(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176296
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】樹脂フィルム及び積層フィルム
(51)【国際特許分類】
C08L 75/04 20060101AFI20231206BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20231206BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20231206BHJP
C08L 29/04 20060101ALI20231206BHJP
C08J 7/048 20200101ALI20231206BHJP
【FI】
C08L75/04
B32B27/40
B32B27/30 102
C08L29/04 D
C08J7/048
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088507
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 研太
(72)【発明者】
【氏名】西川 佳樹
【テーマコード(参考)】
4F006
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F006AA51
4F006AB20
4F006BA05
4F006CA07
4F100AA21
4F100AA21A
4F100AK01
4F100AK01A
4F100AK21
4F100AK21A
4F100AK51
4F100AK51A
4F100AL06
4F100AL06A
4F100AT00B
4F100BA01
4F100BA02
4F100BA07
4F100CA02
4F100CA02A
4F100EH46
4F100EH46A
4F100GB15
4F100JB09
4F100JB09A
4F100JD04
4J002BE02X
4J002CK02W
4J002CK03W
4J002CK04W
4J002GF00
(57)【要約】
【課題】低湿度環境下においても優れた水蒸気透過性を有し、且つ優れたガスバリア性を有する樹脂フィルム及び積層体フィルム提供すること。
【解決手段】樹脂フィルム2であって、前記樹脂フィルム2は、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールのいずれか一方又は両方と、水性ポリウレタンとを含み、前記樹脂フィルムにおいて、[前記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの合計含有量(質量部)]:[前記水性ポリウレタンの含有量(質量部)]が1:1~1:9.9であり、前記ポリビニルアルコールと、前記変性ポリビニルアルコールと、前記水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上が、架橋構造を有する、樹脂フィルム2、及び、前記樹脂フィルム2上に設けられた基材層3と、を備える、積層フィルム1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムであって、
前記樹脂フィルムは、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールのいずれか一方又は両方と、水性ポリウレタンとを含み、
前記樹脂フィルムにおいて、[前記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの合計含有量(質量部)]:[前記水性ポリウレタンの含有量(質量部)]が1:1~1:9.9であり、
前記ポリビニルアルコールと、前記変性ポリビニルアルコールと、前記水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上が、架橋構造を有する、樹脂フィルム。
【請求項2】
前記架橋構造にチタン化合物を含む、請求項1に記載の樹脂フィルム。
【請求項3】
JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、75%RHの条件における、前記樹脂フィルムの水蒸気透過量が、5000g/m2・day以上であり、
JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、45%RHの条件における、前記樹脂フィルムの水蒸気透過量が、1500g/m2・day以上である、請求項1又は2に記載の樹脂フィルム。
【請求項4】
JIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、前記樹脂フィルムの空気の透気抵抗度が、5000秒以上である、請求項1又は2に記載の樹脂フィルム。
【請求項5】
樹脂フィルムであって、
JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、75%RHの条件における、前記樹脂フィルムの水蒸気透過量が、5000g/m2・day以上であり、
JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、45%RHの条件における、前記樹脂フィルムの水蒸気透過量が、1500g/m2・day以上であり、
JIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、前記樹脂フィルムの空気の透気抵抗度が、5000秒以上である、樹脂フィルム。
【請求項6】
前記樹脂フィルムの厚さが、0.1μm以上5.0μm以下である、請求項1、2及び5のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
【請求項7】
請求項1、2及び5のいずれか一項に記載の樹脂フィルムと、前記樹脂フィルム上に設けられた基材層と、を備える、積層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂フィルム及び積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器、工業部材、電子部品等の金属製の内容物を包装する際、内容物に錆等が発生するのを防止するため、包装する前に、内容物を乾燥させる必要がある。内容物が完全に乾燥していない場合は、包装後に内容物を乾燥しなければならないが、そのためには、内容物を包装するフィルムに透湿性を担保させる必要がある。
【0003】
従来、透湿性の高い基材フィルムは知られている(例えば、特許文献1)が、従来の高透湿基材フィルムでは、ガスバリア性を担保できないため、内容物が酸化により劣化する恐れがある。また、内容物の劣化を防止するためには、二酸化炭素や窒素等の不活性ガスを封入する必要があるが、従来の高透湿性基材フィルムでは、不活性ガスも透過してしまうため、不活性ガスを封入できず、包装した内容物の劣化を防止することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、透湿性の高い基材層に積層することにより、基材層の透湿性の低下を抑制しつつ、基材層にガスバリア性を付与することができる樹脂フィルムを提供することを課題とする。
【0006】
また、ポリビニルアルコールを含む樹脂フィルムは、湿度が高い環境下においては、透湿性は高いが、湿度が低い環境下においては透湿性が下がってしまうという課題がある。そこで、本発明は、低湿度環境下においても、透湿性が高く、外部の湿度環境によらず、高い透湿性を有する樹脂フィルムを提供することを課題とする。
【0007】
さらに、本発明は、透湿性に優れ、且つ、ガスバリア性にも優れた積層フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
【0009】
[1]樹脂フィルムであって、前記樹脂フィルムは、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールのいずれか一方又は両方と、水性ポリウレタンとを含み、前記樹脂フィルムにおいて、[前記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの合計含有量(質量部)]:[前記水性ポリウレタンの含有量(質量部)]が1:1~1:9.9であり、前記ポリビニルアルコールと、前記変性ポリビニルアルコールと、前記水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上が、架橋構造を有する、樹脂フィルム。
[2]前記架橋構造にチタン化合物を含む、[1]に記載の樹脂フィルム。
[3]JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、75%RHの条件における、前記樹脂フィルムの水蒸気透過量が、5000g/m2・day以上であり、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、45%RHの条件における、前記樹脂フィルムの水蒸気透過量が、1500g/m2・day以上である、[1]又は[2]に記載の樹脂フィルム。
[4]JIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、前記樹脂フィルムの空気の透気抵抗度が、5000秒以上である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
[5]樹脂フィルムであって、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、75%RHの条件における、前記樹脂フィルムの水蒸気透過量が、5000g/m2・day以上であり、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、45%RHの条件における、前記樹脂フィルムの水蒸気透過量が、1500g/m2・day以上であり、JIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、前記樹脂フィルムの空気の透気抵抗度が、5000秒以上である、樹脂フィルム。
[6]前記樹脂フィルムの厚さが、0.1μm以上5.0μm以下である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
[7][1]~[6]のいずれか一項に記載の樹脂フィルムと、前記樹脂フィルム上に設けられた基材層と、を備える、積層フィルム。
【発明の効果】
【0010】
本発明の樹脂フィルムは、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールのいずれか一方又は両方と、水性ポリウレタンとを含み、前記樹脂フィルムにおいて、[前記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの合計含有量(質量部)]:[前記水性ポリウレタンの含有量(質量部)]が1:1~1:9.9であり、前記ポリビニルアルコールと、前記変性ポリビニルアルコールと、前記水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上が、架橋構造を有するため、基材層の透湿性の低下を抑制しつつ、基材層にガスバリア性を付与することができる。また、高湿度環境下においても、低湿度環境下においても、透湿性が高く、外部の湿度環境によらず、高い透湿性を有する。
また、本発明の樹脂フィルムは、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、75%RHの条件における、前記樹脂フィルムの水蒸気透過量が、5000g/m2・day以上であり、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、45%RHの条件における、前記樹脂フィルムの水蒸気透過量が、1500g/m2・day以上であり、JIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、前記樹脂フィルムの空気の透気抵抗度が、5000秒以上であるため、基材層の透湿性の低下を抑制しつつ、基材層にガスバリア性を付与することができる。また、高湿度環境下においても、低湿度環境下においても、透湿性が高く、外部の湿度環境によらず、高い透湿性を有する。
【0011】
また、本発明の積層フィルムは、前記樹脂フィルムと、前記樹脂フィルム上に設けられた基材層と、を備えるため、透湿性及びガスバリア性に優れ、また、高湿度環境下においても、低湿度環境下においても、透湿性が高く、外部の湿度環境によらず、高い透湿性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明を適用した一実施形態である樹脂フィルムを備えた積層フィルムの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した一実施形態である樹脂フィルム、及びこの樹脂フィルムを備えた積層フィルムについて、詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0014】
<<樹脂フィルム>>
◎第1実施形態
先ず、第1実施形態の樹脂フィルムの特性について説明する。
本発明に係る第1実施形態の樹脂フィルムは、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールのいずれか一方又は両方と、水性ポリウレタンとを含み、前記樹脂フィルムにおいて、[前記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの合計含有量(質量部)]:[前記水性ポリウレタンの含有量(質量部)]が1:1~1:9.9であり、前記ポリビニルアルコールと、前記変性ポリビニルアルコールと、前記水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上が、架橋構造を有する。
本実施形態の樹脂フィルムは、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールのいずれか一方又は両方と、水性ポリウレタンとを含み、前記樹脂フィルムにおいて、[前記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの合計含有量(質量部)]:[前記水性ポリウレタンの含有量(質量部)]が1:1~1:9.9であり、前記ポリビニルアルコールと、前記変性ポリビニルアルコールと、前記水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上が、架橋構造を有するため、基材層の透湿性の低下を抑制しつつ、基材層にガスバリア性を付与することができる。また、高湿度環境下においても、低湿度環境下においても、透湿性が高く、外部の湿度環境によらず、高い透湿性を有する。
【0015】
本実施形態の樹脂フィルムは、高透湿の基材層に積層することにより、高湿度環境下においても、低湿度環境下においても、基材層の透湿性の低下を抑制しつつ、基材層にガスバリア性を付与することができるため、内容物を完全に乾燥せずに包装しても、包装後に内容物を乾燥させることができる。また、本実施形態の樹脂フィルムは、基材層にガスバリア性を付与することができるため、包装後に不活性ガスを封入することにより、内容物の劣化を防止することができる。そのため、例えば、医療機器、工業部材、電子部品等の金属製の物品を乾燥させないまま包装し、包装後に不活性ガスを封入することにより、包装後に乾燥することができるため、短時間で包装ができ、且つ、錆の発生等による劣化を防止することができる。
本明細書において、「低湿度環境下」とは、例えば、相対湿度が45%以下の環境下を意味し、「高湿度環境下」とは、例えば、相対湿度が75%超の環境下を意味し、「中湿度環境下」とは、例えば、相対湿度が45%超75%以下の環境下を意味する。
【0016】
<ガスバリア性樹脂>
本実施形態の樹脂フィルムは、ガスバリア性樹脂を含む。
ガスバリア性樹脂は、ガスの透過を抑制する樹脂であり、基材層にガスバリア性を付与する。ガスの種類としては、後述する積層フィルムが包装する内容物に影響を及ぼさないものであれば特に制限はなく、例えば、二酸化炭素、窒素等が挙げられる。
【0017】
本実施形態の樹脂フィルムは、ガスバリア性樹脂として、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールのいずれか一方又は両方と、水性ポリウレタンとを含む。
【0018】
変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。また、酢酸ビニル系樹脂(例えば、株式会社クラレ製「エクセバール」)、ポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させて得られるポリビニルアセタール樹脂(例えば、積水化学工業株式会社製「エスレック」)、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール(例えば、株式会社クラレ製「R-1130」)、分子内にアセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂(例えば、日本合成化学工業株式会社製「ゴーセファイマー(登録商標)Z/WRシリーズ」)、分子内にポリビニルピロリドン基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂(例えば、第一工業製薬製「ピッツコール」)等も変性ポリビニルアルコールに含まれる。
【0019】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1-206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61-237681号公報及び同63-307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7-285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0020】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7-9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体(例えば、三菱ケミカル株式会社製「ゴーセネックス(登録商標)WO」)、特開平8-25795号公報に記載されているような疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシ基などの反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコール(例えば、カルボニル基を有する反応性基変性ポリビニルアルコールである、日本酢ビ・ポバール株式会社製「Dポリマー」)等が挙げられる。
【0021】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61-10483号公報に記載されているような、第1級~第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールが挙げられ、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0022】
ビニルアルコール系ポリマーとしては、エクセバール(前出)やニチゴーGポリマー(商品名:日本合成化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0023】
本明細書において水性ポリウレタンとは、粒径が5~1000nmのポリウレタンの微粒子であって、水分散型のポリウレタンである。ポリウレタンは通常水に不溶であるが、水性ポリウレタンは水に分散させることができる。ポリウレタンの微粒子の粒径は、レーザー回折法により、求められる。
ポリウレタンとしては、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエーテル系等が挙げられる。本明細書において、「ポリエステル系ポリウレタン」とは、「ポリエステルセグメントを有するポリウレタン」を意味する。「ポリカーボネート系ポリウレタン」とは、「ポリカーボネートセグメントを有するポリウレタン」を意味する。「ポリエーテル系ポリウレタン」とは、「ポリエーテルセグメントを有するポリウレタン」を意味する。
透湿性を高める効果がある点では、分子鎖に親水性の高いポリエーテルセグメントを有するポリエーテル系ポリウレタンが好ましい。具体的には、ポリオキシエチレングリコールや、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体などのポリエーテルセグメントを有し、また、ウレタン結合間の長さが長いものが好ましい。また、透湿性を向上させるためには、ポリウレタンのTgは25℃以下が好ましく、-20℃以下がより好ましく、-50℃以下が特に好ましい。
また、水性ポリウレタンとして、水性ポリウレタンを水又は水と有機溶媒との混合溶媒に分散させたワニスを用いてもよい。環境を阻害しないこと、及び基材への浸透や浸食を抑える効果がある点では水分散型を使用することが好ましい。水性ポリウレタンを分散させたワニスとしては、例えば、ハイドラン(商品名:DIC株式会社製)等が挙げられる。
【0024】
ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールの分子量とケン化度を調整することにより、前記樹脂フィルムの透湿性と、ガスバリア性を調整することができる。ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールのケン化度は、70~99モル%が好ましく、85~99モル%がより好ましく、97~99モル%がさらに好ましい。ケン化度が前記下限以上であれば、耐水性が上がり、水と接触しても溶解しづらくなるため、フィルムの強度を維持できる。また、ケン化度が前記上限以下であることで、水溶性を適度に保持し、塗工性の良い溶液を作製可能となる。
また、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールの4質量%の溶液粘度は、3mPa・s以上が好ましく、8.0mPa・s以上がより好ましく、20mPa・s以上がさらに好ましい。ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールの4質量%の溶液粘度が、前記の粘度を有することで、水蒸気透湿性が高く、また強度が上昇し、吸湿性も低くなる。
また、塗工性の観点から、4質量%の溶液粘度が1000mPa・s以下であることが好ましい。
【0025】
前記樹脂フィルムに含まれるポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合は、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0026】
また、前記樹脂フィルムに含まれる水性ポリウレタンは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合は、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0027】
前記樹脂フィルムにおいて、樹脂フィルムの総質量に対する、前記ガスバリア性樹脂の含有量の割合(([樹脂フィルムのポリビニルアルコールの含有量(質量部)]+[樹脂フィルムの変性ポリビニルアルコールの含有量(質量部)]+[樹脂フィルムの水性ポリウレタンの含有量(質量部)]+[樹脂フィルムの架橋剤の含有量(質量部)])/[樹脂フィルムの総質量(質量部)]×100)は、90質量%以上であることが好ましく、例えば、95質量%以上、97質量%以上及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記樹脂を用いたことによる効果が、より顕著に得られ、また、樹脂フィルムのガスバリア性がより高くなる。
前記割合の上限値は特に限定されず、前記割合は100質量%以下であればよい。
【0028】
前記樹脂フィルムにおいて、樹脂フィルムの総質量に対する、前記ガスバリア性樹脂の含有量の割合は、樹脂フィルムの用途に応じて、上述の数値範囲以外に、さらに異なる数値範囲に設定してもよい。
【0029】
前記樹脂フィルムにおいて、[前記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの合計含有量(質量部)]:[前記水性ポリウレタンの含有量(質量部)]は、1:1~1:9.9であり、1:1~1:9が好ましく、1:1~1:8、1:1~1:7、1:1~1:6、1:1~1:5、1:1~1:4、1:1~1:3、1:1~1:2、1:2~1:9.9、1:2~1:9、1:2~1:8、1:2~1:7、1:2~1:6、1:2~1:5、1:2~1:4、1:2~1:3、1:3~1:9.9、1:3~1:9、1:3~1:8、1:3~1:7、1:3~1:6、1:3~1:5、1:3~1:4、1:4~1:9.9、1:4~1:9、1:4~1:8、1:4~1:7、1:4~1:6、1:4~1:5、1:5~1:9.9、1:5~1:9、1:5~1:8、1:5~1:7、1:5~1:6、1:6~1:9.9、1:6~1:9、1:6~1:8、1:6~1:7、1:7~1:9.9、1:7~1:9、1:7~1:8、1:8~1:9.9、及び1:8~1:9のいずれかであってもよい。ただし、これらは前記比率の一例である。
【0030】
前記樹脂フィルムにおいて、[前記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの合計含有量(質量部)]:[前記水性ポリウレタンの含有量(質量部)]が上記範囲であることにより、高湿度環境下だけでなく、低湿度環境下においても、前記樹脂フィルムは高い透湿性を有する。また、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールのいずれか一方又は両方と、水性ポリウレタンとを含む樹脂組成物を基材層の表面に均一に塗布することができるため、樹脂フィルムを基材層上に均一に形成させることができる。樹脂フィルムの高湿度環境下における透湿性は、例えば、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、75%RHの条件における水蒸気透過量により評価することができる。また、樹脂フィルムの低湿度環境下における透湿性は、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、45%RHの条件における水蒸気透過量により評価することができる。
【0031】
前記樹脂フィルムにおいて、ポリビニルアルコールと、変性ポリビニルアルコールと、水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上は、架橋構造を有する。例えば、前記樹脂フィルムにおいて、ポリビニルアルコール同士、変性ポリビニルアルコール同士、水性ポリウレタン同士、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール及び水性ポリウレタン、又は変性ポリビニルアルコール及び水性ポリウレタンは、互いに架橋されている。
すなわち、ポリビニルアルコールと水性ポリウレタンを含み、変性ポリビニルアルコールを含まない前記樹脂フィルムは、ポリビニルアルコール同士の架橋物と、水性ポリウレタン同士の架橋物と、ポリビニルアルコール及び水性ポリウレタンの架橋物と、からなる群より選択される1種又は2種以上を含み、さらに、未架橋のポリビニルアルコールと未架橋の水性ポリウレタンのいずれか一方又は両方を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
変性ポリビニルアルコールと水性ポリウレタンを含み、ポリビニルアルコールを含まない前記樹脂フィルムは、変性ポリビニルアルコール同士の架橋物と、水性ポリウレタン同士の架橋物と、変性ポリビニルアルコール及び水性ポリウレタンの架橋物と、からなる群より選択される1種又は2種以上を含み、さらに、未架橋の変性ポリビニルアルコールと未架橋の水性ポリウレタンのいずれか一方又は両方を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
ポリビニルアルコールと、変性ポリビニルアルコールと、水性ポリウレタンとを含む前記樹脂フィルムは、ポリビニルアルコール同士の架橋物と、変性ポリビニルアルコール同士の架橋物と、水性ポリウレタン同士の架橋物と、ポリビニルアルコール及び水性ポリウレタンの架橋物と、変性ポリビニルアルコール及び水性ポリウレタンの架橋物と、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの架橋物と、からなる群より選択される1種又は2種以上を含み、さらに、未架橋のポリビニルアルコールと、未架橋の変性ポリビニルアルコールと、未架橋の水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0032】
前記架橋構造は、架橋構造を有しないポリビニルアルコールと、変性ポリビニルアルコールと、水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上に、架橋剤を作用させることにより、形成させることができる。ポリビニルアルコールと、変性ポリビニルアルコールと、水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上が、架橋構造を有することにより、樹脂フィルムの耐水性を向上させることができる。また、基材層の透湿性の低下を抑制しつつ、基材層にガスバリア性を付与することができる。
【0033】
(架橋剤)
架橋剤は、前記ポリビニルアルコールと、前記変性ポリビニルアルコールと、前記水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上と反応して、これらを架橋しているか、又は、前記ポリビニルアルコールと、前記変性ポリビニルアルコールと、前記水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上とは反応せずに、相互作用することによって、これらを架橋している。
【0034】
架橋剤としては、例えば、チタン化合物、金属キレート系化合物、ホウ素系化合物、イソシアネート系化合物、有機酸、酸変性系ポリマー、ヒドラジド化合物、アルキルアミン、アゾ系化合物等が挙げられる。チタン化合物としては、アルコキシドチタン化合物、アシレートチタン化合物等が挙げられる。ヒドラジド化合物としては、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド等が挙げられる。金属キレート系化合物としては、ジルコニウム化合物(例えば、第一稀元素化学工業社製「ジルコゾールAC-7」、「ジルコゾールZC-20」)等が挙げられる。有機酸としてリンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸等の多価カルボン酸等が挙げられる。なかでも、チタン化合物は、多官能性があり、また、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの水酸基と反応性が高く、さらに、室温でワニスが作成しやすく、前記ワニスを基材に塗工して乾燥する温度でポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールと十分反応するため好ましく用いられる。すなわち、前記樹脂フィルムは、前記架橋構造にチタン化合物を含んでいることが好ましい。ここで、架橋構造が含んでいるチタン化合物とは、架橋剤である前記チタン化合物自体であるか、又は架橋剤である前記チタン化合物に由来する化合物(構造)である。架橋剤であるチタン化合物の具体例としては、チタンラクテート(例えば、マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC310」)、チタントリエタノールアミネート(例えば、マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC400」)等が挙げられる。
【0035】
前記ポリビニルアルコールと、前記変性ポリビニルアルコールと、前記水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上と反応させる前記架橋剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合は、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0036】
前記樹脂フィルムにおいて、架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール及び水性ポリウレタンの合計配合量(質量部)に対して、5~70重量%であることが好ましい。例えば、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールと水性ポリウレタンとを用い、架橋剤として、チタン化合物を用いる場合の、架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールと、水性ポリウレタンと、の合計配合量に対して、10~70質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましく、50~70質量%がさらに好ましい。また、変性ポリビニルアルコールと水性ポリウレタンとを用い、架橋剤として、ヒドラジド化合物を用いる場合の、架橋剤の配合量は、変性ポリビニルアルコール及び水性ポリウレタンの合計配合量に対して、5~20質量%が好ましい。
【0037】
ポリビニルアルコールと、変性ポリビニルアルコールと、水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上に、架橋剤を作用させるときの温度(架橋温度)は、70~120℃であることが好ましく、90~110℃であることがより好ましい。
架橋剤を作用させるときの時間(架橋時間)は、0.1分~2時間であることが好ましく、0.2分~10分間であることがより好ましく、0.3分~3分間であることがさらに好ましい。
【0038】
ポリビニルアルコールと、変性ポリビニルアルコールと、水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上に、架橋剤を作用させるときには、溶媒を用いることが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、水、エタノール、2-プロパノール、酢酸エチル等が挙げられる。
前記溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合は、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
架橋後のガスバリア性樹脂は、溶媒を除去するため乾燥させることが好ましい。乾燥温度は、90~120℃が好ましく、乾燥時間は、0.2分~10分間であることが好ましく、1分~3分間が好ましい。
【0039】
前記樹脂フィルムのJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、75%RHの条件における水蒸気透過量は、5000g/m2・day以上であることが好ましく、5500g/m2・day以上であることがより好ましく、5600g/m2・day以上であることがさらに好ましく、5700g/m2・day以上であることが特に好ましく、5800g/m2・day以上、5900g/m2・day以上、6000g/m2・day以上、7000g/m2・day以上、8000g/m2・day以上、9000g/m2・day以上、10000g/m2・day以上、及び12000g/m2・day以上のいずれであってもよい。前記樹脂フィルムのJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、75%RHの条件における水蒸気透過量が、上記下限値以上であることにより、高湿度環境下においても、高い透湿性を有する。
【0040】
前記樹脂フィルムのJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、45%RHの条件における水蒸気透過量は、1500g/m2・day以上であることが好ましく、2000g/m2・day以上であることがより好ましく、2500g/m2・day以上であることがさらに好ましく、3000g/m2・day以上であることが特に好ましく、3500g/m2・day以上、4000g/m2・day以上、及び5000g/m2・day以上のいずれであってもよい。前記樹脂フィルムのJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、45%RHの条件における水蒸気透過量が、上記下限値以上であることにより、低湿度環境下においても、高い透湿性を有する。
【0041】
本実施形態の好ましい樹脂フィルムとしては、例えば、前記樹脂フィルムのJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、75%RHの条件における水蒸気透過量が、好ましくは5000g/m2・day以上、より好ましくは5500g/m2・day以上、さらに好ましくは5600g/m2・day以上、特に好ましくは5700g/m2・day以上、最も好ましくは5800g/m2・day以上であり、かつ、前記樹脂フィルムのJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、45%RHの条件における水蒸気透過量が、好ましくは1500g/m2・day以上、より好ましくは2500g/m2・day以上、さらに好ましくは3000g/m2・day以上である樹脂フィルムが挙げられる。前記樹脂フィルムの、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、75%RHの条件における水蒸気透過量と、30℃、45%RHの条件における水蒸気透過量と、が、上記下限値以上であることにより、高湿度環境下においても、低湿度環境下においても高い透湿性を有し、前記樹脂フィルムは外部環境によらず高い透湿性を有する。
【0042】
上記30℃、75%RHの条件における水蒸気透過量及び上記30℃、45%RHの条件における水蒸気透過量は、例えば、ガスバリア性樹脂の種類又はその含有量、或いは樹脂フィルムの厚さにより調節することができる。
【0043】
前記樹脂フィルムのJIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、空気の透気抵抗度は、5000秒以上が好ましく、10万秒以上が好ましく、100万秒以上がより好ましく、200万秒以上、300万秒以上、400万秒以上、500万秒以上、800万秒以上、及び1000万秒以上のいずれであってもよい。上記空気の透気抵抗度が前記下限値以上であることにより、ガスバリア性に優れる。上記空気の透気抵抗度は、例えば、ガスバリア性樹脂の種類又はその含有量、或いは樹脂フィルムの厚さにより調節することができる。
【0044】
本実施形態のより好ましい樹脂フィルムとしては、例えば、前記樹脂フィルムのJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、75%RHの条件における水蒸気透過量が、好ましくは5000g/m2・day以上、より好ましくは5500g/m2・day以上、さらに好ましくは5600g/m2・day以上、特に好ましくは5700g/m2・day以上、最も好ましくは5800g/m2・day以上であり、かつ、前記樹脂フィルムのJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、45%RHの条件における水蒸気透過量が、好ましくは1500g/m2・day以上、より好ましくは2500g/m2・day以上、さらに好ましくは3000g/m2・day以上であり、かつ、前記樹脂フィルムのJIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、空気の透気抵抗度が、好ましくは5000秒以上、より好ましくは10万秒以上、さらに好ましくは100万秒以上である樹脂フィルムが挙げられる。
【0045】
前記樹脂フィルムは、前記ガスバリア性樹脂のみを含んでいてもよい(すなわち、前記ガスバリア性樹脂からなるものであってもよい)し、前記ガスバリア性樹脂のいずれにも該当しない他の成分を含んでいてもよい(すなわち、前記ガスバリア性樹脂と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0046】
<他の成分>
前記樹脂フィルムが含む前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
【0047】
前記他の成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、無機繊維、有機繊維、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。防曇剤は、樹脂フィルム表面を水に馴染みやすくすることができることにより、透湿性を向上させることできるため好ましく用いられる。防曇剤としては、例えば、グリセリンラウレート、ジグリセリンラウレート、デカグリセリンラウレート、グリセリンモノステアレート、ソルビタンステアレート等が挙げられる。無機繊維及び有機繊維は、フィルムの膜強度と耐水性を向上させることができる。有機繊維としては、例えば、セルロース等が挙げられ、セルロースナノファイバー(CNF)が好ましく用いられる。
【0048】
前記樹脂フィルムが含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0049】
◎第2実施形態
次に、第2実施形態の樹脂フィルムの特性について説明する。
本発明に係る第2実施形態の樹脂フィルムは、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、75%RHの条件における、前記樹脂フィルムの水蒸気透過量が、5000g/m2・day以上であり、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、45%RHの条件における、前記樹脂フィルムの水蒸気透過量が、1500g/m2・day以上であり、JIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、前記樹脂フィルムの空気の透気抵抗度が、5000秒以上である。
本実施形態の樹脂フィルムは、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、75%RHの条件における、前記樹脂フィルムの水蒸気透過量が、5000g/m2・day以上であり、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、45%RHの条件における、前記樹脂フィルムの水蒸気透過量が、1500g/m2・day以上であり、JIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、前記樹脂フィルムの空気の透気抵抗度が、5000秒以上であるため、基材層の透湿性の低下を抑制しつつ、基材層にガスバリア性を付与することができる。また、高湿度環境下においても、低湿度環境下においても、透湿性が高く、外部の湿度環境によらず、高い透湿性を有する。
【0050】
本実施形態の樹脂フィルムは、高透湿の基材層に積層することにより、高湿度環境下のいても、低湿度環境下においても、基材層の透湿性の低下を抑制しつつ、基材層にガスバリア性を付与することができるため、内容物を完全に乾燥せずに包装しても、包装後に内容物を乾燥させることができる。また、本実施形態の樹脂フィルムは、基材層にガスバリア性を付与することができるため、包装後に不活性ガスを封入することにより、内容物の劣化を防止することができる。そのため、例えば、医療機器、工業部材、電子部品等の金属製の物品を乾燥させないまま包装し、包装後に不活性ガスを封入することにより、包装後に乾燥することができるため、短時間で包装ができ、且つ、錆の発生等による劣化を防止することができる。
【0051】
本実施形態の樹脂フィルムのJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、75%RHの条件における水蒸気透過量は、5000g/m2・dayであって、5500g/m2・day以上であることが好ましく、5600g/m2・day以上であることがより好ましく、5700g/m2・day以上であることがさらに好ましく、5800g/m2・day以上、5900g/m2・day以上、6000g/m2・day以上、7000g/m2・day以上、8000g/m2・day以上、9000g/m2・day以上、10000g/m2・day以上、及び12000g/m2・day以上のいずれであってもよい。前記樹脂フィルムのJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、75%RHの条件における水蒸気透過量が、上記下限値以上であることにより、高湿度環境下においても、高い透湿性を有する。
【0052】
本実施形態の樹脂フィルムのJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、45%RHの条件における水蒸気透過量は、1500g/m2・day以上であって、2000g/m2・day以上であることが好ましく、2500g/m2・day以上であることがより好ましく、3000g/m2・day以上であることがさらに好ましく、3500g/m2・day以上、4000g/m2・day以上、及び5000g/m2・day以上のいずれであってもよい。前記樹脂フィルムのJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、45%RHの条件における水蒸気透過量が、上記下限値以上であることにより、低湿度環境下においても、高い透湿性を有する。
【0053】
上記30℃、75%RHの条件における水蒸気透過量及び上記30℃、45%RHの条件における水蒸気透過量は、例えば、ガスバリア性樹脂の種類又はその含有量、或いは樹脂フィルムの厚さにより調節することができる。
【0054】
本実施形態の樹脂フィルムのJIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、空気の透気抵抗度は、5000秒以上であって、10万秒以上が好ましく、100万秒以上がより好ましく、200万秒以上、300万秒以上、400万秒以上、500万秒以上、800万秒以上、及び1000万秒以上のいずれであってもよい。上記空気の透気抵抗度が前記下限値以上であることにより、ガスバリア性に優れる。上記空気の透気抵抗度は、例えば、樹脂フィルムに含まれるガスバリア性樹脂の種類又はその含有量、或いは樹脂フィルムの厚さにより調節することができる。
【0055】
第2実施形態の樹脂フィルムは、上述の30℃、75%RHの条件における水蒸気透過量と、30℃、45%RHの条件における水蒸気透過量と、23℃、50%RHの条件における空気の透気抵抗度以外に、先に説明した第1実施形態の樹脂フィルムの構成を有するものが好ましい。例えば、第2実施形態の樹脂フィルムは、ガスバリア性樹脂として、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールのいずれか一方又は両方と、水性ポリウレタンとを含むことが好ましい。第2実施形態の樹脂フィルムにおいて、[前記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの合計含有量(質量部)]:[前記水性ポリウレタンの含有量(質量部)]が1:1~1:9.9であることが好ましい。第2実施形態の樹脂フィルムにおいては、ポリビニルアルコールと、前記変性ポリビニルアルコールと、前記水性ポリウレタンと、からなる群より選択される1種又は2種以上が、架橋構造を有することが好ましい。第2実施形態の樹脂フィルムは、第1実施形態の樹脂フィルムの場合と同様に、ガスバリア性樹脂を含むことができる。
【0056】
本発明に係る第1実施形態及び第2実施形態の樹脂フィルムは、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。樹脂フィルムが複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0057】
本発明に係る第1実施形態及び第2実施形態の樹脂フィルムの厚さとしては、特に限定されないが、0.1μm以上5.0μm以下であることが好ましく、0.3μm以上4.0μm以下がより好ましく、0.4μm以上3.0μm以下、及び0.4μm以上2.0μm以下のいずれであってもよい。樹脂フィルムの厚さが前記下限値以上であることにより、基材層にガスバリア性を付与する効果が向上する。樹脂フィルムの厚さが前記上限値以下であることにより、基材層の透湿性の低下をより抑制することができる。
【0058】
<樹脂フィルムの製造方法>
本実施形態の樹脂フィルムは、例えば、前記ガスバリア性樹脂と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物を、後述する基材層の一方の面に塗工し、必要に応じて乾燥させることで、前記基材層上に形成できる。この場合、目的とする積層フィルム自体又はその一部の構成を、直ちに得られる。
【0059】
前記樹脂組成物は、その塗工適性が向上する点から、溶媒を含有していてもよい。
前記溶媒としては、例えば、水、2-プロパノール(IPA)、エタノール、メタノール、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエン、アセトン等が挙げられる。
【0060】
樹脂組成物が含む前記溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0061】
前記樹脂フィルムを、このように樹脂組成物の塗工を経て製造する方法は、目的とする樹脂フィルムが、比較的低温で分解、発火又は気化する成分等を含む場合に、特に有効である。このような、高温での取り扱いに適さない成分としては、例えば、ソルビン酸カリウム、乳酸ナトリウム等が挙げられる。
【0062】
樹脂組成物の塗工は、公知の方法で行えばよい。例えば、各種コーターを用いる方法で、樹脂組成物を塗工できる。
【0063】
樹脂組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、樹脂組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば、40~120℃で乾燥させることが好ましい。
【0064】
<<積層フィルム>>
本発明を適用した一実施形態である積層フィルムの構成について説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態である積層フィルム1の断面模式図である。
図1に示すように、本実施形態の積層フィルム1は、本発明の樹脂フィルム2と、前記樹脂フィルム2上に設けられた基材層3と、を備えて、概略構成されている。本実施形態の積層フィルム1は、包装体、特に医療機器、工業部材、電子部品等の金属製の物品の包装用のフィルムとして用いることができる。
【0065】
<基材層>
基材層(コア層ともいう)3は、上述した樹脂フィルム2上に設けられた樹脂層である。基材層3は、多層フィルム1に柔軟性を付与することができる。基材層3に用いることが可能な樹脂としては、上記機能を付与することが可能な樹脂であって、透湿性を有する樹脂であれば特に制限されないが、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂やナイロン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合、オレフィン系エラストマー等が挙げられる。基材層は、透湿性を有していれば、多孔質性のものであっても、多孔質性のものでなくてもよい。
【0066】
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系共重合体、ポリプロピレン系共重合体、ブテン系共重合体が挙げられ、これらの中でも、ポリエチレン系共重合体およびポリプロピレン系共重合体が好ましい。
また、これら共重合体の形態としては、接着性を向上できる観点から、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が用いられ、特にランダム共重合体が好ましい。
【0067】
前記ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィンの共重合物である。
前記ポリエチレン系共重合体とは、エチレンと、エチレン以外のモノマーと、の共重合物である。
前記ポリプロピレン系共重合体とは、プロピレンと、プロピレン以外のモノマーと、の共重合物である。
前記ブテン系共重合体とは、ブテンと、ブテン以外のモノマーと、の共重合物である。
【0068】
ポリエチレン系共重合体としては、特に限定されないが、エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。
【0069】
エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体としては、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「LLDPE-g-MAH」と記載する。)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA樹脂」と記載する。)、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(以下、「EMMA樹脂」と記載する。)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(以下、「EEA樹脂」と記載する。)、エチレン-メチルアクリレート共重合体(以下、「EMA樹脂」と記載する。)、エチレン-エチルアクリレート-無水マレイン酸共重合体(以下、「E-EA-MAH樹脂」と記載する。)、エチレン-アクリル酸共重合体(以下、「EAA樹脂」と記載する。)、エチレン-メタクリル酸共重合体(以下、「EMAA樹脂」と記載する。)、アイオノマー(以下、「ION樹脂」と記載する。)、エチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。なお、本明細書において、ION樹脂とは、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体を、酸部分と金属イオンとの塩形成によってイオン橋かけ構造にしたものを指す。
【0070】
ポリエステル系樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0071】
ナイロン系樹脂としては、例えば、4-ナイロン、6-ナイロン、7-ナイロン、11-ナイロン、12-ナイロン、46-ナイロン、66-ナイロン、69-ナイロン、610-ナイロン、611-ナイロン、612-ナイロン、6T-ナイロン、6Iナイロン、6-ナイロンと66-ナイロンのコポリマー(ナイロン6/66)、6-ナイロンと610-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと611-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと12-ナイロンのコポリマー(ナイロン6/12)、6-ナイロンと612ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと6T-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと6I-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと610-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと12-ナイロンのコポリマー(ナイロン6/66/12)、6-ナイロンと66-ナイロンと612-ナイロンのコポリマー、66-ナイロンと6T-ナイロンのコポリマー、66-ナイロンと6I-ナイロンのコポリマー、6T-ナイロンと6I-ナイロンのコポリマー、及び66-ナイロンと6T-ナイロンと6I-ナイロンのコポリマー、非晶性ナイロン等が挙げられる。中でも、耐熱性、機械的強度、及び入手の容易性の点から、6-ナイロン、12-ナイロン、66-ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12、及びナイロン6/66/12等が好ましく、6-ナイロンがより好ましい。
【0072】
基材層3は、1層のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。例えば、基材層3を、異なる材質の複数層からなるものとすることで、基材層3の硬さや透湿性等の特性を調節できる。
【0073】
基材層3の、積層フィルム1の全層に対する厚さの比率は、75~99.9%が好ましく、90~99.9%がより好ましく、95~99.9%がさらに好ましく、97~99.5%が特に好ましい。上記厚さの比率が、上記下限値以上であると、多層フィルム1に柔軟性を付与することができる。上記厚さの比率が、上記上限値以下であると、樹脂フィルムを積層した際の透湿性の低下が抑制される。
【0074】
基材層3の厚さは、10~100μmであることが好ましく、15~50μmであることがより好ましい。上記厚さが好ましい範囲の下限値以上であると、樹脂フィルムを積層した際の透湿性の低下が抑制され、上限値以下であると、柔軟性が得られる。
【0075】
<積層フィルムの製造方法>
次に、上述した積層フィルム1の製造方法について説明する。
本実施形態の積層フィルム1の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、基材層の一方の面上に、樹脂フィルムを形成するための前記樹脂組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させて、基材層の一方の面上に前記樹脂フィルム積層することにより、製造することができる。
【0076】
<<包装体及びその製造方法>>
前記積層フィルムを用いて、その中の前記樹脂フィルムを、包装対象物側に配置し、包装対象物を包装することにより、包装体を製造できる。
前記包装体が前記樹脂フィルムを備えていることにより、前記包装体中の内容物を包装後に乾燥させることができ、且つ、包装体の中に不活性ガスを封入することにより、内容物の劣化を防止することができる。そのため、例えば、医療機器、工業部材、電子部品等の金属製の物品の錆の発生等による劣化を防止することができる。
【0077】
包装時には、例えば、1枚の前記積層フィルムで包装対象物を包み込み、積層フィルムの余剰部位(包装対象物を包み込んでいない部位)を積層フィルムの他の部位と重ね合わせて、シールすることで、包装対象物を包装できる。このとき、積層フィルム中の樹脂フィルム同士を重ね合わせてもよいし、樹脂フィルムと基材層を重ね合わせてもよい。
また、包装時には、例えば、2枚の前記積層フィルムで包装対象物を挟み込み、これら積層フィルム同士を重ね合わせて、シールすることで、包装対象物を包装できる。このとき、積層フィルム中の樹脂フィルム同士を重ね合わせてもよいし、樹脂フィルムと基材層を重ね合わせてもよい。
また、トレーを用いて、その上に包装対象物を載置し、前記積層フィルム中の樹脂フィルムを、トレーの周縁部とシールすることで、包装対象物を包装できる。
【実施例0078】
以下、本発明の効果を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0079】
[実施例1]
<<樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル社製「ゴーセネックスWO320N」)(固体、20℃での4質量%水溶液粘度:6.5~8.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を溶媒(水)で固形分濃度を3質量%に希釈したものと、水性ポリウレタン(DIC社製「ハイドランWLS-230」)(固形分濃度:35質量%)を溶媒(水)で固形分濃度を3質量%に希釈したものと、チタン系架橋剤(マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC400」)60phr(変性ポリビニルアルコール100質量部に対してオルガチックスTC400 60質量部)と、を混合して得られた樹脂溶液を、基材フィルム(3M社製「マイクロポーラスフィルム」、厚さ30μm)の一方の面に塗工し、100℃で2分間乾燥させることによって、基材フィルム上に樹脂フィルム(厚さ1μm)を形成した。前記樹脂溶液は、樹脂フィルムを形成するための前記樹脂組成物に相当し、前記基材フィルムは、先に説明した基材層に相当する。
以上により、基材フィルムに、樹脂フィルムが積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0080】
[実施例2]
<<樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル社製「ゴーセネックスWO320N」)(固体、20℃での4質量%水溶液粘度:6.5~8.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を溶媒(水)で固形分濃度を3質量%に希釈したものと、水性ポリウレタン(DIC社製「ハイドランWLS-230」)(固形分濃度:35質量%)を溶媒(水)で固形分濃度を3質量%に希釈したものを用いる代わりに、変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル社製「ゴーセネックスWO320N」)(固形分濃度:2質量%、20℃での4質量%水溶液粘度:6.5~8.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を溶媒(水:2-プロパノール=8:2の混合溶媒)で固形分濃度を3質量%に希釈したものと、水性ポリウレタン(DIC社製「ハイドランWLS-230」)(固形分濃度:35質量%)を溶媒(水:2-プロパノール=8:2の混合溶媒)で固形分濃度を3質量%に希釈したものを用いる以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム上に樹脂フィルム(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、樹脂フィルムが積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0081】
[実施例3]
<<樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル社製「ゴーセネックスWO320N」)(固体、20℃での4質量%水溶液粘度:6.5~8.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を溶媒(水)で固形分濃度を3質量%に希釈したものと、水性ポリウレタン(DIC社製「ハイドランWLS-230」)(固形分濃度:35質量%)を溶媒(水)で固形分濃度を3質量%に希釈したものを用いる代わりに、変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル社製「ゴーセネックスWO320N」)(固体、20℃での4質量%水溶液粘度:6.5~8.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を溶媒(水:2-プロパノール=8:2の混合溶媒)で固形分濃度を3質量%に希釈したものと、水性ポリウレタン(DIC社製「ハイドランWLS-230」)(固形分濃度:35質量%)を溶媒(水:2-プロパノール=8:2の混合溶媒)で固形分濃度を3質量%に希釈したものを用いる以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム上に樹脂フィルム(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、樹脂フィルムが積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0082】
[実施例4]
<<樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル社製「ゴーセネックスWO320N」)(固体、20℃での4質量%水溶液粘度:6.5~8.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を溶媒(水)で固形分濃度を3質量%に希釈したものと、水性ポリウレタン(DIC社製「ハイドランWLS-230」)(固形分濃度:35質量%)を溶媒(水)で固形分濃度を3質量%に希釈したものを用いる代わりに、変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル社製「ゴーセネックスWO320N」)(固体、20℃での4質量%水溶液粘度:6.5~8.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を溶媒(水:2-プロパノール=8:2の混合溶媒)で固形分濃度を3質量%に希釈したものと、水性ポリウレタン(DIC社製「ハイドランWLS-230」)(固形分濃度:35質量%)を溶媒(水:2-プロパノール=8:2の混合溶媒)で固形分濃度を3質量%に希釈したものを用いる以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム上に樹脂フィルム(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、樹脂フィルムが積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0083】
[実施例5]
<<樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル社製「ゴーセネックスWO320N」)(個体、20℃での4質量%水溶液粘度:6.5~8.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を溶媒(水)で固形分濃度を3質量%に希釈したものと、水性ポリウレタン(DIC社製「ハイドランWLS-230」)(固形分濃度:35質量%)を溶媒(水)で固形分濃度を3質量%に希釈したものを用いる代わりに、変性ポリビニルアルコール(クラレ社製「エクセバールRS-2117」)(固形分濃度:100質量%、20℃での4質量%水溶液粘度:26.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を溶媒(水:2-プロパノール=8:2の混合溶媒)で固形分濃度を3質量%に希釈したものと、水性ポリウレタン(DIC社製「ハイドランWLS-230」)(固形分濃度:35質量%)を溶媒(水:2-プロパノール=8:2の混合溶媒)で固形分濃度を3質量%に希釈したものを用いる以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム上に樹脂フィルム(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、樹脂フィルムが積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0084】
[実施例6]
<<樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル社製「ゴーセネックスWO320N」)(個体、20℃での4質量%水溶液粘度:6.5~8.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を溶媒(水)で固形分濃度を3質量%に希釈したものと、水性ポリウレタン(DIC社製「ハイドランWLS-230」)(固形分濃度:35質量%)を溶媒(水)で固形分濃度を3質量%に希釈したものを用いる代わりに、変性ポリビニルアルコール(第一工業製薬社製「ピッツコールV-7154」)(固形分濃度:15質量%水溶液、20℃での4質量%水溶液粘度:10~20mPa・s)を溶媒(水:2-プロパノール=8:2の混合溶媒)で固形分濃度を3質量%に希釈したものと、水性ポリウレタン(DIC社製「ハイドランWLS-230」)(固形分濃度:35質量%)を溶媒(水:2-プロパノール=8:2の混合溶媒)で固形分濃度を3質量%に希釈したものを用いる以外は、実施例1と同様にして、基材フィルム上に樹脂フィルム(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、樹脂フィルムが積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0085】
[比較例1]
<<樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル社製「ゴーセネックスWO320N」)(個体、20℃での4質量%水溶液粘度:6.5~8.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を溶媒(水)で固形分濃度を3質量%に希釈したものと、チタン系架橋剤(マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC400」)60phr(変性ポリビニルアルコール100質量部に対してオルガチックスTC400 60質量部)とを、混合して得られた樹脂溶液を、基材フィルム(3M社製「マイクロポーラスフィルム」、厚さ30μm)の一方の面に塗工し、100℃で2分間乾燥させることによって、基材フィルム上に樹脂フィルム(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、樹脂フィルムが積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0086】
[比較例2]
<<樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>>
水性ポリウレタン(DIC社製「ハイドランWLS-230」)(固形分濃度:35質量%)を溶媒(水:2-プロパノール=8:2の混合溶媒)で固形分濃度を3質量%に希釈した樹脂溶液を、基材フィルム(3M社製「マイクロポーラスフィルム」、厚さ30μm)の一方の面に塗工し、100℃で2分間乾燥させることによって、基材フィルム上に樹脂フィルム(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、樹脂フィルムが積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0087】
[比較例3]
<<樹脂フィルム及び積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル社製「ゴーセネックスWO320N」)(個体、20℃での4質量%水溶液粘度:6.5~8.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を溶媒(水)で固形分濃度を3質量%に希釈したものを用いる代わりに、変性ポリビニルアルコール(第一工業製薬社製「ピッツコールV-7154」)(固形分濃度:15質量%水溶液、20℃での4質量%水溶液粘度:10~20mPa・s)を用いる以外は、比較例1と同様にして、基材フィルム上に樹脂フィルム(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、樹脂フィルムが積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0088】
<<樹脂フィルムの水蒸気透過量の測定>>
上記で得られた実施例1~6、比較例1~3の積層フィルム、及び、前記実施例及び比較例で用いた基材フィルム(3M社製「マイクロポーラスフィルム」、厚さ30μm)について、JIS Z 0208に規定のカップ法により、30℃、75%RHの条件及び30℃、45%RHの条件における水蒸気透過量をそれぞれ測定した。測定は、直径60mmの容器に、乾燥した10gの塩化カルシウムを入れて実施した。次に、実施例1~6、比較例1~3の積層フィルムについては、下記の式により、測定された積層フィルムの水蒸気透過量から、基材フィルムを含まない樹脂フィルムの水蒸気透過量を算出した。結果を表1に示す。
【0089】
【0090】
<<樹脂フィルムの透気抵抗度の測定>>
上記で得られた実施例1~6、比較例1~3の積層フィルム、及び、前記実施例及び比較例で用いた基材フィルム(3M社製「マイクロポーラスフィルム」、厚さ30μm)について、JIS P 8117:2009に規定の王研法により、23℃、50%の条件における、空気の透気抵抗度を測定した。次に、実施例1~6、比較例1~3の積層フィルムについては、基材フィルムの透気抵抗度から、各実施例の積層フィルムの透気抵抗度を減算することにより、各実施例の樹脂フィルムの透気抵抗度を算出した。結果を表1に示す。
【0091】
<<積層フィルムにおける樹脂フィルムの形成状態の評価>>
上記で得られた実施例1~6、及び、比較例1~3の積層フィルムの、樹脂フィルムの表面(基材フィルム側とは反対側の露出面)を目視観察し、以下の評価基準により、積層フィルムにおける樹脂フィルムの形成状態を評価した。
<評価基準>
A:樹脂フィルムが基材フィルム上に均一に形成されている。
B:樹脂フィルムが基材フィルム上に均一に形成されておらず、基材フィルム上に樹脂フィルムが形成されていない領域がある。
【0092】
【0093】
上記結果から明らかなように、実施例1~6の樹脂フィルムは、30℃、75%RHの条件における水蒸気透過量が、5000g/m2・day以上であって、且つ、30℃、45%RHの条件における水蒸気透過量が、1500g/m2・day以上であり、高湿度環境下であっても、低湿度環境下であっても、優れた透湿性を有していた。また、空気の透気抵抗度が、5000秒以上であるため、ガスバリア性にも優れており、さらに、形成状態も優れていた。それに対し、比較例1及び3の樹脂フィルムは、30℃、45%RHの条件における水蒸気透過量が、1500g/m2・day未満であり、低湿度環境下における透湿性において劣っており、比較例3の樹脂フィルムは、30℃、75%RHの条件における水蒸気透過量が、5000g/m2・day未満であり、高湿度環境下における透湿性においても劣っていた。また、比較例2の樹脂フィルムは、空気の透気抵抗度が、5000秒未満であるため、ガスバリア性において劣っていた。また、比較例2の樹脂フィルムは、その形成状態においても劣っていた。