ20から
図6(a)に示す反射率の推移が得られるとすると、反射率の最高値として、反射率のピーク値が検出される。
【0042】
図5に戻り、上記S20の判断において、反射率<閾値R1の場合(S20:YES)、CPU11Aは、タイマによる計時を停止させる(S22)。例えば、
図6(a)~
図6(d)にそれぞれ示す反射率の推移が得られたとすると、タイマの計時時間はそれぞれ、時間t1~t4となる。
【0043】
次にCPU11Aは、m段目のスロットSLに収容されている基板Bの収容状態を、タイマの計時時間と反射率の最高値とに基づいて判定した(S24)後、カウンタmのカウント値を“1”だけ進める(S26)。
【0044】
S24の判定では、まずCPU11Aは、反射率の最高値が所定の閾値R2を超えているか否かを判断する。この閾値R2は、1枚の基板BがスロットSLに正しく収納されている状態(
図6(a)に示す状態)であることあるいは2枚の基板B1,B2が重なってスロットSLに収納されている状態(
図6(d)に示す状態)、つまりダブルの状態であることと、1枚の基板BがあるスロットSLとその1段上あるいは1段下のスロットSLとに段違いで収納されている状態(
図6(b)に示す状態)であることあるいは1枚の基板BがあるスロットSLとその2段上あるいは2段下のスロットSLとに段違いで収納されている状態(
図6(c)に示す状態)であることとを判断するための基準値である。つまり、反射率の最高値>閾値R2である場合、CPU11Aは、基板の収容状態が
図6(a)に示す状態であるか、あるいは
図6(d)に示す状態であると判断する。そして、CPU11Aは、基板の収容状態が
図6(a)と
図6(d)のいずれの状態であるかを、タイマの計時時間の大小で判断する。具体的には、所定の時間の閾値T1(t1≦T1<t4)を設定しておき、タイマの計時時間>閾値T1である場合、CPU11Aは、基板の収容状態がダブルの状態であると判定する。一方、タイマの計時時間≦閾値T1である場合、CPU11Aは、基板が正しく収納されていると判定する。
【0045】
一方、反射率の最高値≦閾値R2である場合、CPU11Aは、基板の収容状態が
図6(b)に示す状態であるか、あるいは
図6(c)に示す状態であると判断する。そして、CPU11Aは、基板の収容状態が
図6(b)と
図6(c)のいずれの状態であるかを、タイマの計時時間の大小で判断する。具体的には、所定の時間の閾値T2(t2≦T2<t3)を設定しておき、タイマの計時時間>閾値T2である場合、CPU11Aは、基板の収容状態が
図6(c)に示す状態であると判定する。一方、タイマの計時時間≦閾値T2である場合、CPU11Aは、基板の収容状態が
図6(b)に示す状態であると判定する。なお、本実施形態では、基板の収容状態が
図6(b)~
図6(d)のいずれかに示す状態であるとき、積載異常という。積載異常が判定された場合、CPU11Aは、積載異常の種類、つまり、
図6(b)~
図6(d)のいずれの状態であるかと、その基板が収容されているスロットSLの段数、つまりカウンタmの値とを対応付けて、例えばメモリ11Bに記憶しておく。
【0046】
図5に戻り、次にCPU11Aは、FOUP7内に収容されている全基板についての収容状態の判定が完了したか否かを判断する(S28)。FOUP7内に収容可能な基板の段数は既知であるため、カウンタmの値と段数とを比較することにより、S28の判断は容易である。この判断において、まだ判定すべき基板が残っている場合には(S28:NO)、CPU11Aは、処理を上記S12に戻して、S12以降の処理を繰り返す。
【0047】
一方、上記S12の判断において、反射率≦閾値R1の場合(S12:NO)、CPU11Aは、マッピングセンサ20が次の段のスロットSLに到達するまで(S30:NO)、S12の判断処理を繰り返し、その間に反射率>閾値R1になると(S12:YES)、CPU11Aは、処理を上記S14に進める。一方、反射率≦閾値R1の状態で(S12:NO)、マッピングセンサ20が次の段のスロットSLに到達すると(S30:YES)、CPU11Aは、m段目のスロットSLには基板が収容されていないと判定し(S32)、カウンタmのカウント値を“1”だけ進めた(S34)後、処理を上記S28に進める。
【0048】
一方、上記S28の判断において、全基板についての収容状態の判定が完了した場合には(S28:YES)、CPU11Aは、積載異常が判定されたか否か、つまり、積載異常と判定された基板が1つでも存在するか否かを判断する(S40)。上述のように、S24で積載異常と判定された基板は、その基板が収容されている段数と収容積載異常の種類とを対応付けてメモリ11Bに記憶されているので、CPU11Aは、メモリ11Bの記憶領域を読むことにより、積載異常が判定されたか否かを判断することができる。この判断において、積載異常が判定された場合(S40:YES)、CPU11Aは、積載異常と判定された基板がどのスロットSLに収容されているものであるかと収容積載異常の種類とを特定して報知した(S42)後、基板の収容状態判定処理を終了する。なお、報知する方法としては、例えば、ディスプレイに表示する方法や音声で知らせる方法などが考えられるが、どのようなものを採用してもよい。
【0049】
一方、S40の判断において、積載異常が判定されなかった場合(S40:NO)、CPU11Aは、基板の収容状態判定処理を終了する。
【0050】
このように基板の収容状態判定処理では、基板の収容状態が
図6(b)と
図6(c)のいずれの状態であるか、つまり基板の傾斜度合いの違いを判定することができる。この判定は、照射光のスポットSPが楕円形状であるマッピングセンサ20を用いているからできるのであり、従来のスポットが円形状の照射光を基板に照射したとしても、反射光に明確な差が生じないので、困難である。なお、照射光として基板に照射する楕円の長軸の長さは、照射対象の角型基板Bの側面の長手方向の長さの1/10以上であることが好ましい。これ以下であると、基板の傾斜度合いの違いを判定する精度が低下するからである。ただし、この場合、マッピングセンサを複数設けるようにすれば、個々の判定精度の低下を補うことができる。
【0051】
また、基板の傾斜度合いの違いを判定する手法を、基板の撓み度合いの判定に適用するようにしてもよい。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の角型基板Bの判定方法は、FOUP7内のスロットSLに収容された角型基板Bの側面に対向する方向から垂直方向の位置を変動させながら、角型基板Bの側面に対して楕円形状のスポット光SPを照射し、角型基板Bの側面からの反射光を受光した時間に応じて角型基板Bの収容状態を判定する。ちなみに、本実施形態において、FOUP7は、「容器」の一例である。楕円形状のスポット光は、「互いに直行する2軸方向の長さが異なる形状の検出光」の一例である。積載異常は、「収容状態」の一例である。
【0053】
本実施形態の角型基板Bの判定方法によれば、1つのスポット光SPを照射するだけで角型基板Bの積載異常を判定することができる。このため、複数のマッピングセンサを設けることなく、角型基板の積載異常を判定することができるので、ロードポート3のコスト低減に貢献することが可能となる。
【0054】
また、反射光の反射率も加味して角型基板Bの積載異常を判定するようにしてもよい。これにより、角型基板Bの積載異常の種類をさらに拡大して判定することが可能となる。
【0055】
また、スポット光SPの楕円の長軸の長さは、角型基板の側面の長手方向の長さの1/10以上であるようにしてもよい。これにより、角型基板Bの積載異常の判定精度を向上させることが可能となる。
【0056】
また、反射光の反射率が所定の反射率の閾値R1以下である場合、角型基板BはスロットSLに段違いに収納されていると判定するようにしてもよい。これにより、角型基板Bの積載異常の種類をさらに拡大しつつ、その判定精度を向上させることが可能となる。
【0057】
また、反射光の反射率が所定の反射率の閾値R1を超え、かつ反射光を受光した時間が所定の時間の閾値T1を超えた場合、角型基板は複数枚重なった状態で収容されていると判定するようにしてもよい。これにより、角型基板の収容状態の種類をさらに拡大しつつ、その判定精度を向上させることが可能となる。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0059】
(1)上記実施形態では、基板Bを収容する容器として、FOUP7を用いたが、例えば、FOSB(Front Opening Shipping Box)や密閉型ではないカセット等の他の容器であってもよい。
【0060】
(2)上記実施形態では、電磁モータ51として、ステッピングモータを例に挙げて説明したが、これに限らず、サーボモータを採用してもよい。この場合、エンコーダから取得した情報に基づいて、扉部61の上下方向の現在位置を間接的に知るようにすればよい。また、扉部61の上下方向の現在位置を直接的に検知する、例えばセンサ等が設けられている場合には、そのセンサからの出力に基づいて、マッピングセンサ20の現在位置を算出するようにしてもよい。
【0061】
(3)上記実施形態では、マッピングセンサ20を上から下へ移動させて基板Bをマッピングするようにしたが、マッピングの順序はこれに限らず、下から上に移動させてマッピングするようにしてもよいし、順序を操作者が任意に設定できるようにしてもよい。
【0062】
(4)上記実施形態では、マッピングセンサ20を扉部61と一体的に固定するようにしたが、これに限らず、マッピング専用の装置にマッピングセンサ20を取り付けるようにしてもよい。
【0063】
(5)上記実施形態では、マッピングセンサ20を扉部61に設置したが、これに限らず、例えば、
図7に示すように、基板Bを搬送するロボット100にマッピングセンサ20を取り付けるようにしてもよい。
【0064】
(6)上記実施形態では、マッピングセンサ20の光源は1点を想定しているが、これに限らず、複数の光源を用いて互いに直交する2軸方向の長さが異なる形状の検出光を構成してもよい。
【0065】
(7)上記実施形態では、マッピングセンサ20の光源の形状を楕円形状としたが、これに限らず、矩形で幅広の光源を用いてもよい。
【符号の説明】
【0066】
3…ロードポート、5…アクチュエータ、6…開閉機構、7…FOUP、10…制御装置、11…コントローラ、11A…CPU、11B…メモリ、12…モータドライバ、20…マッピングセンサ、51…電磁モータ、61…扉部、72…蓋部、B…基板、SL…スロット。